説明

基板外観検査装置における基板幅寄せ搬送機構

【課題】コスト削減を図りつつ、被検査基板を正しい搬送姿勢のもとで汚さずに搬送することができるほか、耐久性にも富む基板外観検査装置における基板幅寄せ搬送機構の提供。
【解決手段】被検査基板51を搬送する一対の無端搬送ベルト13,14と、基板搬送面19を間に挟んで配置される基準側基板ガイド23と可動側基板ガイド33とを備え、基準側基板ガイド23の内側面24には、前上がりのガイド斜面26を設け、可動側基板ガイド33の前部内側面34aには、その面高が後部内側面34bの面高より低い段差面36を設け、該段差面36には、前傾させて縦列配置した複数個の薄板ばね材38からなる弾性当接部37を配設し、該弾性当接部37を介して基準側基板ガイド側に幅寄せしながら被検査基板51の向きと位置とを正して検査カメラ42方向への送り込みを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査基板のキズ、汚れ、異物等の欠陥の有無を検査カメラを用いて最終的に外観検査する基板外観検査装置における基板幅寄せ搬送機構に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
プリント基板からなる被検査基板の外観上の適否を検査する外観検査手法には、人間が目視確認する検査手法のほか、例えば特許文献1に開示されている「プリント基板の穴充填部欠陥検査システム」などのような被検査基板外観検査用撮像ユニットを用いる検査手法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−124306号公報
【0004】
そして、特許文献1に開示されている被検査基板外観検査用撮像ユニットによる検査手法は、スルーホールに充填材料が充填されたプリント基板を被検査基板とし、該被検査基板の穴充填部に形成される凹部の深さを高精度に検出して、欠陥の有無を高精度に判定できるようにしようとするものである。
【0005】
この場合、搬送手段を介して検査位置を通過するように搬送される被検査基板は、検査位置にてライン状照射体からのライン状の照射光を受け、その反射光を検査カメラによりライン状に撮像した上で欠陥の有無が判定されることになる。
【0006】
また、この場合、被検査基板外観検査用撮像ユニットが備える検査カメラに対しては、撮像される画像に位置ずれが生じないように被検査基板を幅寄せして正確に位置決めして送り込む必要がある。
【0007】
特許文献2には、特許文献1の被検査基板外観検査用撮像ユニットなどのために必要な基板搬送装置が開示されている。
【0008】
そして、該基板搬送装置は、基板を幅寄せして正確に位置決めするための幅寄せ機構を備えている。この場合における幅寄せ機構は、基板の幅方向端部に接触する基板押し治具と、該基板押し治具を幅方向中央に向けて押すバネとを備えて構成されている。
【0009】
【特許文献2】特開2009−85719号公報
【0010】
また、特許文献3には、大形の液晶表示パネルやプラズマディスプレイパネルに用いられるガラス基板に適用される基板搬送装置ではあるが、搬送方向とは直交する方向での一方の側から基準側である他方の側へと押し込んで幅寄せして正確に位置決めするための幅寄せローラを備える幅寄せ機構が開示されている。
【0011】
【特許文献3】特開2002−176091号公報
【0012】
一方、図4は、特許文献3と同様に幅寄せローラを備える基板幅寄せ搬送機構の他の従来例を示す斜視図であり、エンドレスで回転制御されて被検査基板Pを搬送する無端搬送ベルト1,1と、該無端搬送ベルト1,1の移動方向での往路側搬送面2を間に挟んでその一方の側に固定配置される基準側基板ガイド3と、他方の側に該基準側基板ガイド3との間で幅調整を可能に配置される可動側基板ガイド4とを備えて構成されている。
【0013】
しかも、可動側基板ガイド4には、投入された被検査基板Pを徐々に基準側基板ガイド3側に寄せていくためのガイド斜面5が形成されているほか、該ガイド斜面5の下流側にモータで回転駆動される2個のローラ7,8を備えた幅寄せローラユニット6が配置されている。
【0014】
この場合、投入された被検査基板Pは、ガイド斜面5を介して徐々に基準側基板ガイド3側へと寄せられていくことになるが、このとき被検査基板Pはやや斜め方向を向いて搬送される結果、間隔が狭くなっている基準側基板ガイド3と可動側基板ガイド4との間で詰まりやすくなってしまうことになる。
