塞栓術
塞栓術並びに関連した粒子及び方法が記載されている。幾らかの実施形態において、粒子を形成する方法は、複数の流体ストリームを合わせて液滴を形成する工程と、液滴から粒子を形成する工程とを含み、同粒子は約10μm(ミクロン)乃至約3000μm(ミクロン)の算術平均径を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塞栓術並びに関連した粒子及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
治療的な血管の閉塞(塞栓術)は、病的な状態をその位置にて阻止又は治療するために使用され得る。塞栓粒子を含む組成物は、種々の医療用途において管腔を閉塞するために使用される。カテーテルを介する塞栓粒子の送達は、同塞栓粒子のサイズの均一性、密度及び圧縮性に依存する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、塞栓術並びに関連した粒子及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、本発明は粒子を形成する方法を特徴とする。同方法は、複数の流体ストリーム(例えば、二つの流体ストリーム、三つの流体ストリーム)を合わせて液滴を形成する工程と、同液滴から粒子を形成する工程を含む。同粒子の算術平均径は約10μm(ミクロン)乃至約3000μm(ミクロン)である。
【0005】
別の態様において、本発明は粒子を形成する方法を特徴とする。同方法は、ポリマーを含むストリームとゲル前駆体を含む別のストリームとを合わせて液滴を形成する工程を含む。同方法はまた液滴から粒子を形成する工程を含む。
【0006】
更なる態様において、本発明は粒子を形成する方法を特徴とする。同方法は複数のオリフィス(例えば、二つのオリフィス、三つのオリフィス)から複数の流体ストリーム(例えば、二つのストリーム、三つのストリーム)を形成する工程と、複数の流体ストリームを合わせて液滴を形成する工程と、同液滴から粒子を形成する工程と、を含む。第一のオリフィスは約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)の直径を有する(例えば、約50μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン))。第二のオリフィスは、約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)の内径(例えば、約300μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン))と、約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)の外径(例えば、約300μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン))とを有する。第二のオリフィスの外径は第一のオリフィスの直径とは異なっている。
【0007】
実施形態は以下の特徴の一つ以上を含み得る。
複数の流体ストリームは第一の材料を含む第一のストリームと、第二の材料を含む第二のストリームと、を含む。
【0008】
第一の材料(例えば、ポリマー)は液滴の内側領域を形成し、第二の材料(例えば、ゲル前駆体)は液滴の表面領域を形成し得る。
第一の材料は例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホネート、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、置換セルロース、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリ(乳酸−コ−グリコール)酸又はこれらのポリマーの二つ以上の組み合わせのようなポリマーを含み得る。
【0009】
第二の材料は、ポリサッカライド(例えば、アルギン酸塩)のようなゲル前駆体を含み得る。
第一の材料及び第二の材料は混和されない。
【0010】
第一の材料及び第二の材料のうちの少なくとも一方は治療剤を含み得る。
第一の材料の粘度は第二の材料の粘度よりも大きい。第二の材料の粘度は第一の材料の粘度よりも大きい。
【0011】
第一の材料及び第二の材料のうちの少なくとも一方は、強磁性かつMRIにて視認可能(核磁気共鳴画像にて視認可能)であり得るか、放射性不透過性であるかの少なくとも一方である。
【0012】
第一のストリームと第二のストリームとは同心円上にある。
同方法は更に、第一のストリームを第二のストリームに接触させる工程(例えば、第一及び第二の材料の混合物を形成することによって)を含み得る。
【0013】
同方法は更に、ノズルにより画定された第一のオリフィスを介して第一の材料を流すことにより第一のストリームを形成する工程を含む。
第一の材料は、約2ml/分乃至約10ml/分の速度にて第一のオリフィスから流れ得る。
【0014】
同方法は更に、ノズルにより画定された第二のオリフィスを介して第二の材料を流すことにより第二のストリームを形成する工程を含む。
第二の材料は、約2ml/分乃至約20ml/分の速度にて第二のオリフィスから流れる。
【0015】
第一のオリフィスは第二のオリフィスの内部に配置されている。例えば、第一のオリフィス及び第二のオリフィスは同心円上にある。
第一のオリフィスは第二のオリフィスから垂直方向に約1mmの位置に配置され得る。
【0016】
第一のオリフィスは約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)(例えば、約50μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン))の直径を有する。
第二のオリフィスは、約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)の内径(例えば、約100μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン))と、約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)の外径(例えば、約100μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン))と、のうちの少なくとも一方を有する。
【0017】
第二のオリフィスの外径と第一のオリフィスの直径との差は、少なくとも約50μm(ミクロン)(例えば、約100μm(ミクロン))であり得る。
同方法は、治療剤を粒子に加える工程を更に含む。
【0018】
同方法は、液滴をゲル化剤と接触させて粒子を形成する工程を更に含む。
粒子を形成する工程は、ゲル前駆体を溶液からゲルに変換する工程を含む。同方法は、粒子から少なくとも幾らかのゲル前駆体を除去する工程を更に含む。
【0019】
同方法は、粒子を架橋剤と反応させる工程を更に含む。
同方法は、粒子から少なくとも幾らかのゲル前駆体を除去する工程を更に含む。
一つ以上の粒子は約10μm(ミクロン)乃至約3000μm(ミクロン)の直径を有する。同粒子は、約10μm(ミクロン)乃至約3000μm(ミクロン)の算術平均径を有する。
【0020】
同粒子の内側領域は、実質的にポリマー及びゲル前駆体を含んでいない。
同粒子の内側領域のポリマーの密度は、同粒子の表面領域のポリマーの密度よりも大きい。同粒子の表面領域のゲル前駆体の密度は、同粒子の内側領域のゲル前駆体の密度よりも大きい。
【0021】
粒子は孔を含み得る。粒子の内側領域の孔の密度は、同粒子の表面領域の孔の密度とは異なっている(例えば、大きい)。粒子の内側領域の平均孔径は同粒子の表面領域の平均孔径とは異なっている(例えば、大きい)。
【0022】
粒子は実質的に孔を含んでいない。
液滴を形成する工程は、複数のストリームを周期的な変化にさらす工程を含む。周期的な変化は複数のストリームを振動させることにより提供され得る。
【0023】
液滴を形成する工程は、複数のストリームと液滴を受承するように構成された容器との間に静電電位を確立する工程を含む。
実施形態は、以下の利点の一つ以上を含み得る。
【0024】
同方法は、粒子(例えば塞栓粒子)、特に一つ以上の材料を含む粒子、を形成するために比較的有効及び/又は効率的な方法を提供する。例えば、粒子を製造する工程時に、異なるオリフィスを使用して異なる材料を導入する。複数の材料を含む粒子は、例えば、塞栓術の処置においては望ましいものである。一例として、治療剤(例えば、腫瘍を治療するもの)を含む塞栓術用粒子が望ましい。別の例として、放射線不透過性材料を塞栓術粒子に含むことが(例えば、蛍光光度法を使用して体内の粒子を視認しやすくするために)望ましい。更なる例として、磁場を用いて体内の粒子の位置を操作する能力を向上させるために強磁性体材料を塞栓粒子に含ませることが望ましい。
【0025】
同方法は、所望のサイズの粒子(例えば、塞栓粒子)を形成する比較的有効及び/又は効率的な方法を提供する。一例として、異なるオリフィスから流れる材料ストリームは所望のサイズの粒子を提供するために別々に操作され得る。別の例として、ストリームの粘度は所望のサイズの粒子(例えば、より小さな粒子)を形成するために操作され得る(例えば、低減され得る)。
【0026】
同方法は、例えば中空の粒子を形成するために使用され得る。例えば、塞栓術処置時に使用する場合、中空の粒子は塞栓術処置の前(例えば処置の直前)にすばやく装填可能であり、粒子に加えて担体溶液を含む塞栓組成物を分類する工程に関連した費用及び複雑さのうちの少なくとも一方を低減可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
特徴及び利点は、詳細な説明、図面及び請求の範囲に記載されている。
図1A及び1Bは粒子(例えば、塞栓術処置に使用可能な粒子)を形成するためのシステム1000を示す。システム1000はフロー制御装置1100、液滴発生器1200、ゲル容器1400、反応容器1500、選択的なゲル溶解チャンバ1600及びフィルタ1700を含む。液滴発生器1200は同心円ノズル1300を含む。図2A及び2Bに示されるように、同心円ノズル1300は内容積1335を備える内側ノズル1330と直径がDであるオリフィス1310とを含む。同心円ノズル1300はまた、内容積1345(図2Aの影をつけた部分)を備えた外側ノズル1340と内径IDと外径ODを備えたオリフィス1320とを含む。
【0028】
液滴発生器1200は、例えば、イノテックエンカプスレータユニット(Inotech Encapsulator unit)IE−50R/NS(スイス国、ドッティコン(Dottikon)に所在のイノテックAG)又はNISCOエンカプスレーションユニット(Encapsulation unit)VARDモデル(スイス国、チューリッヒに所在のNISCOエンジニアリング社)であり得る。幾らかの実施形態において、同心円ノズル1300は液滴発生器1200へのアタッチメントとして供給され得る。同心円ノズルアタッチメントの一例は、モデルIE−5250アタッチメント(イノテックAGより入手可能)である。
【0029】
フロー制御装置1100は粘度制御装置1800に二つの溶液(ポリマー溶液及びゲル前駆体溶液)を送達し、同粘度制御装置1800は、一方又は両方の溶液が、液滴発生器1200に送達される前に所望の粘度をそれぞれ得るべく同溶液を加熱する。ある実施形態において、液滴発生器1200に移される前に、一方又は両方の溶液は、シリンジポンプ(例えば、マサチューセッツ州ホリストンに所在のハーバードアパレータス(Harvard Apparatus)社のモデルPHD4400)のような高圧ポンプ装置に送られる。代替的に又は付随的に、液滴発生器1200は一方又は両方の溶液を液滴発生器1200に移す速度を制御するために、一方又は両方の溶液に圧力(例えば、約50000Pa(0.5バール)乃至約160000Pa(1.6バール))を加える圧力制御装置(圧力ヘッド)を含み得る。一般的に、与えられた溶液に加えられる圧力は溶液の粘度及び溶液の所望の流速の少なくとも一方に依存する。
【0030】
図2Cに示されるように、液滴発生器1200に送達された後に、ポリマー溶液のストリーム1350は容積1335を通過して、オリフィス1310を介して内側ノズル1330から排出される。ゲル前駆体溶液のストリーム1360は容積1345を通過してオリフィス1320を介して外側ノズル1340から排出される。幾らかの実施形態において、ストリーム1350及びストリーム1360のうちの少なくとも一方は同ストリームが排出されるノズルの外径の約2倍の平均粒子径を有する。両ストリームはそれらがオリフィスから排出される際に相互に反応する。同時に、ノズル1300は周期的な変化にさらされ、ポリマーから形成された内側領域1380とゲル前駆体から形成された外側領域1390を有する液滴1370を形成する。液滴1370はゲル容器1400に落下し、同ゲル容器1400において液滴がゲル形成により安定化され、その際ゲル前駆体が溶液の形態からゲルの形態に変換される。次に、ゲル安定化液滴はゲル容器1400から反応容器1500に移され、そこでゲル安定化液滴内のポリマーが反応して粒子を形成する。その後、同粒子はフィルタ1700にて濾過され、不純物が除去され、塞栓粒子を含む塞栓組成物として滅菌及びパッケージ化される。幾らかの実施形態において、粒子は、濾過される前にゲル溶解チャンバ1600に移される。ゲル溶解チャンバ1600において、粒子内のゲル前駆体(ゲルに変換されたもの)が溶解される。ゲル前駆体が溶解された後、粒子が、上述のように濾過、滅菌及びパッケージ化される。
【0031】
一般的に、液滴発生工程における一つ以上のパラメータは所望のサイズの液滴を形成するために選択され得る。液滴のサイズは、例えば、内側オリフィス1310の直径「D」、オリフィス1320の内径「ID」、オリフィス1320の外径「OD」、ストリーム1350の流速、ストリーム1360の流速、ポリマー溶液の粘度、ゲル前駆体溶液の粘度、同心円ノズル1300の振幅、同心円ノズル1300の振動周波数のうちの少なくとも一つを制御することにより制御され得る。一例として、その他のパラメータを一定にしながら、内側オリフィス1310の直径「D」を増大させること、オリフィス1320の内径「ID」を増大させること、及びオリフィス1320の外径「OD」を増大させることのうちの少なくとも一つにより、より大きな液滴が形成される。別の例として、その他のパラメータを一定にしながら、ストリーム1350の流速を増大させること及びストリーム1360の流速を増大させることのうちの少なくとも一つにより、より大きな液滴が得られる。更なる例として、その他のパラメータを一定にしながら、同心円ノズル1300の振動周波数を低減するとより大きな液滴が得られる。更なる例として、その他のパラメータを一定にしながら、ポリマー溶液の粘度を増大させること及びゲル前駆体溶液の粘度を増大させることのうちの少なくとも一方により、より大きな液滴が得られる。
