説明

基板及びシリコンナノファイバーを含む物品

【課題】電気基板、半透性の膜及び障壁、組織培養用及び複合材料用の構造格子などに有益な多孔性ナノファイバー支持基板材料の提供。
【解決手段】基板を貫通する複数の開口部を有し、基板の全体表面が前記複数の開口部の内壁表面を含む基板、及び前記基板の全体表面の少なくとも一部に取り付けられた複数のナノファイバー、を含む物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスレファレンス
この出願は米国仮特許出願第60/541,463号(2004年2月2日出願)、及び米国特許出願第10/941,746号(2004年9月15日出願)の優先権を主張し、その開示内容すべてをあらゆる目的のため全体としてここで援用する。
【背景技術】
【0002】
ナノテクノロジーは、次の社会発展への道を開く次の技術発展として歓迎されてきたと同時に、単に技術的な行き過ぎた熱中により広められてきた最近の一群の戯言として非難されてきた。基本的に両者の主張には、その立場を支持する有効ないくつかの理由がある。例えば、ナノ材料が化学的、構造的及び電気的な能力の観点から非常にユニークで大いに望ましい特性を有することは全く明らかである。しかし、妥当な工業的方法にてナノ規模の材料をマクロ規模の世界に統合するのに利用できる技術、及び/又はより複雑な将来の用途、例えばナノコンピュータ、ナノ規模機械などのためにこれらのナノ材料をより複雑なシステムに組み立てる方法に利用できる技術は、現在までのところほとんどないことも明らかである。様々な研究者が、実施することはせず、分子自体のアセンブリ、電磁的アセンブリ技術などを語ることにより統合とアセンブリの問題に対処するいくつかの異なる方法を提案してきた。しかし、これらの領域において公表された成功や公表された試みはほとんどなかった。
【0003】
特定の場合には、個別のアセンブリを要する個別の要素としてよりもバルク材料としてもっとユニークで興味深いこれらの材料の特性を利用するナノ材料の使用法が提案されている。例えば、Duan他,Nature425:274-278(2003年9月)には、バルク処理された有向性の半導体ナノワイヤフィルム又は層を剛性の半導体ウェーハの代わりに利用する大面積電子基板(例えばディスプレイ、アンテナなど用)において使用するための、ナノワイヤに基づいたトランジスタが記載されている。その結果得られるのは、単結晶ウェーハ基板と同等に機能するが、不完全にしか実行できないアモルファス半導体プロセスにおいて用いられる従来の低費用のプロセスを用いて製造できる電子基板である。この技術によると、新しい唯一のプロセス要件は、実質的に所与の軸に沿って方向付けられたナノワイヤのフィルムを提供できることである。既に、この方向付けの技術は、例えば、国際特許出願PCT/US03/09827、PCT/US03/09991(両方とも2003年4月1日出願)、及びPCT/US03/30637(2003年9月30日出願)、並びに米国特許出願第10/673,092号(2003年9月25日出願)に詳細に記載されており(それらの各々の全開示内容をあらゆる目的のために全体をここで援用する)、製造プロセスに容易に拡張できる。
【0004】
別の代表的な場合では、光電デバイスの柔軟で効率的な活性層として使用するための、バルク処理されたナノ結晶が記載されている。特に、量子閉じ込め半導体結晶を正孔伝導マトリックス中に提供(II型バンドギャップのオフセットを提供)できることにより、光起電デバイス又は光電検出器として利用できる光活性層の製造が可能となる。これらのナノ材料は、活性複合材中に配置される場合には、当該産業において利用可能な標準のフィルムコーティング方法を用いて簡単に処理される。例えば、あらゆる目的のためにその全体をここで援用する米国特許出願第10/656,802号(2003年9月4日出願)を参照されたい。
【0005】
ナノテクノロジーの目先の目標としてバルク又はバルク様のプロセスのこれらの材料をさらに使用することが要求されるという予想に従って、本発明は、ナノ材料をナノ材料自体として用いるのではなく、より大きな材料、組成物及び物品への改良として用いて基本的に新規で有用な材料、組成物及び物品を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】PCT/US03/09827
【特許文献2】PCT/US03/09991
【特許文献3】PCT/US03/30637
【特許文献4】米国特許出願第10/673,092号
【特許文献5】米国特許出願第10/656,802号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Duan他,Nature425:274-278(2003年9月)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の簡単な概要
一般に、本発明は、既に報告されているナノ材料が欠いている取扱い、製造及び一体化の容易さを与える一方で、それらの材料の幅広い使用及び応用を可能にするナノ材料の新規な提示に関する。特に、本発明は複数のナノファイバーが基板上に取り付けられた多孔性基板を提供する。ナノファイバーは、基板の任意の部分又は表面全体に取り付けてもよいし、又は主に又は実質的に多孔性基板を貫通する細孔を形成する開口部の内壁面上に局在化させてもよい。
【0009】
本発明の物品は、気体、流体などを濾過する濾過手段として用いることもできるし、半透性障壁、例えば上着、包帯など用の通気性の湿気障壁として用いることもできる。本発明の物品はまた、例えば光起電デバイスなどの電極や他の能動要素として有益な特性を与えるナノ材料を電子デバイスに一体化するのに用いてもよいし、これらのナノ材料を物理的構造体(例えば複合材)や生物学的構造体(例えば組織)に一体化するのに用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1はナノワイヤが表面に取り付けられた多孔性基板の概略図を示す。
【図2】多孔性基板材料の内壁に取り付けられたナノワイヤの概略図を示す。
【図3】濾過カートリッジに組み込まれた本発明の物品の概略図を示す。
【図4】例えばアウトドア用衣類に用いられる半透性湿気障壁として本発明の基板を組み込んだ層状生地の概略図を示す。
【図5】粘着性の防湿包帯に組み込まれた本発明の物品の概略図を示す。
【図6】光起電デバイスに組み込まれた本発明の基板材料の概略図である。
【図7】例えば誘電層として使用するために複合材マトリックスに組み込むため格子として用いられる本発明の物品の概略図である。
【図8】クロマトグラフ分離を実施するためカラム装置と共に本発明の基板を組み込む分離手段の概略図である。
【図9】本発明の特定の態様にて使用する独立したメッシュ網を生成する相互溶融又は架橋したナノワイヤの電子顕微鏡写真を示す。
【図10】下に存在する多孔性(例えばマクロ多孔性)基板と共に又は該基板とは独立に用いるための架橋したナノワイヤメッシュ網の製造方法を概略的に示す。
【図11】マトリックス材料中に配置された本発明の多孔性基板を用いる複合材料を示す。
【図12】本発明のナノファイバーを支持した多孔性基板の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
I.本発明の一般的な説明
一般に、本発明はナノワイヤ表面又は表面の部分を用いてユニークな物理的、化学的及び電気的な特性を与える新規な物品及び組成物を提供する。特に、本発明は、広範囲の様々な用途に対して広範囲のユニークで有用な特性を有する材料を提供するために、多孔性基板の表面全体の少なくとも一部に取り付けられたナノワイヤを有する多孔性基板に関する。
【0012】
多孔性基板の種々の表面にナノワイヤを付加することにより、既に使用されている用途における多孔性基板の性能が改善されるだけでなく、この多孔性基板を従来のように使用できる又は使用できない多くの他の様々な用途における基板材料の性能も改善される。
【0013】
例として、ナノワイヤ強化面を膜又は他の半透性障壁に組み込むことにより、濾過効率が改善できる。特に、既存の膜又は他の透過層の細孔内にナノワイヤを付与することにより、予想されるフィルターでの圧力低下の増大なしに高い濾過効率を実現できる(Grafe他,Nanowovens in Filtration-Fifth International Conference,Stuttgart,Germany,March 2003を参照のこと)。関連して、このナノファイバーは、代わりの特性をこのような障壁(例えば通気性防湿障壁、抗菌/防腐性障壁)に与えるのに用いてもよい。この障壁はアウトドア用衣類産業において広く応用可能であるが、抗菌ナノファイバーを使用しているだけでなく、酸素は透過するが湿気や粒子(バクテリアを含む)は透過しないので、包帯として特に有用である。この後者の用途は、ナノワイヤ/ナノファイバー強化面の乾式接着特性の観点から特に興味深い(例えば、あらゆる目的のためにその全体をここで援用する米国特許出願第10/661,381(2003年9月12日出願)を参照のこと)。ある研究者はナノファイバーを膜上にデポジット(deposit)させてより大きな表面積を得ることを提案しているが、その場でファイバーを表面に取り付ける能力、特にこのファイバーを成長させる能力は、ファイバーの単純なデポジション(deposition)に比べて多くの利点を与える。特に、ファイバーを膜上に単にデポジットさせる際には、膜の全表面領域上へのファイバーの被覆を一様又は完全(例えば貫通性)にするのは困難であるが、一方、その場での成長方法は、はるかに良い内面の被覆を与えるので、膜又は障壁の十分に素晴らしい表面領域を提供する。加えて、この方法は、ファイバーの取り付けられた表面からの該ファイバーの多様な方向を提供する、すなわち、表面に平らに横たわったのとは対照的に表面からファイバーが延びるようにする。
【0014】
