説明

基板生産情報の公開方法

【課題】カスタマが、発注先の実装メーカとして、発注する実装基板に適した実装メーカを特定することができる基板生産情報の公開方法を提供する。
【解決手段】実装メーカ装置300とカスタマ装置400とに通信ネットワークを介して接続される基板生産情報公開装置100が、実装メーカ20の実装基板の生産の情報を公開する方法であって、基板生産情報公開装置100が実装メーカ20の生産情報を実装メーカ装置300から受信する生産情報受信ステップ(S102)と、基板生産情報公開装置100が、生産情報に基づいて、実装メーカ20の生産の実力を示す情報であり、カスタマ30が実装基板の発注の可否を判断するために必要な情報である生産実力情報410を生成する生産実力情報生成ステップ(S108)と、基板生産情報公開装置100が、生産実力情報410をカスタマ30に公開する生産実力情報公開ステップ(S112)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装基板を生産する実装メーカの実装基板の生産の情報を公開する基板生産情報の公開方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装機などの実装関連設備により基板に部品を実装し実装基板を生産する実装メーカは、顧客であるカスタマからの実装基板の発注により、当該実装基板を生産する。そして、カスタマは、各実装メーカの実装基板の生産状況を監査するなどにより、発注可能な実装メーカの選定を行う。しかし、このカスタマによる各実装メーカの監査には、長い期間を要したり、多くの人員やコストを要する場合が多い。
【0003】
このため、従来、部品実装機などの実装関連設備を提供し、又は当該実装関連設備のメンテナンスなどのサービスを行うサービス拠点には、サーバー装置(以下、サービス供給装置という)が設置され、各種サービスが行われている。このサービス拠点が行うサービスとしては、サービス供給装置が、実装メーカが有する通信装置(以下、実装メーカ装置という)に通信ネットワークを介して接続され、当該実装メーカが備える部品実装機の稼働情報を収集し、稼働状況をモニタリングする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この方法では、サービス供給装置が行った稼働状況のモニタリング結果を実装メーカ装置が受信することで、実装メーカがサービス拠点からの支援を受けて、目標に届かない弱点部分を改善する。これにより、実装メーカは、実装基板の生産能力を向上することができる。そして、カスタマは、この生産能力が向上した実装メーカを、発注可能な実装メーカとして選定することができる。
【特許文献1】特開2002−359500号公報(図2、図9、段落番号0197等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、以下のように、カスタマが、発注先の実装メーカとして、発注する実装基板に適した実装メーカを特定することが困難であるという問題がある。
【0006】
すなわち、従来の方法では、実装メーカが実装基板の生産能力を向上することはできるが、カスタマが発注する実装基板の生産に適した生産能力を向上したものではない場合がある。
【0007】
例えば、実装メーカが、特殊部品である0603チップ部品(長さ0.6mm幅0.3mmのサイズを有する極小チップ部品)を基板に実装して超高密実装基板を製造する部品実装の能力は向上したものの、カスタマは、0402チップ部品(長さ0.4mm幅0.2mmのサイズを有する極小チップ部品)が多く実装された実装基板を発注したい場合などである。この場合、カスタマが、発注先の実装メーカとして、0603チップ部品の部品実装の能力が向上した実装メーカを特定することは適当ではない。0402チップ部品を実装する方が、0603チップ部品を実装するよりも、難易度が高いからである。
【0008】
また、カスタマが、0603チップ部品が多く実装された実装基板を発注したいとしても、実装メーカによる0603チップ部品の部品実装の能力向上が、カスタマが要求するレベルのものではない場合もある。この場合も、カスタマが、当該実装メーカを発注先の実装メーカとして特定することは適当ではない。
【0009】
このように、従来の方法では、カスタマが、発注先の実装メーカとして、発注する実装基板に適した実装メーカを特定することが困難である。
【0010】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、カスタマが、発注先の実装メーカとして、発注する実装基板に適した実装メーカを特定することができる基板生産情報の公開方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る基板生産情報の公開方法は、基板に部品を実装し実装基板を生産する実装メーカが有する実装メーカ装置と、前記実装メーカに前記実装基板を発注するカスタマが有するカスタマ装置とに通信ネットワークを介して接続される基板生産情報公開装置が、前記実装メーカの前記実装基板の生産の情報を公開する方法であって、前記基板生産情報公開装置が、前記実装メーカの前記実装基板の生産に関する生産情報を、前記実装メーカ装置から受信する生産情報受信ステップと、前記基板生産情報公開装置が、受信した前記生産情報に基づいて、前記実装メーカの前記実装基板の生産に関する生産の実力を示す情報であり、前記カスタマが前記実装基板の発注の可否を判断するために必要な情報である生産実力情報を生成する生産実力情報生成ステップと、前記基板生産情報公開装置が、生成した前記生産実力情報を前記カスタマ装置に送信することで、前記生産実力情報を前記カスタマに公開する生産実力情報公開ステップとを含む。
【0012】
これによれば、実装メーカの生産実力情報が、基板生産情報公開装置からカスタマ装置に送信されることで、カスタマに公開される。ここで、生産実力情報とは、実装メーカの生産の実力を示す情報であり、カスタマが実装基板の発注の可否を判断するために必要な情報である。例えば、カスタマが0402チップ部品が多く実装された実装基板を発注したい場合は、生産実力情報とは、0402チップ部品などの特殊部品の実装実績の回数である。つまり、カスタマは、公開された実装メーカの0402チップ部品の実装実績の回数を参考にして、発注先の実装メーカを特定することができる。このように、カスタマが、発注先の実装メーカとして、発注する実装基板に適した実装メーカを特定することができる。
【0013】
また、好ましくは、さらに、前記基板生産情報公開装置が、前記カスタマが前記実装基板を発注するために必要な条件である発注条件を、前記カスタマ装置から受信する発注条件受信ステップを含み、前記生産実力情報生成ステップでは、前記基板生産情報公開装置は、前記生産情報が前記発注条件を満たす実装メーカを示す前記生産実力情報を生成する。
【0014】
これによれば、生産実力情報には、生産情報が発注条件を満たす実装メーカを示す情報が含まれる。つまり、発注条件を満たす生産情報を保有する実装メーカを示す情報がカスタマに公開される。このため、カスタマは、発注条件に合った実装メーカを示す情報を参考にして、発注先の実装メーカを特定することができる。このように、カスタマが、発注先の実装メーカとして、発注する実装基板に適した実装メーカを特定することができる。
【0015】