【0032】
一般的に、内側オリフィス1310の直径「D」は、約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)(例えば、約50μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン)、約100μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン)、約200μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン)、約200μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン))であり得る。幾らかの実施形態において、直径「D」は、約300μm(ミクロン)以下、(例えば、約200μm(ミクロン)以下、約150μm(ミクロン)以下、約100μm(ミクロン)以下)及び約50μm(ミクロン)以上(例えば、約100μm(ミクロン)以上、約150μm(ミクロン)以上、約200μm(ミクロン)以上、約250μm(ミクロン)以上)うちの少なくとも一方であり得る。
【0033】
オリフィス1320は典型的には、約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)の外径「OD」(例えば、約100μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約500μm(ミクロン)、約500μm(ミクロン)、約600μm(ミクロン))を有し得る。ある実施形態において、オリフィス1320は、約100μm(ミクロン)以上(例えば、約200μm(ミクロン)以上、約300μm(ミクロン)以上、約400μm(ミクロン)以上、約500μm(ミクロン)以上)の外径「OD」及び約600μm(ミクロン)以下、(例えば、約500μm(ミクロン)以下、約400μm(ミクロン)以下、約300μm(ミクロン)以下、約200μm(ミクロン)以下)の外径「OD」うちの少なくとも一方を有する。
【0034】
一般的に、オリフィス1320は、約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)の内径「ID」(例えば、約100μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約500μm(ミクロン)、約400μm(ミクロン)乃至約500μm(ミクロン)、約400μm(ミクロン)、約500μm(ミクロン))を有し得る。幾らかの実施形態において、オリフィス1320は、約600μm(ミクロン)以下の内径「ID」(例えば、約500μm(ミクロン)以下、約400μm(ミクロン)以下、約300μm(ミクロン)以下、約200μm(ミクロン)以下)及び約100μm(ミクロン)以上の内径「ID」(例えば、約200μm(ミクロン)以上、約300μm(ミクロン)以上、約400μm(ミクロン)以上、約500μm(ミクロン)以上)うちの少なくとも一方を有する。
【0035】
オリフィス1320の外径「OD」と内側オリフィス1310の直径「D」との間の差は、少なくとも約50μm(ミクロン)(例えば、少なくとも約100μm(ミクロン)、少なくとも約200μm(ミクロン)、少なくとも約300μm(ミクロン))及び最大でも約300μm(ミクロン)(例えば、最大でも約200μm(ミクロン)、最大でも約100μm(ミクロン))のうちの少なくとも一方であり得る。幾らかの実施形態において、オリフィス1320の外径「OD」と内側オリフィス1310の直径「D」との間の差は、約100μm(ミクロン)であり得る。
【0036】
一般的に、ポリマー溶液のストリーム1350は内側ノズル1330の容積1335を、約2ml/分乃至約10ml/分の速度にて流れる。幾らかの実施形態において、ストリーム1350は、約2ml/分より大きい(例えば、約5ml/分より大きい、約7ml/分より大きい、約10ml/分より大きい)速度及び約10ml/分未満(例えば、約7ml/分未満、約5ml/分未満、約2ml/分未満)の速度のうち少なくとも一方の速度にて容積1335を流れる。
【0037】
一般的に、ゲル前記体溶液のストリーム1360は、容積1345を、約2ml/分乃至約20ml/分の速度(例えば、約4ml/分乃至約20ml/分、約5ml/分乃至約20ml/分)にて流れる。幾らかの実施形態において、ストリーム1360は、約5ml/分より大きい(例えば、約7ml/分より大きい、約10ml/分より大きい、約15ml/分より大きい)速度及び約20ml/分未満(例えば、約15ml/分未満、約10ml/分未満、約7ml/分未満)の速度のうち少なくとも一方の速度にて容積1345を流れる。
【0038】
幾らかの実施形態において、ストリーム1350及び1360の流速はほぼ同じである。例えば、ストリーム1350及び1360はいずれも、約5ml/分の速度にて同心円ノズル1300を流れる。
【0039】
ある実施形態において、ストリーム1350の流速はストリーム1360の流速とは異なる。例えば、ストリーム1350は約5ml/分の速度にて容積1335を流れ、ストリーム1360は約10ml/分の速度にて容積1345を流れる。幾らかの実施形態において、ストリーム1350及び1360のノズル1300を介する流速の変化は両ストリーム間の界面における混合にて向上する。
【0040】
幾らかの実施形態において、ストリーム1350が同心円ノズル1300を流れ始める前にストリーム1360は同心円ノズル1300を流れ始める。ある実施形態において、ストリーム1360が同心円ノズル1300を流れ始める前にストリーム1350は同心円ノズル1300を流れ始める。そのような実施形態において、両ストリームの界面における混合は、比較的小さい。
【0041】
幾らかの実施形態において、同心円ノズル1300の振動周波数は、約0.1KHz以上(例えば、約0.8KHz以上、約1.5KHz以上、約1.75KHz以上、約1.85KHzより以上、約2.5KHz以上、約0.1KHz乃至約0.8kHz)であり得る。
【0042】
ある実施形態において、同心円ノズル1300の振幅は、液滴1370の幅より大きい。幾らかの実施形態において、液滴発生器1200は、操作者が同心円ノズルの変動の振幅を調整できるように可変振幅設定を備えている。そのような実施形態において、振幅は、例えば、最大設定の約80パーセント乃至約100パーセントに設定され得る。
【0043】
一般的に、ポリマー溶液の粘度は、約0.01Pa・s(10センチポアズ)乃至約0.05Pa・s(50センチポアズ)(例えば、約0.025Pa・s(25センチポアズ))であり得る。代替的に又は付随的に、ゲル前駆体容易液の粘度は、約0.01Pa・s(10センチポアズ)乃至約0.1Pa・s(100センチポアズ)(例えば、約0.05Pa・s(50センチポアズ))であり得る。幾らかの実施形態において、約0.05Pa・s(50センチポアズ)の粘度を有する溶液は、約100μm(ミクロン)乃至約1200μm(ミクロン)の直径を備えた液滴を生成する。典型的には、二つの異なる材料の同心円ストリームの粘度は、二つの異なる材料の混合ストリームの粘度よりも小さい。一般的に、低粘度の溶液は高粘度の溶液よりもより小さなオリフィスを流通可能であり、よって高粘度の溶液よりも小さな液滴が生成する。
【0044】
上記したように、粘度制御装置1800は、ポリマー溶液及びゲル前駆体溶液の粘度を制御するために液滴形成工程にて使用され得る。粘度制御装置1800は、ポンプと液滴発生器1200との間のフロー管を所定の温度にて水が循環する熱交換器である。ポリマー溶液及びゲル前駆体溶液は粘度制御装置1800内を流れ、粘度が所望のレベルに低減されるように同溶液が加熱される。代替的又は付随的に、溶液を含む容器は、溶液を加熱するために加熱流体浴(例えば、加熱水浴)に配置され得る。幾らかの実施形態(例えば、システムが粘度制御装置1800を含んでいない場合)において、フロー制御装置1100及び液滴発生器1200のうちの少なくとも一方は、ポリマー溶液及びゲル前駆体溶液を加熱するために温度制御チャンバ(例えば、オーブン、加熱テープラップ)に配置され得る。一般的に、所定の溶液に対して、溶液の所望の粘度が低ければ低いほど溶液が加熱される温度は高くなる。例えば、幾らかの実施形態において、約0.1Pa・s(100センチポアズ)の所望の粘度を備えた溶液は約65℃の温度まで加熱されるのに対して、約0.05Pa・s(50センチポアズ)の所望の粘度を備えた溶液は約75℃の温度まで加熱され得る。ある実施形態において、粘度制御装置1800は溶液が特定のサイズのオリフィスを通過することを可能にするように同溶液を加熱する。一般的に、所定の溶液に対して、ノズルのオリフィスが小さければ小さいほど溶液が加熱される温度は高くなる。例えば、幾らかの実施形態において、約200μm(ミクロン)の直径を有するオリフィスを流れる溶液は約65℃の温度まで加熱されるのに対して、同じ溶液が約100μm(ミクロン)の直径を有するオリフィスを流れる場合は約75℃の温度まで加熱される。
【0045】
ポリマー溶液及びゲル前駆体溶液のうちの少なくとも一方の粘度は、代替的に又は付随的に、溶液中のポリマー及びゲル前駆体のうちの少なくとも一方の濃度を変更することにより調節され得る。一般的に、溶液中のポリマー及びゲル前駆体のうちの少なくとも一方の濃度が増大すると溶液の粘度は増大する。例えば、仮にポリビニルアルコール溶液の所望の粘度が約0.025Pa・s(25センチポアズ)である場合、同溶液は、約8パーセントのポリビニルアルコールの濃度を有するように調製され得る。例えば、仮にアルギン酸塩溶液の所望の粘度が約0.05Pa・s(50センチポアズ)である場合、同溶液は、約2パーセントのアルギン酸塩の濃度を有するように調製され得る。
【0046】
液滴形成工程において、ゲル前駆体溶液及びポリマー溶液のうちの少なくとも一方に加えられる圧力は、例えば、液滴の所望となるサイズ及び溶液の粘度のうちの少なくとも一方に基づいて選択され得る。一般的に、所定の溶液に対して、ノズルオリフィスのサイズが減少する(例えば、より小さい粒子を形成するために)と、溶液に加えられる圧力が増大する。例えば、約50000Pa(0.5バール)の圧力は、約300μm(ミクロン)の直径を有するオリフィスを流れる約0.05Pa・s(50センチポアズ)の粘度を有する溶液に加えられ得る。約80000Pa(0.8バール)の圧力は、約200μm(ミクロン)の直径を有するオリフィスを流れる同一の粘度を有する同一の溶液に加えられ得る。一般的に、所定の直径のオリフィスを流れる所定の溶液に対して、溶液の粘度が減少すると同溶液に加えられる圧力も減少する。例えば、約80000Pa(0.8バール)の圧力は、約200μm(ミクロン)の直径を有するオリフィスを流れる約0.05Pa・s(50センチポアズ)の粘度を有する溶液に加えられ得る。約50000Pa(0.5バール)の圧力は、同一の溶液が同一のオリフィスを流れるが異なる粘度を有する(例えば、約0.025Pa・s(25センチポアズ))場合に同溶液に適用される。
【0047】
一般的に、ゲル容器1400と内側オリフィス1310及びオリフィス1320のうちの少なくとも一方との間の距離は、液滴が容器1400に到達する前に分離するように選択される。幾らかの実施形態において、内側オリフィス1310及びオリフィス1320のうちの少なくとも一方からゲル容器1400に含まれる混合物までの距離は、約12.7cm(5インチ)乃至約20.3cm(8インチ)(例えば、約12.7cm(5インチ)乃至約15.2cm(6インチ))である。
【0048】
一般的に、ポリマー溶液及びゲル前駆体溶液は種々の異なる方法のうちの任意のものに従って形成され得る。幾らかの実施形態において、ポリマー溶液及びゲル前駆体溶液のうちの少なくとも一方は、液滴発生器1200にて使用される前に一つ又は複数のポリマー及びゲル前駆体のうちの少なくとも一方を溶解することにより形成され得る。例えば、ポリマーは加熱(例えば、約70℃以上、約121℃)することにより水に溶解され得る。例えば、ゲル前駆体は室温で水に溶解され得る。ある実施形態において、ポリマー溶液及びゲル前駆体溶液のうちの少なくとも一方は、一つ又は複数のポリマー及びゲル前駆体のうちの少なくとも一方と水とを混合して、混合物をオートクレーブで加熱することにより形成され得る。例えば、マイクロウェーブを適用して、水と一つ又は複数のポリマー及びゲル前駆体のうちの少なくとも一方からなる混合物が、代替的又は付随的に加熱され得る。幾らかの実施形態において、水と、ポリマー及びゲル前駆体のうちの少なくとも一方とを混合するためにホモジナイザ(例えば、マイクロウェーブの適用と組み合わせて)が使用され得る。
【0049】
一般的に、ポリマー溶液に使用される一つ又は複数のポリマー及びゲル前駆体溶液に使用される一つ又は複数のゲル前駆体は生体適合性である。
ポリマーの例としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホネート、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、置換セルロース、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリ(乳酸−コ−グリコール)酸(例えば、ポリ(d−乳酸−コ−グリコール)酸)及びそれらのコポリマー若しくは混合物を含む。好ましいポリマーはポリビニルアルコール(PVA)である。特に、ポリビニルアルコールは、約80パーセント乃至約99パーセントの範囲にて典型的に加水分解される。ベースポリマーの重量平均分子量は、例えば、約9000乃至約186000の範囲(例えば、約85000乃至約146000、約89000乃至約98000)であり得る。
【0050】
ゲル前駆体の例としては、アルギネート(alginates)、アルギネートの塩、キサンタンガム、天然ゴム、寒天、アガロース、キトサン、カラギナン、フコイダン、フルセララン、ラミナラン、イバラノリ属、キリンサイ属、アラビアゴム、ガティガム、カラヤガム、トラガカントゴム、ヒアルロン酸、ローカストビームガム、アラビノガラクタン、ペクチン、アミロペクチン、その他の水溶性ポリサッカライド及びその他のイオン架橋可能なポリマーを含む。特殊なゲル前駆体はアルギン酸ナトリウムである。好ましいアルギン酸ナトリウムは、低粘度(例えば、20℃で約0.02Pa・s(20センチポアズ)乃至約0.08Pa・s(80センチポアズ))を備えた高グルロン酸、茎由来のアルギン酸塩(例えば、約50パーセント以上、約60パーセント以上のグルロン酸)であり、高引張強度の強固なゲルを生成する。
