説明

塗料組成物及び塗膜形成方法

本発明は、水酸基含有樹脂、硬化剤及び必要に応じて不飽和化合物を含有する組成物に、マレイミド基含有モノマーとその他のモノマーとの共重合体又は特定のマレイミド化合物を配合せしめてなる熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物、並びに該塗料組成物を用いる塗膜形成方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、塗料組成物及び塗膜形成方法に関する。
【背景技術】
従来、自動車、二輪車等の車体に塗膜を形成する方法としては、被塗物である車体に、水酸基含有アクリル樹脂等の熱硬化性官能基含有樹脂及びメラミン樹脂等の硬化剤を含有する熱硬化性塗料組成物を塗装後、加熱硬化する方法が、一般に行われている。この方法によれば、耐ガソリン性、付着性等の塗膜性能に優れた塗膜を形成することができる。
近年、上記従来の塗膜形成方法には、省エネルギー性や生産性向上が要望されている。即ち、例えば、一般的な自動車車体塗装ラインの加熱硬化工程においては、通常、140℃程度で40分間程度の加熱が必要であり、コンベア速度を3m/minとした場合、ライン上の乾燥炉の長さにして120m程度が必要となる。そのため、上記加熱硬化工程における加熱時間の短縮による省スペース、省エネルギー等が要望されている。また、加熱時間の短縮は、環境問題の原因となるCO、煤等を減少させる点からも好ましい。
また、最近、外観が重視される自動車車体に塗装された塗膜に対して、洗車機による擦り傷、鍵穴周辺の引っ掻き傷等の損傷抑制の要求が高まっている。そこで、自動車車体等に、耐擦り傷性や耐引っ掻き傷性に優れた塗膜を形成し得る塗料組成物の開発が重要課題となってきた。
紫外線等の活性エネルギー線硬化型塗料は、加熱工程の短縮又は省略に有効である。例えば、特開平11−124403号及び特開平11−124404号は、紫外線照射によって硬化するマレイミド誘導体を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を開示している。しかし、このような塗料を用いて、自動車車体等の塗装をした場合、塗膜硬化にかかる時間短縮、塗装設備の縮小化等は図り得るものの、硬化が不十分であるため、耐擦り傷性、耐引っ掻き傷性、耐ガソリン性、付着性等の塗膜性能に優れた塗膜を得ることは困難であった。
また、特開2001−220536号及び特開2002−320910号は、不飽和二重結合及びマレイミド基を有する単量体、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル及び(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルを共重合したアクリル系樹脂を含有する活性エネルギー線硬化性塗料組成物及びその塗装方法を開示している。しかし、この塗料又は塗装方法による場合にも、塗膜硬化にかかる時間短縮、塗装設備の縮小化等は図り得るものの、硬化が不十分であるため、耐擦り傷性、耐引っ掻き傷性、耐ガソリン性、付着性等の塗膜性能に優れた自動車車体用等に適した塗膜は得られなかった。
【発明の開示】
本発明の目的は、塗膜形成時に、塗膜硬化のための加熱時間を短縮できることにより、省スペース、省エネルギーに寄与でき、又環境問題の原因となるCO等を減少させることができ、しかも耐擦り傷性、耐引っ掻き傷性、耐ガソリン性、付着性等の塗膜性能に優れる塗料組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記塗料組成物を用いる塗膜形成方法を提供することにある。
本発明のその他の目的及び特徴は、以下の記載により、明らかにされるであろう。
本発明者は、上記目的を達成すべく、鋭意研究した。その結果、水酸基含有樹脂、硬化剤及び必要に応じて不飽和化合物を含有する組成物に、マレイミド基含有モノマーとその他のモノマーとの共重合体又は特定のマレイミド化合物を配合せしめてなる熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物によれば、上記目的を達成できることを見出した。本発明は、かかる新たな知見に基づいて完成されたものである。
本発明は、以下の塗料組成物及びこれを用いる塗膜形成方法を提供する。
1.(A)水酸基含有樹脂、
(B)マレイミド基含有モノマー(a)とその他のモノマーとをラジカル共重合して得られるマレイミド基含有共重合体、
(C)硬化剤、並びに
(D)ラジカル重合性不飽和モノマー、ラジカル重合性不飽和基含有樹脂並びにラジカル重合性不飽和基及び熱硬化性官能基含有樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の不飽和化合物
を含有してなる熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物。
2.水酸基含有樹脂(A)が、多塩基酸(b)と多価アルコール(c)とをエステル化して得られ、多塩基酸(b)と多価アルコール(c)の合計量中、脂環式多塩基酸(b1)及び/又は脂環式多価アルコール(c1)を20重量%以上含有する水酸基ポリエステル樹脂である上記項1に記載の塗料組成物。
3.共重合体(B)で用いるマレイミド基含有モノマー(a)が、一般式(1)

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)で表されるテトラヒドロフタルマレイミド(メタ)アクリレートである上記項1に記載の塗料組成物。
4.硬化剤(C)が、ポリイソシアネート化合物である上記項1に記載の塗料組成物。
5.硬化剤(C)が、ポリイソシアネート化合物とメラミン樹脂との組み合わせである上記項1に記載の塗料組成物。
6.水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の割合が、これらの合計に基づいて、水酸基含有樹脂(A)が20〜60重量%であり、共重合体(B)が10〜45重量%であり、硬化剤(C)が5〜50重量%であり、且つ、不飽和化合物(D)の割合が、水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の合計100重量部に対して1〜50重量部である、上記項1に記載の塗料組成物。
7.さらに、(F)光重合開始剤を、水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部含有してなる上記項1に記載の塗料組成物。
8.自動車車体又はその部品用のクリヤ塗料組成物である上記項1に記載の塗料組成物。
9.(A)水酸基含有樹脂、
(C)硬化剤、及び
(E)一般式(2)

(式中、mは1〜6の整数を示し、nは1〜17の整数を示す。数平均分子量は2,000以下である。)で表されるマレイミド化合物
を含有してなる熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物。
10.水酸基含有樹脂(A)が、多塩基酸(b)と多価アルコール(c)とをエステル化して得られ、多塩基酸(b)と多価アルコール(c)の合計量中、脂環式多塩基酸(b1)及び/又は脂環式多価アルコール(c1)を20重量%以上含有する水酸基ポリエステル樹脂である上記項9に記載の塗料組成物。
11.硬化剤(C)が、ポリイソシアネート化合物である上記項9に記載の塗料組成物。
12.硬化剤(C)が、ポリイソシアネート化合物とメラミン樹脂との組み合わせである上記項9に記載の塗料組成物。
13.水酸基含有樹脂(A)及び硬化剤(C)の割合が、これらの合計に基づいて、水酸基含有樹脂(A)が60〜90重量%であり、硬化剤(C)が10〜40重量%であり、且つ、マレイミド化合物(E)の割合が、水酸基含有樹脂(A)及び硬化剤(C)の合計100重量部に対して1〜50重量部である、上記項9に記載の塗料組成物。
14.さらに、(D)ラジカル重合性不飽和モノマー、ラジカル重合性不飽和基含有樹脂並びにラジカル重合性不飽和基及び熱硬化性官能基含有樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の不飽和化合物を、水酸基含有樹脂(A)及び硬化剤(C)の合計100重量部に対して、1〜50重量部含有してなる上記項9に記載の塗料組成物。
15.さらに、(F)光重合開始剤を、水酸基含有樹脂(A)及び硬化剤(C)の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部含有してなる上記項9に記載の塗料組成物。
16.自動車車体又はその部品用のクリヤ塗料組成物である上記項9に記載の塗料組成物。
17.(A)水酸基含有樹脂、
(B)マレイミド基含有モノマー(a)とその他のモノマーとをラジカル共重合して得られるマレイミド基含有共重合体、
(C)硬化剤、並びに
(E)一般式(2)

(式中、mは1〜6の整数を示し、nは1〜17の整数を示す。数平均分子量は2,000以下である。)で表されるマレイミド化合物
を含有してなる熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物。
18.水酸基含有樹脂(A)が、多塩基酸(b)と多価アルコール(c)とをエステル化して得られ、多塩基酸(b)と多価アルコール(c)の合計量中、脂環式多塩基酸(b1)及び/又は脂環式多価アルコール(c1)を20重量%以上含有する水酸基ポリエステル樹脂である上記項17に記載の塗料組成物。
19.共重合体(B)で用いるマレイミド基含有モノマー(a)が、一般式(1)