【0015】
このため、被検査基板Pは、回転している2個のローラ7,8により基準側基板ガイド3側へと強制的に押し付けられながら詰まらせることなく搬送方向へと円滑に送り出すことができることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、特許文献2に開示されている幅寄せ機構による場合には、搬送手段とは別途に用意されて1枚以上の被検査基板を載置して昇降するフラップ部に基板押し治具とバネとからなる幅寄せ機構を配設する必要があり、それだけ機構自体が複雑化してコスト上昇を招いてしまう不都合があった。
【0017】
また、特許文献3に示されているような幅寄せローラを用いる場合は、搬送されてくる被検査基板の向きによっては、幅寄せローラにより被検査基板が搬送路から飛び出してしまったり、該幅寄せローラで被検査基板を基準側の基板ガイドに押し付けることから、該基板ガイドの消耗が早くなるなどの不都合があるほか、幅寄せ機構自体が高価であるという問題もあった。
【0018】
さらに、図4に示されている幅寄せローラユニット6を用いる場合には、搬送されてくる被検査基板Pの向きによっては基準側基板ガイド3に乗り上げてしまったり、2個のローラ7,8の力で被検査基板Pを基準側基板ガイド3に押し付けることから該基準側基板ガイド3側の摩耗を早めたり、被検査基板Pの厚さや大きさによってはローラ7,8の向きや高さを調整する必要が生じたり、被検査基板Pが2個のローラ7,8に接触した際に汚されてしまうなどの不都合があるほか、幅寄せローラユニット6自体の設置コストが高いという問題もあった。
【0019】
本発明は、従来技術にみられた上記課題に鑑み、被検査基板の幅寄せに必要な機構を簡素化することで、コスト削減を図りつつ、被検査基板を幅寄せしながら安定的に、かつ、汚すことなく搬送することができるほか、耐久性にも富む基板外観検査装置における基板幅寄せ搬送機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであり、搬送方向での下流側に配置された検査カメラによる外観検査を可能に被検査基板を搬送する一対の無端搬送ベルトと、これら無端搬送ベルト相互間に確保される基板搬送面を間に挟んでその一方の側に固定配置される基準側基板ガイドと、他方の側に前記基準側基板ガイドとの間の幅調整を可能に配置される可動側基板ガイドとを少なくとも備え、前記基準側基板ガイドの内側面には、前記被検査基板が導入される導入始端から適宜長さの下流方向へと向かう前上がりのガイド斜面を設け、前記可動側基板ガイドの内側面のうち、導入始端を含む上流側に位置する前部内側面には、その面高を下流側に位置するその余の後部内側面の面高より低くくした段差面を設け、該段差面の長さ方向には、下流方向へと前傾させて縦列配置した複数個の薄板ばね材からなる弾性当接部を配設し、該弾性当接部を介して基準側基板ガイドの前記内側面方向に幅寄せしながら前記被検査基板の向きと位置とを正して前記検査カメラ方向への送り込みを可能としたことを最も主要な特徴とする。
【0021】
この場合、前記段差面の長さは、予め用意される各種サイズの前記被検査基板のうち、搬送方向での長さが最も長いものの後端が前記導入始端に到達した際に、その前端側が未達となる長さとするのが好ましい。
【0022】
また、前記薄板ばね材は、その先端部に前記被検査基板の搬送方向で対向する側端面に面接触する折曲ガイド部を備えているのが望ましい。さらに、前記薄板ばね材の先端位置と前記段差面との間の離間距離は、前記後部内側面の面高位置と略一致する長さとするのが望ましい。
【0023】
また、一対の前記無端搬送ベルトは、前記被検査基板を前記導入始端側から前記基板搬送面方向へと導入する一対の無端導入ベルト部と、これらの無端導入ベルト部の下流側に配置されて前記被検査基板を前記検査カメラ方向へと送り込む一対の無端送込みベルト部との二分割構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に係る発明によれば、被検査基板の面サイズの如何に拘わらず、基準側基板ガイドのガイド斜面と可動側基板ガイドの後部内側面に備える弾性当接部とを介してその向きと位置とを正した上で、安定的に検査カメラを通過させることができる。また、被検査基板の幅寄せに必要な機構は、簡素な構成とすることができるので、コスト削減を図りつつ、被検査基板を安定的に、かつ、汚すことなく幅寄せすることができるほか、耐久性にも富んだものとすることができる。
