説明

塗装装置

【課題】部品点数の削減を図る。
【解決手段】塗装装置は、先端部に回転霧化頭12を有する塗装機10内に挿通される塗装機側光ファイバー18と、塗装機10に結合されるホルダ30内に挿通されるホルダ側光ファイバー34と、塗装機側光ファイバー18の先端部18Fと対向した状態で回転霧化頭12と一体に回転する検出面14と、ホルダ側光ファイバー34の先端部34Fと塗装機側光ファイバー18の基端部18Rを嵌合させることでホルダ側光ファイバー34と塗装機側光ファイバー18の対向面を所定間隔に位置決めする位置決め部材23と、ホルダ側光ファイバー34と塗装機側光ファイバー18を位置決め部材23に固定するボルト22(固定部材)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転霧化頭を備えた塗装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転霧化頭によって塗装を行う塗装装置において、回転霧化頭の回転数を光ファイバーを用いて検出する手段が開示されている。この塗装装置は、先端部に回転霧化頭が設けられた塗装機と、塗装機を支持するために塗装機の基端部に結合されるホルダとを備えている。ホルダ内には、投光用と受光用の一対のホルダ側光ファイバーが挿通され、ホルダ側光ファイバーの基端部は検出装置に接続され、ホルダ側光ファイバーの先端部は、ホルダにおける塗装機の結合面に臨んでいる。塗装機内には投光用と受光用の一対の塗装機側光ファイバーが挿通され、塗装機側光ファイバーの基端部は、塗装機におけるホルダとの結合面に臨み、塗装機側光ファイバーの先端部は、回転霧化頭と一体に回転する検出面と対向している。検出装置から投光用の光ファイバーを通して投射された光は、検出面で反射し、受光用の光ファイバーを通って検出回路に戻る。検出面には、反射率の異なる2種類の領域が周方向に一定ピッチで交互配置されているので、受光用の光ファイバーを通って検出装置に戻る光信号は、回転霧化頭の回転数に応じたパルス信号となる。
【0003】
このように2系統の光ファイバーの間で光信号を伝達する場合、双方の光ファイバーの対向面が大きく離れてしまうと、光信号の伝達が良好に行われなくなるため、光ファイバーの対向面を接近した状態に保持する必要がある。そのための手段として、上記の塗装装置では、ホルダにおける塗装機との結合面と、塗装機におけるホルダとの結合面に対し、夫々、継手をネジにより固定し、各継手に、光ファイバーの端部とバネを収容している。ホルダ側の継手においては、ホルダ側光ファイバーの先端部がバネにより塗装機側へ付勢され、塗装側の継手においては、塗装機側光ファイバーの基端部がバネによりホルダ側へ付勢されている。したがって、ホルダに塗装機を結合した状態では、ホルダ側光ファイバーの先端部と塗装機側光ファイバーの基端部が、バネの付勢により弾性的に突き当たった状態で接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−90279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の塗装装置では、ホルダ側光ファイバーの先端部と塗装機側光ファイバーの基端部を接続する手段として、ホルダ側と塗装機側の両方に、夫々、継手とバネが設けられているため、部品点数が多いという問題がある。部品点数が多いということは、例えば、光ファイバーの交換のために各部品を分解したり組み付けたりする際の作業性低下を引き起こす原因となり得るため、改善が望まれる。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、部品点数の削減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、先端部に回転霧化頭が設けられた塗装機と、前記塗装機を支持するために前記塗装機の基端部に結合されるホルダと、前記ホルダ内に挿通され、前記ホルダにおける前記塗装機との結合面に先端部を臨ませたホルダ側光ファイバーと、前記塗装機内に挿通され、前記塗装機における前記ホルダとの結合面に基端部を臨ませた塗装機側光ファイバーと、前記塗装機側光ファイバーの先端部と対向した状態で前記回転霧化頭と一体に回転する検出面とを備えた塗装装置であって、前記ホルダ側光ファイバーの先端部と前記塗装機側光ファイバーの基端部を嵌合させることで、前記ホルダ側光ファイバーと前記塗装機側光ファイバーの対向面を所定の間隔に位置決めする位置決め部材と、前記ホルダ側光ファイバーの先端部と前記塗装機側光ファイバーの基端部を前記位置決め部材に固定する固定部材を備えているところに特徴を有する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記固定部材による固定状態では、前記位置決め部材と前記ホルダ側光ファイバーの先端部と前記塗装機側光ファイバーの基端部が、前記塗装機に固定されるようになっているところに特徴を有する。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記固定部材による固定を解除した状態において、前記位置決め部材と前記塗装機側光ファイバーの基端部を前記塗装機に対して組み付け状態に保持可能な保持部材を備えている
