説明

基板洗浄装置および基板洗浄方法

【課題】基板の縁部を対象とする縁部洗浄において、表裏均一で良好な洗浄効果を確保することができる基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供する。
【解決手段】基板の縁部を挟み込む2つの押圧部材のそれぞれの押圧面に洗浄液を供給する第1洗浄剤供給機構、第2洗浄剤供給機構の第1開閉バルブ29,第2開閉バルブ30を制御して、表裏それぞれの押圧面に対して2つのノズルによって洗浄剤を供給する個別の塗布動作を、予め定められたインターバル時間T3で規定される所定のタイムラグによって時間的に隔てられた異なるタイミングにて行う。これにより、供給タンクから洗浄剤の供給対象となる縁部の表裏両面に至る液送配管が異なる場合にあっても、表裏均一で良好な洗浄効果を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルなどの基板の縁部を洗浄して異物を除去する基板洗浄装置および基板洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルなどの表示パネルの製造工程では、ガラス基板の縁部に形成された端子にサブ基板が接続される。この接続の方法として異方性導電材によってガラス基板にサブ基板を接合する方法が用いられる。この接合に先立って、ガラス基板の縁部の表裏面に付着した異物の除去や、ガラス基板表面に電子部品を実装するために貼付されるACF(異方性導電接着剤)の貼着性を向上させることを目的とした縁部洗浄が行われる。
【0003】
この縁部洗浄は、ガラス基板の縁部の表裏両面に洗浄剤が含浸された状態の洗浄クロスを、一対の押圧部材によって表裏両面に押し付けて縁部を挟持した状態で、ガラス基板を洗浄クロスに対して相対的にスライドさせることによって行われる。これにより洗浄クロスによってガラス板の上下両面に付着した付着物が拭き取られる(例えば特許文献1参照)。この特許文献に示す先行技術においては、洗浄クロス(洗浄用テープ)を送る送り動作中に、上下個別に設けられたノズルから縁部の表裏両面に対して洗浄剤を継続して吐出して洗浄用テープに含浸させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−33970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、縁部洗浄において良好な洗浄効果を確保するためには、適正量の洗浄剤を表裏両面に均一に供給する必要がある。しかしながら上述の先行技術に示す洗浄剤の供給方法には、以下に説明するような洗浄剤の供給量のばらつきが避け難いという問題があった。すなわち、洗浄剤は装置本体に付属して設けられた供給タンクからポンプによって圧送されて液送配管を介してノズルまで供給される。ところが、供給タンクから洗浄剤の供給対象となる縁部の表裏両面に至る液送配管は表と裏とでは配管経路が異なり、また配管内部の経時的な汚損状態も異なることから、必ずしも均一な液送状態が保たれているとは限らない。このため、表裏両面に同時に塗布すると表裏面によって洗浄剤の吐出タイミングや吐出量がばらつく不具合が生じて、表裏均一で良好な洗浄効果を確保することが難しいという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、基板の縁部を対象とする縁部洗浄において、表裏均一で良好な洗浄効果を確保することができる基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板洗浄装置は、基板において外部接続用の端子が形成された縁部を洗浄剤を含浸させた洗浄クロスによって洗浄する基板洗浄装置であって、前記基板を保持する保持テーブルと、前記保持テーブルを昇降および水平移動させるテーブル移動機構と、前記縁部の表裏両面に前記洗浄クロスを押しつける一対の第1押圧部材、第2押圧部材およびこれら一対の押圧部材を開閉する開閉駆動手段を有する挟持機構と、前記洗浄クロスをクロス供給手段から引き出し、前記第1押圧部材、第2押圧部材のそれぞれの押圧面を経由してクロス回収手段に送るクロス送り機構と、洗浄剤貯留部に貯留された前記洗浄剤を、前記第1押圧部材、第2押圧部材のそれぞれの押圧面に供給する第1洗浄剤供給機構、第2洗浄剤供給機構と、前記第1洗浄剤供給機構、第2洗浄剤供給機構を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記第1押圧部材、第2押圧部材のそれぞれの前記押圧面に対して、前記洗浄剤を所定のタイムラグによって時間的に隔てられた異なるタイミングにて供給させる。