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)で表されるテトラヒドロフタルマレイミド(メタ)アクリレートである上記項17に記載の塗料組成物。
20.硬化剤(C)が、ポリイソシアネート化合物である上記項17に記載の塗料組成物。
21.硬化剤(C)が、ポリイソシアネート化合物とメラミン樹脂との組み合わせである上記項17に記載の塗料組成物。
22.水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の割合が、これらの合計に基づいて、水酸基含有樹脂(A)が20〜60重量%であり、共重合体(B)が10〜45重量%であり、硬化剤(C)が5〜50重量%であり、且つ、マレイミド化合物(E)の割合が、水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の合計100重量部に対して1〜50重量部である、上記項17に記載の塗料組成物。
23.さらに、(D)ラジカル重合性不飽和モノマー、ラジカル重合性不飽和基含有樹脂並びにラジカル重合性不飽和基及び熱硬化性官能基含有樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の不飽和化合物を、水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の合計100重量部に対して1〜50重量部含有してなる上記項17に記載の塗料組成物。
24.さらに、(F)光重合開始剤を、水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部含有してなる上記項17に記載の塗料組成物。
25.自動車車体又はその部品用のクリヤ塗料組成物である上記項17に記載の塗料組成物。
26.被塗物に、1層又は2層の着色ベースコート及び1層又は2層のクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法であって、そのトップクリヤコートを形成する塗料組成物が上記項1に記載の塗料組成物であることを特徴とする塗膜形成方法。
27.被塗物に、着色ベースコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である上記項26に記載の塗膜形成方法。
28.被塗物に、着色ベースコート、クリヤコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である上記項26に記載の塗膜形成方法。
29.被塗物に、第一着色ベースコート、第二着色ベースコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である上記項26に記載の塗膜形成方法。
30.被塗物が、自動車車体又はその部品である上記項26に記載の塗膜形成方法。
31.上記項30に記載の塗膜形成方法により、塗膜が形成された自動車車体又はその部品。
32.被塗物に、1層又は2層の着色ベースコート及び1層又は2層のクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法であって、そのトップクリヤコートを形成する塗料組成物が上記項9に記載の塗料組成物であることを特徴とする塗膜形成方法。
33.被塗物に、着色ベースコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である上記項32に記載の塗膜形成方法。
34.被塗物に、着色ベースコート、クリヤコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である上記項32に記載の塗膜形成方法。
35.被塗物に、第一着色ベースコート、第二着色ベースコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である上記項32に記載の塗膜形成方法。
36.被塗物が、自動車車体又はその部品である上記項32に記載の塗膜形成方法。
37.上記項36に記載の塗膜形成方法により、塗膜が形成された自動車車体又はその部品。
38.被塗物に、1層又は2層の着色ベースコート及び1層又は2層のクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法であって、そのトップクリヤコートを形成する塗料組成物が上記項17に記載の塗料組成物であることを特徴とする塗膜形成方法。
39.被塗物に、着色ベースコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である上記項38に記載の塗膜形成方法。
40.被塗物に、着色ベースコート、クリヤコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である上記項38に記載の塗膜形成方法。
41.被塗物に、第一着色ベースコート、第二着色ベースコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である上記項38に記載の塗膜形成方法。
42.被塗物が、自動車車体又はその部品である上記項38に記載の塗膜形成方法。
43.上記項42に記載の塗膜形成方法により、塗膜が形成された自動車車体又はその部品。
熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物
本発明の熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物は、(A)水酸基含有樹脂、硬化剤(C)及び必要に応じて不飽和化合物(D)を含有する組成物に、マレイミド基含有モノマー(a)とその他のモノマーとの共重合体(B)又は特定のマレイミド化合物(E)を配合してなる組成物である。
本発明塗料組成物は、以下の熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物(I)、熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物(II)、及び熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物(III)に分けることができる。
熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物(I)
熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物(I)は、水酸基含有樹脂(A)、マレイミド基含有モノマー(a)とその他のモノマーとをラジカル共重合反応して得られるマレイミド基含有共重合体(B)、硬化剤(C)、並びにラジカル重合性不飽和モノマー、ラジカル重合性不飽和基含有樹脂並びにラジカル重合性不飽和基及び熱硬化性官能基含有樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の不飽和化合物(D)を含有してなる組成物である。
水酸基含有樹脂(A)
水酸基含有樹脂(A)は、1分子中に2個以上の水酸基を有する樹脂である。樹脂(A)は、必要に応じてカルボキシル基を有していてもよい。樹脂(A)の具体例としては、水酸基含有ポリエステル樹脂、水酸基含有アクリル樹脂等が挙げられる。
水酸基含有ポリエステル樹脂は、多塩基酸(b)と多価アルコール(c)とを常法により、エステル化反応することによって得られる。エステル化反応の方法としては、直接エステル化法又はエステル交換法を採用できる。
上記多塩基酸(b)としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、テトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸等の二塩基酸:二塩基酸の低級アルキルエステル;無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、無水ピロメリット酸などの3価以上の多塩基酸等を挙げることができる。
上記多塩基酸(b)の内、脂環式多塩基酸(b1)を使用するのが好ましい。脂環式多塩基酸としては、1分子中に1〜2個の4〜6員環程度の脂環式構造と2個以上のカルボキシル基を有するものを好ましく使用できる。脂環式多塩基酸(b1)としては、例えば、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、テトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、及びこれらの無水物等が挙げられる。脂環式多塩基酸の内、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸が特に好ましい。
多塩基酸(b)としては、上記二塩基酸及びその低級アルキルエステルから選ばれる1種以上が主として用いられ、必要に応じて、3価以上の多塩基酸が併用される。また、必要ならば、上記多塩基酸に、安息香酸、クロトン酸、p−t−ブチル安息香酸などの一塩基酸を、分子量調整などの目的で併用することができる。更には、ヤシ油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸等の油脂肪酸を使用することも可能である。
多価アルコール(c)としては、1分子中に2個の水酸基を有する二価アルコール、1分子中に3個以上の水酸基を有する多価アルコールを使用することができる。
二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3−メチル−4,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルなどのグリコール類;これらのグリコール類にε−カプロラクトンなどのラクトン類を付加したポリラクトンジオール;ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレートなどのポリエステルジオール類;シクロヘキサン−1,4−ジメチロール、水添ビスフェノールA、スピログリコール、ジヒドロキシメチルトリシクロデカン等の脂環式二価アルコールなどが挙げられる。
1分子中に3個以上の水酸基を有する多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトールなどが挙げられる。
上記多価アルコール(c)の内、脂環式多価アルコール(c1)を使用するのが好ましい。脂環式多価アルコールとしては、1分子中に1〜2個の4〜6員環程度の脂環式構造と2個以上の水酸基を有する脂環式多価アルコールを好ましく使用できる。脂環式多価アルコール(c1)としては、例えば、シクロヘキサン−1,4−ジメチロール、水添ビスフェノールA、スピログリコール、ジヒドロキシメチルトリシクロデカンなどが挙げられる。脂環式多価アルコールの内、シクロヘキサン−1,4−ジメチロールが特に好ましい。
さらに、ポリエステル樹脂として、樹脂を製造する際に用いる多塩基酸(b)と多価アルコール(c)の固形分合計量に対して、脂環式多塩基酸(b1)及び脂環式多価アルコール(c1)からなる群から選ばれる少なくとも一種の割合が20重量%程度以上、好ましくは30〜70重量%程度、さらに好ましくは40〜65重量%程度であるポリエステル樹脂を使用することによって、塗膜の耐擦り傷性(耐洗車傷性を含む)、耐引っ掻き傷性等が更に向上する。
水酸基含有ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、500〜500,000程度が好ましく、1,000〜100,000程度がより好ましく、2,000〜50,000程度が更に好ましい。また、該樹脂の水酸基価は、20〜800mgKOH/g程度が好ましく、80〜200mgKOH/g程度がより好ましい。該樹脂の酸価は、4〜200mgKOH/g程度が好ましく、4〜100mgKOH/g程度がより好ましい。
次に、水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基含有アクリルモノマーとその他のモノマーをラジカル重合反応して得られる共重合体樹脂である。
水酸基含有モノマーは,1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物である。該モノマーとしては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの炭素数2〜20のグリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物などが挙げられる。
水酸基含有モノマー以外のその他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜22のアルキルエステル、(メタ)アクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル、アミノアクリル系モノマー、アクリルアミド系モノマー、エポキシ基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、1分子中にイソシアネート基及び重合性不飽和基を併存するモノマー等を使用することができる。
上記(メタ)アクリル酸の炭素数1〜22のアルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステルとしては、例えば、メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミノアクリル系モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アクリルアミド系モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド等が挙げられる。
エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、メサコン酸、及びこれらの無水物やハーフエステル化物等が挙げられる。
1分子中にイソシアネート基及び重合性不飽和基を併存するモノマーとしては、例えば、イソシアネートエチルメタクリレート、m−イソプロペニル−α,α´−ジメチルベンジルイソシアネート(通称、m−TMI)等を挙げることができる。
更に、水酸基含有モノマー以外のその他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、「ベオバ9」及び「ベオバ10」(商品名、いずれもジャパンエポキシレジン(株)製、バーサティック酸の不飽和ビニル化物)等を使用することもできる。
水酸基含有モノマー以外のその他のモノマーは、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
上記の水酸基含有アクリル樹脂の数平均分子量は、1,000〜50,000程度が好ましく、2,000〜20,000程度がより好ましい。また、該樹脂の水酸基価は20〜200mgKOH/g程度が好ましく、50〜150mgKOH/g程度がより好ましい。
マレイミド基含有共重合体(B)
共重合体(B)は、マレイミド基含有モノマー(a)とその他のモノマーをラジカル共重合反応して得られるマレイミド基含有共重合体である。
マレイミド基含有モノマー(a)は、一般式(3)

(式中、RおよびRは、独立して、水素原子もしくは炭素数4以下のアルキル基を示すか、又はRとRが互いに結合して5員もしくは6員の炭化水素環を形成していてもよい。)で表されるマレイミド基及び重合性不飽和基を有するモノマーであるのが好ましい。
およびRで示される炭素数4以下のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基等を挙げることができる。また、RとRが互いに結合して形成する5員又は6員の炭化水素環としては、シクロペンチル環、シクロヘキシル環等を挙げることができる。
マレイミド基含有モノマー(a)の中でも、一般式(4)

(式中、RおよびRは前記の通り。Rは分枝していてもよいアルキレン基又はアルケニレン基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、nは1〜6の整数を示す。)で表されるマレイミド(メタ)アクリレートがより好ましい。
で示される分枝していてもよいアルキレン基としては、例えば、エチレン、トリメチレン、プロピレン基等の炭素数2〜4の低級アルキレン基が好ましい。また、Rで示される分枝していてもよいアルケニレン基としては、例えば、ビニレン、プロペニレン、ビニリデン基等の炭素数2〜4の低級アルケニレン基が好ましい。
一般式(4)で表されるモノマーの中でも、下記一般式(1)

