説明

基板搬送装置および基板検査機

【課題】リードフレームや各種配線基板など高精細なパターンを有する平板状の基板に対して、要求される検査精度に見合った高精細画像を撮像するのに必要な搬送装置および検査機を提供することを目的とする。
【解決手段】基板搬送装置であって、所定の隙間を隔てて並列に配置された一対の搬送部を有する直線往復運動装置と、前記直線往復運動装置の動作を制御する直線往復運動装置制御手段と、前記搬送部の隙間に設けられ、1枚以上の基板を載置可能な基板載置部と、前記一対の搬送部それぞれの隙間側に設置され、1枚以上の基板を載置可能なフラップ部と、前記フラップ部の上下動を制御するフラップ駆動制御手段と、前記フラップ部の駆動範囲を制限するためのストッパー手段と、を備えることを特徴とする基板搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種配線基板やリードフレームなど高精細なパターンを有する平板状の基板の検査機において、要求される検査精度に見合った高精細画像を撮像するのに必要な基板搬送装置、および基板検査機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種配線基板等のパターンの高精細化は著しく、それに伴って、画像を使った検査では高精細な画像を撮像する必要が出てきている。この高精細画像を撮像するために、ラインセンサカメラを撮像手段とすることが一般的によく行われている。
【0003】
ラインセンサカメラを撮像手段とした場合、検査対象物の搬送は精度良く行う必要がある。すなわち、ラインセンサカメラの1ラインごとの撮像に対して、検査対象物を所定距離ずつ精度良く移動させる必要があり、また撮像と移動のタイミングを同期させなければならない。
【0004】
また、高精細画像を撮像するための撮像手段の光学系は一般的に被写界深度が小さいことが多く、検査対象物が撮像時に上下動しながら搬送されると、ピントがずれた画像となってしまうという問題がある。
【0005】
従来の搬送装置(例えば特許文献1参照)ではローラーやコンベアなどの搬送手段を使用しているため、搬送の精度(搬送方向の移動精度および上下方向の精度)が悪く、高精細な画像を撮像することができない、という問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開昭62−219911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みなされたもので、リードフレームや各種配線基板など高精細なパターンを有する平板状の基板の検査機において、要求される検査精度に見合った高精細画像を撮像するのに必要な、搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため請求項1の発明では、基板搬送装置であって、
所定の隙間を隔てて並列に配置された一対の搬送部を有する直線往復運動手段と、
前記直線往復運動装置の動作を制御する直線往復運動装置制御手段と、
前記搬送部の隙間に設けられ、1枚以上の基板を載置可能な基板載置部と、
前記一対の搬送部それぞれの隙間側に設置され、1枚以上の基板を載置可能なフラップ部と、
前記フラップ部の上下動を制御するフラップ駆動制御手段と、
前記フラップ部の駆動範囲を制限するためのストッパー手段と、
を備えることを特徴とする基板搬送装置としたものである。
【0009】
また、請求項2の発明では、前記フラップ駆動手段が、柔軟性があるチューブと、前記チューブの端部または側面に設けられた流体給排口に接続され前記チューブ内部に流体を供給および排出する流体給排手段を備え、
前記フラップ部が、前記チューブの側面に接するように設置され、かつ、前記搬送部と一体的に固定されたチューブ支持部材が、前記チューブをはさんで前記フラップ部と対向する側に、前記チューブの側面に接するように設置されることを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置としたものである。
【0010】
また請求項3の発明では、前記の一対のフラップ部の上に基板があるときに、該基板を搬送部の幅方向の所定位置に寄せるための幅寄せ手段を少なくとも片側のフラップ部に有し、
前記幅寄せ手段が、基板の幅方向端部と接触する基板押し治具と、基板押し治具を介して基板を所定の力で押す、押し圧発生手段とを備え、
前記の一対のフラップ部のうちの少なくとも片方のフラップ部を幅方向に平行移動させる、幅方向の平行移動手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の基板搬送装置としたものである。
【0011】
また請求項4の発明では、前記基板載置部上流側に基板を供給する基板供給手段と、
