説明

塗布ライン検査方法、塗布ライン検査装置、塗布ライン検査プログラムおよび塗布ライン検査プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体

【課題】塗布ラインの蛇行をある程度許容しつつ塗布ラインの幅が適正であるか否かを検査する塗布ライン検査方法、装置、プログラムおよび記憶媒体を提供する。
【解決手段】検査装置100に、ワーク1の所定の特徴点に基づいて塗布ライン画像31のワーク1の位置を補正した位置補正画像32を生成する位置補正画像生成部112と、位置補正画像32のうち塗布ライン2に対応する部分とそれ以外の部分をそれぞれ異なる色とする二値化画像33a・二値化画像33bを生成する二値化画像生成部113と、二値化画像33aにおける境界線2a・2bの全てが上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあり、かつ二値化画像33bにおける境界線2a・2bの全てが下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にある場合には塗布ライン2が良好であると判定する塗布ライン判定部114と、を具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに塗布された線状の塗布物である塗布ラインを検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車のシリンダブロックとオイルパンとの当接部位のように、気密性あるいは液密性が要求される当接部位には成形ガスケットが介装される。
一般に、成形ガスケットはリング状あるいは紐状に成形された固体状のゴム、エラストマー等で構成される。
成形ガスケットを複数の部品の当接部位に介装し、当該当接部位をボルト締結等の方法で相互に押し付けて成形ガスケットを弾性変形させることにより、成形ガスケットが当該当接部位に密着し、当該当接部位における気密性あるいは液密性が確保される。
【0003】
近年、複数の部品の当接部位の気密性あるいは液密性を確保するために、成形ガスケットに代わってFIPG(Formed In Place Gasket)が広く用いられている。
FIPGは一般にエラストマー等で構成され、硬化前には流動性を有する液体状、ペースト状あるいはゲル状であり、硬化後には固体状となる。
硬化前のFIPGを複数の部品の当接部位に線状に(あるいはリング状に)塗布し、複数の部品の当接部位を相互に押し付けた状態で当該FIPGが硬化するまで保持することにより、硬化後のFIPGが複数の部品の当接部位に密着し、当該当接部位における気密性あるいは液密性が確保される。
【0004】
FIPGは、(a)複数の部品の当接部位における気密性あるいは液密性が高いこと、(b)複数の部品の当接部位の面形状の自由度が高いこと(当接部位が平面状でなくても気密性あるいは液密性を確保することが可能であること)、(c)複数の部品の当接部位の面精度が低くても(当接部位の表面に多少の凹凸があっても)気密性あるいは液密性を容易に確保可能であること、といった点において従来の成形ガスケットよりも優れている。
【0005】
しかし、FIPGは硬化後に複数の部品の当接部位に強固に密着するため、当該当接部位に塗布されたFIPGの量が適正でない場合には修正が困難であるという問題を有する。
ここで、「複数の部品の当接部位に塗布されたFIPGの量が適正でないこと」とは、複数の部品の当接部位に塗布したFIPGの量が不足しているために当該当接部位における気密性あるいは液密性が確保されないこと、あるいは複数の部品の当接部位に塗布したFIPGの量が過多であるために余剰のFIPGが当該当接部位の外側にはみ出して周囲に悪影響を及ぼすこと(例えば、複数の部品の当接部位の近傍に形成される作動油の経路を閉塞したり、はみ出した余剰のFIPGが硬化後に剥がれて異物となったりすること等)を指す。
【0006】
複数の部品の当接部位に塗布されたFIPGが硬化した後に当該FIPGの量が適正でないことが判明した場合、当該複数の部品を剥離し、複数の部品の当接部位に付着した硬化後のFIPGを除去し、当該当接部位に硬化前のFIPGを再度塗布し、複数の部品を相互に押し付けるという一連の作業を行う必要が生じ、非常に煩雑である。
【0007】
従来、上記問題を解消する手段として、作業者が複数の部品間の当接部位に塗布された硬化前のFIPGの塗布量あるいは塗布位置が適正であるか否かを目視で判定する検査が行われている。
しかし、このような作業者による目視検査は、作業者の間の検査結果がばらつきやすいこと、FIPGの塗布量あるいは塗布位置について定量的な検査を行うことが困難であること、といった問題を有する。
【0008】
上記作業者による目視検査の問題を解消する手段として、FIPGが塗布された部品(の当接部位)を撮像することにより得られた画像に基づいてFIPGの塗布量が適正であるか否かを判定するシステムあるいは方法が知られている。
例えば、特許文献1から特許文献5に記載の如くである。
【0009】
特許文献1に記載の方法は、検査対象物をカラーカメラで撮像し、当該撮像により得られたカラー画像をR(赤)信号、G(緑)信号、B(青)信号に分けて各信号に対応する濃淡画像を生成し、検査対象物の色に対応する濃淡画像から検査対象物の色に対応しない濃淡画像を減算して差分画像を生成し、差分画像に二値化処理を施して検査対象物を抽出する。
しかし、特許文献1に記載の方法は、周辺の明るさの影響を受けずに検査対象物の画像を抽出することを目的としており、抽出された検査対象物の画像をどのように取り扱うかについては具体的には開示されていない。
【0010】
特許文献2に記載の方法は、被塗布面に塗布されたシール剤の所定領域を真上から撮像し、得られた画像のシール剤の両側輪郭線を一時的に折れ線近似し、折れ線の各エッジの座標に基づいて画像内のシール剤を複数のシール剤部分に等分し、各シール剤部分と中心と一致するウインドウを設定し、各ウインドウ内のシール剤部分の幅あるいは位置といった塗布状態を検出する。
しかし、特許文献2に記載の方法は、各ウインドウ内のシール剤部分の幅あるいは位置といった塗布状態を検出する手法として、撮像された画像におけるシール剤の長さあるいは断面積を予め設定された標準パターンとのマッチング対比により推定する(言い換えれば、パターンマッチングを用いて塗布状態の良否判定を行う)旨を開示しているが、シール剤の長さあるいは断面積の具体的な推定手法を開示していない。
特に、FIPGを部品の当接部位に塗布する場合、多少の蛇行や塗布位置の幅方向のずれが生じていても気密性あるいは液密性については良好な場合があるため、一般的なパターンマッチングによる判定手法を適用した場合には、判定対象となる画像のパターンと基準となるパターンとの間で少しのずれが生じただけで、実際には気密性あるいは液密性については良好であるにも関わらず不良品であると誤判定されるという問題を有する。
【0011】
特許文献3に記載の方法は、容器の蓋載置部に環状に塗布したシール剤塗布部を撮像し、撮像された画像においてシール剤塗布部の外側に設定される外部点を起点としてシール剤塗布部の外側をシール剤塗布部と異なる色で塗り潰したときに、シール剤塗布部の内側も外側と同じ色で塗り潰されるか否かによりシール剤塗布部の良否判定を行う。
しかし、特許文献3に記載の方法は、シール剤塗布部が途中で切れているか否かを判定するものであり、シール剤塗布部の幅が適正か否かを判定することは実質的には不可能である。
【0012】
特許文献4に記載のシステムは、シール材が塗布されたワーク接合面を撮像し、撮像された画像データ上に予め定められた検査ポイントを中心とした検査幅部分の画素位置を検索し、検査幅の両端位置から検査ポイントまでの画素のうち濃度変化値が設定値以上となった画素の位置をシール材の幅方向両端位置と判定し、シール材の幅方向両端位置が検出されない場合には検査ポイントにおいてシール材に切れ目が生じていると判定する。
しかし、特許文献4に記載のシステムは、シール材の幅方向における画素の濃度変化に基づいてシール材に切れ目が生じているか否かを判定するため、撮像される画像の視野内においてシール材に切れ目が生じていないがシール材が大きく蛇行している場合にも良好であると誤判定されるという問題を有する。
【0013】
特許文献5に記載の方法は、ビード状の塗布物をワークに塗布する前後の画像の差に基づいてビード状の塗布物の形状を検出し、検出されたビード状の塗布物の形状に基づいてビード状の塗布物が連続しているか否か、必要十分な幅を有しているか否か、基準の領域外にはみ出しているか否かを判別する。
しかし、特許文献5に記載の方法は、ビード状の塗布物が連続しているか否か、必要十分な幅を有しているか否か、基準の領域外にはみ出しているか否かを判別する具体的な手法については開示していない。
【特許文献1】特開2002−56375号公報
【特許文献2】特開平11−37724号公報
【特許文献3】特開平10−261388号公報
【特許文献4】特開平8−334478号公報
【特許文献5】特開平6−58732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、塗布ラインが蛇行することをある程度許容しつつ塗布ラインの幅が適正であるか否かを検査することが可能な塗布ライン検査方法、塗布ライン検査装置、塗布ライン検査プログラムおよび塗布ライン検査プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0016】
即ち、請求項1においては、
ワークおよび前記ワークに塗布された線状の塗布物である塗布ラインを撮像することにより塗布ライン画像を生成する塗布ライン撮像・塗布ライン画像生成工程と、
前記塗布ライン画像における前記ワークの所定の特徴点に基づいて前記塗布ライン画像におけるワークの位置を補正した画像である位置補正画像を生成する位置補正画像生成工程と、
前記位置補正画像に二値化処理を施すことにより前記塗布ラインに対応する部分を抽出し、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を白色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像を生成するとともに、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を黒色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像を生成する二値化画像生成工程と、
前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第一の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の上限値だけ互いに離隔して配置される一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第二の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の下限値だけ互いに離隔して配置される一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には前記塗布ラインが良好であると判定し、前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には前記塗布ラインが不良であると判定する塗布ライン判定工程と、
を具備するものである。
【0017】
請求項2においては、
前記一対の上限ラインは、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワーク上の予め設定された位置に予め設定された幅の塗布ラインが塗布された場合の塗布ラインの中心線となる塗布予定線を挟み、かつ前記塗布予定線に平行となる位置に設定され、
前記一対の下限ラインは、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像における前記塗布予定線を挟み、前記塗布予定線に平行となり、かつ前記一対の上限ラインよりも前記塗布予定線に近接する位置に設定されるものである。
【0018】
請求項3においては、
前記塗布ライン判定工程は、
前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側を黒色とするとともに前記一対の上限ラインで挟まれる領域の外側を白色とした上限マスク画像と前記第一の二値化画像との論理積に基づいて前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線が前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあるか否かを判定する上限判定工程と、
前記一対の下限ラインで挟まれる領域の内側を白色とするとともに前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側を黒色とした下限マスク画像と前記第二の二値化画像との論理積に基づいて前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線が前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあるか否かを判定する下限判定工程と、
を具備するものである。
【0019】
請求項4においては、
前記塗布ライン判定工程は、
前記上限判定工程において前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあると判定するとともに前記下限判定工程において前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあると判定した場合には前記塗布ラインが良好であると判定する総合判定工程を具備するものである。
【0020】
請求項5においては、
前記塗布ライン判定工程は、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワークの塗布予定線に平行な区画線により区画された二つの領域のうち一方の領域が白色であり他方の領域が黒色となる画像である凹凸面積算出用マスク画像と前記第一の二値化画像または前記第二の二値化画像との論理積を、前記区画線を前記塗布予定線に垂直な方向にシフトしつつ算出することにより前記第一の二値化画像または前記第二の二値化画像における塗布ラインの凸部および凹部の面積を算出する凹凸面積算出工程を具備するものである。
【0021】
請求項6においては、
前記位置補正画像生成工程において、
前記位置補正画像におけるワークの塗布予定線の長手方向が前記位置補正画像の画素の配列方向に一致するように前記塗布ライン画像を補正するものである。
【0022】
請求項7においては、
予めワークの所定の特徴点に基づいて前記ワークの位置を補正した状態で前記ワークおよび前記ワークに塗布された線状の塗布物である塗布ラインを撮像することにより位置補正画像を生成する塗布ライン撮像・位置補正画像生成工程と、
前記位置補正画像に二値化処理を施すことにより前記塗布ラインに対応する部分を抽出し、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を白色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像を生成するとともに、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を黒色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像を生成する二値化画像生成工程と、
前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第一の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の上限値だけ互いに離隔して配置される一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第二の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の下限値だけ互いに離隔して配置される一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には前記塗布ラインが良好であると判定し、前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には前記塗布ラインが不良であると判定する塗布ライン判定工程と、
を具備するものである。
【0023】
請求項8においては、
撮像装置がワークおよび前記ワークに塗布された線状の塗布物である塗布ラインを撮像することにより生成した塗布ライン画像における前記ワークの所定の特徴点に基づいて前記塗布ライン画像におけるワークの位置を補正した画像である位置補正画像を生成する位置補正画像生成部と、
前記位置補正画像に二値化処理を施すことにより前記塗布ラインに対応する部分を抽出し、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を白色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像を生成するとともに、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を黒色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像を生成する二値化画像生成部と、
前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第一の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の上限値だけ互いに離隔して配置される一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第二の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の下限値だけ互いに離隔して配置される一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には前記塗布ラインが良好であると判定し、前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第一の二値化画像における一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第二の二値化画像における一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には前記塗布ラインが不良であると判定する塗布ライン判定部と、
