説明

基板検査装置及び基板検査方法

【課題】時間の掛かる調整を行うことなく、基板を平坦に支持しながら、基板の全面を検査する。
【解決手段】基板1を搭載するステージは、ステージベース11及びブロック12を含んで構成されている。ステージベース11の上面には、細長い長方形のブロック12が、所定の間隔で複数取り付けられている。ブロック12は、ステージベース11に取り付けられた後、機械加工によって上面が均一な高さに削られている。各ブロック12には、吸着孔13が所定の間隔で複数設けられている。吸着孔13から空気を吸引することにより、ブロック12によって支持された基板1が真空吸着されてステージに固定される。基板1のブロック12で支持されていない部分には、光学系から検査光2が照射される。ステージに搭載された基板1の位置を検査光2の走査方向と直交する方向へ移動して、基板1のブロック12で支持される箇所を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示用パネル等の製造に用いられるガラス基板やプラスチック基板等の欠陥を検出する基板検査装置及び基板検査方法に係り、特に大型の基板の検査に好適な基板検査装置及び基板検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等の製造は、フォトリソグラフィー技術により、ガラス基板やプラスチック基板等の基板上にパターンを形成して行われる。その際、基板に傷や異物等の欠陥が存在すると、パターンが良好に形成されず、不良の原因となる。このため、基板検査装置を用いて、基板の傷や異物等の欠陥の検査が行われている。
【0003】
基板検査装置は、基板を搭載するステージと、レーザービーム等の検査光をステージに搭載された基板へ照射し、基板からの反射光又は散乱光を受光する光学系とを備え、光学系で受光した反射光又は散乱光の強度から基板の傷や異物等の欠陥を検出する。基板を搭載するステージは、従来、基板の湾曲を防止するため、特許文献1に記載の様に基板の下面を複数のピンで支持していた。
【特許文献1】特開平11−59894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の基板検査装置のステージは、基板を平坦に支持するために、基板の下面を支持する複数のピンの高さが均一となる様、ピンの高さを1本毎に調整しなければならなかった。近年、表示用パネルの大画面化に伴って基板が大型化する程、基板を支持するのに必要なピンの数が増加し、ピンの高さの調整に膨大な時間が掛かるという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、時間の掛かる調整を行うことなく、基板を平坦に支持しながら、基板の全面を検査することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の基板検査装置は、基板の下面を支持するブロックを所定の間隔で複数有し、基板を搭載するステージと、検査光をステージに搭載された基板へ斜めに照射する投光系と、検査光が基板の欠陥により散乱された散乱光を受光する受光系とを有する光学系と、ステージと光学系とを相対的に移動して、基板のブロックで支持されていない部分を投光系から照射された検査光により走査させる移動手段と、ステージに搭載された基板の位置を検査光の走査方向と直交する方向へ移動して、基板のブロックで支持される箇所を変更する基板シフト手段と、受光系が受光した散乱光の強度から基板の欠陥を検出する処理手段とを備えたものである。
【0007】
また、本発明の基板検査方法は、基板を搭載するステージに、基板の下面を支持するブロックを所定の間隔で複数設け、ステージと、投光系及び受光系を有する光学系とを相対的に移動しながら、検査光を投光系からステージに搭載された基板へ斜めに照射して、基板のブロックで支持されていない部分を検査光により走査させ、ステージに搭載された基板の位置を検査光の走査方向と直交する方向へ移動して、基板のブロックで支持される箇所を変更した後、ステージと光学系とを相対的に移動しながら、検査光を投光系からステージに搭載された基板へ斜めに照射して、基板の新たにブロックで支持されていない部分を検査光により走査させ、検査光が基板の欠陥により散乱された散乱光を受光系で受光し、受光系が受光した散乱光の強度から基板の欠陥を検出するものである。
