説明

塗布装置

【課題】溶液を均一に塗布する。
【解決手段】2連ノズルプレートNp2は、2つのノズルが設けられたノズルプレートであり、3連ノズルプレートNp3は、3つのノズルが設けられたノズルプレートである。溶液の供給源は、溶液タンクからの1系統であり、この溶液タンクから溶液が供給されて、各ノズルから溶液が吐出される。そして、2つ以上の液柱が形成される。液圧を上げて液柱の出射速度を上げなくても、溶液を均一に塗布することができ、また、塗幅を広げることもでき、塗りムラを低減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(electroluminescence)素子(有機EL素子)は、電場を加えることによって発光する蛍光性の有機化合物によって形成されたものであり、これを用いた有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:以下、OLEDと記す)素子を各画素に有してなる表示パネルを備えた表示装置は次世代ディスプレイデバイスとして注目されている。
【0003】
有機EL素子は、アノード電極とカソード電極とのこれらの一対の電極間に形成され、例えば発光層、正孔注入層、等を有する有機EL層(有機層)と、を備える。有機EL素子は、発光層において正孔と電子とが再結合することによって発生するエネルギーによって発光する。
【0004】
このような有機EL素子の発光層、正孔注入層等は、隔壁によって仕切られた領域に、溶液を塗布し、溶媒を乾燥させることによって形成される。溶液の塗布には、例えばノズルプリンティング方式等の塗布装置が用いられる。
【0005】
この塗布装置は、ノズルヘッド部を備え、ノズルヘッド部の先端には、塗布する溶液を吐出する1つのノズル孔が設けられている。そして、加圧することによって、吐出する溶液が液柱となって塗布される。
【0006】
例えば、特許文献1には、ノズルプリンティング方式等の塗布装置を用い、有機EL材料を塗布すべき所定のパターン形状に応じた溝を基板上に形成しておき、この溝にノズル孔を沿わせるように基板とノズルヘッド部とを相対的に移動させて、前記ノズル孔からの有機EL材料を前記溝内に流し込んで塗布する過程を備えたことを特徴とする有機EL表示装置の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−75640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、有機EL素子では、有機EL層の膜厚が不均一であると、発光が不均一となるという問題がある。このため、有機EL層の膜厚を良好に制御し、良好な均一性を有する膜とすることが求められている。
【0009】
特許文献1に記載されたノズルプリンティング方式の塗布装置では、ノズルヘッド部のノズル孔から液柱を安定して出射させる条件はあまり広くない。よって画素サイズが小さく、画素精細度の高い小さなパネルの狭い塗布領域に有機EL材料を塗布する場合と、大型TV等の画素サイズの大きな画素精細度の低い比較的広い塗布領域に有機EL材料を塗布する場合とでは塗布条件は大きくかわる。
【0010】
例えば、1画素が大きい場合で塗布量を増やすためには、液圧を上げて液柱の出射速度を上げることが考えられるが、液柱を形成又は維持する速度は限界がある。また出射速度を上げることができたとしても被塗布部への溶液の衝突速度は大きくなり飛び散りやはみ出しの発生にもつながる。
【0011】
また、一つのノズル孔のサイズを大きくすることが考えられるが、吐出量はノズル孔の面積に比例するためノズル孔を加工する直径に対してノズル面積は二乗の大きさとなり、ノズル孔の加工に精度を有する。またノズル孔の径に対して液柱を形成させる条件出しが再度必要となり、それぞれの液柱を形成できるパラメータ範囲は大きくない。
【0012】
また、一つのノズル孔の径を大きくすることにより、吐出量は増やすことが出来ても1点に着地するため、広い塗布領域に対して薄く均一に塗り広げることは難しく、塗布ムラの発生につながってしまう。
【0013】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、溶液を均一に塗布することが可能な塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る塗布装置は、
溶液を貯蔵する溶液タンクと、
前記溶液タンクから前記溶液が供給されて、前記溶液を吐出する吐出部と、を備え、
前記吐出部は、
前記溶液タンクから供給された溶液が充填されるヘッドシリンダと、
前記ヘッドシリンダの一端側に設けられ、前記溶液を吐出する複数のノズル孔が設けられたノズルプレートと、を備えることを特徴とする。
【0015】
前記溶液を塗布する塗布領域が設けられた対象物に対して前記吐出部を相対的に移動させるノズル移動部を有し、
前記ノズルプレートにおける前記複数のノズル孔の中心点の間隔及び前記ノズル孔のノズル径は、前記対象物に対する前記吐出部の移動方向に直交する方向の前記塗布領域の幅からなる塗幅に対応して設定されていてもよい。
【0016】
前記ノズルプレートにおける前記ノズル孔の数は、前記塗幅に基づいて設定されていてもよい。
【0017】
前記ノズルプレートにおける前記複数のノズル孔の配列方向の、前記対象物に対する前記吐出部の移動方向に対する回転角度を変更可能とする回転機構部を備えてもよい。
【0018】
前記回転機構部による前記回転角度は、前記塗幅に応じた値に設定されてもよい。
【0019】
前記ノズルプレートにおける前記複数のノズル孔は、ノズル径が相互に異なる第1のノズル孔と第2のノズル孔とを含むものであってもよい。
【0020】
前記ノズルプレートにおける前記複数のノズル孔は、前記溶液を吐出する吐出方向の中心線が前記ノズルプレートの上面に垂直な方向に対して傾斜したノズル孔を有するものであってもよい。
