説明

基板生産管理システム

【課題】データ作成、データ管理が簡単な基板生産管理システムを提供することを課題とする。
【解決手段】基板生産管理システム1は、電子部品実装機3と管理装置2とを備える。管理装置2は、ファミリー基板群に属する全ての基板に共用される座標データと、ファミリー基板群に属する全ての基板に個別に用いられるBOMを有するBOMデータ22と、ファミリー基板群に属する全ての基板に共用される基板種対応データ24と、を有する。管理装置2は、基板種が入力されることにより、基板種対応データ24を基にBOMデータ22からBOMを選択するBOM選択ステップと、BOMと座標データ21とから装着座標を認識する装着座標認識ステップと、電子部品実装機3に装着対象となる電子部品を通知する通知ステップと、を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じファミリー基板群に属する複数の基板の生産を管理する基板生産管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、パソコン、テレビなどの電子機器においては、仕向け地ごとに、電源の仕様や規格などが異なる場合がある。また、同一の電子機器を、例えばオプション機能の有無や、画面サイズの大小などにより、シリーズ展開する場合がある。また、シリーズ展開する場合は、基板の試作を行う場合がある。このような場合、電子機器のメーカーは、コスト削減のため、同じファミリー基板群に属する基板を仕向け地などに対応させて、電子機器に組み込んでいる。
【0003】
図2(a)〜(d)に、同じファミリー基板群に属する基板の概念図を示す。図2(a)〜(d)に示すように、基板100a〜100dを比較すると、大半の装着座標には、同一の電子部品が装着されている。例えば、基板100a〜100dの装着座標(X103、Y104)には、同一の電子部品101が装着されている。また、基板100a〜100dの装着座標(X105、Y101)には、同一の電子部品102が装着されている。
【0004】
しかしながら、一部の装着座標には、異なる電子部品が装着されている。例えば、基板100a〜100dの装着座標(X103、Y101)には、各々、異なる電子部品103a〜103dが装着されている。なお、異なる電子部品103a〜103dが装着されている装着座標(X103、Y101)は、一つとは限らない。また、基板100a〜100dによっては、装着座標(X103、Y101)に電子部品103a〜103dが装着されていない(スキップされている)場合もある。
【0005】
例えば、電子機器の仕向け地が四カ国ある場合、全ての装着座標のうち装着座標(X103、Y101)に装着される電子部品103a〜103dだけを、仕向け地に応じて変更している。こうすることにより、各仕向け地の仕様や規格に、基板100a〜100dを対応させている。
【0006】
このように、ファミリー基板群に属する複数の基板においては、大半の装着座標において、同一の電子部品が装着されている。しかしながら、基板の生産に用いるジョブデータ(基板の生産ラインに配置された複数の電子部品実装機を動作させるためのデータ群)は、基板種ごとに作成されている。このため、データ作成時においては、似通ったジョブデータを、基板種の数に応じて、複数作成する必要がある。また、データ管理時においては、基板種ごとに、ジョブデータを管理する必要がある。このように、ファミリー基板群に属する基板の生産においては、データ作成、データ管理が煩雑である。また、煩雑さの程度は、基板種数(例えば仕向け地数)が多くなるほど、大きくなる。
【0007】
この点に鑑み、特許文献1には、全仕向け地用の全基板に共用される仕向け地統合動作データを生成する部品実装方法が開示されている。同文献の部品実装方法によると、まず、仕向け地別実装部品指示表(仕向け地別に電子部品の装着の有無を指示している)から、仕向け地別実装部品スキップ対応表が作成される。次に、仕向け地別実装部品スキップ対応表で決定されたスキップ命令を参照しながら、電子部品実装機が動作するのに必要なスキップ命令の付与された動作データである、仕向け地統合動作データが作成される。同文献記載の部品実装方法によると、仕向け地数が多い場合であっても、データ作成、データ管理を簡単に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−236996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の部品実装方法の場合、仕向け地統合動作データの内容は、電子部品のスキップ情報(装着禁止情報)である。すなわち、仕向け地統合動作データは、各仕向け地に対応する基板種ごとに、同じ装着座標に対するスキップ情報付き装着データを、重複して持っている。このため、さらにデータ作成、データ管理を簡単に行える基板生産管理システムが望まれる。