前記基板載置部下流側から基板を排出する基板排出手段と、
を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の基板搬送装置としたものである。
【0012】
また請求項5の発明では、前記基板載置部上流側に基板を供給する基板供給手段と、
前記搬送部の所定位置を撮像範囲とし前記フラップ部上の基板を撮像する1以上の撮像手段と、
前記撮像手段と前記搬送部のあいだの距離を調節する撮像距離調節手段と、
前記撮像手段の撮像範囲に照明光を照射する1以上の照明手段と、
撮像手段によって得られた基板の画像データに対して各種のデータ処理を行い該基板の良否判定を行う良否判定手段と、
前記基板載置部下流側から基板を排出するさいに、前記良否判定手段による良否判定に従い基板を仕分けする基板排出手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の基板搬送装置を有する基板検査機としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載の基板搬送装置は、高精細画像を撮像するのに必要な高精度搬送を行うことが可能である。
【0014】
また本発明の請求項2に記載の基板搬送装置は、フラップ駆動手段としてチューブを使用することにより、1個の駆動手段でフラップ部全体を精度良く駆動することが可能である。
【0015】
また本発明の請求項3に記載の基板搬送装置は、フラップ部の上に基板があるときに該基板を幅方向の所定位置に寄せる幅寄せ手段を有することにより、幅方向の基板位置を一定にすることが可能である。
【0016】
また本発明の請求項4に記載の基板搬送装置は、基板供給手段と基板排出手段を有することにより、多数の基板を順次搬送することが可能である。
【0017】
また本発明の請求項5に記載の検査機は、多数の基板を順次搬送して、各基板の高精細画像を撮像して良否判定を行い、その良否判定結果によって基板を仕分けして排出することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の搬送装置の、搬送方向と垂直な方向に切った断面を模式的に示した図である。さらに図1中のa−a’線に対して鏡面対象に、同じ構成要素が配置されていて、同じタイミングで同じ動作を行うものとし、それら一対で本発明の搬送装置とする。
【0019】
図1において、1は柔軟性のあるチューブである。チューブ1の端部または側面には、図示せぬ流体給排口が設けられ、図示せぬ流体給排手段へ接続されている。当該流体給排口を介して、チューブ1内部への流体の供給および排出が行われる。なお1は内部に流体が供給された状態のチューブを示し、1’は内部の流体が排出された状態のチューブを示す。
【0020】
チューブ1としては、図1に示したような変形が可能な柔軟性を備えたものを選択する。すなわち、チューブ1の材質としては、チューブ内部に流体が供給されたときには直径方向に膨らみ、流体が排出されたときには直径方向に押しつぶされたような形に変形が可能な、適度な柔軟性のあるものであれば何でも良く、シリコーンゴムなどの各種ゴムを使用することが可能である。なお伸縮性(膨張性)は備えていてもいなくてもかまわないが、伸縮性が高すぎるものは設置スペースからはみ出ることもある(例えば図1の右方向など)ため、注意が必要である。
【0021】
図示せぬ流体給排手段は図示せぬ流体給排口に接続され、チューブ1の内部に流体を供給または排出する。チューブ1内部へ供給される流体としては、各種の気体や液体を選ぶことができる。例えば圧縮空気を選べば流体給排手段を安価で簡単な構成とすることが可能である。またオイルなどの液体を選べば、搬送対象物の重量が大きい場合にも駆動が可能になる。
【0022】
チューブ1は、搬送部に一体化して設置された支持部材3に支持固定されていて、チューブ1の側面は支持部材3と接するように配置されている。また、平板状のフラップ部2もチューブ1の側面と接するように配置され、さらにフラップ部2の一つの端部と支持部材3の一つの端部が蝶番20を介して接続されている。
【0023】
チューブ1は支持部材3に支持固定されているので、流体の供給または排出により、チューブが膨張(1の状態)または収縮(1’の状態)すると、フラップ部2は、チューブ1を介して支持部材3と離れるように上昇したり(2の状態)、近づくように下降したり(2’の状態)するように動く(矢印5)。
【0024】
このフラップ部2の動きにより、搬送対象の基板8は、フラップ部によって持ち上げられたり(8の状態)、基板載置部6上に置かれたり(8’の状態)して、矢印5’の方向に上下動する。
【0025】