前記ノズルプレートにおける前記複数のノズル孔は、前記中心線の前記ノズルプレートの上面に垂直な方向に対する傾斜角度が相互に異なる第1のノズル孔と第2のノズル孔とを含むものであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、溶液を均一に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態1に係る塗布装置を用いて製造された発光装置が組み込まれる電子機器(デジタルカメラ)を示す図である。
【図2】塗布装置を用いて製造された発光装置が組み込まれる電子機器(コンピュータ)を示す図である。
【図3】塗布装置を用いて製造された発光装置が組み込まれる電子機器(携帯電話)を示す図である。
【図4】塗布装置を用いて製造された発光装置が組み込まれる電子機器(大画面テレビ)を示す図である。
【図5】発光装置の構成を示す図である。
【図6】図5に示す各画素回路の構成を示す回路図である。
【図7】図6に示す画素回路の断面図である。
【図8】発光装置の製造方法を示す図である。
【図9】ノズルプリンティング方式の塗布装置の構成の概略を示す図である。
【図10】ノズルプリンティング方式の塗布装置の具体的な構成の全体を示す図である。
【図11】図9に示すノズルヘッド部の構成を示す図である。
【図12】図9に示すノズルヘッド部の断面図である。
【図13】ノズルプレートとして2連ノズルプレート、3連ノズルプレートを示す図である。
【図14】本発明の実施形態2に係るノズルプレートとして、回転させた2連ノズルプレート、3連ノズルプレートを示す図である。
【図15】回転機構部を備えたノズルヘッド部の構成例(1)を示す図である。
【図16】図15に示す回転機構部を構成するベースユニットを示す図である。
【図17】図16に示すベースユニットにヘッドシリンダを挿入する様子を示す図である。
【図18】ノズルキャップに3連ノズルプレートがセットされる様子を示す図である。
【図19】回転機構部を備えたノズルヘッド部の構成例(2)を示す図である。
【図20】応用例として、ノズル径が異なる3連ノズルプレートを示す図である。
【図21】応用例として、プレート面に対してノズル孔の中心線が傾斜したノズルを有する多連ノズルプレートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る電子機器、発光装置、発光装置の製造方法、そして、この発光装置の製造に用いられる塗布装置を図面を参照して説明する。
本実施形態では、ボトムエミッション型の有機EL素子を用いたアクティブ駆動方式の発光装置を例に挙げて説明する。ボトムエミッション型の有機EL素子は、有機EL素子の光を有機EL素子が形成された基板を介して外部に出射する構造を有するものである。尚、本実施形態の発光装置は表示装置としても用いられる。
(実施形態1)
発光装置10は、図1に示すようなデジタルカメラ、図2に示すようなコンピュータ、図3に示すような携帯電話、図4に示すような大画面テレビ等の電子機器に組み込まれる。
【0024】
デジタルカメラ200は、図1(a)及び(b)に示すように、レンズ部201と操作部202と表示部203とファインダー204とを備える。この表示部203に発光装置10が用いられる。
【0025】
図2に示すコンピュータ210は、表示部211と操作部212とを備え、この表示部211に発光装置10が用いられる。
【0026】
図3に示す携帯電話220は、表示部221と、操作部222と受話部223と送話部224とを備え、この表示部221に発光装置10が用いられる。
【0027】
図4に示す大画面テレビ230は、表示部231を備え、この表示部231に発光装置10が用いられる。
【0028】
このような発光装置10は、図5に示すように、TFTパネル11と、表示信号生成回路12と、システムコントローラ13と、セレクトドライバ14と、電源ドライバ15と、データドライバ16と、によって構成される。
【0029】
TFTパネル11は、複数の画素回路11(i,j)(i=1〜m,j=1〜n、尚、m、n;自然数)を備えたものである。
【0030】
各画素回路11(i,j)は、それぞれ、画像の1画素に対応する表示画素であり、行列配置される。各画素回路11(i,j)は、例えば、図6に示すように、有機EL素子Eと、トランジスタT1,T2と、キャパシタCsと、を備える。ここで、トランジスタT1,T2と、キャパシタCsと、は画素駆動回路DCをなす。
【0031】
有機EL素子Eは、有機化合物に注入された電子と正孔との再結合によって生じた励起子によって発光する現象を利用して発光する電流制御型の発光素子(表示素子)であり、供給された電流の電流値に対応する輝度で発光する。
【0032】
画素駆動回路DCにおけるトランジスタT1,T2は、nチャンネル型のFET(Field Effect Transistor;電界効果トランジスタ)によって構成されたTFT(Thin Film Transistor)である。
【0033】
トランジスタT1は、有機EL素子Eの駆動用トランジスタであり、そのドレインは、アノードラインLa(j)に接続され、ソースは、有機EL素子Eのアノード電極に接続される。
【0034】
トランジスタT2は、有機EL素子Eを選択するスイッチとして機能するトランジスタであり、そのドレインはデータラインLd(i)に接続され、ソースがトランジスタT1のゲートに接続され、ゲートが行方向(X方向)に沿って配設されたセレクトラインLs(j)に接続される。
【0035】
キャパシタCsは、トランジスタT1のゲート−ソース間電圧を保持するためのものであり、トランジスタT1のゲート−ソース間に接続される。
【0036】
各画素回路11(i,j)の有機EL素子Eが、赤(R)、青(B)、緑(G)、の3色の何れかの発光色を有する場合、同じ色の発光色の有機EL素子Eを有する画素回路11(i,j)(j=1〜n)がデータラインLd(i)に沿った、列方向(Y方向)に配列される。