【0010】
本発明の基板生産管理システムは、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、データ作成、データ管理が簡単な基板生産管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記課題を解決するため、本発明の基板生産管理システムは、基板の装着座標に電子部品を装着する電子部品実装機と、該電子部品実装機に装着対象となる該電子部品を振り分ける管理装置と、を備える基板生産管理システムであって、前記基板は、複数の該基板からなるファミリー基板群に属し、前記管理装置は、該ファミリー基板群に属する全ての該基板に共用されると共に、該装着座標と、座標識別子と、が対応付けられた座標データと、該ファミリー基板群に属する全ての該基板に個別に用いられると共に、該座標識別子と、該電子部品の種類である部品種と、が対応付けられたBOMを、該ファミリー基板群に属する該基板の数だけ有するBOMデータと、該ファミリー基板群に属する全ての該基板に共用されると共に、該BOMと、該BOMの該部品種に関する該電子部品が装着される該基板の種類である基板種と、が対応付けられた基板種対応データと、を有し、該管理装置は、生産対象となる該基板種が入力されることにより、該基板種対応データを基に該BOMデータから該基板種に対応する該BOMを選択するBOM選択ステップと、該BOMの該座標識別子を基に該座標データから該装着座標を認識する装着座標認識ステップと、前記電子部品実装機に装着対象となる該電子部品を通知する通知ステップと、を実行することを特徴とする。
【0012】
ここで、「ファミリー基板群」に属する複数の基板においては、全ての装着座標のうち一部の装着座標において、同じ装着座標に異なる前記電子部品が装着される場合がある。また、全ての装着座標のうち一部の装着座標において、同じ装着座標に電子部品が装着されたり装着されなかったりする(つまりスキップされる)場合がある。
【0013】
本発明の基板生産管理システムは、電子部品実装機と管理装置とを備えている。管理装置は、座標データと、BOM(Bills of Materials:部品表)データと、基板種対応データと、を有している。このうち、座標データおよび基板種対応データは、ファミリー基板群に属する全ての基板に共用されている。また、BOMデータの各BOMは、ファミリー基板群に属する全ての基板に、個別に対応している。
【0014】
基板種が入力されると、管理装置は、BOM選択ステップと、装着座標認識ステップと、通知ステップと、を実行する。BOM選択ステップにおいては、入力された基板種からBOMが選択される。装着座標認識ステップにおいては、BOMに属する電子部品の装着座標が認識される。通知ステップにおいては、電子部品実装機に、当該電子部品実装機が担当する電子部品が通知される。
【0015】
本発明の基板生産管理システムによると、ファミリー基板群に属する全ての基板において、座標データおよび基板種対応データが共用化されている。このため、データ作成時においては、座標データおよび基板種対応データを、基板種の数に応じて、複数作成する必要がない。このため、データの作成および修正が簡単である。また、データ管理時においては、基板種ごとに、座標データおよび基板種対応データを管理する必要がない。このため、データ管理が簡単である。
【0016】
また、本発明の基板生産管理システムによると、ファミリー基板群に属する全ての基板において座標データおよび基板種対応データが共用化され、BOMのみにより基板種の変更が行えるため、基板の生産後に、任意の基板の生産状況をトレースしやすい。すなわち、トレーサビリティ情報を取得しやすい。
【0017】
また、本発明の基板生産管理システムによると、自動あるいは手動で基板種を入力するだけで、簡単に生産対象となる基板の切替を行うことができる。また、基板種を入力するだけで、自動的に、電子部品実装機に電子部品が通知される。このため、管理装置から電子部品実装機への伝送ミスが少なくなる。また、試作の場合、電子部品等の変更が頻繁に行われるが、本発明の基板生産管理システムによれば、BOMを追加するだけで対応できる。また、試作を含めてBOMにより基板種が管理されるので、基板の生産後にトレーサビリティ情報を取得する場合は、入力された基板種の情報を基に、簡単に所望のトレーサビリティ情報に辿り着くことができる。
