説明

基板接続構造

【課題】配線基板間からの接着剤のはみ出しによる液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを、保護シートを用いることなく阻止することができる基板接続構造を提供する。
【解決手段】フレキシブル配線基板10の接続端子部13の先端部に対応する硬質配線基板20の位置に、フレキシブル配線基板10の配線パターン12の方向と直交する方向を長手方向とする貫通孔25を設けて、フレキシブル配線基板10と硬質配線基板20との熱圧着時に配線基板間からはみ出た余剰の接着剤30を流し込むようにした。これにより、余剰の接着剤30の基板上方への突出を低く抑えることが可能となり、熱圧着部24の直上にある液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを阻止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル配線基板と硬質配線基板(あるいはフレキシブル配線基板)とが熱圧着により接続される基板接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの携帯端末や液晶ディスプレイを備えたポータブルディジタル音楽プレイヤーなどの小型電子機器においても低消費電力化、軽量化、薄型化が進んでいる。小型電子機器の薄型化においては、使用する電子部品の小型化は勿論のこと、配線基板にフレキシブル配線基板を使用したことによる恩恵も小さくはない。フレキシブル配線基板は、例えば液晶ディスプレイとメイン配線基板との接続に用いられる。
【0003】
フレキシブル配線基板を用いた接続構造に関する従来技術として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1に記載されたフレキシブル配線基板の接続方法は、合成樹脂製フィルム上に導電パターンが設けられ、該導電パターンの上部には熱圧着型の接着層が設けられたフレキシブル配線基板と、前記導電パターンと対向する配線パターンが設けられた取付体とを設け、前記フレキシブル配線基板の接着層を下面としてこの接着層を挟んで前記導体パターンと前記配線パターンとを対応させ、前記フレキシブル配線基板の上方から熱伝導率が大きく、下端部よりその側部が上方に後退している剛体の加熱押圧部材を押圧し、前記取付体に前記フレキシブル配線基板を接続する。
【0004】
また、フレキシブル配線基板を用いた電子機器に関する従来技術として、例えば特許文献2に記載されたものが知られている。この特許文献2に記載された電子機器は、反射シートを有する液晶表示ユニットと、前記反射シートに対向して配置され、前記反射シート側の反対側の面に電子部品が実装された配線基板と、前記液晶表示ユニットと前記配線基板との間に設けられ、前記配線基板に接続されるフレキシブル配線基板と、前記反射シートと前記フレキシブル配線基板との間に設けられた保護シートと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−85892号公報
【特許文献2】特開2009−162917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された基板接続構造では、図23の(b)の断面図に示すように、2枚の配線基板100,110の接続時にこれらの配線基板間から接着剤130がはみ出して基板上方へ突出することがあり、これが直上にある液晶ディスプレイ等の部品(図示略)にダメージを与えてしまうという課題がある。なお、図23の(b)は、図21のB−B’線断面図である。図21は、図22の(a)に示すフレキシブル配線基板100と図22の(b)に示す硬質配線基板110を熱圧着により接続した状態を示すものである。また、図23の(a)は、図21のA−A’線断面図である。
【0007】