【0008】
基板を搭載するステージに、基板の下面を支持するブロックを所定の間隔で複数設ける。複数のブロックを所定の間隔で設けることにより、ブロック間には溝が形成される。ステージに設けられたブロックは、機械加工によって上面を均一な高さに削ることができる。従って、従来の様な時間の掛かる調整を行うことなく、基板が平坦に支持される。
【0009】
具体例としては、複数のブロックをベースに取り付けた後、ブロックの上面を均一な高さに加工してもよい。あるいは、ブロック間の溝を削ることによって複数のブロックをベースと一体に構成した上で、ブロックの上面を均一な高さに加工してもよい。
【0010】
検査では、まず、ステージと、投光系及び受光系を有する光学系とを相対的に移動しながら、検査光を投光系からステージに搭載された基板へ斜めに照射して、基板のブロックで支持されていない部分を検査光により走査させる。検査光を基板へ斜めに照射するため、基板を透過した検査光がステージの溝の底面へ照射される位置は、検査光が基板へ照射される位置から大きくずれ、溝の底面で反射された検査光は受光系へ到達しない。続いて、ステージに搭載された基板の位置を検査光の走査方向と直交する方向へ移動して、基板のブロックで支持される箇所を変更する。そして、前述と同様にして、基板の新たにブロックで支持されていない部分を検査光により走査させる。これにより、基板の全面が検査される。
【0011】
さらに、本発明の基板検査装置は、ブロックが、基板を真空吸着する吸着孔を有するものである。また、本発明の基板検査方法は、ブロックに設けた吸着孔で基板を真空吸着するものである。
【0012】
基板を真空吸着することにより、基板に反りがあっても矯正されて、基板がより平坦に支持される。また、基板がステージに固定されるので、ステージを移動して検査光による基板の走査を行う場合、ステージを高速に移動することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基板を搭載するステージに、基板の下面を支持するブロックを所定の間隔で複数設けることにより、従来の様な時間の掛かる調整を行うことなく、基板を平坦に支持することができる。そして、ステージに搭載された基板の位置を検査光の走査方向と直交する方向へ移動して、基板のブロックで支持される箇所を変更することにより、基板の全面を検査することができる。
【0014】
さらに、ブロックに設けた吸着孔で基板を真空吸着することにより、基板の反りを矯正して、基板をより平坦に支持することができる。また、ステージを移動して検査光による基板の走査を行う場合、ステージを高速に移動することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態による基板検査装置の上面図である。図2は、本発明の一実施の形態による基板検査装置の側面図である。図3は、本発明の一実施の形態による基板検査装置の正面図である。基板検査装置は、検査テーブル3、脚4、基板シフト機構、ステージ10、ステージ移動機構、光学ユニット20a,20b,20c、及び光学ユニット移動機構を含んで構成されている。なお、本実施の形態は、光学ユニットを3つ設けた例を示しているが、本発明はこれに限らず、光学ユニットを1つ又は2つ、あるいは4つ以上設けてもよい。
【0016】
図2及び図3において、検査テーブル3は、脚4によって所定の高さに設置されている。図1において、検査テーブル3の上面にはステージ10が配置されており、ステージ10には基板1が搭載されている。ステージ10は、ステージベース11及びブロック12を含んで構成されている。ステージベース11は1枚の平板であって、その上面には、X方向に細長い長方形のブロック12が、Y方向に所定の間隔で複数取り付けられている。複数のブロック12を所定の間隔で取り付けることにより、ブロック12間にはX方向に細長い溝が形成される。ブロック12は、ステージベース11に取り付けられた後、機械加工によって上面を均一な高さに削られている。ステージ10に搭載された基板1は、ブロック12によって支持される。
【0017】
なお、ステージベース11は、1枚の平板の代わりに、Y方向に長い長方形の板をX方向に所定の間隔で複数並べて構成してもよい。また、ブロック12は、機械加工でブロック12間の溝を削ることによって、ステージベース11と一体に構成してもよい。
