説明

塗布装置、塗液の塗布方法およびプラズマディスプレイパネル用基材の製造方法。

【課題】表面に格子状の溝部が形成された基材に塗液を塗布するに際しても、塗布抜け(色抜け)を防止し、基材表面に所望のペーストパターンを確実に描画形成できる塗液の塗布装置および塗布方法、ならびにプラズマディスプレイパネル用基材の製造装置および製造方法を提供する。

【解決手段】表面にストライプ状に縦隔壁が形成されるとともに前記縦隔壁と略直交する方向に縦隔壁の高さ以下の横隔壁が形成されている基材と、前記基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する塗液の塗布装置において、前記口金の吐出孔の直径(D)、前記横隔壁の高さ(Hh)、前記口金の吐出孔を有する面と、基材の縦隔壁と横隔壁に囲まれて形成される溝部底面との間隔(C)がD+Hh<Cの条件を満たすように前記直径(D)および間隔(C)を規定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗液を塗布するための口金、ならびに、その口金を用いて基材の表面にペースト状の塗液を塗布する塗液の塗布装置および方法に関する。本発明は、とくに、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略称することもある。)、液晶カラーフィルター(以下、LCMと略称することもある。)、光学フィルタ、プリント基板、半導体等の製造分野に適用して好適なものであり、特に高粘度塗液を塗布するPDP製造工程における、ガラス基板などの被塗布対象物表面に非接触で塗液を吐出しながら薄膜パターンを形成する塗液の塗布用口金ならびに塗液の塗布装置および塗布方法に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイはその方式において次第に多様化してきている。現在注目されているものの一つが、従来のブラウン管よりも大型で薄型軽量化が可能なプラズマディスプレイである。これは、前面板と背面板の間に形成された放電空間内で放電を生じさせ、この放電によりキセノンガスから波長147nmを中心とする紫外線が生じて、この紫外線が蛍光体を励起することによって表示が可能となる。赤(R)、緑(G)、青(B)に発光する蛍光体を塗り分けた放電セルを駆動回路によって発光させることにより、フルカラー表示に対応できる。
【0003】
また、最近活発に開発が進められているAC型プラズマディスプレイは、表示電極/誘電体層/保護層を形成した前面ガラス板と、アドレス電極/誘電体層/隔壁層/蛍光体層を形成した背面ガラス板とを貼り合わせ、ストライプ状の隔壁で仕切られた放電空間内にHe−Xe、または、Ne−Xeの混合ガスを封入した構造を有している。
【0004】
また、近年、プラズマディスプレイの分野においては、輝度やコントラストの向上、および省消費電力化の要請に応えるべく、第1図に示すように塗液の塗布方向(第1図の矢印方向)に延びる縦隔壁101に略直交する方向に縦隔壁101よりも高さの低い横隔壁102が形成された基材100も採用されている(たとえば、特許文献1、2)。このような基材100においては、縦隔壁101間に横隔壁102が配置されるため、縦隔壁101間の溝110は、凹部103、104を有する格子状に形成される。
【0005】
また、上記のような塗液の塗布方法は、溝部110へ蛍光体を含むペースト状の塗液108を塗布し、乾燥硬化させて、蛍光体層を形成するものであるが、プラズマディスプレイ用発光基板において、隔壁101間の発光を良好に行わせるには、隔壁101間で発生した放電を蛍光体に効率よく作用させ、蛍光体で発生した光を効率よく取り出さなければならない。そのための蛍光体層の形状としては、隔壁101の壁面と溝部の底の全面にわたって広い範囲で蛍光体層が存在していることが好ましい。したがって、塗液108を溝部110に一杯に入れることが好ましい。
【0006】
しかしながら、従来のストライプ状の溝部を有する基材への塗液の塗布装置、方法を、そのまま格子状の溝部を有する基材への塗液の塗布に適用したのでは以下のような問題が生ずるおそれがある。つまり、図2に示すように各縦隔壁間に形成される溝部110にペースト状の塗液を塗布する際には、口金105の吐出孔106から吐出された塗液は、横隔壁102を乗り越えなければならないが、横隔壁102の頂部と口金105の吐出孔106を有する吐出孔形成板107の面109との間のクリアランスが小さくなるため、塗液(ペースト)108が図2の点線で示すように吐出孔形成板107の面109に付着するおそれがある。塗布中に塗液が吐出孔形成板107の吐出孔106の近傍に一旦付着すると、吐出孔106から吐出された塗液はそちらに引き寄せられ、吐出挙動が乱れ、塗液が溝部110に塗布されない塗液抜け、いわゆる色抜けが発生するおそれがある。
【特許文献1】特開平11−213896号公報、
【特許文献2】特開2000−123747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の課題は、表面に格子状の溝部が形成された基材に塗液を塗布するに際しても、塗布抜け(色抜け)を防止し、基材表面に所望のペーストパターンを確実に描画形成できる塗液の塗布装置および塗布方法、ならびにプラズマディスプレイパネル用基材の製造装置および製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、
また、本発明の塗液の塗布方法は、表面にストライプ状に縦隔壁が形成されるとともに、該縦隔壁と略直交する方向に縦隔壁の高さ以下の横隔壁が形成されている基材と、該基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する方法であって、前記口金の吐出孔の直径(D)、前記横隔壁の高さ(Hh)、前記口金の吐出孔を有する面と、基材の縦隔壁と横隔壁に囲まれて形成される溝部底面との間隔(C)がD+Hh<Cの条件を満たすことを特徴とする方法からなる。
【0009】
また、口金の吐出孔が非円形状に形成されている場合には、該吐出孔の塗液の塗布方向に沿う方向の開口寸法(B)がB+Hh<Cの条件を満たすようにすればよい。
【0010】
また、上記課題を解決するために、もう一つの本発明の塗液の塗布方法は、表面にストライプ状に縦隔壁が形成される基材と、基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する方法であって、前記基材と口金の相対速度(V)と、口金の吐出孔からの塗液の吐出速度(v)が0<V/v≦1の条件を満たすことを特徴とするものからなる。なお、上記基材は、縦隔壁と略直交する方向に縦隔壁の高さ以下の横隔壁が形成されているものであってもよい。
【0011】
また、上記課題を解決するために、もう一つ別の本発明の塗液の塗布方法は、表面にストライプ状に縦隔壁が形成される基材と、基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する方法であって、前記口金の吐出孔の面積(a)と、縦隔壁間に形成される溝部の断面積(A)が0<a/A≦1の条件を満たすことを特徴とする方法からなる。
【0012】