フレキシブル配線基板100は、基材である合成樹脂製フィルム101の一方の面(接続面)上に複数の配線パターン102を設けたものである。硬質配線基板110は、例えばガラスエポキシ材を用いた基材111の一方の面(接続面)上に複数の配線パターン112を設けると共にレジスト113を設けたものである。硬質配線基板110の複数の配線パターン112は、フレキシブル配線基板100に配設した複数の配線パターン102と同数且つ同間隔で配設される。硬質配線基板110のレジスト113は、フレキシブル配線基板100の複数の配線パターン102と硬質配線基板110の複数の配線パターン112とを接続する熱圧着部120を除く領域に形成される。熱圧着部120には熱硬化性の接着剤130が塗布される。なお、熱硬化性の接着剤の塗布には限定されず、フィルム状接着剤の貼り付け等でも可能である。
【0008】
フレキシブル配線基板100と硬質配線基板110とを熱硬化性の接着剤130を用いて加熱加圧して接続した際に、接着剤130の一部が配線基板間からはみ出るが、特にその大部分がフレキシブル配線基板100の先端部分からはみ出る。そして、はみ出た接着剤130が基板上方へ突出して、直上にある液晶ディスプレイ等の部品にダメージを与える虞がある。ダメージとしては、例えば特許文献2に記載されているように液晶ディスプレイの表示面に白点現象などの表示ムラを発生させる。
【0009】
一方、特許文献2で開示された電子機器では、保護シートを用いることで液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを阻止できるものの、2枚の配線基板の接続による総厚が厚くなってしまい、またこれによってコストアップになるという課題がある。
【0010】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、配線基板間からの接着剤のはみ出しによる液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを、保護シートを用いることなく阻止することができる基板接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の基板接続構造は、第1の配線基板と、第2の配線基板と、を備え、前記第1の配線基板と前記第2の配線基板とが熱圧着により接続される基板接続構造において、前記第1の配線基板の先端部に対応する前記第2の配線基板の位置に、前記第1の配線基板の配線パターンの方向と直交する方向を長手方向とする貫通孔が設けられた。
【0012】
上記構成によれば、第1の配線基板と第2の配線基板とを熱圧着により接続した際に、第2の配線基板に設けた貫通孔に余剰の接着剤が流れ込むので、第1の配線基板の先端部側の配線基板間からの接着剤のはみ出しが少なくなる。したがって、接着剤の基板上方への突出量が少なくなるので、第1の配線基板の先端部の直上にある液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを阻止できる。
【0013】
上記構成において、前記第1の配線基板がフレキシブル配線基板であり、且つ前記第2の配線基板が硬質配線基板である。
【0014】
本発明の基板接続構造は、第1の配線基板と、第2の配線基板と、を備え、前記第1の配線基板と前記第2の配線基板とが熱圧着により接続される基板接続構造において、前記第1の配線基板の先端部に対応する前記第2の配線基板の位置に、前記第1の配線基板の配線パターンの方向と直交する方向を長手方向とする凹部が設けられた。
【0015】
上記構成によれば、第1の配線基板と第2の配線基板とを熱圧着により接続した際に、第2の配線基板に設けた凹部に余剰の接着剤が流れ込むので、第1の配線基板の先端部側の配線基板間からの接着剤のはみ出しが少なくなる。したがって、接着剤の基板上方への突出量が少なくなるので、第1の配線基板の先端部の直上にある液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを阻止できる。
【0016】
上記構成において、前記第1の配線基板がフレキシブル配線基板であり、且つ前記第2の配線基板が硬質配線基板である。
【0017】
本発明の基板接続構造は、第1の配線基板と、第2の配線基板と、を備え、前記第1の配線基板と前記第2の配線基板とが熱圧着により接続される基板接続構造において、前記第1の配線基板の先端部に対応する前記第2の配線基板の位置に、前記第1の配線基板の配線パターンの方向と直交する方向に配列された複数の貫通孔が設けられた。