【0018】
図4(a)はステージの上面の一部の拡大図、図4(b)は図4(a)のD−D部の断面図である。図4(a)に示す様に、各ブロック12には、吸着孔13が所定の間隔で複数設けられている。吸着孔13は、図4(b)に示す様にステージベース11を貫通しており、ステージベース11の下面で図示しない真空設備へ接続されている。図示しない真空設備を用いて吸着孔13から空気を吸引することにより、ブロック12によって支持された基板1が真空吸着されてステージ10に固定される。
【0019】
基板1のブロック12で支持されていない部分には、後述する光学ユニット20a,20b,20cから検査光2が照射される。検査光2は、図4(a)に示す様に、断面が帯状となっている。検査光2の断面の長さLに対し、ブロック12の中心の間隔はその二倍(2L)、ブロック12の幅WはLより小さく(W<L)構成されている。なお、ステージベース11のブロック12が取り付けられていない部分には、開口14が複数設けられており、開口14には、後述するリフトピン9が挿入されている。
【0020】
図1において、ステージ移動機構は、Xガイド5、ボールねじ15、及びサーボモータ16を含んで構成されている。ステージ10の下面にはボールねじ15が取り付けられており、ボールねじ15にはサーボモータ16が連結されている。サーボモータ16は、検査テーブル3に設けた溝3d内に設置されている。ボールねじ15をサーボモータ16で回転させることにより、ステージ10が検査テーブル3に設けられたXガイド5に沿ってX方向へ移動する。
【0021】
光学ユニット移動機構は、Xガイド6、Yガイド7、移動台34、ボールねじ35,45、及びサーボモータ36,46を含んで構成されている。移動台34に、3つの光学ユニット20a,20b,20cが搭載されている。移動台34の側面にはボールねじ35が取り付けられており、ボールねじ35にはサーボモータ36が連結されている。サーボモータ36は、検査テーブル3の側面に設置されている。ボールねじ35をサーボモータ36で回転させることにより、移動台34が検査テーブル3に設けられたXガイド6に沿ってX方向へ移動する。
【0022】
また、光学ユニット20a,20b,20cにはボールねじ45が取り付けられており、ボールねじ45にはサーボモータ46が連結されている。サーボモータ46は、移動台34の上面に設置されている。ボールねじ45をサーボモータ46で回転させることにより、光学ユニット20a,20b,20cが移動台34に設けられたYガイド7に沿ってY方向へ移動する。
【0023】
図5は、光学ユニットの概略構成を示す図である。光学ユニット20a,20b,20cはそれぞれ、検査光2を基板1へ照射する投光系、基板1からの反射光を受光する反射光検出系、及び基板1からの散乱光を受光する受光系を含んで構成されている。
【0024】
投光系は、レーザー光源21、レンズ22,23、及びミラー24を含んで構成されている。レーザー光源21は、検査光2となるレーザー光を発生する。レンズ22は、レーザー光源21から発生されたレーザー光を集光する。レンズ23は、レンズ22で集光されたレーザー光を集束させる。ミラー24は、レンズ23で集束させたレーザー光を、検査光2として基板1へ斜めに照射する。
【0025】
基板1へ斜めに照射された検査光2の一部は基板1の表面で反射され、一部は基板1の内部へ透過する。基板1の表面に傷や異物等の欠陥がある場合、基板1へ照射された検査光2の一部が欠陥により散乱され、散乱光が発生する。基板1の内部へ透過した検査光2の一部は基板1の裏面で反射され、一部は基板1の裏面から外部へ射出される。基板1の裏面に傷や異物等の欠陥がある場合、基板1の内部へ透過した検査光2の一部が欠陥により散乱され、散乱光が発生する。基板1の裏面から外部へ射出された検査光2は、ステージ10に形成された溝を通過してステージベース11へ照射される。検査光2がステージベース11へ照射される位置は、検査光2が基板1へ照射される位置から図面の右側へ大きくずれるため、ステージベース11で反射された検査光2は反射光検出系及び受光系へ到達しない。
【0026】
