説明

塗料供給装置及び方法

【課題】生産性を低下させることなく塗料の供給と塗料の回収を同時に行うことができる塗料供給装置及び方法を提供する。
【解決手段】分配器6内の塗料圧力を検出する分配器圧力検出手段13と、ピグ移動手段14によりピグ10をカラーチェンジバルブ3側から分配器6側へ移動させる際に、分配器圧力検出手段13により検出された分配器内の塗料圧力が一定になるように、ピグ移動手段と圧縮流体供給手段15を制御する制御手段17を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車塗装ラインなどの塗料供給装置及び方法に関し、特に分配器とピグを用いた塗料供給装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の塗装ラインなどで用いられている塗料供給装置は、各塗色の塗料が仕込まれた塗料タンクと、これを圧送するポンプと、塗料タンクから塗装機(実際はカラーチェンジバルブユニット)まで塗料を導く塗料配管とを有し、塗色数に応じた数だけこうした塗料タンク、ポンプおよび塗料配管が設置されている。そして、塗装機の上流側に設けられたカラーチェンジバルブを切り替えることで、車両仕様に応じた塗色の塗料を吹き付ける。
【0003】
ところで、複数の塗色に対して共通の循環配管を設け、この塗料配管内にピグと呼ばれる可動部材(フリーピストン)を通すことにより、塗料を供給したり、塗料配管に残留した前色塗料を回収したりすることも提案されている(特許文献1)。特に1日に数台しか塗装されない少量生産塗色にあっては、メイン配管に塗料を循環させておくと長時間剪断力を受けるので塗料が劣化するといった問題がある。
【0004】
このため、塗装ブースの近傍に塗料タンクを配置し、分配器を介して複数の塗装機へ塗料を供給することが行われている。この種の塗料供給装置の一例を図4に示す。塗料タンク9は気密な容器であって、圧縮エアーを塗料タンク9内に導入することで塗料配管16から塗料を押し出す方式のものである。塗料配管16の先端には、図5に示すように一つの塗料入口61と複数の塗料出口62a〜62e(図では5つ)を有する分配器6が接続され、塗料タンク9から押し出された塗料は、分配器6の塗料入口61から流入したのち5つの塗料出口62a〜62eから均等に流出する。一つの塗料出口、たとえば62aには塗料配管5aが接続され、この塗料配管5aの他端は一つの塗装機1に対して設けられたカラーチェンジバルブユニット3の切替弁32に接続されている。このようにして、分配器6の5つの塗料出口62a〜62eにそれぞれ接続された塗料配管5a〜5eの他端は5台の塗装機(図4には塗装機1のみを示す。)に設けられたそれぞれのカラーチェンジバルブユニット3の切替弁32に接続されている。
【0005】
そして、塗料タンク9の塗料Aを塗装ガン1へ導くには、塗料タンク9内に圧縮エアーを導入して塗料タンク9内の塗料Aを分配器6へ押し出す。これにより、塗料は分配器6の塗料入口61から流入して5つの塗料出口62a〜62eに至り、ここから5台の塗装機1に設けられたカラーチェンジバルブユニット3へ送られることになる。
【0006】
ここで、塗料Aの塗装を終了して次色が塗料A以外の塗料であるときは、いわゆる色替え操作が実行されるが、分配器6とカラーチェンジバルブユニット3との間の塗料配管5a〜5eには多量の塗料Aが残留しており、これを回収するために塗料配管5a〜5eにピグ10a〜10eが用いられている。すなわち、分配器6とカラーチェンジバルブユニット3の切替弁32との間の塗料配管5a〜5e内を往復するピグ10a〜10eを設け、その塗料の塗装が終了したらカラーチェンジバルブユニット3の切替弁32側から分配器6へ向かってピグ10a〜10eを移動させ、ここに残留した塗料Aを塗料タンク9へ回収する。
【0007】