また、画素回路11(i,j)は3つ以上のトランジスタを備えたものであってもよい。
【0037】
表示信号生成回路12は、例えば、コンポジット映像信号、コンポーネント映像信号のような映像信号Imageが外部から供給され、供給された映像信号Imageから輝度信号のような表示データPic、同期信号Syncを取得するものである。表示信号生成回路12は、取得した表示データPic、同期信号Syncをシステムコントローラ13に供給する。
【0038】
システムコントローラ13は、表示信号生成回路12から供給された表示データPic、同期信号Syncに基づいて、表示データPicの補正処理、書き込み動作、発光動作を制御するものである。
【0039】
表示データPicの補正処理は、表示信号生成回路12から供給された表示データPicを各画素回路11(i,j)の駆動トランジスタ(トランジスタT1)の閾値電圧Vthや電流増幅率βの値に基づいて補正した階調信号を生成する処理である。
【0040】
また、書き込み動作は、各画素回路11(i,j)のキャパシタCsに生成された階調信号に応じた電圧を書き込む動作であり、発光動作は、キャパシタCsに保持された電圧に応じた電流を有機EL素子Eに供給して、有機EL素子Eを発光させる動作である。
【0041】
システムコントローラ13は、このような制御を行うため、各種制御信号を生成してセレクトドライバ14、電源ドライバ15、データドライバ16に供給するとともに、データドライバ16に、生成した階調信号を供給する。
【0042】
セレクトドライバ14は、TFTパネル11の行を、順次、選択するドライバであり、例えば、シフトレジスタによって構成される。セレクトドライバ14は、それぞれ、セレクトラインLs(j)(j=1〜n)を介して各画素回路11(i,j)のトランジスタT1,T2のゲートに接続される。
【0043】
セレクトドライバ14は、システムコントローラ13から供給された制御信号に基づいて、順次、第1行目の画素回路11(1,1)〜11(m,1)、・・・、第n行目の画素回路11(1,n)〜11(m,n)に、Hiレベルのセレクト信号Vselect(j)を出力することにより、TFTパネル11の行を、順次、選択する。
【0044】
電源ドライバ15は、アノードラインLa(j)(j=1〜n)に、それぞれ、電圧VL又はVHの信号Vsource(1)〜Vsource(n)を出力するドライバである。電源ドライバ15は、それぞれ、アノードラインLa(j)を介して、各画素回路11(i,j)のトランジスタT1のドレインに接続される。
【0045】
データドライバ16は、システムコントローラ13から供給された階調信号に基づいて、各データラインLd(1)〜Ld(m)に電圧信号Sv(1)〜Sv(m)を印加するドライバである。
【0046】
図7は、この発光装置10の画素回路11(i,j)の断面図であり、この発光装置10は、この図7に示すように、画素電極(アノード電極)42と、発光層45と、対向電極(カソード電極)46と、を備える。
【0047】
尚、30Rは、赤色の発光画素(有機EL素子E)を示し、45G1,45G2は、緑色の発光層を示す。本実施形態では、便宜上、発光に寄与する有機EL層(有機層)として発光層45のみを備える構成を例に挙げているが、これに限られず、有機EL層は、正孔注入層と発光層とを備えてもよく、正孔注入層とインターレイヤと発光層とを備えてもよい。
【0048】
各発光画素の基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなるトランジスタT1、トランジスタT1のゲート電極T1gが形成されている。各発光画素に隣接した基板31上には、ゲート導電層をパターニングしてなり、列方向に沿って延びるデータラインLd(i)が形成されている。
【0049】
画素電極42は、透光性を備える導電材料、例えばITO(Indium Tin Oxide)、ZnO等から構成される。各画素電極42は隣接する他の発光画素の画素電極42と層間絶縁膜47によって絶縁されている。
【0050】
層間絶縁膜47は、絶縁性材料、例えばシリコン窒化膜から形成され、画素電極42間に形成され、トランジスタT1、T2やセレクトラインLs(j)、アノードラインLa(j)を絶縁保護する。層間絶縁膜47には略方形の開口部47aが形成されており、この開口部47aによって発光画素の発光領域が画される。更に層間絶縁膜47上の隔壁48に沿って列方向に延びる溝状の開口部48aが複数の発光画素にわたって形成されている。
【0051】
隔壁48は、絶縁材料、例えばポリイミド等の感光性樹脂を硬化してなり、層間絶縁膜47上に形成される。隔壁48は、列方向に沿った複数の発光画素の画素電極42をまとめて開口するようにストライプ状に形成されている。なお、隔壁48の平面形状は、これに限られず、画素電極42毎に開口部をもった格子状であってもよい。
【0052】
なお、隔壁48の表面、層間絶縁膜47の表面に撥液処理を施してもよい。ここで撥液とは、水系の溶媒、有機系溶媒のいずれも弾く性質を示す。
【0053】
発光層45は、画素電極42上に形成されている。発光層45は、アノード電極42と対向電極46との間に電圧を印加することにより光を発生する機能を有する。
【0054】
発光層45は、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む発光材料から構成される。また、これらの発光材料は、適宜水系溶媒あるいはテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒に溶解(又は分散)した溶液(分散液)をノズルプリンティング方式やインクジェット方式等により塗布し、溶媒を揮発させることによって形成する。
【0055】
