説明

基板焼成装置

【課題】基板と基板支持部の接触面積を増加させることにより、焼成装置の内部温度が上昇及び下降することで、基板支持部が収縮・膨脹しながら、基板にスクラッチを発生させることを防止できる基板焼成装置を提供する。
【解決手段】焼成炉10内部に熱を供給して基板Sを焼成温度で加熱する加熱部21と、前記基板Sが積載されるように内側面に水平に設置される支持フレーム30a及び前記支持フレーム30aの一領域から中央部側へ突出する少なくとも1つの支持ピン30bとを備え、上下方向に一定間隔で設置される石英材質の第1支持部30、前記第1支持部30の前記支持ピン30b上に配置されて前記基板S下部面の枠と一定領域だけ接触するように設置される石英材質の第2支持部40とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板焼成装置に関し、より具体的には、基板と基板支持部の接触面積を増加させることにより、焼成装置の内部温度が上昇及び下降することで、基板支持部が収縮・膨脹しながら、基板にスクラッチを発生させることを防止できる基板焼成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、プラズマ表示装置、液晶表示装置、有機電界発光表示装置などの平板表示装置を製造するにおいて、電極層、誘電体層、隔壁などを形成するためには、これらを構成する材料、形成方法などによって差はあるが、印刷工程、乾燥工程、焼成工程などを行う。
【0003】
このうち、焼成工程とは、組み合わせられた原料を加熱して硬化性物質を作る工程のことをいう。このような焼成工程を進める基板焼成装置には多数の基板が板の厚さ方向に受容され、それぞれの基板を支持する支持部が形成されている。支持部は各基板の下部面側に設置されて、基板焼成装置に基板が出し入れされる方向の基板両端部で点接触形態で基板を支持する。
【0004】
このとき、基板と支持部が点接触しているので、接触した部位に集中荷重が加えられる。これは焼成装置の内部温度が上昇及び下降することで、基板支持部が収縮・膨脹しながら、基板にスクラッチを発生させる原因になるという問題点がある。
【0005】
近年、平板表示装置が次第にスリム化することによって、基板焼成工程で基板にスクラッチが生じれば、基板のエッチング工程後も基板に発生したスクラッチが残る。これにより、最終製品の品質が低下してしまうという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国特許公開第2002−0059072号
【特許文献2】大韓民国特許公開第2005−0049212号
【特許文献3】大韓民国特許公開第2006−0021502号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、基板と基板支持部の接触面積を増加させることにより、焼成装置の内部温度が上昇及び下降することで、基板支持部が収縮・膨脹しながら、基板にスクラッチを発生させることを防止できる基板焼成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る基板焼成装置は、焼成炉の内部に熱を供給して基板を焼成温度で加熱する加熱部と、前記基板が積載されるように内側面に水平に設置される支持フレーム及び前記支持フレームの一領域から中央部側へ突出する少なくとも1つの支持ピンとを備え、上下方向に一定間隔で設置される石英材質の第1支持部及び前記第1支持部の前記支持ピン上に配置されて前記基板下部面の枠と一定領域だけ接触するように設置される石英材質の第2支持部とを有する。
【0009】
好ましくは、前記支持フレームは前記基板が出し入れされる方向と垂直となる両側の内面に対向するように設置され、このとき、前記第2支持部はフラット状である。
【0010】
また、前記支持フレームは前記基板が出し入れされる面の一領域を除いた焼成炉の内側面に設置され、このとき、前記第2支持部はフラット又は棒状である。
【0011】
更に、前記加熱部は前記焼成炉の外面に設置され、電熱ヒータと、前記電熱ヒータが設置され熱を拡散させる放熱板とを有する。
【0012】
また、前記焼成炉の前面に前記基板の出し入れが可能なように形成されたゲート部を更に有し、前記ゲート部は全体位置制御手段及び少なくとも1つの位置制御手段を備える。
【発明の効果】
【0013】