上記課題を解決するために、もう一つ別の本発明の塗液の塗布方法は、表面にストライプ状に縦隔壁が形成されるとともに、該縦隔壁と略直交する方向に縦隔壁の高さ以下の横隔壁が形成されている基材と、前記基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する方法であって、前記口金の吐出孔の面積(a)、縦隔壁間および横隔壁間に形成される溝部の断面積(A)、縦隔壁高さ(H)、横隔壁間の塗布方向の長さ(L)、横隔壁の高さ(Hh)、横隔壁1個の塗布方向の長さ(Lh)、横隔壁のある基板と横隔壁のない基板の塗布量の比(k)が下記式(1)、(2)を満たすことを特徴とする方法からなる。
【0013】
k=1−(Hh/H)・(Lh/(L+Lh)) ・・・(1)
0<a/(k・A)≦1 ・・・(2)
また、上記課題を解決するための、本発明の塗液の塗布装置は、表面にストライプ状に縦隔壁が形成されるとともに該縦隔壁と略直交する方向に縦隔壁の高さ以下の横隔壁が形成されている基材と、前記基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する塗液の塗布装置において、前記口金の吐出孔の直径(D)、前記横隔壁の高さ(Hh)、前記口金の吐出孔を有する面と基材表面の縦隔壁間および横隔壁間に形成される溝部底面との隔壁(C)がD+Hh<Cの条件を満たすように前記直径(D)および間隔(C)を規定することを特徴とするものからなる。
【0014】
また、上記課題を解決するための、もう一つの本発明の塗液の塗布装置は、表面にストライプ状に縦隔壁が形成されている基材と、基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する塗液の塗布装置であって、前記口金の吐出孔の面積(a)、縦隔壁間に形成される溝部の断面積(A)が0<a/A≦1の条件を満たすように面積(a)を規定することを特徴とするものからなる。
【0015】
さらに、上記課題を解決するための、もう一つ別の本発明の塗液の塗布装置は、表面にストライプ状に縦隔壁が形成されるとともに、該縦隔壁の略直交する方向に縦隔壁の高さ以下の横隔壁が形成されている基材と、前記基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する塗液の塗布装置において、前記口金の吐出孔の面積(a)、縦隔壁間および横隔壁間に形成される溝部の断面積(A)、縦隔壁の高さ(H)、横隔壁間の塗布方向の長さ(L)、横隔壁の高さ(Hh)、横隔壁1個の塗布方向の長さ(Lh)、横隔壁がある基板と横隔壁のない基板の塗布量の比(k)が下記(1)、(2)の条件を満たすように前記面積(a)を規定することを特徴とするものからなる。
【0016】
k=1−(Hh/H)・(Lh/(L+Lh)) ・・・(1)
0<a/(k・A)≦1 ・・・(2)
本発明の塗液の塗布方法および装置は、広範囲の技術分野に適用することができるが、とくにプラズマディスプレイ用発光基板に、赤色、緑色、青色のうちのいずれか一色の蛍光体を含むペースト状の塗液を塗布する装置および方法として最適なものである。
【0017】
上記のような、塗液の塗布方法および装置においては、口金の吐出孔の直径(D)と横隔壁の高さ(Hh)、および口金の吐出孔形成板と基材の縦隔壁間および横隔壁間に形成される溝部底面との間隔(C)とはD+Hh<Cの条件を満たす必要がある。吐出孔から吐出されたペースト状の塗液は塗布直後においてはある程度そのままの形状、つまり吐出孔の形状を保ったままとなる。したがって、吐出孔の直径(D)であるならば、直径(D)と横隔壁の高さ(Hh)との和が間隔(C)よりも小さくなければ、塗布後の塗液が口金の吐出孔形成板に付着するおそれは解消される。また、口金の吐出孔が非円形状であるときは、吐出孔の塗液の塗布方向に沿う方向の開口寸法(B)が、B+Hh<Cの関係を満たせば、吐出されたペーストが口金の吐出孔形成面に付着する不具合を防止することができる。
【0018】
また、口金と基材の相対移動速度(V)、吐出孔からの塗液の吐出速度(v)は、0<V/v≦1である必要がある。吐出孔から吐出されたペースト状の塗液は口金と基材の相対移動方向に曲がる。また、該ペーストの曲がりと、口金の吐出孔形成板の吐出孔を有する面の濡れ性の関係により塗液が吐出孔形成面上を濡れ広がる可能性がある。しかし、一旦塗液が吐出孔形成板上を濡れ広がると、吐出孔から吐出される塗液がさらに吐出孔形成面上に広がるおそれがある。この濡れ作用に抗して塗液を基材上に塗布するためには、塗液の吐出角度を調整する必要がある。図3に示すように、基材100または口金105の塗布方向(矢印方向)への移動速度(V)、吐出孔106からのペースト108の吐出速度(v)により吐出角度(θ)は、tanθ=V/vで表すことができる。つまり、θが小さいほど塗液108の面109への付着のおそれは低くなり、実験的にはθ=45°までであれば面109への塗液108の付着を防止できることが判明した。したがって0<V/v≦1の条件を満たす必要がある。
【0019】
また、塗液108は溝部110一杯に充填する必要があり、口金の吐出孔の面積(a)、縦隔壁間に形成される溝部の断面積(A)とすると、単位時間当りの塗布量(Q)はQ=a・v=A・Vであるからtanθ=V/v=a/Aと表すことができる。したがって0<a/A≦1の条件を満たす必要がある。
【0020】
また、横隔壁がある基板の溝への塗布量は、横隔壁がない基板のそれより、横隔壁の体積分だけ少なくてよい。横隔壁がある基板に対しても、横隔壁がない基板と同じように、一様にペーストを塗布するわけであるから、塗布直後は横隔壁上にペーストが堆積している。しかし、ある一定時間放置する(レベリングする)ことで、横隔壁上のペーストは横隔壁間の溝に流れ落ち、横隔壁間の塗布溝の充填量が必要量(一杯)になる。
【0021】
ここで、横隔壁のある基板の溝部への単位長さあたりの塗布量をQh、横隔壁のない基板の溝部への塗布量をQとする。図4において、溝幅をWとすると、単位長さ(Lh+L)あたりのQhは、
Qh=W・H・L+W・(H−Hh)・Lh
また、横隔壁がない場合のQは、
Q=W・H・(Lh+L)
従って、横隔壁のある基板の溝部への塗布量Qhと、横隔壁のない基板の溝部への塗布量Qの比kは、
k=Qh/Q
=〔W・H・L+W・(H−Hh)・Lh〕/〔W・H・(Lh+L)〕
=1−(Hh/H)・(Lh/(L+Lh))
と表すことができる。また、この場合にも吐出角(θ)はθ=45°以下に設定する必要があるから、0<a/(k・A)≦1の条件を満たす必要がある。
【発明の効果】
【0022】
本発明の塗液の塗布方法及び装置によるときは、口金の吐出孔の形成される面へのペーストの付着を確実に防止することができるので、色抜けすることなく基板上に均一に塗液を塗布することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、塗布対象物に塗液を塗布する複数の吐出孔が略一直線状に配列されるとともに、内部に塗液溜り部を有する口金であって、前記塗液溜り部に、吐出孔の配列方向に略直交する方向に延びる支柱を設けた口金である。
【0024】
上記口金の塗液溜め部に塗液を供給するために複数の塗液供給口を有し、各塗液供給口には、その上流の塗液供給源からの塗液の流れを分岐させて塗液を各塗液供給口に供給するためのトーナメント形流路に接続されている口金である。