反射光検出系は、ミラー24、レンズ25、及びCCDラインセンサー26を含んで構成されている。基板1の表面からの反射光は、ミラー24を介してレンズ25に入射する。レンズ25は、基板1の表面からの反射光を集束させ、CCDラインセンサー26の受光面に結像させる。
【0027】
このとき、CCDラインセンサー26の受光面における反射光の受光位置は、基板1の表面の高さによって変化する。図5に示す基板1の表面の高さを基準としたとき、基板1の表面の高さが基準より低い場合、基板1の表面で検査光2が照射及び反射される位置が図面の右側へ移動し、CCDラインセンサー26の受光面における反射光の受光位置が図面の左側へ移動する。逆に、基板1の表面の高さが基準より高い場合、基板1の表面で検査光2が照射及び反射される位置が図面の左側へ移動し、CCDラインセンサー26の受光面における反射光の受光位置が図面の右側へ移動する。
【0028】
CCDラインセンサー26は、受光面に複数のCCDが配列され、受光面で受光した反射光の強度に応じた検出信号を焦点調節制御回路38へ出力する。焦点調節制御回路38は、CPU70からの指令に従って、焦点調節機構39を駆動する。例えば、基板1の表面の欠陥の検査を行う場合、焦点調節制御回路38は、CCDラインセンサー26の検出信号から、基板1の表面からの反射光がCCDラインセンサー26の受光面の中心位置で受光される様に、焦点調節機構39を駆動して光学ユニット20a,20b,20cを移動させる。焦点調節機構39は、例えばパルスモータで構成され、焦点調節制御回路38からの駆動パルスに応じて光学ユニット20a,20b,20cを上下に移動させて焦点位置を調節する。
【0029】
受光系は、集光レンズ27、結像レンズ28、及びCCDラインセンサー29を含んで構成されている。集光レンズ27は、基板1の表面又は裏面からの散乱光を集光し、結像レンズ28は、集光レンズ27で集光された散乱光をCCDラインセンサー29の受光面に結像させる。CCDラインセンサー29は、受光面に複数のCCDが配列され、受光面で受光した散乱光の強度に応じた検出信号を信号変換回路50a,50b,50cへ出力する。
【0030】
図6は、本発明の一実施の形態による基板検査装置の制御系及び信号処理系の概略構成を示す図である。制御系は、XY移動制御回路30、駆動回路31,32,33、前述した焦点調節制御回路38、及びCPU70を含んで構成されている。
【0031】
XY移動制御回路30は、CPU70からの指令に従って、ステージ10及び光学ユニット20a,20b,20cのX方向への移動、並びに光学ユニット20a,20b,20cのY方向への移動を制御する。駆動回路31は、XY移動制御回路30の制御により、サーボモータ16を駆動して、ステージ10をX方向へ移動する。ステージ10のX方向への移動によって、ステージ10に搭載された基板1がX方向へ移動する。駆動回路32は、XY移動制御回路30の制御により、サーボモータ36を駆動して、移動台34をX方向へ移動する。移動台34のX方向への移動によって、移動台34に搭載された光学ユニット20a,20b,20cがX方向へ移動する。駆動回路33は、XY移動制御回路30の制御により、サーボモータ46を駆動して、光学ユニット20a,20b,20cをY方向へ移動する。
【0032】
図7は、本発明の一実施の形態による基板検査装置の動作を説明する図である。光学ユニット20a,20b,20cの投光系から照射された検査光2により基板1の走査を行う際、ステージ10と光学ユニット20a,20b,20cとをX方向へ互いに逆方向に移動して、1回の走査を行う。図7(a)は移動前の状態、図7(b)は移動中の状態、図7(c)は移動後の状態を示す。本実施の形態では、3つの光学ユニット20a,20b,20cが設けられているので、1回の走査によって、基板1のブロック12で支持されていない部分の内の3箇所の走査が行われる。
【0033】
1回の走査が終了すると、光学ユニット20a,20b,20cをY方向へ移動した後、基板1のブロック12で支持されていない他の部分について、次の走査を行う。これらの動作を繰り返して、基板1のブロック12で支持されていない部分全てについて、検査光2による走査を行う。
【0034】
基板1のブロック12で支持されていない部分全てについて、検査光2による走査が終了すると、基板検査装置は、基板シフト機構を用いて基板1のY方向へのシフトを行う。図8は、基板シフト機構の動作を説明する図である。基板シフト機構は、昇降ベース8及びリフトピン9を含んで構成されている。