【0051】
ゲル容器1400に含まれる混合物は、ゲル前駆体と反応して安定なゲルを形成することにより液滴を安定化させるゲル化剤を含む。例えば、適切なゲル化剤は、帯電ポリマー(例えば、ポリアクリル酸)又はアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はゲル前駆体とイオン的に架橋可能な遷移金属塩のような2価のカチオンを含む。例えば、カルシウム、バリウム、亜鉛又はマグネシウムの塩のような無機塩がゲル化剤として使用され得る。実施形態において、アルギン酸塩のゲル前駆体を使用するような特殊な場合、適切なゲル化剤は塩化カルシウムである。カルシウムカチオンは、ゲル前駆体中のカルボン酸基と親和性を有する。カチオンはゲル前駆体中のカルボン酸基と錯体を形成し、ゲル前駆体によりポリマーが封入され得る。
【0052】
理論により結びつけることを望むわけではないが、幾らかの実施形態(例えば、約500μm(ミクロン)以下の直径を有する粒子を形成する場合)において、ゲル容器1400に含まれる混合物の表面張力を低減することは望ましい。これは、例えば、ゲル容器1400内の混合物を加熱することにより(例えば、約30℃以上の温度のような室温より大きい温度(例えば、約80℃以上の温度)まで)、ゲル容器1400に含まれる混合物を(例えば、空気、窒素、アルゴン、クリプトン、ヘリウム、ネオンにて)曝気することにより、ゲル容器1400に含まれる混合物を(例えば、マグネチックスターラにて)撹拌することにより、ゲル化剤を含む混合物中に界面活性剤を加えることにより、及びゲル容器1400に入れた混合物上にゲル化剤を含むミストを形成することにより(例えば、テール(tail)の形成を低減すること及び粒子の球形度を高めることのうちの少なくとも一方)、のうちの少なくとも一つにより達成され得る。
【0053】
上記したように、液滴の安定化に続いて、ゲル溶液は固体粒から移されるか、又は固体粒が篩い分けによりゲル溶液から除去され得る。次に固体粒は反応容器1500に移され、同容器1500において固体粒のポリマーは粒子を形成するために反応を受ける(例えば、架橋される)。
【0054】
反応容器1500は、複数のポリマー鎖の間にて架橋を形成するか、又はポリマー鎖内で架橋を形成するために同ポリマーと化学的に反応する作用物質を含む。例えば、ポリマーがポリビニルアルコールである実施形態において、容器1500は、ポリビニルアルコールをアセチル化するために、ホルムアルデヒド、グリオキサル、ベンズアルデヒド、アテレフタルアルデヒド、スクシンアルデヒド及びグルタルアルデヒドのような一つ以上のアルデヒドを含み得る。容器1500はまた、例えば、硫酸、塩酸、硝酸のような強酸、酢酸、ギ酸及びリン酸のような弱酸のような酸を含み得る。実施形態において、反応は第一に1,3−アセチル化である:
【0055】
【化1】
この鎖内のアセチル化反応はジョン G.プリチャード(John G.Pritchard)により「ポリ(ビニルアルコール)の基本的な特性及び使用(Poly(Vinyl Alcohol)Basic Properties and Uses)(ポリマーモノグラフ(Polymer Monograph)、第4巻、第93−97頁を参照、Gordon and Breach,Science Publishers社、ロンドン、1970年)に記載されているように鎖内での架橋の可能性が比較的低い状態で実施される。なお、同文献は参照により本明細書中にて援用される。反応はランダムに進むので、ポリマー鎖に沿ったOH基は隣接する官能基とは反応せず、変換されないままで残る。
【0056】
使用されるアルデヒド及び酸の量、反応時間及び反応温度を調節することによりアセチル化の程度が制御できる。実施形態において、反応時間は約5分乃至約1時間(例えば、約10分乃至約40分、約20分)である。反応温度は、例えば、約25℃乃至約150℃(例えば、約75℃乃至約130℃、約65℃)である。反応容器1500は、軌道運動ミキサとともに固定された水浴に配置され得る。粒子は脱イオン水にて数回洗浄され、残渣の酸性溶液が除去される。
【0057】
図3は上記工程により形成された粒子10を示す(ゲル前駆体を溶解せずに)。粒子10はポリマーから形成された内側領域12とゲル前駆体(上記に説明されたゲル状態にある)より形成された外側領域16とを含む。
【0058】
一般的に、粒子10は約10μm(ミクロン)乃至約3000μm(ミクロン)の直径(例えば、約40μm(ミクロン)乃至約2000μm(ミクロン)、約100μm(ミクロン)乃至約700μm(ミクロン)、約500μm(ミクロン)乃至約700μm(ミクロン)、約100μm(ミクロン)乃至約500μm(ミクロン)、約100μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約500μm(ミクロン)、約500μm(ミクロン)乃至約1200μm(ミクロン)、約500μm(ミクロン)乃至約700μm(ミクロン)、約700μm(ミクロン)乃至約900μm(ミクロン)、約900μm(ミクロン)乃至約1200μm(ミクロン))を有する。幾らかの実施形態において、粒子10は約3000μm(ミクロン)以下の直径(例えば、約2500μm(ミクロン)以下、約2000μm(ミクロン)以下、約1500μm(ミクロン)以下、約1200μm(ミクロン)以下、約1000μm(ミクロン)以下、約900μm(ミクロン)以下、約700μm(ミクロン)以下、約500μm(ミクロン)以下、約400μm(ミクロン)以下、約300μm(ミクロン)以下、約100μm(ミクロン)以下)及び約10μm(ミクロン)以上の直径(例えば、約100μm(ミクロン)以上、約300μm(ミクロン)以上、約400μm(ミクロン)以上、約500μm(ミクロン)以上、約700μm(ミクロン)以上、約900μm(ミクロン)以上、約1000μm(ミクロン)以上、約1200μm(ミクロン)以上、約1500μm(ミクロン)以上、約2000μm(ミクロン)以上、約2500μm(ミクロン)以上)のうちの少なくとも一方を有する。
【0059】
ある実施形態において、粒子10は約0.8以上の球形度(例えば、約0.85以上、約0.9以上、約0.95以上、約0.97以上)を有する。粒子の球形度は、ベックマンコールター(Beckman Coulter)急速(Rapid)VUE画像アナライザー・バージョン2.06(フロリダ州マイアミに所在のベックマンコールター)を用いて決定され得る。要約すると、急速VUEは、サンプリング及び量子化の工程により、連続トーン(グレースケール)の画像を撮影し、それをデジタル形に変換する。システムのソフトウェアは、ファイバ、ロッド又は球の形状である画像にて粒子を確認及び測定する。Da/Dp(ここで、Daは√(4A/π)、DpはP/π、Aは画素領域、Pは画素周囲である)として計算される粒子の球形度は0乃至1の値であり、1が完全な球を示す。
【0060】
上記したように、幾らかの実施形態において、ゲル前駆体(ゲル状態)が図4に示されるように粒子10から除去され(例えば、イオン交換反応により)、粒子100が形成される。粒子100はポリマーを含むがゲル前駆体は実質的に含んでいない。ゲル前駆体がアルギン酸ナトリウムから形成される幾らかの実施形態において、アルギン酸ナトリウムは、ヘキサメタリン酸ナトリウム(EMScience社)溶液を用いてイオン交換により除去される。例えば、溶液は、エチレンジアミンテトラ四酢酸(EDTA)、クエン酸、その他の酸、リン酸塩を含み得る。ヘキサメタリン酸ナトリウムの濃度は、脱イオン水中に、例えば約1重量パーセント乃至約20重量パーセント(例えば、約1重量パーセント乃至約10重量パーセント、約5重量パーセント)であり得る。残渣のゲル前駆体(例えば、アルギン酸ナトリウム)はアッセイ(例えば、マンヌロン酸及びグルロン酸残渣を含むアルギン酸塩中のウロン酸の検出)により測定され得る。適切なアッセイは、硫酸溶液中のテトラホウ酸ナトリウムで粒子を洗浄してアルギン酸塩を抽出する工程と、抽出物をメタヒドロキシジフェニル比色(colormetric)試薬と合わせる工程と、UV/VIS分光光度計により濃度を決定する工程とを含む。試験は、例えばノルウェー国オスロに所在のFMCBiopolymer社のようなアルギン酸塩供給業者により実施され得る。残渣のアルギン酸塩は、例えば、洗浄する前に、約20重量パーセント乃至約35重量パーセントの範囲にて存在し、約23℃で、水中にて30分洗浄した後の粒子には約0.01重量パーセント乃至約0.5重量パーセント(例えば、約0.1重量パーセント乃至約0.3重量パーセント、約0.18重量パーセント)の範囲にて存在し得る。
【0061】
幾らかの実施形態において、図5及び6に示されるように、ゲル前駆体が粒子から除去されて粗い表面を備えたより小さな粒子が形成される。図5はポリマーを含む内側領域210とゲル前駆体を含む外側領域230とを備えた粒子200を示す。ゲル前駆体とポリマーとの境界250は明確には画定されていない。そのような境界は、例えば、粒子200の形成時にゲル前駆体溶液とポリマー溶液の両溶液の間の界面にて幾らかの混和が存在する場合に形成される。ゲル前駆体が粒子200から除去されると、図6に示されるように、粗い表面310を備えた粒子300が得られる。粒子300はほぼポリマーから形成され、ゲル前駆体を実質的には含んでいない。
【0062】
上記したように、ゲル前駆体の架橋又は除去のいずれかの後に、同心円ノズル1300を使用して形成された粒子はフィルタ1700にて濾過され、残渣の不純物が除去される。約100μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン)の粒子が約710μm(ミクロン)のふるいにて濾過され、次いで約300μm(ミクロン)のふるいにて濾過される。次に粒子は、約20μm(ミクロン)のふるい上に回収される。約300μm(ミクロン)乃至約500μm(ミクロン)の粒子が約710μm(ミクロン)のふるいにて濾過され、次いで約500μm(ミクロン)のふるいにて濾過される。次に粒子は、約100μm(ミクロン)のふるい上に回収される。約500μm(ミクロン)乃至約700μm(ミクロン)の粒子が約1000μm(ミクロン)のふるいにて濾過され、次いで約710μm(ミクロン)のふるいにて濾過され、次に、約300μm(ミクロン)のふるいにて濾過される。次に粒子は、キャッチパン(catch pan)に回収される。約700μm(ミクロン)乃至約900μm(ミクロン)の粒子が約1000μm(ミクロン)のふるいにて濾過され、次いで約500μm(ミクロン)のふるいにて濾過される。次に粒子は、キャッチパンに回収される。約900μm(ミクロン)乃至約1200μm(ミクロン)の粒子が約1180μm(ミクロン)のふるいにて濾過され、次いで約710μm(ミクロン)のふるいにて濾過される。次に粒子は、キャッチパンに回収される。所望に応じてその他のサイズのふるいも使用され得る。
【0063】
次に粒子がパッケージ化される。典型的には、約1ml乃至約5mlの粒子が約5ml乃至約10mlの生理食塩水にパッケージ化される。濾過された粒子は典型的には、電子ビーム照射のような低温技術により滅菌される。実施形態において、電子ビーム照射は粒子を製薬的に滅菌するために使用され得る(例えば、バイオバーデンを低減する)。電子ビーム滅菌において、電子ビームは、磁場及び電場を使用して加速され、エネルギービームに集中される。得られたエネルギービームは電磁石によってスキャンされ、一面の加速電子を生成する。加速電子ビームは回収された粒子を貫通し、細菌及びかびを破壊して滅菌し、粒子内のバイオバーデンを低減する。電子ビーム滅菌は、オハイオ州リマに所在のタイタンスキャン(Titan Scan)のような滅菌供給業者により実施され得る。
【0064】
幾らかの実施形態において、複数の粒子は担体流体(例えば、生理食塩水、造影剤又はその両者のような製薬的に許容される担体)と合わせられて、塞栓組成物を形成する。一般的に、粒子の密度(例えば、単位体積当たりの物質のグラムにて測定されたもの)は担体流体に容易に懸濁されて、送達時まで懸濁した状態が維持されるようなものである。幾らかの実施形態において、粒子の密度は約1.1g/cm3乃至約1.4g/cm3であり得る。一例として、生理食塩水−造影剤溶液中の懸濁剤に対して、密度は、約1.2g/cm3乃至約1.3g/cm3であり得る。
【0065】
塞栓組成物は、例えば、神経系、肺疾患及びAAA(腹部大動脈瘤)のうちの少なくとも一つの用途において使用され得る。組成物は例えば、類繊維腫、腫瘍、内部出血、動静脈奇形(AVM)及び血管過剰増生腫瘍のうちの少なくとも一つの治療において使用され得る。組成物は、例えば、動脈瘤サック、AAAサック(II型エンドリーク)、エンドリークシーラント、動脈シーラント及び穿刺シーラントのうちの少なくとも一つのための充填材として使用され得る、及び卵管のようなその他の管腔の閉塞を提供するために使用される、のうちの少なくとも一方であり得る。類繊維腫は、子宮壁の内部にて成長する(壁内型)、子宮の外側(漿膜下型)にて成長する、子宮腔の内部(粘膜下型)にて成長する、子宮を支える子宮広間膜層の間にて成長する(靱帯型間)、他の臓器に癒着して成長する(寄生型)又はマッシュルーム様柄に成長する(有茎型)子宮筋腫を含む。内部出血は、消化器出血、尿路出血、直腸出血及び静脈瘤出血を含む。AVMは例えば、脳内において高圧の動脈から低圧の静脈まで血液を分流する血管の異常な集積であり、それにより血液が分岐するそれらの領域の低酸素及び栄養障害を生ずる。幾らかの実施形態において、粒子を含む組成物は、症状を予防的に処置するために使用され得る。
【0066】
塞栓組成物の用量の大きさは、投与経路のみならず、治療される症状の性質、位置及び重症度に基づいて変更され得る。症状、疾病又は疾患を治療する医師が塞栓組成物の効果的な量を決定する。塞栓組成物の効果的な量は、症状の緩和又は患者の延命を生ずるのに十分な量に及ぶ。塞栓組成物は、任意の治療上許容可能な用量にて製薬的に許容可能な組成物として患者に投与され、患者の静脈内に、皮下に、経皮的に、気管内に、筋肉内に、粘膜内に、皮内に、関節内に、経口的に、又は非経口的に投与することを含む。
【0067】
塞栓組成物は、粒子の混合物(例えば、異なる種類の治療剤を含む粒子)を含み得るか、又は全てが同じ種類のものである粒子を含み得る。幾らかの実施形態において、塞栓組成物は、医師により送達が容易になるように、粒子の調整された濃度を用いて調製され得る。医師は、例えば実施され得る塞栓術のタイプに基づいて特定の濃度の塞栓組成物を選択し得る。ある実施形態において、医師は塞栓処置のある処置の間は比較的高濃度の粒子である塞栓組成物を使用し、塞栓処置の別の処置の間は比較的低濃度の粒子である塞栓組成物を使用する。