【0025】
そして、各塗液供給口からの塗液の供給流量を経時的に変化させ、あるいは、基材への塗液の塗布と、前記口金の塗液溜り部内への塗液の供給とを繰り返す際、各塗液供給口からの塗液の供給流量を供給の度ごとに変えて、それぞれの塗液供給口から供給される塗液の、塗液溜り部内で合流する位置が、ある定まった位置に留まらないように塗液を供給し、塗液を塗布することが好ましい。
【0026】
そして、表面にストライプ状に縦隔壁が形成されるとともに、前記縦隔壁と略直交する方向に縦隔壁の高さ以下の横隔壁が形成されている基材と、前記基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する時、前記口金の吐出孔の直径(D)、前記横隔壁の高さ(Hh)、前記口金の吐出孔を有する面と、基材の縦隔壁と横隔壁に囲まれて形成される溝部底面との間隔(C)がD+Hh<Cの条件を満たすように前記直径(D)および間隔(C)を規定することが好ましい。
【0027】
そして、表面にストライプ状に縦隔壁が形成される基材と、基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する方法であって、前記基材と口金の相対速度(V)と、口金の吐出孔からの塗液の吐出速度(v)が0<V/v≦1の条件を満たすことが好ましい。
【0028】
以下に、本発明の望ましい実施の形態について図面を参照して説明する。
【0029】
図5は、本発明に係る口金、該口金を用いた塗液の塗布装置の斜視図である。この塗布装置は、被塗布基材1(本実施態様においては、プラズマディスプレイ用発光基板)の上面において所定の方向に複数列のストライプ状の塗液の塗着部を形成する装置である。図5において、塗布装置は、機台2上にX軸方向に延びるXスライドレール3a、3bを有している。Xスライドレール3a、3b上にはX軸方向にスライド走行可能にXスライドテーブル4が設けられている。Xスライドテーブル4には、該テーブル4をX軸方向にスライドさせるための駆動軸5が係合されている。Xスライドテーブル4はX軸モータ6によりX軸方向にスライドされるようになっている。基材1は、Xスライドテーブル4上に位置決めされ着脱自在に吸着支持される。
【0030】
機台2の上方には、該機台2を跨ぐように門型の支持機台7が設けられている。支持機台7は手前側の側面7aに、Y軸方向に延びるYスライドレール8a、8bを有している。Yスライドレール8a、8b上にはY軸方向にスライド走行可能にYスライドテーブル9が設けられている。Yスライドテーブル9には、該テーブル9をY軸方向にスライドさせるための駆動軸10が係合されている。Yスライドテーブル9はY軸モータ11によりY軸方向にスライドされるようになっている。Xスライドテーブル4、Yスライドテーブル9等により口金18と被塗布基材1とを塗布方向(X軸、Y軸方向)に相対移動させる第1の移動手段29aが構成されている。
【0031】
Yスライドテーブル9上には、Z軸方向に延びるZスライドレール12a、12bが設けられている。Zスライドレール12a、12b上にはZ軸方向にスライド走行可能にZスライドテーブル13が設けられている。Zスライドテーブル13には該テーブル13をZ軸方向にスライドさせるための駆動軸14が係合されている。Zスライドテーブル13は、Z軸方向位置制御手段41に連結されるZ軸モータ15によりZ軸方向、すなわち口金18を基材1に接近、離間させる方向にスライドされるようになっている。このようにして、第2の移動手段29bが構成されている。
【0032】
Zスライドテーブル13には、口金18が取り付けられている。Yスライドテーブル9には、口金18のY軸方向の位置を検出するための位置センサ17が取り付けられている。位置センサ17は、支持機台7の上面においてY軸方向に設けられたセンサ支持軸16に移動自在に支持されている。Y軸モータ11には、Yスライドテーブル9の移動速度を変更するためのY軸方向速度制御手段20が連結されている。
【0033】
口金18は図5のY軸方向に移動され、口金18の吐出孔形成部材32に所定の間隔にて略一直線状に設けられている複数個の吐出孔18aから塗液を吐出し、基材1上に、複数列の塗着ストライプ19を形成するようになっている。なお、吐出孔18aは等間隔に配列することもできるが、所定の周期でその間隔を変更して形成することもできる。
【0034】
図6は図5に示した塗布装置をX軸方向から見た口金18周辺をあらわしている。Zスライドテーブル13に取り付けられているカメラ22にて基材1の中の代表となる凹部21を撮像し、画像位置処理部23を介してX軸位置制御部24にてXスライドテーブル4を移動し、代表となる凹部21の中央と該代表となる凹部21に対応する口金18の中の代表となる吐出孔18aの中央がほぼ一致するよう制御される。つまり、図7に示すように、基材1の代表となる凹部21の画像と画像処理のカーソル50の中央との差異ΔXをXスライドテーブル4をX軸方向に移動して補正するようになっている。
【0035】
なお、上記代表となる凹部21は、凹部配列方向中央の凹部21である。また、代表となる吐出孔18aは、その配列方向中央の吐出孔18aである。代表となる凹部21および代表となる吐出孔18aをそれぞれその配列方向中央の凹部21、吐出孔18aに設定すれば、配列方向端部における凹部21と吐出孔18aとの中央の位置ずれを最小限に抑制することができる。
【0036】
図8は、口金18の縦断面図である。口金18は、内部に塗液溜り部30が形成される塗液溜り部形成部材31と、該部材31と互いに接合される吐出孔形成部材32と蓋部材33とを有している。なお、各部材31、32、33は、溶接、拡散接合、接着、あるいはボルトによる締結等により互いに強固に接合できる。蓋部材33には、塗液溜り部30内に塗液34を供給する塗液供給口35と、塗液溜り部30の上部に形成される空間部36内に圧縮空気を送入する圧縮空気供給口37が設けられている。
【0037】
圧縮空気供給口37には、管路からなる気体圧力導通路38の一端が連結されている。気体圧力導通路38の他端は、設定圧に維持された圧力を有する気体圧力源40に開口されている。気体圧力導通路38には、方向切替弁からなる開閉手段39が設けられ、開閉手段39の開閉切り替えにより、空間部36と気体圧力源40との連通と遮断が行われる。空間部36と気体圧力源40とが連通されると、空間部36内に圧縮空気が送入され、空間部36の内圧が上昇し、これに伴い一定量の塗液30が吐出孔18aから吐出されるようになっている。開閉手段39は口金18の吐出孔18aの位置と基材1の相対位置を検出し、開閉手段39のタイミングを制御する図示しない位置検出、吐出制御手段にて開閉のタイミングが制御されるようになっている。
【0038】
塗液溜り部30内には、図8、図9に示すように吐出孔18aの配列方向に直交する方向に延びる支柱41が設けられている。支柱41は、吐出孔18aの配列方向に沿って等間隔に複数配列されている。本実施態様においては、支柱41の断面形状は円形になっているが、これに限定されるものではなく楕円形、三角形、四角形、翼形状等に形成することもできる。また、支柱41と塗液溜り部形成部材31は図10に示すようにボルト48により締結することもできる。支柱41と部材31との接合面にはOリング49が介装されており、該部分のシール性が確保されている。なお、本実施態様においては、口金18の内部に空間部36が形成されるタイプのものを示しているが、空間部36がなく口金の内部に塗液34が充満するタイプの口金に対しても本発明を適用できる。