【0008】
本発明の基板洗浄方法は、基板を保持する保持テーブルと、前記保持テーブルを昇降および水平移動させるテーブル移動機構と、前記基板の縁部の表裏両面に洗浄クロスを押しつける一対の第1押圧部材、第2押圧部材およびこれら一対の押圧部材を開閉する開閉駆動手段を有する挟持機構と、前記洗浄クロスをクロス供給手段から引き出し、前記第1押圧部材、第2押圧部材のそれぞれの押圧面を経由してクロス回収手段に送るクロス送り機構と、洗浄剤貯留部に貯留される洗浄剤を、前記第1押圧部材、第2押圧部材のそれぞれの押圧面に供給する第1洗浄剤供給機構、第2洗浄剤供給機構とを備えた基板洗浄装置によって、前記基板において外部接続用の端子が形成された前記縁部を前記洗浄剤を含浸させた洗浄クロスによって洗浄する基板洗浄方法であって、前記第1洗浄剤供給機構、第2洗浄剤供給機構を制御することにより、前記第1押圧部材、第2押圧部材のそれぞれの前記押圧面に対して、前記洗浄剤を所定のタイムラグによって時間的に隔てられた異なるタイミングにて供給させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の基板洗浄装置および基板洗浄方法によれば、第1押圧部材、第2押圧部材のそれぞれの押圧面に洗浄剤を供給する第1洗浄剤供給機構、第2洗浄剤供給機構を制御して、それぞれの押圧面に対して洗浄剤を所定のタイムラグによって時間的に隔てられた異なるタイミングにて供給させる塗布方式を用いることにより、基板の縁部を対象とする縁部洗浄において、供給タンクから洗浄剤の供給対象となる縁部の表裏両面に至る液送配管の配管経路が異なる場合にあっても、表裏均一で良好な洗浄効果を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態の基板洗浄装置の斜視図
【図2】本発明の一実施の形態の基板洗浄装置の部分斜視図
【図3】本発明の一実施の形態の基板洗浄装置における洗浄剤供給機構の構成説明図
【図4】本発明の一実施の形態の基板洗浄装置の洗浄ヘッドにおけるヘッド駆動機構の構成説明図
【図5】本発明の一実施の形態の基板洗浄装置の洗浄ヘッドにおける押圧部材の動作説明図
【図6】本発明の一実施の形態の基板洗浄装置の制御系の構成を示すブロック図
【図7】本発明の一実施の形態の基板洗浄方法を示すフロー図
【図8】本発明の一実施の形態の基板洗浄方法における洗浄剤供給タイミングを示すタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して基板洗浄装置1の構成について説明する。基板洗浄装置1は、表示パネルなどのガラス材質の基板において、外部接続用の端子が形成された縁部を、洗浄剤を含浸させた洗浄クロスによって洗浄する機能を有するものである。
【0012】
図1において、基台2上にはパネル搬送機構3、テーブル移動機構4、拭き取り洗浄機構5が配設されている。パネル搬送機構3は、送りねじ11a、ナット部材11b、ナット部材11bを回転駆動するモータ11Mを備えた直動機構によって、移動プレート12をX方向に往復移動させる構成となっている。移動プレート12にはY方向に延出して2つの保持アーム12aが設けられており、上流側装置から受け渡され、保持アーム12a上に載置された作業対象となる基板6は、図中破線で示すように、テーブル移動機構4に受け渡される。
【0013】
基板6は複数のガラス基板を積層した構成となっており、下層側のガラス基板が露呈された縁部6aには、外部接続用の端子6bが形成されている。端子6bには、ドライバ部品が実装されたサブ基板を接続するためのフレキシブル基板が接合され、この接合作業に先立って、基板洗浄装置1により縁部6aに付着した異物を拭き取り除去するための縁部洗浄作業が実行される。
【0014】