【0035】
検査テーブル3の下方には、昇降ベース8が配置されており、昇降ベース8にはリフトピン9が複数取り付けられている。検査テーブル3には、リフトピン9が通る開口が設けられている。図8(a)に示す様に、昇降ベース8に取り付けられた複数のリフトピン9は、検査テーブル3に設けられた開口を通って、ステージベース11に設けられた開口14(図4参照)に挿入されている。昇降ベース8は、図示しない昇降機構によってZ方向へ移動し、これによりリフトピン9が、検査テーブル3に設けられた開口及びステージベース11に設けられた開口14を通って、上昇及び下降する。また、昇降ベース8は、図示しない移動機構によってY方向へ移動し、これによりリフトピン9が、検査テーブル3に設けられた開口内及びステージベース11に設けられた開口14内をY方向へ移動する。
【0036】
基板1のブロック12で支持されていない部分全てについて、検査光2による走査が終了すると、ブロック12の吸着孔13(図4参照)による真空吸着を解除した後、図8(b)に示す様に、昇降ベース8をZ方向へ上昇させ、基板1をリフトピン9によってブロック12から持ち上げる。
【0037】
次に、基板1をリフトピン9で持ち上げた状態で、図8(c)に示す様に昇降ベース8をY方向へ移動させる。これにより、リフトピン9で持ち上げられた基板1は、Y方向へシフトされる。基板1のY方向へのシフト量は、図4に示す検査光2の断面の長さLと等しくする。
【0038】
基板1のY方向へのシフトが終了すると、図8(d)に示す様に昇降ベース8をZ方向へ下降させ、リフトピン9で持ち上げていた基板1をブロック12に載せる。そして、ブロック12の吸着孔13(図4参照)によって、基板1を真空吸着する。このとき、基板1がY方向へ検査光2の断面の長さL分だけシフトされているので、基板1の既に検査が行われた部分がブロック12で支持され、基板1の未だ検査が行われていない部分がステージ10に形成された溝の上空に配置される。
【0039】
基板1をY方向へシフトした後、基板1の新たにブロック12で支持されていない部分について、前述と同様に1回の走査と光学ユニット20a,20b,20cのY方向への移動とを繰り返して、検査光2による走査を行う。
【0040】
図9は、本発明の一実施の形態による基板検査装置の基板の走査を説明する図である。図9(a)は基板1のシフト前の走査領域を示し、図9(b)は基板1のシフト後の走査領域を示す。図9(a),(b)において、矢印An,Bn,Cn(nは自然数)はそれぞれ、n回目の走査で光学ユニット20a,20b,20cの各検査光2が基板1を走査する方向を示す。矢印の周囲の灰色で示した部分が走査領域である。本実施の形態では、図9(a)に示す様に、1回目〜6回目の走査によりシフト前の基板1のブロック12で支持されていない部分の走査が行われる。そして、図9(b)に示す様に、7回目〜12回目の走査によりシフト後の基板1のブロック12で支持されていない部分の走査が行われる。従って、基板1のシフト前とシフト後を合わせて、合計12回の走査によって基板1の全面の走査が行われる。
【0041】
図6において、信号処理系は、検査位置検出回路40、信号変換回路50a,50b,50c、信号処理回路60、CPU70、及び出力装置80を含んで構成されている。
【0042】
検査位置検出回路40は、ロータリエンコーダ17,37,47、カウンタ41,42,43、及び加算回路44を含んで構成されている。ロータリエンコーダ17,37,47はそれぞれ、サーボモータ16,36,46に取り付けられており、サーボモータ16,36,46の回転量を検出して、検出した回転量に応じたパルス信号を出力する。カウンタ41,42,43はそれぞれ、ロータリエンコーダ17,37,47の出力パルスを一定のタイミングで読み取ってカウントし、カウント結果を出力する。
【0043】
カウンタ41の出力は、ステージ10のX方向への移動量を示し、カウンタ42の出力は、光学ユニット20a,20b,20cのX方向への移動量を示す。検査位置検出回路40は、カウンタ41,42の出力を加算回路44で加算して、検査光2が照射されている基板1上のX方向の位置を検出する。また、カウンタ43の出力は、光学ユニット20a,20b,20cのY方向への移動量を示し、これにより検査位置検出回路40は、検査光2が照射されている基板1上のY方向の位置を検出する。検査位置検出回路40が検出した検査光2が照射されている基板1上のX方向及びY方向の位置は、信号処理回路60へ入力される。