【0039】
図11は、基材1上に形成された凹部21を上面から見た詳細である。凹部21に赤色、青色、緑色のいずれか一色の蛍光体ペースト27(塗液34)が充填されており、隔壁25(縦リブ)により所定のピッチで形成される凹部21は表示部の端部でとぎれ非表示部26には形成されていない。本実施態様においては、図12に示すように同一色の塗液が2つおきの凹部21に塗布できるようになっている。したがって、吐出孔18aのピッチは、隔壁25のピッチの3倍になっている。なお、基材1は、隔壁25に直交する横リブを有し、格子状に凹部21が形成されるものであってもよい。
【0040】
本実施態様においては、口金18の塗液溜り部30には吐出孔18aの配列方向に直交する方向に延びる支柱41が設けられているので、口金18の吐出孔18aの配列方向、換言すれば口金18の幅方向における内圧に対する耐圧強度を大幅に向上することができ、口金18の変形等を効果的に防止し基材1上に塗液を均一に塗布することができる。
【0041】
また、支柱41は、吐出孔18aの配列方向に沿う方向に等間隔に配置されているので、口金18の長手方向全体にわたり均一に内圧に対する耐圧強度を向上することができる。
【0042】
また、本実施態様のような支柱41を設ける構成によれば、口金の内圧に対する耐圧強度を向上すべく口金を形成する各部材を肉厚化する構成に比べ、コストアップを大幅に低減できる。また、重量増加も抑制することができ、口金18の着脱作業を容易化することができる。
【0043】
図13、図14は、本発明の第2実施態様に係る口金を示している。本実施態様においては、口金42は塗液溜り部43を形成する塗液溜り部形成部材44と、該部材44にと互いに接合される吐出孔形成部材45と蓋部材46とを有している。塗液溜り部43内には、吐出孔42aの配列方向に直交する方向に延びる支柱47が設けられている。支柱47は塗液溜り部形成部材44に一体に形成されており、吐出孔42aの配列方向に沿って複数配列されている。
【0044】
本実施態様においても、口金42の内圧に対する耐圧強度を、吐出孔42aの配列方向に沿って均一に向上することができるので、重量増加やコストアップを抑制しつつ、口金42の変形を防止できる。
【0045】
また、本実施態様においては、支柱47は塗液溜り部形成部材44に一体に形成されているので、口金42を構成する部品点数の増加を防止できるとともに、口金42の組立て時等におけるハンドリング性を向上することもできる。
【0046】
次に、本発明の望ましい別の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0047】
まず、本発明に係る塗液の塗布装置の全体構成、とくに凹凸基材(たとえば、プラズマディスプレイパネル用基材)への塗液の塗布装置の全体構成の例について説明する。
【0048】
図15は、本発明の一実施態様に係る塗液の塗布装置の全体斜視図、図16は図15のテーブル206と口金220周りの模式図である。
【0049】
まず、塗液の塗布装置の全体構成について説明する。図15は、本発明に係るプラズマディスプレイパネルの製造に適用される塗布装置の一例を示している。この装置は基台202を備えている。基台202上には、一対のガイド溝レール208が設けられており、このガイド溝レール208上にはテーブル206が配置されている。このテーブル206の上面には、表面に凹凸が一定ピッチで一方向にストライプ状に形成された基材204が真空吸引によってテーブル面に固定可能となるように、複数の吸引孔207が設けられている。また、基材204は図示しないリフトピンによってテーブル206上を昇降する。さらに、テーブル206はスライド脚209を介してガイド溝レール208上をX軸方向に往復動自在となっている。
【0050】
一対のガイド溝レール208間には、図16に示す送りねじ機構を構成するフィードスクリュー210が、テーブル206の下面に固定されたナット状のコネクタ211を貫通して延びている。フィードスクリュー210の両端部は軸受212に回転自在に支持され、さらにその一端にはACサーボモータ216が自在継手214を介して連結されている。
【0051】
図15に示すように、テーブル206の上方には、塗液を吐出する口金220がホルダー222を介して昇降機構230、幅方向移動機構236に連結している。昇降機構230は昇降可能な昇降ブラケット228を備えており、昇降機構230のケーシング内部で一対のガイドロッドに昇降自在に取り付けられている。また、このケーシング内には、ガイドロッド間に位置してボールねじからなるフィードスクリュー(図示しない)もまた回転自在に配置されており、ナット型のコネクタを介して昇降ブラケット228と連結されている。さらにフィードスクリューの上端には、図示しないACサーボモータが接続されており、このACサーボモータの回転によって昇降ブラケット228を任意に昇降動作させることができるようになっている。
【0052】
さらに、昇降機構230はY軸移動ブラケット232(アクチュエータ)を介して幅方向移動機構236に接続されている。幅方向移動機構236はY軸移動ブラケット232を口金の幅方向、すなわちY軸方向に往復動自在に移動させるものである。動作のために必要なガイドロッド、フィードスクリュー、ナット型コネクター、ACサーボモータ等は、ケーシング内に昇降機構230と同じように配置されている。幅方向移動機構236は支柱234により基台202上に固定されている。これらの構成によって、口金220はZ軸とY軸方向に自在に移動させることができる。
【0053】
さらに図15を参照すると、基台202の上面には逆L字形のセンサ支柱238が固定されており、その先端にはテーブル206上の基材204の凸部頂上の位置(高さ)を測定する高さセンサ240が取り付けられている。また、高さセンサ240の隣には、基材204の凹凸部の位置を検知するカメラ272が支柱270に取り付けられている。図16に示すように、カメラ272は画像処理装置274に電気的に接続されており、凹凸部位置の変化を定量的に求めることができる。
【0054】
さらに、テーブル206の一端には、センサブラケット264を介して、口金220の吐出孔244のある下端面(吐出孔面)のテーブル206に対する垂直方向の位置を検知するセンサ266が取り付けられている。
【0055】
ここで、口金220へ塗液および圧空を供給して吐出させる部分について、本発明の塗布装置の一実施態様を図16に示す。口金220はその内部に塗液を溜める塗液溜め部277を有し、塗液の液面上部に空間部276を有する。空間部276には圧空供給ホース281,圧空制御弁282,減圧弁284,圧空源286と連なっており、任意の圧力の圧空が供給できる構成となっている。圧空制御弁282は全体コントローラ260により開閉制御される。圧空制御弁282は塗液塗布時に開状態に制御され、口金220内の空間部276に供給された圧空の押圧力により吐出孔244から塗液242を吐出させる。吐出孔244は塗液の塗布幅に応じてその孔径を10〜500μmの間に設定するとよい。