【0025】
請求項2に係る発明によれば、可動側基板ガイド33の前部内側面である段差面の長さは、予め用意される各種サイズの被検査基板のうち、搬送方向での長さが最も長いものの後端が導入始端に到達した際に、その前端側が未達となる長さとなっているので、搬送方向での長さが最も長い被検査基板であっても、基準側基板ガイドの内側面側へと円滑に幅寄せすることができる。
【0026】
請求項3に係る発明によれば、弾性当接部を構成している薄板ばね材は、被検査基板の搬送方向で対向する側端面に面接触する折曲ガイド部を備えているので、該折曲ガイド部を介して側端面に弾性的に接触させながら傷付けることなく基準側基板ガイド側へと円滑に幅寄せすることができる。
【0027】
請求項4に係る発明によれば、薄板ばね材は、その先端位置と段差面との間の離間距離が後部内側面の面高位置と略一致する長さとなった弾性当接部として配置されているので、被検査基板の搬送方向にて対向する位置関係にある側端面に接触させながら後部内側面方向に被検査基板を円滑に送り込むことができる。
【0028】
請求項5に係る発明によれば、一対の無端搬送ベルトは、一対の無端導入ベルト部と、被検査基板を検査カメラ方向へと送り込む一対の無端送込みベルト部とに二分割されて構成されているので、被検査基板の基板搬送面19方向への導入・送り込みをより円滑に行うことができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の概略構成例を示す斜視図。
【図2】図1における基板幅寄せ手段の構成例を示す平面図。
【図3】図2において可動側基板ガイドが備える弾性当接部の構成例をやや上向きにして示す斜視図。
【図4】従来からある基板幅寄せ搬送機構の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1および図2からも明らかなように、本発明に係る基板外観検査装置11の一部を構成する基板幅寄せ搬送機構12は、搬送方向での下流側に配置された検査カメラ42よる外観検査を可能に被検査基板51を搬送する一対の無端搬送ベルト13,14と、これら無端搬送ベルト13,14相互間に確保される基板搬送面19を間に挟んでその一方の側に固定配置される基準側基板ガイド23と、他方の側に基準側基板ガイド23との間の幅調整を可能に配置される可動側基板ガイド33とを少なくとも備えている。
【0031】
このうち、一方の無端搬送ベルト13は、基準側基板ガイド23の内側面24近傍にて常に固定的に寄り添うような位置関係のもとで配置され、他方の無端搬送ベルト13は、可動側基板ガイド33の内側面34近傍にて該可動側基板ガイド33の幅方向への動きに従動する位置関係のもとで配置されている。
【0032】
この場合における一対の無端搬送ベルト13,14は、図1によれば被検査基板51を導入始端25,35側から基板搬送面19方向へと導入する一対の無端導入ベルト部15,16と、これらの無端導入ベルト部15,16の下流側に配置されて被検査基板51を図2に示す検査カメラ42方向へと送り込む一対の無端送込みベルト部17,18とに二分割されて構成されており、このように二分割することで被検査基板51の基板搬送面19方向への導入をより円滑に行うことができるようになっている。
【0033】
しかも、一対の無端搬送ベルト13,14(一対の無端導入ベルト部15,16および一対の無端送込みベルト部17,18)は、例えば布ベルトなどのように摩擦係数の高い素材を用いて形成されているものを好適に用いることができ、モータM,Mを備える駆動側ベルト車20,20と従動側ベルト車22との間に架け渡されてエンドレスで回転させることができるようにして配設されている。
【0034】
また、基板外観検査装置11の装置本体(図示せず)側に固定配置される基準側基板ガイド23の内側面24には、被検査基板51が導入される導入始端25から適宜長さの下流方向へと向かう前上がりのガイド斜面26が設けられている。
【0035】
一方、基板外観検査装置11の装置本体(図示せず)側に位置移動可能に配置される可動側基板ガイド33の内側面34のうち、導入始端35を含む上流側に位置する前部内側面34aには、その面高を下流側に位置するその余の後部内側面34bの面高より低くくした段差面36が設けられている。