を具備するものである。
【0024】
請求項9においては、
前記一対の上限ラインは、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワーク上の予め設定された位置に予め設定された幅の塗布ラインが塗布された場合の塗布ラインの中心線となる塗布予定線を挟み、かつ前記塗布予定線に平行となる位置に設定され、
前記一対の下限ラインは、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像における前記塗布予定線を挟み、前記塗布予定線に平行となり、かつ前記一対の上限ラインよりも前記塗布予定線に近接する位置に設定されるものである。
【0025】
請求項10においては、
前記塗布ライン判定部は、
前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側を黒色とするとともに前記一対の上限ラインで挟まれる領域の外側を白色とした上限マスク画像と前記第一の二値化画像との論理積に基づいて前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線が前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあるか否かを判定する上限判定部と、
前記一対の下限ラインで挟まれる領域の内側を白色とするとともに前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側を黒色とした下限マスク画像と前記第二の二値化画像との論理積に基づいて前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線が前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあるか否かを判定する下限判定部と、
を具備するものである。
【0026】
請求項11においては、
前記塗布ライン判定部は、
前記上限判定部が前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあると判定するとともに前記下限判定部が前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあると判定した場合には前記塗布ラインが良好であると判定する総合判定部を具備するものである。
【0027】
請求項12においては、
前記塗布ライン判定部は、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワークの塗布予定線に平行な区画線により区画された二つの領域のうち一方の領域が白色であり他方の領域が黒色となる画像である凹凸面積算出用マスク画像と前記第一の二値化画像または前記第二の二値化画像との論理積を、前記区画線を前記塗布予定線に垂直な方向にシフトしつつ算出することにより前記第一の二値化画像または前記第二の二値化画像における塗布ラインの凸部および凹部の面積を算出する凹凸面積算出部を具備するものである。
【0028】
請求項13においては、
前記位置補正画像生成部は、
前記位置補正画像におけるワークの塗布予定線の長手方向が前記位置補正画像の画素の配列方向に一致するように前記塗布ライン画像を補正するものである。
【0029】
請求項14においては、
ワークの所定の特徴点に基づいて撮像装置の撮像方向およびワークと前記撮像装置との相対位置を補正する撮像位置補正部と、
前記撮像位置補正部により前記撮像装置の撮像方向および前記ワークと前記撮像装置との相対位置を予め補正した状態で前記撮像装置がワークおよび前記ワークに塗布された線状の塗布物である塗布ラインを撮像することにより生成した画像である位置補正画像に二値化処理を施すことにより前記塗布ラインに対応する部分を抽出し、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を白色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像を生成するとともに、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を黒色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像を生成する二値化画像生成部と、
前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第一の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の上限値だけ互いに離隔して配置される一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第二の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の下限値だけ互いに離隔して配置される一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には前記塗布ラインが良好であると判定し、前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第一の二値化画像における一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第二の二値化画像における一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には前記塗布ラインが不良であると判定する塗布ライン判定部と、
を具備するものである。
【0030】
請求項15においては、
コンピュータに、
撮像装置がワークおよび前記ワークに塗布された線状の塗布物である塗布ラインを撮像することにより生成した塗布ライン画像における前記ワークの所定の特徴点に基づいて前記塗布ライン画像におけるワークの位置を補正した画像である位置補正画像を生成する位置補正画像生成機能と、
前記位置補正画像に二値化処理を施すことにより、前記塗布ラインに対応する部分を抽出し、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を白色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像を生成するとともに、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を黒色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像を生成する二値化画像生成機能と、
前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第一の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の上限値だけ互いに離隔して配置される一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第二の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の下限値だけ互いに離隔して配置される一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には前記塗布ラインが良好であると判定し、前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第一の二値化画像における一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第二の二値化画像における一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には前記塗布ラインが不良であると判定する塗布ライン判定機能と、
を実現させるためのものである。
【0031】
請求項16においては、
前記一対の上限ラインは、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワーク上の予め設定された位置に予め設定された幅の塗布ラインが塗布された場合の塗布ラインの中心線となる塗布予定線を挟み、かつ前記塗布予定線に平行となる位置に設定され、
前記一対の下限ラインは、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像における前記塗布予定線を挟み、前記塗布予定線に平行となり、かつ前記一対の上限ラインよりも前記塗布予定線に近接する位置に設定されるものである。
【0032】
請求項17においては、
前記塗布ライン判定機能は、
前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側を黒色とするとともに前記一対の上限ラインで挟まれる領域の外側を白色とした上限マスク画像と前記第一の二値化画像との論理積に基づいて前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線が前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあるか否かを判定する上限判定機能と、
前記一対の下限ラインで挟まれる領域の内側を白色とするとともに前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側を黒色とした下限マスク画像と前記第二の二値化画像との論理積に基づいて前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線が前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあるか否かを判定する下限判定機能と、
を具備するものである。
【0033】
請求項18においては、
前記塗布ライン判定機能は、
前記上限判定機能が前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあると判定するとともに前記下限判定機能が前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあると判定した場合には前記塗布ラインが良好であると判定する総合判定機能を具備するものである。
【0034】
請求項19においては、
前記塗布ライン判定機能は、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワークの塗布予定線に平行な区画線により区画された二つの領域のうち一方の領域が白色であり他方の領域が黒色となる画像である凹凸面積算出用マスク画像と前記第一の二値化画像または前記第二の二値化画像との論理積を、前記区画線を前記塗布予定線に垂直な方向にシフトしつつ算出することにより前記第一の二値化画像または前記第二の二値化画像における塗布ラインの凸部および凹部の面積を算出する凹凸面積算出機能を具備するものである。
【0035】
請求項20においては、
前記位置補正画像生成機能は、
前記位置補正画像におけるワークの塗布予定線の長手方向が前記位置補正画像の画素の配列方向に一致するように前記塗布ライン画像を補正するものである。
【0036】
請求項21においては、
コンピュータに、
ワークの所定の特徴点に基づいて予め撮像装置の撮像方向および前記ワークと前記撮像装置との相対位置を補正した状態で前記撮像装置がワークおよび前記ワークに塗布された線状の塗布物である塗布ラインを撮像することにより生成した画像である位置補正画像に二値化処理を施すことにより、前記塗布ラインに対応する部分を抽出し、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を白色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像を生成するとともに、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を黒色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像を生成する二値化画像生成機能と、
前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第一の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の上限値だけ互いに離隔して配置される一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第二の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の下限値だけ互いに離隔して配置される一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には前記塗布ラインが良好であると判定し、前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第一の二値化画像における一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第二の二値化画像における一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には前記塗布ラインが不良であると判定する塗布ライン判定機能と、
を実現させるためのものである。
【0037】
請求項22においては、
コンピュータに、
撮像装置がワークおよび前記ワークに塗布された線状の塗布物である塗布ラインを撮像することにより生成した塗布ライン画像における前記ワークの所定の特徴点に基づいて前記塗布ライン画像におけるワークの位置を補正した画像である位置補正画像を生成する位置補正画像生成機能と、
前記位置補正画像に二値化処理を施すことにより、前記塗布ラインに対応する部分を抽出し、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を白色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像を生成するとともに、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を黒色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像を生成する二値化画像生成機能と、
前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第一の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の上限値だけ互いに離隔して配置される一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第二の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の下限値だけ互いに離隔して配置される一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には前記塗布ラインが良好であると判定し、前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第一の二値化画像における一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第二の二値化画像における一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には前記塗布ラインが不良であると判定する塗布ライン判定機能と、
を実現させるためのものである。
【0038】
請求項23においては、
前記一対の上限ラインは、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワークの塗布予定線を挟み、かつ前記塗布予定線に平行となる位置に設定され、
前記一対の下限ラインは、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワークの塗布予定線を挟み、前記塗布予定線に平行となり、かつ前記一対の上限ラインよりも前記塗布予定線に近接する位置に設定されるものである。
【0039】
請求項24においては、
前記塗布ライン判定機能は、
前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側を黒色とするとともに前記一対の上限ラインで挟まれる領域の外側を白色とした上限マスク画像と前記第一の二値化画像との論理積に基づいて前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線が前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあるか否かを判定する上限判定機能と、
前記一対の下限ラインで挟まれる領域の内側を白色とするとともに前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側を黒色とした下限マスク画像と前記第二の二値化画像との論理積に基づいて前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線が前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあるか否かを判定する下限判定機能と、
を具備するものである。
【0040】
請求項25においては、
前記塗布ライン判定機能は、
前記上限判定機能が前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあると判定するとともに前記下限判定機能が前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあると判定した場合には前記塗布ラインが良好であると判定する総合判定機能を具備するものである。