上述したように、本発明によれば、基板と基板支持部の接触面積を増加させることにより、焼成装置の内部温度が上昇及び下降することで、基板支持部が収縮・膨脹しながら、基板にスクラッチを発生させることを防止することで、基板のエッチング工程後も基板スクラッチが防止されて次第にスリム化していく製品の品質を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る基板焼成装置を概略的に示す斜視図である。
【図2A】本発明の第1実施形態に係る基板焼成装置の平面図である。
【図2B】図2Aに基板が配置された状態を示す平面図である。
【図3】図1のA−A’に沿った断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る基板焼成装置の平面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る基板焼成装置の平面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る基板焼成装置の平面図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る基板焼成装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
下記の詳細な説明は、本発明の特定の実施形態だけを詳細に記載し示す。本発明の技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で下記の実施形態を多様に変形できる。従って、添付する図面と説明は、本発明を説明するだけであって、これに限定されるものではない。また、1つの構成要素が他の構成要素と「接触している(on)」ということはそれがその他の構成要素と直接接触するか、1つ以上の要素を2つの間に介在させて間接的に接触していることを意味する。また、ある要素が他の要素に「結合されている」ということは、それがその他の要素に直接的に連結されているか、1つ以上の要素を2つの間に介在させて間接的に連結されていることを意味する。以下で同じ参照番号は同じ構成要素を意味する。
【0016】
図1は、本発明に係る基板焼成装置を概略的に示す斜視図である。
【0017】
図1を参照すれば、本発明に係る基板焼成装置10は、加熱部21、第1支持部30及び第2支持部40を有する。加熱部21は、基板焼成装置10の外部に設置される。そして、支持フレーム及び支持ピンで構成される第1支持部30は、基板焼成装置10の内部に設置される。支持フレーム30a(図2A参照)は基板Sが積載されるように内側面に水平に設置され、支持ピン30b、(図2A参照)は支持フレームの一領域から中央部側へ突出するように少なくとも1つが形成される。好ましくは、支持ピンは基板Sを水平に支持できる程度の数だけ形成される。また、第2支持部40は第1支持部30の支持ピン上に配置され、基板Sの下部面の枠と一定領域だけ接触するように設置される。
【0018】
ここで、加熱部21は焼成炉の内部に熱を供給して基板Sを焼成温度で加熱するためのものであって、基板焼成装置10の両側及び上下面にそれぞれ設置される。加熱部21は、電熱ヒータで形成されることができ、この電熱ヒータは基板Sの各部位を均一に加熱できるように放熱板20に設置されることができる。本発明の実施形態では加熱部21が電熱ヒータで形成されると説明したが、これに限定されるものではなく、基板を均一な温度で加熱できるものであれば、何でも可能である。
【0019】
そして、本発明において第1支持部30及び第2支持部40は石英(Quartz)で形成される。これは高温焼成装置の内部が500℃以上の高温であり、±5℃以内の温度均一性を維持しなければならないためである。
【0020】
支持フレーム及び支持ピンで構成された第1支持部30は上下方向に一定間隔で設置されるが、焼成炉内部の全ての基板Sに均一に熱が伝達され得る最小限の間隔で設置されることが好ましい。
【0021】
本発明に係る基板焼成装置10は、前面に基板Sの出し入れが可能なように形成されたゲート部50(図3参照)を更に有する。ここで、ゲート部は全体位置制御手段及び少なくとも1つの位置制御手段を備え、それぞれの位置制御手段は上下に移動可能であり、所望の位置に容易に基板を出し入れするように駆動される。このようなゲート部の詳細な作動については図3で後述する。