多孔性基板の機能の改善に加えて、ナノファイバー/ナノワイヤと共に多孔性基板を使用することにより、多孔性基板それ自体の使用とはほとんど無関係な様々な用途において使用できるユニークな超大表面積材料をも提供される。例えば、超大表面積電気コンポーネントは、例えば生物組織(すなわちペースメーカーにおいて)や、カテーテル用の組織格子又は抗感染障壁としての他の生物学的インプラント用のカバーとインターフェースする電極として種々の用途を有し得る。
【0015】
さらに別の用途では、多孔性基板は、様々な用途で使用するため、例えば複合材フィルムなどで使用するためにナノファイバー/ナノワイヤの高密度の集団を提供するためにユニークな合成格子を提供する。一般にこのフィルムは半導体複合材、誘電フィルム、電子デバイス又は光電デバイス用の活性層などとして適用できる。
【0016】
これらの材料/物品には広範囲の潜在的な応用可能性が存在し、本開示内容を読めば当業者には明らかとなる。
【0017】
II.本発明の物品、構造及びアーキテクチャー
上述したように、本発明の物品は多孔性基板を物品の基礎として組み込む。一般に、本発明により用いられる多孔性基板は、任意の種々の固体又は半固体材料を含み、その上にナノワイヤを取り付けることができ、該材料を貫通する開口部が存在する。よって、これらの基板としては、固体の連続基板、例えば柔軟性又は剛性で貫通した開口部を有するプレート、フィルム、ウェーハ、例えば、打ち抜き又はエッチングされた穴あき金属又は無機プレート、ウェーハなど、細孔つき又は穴あきフィルムが挙げられ、又は基板としては、固体又は半固体コンポーネントの集合体、例えば、繊維マット、メッシュスクリーン、アモルファスマトリックス、複合材料、織物、すなわち、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアラミド又はポリエステル織物などが挙げられる。明らかに、様々な種類の材料の任意のものは、有機材料、例えば、ポリマー、カーボンシートなど、セラミック、無機材料、例えば、半導体、絶縁体、シリカに基づいた材料(例えば硅素、SiO2)など含んだガラス、金属、半金属、並びにこれらの任意のもの又はすべての複合材を含んだ基板を含み得る。
【0018】
加えて、基板、例えば、剛性又は固体の基板は、追加の形態、例えば、井戸、ピラミッド、ポストなどの3次元形状をその表面上に設けるよう設計して効果をさらに改善でき。例えば、より大きい表面領域とし、チャンネル流体又はガスをそれらの上に供給し、多孔性基板自体などにより行われる濾過に先行して事前濾過を行なうことができる。加えて、1つの多孔性基板を含むものとして述べたが、適用に際し複数の基板を1つの物品、デバイス又はシステムに設けてもよいことが分かる。また、主に平らな多孔性基板について例示し説明しているが、多孔性基板は球、円筒、円盤、立方体、ブロックなどを含めて、所望の用途にさらに容易に一体化でき用途に依存した種々の任意の形状に製造できることが分かる。
【0019】
金属基板の例として、スチール/鉄、ニッケル、アルミニウム、チタン、銀、金、白金、パラジウム、又は事実上は完成物品に所望の特性、例えば、導電率、柔軟性、展性、コスト、加工性などを与える任意の金属の基板が挙げられる。特定の好ましい態様では、金属ワイヤメッシュ又はスクリーンが基板として使用される。このメッシュは、明確なスクリーン/細孔及びワイヤのサイズを有する入手が容易な市販の相対的に整合的な表面を与える。様々な金属メッシュがこのような種々のスクリーン/細孔及びワイヤのサイズにて容易に購入できる。別法として、金属基板は、穴あきプレート、例えば開口部を貫通製造した固体の金属板として提供してもよい。金属プレートへの開口部の形成は、いくつかの手段のうち任意のものにより実行できる。例えば本発明の最も好ましい態様として用いられる例えば直径が100μm未満の相対的に小さい開口部は、リソグラフィー技術、好ましくはフォトリソグラフィー技術を用いて製造できる。同様に、この開口部はレーザーに基づいた技術、例えば、アブレーション、レーザー穴あけなどを用いても製造できる。より大きな開口部(例えば50〜100μmより大)の場合には、従来の金属製造技術(例えば抜打ち加工、穴あけなど)が利用できる。
【0020】
無機ポリマー基板もまた、メッシュ又はスクリーン構造、繊維マット又は集合体、例えば、ウール、又は開口部を貫通配置した固体基板を含めて、上記説明した金属基板と同様に構成できる。ここでも、ポリマー基板の観点から、主な選択基準は、基板が所望の用途で機能し、例えば基板がさらされる化学的、熱的条件又は放射又は他の条件に耐性を有することである。好ましい態様では、ポリマー基板はまた、物品全体に対して他の追加の有用な特性(例えば柔軟性、製造可能性又は加工性、化学的適合性又は不活性、透明性、軽量、低コスト、疎水性又は親水性、又は種々の他の有用な特性の任意のもの)を与える。特に好ましいポリマー基板は、製造及び/又は使用中に用いられ得る一定の厳しい環境条件(例えば高い温度(例えば300又は400℃より大)、高塩、酸又はアルカリ条件など)に耐えることができる。特に、高温に耐えるポリマーが特に好ましく、実際、その場でナノワイヤが基板の表面上で成長し、よって、合成プロセスではしばしばより高い温度(例えば450℃)の合成プロセスが用いられる。このような用途には、ポリイミドポリマー、ポリエーテルケトン、ポリアラミドポリマーなどが特に好ましい。当業者なら様々な他のポリマーもこのような用途に特に適することが分かる。別法として、幅広い範囲の他のポリマーと共に低温のファイバー合成方法を用いることもできる。この方法はGreene他により記載された方法(「Low-temperature wafer scale production of ZnO nanowire arrays」,L.Greene,M.Law,J.Gldberger,F.Kim,J.Johnson,Y.Zhang,R.Saykally,P.Yang,Angew.Chem.Int.Ed.42,3031-3034,2003)を伴うか、又は約200℃の合成温度を用いるPECVDを用いる。多孔性基板が既に合成されたナノファイバーを単に受け入れるものである場合、例えば基板がナノワイヤに連結されるか又はナノワイヤに対するマクロ多孔性サポートとして機能する場合には、有機材料(例えば有機ポリマー)、金属、セラミック、多孔性無機(例えば焼結ガラス)を含め、また種々の従来から入手可能な膜材料(セルロース膜、すなわち、ニトロセルロース、ポリビニルジフルオライド膜(PVDF)、ポリスルホン膜などを含む)を含めて、十分幅広い多様な多孔性基板を使用できる。
【0021】
場合によっては、多孔性基板は可溶性材料、例えばセルロースなどを含んでもよい。ナノファイバーの取り付け後、場合によっては最終的なデバイス構成に基板全体を配置した後、支持用の多孔性基板を溶解させてナノファイバーの織り合わされたマット又は集合体を残すこともできる。例えば、可溶性メッシュは、ここで記載のように表面全体又は内壁面に取り付けられたナノファイバーを備えることもできる。次にメッシュを転がして円筒形の形態にして円筒ハウジング(例えば分離用カラム)に挿入してもよい。次に支持用メッシュを溶解させ、ナノファイバーの詰まったカラムを生成する。さらに、上述したように、多孔性マトリックスは可溶性であるだけでなくいくつかの形状のうち任意の形状とし、いったん基板が溶解したら種々の任意の形状のファイバー集合体を形成させてもよい。
【0022】
上述したように、一般にここで用いられる基板の開口部は、有効細孔サイズ又は「有効空隙率」により定義される。開口部又は細孔として記載されているが、基板を貫通するように設けられた状況で用いられている用語「開口部」又は「細孔」は、材料が基板材料の1つの固体片であろうと、基板材料の集合片のメッシュ又はマットであろうと、単に基板材料を貫通する連続的な経路又は通路のことをいう。よって、これらの「開口部」又は細孔は1つの通路を表す必要はなく、共に配列された複数の通路を構成して連続的な通路を形成し得る。同様に、開口部又は細孔は、基板材料(例えばファイバーなど)の隣接部分間の空間(材料を貫通する連続的な経路を与える)を単に意味することもできる。本発明の目的のため、細孔又は開口部のサイズは、その上にナノファイバーが配置されていない場合には、一般に材料が設けられる用途の性質に依存して変わる。
【0023】
例えば、一般に濾過用途は、より粗い濾過操作の場合には数十〜数百ミクロン以上から十分に微細な濾過用途(例えば、バクテリア減菌フィルタ)の場合にはサブミクロン規模までの範囲で、濾過する粒子又は他の材料の性質に依存して細孔サイズを変える。同様に、半透性障壁の用途の場合には、一般にこの細孔は必要な透過性の透過型に依存して変わる。例えば、通気性湿気障壁は、数十ミクロンからサブミクロンまでの範囲、例えば0.2μm以下の細孔サイズを有し得る。場合によっては、生物因子(例えばバクテリア及びウイルス)の通路を塞ぐために、100nm未満、さらには20nm未満の有効細孔サイズを有するのが望ましい。
【0024】
ここに記載の物品及び基板は、外面と細孔内の表面との両方を含めて実質的に基板材料の任意の表面及びすべての表面上にナノワイヤを含み得る。同時に、ここでは、ナノワイヤを配置し得るこれらの表面は、基板材料の「全体表面」といい、細孔の内壁にある壁面は一般に基板材料又は細孔の「内壁面」という。当業者がこの開示内容を読めば明らかなように、特定の態様、例えば繊維マット又はウール状基板の場合に表面を内壁面というときは、細孔又は開口部の内側部分に存在するものとしてその表面の永続的な状態を必ずしも示さない。というのは、特定の基板材料の基本的な柔軟性及び/又は展性により、基板材料の全体表面の種々の部分をあちこちシフト又は移動させることができるからである。
【0025】