【0041】
請求項26においては、
前記塗布ライン判定機能は、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワークの塗布予定線に平行な区画線により区画された二つの領域のうち一方の領域が白色であり他方の領域が黒色となる画像である凹凸面積算出用マスク画像と前記第一の二値化画像または前記第二の二値化画像との論理積を、前記区画線を前記塗布予定線に垂直な方向にシフトしつつ算出することにより前記第一の二値化画像または前記第二の二値化画像における塗布ラインの凸部および凹部の面積を算出する凹凸面積算出機能を具備するものである。
【0042】
請求項27においては、
前記位置補正画像生成機能は、
前記位置補正画像におけるワークの塗布予定線の長手方向が前記位置補正画像の画素の配列方向に一致するように前記塗布ライン画像を補正するものである。
【0043】
請求項28においては、
コンピュータに、
ワークの所定の特徴点に基づいて予め撮像装置の撮像方向および前記ワークと前記撮像装置との相対位置を補正した状態で前記撮像装置がワークおよび前記ワークに塗布された線状の塗布物である塗布ラインを撮像することにより生成した画像である位置補正画像に二値化処理を施すことにより、前記塗布ラインに対応する部分を抽出し、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を白色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像を生成するとともに、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を黒色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像を生成する二値化画像生成機能と、
前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第一の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の上限値だけ互いに離隔して配置される一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第二の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の下限値だけ互いに離隔して配置される一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には前記塗布ラインが良好であると判定し、前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第一の二値化画像における一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第二の二値化画像における一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には前記塗布ラインが不良であると判定する塗布ライン判定機能と、
を実現させるためのものである。
【発明の効果】
【0044】
本発明は、塗布ラインが蛇行することをある程度許容しつつ塗布ラインの幅が適正であるか否かを検査することが可能である、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下では、図1から図14を用いて検査システム51について説明する。
図1に示す検査システム51はワーク1に塗布された塗布ライン2を検査するためのシステムである。
【0046】
ワーク1は本発明に係るワークの実施の一形態であり、塗布ライン2が塗布される物品を指す。
本実施形態のワーク1は上下に板面を有する矩形の板状の部材であり、ワーク1の四隅には上下の板面を貫通するボルト孔1a・1b・1c・1dが形成される。
【0047】
本実施形態では説明の便宜上、ワーク1の形状を上下に板面を有する矩形の板状の部材としたが、本発明に係るワークはこれに限定されるものではない。
本発明に係るワークの具体例としては、エンジンのシリンダブロックあるいはエンジンのオイルパン等が挙げられる。
【0048】
塗布ライン2は本発明に係る塗布ラインの実施の一形態であり、線状の塗布物(線状に塗布される物質)である。
本実施形態の塗布ライン2は、ワーク1の上側の板面においてボルト孔1a・1b・1c・1dに囲まれる部分に略矩形のリング状に塗布された硬化前のFIPGからなる。
塗布ライン2は、ロボットハンド等を用いてディスペンサをワーク1の上側の板面に沿って走査(移動)させつつ当該ディスペンサの先端部から硬化前のFIPGを吐出することによりワーク1の上側の板面に形成される。
【0049】
本発明に係る塗布ラインを構成する塗布物は本実施形態の塗布ライン2の如き硬化前のFIPGに限定されず、ワークの表面に線状に塗布可能な物質を広く含む。本発明に係る塗布ラインを構成する塗布物の他の実施例としては接着剤、塗料等が挙げられる。
本発明に係る塗布ラインを構成する塗布物の検査時における状態は本実施形態の塗布ライン2の如く液体状、ペースト状あるいはゲル状に限定されず、固体状でも良い。
また、塗布ラインの形状である「線状」には、両端を有する形状(両端が繋がっていない形状)の他、無端状(両端が繋がった形状、すなわちリング状)も含まれる。
【0050】
検査システム51は撮像装置70および検査装置100を具備する。
【0051】
撮像装置70は本発明に係る撮像装置の実施の一形態であり、ワーク1およびワーク1に塗布された塗布ライン2を撮像することにより、図2に示す如き塗布ライン画像31を生成する装置である。
撮像装置70の具体例としては、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等の各種のカメラ、あるいはラインセンサカメラが挙げられる。また、塗布物の性状によっては赤外線カメラあるいは紫外線カメラ等を撮像装置70として用いることも可能である。
本実施形態の撮像装置70は白黒画像(白黒の濃淡で表される画像)を撮像するものであるが、本発明はこれに限定されず、カラー画像を撮像可能な撮像装置であっても良い。
【0052】
なお、本実施形態では以降の説明の便宜上、塗布ライン2には他の部分より幅が広い部分である幅広部3、他の部分より幅が狭い部分である幅狭部4、小さく蛇行している部分である蛇行部5、および大きく蛇行している部分である蛇行部6が形成されている。
また、塗布ライン2において外周側の境界を成す線を境界線2a、塗布ライン2において内周側の境界を成す線を境界線2bとする。
【0053】
検査装置100は本発明に係る塗布ライン検査装置の実施の一形態であり、ワーク1に塗布された塗布ライン2を検査する装置である。
検査装置100は検査装置本体110、入力装置120および表示装置130を具備する。
【0054】
検査装置本体110は後述する塗布ライン検査プログラム等の種々のプログラム等を格納することができ、これらのプログラム等を展開することができ、これらのプログラム等に従って所定の演算を行うことができ、当該演算の結果等を記憶することができる。
【0055】
検査装置本体110は、実体的には、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read−Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等がバスで相互に接続される構成であっても良く、あるいはワンチップのLSI(Large Scale Integration;大規模集積回路)等からなる構成であっても良い。
本実施形態における検査装置本体110は専用品であるが、市販のパーソナルコンピュータやワークステーション等に上記プログラム等を格納したもので達成することも可能である。
【0056】
検査装置本体110は撮像装置70に接続される。検査装置本体110は、撮像装置70により撮像されて生成された塗布ライン画像31(より厳密には、塗布ライン画像31を構成する各画素の座標および輝度に係る情報)を取得することが可能である。
【0057】
入力装置120は検査システム51による塗布ライン2の検査に係る種々の情報・指示等を検査装置本体110に入力するものであり、検査装置本体110に接続される。
本実施形態の入力装置120は専用品であるが、例えば市販のキーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、スイッチ等を用いても良い。
【0058】
表示装置130は入力装置120から検査装置本体110への入力内容、検査システム51の動作状況、塗布ライン2の検査結果等を表示するものであり、検査装置本体110に接続される。
本実施形態の表示装置130は専用品であるが、例えば市販の液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)やCRTディスプレイ(Cathode Ray Tube Display)等を用いても良い。
【0059】
以下では、検査装置本体110の構成の詳細について説明する。
検査装置本体110は、機能的には記憶部111、位置補正画像生成部112、二値化画像生成部113および塗布ライン判定部114を具備する。
【0060】
記憶部111は位置補正画像生成部112、二値化画像生成部113および塗布ライン判定部114による演算等を行う際に用いられる各種パラメータ(数値)、検査ユニット10の動作状況の履歴、検査結果等を記憶するものである。
記憶部111は、実体的にはRAM等のメモリ、あるいはHDD、CD−ROM、DVD−ROM等の記憶媒体からなる。
記憶部111は、検査装置本体110が撮像装置70から取得した塗布ライン画像31を記憶する。
【0061】
位置補正画像生成部112は本発明に係る位置補正画像生成部の実施の一形態であり、撮像装置70がワーク1およびワーク1に塗布された線状の塗布物である塗布ライン2を撮像することにより生成した塗布ライン画像31におけるワーク1(塗布ライン画像31に写っているワーク1)の「特徴点」に基づいて塗布ライン画像31におけるワーク1の位置を補正することにより位置補正画像32を生成するものである。
実体的には、検査装置本体110が、検査装置本体110に格納された塗布ライン検査プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、位置補正画像生成部112としての機能を果たす。
【0062】
「特徴点」は、撮像されたワークの外観において何らかの画像処理を施すことにより識別する(他の部分と区別して認識する)ことが可能な部分を指す。
本実施形態では、ワーク1に形成されたボルト孔1a・1b・1c・1dのうち、三つのボルト孔1a・1b・1cを特徴点として用いる。
【0063】
位置補正画像生成部112は、塗布ライン画像31におけるボルト孔1aの中心点の座標(x11,y11)、ボルト孔1bの中心点の座標(x12,y12)およびボルト孔1cの中心点の座標(x13,y13)を算出する。
本実施形態の場合、撮像装置70はワーク1の上側の板面に光を照射した状態でワーク1を撮像するため、塗布ライン画像31に写っているボルト孔1a・1b・1cは周囲よりも暗い色で表示される。
従って、塗布ライン画像31に二値化処理を施す等して暗い色の部分を抽出することにより、塗布ライン画像31におけるボルト孔1a・1b・1cを容易に識別することが可能であり、ひいてはボルト孔1a・1b・1cの中心座標を算出する(塗布ライン画像31におけるボルト孔1a・1b・1cの中心に対応する画素を特定する)ことが可能である。なお、図2では説明の便宜上、ボルト孔1a・1b・1cを暗い色で表示していない。
【0064】
図3に示す如く、位置補正画像生成部112は、塗布ライン画像31に拡大・縮小処理、平行移動処理、回転処理、剪断処理等の幾何変換処理を適宜施すことにより位置補正画像32を生成する。生成された位置補正画像32は、記憶部111に記憶される。
【0065】
図3に示す如く、位置補正画像32におけるボルト孔1a・1b・1cの中心点の座標は、予め設定された(記憶部111に記憶された)所定の位置補正座標(x21,y21)、位置補正座標(x22,y22)および位置補正座標(x23,y23)にそれぞれ一致する。
位置補正座標(x21,y21)、位置補正座標(x22,y22)および位置補正座標(x23,y23)は、位置補正画像32における塗布ライン2の直線状の部分の長手方向、より厳密には塗布予定線7の直線状の部分の長手方向と位置補正画像32を構成する画素の配列方向(本実施形態の場合、X方向またはY方向)とが一致するように設定される。
ここで「塗布予定線」は、ワーク上の予め設定された位置に予め設定された幅の塗布ラインが塗布された場合の塗布ラインの中心線(理想的な塗布ラインの幅方向の中心を通る線)を指す。
本実施形態の場合、図3中の二点鎖線で示す如く、塗布予定線7は、位置補正画像32の中央に正対した姿勢で写っているワーク1に塗布された「理想的な塗布ラインの幅方向の中心を通る線」である。
従って、位置補正画像生成部112は、位置補正画像32におけるワーク1の塗布予定線7の(直線状の部分の)長手方向が位置補正画像32の画素の配列方向に一致するように塗布ライン画像31を補正することとなる。
【0066】
本実施例では塗布ライン画像31におけるボルト孔1aの中心点、ボルト孔1bの中心点およびボルト孔1cの中心点の計三つの点(同一直線上に無い三つの点)を特徴点として用いたが、本発明において設定すべき特徴点の数はこれに限定されない。
例えば、撮像装置およびワークを固定する治具の構成等により「撮像装置に対するワークの傾斜」が発生しないことが予め確認されている場合には、二つの特徴点に基づいて位置補正画像を生成することが可能である。
また、撮像装置およびワークを固定する治具の構成等により「撮像装置に対するワークの傾斜」および「撮像装置からワークまでの距離の変化」が発生しないことが予め確認されている場合には、一つの特徴点に基づいて位置補正画像を生成することが可能である。
さらに、特徴点は点状のポイントだけでなく、ワークのエッジの如き直線状のものでも良い。
【0067】
二値化画像生成部113は本発明に係る二値化画像生成部の実施の一形態であり、位置補正画像生成部112により生成された位置補正画像32に二値化処理を施すことにより、位置補正画像32における塗布ライン2に対応する部分を抽出し、図4に示す二値化画像33aおよび図5に示す二値化画像33bを生成するものである。
実体的には、検査装置本体110が、検査装置本体110に格納された塗布ライン検査プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、二値化画像生成部113としての機能を果たす。
【0068】
「二値化処理」は、多数の階調にて表わされる濃淡画像を構成する各画素の輝度値を、所定の閾値を境界として「0(黒)」および「1(白)」の二種類の階調の輝度値のいずれかに変換することにより、濃淡画像を当該二種類の輝度値を有する画素の集合体(白色の画素および黒色の画素の集合体)たる二値化画像に変換する画像処理を指す。
【0069】
本実施形態では、位置補正画像32の輝度値は、ワーク1の表面に対応する部分、塗布ライン2に対応する部分、ワーク1の外側の部分(背景部分)、ボルト孔1a・1b・1c・1dの空洞部分の順に高い(白っぽく表示される)。
【0070】
本実施形態では、位置補正画像32に写っているワーク1の表面に対応する部分の輝度値よりも低く、かつ塗布ライン2に対応する部分の輝度値よりも高い輝度値として、第一閾値が定義される。
また、塗布ライン2に対応する部分の輝度値よりも低く、かつワーク1の外側の部分の輝度値よりも高い輝度値として、第二閾値が定義される。第一閾値および第二閾値は予め実験等により求められる。
このようにして得られた第一閾値および第二閾値は、記憶部111により記憶される。
【0071】
二値化画像生成部113は、(a1)第一閾値よりも高い輝度値を有する画素の輝度値を「0(黒)」、(b1)第二閾値以上かつ第一閾値以下の輝度値を有する画素の輝度値を「1(白)」、(c1)第二閾値よりも低い輝度値を有する画素の輝度値を「0(黒)」、にそれぞれ変換する二値化処理を位置補正画像32に施すことにより、塗布ライン2に対応する部分を抽出し、抽出した塗布ライン2に対応する部分を白色に変換するとともにその他の部分を黒色に変換した画像である二値化画像33aを生成する(図4参照)。
【0072】
二値化画像生成部113は、(a2)第一閾値よりも高い輝度値を有する画素の輝度値を「1(白)」、(b2)第二閾値以上かつ第一閾値以下の輝度値を有する画素の輝度値を「0(黒)」、(c2)第二閾値よりも低い輝度値を有する画素の輝度値を「1(白)」、にそれぞれ変換する二値化処理を位置補正画像32に施すことにより、塗布ライン2に対応する部分を抽出し、抽出した塗布ライン2に対応する部分を黒色に変換するとともにその他の部分を白色に変換した画像である二値化画像33bを生成する(図5参照)。
二値化画像33bは、ちょうど二値化画像33aの黒色と白色とを反転した画像に相当する。
記憶部111は、生成された二値化画像33aおよび二値化画像33bを記憶する。
【0073】
本実施形態は白黒の濃淡画像である位置補正画像32に二値化処理を施す構成であるが、本発明はこれに限定されない。例えば、カラーの濃淡画像である位置補正画像の三原色(RGB)のうち、塗布ラインとそれ以外の部分(ワーク、ワークの特徴点および背景部分)とを識別することが容易な原色に対応する輝度値に基づいて二値化処理を施しても良い。
【0074】
塗布ライン判定部114は本発明に係る塗布ライン判定部の実施の一形態であり、二値化画像生成部113により生成された二値化画像33a・33bに基づいて塗布ライン2が良好であるか不良であるかを判定するものである。
実体的には、検査装置本体110が、検査装置本体110に格納された塗布ライン検査プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、塗布ライン判定部114としての機能を果たす。
【0075】
ここで、「塗布ラインが良好である」とは、(A)塗布ラインの幅が全長にわたって許容し得る範囲内にあること、および(B)塗布ラインの蛇行量(本来塗布されるべき位置からのずれ)が許容し得る範囲内にあること、の両方が満たされることを指す。