【0022】
図2Aは、本発明の第1実施形態に係る基板焼成装置の平面図であり、図2Bは、図2Aに基板が配置された状態を示す平面図である。
【0023】
図2A及び図2Bを参照すれば、本発明の第1実施形態に係る基板焼成装置は、基板Sが出し入れされる方向と垂直となる両側の内面に第1支持部30が設置される。第1支持部30は基板焼成装置内部の互いに対向する位置に形成され、支持フレーム30aと支持ピン30bで構成される。
【0024】
支持フレーム30aは支持フレーム30aに連結された支持ピン30bが基板Sを支持できるように基板焼成装置の内面にしっかり設置され、基板Sを水平に支持するように両側の内面に水平に設置される。
【0025】
支持ピン30bは支持フレーム30aの一領域から中央部側へ突出して基板Sの両側下部面を支持する。本実施形態において支持ピン30bは3つ形成されて基板Sの3つの部分を支持したが、基板Sの大きさに応じて支持ピン30bの数は変更可能である。
【0026】
第2支持部40はフラット状で形成され、第1支持部30の支持ピン30b上に配置される。図2Bに示すように、平板型の第2支持部40は基板Sの両側下部面と一定領域だけ接触し、基板Sを支持する。
【0027】
これにより、基板焼成装置の内部温度が上昇及び下降することにより、第2支持部40が収縮・膨脹しても基板Sにスクラッチを発生させることを防止できる。また、焼成工程中に基板にスクラッチが発生しなくなるので、基板のエッチング工程後も基板スクラッチが防止されて次第にスリム化していく製品の品質を向上させることができる。
【0028】
また、本実施形態では基板焼成装置の両側外面に加熱部21が設置されると示したが、ゲート部50と対向する面にも加熱部21が設置され得ることはもちろんである。
【0029】
図3は、図1のA−A’に沿った断面図である。
【0030】
図3を参照すれば、本発明のゲート部50は、基板Sの出し入れが可能なように焼成炉の前面に形成される。ゲート部50は全体位置制御手段51及び少なくとも1つの位置制御手段50a、50b、50cを備えるが、本発明の実施形態では全体位置制御手段51、第1位置制御手段50a、第2位置制御手段50b及び第3位置制御手段50cを備える。
【0031】
全体位置制御手段51、第1位置制御手段50a、第2位置制御手段50b及び第3位置制御手段50cは、それぞれ上下移動手段(図示せず)を備えて所望の位置に基板Sの出し入れが可能なようにすることができる。即ち、全体位置制御手段51、第1位置制御手段50a、第2位置制御手段50b及び第3位置制御手段50cのそれぞれを昇降制御することにより、焼成炉の内部に多段で設置された第2支持部40のうち、基板Sを出し入れする第2支持部40と同じ高さに開口部52を形成できる。このように形成された開口部52により基板Sの出し入れが可能になり、ベースアーム60bに結合されている搬送アーム60aが出入りし、基板Sを所望の位置に配置させることができる。
【0032】
図4は、本発明の第2実施形態に係る基板焼成装置の平面図であり、図5は、本発明の第3実施形態に係る基板焼成装置の平面図である。図4及び図5の説明では、本発明の第1実施形態と同じ構成についての説明は省略する。
【0033】
図4を参照すれば、本発明の第2実施形態に係る基板焼成装置には、基板Sが出し入れされる面を除いた焼成炉の内側面に第1支持部430が設置される。第1支持部430は支持フレーム430aと支持ピン430bで構成され、支持フレーム430aは基板焼成装置の内側面にしっかり設置される。そして、支持ピン430bは支持フレーム430aの一領域から中央部側へ突出して基板S下部面の枠を支持する。第1支持部430の支持ピン430b上には第2支持部440が配置される。このとき、第2支持部440はフラット状であり、基板下部面の枠と一定領域だけ接触して基板Sを支持する。ここで、第1支持部430及び第2支持部440は高温の焼成炉内で温度の影響をあまり受けない石英材質で形成されることで、焼成時に支持部により基板スクラッチが発生するのを防止できる。
【0034】
そして、図5に示すように、本発明の第3実施形態に係る第1支持部530の支持ピン530b上には第2支持部540が配置される。このとき、第2支持部540は棒状で形成されて、基板下部面の枠と線接触して基板を支持する。
【0035】