しかしながら、分配器6を用いて複数のカラーチェンジバルブユニット3へ同時に塗料を供給するシステムでは、5つの塗料出口62a〜62eに印加される塗料圧は塗料タンク9に導入される圧縮エアーによって一義的に定まるので、5つの塗装機1のうちたとえば1台のみを先行して色替え操作することはできない。すなわち、4台の塗装機1に対して塗料Aを供給しながら残りの1つのカラーチェンジバルブユニット3から分配器6へ向かってピグ(たとえば10a)を移動させると、このピグ10aによる塗料の戻り圧が他の4つの塗料配管5に加算されることになるので、当該他の4つの塗料配管5に導入される塗料圧が変動してしまう。
【0008】
このため、この種のシステムでは、分配器6に接続された5台の塗装機1による塗装が全て終了しないと色替え操作を実行できないといった問題があった。ところが、5台の塗装機1は塗装ブースの入口から出口に向かって順次配置され、被塗物は定速コンベアにより搬送されるので、入口側の塗装機1から塗装作業が開始されるとともに入口側の塗装機1から塗装作業が終了する。したがって、全ての塗装機1の塗装作業が終了しないと色替え操作を実行できないとすると、次色塗料の塗装を開始する間に待ち時間が発生してしまい、生産性を著しく低下させることになる。
【特許文献1】特開2002−126608号公報
【発明の開示】
【0009】
本発明は、生産性を低下させることなく塗料の供給と塗料の回収を同時に行うことができる塗料供給装置及び方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の塗料供給装置は、複数の塗装ガンと、前記それぞれの塗装ガンに接続されたカラーチェンジバルブユニットと、前記カラーチェンジバルブユニットから送られる塗料を前記塗装ガンへ送る塗料ポンプと、密閉空間に塗料を収容する塗料タンクと、前記塗料タンク内に圧縮流体を供給する圧縮流体供給手段と、前記塗料タンク内の塗料を導入する一つの塗料入口と前記塗料入口に連通して開口する複数の塗料出口とを有する分配器と、前記分配器のそれぞれの塗料出口と前記それぞれのカラーチェンジバルブユニットとを接続する塗料配管と、前記それぞれの塗料配管内を往復移動するピグと、前記ピグを前記カラーチェンジバルブユニット側から前記分配器側へ移動させるピグ移動手段と、を有する塗料供給装置において、前記分配器内の塗料圧力を検出する分配器圧力検出手段と、前記ピグ移動手段により前記ピグをカラーチェンジバルブ側から分配器側へ移動させる際に、前記分配器圧力検出手段により検出された分配器内の塗料圧力が一定になるように、前記ピグ移動手段と前記圧縮流体供給手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明の塗料供給方法は、複数の塗装ガンと、前記それぞれの塗装ガンに接続されたカラーチェンジバルブユニットと、前記カラーチェンジバルブユニットから送られる塗料を前記塗装ガンへ送る塗料ポンプと、密閉空間に塗料を収容する塗料タンクと、前記塗料タンク内に圧縮流体を供給する圧縮流体供給手段と、前記塗料タンク内の塗料を導入する一つの塗料入口と前記塗料入口に連通して開口する複数の塗料出口とを有する分配器と、前記分配器のそれぞれの塗料出口と前記それぞれのカラーチェンジバルブユニットとを接続する塗料配管と、前記それぞれの塗料配管内を往復移動するピグと、前記ピグを前記カラーチェンジバルブユニット側から前記分配器側へ移動させるピグ移動手段と、を有する塗料供給装置を用いた塗料の供給方法において、前記分配器内の塗料圧力を検出する分配器圧力検出ステップと、前記ピグ移動手段により前記ピグをカラーチェンジバルブ側から分配器側へ移動させる際に、前記分配器圧力検出ステップにより検出された分配器内の塗料圧力が一定になるように、前記ピグ移動手段と前記圧縮流体供給手段を制御するステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明では、分配器を介して複数のカラーチェンジバルブユニットに塗料を供給したのち、分配器とカラーチェンジバルブユニットとを接続する塗料配管内の残留塗料(前色塗料)を、それぞれのピグを用いて順番に塗料タンクへ回収する。このとき、前色塗料の供給を継続している塗料配管の塗料圧力が変動しないように、ピグ移動手段と圧縮流体供給手段を制御する。すなわち、ピグが回収しようとする塗料配管内をカラーチェンジバルブユニットから分配器へ移動するためにピグ移動手段による押圧力を高くする一方で、塗料タンク内に印加する圧縮流体圧力を調節する。これにより、前色塗料の供給を一定圧力で継続しながら、塗装が終了した塗料配管の残留塗料を回収することができるので、待機時間を発生させることなく円滑なタイミングで次色塗料の塗装を開始することができ、その結果、生産性の低下が防止できる。