上述したように、本発明の基板はナノファイバー又はナノワイヤをそれらの表面上に組み入れることによって重要でユニークな特性を得る。たいていの用途では、用語「ナノワイヤ」と「ナノファイバー」は交換可能に使用される。しかし、導電性の用途の場合、例えばナノファイバーの導電性又は半導電性の特性に関心がある場合には、一般に用語「ナノワイヤ」が好ましい。どちらの場合にも、一般にナノワイヤ又はナノファイバーは、アスペクト比(長さ:幅)が10より大、好ましくは100より大、ほとんどの場合には1000以上である細長い構造を意味する。一般に、これらのナノファイバーの断面寸法(例えば直径)は、500nm未満、好ましくは100nm未満、多くの場合50nm又は20nm未満である。
【0026】
一般に、本発明で用いるナノファイバーの組成物は、結果として得られる基板材料を設ける用途に依存して広く変わる。例として、ナノファイバーは、有機ポリマー、セラミック、無機半導体及び酸化物、カーボン・ナノチューブ、生物由来の化合物(例えば繊維蛋白質など)などから構成し得る。例えば、特定の態様では、半導体ナノファイバーなどの無機ナノファイバーが用いられる。半導体ナノファイバーは、第IV族、第III-V族又は第II-VI族の半導体のいくつか又はそれらの酸化物から構成できる。特に好ましいナノファイバーとしては、半導体ナノワイヤ又は半導体酸化物ナノファイバーが挙げられる。
【0027】
一般に、用いられるナノファイバー又はナノワイヤは、これらの細長い構造を基板表面上で成長又は合成することにより製造される。例として、公開された米国特許出願US-2003-0089899-A1には、気相成長を用いて固体基板に固着した金コロイドから半導体ナノワイヤの一様な集団を成長させる方法が開示されている。Greene他(“Low-temperature wafer scale production of ZnO nanowire arrays”,L.Greene,M.Law,J.Goldberger,F.Kim,J.Johnson,Y.Zhang,R.Saykally,P.Yang,Angew.Chem.Int.Ed.42,3031-3034,2003)は、代わりに、溶液に基づいた低温ワイヤ成長プロセスを用いたナノワイヤの合成方法を開示する。より短いナノ材料を製造するための界面活性剤に基づいた合成方法(米国特許第5,505,928号、第6,225,198号及び第6,306,736号に開示)、及びカーボン・ナノチューブの公知の製造方法(例えば、Dai他のUS-2002/0179434参照)を含めて、他の種々の方法を用いて別の細長いナノ材料を合成できる。ここで述べられているように、本発明において使用するナノファイバーを製造する際に、これらの様々な材料の任意のもの又はそのすべてを使用できる。ある用途では、製造される基板又は物品の最終的な用途に依存して、多様なIII-V族、II-VI族及びIV族の半導体を活用できる。一般に、このような半導体ナノワイヤは、例えば上記US-2003-0089899-A1に記載されている。特定の好ましい態様では、ナノワイヤは、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、ダイヤモンド、P、B-C、B-P(BP6)、B-Si、Si-C、Si-Ge、Si-Sn及びGe-Sn、SiC、BN/BP/BAs、AlN/AlP/AlAs/AlSb、GaN/GaP/GaAs/GaSb、InN/InP/InAs/InSb、BN/BP/BAs、AlN/AlP/AlAs/AlSb、GaN/GaP/GaAs/GaSb、InN/InP/InAs/InSb、ZnO/ZnS/ZnSe/ZnTe、CdS/CdSe/CdTe、HgS/HgSe/HgTe、BeS/BeSe/BeTe/MgS/MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、AgF、AgCl、AgBr、AgI、BeSiN2、CaCN2、ZnGeP2、CdSnAs2、ZnSnSb2、CuGeP3、CuSi23、(Cu、Ag)(Al、Ga、In、Tl、Fe)(S、Se、Te)2、Si34、Ge34、Al23、(Al、Ga、In)2(S、Se、Te)3、Al2CO、及び2種以上のこれらの半導体の適当な組み合わせからなる群から選択される。
【0028】
半導体ナノファイバー、特に電気的又は電子的用途において使用する半導体ナノファイバーの場合には、ナノファイバーは、周期表第III族のp型ドーパント;周期表第V族のn型ドーパント;B、Al及びInからなる群から選択されたp型ドーパント;P、As及びSbからなる群から選択されたn型ドーパント;周期表第II族のp型ドーパント;Mg、Zn、Cd及びHgからなる群から選択されたp型ドーパント;周期表第IV族のp型ドーパント;C及びSiからなる群から選択されたp型ドーパント;Si、Ge、Sn、S、Se及びTeからなる群から選択されたn型ドーパント;からなる群から選択されたドーパントを適宜含むことができる。
【0029】
場合によっては、例えば半透性包帯、衣類、濾過又はその他の用途において自己殺菌能力を有するナノファイバーを利用するのが望ましい。この場合には、ナノファイバーは例えばTiO2から製造でき、これはUV光にさらされると有機材料を酸化して自己清浄機能を示す(例えば、あらゆる目的でその全体をここで援用する米国特許出願第60/468,390号、2003年5月6日出願を参照のこと)。
【0030】
加えて、このナノファイバーは、単結晶構造を含めて、それらの組成物において同質としてもよく、又は異なる材料からなるヘテロ構造、(例えば、長さに対して組成が変化する長手方向のヘテロ構造、又は断面又は直径に対して組成が変化する同軸ヘテロ構造)で構成し得る。このような同軸及び長手方向ヘテロ構造のナノワイヤは、例えば、公開された国際特許出願WO02/080280(あらゆる目的のためにここで援用する)に詳細に記載されている。
【0031】
本発明の物品のナノワイヤ部分は、その場で、例えば多孔性基板の所望の表面上に合成されるのが好ましい。例えば、好ましい態様では、無機半導体又は半導体酸化物のナノファイバーは、上記コロイド触媒に基づいたVLS合成方法を用いて多孔性基板の表面上に直接成長させる。この合成技術によると、コロイド触媒は多孔性基板の所望の表面(場合によっては多孔性基板の全体表面を含み得る)上にデポジットする。次に、コロイド触媒を含んだ多孔性基板に対して、合成プロセスを行い、多孔性基板の表面に取り付けられたナノファイバーを生成する。他の合成方法としては、多孔性基板の表面上にデポジットした薄い触媒フィルム(例えば50nm)の使用が挙げられる。次にVLSプロセスの熱がフィルムを溶かして触媒の小滴を形成し、これがナノファイバーを形成する。一般に、ファイバーの直径の均一性が最終的な用途にとってあまり重要でない場合には、この後者の方法を用いることができる。一般に、触媒は金属、すなわち金を含み、基板の表面上に電気メッキ又は蒸着させるか、又は他の公知の任意の金属デポジション技術(例えば、スパッタリングなど)でデポジットさせることができる。コロイド・デポジションの場合には、一般にコロイドは、コロイドが表面に固着するように、基板表面の最初の処理によりデポジットさせる。このような処理としては、上記詳細に述べたもの、すなわちポリリシン処理などが挙げられる。次に、処理した表面を有する基板をコロイド懸濁液に浸す。
【0032】
別法として、ナノファイバーは、別の場所で合成し、上述したデポジション方法を用いて多孔性基板の所望の表面上にデポジットさせてもよい。例えば、ナノファイバーは、公知の任意の方法、例えば上述した方法を用いて調製し、その合成場所から採取してもよい。次に、自立したナノファイバーを多孔性基板の関連の表面上にデポジットさせる。このデポジションは単に多孔性基板を該ナノファイバーの懸濁液に浸すことを含んでもよいし、又はファイバーを取り付けるために表面又は表面の部分を機能的にするために、多孔性基板の全部又は一部を前処理することを更に含んでもよい。その他の種々のデポジション方法が、例えば米国特許出願第10/673,092号(2003年9月25日出願)及び米国特許出願第10/405,992号(2003年4月1日出願)に記載されており、その開示内容すべてをあらゆる目的のためにその全体をここで援用する。
【0033】
ナノファイバーを主に多孔性基板の表面の内壁部分に取り付けたい場合には、このデポジションは、ナノファイバーをその場所で成長させるか、又はナノファイバーをその場所に選択的にデポジットさせることにより実行できる。現場で成長させるナノファイバーの場合、これはコロイドをデポジットさせる前に基板(例えばレジスト)の全外面上に別の材料層をデポジットさせることにより実行できる。コロイドに浸した後に、レジスト層を発達させ除去して、実質的に基板の内壁面上にのみコロイドをデポジットさせた基板を得ることもできる。
【0034】
図1及び2は本発明による基板を概略的に示す。特に、図1は本発明の多孔性ナノワイヤ支持基板の概略図を示す。図1A及び1Bには、多孔性基板102が描かれている。例示するため、多孔性基板としてメッシュ又はスクリーンが用いられているが、この用途では繊維マットも有用である。図1Bに示されているように、開口部又は細孔の内壁部分106に少なくとも部分的に配置され、細孔の空隙領域108中に延びたナノファイバー104が付与されており、この空隙領域108は、材料全体を貫通する開口又は通路を生成しており、この開口又は通路は、下に存在する基板自体により与えられる開口よりも幾分限定的又は狭い。図1に示されるように、ナノファイバー104はまた、メッシュの他の表面部分(全体表面)にも配置される。
【0035】