なお、撮像〜検査を基板8の両面に対して行う場合、図1に示すように上側撮像手段18および下側撮像手段19、および両撮像手段18、19のそれぞれの撮像領域に照明光を照射する照明手段(不図示)が必要となる。このとき基板載置部6は、撮像したい領域の幅よりも広い幅の間隙をもって隔てられた1組の板状部材で構成するなどして、下側撮像手段19からも撮像可能としておくことが可能である。
【0026】
チューブ1膨張時のフラップ部2の駆動範囲を制限するために、フラップ部2の外側にはストッパー25が設けられている。フラップ部2が膨張したチューブ1によりストッパー25に押し付けられて停止すると、チューブ1内部の体積は一定となり、チューブ1内部の流体はほとんど静止した状態となる。この状態ではチューブ1内部には全体に渡って均等な圧力が発生するため、チューブ1はフラップ部2を全体にわたって均一な力で押すことができ、従ってフラップ部2の駆動位置精度を一様かつ高いものとすることが可能となる。
【0027】
この、フラップ部2が膨張したチューブ1によりストッパー25に押し付けられて停止するような動作を実現するためには、チューブ1が完全に膨張しきるよりも手前の位置で、フラップ部2を停止させられるように、ストッパー25を配置する必要がある。
【0028】
本実施形態では、支持部材3に対してフラップ部2が「パタパタ動く」ことができるように接続するための接続部材として蝶番20を使用しているが、必ずしも蝶番状のものを使用する必要はなく、支持部材3に対してフラップ部2がこのような動作を行うことを可能とする構造であれば何でもよい。例えばフラップ部2の駆動角度が小さくてもよい場合は、蝶番のかわりに板バネなどを使用することも可能である。
【0029】
搬送対象基板8の上下動を安定的に行うためには、図1中のa−a’線に対して鏡面対象の位置にある1対のチューブ1の膨張と収縮を同期して行う必要がある。その場合、それぞれのチューブ1の流体給排口に、分岐配管を介して1つの流体給排手段に接続すればチューブ1の膨張量を同じにでき、したがってフラップ部2および搬送対象基板8の上下動の高さやタイミングも同じにできる。
【0030】
なお、フラップ部2には所定の方向に動くようにレールや溝などによるガイド(不図示)を設けてもよい。また、チューブ1の収縮時のフラップ2の駆動可能な範囲を制限するためのストッパー(不図示)を設けてもよい。また搬送対象基板がフラップ部2上に載ったときに位置ずれが起きにくいように、フラップ部2の搬送対象基板が載る側の端部(蝶番20の反対側)に図1のようなミゾを設けてもよい。
【0031】
またチューブが1の状態から1’の状態になったときに、フラップ部が2の状態から2’の状態になるようフラップ部2を戻すため、バネなどの戻し手段(不図示)を設けてもよい。
【0032】
フラップ部2は、搬送対象基板8に直接接触するものであるため、搬送対象基板8にキズをつけることがないような材質を適宜選択する必要がある。また、撮像手段にて基板8の画像を撮像する際に良好な画像を得るためには、フラップ部2表面からの反射光を低減することが望ましく、そのためにはフラップ部2表面をツヤ消し処理して黒っぽい色にするなどするとよい。また、基板8の撮像される側の面に対してフラップ部2が高いと、基板8面上にフラップ部2の影ができて良好な画像が得られなくなってしまうこともあるので、フラップ部2の形状にも注意が必要である。
【0033】
ガイドレール7は、支持部材3と一体的に設置された搬送部を支持固定している。またガイドレール7には、図示せぬ直線駆動手段(各種モーターなど)および直線駆動制御手段(モーター制御装置など)が接続されており、図2の紙面垂直方向に直線往復運動を行う。
【0034】
搬送部(支持部材3)の直線往復運動の移動量は、図示せぬ移動量計測手段によって計測され、図示せぬ単位距離信号発生手段によって単位距離ごとに信号が発生するようにし、その信号によって撮像手段が撮像を行うタイミングをとるようにしておいてもよい。この移動量計測手段および単位距離信号発生手段としては、例えばリニアスケールやマグネスケールなどを利用することができる。ただし、この直線往復運動の移動量が十分精密に制御可能である場合にはこのような移動量計測手段および単位距離信号発生手段は不必要で、撮像手段は所定時間間隔ごとに撮像を行えばよい。
【0035】
この直線往復運動と、前述のフラップ部2および搬送対象基板8の上下動を、以下に説明するようなタイミングで行うと、搬送対象基板を高精度に搬送することができる。
【0036】
図2(A)〜(E)は本発明の搬送装置の動作を説明する模式図で、図1のa−a’面から搬送部の方向を見た断面透視図である。
【0037】