ここで、有機EL層として、正孔注入層を設ける場合、正孔注入層は、画素電極42と発光層45との間に設ける。正孔注入層は発光層45に正孔を供給する機能を有する。正孔注入層は正孔(ホール)注入・輸送が可能な有機高分子系の材料、例えば導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とドーパントであるポリスチレンスルホン酸(PSS)から構成される。
【0056】
更に、インターレイヤを設ける場合、インターレイヤは正孔注入層と発光層45との間に設ける。インターレイヤは、発光層45から正孔注入層への正孔注入性を抑制して発光層45内において電子と正孔とを再結合させやすくする機能を有し、発光層45の発光効率を高める。
【0057】
また、対向電極46は、ボトムエミッション型の場合、発光層45側に設けられ、導電材料、例えばLi、Mg、Ca、Ba等の仕事関数の低い材料からなる電子注入性の下層と、Al等の光反射性導電金属からなる上層を有する積層構造である。
【0058】
本実施形態では、対向電極46は複数の発光画素に跨って形成される単一の電極層から構成され、例えば接地電位である共通電圧Vssが印加されている。なお、有機EL素子Eをトップエミッション型とする場合、対向電極46は、発光層45側に設けられ、10nm程度の膜厚の極薄い例えばLi、Mg、Ca、Ba等の仕事関数の低い材料からなる光透過性低仕事関数層と、100nm〜200nm程度の膜厚のITO等の光反射性導電層を有する透明積層構造とする。
【0059】
次に、本実施形態に係る発光装置10の製造方法を図8を用いて説明する。ここでは、図6に示すトランジスタT2はトランジスタT1と同一工程によって形成されるので、トランジスタT2の形成の説明を一部省略する。
【0060】
まず、ガラス基板等からなる基板31を用意する。次に、この基板31上に、スパッタ法、真空蒸着法等により例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等からなるゲート導電膜を形成し、これを図8(a)に示すようにトランジスタT1のゲート電極T1gの形状にパターニングする。
【0061】
この際、図示はしていないが、トランジスタT2のゲート電極T2g、及びデータラインLd(i)も形成する。続いて、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりゲート電極T1g及びデータラインLd(i)上に絶縁膜32を形成する。
【0062】
次に、絶縁膜32上に、CVD法等により、アモルファスシリコン等からなる半導体層114を形成する。次に、半導体層114上に、CVD法等により、例えばSiN等からなる絶縁膜を形成する。
【0063】
続いて、絶縁膜をフォトリソグラフィ等によりパターニングし、ストッパ膜115を形成する。更に、半導体層114及びストッパ膜115上に、CVD法等により、n型不純物が含まれたアモルファスシリコン等からなる膜を形成し、この膜と半導体層114とをフォトリソグラフィ等によりパターニングすることで、図8(b)に示すように、半導体層114とオーミックコンタクト層116,117とを形成する。
【0064】
次に、スパッタ法、真空蒸着法等により絶縁膜32上に、ITO等の透明導電膜、或いは光反射性導電膜及びITO等の透明導電膜を被膜後、フォトリソグラフィによってパターニングして画素電極42を形成する。
【0065】
続いて、絶縁膜32に貫通孔であるコンタクトホールを形成してから、例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlNdTi合金膜、MoNb合金膜等からなるソース−ドレイン導電膜をスパッタ法、真空蒸着法等により被膜して、フォトリソグラフィによってパターニングして図8(b)に示すようにドレイン電極T1d及びソース電極T1sを形成する。これと同時に、アノードラインLa(j)を形成する。このとき、トランジスタT1のソース電極T1sはそれぞれ画素電極42の一部と重なるように形成される。
【0066】
続いて、トランジスタT1等を覆うようにシリコン窒化膜からなる層間絶縁膜47をCVD法等により形成後、フォトリソグラフィにより、図8(c)に示すように開口部47aを形成する。
【0067】
次に、感光性ポリイミドを層間絶縁膜47を覆うように塗布し、隔壁48の形状に対応するマスクを介して露光、現像することによってパターニングし、図8(c)に示すように開口部48aを有する隔壁48を形成する。
【0068】
次に、発光ポリマー材料(R,G,B)を含有する有機化合物含有液をノズル孔から連続して流すノズルプリンティング方式の塗布装置を用いて、隔壁48の間に設けられ、開口部47aで囲まれた画素電極42上に塗布する。塗布は、隔壁48に沿って列方向に行われる。
【0069】
以下、本発明をノズルプリンティング方式の塗布装置に適用した場合について説明するが、本発明はインクジェット方式の塗布装置に対しても好適に適用可能なものである。
ノズルプリンティング方式の塗布装置は、図9に示すように、概略、ノズル孔(吐出孔)を有するノズルヘッド部(吐出部)78を有する。そして、ノズルプリンティング方式の塗布装置は、有機化合物含有液である溶液51をノズル孔から吐出し、基板31上でノズルヘッド部78を、基板31に対して相対的に移動させることで、基板31上に塗布する。
【0070】
ここで、図9に示すX方向は基板31の列方向に対応し、Y方向は基板31の行方向に対応し、ノズルプリンティング方式の塗布装置は、ノズルヘッド部78より隔壁48間に溶液51を吐出しながら、隔壁48が延在する列方向に沿ってノズルヘッド部78を移動させることにより、隔壁48間に溶液51を塗布する。
【0071】
複数列塗布する場合、ノズルプリンティング方式の塗布装置は、図9(a)に示すように、ノズルヘッド部78が基板31外にある間に基板31の行方向に対応する方向に移動させる。なお、ノズルヘッド部78が基板31外にある間、ノズルヘッド部78から溶液51を吐出させたままとしてもよい。