【0044】
信号変換回路50a,50b,50cは、光学ユニット20a,20b,20cのCCDラインセンサー29(図5参照)の検出信号をディジタル信号に変換して、信号処理回路60へ出力する。信号処理回路60は、内部メモリを備え、信号変換回路50a,50b,50cから入力したディジタル信号をディジタルデータとして内部メモリに記憶する。このとき信号処理回路60は、ディジタルデータを、検査位置検出回路40から入力した検査光2が照射されている基板上のX方向及びY方向の位置と関連付けて記憶する。そして、信号処理回路60は、CPU70の制御により、内部メモリに記憶したディジタルデータを処理して、CCDラインセンサー29の受光面で受光した散乱光の強度から基板1の表面又は裏面の欠陥を検出する。CPU70は、信号処理回路60の検出結果をディスプレイやプリンタ等から成る出力装置80へ出力する。
【0045】
図10は、本発明の他の形態による基板検査装置の上面図である。光学ユニット20a,20b,20cの配置は、図1の様に近接して設けるだけでなく、図10に示す様におおよそ基板1のY方向幅を光学ユニット数で分割した間隔ずつずらして予め配置し、走査を行うようにしてもよい。
【0046】
図11は、本発明の他の形態による基板検査装置の基板の走査を説明する図である。図11(a)は基板1のシフト前の走査領域を示し、図11(b)は基板1のシフト後の走査領域を示す。図11(a),(b)において、矢印An,Bn,Cn(nは自然数)はそれぞれ、n回目の走査で光学ユニット20a,20b,20cの各検査光2が基板1を走査する方向を示す。矢印の周囲の灰色で示した部分が走査領域である。
【0047】
本実施の形態によれば、図1の様に光学ユニット20a,20b,20cを近接して設置した場合に比べ、1往復の走査が終了した後の光学ユニット20a,20b,20cのY方向への移動量を少なくすることができる。
【0048】
以上説明した実施の形態によれば、基板1を搭載するステージ10に、基板1の下面を支持するブロック12を所定の間隔で複数設けることにより、従来の様な時間の掛かる調整を行うことなく、基板1を平坦に支持することができる。そして、ステージ10に搭載された基板1を検査光2の走査方向と直交する方向へシフトして、基板1のブロック12で支持される箇所を変更することにより、基板1の全面を検査することができる。
【0049】
さらに、ブロック12に設けた吸着孔13で基板1を真空吸着することにより、基板1の反りを矯正して、基板1をより平坦に支持することができる。また、基板1がステージ10に固定されるので、検査光2による基板1の走査を行う際、ステージ10を高速に移動することが可能となる。
【0050】
なお、以上説明した実施の形態では、検査光2により基板1の走査を行う際、ステージ10と光学ユニット20a,20b,20cの両方を移動していたが、本発明は、ステージと光学系のいずれか一方だけを移動する基板検査装置にも適用される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施の形態による基板検査装置の上面図である。
【図2】本発明の一実施の形態による基板検査装置の側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態による基板検査装置の正面図である。
【図4】図4(a)はステージの上面の一部の拡大図、図4(b)は図4(a)のD−D部の断面図である。
【図5】光学ユニットの概略構成を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態による基板検査装置の制御系及び信号処理系の概略構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態による基板検査装置の動作を説明する図である。
【図8】基板シフト機構の動作を説明する図である。
【図9】本発明の一実施の形態による基板検査装置の基板の走査を説明する図である。