図2(A)では、フラップ部2は上昇状態で、複数の搬送対象基板8を載置した状態である。図2には、搬送対象基板8が3個載置されている場合を示しているが、この載置個数は、基板8各品種の搬送方向の最大最小寸法、搬送サイクル回数(後述する搬送部3の往復運動の何回分で1枚の基板8の搬送が完了するか)、搬送方向に設置する撮像手段の台数などを考慮して、予め設定しておく必要がある。搬送部3に取り付けられたフラップ部2は、基板載置部6の片方の端(図2では左側)から、もう片方の端(図2では右側)に向かって移動を開始する(矢印9)。
【0038】
位置bは、検査機の撮像手段が撮像を行う位置である。撮像手段がラインセンサカメラである場合には、搬送対象基板8が位置bを通過するときに、順次画像の撮像を行うものとする。なお、搬送方向に複数の撮像手段を設置する場合は、位置bも複数配置しておく必要がある。
【0039】
撮像手段がラインセンサカメラである場合、一般的には撮像と搬送の同期は、前記移動量計測手段および前記単位距離信号発生手段が搬送部3の単位距離ごとの移動に伴い発生させた信号を、撮像タイミング信号発生手段により受信し更に分周して走査信号を発生させて合わせるようにすることが多い。ただし前述のように、搬送のための直線往復運動の移動量が十分精密に制御可能である場合には、移動量計測手段および単位距離信号発生手段は不必要で、撮像手段は所定時間間隔ごとに撮像を行えばよい。
【0040】
撮像手段がエリアセンサカメラである場合には、搬送対象基板8の撮像領域の中央箇所が位置bに来たときに搬送部3はいったん停止して撮像手段が撮像し、撮像が終了したら次の撮像領域の中央箇所が位置bに来るよう搬送する、という手順を繰り返すようにすればよい。1枚の基板8をいくつかの撮像領域に分割しなければならないような場合でもこの手順はほとんど同様で、1枚の基板8に対して「撮像領域の中央箇所」を複数個設定するようにしておけばよい。
【0041】
図2(B)に示すように、撮像対象の基板8が位置bを完全に通過して撮像が完了したら、搬送部3はいったん停止して、フラップ部2を下降させる。このときの搬送部3およびフラップ部2の移動距離は、基板8各品種の搬送方向長さに応じて調整しておく必要があるが、基板8の搬送方向の最大長よりも長く設定していれば、基板8の品種に依らず固定値とすることができる。
【0042】
フラップ部2を下降させると、図2(C)に示すように、搬送中の搬送対象基板8は全て基板載置部6上に載置される。ここで、基板8のうち撮像完了したもの(図2(C)では右端のもの)は、図示せぬアンローダー手段によって基板載置部6上から取り除かれる。また基板載置部6の反対側(図2(C)では左端)には、図示せぬローダー手段によって未検査の基板8が載置される。このときの基板8の基板載置部6への載置位置は、フラップ部2が基板8を載置可能な位置となるように、予め設定しておく必要がある。
【0043】
図2(D)に示すように、搬送部3はフラップ部2が下降状態のまま、開始位置(図2では左側)に戻る(矢印9)。
【0044】
ここでフラップ部2を上昇させると、図2(E)に示すように、複数の基板8がフラップ部2に載置された状態となり、図2(A)の状態に戻る。以下、この動作を繰り返せば、基板8の搬送および検査を実行することができる。
【0045】
複数の基板8を載せることを考慮すると、フラップ部2は搬送方向に細長い平板形状となる。このように細長い平板状の部材を上昇下降させるための駆動手段として、モーターやシリンダなどの従来の駆動手段を使うことももちろん可能である。しかし、本実施形態のようなチューブを使用すると、次のような利点がある。すなわち、細長い平板状部材にたわみを発生させることなく一様な高さで上昇および下降させようとすると、従来の駆動手段では平板状部材の複数の箇所に設置する必要がある。しかし本実施形態のチューブを使用した駆動手段では、該チューブの長さを平板状部材と同程度とすれば平板状部材全体を支えることも可能であるため、1つの駆動手段で平板状部材の駆動が精度良く行える。
【0046】
片側もしくは両側のフラップ部2には、幅寄せ手段10を設けておくことも可能である。図3(A)にフラップ部2と基板幅寄せ手段10の動作を説明する概略構成図を示す。この幅寄せ手段10は、基板8の幅方向端部に接触する基板押し治具12と、基板押し治具12を幅方向中央に向けて押すバネ13を備えている。なお、押し圧を発生させる押し圧発生手段はバネだけに限るものではなく、モーターやシリンダなどの各種駆動手段などでもよい。
【0047】
図1のように、フラップ部2の搬送対象基板が載る側の端部にミゾが設けられているだけだと、フラップ部2が上昇してフラップ部2上に基板8が載る際に、問題が発生する可能性がある。
【0048】
すなわち、図3(B)に示すように、両フラップ部2のミゾの距離が基板8の幅に対して僅かでも広い場合は、基板8の幅方向の位置が基板ごとに変化して、撮像手段により撮像された画像上でも位置ずれが発生することになる。