【0072】
なお、図9(a)は、ノズルヘッド部78を1つだけ有して、1列毎に塗布する場合の塗布装置の構成の概要を示すものであるが、これに限るものではなく、ノズルプリンティング方式の塗布装置は、ノズルヘッド部78を2個以上の所定数有して、対応する所定数の列を同時に塗布するように構成されているものであってもよい。
【0073】
図9(b)は、ノズルヘッド部78を2つ有して、2列を同時に塗布する場合の塗布装置の構成の概要を示すものである。この場合、ノズルヘッド部78が基板31外にある間の基板31の行方向への移動量が増加する以外は、図9(a)と同様の動作となる。
【0074】
なお、正孔注入層を形成する場合は、発光層45を形成する前に、正孔注入材料を含む溶液51を、連続して流すノズルプリンティング方式あるいは個々に独立した複数の液滴として吐出するインクジェット方式の塗布装置によって開口部47aで囲まれた画素電極42上に選択的に塗布する。続いて、基板31を大気雰囲気下で加熱し溶液51の溶媒を揮発させて、正孔注入層を形成する。溶液51は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0075】
また、更にインターレイヤを形成する場合は、ノズルプリンティング方式またはインクジェット方式の塗布装置を用いてインターレイヤとなる材料を含有する溶液51を正孔注入層上に塗布する。窒素雰囲気中の加熱乾燥、或いは真空中での加熱乾燥を行い、残留溶媒の除去を行ってインターレイヤを形成する。溶液51は加熱雰囲気で塗布されてもよい。
【0076】
続いて、発光層45まで形成した基板31に真空蒸着やスパッタリングで、Li,Mg,Ca,Ba等の仕事関数の低い材料からなる層と、Al等の光反射性導電層からなる2層構造の対向電極46を形成する。
【0077】
次に、複数の発光画素が形成された発光領域の外側において、基板31上に紫外線硬化樹脂、又は熱硬化樹脂からなる封止樹脂を塗布し、図示しない封止基板と基板31と貼り合わせる。次に紫外線もしくは熱によって封止樹脂を硬化させて、基板31と封止基板とを接合する。
【0078】
本実施形態におけるノズルプリンティング方式の塗布装置(ノズルプリンタ)の具体的な構成について説明する。図10は、本実施形態における塗布装置の全体を示す図である。
【0079】
この塗布装置は、溶液タンク71と、供給管72と、加圧部73と、流量検知・制御部74と、リニア駆動部75と、ステージ76と、制御部77と、ヘッド部78と、を備える。リニア駆動部75とステージ76は本発明におけるノズル移動部をなす。
【0080】
溶液タンク71は、塗布する有機化合物含有液等の溶液51を貯留するためのものである。
供給管72は、溶液タンク71に貯留された溶液をノズルヘッド部78へと導くものであり、フレキシブルな材料で形成される。
【0081】
加圧部73は、溶液タンク71に貯留された溶液に圧力を加えるためのものである。
【0082】
流量検知・制御部74は、ノズルヘッド部78から定量の溶液が吐出されるように溶液の圧力及び流量を制御するものであり、供給管72の周囲に取り付けられる。
【0083】
リニア駆動部75は、ノズルヘッド部78を図9中の左右方向(X方向:これを主走査方向とする)に走査するためのものである。この主走査方向は基板31の列方向に対応する。
ステージ76は、基板31を固定するものであり、図9中のY方向(これを副走査方向とする)に移動可能なものである。この副走査方向は基板31の行方向に対応する。
【0084】
制御部77は、塗布装置全体を制御して基板31に溶液を塗布するものである。制御部77は、リニア駆動部75を稼働させてノズルヘッド部78を基板31に対して主走査方向に移動させ、溶液を基板31の列方向に1ライン塗布した後、ステージ76をステップ移動させて基板31を副走査方向に移動させる。
【0085】
制御部77は、このような制御を順次行い、基板31のすべてのラインに溶液を塗布する。
【0086】
なお、この構成に限るものではなく、例えば、ノズルヘッド部78の位置を固定して、基板31を主走査方向及び副走査方向に移動させるものであってもよいし、基板31の位置を固定して、ノズルヘッド部78を主走査方向及び副走査方向に移動させるものであってもよいし、ノズルヘッド部78を副走査方向に移動させ、基板31を主走査方向に移動させるものであってもよい。
【0087】
要するに、ノズルヘッド部78を基板31に対して相対的に、主走査方向及び副走査方向に移動させる構成を有するものであればよい。
【0088】
ノズルヘッド部78は、溶液を吐出する機構部であり、リニア駆動部75に取り付けられる。ノズルヘッド部78は、図11、図12に示すように、ヘッドシリンダ81と、シリンダフランジ82と、連結ユニット83と、フィルタ84と、ノズルプレートNpと、ノズルキャップNcと、によって構成される。
【0089】
ヘッドシリンダ81は、ノズルヘッド部78の本体部であり、供給管72によって導かれた溶液が内部に充填される。
【0090】
シリンダフランジ82は、フランジ形状を有したものであり、ヘッドシリンダ81の外周部に設けられたものである。シリンダフランジ82は、ヘッドシリンダ81と一体加工されるか、あるいはヘッドシリンダ81に接合される。
【0091】
ベースユニット75aは、塗布装置本体のリニア駆動部75の走査部を構成する部品であり、ノズルヘッド部78を取り付けるための開口部75bが設けられている。ヘッドシリンダ81は、この開口部75bに挿入され、シリンダフランジ82がベースユニット75aにネジ止めされる。
【0092】
連結ユニット83は、供給管72の先端とヘッドシリンダ81とを連結するものである。
【0093】
フィルタ84は、ノズルヘッド部78に供給された溶液をろ過するためのものであり、ヘッドシリンダ81の内部に固定される。
【0094】