【0018】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、さらに、前記管理装置は、前記ファミリー基板群に属する全ての前記基板に共用されると共に、前記部品種と、前記電子部品のスペックと、が対応付けられたパートデータを有し、該管理装置は、前記BOM選択ステップの後であって前記通知ステップの前に、前記BOMの前記部品種を基に該パートデータから該電子部品の該スペックを認識する部品スペック認識ステップを実行する構成とする方がよい。
【0019】
本構成によると、基板種を入力するだけで、自動的に、BOMに属する電子部品のスペックを認識することができる。このため、電子部品実装機における、電子部品の装着順序や装着座標などに、当該スペックを反映させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、データ作成、データ管理が簡単な基板生産管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態となる基板生産管理システムのブロック図である。
【図2】同じファミリー基板群に属する基板の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の基板生産管理システムの実施の形態について説明する。
【0023】
<基板生産管理システム>
まず、本実施形態の基板生産管理システムについて説明する。図1に、本実施形態の基板生産管理システムのブロック図を示す。図1に示すように、本実施形態の基板生産管理システム1は、管理装置2と、複数の電子部品実装機3と、を備えている。
【0024】
複数の電子部品実装機3は、生産ラインに沿って直列に並んでいる。生産ラインでは、同じファミリー基板群に属する複数の基板(例えば、仕向け地が異なる複数の基板)が生産される。複数の電子部品実装機3は、生産ラインを搬送される基板に対して、図示しない吸着ノズルを用いて、段階的に複数の電子部品を装着する。
【0025】
管理装置2は、複数の電子部品実装機3に電気的に接続されている。管理装置2は、複数の電子部品実装機3の各々に対して、電子部品の装着担当を振り分けている。すなわち、管理装置2は、基板生産前において、複数の電子部品実装機3の各々に対して、「搬送される基板の、どの装着座標に、どの電子部品を装着するか」という振分データを供給している。また、管理装置2は、後述するシーケンスデータ21生成の際、CAD(Computer−Aided Design)システム9に電気的に接続される。
【0026】
管理装置2のメモリには、ジョブデータ20が格納されている。ジョブデータ20は、シーケンスデータ21と、BOMデータ22と、パートデータ23と、基板種対応データ24と、装着順情報(図略)と、装置構成情報(図略)と、を備えている。シーケンスデータ21は、本発明の「座標データ」の概念に含まれる。
【0027】
シーケンスデータ21は、基板の生産工程に関するデータである。シーケンスデータ21は、電子部品の装着座標(X軸(例えば左右方向)座標(X1、X2、X3・・・)、Y軸(例えば前後方向)座標(Y1、Y2、Y3・・・)、θ軸(水平面内における回転方向)座標(θ1、θ2、θ3・・・))と、回路記号(Ref1、Ref2、Ref3・・・)と、を備えている。回路記号は、本発明の「座標識別子」の概念に含まれる。装着座標と回路記号とは、例えばX1−Y1−θ1−Ref1のように、互いに対応付けられている。シーケンスデータ21は、全ての基板種に対して共通である。
【0028】
パートデータ23は、電子部品のスペックに関するデータである。パートデータ23は、電子部品の部品種(a、b、c、d・・・)と、電子部品の寸法(X軸長(x1、x2、x3、x4・・・)、Y軸長(y1、y2、y3、y4・・・)、リード形式(r1、r2、r3、r4・・・))などと、を備えている。部品種と寸法などとは、例えばa−x1−y1−r1のように、互いに対応付けられている。パートデータ23は、全ての基板種に対して共通である。
【0029】
BOMデータ22は、基板種ごとに設定されるBOMに関するデータである。BOMデータ22は、複数のBOM1、BOM2・・・を有している。BOM1は、回路記号(Ref1、Ref2、Ref3・・・)と、電子部品の部品種(a、b、c・・・)と、を備えている。回路記号と部品種とは、例えばRef1−aのように、互いに対応付けられている。BOM1以外のBOM2・・・についても、同様に回路記号と部品種とが対応付けられている。
【0030】
ここで、異なるBOM間においては、回路記号と部品種との対応付けが相違する場合がある。例えば、BOM1においては回路記号Ref3と部品種cとが対応している。これに対して、BOM2においては回路記号Ref3と部品種dとが対応している。このことは、回路記号Ref3に対応する装着座標X3−Y3−θ3に対して、BOM1を用いる場合は部品種cという電子部品が、BOM2を用いる場合は部品種dという電子部品が、装着されることを意味する。
【0031】