【0056】
口金220は、フタ280を取り外すことで口金内部が開放でき、洗浄作業を行える構成であることが好ましい。
【0057】
口金220内の塗液量は、塗布動作が停止する毎に検知される。本発明の塗布装置においては、口金220内の塗液量を塗液に対し非接触で検出する検出手段を有する。口金220の塗液溜め部277内の塗液量の検出には、非接触の検出手段を用いることにより、塗液による汚染を防ぐことができる。この非接触検出手段として、塗液の液面高さを検出するセンサー288が設けられている。センサー288は全体コントローラ260と電気的に接続され、全体コントローラ260はその検出信号に応じて、供給装置コントローラ258を制御する。また、センサーを口金220に直接固定せず、別部材であるセンサブラケット(図示略)に固定する構成にすることもでき、このようにすれば、口金220の交換時もセンサー288は常に別部材に固定された状態にあり、口金交換の度にセンサ位置合わせ等の調整をする必要が無い。センサブラケットは、口金220の形状仕様の違いにより検出液面高さレベルが異なることも考慮して、センサー288の位置を高さ方向に移動調整可能で、任意の位置で固定できるものが望ましい。本発明において、センサー288はレーザー式、超音波式等非接触検出できるセンサであれば適用でき、中でも検出精度や検出レンジの広さからレーザー式変位計が最も好ましい。この場合、口金220には透明プレートを取り付けて、液面を検出できるよう配慮しておくことが好ましい。
【0058】
前記口金220には、フィルタ247、塗液供給ホース246、塗液の供給流量調整制御弁248、塗液タンク297が接続されている。塗液タンク297には塗液242が蓄えられており、圧空制御弁254を介して圧空源250に接続されている。
【0059】
また上記実施態様においてモータコントローラ262には、テーブル206を駆動するACサーボモータ216や、昇降機構230と幅方向移動機構236のそれぞれのアクチュエータ291、293(たとえば、ACサーボモータ)、さらにはテーブル206の移動位置を検出する位置センサ268からの信号、口金220の作動位置を検出するY、Z軸の各々のリニアセンサ(図示しない)からの信号などが入力される。なお、位置センサ268を使用する代わりに、ACサーボモータ216にエンコーダを組み込み、このエンコーダから出力されるパルス信号に基づき、テーブル206の位置を検出することも可能である。
【0060】
なお、前述の塗液塗布装置の全体構成において、高さセンサー240としては、レーザ、超音波等を利用した非接触測定形式のもの、ダイヤルゲージ、差動トランス等を利用した接触測定形式のもの等、測定可能な原理のものならいかなるものを用いてもよい。
【0061】
また、口金の吐出孔244が凹部と対応する相対位置を検知する検知手段は、基材の凹部と吐出孔を各々別個に検知するカメラを用いた画像処理装置により構成してもよい。
【0062】
次に、本発明の口金に関して、各実施態様を示す。つまり、上述した口金220およびそれに繋がる塗液供給部は、以下のような各種構成を採り得る。
【0063】
図17は、本発明の一実施態様に係る口金301の縦断面図を示している。口金301には複数の塗液供給口302が設けられており、複数の塗液供給口302がその上流でトーナメント形流路303を形成する配管に繋がっている。これにより、口金301の塗液溜め部304へ塗液305を供給するとき、塗液供給源からの塗液305を均等に分配し、各塗液供給口302から塗液溜め部304内へ供給することができる。口金301のフタ306には、塗液溜め部304内に溜められた塗液305を吐出孔307から吐出させるための圧空を上部空間308に供給する圧空供給口309が設けられている。複数の吐出孔307は直線状に配され、複数の塗液供給口302は吐出孔307の配列方向に略平行に直線状に配されている。
【0064】
図18は、塗液供給口312の先端をパイプ形状にし、かつ、その先端を塗液305中に浸からせるようにした口金311を示している。これにより、塗液供給時、塗液中に気泡が混入するのを防止することができる。また、これらの口金301、311においては、塗液液面高さの平坦性を考慮すれば、隣り合う塗液供給口の間隔は全て等しいことが望ましい。また、各塗液供給口の間隔を等しくできない場合、あるいは、塗液供給口の数が奇数になったり、偶数でも3の倍数にしかできずに、均等なトーナメント形流路を形成できない場合は、各塗液供給口からの供給量を揃えるために、たとえば、流路長を変えたり、流路径を変えたりして流路の圧力損失を揃え、供給流量を調整することもできる。
【0065】
図19は、塗液供給口322の上流のトーナメント形流路323を、溝を形成した板材324を貼りあわせて構成した口金321を示している。前述したようなパイプであれば、パイプが長くなればパイプ内壁を洗浄するのが難しくなるが、溝を形成した板材324であれば、それを分解して洗浄できるので、流路の長さによらず、洗浄しやすい。
【0066】
上記のようなトーナメント形流路303、323を介して塗液を供給することにより、塗液を塗液溜め部304内に均等に分配することが可能になり、各吐出孔307からの均一な吐出量が得られるようになる。
【0067】
図20は、塗液供給口332の上流に、塗液の供給流量を調整制御する供給流量調整制御弁333を設けた口金331を示している。この供給流量調整制御弁333は、電気信号によりその開度が制御可能となっており、供給装置コントローラ258によりその開度を制御するものである。図示例では、トーナメント形流路334により分岐された一対の塗液供給口332への流路の一方に供給流量調整制御弁333が設けられている。これにより、図21のように、塗液溜め部304内への供給の機会毎、あるいは、図22のように、1回の供給においても経時的に各塗液供給口からの塗液供給流量に変化を持たせることができるので、塗液溜め部304内で塗液が合流する位置を揺さぶり(移動させ)、塗布ムラを起こさないようにすることができる。この弁333は、図示の如く、隣り合う塗液供給口の一方だけでも、合流する位置を揺さぶることができる。
【0068】
図23は、複数の塗液供給口342を2つのグループ((1)と(2)、(3)と(4)のグループ)に分けて、それぞれをトーナメント形流路343で繋いだ口金341を示している。2つのグループのそれぞれに、供給流量調整制御弁344a、344bが設けられている。これら供給流量調整制御弁344a、344bは、電気信号によりその開度が制御可能となっており、供給装置コントローラ258によりその開度を制御するものである。これにより、図24に示すようなタイミングで、4箇所同時に供給することができるし、塗液供給口342の(1)と(2)だけ、あるいは(3)と(4)だけというように、一つのグループのみからの供給を繰り返すこともできる。これら供給流量調整制御弁344a、344bの制御は、供給装置コントローラ258にて予め決められたパターンで制御する。
【0069】