テーブル移動機構4は、Y軸テーブル13Y、X軸テーブル13XおよびZΘ軸テーブル13ZΘを積層し、ZΘ軸テーブル13ZΘ上に、基板6を吸着保持する保持テーブル14を載置した構成となっている。テーブル移動機構4を駆動することにより、保持テーブル14は昇降(Z方向)および水平移動(X、Y、Θ各方向)し、これにより移動テーブル11から受け渡された基板6を、以下に説明する拭き取り洗浄機構5に対して位置決めする。この位置決めに際しては、端子6bを撮像装置20(図2参照)によって撮像して認識した認識結果に基づいてテーブル移動機構4を駆動する。
【0015】
拭き取り洗浄機構5は、縁部6aをテープ状の洗浄クロス7によって洗浄する機能を有しており、基台2上に垂直に立設されたベースフレーム17に、狭持ヘッド15、ヘッド駆動機構16、クロス供給リール18およびクロス回収リール19を配設した構成となっている。縁部洗浄に際しては、ヘッド駆動機構16によって狭持ヘッド15を駆動することにより、縁部6aの表裏両面に洗浄クロス7を押し付ける。
【0016】
そしてこの状態でテーブル移動機構4を駆動して基板6を水平移動させることにより、押し付けられた洗浄クロス7によって縁部6aの表裏面を拭き取り洗浄する。クロス供給リール18(クロス供給手段)は、吸液性を有するシート素材をテープ状に成形した洗浄クロス7を卷回状態で収納する。クロス送り機構8によってクロス供給リール18から引き出された洗浄クロス7は、狭持ヘッド15に送給されて縁部洗浄に使用された後、クロス回収リール19(クロス回収手段)に巻き取られて回収される。
【0017】
次に図2〜図5を参照して、拭き取り洗浄機構5の構造を説明する。図2に示すように、クロス供給リール18,クロス回収リール19は、ベースフレーム17のそれぞれの面に同軸で配置されている。クロス送り機構8は、駆動ローラ22とピンチローラ22a、駆動ローラ24とピンチローラ24aとをそれぞれ組み合わせた2つの送り駆動部を備えており、洗浄クロス7の送り経路における変曲部に配置された複数のガイドローラ21、23によってクロス送りをガイドする構成となっている。駆動ローラ22、24を駆動することにより、クロス供給リール18から洗浄クロス7が引き出されて狭持ヘッド15に導かれ(矢印a)、狭持ヘッド15に配設された第1押圧部材25、ガイドローラ23、第2押圧部材26を順次周回して(矢印b)、クロス回収リール19に回収される。
【0018】
図3は、狭持ヘッド15における第1押圧部材25、第2押圧部材26の配置、洗浄クロス7の移動経路および洗浄剤の供給の詳細について示している。第1押圧部材25、第2押圧部材26は、基板6において下層のガラス基板が露呈した縁部6aの表面6c、裏面6d(図4(b)参照)にそれぞれ洗浄クロス7を押し付ける機能を有している。表面6cにおいて洗浄クロス7をコーナ近傍まで良好に押し付けることができるように、以下に説明するような形状となっている。
【0019】
図4(a)に示すように、第1押圧部材25には、洗浄クロス7を縁部6aの上面側に押し付けるための押圧面25aおよび斜め上方向から送られる洗浄クロス7を押圧面25aに導くためのテーパ状のガイド面25bが設けられている。また第2押圧部材26には、洗浄クロス7を縁部6aの下面側に押しつけるための押圧面26aおよび押圧面26aを経て折り返された洗浄クロス7を、斜め下方に導くガイド面26bが設けられている。押圧面25aとガイド面25bとの頂辺25cおよび押圧面26aとガイド面26bとの頂辺26cは、いずれも頂角が鋭角の断面形状に設定されており、洗浄クロス7を縁部6aに確実に押し付けることができるようになっている。
【0020】
クロス送り機構8によって送られた洗浄クロス7はガイド面25bによって導かれ(矢印c)、頂辺25cを周回して第1押圧部材25の下面側に至り、押圧面25aに沿って水平方向に導かれて(矢印d)洗浄に使用される。そして洗浄クロス7はさらにガイドローラ23(図2参照)を周回して折り返されて第2押圧部材26の上面側に至り、押圧面26aに沿って導かれて(矢印e)洗浄に使用される。この後の洗浄クロス7は頂辺26cを周回してた後ガイド面26bによって導かれ(矢印f)、さらに駆動ローラ24(図2参照)によって送り駆動されることにより、クロス回収リール19に回収される。すなわち、クロス送り機構8は、洗浄クロス7をクロス供給リール18から引き出し、第1押圧部材25、第2押圧部材26のそれぞれの押圧面25a、26aを経由してクロス回収リール19に送る機能を有している。