【図10】本発明の他の形態による基板検査装置の上面図である。
【図11】本発明の他の形態による基板検査装置の基板の走査を説明する図である。
【符号の説明】
【0052】
1 基板
2 検査光
3 検査テーブル
4 脚
5,6 Xガイド
7 Yガイド
8 昇降ベース
9 リフトピン
10 ステージ
11 ステージベース
12 ブロック
13 吸着孔
14 開口
15 ボールねじ
16 サーボモータ
17 ロータリエンコーダ
20a,20b,20c 光学ユニット
21 レーザー光源
22,23 レンズ
24 ミラー
25 レンズ
26 CCDラインセンサー
27 集光レンズ
28 結像レンズ
29 CCDラインセンサー
30 XY移動制御回路
31,32,33 駆動回路
34 移動台
35,45 ボールねじ
36,46 サーボモータ
37,47 ロータリエンコーダ
38 焦点調節制御回路
39 焦点調節機構
40 検査位置検出回路
41,42,43 カウンタ
44 加算回路
50a,50b,50c 信号変換回路
60 信号処理回路
70 CPU
80 出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の下面を支持するブロックを所定の間隔で複数有し、基板を搭載するステージと、
検査光を前記ステージに搭載された基板へ斜めに照射する投光系と、検査光が基板の欠陥により散乱された散乱光を受光する受光系とを有する光学系と、
前記ステージと前記光学系とを相対的に移動して、基板の前記ブロックで支持されていない部分を前記投光系から照射された検査光により走査させる移動手段と、
前記ステージに搭載された基板の位置を検査光の走査方向と直交する方向へ移動して、基板の前記ブロックで支持される箇所を変更する基板シフト手段と、
前記受光系が受光した散乱光の強度から基板の欠陥を検出する処理手段とを備えたことを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
前記ステージは、前記複数のブロックを支えるベースを有し、
前記複数のブロックは、前記ベースに取り付けられた後、上面を均一な高さに加工されたことを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記ステージは、前記複数のブロックを支えるベースを有し、
前記複数のブロックは、ブロック間の溝を削ることによって前記ベースと一体に構成され、かつ上面を均一な高さに加工されたことを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記ブロックは、基板を真空吸着する吸着孔を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の基板検査装置。
【請求項5】
基板を搭載するステージに、基板の下面を支持するブロックを所定の間隔で複数設け、
ステージと、投光系及び受光系を有する光学系とを相対的に移動しながら、検査光を投光系からステージに搭載された基板へ斜めに照射して、基板のブロックで支持されていない部分を検査光により走査させ、
ステージに搭載された基板の位置を検査光の走査方向と直交する方向へ移動して、基板のブロックで支持される箇所を変更した後、
ステージと光学系とを相対的に移動しながら、検査光を投光系からステージに搭載された基板へ斜めに照射して、基板の新たにブロックで支持されていない部分を検査光により走査させ、
検査光が基板の欠陥により散乱された散乱光を受光系で受光し、
受光系が受光した散乱光の強度から基板の欠陥を検出することを特徴とする基板検査方法。
【請求項6】
ブロックに設けた吸着孔で基板を真空吸着することを特徴とする請求項5に記載の基板検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−194754(P2006−194754A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7144(P2005−7144)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000233480)日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社 (34)
【Fターム(参考)】