また、好ましくは、さらに、前記基板生産情報公開装置が、受信した前記発注条件を蓄積する発注条件蓄積ステップを含み、前記生産実力情報生成ステップでは、前記基板生産情報公開装置は、受信した前記発注条件のうち蓄積された数が多い発注条件から順に配列された、前記生産情報が前記発注条件を満たす実装メーカを示す前記生産実力情報を生成する。
【0016】
これによれば、生産実力情報には、蓄積された数が多い発注条件から順に配列された、生産情報が発注条件を満たす実装メーカを示す情報が含まれる。つまり、要望が多い発注条件から順に配列された、発注条件を満たす生産情報を保有する実装メーカを示す情報がカスタマに公開される。このため、カスタマは、容易に希望する発注条件を検索でき、発注条件に合った実装メーカを示す情報を参考にして、発注先の実装メーカを特定することができる。このように、カスタマが、発注先の実装メーカとして、発注する実装基板に適した実装メーカを特定することができる。
【0017】
また、好ましくは、前記基板生産情報公開装置は、複数の実装メーカが有する複数の実装メーカ装置と通信ネットワークを介して接続されており、前記生産情報受信ステップでは、前記複数の実装メーカの生産情報を、前記基板生産情報公開装置が前記複数の実装メーカ装置から受信し、前記基板生産情報の公開方法は、さらに、前記基板生産情報公開装置が、受信した前記複数の実装メーカの生産情報を蓄積する生産情報蓄積ステップと、前記基板生産情報公開装置が、前記発注条件ごとに、実装メーカごとの前記生産情報を前記発注条件と比較することで、前記生産情報が前記発注条件を満たしている度合いを算出する度合算出ステップとを含み、前記生産実力情報生成ステップでは、前記発注条件ごとに、前記度合いが高い順に配列された実装メーカを示す前記生産実力情報を生成する。
【0018】
これによれば、生産実力情報には、発注条件ごとに、生産情報が発注条件を満たしている度合いが高い順に配列された実装メーカを示す情報が含まれる。つまり、発注条件ごとに、当該発注条件を満たす実装メーカのランキング情報がカスタマに公開される。このため、カスタマは、希望する発注条件に合った実装メーカのランキング情報を参考にして、発注先の実装メーカを特定することができる。このように、カスタマが、発注先の実装メーカとして、発注する実装基板に適した実装メーカを特定することができる。
【0019】
また、好ましくは、前記生産実力情報生成ステップでは、前記基板生産情報公開装置は、前記発注条件に対応した前記実装メーカの生産情報を含む前記生産実力情報を生成する。
【0020】
これによれば、生産実力情報には、発注条件に対応した実装メーカの生産情報が含まれる。つまり、当該生産情報もカスタマに公開される。このため、カスタマは、当該生産情報も参考にして、発注先の実装メーカを特定することができる。このように、カスタマが、発注先の実装メーカとして、発注する実装基板に適した実装メーカを特定することができる。
【0021】
また、前記基板生産情報公開装置は、複数の実装メーカが有する複数の実装メーカ装置と通信ネットワークを介して接続されており、前記生産情報受信ステップでは、前記複数の実装メーカの生産情報を、前記基板生産情報公開装置が前記複数の実装メーカ装置から受信し、前記基板生産情報の公開方法は、さらに、前記基板生産情報公開装置が、受信した前記複数の実装メーカの生産情報を蓄積する生産情報蓄積ステップと、前記基板生産情報公開装置が、前記カスタマが前記実装基板を発注するために必要な条件である発注条件を、前記カスタマ装置から受信する発注条件受信ステップと、前記基板生産情報公開装置が、受信した前記発注条件を蓄積する発注条件蓄積ステップと、前記基板生産情報公開装置が、前記発注条件蓄積ステップで蓄積した数が多い発注条件ほど大きな値になるように重み係数を算出する重み係数算出ステップと、前記基板生産情報公開装置が、前記発注条件ごとに、実装メーカごとの前記生産情報を前記発注条件と比較することで、前記生産情報が前記発注条件を満たしている度合いを算出する度合算出ステップと、前記基板生産情報公開装置が、前記実装メーカごとに、前記実装メーカの生産情報に対応した前記発注条件ごとの前記重み係数と前記度合いとを乗じた数を合計した評価値を算出する評価値算出ステップとを含み、前記生産実力情報生成ステップでは、前記評価値が大きい順に配列された実装メーカを示す前記生産実力情報を生成することにしてもよい。
【0022】
これによれば、生産実力情報には、評価値が大きい順に配列された実装メーカを示す情報が含まれる。ここで、実装メーカの評価値は、要望が多い発注条件を当該実装メーカの生産情報が満たし、かつ当該発注条件を満たしている度合いが大きいほど大きな値になる。つまり、評価値は、実装メーカの総合ランキング情報を示している。そして、この実装メーカの総合ランキング情報がカスタマに公開される。このため、カスタマは、実装メーカの総合ランキング情報を参考にして、発注先の実装メーカを特定することができる。このように、カスタマが、発注先の実装メーカとして、発注する実装基板に適した実装メーカを特定することができる。
【0023】
また、好ましくは、前記実装メーカ装置は、前記実装メーカが実装基板を生産するための実装関連設備と接続されており、前記基板生産情報の公開方法は、さらに、前記実装メーカ装置が、前記実装関連設備の前記実装基板の生産の能力を示す設備能力情報を、前記実装関連設備から受信する設備能力情報受信ステップと、前記実装メーカ装置が、前記実装関連設備を操作するオペレータのスキルを示すスキル情報を取得するスキル情報取得ステップとを含み、前記生産情報受信ステップでは、前記設備能力情報と前記スキル情報とが含まれる前記生産情報を、前記基板生産情報公開装置が前記実装メーカ装置から受信する。
【0024】
これによれば、生産情報には、設備能力情報とスキル情報とが含まれる。このため、基板生産情報公開装置が、設備能力情報やスキル情報に基づいて生産実力情報を生成し、カスタマに公開する。したがって、カスタマは、実装関連設備の実装基板の生産の能力やオペレータのスキルについての生産実力情報を参考にして、発注先の実装メーカを特定することができる。このように、カスタマが、発注先の実装メーカとして、発注する実装基板に適した実装メーカを特定することができる。
【0025】
なお、本発明は、このような基板生産情報の公開方法として実現することができるだけでなく、その方法に従って基板生産情報の公開を行う基板生産情報公開装置及びそのプログラム、そのプログラムを格納する記憶媒体としても実現することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、基板生産情報公開装置が実装メーカの生産実力情報をカスタマに公開することで、カスタマが、発注先の実装メーカとして、発注する実装基板に適した実装メーカを特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る基板生産情報の公開方法を実現する基板生産情報公開システム1の概略構成図である。
【0028】
基板生産情報公開システム1は、サービス拠点10により、実装メーカ20の実装基板の生産の情報を、カスタマ30に公開するシステムである。
【0029】
実装メーカ20は、基板に部品が実装された実装基板を生産するための部品実装機200などの実装関連設備を備えている。そして、実装メーカ20は、当該実装関連設備により基板に部品を実装し、実装基板を生産する。
【0030】