【0018】
上記構成によれば、第1の配線基板と第2の配線基板とを熱圧着により接続した際に、第2の配線基板に設けた複数の貫通孔に余剰の接着剤が流れ込むので、第1の配線基板の先端部側の配線基板間からの接着剤のはみ出しが少なくなる。したがって、接着剤の基板上方への突出量が少なくなるので、第1の配線基板の先端部の直上にある液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを阻止できる。
【0019】
上記構成において、前記第1の配線基板がフレキシブル配線基板であり、且つ前記第2の配線基板が硬質配線基板である。
【0020】
本発明の基板接続構造は、第1の配線基板と、第2の配線基板と、を備え、前記第1の配線基板と前記第2の配線基板とが熱圧着により接続される基板接続構造において、前記第1の配線基板の先端部分が前記第1の配線基板と前記第2の配線基板の熱圧着部を超える長さに延設された。
【0021】
上記構成によれば、第1の配線基板と第2の配線基板とを熱圧着により接続した際に、第1の配線基板の先端部分によって、第1の配線基板の先端部側の配線基板間からはみ出た接着剤の基板上方への突出が抑えられる。したがって、第1の配線基板の先端部の直上にある液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを阻止できる。
【0022】
上記構成において、前記第1の配線基板がフレキシブル配線基板であり、且つ前記第2の配線基板が硬質配線基板である。
【0023】
本発明の基板接続構造は、第1の配線基板と、第2の配線基板と、を備え、前記第1の配線基板と前記第2の配線基板とが熱圧着により接続される基板接続構造において、前記第1の配線基板の先端部分が前記第1の配線基板と前記第2の配線基板の熱圧着部を超える長さに延設されると共に、前記第2の配線基板の前記第1の配線基板の先端部分に対応する位置に前記第1の配線基板の配線パターンの方向と直交する方向を長手方向とする凹部が設けられた。
【0024】
上記構成によれば、第1の配線基板と第2の配線基板とを熱圧着により接続した際に、第2の配線基板に設けた凹部に余剰の接着剤が流れ込むと共に、第1の配線基板の先端部分によって、第1の配線基板の先端部側の配線基板間からはみ出た接着剤の基板上方への突出が抑えられる。したがって、第1の配線基板の先端部の直上にある液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを阻止できる。
【0025】
上記構成において、前記第1の配線基板がフレキシブル配線基板であり、且つ前記第2の配線基板が硬質配線基板である。
【0026】
本発明の基板接続構造は、第1の配線基板と、第2の配線基板と、を備え、前記第1の配線基板と前記第2の配線基板とが熱圧着により接続される基板接続構造において、前記第1の配線基板の先端部分が前記第1の配線基板と前記第2の配線基板の熱圧着部を超える長さに延設されると共に、前記第2の配線基板の前記第1の配線基板の先端部分に対応する位置に前記第1の配線基板の配線パターンの方向と直交する方向を長手方向とする貫通孔が設けられた。
【0027】
上記構成によれば、第1の配線基板と第2の配線基板とを熱圧着により接続した際に、第2の配線基板に設けた貫通孔に余剰の接着剤が流れ込むと共に、第1の配線基板の先端部分によって、第1の配線基板の先端部側の配線基板間からはみ出た接着剤の基板上方への突出が抑えられる。したがって、第1の配線基板の先端部の直上にある液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを阻止できる。
【0028】
上記構成において、前記第1の配線基板がフレキシブル配線基板であり、且つ前記第2の配線基板が硬質配線基板である。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、配線基板間からの接着剤のはみ出しによる液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを、保護シートを用いることなく阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1に係る基板接続構造を示す平面図