基板種対応データ24は、基板種とBOMとの紐付けに関するデータである。基板種対応データ24は、基板種(Key1、Key2・・・)と、BOM(BOM1、BOM2・・・)と、を備えている。基板種とBOMとは、例えばKey1−BOM1のように、互いに対応付けられている。
【0032】
装着順情報は、電子部品実装機の動作順に関するデータである。装置構成情報は、電子部品実装機の構成(例えば、使用する吸着ノズルなど)に関するデータである。装着順情報、装置構成情報は、全ての基板種に対して共通である。
【0033】
<基板生産管理方法>
次に、本実施形態の基板生産管理システムを用いた基板生産管理方法について説明する。基板生産管理方法は基板生産前に実行される。基板生産管理方法は、シーケンスデータ生成ステップと、基板種入力ステップと、BOM選択ステップと、装着座標認識ステップと、部品スペック認識ステップと、通知ステップと、を有している。
【0034】
[シーケンスデータ生成ステップ]
本ステップにおいては、CADシステム9のCADデータ90を基に、管理装置2がシーケンスデータ21を生成する。すなわち、CADシステム9には、電子部品の部品種、装着座標に関するCADデータ90が格納されている。当該CADデータ90を基に、管理装置2は、ファミリー基板群に用いられる全電子部品に関するシーケンスデータ21を自動的に生成する。
【0035】
[基板種入力ステップ]
本ステップにおいては、生産対象となる基板の基板種(例えばKey1)を管理装置2に入力する。具体的には、まず、生産ライン上流端に配置された電子部品実装機3の撮像装置(図略)で、生産対象となる基板に表示されたID(identification)マークを読み取ることにより、基板種Key1を電子部品実装機3に入力する。次いで、電子部品実装機3が当該基板種Key1を管理装置2に伝送する。このようにして、基板種Key1を管理装置2に自動的に入力する。
【0036】
[BOM選択ステップ]
本ステップにおいては、ジョブデータ20の基板種対応データ24を用いて、管理装置2がBOM1を選択する。すなわち、基板種対応データ24においては、基板種(Key1、Key2・・・)と、BOM(BOM1、BOM2・・・)と、が互いに対応付けられている。管理装置2は、当該基板種対応データ24を用いて、基板種入力ステップにおいて入力された基板種Key1に対応するBOM1を選択する。
【0037】
[装着座標認識ステップ]
本ステップにおいては、シーケンスデータ生成ステップにおいて生成されたシーケンスデータ21を用いて、管理装置2が装着座標を認識する。すなわち、シーケンスデータ21においては、電子部品の装着座標(X軸座標(X1、X2、X3・・・)、Y軸座標(Y1、Y2、Y3・・・)、θ軸座標(θ1、θ2、θ3・・・))と、回路記号(Ref1、Ref2、Ref3・・・)と、が互いに対応付けられている。管理装置2は、当該シーケンスデータ21を用いて、BOM選択ステップにおいて選択されたBOM1、つまり基板種Key1に対応する電子部品の装着座標を認識する。
【0038】
[部品スペック認識ステップ]
本ステップにおいては、ジョブデータ20のパートデータ23を用いて、管理装置2が電子部品のスペック(形状、大きさ、リード形式(リード本数、リード配置など)など)を認識する。すなわち、パートデータ23においては、電子部品の部品種(a、b、c、d・・・)と、電子部品の寸法(X軸長(x1、x2、x3、x4・・・)、Y軸長(y1、y2、y3、y4・・・)、リード形式(r1、r2、r3、r4・・・))などと、が互いに対応付けられている。管理装置2は、当該パートデータ23を用いて、BOM選択ステップにおいて選択されたBOM1、つまり基板種Key1に対応する電子部品の部品スペックを認識する。
【0039】
[通知ステップ]
ここまでのステップにより、管理装置2は、基板種Key1の基板に装着される全電子部品の装着座標、部品スペックに関するデータを取得している。本ステップにおいては、まず、管理装置2は、全電子部品の装着順序を決定する。つまり、「どの電子部品をどの電子部品実装機3を用いて基板に装着するか」を決定する。次いで、管理装置2は、当該決定を基に、各電子部品実装機3に振分データを送信する。基板種Key1の基板の生産が開始されたら、各電子部品実装機3は、当該振分データに従って、基板に電子部品を段階的に装着する。
【0040】
その後、段取り替えにより、基板種Key1から基板種Key2に、生産対象となる基板が切り替えられる場合は、再び上記各ステップが実行される。ただし、シーケンスデータ生成ステップは実行されない。最初のシーケンスデータ生成ステップにおいて生成されたシーケンスデータ21が、そのまま利用される。このようにして、基板の切替に応じて、自動的にBOMが切り替えられる。