【0049】
あるいは図3(C)に示すように、両フラップ部2のミゾの距離が基板8の幅に対して狭い場合は、両フラップ部2のミゾの角の部分に基板8端部が引っかかって湾曲するなどの問題が発生する可能性がある。
【0050】
このような問題を防止するために、図3(A)に示したように、基板押し治具12とバネ13を備えた基板幅寄せ手段10を、フラップ部2のどちらか片方にまたは両方に設置する。図3(A)では片方(左側)のフラップ部に、基板幅寄せ手段10を設置した場合を示している。左側のフラップ部2において、基板8が載るべきミゾ部分は、フラップ部2の上面と基板押し治具12の側面によって形成されていることになる。
【0051】
図3(A)−1は、両側のフラップ部2が上昇して、基板8がフラップ部2上に載置された直後の状態を示している。このとき、基板8の幅や基板載置部6上での位置が多少ずれていても、必ずフラップ部2上に載置できる程度に、基板押し治具12と基板8との間には隙間があるようにしておく。
【0052】
次に、幅方向への平行移動機構14により、左側搬送部全体を幅方向中央部に向かって所定距離平行移動させる。このとき、基板押し治具12の基板8側の端部と、基板8が接触し、更にバネ13によって基板押し治具12を介して基板8は図3の右方向に押されることになる。
【0053】
最終的に基板8は、右側フラップ部のミゾの部分により停止して、バネ13の力で押された状態となる(図3(A)−2参照)。このようにすれば右側フラップ部のミゾの位置を基準として、基板8を精密に位置決めすることが可能となる。
【0054】
ここで、基板8は各種の幅のものがあり得るので、幅方向の平行移動機構14の移動可能な範囲を基板8の幅の種類に対応可能な範囲としておき、様々な幅の基板8を安定して搬送可能にしておくことが好ましい。
【0055】
また、幅方向の平行移動機構14を両方の搬送部につけるか片側だけにするかについては、基板8のどこを位置決め基準とするかによって選択する必要がある。
【0056】
すなわち、片方の搬送部のみに幅方向の平行移動機構14をつけた場合はもう片方の搬送部のフラップ部のミゾが位置決め基準となり、両方の搬送部に幅方向の平行移動機構14をつけた場合は一対の搬送部の幅方向中央線が位置決め基準となる。
【0057】
撮像手段による画像撮像の面では、一対の搬送部の幅方向中央線が位置決め基準になっていたほうが都合よいことが多い。つまり、搬送部の幅方向中央線と基板8の幅方向中心線を略一致させられるので、基板8の撮像対象領域の大きさが変わったときでも、撮像手段の視野領域を調節しやすいからである。しかし装置の簡略性の面では、幅方向の平行移動機構14は片側だけのほうがよい。以上のようなことを検討した上で、幅方向の平行移動機構14を両方の搬送部につけるか片側だけにするかを選択する必要がある。
【0058】
また幅方向の平行移動機構14は、所定の平行移動精度でフラップ部2を幅方向に平行移動させることができれば、どこに設置されていてもかまわない。すなわち、例えば図1においては、支持部材3に対してフラップ部2のみを平行移動させるか、ガイドレール7に対して支持部材3を平行移動させるか、ガイドレール7ごと全体を平行移動させるか、を適宜選択すればよい。
【0059】
未搬送の基板8を基板載置部6の上流側に供給するローダー手段(不図示)と、搬送済みの基板8を基板載置部6の下流側から排出するアンローダー手段(不図示)を配置すれば、多数枚の基板の搬送を自動的に行うことが可能となる。その際、ローダー手段には静電除去手段やエアブロー手段を備えるようにすれば、異物付着による偽欠陥の出現数を低減することが出来る。
【0060】
アンローダー手段では、検査機の良否判定結果をもとに、検査済み基板を仕分けしてストッカーなどに収納するようにすることも可能である。
【0061】
本発明の基板検査機においては、基板8の撮像は、基板8がフラップ部2に載置された状態で、基板8の表面付近や基板8の厚さ方向の内部に焦点を合わせた状態で行われる。基板8は品種によって厚さが異なるが、撮像手段が使用している光学系(レンズなど)の被写界深度が、品種による厚さ変動に追従できない場合は、焦点位置を合わせるための焦点合わせ機構が必要となる。具体的には、基板8の厚さの変化分だけ、本発明の基板搬送装置全体を上下させるようにするか、撮像手段18(図1参照)を搬送部に対して上下させられるようにするか、どちらかの機構を設けるようにすればよい。
【0062】