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)で表されるテトラヒドロフタルマレイミド(メタ)アクリレートを用いることが、得られる共重合体(B)を用いた組成物の耐擦り傷性(耐洗車傷性を含む)、耐引っ掻き傷性、耐ガソリン性、付着性等の塗膜性能の向上には、特に好ましい。
マレイミド基含有モノマー(a)以外のその他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜22のアルキルエステル、(メタ)アクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル、アミノアクリル系モノマー、アクリルアミド系モノマー、エポキシ基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、1分子中にイソシアネート基及び重合性不飽和基を併存するモノマー等を使用することができる。これらのモノマーの具体例は、前記水酸基含有アクリル樹脂におけるその他のモノマーとして例示したものと同様である。
また、マレイミド基含有モノマー(a)以外のその他のモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの炭素数2〜20のグリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物などの1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する水酸基含有モノマーを使用することもできる。
更に、マレイミド基含有モノマー(a)以外のその他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、「ベオバ9」及び「ベオバ10」(商品名、いずれもジャパンエポキシレジン(株)製、バーサティック酸の不飽和ビニル化物)等を使用することもできる。
マレイミド基含有モノマー(a)以外のその他のモノマーは、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
また、共重合体(B)として、マレイミド基含有モノマー(a)とその他のモノマーをラジカル共重合して得られる共重合体に、さらに不飽和基を導入した共重合体を用いることもできる。
不飽和基の導入方法としては、例えば、以下の(1)〜(4)の方法が挙げられる。各方法における各モノマーとしては、いずれも前記したものを使用できる。
(1)マレイミド基含有モノマー(a)と、水酸基含有モノマーを含むその他のモノマーとをラジカル共重合して共重合体を得た後、次に該共重合体の水酸基の一部又は全部に、1分子中にイソシアネート基及び重合性不飽和基を併存するモノマーを、ウレタン化反応により付加する方法。
(2)1分子中にイソシアネート基及び重合性不飽和基を併存するモノマー、マレイミド基含有モノマー(a)及びその他のモノマーをラジカル共重合して共重合体を得た後、次に該共重合体のイソシアネート基の一部又は全部に、水酸基含有モノマーをウレタン化反応にて、付加する方法。
(3)マレイミド基含有モノマー(a)と、エポキシ基含有モノマーを含むその他のモノマーとをラジカル共重合して共重合体を得た後、次に該共重合体のエポキシ基の一部又は全部に、カルボキシル基含有モノマーを、酸−エポキシ反応にて、付加する方法。
(4)マレイミド基含有モノマー(a)と、カルボキシル基含有モノマーを含むその他のモノマーとをラジカル共重合して共重合体を得た後、次に該共重合体のカルボキシル基の一部又は全部に、エポキシ基含有モノマーを、酸−エポキシ反応にて、付加する方法。
共重合体(B)は、ラジカル重合開始剤の存在下、マレイミド基含有モノマー(a)とその他のモノマーとをラジカル共重合し、必要に応じて更に不飽和結合を導入することにより、合成できる。重合方法としては、塊状重合、水性媒体中での懸濁重合又は乳化重合、有機溶剤中での溶液重合等の方法を採用できる。
上記共重合体(B)の合成において、マレイミド基含有モノマー(a)とその他のモノマーの配合割合としては、全モノマーの固形分合計に対して、マレイミド基含有モノマー(a)が1〜50重量%程度、その他のモノマーが99〜50重量%程度の範囲が好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシピバレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機過酸化物等が使用できる。その使用量は、全単量体量に対し0.1〜10重量%程度が好ましい。
共重合体(B)は、数平均分子量で1,000〜1,000,000程度であることが好ましい。また、共重合体(B)を有機溶液可溶型の塗料用ポリマーとして使用する場合は、数平均分子量が3,000〜30,000程度であることがより好ましい。更に、共重合体(B)を水性媒体に乳化・懸濁して使用する場合は、数平均分子量が10,000〜500,000程度であることがより好ましい。
硬化剤(C)
硬化剤(C)は、水酸基含有樹脂(A)が有する水酸基及び化合物(D)が有する熱硬化性官能基と架橋反応する化合物である。
硬化剤(C)としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂などを用いることができる。
耐擦り傷性、塗膜硬度、付着性等により優れた塗膜を得る観点から、ポリイソシアネート化合物を単独使用するか、又はポリイソシアネート化合物とメラミン樹脂とを適宜組み合わせて併用することが、好ましい。ポリイソシアネート化合物とメラミン樹脂とを併用する場合は、目的とする性能に応じて、固形分重量比で、ポリイソシアネート化合物/メラミン樹脂=10/90〜90/10程度の範囲で用いることができる。
ポリイソシアネート化合物は、1分子中に2個以上の遊離のイソシアネート基を有する化合物であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトカプロエート、3−イソシアナトメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート(通称、トリアミノノナントリイソシアネート)等の3価以上の有機ポリイソシアネートを挙げることができる。
また、上記ポリイソシアネート化合物の2量体又は3量体;ポリイソシアネート化合物と多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂、水等とをイソシアネート基が過剰の条件でウレタン化反応させて得られるプレポリマー等を使用することもできる。
また、上記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック化剤でブロックしたものも用いることができる。ブロック剤としては、例えば、フェノール類;オキシム類;ラクタム類;アルコール類;メルカプタン類;マロン酸ジエチル等の活性メチレン化合物などがあげられる。ブロックポリイソシアネート化合物を用いる場合には、ブロック化剤の解離触媒を併用することが好ましい。
ブロックしていないポリイソシアネート化合物とブロック化ポリイソシアネート化合物とを、併用することもできる。
メラミン樹脂としては、例えば、メチロール化メラミンのメチロール基を炭素数1〜8の1価アルコールでエーテル化したメラミン樹脂を、好ましく使用できる。エーテル化メラミン樹脂は、メチロール化メラミンのメチロール基がすべてエーテル化されているものでもよいし、又部分的にエーテル化され、メチロール基やイミノ基が残存しているものでもよい。また、該メラミン樹脂は、トリアジンが1〜5核体程度で、数平均分子量が300〜2,000程度であることが好ましい。
エーテル化メラミン樹脂の具体例としては、例えば、メチルエーテル化メラミン、エチルエーテル化メラミン、ブチルエーテル化メラミン等のアルキルエーテル化メラミンを挙げることができる。
エーテル化メラミン樹脂は、1種のみ用いてもよいし、又2種以上を併用してもよい。
不飽和化合物(D)
化合物(D)としては、ラジカル重合性不飽和モノマー、ラジカル重合性不飽和基含有樹脂、並びにラジカル重合性不飽和基及び熱硬化性官能基含有樹脂からなる群から選ばれる一種又は二種以上の不飽和化合物を使用する。
ラジカル重合性不飽和モノマーは、1分子中にラジカル重合性不飽和基を1個以上有するモノマーである。該モノマーとしては、ラジカル重合性不飽和基を1個有する1官能重合性モノマー、ラジカル重合性不飽和基を2個有する2官能重合性モノマー及びラジカル重合性不飽和基を3個以上有する3官能以上の重合性モノマーを使用することができる。これらのモノマーの具体例としては、以下のものが挙げられる。
1官能重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドブチルエーテル、アクリロイルモルホリン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
2官能重合性モノマーとして、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。また、2官能重合性モノマーとして、「カヤラッドHX−220」、「カヤラッドHX−620」、「カヤラッドR−604」(いずれもジ(メタ)アクリレート系モノマー)等の商品名で日本化薬(株)から市販されているモノマーも使用できる。
3官能以上の重合性モノマーとして、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ラジカル重合性不飽和モノマーとしては、塗料組成物の硬化性、硬化塗膜の耐擦り傷等の向上の点から、2官能以上の重合性モノマーを使用するのが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基含有樹脂としては、例えば、不飽和アクリル樹脂、不飽和ウレタン樹脂、不飽和エポキシ樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート、不飽和シリコーン樹脂等を使用することができる。
ラジカル重合性不飽和基及び熱硬化性官能基含有樹脂は、1分子中にラジカル重合性不飽和基と熱硬化性官能基を各1個以上有する樹脂である。塗料組成物の硬化性の向上の点から、該不飽和基及び該官能基を、それぞれ複数個有することが好ましい。熱硬化性官能基としては、水酸基、酸基、エポキシ基、イソシアネート基等の官能基を挙げることができる。該酸基としては、カルボキシル基、リン酸基等を挙げることができる。
ラジカル重合性不飽和基及び熱硬化性官能基含有樹脂の具体例としては、例えば、ラジカル重合性不飽和基及び水酸基含有アクリル樹脂、ラジカル重合性不飽和基及びカルボキシル基含有アクリル樹脂、ラジカル重合性不飽和基及びエポキシ基含有アクリル樹脂、ラジカル重合性不飽和基及びイソシアネート基含有アクリル樹脂、ラジカル重合性不飽和基及び水酸基含有ポリエステル樹脂、ラジカル重合性不飽和基及びカルボキシル基含有ポリエステル樹脂、ラジカル重合性不飽和基及びエポキシ基含有クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明の熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物(I)において、上記水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の含有割合は、広い範囲から選択することができる。通常、水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の合計に基づいて、固形分重量比で、樹脂(A)が20〜60重量%程度、共重合体(B)が10〜45重量%程度、硬化剤(C)が5〜50重量%程度の範囲であるのが、該組成物の硬化性、得られる塗膜の耐擦り傷性等が優れる点から、好ましい。樹脂(A)が30〜55重量%程度、共重合体(B)が20〜40重量%程度、硬化剤(C)が10〜40重量%程度の範囲であるのが、より好ましい。
また、不飽和化合物(D)の配合割合は、水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の固形分合計100重量部に対して、1〜50重量部程度の範囲が好ましく、1〜30重量部程度の範囲がより好ましい。50重量部を超えると、塗膜の付着性が不良となるだけでなく、塗料の安定性を損なうので好ましくない。
熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物(II)
熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物(II)は、水酸基含有樹脂(A)、硬化剤(C)、マレイミド化合物(E)を含有する塗料組成物である。水酸基含有樹脂(A)及び硬化剤(C)については、前記塗料組成物(I)に用いたものを同様に使用できる。
マレイミド化合物(E)
マレイミド化合物(E)は、一般式(2)