(1)(2)(3)(4)同時に供給した場合、それぞれの塗液供給口342の間には、塗液が合流する箇所(境界)が発生するが、その対策として、まず、(1)と(2)だけから供給すると、(1)と(2)の間に合流箇所が発生するが、(3)と(4)からは供給していないので、時間とともに塗液が(3)と(4)の方向に流れ、(1)と(2)の合流する境界も移動してぼけてくる。これにより塗布ムラはなくなる。しかし、延々と(1)と(2)だけから供給したのでは、塗液が高粘度であれば流れにくいために、(3)(4)側の塗液が無くなったり、あるいは(1)(2)側と(3)(4)側で塗液の液面高さが大きく異なって塗布不良が発生する。従って、そうならないように、今度は(3)と(4)から供給するよう切り替える。つまり、(1)と(2)だけ、(3)と(4)だけの供給をある回数、例えば、2回、あるいはそれ以上続けて、その後はこの供給動作を各グループで交互に繰り返せば、合流位置はその都度移動し、塗布ムラは発生しない。また、塗液液面の平坦性を考慮すれば、両方のグループ、つまり(1)(2)(3)(4)から同時に供給する機会を定期的に挟めばなおよい。
【0070】
図25は、複数の塗液供給口352を一つ置きに2つのグループ((1)と(3)、(2)と(4)のグループ)に分けて、ぞれぞれをトーナメント流路353a、353bで繋いだ口金351を示している。2つのグループのそれぞれと、それらが合流した上流側とに、供給流量調整制御弁354a、354bが設けられている。これら供給流量調整制御弁354a、354bは、図23のような形態の供給流量調整制御弁でもよいし、あるいは、図25のように、圧空により弁の開閉が制御され、圧空は電気信号により開閉を制御する圧空制御弁354a’、354b’により制御されるものでもよい。これにより、4箇所同時に供給することもできるし、(1)と(3)だけ、あるいは(2)と(4)だけというように、一つのグループのみからの供給を繰り返すことができる。図23に示した実施態様との違いは、一方のグループの塗液の合流位置付近に、他方のグループの塗液供給口があることである。これにより、一方のグループの塗液供給口から供給すると、その間には塗液の合流位置が発生するが、塗布ムラが発生する前に、他方のグループから供給するように切り替えれば、先に発生しかかった合流位置はかき乱され、塗布ムラは発生しない。またこの実施態様では、図23に示した実施態様に比べ、液面高さの平坦性には有利である。とくに、一方のグループの塗液の合流位置に、他方のグループの塗液供給口を配置すれば、一層合流位置をかき乱すことができるので効果的である。
【0071】
図26は、塗液溜め部304内の塗液量(本実施態様では液面)を検出するセンサー362を設けた口金361を示している。その他の構成は、図23に示したものと実質的に同じである。センサー362は全体コントローラ60と電気的に接続され、全体コントローラ60はその電気信号に応じて供給装置コントローラ58を制御する。そして供給流量調整制御弁344a、344bは供給装置コントローラ258により開閉制御され、塗液を供給(補充)する塗布装置である。
【0072】
この装置においては、一つの方法として、塗液溜め部304内の塗液量に上限値、下限値を設定し、下限を下回れば供給を開始し、上限まで入れる。この方法は、上限値、下限値の差にもよるが、1回の供給動作で比較的多くの塗液を供給する方法であり、図20に示したような口金であれば、1回の供給動作中に経時的に各塗液供給口からの供給流量に変化を持たせることができるので、合流位置は定位置に留まらず、塗布ムラは発生しない。
【0073】
また、別の方法として、塗液溜め部304内の塗液量に管理値を設定し、管理値を下回れば供給を開始し、上回れば停止する方法もある。この方法は、基材への塗布量(口金からの吐出量)にもよるが、塗布動作が終了する度に塗液溜め部304内へ塗液を供給する方法であり、図20に示したような口金であれば、供給動作の度に、供給流量に変化を持たせれば、合流位置は定位置に留まらず、塗布ムラは発生しない。また図23、図25に示したような口金であれば、(1)と(2)だけ(または(1)と(3)だけ)、(3)と(4)だけ(または(2)と(4)だけ)の供給をある回数、例えば2回、あるいはそれ以上続けて、その後はこの供給動作を各グループで交互に繰り返せば、合流位置はその都度移動し、塗布ムラは発生しない。続ける回数が多いほど合流位置の移動量が大きくなり、塗布ムラは発生しないが、塗布液面の平坦性を考慮すれば、両方のグルーブ、つまり(1)(2)(3)(4)から同時に供給する機会を定期的に狭めばなおよい。
【0074】
なお、センサーとしては、例えば、前述の如く、塗液の液面高さを非接触で検出するものがあり、レーザー式、超音波式等の非接触の変位計がある。また、口金の重量を測定して、塗液溜め内の塗液量を検出する方法もあり、その重量検知センサとしては、検出重量を電気信号に変換できるロードセルを用いるのが好ましい。
【0075】
さらに、本発明の別の望ましい実施の形態について図面を参照して説明する。
【0076】
図5において、第1図の基板1の表面には、塗液の塗布方向に延びる複数の縦隔壁101と、該縦隔壁101と直交する方向に延びる横隔壁102とが形成されている。縦隔壁101の高さ(H)と横隔壁102の高さ(Hh)の関係はH≧Hhとなっている。また、壁101、102により基板1の表面には格子状の溝部110が形成され、溝部110は凹部104、103を有している。凹部104は、縦隔壁101と横隔壁102に囲まれた部分として形成されている。一方、凹部103は、縦隔壁101と横隔壁102の頂部から形成されている。
【0077】
図6は図5に示した塗布装置をX軸方向から見た口金18周辺をあらわしている。Zスライドテーブル13に取り付けられているカメラ22にて基板1の中の代表となる溝部110を撮像し、画像位置処理部23を介してX軸位置制御部24にてXスライドテーブル4を移動し、代表となる溝部110の中央と該代表となる溝部110に対応する口金18の中の代表となる吐出孔18aの中央がほぼ一致するよう制御される。
【0078】
図27は、図5に示した塗布装置の口金18への塗液の供給制御装置の概略縦断面図である。図27において、口金418は、筐体431からなり、筐体431の下面板432には、多数個の塗液を吐出する吐出孔418aが、一列に所定の間隔をもって穿設されている。筐体431の内部の空間433は、塗液430(蛍光体ペースト427)が貯留される塗液貯留部434とその上部に位置する気体空間435から形成されている。筐体431の上面板436には、気体圧力導通孔437が設けられ、気体圧力導通孔437には、管路からなる気体圧力導通路438の一端が連結されている。気体圧力導通路438の他端は、設定圧に維持された圧力を有する気体圧力源440に開口されている。気体圧力導通路438には、方向切替弁からなる開閉手段439が設けられ、開閉手段439の開閉切り替えにより、気体空間435と気体圧力源440との連通と遮断が行われる。開閉手段439は口金418の吐出孔418aの位置と基板1の相対位置を検出し、開閉手段439のタイミングを制御する図示しない位置検出、吐出制御手段にて開閉のタイミングが制御されるようになっている。なお、本実施態様においては、ペースト427はR(赤色)、G(緑色)、B(青色)のうち、いずれか一色が塗布されるようになっている。
【0079】
図28は、基板1上に形成された溝部421を上面から見た詳細である。本実施態様においては、図29に示すように同一色の塗液が2つおきの溝部421に塗布できるようになっている。したがって、吐出孔418aのピッチは、縦隔壁425aのピッチの3倍になっている。なお、基板1としては、図30に示すように横隔壁425bのないものであってもよい。