ノズルプレートNpは、溶液を吐出するものであり、溶液を吐出するノズル孔が設けられている。加圧部73が配管内に圧力を加えることにより、ノズルプレートNpのノズル孔から吐出された溶液が液柱Lpとなる。
【0095】
ノズルキャップNcは、ノズルプレートNpをヘッドシリンダ81に固定配置するためのものである。
【0096】
本実施形態1に係るノズルプレートNpは、同じサイズ径の複数のノズル孔が形成されたものであり、1つの溶液タンク71から1系統液圧系で溶液が供給される。
【0097】
図13(a),(b)は、それぞれ、複数のノズルとして、2つのノズルが設けられた2連ノズルプレートNp2、3つのノズルが設けられた3連ノズルプレートNp3を示す。
【0098】
2連ノズルプレートNp2の各ノズル、3連ノズルプレートNp3の各ノズルは、ほぼ同じ径を有しており、そのノズル径は、10〜20μm程度である。各ノズルは、2連ノズルプレートNp2,3連ノズルプレートNp3の中心点を中心として設けられている。3連ノズルプレートNp3の場合、3つのノズルは、ほぼ1直線上に並ぶように形成される。
【0099】
各ノズルの中心を通る中心線をc−c'、副走査方向をz−z'として、実施形態1では、中心線c−c'と副走査方向z−z'とが一致するように、2連ノズルプレートNp2、3連ノズルプレートNp3が、図10に示すノズルヘッド部78にセットされる。
【0100】
2連ノズルプレートNp2の場合、2つのノズルの中心点の間隔、各ノズルの直径を、それぞれ、W2,R2として、2連ノズルプレートNp2によって塗布される塗幅をw21(0)とすると、塗幅w21(0)は、次式(1)に示すようになる。
w21(0)=W2+R2 ・・・(1)
【0101】
3連ノズルプレートNp3の場合、両側のノズルの中心点の間隔、各ノズルの直径を、それぞれ、W3,R3として、3連ノズルプレートNp3によって塗布される塗幅をw31(0)とすると、塗幅w31(0)は、次式(2)に示すようになる。
w31(0)=W3+R3 ・・・(2)
【0102】
1つのノズルを有するノズルプレートNpにより液柱Lpを形成でき、均一塗布可能となるように設定された吐出条件において、塗幅を2倍にするときは、図13(a)に示すような2連ノズルプレートNp2が選択され、塗幅を3倍にするときは、図13(b)に示すような3連ノズルプレートNp3が選択される。これにより、塗幅が変わっても均一な成膜が可能となる。
【0103】
尚、図13(a)に示す2連ノズルプレートNp2の場合、図13(b)に示す3連ノズルプレートNp3の場合、隔壁48の間隔に応じて、ぞれぞれ、間隔W2,W3を調節することにより、隔壁48の間において適切な塗幅にすることも可能である。
【0104】
以上説明したように、本実施形態1によれば、ノズルプレートNpに複数のノズル孔を形成し、1系統の溶液タンク71から、溶液を供給して、複数の液柱Lpを形成させるようにした。
【0105】
従って、液圧を上げて液柱Lpの出射速度を上げなくても、溶液を均一に塗布することができ、また、塗幅を広げることもでき、塗りムラを低減させることができる。また、隔壁を乗り越えることによる混色を防止することができる。
【0106】
また、ノズルの中心点の間隔、ノズルのノズル径、ノズルの数を変えることにより、溶液の塗幅を調整することもできる。
【0107】
このため、画素解像度が異なる複数種類のパネルに対して、それぞれに対応した適切なノズルプレートを選択することにより、それぞれに適応した塗幅にすることができる。
【0108】
すなわち、従来の一つのノズル孔のみを有するノズルヘッド部を備える塗布装置を用いて、仕様の異なる複数種類の基板、例えば、画素精細度が高くて画素サイズが小さく、比較的狭い塗幅の塗布領域を有する比較的小さな基板と、画素精細度が低くて画素サイズが大きく、比較的広い塗幅の塗布領域を有する大型TV用等の比較的大きい基板と、に塗布する場合、両者で最適な塗布条件が大きく異なるために、一方の基板に対して安定して塗布できる塗布条件のままでは、他方の基板両者に対しては安定した塗布を行うことができず、仕様の異なる基板毎に塗布条件を再調整する必要があった。
【0109】
しかし、本実施形態によれば、各基板に対応した適切なノズルプレートを選択するだけで、他の塗布条件を再調整することなく、各基板の塗布領域に対して、安定して溶液を塗布することができる。
【0110】
(実施形態2)
実施形態2に係る塗布装置は、上記の実施形態1の塗布装置に対して、更に、多連ノズルを回転させる回転機構部を備えるようにしたものである。
【0111】
実施形態2に係る多連ノズルプレートは、主走査方向、副走査方向を含む面上で回転可能に構成されている。
【0112】
2連ノズルプレートNp2の場合、図14(a)に示すように、2連ノズルプレートNp2を、副走査方向z−z'に対する中心線c−c'の角度が0°〜90°になるように回転させて固定させることができる。角度を0°,30°,60°,90°に設定したときの塗幅を、それぞれ、w21(0),w21(30),w21(60),w21(90)としたとき、それぞれの値は次式(3)〜(5)に示す値となり、w21(0)>w21(30)>w21(60)>w21(90)となる。
w21(30)=w21(0)×4/5 ・・・(3)
w21(60)=w21(0)×3/5 ・・・(4)
w21(90)=R2 ・・・(5)
【0113】
3連ノズルプレートNp3の場合も同様、図14(b)に示すように、主走査方向、副走査方向を含む面上で回転可能となるように構成され、3連ノズルプレートNp3を、副走査方向z−z'に対する中心線c−c'の角度が0°〜90°になるように回転させて固定させることができる。角度を0°,30°,60°,90°に設定したときの塗幅を、それぞれ、w31(0),w31(30),w31(60),w31(90)としたとき、それぞれの値は次式(6)〜(8)に示す値となり、w31(0)>w31(30)>w31(60)>w31(90)となる。