(式中、mは1〜6の整数を示し、nは1〜17の整数を示す。数平均分子量は2,000以下である。)で表されるマレイミド基を有するポリエーテル系ビスマレイミド酢酸エステル化合物である。
上記マレイミド化合物(E)の数平均分子量は、該組成物の硬化性、得られる塗膜の硬度等が優れる点から、2,000以下のものを使用する。数平均分子量は、好ましくは、500〜1,800程度である。
上記マレイミド化合物(E)を配合したことにより、組成物(II)は、光重合開始剤を添加することなく又は少量の添加にて、紫外線照射により硬化塗膜を得ることができる。
このようなマレイミド化合物(E)を、例えば、クリヤコート用塗料、特に自動車車体又はその部品用のトップクリヤコート用塗料中に含有せしめることによって、塗膜の耐擦り傷性(耐洗車傷性を含む)、耐引っ掻き傷性、耐ガソリン性、付着性等を向上することができ、かつ塗膜の透明性を損なうことがない。
マレイミド化合物(E)の具体例としては、例えば、「LUMICURE MIA200」(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、紫外線硬化型オリゴマー)が挙げられる。
本発明の熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物(II)において、上記水酸基含有樹脂(A)及び硬化剤(C)の含有割合は、広い範囲から選択することができる。通常、水酸基含有樹脂(A)及び硬化剤(C)の合計に基づいて、固形分重量比で、水酸基含有樹脂(A)が60〜90重量%程度、硬化剤(C)が10〜40重量%程度の範囲であるのが、該組成物の硬化性、得られる塗膜の耐擦り傷性等が優れる点から、好ましい。水酸基含有樹脂(A)が70〜85重量%程度、硬化剤(C)が15〜30重量%程度の範囲であるのが、より好ましい。
また、マレイミド化合物(E)の配合割合は、水酸基含有樹脂(A)及び硬化剤(C)の固形分合計100重量部に対して、1〜50重量部程度の範囲が好ましく、5〜30重量部程度の範囲がより好ましい。50重量部を超えると、塗膜の耐擦り傷性、耐引っ掻き傷性、耐ガソリン性、付着性等の向上が望めないばかりか、塗料組成物の安定性を損なうので好ましくない。
熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物(III)
熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物(III)は、水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)、硬化剤(C)及びマレイミド化合物(E)を含有する塗料組成物である。各成分については、前記塗料組成物(I)及び(II)に用いたものを同様に使用できる。
共重合体(B)とマレイミド化合物(E)を併用することによって、塗装ラインにおいて、限られた光照射量及び加熱時間で、耐擦り傷性、耐引っ掻き傷性、耐ガソリン性、付着性等が向上した硬化塗膜を得ることができる。
本発明の熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物(III)において、上記水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の含有割合は、広い範囲から選択することができる。通常、水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の合計に基づいて、固形分重量比で、水酸基含有樹脂(A)が20〜60重量%程度、共重合体(B)が10〜45重量%程度、硬化剤(C)が5〜50重量%程度の範囲であるのが、該組成物の安定性等が優れる点から、好ましい。水酸基含有樹脂(A)が30〜55重量%程度、共重合体(B)が20〜40重量%程度、硬化剤(C)が10〜40重量%程度の範囲であるのが、より好ましい。
また、マレイミド化合物(E)の配合割合は、水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の固形分合計100重量部に対して、1〜50重量部程度、好ましくは10〜30重量部程度の範囲がよい。50重量部を超えると、塗膜の耐擦り傷性、耐引っ掻き傷性、耐ガソリン性、付着性等の向上が望めないばかりか、塗料組成物の安定性を損なうので好ましくない。
上記熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物(II)又は(III)には、さらに、ラジカル重合性不飽和モノマー、ラジカル重合性不飽和基含有樹脂、並びにラジカル重合性不飽和基及び熱硬化性官能基含有樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の不飽和化合物(D)を配合することができる。
熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物(II)又は(III)において、化合物(D)を配合する場合の配合割合は、水酸基含有樹脂(A)及び硬化剤(C)、又は水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の固形分合計100重量部に対して、1〜50重量部程度の範囲が好ましく、1〜30重量部の範囲がより好ましい。50重量部を超えると、付着性が不良となるだけでなく、塗料組成物の安定性を損なうので好ましくない。
光重合開始剤(F)
本発明の熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物(I)〜(III)には、適宜に、光重合開始剤(F)を添加することもできる。
添加量としては、水酸基含有樹脂(A)及び硬化剤(C)、又は水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の固形分合計100重量部に対して、光重合開始剤は0.1〜20重量部程度であるのが、硬化性、仕上がり性等に優れる点から好ましい。添加量は、0.2〜10重量部程度がより好ましく、0.3〜5重量部程度が更に好ましい。
光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシフォスフィンオキサイド、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ヒドロキシベンゾフェノン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロ)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどが挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独又は2種類以上を組合せて使用できる。
光重合開始剤には、光重合反応を促進させるために光増感剤を併用してもよい。併用し得る光増感剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、ミヒラーケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の3級アミン系増感剤;トリフェニルホスフィン等のアルキルフォスフィン系増感剤;β−チオジグリコール等のチオエーテル系増感剤等が挙げられる。
光安定剤
本発明の熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物には、塗膜の耐候性向上の観点から、光安定剤を含有させることができる。光安定剤としては、塗膜の劣化過程で生成する活性なラジカル種を捕捉するラジカル連鎖禁止剤として作用するヒンダードアミン系の光安定剤が挙げられる。光安定剤は、後記紫外線吸収剤と併用することもできる。
ヒンダードアミン系光安定剤の内、ヒンダードピペリジン類が優れた光安定化作用を示すことから好ましい。
ヒンダードピペリジン類としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2’,6,6’−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル){[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル}ブチルマロネート等のモノマータイプのもの;ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノール]}等のオリゴマータイプのもの;4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとコハク酸とのポリエステル化物等のポリエステル結合タイプのものなどが挙げられる。
本発明の熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物において、光安定剤を使用する場合の組成物中の含有量としては、塗料固形分に対して、通常、0.1〜10重量%程度である。
紫外線吸収剤
本発明の塗料組成物には、塗膜の耐候性向上の観点から、紫外線吸収剤を含有させることができる。紫外線吸収剤は、入射光を吸収し、光エネルギーを熱のような無害な形に変換することにより、光による塗膜の劣化を抑制する作用がある。紫外線吸収剤は、前記光安定剤と併用することもできる。
紫外線吸収剤としては、公知のものを使用できる。例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等を使用できる。
ベンゾトリアゾール系吸収剤の具体例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
トリアジン系吸収剤の具体例としては、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソオクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジンン、2−[4((2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)−オキシ]−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンン、2−[4−((2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)−オキシ)−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等を挙げることができる。
サリチル酸誘導体系吸収剤の具体例としては、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、4−tert−ブチルフェニルサリシレート等を挙げることができる。
ベンゾフェノン系吸収剤の具体例としては、4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2´−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレート、2,2´−ジヒドロキシ−4,4´−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、ナトリウム2,2´−ジヒドロキシ−4,4´−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2´,4,4´−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジベンゾイルレゾルシノール、4,6−ジベンゾイルレゾルシノール、ヒドロキシドデシルベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン等を挙げることができる。
紫外線吸収剤を使用する場合の含有量としては、塗料固形分に対して、通常、0.1〜10重量%程度である。
本発明の塗料組成物がクリヤ塗料組成物である場合は、塗膜の透明性が消失しない範囲で、着色顔料及び/又は光輝性顔料を含有することができる。本発明の塗料組成物が着色塗料組成物である場合は、所望の色調となるように、着色顔料及び/又は光輝性顔料を含有することができる。また、本発明組成物は、必要に応じて、体質顔料等のその他の顔料を含んでいてもよい。
着色顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化鉄等の無機顔料;フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、ペリレンレッド、フタロシアニングリーン等の有機顔料等を挙げることができる。光輝性顔料としては、例えば、アルミニウムフレーク、マイカフレーク等を挙げることができる。体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー等を挙げることができる。
また、本発明の塗料組成物には、必要に応じて、表面調整剤、タレ止剤、沈降防止剤、可塑剤等の公知の添加物を加えることができる。
本発明の塗料組成物は、その優れた塗膜表面特性により、特に自動車車体又はその部品のトップクリヤコート用のクリヤ塗料組成物として用いるのが好ましい。
塗料組成物の調製方法
本発明の熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物は、以上に述べた各成分を、公知の方法に従って、混合することにより、調製することができる。樹脂類は、有機溶剤溶液、エマルション等の形態である場合は、そのまま混合すればよい。また、顔料類を用いる場合は、分散用樹脂と混合してペースト状として用いてもよい。また、各成分の混合時に、必要に応じて、有機溶剤、水又はこれらの混合液を、加えてもよい。
本発明塗料組成物に使用される有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸アミル、酢酸メチルセロソルブ、セロソルブアセテート、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸カルビトール等のエステル系溶剤;ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。これらのものは1種又は2種以上組み合わせて、使用することができる。
得られる本発明の塗料組成物は、有機溶剤型塗料組成物であっても水性塗料組成物であってもよい。また、塗料組成物の固形分含量は、通常、20〜80重量%程度とするのがよい。
塗膜形成方法
本発明の熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物は、以下に示す種々の塗膜形成方法において、好適に使用することができる。
被塗物
被塗物としては、自動車、二輪車等の車体又はその部品等が挙げられる。また、これら車体等を形成する冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、錫メッキ鋼板等の鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等の金属基材;各種プラスチック基材等であってもよい。
また、被塗物としては、上記車体、部品、金属基材の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理等の化成処理が施されたものであってもよい。更に、被塗物としては、上記車体、金属基材等に、各種電着塗料等の下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成されたものであってもよい。
塗装及び硬化方法