また、実装メーカ20は、部品実装機200などの実装関連設備等から、実装基板の生産に関する生産情報を取得する実装メーカ装置300を有している。実装メーカ装置300はパーソナルコンピュータなどのコンピュータである。この実装メーカ装置300、部品実装機200及びその生産情報の詳細については、後述する。
【0031】
カスタマ30は、実装メーカ20に実装基板を発注する。具体的には、カスタマ30は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータであるカスタマ装置400を有している。そして、カスタマ30は、カスタマ装置400に表示される生産実力情報410を閲覧することで、発注する実装メーカ20を特定する。この生産実力情報410の詳細については、後述する。
【0032】
サービス拠点10は、実装関連設備を販売し、メンテナンスを行うなど、実装関連設備に関するサービスを提供する。サービス拠点10は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータである基板生産情報公開装置100を有している。なお、サービス拠点10は、実装関連設備の販売は行わずに、実装関連設備に関するサービスを提供する業者であっても構わない。
【0033】
基板生産情報公開装置100は、実装メーカ20の実装基板の生産の情報をカスタマ30に公開する。具体的には、基板生産情報公開装置100は、実装メーカ装置300とカスタマ装置400とに通信ネットワークを介して接続されている。そして、基板生産情報公開装置100は、実装メーカ装置300から実装メーカ20の生産情報を受信し、生産実力情報410を生成する。そして、基板生産情報公開装置100は、生成した生産実力情報410をカスタマ装置400に送信することで、生産実力情報410をカスタマ30に公開する。
【0034】
なお、同図では、1つの実装メーカ20が有する1つの実装メーカ装置300しか図示していないが、実装メーカ20は複数社あり、それぞれの実装メーカ20は実装メーカ装置300を有することとする。したがって、基板生産情報公開装置100は、複数の実装メーカ20が有する複数の実装メーカ装置300と通信ネットワークを介して接続されている。また、同様に、カスタマ30も複数あり、基板生産情報公開装置100は、複数のカスタマ30のそれぞれに対して生産実力情報410を公開するものであっても構わない。
【0035】
次に、部品実装機200の構成について説明する。
図2は、部品実装機200の内部の主要な構成を示す平面図である。
【0036】
部品実装機200は、基板201に部品を実装する機器である。具体的には、部品実装機200は、基板201に対して部品を実装する2つの実装ユニット210a,210bを備えている。2つの実装ユニット210a,210bは、お互いが協調し1枚の基板201に対して実装作業を行う。なお、基板201の搬送方向をX軸方向、水平面内でのX軸方向と垂直の方向をY軸方向とする。すると、2つの実装ユニット210a,210bは、Y軸方向に並べられて配置されている。
【0037】
実装ユニット210aと実装ユニット210bとは、それぞれ同様の構成を有している。つまり、実装ユニット210aは、部品供給部211a、装着ヘッド213a及び部品認識カメラ214aを備えている。同様に、実装ユニット210bは、部品供給部211b、装着ヘッド213b及び部品認識カメラ214bを備えている。
【0038】
ここで、実装ユニット210aの詳細な構成について説明する。なお、実装ユニット210bの詳細な構成については、実装ユニット210aと同様であるため、省略する。また、それ以下の説明においても、実装ユニット210aについての説明を行うが、実装ユニット210bについても同様である。
【0039】
部品供給部211aは、部品テープを収納する複数の部品カセット212aの配列からなる。複数の部品カセット212aは、X軸方向に並んで配置されている。そして、この部品カセット212a内の部品テープは、Y軸方向にテープ送りされる。なお、部品テープとは、例えば、同一部品種の複数の部品がテープ(キャリアテープ)上に均等に並べられたものであり、リール等に巻かれた状態で供給される。また、部品テープに並べられる部品は、例えばチップ等であって、具体的には0402チップ部品や1005チップ部品などである。
【0040】
装着ヘッド213aは、複数の吸着ノズルを備えており、部品カセット212aの部品を吸着して基板201に装着する。
【0041】
部品認識カメラ214aは、装着ヘッド213aに吸着された部品を撮影し、その部品の吸着状態を2次元又は3次元的に検査するために用いられる。
【0042】
図3は、装着ヘッド213aと部品カセット212aの位置関係を示す模式図である。
装着ヘッド213aには、例えば最大10個の吸着ノズルnzを取り付けることが可能である。10個の吸着ノズルnzが取り付けられた装着ヘッド213aは、最大10個の部品カセット212aのそれぞれから部品を同時に(1回の上下動作で)吸着することができる。なお、図3のX軸方向及びY軸方向は、図2に示されたX軸方向及びY軸方向に対応している。つまり、X軸方向に複数の部品カセット212aが並んで配置され、この部品カセット212a内の部品テープは、Y軸方向にテープ送りされる。
【0043】
このような部品実装機200の実装ユニット210aは、装着ヘッド213aを部品供給部211aに移動させて、部品供給部211aから供給される部品をその装着ヘッド213aに吸着させる。そして、実装ユニット210aは、装着ヘッド213aを部品認識カメラ214a上に一定速度で移動させ、装着ヘッド213aに吸着された全ての部品の画像を部品認識カメラ214aに取り込ませ、部品の吸着位置を正確に検出させる。さらに、実装ユニット210aは、装着ヘッド213aを基板201に移動させて、吸着している全ての部品を基板201の実装点に順次装着させる。実装ユニット210aは、このような装着ヘッド213aによる吸着、移動、および装着という動作を繰り返し実行することにより、予め定められた全ての部品を基板201に実装する。
【0044】
また、実装ユニット210bも、実装ユニット210aと同様に、装着ヘッド213bによる吸着、移動、および装着という動作を繰り返し実行する。これらにより、実装ユニット210aおよび実装ユニット210bは、予め定められた全ての部品を基板201に実装する。
【0045】
次に、実装メーカ20が有する実装メーカ装置300について説明する。
図4は、本実施の形態における実装メーカ装置300の機能構成を示すブロック図である。
【0046】
実装メーカ装置300は、メーカ装置入力部301、メーカ装置表示部302、制御部303、生産情報生成部304、生産情報送信部305、メーカ装置通信部307及びメーカ装置格納部310を備えている。
【0047】
メーカ装置入力部301は、例えばキーボードやマウスなどで構成されており、オペレータからの操作を受け付けて、その操作結果を制御部303や生産情報生成部304などに通知する。
【0048】
メーカ装置表示部302は、例えば液晶ディスプレイなどで構成されており、制御部303や生産情報生成部304、生産情報送信部305などの動作状態を表示したり、メーカ装置格納部310などに格納されているデータを表示したりする。
【0049】