ところに特徴を有する。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載のものにおいて、前記保持部材は、前記位置決め部材と前記塗装機との周面同士の間をシールするシールリングであるところに特徴を有する。
【0011】
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4に記載のものにおいて、前記固定部材による固定を解除した状態において、前記ホルダ側光ファイバーの先端部が前記位置決め部材から離脱可能とされているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0012】
<請求項1の発明>
ホルダ側光ファイバーの先端部と塗装機側光ファイバーの基端部を接続する手段である位置決め部材と固定部材は、いずれも、ホルダ側と塗装機側とで共通の部材である。したがって、両光ファイバーを接続するための部材をホルダ側と塗装機側の両方に設ける場合に比べると、部品点数が少なくて済んでいる。
【0013】
<請求項2の発明>
ホルダと塗装機を分離した状態では、位置決め部材と塗装機側光ファイバーの基端部が塗装機に固定されているので、位置決め部材と塗装機側光ファイバーが不用意に塗装機から外れる虞はない。
【0014】
<請求項3の発明>
固定部材による固定を解除した状態でも、位置決め部材と塗装機側光ファイバーの基端部は塗装機に対して組み付け状態に保持されるので、位置決め部材と塗装機側光ファイバーが不用意に塗装機から外れる虞はない。
【0015】
<請求項4の発明>
保持部材は、位置決め部材と塗装機側光ファイバーの基端部を塗装機に保持する保持機能と、位置決め部材と前記塗装機との隙間をシールする防水機能とを兼ね備えているので、保持部材とは別に専用のシールリングを設ける場合に比べると、部品点数が少なくて済んでいる。
【0016】
<請求項5の発明>
ホルダと塗装機を分離し、固定部材による固定を解除した状態では、ホルダ側光ファイバーの先端部を位置決め部材から離脱させることができるので、ホルダと塗装機を引き離したときに、ホルダ側光ファイバーが塗装機側へ引っ張られて損傷を来す、という虞はない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1の塗装装置の断面図
【図2】光ファイバーの接続構造をあらわす部分拡大断面図
【図3】塗装機とホルダを分離した状態をあらわす部分拡大断面図
【図4】塗装機から光ファイバーと位置決め部材を外した状態をあわらす部分拡大断面図
【図5】実施形態2の光ファイバーの接続構造をあらわす部分拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図4を参照して説明する。本実施形態の塗装装置は、先端部に回転霧化頭12が設けられた塗装機10と、塗装機10を支持するために塗装機10の基端部に結合されるホルダ30とを備えており、ホルダ30と塗装機10内に挿通した光ファイバー18,34を用いて、回転霧化頭12の回転数を検出するようになっている。
【0019】
ホルダ30は、塗装ロボットやレシプロケータ等に取り付けられたホルダ本体31と、ホルダ本体31の先端面に取り付けられた取付部材32とを備えて構成される。ホルダ本体31の内部には、塗料、洗浄液、エア等の配索経路を収容するための配索スペースが設けられている。取付部材32内には、塗料、洗浄液、エア等の経路を構成するマニホールド(図示省略)と、ホルダ側光ファイバー34を挿通させるための挿通孔33が設けられている。取付部材32の先端面は、ホルダ30における塗装機10との結合面となっている。
【0020】
ホルダ30内の挿通孔33には、投光用と受光用の一対(便宜上、図面にあらわれるのは1本だけとした)のホルダ側光ファイバー34が、軸線方向へ相対移動し得るように余長を確保した状態で挿通されている。ホルダ側光ファイバー34の基端部(図示省略)は検出装置(図示省略)に接続されている。検出装置は、投光用のホルダ側光ファイバー34に向けて検知用の光を投射する投光部と、受光用のホルダ側光ファイバー34を通して送られた光を受ける受光部と、受光部で受けた光信号に基づいて回転霧化頭12の回転数を検出する検出部とを備えている。