また、「塗布ラインが不良である」とは、(A)塗布ラインの幅が全長にわたって許容し得る範囲内にあること、または(B)塗布ラインの蛇行量が許容し得る範囲内にあること、のうち少なくとも一方が満たされないことを指す。
【0076】
塗布ライン判定部114は上限判定部114a、下限判定部114b、総合判定部114cおよび凹凸面積算出部114dを具備する。
【0077】
上限判定部114aは本発明に係る上限判定部の実施の一形態であり、塗布ライン2が一対の上限ライン8a・8bで挟まれている領域の内側にあるか否かを判定するものである。
実体的には、検査装置本体110が、検査装置本体110に格納された塗布ライン検査プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、上限判定部114aとしての機能を果たす。
【0078】
図6に示す如く、一対の上限ライン8a・8bは、四隅を除いて二値化画像33a・33bにおけるワーク1の塗布予定線7を挟み、かつ塗布予定線7に平行となる位置に設定される。
本実施形態では、塗布予定線7の直線状の部分は二値化画像33a・33bにおける画素の配列方向、すなわちX方向またはY方向に対して平行であることから、一対の上限ライン8a・8bも二値化画像33a・33bにおける画素の配列方向に対して平行である。
なお、図6では説明の便宜上、二値化画像33a・33bにおける塗布ライン2を省略するとともに、二値化画像33においては本来見えないワーク1の外形線およびボルト孔1a・1b・1c・1dの開口部を点線で表している。
【0079】
塗布予定線7から上限ライン8aまでの距離および塗布予定線7から上限ライン8bまでの距離は、気密性あるいは液密性の観点、あるいは塗布ライン2がはみ出ることによる周囲への悪影響の観点から許容し得る塗布ライン2の幅の上限、および塗布ライン2の蛇行量の上限に基づいて予め定められる。
従って、一対の上限ライン8a・8bは、二値化画像33aにおいて許容し得る塗布ライン2の幅の上限値だけ互いに離隔して配置されることとなる。より詳細には、一対の上限ライン8a・8bの間隔は全く蛇行していない場合における塗布ライン2の幅の上限値に対応する。
【0080】
記憶部111は一対の上限ライン8a・8b、より厳密には二値化画像33aにおける一対の上限ライン8a・8bの位置(座標)を予め記憶している。
また、記憶部111は、一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側に位置する画素の輝度値が「0(黒)」であり、かつ一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の外側に位置する画素の輝度値が「1(白)」である上限マスク画像41(図7参照)を予め記憶している。
【0081】
上限判定部114aは上限マスク画像41と二値化画像33aとの論理積に基づいて上限論理積画像34(図8参照)を生成する。
より具体的には、上限マスク画像41および二値化画像33aにおいて同じ座標に位置する画素の輝度値の積を算出し、算出された積が「1」である場合には上限論理積画像34において同じ座標に位置する画素の輝度値を「1(白色)」とし、算出された積が「0」である場合には上限論理積画像34において同じ座標に位置する画素の輝度値を「0(黒色)」とする。
上限判定部114aは、上記演算を上限マスク画像41および二値化画像33aの全ての画素について行うことにより、上限論理積画像34を生成する。
【0082】
上限判定部114aは、上限論理積画像34に白色で表示される部分(輝度値が「1(白)」である画素)がある場合には「二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの少なくとも一部が一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域(上限マスク画像41において黒色で表示される領域)の外側にある」と判定し、上限論理積画像34に白色で表示される部分(輝度値が「1(白)」である画素)がない場合には「二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にある」と判定する。
【0083】
本実施形態の場合、上限論理積画像34では、図4に示す二値化画像33aにおいて塗布ライン2に対応する部分のうち、幅広部3の突出している部分および蛇行部6の突出している部分が図8に示す如く白色で表示されるので、上限判定部114aは「二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの少なくとも一部が一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の外側にある」と判定することとなる。
記憶部111は、上限判定部114aによる判定結果を記憶する。
【0084】
本実施形態では塗布予定線7から上限ライン8aまでの距離と塗布予定線7から上限ライン8bまでの距離とは等しいが、本発明はこれに限定されず、塗布予定線から一方の上限ラインまでの距離と塗布予定線から他方の上限ラインまでの距離とは異なっていても良い。
【0085】
下限判定部114bは本発明に係る下限判定部の実施の一形態であり、塗布ライン2が一対の下限ライン9a・9bで挟まれている領域の外側にあるか否かを判定するものである。
実体的には、検査装置本体110が、検査装置本体110に格納された塗布ライン検査プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、下限判定部114bとしての機能を果たす。
【0086】
図6に示す如く、一対の下限ライン9a・9bは、四隅を除いて二値化画像33a・33bにおけるワーク1の塗布予定線7を挟み、塗布予定線7に平行となり、かつ一対の上限ライン8a・8bよりも塗布予定線7に近接する位置に設定される。
本実施形態では、塗布予定線7の直線状の部分は二値化画像33a・33bにおける画素の配列方向、すなわちX方向またはY方向に対して平行であることから、一対の下限ライン9a・9bも二値化画像33a・33bにおける画素の配列方向に対して平行である。
【0087】
塗布予定線7から下限ライン9aまでの距離および塗布予定線7から下限ライン9bまでの距離は、気密性あるいは液密性の観点、あるいは塗布ライン2がはみ出ることによる周囲への悪影響の観点から許容し得る塗布ライン2の幅の下限、および塗布ライン2の蛇行量の上限に基づいて予め定められる。
従って、一対の下限ライン9a・9bは、二値化画像33bにおいて許容し得る塗布ライン2の幅の下限値だけ互いに離隔して配置されることとなる。より詳細には、一対の下限ライン9a・9bの間隔は全く蛇行していない場合における塗布ライン2の幅の下限値に対応する。
【0088】
記憶部111は一対の下限ライン9a・9b、より厳密には二値化画像33bにおける一対の上限ライン8a・8bの位置(座標)を予め記憶している。
また、記憶部111は、一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の内側に位置する画素の輝度値が「1(白)」であり、かつ一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側に位置する画素の輝度値が「0(黒)」である下限マスク画像42(図9参照)を予め記憶している。
【0089】
下限判定部114bは下限マスク画像42と二値化画像33bとの論理積に基づいて下限論理積画像35(図10参照)を生成する。
より具体的には、下限マスク画像42および二値化画像33bにおいて同じ座標に位置する画素の輝度値の積を算出し、算出された積が「1」である場合には下限論理積画像35において同じ座標に位置する画素の輝度値を「1(白色)」とし、算出された積が「0」である場合には下限論理積画像35において同じ座標に位置する画素の輝度値を「0(黒色)」とする。
下限判定部114bは、上記演算を下限マスク画像42および二値化画像33bの全ての画素について行うことにより、下限論理積画像35を生成する。
【0090】
下限判定部114bは、下限論理積画像35に白色で表示される部分(輝度値が「1(白)」である画素)がある場合には「二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの少なくとも一部が一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域(下限マスク画像41において白色で表示される領域)の内側にある」と判定し、下限論理積画像35に白色で表示される部分(輝度値が「1(白)」である画素)がない場合には「二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にある」と判定する。
【0091】
本実施形態の場合、下限論理積画像35では、図5に示す二値化画像33bにおいて塗布ライン2に対応する部分のうち、幅狭部4の凹んでいる部分および蛇行部6の凹んでいる部分が図10に示す如く白色で表示されるので、下限判定部114bは「二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの少なくとも一部が一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の内側にある」と判定することとなる。
記憶部111は、下限判定部114bによる判定結果を記憶する。
【0092】
なお、「二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの少なくとも一部が一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の内側にある」場合には、塗布ライン2には幅がゼロになっている部分、すなわち塗布ライン2には途中で切れている部分が存在することが含まれる。
【0093】
本実施形態では塗布予定線7から下限ライン9aまでの距離と塗布予定線7から下限ライン9bまでの距離とは等しいが、本発明はこれに限定されず、塗布予定線から一方の下限ラインまでの距離と塗布予定線から他方の下限ラインまでの距離とは異なっていても良い。
【0094】
総合判定部114cは本発明に係る総合判定部の実施の一形態であり、上限判定部114aによる判定結果および下限判定部114bによる判定結果に基づいて総合的な判定、すなわち塗布ライン2が良好であるか不良であるかを判定するものである。
実体的には、検査装置本体110が、検査装置本体110に格納された塗布ライン検査プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、総合判定部114cとしての機能を果たす。
【0095】
総合判定部114cは、上限判定部114aが「二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にある」と判定し、かつ下限判定部114bが「二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にある」と判定した場合には、「塗布ライン2が良好である」と判定する。
総合判定部114cは、上限判定部114aが「二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの少なくとも一部が一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の外側にある」と判定し、下限判定部114bが「二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にある」と判定した場合には、「塗布ライン2が不良である」と判定する。
総合判定部114cは、上限判定部114aが「二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にある」と判定し、かつ下限判定部114bが「二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの少なくとも一部が一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の内側にある」と判定した場合には、「塗布ライン2が不良である」と判定する。
総合判定部114cは、上限判定部114aが「二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの少なくとも一部が一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の外側にある」と判定し、かつ下限判定部114bが「二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの少なくとも一部が一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の内側にある」と判定した場合には、「塗布ライン2が不良である」と判定する。
記憶部111は、総合判定部114cによる判定結果を記憶する。
【0096】
このように、塗布ライン判定部114は、(α)二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあること、および(β)二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にあること、の両方が満たされる場合には塗布ライン2が良好であると判定する。
また、塗布ライン判定部114は、上記(α)および(β)のうち少なくとも一方が満たされない場合には塗布ライン2が不良であると判定する。
【0097】
凹凸面積算出部114dは本発明に係る凹凸面積算出部の実施の一形態であり、二値化画像33bにおける塗布ライン2の凹部および凸部の面積を算出するものである。
実体的には、検査装置本体110が、検査装置本体110に格納された塗布ライン検査プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、凹凸面積算出部114dとしての機能を果たす。
【0098】
塗布ライン2の凸部の面積は、塗布ライン2において塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの直線状の部分よりも内側に凹んでいる部分の面積であり、図11の(b)、(c)および(d)において右下がりの斜線を施した部分に相当する。
塗布ライン2の凸部の面積は、塗布ライン2において塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの直線状の部分よりも外側に突出している部分の面積であり、図11の(a)、(c)および(d)において右上がりの斜線を施した部分に相当する。
【0099】
以下では、図12、図13および図14を用いて凹凸面積算出部114dによる塗布ライン2の凹部および凸部の面積算出の手順を説明する。
【0100】
記憶部111は、予め凹凸面積算出用マスク画像43を記憶している。
凹凸面積算出用マスク画像43は直線状の区画線43aによって区画された二つの領域のうち、一方の領域が白色(一方の領域に属する画素の輝度値が「1」)、他方の領域が黒色(他方の領域に属する画素の輝度値が「0」)となる画像である。
本実施形態における区画線43aの長手方向は凹凸面積算出用マスク画像43の画素の配列方向に平行である。また、区画線43aは凹凸面積算出用マスク画像43上において区画線43aに垂直な方向にシフトする(移動する)ことが可能である。
なお、図12、図13および図14では説明の便宜上、説明に用いる画像をいずれも10ピクセル×10ピクセルの正方形とし、説明に用いる画像の右辺が二値化画像33bにおける塗布予定線7に一致し、かつ、説明に用いる画像に塗布ライン2の境界線2aが表れているものとする。
【0101】
凹凸面積算出部114dは、「凹凸面積算出用マスク画像43」と「塗布ライン2に対応する部分が黒色で表示されるとともにそれ以外の部分が白色で表示される二値化画像33b」との論理積を算出することにより凹凸論理積画像36を生成する。
ここで、論理積の値は、凹凸面積算出用マスク画像43および二値化画像33bにおいて同じ座標に位置する画素の輝度値がいずれも「1(白)」である場合には凹凸論理積画像36において同じ座標に位置する画素の輝度値を「1(白)」とし、凹凸面積算出用マスク画像43および二値化画像33bにおいて同じ座標に位置する画素の輝度値のうち少なくとも一方が「0(黒)」である場合には凹凸論理積画像36において同じ座標に位置する画素の輝度値を「0(黒)」とする。
【0102】
また、凹凸面積算出部114dは、凹凸面積算出用マスク画像43の区画線43aを塗布予定線7から離間する方向に向かって1ピクセルずつ移動させ、その都度「凹凸面積算出用マスク画像43」と「二値化画像33b」との論理積を算出するとともに凹凸論理積画像36を生成する。
さらに、凹凸面積算出部114dは、生成された凹凸論理積画像36において白色で表示される(輝度値が「1」である)画素の個数、すなわち論理積の和を算出する。
【0103】
以下では図12を用いて塗布ライン2の境界線2aが塗布予定線7に平行な直線状である場合、すなわち塗布ライン2に凹部および凸部が形成されていない場合において区画線43aを移動させたときの論理積の和の推移について説明する。
【0104】
図12に示す如く、「フェーズA−1」、「フェーズA−2」および「フェーズA−3」では論理積の和は「0(ゼロ)」となるのに対して、「フェーズA−4」では論理積の和が「10」となり、「フェーズA−5」では論理積の和が「20」となる。
【0105】
このように、塗布ライン2に凹部および凸部が形成されていない場合、区画線43aが塗布ライン2の境界線2aよりも塗布予定線7に近い位置にあるとき(「フェーズA−1」、「フェーズA−2」および「フェーズA−3」に相当する)には、区画線43aが移動しても論理積の和はゼロのままで増加しない。
【0106】
また、区画線43aが塗布ライン2の境界線2aよりも塗布予定線7から遠い位置にあるとき(「フェーズA−4」および「フェーズA−5」に相当する)には、区画線43aが塗布予定線7から離間する方向に1ピクセル分移動するたびに論理積の和が区画線43aの長手方向における凹凸論理積画像36の画素の配列数(図12、図13および図14の場合「10」)だけ増加する。
【0107】