本発明の塗料組成物の塗装方法としては、特に限定されないが、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装などの塗装方法でウエット塗膜を形成することができる。エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装及び回転霧化塗装においては、必要に応じて、静電印加してもよい。この中でもエアスプレー塗装、回転霧化塗装等が好ましい。塗料組成物の塗布量は、通常、硬化膜厚として、10〜70μm程度となる量とするのが好ましい。
また、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装又は回転霧化塗装する場合には、塗料組成物の粘度を、該塗装に適した粘度範囲、通常、フォードカップNo.4粘度計において20℃で15〜60秒程度の粘度範囲となるように、有機溶剤及び/又は水で希釈して、調整しておくことが好ましい。
ウエット塗膜の硬化は、被塗物に塗料組成物を塗装した後、加熱後光照射するか、又は光照射後加熱することにより、行われる。
加熱は、公知の加熱手段により、行うことができる。例えば、熱風炉、電気炉、赤外線加熱炉等の乾燥炉を適用できる。
加熱温度は、通常、50〜200℃程度、好ましくは70〜160℃程度の範囲であることが適当である。加熱時間は、通常、5〜30分間程度の範囲であるのが、適当である。
光照射は、通常、波長200〜450nm程度の範囲の紫外線により、行うことが適当である。光源としては、用いた光重合開始剤の種類に対して、感度の高い波長を有するものを適宜選択して使用することができる。上記紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライドランプ、太陽光等を挙げることができる。
塗膜への紫外線照射条件は、通常、照射量が100〜5,000mJ/cm程度であるのが好ましい。照射量は、300〜3,000mJ/cm程度であるのがより好ましい。照射時間としては、通常、3秒〜3分間程度でよい。
このようにウエット塗膜を、「加熱後−光照射」するか、又は「光照射後−加熱」することによって十分に硬化せしめることができる。
従って、自動車車体塗装ラインにおいて、光硬化工程と組み合わせた加熱硬化工程において、例えば、140℃程度で20分間程度の加熱で塗膜を必要な程度迄硬化することができ、コンベア速度が3m/minであれば、ライン上の乾燥炉の長さにして60m程度と従来の半分程度の長さとすることが可能であり、省スペース、省エネルギーが達成できる。
塗膜形成工程
本発明の塗料組成物によれば、耐擦り傷性、耐引掻き傷性、耐ガソリン性、付着性等の塗膜性能に優れる塗膜を形成できるので、被塗物に複層塗膜を形成する塗膜形成方法において、トップクリヤコートを形成するクリヤ塗料組成物として使用することが好ましい。特に、自動車車体又はその部品用のクリヤ塗料組成物として使用することがより好ましい。
従って、本発明の塗膜形成方法は、被塗物に、1層又は2層の着色ベースコート及び1層又は2層のクリヤコートを順次形成する塗膜形成方法であって、その最上層のトップクリヤコートを形成する塗料組成物として、本発明の塗料組成物(I)、(II)又は(III)を用いることを特徴とする。
本発明の塗膜形成方法を適用する被塗物としては、自動車車体及びその部品が、特に好ましい。
上記の塗膜形成方法としては、より具体的には、例えば下記方法a〜cの複層塗膜形成方法において、トップクリヤコート形成用として本発明の塗料組成物(I)、(II)又は(III)を用いる方法を挙げることができる。
方法a:被塗物に、着色ベースコート及びトップクリヤコートを順次形成する2コート方式の複層塗膜形成方法。
方法b:被塗物に、着色ベースコート、クリヤコート及びトップクリヤコートを順次形成する3コート方式の複層塗膜形成方法。
方法c:被塗物に、第一着色ベースコート、第二着色ベースコート及びトップクリヤコートを順次形成する3コート方式の複層塗膜形成方法。
また、本発明塗料組成物は、単層塗膜を形成する場合にも使用することができる。この場合の塗料組成物は、クリヤ塗料組成物であっても、着色塗料組成物であってもよい。この場合の塗膜形成方法として、下記方法dも、併せて、説明する。
方法d:被塗物に、本発明塗料組成物を1層塗装し、硬化してなる1コート方式の複層塗膜形成方法。
これらの方法a、方法b、方法c、方法dの各塗膜形成工程について、詳細に説明する。
上記方法aにおいて、着色ベースコートを形成する塗料組成物としては、公知の着色塗料組成物及び光輝性塗料組成物を使用できる。
上記着色ベース塗料組成物は、基体樹脂、架橋剤並びに着色顔料及び/又は光輝性顔料を含有する有機溶剤型又は水性の塗料組成物である。
基体樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの少なくとも1種を用いることができる。基体樹脂は、例えば、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、アルコキシシリル基等の架橋性官能基を有している。架橋剤としては、例えば、アルキルエーテル化メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、カルボキシル基含有化合物などの少なくとも1種を用いることができる。基体樹脂及び架橋剤は、両成分の合計量を基準にして、基体樹脂50〜90重量%、架橋剤50〜10重量%の割合で使用することが好ましい。
また、着色顔料及び光輝性顔料としては、前記本発明塗料組成物に使用できる顔料として挙げたものを、使用できる。
各方法において、着色ベース塗料組成物及びクリヤ塗料組成物の塗装方法としては、エアレススプレー、エアスプレー、回転霧化塗装などの塗装方法を採用することができる。これらの塗装方法は、必要に応じて、静電印加していてもよい。
方法aにおいては、被塗物に、上記着色ベース塗料組成物を、硬化膜厚で約10〜50μmとなるように塗装する。塗装されたベース塗料組成物は、約100〜180℃、好ましくは約120〜160℃で約10〜40分間加熱して硬化させるか、又は塗装後硬化することなく室温で数分間放置もしくは約40〜100℃で、約1〜20分間プレヒートする。
次いで、トップクリヤコートを形成する塗料として、本発明のクリヤ塗料組成物を、膜厚が硬化膜厚で約10〜70μmになるように塗装し、加熱後光照射するか、又は光照射後加熱することによって、硬化された複層塗膜を形成することができる。加熱は、約100〜180℃、好ましくは約120〜160℃で、約5〜30分間加熱して架橋硬化させるのが好ましい。また、光照射は、前記と同様の波長、光源、照射量、照射時間により行えばよい。
以下、ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化することなく、クリヤ塗料組成物を塗装し、両塗膜を同時に硬化する場合を2コート1ベーク方式と言うことがある。また、ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化後、クリヤ塗料組成物を塗装し、クリア塗膜を硬化する場合を、2コート2ベーク方式と言うことがある。
方法bにおける着色ベース塗料組成物としては、方法aの項で説明した着色ベース塗料組成物と同様のものを使用することができる。また、クリヤコートを形成する第1クリヤ塗料組成物としては、透明塗膜形成用塗料であればよく、例えば、上記公知の着色ベース塗料組成物から顔料の殆ど又はすべてを除去してなる塗料組成物を使用することができる。そして、トップクリヤコートを形成する第2クリヤ塗料組成物として、本発明の塗料組成物を使用する。また、第1クリヤ塗料組成物として、本発明のクリヤ塗料組成物を用いて、本発明クリヤ塗料組成物から形成されたクリヤコート及びトップクリヤコートが形成されていてもよい。
方法bにおいては、方法aと同様にして、被塗物に、着色ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化させてから、又は硬化させずに室温で数分間放置もしくはプレヒートしてから、着色ベース塗膜上に、第1クリヤ塗料組成物を、膜厚が硬化膜厚で約10〜50μmになるように塗装し、約100〜180℃、好ましくは約120〜160℃で、約10〜40分間加熱して硬化させるか、又は硬化させずに室温で数分間放置もしくはプレヒートを行う。
次に、第2クリヤ塗料組成物として、本発明塗料組成物を、膜厚が硬化膜厚で約10〜50μmになるように塗装し、加熱後光照射するか、又は光照射後加熱することによって、硬化された複層塗膜を形成することができる。加熱条件及び光照射条件は、方法aの場合と同様である。
以下、ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化することなく、第1クリヤ塗料組成物を塗装し、これを硬化することなく、第2クリヤ塗料組成物を塗装し、これらの三層塗膜を同時に硬化する場合を3コート1ベーク方式と言うことがある。また、ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化することなく、第1クリヤ塗料組成物を塗装し、これらの塗膜を同時に加熱硬化し、第2クリヤ塗料組成物を塗装し、これを硬化する場合を3コート2ベーク方式と言うことがある。また、ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化し、第1クリヤ塗料組成物を塗装し、これを硬化し、第2クリヤ塗料組成物を塗装し、これを硬化する場合を3コート3ベーク方式と言うことがある。
方法cにおいて、第1着色ベース塗料組成物としては、方法aの項で説明した着色ベース塗料組成物と同様のものを使用することができる。第2着色ベース塗料組成物としては、第1着色ベース塗料の塗面に塗装するものであることから、通常、該第2着色ベース塗料塗膜を通して第1着色塗料塗面の色調が視認できる程度の小さい隠蔽性を有している着色透明塗料が使用される。
したがって、第2着色ベース塗料組成物は、その塗膜隠蔽性が、第1着色ベース塗料組成物の塗膜隠蔽性より小さくなるように、第1着色塗料組成物において、顔料の種類及び使用量を調整してなる塗料組成物を使用することが好ましい。そして、トップクリヤコートを形成するクリヤ塗料組成物として、本発明の塗料組成物を使用する。
方法cにおいては、方法aと同様にして、被塗物に、第1着色ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化させるか、又は硬化させずに室温で数分間放置もしくはプレヒートしてから、第1着色ベース塗膜上に、第2着色ベース塗料組成物を、膜厚が硬化膜厚で約10〜50μmになるように塗装し、約100〜180℃、好ましくは約120〜160℃で、約10〜40分間加熱して硬化させるか、又は硬化させずに室温で数分間放置もしくはプレヒートを行う。
次に、トップクリヤコートを形成する塗料組成物として、本発明塗料組成物を、膜厚が硬化膜厚で約10〜50μmになるように塗装し、加熱後光照射するか、又は光照射後加熱することによって、硬化された複層塗膜を形成することができる。加熱条件及び光照射条件は、方法aの場合と同様である。
以下、第1ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化することなく、第2ベース塗料組成物を塗装し、これを硬化することなく、クリヤ塗料組成物を塗装し、これらの三層塗膜を同時に硬化する場合を3コート1ベーク方式と言うことがある。また、第1ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化し、第2ベース塗料組成物を塗装し、これを硬化することなく、クリヤ塗料組成物を塗装し、これらの塗膜を同時に硬化する場合を3コート2ベーク方式と言うことがある。また、第1ベース塗料組成物を塗装し加熱硬化し、第2ベース塗料組成物を塗装し、これを硬化し、クリヤ塗料組成物を塗装し、これを硬化する場合を3コート3ベーク方式と言うことがある。
方法dにおいては、方法aと同様にして、被塗物に、本塗料組成物を、膜厚が硬化膜厚で約10〜50μmになるように塗装し、加熱後光照射するか、又は光照射後加熱することによって、硬化単層塗膜を形成できる。加熱条件及び光照射条件は、方法aの場合と同様である。
【発明の効果】
本発明の塗料組成物及び塗膜形成方法によれば、下記の如き顕著な効果が得られる。
(1)本発明の熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物を用いることにより、従来の熱硬化性塗料組成物の場合に比べ、塗膜硬化にかかる時間を短縮でき、又塗装設備などの縮小化が可能であり、省エネルギー、省スペースを図ることができる。更に、加熱硬化時間短縮により、CO、煤等を減少させることもできる。
(2)本発明塗料組成物を塗装後の塗膜は、加熱後光照射するか又は光照射後加熱することによって、完全に硬化せしめることができる。従って、本発明の塗膜形成方法を用いると、光照射のみで硬化した塗膜に比べ、耐擦り傷性、耐引っ掻き傷性、耐ガソリン性、付着性等に優れる塗膜が得られる。
(3)従って、特に、自動車車体又はその部品用のトップクリヤコート形成用として塗装する場合には、形成された塗膜が、耐擦り傷性(耐洗車傷性を含む)、耐引っ掻き傷性等が顕著に向上している。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより一層具体的に説明する。但し、本発明は、これらにより限定されない。各例において、「部」及び「%」はいずれも重量基準による。
水酸基含有樹脂(A)の製造
製造例1
水酸基含有ポリエステル樹脂(A−1)の製造
加熱装置、攪拌装置、温度計、還流冷却器及び精留塔を備えた4つ口フラスコに、下記の「モノマー混合物1」を入れ、160℃まで加熱した。次に、内容物を160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、230℃で1時間保持し、生成した縮合水を精留塔を用いて留去させた。精留塔を水分離器に取り替え、内容物にキシレンを5部加え、キシレンと残余の縮合水を還流させ、キシレンとの共沸により、更に水を除去した。
キシレン添加の2時間後から酸価を測定し始め、酸価が2mgKOH/gになったところで140℃まで冷却し、ついでこの中に無水フタル酸を加えて140℃にて2時間保持して付加反応を行った後、冷却して反応を終了させた。さらに、キシレン/芳香族成分含有高沸点石油溶剤(商品名「スワゾール1000」、コスモ石油(株)製)=50/50(重量比)の混合溶剤を加えて固形分70%のポリエステル樹脂(A−1)を得た。ポリエステル樹脂(A−1)は、重量平均分子量が28,800で、水酸基価が157mgKOH/gであった。
「モノマー混合物1」
1,4−シクロヘキサンジメタノール 74部
トリメチロールプロパン 65部
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 66部
アジピン酸 74部
ジブチル錫ジラウレート 0.5部。
製造例2及び3
水酸基含有ポリエステル樹脂(A−2)及び(A−3)の製造
製造例1において、表1に示すモノマー配合とする以外は、同様の操作を行い固形分70%のポリエステル樹脂(A−2)及びポリエステル樹脂(A−3)を得た。ポリエステル樹脂(A−2)は、重量平均分子量が32,000で、水酸基価が150mgKOH/gであった。また、ポリエステル樹脂(A−3)は、重量平均分子量が30,000で、水酸基価が172mgKOH/gであった。
表1に、ポリエステル樹脂(A−1)〜(A−3)のモノマー組成、モノマー中の脂環式多塩基酸及び/又は脂環式多価アルコールの含有率を示す。