図2A及び2Bは細孔を形成する開口部の内壁部分にのみ主にナノファイバーが配置される場合を概略的に示す。図示されているように、穴あき基板202が基礎的な多孔性基板を形成する。複数の開口部208が、例えばパンチング、エッチング又はその他の公知の製造方法により基板202を貫通するように作られる。図2Bには、開口部208の拡大図が与えられており、開口部の内壁部分206に取り付けられたナノファイバー204の存在を詳しく示している。図示されているように、一般にナノファイバーは内壁面208から突き出ている。一般にこれは触媒成長CVD方法を用いて現場でナノファイバーを成長させることにより行われ、その後、ファイバーは最初に触媒をデポジットさせた表面から離れて成長する。所定の表面に化学的に取り付くことのできるナノファイバーの懸濁液に多孔性基板を浸すことを含めて、ナノファイバーをこれらの内壁部分にデポジットさせる他の方法を用いることもでき、この方法により、ファイバーは開口部の空隙スペースに突き出るかもしれないし突き出ないかもしれない。
【0036】
図12はシリコン基板の写真を示し、該シリコン基板を貫通するように細孔又は開口部が配置されている。細孔内を含めて基板の表面上にシリコンナノファイバーを成長させた。基板は0.1mm厚のシリコンウェーハであり、該基板を貫通する100μm穴を規則的に間隔を置いて配置した。図12Aは基板のより大きな領域を示し、図12Bは細孔及び基板の表面と共にこれらの表面上のナノファイバーのクローズアップ写真である。
【0037】
別の構成では、合成プロセスとは別の工程において多孔性基板を用いて、ナノファイバーの捕獲表面として多孔性基板を使用することもできる。特に、ナノファイバーは、懸濁液又は自立したナノファイバーの他の集合若しくは集団(例えば分離した個別メンバーの集団)として製造できる。一般に、この自立したナノファイバーは、上述した任意の方法により製造されるが、合成の後に採取工程を含むので、ナノファイバーは成長基板から除去して懸濁流体又は他の媒質中にデポジットさせるか、又は受け取り基板上にデポジットさせるか、さもなければ成長又は合成環境から操作可能な環境(例えば流体懸濁液)中に移すことになる。次に、ナノワイヤの集団を、多孔性基板上にデポジットさせ、マイクロ又はナノ多孔性網を基礎の多孔性基板上に形成するデポジットしたナノファイバーのマットを得る。本発明のこの態様によると、一般に多孔性基板の細孔は、該基板上にデポジットさせるナノファイバーの最大寸法(例えばナノファイバーの長さ)より小さくなるように選択される。例えば、特定の集団のナノファイバーの平均長さが約10μmである場合、一般に基板の細孔はその断面において10μmより小さい(例えば5μm未満、2μm未満、又はそれより小)。ナノファイバーの十分な捕獲を確保するために、一般に多孔性基板の細孔の最大断面は、ナノファイバー集団の平均最大寸法(一般には長さ)の50%未満であり、場合によっては該寸法の20%未満であり、多くの場合、該寸法の10%未満である。
【0038】
次に、随意に、種々のファイバーが互いに接触しているポイントにおいてナノ繊維マットを融解又は架橋(cross-linked)させ、さらに安定的で頑強で潜在的に剛性のファイバー膜を生成する。相互連結されたナノファイバー間の空隙スペースは、ナノ繊維マット多孔性網を形成する。一般にマットの有効細孔サイズは、デポジットさせたナノファイバー集団の層の厚さだけでなくナノファイバー集団の密度にも依存し、ある程度は使用されるナノファイバーの幅にも依存する。これらのパラメータのすべては、所望の有効空隙率を有するマットを得るために容易に変えられる。
【0039】
図9A及び9Bは本発明の特定の態様を示す架橋したナノ繊維マットの電子顕微鏡写真である。図9Aは、無機材料(例えば硅素)の蒸着により架橋させた半導体ナノファイバーの集団を示す。特に、シリコンナノワイヤの集団は、従来の合成方法により調製した(例えば、シリコンナノワイヤを480℃で金コロイド触媒からSiH4分圧1トール、全圧30トールの下で40分間成長させた)。プロセスガスを排出することにより成長を終了させた後、基板の温度を30トールHeの下で520℃まで上昇させた。いったんその温度に達したらプロセスガス(SiH4)を再びスイッチオンし、得られたシリコン・デポジションによって隣接した又は接触したナノワイヤを架橋させた。デポジション時間は10分であった。この技術を用いることにより、別々に採取及びデポジットさせたナノファイバーを同様に架橋させ得ることが分かる。
【0040】
一方、図9Bのナノファイバーファイバーは、ナノファイバーを少なくとも部分的にコーティング又は覆って共に連結するポリマー・デポジション方法を用いて連結させた。特に、PVDFポリマーをアセトン中にナノワイヤと共に懸濁させ音波処理した。次にアセトンを蒸発させ、カプセル化又は架橋させたナノワイヤ又はナノファイバーのマットを得た。各場合において見られるように、シリコンナノファイバー又はナノワイヤの網は、種々のナノファイバー交点にて架橋を示している。また、図示されているように、織り合わされたナノファイバーにより作られた細孔は、ナノファイバー間の空隙スペースにより形成される。
【0041】
上述したように、本発明の別の態様は、ナノファイバーが互いに重なり合ってマット、好ましくは密集したナノ繊維マットを形成するように、受け取り基板又は支持基板上にナノワイヤを単にデポジットさせることにより実現できる。一般に、この方法は、ナノファイバーが多孔性支持基板の上面に捕獲される一方で、ナノファイバーが元々入れられていた媒質は細孔を通過できるように多孔性支持基板を使用することにより、すなわち本質的には該基板によりナノファイバーを濾過して基板の表面上にナノファイバーを濃密にデポジットさせることにより簡単化される。次に、得られた繊維マットを処理して、ファイバーが互いに接触するか又は十分に近接しているポイントにてファイバーを架橋させる。
【0042】
このマット形成方法を図10に概略的に示す。特に、ナノファイバーを液体、気体中に懸濁し得る場合には、ナノファイバー集団1000は懸濁液1002として与えられ、又は単に自由に流れる集団又は粉末として与えられる。次にナノファイバー集団を多孔性基板1004上にデポジット又は注入する。次にナノファイバー集団1000を多孔性基板1104の上面1006上に保持して、そのポイントにて基板1004により支持されたナノファイバーのオーバーレイマット1008を形成させる。追加のナノファイバーを基板にデポジットさせてマット1008に加える。上述したように、ナノファイバーが懸濁した媒質は多孔性基板1004の細孔1010を自由に通過するので、ナノファイバーを多孔性基板1004の上面1006に濃密に詰めることができる。
【0043】
いったんナノ繊維マット1008が所望の厚さとファイバー密度になれば、該マットは、その支持用マクロ多孔性基板上で、例えばフィルター膜又は他の半透性層として容易に使用し得る。しかし、好ましい態様では、ナノ繊維マットを処理し(矢印1014で示すように)それぞれの接触ポイントでナノファイバーを架橋し、拡大図に図示されているようにマットのナノファイバー間に結合1012を形成する。架橋したナノファイバーの使用は、超大表面積用途についてこれまで記載されてきた(例えば、あらゆる目的のためにその全体をここで援用する共有の米国特許出願第10/840,794号(2004年5月5日出願)を参照のこと)。上述したように、架橋は、熱融解、化学的表面改質/架橋、カプセル化又はコーティングを含めて多くの手段によって実現できる。熱融解方法は、ポリマーナノファイバーは金属又は無機半導体ナノファイバーよりも相当低い温度で融解するので、ナノファイバーの構成に依存して大きく変わり得る。
【0044】
ナノファイバーはまた、下に存在するナノファイバーを架橋するために化学的架橋を形成しうる表面化学基を含むこともできる。例えばポリアクリルアミドやポリエチレングリコール群などのポリマー材料は、例えば公知のシラン及び/又はPEG化(pegylation)化学作用により、ナノファイバーの表面に容易に結合させることができる。次に公知のポリマー架橋技術を用いてナノファイバーを架橋させる。同様に、エポキシド、アクリレート又はその他の容易に入手可能な反応性群(groups)をナノファイバーの表面上に付与することもでき、それにより、熱硬化、光硬化(例えばUV)、又は隣接して接触したナノファイバー間での他の化学的な相互作用及び結合を可能にして架橋を行なわせる。
【0045】
別の態様では、種々のナノファイバーを所定の位置に固定するポリマーコーティング又はカプセル化技術を用いてナノ繊維マットを架橋できる。例えば、蒸着技術を用いて薄いポリマー層をマットのナノファイバー部分の上に蒸着させ、効率的にナノファイバーを所定の位置に固定化できる。このようなポリマーの例としては、例えば、PTFE、PVDF、パリレンなどが挙げられる。随意に、液体デポジション又は現場重合及び/又は例えば上述した架橋技術を用いて、その他の多様なポリマー材料を使用できる。得られる材料マットの可撓性の観点から、ポリマー架橋は熱的及び/又は化学的架橋に比べて一定の利点を有することが分かる。
【0046】
いったんナノ繊維マットが架橋されると、下に存在するマクロ多孔性基板(例えば裏材として)と共に使用してもよいし、又は基板から分離して独立のナノファイバー膜、例えば膜1016を得ることもできる。容易に分かるように、ドラム又はベルトフィルター技術を含めて従来利用可能な方法を用いてより大きな面積のナノファイバー層を作ることができる。このドラム又はベルトフィルター技術では、大面積の連続マクロ多孔性基板層を、例えば、ベルト中又はドラム表面として用いてナノファイバー層を保持し、これらの層を架橋させるか、もしくはここで説明したように処理する。これらの方法は、例えば衣類、アウトドア織物(例えばテント)及びその他の大量の用途で使用すべく非常に大量のファイバー層材料を提供するために、連続的又は大面積バッチモード動作で構成し得る。
【0047】
III.用途
このなかでそれとなく述べたように、ナノファイバーを基板表面の部分に取り付けた本発明の多孔性基板は、該材料の様々な特に興味深い特性を利用する無数の用途をもつ。特定の用途では、ナノワイヤの存在により、改善された特性が多孔性材料に付与される。別の用途では、多孔性基板とナノワイヤとの組み合わせにより、実質的に新しい特性及び有用性を備えた材料が提供される。
【0048】