【0068】
粒子の生理食塩水への懸濁剤は、所望の期間にわたって安定であるように調製され得る(例えば、溶液に懸濁された状態のままであり、沈殿及び浮遊の少なくとも一方が起こることはない)。粒子の懸濁剤は例えば、約1分乃至約20分(例えば、約1分乃至約10分、約2分乃至約7分、約3分乃至約6分)の間安定であり得る。
【0069】
幾らかの実施形態において、溶液の密度と粒子の密度とを一致させることにより、粒子が生理学的な溶液中に懸濁され得る。ある実施形態において、粒子及び生理学的な溶液のうちの少なくとも一方は、約1g/cm3乃至約1.5g/cm3(例えば、約1.2g/cm3乃至約1.4g/cm3、約1.2g/cm3乃至約1.3g/cm3)の密度を有し得る。
【0070】
図7A及び7Bは塞栓粒子400及び担体流体を含む塞栓組成物がカテーテル410のような器具により管腔内に注入されている塞栓処置を示す。カテーテル410はプランジャ430を備えたシリンジバレル420に連結される。塞栓組成物はシリンジバレル420に装填され、カテーテル410は、例えば患者の大腿動脈440に挿入される。次に、シリンジバレル420のプランジャ430が押圧され、カテーテル410を介して塞栓組成物が、患者の子宮に位置する子宮筋腫470に通ずる子宮動脈460の管腔450に送達される。塞栓組成物は例えば、子宮動脈460を閉塞する。
【0071】
図7Bに示されるように、子宮動脈460は子宮筋腫470に通ずるより小さな子宮血管480に分けられている(例えば、約2mm以下の直径を有する)。塞栓組成物中の粒子400は、子宮動脈460の内腔を部分的に又は全体的に満たし、子宮筋腫470に通ずる同子宮動脈460の内腔を部分的又は完全に閉塞する。
【0072】
幾らかの実施形態において、塞栓組成物中における患者へ送達されるべき粒子のうちで、同粒子の大部分(例えば、約50パーセント以上、約60パーセント以上、約70パーセント以上、約80パーセント以上、約90パーセント以上)は約3000μm(ミクロン)以下の直径(例えば、約2500μm(ミクロン)以下、約2000μm(ミクロン)以下、約1500μm(ミクロン)以下、約1200μm(ミクロン)以下、約900μm(ミクロン)以下、約700μm(ミクロン)以下、約500μm(ミクロン)以下、約400μm(ミクロン)以下、約300μm(ミクロン)以下、約100μm(ミクロン)以下)及び約10μm(ミクロン)以上の直径(例えば、約100μm(ミクロン)以上、約300μm(ミクロン)以上、約400μm(ミクロン)以上、約500μm(ミクロン)以上、約700μm(ミクロン)以上、約900μm(ミクロン)以上、約1200μm(ミクロン)以上、約1500μm(ミクロン)以上、約2000μm(ミクロン)以上、約2500μm(ミクロン)以上)のうちの少なくとも一方を有し得る。
【0073】
ある実施形態において、塞栓組成物中の患者に送達される粒子は、約10μm(ミクロン)乃至約3000μm(ミクロン)の算術平均径を有する。幾らかの実施形態において、粒子は、約3000μm(ミクロン)以下の算術平均径(例えば、約2500μm(ミクロン)以下、約2000μm(ミクロン)以下、約1500μm(ミクロン)以下、約1200μm(ミクロン)以下、約900μm(ミクロン)以下、約700μm(ミクロン)以下、約500μm(ミクロン)以下、約400μm(ミクロン)以下、約300μm(ミクロン)以下、約100μm(ミクロン)以下)及び約10μm(ミクロン)以上の算術平均径(例えば、約100μm(ミクロン)以上、約300μm(ミクロン)以上、約400μm(ミクロン)以上、約500μm(ミクロン)以上、約700μm(ミクロン)以上、約900μm(ミクロン)以上、約1200μm(ミクロン)以上、約1500μm(ミクロン)以上、約2000μm(ミクロン)以上、約2500μm(ミクロン)以上)の算術平均径のうちの少なくとも一方を有し得る。患者に送達される粒子の算術平均径の例示的な範囲は、約100μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約500μm(ミクロン)、約500μm(ミクロン)乃至約700μm(ミクロン)、及び約900μm(ミクロン)乃至約1200μm(ミクロン)を含む。一般的に、塞栓組成物中の患者に送達される粒子は、個々の粒子の直径の範囲のほぼ真ん中の算術平均径を有し、かつ約20パーセント以下の分散(例えば、約15パーセント以下、約10パーセント以下)を有する。
【0074】
幾らかの実施形態において、塞栓組成物中の患者に送達されるべき粒子の算術平均径は治療されるべき特定の症状に基づいて変更される。一例として、塞栓組成物の粒子が肝臓の腫瘍を治療するために使用される実施形態において、患者に送達されるべき粒子は、約500μm(ミクロン)以下(例えば、約100μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約500μm(ミクロン))の算術平均径を有し得る。別の例として、塞栓組成物中の粒子が子宮筋腫を治療するために使用される場合、塞栓組成物中における患者に送達されるべき粒子は約1200μm(ミクロン)以下(例えば、約500μm(ミクロン)乃至約700μm(ミクロン)、約700μm(ミクロン)乃至約900μm(ミクロン)、約900μm(ミクロン)乃至約1200μm(ミクロン))の算術平均径を有し得る。
【0075】
粒子群の算術平均径は、既に述べたように、ベックマンコールター急速VUE画像アナライザー・バージョン2.06(フロリダ州マイアミに所在のベックマンコールター)を用いて決定され得る。粒子群(例えば、組成物における)の算術平均径は、その群における全ての粒子の直径の合計を同群における粒子の数で割ることにより決定される。
【0076】
ある実施形態において、カテーテル内での圧縮後の粒子の球形度(例えば、粒子の断面積の約50パーセント以上まで圧縮された後)は、約0.8以上(例えば、約0.85以上、約0.9以上、約0.95以上、約0.97以上)であり得る。例えば、粒子は、湿潤されながら、最初の直径の約50パーセント以下まで手動にて圧縮され、ほぼ平板状とされ、次に流体にさらすことにより、約0.8以上(例えば、約0.85以上、約0.9以上、約0.95以上、約0.97以上)の球形度に回復する。
【0077】
実質的に球形の粒子が示されているが、幾らかの実施形態において、同心円ノズルは一つ以上の非球形粒子を形成するために使用され得る。例えば、同心円ノズルは、図8及び9に示されるように、三日月型の粒子を形成するために使用され得る。図8は、同心円ノズルにより形成された前駆体粒子800を示す。前駆体粒子800はポリマーを含む三日月型の内側領域810と、ゲル前駆体を含む外側領域830とを有する。外側領域830は、(例えば、前駆体粒子800をゲル溶解チャンバにさらすことにより)除去され、図9に示されるように三日月型の粒子900が形成され、同粒子900はポリマーから実質的には形成されている。内側に三日月型の領域を備えた前駆体粒子が示されているが、幾らかの実施形態において、外側に三日月型の領域を備えた前駆体粒子を形成することもできる。ある実施形態において、三日月型の領域を備えた前駆体粒子は、第一の材料と、同第一の材料よりはるかに大きな粘度(例えば、0.05Pa・s(50センチポアズ))を有する第二の材料とを用いることにより形成され得る。幾らかの実施形態において、三日月型の前駆体粒子は同心円ノズルの一つのノズル(例えば、外側ノズル)を介して流れるストリームに対してより速い流速(例えば、約15ml/分)を使用し、かつ同心円ノズルの別のノズル(例えば、内側ノズル)を介して流れるストリームに対してより低い流速(例えば、7ml/分)を使用することにより形成され得る。
【0078】
その他の実施形態
幾らかの実施形態を記載してきたが、本発明はそれらに制限されるものではない。
一例として、ポリマー溶液が内側ノズルから流れ、かつゲル前駆体溶液が外側ノズルから流れる実施形態を記載してきたが、幾らかの実施形態では、ポリマー溶液は外側ノズルから流れ、ゲル前駆体溶液は内側ノズルから流れる。ゲル前駆体が溶解しない場合、例えば、得られる粒子はゲル前駆体(ゲル状態である)から形成される内側領域と、ポリマーから形成される外側領域を有する。図10は、ゲル前駆体(ゲル状態である)から形成された内側領域510とポリマーから形成された外側領域530を有するそのような粒子500を示す。仮にゲル前駆体が溶解される場合、得られた粒子は、例えば、中空の内側領域とポリマーから形成される外側領域とを有する。図11は中空の内側領域610と(ポリマーから形成される)外側領域530とを有するそのような粒子600を示す。ある実施形態において、粒子600は一つ以上の作用物質(例えば、治療剤)を体内に送達するために使用され得る(以下の記載を参照されたい)。例えば、作用物質は、送達前に粒子600の中空の内側領域610に注入される。
【0079】
別の例として、2個のノズルからなる同心円ノズルの実施形態を記載してきたが、その他の実施形態も可能である。一般的に、同心円ノズルは二個以上のノズル(例えば、三個、四個、五個、六個、七個、八個、九個、十個)のノズルを有し得る。典型的に、同心円ノズルの各ノズルは、同ノズルを貫通する特定の材料のストリームを有する。しかしながら、幾らかの実施形態において、特定の材料のストリームは1個以上のノズルから流れることもできる。
【0080】
更なる例として、幾らかの実施形態において、液滴は同心円ノズルを振動させることなく形成され得る。ある実施形態において、同心円ノズル1300とゲル容器1400との間に静電電位を確立することにより液滴が形成され、それにより、同心円ノズル1300を排出するストリームがゲル容器1400に吸引され、液滴が形成される。静電電位は例えば同心円ノズル1300に電荷を与え、ゲル容器1400に反対の電荷を与えることにより確立される。例えば、同心円ノズル1300は負に帯電され、ゲル容器1400は正に帯電される。静電電位の使用により液滴を形成する市販の液滴発生器の例としては、NISCOエンカプスレーションユニットVARV1(スイス国、チューリッヒに所在の、NISCOエンジニアリング社)がある。幾らかの実施形態において、液滴は静電電位と周期的な変化(例えば、同心円ノズルの振動)との両方を使用する液滴発生器を使用することにより形成され得る。ある実施形態において、液滴は同心円ノズル1300から排出されるストリームを機械的に(例えば、ジェットカッタにより)液滴1370に分断することにより形成される。選択的に、液滴は振動技術及び/又は機械的分断技術及び/又は静電技術の組み合わせを使用することにより形成され得る。
【0081】
付随的な例として、幾らかの実施形態において、液滴発生器1200は、液滴形成後でありかつゲル化剤と接触する前に液滴1370に電荷を与え、それにより、液滴が液滴発生器1200からゲル容器1400に移動する際に、液滴1370の間の相互の反発が液滴の凝集を回避する。例えば、同心円ノズル1300の下流側に配置された電荷を帯びたリングのような静電帯電装置により帯電が達成される。
【0082】
付随的な例として、三日月形の粒子の形成について記載してきたが、幾らかの実施形態において、液滴発生工程は、三日月形粒子及び三日月形領域を備えた粒子のうちの少なくとも一方の形成の可能性を制限するように実施され得る。例えば、同心円ノズルの内側ノズルにより画定される容積を貫通して流れるポリマー溶液は比較的低濃度(例えば、約1パーセントまで)のゲル化剤(例えば、カルシウムイオン)を含み得る。ポリマー溶液中のゲル化剤の存在は、三日月形領域を備えた粒子(図8の前駆体粒子800のような)の形成の可能性を低減する。理論により結び付けられるものではないが、ポリマー溶液中のゲル化剤は、ポリマーを含む液滴を形成する前に、ポリマーをゲルにすると考えられる。例えば、仮にゲル前駆体溶液が同心円ノズルの外側ノズルを流れる場合、形成された液滴がゲル化剤と接触すると同液滴の内側領域及び外側領域の両方がゲル化し得る。従って、液滴は全てゲルとなる。そのようなゲル化は、内側領域と外側領域の両方が実質的に球形である粒子を生ずる。
【0083】
別の例として、ある実施形態において、同心円ノズルの一つ以上のオリフィスを通過する一つ以上の材料は、治療剤(例えば、薬物)であり得、それにより同心円ノズルにより形成される粒子は治療剤を含む。代替的又は付随的に、一つ以上の治療剤は粒子が形成された後に同粒子に加えられ得る。幾らかの実施形態において、治療剤は、例えば、治療剤の粒子への注入及び粒子を治療剤に浸漬することのうちの少なくとも一方により、同粒子に加えられ得る。治療剤は、負に帯電した、正に帯電した、両性の、又は中性の作用物質を含む。例えば治療剤は、生理学的な症状を治療するために生物学的に活性を有する材料、製薬的に活性である化合物、遺伝子治療剤、担体ベクタを備えた、及び備えていない核酸、オリゴヌクレオチド、遺伝子/ベクタ・システム、DNAキメラ、圧縮剤(compacting agents)(例えば、DNA圧縮剤)、ウィルス、ポリマー、ヒアルロン酸、タンパク質(例えば、リボザイムのような酵素)、細胞(ヒト由来のもの、動物由来のもの、又は遺伝子操作されたもの)、幹細胞、免疫種、非ステロイド抗炎症薬、経口避妊薬、プロゲスチン、ゴナドトロピン放出ホルモン作動薬、化学療法剤及び放射性活性種(例えば、放射性同位体、放射活性分子)であり得る。治療剤の非限定的な例としては、抗凝血剤、抗酸化剤、血管形成及び抗血管形成剤並びに因子、抗増殖剤(例えば、平滑筋細胞増殖を阻止することが可能な薬剤)、抗炎症剤、カルシウム流入阻害剤、抗新生物薬/抗増殖薬/細胞分裂抑制剤(例えば、パクリタキセル、ドキソルビシン、シスプラチン)、抗菌剤、麻酔剤、抗凝血剤、血管細胞成長促進剤、血管細胞成長阻害剤、コレステロール低下薬、血管拡張剤、内因性の血管作用機構を妨害する薬剤、細胞の壊死を保護する存続遺伝子を含む。幾らかの実施形態において、粒子からの治療剤の放出は一つ以上の因子により誘起され得る。例えば、治療剤の放出は、pH、イオン及び温度のうちの少なくとも一つにより誘起され得る。治療剤は、例えば、2004年4月22日に公開された同時に係属する米国特許出願公開第2004/0076582A1号に記載されており、当該文献は参照により本明細書において援用される。
【0084】