【0041】
ここで、基板種Key1と基板種Key2とを比較すると、つまりBOM1とBOM2とを比較すると、回路記号Ref3以外の回路記号(例えば回路記号Ref1、Ref2)に対応する部品種(例えば部品種a、b)は、全て共通している。一方、回路記号Ref3に対応する部品種は異なっている。このことは、生産対象となる基板が切り替えられても、回路記号Ref3に対応する装着座標以外の装着座標には、同じ電子部品が装着されることを意味する。また、回路記号Ref3に対応する装着座標には、異なる電子部品が装着されることを意味する。
【0042】
すなわち、基板種Key1の場合はBOM1が用いられるため、回路記号Ref3に対応する装着座標(X軸座標、Y軸座標、θ軸座標)=(X3、Y3、Z3)に装着されるのは、部品種cの電子部品(X軸長、Y軸長、リード形式)=(x3、y3、r3)である。一方、基板種Key2の場合はBOM2が用いられるため、回路記号Ref3に対応する装着座標(X軸座標、Y軸座標、θ軸座標)=(X3、Y3、Z3)に装着されるのは、部品種dの電子部品(X軸長、Y軸長、リード形式)=(x4、y4、r4)である。
【0043】
このように、基板の切替に応じて、大半の装着座標に同じ電子部品が装着され、一部の装着座標に異なる電子部品が装着される場合であっても、基板種Key1、Key2・・・を入力するだけで、簡単かつ正確に基板の生産を管理することができる。
【0044】
<作用効果>
次に、本実施形態の基板生産管理システムの作用効果について説明する。本実施形態の基板生産管理システム1によると、ファミリー基板群に属する全ての基板において、シーケンスデータ21および基板種対応データ24が共用化されている。このため、データ作成時においては、シーケンスデータ21および基板種対応データ24を、基板種Key1、Key2・・・の数に応じて、複数作成する必要がない。このため、データの作成および修正が簡単である。また、データ管理時においては、基板種Key1、Key2・・・ごとに、シーケンスデータ21および基板種対応データ24を管理する必要がない。このため、データ管理が簡単である。
【0045】
また、本実施形態の基板生産管理システム1によると、ファミリー基板群に属する全ての基板においてシーケンスデータ21および基板種対応データ24が共用化され、BOMのみにより基板種の変更が行えるため、基板の生産後に、任意の基板の生産状況をトレースしやすい。すなわち、トレーサビリティ情報を取得しやすい。
【0046】
また、本実施形態の基板生産管理システム1によると、電子部品実装機3の撮像装置で基板のIDマークを読み取るだけで、つまり基板種Key1、Key2・・・を入力するだけで、簡単に生産対象となる基板の切替を行うことができる。また、基板種Key1、Key2・・・を入力するだけで、自動的に、複数の電子部品実装機3に電子部品が通知される。並びに、基板種Key1、Key2・・・を入力するだけで、自動的に、複数の電子部品実装機3に電子部品が振り分けられる。このため、管理装置2から複数の電子部品実装機3への伝送ミスが少なくなる。また、基板の生産後にトレーサビリティ情報を取得する場合は、入力された基板種Key1、Key2・・・の情報を基に、簡単に所望のトレーサビリティ情報に辿り着くことができる。
【0047】
また、本実施形態の基板生産管理システム1によると、基板種Key1、Key2・・・を入力するだけで、自動的に、BOM1、BOM2・・・に属する電子部品のスペックを認識することができる。このため、電子部品実装機3における、電子部品の装着順序や装着座標などに、当該スペックを反映させることができる。また、本実施形態の基板生産管理システム1によると、CADデータ90から、自動的にシーケンスデータ21を生成することができる。
【0048】
<その他>
以上、本発明の基板生産管理システムの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0049】
上記実施形態の基板生産管理システム1を用いた基板生産管理方法の基板種入力ステップにおいては、電子部品実装機3の撮像装置で基板のIDマークを読み取ることにより、基板種Key1、Key2・・・の入力を行った。しかしながら、作業者が手動で基板種Key1、Key2・・・を入力してもよい。また、基板種Key1、Key2・・・の入力先は、電子部品実装機3でも、管理装置2でもよい。また、基板種Key1、Key2・・・入力用のIDマークとしては、例えば、文字、図形、記号、特殊なパターン形状、バーコード、QRコード(登録商標)などの二次元コードなどを用いてもよい。
【0050】
また、基板種Key1、Key2・・・入力用の撮像装置としては、CCD(Charge−Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)カメラ、赤外線カメラなどを用いてもよい。