【図2】図1に示す基板接続構造を構成するフレキシブル配線基板と硬質配線基板を示す平面図
【図3】図1に示す基板接続構造の断面図であり、(a)はA−A’線断面図、(b)はB−B’線断面図
【図4】本発明の実施の形態2に係る基板接続構造を示す平面図
【図5】図4に示す基板接続構造を構成するフレキシブル配線基板と硬質配線基板を示す平面図
【図6】図4に示す基板接続構造の断面図であり、(a)はA−A’線断面図、(b)はB−B’線断面図
【図7】図4に示す基板接続構造の変形例を示す平面図
【図8】図7に示す基板接続構造を構成するフレキシブル配線基板と硬質配線基板を示す平面図
【図9】本発明の実施の形態3に係る基板接続構造を示す平面図
【図10】図9に示す基板接続構造を構成するフレキシブル配線基板と硬質配線基板を示す平面図
【図11】図9に示す基板接続構造の断面図であり、(a)はA−A’線断面図、(b)はB−B’線断面図
【図12】本発明の実施の形態4に係る基板接続構造を示す平面図
【図13】図12に示す基板接続構造を構成するフレキシブル配線基板と硬質配線基板を示す平面図
【図14】図12に示す基板接続構造の断面図であり、(a)はA−A’線断面図、(b)はB−B’線断面図、(c)はC−C’線断面図
【図15】本発明の実施の形態5に係る基板接続構造を示す平面図
【図16】図15に示す基板接続構造を構成するフレキシブル配線基板と硬質配線基板を示す平面図
【図17】図15に示す基板接続構造の断面図であり、(a)はA−A’線断面図、(b)はB−B’線断面図
【図18】本発明の実施の形態6に係る基板接続構造を示す平面図
【図19】図18に示す基板接続構造を構成するフレキシブル配線基板と硬質配線基板を示す平面図
【図20】図18に示す基板接続構造の断面図であり、(a)はA−A’線断面図、(b)はB−B’線断面図
【図21】従来の基板接続構造を示す平面図
【図22】図21に示す基板接続構造を構成するフレキシブル配線基板と硬質配線基板とを示す平面図
【図23】図21に示す基板接続構造の断面図であり、(a)はA−A’線断面図、(b)はB−B’線断面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る基板接続構造を示す平面図、図2は図1に示す基板接続構造を構成するフレキシブル配線基板と硬質配線基板を示す平面図、図3は図1の断面図であり、(a)はA−A’線断面図、(b)はB−B’線断面図である。なお、本発明の基板接続構造は、例えば、携帯電話などの携帯端末や液晶ディスプレイを備えたポータブルディジタル音楽プレイヤーなどの小型の電子機器における液晶ディスプレイとメイン基板との接続に用いられる。
【0033】
図1〜図3において、本実施の形態に係る基板接続構造は、フレキシブル配線基板(第1の配線基板)10と、硬質配線基板(第2の配線基板)20とを備え、フレキシブル配線基板10と硬質配線基板20とが熱硬化性の接着剤30を用いた熱圧着により接続されたものである。なお、熱硬化性の接着剤には限定されず、熱可塑性等の接着剤を用いてもよい。フレキシブル配線基板10は、図2の(a)に示すように、基材である透過性を有する合成樹脂製フィルム11の一方の面(以後、“接続面”と呼ぶ)上に複数の配線パターン12を設けたものである。フレキシブル配線基板10の接続面側にはフレキシブル配線基板10の先端部分(以下、“接続端子部”と呼ぶ)13を除く部分に絶縁材(カバーフィルム)14が設けられており、配線パターン12が硬質配線基板20の導電部分と接触するのを防止するようにしている。
【0034】
硬質配線基板20は、図2の(b)に示すように、例えばガラスエポキシ材を用いた基材21の一方の面(以後、“接続面”と呼ぶ)上に複数の配線パターン22を設けると共にレジスト23を設けたものである。硬質配線基板20の複数の配線パターン22は、上述したフレキシブル配線基板10に配設した複数の配線パターン12と同数且つ同間隔で配設されている。硬質配線基板20のレジスト23は、フレキシブル配線基板10の複数の配線パターン12と硬質配線基板20の複数の配線パターン22とを接続する熱圧着部24を除く領域に形成される。熱圧着部24には熱硬化性の接着剤30が塗布される。