【0021】
一方、ホルダ側光ファイバー34の先端部34Fは、取付部材32の先端面(塗装機10との結合面)に臨んでいる。ホルダ側光ファイバー34の先端部34Fには、ホルダ側コネクタ35が固着されている。ホルダ側コネクタ35は全体として円筒形をなし、その中心孔にはホルダ側光ファイバー34の先端部34Fが固着されている。ホルダ側コネクタ35には、その先端面から突出する筒状突起36が形成され、ホルダ側光ファイバー34の先端面(後述する塗装機側光ファイバー18との対向面)は、筒状突起36の先端面と面一の位置又は筒状突起36の先端面の近くに位置している。筒状突起36は非円形であり、ホルダ側コネクタ35よりも小径である。また、ホルダ側コネクタ35には、フランジ部37が形成されている。フランジ部37には、一対の貫通孔38が形成されている。
【0022】
塗装機10は、ハウジング11内に、塗料、洗浄液、エア等の供給経路(図示省略)と塗装機側光ファイバー18の挿通孔17とを設けるとともに、ハウジング11の先端部に回転霧化頭12を設けた形態となっている。回転霧化頭12は、エアタービンやモータ等の駆動手段(図示省略)により回転しながら塗料を霧化状態で噴出する。回転霧化頭12の後方には、回転霧化頭12と一体回転する検出板13が設けられている。検出板13の後面は検出面14となっており、この検出面14には、反射率の異なる2種類の受光領域(図示省略)が周方向に一定ピッチで交互配置されている。
【0023】
ハウジング11(塗装機10)の後端部(基端部)には、そのホルダ30と対向する結合面(後端面)を凹ませた形態の円形の保持孔15が形成されている。保持孔15は、挿通孔17よりも大径であって、挿通孔17と同軸状に連なっている。同じくハウジング11の後端部には、保持孔15を挟む2位置において結合面を穿孔した形態の一対の雌ネジ孔16が形成されている。
【0024】
塗装機10の挿通孔17内には、投光用と受光用の一対(便宜上、図面にあらわれるのは1本だけとした)の塗装機側光ファイバー18が、軸線方向への相対移動を可能に挿通されている。塗装機側光ファイバー18の先端部18Fは、その先端面を検出面14に対して僅かな隙間を空けて対向するように配置される。一方、塗装機側光ファイバー18の基端部18Rは、塗装機10におけるホルダ30との結合面(後端面)に臨んでいる。
【0025】
塗装機側光ファイバー18の基端部18Rには、塗装機側コネクタ19が固着されている。塗装機側コネクタ19は、全体として円筒形をなし、その中心孔には塗装機側光ファイバー18の基端部18Rが固着されている。塗装機側コネクタ19には、その基端面から突出する筒状突起20が形成され、塗装機側光ファイバー18の基端面(上述したホルダ側光ファイバー34との対向面)は、筒状突起20の先端面と面一の位置又は筒状突起20の先端面の近くに位置している。筒状突起20は非円形であり、塗装機側コネクタ19よりも小径である。また、塗装機側コネクタ19の外周には、保持孔15と同じ径のフランジ部21が形成されている。
【0026】
塗装機10の基端部(後端部)には、ホルダ30側と塗装機10側の光ファイバー18,34同士を接続するための手段として、ボルト22(本発明の構成要件である固定部材)と位置決め部材23とが設けられている。ボルト22は、外周に雄ネジ部が形成された軸部と、軸部の後端に同軸状に連なる頭部とからなり、頭部に六角形の係合凹部が形成された周知の形態のものである。
【0027】
位置決め部材23は、円形の小径部24と、小径部24の後端に連なっているとともに小径部24よりも径の大きい大径部25とを一体に形成したものである。大径部25は、非円形の形状、又は小径部24と同軸の円形をなす。位置決め部材23には、小径部24の前面を同軸状に凹ませた円形の前側嵌合凹部26と、大径部25の後面を前側嵌合凹部26と同軸状に凹ませた形態の後側嵌合凹部27と、前側嵌合凹部26と後側嵌合凹部27とを連通させる接続孔28とが形成されている。接続孔28は前側嵌合凹部26及び後側嵌合凹部27よりも小径であって、ホルダ側光ファイバー34の筒状突起36及び塗装機側光ファイバー18の筒状突起20と同じ形状をなしている。また、大径部25には、前後方向に貫通する一対のボルト孔29が形成されている。
【0028】