【0036】
この場合、段差面36は、予め用意される各種サイズの被検査基板51のうち、搬送方向での長さaが最も長いものの後端51aが導入始端35に到達した際に、その前端51b側が未達となる長さが付与されて形成されている。
【0037】
しかも、段差面36の長さ方向には、下流方向へと前傾させて縦列配置した複数の薄板ばね材38からなる弾性当接部37が配設されている。ずなわち、図3に示す詳細例によれば、弾性当接部37は、等間隔に縦列配置された複数個の薄板ばね材38の全体で形成されている。
【0038】
この場合、各薄板ばね材38は、段差面36にねじ止めなどの適宜の固定手法を用いて固定される基端部38aと、該基端部38aの前端縁から前傾姿勢で延設された前傾本体部38bと、該前傾本体部38bの開放端縁から基端部38aと略平行な前方向(下流方向)に向けて延設された折曲ガイド部38cとで形成されている。
【0039】
しかも、各薄板ばね材38の全体は、折曲ガイド部38cが位置する先端位置と段差面36との間の離間距離が後部内側面34bの面高位置と略一致する長さとなった弾性当接部37として配置されており、これにより折曲ガイド部38cを被検査基板51の搬送方向にて対向する位置関係にある側端面52に面接触させながら後部内側面34b方向に被検査基板51を円滑に送り込むことができることになる。
【0040】
したがって、被検査基板51は、弾性当接部37を介して基準側基板ガイド23の内側面24方向に幅寄せしながらその向きと位置とを正されて検査カメラ42方向へと送り込むことができることになる。
【0041】
なお、可動側基板ガイド33の位置移動は、基準側基板ガイド23との間に確保される横幅をその時々の被検査基板51の横幅に対応させるために行うものであり、例えばベルト車61,62相互間に無端ベルト63を掛け渡し、一方のベルト車62に連結させたハンドル64を回転させ、この回転運動に図示しないボールネジを従動回転させることで基準側基板ガイド23に対し平行に進退移動させるなどして行われる
【0042】
つまり、被検査基板51は、下流側に位置する基板搬送面19上の所定位置に設置されている検査カメラ42のもとを通過させる際、既に基準側基板ガイド23の内側面24と可動側基板ガイド33の弾性当接部37との間でその向きと位置とを正しておくことができることになる。
【0043】
次に、上記構成からなる本発明の作用効果を説明すれば、まず、可動側基板ガイド33を位置移動させて基準側基板ガイド23との間の間隔を今回検査分の被検査基板51の横幅に対応させておく。
【0044】
基準側基板ガイド23に対する可動側基板ガイド33側の間隔調整を終えた後は、導入始端25,35の内側に被検査基板51をその前端51b側から送り込み、無端導入ベルト部15,16相互間に確保される基板搬送面14へと導入して載置する。
【0045】
該基板搬送面14に載置された被検査基板51は、無端導入ベルト部15,16の動きに応じて下流方向への移動を開始する。
【0046】
この場合における被検査基板51の移動には、導入されてきた被検査基板51が基準側基板ガイド23のガイド斜面26に接触しながら移動するパターンと、導入されてきた被検査基板51が基準側基板ガイド23のガイド斜面26に接触しないで移動するパターンとの2パターンがある。
【0047】
このうち前者のパターンの場合には、基準側基板ガイド23のガイド斜面26により被検査基板51が可動側基板ガイド33側へと寄せられながら搬送される。
【0048】
そして、可動側基板ガイド33側へと寄せられた被検査基板51は、弾性当接部37を構成している個々の板バネ材38における各折曲ガイド部38cにその側端面52が順次、弾性的に接触していくことにより、徐々に基準側基板ガイド23側に寄せられながら搬送されることになる。
【0049】
しかも、弾性当接部37は、予め用意される各種サイズの被検査基板51のうち、搬送方向での長さが最も長いものの後端51aが前記導入始端25に到達した際に、その前端51b側が未達となる長さの範囲にまで配置されているので、被検査基板51のサイズの別に柔軟に対応させながら確実に基準側基板ガイド23側へと幅寄せすることができる。
【0050】