制御部303は、生産情報生成部304や生産情報送信部305等の各処理部の制御などの生産情報の生成に関する制御を行う。なお、制御部303は、部品実装機200の動作も制御することにしても構わない。つまり、制御部303は、部品実装機200の装着ヘッド213a、213bの動作を制御して基板201に部品を実装するなど、部品実装に関する様々な制御を行うことにしても構わない。
【0050】
生産情報生成部304は、メーカ装置入力部301や制御部303などから実装基板の生産に関する情報を取得し、実装メーカ20の実装基板の生産に関する生産情報を生成する。ここで、生産情報とは、実装メーカ20が実装基板を生産するための設備である部品実装機200などの実装関連設備の能力を示す設備能力情報や、当該実装関連設備を操作するオペレータのスキルを示すスキル情報などである。
【0051】
また、生産情報生成部304は、生成した生産情報を、メーカ装置格納部310に格納されている生産情報データ310cに書き込むことで、生産情報データ310cを更新する。この生産情報データ310cの詳細については、後述する。
【0052】
生産情報送信部305は、生産情報生成部304が生成した実装メーカ20の生産情報を、サービス拠点10が有する基板生産情報公開装置100に送信する。具体的には、生産情報送信部305は、メーカ装置格納部310に格納されている生産情報データ310cを基板生産情報公開装置100に送信する。
【0053】
メーカ装置通信部307は、LAN(Local Area Network)アダプタ等であり、実装メーカ装置300と、部品実装機200及び基板生産情報公開装置100との通信等に用いられる。例えば、メーカ装置通信部307は、制御部303の指示に基づいて、部品実装に関する指示を部品実装機200に与えたり、部品実装機200から生産情報を取得したりする。また、メーカ装置通信部307は、生産情報送信部305の指示に基づいて、生産情報データ310cを基板生産情報公開装置100に送信したりする。
【0054】
メーカ装置格納部310は、部品実装機200が部品を基板201に実装する処理に用いられるデータや、部品実装機200の生産情報を示すデータ等を格納している。メーカ装置格納部310は、例えば、NCデータ310a、部品ライブラリ310b及び生産情報データ310cを格納している。
【0055】
図5〜図7は、それぞれ、NCデータ310a、部品ライブラリ310b及び生産情報データ310cの一例を示す図である。
【0056】
図5は、NCデータ310aの一例を示す図である。
NCデータ310aは、実装の対象となる全ての部品の実装点を示す情報の集まりである。1つの実装点piは、部品種ci、X座標xi、Y座標yi、制御データφi、および実装角度θiからなる。ここで、部品種は、図6に示される部品ライブラリ310bにおける部品名に相当し、X座標及びY座標は、実装点の座標(基板上の特定位置を示す座標)であり、制御データは、その部品の実装に関する制約情報(使用可能な吸着ノズルnzのタイプ、装着ヘッドの最高移動加速度等)を示す。実装角度θiは、部品種ciの部品を吸着したノズルが回転すべき角度を示す。なお、最終的に求めるべきNC(Numeric Control)データとは、ラインタクトが最小となるような実装点の並びである。
【0057】
図6は、部品ライブラリ310bの一例を示す図である。
部品ライブラリ310bは、部品実装機200が扱うことができる全ての部品種それぞれについての固有の情報を集めたライブラリである。この部品ライブラリ310bは、同図に示すように、部品種(部品名)ごとの部品サイズ、タクト(一定条件下における部品種に固有のタクト)、その他の制約情報(使用可能な吸着ノズルのタイプ、部品認識カメラによる認識方式、装着ヘッドの最高加速度比等)からなる。なお、同図には、参考として、各部品種の部品の外観も併せて示されている。部品ライブラリ310bには、その他に、部品の色や形状などの情報が含まれていてもよい。
【0058】
図7は、生産情報データ310cの一例を示す図である。
生産情報データ310cは、実装メーカ20の実装基板の生産に関する生産情報の集まりである。同図に示すように、生産情報データ310cは、生産情報の項目、及び各項目に対する個別情報などからなる。
【0059】
生産情報の項目は、実装関連設備の能力を示す設備能力情報と当該実装関連設備を操作するオペレータのスキルを示すスキル情報などに大きく分けられている。そして、設備能力情報とは、生産する実装基板の種類である生産機種、特殊部品である0402チップ部品の実装実績、装着ヘッド213aによる部品の装着率や吸着率などである。また、スキル情報とは、部品実装機200に関する知識、NCデータ310aの作成スキルや特殊部品である0402チップ部品に関する知識などである。
【0060】
個別情報は、各項目に対する情報である。例えば、実装メーカ20でA機種とB機種の実装基板を生産している場合は、生産機種の項目に対応する個別情報は、A、B機種である。また、0402チップ部品を実装する必要がある製品を14製品生産した実績がある場合は、0402実装実績の項目に対応する個別情報は、14回である。また、オペレータが部品実装機200に関する知識についてのトレーニングを行い、トレーニングのスコアが95点であった場合は、実装機知識の項目に対応する個別情報は、95点である。
【0061】
次に、サービス拠点10が有する基板生産情報公開装置100について説明する。
図8は、本実施の形態における基板生産情報公開装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0062】
基板生産情報公開装置100は、公開装置入力部101、公開装置表示部102、受信部103、蓄積部104、生産実力情報生成部105、生産実力情報送信部106、公開装置通信部107及び公開装置格納部110を備えている。
【0063】
公開装置格納部110は、生産実力情報410を生成する処理に用いられるデータ等を格納している。公開装置格納部110は、例えば、生産情報蓄積データ110a、発注条件蓄積データ110b及び生産実力情報データ110cを格納している。この生産情報蓄積データ110a、発注条件蓄積データ110b及び生産実力情報データ110cの詳細については、後述する。
【0064】
公開装置入力部101は、例えばキーボードやマウスなどで構成されており、オペレータからの操作を受け付けて、その操作結果を受信部103や生産実力情報送信部106などに通知する。
【0065】
公開装置表示部102は、例えば液晶ディスプレイなどで構成されており、受信部103や生産実力情報送信部106などの動作状態を表示したり、公開装置格納部110などに格納されているデータを表示したりする。
【0066】
受信部103は、実装メーカ20ごとの実装基板の生産に関する生産情報を、複数の実装メーカ装置300から受信する。具体的には、受信部103は、実装メーカ装置300の生産情報送信部305が送信した生産情報データ310cを受信する。また、受信部103は、カスタマ30が実装基板を発注するために必要な条件である発注条件を、カスタマ装置400から受信する。
【0067】
蓄積部104は、受信部103が受信した複数の実装メーカ20の生産情報を蓄積する。具体的には、蓄積部104は、受信部103が受信した生産情報データ310cを、公開装置格納部110に格納されている生産情報蓄積データ110aに書き込み蓄積することで、生産情報蓄積データ110aを更新する。
【0068】