付随的な例として、幾らかの実施形態において、同心円ノズルの一つ以上のオリフィスを貫通して流れる一つ以上の材料は、診断薬(例えば、放射線不透過性材料、磁気共鳴映像法により視認できる材料(MRI可視材料)、超音波造影剤)であり得る。幾らかの実施形態において、同心円ノズルに使用される一つ以上の材料は強磁性体材料であり得る。代替的又は付随的に、一つ以上の診断薬及び強磁性体材料のうちの少なくとも一方が、粒子が形成された後に同粒子に加えられ得る。幾らかの実施形態において、診断薬及び強磁性体材料のうちの少なくとも一方は、例えば、同診断薬及び強磁性体材料のうちの少なくとも一方を粒子に注入する方法及び粒子を同診断薬及び強磁性体材料のうちの少なくとも一方に浸漬させる方法、のうちの少なくとも一方により、同粒子に加えられ得る。診断薬及び強磁性体材料は、2004年5月27日に公開されるとともに発明の名称が「塞栓術(Embolization)」である米国特許出願公開第2004/0101564A1号に記載されており、同文献は参照により本明細書において援用される。
【0085】
別の例として、ある実施形態において、同心円ノズルの一つ以上のオリフィスを介して流れる一つ以上の材料は形状記憶材料であり得、所定の形態又は形状を記憶する(例えば、そのような形態又は形状に変化する)ように構成されることができる。幾らかの実施形態において、形状記憶材料を含む粒子は、第一の状態から第二の状態に選択的に遷移され得る。例えば、送達カテーテルの内側に設けられた加熱装置は形状記憶材料を含む粒子を第一の状態から第二の状態に遷移するために使用され得る。形状記憶材料及び形状記憶材料を含む粒子は、例えば、2004年5月13日に公開された米国特許出願公開第2004/0091543A1号公報及び2004年3月2日に出願され、かつ発明の名称が「塞栓組成物」である米国特許出願第10/791103号に記載されており、両文献は参照により本明細書中にて援用される。
【0086】
付随的な例として、幾らかの実施形態において、同心円ノズルの一つ以上のオリフィスを介して流れる一つ以上の材料は表面選択性材料であり得る。表面選択性材料は、2004年3月2日に出願され、かつ発明の名称が「塞栓術」である米国特許出願第10/791552号に記載されており、同文献は参照により本明細書中にて援用される。
【0087】
更なる例として、ある実施形態において、粒子は(例えば生体吸収性材料で)コーティングされ得る。例えば、粒子は放射線不透過性材料を含む内側領域と、ポリマーを含む外側領域と、外側領域を覆うハイドロゲルコーティングとを有する。例えば、コーティングは一つ以上の治療剤を含み得る。ある実施形態において、粒子は、一つ以上の治療剤を高濃度にて含むようにコーティングされ得ること及び一つ以上の治療剤が粒子の内側に装填され得ることのうちの少なくとも一方である。粒子の表面は、粒子本体が治療剤の破裂放出を提供した後に治療剤の初期量が放出され得る。粒子表面上にある治療剤は、粒子本体内の治療剤と同一であるか、又は異なっている。表面上の治療剤は高濃度の治療剤溶液を粒子にさらすことにより適用され得る。治療剤でコーティングされた粒子は、同治療剤の表面を覆う別のコーティングを含み得る(例えば、粒子が投与された際に浸食される分解性ポリマー及び生体吸収性ポリマーのうちの少なくとも一方)。コーティングは治療剤が粒子から放出される速度の制御を助ける。例えば、コーティングは多孔性の膜の形態であり得る。コーティングは、治療剤放出の初期の破裂を遅延する。コーティングは、粒子を浸漬する、又は噴霧することにより適用され得る。浸食され得るポリマーは(アルギン酸塩のような)ポリサッカライドであり得る。幾らかの実施形態において、コーティングは、無機塩、イオン性塩であり得る。その他の浸食され得るポリマーは、水溶性ポリマー(例えば架橋されていないポリビニルアルコール等)、生体分解性ポリDL−ラクチド−ポリエチレングリコール(PELA)、ハイドロゲル(例えば、ポリアクリル酸、ヒアルロン酸、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース)、ポリエチレングリコール(PEG)、キトサン、ポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン)及びポリ(乳酸−コ−グリコール)酸、(例えば、ポリ(D−乳酸−コ−グリコール)酸が含まれる。コーティングは治療剤を含み得るか、又は治療剤を実質的に含んでいない。コーティング中の治療剤は、粒子の表面層上の治療剤及び粒子内部の治療剤のうちの少なくとも一方と同一であるか、又は異なっている。例えば、浸食され得るコーティングのようなポリマーコーティングは、高濃度の治療剤が粒子の表面に適用されていない実施形態において粒子の表面に適用され得る。コーティングは例えば、2004年4月22日に公開された米国特許出願公開第2004/0076582A1号公報に記載されており、同文献は本明細書において参照により援用される。
【0088】
付随的な例として、ある実施形態において、同心ノズルの一つ以上のオリフィスを流れる一つ以上の材料は生体内分解性であり、同材料は体内で最終的には分解されて、体内全体に分散され得るか、或いは体外に排出され得る。例えば、生体内分解性材料は、ポリサッカライド(アルギン酸塩のような)、ポリサッカライド誘導体、無機塩、イオン性塩、水溶性ポリマー(例えば架橋されていないポリビニルアルコール等)、生体分解性ポリDL−ラクチド−ポリエチレングリコール(PELA)、ハイドロゲル(例えば、ポリアクリル酸、ヒアルロン酸、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース)、ポリエチレングリコール(PEG)、キトサン、ポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン)及びポリ(乳酸−コ−グリコール)酸、(例えば、ポリ(d−乳酸−コ−グリコール)酸又はそれらの組み合わせであり得る。
【0089】
更なる例として、幾らかの実施形態において、同心円ノズルにより形成される粒子は、以下の材料の組み合わせのうちの一つを含み得る:強磁性体材料(例えば、鉄、酸化鉄(例えば、Fe3O4)、マグネタイト、フェロ流体(ferrofluid))を含む内側領域とポリマー(例えば、ポリサッカライド)を含む外側領域;あるタイプの治療剤を含む内側領域と異なるタイプの治療剤を含む外側領域;又は強磁性体材料を含む内側領域とポリマー及びゲル前駆体の組み合わせを含む外側領域。
【0090】
別の例として、幾らかの実施形態において、粒子を形成するための同心円ノズルにて使用される材料はその非混和性に基づいて選択され、それにより材料のストリームは、それらが液滴発生器1200を流れる際にも実質的に分離した状態である。そのような実施形態において、ストリームは、実質的にある材料である外側領域と実質的に別の材料である内側領域とを有する粒子を形成する。
【0091】
付随的な例として、幾らかの実施形態において、同心円ノズルの一つ以上のオリフィスを貫通して流れる一つ以上の溶液は、同心円ノズルに導入される前に冷却される(例えば、溶液の粘度及び流速の少なくとも一方に影響を与えるために)。
【0092】
更なる例として、ある実施形態において、同心円ノズルを貫通して流れる材料は、接触することにより互いに混和するべく選択され得る。例えば、一つの材料は強磁性体材料であり、別の材料はポリビニルアルコールである。
【0093】
別の例として、同心円ノズルが二つのオリフィスを有するように記載されているが、幾らかの実施形態において、同心円ノズルは二つ以上のオリフィス(例えば、三個のオリフィス、四個のオリフィス、五個のオリフィス)を含み得る。
【0094】
付随的な例として、ある実施形態において、同心円ノズルのオリフィスは互いに垂直方向に離間している。例えば、図12は外側ノズル720内に同心円状に配置された内側ノズル710を含む同心円ノズル700を示す。内側ノズル710は内側オリフィス712を有し、外側ノズル720は外側オリフィス722を有する。内側オリフィス712は垂直距離「V」だけ外側オリフィス722から離れており、その距離は約0.5mm乃至約2mm(例えば、約1mm)であり得る。幾らかの実施形態において、同心円ノズルのオリフィスを垂直方向に離間することにより、溶液がゲル前駆体と接触する地点より以前にノズルを介して流れる溶液が容易に混合される。そのような実施形態において、ノズルにより形成される液滴は溶液の混合物を含み得る。ある実施形態において、同心円ノズル内での溶液の混合は、同心円ノズルの内側ノズルを貫通して一方の溶液が流れ始める前に、同心円ノズルの外側ノズルを貫通して他方の溶液が流れ始めることにより改善される。
【0095】
別の例として、幾らかの実施形態において、粒子形成工程時、又は工程後に、非球形とされるべく(例えば、楕円形)機械的に粒子が成形され得る。ある実施形態において、一つ以上の粒子が粒子製造工程の異なる地点にて成形され得る(例えば、成形、圧縮、孔開け、又は他の粒子との凝集)。ある実施形態において(例えば、ポリマーがポリビニルアルコールであり、ゲル前駆体がアルギン酸ナトリウムである場合)、粒子とゲル前駆体とが接触した後であり、架橋される前に、粒子は特定の形状及びサイズのうちの少なくとも一つに物理的に変形され得る。成形後、ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール)は架橋され、選択的に引き続き、ゲル前駆体(例えば、アルギン酸塩)が実質的に除去される。ほぼ球形の粒子が好ましい一方で、非球形の粒子が、例えば液滴形成条件を制御することにより製造及び形成され得る。幾らかの実施形態において、非球形粒子は粒子を後処理する(例えば、他の形状に切断する又はサイコロ状に切る)ことにより形成され得る。粒子の成形は、例えば、同時に係属する2003年10月30日に公開された米国特許出願公開第2003/0203985A1号公報に記載されており、同文献は本明細書において、参照により援用される。
【0096】
更なる例として、幾らかの実施形態において、異なる形状、サイズ、物理特性及び化学特性のうちの少なくとも一つを有する粒子は、塞栓処置において同時に使用され得る。異なる粒子は、所定の順序にて、或いは同時に、患者の体内に送達され得る。ある実施形態において、異なる粒子の混合物は複数の内腔を有するカテーテル及びシリンジのうちの少なくとも一方を使用して送達され得る。幾らかの実施形態において、異なる形状及びサイズの少なくとも一方を有する粒子は相乗的に作用することが可能であり(例えば、係合又はインターロックにより)、密に詰まった閉塞部を形成し、それにより塞栓術が高められる。異なる形状、サイズ、物理特性及び化学特性のうちの少なくとも一つを備えた粒子及びそのような粒子を使用する塞栓術の方法は、例えば、2004年5月13日に公開された米国特許出願公開第2004/0091543A1号公報及び2004年3月2日に出願され、かつ発明の名称が「塞栓組成物」である米国特許出願第10/791103号に記載されており、両文献は本明細書において参照により援用される。
【0097】
付随的な例として、幾らかの実施形態において、粒子は組織の充填に使用され得る。一例として、粒子は身体の経路に隣接した組織に配置される(例えば、注入される)。粒子は通路を狭め、それにより嵩が提供され、組織が通路をより容易に収縮することを可能にする。粒子は、例えば、経皮的に、腹腔鏡的に、及び/又はカテーテルのような種々の異なる方法に従って組織に配置され得る。ある実施形態において、組織に凹部が形成され、粒子は同凹部に配置され得る。粒子の組織充填は例えば、内因性括約筋不全(ISD)、膀胱尿管逆流、胃食道逆流症(GERD)、及び声帯麻痺(例えば、麻痺性の発生困難の場合に声門の能力を回復させるため)のうちの少なくとも一つを治療するために使用され得る。幾らかの実施形態において、粒子組織充填は、尿失禁及び便失禁の少なくとも一方を治療するために使用され得る。粒子は、再構成又は美容の用途(例えば、外科処置)のような軟組織の損傷を充填すること及びしわを伸ばすことのうちの少なくとも一方のための移植材料又は充填材として使用され得る。軟組織の損傷の適用例としては、口唇裂、瘢痕(例えば、水疱瘡の陥凹性瘢痕又は座瘡瘢痕)、脂肪吸引術による圧痕、しわ(例えば、眉間を寄せた際のしわ)及び薄い唇の軟組織増強を含む。組織充填は、例えば、2003年12月18日に公開された、同時に係属する米国特許出願公開第2003/0233150A1号公報に記載されており、同文献は本明細書において、参照により援用される。
【0098】
更なる例として、幾らかの実施形態において、粒子は多孔性であるか、一つ以上の凹部を含むかの少なくとも一方である。ある実施形態において、粒子は実質的に均一な孔構造を有する。幾らかの実施形態において、粒子は不均一な孔構造を有する。例えば、粒子は孔を備えていない内側領域(ポリビニルアルコールから形成される)と、多孔性の外側領域(例えば、ポリビニルアルコールとアルギン酸塩の混合物から形成される)とを有し得る。多孔性粒子は、2004年5月20日に公開された米国特許出願公開第2004/0096662A1号公報に記載されており、同文献は本明細書において参照により援用される。
【0099】
別の例として、幾らかの実施形態において、同心円ノズルにより生成される粒子の空隙率を上げるために同心円ノズルに溶液が加えられ得る。空隙率を高める溶液の例としては、デンプン、比較的高濃度の塩化ナトリウム(例えば、約0.9パーセント以上、約1パーセント乃至約5パーセント、約1パーセント乃至約2パーセント)及び塩化カルシウム(例えば、少なくとも約50mMの濃度)が含まれる。例えば、塩化カルシウムはアルギン酸ナトリウムゲル前駆体溶液に加えられ、同溶液から生成される粒子の空隙率を増大する。
【0100】
付随的な例として、ある実施形態において、同心円ノズルから形成された粒子は粒子鎖を形成するために互いに結合され得る。例えば、粒子は、粒子として一つ以上の同一の材料から形成された結合部又は粒子とは異なる一つ以上の材料から形成された結合部により互いに結合され得る。代替的又は付随的に、同心円ノズルは粒子鎖を形成するために使用され得る。例えば、同心円ノズルの変動周波数は、同心円ノズルが粒子鎖の形成を引き起こすように選択され得る。粒子鎖及び粒子鎖を形成する方法は、例えば、2004年4月22日に出願され、かつ発明の名称が「塞栓術」である米国特許出願第10/830195号に記載されており、同文献は本明細書において参照により援用される。
【0101】
その他の実施形態は特許請求の範囲にある。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1A】塞栓組成物を製造する工程の概略図である。
【図1B】図1Aにおける1B領域の拡大概略図である。
【図2A】粒子を形成するための装置の一実施形態の断面図である。
【図2B】図2Aの装置の、線2B−2Bに沿った拡大図である。
【図2C】図2A及び図2Bの装置による粒子の形成を示す。
【図3】粒子の一実施形態の断面図である。
【図4】粒子の一実施形態の断面図である。
【図5】粒子の一実施形態の断面図である。
【図6】粒子の一実施形態の断面図である。
【図7A】塞栓粒子を含む塞栓組成物の管腔への注入を概略的に示す。
【図7B】図7Aの領域7Bの拡大図である。
【図8】粒子の一実施形態の断面図である。