【発明の実施の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る塗料供給装置の実施形態を示すブロック図、図2は本発明に係る塗料供給装置を用いた塗装ブースを示す平面図、図3は本発明に係る塗料供給装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0013】
本例の塗料供給装置は、塗装ガン1と、この塗装ガン1に塗料を定量的に圧送するための塗料ポンプ2(たとえばギヤポンプ)と、多種類の塗料の中から塗装ガン1へ供給する塗料を選択するためのカラーチェンジバルブユニット(以下、CCVとも言う。)3と、このCCV3から供給される塗料を塗装ガン1へ導くための塗料配管4とを有する。
【0014】
図1に示す塗装ガン1は、図2に示すように、たとえば塗装ブース21内に設置された塗装ロボット(20a〜20d)1基に対して1台装着され、また手吹きゾーンの作業者20eに対して1台配置されている。こうした塗装ガン1が装着された塗装ロボット20a〜20dと作業者20eが塗装ブース21内に、被塗物であるボディB1〜B5の搬送方向に沿って順番に、千鳥状に設けられている。したがって、上流側の作業者20eから塗装が開始され、作業者20e→塗装ロボット20a→塗装ロボット20d→塗装ロボット20b→塗装ロボット20cの順番で塗装が開始される。そして、塗装を終了する際もこの順番で順次終了する。
【0015】
CCV3は、マニホールド31に複数(同図では8個)の切替弁32a〜32hが設けられて構成され、切替弁32hを除く各切替弁32a〜32gには塗料が供給され、何れか一つの切替弁32a〜32gを選択することでマニホールド31内にその塗料が供給され、塗料配管4を介して塗料ポンプ2により塗装ガン1へ供給される。なお、切替弁32hにはCCV3から塗装ガン1までの塗料流路を洗浄するための洗浄液及びエアーが供給され、洗浄液の供給とエアーの供給を繰り返すことで色替え時の配管洗浄が行われる。
【0016】
塗料が供給される切替弁32a〜32gを代表して、図1に切替弁32gの詳細構造を示す。切替弁32g以外の切替弁32a〜32fは、この切替弁32gと同じように構成することができ、またこれに代えて塗料タンクからのメイン供給配管を直接切替弁32a〜32fに接続しても良い。
【0017】
代表的に示す切替弁32gには、塗料配管5aの一端が接続され、この塗料配管5aの他端に接続された分配器6Aまたは6Bを介して塗料タンク9Aまたは9Bから塗料が供給される。また、切替弁32gには配管7を介して洗浄液及び圧縮エアーが供給され、この配管7の途中に供給される圧縮エアーの圧力を制御するための制御バルブ8が設けられている。
【0018】
本例の塗料供給装置は、たとえば生産台数が少ない塗色に適用して好ましいもので、そのために図2に示す例では塗料Aを収容した塗料タンク9A、塗料Bを収容した塗料タンクB、塗料Cを収容した塗料タンクCを塗装ブース21の近傍に設け、それぞれの塗料タンク9A,9B,9Cから3つの分配器6A,6B,6Cを介して、共通の塗料配管5a〜5eにより、4台の塗装ロボット20a〜20dのそれぞれの塗装機1と、作業者20eの塗装機に塗料を供給する。なお、図1には分配器6A、6Bの2つのみを示し、図2には分配器6Aの1つのみを示す。
【0019】