また、蓄積部104は、受信部103が受信した発注条件を蓄積する。具体的には、蓄積部104は、受信部103が受信した発注条件を、公開装置格納部110に格納されている発注条件蓄積データ110bに書き込み蓄積することで、発注条件蓄積データ110bを更新する。
【0069】
生産実力情報生成部105は、受信部103が受信した実装メーカ20ごとの生産情報に基づいて、生産実力情報410を生成する。ここで、生産実力情報410とは、実装メーカ20の実装基板の生産に関する生産の実力を示す情報であり、カスタマ30が実装基板の発注の可否を判断するために必要な情報である。
【0070】
具体的には、生産実力情報生成部105は、受信部103が受信した生産情報と発注条件とから、生産実力情報410を生成し、公開装置格納部110に格納されている生産実力情報データ110cに書き込むことで、生産実力情報データ110cを更新する。
【0071】
生産実力情報送信部106は、生産実力情報生成部105が生成した生産実力情報410をカスタマ装置400に送信する。具体的には、生産実力情報送信部106は、公開装置格納部110に格納されている生産実力情報データ110cの生産実力情報410をカスタマ装置400に送信する。
【0072】
公開装置通信部107は、LAN(Local Area Network)アダプタ等であり、基板生産情報公開装置100と、実装メーカ装置300及びカスタマ装置400との通信等に用いられる。例えば、公開装置通信部107は、受信部103の指示に基づいて、実装メーカ装置300から生産情報を受信したり、カスタマ装置400から発注条件を受信したりする。また、公開装置通信部107は、生産実力情報送信部106の指示に基づいて、カスタマ装置400に生産実力情報410を送信したりする。
【0073】
次に、基板生産情報公開装置100が生産実力情報410を生成し、カスタマ30に公開する動作の一例について、具体的に説明する。
【0074】
図9は、本実施の形態における基板生産情報公開装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0075】
まず、受信部103は、実装メーカ20ごとの実装基板の生産に関する生産情報を、複数の実装メーカ装置300から受信する(S102)。
【0076】
ここで、実装メーカ装置300の生産情報生成部304は、実装メーカ20の実装基板の生産に関する生産情報を生成し、生産情報データ310cを更新している。
【0077】
具体的には、生産情報生成部304は、実装関連設備である部品実装機200の実装基板の生産の能力を示す設備能力情報を、部品実装機200から受信する。また、生産情報生成部304は、部品実装機200を操作するオペレータのスキルを示すスキル情報を取得する。これにより、生産情報生成部304は、設備能力情報とスキル情報とが含まれる生産情報を生成し、生産情報データ310cを更新する。そして、実装メーカ装置300の生産情報送信部305は、生産情報データ310cを基板生産情報公開装置100に送信する。
【0078】
このため、受信部103は、実装メーカ装置300の生産情報送信部305が送信した設備能力情報とスキル情報とが含まれる生産情報データ310cを受信する。
【0079】
そして、蓄積部104は、受信部103が受信した複数の実装メーカ20の生産情報を蓄積する(S104)。つまり、蓄積部104は、受信部103が受信した生産情報データ310cを生産情報蓄積データ110aに書き込み蓄積することで、生産情報蓄積データ110aを更新する。
【0080】
図10は、生産情報蓄積データ110aの一例を示す図である。
生産情報蓄積データ110aは、実装メーカ20ごとの生産情報データ310cが蓄積された生産情報の集まりである。同図に示すように、生産情報蓄積データ110aは、実装メーカ及び実装メーカに対応する生産情報などからなる。
【0081】
図9に戻り、受信部103は、発注条件をカスタマ装置400から受信する(S106)。具体的には、サービス拠点10の基板生産情報公開装置100が公開するホームページを、カスタマ30がカスタマ装置400を用いて閲覧する。そして、カスタマ30が、実装基板を発注するために必要な発注条件をカスタマ装置400に入力することで、受信部103が当該発注条件をカスタマ装置400から受信する。
【0082】
そして、生産実力情報生成部105は、生産実力情報410を生成する(S108)。つまり、生産実力情報生成部105は、生産実力情報410を生成し、生産実力情報データ110cに書き込むことで、生産実力情報データ110cを更新する。この生産実力情報生成部105が生産実力情報410を生成する処理の詳細については、後述する。
【0083】
そして、生産実力情報送信部106は、生産実力情報生成部105が生成した生産実力情報410をカスタマ装置400に送信する(S110)。つまり、生産実力情報送信部106は、生産実力情報データ110cの生産実力情報410をカスタマ装置400に送信する。
【0084】
そして、生産実力情報410がカスタマ30に公開される(S112)。例えば、基板生産情報公開装置100が生産実力情報410をホームページ上に公開し、カスタマ30がカスタマ装置400に表示される当該ホームページを閲覧することで、生産実力情報410が生産実力情報送信部106からカスタマ装置400に送信される。これにより、生産実力情報410がカスタマ30に公開される。
【0085】
次に、生産実力情報生成部105が生産実力情報410を生成する処理(図9のS108)の詳細について説明する。
【0086】
図11は、生産実力情報生成部105が生産実力情報410を生成する処理(図9のS108)の詳細を示すフローチャートである。
【0087】
まず、蓄積部104は、受信部103が受信した発注条件を蓄積する(S202)。つまり、蓄積部104は、発注条件を発注条件蓄積データ110bに書き込み蓄積することで、発注条件蓄積データ110bを更新する。
【0088】
図12は、発注条件蓄積データ110bの一例を示す図である。
発注条件蓄積データ110bは、カスタマ30が実装基板を発注するために必要な条件である発注条件の情報の集まりである。同図に示すように、発注条件蓄積データ110bは、発注条件及び発注条件の蓄積数などからなる。
【0089】
発注条件は、実装関連設備の能力を示す設備能力情報と当該実装関連設備を操作するオペレータのスキルを示すスキル情報などに大きく分けられている。そして、設備能力情報とは、生産する実装基板の種類である生産機種、特殊部品である0402チップ部品の実装実績などである。また、スキル情報とは、部品実装機200に関する知識などである。
【0090】
発注条件の蓄積数は、蓄積部104に蓄積されていった発注条件の数である。例えば、カスタマ30がA機種の実装基板を発注したいために、A機種の生産機種を発注条件とした回数が160回であった場合は、A機種の生産機種に対応する蓄積数は160である。また、カスタマ30が部品実装機200に関して高い知識を有するオペレータがいる実装メーカ20に発注したいために、オペレータの実装機知識についてのトレーニングのスコアが100点であることを発注条件とした回数が100回であった場合は、実装機知識100点に対応する蓄積数は100である。
【0091】
図11に戻り、生産実力情報生成部105は、生産実力情報410を生成する対象となる発注条件を抽出する(S204)。例えば、生産実力情報生成部105は、蓄積部104が蓄積した数が所定の閾値よりも多い発注条件を抽出する。