以下では図13を用いて塗布ライン2の境界線2aの一部が塗布予定線7に近接する方向に湾曲している場合、すなわち塗布ライン2に凹部が形成されている場合において区画線43aを移動させたときの論理積の和の推移について説明する。
【0108】
図13に示す如く、「フェーズB−1」では論理積の和は「0(ゼロ)」、「フェーズB−2」では論理積の和は「1」、「フェーズB−3」では論理積の和は「4」、「フェーズB−4」では論理積の和は「9」、「フェーズB−5」では論理積の和は「19」となる。
【0109】
このように、塗布ライン2に凹部が形成されている場合、区画線43aが塗布ライン2の境界線2aよりも塗布予定線7に近い位置にあるとき(「フェーズB−1」に相当する)には、論理積の和はゼロである。
【0110】
また、区画線43aが境界線2aにおいて凹部に対応する部分と交差しているとき(「フェーズB−2」、「フェーズB−3」、「フェーズB−4」に相当する)には、区画線43aが塗布予定線7から離間する方向に1ピクセル分移動するたびに論理積の和が増加する。
しかし、当該論理積の増加量は区画線43aの長手方向における凹凸論理積画像36の画素の配列数(図12、図13および図14の場合「10」)よりは小さい。
【0111】
さらに、区画線43aが塗布予定線7から離間する方向に移動して塗布ライン2の境界線2aと交差しない状態となったとき(「フェーズB−5」に相当する)には、区画線43aが塗布予定線7から離間する方向に1ピクセル分移動するたびに論理積の和が区画線43aの長手方向における凹凸論理積画像36の画素の配列数「10」だけ増加する。
【0112】
以下では図14を用いて塗布ライン2の境界線2aの一部が塗布予定線7から離間する方向に湾曲している場合、すなわち塗布ライン2に凸部が形成されている場合において区画線43aを移動させたときの論理積の和の推移について説明する。
【0113】
図14に示す如く、「フェーズC−1」では論理積の和は「0(ゼロ)」、「フェーズC−2」では論理積の和は「5」、「フェーズC−3」では論理積の和は「12」、「フェーズC−4」では論理積の和は「21」、「フェーズC−5」では論理積の和は「31」となる。
【0114】
このように、塗布ライン2に凸部が形成されている場合、区画線43aが塗布ライン2の境界線2aよりも塗布予定線7に近い位置にあるとき(「フェーズC−1」に相当する)には、論理積の和はゼロである。
【0115】
また、区画線43aが境界線2aにおいて凸部に対応する部分と交差しているとき(「フェーズC−2」、「フェーズC−3」、「フェーズC−4」に相当する)には、区画線43aが塗布予定線7から離間する方向に1ピクセル分移動するたびに論理積の和が増加する。
しかし、当該論理積の増加量は区画線43aの長手方向における凹凸論理積画像36の画素の配列数(図12、図13および図14の場合「10」)よりは小さい。
【0116】
さらに、区画線43aが塗布予定線7から離間する方向に移動して塗布ライン2の境界線2aと交差しない状態となったとき(「フェーズC−5」に相当する)には、区画線43aが塗布予定線7から離間する方向に1ピクセル分移動するたびに論理積の和が区画線43aの長手方向における凹凸論理積画像36の画素の配列数「10」だけ増加する。
【0117】
凹凸面積算出部114dは、区画線43aを移動させたときの論理積の和の増加量、すなわち「区画線43aを1ピクセル分移動させる前の論理積の和」と「区画線43aを1ピクセル分移動させた後の論理積の和」との差分に基づいて、塗布ライン2の凹部および凸部の面積を算出する。
より詳細には、凹凸面積算出部114dは、区画線43aを移動させたときの論理積の和の増加量が区画線43aの長手方向における凹凸論理積画像36の画素の配列数より小さいときには区画線43aが塗布ライン2の凹部および凸部と交差していると判定し、論理積の増加量を積算する。
【0118】
図13の場合、「フェーズB−1」と「フェーズB−2」との間の論理積の増加量は「1」、「フェーズB−2」と「フェーズB−3」との間の論理積の増加量は「3」、「フェーズB−3」と「フェーズB−4」との間の論理積の増加量は「5」であるから、凹凸面積算出部114dは論理積の増加量の積算値を「9(=1+3+5)」と算出する。
算出された論理積の増加量の積算値は図13に示す二値化画像33bにおける塗布ライン2の凹部に対応する画素の数に相当し、当該凹部の面積に比例する。
凹凸面積算出部114dは算出された論理積の増加量の積算値に所定の係数を乗算することにより、塗布ライン2の凹部の面積を算出する。
【0119】
図14の場合、「フェーズC−1」と「フェーズC−2」との間の論理積の増加量は「5」、「フェーズC−2」と「フェーズC−3」との間の論理積の増加量は「7」、「フェーズC−3」と「フェーズC−4」との間の論理積の増加量は「9」であるから、凹凸面積算出部114dは論理積の増加量の積算値を「21(=5+7+9)」と算出する。
算出された論理積の増加量の積算値は「フェーズC−1」から「フェーズC−4」までの間、すなわち区画線43aが塗布ライン2の凸部に交差しているときに区画線43aが走査した画素の数である「30」から図13に示す二値化画像33bにおける塗布ライン2の凸部に対応する画素の数を減算した値に相当する。
従って、図13に示す二値化画像33bにおける塗布ライン2の凸部に対応する画素の数は「9(=30−21)」となる。二値化画像33bにおける塗布ライン2の凸部に対応する画素の数は当該凸部の面積に比例する。
凹凸面積算出部114dは「区画線43aが塗布ライン2の凸部に交差しているときに区画線43aが走査した画素の数から算出された論理積の増加量の積算値を減算した値に所定の係数を乗算することにより、塗布ライン2の凸部の面積を算出する。
【0120】
記憶部111は、凹凸面積算出部114dにより算出された塗布ライン2の凹部および凸部の面積を記憶する。
【0121】
本実施形態では凹凸面積算出部114dが二値化画像33bを用いて(二値化画像33bに基づいて)塗布ライン2の凸部および凹部の面積を算出する構成としたが、本発明はこれに限定されず、塗布ラインの凸部および凹部の面積を算出する際に第一の二値化画像および第二の二値化画像のいずれを用いても良い。
また、本実施形態では区画線43aを塗布予定線7から離間する方向に移動させつつ凹凸面積算出用マスク画像43と二値化画像33aとの論理積を算出する構成としたが、本発明はこれに限定されず、区画線を塗布予定線に接近する方向に移動させつつ凹凸面積算出用マスク画像と第一の二値化画像または第二の二値化画像との論理積を算出する構成としても良い。
【0122】
以上の如く、検査装置100は、
撮像装置70がワーク1およびワーク1に塗布された線状の塗布物である塗布ライン2を撮像することにより生成した塗布ライン画像31におけるワーク1の所定の特徴点(本実施形態の場合、ボルト孔1a・1b・1c)に基づいて塗布ライン画像31におけるワーク1の位置を補正した画像である位置補正画像32を生成する位置補正画像生成部112と、
位置補正画像32に二値化処理を施すことにより、位置補正画像32において塗布ライン2に対応する部分を抽出し、抽出した塗布ライン2に対応する部分を白色に変換するとともに塗布ライン2に対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像(二値化画像33a)を生成するとともに、抽出した塗布ライン2に対応する部分を黒色に変換するとともに塗布ライン2に対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像(二値化画像33b)を生成する二値化画像生成部113と、
二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33aにおける一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあることおよび二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33bにおける一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には塗布ライン2が良好であると判定し、二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33aにおける一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあることおよび二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33bにおける一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には塗布ライン2が不良であると判定する塗布ライン判定部114と、
を具備する。
このように構成することにより、塗布ライン2が蛇行することをある程度許容しつつ塗布ライン2の幅が適正であるか否かを検査することが可能である。
特に、検査装置100は、ワーク1および塗布ライン2を撮像する撮像装置70として市販のカメラ等をそのまま適用することが可能であるとともに、撮像装置70による撮像時にワーク1を厳密に位置決めする必要がないので、取り扱いが容易である。
【0123】
また、検査装置100の一対の上限ライン8a・8bは、
二値化画像33aおよび二値化画像33bにおけるワーク1上の予め設定された位置に予め設定された幅の塗布ライン2が塗布された場合の塗布ライン2の中心線となる塗布予定線7を挟み、かつ塗布予定線7に平行となる位置に設定され、
検査装置100の一対の下限ライン9a・9bは、
二値化画像33aおよび二値化画像33bにおける塗布予定線7を挟み、塗布予定線7に平行となり、かつ一対の上限ライン8a・8bよりも塗布予定線7に近接する位置に設定される。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、塗布ライン2の性状や用途等に応じて許容し得る塗布ライン2の幅の上限値および下限値、並びに許容し得る塗布ライン2の蛇行量の上限値に対応する塗布予定線7から一対の上限ライン8a・8bまでの距離および塗布予定線7から一対の下限ライン9a・9bまでの距離を選択することにより、検査装置100の判定精度が向上する。
【0124】
また、検査装置100の塗布ライン判定部114は、
一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側を黒色とするとともに一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の外側を白色とした上限マスク画像41と二値化画像33aとの論理積に基づいて二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bが一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあるか否かを判定する上限判定部114aと、
一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の内側を白色とするとともに一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側を黒色とした下限マスク画像42と二値化画像33bとの論理積に基づいて二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bが一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にあるか否かを判定する下限判定部114bと、
を具備する。
このように構成することにより、簡単な演算で塗布ライン2が蛇行することをある程度許容しつつ塗布ライン2の幅が適正であるか否かを判定することが可能である。
【0125】
また、検査装置100の塗布ライン判定部114は、
上限判定部114aが二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあると判定するとともに下限判定部114bが二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にあると判定した場合には塗布ライン2が良好であると判定する総合判定部114cを具備する。
このように構成することにより、塗布ライン2が蛇行することをある程度許容しつつ塗布ライン2の幅が適正であるか否かを検査することが可能である。
【0126】
また、検査装置100の塗布ライン判定部114は、
二値化画像33aおよび二値化画像33bにおけるワーク1の塗布予定線7に平行な区画線43aにより区画された二つの領域のうち一方の領域が白色であり他方の領域が黒色となる画像である凹凸面積算出用マスク画像43と二値化画像33aとの論理積を、区画線43aを塗布予定線7に垂直な方向にシフトしつつ算出することにより二値化画像33aにおける塗布ライン2の凸部および凹部の面積を算出する凹凸面積算出部114dを具備する。
このように構成することにより、塗布ライン2の蛇行量および塗布ライン2の幅を定量的に把握することが可能である。
特に、総合判定部114cによる塗布ライン2の判定結果が良好であっても、ワーク1に塗布ライン2を塗布する装置の状態が変化すればそれに応じて塗布ライン2の凸部および凹部の面積が変動することがあることから、総合判定部114cによる塗布ライン2の判定結果が不良となる前に塗布ライン2の凸部および凹部の面積の算出結果に基づいてワーク1に塗布ライン2を塗布する装置の状態の変化を察知することが可能であり、ワーク1に塗布ライン2を塗布する装置の作業歩留まりの向上(不良品の発生の防止)に寄与する。
【0127】
また、検査装置100の位置補正画像生成部112は、
位置補正画像32におけるワーク1の塗布予定線7の長手方向が位置補正画像32の画素の配列方向に一致するように塗布ライン画像31を補正する。
このように構成することにより、一対の上限ライン8a・8bおよび一対の下限ライン9a・9bの長手方向が塗布ライン画像31の画素の配列方向に一致する(塗布ライン画像31の画素の配列方向と平行になる)こととなるので、簡単な演算で二値化画像33aと上限マスク画像41との論理積および二値化画像33bと下限マスク画像42との論理積を算出することが可能である。
また、塗布ライン2の凸部および凹部の面積を算出する際には区画線34aの長手方向が塗布ライン画像31の画素の配列方向に一致する(塗布ライン画像31の画素の配列方向と平行になる)こととなるので、簡単な演算で塗布ライン2の凸部および凹部の面積を算出することが可能である。
【0128】
以下では、図15を用いて検査システム52について説明する。
図15に示す検査システム52はワーク1に塗布された塗布ライン2を検査するためのシステムであり、撮像装置70、支持装置75および検査装置200を具備する。
ここで、撮像装置70は図1における撮像装置70と略同じ構成であることから説明を省略する。
【0129】
支持装置75は撮像装置70を姿勢変更可能に支持する装置である。ここで、「撮像装置70を姿勢変更可能に支持する」とは、撮像装置70の撮像方向を変更する(傾ける)こと、撮像装置70をワーク1に対して接近および離間する方向に移動すること、および撮像装置70をワーク1において塗布ライン2が塗布される面に平行な方向に移動することが可能な状態で撮像装置70を支持することを指す。
支持装置75はヒンジおよびリニアガイド等により連結された複数の部材と、これら複数の部材を相対移動あるいは回転移動させるためのアクチュエータ群とを具備する。
【0130】
検査装置200は本発明に係る塗布ライン検査装置の第二実施形態であり、検査装置本体210、入力装置220および表示装置230を具備する。
なお、入力装置220および表示装置230については図1に示す入力装置220および表示装置230と略同じ構成であることから説明を省略する。
【0131】
検査装置本体210は撮像装置70に接続される。検査装置本体210は、撮像装置70により撮像されて生成された塗布ライン画像31(より厳密には、塗布ライン画像31を構成する各画素の座標および輝度に係る情報)を取得することが可能である。
【0132】
検査装置本体210は支持装置75、より厳密には支持装置75を構成するアクチュエータ群に接続される。
【0133】
以下では、検査装置本体210の構成の詳細について説明する。
検査装置本体210は、機能的には記憶部211、二値化画像生成部213および塗布ライン判定部214および撮像装置位置制御部215を具備する。
なお、記憶部211、二値化画像生成部213および塗布ライン判定部214については図1に示す記憶部111、二値化画像生成部113および塗布ライン判定部114と略同じ構成であることから説明を省略する。
【0134】
撮像装置位置制御部215は撮像装置70の位置、より詳細には撮像装置70がワーク1およびワーク1に塗布された塗布ライン2を撮像する位置を補正するものである。
実体的には、検査装置本体210が、検査装置本体210に格納された塗布ライン検査プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、撮像装置位置制御部215としての機能を果たす。
【0135】
撮像装置位置制御部215は撮像装置70により撮像される塗布ライン画像31におけるワーク1(塗布ライン画像31に写っているワーク1)の「特徴点」に基づいて塗布ライン画像31におけるワーク1の位置を補正し、補正後に撮像装置70にワーク1およびワーク1に塗布された塗布ライン2を撮像させることにより位置補正画像32を生成する。
【0136】
支持装置75および撮像装置位置制御部215を合わせたものは、本発明に係る撮像位置補正部の実施の一形態であり、撮像装置70の撮像方向およびワーク1と撮像装置70との相対位置を補正するものである。
【0137】
以上の如く構成することにより、検査装置200は図1における位置補正画像生成部112を省略しても実質的には図1における検査システム51と同様の効果を奏する。
なお、本実施形態では撮像装置70を適宜相対移動あるいは傾斜させることにより撮像装置70の撮像方向およびワーク1と撮像装置70との相対位置を補正する構成としたが、本発明はこれに限定されず、撮像装置を固定しておき、ワークを適宜相対移動あるいは傾斜させることにより撮像装置の撮像方向およびワークと撮像装置との相対位置を補正する構成としても良い。
【0138】
以下では、図16を用いて検査システム53について説明する。