次に、本実施形態の塗装装置を組み付ける手順を説明する。組付けに際しては、まず、塗装機10に挿通されている塗装機側光ファイバー18の基端部18Rを後方へ少し引き出すとともに、ホルダ30に挿通されているホルダ側光ファイバー34の先端部34Fを前方へ少し引き出す。そして、位置決め部材23の前側嵌合凹部26に塗装機側コネクタ19を前方から嵌合するとともに、塗装機側コネクタ19の筒状突起20を接続孔28内に嵌合する。また、後側嵌合凹部27にホルダ側コネクタ35を後方から嵌合するとともに、ホルダ側コネクタ35の筒状突起36を接続孔28に嵌合する。このとき、接続孔28と筒状突起20,36は非円形なので、光ファイバー18,34の軸線を中心とする周方向において、投光用の光ファイバー18,34同士が同軸状に対向するように位置決めされるとともに、受光用の光ファイバー18,34同士も同軸状に対向するように位置決めされる。
【0029】
また、位置決め部材23に組み付けた塗装機側コネクタ19は前側嵌合凹部26の奥端面に突き当てられ、これにより、塗装機側コネクタ19及び塗装機側光ファイバー18の基端部18Rが位置決め部材23に対して軸線方向に位置決めされる。また、位置決め部材23に組み付けたホルダ側コネクタ35は後側嵌合凹部27の奥端面に突き当てられ、これにより、ホルダ側コネクタ35及びホルダ側光ファイバー34の先端部34Fが位置決め部材23に対して軸線方向に位置決めされる。このとき、ホルダ側コネクタ35のフランジ部37が、位置決め部材23の大径部25の後面に面当たり状態で当接するとともに、ホルダ側コネクタ35の貫通孔38が位置決め部材23のボルト孔29と整合する。
【0030】
このように位置決め部材23の塗装機側コネクタ19とホルダ側コネクタ35を組み付けることにより、接続孔28内においては、双方の筒状突起20,36が突き当たった状態又は接近して対向する状態に位置決めされ、ホルダ側光ファイバー34の先端の対向面と塗装機側光ファイバー18の基端の対向面とが、僅かな隙間を空けて対向した状態(即ち、双方の光ファイバー18,34の間での光の伝達が減衰されることなく円滑に行われる状態)に位置決めされる。
【0031】
この後、位置決め部材23により軸線方向及び周方向において位置決めされたホルダ側光ファイバー34の先端部34Fと塗装機側光ファイバー18の基端部18Rは、位置決め状態を保ったままで、塗装機10側に接近させ、塗装機側光ファイバー18の基端部18R(塗装機側コネクタ19)と位置決め部材23の小径部24を、保持孔15内に嵌合させる。そして、位置決め部材23の大径部25を塗装機10の後端面(ホルダ30との結合面)に対して面当たり状態で当接させると、位置決め部材23が塗装機10に対して軸線方向(前後方向)に位置決めされる。また、この状態では、塗装機側コネクタ19のフランジ部21が保持孔15の奥端面に対して後方から面当たり状態で突き当たるので、塗装機側コネクタ19は、保持孔15の奥端面と前側嵌合凹部26の奥端面との間で前後に挟み付けられ、これにより、塗装機側コネクタ19及び塗装機側光ファイバー18の基端面(対向面)が塗装機10に対して位置決めされる。
【0032】
この後、位置決め部材23を回転させて、位置決め部材23のボルト孔29とホルダ側コネクタ35の貫通孔38を雌ネジ孔16に整合させ、ボルト22の軸部を後方から貫通孔38とボルト孔29に挿通し、雌ネジ孔16にねじ込む。ボルト22を締め付けると、位置決め部材23とホルダ側コネクタ35と塗装機側コネクタ19が、塗装機10に対して移動規制された状態に固定されるとともに、塗装機側光ファイバー18の基端部18Rとホルダ側光ファイバー34の先端部34Fが位置決め部材23によって位置決めされた状態に固定される。以上により、塗装機10に対する光ファイバーの組付けが完了する。この後は、ホルダ側光ファイバー34をホルダ30内に収容しながら、ホルダ30と塗装機10とを結合する。
【0033】
尚、上記の組付け手順では、ホルダ側コネクタ35を位置決め部材23に組み付け、その後に、ホルダ側コネクタ35と位置決め部材23と塗装機側コネクタ19を塗装機10に嵌合したが、この以外の手順としては、位置決め部材23に塗装機側コネクタ19を嵌合し、この塗装機側コネクタ19と位置決め部材23を塗装機10に嵌合し、その後で、位置決め部材23にホルダ側コネクタ35を組み付けるようにしてもよい。
【0034】
回転霧化頭12の回転数の検出は次のようにして行われる。検出装置から投光用のホルダ側光ファイバー34に検知用の光が連続して投射され、この投射された光は、投光用のホルダ側光ファイバー34と塗装機側光ファイバー18を順に通過し、検出面14で反射し、受光用の塗装機側光ファイバー18とホルダ側光ファイバー34を順に通過し、検出回路の受光部で受光される。検出面14には、反射率の異なる2種類の受光領域が周方向に一定ピッチで交互配置されているので、受光用の光ファイバーを通って検出装置に戻る光信号は、回転霧化頭12の回転数に対応するパルス信号となる。そして、このバルス信号に基づいて、回転霧化頭12の回転数が検出される。