【0080】
本実施態様においては、吐出孔418aの直径(D)と、横隔壁425bの高さ(Hh)、および口金418の下面板432から溝部421の凹部421aの底面までの間隔Cとの間には、D+Hh<Cなる関係が成立するようになっている(図31)。吐出孔418aから吐出されたペースト427は、直後においては吐出孔418aの形状を保つままとなる(図32)。しかし、D+Hh<Cなる関係が成立する限りは、横隔壁421bの頂部にペースト427が塗布されても下面板432に付着することはない。
【0081】
なお、吐出孔418aが非円形状である場合は、該吐出孔418aの塗布方向に沿う方向の開口寸法(B)がB+Hh<Cなる関係を満たすようになっている。
【0082】
また、本実施態様においては、口金418と基板1の相対移動速度(V)、吐出孔418aからのペースト427の吐出速度(v)は、0<V/v≦1である必要がある。図32、図33に示すように、吐出孔418aから吐出されたペースト427は、口金418または基板1の移動方向に曲がる。したがって、吐出されたペースト427の下面板432への付着を防止するためには、吐出速度(v)と基板1または口金418の塗布方向(矢印方向)への移動速度(V)とからなる吐出角度(θ)をなるべく小さくすることが好ましい。吐出角度(θ)は、tanθ=V/vで表すことができる。また、0°<θ≦45°の範囲であれば、ペースト427の下面板432への付着を防止できることが実験的に判明している。したがって、0<V/v≦1であればθを上記範囲内に納めることができるので、ペースト427の下面板432への付着を防止できる。
【0083】
また、凹部421aにペースト427を一杯に充填するためには、単位時間当りの塗布量(Q)はQ=a・v=A・Vとなるからtanθ=V/v=a/Aと表すことができる。したがって、0<a/A≦1であればθを上記範囲内に納めることができるので、ペースト427の下面板432への付着を防止できる。
【0084】
また、横隔壁425bがある基板の溝421への塗布量は、横隔壁425bがない基板のそれより、横隔壁425bの体積分だけ少なくてよい。横隔壁がある基板に対しても、横隔壁がない基板と同じように、一様にペースト427を塗布するわけであるから、塗布直後は凹部421b上にペースト427が堆積している。しかし、ある一定時間放置する(レベリングする)ことで、凹部421bのペースト427は凹部421aに流れ落ち、横隔壁間の塗布溝の充填量が必要量(一杯)になる。 ここで、横隔壁のある基板の溝部への単位長さあたりの塗布量をQh、横隔壁のない基板の溝部への塗布量をQとする。図4において、溝幅をWとすると、単位長さ(Lh+L)あたりのQhは、
Qh=W・H・L+W・(H−Hh)・Lh
また、横隔壁がない場合のQは、
Q=W・H・(Lh+L)
従って、横隔壁のある基板の溝部への塗布量Qhと、横隔壁のない基板の溝部への塗布量Qの比kは、
k=Qh/Q
=〔W・H・L+W・(H−Hh)・Lh〕/〔W・H・(Lh+L)〕 =1−(Hh/H)・(Lh/(L+Lh))
と表すことができる。また、この場合にも吐出角(θ)はθ=45°以下に設定
する必要があるから、本実施態様においては0<a/(k・A)≦1の条件を満
たすようになっている。
【実施例】
【0085】
実施例1、比較例1
縦隔壁のみを有する基板を用い、各縦隔壁間の幅(W)=0.24mm、縦隔壁の高さ(H)=0.12mmとし、口金の吐出孔の直径(D)が0.1mm、0.12mm、0.15mm、0.22mmの4種類の口金を用いて、青色に発光する蛍光体粉末を含むペースト(粘度約600ポアズ)を塗布した。
実施例2、比較例2
各縦隔壁間の幅(W)を0.28mmに変更した以外は、実施例1と同一の条件でペーストを塗布した。
実施例3、実施例4
各縦隔壁間の幅(W)を0.38mmに変更した以外は、実施例1と同一の条件でペーストを塗布した。
実施例5、比較例3
各縦隔壁間の幅(W)=0.24mm、縦隔壁の高さ(H)=0.12mm、横隔壁間の塗布方向の長さ(L)=1mm、横隔壁の高さ(Hh)=0.1mm、横隔壁1個の塗布方向の長さ(Lh)=0.08mmとし、口金の吐出孔の直径(D)が0.1mm、0.12mm、0.15mm、0.22mmの4種類の口金を用いて、青色に発光する蛍光体粉末を含むペースト(粘度約600ポアズを塗布した。
実施例6、比較例4
各縦隔壁間の幅(W)を0.28mmに変更した以外は、実施例5と同一の条件でペーストを塗布した。
実施例7、実施例8
各縦隔壁間の幅(W)を0.38mmに変更した以外は、実施例5と同一の条件でペーストを塗布した。
【0086】
上記実施例1〜4、比較例1、2の結果を表1、図34に示した。また、実施例5〜8、比較例3、4の結果を表2、図35に示した。その結果、実施例1〜8においては、口金の下面板へのペーストの付着はみられず、色ぬけすることなく基板にペーストを均一な状態に塗布することができた。これに対し、比較例1〜4においては、口金の下面板へのペーストの付着が見られた。また、基板
上に色ぬけが観察された。
【0087】
ここで、a=(D/2)π
A=W・H
k=1−(Hh/H)・(Lh/(L+Lh))
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】格子状の溝部を有する基板の斜視図である。
【図2】従来の塗液の塗布装置の口金と基板の位置関係を示す拡大断面図である。
【図3】吐出速度と塗布速度との関係を説明するための断面図である。
【図4】基板の拡大断面図である。
【図5】本発明の一実施態様に係る口金および該口金を用いた塗液の塗布装置の斜視図である。
【図6】図5で示した塗布装置をX軸方向から見た口金周辺の概略図である。
【図7】凹部の画像と画像処理のカーソルを示す概略図である。
【図8】図5に示した塗布装置の口金の断面図である。
【図9】図8の口金のV−V線に沿う断面図である。
【図10】支柱と塗液溜り部形成部材とをボルトにより接合した口金の拡大断面図である。
【図11】基板上の凹部を上面から見た概略図である。
【図12】吐出孔と凹部の位置関係を示す概略図である。
【図13】本発明の別の実施態様に係る口金の断面図である。
【図14】図13の口金のX−X線に沿う断面図である。
【図15】本発明の一実施態様に係る塗液の塗布装置の全体斜視図である。
【図16】図15の装置のテーブルと口金周りの構成を示す模式図である。
【図17】本発明の一実施態様に係る口金の概略構成図である。
【図18】本発明の別の実施態様に係る口金の概略構成図である。
【図19】本発明のさらに別の実施態様に係る口金の概略構成図である。
【図20】本発明のさらに別の実施態様に係る口金の概略構成図である。
【図21】本発明の一実施態様に係る、各塗液供給口から塗液溜め部への塗液の供給流量を模式的に表した図である。
【図22】本発明の別の実施態様に係る、各塗液供給口から塗液溜め部への塗液の供給流量を模式的に表した図である。
【図23】本発明のさらに別の実施態様に係る口金の概略構成図である。
【図24】本発明の一実施態様に係る、各塗液供給口から塗液溜め部への塗液の供給タイミング、流量を模式的に表した図である。