【0021】
図3において、第1押圧部材25、第2押圧部材26には、それぞれ第1ノズルブロック27、第2ノズルブロック28が付属して設けられれている。第1ノズルブロック27、第2ノズルブロック28は同一構成であり、それぞれ有機溶剤やアルコールなどの洗浄剤を吐出する第1ノズル27a、第2ノズル28a、洗浄剤の塗布状態を検出するための第1センサ27b、第2センサ28bを備えている。第1ノズル27a、第2ノズル28aは、それぞれ第1開閉バルブ29、第2開閉バルブ30を介して液送ポンプ31に接続されており、液送ポンプ31は洗浄剤貯留部32に貯留された洗浄剤を圧送する。
【0022】
液送ポンプ31、第1開閉バルブ29および第2開閉バルブ30は、制御装置34によって制御され、液送ポンプ31を作動させた状態で、第1開閉バルブ29および第2開閉バルブ30をONN/OFFすることにより、第1ノズル27a、第2ノズル28aからの洗浄剤の吐出(矢印g、h)をONN/OFFすることができる。液送ポンプ31、第1開閉バルブ29、第1ノズル27aは、洗浄剤貯留部32に貯留された洗浄剤を第1押圧部材25に供給する第1洗浄剤供給機構を構成し、液送ポンプ31、第2開閉バルブ30、第2ノズル28aは、洗浄剤貯留部32に貯留された洗浄剤を第2押圧部材26に供給する第2洗浄剤供給機構を構成する。そして制御装置34は、上述構成の第1洗浄剤供給機構、第2洗浄剤供給機構を制御することにより、洗浄剤の吐出動作を実行させる。
【0023】
第1センサ27b、第2センサ28bは、グラスファイバによって光信号を伝達するファイバセンサであり、洗浄クロス7に対して吐出された洗浄剤の塗布状態を光学的に検出した検出信号を出力する機能を有している。第1センサ27b、第2センサ28bは、それぞれ第1ノズル27a、第2ノズル28aと近接して並列する位置に、洗浄剤の吐出方向(矢印g、h方向)に検出面を向けて装着されている。 第1センサ27b、第2センサ28bはそれぞれ塗布検出部33に接続されており、第1センサ27b、第2センサ28bから伝達された検出信号に基づき、塗布検出部33は押圧面25a,押圧面26aにおける洗浄剤の塗布状態を検出する。第1センサ27b、第2センサ28bおよび塗布検出部33は、塗布検出装置36を構成する。検出結果は制御装置34に伝達され、制御装置34はこの検出結果に応じて、必要な制御処理を行う。すなわち、塗布量が規定量を下回っていることが検出されたならば、表示装置38によってその旨の警告表示を行い、さらのその状態が所定時間以上継続している場合には、洗浄動作を停止する。
【0024】
図4(b)は、このようにして洗浄クロス7に洗浄剤が含浸された状態の第1押圧部材25および第2押圧部材26をヘッド駆動機構16によって駆動して、縁部6aを挟み込んだ状態を示している。すなわち第1押圧部材25、第2押圧部材26を相接近する方向に閉方向に移動させ(矢印k、l)、押圧面25a、押圧面26aを、それぞれ洗浄クロス7を介して表面6c、裏面6dに押し付ける。そしてこの状態でテーブル移動機構4を駆動して基板6を洗浄動作方向(X方向)に水平移動させることにより、洗浄剤が含浸された洗浄クロス7によって縁部6aの表裏両面が清掃され、付着異物を除去する縁部洗浄が行われる。
【0025】
ここで図5を参照して、狭持ヘッド15において第1押圧部材25、第2押圧部材26を開閉させるヘッド駆動機構16の構成について説明する。ヘッド駆動機構16は、ベースフレーム17の一方側の側方に立設された縦プレート16aの側面に、ロッド41a、42aを上下対向させた姿勢で配置されたシリンダ41、42を備えている。ロッド41a、42aは、ベースフレーム17に設けられた開口部17aを挿通して反対面側に突出したリンク部材44、45に、結合部材43を介して結合されている。
【0026】
リンク部材44、45は昇降ブロック48、49に結合されており、昇降ブロック48、49は、ガイドレール46、スライダ47よりなるスライド機構によって上下スライド自在に配設されている。昇降ブロック48、49には、それぞれ第1押圧部材25、第2押圧部材26が結合されており、シリンダ41、42を駆動することにより、第1押圧部材25、第2押圧部材26は、相互に接近・離隔する方向に上下動する(矢印m、n)。ここで、昇降ブロック48、49の間にはスプリング50が介在しており、これにより、第1押圧部材25、第2押圧部材26によって挟み込む対象となる基板6の高さ位置がばらつく場合にあっても、スプリング50の弾性力の範囲で、第1押圧部材25、第2押圧部材26による挟み持高さ位置を基板6の高さに倣わせるフローティング動作が実現される。