また、硬質配線基板20には、フレキシブル配線基板10の端子接続部13の先端部に対応する位置に、フレキシブル配線基板10の配線パターン12の方向と直交する方向を長手方向とする貫通孔25が設けられている。この場合、貫通孔25の長手方向の長さは、熱圧着部24の長手方向の長さと程度となっている。
【0035】
さて、フレキシブル配線基板10と硬質配線基板20を接続するには、硬質配線基板20上の硬質配線基板20とフレキシブル配線基板10とを接続する熱圧着部24に接着剤30を塗布した後、フレキシブル配線基板10の配線パターン12と硬質配線基板20の配線パターン22を向かい合わせて配置して熱圧着部24に加熱加圧を行う。熱圧着部24に加熱加圧を行うことで、接着剤30が2枚の配線基板間に広がると共に硬化していき、最終的に完全に硬化してフレキシブル配線基板10と硬質配線基板20が強固に接続される。また、図3の(b)に示すように、加熱加圧時に配線基板間からはみ出た余剰の接着剤30が硬質配線基板20の貫通孔25に流れ込む。余剰の接着剤30が硬質配線基板20の貫通孔25に流れ込むことで、貫通孔25を持たない従来の基板接続構造よりも接着剤30の基板上方への突出量が少なくなり、熱圧着部24の直上にある液晶ディスプレイ等の部品にダメージを与える虞が略無くなる。
【0036】
このように本実施の形態の基板接続構造によれば、フレキシブル配線基板10の接続端子部13の先端部に対応する硬質配線基板20の位置に、フレキシブル配線基板10の配線パターン12の方向と直交する方向を長手方向とする貫通孔25を設けて、フレキシブル配線基板10と硬質配線基板20との熱圧着時に配線基板間からはみ出た余剰の接着剤30を流し込むようにしたので、余剰の接着剤30の基板上方への突出を低く抑えることが可能となり、熱圧着部24の直上にある液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを阻止できる。
【0037】
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2に係る基板接続構造を示す平面図、図5は図4に示す基板接続構造を構成するフレキシブル配線基板と硬質配線基板を示す平面図、図6は図4の断面図であり、(a)はA−A’線断面図、(b)はB−B’線断面図である。なお、図4〜図6において前述した図1〜図3と共通する部分には同一の符号を付けている。
【0038】
前述した実施の形態1の基板接続構造は、フレキシブル配線基板10の接続端子部13の先端部に対応する硬質配線基板20の位置に、フレキシブル配線基板10の配線パターン12の方向と直交する方向を長手方向とする貫通孔25を有し、フレキシブル配線基板10と硬質配線基板20の熱圧着による接続時に生ずる余剰の接着剤30を貫通孔25に流し込むようにして余剰の接着剤30の基板上方への突出量を低く抑えるものであったが、本実施の形態の基板接続構造は、図4又は図5の(b)に示すように、先端部分がフレキシブル配線基板10の先端部分と同位置になるように短手方向の長さを調整した硬質配線基板40を有し、フレキシブル配線基板10と硬質配線基板40の熱圧着による接続時に生ずる余剰の接着剤30が両配線基板の先端からはみ出るようにして余剰の接着剤30の基板上方への突出量を低く抑えるようにしたものである。図6の(b)にその状態を示す。
【0039】
このように本実施の形態の基板接続構造によれば、先端部分がフレキシブル配線基板10の接続端子部13の先端と同位置になるように短手方向の長さを調整した硬質配線基板40を設けて、フレキシブル配線基板10と硬質配線基板40との熱圧着時に配線基板間からはみ出た余剰の接着剤30が両配線基板の先端からはみ出るようにしたので、余剰の接着剤30の基板上方への突出を低く抑えることが可能となり、熱圧着部24の直上にある液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを阻止できる。
【0040】