A.半透性障壁
第1の特に好ましい用途では、本発明の多孔性基板は半透性障壁として有用である。一般に半透性障壁にはまた、透過性のレベル、コストなどに依存して様々な異なる用途がある。例えば、この障壁は気体は透過させるが液体は透過させず、又は空気は透過させるが粒子状物質は透過させないようにできる。さらにまた、この半透性障壁はそれらの用途に防腐性又は抗菌特性を付与し得る。
【0049】
1.濾過
最も簡単な態様では、気体又は液体を粒子状物質から分離するための濾過手段として半透性障壁を使用する。例えば、消費者の単純な濾過ニーズ(例えば家庭用暖炉、空調装置、空気清浄機)からより厳しい濾過ニーズ(例えば工業使用のHEPA濾過、防護装置用の有害物濾過、クリーンルーム用途、自動車用途など)まで例えば空気濾過に利用可能な広範囲の様々な濾過オプションが存在する。液体用途では、このようなフィルターにより、浄水、工業機械又は消費者の機械(例えば自動車など)の燃料又は潤滑剤についての粒子分離などが行なえる。
【0050】
本発明の濾過用途によると、製造する濾過手段の土台として多孔性基板を用いる。次に、表面全体又は実質的に内面にのみナノファイバーを付与して下に存在する多孔性土台の濾過能力を更に高める。特に、濾過手段の改善を要する重要な領域の一つは、フィルターの故障/目詰まりを早め、より大きなエネルギーを必要とする等の状況を引き起こし得る圧力低下を実質的に強めることなく、濾過効率の増大(例えば細孔サイズの縮小又はフィルターの全体能力/寿命の増大)ができることである。
【0051】
本発明により得られた改善は、フィルターでの圧力低下を実質的に増大させることなく、フィルターの細孔サイズを効果的に縮小することを含む。特に、本発明は、有効細孔サイズを変更することにより更なる濾過を行なうために基板の細孔内にナノファイバーを配置した多孔性基板を提供する。ナノファイバーはその極度に小さいサイズゆえに、これらの用途に特に有用である。というのは、ナノファイバーは、細孔内に配置される材料の体積を実質的に増すことなく、細孔内の表面積を実質的に増大させることができ、これにより、フィルター手段を通る流れを減少させることなく濾過効率が高まるからである。次に多孔性基板に流体又は気体を通過させて搬送液体又は気体から粒子材料を分離する。
【0052】
例えばフィルターマスク、ガス管路など用の濾過カートリッジの一例を図3A及び3Bに示す。図3Aに図示されているように、フィルターカートリッジ300は主ハウジング302を備え、該ハウジング内にフィルター層304を配置する。一般に、フィルター層を構造的に支持するために、フィルター層の低圧側にフィルターサポート306も含む。一般に、フィルター層は入口又は高圧側308と低圧又は出口側310とを含む。気体又は液体は、フィルターの高圧又は入口側から低圧又は出口側に送られることにより、カートリッジで濾過される。よって、フィルターカートリッジは、気体又は流体をフィルター層の入口側に送って濾過するための入口通路312と、フィルター層304で濾過された気体又は流体を送るための出口通路314とを備える。図3Bは、図3Aに示す特定のフィルターカートリッジの出口側の端面図である。
【0053】
上述したように、濾過カートリッジは、最終的な用途に依存してより大きなシステムに組み込むことができる。例えば、空気フィルターは、例えば工業用途(すなわちクリーンルーム)で清浄化された空気を提供するために、暖房及び空調又は他の環境制御のシステムに組み込むことができる。本発明の濾過カートリッジは、水、燃料又は薬品の濾過用途でも流体濾過システムに随意に組み込むことができる。
【0054】
濾過用途によると、フィルター手段の有効細孔サイズは、例えば粗い粒子濾過(例えば、有効細孔サイズが1μm、10μm又はそれより大)から抗菌濾過(例えば、有効細孔サイズが0.2μm未満、例えば下は20nmまで又はそれより小)まで、用途に依存して変わり得る。この中のどこかでそれとなく述べたように、「有効細孔サイズ」なる表現は、基板を通る個々の通路のサイズを必ずしも示すわけではなく、その代わりに、流体、気体又は粒子が通過できるか又は通過が阻まれ得る連続的な通路の断面寸法を意味してもよい。加えて、所与の通路の「有効細孔サイズ」は連続的な通路の絶対寸法を必ずしも意味するものではなく、代わりに、通路を通過するのが有効に阻まれる粒子のサイズを意味してもよい。一般に、このように変わる細孔サイズは、下に存在する基板のより大きな開口部内に配置されたナノワイヤ密度、ナノファイバーの直径及び長さ、並びに結果としてある程度はまずその開口部のサイズの関数となる。
【0055】
同様に、一般に材料はそれがさらされる条件に耐えるように選択されるので、濾過手段の組成又は構成は、ナノファイバー及び下に存在する基板の観点から、材料を用いる用途に依存し得る。この条件としては、極端な温度、アルカリ度又は酸性度、高塩含有量などが挙げられる。
【0056】
2.通気性湿気障壁
関連の態様では、基板は、液体は透過させずに気体(例えば空気)を透過するように構成する。例えば、このような障壁は、衣類及び医療の用途のための通気性湿気障壁として特に有用であり、水蒸気、酸素及びその他の気体は障壁を自由に通過できるが、液体の通過は阻止される。本発明によると、これは、多孔性基板を貫通するよう配置された開口部内にナノファイバーを付与することにより実現する。しかし、本発明の他の態様とは対照的に、湿気障壁の用途でのナノファイバーは、疎水性を増すように選択又は処理される。疎水性を増すナノファイバー表面の処理については、米国特許出願第60/466,229号(2003年4月28日出願)に詳細に記載されており、あらゆる目的のためにその全体をここで援用する。特に、ナノファイバー及び/又は基板表面は、疎水性化学物質部分をそれらの表面に取り付けて材料の疎水性を増すために、誘導体化し得る。当業者は、例えばシリカに基づいた基板を処理するためのシラン化学作用などを含めて、疎水性化学物質部分と基板との結合については十分に精通している。このように超疎水性のナノファイバー表面を多孔性土台基板上に与えることにより、液体(例えば液体の水又はその他の水溶液)の通過は阻止しつつ、空気、水蒸気又はその他の気体は通過させることができる。一般的には、このような障壁は実質的に湿気は透過させず、例えば、周囲条件下でこの表面に接触する湿気の大部分の通過を阻止する。
【0057】
この湿気透過性障壁は、内部で発生した湿気は除去するが、液体の水は入ることができないことが望まれるアウトドア用具(例えば衣類、シェルターなど)において特に有用である。図4A及び4Bは、層状生地402(図4Bに分解図で図示)から構成された層状生地製品、例えばコート400を概略的に示す。図示されているように、多孔性ナノファイバー支持基板材料408の層が、外側で風と寒さから防護し内側で着用者の皮膚又は衣類に対して心地よさを与える他の材料の層(例えば、ナイロン製の外殻404と綿又はポリプロピレン製の織物裏地406)間に設けられる。
【0058】
3.包帯
別の好ましい態様では、これらの湿気透過性障壁は、液体の水や他の有害な力/擦過力などが創傷部分に接触することは阻止する一方で、酸素は創傷部分に届き、気体及び水蒸気は創傷部分から逃げることができるので、包帯又は創傷被覆材として有用である。半透性障壁としてのそれらの利点に加えて、ナノファイバーで覆われた表面はまた、包帯を適所に維持する粘着力を与えることができ、例えば、包帯を創傷部分の周りにてそれ自身又は皮膚に付着させることができる。乾式接着剤又は高摩擦材料としてのナノファイバー表面の使用については、米国特許出願第10/661,381号(2003年9月12日出願)に詳細に記載されており、あらゆる目的のためにその全体をここで援用する。加えて、このようなナノファイバーのコーティングは、創傷部分での感染防止を助けるために抗菌材料(例えば、ZnOなど)を含むことができる。
【0059】
図5は上記説明した粘着性で半透過性の防湿包帯を概略的に示す。図示されているように、包帯500は、疎水性障壁(例えば湿気障壁〔基板片502上でハッチングにより表す〕)を提供するために適当に処理されたナノファイバーを有する本発明の柔軟な多孔性基板片502(例えば、織物又は軟質メッシュ材料、すなわち、ポリマー又は布地メッシュ)を含む。基板片502は、通気性湿気不透過性カバー及び接着性片の両方として機能する。包帯で覆われた創傷を保護するために、基板片502の一方の側の一部分に保護パッド504が設けられる。創傷に用いられる場合、保護パッドが創傷にかぶせられて擦れたり他と接触するのを阻止する一方、基板片の部分506及び508は、創傷部分に隣接した表面組織に対する粘着力を与える(又は負傷した外肢の周りを完全に包む場合には、基板片のもう一方の端部の対向面に対する粘着力を与える〔例えば、領域506が領域508の裏面に付着する〕)。
【0060】
B.例えば電気的インターフェース用の高接触表面
既にそれとなく述べたように、一般に上記の用途では、多孔性基板の改善された特性(例えば、濾過のための空隙率、湿気反発などの改善)を提供するために多孔性基板上に配置されたナノファイバーを使用する。しかし、いくつかの用途では、ナノファイバーを多孔性基板に付与すると、単にその空隙率のために用いられるのではなく、下に存在する大きな表面積の基板に連結された小寸法材料の相乗作用的な構造的特徴によって改善される他の特性のために用いられるユニークな材料が提供される。
【0061】
特に、ナノファイバーを多孔性基板に付与すると、そのより大きな表面積の結果として、突出領域の1平方センチメートル当たりのナノファイバーの詰め込みレベルがより高くなる。特に、結合させたナノファイバー密集マットを多孔性基板上に設けることができ、その密度レベルは、平らな表面上では容易に達成できないものである。ナノファイバーのこのより大きな表面領域もまた、下に存在する基板の開口部又は細孔を介して容易にアクセスできる。
【0062】