【0027】
上記構成において、ヘッド駆動機構16は、縁部6aの表裏両面に洗浄クロス7を押し付ける1対の第1押圧部材25、第2押圧部材26を開閉する開閉駆動手段となっている。そして、狭持ヘッド15は、第1押圧部材25、第2押圧部材26および開閉駆動手段を有する狭持機構となっている。
【0028】
次に図6を参照して、制御系の構成を説明する。図6において、制御装置34は、パネル搬送機構3、テーブル移動機構4、クロス送り機構8、ヘッド駆動機構16、洗浄剤供給機構35、表示装置38の各部を制御する。この制御処理においては、塗布検出装置36、撮像装置20、入力装置37から入力および記憶装置39に記憶されたデータが参照される。ここで記憶装置39に記憶されるデータには、洗浄剤の塗布順序、塗布パターンを定義するデータや、上下2つのノズルで個別に交互に塗布する際のインターバル時間が含まれる。
【0029】
制御装置34がパネル搬送機構3、テーブル移動機構4を制御することにより、基板6の受け渡しおよび拭き取り洗浄機構5に対する位置決めが行われ、このとき撮像装置20によって取得された位置認識結果に基づいて、基板6の位置が補正される。また制御装置34が、クロス送り機構8、ヘッド駆動機構16、洗浄剤供給機構35を制御することにより、拭き取り洗浄機構5による縁部6aを対象とした基板洗浄動作が実行される。このとき入力装置37から入力される塗布順序や、塗布検出装置36による塗布状態の検出結果が参照される。
【0030】
次に基板洗浄動作における洗浄剤の塗布動作について、図7、図8を参照して説明する。図7において、まず塗布順序の指定が行われる(ST1)。すなわち、第1ノズル27a、第2ノズル28aの2つのノズルについて、先に洗浄剤の塗布を実行する「先ノズル」と、後に洗浄剤の塗布を実行する「後ノズル」の指定を、入力装置37からの入力により行う。これにより、以下の縁部6aの表裏面を対象とした洗浄剤の塗布における塗布順序が設定される。ここでは、第1ノズル27aが先ノズルに、第2ノズル28aが後ノズルに指定された例を示している。
【0031】
塗布動作が開始されると、まず先ノズルである第1ノズル27aによって、洗浄剤を所定時間/所定回数でノズルから吐出させ、洗浄クロス7に塗布する(ST2)。すなわち、制御装置34によって第1開閉バルブ29第2開閉バルブ30を制御して、図8に示すように、タイミングt1〜t2の間、第1開閉バルブ29を所定のパターンPでON/OFFすることにより、第1ノズル27aから洗浄剤を吐出させて洗浄クロス7に塗布する塗布動作が実行される。ここでは、吐出時間T1の間だけ第1開閉バルブ29をON状態にするON動作をインターバル時間T2で複数回(ここでは2回)実行するパターンの例を示している。
【0032】
次いで、第1ノズル27aによる塗布動作を終了したタイミングt2から、予め設定されたインターバル時間T3だけ時間待ちし(ST3)、その後時間待ちが完了したタイミングt3において、後ノズルである第2ノズル28aによる塗布動作が開始される(ST4)。すなわち、前述のパターンPによって第2開閉バルブ30をON/OFFすることにより、第2ノズル28aから洗浄剤を吐出させて洗浄クロス7に塗布する塗布動作が実行される。そしてこの後、同様の塗布動作が第1ノズル27a、第2ノズル28aによって交互に実行される。この場合においても、一方のノズルによる塗布動作を終了したタイミングから、予め設定されたインターバル時間T3の時間待ちが完了したタイミングにおいて、他方のノズルによる塗布動作が開始される。
【0033】
すなわち、上述の基板洗浄方法においては、制御装置34(制御部)は、第1押圧部材25、第2押圧部材26のそれぞれの押圧面25a、26aに対して、インターバル時間T3で規定される所定のタイムラグによって時間的に隔てられた異なるタイミングにて、洗浄剤を供給させるようにしている。これにより、従来の洗浄剤の供給において生じていた洗浄剤の供給量のばらつきを防止することが可能となっている。
【0034】
