説明

基板検査用カメラのための照明装置を備える基板検査装置

【課題】フィデューシャルマークの実位置座標を正確に読み取る基板検査用カメラのための照明装置を備える基板検査装置の提供。
【解決手段】第1の検査ユニット12と、第2の検査ユニット22と、第3の検査ユニット32とで少なくとも構成され、各検査ユニット12,22,32は、X−Y軸方向へ移動可能な移動体13,23,33と、被検査基板Pの面方向に進退移動するコンタクトプローブ15,25,35とを備え、第1の検査ユニット12のコンタクトプローブ15側には、光源19b付きの照明装置19を備える基板検査用カメラ18を配設し、第2の検査ユニット22と第3の検査ユニット22との各コンタクトプローブ25,35の軸回りには、各コンタクトプローブ25,35の斜め下方への進出方向を照明光軸とする光源28b,38b付きの照明装置28,38を配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個々の被検査基板に対し各別に実際のプロービング検査を行うに先だって、そのフィデューシャルマーク(基点マーク)から位置補正に必要な現在位置情報を取得することができる基板検査用カメラのための照明装置を備える基板検査装置に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
通常、被検査基板には、フィデューシャルマークと称される基点マークが印刷されている。該フィデューシャルマークの位置は、基板検査装置による実際の検査に先立って基板検査用カメラを用いて検出され、予め設定されている基準マーク座標との間の位置ズレ量により、被検査基板の収縮の状態や固定時における傾きを計算してその補正量を決定する前処理を経た上で、実際のプロービング検査が行われている。
【0003】
図2は、このような用途に供される基板検査用カメラを備える基板検査装置の従来例を示す説明図であり、基板検査装置1は、定置された被検査基板Pの中央検査領域を主に移動する第1検査ユニット2と、該第1検査ユニット2の右方向や左方向に位置して被検査基板Pの必要な検査領域を主に移動する第2検査ユニット5とを少なくとも備えて構成されている。
【0004】
また、第1検査ユニット2は、X−Y軸方向への制御された移動を可能に配置される移動体3と、該移動体3に対し被検査基板Pの面方向であるZ軸方向への進退移動を可能に取り付けられたコンタクトプローブ4とを備えて構成されている。
【0005】
しかも、基板検査用カメラ5は、そのレンズ面5aがコンタクトプローブ4の進出方向に向かう位置関係のもとで配置されており、レンズ面5aの周囲には、基板6bに複数個のLED6aを取り付けてなる照明装置6が配設されている。
【0006】
この場合、フィデューシャルマークの位置は、外乱光の影響を受けることなく、照明の位置、角度および光色などの影響をも考慮して基板検査用カメラ5により正確に読み取ることが必要になる。
【0007】
また、第2検査ユニット7は、X−Y軸方向への制御された移動を可能に配置される移動体8と、該移動体8に対し被検査基板Pの面方向であるZ軸方向への進退移動を可能に取り付けられたコンタクトプローブ9とを備えて構成されており、狭隘な検査ポイントをプロービングできるように第1検査ユニット2と極力接近させることができるようにして配置されている。
【0008】
ところで、第1検査ユニット2と第2検査ユニット7とは、このような配置関係をとる必要があることから、図2に示されているようにワークデスタンスの大きな照明装置6付きの基板検査用カメラ5側を第1検査ユニット2側に取り付けておく以外に方法はなかった。
【0009】
一方、本願出願人は、下記特許文献1に示されているように、被検査基板上における照度むらを低減できるようにした基板検査用カメラの照明装置を既に提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−332792号公報
【0011】
上記特許文献1に開示されている基板検査用カメラの照明装置は、従前の照明装置のLEDから照射されるスポット的な強い光が該LEDの平面形状よりもやや大きめな光源影が形成され、該光源影が他の部位よりも明るいことから基板検査用カメラの視野範囲内に照度むらが生じて、フィデューシャルマークの位置検出が不正確になることに対処しようとするものである。
【0012】