ナノファイバー密度及び/又はより大きな表面積の増大に加えて、多孔性基板(例えばメッシュ及び繊維マット)は、より剛性で固体の基板(例えば、シリコンウェーハ、金属プレートなど)と比較すると柔軟な傾向にある。加えて、基板の相対的な空隙率に依存して、物品全体は、例えば窓スクリーンのように部分的又は実質的に半透明又は透明であることにより利点をもち得る。
【0063】
C.大表面積/高密度ファイバー用途
上述した特性とは別に、多孔性基板はまた、ナノファイバーを維持し、取り扱い、保存し、又は使用するための軽量で高密度の格子を提供できる。ナノファイバーはこの格子から収穫することができ、又は格子の部分は、もっとナノファイバーに固有の用途(例えば、半導体要素、構造的又は電気的な強化用の複合充填材料、〔例えば分離用の〕大表面積マトリックスなどとして)においてその全体が使用できる。
【0064】
さらに別の用途では、ナノワイヤを基板上に配置した多孔性基板は、それに取り付けられたナノファイバー(又はこの場合には、具体的にはナノワイヤ)に対する電気的な一体化可能性を与え得る。具体的には、導電性の多孔性基板の使用により、所与の用途に必要なナノワイヤに対する電気的な連結の少なくとも一部が提供され得る。例えば、金属又は他の導電性又は半導体メッシュに連結された半導体ナノワイヤは、既に部分的に電気回路に一体化されており、例えば、このメッシュは全体のデバイスにおいて電極(例えばソース又はドレイン)になる。
【0065】
以下の記載には、単に説明のために上述した特性から恩恵を受けるいくつかのこのような特定の用途例が含まれる。しかし、当業者が上記利点を理解すれば、本発明の基板及び物品について非常に多くの特定の使用用途が当業者に容易に明らかとなるであろうから、以下の説明は限定として見るべきでなく、これらの用途は決して排除されない。
【0066】
第1の代表的な用途では、本発明の基板はダイオード構成における1つの電極として用いられる。特に、導電性メッシュは、ナノワイヤが基板の表面(例えば、全体表面)に取り付けられた土台の多孔性基板として用いられる。メッシュの組成は、ナノワイヤ部分における主キャリヤの伝導を促進する仕事関数を有するように選択される。その部品として、ナノワイヤ部分は、ダイオード回路の2分の1を提供するよう選択され、例えば、pドープ型ナノワイヤを含み得る。このアーキテクチャーによると、ナノワイヤで覆われた多孔性基板は、ダイオード回路の一部として機能する。ダイオード回路のもう一方の部分は、例えば、土台の基板にnドープ型ナノワイヤと適当な電極組成を与えることによりもう一方のキャリア(例えば正孔)を伝導させるように材料を選択することを除いて、従来の半導体基板として、又は第1のものの鏡像として与えることができる。それから、これら2つの基板を合わせ、該表面でナノワイヤをインターフェースさせ、機能するダイオードを提供する。ナノワイヤ間の適切な接触を保証するために、導電性要素、アニール工程などを含めて、追加の要素を用いることもできる。
【0067】
別の代表的な用途では、大表面積ナノワイヤ被覆基板は、(例えば電気的又は非電気的な)他の要素(人間の組織など)とインターフェースする電極として使用できる(人間の組織に電気的な刺激を与えるため)。例として、一般にペースメーカーの電極は、大きな表面積を有すること、すなわち、刺激を与えている組織にもっと十分に接触することから恩恵を受ける。これに関連して、例えばバイオ結合(bioincorporation)を容易にするためにナノファイバー被覆物品が組織格子として用いられる場合には、この組織に栄養素などがアクセスするのを阻止することなく粘着ポイントを提供する上で、より大きな表面積とより大きな空隙率が非常に有利である。具体的には、米国特許出願第60/468,390号(2003年5月6日出願)に記載されているように、医療インプラント上のナノファイバー被覆表面により、「非蛇行性経路」強化表面領域が与えられ、これが改善された組織粘着力とバイオ結合を与え得る。このようなナノファイバー表面を多孔性土台基板上に付与することにより、これらの特性がさらに改善することが期待される。
【0068】
特定の用途では、このようなダイオード構成は、光活性要素(例えば、光起電性又はフォトダイオードデバイス)として用いられる。部分的又は実質的に半透明の多孔性基板を用いると、光が電極コンポーネントを通過して半導体ナノワイヤ上に当たることで、対向するナノワイヤのヘテロ接合での電荷分離を生じさせる上でのこの用途を容易にする。対向する土台基板の材料の選択は、従来の光起電デバイスで用いられるのと同じ基準に基づいてもよい。例えば、一方の土台基板メッシュはアルミニウムから構成でき、他方は異なる仕事関数を有する別の金属(例えば、ITO又は同様の導電性材料)から構成できる。
【0069】
上述したナノ複合材料の光電池は、電極として機能する2つの導電性層の間に挟まれたナノ複合材料の活性層を用いた。一般に、上部電極は活性層上の透明な導電性コーティング、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)を含む。これらのナノ複合材料の光起電デバイスは、最初の電荷分離が生じる第1コンポーネントを用いた。一般にこれは、光に当たると励起が起こるナノ結晶を用いた。一般に、このナノ結晶コンポーネントは、一方の電荷キャリヤをもう一方(例えば、電子)よりもよく伝導する。一般にナノ結晶は、ナノ結晶コンポーネントから離れてもう一方の電荷キャリヤ(例えば正孔)を伝導する別の材料のマトリックス中に配置される。これら2つのキャリヤを反対電極に伝導することにより、電位が発生する。一般に、正孔伝導コンポーネントは、有機半導体ポリマー、例えば、ポリ-3-ヘキシルチオフェン(P3HT)を含むが、正孔伝導コンポーネントは、異なる組成から成る別のナノ結晶とし得る。ナノ複合材料の光起電デバイスについての全体アーキテクチャーは、例えば、米国特許出願第10/656,802号(2003年9月4日出願)に詳細に記載されている。
【0070】
本発明によると、光起電デバイス600の全体は、半導体ナノワイヤをデポジットさせた1つ(図6Aに図示)又は2つ(図6Bに図示)の多孔性基板602及び604を含む。一般に第1の多孔性基板602は、システムの1つの電極(例えば、下部電極)として機能する第1の導電性メッシュ602a又は他の多孔性材料(上記で説明)を含み、これは、その全体表面に取り付けられた第1の組成から成るナノワイヤ606の第1の集団を含む。図6Aに示された第1の態様では、第1の多孔性基板602とその関連のナノファイバーは、電荷分離を行なうためにナノワイヤ集団606からのII型のバンドギャップオフセットを有する導電性マトリックス材料608でコーティングされている。次に透明電極610が、マトリックス層608上に付与される。
【0071】
代表的な第2の態様では、図6Aの透明な上部電極610が、第2の多孔性基板604で置き換えられており、この第2の多孔性基板604は、導電性メッシュ604aから製造されるが、電荷分離を容易にするために第1の多孔性基板602の仕事関数とは異なる仕事関数を有する。ナノワイヤ612の第2の集団が与えられて第2の多孔性基板604に取り付けられる。第1及び第2のナノワイヤ集団606及び612のそれぞれの組成は、電荷分離及び差動伝導を促進すべくII型バンドギャップエネルギーのオフセットを与えるように選択される。次に、夫々のナノワイヤ集団606及び612が電気的に連通してこれら2層間の電荷分離が可能となるように、第1と第2の多孔性基板(602及び604)は合わせられる。上述したように、場合によっては、対向するナノワイヤ集団は、このような電気的な連通が可能なように更に処理(例えば、熱アニーリングなどを含めて)できる。二重半導体システム(例えば、図6Bに図示)を使用すると、活性層内での有機種(例えば、導電性ポリマーなど)の必要性が除かれ、また、キャリヤを夫々の電極に伝送する速度を増すことにより、電荷分離の効率が向上することで、活性層内での電荷の再結合が防止されることが期待される。
【0072】
容易に分かるように、上述した光起電デバイスは、主に、本発明の基板を特定の電子的又は光電的な用途に適用可能なことを説明するためのものである。当業者なら、このような基板が有用な多様な他の電子デバイスを思いつくであろう。
【0073】
さらに別の代表的な用途では、多孔性ナノファイバー又はナノワイヤ被覆基板が、土台のメッシュを含めて複合マトリックスとして使用するためにマトリックスコンポーネント、例えば、ポリマーマトリックス中に入れられる。この用途は、複合マトリックスの機能を改善するためにナノファイバーがバルク材料として用いられる場合に特に有用である。このような改善としては、例えば、複合材料が誘電材料として用いられるか又は光電気的用途(例えば、光電池)においてナノファイバーを部分的に方向付けるために用いられる場合の電気的な改善、ナノファイバーの存在がマトリックスにユニークな構造上の特徴(例えば、引張強さ、弾性など)を与える場合の構造上の改善などが挙げられる。
【0074】
図7は本発明の材料を組み込んだ複合マトリックスを概略的に示す。図示されているように、複合材料702のフィルムは、ナノファイバー708を表面710(細孔又は開口部710を含める)に配置した多孔性基板706をマトリックス材料(例えば、ポリマー、セラミック、ガラスなど)内に備える。一般に多孔性基板をマトリックス材料と浸して又は含浸してフィルム702を得る。上述したように、次にこれらの複合フィルムは、種々の用途で(例えば、導電性フィルム、誘電フィルムなどとして)用いられる。
【0075】