1つの塗料タンク9A〜9Cに対して1つ設けられる分配器6A〜6Cは、図5に示すように1つの塗料入口61と複数の塗料出口62a〜62e(図では5つ)を有し、塗料タンク9A〜9Cから押し出された塗料は、分配器6A〜6Cの塗料入口61から流入したのち5つの塗料出口62a〜62eから均等に流出する。そして、図1に示すように、1つの塗料出口62a〜62eのそれぞれには塗料配管5a〜5eが接続され、この塗料配管5a〜5eの他端は5台の塗装機1それぞれに対して設けられたカラーチェンジバルブユニット3a〜3e(図1には3aのみを示す。)の切替弁32gに接続されている。
【0020】
塗料タンク9A〜9C(図1には9A及び9Bのみを示す。)のそれぞれは密閉型タンクであって、図1に示す1つの塗料タンク9Aを例に挙げて説明すると、塗料Aが収容されたタンク9A内の空間に、圧縮流体供給手段15Aから圧縮エアーを供給し、これにより圧力が印加された塗料Aは塗料配管16Aを介して分配器6Aへ押し出されたのち、この塗料Aは分配器6Aの塗料入口61から流入して5つの塗料出口62a〜62eに至り、塗料配管5a〜5eを介して5台の塗装機1に設けられたカラーチェンジバルブユニット3a〜3eへ送られることになる。
【0021】
なお、圧縮流体供給手段15A〜15Cは、塗料タンク9A〜9C内に供給する圧縮エアーの圧力を、たとえば圧力制御バルブなどにより制御することができる。また、それぞれの塗料タンク9A〜9Cにはタンク内の圧縮エアー圧力を検出するための圧力計18A〜18C(図1には18A及び18Bのみを示す。)が設けられ、この圧力計により検出された圧縮エアー圧力は制御手段17A〜17C(図1には17Aのみを示す。)に送出される。同様に、それぞれの分配器6A〜6Cには分配器内の塗料圧力を検出するための圧力検出手段13A〜13C(図1には13Aのみを示す。)が設けられ、この圧力検出手段13A〜13Cにより検出された塗料圧力は制御手段17A〜17Cに送出される。なお、制御手段17A〜17Cによる制御手順は後述する。
【0022】
本例では、分配器6A〜6Cとカラーチェンジバルブユニット3a〜3eの切替弁32gとの間を接続する塗料配管5a〜5eのそれぞれに、ピグ10a〜10eが設けられ、この間に残留した前色塗料を塗料タンク9A〜9Cへ回収する。このため、分配器6A〜6Cに一方のピグステーション11が設けられ、CCV3a〜3eのそれぞれ切替弁32gに他方のピグステーション12が設けられ、これら2つのピグステーション11,12間を移動可能に構成されている。
【0023】
本例のピグ10a〜10eは、塗装を終了した際に切替弁32gのピグステーション12から分配器6A〜6Cのピグステーション11に向かって移動する際に塗料配管5a〜5eに残留した前色塗料を塗料タンク9A〜9Cの何れかへ回収するが、このピグ10a〜10eの移動は、ピグ移動手段14A〜14C(図1には14Aのみを示す。)から圧縮エアーを所定の圧力で供給することにより行われる。
【0024】
制御手段17A〜17Cは、分配器圧力検出手段13A〜13Cにより分配器6A〜6C内の塗料圧力を取り込むとともに、圧力計18A〜18Cにより塗料タンク9A〜9C内の圧縮エアー圧力を取り込む。そして、分配器内の塗料圧力が一定になるようにピグ移動手段14A〜14Cと圧縮流体供給手段15A〜15Cを制御する。
【0025】
次に動作を説明する。
【0026】
ここでは、図1に示す塗料タンク9Aに収容された塗料A(たとえば、ホワイト。前色塗料に相当する。)を、分配器6Aを介して塗装ガン1へ供給したのち、塗料タンク9Bに収容された塗料B(たとえば、シルバー。次色塗料に相当する。)を、分配器6Bを介して塗装機1へ供給する場合を例に挙げて説明する。図3はその際のタイムチャートである。
【0027】