そして、上記基板検査用カメラの照明装置によれば、被検査基板に対して垂直方向に出射された直接光は遮光し、該被検査基板に対して斜め方向に出射された直接光は通過可能とする遮光手段を設けることで、基板検査用カメラの視野範囲内に照度むらが生じるのを防ぐことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、図2に示す基板検査装置1による場合には、被検査基板が実装基板であるとき、そのはんだ付け部位に対し直上方向から光を照射することになり、この照射光がはんだ付け部位で反射して基板検査用カメラ5で正確な画像を写し取ることができなくなる不都合があった。
【0014】
また、上記特許文献1の基板検査用カメラの照明装置による場合は、基板検査用カメラの視野範囲内に照度むらが生じないように均一に照射することはできるものの、図2に示す基板検査装置1と同様に実装基板のはんだ付け部位での照射光の反射を効果的に防止できる構造を備えるものではなかった。
【0015】
本発明は、従来技術の上記課題に鑑み、定置させた被検査基板に対しできるだけ接近させた状態のもとで斜め上方向からフィデューシャルマークに照明光を照射することにより、実際の検査に先立ってフィデューシャルマークの正確な実位置座標を読み取れるようにした基板検査用カメラのための照明装置を備える基板検査装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであり、定置された被検査基板の主に中央検査領域を移動する第1の検査ユニットと、該第1の検査ユニットの下方に位置して前記被検査基板の主に左側検査領域を移動する第2の検査ユニットと、前記第1の検査ユニットの下方に位置して前記被検査基板の主に右側検査領域を移動する第3の検査ユニットとで少なくとも構成され、これらの各検査ユニットは、X−Y軸方向への制御された移動を可能に配置される移動体と、該移動体に対し前記被検査基板の面方向であるZ軸方向への進退移動を可能に取り付けられたコンタクトプローブとを備え、前記第1の検査ユニットの前記コンタクトプローブ側には、そのレンズ面をコンタクトプローブの進出方向に向け、かつ、前記レンズ面の周囲に複数個の光源を取り付けてなる照明装置を具備させた基板検査用カメラを配設し、前記第2の検査ユニットの前記コンタクトプローブと第3の検査ユニットの前記コンタクトプローブとのそれぞれの軸回りには、これらの各コンタクトプローブが向かう適宜角度での斜め下方への進出方向を照明光軸とする複数個の光源を備える照明装置を配設したことを最も主要な特徴とする。
【0017】
この場合、前記照明装置の少なくとも1つには、異なる発光色への切り換えを可能にした前記光源を具備させておくのが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、定置させた被検査基板に対しできるだけ接近させた状態のもとで斜め上方向からフィデューシャルマークに照明光を照射することができるので、外乱光や反射光の影響を受けることなく、照明の位置、角度などの影響をも考慮しながら基板検査用カメラにより実際の検査に先立ってフィデューシャルマークの正確な実位置座標を読み取り、そのデータに基づいて位置補正を行った上で、実際のプロービング検査に移行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の構成例を示す説明図。
【図2】基板検査用カメラを備える基板検査装置の従来例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の構成例を示す説明図であり、基板検査装置11の全体は、装置本体に定置された被検査基板Pの中央検査領域を主に移動する第1の検査ユニット12と、該第1の検査ユニット12の下方に位置して被検査基板Pの左側検査領域を主に移動する第2の検査ユニット22と、同じく第1の検査ユニット12の下方に位置して被検査基板Pの右側検査領域を主に移動する第3の検査ユニット32とを少なくとも備え、これら構成各部は、図示しない制御手段により駆動制御されている。
【0021】
このうち、第1の検査ユニット12は、X−Y軸方向への制御された移動を可能に配置される移動体13と、該移動体13に対し被検査基板Pの面方向であるZ軸方向への進退移動を可能に取り付けられたコンタクトプローブ15とを備えて構成されている。
【0022】
この場合、移動体13は、被検査基板PのY方向に移動可能に構成された1つのX軸ガイド14に移動可能に搭載されており、該X軸ガイド14を介してX−Y軸方向への制御された移動が可能となっている。
【0023】
また、コンタクトプローブ15は、モータ16により回転駆動される無端ベルト17側に固定することで、例えば直下方向に向かうZ軸方向での制御された進退移動が可能となっている。なお、コンタクトプローブ15は、モータ16付きのエアシリンダ20を介して接触角の調整を可能に配設されている。
【0024】