【0035】
また、光ファイバーを交換する際には、塗装機10とホルダ30を分離し、次に、ボルト22を外し、その後に、ホルダ側コネクタ35と位置決め部材23と塗装機側コネクタ19を塗装機10から外し、最後に、位置決め部材23からホルダ側コネクタ35と塗装機側コネクタ19を外せばよい。尚、ボルト22を外した後の工程において、塗装機10からコネクタと位置決め部材23を外す作業と、位置決め部材23からコネクタを外す作業は、任意の順序で行うことができる。
【0036】
上述のように、本実施形態の塗装装置は、ホルダ側光ファイバー34の先端部34Fと塗装機側光ファイバー18の基端部18Rを嵌合させることで、ホルダ側光ファイバー34と塗装機側光ファイバー18の対向面を所定の間隔に位置決めする位置決め部材23と、ホルダ側光ファイバー34の先端部34Fと塗装機側光ファイバー18の基端部18Rを位置決め部材23に固定するボルト22(固定部材)とを備えている。このホルダ側光ファイバー34の先端部34Fと塗装機側光ファイバー18の基端部18Rを接続する手段である位置決め部材23とボルト22は、いずれも、ホルダ30側と塗装機10側とで共通の部材である。したがって、両光ファイバー18,34を接続するための部材をホルダ30側と塗装機10側の両方に設ける場合に比べると、本実施形態では、部品点数が少なくて済んでいる。
【0037】
また、ボルト22によってホルダ側光ファイバー34の先端部34Fと塗装機側光ファイバー18の基端部18Rを位置決め部材23に固定した状態では、位置決め部材23とホルダ側光ファイバー34の先端部34Fと塗装機側光ファイバー18の基端部18Rが、塗装機10に固定されるようになっている。これにより、ホルダ30と塗装機10を分離したときに、位置決め部材23と塗装機側光ファイバー18の基端部18Rは塗装機10に固定された状態に保持される。したがって、位置決め部材23と塗装機側光ファイバー18が不用意に塗装機10から外れる虞はない。
【0038】
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2を図5を参照して説明する。本実施形態2は、上記実施形態1において、ボルト22による固定を解除した状態で位置決め部材23と塗装機側光ファイバー18の基端部18Rを塗装機10に対して組み付け状態に保持可能なシールリング40(本発明の構成要件である保持部材)を設けたものである。その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0039】
位置決め部材23の小径部24の外周には、周方向のシール溝41が形成され、シール溝41にはゴム製のシールリング40が装着されている。位置決め部材23と塗装機側コネクタ19を保持孔15に嵌合すると、シールリング40が保持孔15の内周面に接触することによって弾性撓みを生じ、このシールリング40の弾性復元力に起因する摩擦抵抗により、位置決め部材23が保持孔15内(即ち、塗装機10)から離脱し難い状態に保持される。また、塗装機側コネクタ19は保持孔15内で位置決め部材23に押さえられているので、塗装機側光ファイバー18の基端部18Rも保持孔15内(即ち、塗装機10)から離脱し難い状態に保持される。
【0040】
本実施形態においては、ボルト22による固定を解除した状態でも、位置決め部材23と塗装機側光ファイバー18の基端部18Rは塗装機10に対して組み付け状態に保持されるので、位置決め部材23と塗装機側光ファイバー18が不用意に塗装機10から外れる虞はない。
【0041】
また、ボルト22による固定を解除した状態では、ホルダ側コネクタ38もボルト22による固定を解除されるので、ホルダ側光ファイバー34の先端部34Fを位置決め部材23から離脱させることができる。したがって、ホルダ30と塗装機10を引き離したときに、ホルダ側光ファイバー34が塗装機10側へ引っ張られて損傷を来す、という虞はない。
【0042】
また、シールリング40は、位置決め部材23と塗装機10との周面同士の間をシールする防水機能も発揮し、このシールリング40により、塗装機10の後方から挿通孔17内への浸水が防止されている。このようにシールリング40は、位置決め部材23と塗装機側光ファイバー18の基端部18Rを塗装機10に保持する保持機能と、位置決め部材23と塗装機10との隙間をシールする防水機能とを兼ね備えているので、保持機能を発揮させるための専用の保持部材と、防水機能を発揮させるための専用のシール部材とを別々に設ける場合に比べると、部品点数が少なくて済んでいる。