かくして、弾性当接部37を通過した後の被検査基板51は、一対の無端導入ベルト部15,16の後段に位置する一対の無端送込みベルト部17,18を介することで、平行な基準側基板ガイド23の内側面24と可動側基板ガイド33の後部内側面34bとの間に挟まれてその向きと位置とが正された安定した搬送姿勢をとって、検査カメラ42が撮影する検査位置T〜Tを通過させることができることになる。
【0051】
一方、後者のパターンの場合には、搬入された被検査基板51が可動側基板ガイド33において弾性当接部37を構成している薄材ばね材38側にまずその側端面52が弾性的に接触する。
【0052】
このように弾性当接部37を構成している個々の薄材ばね材38側に順次接触していく被検査基板51は、各折曲ガイド部38cに案内されて徐々に基準側基板ガイド23側に寄せられながら搬送される。
【0053】
しかも、弾性当接部37は、予め用意される各種サイズの被検査基板51のうち、搬送方向での長さが最も長いものの後端51aが前記導入始端25に到達した際に、その前端51b側が未達となる長さの範囲にまで配置されているので、被検査基板51のサイズの別に柔軟に対応させながら確実に基準側基板ガイド23側へと幅寄せすることができる。
【0054】
かくして、前者のパターンにおけると同様に、弾性当接部37を通過した後の被検査基板51は、一対の無端導入ベルト部15,16の後段に位置する一対の無端送込みベルト部17,18を介することで、平行な基準側基板ガイド23の内側面24と可動側基板ガイド33の後部内側面34bとの間に挟まれてその向きと位置とが正された安定した搬送姿勢をとって、検査カメラ42が撮影する検査位置T〜Tを通過させることができることになる。
【0055】
このため、本発明によれば、被検査基板の面サイズの如何に拘わらず、基準側基板ガイド23のガイド斜面26と可動側基板ガイド33の後部内側面34bに備える弾性当接部37とを介してその向きと位置とを正した上で、安定的に検査カメラ42を通過させることができる。
【0056】
また、被検査基板の幅寄せに必要な機構は、図4に示されているような幅寄せローラユニット6を必要としない簡素な構成とすることができるので、コスト削減を図りつつ、被検査基板51を安定的に、かつ、汚すことなく幅寄せすることができるほか、耐久性にも富んだものとすることができる。
【0057】
さらに、可動側基板ガイド33の前部内側面34aである段差面36の長さは、予め用意される各種サイズの被検査基板51のうち、搬送方向での長さが最も長いものの後端51aが導入始端35に到達した際に、その前端51b側が未達となる長さとなっているので、搬送方向での長さが最も長い被検査基板51であっても、基準側基板ガイド23の内側面24側へと円滑に幅寄せすることができる。
【0058】
さらにまた、弾性当接部37を構成している薄板ばね材38は、その先端部に被検査基板51の搬送方向で対向する側端面52に面接触する折曲ガイド部38cを備えているので、該折曲ガイド部38cを介して側端面52に弾性的に接触させながら傷付けることなく基準側基板ガイド23の内側面24側へと円滑に幅寄せすることができる。
【0059】
また、薄板ばね材38の全体は、折曲ガイド部38cが位置する先端位置と段差面36との間の離間距離が後部内側面34bの面高位置と略一致する長さとなった弾性当接部37として配置されているので、折曲ガイド部38cを被検査基板51の搬送方向にて対向する位置関係にある側端面52に弱い圧力で面接触させながら後部内側面34b方向に被検査基板51を円滑に送り込むことができる。
【0060】
しかも、一対の無端搬送ベルト13,14は、被検査基板51を導入始端25,35側から基板搬送面19方向へと導入する一対の無端導入ベルト部15,16と、被検査基板51を検査カメラ42方向へと送り込む一対の無端送込みベルト部17,18とに二分割されて構成されているので、被検査基板51の基板搬送面19方向への導入・送り込みをより円滑に行うことができることになる。
【0061】
以上は、本発明を図1ないし図3に基づいて説明したものであり、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。例えば、一対の無端搬送ベルト13,14は、図1に示すように一対の無端導入ベルト部15,16と一対の無端送込みベルト部17,18とに二分割することなく、必要に応じて搬送方向での全長にわたり一体にして構成することもできる。