図16に示す検査システム53はワーク1に塗布された塗布ライン2を検査するためのシステムであり、ワーク位置決め治具15、撮像装置70および検査装置300を具備する。
ここで、撮像装置70は図1における撮像装置70と略同じ構成であることから説明を省略する。
【0139】
ワーク位置決め治具15はワーク1を所定の撮像位置に固定するものである。
ワーク位置決め治具15は基板15aおよび係止突起15b・15b・・・を具備する。
基板15aは板状の部材であり、その上面にはワーク1が載置される。基板15aは撮像装置70との相対的な位置が固定される。
係止突起15b・15b・・・は基板15aの上面に形成された突起である。係止突起15b・15b・・・はそれぞれ基板15aの上面に載置されたワーク1の側面に当接する。ワーク1は係止突起15b・15b・・・により基板15aの上面に平行な方向への移動および回転が規制される。
その結果、ワーク位置決め治具15の基板15aの上面に載置されたワーク1と撮像装置70との相対位置および撮像装置70の撮像方向が一義的に定まる。
【0140】
以上の如く構成することにより、検査装置300は図1における位置補正画像生成部112を省略しても実質的には図1における検査システム51と同様の効果を奏する。
なお、撮像装置70の撮像方向およびワーク1と撮像装置70との相対位置を一義的に決定する手段は本実施形態の如きワーク位置決め治具15に限定されず、種々の構成が考えられる。他の構成としては、ワークをマニピュレータで把持してハンドリングするような作業を行う場合において当該マニピュレータが所定の姿勢をとっているときに撮像する構成が挙げられる。
【0141】
検査装置200は本発明に係る塗布ライン検査装置の第二実施形態であり、検査装置本体210、入力装置220および表示装置230を具備する。
なお、入力装置220および表示装置230については図1に示す入力装置220および表示装置230と略同じ構成であることから説明を省略する。
【0142】
以下では図17を用いて本発明に係る塗布ライン検査方法の第一実施形態について説明する。
本発明に係る塗布ライン検査方法の第一実施形態は検査システム51を用いて塗布ライン2を検査する方法である。
【0143】
図17に示す如く、本発明に係る塗布ライン検査方法の第一実施形態は主として撮像・塗布ライン画像生成工程S1100、位置補正画像生成工程S1200、二値化画像生成工程S1300および塗布ライン判定工程S1400を具備する。
【0144】
撮像・塗布ライン画像生成工程S1100はワーク1およびワーク1に塗布された塗布ライン2を撮像することにより、塗布ライン画像31を生成する工程である。
撮像・塗布ライン画像生成工程S1100が終了したら、位置補正画像生成工程S1200に移行する。
【0145】
位置補正画像生成工程S1200は塗布ライン画像31におけるワーク1(塗布ライン画像31に写っているワーク1)の特徴点(本実施形態の場合、ボルト孔1a・1b・1c)に基づいて塗布ライン画像31におけるワーク1の位置を補正することにより位置補正画像32を生成する工程である。
位置補正画像生成工程S1200が終了したら、二値化画像生成工程S1300に移行する。
【0146】
二値化画像生成工程S1300は位置補正画像32に二値化処理を施すことにより二値化画像33aおよび二値化画像33bを生成する工程である。
二値化画像生成工程S1300が終了したら、塗布ライン判定工程S1400に移行する。
【0147】
塗布ライン判定工程S1400は二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33aにおける一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあることおよび二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33bにおける一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には塗布ライン2が良好であると判定し、二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33aにおける一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあることおよび二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33bにおける一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には塗布ライン2が不良であると判定する工程である。
塗布ライン判定工程S1400は主として上限判定工程S1410、下限判定工程S1420、総合判定工程S1430および凹凸面積算出工程S1440を具備する。
【0148】
上限判定工程S1410は上限マスク画像41と二値化画像33aとの論理積に基づいて二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bが一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあるか否かを判定する工程である。
上限判定工程S1410が終了したら、下限判定工程S1420に移行する。
【0149】
下限判定工程S1420は下限マスク画像42と二値化画像33bとの論理積に基づいて二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bが一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にあるか否かを判定する工程である。
下限判定工程S1420が終了したら、総合判定工程S1430に移行する。
【0150】
総合判定工程S1430は上限判定工程S1410において二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあると判定するとともに下限判定工程S1420において二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にあると判定した場合には塗布ライン2が良好であると判定する工程である。
総合判定工程S1430が終了したら、凹凸面積算出工程S1440に移行する。
【0151】
凹凸面積算出工程S1440は凹凸面積算出用マスク画像43と二値化画像33aとの論理積を、凹凸面積算出用マスク画像43の区画線43aを塗布予定線7に垂直な方向にシフトしつつ算出することにより二値化画像33aにおける塗布ライン2の凸部および凹部の面積を算出する工程である。
凹凸面積算出工程S1440が終了したら、塗布ライン判定工程S1400が終了する。
【0152】
以上の如く、本発明に係る塗布ライン検査方法の第一実施形態は、
ワーク1およびワーク1に塗布された塗布ライン2を撮像することにより、塗布ライン画像31を生成する撮像・塗布ライン画像生成工程S1100と、
塗布ライン画像31におけるワーク1(塗布ライン画像31に写っているワーク1)の特徴点(本実施形態の場合、ボルト孔1a・1b・1c)に基づいて塗布ライン画像31におけるワーク1の位置を補正することにより位置補正画像32を生成する位置補正画像生成工程S1200と、
位置補正画像32に二値化処理を施すことにより位置補正画像32において塗布ライン2に対応する部分を抽出し、抽出した塗布ライン2に対応する部分を白色に変換するとともに塗布ライン2に対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である二値化画像33aを生成するとともに、抽出した塗布ライン2に対応する部分を黒色に変換するとともに塗布ライン2に対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である二値化画像33bを生成する二値化画像生成工程S1300と、
二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあることおよび二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には塗布ライン2が良好であると判定し、二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33aにおける一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあることおよび二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33bにおける一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には塗布ライン2が不良であると判定する塗布ライン判定工程S1400と、
を具備する。
このように構成することにより、塗布ライン2が蛇行することをある程度許容しつつ塗布ライン2の幅が適正であるか否かを検査することが可能である。
【0153】
また、本発明に係る塗布ライン検査方法の第一実施形態の一対の上限ライン8a・8bは、
二値化画像33aおよび二値化画像33bにおけるワーク1上の予め設定された位置に予め設定された幅の塗布ライン2が塗布された場合の塗布ライン2の中心線となる塗布予定線7を挟み、かつ塗布予定線7に平行となる位置に設定され、
本発明に係る塗布ライン検査方法の第一実施形態の一対の下限ライン9a・9bは、
二値化画像33aおよび二値化画像33bにおけるワーク1の塗布予定線7を挟み、塗布予定線7に平行となり、かつ一対の上限ライン8a・8bよりも塗布予定線7に近接する位置に設定される。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、塗布ライン2の性状や用途等に応じて許容し得る塗布ライン2の幅の上限値および下限値、並びに許容し得る塗布ライン2の蛇行量の上限値に対応する塗布予定線7から一対の上限ライン8a・8bまでの距離および塗布予定線7から一対の下限ライン9a・9bまでの距離を選択することにより、検査装置100の判定精度が向上する。
【0154】
また、本発明に係る塗布ライン検査方法の第一実施形態の塗布ライン判定工程S1400は、
上限マスク画像41と二値化画像33aとの論理積に基づいて二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bが一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあるか否かを判定する上限判定工程S1410と、
下限マスク画像42と二値化画像33bとの論理積に基づいて二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bが一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にあるか否かを判定する下限判定工程S1420と、
を具備する。
このように構成することにより、簡単な演算で塗布ライン2が蛇行することをある程度許容しつつ塗布ライン2の幅が適正であるか否かを判定することが可能である。
【0155】
また、本発明に係る塗布ライン検査方法の第一実施形態の塗布ライン判定工程S1400は、
上限判定工程S1410において二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあると判定するとともに下限判定工程S1420において二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にあると判定した場合には塗布ライン2が良好であると判定する総合判定工程S1430を具備する。
このように構成することにより、塗布ライン2が蛇行することをある程度許容しつつ塗布ライン2の幅が適正であるか否かを検査することが可能である。
【0156】
また、本発明に係る塗布ライン検査方法の第一実施形態の塗布ライン判定工程S1400は、
凹凸面積算出用マスク画像43と二値化画像33aとの論理積を、凹凸面積算出用マスク画像43の区画線43aを塗布予定線7に垂直な方向にシフトしつつ算出することにより二値化画像33aにおける塗布ライン2の凸部および凹部の面積を算出する凹凸面積算出工程S1440を具備する。
このように構成することにより、塗布ライン2の蛇行量および塗布ライン2の幅を定量的に把握することが可能である。
【0157】
また、本発明に係る塗布ライン検査方法の第一実施形態は、
位置補正画像生成工程S1200において、
位置補正画像32におけるワーク1の塗布予定線7の長手方向が位置補正画像32の画素の配列方向に一致するように塗布ライン画像31を補正する。
このように構成することにより、一対の上限ライン8a・8bおよび一対の下限ライン9a・9bの長手方向が塗布ライン画像31の画素の配列方向に一致する(塗布ライン画像31の画素の配列方向と平行になる)こととなるので、簡単な演算で二値化画像33aと上限マスク画像41との論理積および二値化画像33bと下限マスク画像42との論理積を算出することが可能である。
また、塗布ライン2の凸部および凹部の面積を算出する際には区画線34aの長手方向が塗布ライン画像31の画素の配列方向に一致する(塗布ライン画像31の画素の配列方向と平行になる)こととなるので、簡単な演算で塗布ライン2の凸部および凹部の面積を算出することが可能である。
【0158】
本発明に係る塗布ライン検査方法の第一実施形態では上限判定工程S1410→下限判定工程S1420→総合判定工程S1430→凹凸面積算出工程S1440の順に行う構成としたが、本発明はこれに限定されず、上限判定工程S1410、下限判定工程S1420および凹凸面積算出工程S1440を行う順序を任意に変更した構成としても良く、上限判定工程S1410、下限判定工程S1420および凹凸面積算出工程S1440のうちの二つまたは三つの工程を同時並行的に行う構成としても良い。
【0159】
また、図18に示す本発明に係る塗布ライン検査方法の第二実施形態の如く、総合判定工程S1430における判定結果が良好である場合には凹凸面積算出工程S1440に移行し、総合判定工程S1430における判定結果が良好である場合には凹凸面積算出工程S1440に移行せずに塗布ライン2の検査を終了する構成としても良い。
これは、塗布ライン2の凸部および凹部の面積の算出結果をワーク1に塗布ライン2を塗布する装置の状態の変化を察知することによりワーク1に塗布ライン2を塗布する装置の作業歩留まりの向上(不良品の発生の防止)を図る目的に用いる場合に特に有効である。
【0160】
また、図19に示す本発明に係る塗布ライン検査方法の第三実施形態の如く、上限判定工程S1410における判定結果が良好である場合には下限判定工程S1420に移行し、上限判定工程S1410における判定結果が不良である場合には下限判定工程S1420に移行せずに塗布ライン2の検査を終了し、下限判定工程S1420における判定結果が良好である場合には凹凸面積算出工程S1440に移行し、下限判定工程S1420における判定結果が不良である場合には凹凸面積算出工程S1440に移行せずに塗布ライン2の検査を終了することにより、総合判定工程S1430を省略する構成としても良い。
【0161】
以下では、本発明に係る塗布ライン検査プログラムの実施の一形態について説明する。
本発明に係る塗布ライン検査プログラムの実施の一形態は、図1に示す検査装置100の検査装置本体110に格納されたものであり、
コンピュータ(本実施形態では検査装置本体110)に、
撮像装置70がワーク1およびワーク1に塗布された線状の塗布物である塗布ライン2を撮像することにより生成した塗布ライン画像31におけるがワーク1の所定の特徴点(本実施形態の場合、ボルト孔1a・1b・1c)に基づいて塗布ライン画像31におけるワーク1の位置を補正した画像である位置補正画像32を生成する位置補正画像生成機能と、
位置補正画像32に二値化処理を施すことにより、位置補正画像32のうち塗布ライン2に対応する部分を白色に変換するとともに塗布ライン2に対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像(二値化画像33a)を生成するとともに、位置補正画像32のうち塗布ライン2に対応する部分を黒色に変換するとともに塗布ライン2に対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像(二値化画像33b)を生成する二値化画像生成機能と、
二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33aにおける一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあることおよび二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33bにおける一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には塗布ライン2が良好であると判定し、二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33aにおける一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあることおよび二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33bにおける一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には塗布ライン2が不良であると判定する塗布ライン判定機能と、
を実現させるためのものである。
このように構成することにより、塗布ライン2が蛇行することをある程度許容しつつ塗布ライン2の幅が適正であるか否かを検査することが可能である。
【0162】
以下では、本発明に係る塗布ライン検査プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の実施の一形態について説明する。
本発明に係る塗布ライン検査プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の実施の一形態は、図1に示す検査装置100の検査装置本体110に格納された塗布ライン検査プログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶したものであり、
コンピュータ(本実施形態では検査装置本体110)に、
撮像装置70がワーク1およびワーク1に塗布された線状の塗布物である塗布ライン2を撮像することにより生成した塗布ライン画像31におけるがワーク1の所定の特徴点(本実施形態の場合、ボルト孔1a・1b・1c)に基づいて塗布ライン画像31におけるワーク1の位置を補正した画像である位置補正画像32を生成する位置補正画像生成機能と、
位置補正画像32に二値化処理を施すことにより、位置補正画像32のうち塗布ライン2に対応する部分を白色に変換するとともに塗布ライン2に対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像(二値化画像33a)を生成するとともに、位置補正画像32のうち塗布ライン2に対応する部分を黒色に変換するとともに塗布ライン2に対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像(二値化画像33b)を生成する二値化画像生成機能と、
二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33aにおける一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあることおよび二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33bにおける一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には塗布ライン2が良好であると判定し、二値化画像33aにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33aにおける一対の上限ライン8a・8bで挟まれる領域の内側にあることおよび二値化画像33bにおける塗布ライン2の一対の境界線2a・2bの全てが予め設定された二値化画像33bにおける一対の下限ライン9a・9bで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には塗布ライン2が不良であると判定する塗布ライン判定機能と、
を実現させるためのものである。
このように構成することにより、塗布ライン2が蛇行することをある程度許容しつつ塗布ライン2の幅が適正であるか否かを検査することが可能である。
「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」の具体例としては、フレキシブルディスクカートリッジ、メモリーカード、CD−ROM、DVD−ROM、HDD等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明に係る塗布ライン検査装置の第一実施形態を具備する検査システムを示す図。
【図2】塗布ライン画像の一例を示す図。
【図3】位置補正画像の一例を示す図。
【図4】第一の二値化画像の一例を示す図。
【図5】第二の二値化画像の一例を示す図。
【図6】塗布予定線、一対の上限ラインおよび一対の下限ラインの関係を示す図。
【図7】上限マスク画像の一例を示す図。
【図8】上限論理積画面の一例を示す図。
【図9】下限マスク画像の一例を示す図。
【図10】下限論理積画面の一例を示す図。
【図11】塗布ラインの凹部および凸部を示す図。
【図12】塗布ラインに凹部および凸部が形成されていない場合の二値化画像、凹凸面積算出用マスク画像および凹凸論理積画像の関係を示す図。
【図13】塗布ラインに凹部が形成されている場合の二値化画像、凹凸面積算出用マスク画像および凹凸論理積画像の関係を示す図。
【図14】塗布ラインに凸部が形成されている場合の二値化画像、凹凸面積算出用マスク画像および凹凸論理積画像の関係を示す図。
【図15】本発明に係る塗布ライン検査装置の第二実施形態を具備する検査システムを示す図。
【図16】本発明に係る塗布ライン検査装置の第三実施形態を具備する検査システムを示す図。
【図17】本発明に係る塗布ライン検査方法の第一実施形態を示すフロー図。
【図18】本発明に係る塗布ライン検査方法の第二実施形態を示すフロー図。
【図19】本発明に係る塗布ライン検査方法の第三実施形態を示すフロー図。
【符号の説明】
【0164】
1 ワーク
1a・1b・1c ボルト孔(特徴点)
2 塗布ライン
2a・2b 境界線
8a・8b 上限ライン
9a・9b 下限ライン
31 塗布ライン画像
32 位置補正画像
33a 二値化画像(第一の二値化画像)
33b 二値化画像(第二の二値化画像)
50 検査システム
70 撮像装置
100 検査装置(塗布ライン検査装置の実施の一形態)
112 位置補正画像生成部
113 二値化画像生成部
114 塗布ライン判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークおよび前記ワークに塗布された線状の塗布物である塗布ラインを撮像することにより塗布ライン画像を生成する塗布ライン撮像・塗布ライン画像生成工程と、
前記塗布ライン画像における前記ワークの所定の特徴点に基づいて前記塗布ライン画像におけるワークの位置を補正した画像である位置補正画像を生成する位置補正画像生成工程と、
前記位置補正画像に二値化処理を施すことにより前記塗布ラインに対応する部分を抽出し、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を白色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像を生成するとともに、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を黒色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像を生成する二値化画像生成工程と、
前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第一の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の上限値だけ互いに離隔して配置される一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第二の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の下限値だけ互いに離隔して配置される一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には前記塗布ラインが良好であると判定し、前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には前記塗布ラインが不良であると判定する塗布ライン判定工程と、
を具備する塗布ライン検査方法。
【請求項2】
前記一対の上限ラインは、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワーク上の予め設定された位置に予め設定された幅の塗布ラインが塗布された場合の塗布ラインの中心線となる塗布予定線を挟み、かつ前記塗布予定線に平行となる位置に設定され、
前記一対の下限ラインは、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像における前記塗布予定線を挟み、前記塗布予定線に平行となり、かつ前記一対の上限ラインよりも前記塗布予定線に近接する位置に設定される請求項1に記載の塗布ライン検査方法。
【請求項3】
前記塗布ライン判定工程は、
前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側を黒色とするとともに前記一対の上限ラインで挟まれる領域の外側を白色とした上限マスク画像と前記第一の二値化画像との論理積に基づいて前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線が前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあるか否かを判定する上限判定工程と、
前記一対の下限ラインで挟まれる領域の内側を白色とするとともに前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側を黒色とした下限マスク画像と前記第二の二値化画像との論理積に基づいて前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線が前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあるか否かを判定する下限判定工程と、
を具備する請求項2に記載の塗布ライン検査方法。
【請求項4】
前記塗布ライン判定工程は、
前記上限判定工程において前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあると判定するとともに前記下限判定工程において前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあると判定した場合には前記塗布ラインが良好であると判定する総合判定工程を具備する請求項3に記載の塗布ライン検査方法。
【請求項5】
前記塗布ライン判定工程は、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワークの塗布予定線に平行な区画線により区画された二つの領域のうち一方の領域が白色であり他方の領域が黒色となる画像である凹凸面積算出用マスク画像と前記第一の二値化画像または前記第二の二値化画像との論理積を、前記区画線を前記塗布予定線に垂直な方向にシフトしつつ算出することにより前記第一の二値化画像または前記第二の二値化画像における塗布ラインの凸部および凹部の面積を算出する凹凸面積算出工程を具備する請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の塗布ライン検査方法。
【請求項6】
前記位置補正画像生成工程において、
前記位置補正画像におけるワークの塗布予定線の長手方向が前記位置補正画像の画素の配列方向に一致するように前記塗布ライン画像を補正する請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の塗布ライン検査方法。
【請求項7】
予めワークの所定の特徴点に基づいて前記ワークの位置を補正した状態で前記ワークおよび前記ワークに塗布された線状の塗布物である塗布ラインを撮像することにより位置補正画像を生成する塗布ライン撮像・位置補正画像生成工程と、
前記位置補正画像に二値化処理を施すことにより前記塗布ラインに対応する部分を抽出し、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を白色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像を生成するとともに、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を黒色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像を生成する二値化画像生成工程と、
前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第一の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の上限値だけ互いに離隔して配置される一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第二の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の下限値だけ互いに離隔して配置される一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には前記塗布ラインが良好であると判定し、前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には前記塗布ラインが不良であると判定する塗布ライン判定工程と、
を具備する塗布ライン検査方法。
【請求項8】
撮像装置がワークおよび前記ワークに塗布された線状の塗布物である塗布ラインを撮像することにより生成した塗布ライン画像における前記ワークの所定の特徴点に基づいて前記塗布ライン画像におけるワークの位置を補正した画像である位置補正画像を生成する位置補正画像生成部と、
前記位置補正画像に二値化処理を施すことにより前記塗布ラインに対応する部分を抽出し、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を白色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像を生成するとともに、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を黒色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像を生成する二値化画像生成部と、
前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第一の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の上限値だけ互いに離隔して配置される一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第二の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の下限値だけ互いに離隔して配置される一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には前記塗布ラインが良好であると判定し、前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第一の二値化画像における一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第二の二値化画像における一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には前記塗布ラインが不良であると判定する塗布ライン判定部と、
を具備する塗布ライン検査装置。
【請求項9】
前記一対の上限ラインは、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワーク上の予め設定された位置に予め設定された幅の塗布ラインが塗布された場合の塗布ラインの中心線となる塗布予定線を挟み、かつ前記塗布予定線に平行となる位置に設定され、
前記一対の下限ラインは、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像における前記塗布予定線を挟み、前記塗布予定線に平行となり、かつ前記一対の上限ラインよりも前記塗布予定線に近接する位置に設定される請求項8に記載の塗布ライン検査装置。
【請求項10】
前記塗布ライン判定部は、
前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側を黒色とするとともに前記一対の上限ラインで挟まれる領域の外側を白色とした上限マスク画像と前記第一の二値化画像との論理積に基づいて前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線が前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあるか否かを判定する上限判定部と、
前記一対の下限ラインで挟まれる領域の内側を白色とするとともに前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側を黒色とした下限マスク画像と前記第二の二値化画像との論理積に基づいて前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線が前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあるか否かを判定する下限判定部と、
を具備する請求項9に記載の塗布ライン検査装置。
【請求項11】
前記塗布ライン判定部は、
前記上限判定部が前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあると判定するとともに前記下限判定部が前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあると判定した場合には前記塗布ラインが良好であると判定する総合判定部を具備する請求項10に記載の塗布ライン検査装置。
【請求項12】
前記塗布ライン判定部は、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワークの塗布予定線に平行な区画線により区画された二つの領域のうち一方の領域が白色であり他方の領域が黒色となる画像である凹凸面積算出用マスク画像と前記第一の二値化画像または前記第二の二値化画像との論理積を、前記区画線を前記塗布予定線に垂直な方向にシフトしつつ算出することにより前記第一の二値化画像または前記第二の二値化画像における塗布ラインの凸部および凹部の面積を算出する凹凸面積算出部を具備する請求項8から請求項11までのいずれか一項に記載の塗布ライン検査装置。
【請求項13】
前記位置補正画像生成部は、
前記位置補正画像におけるワークの塗布予定線の長手方向が前記位置補正画像の画素の配列方向に一致するように前記塗布ライン画像を補正する請求項8から請求項12までのいずれか一項に記載の塗布ライン検査装置。
【請求項14】
ワークの所定の特徴点に基づいて撮像装置の撮像方向およびワークと前記撮像装置との相対位置を補正する撮像位置補正部と、
前記撮像位置補正部により前記撮像装置の撮像方向および前記ワークと前記撮像装置との相対位置を予め補正した状態で前記撮像装置がワークおよび前記ワークに塗布された線状の塗布物である塗布ラインを撮像することにより生成した画像である位置補正画像に二値化処理を施すことにより前記塗布ラインに対応する部分を抽出し、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を白色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像を生成するとともに、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を黒色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像を生成する二値化画像生成部と、