また本発明の基板検査機において、上側撮像手段18および下側撮像手段19があって、基板8の両面を撮像〜検査するようになっている場合には次のようにすればよい。すなわち、基板搬送装置全体、上側撮像手段18、下側撮像手段19の3つのうちのいずれか2つに上下機構を設けるようにすれば、基板8の厚さの変化に対応して焦点の合った画像を撮像することができる。もちろん、各撮像手段が使用している光学系の被写界深度が、基板8の品種による厚さ変動の範囲に対して十分に大きい場合は、このような上下機構は必要ない。

【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の搬送装置の、搬送方向と垂直な方向に切った断面の模式図。
【図2】本発明の搬送装置の動作を説明する模式図。
【図3】本発明の搬送装置の幅寄せ手段の動作を説明する模式図。
【符号の説明】
【0064】
1・・・・チューブ(内部に流体が供給された状態)
1’・・・チューブ(内部から流体が排出された状態)
2・・・・フラップ部(上昇状態)
2’・・・フラップ部(下降状態)
20・・・フラップ部の片端を搬送部に止める蝶番
25・・・ストッパー
3・・・・搬送部と一体化した支持部材
5・・・・フラップの上下動の方向
5’・・・搬送対象基板の上下動の方向
6・・・・基板載置部
7・・・・ガイドレール
8・・・・搬送対象の基板(フラップ部に載置されている状態)
8’・・・搬送対象の基板(基板載置部に載置されている状態)
9・・・・搬送部の直線往復運動の方向
10・・・基板幅寄せ手段
12・・・基板押し治具
13・・・バネ(押し圧発生手段)
14・・・幅方向の平行移動機構
18・・・上側撮像手段
19・・・下側撮像手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板搬送装置であって、
所定の隙間を隔てて並列に配置された一対の搬送部を有する直線往復運動手段と、
前記直線往復運動装置の動作を制御する直線往復運動装置制御手段と、
前記搬送部の隙間に設けられ、1枚以上の基板を載置可能な基板載置部と、
前記一対の搬送部それぞれの隙間側に設置され、1枚以上の基板を載置可能なフラップ部と、
前記フラップ部の上下動を制御するフラップ駆動制御手段と、
前記フラップ部の駆動範囲を制限するためのストッパー手段と、
を備えることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記フラップ駆動手段が、柔軟性があるチューブと、前記チューブの端部または側面に設けられた流体給排口に接続され前記チューブ内部に流体を供給および排出する流体給排手段を備え、
前記フラップ部が、前記チューブの側面に接するように設置され、かつ、前記搬送部と一体的に固定されたチューブ支持部材が、前記チューブをはさんで前記フラップ部と対向する側に、前記チューブの側面に接するように設置されることを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記の一対のフラップ部の上に基板があるときに、該基板を搬送部の幅方向の所定位置に寄せるための幅寄せ手段を少なくとも片側のフラップ部に有し、
前記幅寄せ手段が、基板の幅方向端部と接触する基板押し治具と、基板押し治具を介して基板を所定の力で押す、押し圧発生手段とを備え、
前記の一対のフラップ部のうちの少なくとも片方のフラップ部を幅方向に平行移動させる、幅方向の平行移動手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記基板載置部上流側に基板を供給する基板供給手段と、
前記基板載置部下流側から基板を排出する基板排出手段と、
を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記基板載置部上流側に基板を供給する基板供給手段と、
前記搬送部の所定位置を撮像範囲とし前記フラップ部上の基板を撮像する1以上の撮像手段と、
前記撮像手段と前記搬送部のあいだの距離を調節する撮像距離調節手段と、
前記撮像手段の撮像範囲に照明光を照射する1以上の照明手段と、
撮像手段によって得られた基板の画像データに対して各種のデータ処理を行い該基板の良否判定を行う良否判定手段と、
前記基板載置部下流側から基板を排出するさいに、前記良否判定手段による良否判定結果に従い基板を仕分けする基板排出手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の基板搬送装置を有する基板検査機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−85719(P2009−85719A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−254505(P2007−254505)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】