製造例4
水酸基含有アクリル樹脂の製造
温度計、サーモスタット、攪拌機、還流冷却機及び滴下装置をつけた反応容器に、酢酸ブチル480部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら130℃に加熱した後、その温度を保持しながら滴下装置から下記のモノマーと重合開始剤との混合溶液を3時間かけて滴下した。
スチレン 200部
メチルメタクリレート 290部
シクロヘキシルメタクリレート 250部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 260部
2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 50部。
滴下終了後、130℃で1時間熟成し、樹脂固形分70%の水酸基含有アクリル樹脂の溶液を得た。この樹脂は、GPC(ゲル濾過クロマトグラフ)測定による数平均分子量が約8,000で、水酸基価が107mgKOH/gであった。
マレイミド基含有共重合体(B)の製造
製造例5
共重合体(B−1)の製造
温度計、サーモスタット、攪拌機、還流冷却機、及び滴下装置をつけた反応容器に、酢酸ブチル1,000部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら120℃に加熱した後、その温度を保持しながら滴下装置から下記のモノマーと重合開始剤との混合溶液を3時間かけて滴下した。
スチレン 200部
メチルメタクリレート 290部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 260部
2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 30部
下記式で表されるマレイミド基含有モノマー(a) 250部

滴下終了後、120℃で1時間熟成し、樹脂固形分50%のマレイミド基含有共重合体(B−1)の溶液を得た。この共重合体は、GPC(ゲル濾過クロマトグラフ)測定による数平均分子量が約9,000で、水酸基価が107mgKOH/gであった。
自動車車体又はその部品用クリヤ塗料の製造
【実施例1】
製造例1で得たポリエステル樹脂(A−1)40部、製造例2で得たポリエステル樹脂(A−2)10部、製造例5で得た共重合体(B−1)20部、硬化剤I(注1)30部、マレイミド化合物(注2)15部及びペンタエリスリトールトリアクリレート5部を攪拌下に混合後、光重合開始剤I(注3)1.5部及び光重合開始剤II(注4)0.5部を添加して溶解した後、さらに紫外線吸収剤(注5)1部及び光安定剤(注6)1部を添加して溶解し、キシレンで希釈して、粘度をフォードカップNo.4粘度計において20℃で25秒に調整して、自動車車体又はその部品用(以下、「自動車用」という)クリヤ塗料No.1を得た。
上記(注1)〜(注6)は、次のものを示す。
(注1)硬化剤I:商品名「スミジュールN−3300」、住化バイエルウレタン(株)製、イソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート、固形分100%。
(注2)マレイミド化合物:商品名「LUMICURE MIA200」、大日本インキ化学工業(株)製、マレイミド基含有紫外線硬化型オリゴマー。
(注3)光重合開始剤I:商品名「イルガキュア184」、チバスペシャルティケミカルズ(株)製、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン。
(注4)光重合開始剤II:商品名「イルガキュア819」、チバスペシャルティケミカルズ(株)製、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド。
(注5)紫外線吸収剤:商品名「チヌビン400」、チバスペシャルティケミカルズ(株)製、トリアジン系紫外線吸収剤。
(注6)光安定剤:商品名「サノールLS292」、三共(株)製、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート。
【実施例2〜7】
表2に記載の成分組成とする以外は実施例1と同様にして、自動車用クリヤ塗料No.2〜No.7を得た。