図8A及び8Bには、分離用途(例えば、クロマトグラフィー)のために大きな表面積マトリックスを得るために多孔性基板を用いることが概略的に示されている。特に、図8Aに図示されているように、ナノファイバーをその表面に取り付けた多孔性基板802が提供される。上述したように、この多孔性基板は、多くの様々な形態にて提供できる。例えば、基板802は、ファイバーを取り付け又は成長させる前又は後に円筒状に巻き付けたメッシュ又はスクリーンから成り得る。別法として、この基板は、固体の焼結又はフリットの材料(例えば、金属又はガラス)から成り得る。さらに別の態様では、基板は、材料自体を成形するか又は材料を円筒形(又は他の形状の)ハウジングに詰め込むことにより所望の形状(例えば、図示した円筒802)に成形される繊維材料(例えば、ガラスウール、織物など)から成り得る。ここでも、この成形は、多孔性材料の表面にナノファイバーを成長させるか又は取り付ける前又は後に行なうことができる。
【0076】
次に基板802をカラム804中に配置する。このカラム804は、入口806と出口808を備え、これらを通して分離操作中にカラムに流体を流し込み、カラムから流体を流し出す。図8Bに図示されているように、クロマトグラフ分離を実行するために、カラム804は適当な液体取り扱い機器(例えば、傾斜メーカー810、ポンプ812、検出器814、フラクションコレクター816など)に連結される。
【0077】
明らかなように、本発明の基板材料を組み込む分離マトリックスは、上述したように、種々の異なる基板構造及び形態のうち任意のものを包含し、任意数の種々の異なるタイプのナノファイバーを用いることができる。一般にこのような構造、形態及び組成は、それらを用いる特定の用途に依存して選択され、一般に当業者には理解されよう。
【0078】
D.複合材料用の格子の補強
本発明のさらに別の態様では、本発明の多孔性のナノファイバー支持基板が、複合材料の格子を形成して格子の一体化を強化し、複合材料全体の構造的な特徴を改善する。特に、多くの複合材料が、別の材料(例えば、エポキシ又は他のポリマー、セラミック、ガラスなど)を支持する土台の構造的完全性を与える格子を含む。例えば、エポキシ樹脂中に入れられたガラス繊維布地の複合材、又は他のポリマーが、例えば、家具、サーフボード及び他の支持商品、自動ボディ修復などを含めて種々の異なる用途でごく普通に用いられる。同様に、一般に炭素繊維の布地又は基板はまた、所望の形状に成形される前にポリマー又はエポキシ樹脂中に入れられる。結局、一般にこれらの複合材料は、たいていの他の材料よりも優れた構造特性(例えば、比強度)を有する。特定の動作理論に縛られることなく、覆う材料と格子材料との相互作用はこれらの構造特性において非常に重要であると考えられる。具体的には、複合材料の2つのコンポーネントの相互作用を強化することにより、例えば、一方を他方に一体化することを改善することにより、最終的な複合材料の強度が向上すると考えられる。本発明のナノファイバー支持多孔性基板は、多孔性基板のみの表面積と比べて極度に大きな表面積により恩恵を受けるので、周りを覆う材料(例えば、エポキシ)との相互作用性が実質的により高くなるものと期待される。よって、本発明の別の態様として、ナノファイバーを基板上にデポジットさせた多孔性基板を複合材料の格子材料として使用することが挙げられる。
【0079】
本発明のこの態様の概略の説明を図11に示す。図示されているように、表面にナノファイバー1102を備えた多孔性基板1100をマトリックス材料(例えば、硬化ポリマー1104)に浸して複合材料1106を得る。この複合材料1106を種々の異なる製造材料又は物品に製造できる。
【0080】
上述したように、一般に種々の織物が、最終的な材料の支持格子として複合マトリックスに組み込まれる。例えば、一般に炭素繊維複合材は、織られた炭素繊維材料を用い、これは次に樹脂(例えば、エポキシ)又は他のポリマー材料を挿入(intercalated)させる。次のこの複合材料は所望の形状に成形し、硬化可能にする。別法として、この所望の形状は、硬化後に、例えば、硬化した材料を研磨又は彫刻することにより形成してもよい。同様に、織られたガラス織物は、該織物に適当なマトリックス(例えば、エポキシなど)を挿入することにより、ガラス繊維複合材料で用いられる。
【0081】
本発明のこの状況では、ナノファイバーを基板上にデポジットさせた又は表面に取り付けた多孔性基板が、得られた複合材の格子材料として用いられる。ナノ繊維材料には、材料内の空隙を実質的に又は少なくとも部分的に満たすマトリックス材料が挿入される。極度に大きな表面積ゆえに、マトリックスは格子材料に非常によく結合し一体化し、それにより、例えばナノファイバー表面のない単に多孔性基板のみに基づいたものよりも強い複合材料が得られる。一般にこれらの複合材料は、例えば軽量加工部品(例えば、自転車、テニスラケット、自動車の部品、航空機部品、衛星及びその他の地球外の機器及び部品など)で高い比強度が所望される多くの用途において用いられる。
【0082】
事実上は、例えば上述した任意の多孔性基板材料を多くの用途で支持格子として用いることができるが、柔軟な格子材料は特定の用途に所望の形状に後で適合させることができるので(例えばモールド又は彫刻により)、柔軟な格子材料がより望ましい。少なくとも第1の好ましい態様として、柔軟なメッシュ材料が支持格子として用いられる。この材料としては、多孔性ポリマーシート、多孔性金属板、柔軟な多孔性ガラス板(例えば、焼結ガラス板)などが挙げられる。別の好ましい態様では、例えば、織られたポリマー織物(すなわち、ポリエステル、ナイロン、ポリエーテルケトン、ポリアラミドなど)、織られたガラス織物(すなわち、ガラス繊維織物、ガラスウールなど)、カーボン又はグラファイトファイバー織物、Kevlar(登録商標)織物、及び金属ファイバー織物(例えば、チタン、ステンレススチール、ニッケル、白金、金など)を含めて、多孔性織布材料が格子として用いられる。一般に当業者なら格子材料として用いる多様な異なる多孔性の柔軟な基板が分かるであろうし、一般に、例えば、軽量及び/又は強化された強度、材料適合性などの最終的な用途のニーズを満たすためには多様に変わり得る。
【0083】
格子材料と同様に、一般に格子への挿入マトリックスとして用いる材料の種類は、材料を用いる用途の性質に依存する。例として、ガラス、セラミックなどを含めて無機材料を該マトリックスとして使用できる。別法として、好ましくは、熱硬化性樹脂(例えばポリエステル、エポキシ、ウレタン及びアクリレート樹脂など)、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマー(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、PFAなど)を含めて、ポリマーマトリックスが用いられる。一般に、これらのマトリックス材料の任意のものをポリマーとして格子基板上にデポジットさせることで、ナノファイバーメッシュの全体にわたって挿入することができる。続いて、マトリックス材料をその場で硬化させる。別法として、ポリマーマトリックスをモノマー溶液として挿入し、その場で重合して所定の位置にて該マトリックスを「硬化」してもよい。さらに別の態様では、例えばナノ繊維マットの架橋について上記説明した気相又は溶剤デポジション・プロセスを用いて、ナノファイバーを支持した多孔性基板上にポリマーマトリックスをデポジットさせてもよい。幅広い種々の用途における様々なあらゆるポリマーとその有用性は、当業者には容易に明らかとなろう。
【0084】
すべての刊行物と特許出願は、それらを具体的に個別に援用することを示したのと同程度にここで援用する。明確さと理解しやすさのために例としてある程度詳しく本発明を説明してきたが、特許請求の範囲に記載の範囲内で一定の変更又は改変を行なうことができるのは明らかである。
【符号の説明】
【0085】
102…多孔性基板
104…ナノファイバー
106…内壁部分
108…空隙領域
202…穴あき基板
204…ナノファイバー
206…内壁部分
208…開口部
300…フィルターカートリッジ
302…主ハウジング
304…フィルター層
306…フィルターサポート
312…入口通路
314…出口通路
400…コート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を貫通する複数の開口部を有し、基板の全体表面が前記複数の開口部の内壁表面を含む前記基板、及び
前記基板の全体表面の少なくとも一部に取り付けられた複数のナノファイバー、
を含む物品。
【請求項2】
前記基板が固体基板からなり、前記複数の開口部が前記固体基板を貫通する複数の細孔からなる請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記基板がシリカを基にしたウェーハからなる請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記基板がセラミックシート又は板からなる請求項2に記載の物品。
【請求項5】
前記基板が細孔付き又は穴あきフィルムからなる請求項2に記載の物品。
【請求項6】
前記基板が金属板からなる請求項2に記載の物品。
【請求項7】
前記基板がメッシュからなる請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記メッシュがポリマーメッシュからなる請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記ポリマーメッシュがポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリアラミドから選択されたポリマーを含む請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記メッシュが金属メッシュからなる請求項7に記載の物品。
【請求項11】
前記金属メッシュがニッケル、チタン、白金、アルミニウム、金、及び鉄から選択された金属を含む請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記基板が織物からなる請求項1に記載の物品。
【請求項13】
前記織物がガラス繊維からなる請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記織物が炭素繊維からなる請求項12に記載の物品。