図6は、本発明の第4実施形態に係る基板焼成装置の平面図であり、図7は、本発明の第5実施形態に係る基板焼成装置の平面図である。図6及び図7の説明では、本発明の第1実施形態と同じ構成についての説明は省略する。
【0036】
図6を参照すれば、本発明の第4実施形態に係る基板焼成装置には、基板Sが出し入れされる面の一領域を除いた焼成炉の内側面に第1支持部630が設置される。本発明の第2、第3実施形態と同様に、第1支持部630は支持フレーム630aと支持ピン630bで構成され、第1支持部630の支持ピン630b上に第2支持部640が設置される。このとき、第2支持部640はフラット状で形成されて、基板下部面の枠と一定領域だけ接触して基板を支持する。
【0037】
また、図7に示すように、本発明の第5実施形態に係る第1支持部730の支持ピン730b上には第2支持部740が配置される。このとき、第2支持部740は棒状で形成されて、基板下部面の枠と線接触して基板を支持する。
【0038】
第4、第5実施形態は第2、第3実施形態と比較して、基板が出し入れされる焼成炉の内面に第2支持部を一定領域だけ更に形成することで、基板の垂れを防止でき、基板を更にしっかり支持できる。このように基板と第2支持部の接触面積を増加させることで、基板焼成装置の内部温度が上昇及び下降することにより、第2支持部が収縮・膨脹しても基板にスクラッチを発生させることを防止できる。
【0039】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることはもちろんであり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
S 基板
10 基板焼成装置
20 放熱板
21、421 加熱部
30、430、530、630、730 第1支持部
30a、430a、530a、630a、730a 支持フレーム
30b、430b、530b、630b、730b 支持ピン
40、440、540、640、740 第2支持部
50 ゲート部
50a 第1位置制御手段
50b 第2位置制御手段
50c 第3位置制御手段
51 全体位置制御手段
60a 搬送アーム
60b ベースアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼成炉の内部に熱を供給して基板を焼成温度で加熱する加熱部と、
前記基板が積載されるように内側面に水平に設置される支持フレーム及び前記支持フレームの一領域から中央部側へ突出する少なくとも1つの支持ピンとを備え、上下方向に一定間隔で設置される石英材質の第1支持部と、
前記第1支持部の前記支持ピン上に配置されて前記基板下部面の枠と一定領域だけ接触するように設置される石英材質の第2支持部と
を有することを特徴とする基板焼成装置。
【請求項2】
前記支持フレームは、前記基板が出し入れされる方向と垂直となる両側の内面に対向するように設置されることを特徴とする請求項1に記載の基板焼成装置。
【請求項3】
前記第2支持部は、フラット状であることを特徴とする請求項2に記載の基板焼成装置。
【請求項4】
前記支持フレームは、前記基板が出し入れされる面の一領域を除いた焼成炉の内側面に設置されることを特徴とする請求項1に記載の基板焼成装置。
【請求項5】
前記第2支持部は、フラット又は棒状であることを特徴とする請求項4に記載の基板焼成装置。
【請求項6】
前記加熱部は、前記焼成炉の外面に設置されることを特徴とする請求項1に記載の基板焼成装置。
【請求項7】
前記加熱部は、電熱ヒータと、前記電熱ヒータが設置され熱を拡散させる放熱板とを有することを特徴とする請求項1に記載の基板焼成装置。
【請求項8】
前記焼成炉の前面に前記基板の出し入れが可能なように形成されたゲート部を更に有することを特徴とする請求項1に記載の基板焼成装置。
【請求項9】
前記ゲート部は、全体位置制御手段及び少なくとも1つの位置制御手段を備えることを特徴とする請求項8に記載の基板焼成装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−14397(P2010−14397A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4032(P2009−4032)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】