【0092】
そして、生産実力情報生成部105が抽出した全ての発注条件について、以下の処理(S208〜S212)が繰り返される(ループ1:S206〜S214)。
【0093】
まず、生産実力情報生成部105は、発注条件ごとに、生産情報が発注条件を満たす実装メーカ20を抽出する(S208)。例えば、0402チップ部品の実装実績が10回以上の発注条件に対しては、0402チップ部品の実装実績が10回以上の生産情報を有する実装メーカ20を抽出する。
【0094】
そして、生産実力情報生成部105は、発注条件ごとに、実装メーカ20ごとの生産情報を発注条件と比較することで、生産情報が発注条件を満たしている度合いを算出する(S210)。例えば、0402チップ部品の実装実績が10回以上の発注条件に対して、0402チップ部品の実装実績が10回の生産情報を有する実装メーカ20の当該度合いを1.0、当該実装実績が20回の生産情報を有する実装メーカ20の当該度合いを2.0などと算出する。
【0095】
そして、生産実力情報生成部105は、発注条件ごとに、当該度合いが高い順に実装メーカ20を配列する(S212)。
【0096】
このようにして、生産実力情報生成部105は、発注条件ごとに、生産情報が発注条件を満たし、生産情報が発注条件を満たしている度合いが高い順に配列された実装メーカ20を示す生産実力情報410を生成する。
【0097】
そして、生産実力情報生成部105は、蓄積数が多い順に発注条件を配列する(S216)。これにより、生産実力情報生成部105は、発注条件のうち蓄積された数が多い発注条件から順に配列された、生産情報が発注条件を満たす実装メーカ20を示す生産実力情報410を生成する。
【0098】
以上により、生産実力情報生成部105が生産実力情報410を生成する処理(図9のS108)は、終了する。
【0099】
ここで、生産実力情報410を含む生産実力情報データ110cの一例について説明する。
【0100】
図13は、生産実力情報データ110cの一例を示す図である。
生産実力情報データ110cは、生産実力情報410を生成するためのデータの集まりである。同図に示すように、生産実力情報データ110cは、発注条件、発注条件の蓄積数、生産実力情報410、度合いなどからなる。
【0101】
発注条件は、蓄積数が多い順に配列されている。また、生産実力情報410は、発注条件ごとに、生産情報が発注条件を満たし、生産情報が発注条件を満たしている度合いが高い順に、実装メーカ20が配列されている。また、生産実力情報410は、発注条件に対応した実装メーカ20の生産情報も含んでいる。
【0102】
図14は、カスタマ装置400のカスタマ装置表示部401に表示される生産実力情報410の一例を示す図である。
【0103】
同図では、図13に示された生産実力情報410が、カスタマ装置表示部401に表示されている。例えば、0402チップ部品の実装実績が10回以上の発注条件に対して、当該発注条件を満たす生産情報を有する実装メーカ20がF社とA社とW社であることを示している。また、オペレータの実装機知識についてのトレーニングのスコアが90点以上の発注条件に対して、当該発注条件を満たす生産情報を有する実装メーカ20がX社とY社とZ社等であることを示している。
【0104】
このように、カスタマ30が、発注条件に合った実装メーカ20を示す生産実力情報410を参考にして、発注先の実装メーカ20として、発注する実装基板に適した実装メーカ20を特定することができる。
【0105】
(変形例)
ここで、本実施の形態における変形例について説明する。上記実施の形態では、生産実力情報生成部105が、発注条件ごとの実装メーカ20のランキングを示す生産実力情報410を生成した。しかし、本変形例では、実装メーカ20の総合のランキングを示す生産実力情報410を生成する。
【0106】
ここで、本変形例は、上記実施の形態での生産実力情報生成部105が生産実力情報410を生成する処理(図9のS108)が異なるため、当該処理以外の説明は省略し、当該処理について以下に説明する。
【0107】
図15は、本実施の形態の変形例における、生産実力情報生成部105が生産実力情報410を生成する処理(図9のS108)の詳細を示すフローチャートである。
【0108】
まず、蓄積部104は、受信部103が受信した発注条件を蓄積する(S302)。この処理については、上記実施の形態での処理(図9のS202)と同様であるため、説明を省略する。
【0109】
そして、生産実力情報生成部105は、蓄積数が多い発注条件ほど大きな値になるように、重み係数を算出する(S304)。
【0110】
図16は、本実施の形態の変形例における、生産実力情報生成部105が生産実力情報410を生成する処理を説明する図である。
【0111】
同図に示すように、生産実力情報生成部105は、発注条件の蓄積数が最大である「0402実装実績」の重み係数Iを1.0と算出する。そして、蓄積数が低下するに従って、重み係数Iを0.9、0.8などと算出していく。
【0112】
図15に戻り、生産実力情報生成部105は、発注条件ごとに、実装メーカ20ごとの生産情報を発注条件と比較することで、生産情報が発注条件を満たしている度合いを算出する(S306)。この処理については、上記実施の形態での処理(図9のS210)と同様であるため、説明を省略する。
【0113】
次に、生産実力情報生成部105は、実装メーカ20ごとに、実装メーカ20の生産情報に対応した発注条件ごとの重み係数と当該度合いとを乗じた数を合計した評価値を算出する(S308)。
【0114】
具体的には、図16に示すように、生産実力情報生成部105は、発注条件ごとの重み係数Iと、生産情報ごとの度合いIIとを乗じた積IIIを算出する。そして、生産実力情報生成部105は、実装メーカ20ごとに積IIIを合計することで、実装メーカ20ごとの評価値を算出する。
【0115】
そして、生産実力情報生成部105は、当該評価値が大きい順に実装メーカ20を配列する(S310)。このようにして、生産実力情報生成部105は、評価値が大きい順に配列された実装メーカ20を示す生産実力情報410を生成する。
【0116】
以上により、生産実力情報生成部105が生産実力情報410を生成する処理(図9のS108)は、終了する。
【0117】
ここで、本実施の形態の変形例における生産実力情報410を含む生産実力情報データ110cの一例について説明する。
【0118】
図17は、本実施の形態の変形例における生産実力情報データ110cの一例を示す図である。
【0119】
同図に示すように、生産実力情報データ110cは、生産実力情報410と評価値などからなる。評価値は、実装メーカ20ごとの積IIIの合計値である。そして、生産実力情報410は、評価値の大きい順に実装メーカ20が配列されている。つまり、生産実力情報410は、実装メーカ20を評価する総合のランキングの情報である。
【0120】
図18は、本実施の形態の変形例における、カスタマ装置400のカスタマ装置表示部401に表示される生産実力情報410の一例を示す図である。
【0121】
同図では、図17に示された生産実力情報410が、カスタマ装置表示部401に表示されている。つまり、実装メーカ20の総合ランキングが、X社、F社、G社等の順番であることを示している。
【0122】