【0043】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、固定部材によって固定された状態では、位置決め部材とホルダ側光ファイバーの先端部と塗装機側光ファイバーの基端部が、塗装機に固定される形態としたが、固定部材によって固定された状態においては、位置決め部材とホルダ側光ファイバーの先端部と塗装機側光ファイバーの基端部が、ホルダに固定される形態、又は、位置決め部材とホルダ側光ファイバーの先端部と塗装機側光ファイバーの基端部が、ホルダと塗装機のいずれにも固定されない形態としてもよい。
(2)上記実施形態2では、保持部材は、位置決め部材と塗装機側光ファイバーの基端部を塗装機に保持する保持機能と、位置決め部材と前記塗装機との隙間をシールする防水機能とを兼ね備えているが、保持部材とは別に専用のシールリングを設けてもよい。
(3)上記実施形態では、固定部材がホルダ側光ファイバーと位置決め部材の両方を貫通した状態で固定するようにしたが、固定部材は、ホルダ側光ファイバーのみを貫通し、塗装機とホルダ側光ファイバーとの間で位置決め部材を挟み付けて固定するようにしてもよい。
(4)上記実施形態では、固定部材が他の部材(ホルダ側光ファイバーと位置決め部材)を貫通して固定するようにしたが、固定部材は他の部材を貫通せずに固定を行うことにしてもよい。具体的には、外周に雄ネジ部が形成された筒部を塗装機側に形成し、その筒部内に位置決め部材を収容し、ホルダ側光ファイバーに外嵌したナット状の固定部材を筒部に螺合する形態が可能である。
【符号の説明】
【0044】
10…塗装機
12…回転霧化頭
14…検出面
18…塗装機側光ファイバー
18F…塗装機側光ファイバーの先端部
18R…塗装機側光ファイバーの基端部
22…ボルト(固定部材)
23…位置決め部材
30…ホルダ
34…ホルダ側光ファイバー
34F…ホルダ側光ファイバーの先端部
40…シールリング(保持部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に回転霧化頭が設けられた塗装機と、
前記塗装機を支持するために前記塗装機の基端部に結合されるホルダと、
前記ホルダ内に挿通され、前記ホルダにおける前記塗装機との結合面に先端部を臨ませたホルダ側光ファイバーと、
前記塗装機内に挿通され、前記塗装機における前記ホルダとの結合面に基端部を臨ませた塗装機側光ファイバーと、
前記塗装機側光ファイバーの先端部と対向した状態で前記回転霧化頭と一体に回転する検出面とを備えた塗装装置であって、
前記ホルダ側光ファイバーの先端部と前記塗装機側光ファイバーの基端部を嵌合させることで、前記ホルダ側光ファイバーと前記塗装機側光ファイバーの対向面を所定の間隔に位置決めする位置決め部材と、
前記ホルダ側光ファイバーの先端部と前記塗装機側光ファイバーの基端部を前記位置決め部材に固定する固定部材を備えていることを特徴とする塗装装置。
【請求項2】
前記固定部材による固定状態では、前記位置決め部材と前記ホルダ側光ファイバーの先端部と前記塗装機側光ファイバーの基端部が、前記塗装機に固定されるようになっていることを特徴とする請求項1記載の塗装装置。
【請求項3】
前記固定部材による固定を解除した状態において、前記位置決め部材と前記塗装機側光ファイバーの基端部を前記塗装機に対して組み付け状態に保持可能な保持部材を備えていることを特徴とする請求項2記載の塗装装置。
【請求項4】
前記保持部材は、前記位置決め部材と前記塗装機との周面同士の間をシールするシールリングであることを特徴とする請求項3記載の塗装装置。
【請求項5】
前記固定部材による固定を解除した状態において、前記ホルダ側光ファイバーの先端部が前記位置決め部材から離脱可能とされていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の塗装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−16067(P2011−16067A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161798(P2009−161798)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000117009)旭サナック株式会社 (194)
【Fターム(参考)】