すなわち従来技術においては、縁部6aの表裏面に洗浄剤を供給する2つのノズルの吐出タイミングを同一に設定していたため、これらのノズルから吐出される洗浄剤の吐出量は、ポンプからノズルに至る配管経路の流路抵抗の相違によって異なったものとなっていた。これに対し、本実施の形態に示す基板洗浄方法においては、第1ノズル27a、第2ノズル28aのそれぞれによる洗浄剤の吐出タイミングを、所定のタイムラグによって時間的に隔てられた異なるタイミングに設定することから、2つのノズルから同時に洗浄剤を吐出させる場合において配管特性の相違によって生じる吐出量のばらつきを防止して、表裏均一で良好な洗浄効果を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の基板洗浄装置および基板洗浄方法は、基板の縁部を対象とする縁部洗浄において、表裏均一で良好な洗浄効果を確保することができるという効果を有し、表示パネルなどの基板の外部接続用の端子が形成された縁部を洗浄する用途に有用である。
【符号の説明】
【0036】
1 基板洗浄装置
3 パネル搬送機構
4 テーブル移動機構
5 拭き取り洗浄機構
6 基板
6a 縁部
6b 端子
7 洗浄クロス
8 クロス送り機構
14 保持テーブル
15 狭持ヘッド
16 ヘッド駆動機構
18 クロス供給リール
19 クロス回収リール
25 第1押圧部材
25a、26a 押圧面
27a 第1ノズル
28a 第2ノズル
29 第1開閉バルブ
30 第2開閉バルブ
31 液送ポンプ
32 洗浄剤貯留部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板において外部接続用の端子が形成された縁部を洗浄剤を含浸させた洗浄クロスによって洗浄する基板洗浄装置であって、
前記基板を保持する保持テーブルと、前記保持テーブルを昇降および水平移動させるテーブル移動機構と、前記縁部の表裏両面に前記洗浄クロスを押しつける一対の第1押圧部材、第2押圧部材およびこれら一対の押圧部材を開閉する開閉駆動手段を有する挟持機構と、
前記洗浄クロスをクロス供給手段から引き出し、前記第1押圧部材、第2押圧部材のそれぞれの押圧面を経由してクロス回収手段に送るクロス送り機構と、
洗浄剤貯留部に貯留された前記洗浄剤を、前記第1押圧部材、第2押圧部材のそれぞれの押圧面に供給する第1洗浄剤供給機構、第2洗浄剤供給機構と、前記第1洗浄剤供給機構、第2洗浄剤供給機構を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1押圧部材、第2押圧部材のそれぞれの前記押圧面に対して、前記洗浄剤を所定のタイムラグによって時間的に隔てられた異なるタイミングにて供給させることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項2】
基板を保持する保持テーブルと、前記保持テーブルを昇降および水平移動させるテーブル移動機構と、前記基板の縁部の表裏両面に洗浄クロスを押しつける一対の第1押圧部材、第2押圧部材およびこれら一対の押圧部材を開閉する開閉駆動手段を有する挟持機構と、前記洗浄クロスをクロス供給手段から引き出し、前記第1押圧部材、第2押圧部材のそれぞれの押圧面を経由してクロス回収手段に送るクロス送り機構と、洗浄剤貯留部に貯留される洗浄剤を、前記第1押圧部材、第2押圧部材のそれぞれの押圧面に供給する第1洗浄剤供給機構、第2洗浄剤供給機構とを備えた基板洗浄装置によって、前記基板において外部接続用の端子が形成された前記縁部を前記洗浄剤を含浸させた洗浄クロスによって洗浄する基板洗浄方法であって、
前記第1洗浄剤供給機構、第2洗浄剤供給機構を制御することにより、前記第1押圧部材、第2押圧部材のそれぞれの前記押圧面に対して、前記洗浄剤を所定のタイムラグによって時間的に隔てられた異なるタイミングにて供給させることを特徴とする基板洗浄方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−224438(P2011−224438A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94691(P2010−94691)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】