【請求項15】
前記織物がポリイミド、ポリエーテルケトン、及びポリアラミドから選択されたポリマーを含む請求項12に記載の物品。
【請求項16】
前記基板が繊維マットからなる請求項1に記載の物品。
【請求項17】
前記繊維マットがシリカを基にしたファイバーからなる請求項16に記載の物品。
【請求項18】
前記シリカを基にしたファイバーがガラス及びシリコンから選択される請求項17に記載の物品。
【請求項19】
前記繊維マットが金属ファイバーからなる請求項16に記載の物品。
【請求項20】
前記繊維マットがポリマーファイバーからなる請求項16に記載の物品。
【請求項21】
前記複数の開口部の有効細孔サイズが10μm未満である請求項1に記載の物品。
【請求項22】
前記複数の開口部の有効細孔サイズが1μm未満である請求項1に記載の物品。
【請求項23】
前記複数の開口部の有効細孔サイズが0.5μm未満である請求項1に記載の物品。
【請求項24】
前記複数の開口部の有効細孔サイズが0.2μm未満である請求項1に記載の物品。
【請求項25】
前記複数のナノファイバーが実質的に前記開口部の内壁面にのみ取り付けられる請求項1に記載の物品。
【請求項26】
前記複数のナノファイバーが第IV族、第II-VI族及び第III-V族半導体から選択された半導体材料を含む請求項1に記載の物品。
【請求項27】
前記複数のナノファイバーがシリコンからなる請求項1に記載の物品。
【請求項28】
複数の前記ナノファイバーが金の先端を備える請求項1に記載の物品。
【請求項29】
前記複数のナノファイバーを基板の全体表面の一部分上に成長させることにより、該全体表面の一部分に取り付けた請求項1に記載の物品。
【請求項30】
前記複数のナノファイバーが前記基板に電気的に接続される請求項1に記載の物品。
【請求項31】
前記基板と複数のナノファイバーとを包むマトリックス材料をさらに含む請求項1に記載の物品。
【請求項32】
前記マトリックス材料及び前記複数のナノファイバーが互いにII型エネルギーバンドギャップのオフセットを有する請求項31に記載の物品。
【請求項33】
前記複数のナノファイバーが化学結合部分により機能化される請求項1に記載の物品。
【請求項34】
前記複数のナノファイバーが疎水性化学物質部分により機能化される請求項1に記載の物品。
【請求項35】
前記基板が平面シートからなる請求項1に記載の物品。
【請求項36】
前記平面シートの基板が柔軟性を有する請求項35に記載の物品。
【請求項37】
前記基板が非平面の3次元形状を有する請求項1に記載の物品。
【請求項38】
前記3次元形状が立方体、球体、円柱、ブロック、ドーム、及び多面体から選択される請求項37に記載の物品。
【請求項39】
前記非平面の3次元形状が円柱である請求項37に記載の物品。
【請求項40】
前記基板と該基板の全体表面の少なくとも一部に取り付けられた複数のナノファイバーとを少なくとも部分的にカプセル封入するマトリックス材料をさらに含む請求項1に記載の物品。
【請求項41】
前記マトリックス材料が少なくとも部分的に前記開口部に挿入される請求項40に記載の物品。
【請求項42】
前記マトリックス材料がポリマーを含む請求項41に記載の物品。
【請求項43】
前記ポリマーがポリエステル、エポキシ、ウレタン樹脂、アクリレート樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、及びPFAから選択されたポリマーを含む請求項42に記載の物品。
【請求項44】
複数のナノファイバーで覆われたナノ繊維マットを含む物品であって、前記複数のナノファイバーは、該ナノファイバーが他のナノファイバーに接触するか又はそれに近接したポイントにて互いに架橋し半透性層を形成している物品。
【請求項45】
前記ナノ繊維マットが多孔性基板の表面上にデポジットし、前記多孔性基板及びナノ繊維マットが半透性層を形成している請求項44に記載の物品。
【請求項46】
前記ナノファイバーの少なくとも一部が該ナノファイバーに取り付けられた疎水性部分を含む請求項44に記載の物品。
【請求項47】
基板を貫通する複数の開口部を有する多孔性基板であって、該多孔性基板の全体表面は前記開口部の内壁面を含む前記多孔性基板;及び
前記多孔性基板の全体表面の少なくとも一部上にデポジット又は取り付けられた複数のナノファイバーであって、前記ナノファイバー及び開口部は共に半透膜を 通る細孔を形成し、前記細孔は1種以上の材料は透過させるがそれとは異なる1種以上の材料は透過させない前記複数のナノファイバー;
を含む半透膜。
【請求項48】
前記ナノファイバーが前記多孔性基板の全体表面の少なくとも一部に取り付けられる請求項47に記載の半透膜。
【請求項49】
前記ナノファイバーが前記多孔性基板の全体表面の一部上にデポジットしている請求項47に記載の半透膜。
【請求項50】
前記複数のナノファイバーの個々のナノファイバーが前記複数のナノファイバーの他の個々のナノファイバーと架橋して、前記多孔性基板の表面に架橋したナノ繊維マットを付与している請求項49に記載の半透膜。
【請求項51】
前記ナノファイバーが該ナノファイバーに結合した疎水性部分を含み、前記細孔が気体は透過させるが液体の水は透過させない請求項47に記載の半透膜。
【請求項52】
前記細孔は、第1の粒子サイズの粒子は通過させないが、第1の粒子サイズより小さい第2の粒子サイズの粒子は通過させるような有効細孔サイズを有する請求項47に記載の半透膜。
【請求項53】
前記有効細孔サイズが10μmより小さい請求項52に記載の半透膜。
【請求項54】
前記有効細孔サイズが1μmより小さい請求項52に記載の半透膜。
【請求項55】
前記有効細孔サイズが0.2μm未満である請求項52に記載の半透膜。
【請求項56】
前記有効細孔サイズが100nm未満である請求項52に記載の半透膜。
【請求項57】
前記有効細孔サイズが20nm未満である請求項52に記載の半透膜。
【請求項58】
請求項52に記載の半透膜をハウジング内に配置したフィルターカートリッジであって、前記ハウジングは、前記半透膜の第1の側に流体連通した入口通路と、前記半透膜の第2の側に流体連通した出口側とを備えるフィルターカートリッジ。
【請求項59】
前記ハウジングが呼吸空気を濾過する呼吸マスクに連結されている請求項53に記載のフィルターカートリッジ。
【請求項60】
少なくとも第2の織物層と層状になっている請求項52に記載の半透膜を含む衣類物品。
【請求項61】
請求項1に記載の物品が移植可能な医療デバイスの表面の少なくとも一部に取り付けられて覆っている移植可能な医療デバイス。
【請求項62】
基板を貫通した複数の開口部を有する多孔性基板であって、該多孔性基板の全体表面が前記複数の開口部の内壁面を含む前記多孔性基板;及び
前記多孔性基板に取り付けられ電気的に接続された複数の導電性又は半導体ナノワイヤ;
を含む電気デバイス。
【請求項63】
前記複数のナノワイヤが第1のエネルギーバンドギャップを有する請求項48に記載の第1の電気デバイス;及び
前記複数のナノワイヤが第2のエネルギーバンドギャップを有する請求項48に記載の第2の電気デバイス;
を備える光起電デバイスであって、前記第1と第2のエネルギーバンドギャップが互いにII型のバンドギャップのオフセットを示し;そして
光に当てられると前記第1と第2の電気デバイス間で電荷分離が起こるように、前記第1の電気デバイスのナノワイヤが前記第2の電気デバイスのナノワイヤに電気的に連通している前記光起電デバイス。
【請求項64】
全体表面を有する多孔性基板を用意するステップ;
前記多孔性基板の全体表面に取り付けられた複数のナノファイバーを用意するステップ;
を含むナノファイバーの連続集団の製造方法。
【請求項65】
多孔性基板を貫通する複数の細孔を上面に有する多孔性基板を用意するステップであって、前記細孔の各々は有効細孔サイズを有するものであり;
少なくとも1種の寸法が前記有効細孔サイズよりも大きい複数のナノファイバーを前記多孔性基板の上面にデポジットさせ、該ナノファイバーを該上面にナノ繊維マットとして保持するステップ;及び
前記複数のナノファイバー中の個々のナノファイバーを前記複数のナノファイバーのうちの他の個々のナノファイバーと架橋させて連続的なナノファイバー集団を生成させるステップ;
を含むナノファイバーの連続集団の製造方法。
【請求項66】
複数の開口部を貫通させた基板を用意し、該基板の全体表面(全体表面は該開口部の内壁面を含む)の少なくとも一部に複数のナノワイヤを取り付けている多孔性基板を用意するステップ;及び
気体又は液体を該多孔性基板に通して該気体又は液体を濾過するステップ;
を含む流体又は気体の濾過方法。
【請求項67】
複数の開口部を貫通させた多孔性基板を用意するステップ;
前記多孔性基板の全体表面の少なくとも一部に取り付けられた複数のナノファイバーを用意し、前記多孔性基板とナノファイバーとで気体透過性障壁を得るステップ;及び
前記多孔性基板の全体表面に取り付けられたナノファイバーの疎水性を高めるように少なくとも前記ナノファイバーを処理し、気体透過性湿気障壁を得るステップ;
を含む気体透過性湿気障壁の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図9】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−187929(P2012−187929A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−107611(P2012−107611)
【出願日】平成24年5月9日(2012.5.9)
【分割の表示】特願2006−552210(P2006−552210)の分割
【原出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(505082822)ナノシス・インク. (32)
【Fターム(参考)】