前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第一の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の上限値だけ互いに離隔して配置される一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第二の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の下限値だけ互いに離隔して配置される一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には前記塗布ラインが良好であると判定し、前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第一の二値化画像における一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第二の二値化画像における一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には前記塗布ラインが不良であると判定する塗布ライン判定部と、
を具備する塗布ライン検査装置。
【請求項15】
コンピュータに、
撮像装置がワークおよび前記ワークに塗布された線状の塗布物である塗布ラインを撮像することにより生成した塗布ライン画像における前記ワークの所定の特徴点に基づいて前記塗布ライン画像におけるワークの位置を補正した画像である位置補正画像を生成する位置補正画像生成機能と、
前記位置補正画像に二値化処理を施すことにより、前記塗布ラインに対応する部分を抽出し、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を白色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像を生成するとともに、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を黒色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像を生成する二値化画像生成機能と、
前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第一の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の上限値だけ互いに離隔して配置される一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第二の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の下限値だけ互いに離隔して配置される一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には前記塗布ラインが良好であると判定し、前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第一の二値化画像における一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第二の二値化画像における一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には前記塗布ラインが不良であると判定する塗布ライン判定機能と、
を実現させるための塗布ライン検査プログラム。
【請求項16】
前記一対の上限ラインは、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワーク上の予め設定された位置に予め設定された幅の塗布ラインが塗布された場合の塗布ラインの中心線となる塗布予定線を挟み、かつ前記塗布予定線に平行となる位置に設定され、
前記一対の下限ラインは、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像における前記塗布予定線を挟み、前記塗布予定線に平行となり、かつ前記一対の上限ラインよりも前記塗布予定線に近接する位置に設定される請求項15に記載の塗布ライン検査プログラム。
【請求項17】
前記塗布ライン判定機能は、
前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側を黒色とするとともに前記一対の上限ラインで挟まれる領域の外側を白色とした上限マスク画像と前記第一の二値化画像との論理積に基づいて前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線が前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあるか否かを判定する上限判定機能と、
前記一対の下限ラインで挟まれる領域の内側を白色とするとともに前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側を黒色とした下限マスク画像と前記第二の二値化画像との論理積に基づいて前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線が前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあるか否かを判定する下限判定機能と、
を具備する請求項16に記載の塗布ライン検査プログラム。
【請求項18】
前記塗布ライン判定機能は、
前記上限判定機能が前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあると判定するとともに前記下限判定機能が前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあると判定した場合には前記塗布ラインが良好であると判定する総合判定機能を具備する請求項17に記載の塗布ライン検査プログラム。
【請求項19】
前記塗布ライン判定機能は、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワークの塗布予定線に平行な区画線により区画された二つの領域のうち一方の領域が白色であり他方の領域が黒色となる画像である凹凸面積算出用マスク画像と前記第一の二値化画像または前記第二の二値化画像との論理積を、前記区画線を前記塗布予定線に垂直な方向にシフトしつつ算出することにより前記第一の二値化画像または前記第二の二値化画像における塗布ラインの凸部および凹部の面積を算出する凹凸面積算出機能を具備する請求項15から請求項18までのいずれか一項に記載の塗布ライン検査プログラム。
【請求項20】
前記位置補正画像生成機能は、
前記位置補正画像におけるワークの塗布予定線の長手方向が前記位置補正画像の画素の配列方向に一致するように前記塗布ライン画像を補正する請求項15から請求項19までのいずれか一項に記載の塗布ライン検査プログラム。
【請求項21】
コンピュータに、
ワークの所定の特徴点に基づいて予め撮像装置の撮像方向および前記ワークと前記撮像装置との相対位置を補正した状態で前記撮像装置がワークおよび前記ワークに塗布された線状の塗布物である塗布ラインを撮像することにより生成した画像である位置補正画像に二値化処理を施すことにより、前記塗布ラインに対応する部分を抽出し、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を白色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像を生成するとともに、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を黒色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像を生成する二値化画像生成機能と、
前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第一の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の上限値だけ互いに離隔して配置される一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第二の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の下限値だけ互いに離隔して配置される一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には前記塗布ラインが良好であると判定し、前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第一の二値化画像における一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第二の二値化画像における一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には前記塗布ラインが不良であると判定する塗布ライン判定機能と、
を実現させるための塗布ライン検査プログラム。
【請求項22】
コンピュータに、
撮像装置がワークおよび前記ワークに塗布された線状の塗布物である塗布ラインを撮像することにより生成した塗布ライン画像における前記ワークの所定の特徴点に基づいて前記塗布ライン画像におけるワークの位置を補正した画像である位置補正画像を生成する位置補正画像生成機能と、
前記位置補正画像に二値化処理を施すことにより、前記塗布ラインに対応する部分を抽出し、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を白色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像を生成するとともに、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を黒色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像を生成する二値化画像生成機能と、
前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第一の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の上限値だけ互いに離隔して配置される一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第二の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の下限値だけ互いに離隔して配置される一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には前記塗布ラインが良好であると判定し、前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第一の二値化画像における一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第二の二値化画像における一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には前記塗布ラインが不良であると判定する塗布ライン判定機能と、
を実現させるための塗布ライン検査プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項23】
前記一対の上限ラインは、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワークの塗布予定線を挟み、かつ前記塗布予定線に平行となる位置に設定され、
前記一対の下限ラインは、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワークの塗布予定線を挟み、前記塗布予定線に平行となり、かつ前記一対の上限ラインよりも前記塗布予定線に近接する位置に設定される請求項22に記載の塗布ライン検査プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項24】
前記塗布ライン判定機能は、
前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側を黒色とするとともに前記一対の上限ラインで挟まれる領域の外側を白色とした上限マスク画像と前記第一の二値化画像との論理積に基づいて前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線が前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあるか否かを判定する上限判定機能と、
前記一対の下限ラインで挟まれる領域の内側を白色とするとともに前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側を黒色とした下限マスク画像と前記第二の二値化画像との論理積に基づいて前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線が前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあるか否かを判定する下限判定機能と、
を具備する請求項23に記載の塗布ライン検査プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項25】
前記塗布ライン判定機能は、
前記上限判定機能が前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあると判定するとともに前記下限判定機能が前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあると判定した場合には前記塗布ラインが良好であると判定する総合判定機能を具備する請求項24に記載の塗布ライン検査プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項26】
前記塗布ライン判定機能は、
前記第一の二値化画像および前記第二の二値化画像におけるワークの塗布予定線に平行な区画線により区画された二つの領域のうち一方の領域が白色であり他方の領域が黒色となる画像である凹凸面積算出用マスク画像と前記第一の二値化画像または前記第二の二値化画像との論理積を、前記区画線を前記塗布予定線に垂直な方向にシフトしつつ算出することにより前記第一の二値化画像または前記第二の二値化画像における塗布ラインの凸部および凹部の面積を算出する凹凸面積算出機能を具備する請求項22から請求項25までのいずれか一項に記載の塗布ライン検査プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項27】
前記位置補正画像生成機能は、
前記位置補正画像におけるワークの塗布予定線の長手方向が前記位置補正画像の画素の配列方向に一致するように前記塗布ライン画像を補正する請求項22から請求項26までのいずれか一項に記載の塗布ライン検査プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項28】
コンピュータに、
ワークの所定の特徴点に基づいて予め撮像装置の撮像方向および前記ワークと前記撮像装置との相対位置を補正した状態で前記撮像装置がワークおよび前記ワークに塗布された線状の塗布物である塗布ラインを撮像することにより生成した画像である位置補正画像に二値化処理を施すことにより、前記塗布ラインに対応する部分を抽出し、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を白色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を黒色に変換した画像である第一の二値化画像を生成するとともに、抽出した前記塗布ラインに対応する部分を黒色に変換するとともに前記塗布ラインに対応する部分以外の部分を白色に変換した画像である第二の二値化画像を生成する二値化画像生成機能と、
前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第一の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の上限値だけ互いに離隔して配置される一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが前記第二の二値化画像に予め設定され許容し得る塗布ラインの幅の下限値だけ互いに離隔して配置される一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることの両方が満たされる場合には前記塗布ラインが良好であると判定し、前記第一の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第一の二値化画像における一対の上限ラインで挟まれる領域の内側にあることおよび前記第二の二値化画像における塗布ラインの一対の境界線の全てが予め設定された前記第二の二値化画像における一対の下限ラインで挟まれる領域の外側にあることのうち少なくとも一方が満たされない場合には前記塗布ラインが不良であると判定する塗布ライン判定機能と、
を実現させるための塗布ライン検査プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−180613(P2009−180613A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19755(P2008−19755)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(393011038)菱栄エンジニアリング株式会社 (59)
【Fターム(参考)】