なお、本実施の形態の基板接続構造を携帯電話などの携帯端末やポータブルディジタル音楽プレイヤーなどの小型の電子機器に組み込むときの条件に合わせて、図7に示すように硬質配線基板40の先端両角部分40aを突出させるようにしても構わない。なお、図7は、この変形例の基板接続構造を示す平面図、図8は図7の基板接続構造を構成するフレキシブル配線基板と硬質配線基板を示す平面図である。
【0041】
(実施の形態3)
図9は本発明の実施の形態3に係る基板接続構造を示す平面図、図10は図9に示す基板接続構造を構成するフレキシブル配線基板と硬質配線基板を示す平面図、図11は図9の断面図であり、(a)はA−A’線断面図、(b)はB−B’線断面図である。なお、図9〜図11において前述した図1〜図3と共通する部分には同一の符号を付けている。
【0042】
前述した実施の形態1の基板接続構造は、フレキシブル配線基板10の接続端子部13の先端部に対応する硬質配線基板20の位置に、フレキシブル配線基板10の配線パターン12の方向と直交する方向を長手方向とする貫通孔25を有し、フレキシブル配線基板10と硬質配線基板20の熱圧着による接続時に生ずる余剰の接着剤30を貫通孔25に流し込むようにして余剰の接着剤30の基板上方への突出量を低く抑えるものであったが、本実施の形態の基板接続構造は、図9又は図10の(b)に示すように、フレキシブル配線基板10の先端部に対応する硬質配線基板50の位置に、フレキシブル配線基板10の配線パターン12の方向と直交する方向を長手方向とする凹部51を有し、フレキシブル配線基板10と硬質配線基板50の熱圧着による接続時に生ずる余剰の接着剤30を凹部51に流し込むようにして、余剰の接着剤30の基板上方への突出量を低く抑えるようにしたものである。図11の(b)にその様子を示す。
【0043】
このように本実施の形態の基板接続構造によれば、フレキシブル配線基板10の接続端子部13の先端部に対応する硬質配線基板50の位置に、フレキシブル配線基板10の配線パターン12の方向と直交する方向を長手方向とする凹部51を設けて、フレキシブル配線基板10と硬質配線基板50との熱圧着時に配線基板間からはみ出た余剰の接着剤30を流し込むようにしたので、余剰の接着剤30の基板上方への突出を低く抑えることが可能となり、熱圧着部24の直上にある液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを阻止できる。
【0044】
(実施の形態4)
図12は本発明の実施の形態3に係る基板接続構造を示す平面図、図13は図12に示す基板接続構造を構成するフレキシブル配線基板と硬質配線基板を示す平面図、図14は図12の断面図であり、(a)はA−A’線断面図、(b)はB−B’線断面図、(c)はC−C’線断面図である。なお、図12〜図14において前述した図1〜図3と共通する部分には同一の符号を付けている。
【0045】
本実施の形態の基板接続構造は、上述した実施の形態1の基板接続構造の硬質配線基板20の貫通孔25と同様の貫通孔を有するが、1つの連続したものではなく、複数の貫通孔からなるものである。すなわち、本実施の形態の基板接続構造の硬質配線基板60は、5つの円形の貫通孔26と、2つの長方形の貫通孔27とを有し、5つの円形の貫通孔26を2つの長方形の貫通孔27で挟む形で配置している。なお、貫通孔の形状及び数については、これに限定されるものではなく、その端子部形状に合わせたものとすればよい。これらの貫通孔26,27は、実施の形態1の基板接続構造の硬質配線基板20の貫通孔25と同様に、余剰の接着剤30を流し込んで、余剰の接着剤30の基板上方への突出量を低く抑えるものである。図14の(b)にその様子を示す。なお、貫通孔26,27を離散的に設けることで、1つの連続する貫通孔25を設ける場合よりも基板強度の劣化を低く抑えることができるという利点も有している。これに加えて、先端方向への配線の引き回しが可能となり、設計の自由度が向上する。
【0046】
このように本実施の形態の基板接続構造によれば、フレキシブル配線基板10の接続端子部13の先端部に対応する硬質配線基板60の位置に、フレキシブル配線基板10の配線パターン12の方向と直交する方向に沿って複数の貫通孔26,27を設けて、フレキシブル配線基板10と硬質配線基板60との熱圧着時に配線基板間からはみ出た余剰の接着剤30を流し込むようにしたので、余剰の接着剤30の基板上方への突出を低く抑えることが可能となり、熱圧着部24の直上にある液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを阻止できる。