まず、ピグ10a〜10eはそれぞれ分配器6A〜6C側のピグステーション11に収容された状態となる。また、CCV3a〜3eそれぞれの切替弁62g以外の切替弁は全て閉状態となり、この切替弁32gは塗料配管5a〜5eを介して送られてくる塗料Aをマニホールド31へ導くように切り替えられている。そして、圧縮流体供給手段15Aにより塗料Aが収容された塗料タンク9A内を加圧することで塗料配管16Aに塗料Aを押し出すと、塗料Aは分配器6Aに至り、その塗料出口62a〜62eから、ピグ10a〜10eを押しながらCCV3a〜3eの切替弁32gに至り、ここで塗料ポンプ2を作動させることで塗料Aはさらにマニホールド31→塗料配管4→塗装ガン1の順に送られ、被塗物に向かって吐出することになる(図3のT1〜T3)。この塗料ポンプ2の作動タイミングは、たとえば塗料Aの供給により移動するピグ10a〜10eがピグステーション12へ到着したことを検出するとともに、図2に示す各塗装ロボット20a〜20d及び作業者20eの塗装位置に被塗物であるボディB1〜B5が到着したことを検出して実行される。このため、図3に示すように塗装ロボット20aに接続された塗料配管5aの塗料タイミングT1〜T3に対して、塗装ロボット20bに接続された塗料配管5bの塗料供給タイミングT2〜T5はボディの搬送時間分だけ遅れている。
【0028】
塗料配管5aに接続された塗装ロボット20aによる塗料Aの塗装が終了すると、カラーチェンジバルブユニット3aから分配器6Aの間の塗料配管5aには前色塗料Aが残留している。このため、ピグ移動手段14Aを操作してピグステーション12にあるピグ10aを分配器6A側のピグステーション11に移動させ、この残留塗料Aを回収する。ここで、ピグステーション12にあるピグ10aには塗料Aの圧力が作用しているので、ピグ移動手段14Aによりこれよりも大きい圧力でピグ10aを押し戻す(図3のT3〜T4)。これと同時に、ピグ10aを押し戻す際には、塗料配管5a内の残留塗料が分配器6Aに戻されるので、その塗料圧力が分配器6Aに付加されることになる。そのため、塗料タンク9Aに印加する圧縮エアー圧力を下げて(図3のT3〜T4)、分配器6A内の塗料圧が一定になるように、制御手段17Aによってピグ移動手段14Aと圧縮流体供給手段15Aとを同時に制御する。このとき、分配器6A内の塗料圧力は分配器圧力検出手段13Aにより参照され、塗料タンク9A内の圧力は圧力計18Aにより参照される。
【0029】
この操作により、まだ塗料Aの供給を継続している塗料配管5b内の塗料圧力が変動することなく塗装機1への供給を行うことができる。
【0030】
なお、塗料配管5bに接続された塗装ロボット20bによる塗料Aの塗装が終了したら、上記と同様の手順で、塗料配管5b内に残留した前色塗料Aを塗料タンク9A側に回収する(図3のT5〜T6)。
【0031】
このように、本例の塗料供給装置は、塗料配管5a〜5eに残留した前色塗料Aを回収しながら塗料の供給も継続できる。
【0032】
次色塗料Bの被塗物が塗装ロボット20aの塗装位置に到着したら、圧縮流体供給手段15B(不図示)により塗料Bが収容された塗料タンク9B内を加圧することで塗料配管16Bに塗料Bを押し出し、次色塗料Bの塗装を開始する(図3のT7〜)。
【0033】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る塗料供給装置の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る塗料供給装置を用いた塗装ブースを示す平面図である。
【図3】本発明に係る塗料供給装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】ピグを用いた塗料供給装置の従来例を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る分配器を示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1…塗装ガン
2…塗料ポンプ
3…CCV(カラーチェンジバルブユニット)
31…マニホールド
32a〜32h…切替弁
4,5,16…塗料配管
6…分配器
61…塗料入口
62a〜62g…塗料出口
7…配管
8…圧力調節バルブ
9…塗料タンク
10…ピグ