【0051】
また、シーケンスデータ21は、CADデータ90から自動的に生成されなくてもよい。作業者が手動で入力してもよい。また、パートデータ23、装着順情報、装置構成情報は、ジョブデータ20内に独立して存在していなくてもよい。パートデータ23、装着順情報、装置構成情報は、他のデータ(例えばシーケンスデータ21)と合体していてもよい。また、パートデータ23、装着順情報、装置構成情報は、ジョブデータ20外に存在していてもよい。
【0052】
また、上記実施形態の基板生産管理システム1を用いた基板生産管理方法の場合、回路記号Ref3に対応する装着座標X3−Y3−θ3に対して、BOM1を用いる場合は部品種cという電子部品が、BOM2を用いる場合は部品種dという電子部品が、各々、装着される。しかしながら、BOMによっては、装着座標X3−Y3−θ3に装着される電子部品がなくてもよい。
【0053】
また、上記実施形態の基板生産管理システム1を用いた基板生産管理方法の通知ステップにおいては、電子部品のスペック等を考慮して、適宜、振分データをオプチマイズしてもよい。こうすると、例えば、基板の生産速度を向上させることができる。あるいは、生産に要する消費電力を削減することができる。
【0054】
また、通知ステップにおける電子部品の振分(どの電子部品をどの電子部品実装機3を用いて基板に装着するか)は、基板種入力ステップの前に実行してもよい。すなわち、振分については予め決定しておき、基板種の入力後に、既に決定されている振分に従って、各電子部品実装機3に通知を行ってもよい。
【0055】
上記実施形態の基板生産管理システム1を用いて生産されるファミリー基板群の用途は特に限定しない。例えば、仕向け地対応、試作品対応、少量多品種対応に用いることができる。試作品対応に基板生産管理システム1を用いると、試作後にトレーサビリティ情報を取得しやすいため、データ収集が簡単である。また、試作時に使用したジョブデータ20(一部でも全部でもよい)を、記録媒体を介して、実際の生産ラインに導入してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1:基板生産管理システム、2:管理装置、3:電子部品実装機、9:CADシステム、20:ジョブデータ、21:シーケンスデータ、22:BOMデータ、23:パートデータ、24:基板種対応データ、90:CADデータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の装着座標に電子部品を装着する電子部品実装機と、該電子部品実装機に装着対象となる該電子部品を振り分ける管理装置と、を備える基板生産管理システムであって、
前記基板は、複数の該基板からなるファミリー基板群に属し、
前記管理装置は、
該ファミリー基板群に属する全ての該基板に共用されると共に、該装着座標と、座標識別子と、が対応付けられた座標データと、
該ファミリー基板群に属する全ての該基板に個別に用いられると共に、該座標識別子と、該電子部品の種類である部品種と、が対応付けられたBOMを、該ファミリー基板群に属する該基板の数だけ有するBOMデータと、
該ファミリー基板群に属する全ての該基板に共用されると共に、該BOMと、該BOMの該部品種に関する該電子部品が装着される該基板の種類である基板種と、が対応付けられた基板種対応データと、
を有し、
該管理装置は、生産対象となる該基板種が入力されることにより、該基板種対応データを基に該BOMデータから該基板種に対応する該BOMを選択するBOM選択ステップと、該BOMの該座標識別子を基に該座標データから該装着座標を認識する装着座標認識ステップと、前記電子部品実装機に装着対象となる該電子部品を通知する通知ステップと、を実行することを特徴とする基板生産管理システム。
【請求項2】
さらに、前記管理装置は、前記ファミリー基板群に属する全ての前記基板に共用されると共に、前記部品種と、前記電子部品のスペックと、が対応付けられたパートデータを有し、
該管理装置は、前記BOM選択ステップの後であって前記通知ステップの前に、前記BOMの前記部品種を基に該パートデータから該電子部品の該スペックを認識する部品スペック認識ステップを実行する請求項1に記載の基板生産管理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−227257(P2012−227257A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92054(P2011−92054)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】