【0047】
(実施の形態5)
図15は本発明の実施の形態5に係る基板接続構造を示す平面図、図16は図15に示す基板接続構造を構成するフレキシブル配線基板と硬質配線基板を示す平面図、図17は図15の断面図であり、(a)はA−A’線断面図、(b)はB−B’線断面図である。なお、図15〜図17において前述した図1〜図3と共通する部分には同一の符号を付けている。
【0048】
本実施の形態の基板接続構造は、図22の(b)に示す従来の硬質配線基板110と同様の硬質配線基板80と、先端部分の長さを上述したフレキシブル配線基板10よりも長くしたフレキシブル配線基板70を備えている。フレキシブル配線基板70は、図17の(b)の断面図に示すように、接続端子部(先端部分)13Aがフレキシブル配線基板70と硬質配線基板80の熱圧着部24を超える長さに延設されており、延設部分13Aaが、配線基板間からはみ出た余剰の接着剤30の基板上方への突出を抑える。
【0049】
このように本実施の形態の基板接続構造によれば、フレキシブル配線基板70の接続端子部13Aをフレキシブル配線基板70と硬質配線基板80の熱圧着部24を超える長さに延設して、フレキシブル配線基板70と硬質配線基板80との熱圧着時に配線基板間からはみ出た余剰の接着剤30の基板上方への突出を抑えるようにしたので、余剰の接着剤30の基板上方への突出を低く抑えることが可能となり、熱圧着部24の直上にある液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを阻止できる。
【0050】
(実施の形態6)
図18は本発明の実施の形態6に係る基板接続構造を示す平面図、図19は図18に示す基板接続構造を構成するフレキシブル配線基板と硬質配線基板を示す平面図、図20は図18の断面図であり、(a)はA−A’線断面図、(b)はB−B’線断面図である。なお、図18〜図20において前述した図1〜図3と図9〜図11と共通する部分には同一の符号を付けている。
【0051】
本実施の形態の基板接続構造は、上述した実施の形態3の基板接続構造と実施の形態5の基板接続構造とを組み合わせたものである。すなわち、フレキシブル配線基板70と、硬質配線基板50とを備えたものである。図20の(b)に示すように、硬質配線基板50によって、フレキシブル配線基板70との接続時に生ずる余剰の接着剤30を凹部51に流し込むことができ、またフレキシブル配線基板70によって、余剰の接着剤30の基板上方への突出を抑えることができる。これにより、余剰の接着剤30の基板上方への突出量が上述した実施の形態1〜5の各基板接続構造よりも更に少なくなる。
【0052】
このように本実施の形態の基板接続構造によれば、接続端子部(先端部分)13Aを熱圧着部24を超える長さに延設したフレキシブル配線基板70と、フレキシブル配線基板70の接続端子部13Aに対応する位置にフレキシブル配線基板70の配線パターン12の方向と直交する方向を長手方向とする凹部51を有する硬質配線基板50を備えて、フレキシブル配線基板70と硬質配線基板50との熱圧着時に配線基板間からはみ出た余剰の接着剤30の基板上方への突出を抑えるようにしたので、余剰の接着剤30の基板上方への突出を低く抑えることが可能となり、熱圧着部24の直上にある液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを阻止できる。
【0053】
なお、上述した実施の形態1〜6では、フレキシブル配線基板と硬質配線基板との接続であったが、フレキシブル配線基板同士の接続であっても接続構造上に違いはない。すなわち、本発明はフレキシブル配線基板同士の接続にも勿論適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、配線基板間からの接着剤のはみ出しによる液晶ディスプレイ等の部品へのダメージを、保護シートを用いることなく阻止できるといった効果を有し、携帯電話などの携帯端末や液晶ディスプレイを備えたポータブルディジタル音楽プレイヤーなどの小型電子機器への適用が可能である。