このように、カスタマ30が、実装メーカ20の総合ランキングを示す生産実力情報410を参考にして、発注先の実装メーカ20として、発注する実装基板に適した実装メーカ20を特定することができる。
【0123】
以上、本発明に係る基板生産情報の公開方法について、上記実施の形態及びその変形例を用いて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0124】
つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0125】
たとえば、本実施の形態では、生産実力情報生成部105は、蓄積数が多い発注条件から順に配列され、生産情報が発注条件を満たし、生産情報が発注条件を満たしている度合いが高い順に配列された実装メーカ20を示す生産実力情報410を生成することとした。しかし、生産実力情報生成部105は、以下に示すような生産実力情報410を生成し、当該生産実力情報410がカスタマ装置表示部401に表示されることにしてもよい。
【0126】
図19A〜図19Cは、カスタマ装置表示部401に表示される生産実力情報410の他の一例を示す図である。
【0127】
まず、生産実力情報生成部105は、カスタマ30が入力した発注条件について、当該発注条件を満たす生産情報を有する実装メーカ20を示す生産実力情報410を生成することにしてもよい。例えば、図19Aに示すように、カスタマ30が発注条件として、0402チップ部品の実装実績が10回以上と入力して検索した場合、カスタマ装置400のカスタマ装置表示部401には、当該発注条件を満たす生産情報を有する実装メーカ20がF社とA社とW社であるという生産実力情報410が表示される。
【0128】
また、生産実力情報生成部105は、生産情報が発注条件を満たしている度合いに関係なく、生産情報が発注条件を満たしている実装メーカ20を示す生産実力情報410を生成することにしてもよい。例えば、図19Bに示すように、生産実力情報生成部105は、0402チップ部品の実装実績が10回以上であれば、回数に関係なく、生産情報が発注条件を満たしている実装メーカ20がA社とF社とW社であるという生産実力情報410を生成する。
【0129】
また、生産実力情報生成部105は、生産情報が発注条件を満たしていなくとも、生産情報が発注条件を満たしている度合いが高い順に実装メーカ20を配列して、生産実力情報410を生成することにしてもよい。例えば、図19Cに示すように、生産実力情報生成部105は、0402チップ部品の実装実績の回数を限定せず、当該回数の多い順に実装メーカ20を配列して、生産実力情報410を生成する。
【0130】
また、本実施の形態では、生産実力情報生成部105は、生産実力情報410を生成する対象となる発注条件を抽出することとした。しかし、生産実力情報生成部105は、発注条件を抽出せずに、全ての発注条件を対象として生産実力情報410を生成してもよい。
【0131】
また、本実施の形態及びその変形例では、複数の実装メーカ20が有する複数の実装メーカ装置300が、基板生産情報公開装置100に接続されていることとした。しかし、実装メーカ20は1社のみであり、基板生産情報公開装置100に接続される実装メーカ装置300は1つであってもよい。
【0132】
また、本実施の形態及びその変形例では、実装メーカ装置300はパーソナルコンピュータなどのコンピュータであることとしたが、この実装メーカ装置300の機能が部品実装機200の内部に備わっていてもよい。
【0133】
また、本実施の形態及びその変形例では、実装メーカ20は、実装関連設備として部品実装機200を有しており、生産情報は、部品実装機200の生産情報であることとした。しかし、実装関連設備は、部品実装機に限定されず、印刷機など、部品実装に関連する設備であればよく、生産情報も、そのような実装関連設備の生産情報であることにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、実装基板を生産する実装メーカの実装基板の生産の情報を公開する基板生産情報の公開方法に適用でき、特に、カスタマが、発注先の実装メーカとして、発注する実装基板に適した実装メーカを特定することができる基板生産情報の公開方法に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明に係る基板生産情報の公開方法を実現する基板生産情報公開システムの概略構成図である。
【図2】部品実装機の内部の主要な構成を示す平面図である。
【図3】装着ヘッドと部品カセットの位置関係を示す模式図である。
【図4】本実施の形態における実装メーカ装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】NCデータの一例を示す図である。
【図6】部品ライブラリの一例を示す図である。
【図7】生産情報データの一例を示す図である。
【図8】本実施の形態における基板生産情報公開装置の機能構成を示すブロック図である。
【図9】本実施の形態における基板生産情報公開装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】生産情報蓄積データの一例を示す図である。
【図11】生産実力情報生成部が生産実力情報を生成する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図12】発注条件蓄積データの一例を示す図である。
【図13】生産実力情報データの一例を示す図である。
【図14】カスタマ装置のカスタマ装置表示部に表示される生産実力情報の一例を示す図である。
【図15】本実施の形態の変形例における、生産実力情報生成部が生産実力情報を生成する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図16】本実施の形態の変形例における、生産実力情報生成部が生産実力情報を生成する処理を説明する図である。
【図17】本実施の形態の変形例における生産実力情報データの一例を示す図である。
【図18】本実施の形態の変形例における、カスタマ装置のカスタマ装置表示部に表示される生産実力情報の一例を示す図である。
【図19A】カスタマ装置表示部に表示される生産実力情報の他の一例を示す図である。
【図19B】カスタマ装置表示部に表示される生産実力情報の他の一例を示す図である。
【図19C】カスタマ装置表示部に表示される生産実力情報の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0136】
1 基板生産情報公開システム
10 サービス拠点
20 実装メーカ
30 カスタマ
100 基板生産情報公開装置
101 公開装置入力部
102 公開装置表示部
103 受信部
104 蓄積部
105 生産実力情報生成部
106 生産実力情報送信部
107 公開装置通信部
110 公開装置格納部
110a 生産情報蓄積データ
110b 発注条件蓄積データ
110c 生産実力情報データ
200 部品実装機
201 基板
210a 実装ユニット
211a 部品供給部
212a 部品カセット
213a 装着ヘッド
214a 部品認識カメラ
300 実装メーカ装置
301 メーカ装置入力部
302 メーカ装置表示部
303 制御部
304 生産情報生成部
305 生産情報送信部
307 メーカ装置通信部
310 メーカ装置格納部
310a NCデータ
310b 部品ライブラリ
310c 生産情報データ