w31(30)=w31(0)×4/5 ・・・(6)
w31(60)=w31(0)×3/5 ・・・(7)
w31(90)=R3 ・・・(8)
【0114】
塗幅と各隔壁との間隔とが一致していないと、塗布した溶液が隔壁を乗り越えて隣接する他色の塗布領域にはみ出してしまう問題が発生する。しかし、このように2連のノズルを配置したノズルプレートNp2、3連のノズルを配置したノズルプレートNp3を、このように回転させることにより塗幅を細かく調整することが可能となり、種々のパネルに対して塗幅を適切な値に設定することができる。また、色の違う隣接画素へのはみ出しの抑制調整にも有効となる。
【0115】
この3連ノズルプレートNp3を回転させる回転機構部を有するノズルヘッド部78の構成例としては、構成例(1),(2)が考えられる。
【0116】
構成例(1)は、図15(a),(b)に示すように、ベースユニット75aに対するヘッドシリンダ81の回転角度を任意の角度に調整して固定できるようにした構成を有するものである。ここで、ベースユニット75aに対してヘッドシリンダ81が回転機構部に相当する。尚、図15(a)は、このノズルヘッド部78の上面図であり、図15(b)は、その側面図である。
【0117】
図16(a),(b)に示すように、ベースユニット75aの中心部には、開口部75bが設けられ、上面には、このノズルヘッド部78の副走査方向z−z'に対する中心線c−c'の角度を示す刻印が記されている。
【0118】
また、図16(a)に示すように、シリンダフランジ82には、角度合わせを行うための三角印が記されている。
【0119】
このノズルヘッド部78を組み立てるには、図17に示すように、ベースユニット75aの開口部75bにヘッドシリンダ81が挿入される。ヘッドシリンダ81は、ベースユニット75aに回転自由に保持される。
【0120】
ノズルプレートとして3連ノズルプレートNp3を用いる場合、図18に示すように、3連ノズルプレートNp3が、ノズルキャップNcにセットされる。ヘッドシリンダ81の下端の外周面には、雄ネジが設けられ、ノズルキャップNcの内周面には、雌ネジが形成される。
【0121】
そして、ヘッドシリンダ81の雄ネジと、ノズルキャップNcの雌ネジとを噛み合わせ、3連ノズルプレートNp3がセットされたノズルキャップNcがヘッドシリンダ81にネジ込まれることにより、3連ノズルプレートNp3は、ヘッドシリンダ81とノズルキャップNcとに挟まれて固定される。
【0122】
尚、3連ノズルプレートNp3を固定する場合、3連ノズルプレートNp3の中心線c−c'と副走査方向z−z'とを一致させ、さらに、このとき、シリンダフランジ82に記された三角印とベースユニット75aの角度0°とが一致するようにする。
【0123】
例えば、塗幅を図14(b)に示すw31(30)とする場合、シリンダフランジ82に記されている三角印とベースユニット75aに記されている30°の刻印とを合わせることにより、中心線c−c'が副走査方向z−z'に対して30°傾いた状態になる。このようにして、溶液51を基板31に塗布すると、塗幅は、w31(30)となる。
【0124】
次に、構成例(2)は、図19(a),(b),(c)に示すように、3連ノズルプレートNp3をノズルヘッド部78の先端部分にセットして、副走査方向z−z'に対する中心線c−c'の角度を任意の角度に調整して固定できるようにした構成を有するものである。
【0125】
なお、ここではノズルプレートとして3連ノズルプレートNp3を用いる場合について示すが、ノズルプレートとして2連ノズルプレートNp2等を用いてもよい。
【0126】
このノズルヘッド部78は、図19(a)に示すように、本体部と、3連ノズルプレートNp3と、ノズルキャップNcと、プレート押さえネジ91と、回転止めナット92と、によって構成される。
【0127】
本体部は、ヘッドシリンダ81と、連結ユニット83と、によって構成される。ヘッドシリンダ81の先端側は、径が小さい小径部81aになっており、この小径部81aの外周面には、雄ネジが形成される。
【0128】
プレート押さえネジ91は、3連ノズルプレートNp3を押さえるためのものであり、内周面、外周面に、それぞれ、雌ネジ、雄ネジが形成される。
【0129】
回転止めナット92は、プレート押さえネジ91の回転を止めるためのナットであり、内周面に、ヘッドシリンダ81の小径部81aの外周面に形成された雄ネジと噛み合う雌ネジが形成される。
【0130】
このノズルヘッド部78を組み立てる場合、図19(a)に示すように、3連ノズルプレートNp3がノズルキャップNcにセットされる。このノズルキャップNcの内周面には、雌ネジが形成される。
【0131】
そして、図19(b)に示すように、ノズルキャップNcの内周面に形成された雌ネジとプレート押さえネジ91の外周面に形成された雄ネジとを噛み合わせて、ノズルキャップNcをプレート押さえネジ91にネジ込むことにより、3連ノズルプレートNp3は、ノズルキャップNcとプレート押さえネジ91とに挟まれて固定される。
【0132】
また、回転止めナット92の内周面に形成された雌ネジとヘッドシリンダ81の小径部81aの外周面に形成された雄ネジとを噛み合わせ、回転止めナット92は、ヘッドシリンダ81の小径部81aにネジ込まれる。
【0133】
そして、図19(c)に示すように、プレート押さえネジ91の内周面に形成された雌ネジと、ヘッドシリンダ81の小径部81aの外周面に形成された雄ネジと、を噛み合わせてプレート押さえネジ91がヘッドシリンダ81にネジ込まれ、回転止めナット92がプレート押さえネジ91に突き当たるまでネジ込まれて、プレート押さえネジ91とノズルキャップNcとが固定される。
【0134】