しかも、コンタクトプローブ15側には、そのレンズ面18aをコンタクトプローブ15の接触端15aの進出方向に向けたワークデスタンスの大きなCCDカメラなどの基板検査用カメラ18が取り付けられている。また、レンズ面18aの周囲には、基板19aにLEDなどからなる複数個の光源19bを取り付けてなる照明装置19がその照射光軸を、被検査基板Pの検査ポイント方向に向けて配設されている。
【0025】
この場合、複数個の光源19bは、発光色を異にする例えば白色LED、赤色LED、青色LEDを混在させておき、所望に応じて同一色の光源19bのみを発光させることができるように切り換え可能に配設しておくことができる。
【0026】
第2の検査ユニット22は、X−Y軸方向への制御された移動を可能に配置される移動体23と、該移動体23に対し被検査基板Pの面方向であるZ軸方向への進退移動を可能に取り付けられたコンタクトプローブ25とを備えて構成されている。
【0027】
この場合、移動体23は、被検査基板PのY方向に移動可能に構成された1つのX軸ガイド24に移動可能に搭載されており、該X軸ガイド24を介してX−Y軸方向への制御された移動が可能となっている。
【0028】
また、コンタクトプローブ25は、モータ26により回転駆動される無端ベルト27側に固定され、かつ、エアシリンダ30を介することでモータ26ともどもその接触角度を可変にして右斜め下方向に向かうZ軸方向での制御された進退移動が可能となっている。
【0029】
しかも、コンタクトプローブ25の軸回りには、基板28aにLEDなどからなる複数個の光源28bを取り付けてなる照明装置28がその照射光軸を、コンタクトプローブ25の進出方向と同方向である被検査基板Pの検査ポイント方向に向けて配設されている。
【0030】
この場合、複数個の光源28bは、発光色を異にする例えば白色LED、赤色LED、青色LEDを混在させておき、所望に応じて同一色の光源28bのみを発光させることができるように切り換え可能に配設しておくことができる。
【0031】
第3の検査ユニット32は、X−Y軸方向への制御された移動を可能に配置される移動体33と、該移動体33に対し被検査基板Pの面方向であるZ軸方向への進退移動を可能に取り付けられたコンタクトプローブ35とを備えて構成されている。
【0032】
この場合、移動体33は、被検査基板PのY方向に移動可能に構成された1つのX軸ガイド34に移動可能に搭載されており、該X軸ガイド34を介してX−Y軸方向への制御された移動が可能となっている。
【0033】
また、コンタクトプローブ35は、モータ36により回転駆動される無端ベルト37側に固定され、かつ、エアシリンダ40を介することでモータ36ともどもその接触角度を可変にして左斜め下方向に向かうZ軸方向での制御された進退移動が可能となっている。
【0034】
しかも、コンタクトプローブ35の軸回りには、基板38aに複数個の光源38bを取り付けてなる照明装置38がその照射光軸を、コンタクトプローブ35の進出方向と同方向である被検査基板Pの検査ポイント方向に向けて配設されている。
【0035】
この場合、複数個の光源38bは、発光色を異にする例えば白色LED、赤色LED、青色LEDを混在させておき、所望に応じて同一色の光源38bのみを発光させることができるように切り換え可能に配設しておくことができる。
【0036】
次に、図1に基づいて本発明の作用・効果を説明すれば、まず、電子部品等が実装された被検査基板Pは、装置本体に図示しない治具等を介して定置される。該被検査基板Pは、印刷されたフィデューシャルマークを備えており、実際のプロービング検査に先立って該フィデューシャルマークを写し取りことができる位置に第1の検査ユニット12が備える基板検査用カメラ18を配置する。
【0037】
この場合、第1の検査ユニット12は、ワークデスタンスの大きな基板検査用カメラ18を備えている関係上、そのレンズ面18aを直下方向に向けた状態のもとで、第2の検査ユニット22や第3の検査ユニット32の位置よりも上方に配置されることになる。
【0038】
また、第2の検査ユニット22や第3の検査ユニット32とは、第1の検査ユニット12の位置よりも下方である被検査基板Pにより接近した位置に配置される。
【0039】
この場合、図示例では左側に位置する第2の検査ユニット22は、コンタクトプローブ25を右下方に向けて斜行させることで、その接触端25aがフィデューシャルマーク側に近接するように配置される。
【0040】
また、図示例では右側に位置する第3の検査ユニット32は、コンタクトプローブ35を左下方に向けて斜行させ、その接触端35aがフィデューシャルマーク側に近接するように配置される。
【0041】