【図9】粒子の一実施形態の断面図である。
【図10】粒子の一実施形態の断面図である。
【図11】粒子の一実施形態の断面図である。
【図12】粒子を形成する装置の一実施形態の断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、塞栓術並びに関連した粒子及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
治療的な血管の閉塞(塞栓術)は、病的な状態をその位置にて阻止又は治療するために使用され得る。塞栓粒子を含む組成物は、種々の医療用途において管腔を閉塞するために使用される。カテーテルを介する塞栓粒子の送達は、同塞栓粒子のサイズの均一性、密度及び圧縮性に依存する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、塞栓術並びに関連した粒子及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、本発明は粒子を形成する方法を特徴とする。同方法は、複数の流体ストリーム(例えば、二つの流体ストリーム、三つの流体ストリーム)を合わせて液滴を形成する工程と、同液滴から粒子を形成する工程を含む。同粒子の算術平均径は約10μm(ミクロン)乃至約3000μm(ミクロン)である。
【0005】
別の態様において、本発明は粒子を形成する方法を特徴とする。同方法は、ポリマーを含むストリームとゲル前駆体を含む別のストリームとを合わせて液滴を形成する工程を含む。同方法はまた液滴から粒子を形成する工程を含む。
【0006】
更なる態様において、本発明は粒子を形成する方法を特徴とする。同方法は複数のオリフィス(例えば、二つのオリフィス、三つのオリフィス)から複数の流体ストリーム(例えば、二つのストリーム、三つのストリーム)を形成する工程と、複数の流体ストリームを合わせて液滴を形成する工程と、同液滴から粒子を形成する工程と、を含む。第一のオリフィスは約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)の直径を有する(例えば、約50μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン))。第二のオリフィスは、約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)の内径(例えば、約300μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン))と、約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)の外径(例えば、約300μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン))とを有する。第二のオリフィスの外径は第一のオリフィスの直径とは異なっている。
【0007】
実施形態は以下の特徴の一つ以上を含み得る。
複数の流体ストリームは第一の材料を含む第一のストリームと、第二の材料を含む第二のストリームと、を含む。
【0008】
第一の材料(例えば、ポリマー)は液滴の内側領域を形成し、第二の材料(例えば、ゲル前駆体)は液滴の表面領域を形成し得る。
第一の材料は例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホネート、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、置換セルロース、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリ(乳酸−コ−グリコール)酸又はこれらのポリマーの二つ以上の組み合わせのようなポリマーを含み得る。
【0009】
第二の材料は、ポリサッカライド(例えば、アルギン酸塩)のようなゲル前駆体を含み得る。
第一の材料及び第二の材料は混和されない。
【0010】
第一の材料及び第二の材料のうちの少なくとも一方は治療剤を含み得る。
第一の材料の粘度は第二の材料の粘度よりも大きい。第二の材料の粘度は第一の材料の粘度よりも大きい。
【0011】
第一の材料及び第二の材料のうちの少なくとも一方は、強磁性かつMRIにて視認可能(核磁気共鳴画像にて視認可能)であり得るか、放射性不透過性であるかの少なくとも一方である。
【0012】
第一のストリームと第二のストリームとは同心円上にある。
同方法は更に、第一のストリームを第二のストリームに接触させる工程(例えば、第一及び第二の材料の混合物を形成することによって)を含み得る。
【0013】
同方法は更に、ノズルにより画定された第一のオリフィスを介して第一の材料を流すことにより第一のストリームを形成する工程を含む。
第一の材料は、約2ml/分乃至約10ml/分の速度にて第一のオリフィスから流れ得る。
【0014】
同方法は更に、ノズルにより画定された第二のオリフィスを介して第二の材料を流すことにより第二のストリームを形成する工程を含む。
第二の材料は、約2ml/分乃至約20ml/分の速度にて第二のオリフィスから流れる。
【0015】
第一のオリフィスは第二のオリフィスの内部に配置されている。例えば、第一のオリフィス及び第二のオリフィスは同心円上にある。
第一のオリフィスは第二のオリフィスから垂直方向に約1mmの位置に配置され得る。
【0016】
第一のオリフィスは約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)(例えば、約50μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン))の直径を有する。
第二のオリフィスは、約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)の内径(例えば、約100μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン))と、約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)の外径(例えば、約100μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン))と、のうちの少なくとも一方を有する。
【0017】
第二のオリフィスの外径と第一のオリフィスの直径との差は、少なくとも約50μm(ミクロン)(例えば、約100μm(ミクロン))であり得る。
同方法は、治療剤を粒子に加える工程を更に含む。
【0018】
同方法は、液滴をゲル化剤と接触させて粒子を形成する工程を更に含む。
粒子を形成する工程は、ゲル前駆体を溶液からゲルに変換する工程を含む。同方法は、粒子から少なくとも幾らかのゲル前駆体を除去する工程を更に含む。
【0019】
同方法は、粒子を架橋剤と反応させる工程を更に含む。
同方法は、粒子から少なくとも幾らかのゲル前駆体を除去する工程を更に含む。
一つ以上の粒子は約10μm(ミクロン)乃至約3000μm(ミクロン)の直径を有する。同粒子は、約10μm(ミクロン)乃至約3000μm(ミクロン)の算術平均径を有する。
【0020】
同粒子の内側領域は、実質的にポリマー及びゲル前駆体を含んでいない。
同粒子の内側領域のポリマーの密度は、同粒子の表面領域のポリマーの密度よりも大きい。同粒子の表面領域のゲル前駆体の密度は、同粒子の内側領域のゲル前駆体の密度よりも大きい。
【0021】
粒子は孔を含み得る。粒子の内側領域の孔の密度は、同粒子の表面領域の孔の密度とは異なっている(例えば、大きい)。粒子の内側領域の平均孔径は同粒子の表面領域の平均孔径とは異なっている(例えば、大きい)。
【0022】
粒子は実質的に孔を含んでいない。
液滴を形成する工程は、複数のストリームを周期的な変化にさらす工程を含む。周期的な変化は複数のストリームを振動させることにより提供され得る。
【0023】
液滴を形成する工程は、複数のストリームと液滴を受承するように構成された容器との間に静電電位を確立する工程を含む。
実施形態は、以下の利点の一つ以上を含み得る。
【0024】
同方法は、粒子(例えば塞栓粒子)、特に一つ以上の材料を含む粒子、を形成するために比較的有効及び/又は効率的な方法を提供する。例えば、粒子を製造する工程時に、異なるオリフィスを使用して異なる材料を導入する。複数の材料を含む粒子は、例えば、塞栓術の処置においては望ましいものである。一例として、治療剤(例えば、腫瘍を治療するもの)を含む塞栓術用粒子が望ましい。別の例として、放射線不透過性材料を塞栓術粒子に含むことが(例えば、蛍光光度法を使用して体内の粒子を視認しやすくするために)望ましい。更なる例として、磁場を用いて体内の粒子の位置を操作する能力を向上させるために強磁性体材料を塞栓粒子に含ませることが望ましい。
【0025】
同方法は、所望のサイズの粒子(例えば、塞栓粒子)を形成する比較的有効及び/又は効率的な方法を提供する。一例として、異なるオリフィスから流れる材料ストリームは所望のサイズの粒子を提供するために別々に操作され得る。別の例として、ストリームの粘度は所望のサイズの粒子(例えば、より小さな粒子)を形成するために操作され得る(例えば、低減され得る)。
【0026】
同方法は、例えば中空の粒子を形成するために使用され得る。例えば、塞栓術処置時に使用する場合、中空の粒子は塞栓術処置の前(例えば処置の直前)にすばやく装填可能であり、粒子に加えて担体溶液を含む塞栓組成物を分類する工程に関連した費用及び複雑さのうちの少なくとも一方を低減可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
特徴及び利点は、詳細な説明、図面及び請求の範囲に記載されている。
図1A及び1Bは粒子(例えば、塞栓術処置に使用可能な粒子)を形成するためのシステム1000を示す。システム1000はフロー制御装置1100、液滴発生器1200、ゲル容器1400、反応容器1500、選択的なゲル溶解チャンバ1600及びフィルタ1700を含む。液滴発生器1200は同心円ノズル1300を含む。図2A及び2Bに示されるように、同心円ノズル1300は内容積1335を備える内側ノズル1330と直径がDであるオリフィス1310とを含む。同心円ノズル1300はまた、内容積1345(図2Aの影をつけた部分)を備えた外側ノズル1340と内径IDと外径ODを備えたオリフィス1320とを含む。
【0028】
液滴発生器1200は、例えば、イノテックエンカプスレータユニット(Inotech Encapsulator unit)IE−50R/NS(スイス国、ドッティコン(Dottikon)に所在のイノテックAG)又はNISCOエンカプスレーションユニット(Encapsulation unit)VARDモデル(スイス国、チューリッヒに所在のNISCOエンジニアリング社)であり得る。幾らかの実施形態において、同心円ノズル1300は液滴発生器1200へのアタッチメントとして供給され得る。同心円ノズルアタッチメントの一例は、モデルIE−5250アタッチメント(イノテックAGより入手可能)である。
【0029】
フロー制御装置1100は粘度制御装置1800に二つの溶液(ポリマー溶液及びゲル前駆体溶液)を送達し、同粘度制御装置1800は、一方又は両方の溶液が、液滴発生器1200に送達される前に所望の粘度をそれぞれ得るべく同溶液を加熱する。ある実施形態において、液滴発生器1200に移される前に、一方又は両方の溶液は、シリンジポンプ(例えば、マサチューセッツ州ホリストンに所在のハーバードアパレータス(Harvard Apparatus)社のモデルPHD4400)のような高圧ポンプ装置に送られる。代替的に又は付随的に、液滴発生器1200は一方又は両方の溶液を液滴発生器1200に移す速度を制御するために、一方又は両方の溶液に圧力(例えば、約50000Pa(0.5バール)乃至約160000Pa(1.6バール))を加える圧力制御装置(圧力ヘッド)を含み得る。一般的に、与えられた溶液に加えられる圧力は溶液の粘度及び溶液の所望の流速の少なくとも一方に依存する。
【0030】
図2Cに示されるように、液滴発生器1200に送達された後に、ポリマー溶液のストリーム1350は容積1335を通過して、オリフィス1310を介して内側ノズル1330から排出される。ゲル前駆体溶液のストリーム1360は容積1345を通過してオリフィス1320を介して外側ノズル1340から排出される。幾らかの実施形態において、ストリーム1350及びストリーム1360のうちの少なくとも一方は同ストリームが排出されるノズルの外径の約2倍の平均粒子径を有する。両ストリームはそれらがオリフィスから排出される際に相互に反応する。同時に、ノズル1300は周期的な変化にさらされ、ポリマーから形成された内側領域1380とゲル前駆体から形成された外側領域1390を有する液滴1370を形成する。液滴1370はゲル容器1400に落下し、同ゲル容器1400において液滴がゲル形成により安定化され、その際ゲル前駆体が溶液の形態からゲルの形態に変換される。次に、ゲル安定化液滴はゲル容器1400から反応容器1500に移され、そこでゲル安定化液滴内のポリマーが反応して粒子を形成する。その後、同粒子はフィルタ1700にて濾過され、不純物が除去され、塞栓粒子を含む塞栓組成物として滅菌及びパッケージ化される。幾らかの実施形態において、粒子は、濾過される前にゲル溶解チャンバ1600に移される。ゲル溶解チャンバ1600において、粒子内のゲル前駆体(ゲルに変換されたもの)が溶解される。ゲル前駆体が溶解された後、粒子が、上述のように濾過、滅菌及びパッケージ化される。
【0031】
一般的に、液滴発生工程における一つ以上のパラメータは所望のサイズの液滴を形成するために選択され得る。液滴のサイズは、例えば、内側オリフィス1310の直径「D」、オリフィス1320の内径「ID」、オリフィス1320の外径「OD」、ストリーム1350の流速、ストリーム1360の流速、ポリマー溶液の粘度、ゲル前駆体溶液の粘度、同心円ノズル1300の振幅、同心円ノズル1300の振動周波数のうちの少なくとも一つを制御することにより制御され得る。一例として、その他のパラメータを一定にしながら、内側オリフィス1310の直径「D」を増大させること、オリフィス1320の内径「ID」を増大させること、及びオリフィス1320の外径「OD」を増大させることのうちの少なくとも一つにより、より大きな液滴が形成される。別の例として、その他のパラメータを一定にしながら、ストリーム1350の流速を増大させること及びストリーム1360の流速を増大させることのうちの少なくとも一つにより、より大きな液滴が得られる。更なる例として、その他のパラメータを一定にしながら、同心円ノズル1300の振動周波数を低減するとより大きな液滴が得られる。更なる例として、その他のパラメータを一定にしながら、ポリマー溶液の粘度を増大させること及びゲル前駆体溶液の粘度を増大させることのうちの少なくとも一方により、より大きな液滴が得られる。