11,12…ピグステーション
13…分配器圧力検出手段
14…ピグ移動手段
15…流体圧力供給手段
17…制御手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の塗装ガンと、前記それぞれの塗装ガンに接続されたカラーチェンジバルブユニットと、前記カラーチェンジバルブユニットから送られる塗料を前記塗装ガンへ送る塗料ポンプと、密閉空間に塗料を収容する塗料タンクと、前記塗料タンク内に圧縮流体を供給する圧縮流体供給手段と、前記塗料タンク内の塗料を導入する一つの塗料入口と前記塗料入口に連通して開口する複数の塗料出口とを有する分配器と、前記分配器のそれぞれの塗料出口と前記それぞれのカラーチェンジバルブユニットとを接続する塗料配管と、前記それぞれの塗料配管内を往復移動するピグと、前記ピグを前記カラーチェンジバルブユニット側から前記分配器側へ移動させるピグ移動手段と、を有する塗料供給装置において、
前記分配器内の塗料圧力を検出する分配器圧力検出手段と、
前記ピグ移動手段により前記ピグをカラーチェンジバルブ側から分配器側へ移動させる際に、前記分配器圧力検出手段により検出された分配器内の塗料圧力が一定になるように、前記ピグ移動手段と前記圧縮流体供給手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする塗料供給装置。
【請求項2】
前記塗料タンク内の圧縮流体圧を検出する圧縮流体圧検出手段を有し、前記制御手段は、前記圧縮流体圧検出手段で検出された圧縮流体圧に基づいて前記圧縮流体供給手段を制御することを特徴とする請求項1記載の塗料供給装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記分配器圧力検出手段により検出された塗料圧力以上の圧力で前記ピグを移動させるように前記ピグ移動手段を制御することを特徴とする請求項1または2記載の塗料供給装置。
【請求項4】
複数の塗装ガンと、前記それぞれの塗装ガンに接続されたカラーチェンジバルブユニットと、前記カラーチェンジバルブユニットから送られる塗料を前記塗装ガンへ送る塗料ポンプと、密閉空間に塗料を収容する塗料タンクと、前記塗料タンク内に圧縮流体を供給する圧縮流体供給手段と、前記塗料タンク内の塗料を導入する一つの塗料入口と前記塗料入口に連通して開口する複数の塗料出口とを有する分配器と、前記分配器のそれぞれの塗料出口と前記それぞれのカラーチェンジバルブユニットとを接続する塗料配管と、前記それぞれの塗料配管内を往復移動するピグと、前記ピグを前記カラーチェンジバルブユニット側から前記分配器側へ移動させるピグ移動手段と、を有する塗料供給装置を用いた塗料の供給方法において、
前記分配器内の塗料圧力を検出する分配器圧力検出ステップと、
前記ピグ移動手段により前記ピグをカラーチェンジバルブ側から分配器側へ移動させる際に、前記分配器圧力検出ステップにより検出された分配器内の塗料圧力が一定になるように、前記ピグ移動手段と前記圧縮流体供給手段を制御するステップと、を有することを特徴とする塗料供給方法。
【請求項5】
前記塗料タンク内の圧縮流体圧を検出する圧縮流体圧検出ステップを有し、前記制御ステップは、前記圧縮流体圧検出ステップで検出された圧縮流体圧に基づいて前記圧縮流体供給手段を制御することを特徴とする請求項4記載の塗料供給方法。
【請求項6】
前記制御ステップは、前記分配器圧力検出ステップにより検出された塗料圧力以上の圧力で前記ピグを移動させるように前記ピグ移動手段を制御することを特徴とする請求項4または5記載の塗料供給方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−263528(P2006−263528A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−82791(P2005−82791)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】