【0062】
また、各薄板ばね材38が配列される段差面36の長さは、予め用意される各種サイズの被検査基板51のうち、搬送方向での長さが最も長いものの後端51aが前記導入始端35に到達した際に、その前端51b側が可動側基板ガイド33の後部内側面34bに到達している長さのものであってもよい。
【0063】
さらに、弾性当接部37を構成する各薄板ばね材38は、必要により必ずしも等間隔をおいて配列することなく配置しておくこともできる。また、各薄板ばね材38は、所望により折曲ガイド部38cを有しない基端部38aと前傾本体部38bとで形成することもできる。さらに、各板ばね材38は、被検査基板51の搬送方向で対向する側端面52に接触する長さを備えているものであれば、可動側基板ガイド33の後部内側面34bの面高からやや突出する長さのものであってもよい。
【符号の説明】
【0064】
11 基板外観検査装置
12 基板幅寄せ搬送機構
13,14 無端搬送ベルト
15,16 無端導入ベル部
17,18 無端送込みベルト部
19 基板搬送面
20 駆動側ベルト車
21 従動側ベルト車
23 基準側ベルト部
24 内側面
25 導入始端
26 ガイド斜面
33 可動側基板ガイド
34 内側面
34a 前部内側面
34b 後部内側面
35 導入始端
36 段差面
37 弾性当接部
38 薄板ばね材
38a 基端部
38b 前傾本体部
38c 折曲ガイド部
42 検査カメラ
51 被検査基板
51a 後端
51b 前端
52 側端面
61,62 ベルト車
63 無端ベルト
64 ハンドル
〜T 検査位置
M モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向での下流側に配置された検査カメラによる外観検査を可能に被検査基板を搬送する一対の無端搬送ベルトと、これら無端搬送ベルト相互間に確保される基板搬送面を間に挟んでその一方の側に固定配置される基準側基板ガイドと、他方の側に前記基準側基板ガイドとの間の幅調整を可能に配置される可動側基板ガイドとを少なくとも備え、
前記基準側基板ガイドの内側面には、前記被検査基板が導入される導入始端から適宜長さの下流方向へと向かう前上がりのガイド斜面を設け、
前記可動側基板ガイドの内側面のうち、その導入始端を含む上流側に位置する前部内側面には、その面高を下流側に位置するその余の後部内側面の面高より低くくした段差面を設け、
該段差面の長さ方向には、下流方向へと前傾させて縦列配置した複数個の薄板ばね材からなる弾性当接部を配設し、
該弾性当接部を介して基準側基板ガイドの前記内側面方向に幅寄せしながら前記被検査基板の向きと位置とを正して前記検査カメラ方向への送り込みを可能としたことを特徴とする基板外観検査装置のための基板幅寄せ搬送機構。
【請求項2】
前記段差面の長さは、予め用意される各種サイズの前記被検査基板のうち、搬送方向での長さが最も長いものの後端が前記導入始端に到達した際に、その前端側が未達となる長さである請求項1に記載の基板外観検査装置のための基板幅寄せ搬送機構。
【請求項3】
前記薄板ばね材は、その先端部に前記被検査基板の搬送方向で対向する側端面に面接触する折曲ガイド部を備える請求項1または2に記載の基板外観検査装置のための基板幅寄せ搬送機構。
【請求項4】
前記薄板ばね材の先端位置と前記段差面との間の離間距離は、前記後部内側面の面高位置と略一致する長さである請求項1ないし3のいずれかに記載の基板外観検査装置のための基板幅寄せ搬送機構。
【請求項5】
一対の前記無端搬送ベルトは、前記被検査基板を前記導入始端側から前記基板搬送面方向へと導入する一対の無端導入ベルト部と、これらの無端導入ベルト部の下流側に配置されて前記被検査基板を前記検査カメラ方向へと送り込む一対の無端送込みベルト部との二分割構成とした請求項1ないし4のいずれかに記載の基板外観検査装置のための基板幅寄せ搬送機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−194025(P2012−194025A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57622(P2011−57622)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】