【符号の説明】
【0055】
10、70 フレキシブル配線基板
11 合成樹脂製フィルム
12、22 配線パターン
13、13A 接続端子部
14 絶縁材
20、40、50、60、80 硬質配線基板
21 基材
23 レジスト
24 熱圧着部
25、26、27 貫通孔
30 接着剤
51 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の配線基板と、第2の配線基板と、を備え、
前記第1の配線基板と前記第2の配線基板とが熱圧着により接続される基板接続構造において、
前記第1の配線基板の先端部に対応する前記第2の配線基板の位置に、前記第1の配線基板の配線パターンの方向と直交する方向を長手方向とする貫通孔が設けられた基板接続構造。
【請求項2】
前記第1の配線基板がフレキシブル配線基板であり、且つ前記第2の配線基板が硬質配線基板である請求項1に記載の基板接続構造。
【請求項3】
第1の配線基板と、第2の配線基板と、を備え、
前記第1の配線基板と前記第2の配線基板とが熱圧着により接続される基板接続構造において、
前記第1の配線基板の先端部に対応する前記第2の配線基板の位置に、前記第1の配線基板の配線パターンの方向と直交する方向を長手方向とする凹部が設けられた基板接続構造。
【請求項4】
前記第1の配線基板がフレキシブル配線基板であり、且つ前記第2の配線基板が硬質配線基板である請求項3に記載の基板接続構造。
【請求項5】
第1の配線基板と、第2の配線基板と、を備え、
前記第1の配線基板と前記第2の配線基板とが熱圧着により接続される基板接続構造において、
前記第1の配線基板の先端部に対応する前記第2の配線基板の位置に、前記第1の配線基板の配線パターンの方向と直交する方向に配列された複数の貫通孔が設けられた基板接続構造。
【請求項6】
前記第1の配線基板がフレキシブル配線基板であり、且つ前記第2の配線基板が硬質配線基板である請求項5に記載の基板接続構造。
【請求項7】
第1の配線基板と、第2の配線基板と、を備え、
前記第1の配線基板と前記第2の配線基板とが熱圧着により接続される基板接続構造において、
前記第1の配線基板の先端部分が前記第1の配線基板と前記第2の配線基板の熱圧着部を超える長さに延設された基板接続構造。
【請求項8】
前記第1の配線基板がフレキシブル配線基板であり、且つ前記第2の配線基板が硬質配線基板である請求項7に記載の基板接続構造。
【請求項9】
第1の配線基板と、第2の配線基板と、を備え、
前記第1の配線基板と前記第2の配線基板とが熱圧着により接続される基板接続構造において、
前記第1の配線基板の先端部分が前記第1の配線基板と前記第2の配線基板の熱圧着部を超える長さに延設されると共に、前記第2の配線基板の前記第1の配線基板の先端部分に対応する位置に前記第1の配線基板の配線パターンの方向と直交する方向を長手方向とする凹部が設けられた基板接続構造。
【請求項10】
前記第1の配線基板がフレキシブル配線基板であり、且つ前記第2の配線基板が硬質配線基板である請求項9に記載の基板接続構造。
【請求項11】
第1の配線基板と、第2の配線基板と、を備え、
前記第1の配線基板と前記第2の配線基板とが熱圧着により接続される基板接続構造において、
前記第1の配線基板の先端部分が前記第1の配線基板と前記第2の配線基板の熱圧着部を超える長さに延設されると共に、前記第2の配線基板の前記第1の配線基板の先端部分に対応する位置に前記第1の配線基板の配線パターンの方向と直交する方向を長手方向とする貫通孔が設けられた基板接続構造。
【請求項12】
前記第1の配線基板がフレキシブル配線基板であり、且つ前記第2の配線基板が硬質配線基板である請求項11に記載の基板接続構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2011−96823(P2011−96823A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248837(P2009−248837)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】