しかも、第2の検査ユニット22のコンタクトプローブ25は、照明装置28を、第3の検査ユニット32のコンタクトプローブ35は、照明装置38をそれぞれ備えているので、それぞれの光源28b,38bを発光させて照明光として接近した斜め上方向からフィデューシャルマーク側にそれぞれ光拡散をなくして照射することができる。
【0042】
このとき、第2の検査ユニット22と第3の検査ユニット32とは、被測定基板Pの実装状況などに合わせて、それぞれの照明装置28,38からの照明光色を切り換え選択したり、コンタクトプローブ25,35の斜行角度を調整することで、被測定基板Pの具体的な状況に合わせた照明を行うことができる。
【0043】
したがって、第1の検査ユニット12が備える基板検査用カメラ18は、自らが備える照明装置19からの直下照明と、第2の検査ユニット22と第3の検査ユニット32との照明装置28,38からの斜行照明とが三位一体となった好ましい照明状態のもとで、仮にフラックスがフィデューシャルマークに付着しているような場合であっても、該フィデューシャルマークの実位置座標を正確に読み取ることができるので、これに基づく位置補正を行って実際のプロービング検査に移行することができる。
【0044】
以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、その具体的な内容は、本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変形を加えることができる。例えば、基板検査装置11は、第1検査ユニット12と第2検査ユニット22と第3検査ユニット32とを備える例が示されているが、第1検査ユニット12と同様の構成のもとで被検査基板の中央検査領域を主に移動する第4検査ユニットを備えるものであってもよい。また、光源19b,28b,38bとしては、LEDに代えて小型電球や有機ELを使用することもできる。なお、照明装置の色や角度は、被検査基板のフィデューシャルマークの状態により適宜選択することにより、最適な画像抽出が可能となる。
【符号の説明】
【0045】
11 基板検査装置
12 第1の検査ユニット
13 移動体
14 X軸ガイド
15 コンタクトプローブ
15a 接触端
16 モータ
17 無端ベルト
18 基板検査用カメラ
18a レンズ面
19 照明装置
19a 基板
19b 光源
20 エアシリンダ
22 第2の検査ユニット
23 移動体
24 X軸ガイド
25 コンタクトプローブ
25a 接触端
26 モータ
27 無端ベルト
28 照明装置
28a 基板
28b 光源
30 エアシリンダ
32 第3の検査ユニット
33 移動体
34 X軸ガイド
35 コンタクトプローブ
35a 接触端
36 モータ
37 無端ベルト
38 照明装置
38a 基板
38b 光源
40 エアシリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定置された被検査基板の主に中央検査領域を移動する第1の検査ユニットと、該第1の検査ユニットの下方に位置して前記被検査基板の主に左側検査領域を移動する第2の検査ユニットと、前記第1の検査ユニットの下方に位置して前記被検査基板の主に右側検査領域を移動する第3の検査ユニットとで少なくとも構成され、
これらの各検査ユニットは、X−Y軸方向への制御された移動を可能に配置される移動体と、該移動体に対し前記被検査基板の面方向であるZ軸方向への進退移動を可能に取り付けられたコンタクトプローブとを備え、
前記第1の検査ユニットの前記コンタクトプローブ側には、そのレンズ面をコンタクトプローブの進出方向に向け、かつ、前記レンズ面の周囲に複数個の光源を取り付けてなる照明装置を具備させた基板検査用カメラを配設し、
前記第2の検査ユニットの前記コンタクトプローブと第3の検査ユニットの前記コンタクトプローブとのそれぞれの軸回りには、これらの各コンタクトプローブが向かう適宜角度での斜め下方への進出方向を照明光軸とする複数個の光源を備える照明装置を配設したことを特徴とする基板検査用カメラのための照明装置を備える基板検査装置。
【請求項2】
前記照明装置の少なくとも1つは、発光色の切り換えを可能に前記光源を配設した請求項1に記載の基板検査用カメラのための照明装置を備える基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−160006(P2010−160006A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1299(P2009−1299)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】