400 カスタマ装置
401 カスタマ装置表示部
410 生産実力情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装し実装基板を生産する実装メーカが有する実装メーカ装置と、前記実装メーカに前記実装基板を発注するカスタマが有するカスタマ装置とに通信ネットワークを介して接続される基板生産情報公開装置が、前記実装メーカの前記実装基板の生産の情報を公開する方法であって、
前記基板生産情報公開装置が、前記実装メーカの前記実装基板の生産に関する生産情報を、前記実装メーカ装置から受信する生産情報受信ステップと、
前記基板生産情報公開装置が、受信した前記生産情報に基づいて、前記実装メーカの前記実装基板の生産に関する生産の実力を示す情報であり、前記カスタマが前記実装基板の発注の可否を判断するために必要な情報である生産実力情報を生成する生産実力情報生成ステップと、
前記基板生産情報公開装置が、生成した前記生産実力情報を前記カスタマ装置に送信することで、前記生産実力情報を前記カスタマに公開する生産実力情報公開ステップと
を含む基板生産情報の公開方法。
【請求項2】
さらに、
前記基板生産情報公開装置が、前記カスタマが前記実装基板を発注するために必要な条件である発注条件を、前記カスタマ装置から受信する発注条件受信ステップを含み、
前記生産実力情報生成ステップでは、前記基板生産情報公開装置は、前記生産情報が前記発注条件を満たす実装メーカを示す前記生産実力情報を生成する
請求項1に記載の基板生産情報の公開方法。
【請求項3】
さらに、
前記基板生産情報公開装置が、受信した前記発注条件を蓄積する発注条件蓄積ステップを含み、
前記生産実力情報生成ステップでは、前記基板生産情報公開装置は、受信した前記発注条件のうち蓄積された数が多い発注条件から順に配列された、前記生産情報が前記発注条件を満たす実装メーカを示す前記生産実力情報を生成する
請求項2に記載の基板生産情報の公開方法。
【請求項4】
前記基板生産情報公開装置は、複数の実装メーカが有する複数の実装メーカ装置と通信ネットワークを介して接続されており、
前記生産情報受信ステップでは、前記複数の実装メーカの生産情報を、前記基板生産情報公開装置が前記複数の実装メーカ装置から受信し、
前記基板生産情報の公開方法は、さらに、
前記基板生産情報公開装置が、受信した前記複数の実装メーカの生産情報を蓄積する生産情報蓄積ステップと、
前記基板生産情報公開装置が、前記発注条件ごとに、実装メーカごとの前記生産情報を前記発注条件と比較することで、前記生産情報が前記発注条件を満たしている度合いを算出する度合算出ステップとを含み、
前記生産実力情報生成ステップでは、前記発注条件ごとに、前記度合いが高い順に配列された実装メーカを示す前記生産実力情報を生成する
請求項2又は3に記載の基板生産情報の公開方法。
【請求項5】
前記生産実力情報生成ステップでは、前記基板生産情報公開装置は、前記発注条件に対応した前記実装メーカの生産情報を含む前記生産実力情報を生成する
請求項1〜4のいずれか1項に記載の基板生産情報の公開方法。
【請求項6】
前記基板生産情報公開装置は、複数の実装メーカが有する複数の実装メーカ装置と通信ネットワークを介して接続されており、
前記生産情報受信ステップでは、前記複数の実装メーカの生産情報を、前記基板生産情報公開装置が前記複数の実装メーカ装置から受信し、
前記基板生産情報の公開方法は、さらに、
前記基板生産情報公開装置が、受信した前記複数の実装メーカの生産情報を蓄積する生産情報蓄積ステップと、
前記基板生産情報公開装置が、前記カスタマが前記実装基板を発注するために必要な条件である発注条件を、前記カスタマ装置から受信する発注条件受信ステップと、
前記基板生産情報公開装置が、受信した前記発注条件を蓄積する発注条件蓄積ステップと、
前記基板生産情報公開装置が、前記発注条件蓄積ステップで蓄積した数が多い発注条件ほど大きな値になるように重み係数を算出する重み係数算出ステップと、
前記基板生産情報公開装置が、前記発注条件ごとに、実装メーカごとの前記生産情報を前記発注条件と比較することで、前記生産情報が前記発注条件を満たしている度合いを算出する度合算出ステップと、
前記基板生産情報公開装置が、前記実装メーカごとに、前記実装メーカの生産情報に対応した前記発注条件ごとの前記重み係数と前記度合いとを乗じた数を合計した評価値を算出する評価値算出ステップとを含み、
前記生産実力情報生成ステップでは、前記評価値が大きい順に配列された実装メーカを示す前記生産実力情報を生成する
請求項1に記載の基板生産情報の公開方法。
【請求項7】
前記実装メーカ装置は、前記実装メーカが実装基板を生産するための実装関連設備と接続されており、
前記基板生産情報の公開方法は、さらに、
前記実装メーカ装置が、前記実装関連設備の前記実装基板の生産の能力を示す設備能力情報を、前記実装関連設備から受信する設備能力情報受信ステップと、
前記実装メーカ装置が、前記実装関連設備を操作するオペレータのスキルを示すスキル情報を取得するスキル情報取得ステップとを含み、
前記生産情報受信ステップでは、前記設備能力情報と前記スキル情報とが含まれる前記生産情報を、前記基板生産情報公開装置が前記実装メーカ装置から受信する
請求項1〜6のいずれか1項に記載の基板生産情報の公開方法。
【請求項8】
基板に部品を実装し実装基板を生産する実装メーカが有する実装メーカ装置と、前記実装メーカに前記実装基板を発注するカスタマが有するカスタマ装置とに通信ネットワークを介して接続され、前記実装メーカの前記実装基板の生産の情報を公開する基板生産情報公開装置であって、
前記実装メーカごとの前記実装基板の生産に関する生産情報を、前記実装メーカ装置から受信する受信部と、
受信された前記実装メーカごとの前記生産情報に基づいて、前記実装メーカの前記実装基板の生産に関する生産の実力を示す情報であり、前記カスタマが前記実装基板の発注の可否を判断するために必要な情報である生産実力情報を生成する生産実力情報生成部と、
生成された前記生産実力情報を前記カスタマ装置に送信する生産実力情報送信部と
を備える基板生産情報公開装置。
【請求項9】
基板に部品を実装し実装基板を生産する実装メーカが有する実装メーカ装置と、前記実装メーカに前記実装基板を発注するカスタマが有するカスタマ装置とに通信ネットワークを介して接続される基板生産情報公開装置が、前記実装メーカの前記実装基板の生産の情報を公開するためのプログラムであって、
前記実装メーカの前記実装基板の生産に関する生産情報を、前記実装メーカ装置から受信する生産情報受信ステップと、
受信した前記生産情報に基づいて、前記実装メーカの前記実装基板の生産に関する生産の実力を示す情報であり、前記カスタマが前記実装基板の発注の可否を判断するために必要な情報である生産実力情報を生成する生産実力情報生成ステップと、
生成した前記生産実力情報を前記カスタマ装置に送信することで、前記生産実力情報を前記カスタマに公開する生産実力情報公開ステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【公開番号】特開2010−199440(P2010−199440A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44744(P2009−44744)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】