比較例1〜4
表3に記載の成分組成とする以外は実施例1と同様にして、比較用の自動車用クリヤ塗料No.8〜No.11を得た。

表2及び3において、表中の数値は、固形分(部)を示す。また、製造例4のアクリル樹脂は「水酸基含有樹脂(A)」に、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートは「不飽和化合物(D)」に、それぞれ相当する。
また、表2及び3において、(注1)〜(注6)は前記の通りである。(注7)及び(注8)は次のものを示す。
(注7)硬化剤II:商品名「サイメル235」、三井サイテック(株)製、メチル化・ブチル化メラミン樹脂。
(注8)硬化剤III:商品名「サイメル325」、三井サイテック(株)製、メチル化・イミノ型メラミン樹脂。
製造例6
被塗板の作成
リン酸亜鉛化成処理を施した亜鉛メッキ鋼板(25cm×25cm×0.8mm)上に、カチオン電着塗料(商品名「エレクロンGT−10LF」、関西ペイント(株)製)を硬化膜厚約20μmとなるように電着塗装し、170℃で20分間加熱硬化した。その上に、自動車用中塗り塗料(商品名「アミラックTP−65−2」、関西ペイント(株)製)を、硬化膜厚が約35μmになるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化して、被塗板を作成した。
塗膜形成方法
【実施例8】
製造例6で得た被塗板に、水性着色ベース塗料(商品名「WBC−710T(黒)」、関西ペイント(株)製、アクリル樹脂・メラミン樹脂系熱硬化性塗料)を、硬化膜厚約15μmとなるようにエアスプレー塗装し、80℃で10分間乾燥することにより塗膜中の水分を揮散させた。この未硬化塗面に、クリヤ塗料(商品名「マジクロンTC−69」、関西ペイント(株)製、アクリル樹脂・メラミン樹脂系熱硬化性塗料)を硬化膜厚約35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱して、ベース塗膜及びクリヤ塗膜を同時に硬化させた。
クリヤ硬化塗膜上に、実施例1で得た自動車用クリヤ塗料No.1を、エアスプレーで硬化膜厚約40μmになるように塗装して、プレヒート工程として90℃で3分間乾燥して溶剤を蒸発させた。
次いで、出力120W/cmのメタルハライドランプを用いて、波長365nm付近の紫外線を、照射量が1,000mJ/cmとなるように、約10秒間照射して光硬化後、140℃で5分間加熱して、塗膜を硬化させた。
かくして、3コート2ベーク方式により、複層塗膜を形成した。
【実施例9】
自動車用クリヤ塗料No.1を実施例2で得た自動車用クリヤ塗料No.2に変更し、かつ光硬化後の加熱を140℃で10分間とする以外は、実施例8と同様にして、3コート2ベーク方式により、複層塗膜を形成した。
【実施例10】
自動車用クリヤ塗料No.2を実施例3で得た自動車用クリヤ塗料No.3に変更する以外は、実施例9と同様にして、3コート2ベーク方式により、複層塗膜を形成した。
【実施例11】
自動車用クリヤ塗料No.1を実施例4で得た自動車用クリヤ塗料No.4に変更する以外は、実施例8と同様にして、3コート2ベーク方式により、複層塗膜を形成した。
【実施例12】
自動車用クリヤ塗料No.1を実施例5で得た自動車用クリヤ塗料No.5に変更する以外は、実施例8と同様にして、3コート2ベーク方式により、複層塗膜を形成した。
【実施例13】
自動車用クリヤ塗料No.2を自動車用クリヤ塗料No.6に変更する以外は、実施例8と同様にして、3コート2ベーク方式により、複層塗膜を形成した。
【実施例14】
自動車用クリヤ塗料No.2を自動車用クリヤ塗料No.7に変更する以外は、実施例8と同様にして、3コート2ベーク方式により、複層塗膜を形成した。
【実施例15】
製造例6で得た被塗板に、水性着色ベース塗料(商品名「WBC−710T(黒)」、関西ペイント(株)製、アクリル樹脂・メラミン樹脂系熱硬化性塗料)を、硬化膜厚約15μmとなるようにエアスプレー塗装し、80℃で10分間乾燥することにより塗膜中の水分を揮散させた。この未硬化塗面に、クリヤ塗料(商品名「マジクロンTC−69」、関西ペイント(株)製、アクリル樹脂・メラミン樹脂系熱硬化性塗料)を硬化膜厚約35μmとなるようにエアスプレー塗装した。
未硬化のクリヤ塗膜上に、実施例1で得た自動車用クリヤ塗料No.1を、エアスプレーで硬化膜厚約40μmになるように塗装し、140℃で30分間加熱して、着色ベース塗膜及び第1クリヤ塗膜を硬化させ、トップクリヤ塗膜を半硬化させた。次いで、出力120W/cmのメタルハライドランプを用いて、波長365nm付近の紫外線を、照射量が1,000mJ/cmとなるように、約10秒間照射してトップクリヤ塗膜を十分に硬化させた。
かくして、3コート1ベーク方式により、複層塗膜を形成した。
【実施例16】
製造例6で得た被塗板に、水性着色ベース塗料(商品名「WBC−710T(黒)」、関西ペイント(株)製、アクリル樹脂・メラミン樹脂系熱硬化性塗料)を、硬化膜厚約15μmとなるようにエアスプレー塗装し、80℃で10分間乾燥することにより塗膜中の水分を揮散させた。この未硬化塗面に、実施例1で得た自動車用クリヤ塗料No.1を、エアスプレーで硬化膜厚約40μmになるように塗装して、プレヒート工程として90℃で3分間乾燥して溶剤を蒸発させた。
次いで、出力120W/cmのメタルハライドランプを用いて、波長365nm付近の紫外線を、照射量が1,000mJ/cmとなるように、約10秒間照射して光硬化後、140℃で30分間加熱して、二層の塗膜を同時に硬化させた。かくして、2コート1ベーク方式による複層塗膜を形成した。
表4に、実施例8〜16の塗膜形成方法において、トップコート用として塗装した自動車用クリヤ塗料、塗膜形成工程及び塗膜硬化条件を示す。

表4において、3C2Bは3コート2ベーク方式を、3C1Bは3コート1ベーク方式を、2C1Bは2コート1ベーク方式を、それぞれ示す。
比較例5
自動車用クリヤ塗料No.1を、比較例1で得た自動車用クリヤ塗料No.8に変更する以外は、実施例8と同様にして、3コート2ベーク方式により、複層塗膜を形成した。
比較例6
自動車用クリヤ塗料No.2を、比較例2で得た自動車用クリヤ塗料No.9に変更する以外は、実施例9と同様にして、3コート2ベーク方式により、複層塗膜を形成した。
比較例7
製造例6で得た被塗板に、水性着色ベース塗料(商品名「WBC−710T(黒)」、関西ペイント(株)製、アクリル樹脂・メラミン樹脂系熱硬化性塗料)を、硬化膜厚約15μmとなるように塗装し、80℃で10分間乾燥することにより塗膜中の水分を揮散させた。この未硬化塗面に、クリヤ塗料(商品名「マジクロンTC−69」、関西ペイント(株)製、アクリル樹脂・メラミン樹脂系熱硬化性塗料)を硬化膜厚約35μmとなるように塗装し、140℃で30分間加熱して、ベース塗膜及びクリヤ塗膜を同時に硬化させた。
クリヤ硬化塗膜上に、比較例3で得た自動車用クリヤ塗料No.10を、エアスプレーで硬化膜厚約40μmになるように塗装して、紫外線照射をすることなく、140℃で5分間加熱するのみで、塗膜を硬化させて、3コート2ベーク方式により、複層塗膜を形成した。
比較例8
製造例6で得た被塗板に、水性着色ベース塗料(商品名「WBC−710T(黒)」、関西ペイント(株)製、アクリル樹脂・メラミン樹脂系熱硬化性塗料)を、硬化膜厚約15μmとなるように塗装し、80℃で10分間乾燥することにより塗膜中の水分を揮散させた。この未硬化塗面に、クリヤ塗料(商品名「マジクロンTC−69」、関西ペイント(株)製、アクリル樹脂・メラミン樹脂系熱硬化性塗料)を硬化膜厚約35μmとなるように塗装し、140℃で30分間加熱して、ベース塗膜及びクリヤ塗膜を同時に硬化させた。
クリヤ硬化塗膜上に、比較例4で得た自動車用クリヤ塗料No.11を、エアスプレーで硬化膜厚約40μmになるように塗装して、プレヒート工程として90℃で3分間乾燥して溶剤を蒸発させた。次いで、出力120W/cmのメタルハライドランプを用いて、波長365nm付近の紫外線を、照射量が1,000mJ/cmとなるように、約10秒間照射して塗膜を光硬化させて、3コート2ベーク方式により、複層塗膜を形成した。
比較例9
製造例6で得た被塗板に、水性着色ベース塗料(商品名「WBC−710T(黒)」、関西ペイント(株)製、アクリル樹脂・メラミン樹脂系熱硬化性塗料)を、硬化膜厚約15μmとなるように塗装し、80℃で10分間乾燥することにより塗膜中の水分を揮散させた。
この未硬化塗面に、比較例3で得た自動車用クリヤ塗料No.10を、エアスプレーで硬化膜厚約40μmになるように塗装して、紫外線照射をすることなく、140℃で30分間加熱するのみで、塗膜を硬化させて、2コート1ベーク方式により、複層塗膜を形成した。
表5に、比較例5〜9の塗膜形成方法において、トップコート用として塗装した自動車用クリヤ塗料、塗膜形成工程及び塗膜硬化条件を示す。

表5において、3C2Bは3コート2ベーク方式を、2C1Bは2コート1ベーク方式を、それぞれ示す。
実施例8〜16及び比較例5〜9の各塗膜形成方法において得られた各複層塗膜を形成した試験塗板の性能試験を、以下の方法により行った。
塗膜の硬化度:キシレンを含ませたガーゼで塗面を往復50回拭いたのち塗面を目視で観察し、塗膜の硬化の程度を、次の評価基準により、調べた。
Aは塗面に変化がなく塗膜の硬化が十分であることを、Bは塗面に傷が認められ塗膜の硬化が不十分であることを、Cは塗膜表面がキシレンで溶解し塗膜の硬化が著しく不十分であることを、それぞれ示す。
耐ガソリン性:試験塗板を、室温でレギュラーガソリンに2時間浸漬した後の塗面を目視で観察し、耐ガソリン性を、次の評価基準により、調べた。
Aは塗面にブリスター及び白化がなく耐ガソリン性が良好であることを、Bは塗面にブリスター及び白化が少し発生し、耐ガソリン性がやや不良であることを、Cは塗面にブリスター及び白化が著しく発生し、耐ガソリン性が不良であることを、それぞれ示す。
耐擦り傷性:試験塗板上に磨き砂(商品名「ダルマクレンザー」、(有)やま三商店製)を、水と等重量比で混ぜたものを載せ、摩擦試験機(スガ試験機(株)製、型式FR−2S)の試験機端子により、ネルを介して、押さえ、0.5kgの荷重をかけて50往復した後、塗面を目視で観察し、次の評価基準により、調べた。
Aは塗面のツヤに変化が殆ど認められず、耐擦り傷性に優れることを、Bは塗面のツヤに僅かに変化が認められが、製品として許容できる程度であることを、Cは塗面のツヤビケが認められ、耐擦り傷性が不良であることを、Cは塗面のツヤビケが著しく認められ、耐擦り傷性が劣ることを、それぞれ示す。
引掻き傷長さ:試験塗板上に、連続荷重式引掻き強度試験機(商品名「トライボギア タイプ18L」、新東科学(株)製)を用い、連続荷重(0g〜100g)を与えながら引掻き針(サファイヤ製、0.1mmR)を、30cm/minの速度で、10cm引っ張って塗膜に傷跡を付け、24時間経過後の傷跡の長さ(cm)を測定した。
ヌープ硬度:試験塗板を20℃の恒温室に4時間放置後、ツーコン硬度計(TUKON microhardness tester、American Chain& Cable Company製)を用いて、測定した。
付着性:試験塗板を、40℃温水に240時間浸漬後、硬化塗膜を、カッターナイフで素地に達するようにクロスカットし、大きさ2mm×2mmのゴバン目を100個作り、その表面に粘着テープを貼付し、そのテープを上方に急激に剥離した。このときのトップクリヤ塗膜の剥離を調べ、残存ゴバン目塗膜数を数えた。100個中の残存個数が多いほど、付着性が優れることを示す。
表6に、試験結果を示す。