このプレート押さえネジ91のネジ込み位置が調節されて、副走査方向z−z'に対する3連ノズルプレートNp3の中心線c−c'の角度が調節される。このヘッドシリンダ81とプレート押さえネジ91と回転止めナット92とが回転機構部に相当する。
【0135】
以上説明したように、本実施形態2によれば、多連ノズルを回転させるようにした。
【0136】
このため、ベースユニット75aとノズルヘッド部78の位置関係を任意の回転角度で取り付けることにより多連ノズルの角度を調整することが出来る。
【0137】
尚、本発明を実施するにあたっては、種々の形態が考えられ、上記実施形態に限られるものではない。
例えば、上記実施形態1では、複数のノズルは、同じノズル径を有しているものとして説明した。しかし、図20(a),(b)に示すように、3連ノズルプレートNp3は、1系統の液圧系において、異なるノズル径を有する複数のノズルを配置したものであってもよい。
【0138】
図20(a)は、中心のノズルのノズル径を、両側のノズルのノズル径よりも大きくした3連ノズルプレートNp3を示すものである。主に、中心のノズルで溶液を塗布して、両サイドのノズルから吐出した溶液による液柱Lpにより、隣接画素へのはみ出しを防止する効果が期待できる。
【0139】
また、この3連ノズルプレートNp3を、90°回転させて溶液を塗布することにより、細いノズルの液柱Lpで事前に塗布して、直後に太いノズルの液柱Lpで塗布することにより、溶液の飛び散り、飛散防止の効果が期待できる。
【0140】
図20(b)は、その逆パターンの3連ノズルプレートNp3を示すものであり、両側のノズルのノズル径が中心のノズルのノズル径よりも大きくなっている。この3連ノズルプレートNp3では、塗布部の溶液拡散効果を期待できる。
【0141】
また、図21(a),(b)に示すように、複数のノズル孔の吐出方向の中心線d−d'を、ノズルプレートの上面に垂直な方向v−v'に対して傾斜させるようにしてもよい。このような多連ノズルプレートでは、各ノズル孔のノズルプレートの上面に垂直な方向に対する傾斜角度を異ならせることで、複数のノズルから溶液を吐出したときに、塗布領域を絞り込む効果を期待できる。また、ノズルから塗布面までの距離を調節することにより、絞り込むだけでなく拡散させる効果も期待できる。
【0142】
また、複数のノズルはノズルプレートに対して一直線上に配置するだけでなく、任意のサイズで任意の位置に任意の角度で配置することにより、収束や拡散や渦などを発生させることも可能となる。
【0143】
また、上記実施形態では、2連ノズルプレートNp2,3連ノズルプレートNp3について説明した。しかし、ノズル孔の数は、3つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0144】
10・・・発光装置、78・・・ノズルヘッド部、81・・・ヘッドシリンダ、82・・・シリンダフランジ、Np・・・ノズルプレート、Nc・・・ノズルキャップ、91・・・プレート押さえネジ、92・・・回転止めナット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液を貯蔵する溶液タンクと、
前記溶液タンクから前記溶液が供給されて、前記溶液を吐出する吐出部と、を備え、
前記吐出部は、
前記溶液タンクから供給された前記溶液が充填されるヘッドシリンダと、
前記ヘッドシリンダの一端側に設けられ、前記溶液を吐出する複数のノズル孔が設けられたノズルプレートと、
を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記溶液を塗布する塗布領域が設けられた対象物に対して前記吐出部を相対的に移動させるノズル移動部を有し、
前記ノズルプレートにおける前記複数のノズル孔の中心点の間隔及び前記ノズル孔のノズル径は、前記対象物に対する前記吐出部の移動方向に直交する方向の前記塗布領域の幅からなる塗幅に対応して設定されていることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記ノズルプレートにおける前記ノズル孔の数は、前記塗幅に基づいて設定されていることを特徴とする請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記ノズルプレートにおける前記複数のノズル孔の配列方向の、前記対象物に対する前記吐出部の移動方向に対する回転角度を変更可能とする回転機構部を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記回転機構部による前記回転角度は、前記塗幅に応じた値に設定されることを特徴とする請求項4に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記ノズルプレートにおける前記複数のノズル孔は、ノズル径が相互に異なる第1のノズル孔と第2のノズル孔とを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項7】
前記ノズルプレートにおける前記複数のノズル孔は、前記溶液を吐出する吐出方向の中心線が前記ノズルプレートの上面に垂直な方向に対して傾斜したノズル孔を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項8】
前記ノズルプレートにおける前記複数のノズル孔は、前記中心線の前記ノズルプレートの上面に垂直な方向に対する傾斜角度が相互に異なる第1のノズル孔と第2のノズル孔とを含むことを特徴とする請求項7に記載の塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−49002(P2011−49002A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196027(P2009−196027)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】