【0032】
一般的に、内側オリフィス1310の直径「D」は、約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)(例えば、約50μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン)、約100μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン)、約200μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン)、約200μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン))であり得る。幾らかの実施形態において、直径「D」は、約300μm(ミクロン)以下、(例えば、約200μm(ミクロン)以下、約150μm(ミクロン)以下、約100μm(ミクロン)以下)及び約50μm(ミクロン)以上(例えば、約100μm(ミクロン)以上、約150μm(ミクロン)以上、約200μm(ミクロン)以上、約250μm(ミクロン)以上)うちの少なくとも一方であり得る。
【0033】
オリフィス1320は典型的には、約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)の外径「OD」(例えば、約100μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約500μm(ミクロン)、約500μm(ミクロン)、約600μm(ミクロン))を有し得る。ある実施形態において、オリフィス1320は、約100μm(ミクロン)以上(例えば、約200μm(ミクロン)以上、約300μm(ミクロン)以上、約400μm(ミクロン)以上、約500μm(ミクロン)以上)の外径「OD」及び約600μm(ミクロン)以下、(例えば、約500μm(ミクロン)以下、約400μm(ミクロン)以下、約300μm(ミクロン)以下、約200μm(ミクロン)以下)の外径「OD」うちの少なくとも一方を有する。
【0034】
一般的に、オリフィス1320は、約50μm(ミクロン)乃至約1000μm(ミクロン)の内径「ID」(例えば、約100μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約600μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約500μm(ミクロン)、約400μm(ミクロン)乃至約500μm(ミクロン)、約400μm(ミクロン)、約500μm(ミクロン))を有し得る。幾らかの実施形態において、オリフィス1320は、約600μm(ミクロン)以下の内径「ID」(例えば、約500μm(ミクロン)以下、約400μm(ミクロン)以下、約300μm(ミクロン)以下、約200μm(ミクロン)以下)及び約100μm(ミクロン)以上の内径「ID」(例えば、約200μm(ミクロン)以上、約300μm(ミクロン)以上、約400μm(ミクロン)以上、約500μm(ミクロン)以上)うちの少なくとも一方を有する。
【0035】
オリフィス1320の外径「OD」と内側オリフィス1310の直径「D」との間の差は、少なくとも約50μm(ミクロン)(例えば、少なくとも約100μm(ミクロン)、少なくとも約200μm(ミクロン)、少なくとも約300μm(ミクロン))及び最大でも約300μm(ミクロン)(例えば、最大でも約200μm(ミクロン)、最大でも約100μm(ミクロン))のうちの少なくとも一方であり得る。幾らかの実施形態において、オリフィス1320の外径「OD」と内側オリフィス1310の直径「D」との間の差は、約100μm(ミクロン)であり得る。
【0036】
一般的に、ポリマー溶液のストリーム1350は内側ノズル1330の容積1335を、約2ml/分乃至約10ml/分の速度にて流れる。幾らかの実施形態において、ストリーム1350は、約2ml/分より大きい(例えば、約5ml/分より大きい、約7ml/分より大きい、約10ml/分より大きい)速度及び約10ml/分未満(例えば、約7ml/分未満、約5ml/分未満、約2ml/分未満)の速度のうち少なくとも一方の速度にて容積1335を流れる。
【0037】
一般的に、ゲル前記体溶液のストリーム1360は、容積1345を、約2ml/分乃至約20ml/分の速度(例えば、約4ml/分乃至約20ml/分、約5ml/分乃至約20ml/分)にて流れる。幾らかの実施形態において、ストリーム1360は、約5ml/分より大きい(例えば、約7ml/分より大きい、約10ml/分より大きい、約15ml/分より大きい)速度及び約20ml/分未満(例えば、約15ml/分未満、約10ml/分未満、約7ml/分未満)の速度のうち少なくとも一方の速度にて容積1345を流れる。
【0038】
幾らかの実施形態において、ストリーム1350及び1360の流速はほぼ同じである。例えば、ストリーム1350及び1360はいずれも、約5ml/分の速度にて同心円ノズル1300を流れる。
【0039】
ある実施形態において、ストリーム1350の流速はストリーム1360の流速とは異なる。例えば、ストリーム1350は約5ml/分の速度にて容積1335を流れ、ストリーム1360は約10ml/分の速度にて容積1345を流れる。幾らかの実施形態において、ストリーム1350及び1360のノズル1300を介する流速の変化は両ストリーム間の界面における混合にて向上する。
【0040】
幾らかの実施形態において、ストリーム1350が同心円ノズル1300を流れ始める前にストリーム1360は同心円ノズル1300を流れ始める。ある実施形態において、ストリーム1360が同心円ノズル1300を流れ始める前にストリーム1350は同心円ノズル1300を流れ始める。そのような実施形態において、両ストリームの界面における混合は、比較的小さい。
【0041】
幾らかの実施形態において、同心円ノズル1300の振動周波数は、約0.1KHz以上(例えば、約0.8KHz以上、約1.5KHz以上、約1.75KHz以上、約1.85KHzより以上、約2.5KHz以上、約0.1KHz乃至約0.8kHz)であり得る。
【0042】
ある実施形態において、同心円ノズル1300の振幅は、液滴1370の幅より大きい。幾らかの実施形態において、液滴発生器1200は、操作者が同心円ノズルの変動の振幅を調整できるように可変振幅設定を備えている。そのような実施形態において、振幅は、例えば、最大設定の約80パーセント乃至約100パーセントに設定され得る。
【0043】
一般的に、ポリマー溶液の粘度は、約0.01Pa・s(10センチポアズ)乃至約0.05Pa・s(50センチポアズ)(例えば、約0.025Pa・s(25センチポアズ))であり得る。代替的に又は付随的に、ゲル前駆体容易液の粘度は、約0.01Pa・s(10センチポアズ)乃至約0.1Pa・s(100センチポアズ)(例えば、約0.05Pa・s(50センチポアズ))であり得る。幾らかの実施形態において、約0.05Pa・s(50センチポアズ)の粘度を有する溶液は、約100μm(ミクロン)乃至約1200μm(ミクロン)の直径を備えた液滴を生成する。典型的には、二つの異なる材料の同心円ストリームの粘度は、二つの異なる材料の混合ストリームの粘度よりも小さい。一般的に、低粘度の溶液は高粘度の溶液よりもより小さなオリフィスを流通可能であり、よって高粘度の溶液よりも小さな液滴が生成する。
【0044】
上記したように、粘度制御装置1800は、ポリマー溶液及びゲル前駆体溶液の粘度を制御するために液滴形成工程にて使用され得る。粘度制御装置1800は、ポンプと液滴発生器1200との間のフロー管を所定の温度にて水が循環する熱交換器である。ポリマー溶液及びゲル前駆体溶液は粘度制御装置1800内を流れ、粘度が所望のレベルに低減されるように同溶液が加熱される。代替的又は付随的に、溶液を含む容器は、溶液を加熱するために加熱流体浴(例えば、加熱水浴)に配置され得る。幾らかの実施形態(例えば、システムが粘度制御装置1800を含んでいない場合)において、フロー制御装置1100及び液滴発生器1200のうちの少なくとも一方は、ポリマー溶液及びゲル前駆体溶液を加熱するために温度制御チャンバ(例えば、オーブン、加熱テープラップ)に配置され得る。一般的に、所定の溶液に対して、溶液の所望の粘度が低ければ低いほど溶液が加熱される温度は高くなる。例えば、幾らかの実施形態において、約0.1Pa・s(100センチポアズ)の所望の粘度を備えた溶液は約65℃の温度まで加熱されるのに対して、約0.05Pa・s(50センチポアズ)の所望の粘度を備えた溶液は約75℃の温度まで加熱され得る。ある実施形態において、粘度制御装置1800は溶液が特定のサイズのオリフィスを通過することを可能にするように同溶液を加熱する。一般的に、所定の溶液に対して、ノズルのオリフィスが小さければ小さいほど溶液が加熱される温度は高くなる。例えば、幾らかの実施形態において、約200μm(ミクロン)の直径を有するオリフィスを流れる溶液は約65℃の温度まで加熱されるのに対して、同じ溶液が約100μm(ミクロン)の直径を有するオリフィスを流れる場合は約75℃の温度まで加熱される。
【0045】
ポリマー溶液及びゲル前駆体溶液のうちの少なくとも一方の粘度は、代替的に又は付随的に、溶液中のポリマー及びゲル前駆体のうちの少なくとも一方の濃度を変更することにより調節され得る。一般的に、溶液中のポリマー及びゲル前駆体のうちの少なくとも一方の濃度が増大すると溶液の粘度は増大する。例えば、仮にポリビニルアルコール溶液の所望の粘度が約0.025Pa・s(25センチポアズ)である場合、同溶液は、約8パーセントのポリビニルアルコールの濃度を有するように調製され得る。例えば、仮にアルギン酸塩溶液の所望の粘度が約0.05Pa・s(50センチポアズ)である場合、同溶液は、約2パーセントのアルギン酸塩の濃度を有するように調製され得る。
【0046】
液滴形成工程において、ゲル前駆体溶液及びポリマー溶液のうちの少なくとも一方に加えられる圧力は、例えば、液滴の所望となるサイズ及び溶液の粘度のうちの少なくとも一方に基づいて選択され得る。一般的に、所定の溶液に対して、ノズルオリフィスのサイズが減少する(例えば、より小さい粒子を形成するために)と、溶液に加えられる圧力が増大する。例えば、約50000Pa(0.5バール)の圧力は、約300μm(ミクロン)の直径を有するオリフィスを流れる約0.05Pa・s(50センチポアズ)の粘度を有する溶液に加えられ得る。約80000Pa(0.8バール)の圧力は、約200μm(ミクロン)の直径を有するオリフィスを流れる同一の粘度を有する同一の溶液に加えられ得る。一般的に、所定の直径のオリフィスを流れる所定の溶液に対して、溶液の粘度が減少すると同溶液に加えられる圧力も減少する。例えば、約80000Pa(0.8バール)の圧力は、約200μm(ミクロン)の直径を有するオリフィスを流れる約0.05Pa・s(50センチポアズ)の粘度を有する溶液に加えられ得る。約50000Pa(0.5バール)の圧力は、同一の溶液が同一のオリフィスを流れるが異なる粘度を有する(例えば、約0.025Pa・s(25センチポアズ))場合に同溶液に適用される。
【0047】
一般的に、ゲル容器1400と内側オリフィス1310及びオリフィス1320のうちの少なくとも一方との間の距離は、液滴が容器1400に到達する前に分離するように選択される。幾らかの実施形態において、内側オリフィス1310及びオリフィス1320のうちの少なくとも一方からゲル容器1400に含まれる混合物までの距離は、約12.7cm(5インチ)乃至約20.3cm(8インチ)(例えば、約12.7cm(5インチ)乃至約15.2cm(6インチ))である。
【0048】
一般的に、ポリマー溶液及びゲル前駆体溶液は種々の異なる方法のうちの任意のものに従って形成され得る。幾らかの実施形態において、ポリマー溶液及びゲル前駆体溶液のうちの少なくとも一方は、液滴発生器1200にて使用される前に一つ又は複数のポリマー及びゲル前駆体のうちの少なくとも一方を溶解することにより形成され得る。例えば、ポリマーは加熱(例えば、約70℃以上、約121℃)することにより水に溶解され得る。例えば、ゲル前駆体は室温で水に溶解され得る。ある実施形態において、ポリマー溶液及びゲル前駆体溶液のうちの少なくとも一方は、一つ又は複数のポリマー及びゲル前駆体のうちの少なくとも一方と水とを混合して、混合物をオートクレーブで加熱することにより形成され得る。例えば、マイクロウェーブを適用して、水と一つ又は複数のポリマー及びゲル前駆体のうちの少なくとも一方からなる混合物が、代替的又は付随的に加熱され得る。幾らかの実施形態において、水と、ポリマー及びゲル前駆体のうちの少なくとも一方とを混合するためにホモジナイザ(例えば、マイクロウェーブの適用と組み合わせて)が使用され得る。
【0049】
一般的に、ポリマー溶液に使用される一つ又は複数のポリマー及びゲル前駆体溶液に使用される一つ又は複数のゲル前駆体は生体適合性である。
ポリマーの例としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホネート、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、置換セルロース、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリ(乳酸−コ−グリコール)酸(例えば、ポリ(d−乳酸−コ−グリコール)酸)及びそれらのコポリマー若しくは混合物を含む。好ましいポリマーはポリビニルアルコール(PVA)である。特に、ポリビニルアルコールは、約80パーセント乃至約99パーセントの範囲にて典型的に加水分解される。ベースポリマーの重量平均分子量は、例えば、約9000乃至約186000の範囲(例えば、約85000乃至約146000、約89000乃至約98000)であり得る。
【0050】
ゲル前駆体の例としては、アルギネート(alginates)、アルギネートの塩、キサンタンガム、天然ゴム、寒天、アガロース、キトサン、カラギナン、フコイダン、フルセララン、ラミナラン、イバラノリ属、キリンサイ属、アラビアゴム、ガティガム、カラヤガム、トラガカントゴム、ヒアルロン酸、ローカストビームガム、アラビノガラクタン、ペクチン、アミロペクチン、その他の水溶性ポリサッカライド及びその他のイオン架橋可能なポリマーを含む。特殊なゲル前駆体はアルギン酸ナトリウムである。好ましいアルギン酸ナトリウムは、低粘度(例えば、20℃で約0.02Pa・s(20センチポアズ)乃至約0.08Pa・s(80センチポアズ))を備えた高グルロン酸、茎由来のアルギン酸塩(例えば、約50パーセント以上、約60パーセント以上のグルロン酸)であり、高引張強度の強固なゲルを生成する。