表6より、実施例8〜16で得られた各複層塗膜は、いずれも塗膜の硬化が十分であり、耐ガソリン性、耐擦り傷性、耐引っ掻き傷性、ヌープ硬度及び付着性の各塗膜性能に優れることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水酸基含有樹脂、
(B)マレイミド基含有モノマー(a)とその他のモノマーとをラジカル共重合して得られるマレイミド基含有共重合体、
(C)硬化剤、並びに
(D)ラジカル重合性不飽和モノマー、ラジカル重合性不飽和基含有樹脂並びにラジカル重合性不飽和基及び熱硬化性官能基含有樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の不飽和化合物
を含有してなる熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物。
【請求項2】
水酸基含有樹脂(A)が、多塩基酸(b)と多価アルコール(c)とをエステル化して得られ、多塩基酸(b)と多価アルコール(c)の合計量中、脂環式多塩基酸(b1)及び/又は脂環式多価アルコール(c1)を20重量%以上含有する水酸基ポリエステル樹脂である請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
共重合体(B)で用いるマレイミド基含有モノマー(a)が、一般式(1)

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)で表されるテトラヒドロフタルマレイミド(メタ)アクリレートである請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項4】
硬化剤(C)が、ポリイソシアネート化合物である請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項5】
硬化剤(C)が、ポリイソシアネート化合物とメラミン樹脂との組み合わせである請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項6】
水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の割合が、これらの合計に基づいて、水酸基含有樹脂(A)が20〜60重量%であり、共重合体(B)が10〜45重量%であり、硬化剤(C)が5〜50重量%であり、且つ、不飽和化合物(D)の割合が、水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の合計100重量部に対して1〜50重量部である、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項7】
さらに、(F)光重合開始剤を、水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部含有してなる請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項8】
自動車車体又はその部品用のクリヤ塗料組成物である請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項9】
(A)水酸基含有樹脂、
(C)硬化剤、及び
(E)一般式(2)

(式中、mは1〜6の整数を示し、nは1〜17の整数を示す。数平均分子量は2,000以下である。)で表されるマレイミド化合物
を含有してなる熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物。
【請求項10】
水酸基含有樹脂(A)が、多塩基酸(b)と多価アルコール(c)とをエステル化して得られ、多塩基酸(b)と多価アルコール(c)の合計量中、脂環式多塩基酸(b1)及び/又は脂環式多価アルコール(c1)を20重量%以上含有する水酸基ポリエステル樹脂である請求項9に記載の塗料組成物。
【請求項11】
硬化剤(C)が、ポリイソシアネート化合物である請求項9に記載の塗料組成物。
【請求項12】
硬化剤(C)が、ポリイソシアネート化合物とメラミン樹脂との組み合わせである請求項9に記載の塗料組成物。
【請求項13】
水酸基含有樹脂(A)及び硬化剤(C)の割合が、これらの合計に基づいて、水酸基含有樹脂(A)が60〜90重量%であり、硬化剤(C)が10〜40重量%であり、且つ、マレイミド化合物(E)の割合が、水酸基含有樹脂(A)及び硬化剤(C)の合計100重量部に対して1〜50重量部である、請求項9に記載の塗料組成物。
【請求項14】
さらに、(D)ラジカル重合性不飽和モノマー、ラジカル重合性不飽和基含有樹脂並びにラジカル重合性不飽和基及び熱硬化性官能基含有樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の不飽和化合物を、水酸基含有樹脂(A)及び硬化剤(C)の合計100重量部に対して、1〜50重量部含有してなる請求項9に記載の塗料組成物。
【請求項15】
さらに、(F)光重合開始剤を、水酸基含有樹脂(A)及び硬化剤(C)の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部含有してなる請求項9に記載の塗料組成物。
【請求項16】
自動車車体又はその部品用のクリヤ塗料組成物である請求項9に記載の塗料組成物。
【請求項17】
(A)水酸基含有樹脂、
(B)マレイミド基含有モノマー(a)とその他のモノマーとをラジカル共重合して得られるマレイミド基含有共重合体、
(C)硬化剤、並びに
(E)一般式(2)

(式中、mは1〜6の整数を示し、nは1〜17の整数を示す。数平均分子量は2,000以下である。)で表されるマレイミド化合物
を含有してなる熱硬化性且つ光硬化性塗料組成物。
【請求項18】
水酸基含有樹脂(A)が、多塩基酸(b)と多価アルコール(c)とをエステル化して得られ、多塩基酸(b)と多価アルコール(c)の合計量中、脂環式多塩基酸(b1)及び/又は脂環式多価アルコール(c1)を20重量%以上含有する水酸基ポリエステル樹脂である請求項17に記載の塗料組成物。
【請求項19】
共重合体(B)で用いるマレイミド基含有モノマー(a)が、一般式(1)

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)で表されるテトラヒドロフタルマレイミド(メタ)アクリレートである請求項17に記載の塗料組成物。
【請求項20】
硬化剤(C)が、ポリイソシアネート化合物である請求項17に記載の塗料組成物。
【請求項21】
硬化剤(C)が、ポリイソシアネート化合物とメラミン樹脂との組み合わせである請求項17に記載の塗料組成物。
【請求項22】
水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の割合が、これらの合計に基づいて、水酸基含有樹脂(A)が20〜60重量%であり、共重合体(B)が10〜45重量%であり、硬化剤(C)が5〜50重量%であり、且つ、マレイミド化合物(E)の割合が、水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の合計100重量部に対して1〜50重量部である、請求項17に記載の塗料組成物。
【請求項23】
さらに、(D)ラジカル重合性不飽和モノマー、ラジカル重合性不飽和基含有樹脂並びにラジカル重合性不飽和基及び熱硬化性官能基含有樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の不飽和化合物を、水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の合計100重量部に対して1〜50重量部含有してなる請求項17に記載の塗料組成物。
【請求項24】
さらに、(F)光重合開始剤を、水酸基含有樹脂(A)、共重合体(B)及び硬化剤(C)の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部含有してなる請求項17に記載の塗料組成物。
【請求項25】
自動車車体又はその部品用のクリヤ塗料組成物である請求項17に記載の塗料組成物。
【請求項26】
被塗物に、1層又は2層の着色ベースコート及び1層又は2層のクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法であって、そのトップクリヤコートを形成する塗料組成物が請求項1に記載の塗料組成物であることを特徴とする塗膜形成方法。
【請求項27】
被塗物に、着色ベースコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である請求項26に記載の塗膜形成方法。
【請求項28】
被塗物に、着色ベースコート、クリヤコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である請求項26に記載の塗膜形成方法。
【請求項29】
被塗物に、第一着色ベースコート、第二着色ベースコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である請求項26に記載の塗膜形成方法。
【請求項30】
被塗物が、自動車車体又はその部品である請求項26に記載の塗膜形成方法。
【請求項31】
請求項30に記載の塗膜形成方法により、塗膜が形成された自動車車体又はその部品。
【請求項32】
被塗物に、1層又は2層の着色ベースコート及び1層又は2層のクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法であって、そのトップクリヤコートを形成する塗料組成物が請求項9に記載の塗料組成物であることを特徴とする塗膜形成方法。
【請求項33】
被塗物に、着色ベースコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である請求項32に記載の塗膜形成方法。
【請求項34】
被塗物に、着色ベースコート、クリヤコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である請求項32に記載の塗膜形成方法。
【請求項35】
被塗物に、第一着色ベースコート、第二着色ベースコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である請求項32に記載の塗膜形成方法。
【請求項36】
被塗物が、自動車車体又はその部品である請求項32に記載の塗膜形成方法。
【請求項37】
請求項36に記載の塗膜形成方法により、塗膜が形成された自動車車体又はその部品。
【請求項38】
被塗物に、1層又は2層の着色ベースコート及び1層又は2層のクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法であって、そのトップクリヤコートを形成する塗料組成物が請求項17に記載の塗料組成物であることを特徴とする塗膜形成方法。
【請求項39】
被塗物に、着色ベースコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である請求項38に記載の塗膜形成方法。
【請求項40】
被塗物に、着色ベースコート、クリヤコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である請求項38に記載の塗膜形成方法。
【請求項41】
被塗物に、第一着色ベースコート、第二着色ベースコート及びトップクリヤコートを形成する複層塗膜形成方法である請求項38に記載の塗膜形成方法。
【請求項42】
被塗物が、自動車車体又はその部品である請求項38に記載の塗膜形成方法。
【請求項43】
請求項42に記載の塗膜形成方法により、塗膜が形成された自動車車体又はその部品。

【国際公開番号】WO2005/030890
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【発行日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514326(P2005−514326)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014782
【国際出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】