【図25】本発明のさらに別の実施態様に係る口金の概略構成図である。
【図26】本発明のさらに別の実施態様に係る口金の概略構成図である。
【図27】図5の装置の口金への塗液の供給制御装置の概略図である。
【図28】溝部に塗液が塗布された基板の部分拡大平面図である。
【図29】口金の吐出孔と溝部との位置関係を示す概略図である。
【図30】基板の部分拡大平面図である。
【図31】図5の装置の口金と基板との位置関係を示す拡大断面図である。
【図32】図33のXI−XI線に沿う拡大断面図である。
【図33】図5の口金の吐出孔からの塗液の塗布状態を示す拡大断面図である。
【図34】口金の吐出孔面積(a)と表面に縦隔壁を有する基板の溝部の断面積(A)との関係を示す関係図である。
【図35】口金の吐出孔面積(a)と表面に縦隔壁と横隔壁とを有する基板の溝部の断面積(kA)との関係を示す関係図である。
【符号の説明】
【0091】
1 被塗布基板
418 口金
418a 吐出孔
421 溝部
421a 凹部
421b 凹部
425a 縦隔壁
425b 横隔壁
432 下面板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にストライプ状に縦隔壁が形成されるとともに前記縦隔壁と略直交する方向に縦隔壁の高さ以下の横隔壁が形成されている基材と、前記基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する塗液の塗布装置において、前記口金の吐出孔の直径(D)、前記横隔壁の高さ(Hh)、前記口金の吐出孔を有する面と、基材の縦隔壁と横隔壁に囲まれて形成される溝部底面との間隔(C)がD+Hh<Cの条件を満たすように前記直径(D)および間隔(C)を規定することを特徴とする塗液の塗布装置。
【請求項2】
前記口金の吐出孔が非円形状に形成されており、前記吐出孔の塗液の塗布方向に沿う方向の開口寸法(B)が、B+Hh<Cの条件を満たす請求項1記載の塗液の塗布装置。
【請求項3】
表面にストライプ状に縦隔壁が形成されている基材と、基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する塗液の塗布装置であって、前記口金の吐出孔の面積(a)、縦隔壁間に形成される溝部の断面積(A)が0<a/A≦1の条件を満たすように面積(a)を規定することを特徴とする塗液の塗布装置。
【請求項4】
表面にストライプ状に縦隔壁が形成されるとともに、前記縦隔壁と略直交する方向に縦隔壁の高さ以下の横隔壁が形成されている基材と、前記基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する塗液の塗布装置において、前記口金の吐出孔の面積(a)、縦隔壁間および横隔壁間に形成される溝部の縦隔壁と略直交方向の断面積(A)、縦隔壁の高さ(H)、横隔壁間の塗布方向の長さ(L)、横隔壁の高さ(Hh)、横隔壁1個の塗布方向の長さ(Lh)、横隔壁のある基板と横隔壁のない基板の塗布量の比(k)が下記(1)、(2)の条件を満たすように前記面積(a)を規定することを特徴とする塗液の塗布装置。
k=1−(Hh/H)・(Lh/(L+Lh)) ・・・(1)
0<a/(k・A)≦1 ・・・(2)
【請求項5】
前記口金の相対移動方向と垂直な方向の寸法が、基材の塗液の塗布領域よりも長い請求項1〜4のいずれかに記載の塗液の塗布装置。
【請求項6】
表面にストライプ状に縦隔壁が形成されるとともに、前記縦隔壁と略直交する方向に縦隔壁の高さ以下の横隔壁が形成されている基材と、前記基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する方法であって、前記口金の吐出孔の直径(D)、前記横隔壁の高さ(Hh)、前記口金の吐出孔を有する面と、基材の縦隔壁と横隔壁に囲まれて形成される溝部底面との間隔(C)がD+Hh<Cの条件を満たすことを特徴とする塗液の塗布方法。
【請求項7】
前記口金の吐出孔が非円形状に形成されており、前記吐出孔の塗液の塗布方向に沿う方向の開口寸法(B)が、B+Hh<Cの条件を満たす請求項6記載の塗液の塗布方法。
【請求項8】
表面にストライプ状に縦隔壁が形成される基材と、基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する方法であって、前記基材と口金の相対速度(V)と、口金の吐出孔からの塗液の吐出速度(v)が0<V/v≦1の条件を満たすことを特徴とする塗液の塗布方法。
【請求項9】
前記基材の表面に、前記縦隔壁と略直交する方向に縦隔壁の高さ以下の横隔壁が形成されている請求項8記載の塗液の塗布方法。
【請求項10】
表面にストライプ状に縦隔壁が形成される基材と、基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する方法であって、前記口金の吐出孔の面積(a)と、縦隔壁間に形成される溝部の断面積(A)が0<a/A≦1の条件を満たすことを特徴とする塗液の塗布方法。
【請求項11】
表面にストライプ状に縦隔壁が形成されるとともに、前記縦隔壁と略直交する方向に縦隔壁の高さ以下の横隔壁が形成されている基材と、前記基材に対向して設けられた口金とを相対的に移動させながら口金に設けられた複数の吐出孔から塗液を吐出し、基材の選択された縦隔壁間の溝部に塗液を塗布する方法であって、前記口金の吐出孔の面積(a)、縦隔壁間および横隔壁間に形成される溝部の縦隔壁と略直交方向の断面積(A)、縦隔壁高さ(H)、横隔壁間の塗布方向の長さ(L)、横隔壁の高さ(Hh)、横隔壁1個の塗布方向の長さ(Lh)、横隔壁のある基板と横隔壁のない基板の塗布量の比(k)が下記式
(1)、(2)を満たすことを特徴とする塗液の塗布方法。
k=1−(Hh/H)・(Lh/(L+Lh)) ・・・(1)
0<a/(k・A)≦1 ・・・(2)
【請求項12】
前記口金の相対移動方向と垂直な方向の寸法が、基材の塗液の塗布領域よりも長く、前記口金が一回相対移動することにより基材への塗液の塗布を完了する請求項6〜11のいずれかに記載の塗液の塗布方法。
【請求項13】
前記基材がプラズマディスプレイパネル用基材であって、前記塗液が赤色、緑色、青色のいずれかの色に発光する蛍光体粉末を含むペーストであり請求項6〜12のいずれかに記載の塗布方法を用いて塗液を塗布する工程を含むことを特徴とする、プラズマディスプレイパネル用基材の製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法により製造したプラズマディスプレイパネル用基材を用いたことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2008−41670(P2008−41670A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−229904(P2007−229904)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【分割の表示】特願2002−554240(P2002−554240)の分割
【原出願日】平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】