【0051】
ゲル容器1400に含まれる混合物は、ゲル前駆体と反応して安定なゲルを形成することにより液滴を安定化させるゲル化剤を含む。例えば、適切なゲル化剤は、帯電ポリマー(例えば、ポリアクリル酸)又はアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はゲル前駆体とイオン的に架橋可能な遷移金属塩のような2価のカチオンを含む。例えば、カルシウム、バリウム、亜鉛又はマグネシウムの塩のような無機塩がゲル化剤として使用され得る。実施形態において、アルギン酸塩のゲル前駆体を使用するような特殊な場合、適切なゲル化剤は塩化カルシウムである。カルシウムカチオンは、ゲル前駆体中のカルボン酸基と親和性を有する。カチオンはゲル前駆体中のカルボン酸基と錯体を形成し、ゲル前駆体によりポリマーが封入され得る。
【0052】
理論により結びつけることを望むわけではないが、幾らかの実施形態(例えば、約500μm(ミクロン)以下の直径を有する粒子を形成する場合)において、ゲル容器1400に含まれる混合物の表面張力を低減することは望ましい。これは、例えば、ゲル容器1400内の混合物を加熱することにより(例えば、約30℃以上の温度のような室温より大きい温度(例えば、約80℃以上の温度)まで)、ゲル容器1400に含まれる混合物を(例えば、空気、窒素、アルゴン、クリプトン、ヘリウム、ネオンにて)曝気することにより、ゲル容器1400に含まれる混合物を(例えば、マグネチックスターラにて)撹拌することにより、ゲル化剤を含む混合物中に界面活性剤を加えることにより、及びゲル容器1400に入れた混合物上にゲル化剤を含むミストを形成することにより(例えば、テール(tail)の形成を低減すること及び粒子の球形度を高めることのうちの少なくとも一方)、のうちの少なくとも一つにより達成され得る。
【0053】
上記したように、液滴の安定化に続いて、ゲル溶液は固体粒から移されるか、又は固体粒が篩い分けによりゲル溶液から除去され得る。次に固体粒は反応容器1500に移され、同容器1500において固体粒のポリマーは粒子を形成するために反応を受ける(例えば、架橋される)。
【0054】
反応容器1500は、複数のポリマー鎖の間にて架橋を形成するか、又はポリマー鎖内で架橋を形成するために同ポリマーと化学的に反応する作用物質を含む。例えば、ポリマーがポリビニルアルコールである実施形態において、容器1500は、ポリビニルアルコールをアセチル化するために、ホルムアルデヒド、グリオキサル、ベンズアルデヒド、アテレフタルアルデヒド、スクシンアルデヒド及びグルタルアルデヒドのような一つ以上のアルデヒドを含み得る。容器1500はまた、例えば、硫酸、塩酸、硝酸のような強酸、酢酸、ギ酸及びリン酸のような弱酸のような酸を含み得る。実施形態において、反応は第一に1,3−アセチル化である:
【0055】
【化1】
この鎖内のアセチル化反応はジョン G.プリチャード(John G.Pritchard)により「ポリ(ビニルアルコール)の基本的な特性及び使用(Poly(Vinyl Alcohol)Basic Properties and Uses)(ポリマーモノグラフ(Polymer Monograph)、第4巻、第93−97頁を参照、Gordon and Breach,Science Publishers社、ロンドン、1970年)に記載されているように鎖内での架橋の可能性が比較的低い状態で実施される。なお、同文献は参照により本明細書中にて援用される。反応はランダムに進むので、ポリマー鎖に沿ったOH基は隣接する官能基とは反応せず、変換されないままで残る。
【0056】
使用されるアルデヒド及び酸の量、反応時間及び反応温度を調節することによりアセチル化の程度が制御できる。実施形態において、反応時間は約5分乃至約1時間(例えば、約10分乃至約40分、約20分)である。反応温度は、例えば、約25℃乃至約150℃(例えば、約75℃乃至約130℃、約65℃)である。反応容器1500は、軌道運動ミキサとともに固定された水浴に配置され得る。粒子は脱イオン水にて数回洗浄され、残渣の酸性溶液が除去される。
【0057】
図3は上記工程により形成された粒子10を示す(ゲル前駆体を溶解せずに)。粒子10はポリマーから形成された内側領域12とゲル前駆体(上記に説明されたゲル状態にある)より形成された外側領域16とを含む。
【0058】
一般的に、粒子10は約10μm(ミクロン)乃至約3000μm(ミクロン)の直径(例えば、約40μm(ミクロン)乃至約2000μm(ミクロン)、約100μm(ミクロン)乃至約700μm(ミクロン)、約500μm(ミクロン)乃至約700μm(ミクロン)、約100μm(ミクロン)乃至約500μm(ミクロン)、約100μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約500μm(ミクロン)、約500μm(ミクロン)乃至約1200μm(ミクロン)、約500μm(ミクロン)乃至約700μm(ミクロン)、約700μm(ミクロン)乃至約900μm(ミクロン)、約900μm(ミクロン)乃至約1200μm(ミクロン))を有する。幾らかの実施形態において、粒子10は約3000μm(ミクロン)以下の直径(例えば、約2500μm(ミクロン)以下、約2000μm(ミクロン)以下、約1500μm(ミクロン)以下、約1200μm(ミクロン)以下、約1000μm(ミクロン)以下、約900μm(ミクロン)以下、約700μm(ミクロン)以下、約500μm(ミクロン)以下、約400μm(ミクロン)以下、約300μm(ミクロン)以下、約100μm(ミクロン)以下)及び約10μm(ミクロン)以上の直径(例えば、約100μm(ミクロン)以上、約300μm(ミクロン)以上、約400μm(ミクロン)以上、約500μm(ミクロン)以上、約700μm(ミクロン)以上、約900μm(ミクロン)以上、約1000μm(ミクロン)以上、約1200μm(ミクロン)以上、約1500μm(ミクロン)以上、約2000μm(ミクロン)以上、約2500μm(ミクロン)以上)のうちの少なくとも一方を有する。
【0059】
ある実施形態において、粒子10は約0.8以上の球形度(例えば、約0.85以上、約0.9以上、約0.95以上、約0.97以上)を有する。粒子の球形度は、ベックマンコールター(Beckman Coulter)急速(Rapid)VUE画像アナライザー・バージョン2.06(フロリダ州マイアミに所在のベックマンコールター)を用いて決定され得る。要約すると、急速VUEは、サンプリング及び量子化の工程により、連続トーン(グレースケール)の画像を撮影し、それをデジタル形に変換する。システムのソフトウェアは、ファイバ、ロッド又は球の形状である画像にて粒子を確認及び測定する。Da/Dp(ここで、Daは√(4A/π)、DpはP/π、Aは画素領域、Pは画素周囲である)として計算される粒子の球形度は0乃至1の値であり、1が完全な球を示す。
【0060】
上記したように、幾らかの実施形態において、ゲル前駆体(ゲル状態)が図4に示されるように粒子10から除去され(例えば、イオン交換反応により)、粒子100が形成される。粒子100はポリマーを含むがゲル前駆体は実質的に含んでいない。ゲル前駆体がアルギン酸ナトリウムから形成される幾らかの実施形態において、アルギン酸ナトリウムは、ヘキサメタリン酸ナトリウム(EMScience社)溶液を用いてイオン交換により除去される。例えば、溶液は、エチレンジアミンテトラ四酢酸(EDTA)、クエン酸、その他の酸、リン酸塩を含み得る。ヘキサメタリン酸ナトリウムの濃度は、脱イオン水中に、例えば約1重量パーセント乃至約20重量パーセント(例えば、約1重量パーセント乃至約10重量パーセント、約5重量パーセント)であり得る。残渣のゲル前駆体(例えば、アルギン酸ナトリウム)はアッセイ(例えば、マンヌロン酸及びグルロン酸残渣を含むアルギン酸塩中のウロン酸の検出)により測定され得る。適切なアッセイは、硫酸溶液中のテトラホウ酸ナトリウムで粒子を洗浄してアルギン酸塩を抽出する工程と、抽出物をメタヒドロキシジフェニル比色(colormetric)試薬と合わせる工程と、UV/VIS分光光度計により濃度を決定する工程とを含む。試験は、例えばノルウェー国オスロに所在のFMCBiopolymer社のようなアルギン酸塩供給業者により実施され得る。残渣のアルギン酸塩は、例えば、洗浄する前に、約20重量パーセント乃至約35重量パーセントの範囲にて存在し、約23℃で、水中にて30分洗浄した後の粒子には約0.01重量パーセント乃至約0.5重量パーセント(例えば、約0.1重量パーセント乃至約0.3重量パーセント、約0.18重量パーセント)の範囲にて存在し得る。
【0061】
幾らかの実施形態において、図5及び6に示されるように、ゲル前駆体が粒子から除去されて粗い表面を備えたより小さな粒子が形成される。図5はポリマーを含む内側領域210とゲル前駆体を含む外側領域230とを備えた粒子200を示す。ゲル前駆体とポリマーとの境界250は明確には画定されていない。そのような境界は、例えば、粒子200の形成時にゲル前駆体溶液とポリマー溶液の両溶液の間の界面にて幾らかの混和が存在する場合に形成される。ゲル前駆体が粒子200から除去されると、図6に示されるように、粗い表面310を備えた粒子300が得られる。粒子300はほぼポリマーから形成され、ゲル前駆体を実質的には含んでいない。
【0062】
上記したように、ゲル前駆体の架橋又は除去のいずれかの後に、同心円ノズル1300を使用して形成された粒子はフィルタ1700にて濾過され、残渣の不純物が除去される。約100μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン)の粒子が約710μm(ミクロン)のふるいにて濾過され、次いで約300μm(ミクロン)のふるいにて濾過される。次に粒子は、約20μm(ミクロン)のふるい上に回収される。約300μm(ミクロン)乃至約500μm(ミクロン)の粒子が約710μm(ミクロン)のふるいにて濾過され、次いで約500μm(ミクロン)のふるいにて濾過される。次に粒子は、約100μm(ミクロン)のふるい上に回収される。約500μm(ミクロン)乃至約700μm(ミクロン)の粒子が約1000μm(ミクロン)のふるいにて濾過され、次いで約710μm(ミクロン)のふるいにて濾過され、次に、約300μm(ミクロン)のふるいにて濾過される。次に粒子は、キャッチパン(catch pan)に回収される。約700μm(ミクロン)乃至約900μm(ミクロン)の粒子が約1000μm(ミクロン)のふるいにて濾過され、次いで約500μm(ミクロン)のふるいにて濾過される。次に粒子は、キャッチパンに回収される。約900μm(ミクロン)乃至約1200μm(ミクロン)の粒子が約1180μm(ミクロン)のふるいにて濾過され、次いで約710μm(ミクロン)のふるいにて濾過される。次に粒子は、キャッチパンに回収される。所望に応じてその他のサイズのふるいも使用され得る。
【0063】
次に粒子がパッケージ化される。典型的には、約1ml乃至約5mlの粒子が約5ml乃至約10mlの生理食塩水にパッケージ化される。濾過された粒子は典型的には、電子ビーム照射のような低温技術により滅菌される。実施形態において、電子ビーム照射は粒子を製薬的に滅菌するために使用され得る(例えば、バイオバーデンを低減する)。電子ビーム滅菌において、電子ビームは、磁場及び電場を使用して加速され、エネルギービームに集中される。得られたエネルギービームは電磁石によってスキャンされ、一面の加速電子を生成する。加速電子ビームは回収された粒子を貫通し、細菌及びかびを破壊して滅菌し、粒子内のバイオバーデンを低減する。電子ビーム滅菌は、オハイオ州リマに所在のタイタンスキャン(Titan Scan)のような滅菌供給業者により実施され得る。
【0064】
幾らかの実施形態において、複数の粒子は担体流体(例えば、生理食塩水、造影剤又はその両者のような製薬的に許容される担体)と合わせられて、塞栓組成物を形成する。一般的に、粒子の密度(例えば、単位体積当たりの物質のグラムにて測定されたもの)は担体流体に容易に懸濁されて、送達時まで懸濁した状態が維持されるようなものである。幾らかの実施形態において、粒子の密度は約1.1g/cm3乃至約1.4g/cm3であり得る。一例として、生理食塩水−造影剤溶液中の懸濁剤に対して、密度は、約1.2g/cm3乃至約1.3g/cm3であり得る。
【0065】
塞栓組成物は、例えば、神経系、肺疾患及びAAA(腹部大動脈瘤)のうちの少なくとも一つの用途において使用され得る。組成物は例えば、類繊維腫、腫瘍、内部出血、動静脈奇形(AVM)及び血管過剰増生腫瘍のうちの少なくとも一つの治療において使用され得る。組成物は、例えば、動脈瘤サック、AAAサック(II型エンドリーク)、エンドリークシーラント、動脈シーラント及び穿刺シーラントのうちの少なくとも一つのための充填材として使用され得る、及び卵管のようなその他の管腔の閉塞を提供するために使用される、のうちの少なくとも一方であり得る。類繊維腫は、子宮壁の内部にて成長する(壁内型)、子宮の外側(漿膜下型)にて成長する、子宮腔の内部(粘膜下型)にて成長する、子宮を支える子宮広間膜層の間にて成長する(靱帯型間)、他の臓器に癒着して成長する(寄生型)又はマッシュルーム様柄に成長する(有茎型)子宮筋腫を含む。内部出血は、消化器出血、尿路出血、直腸出血及び静脈瘤出血を含む。AVMは例えば、脳内において高圧の動脈から低圧の静脈まで血液を分流する血管の異常な集積であり、それにより血液が分岐するそれらの領域の低酸素及び栄養障害を生ずる。幾らかの実施形態において、粒子を含む組成物は、症状を予防的に処置するために使用され得る。
【0066】
塞栓組成物の用量の大きさは、投与経路のみならず、治療される症状の性質、位置及び重症度に基づいて変更され得る。症状、疾病又は疾患を治療する医師が塞栓組成物の効果的な量を決定する。塞栓組成物の効果的な量は、症状の緩和又は患者の延命を生ずるのに十分な量に及ぶ。塞栓組成物は、任意の治療上許容可能な用量にて製薬的に許容可能な組成物として患者に投与され、患者の静脈内に、皮下に、経皮的に、気管内に、筋肉内に、粘膜内に、皮内に、関節内に、経口的に、又は非経口的に投与することを含む。
【0067】
塞栓組成物は、粒子の混合物(例えば、異なる種類の治療剤を含む粒子)を含み得るか、又は全てが同じ種類のものである粒子を含み得る。幾らかの実施形態において、塞栓組成物は、医師により送達が容易になるように、粒子の調整された濃度を用いて調製され得る。医師は、例えば実施され得る塞栓術のタイプに基づいて特定の濃度の塞栓組成物を選択し得る。ある実施形態において、医師は塞栓処置のある処置の間は比較的高濃度の粒子である塞栓組成物を使用し、塞栓処置の別の処置の間は比較的低濃度の粒子である塞栓組成物を使用する。
【0068】
粒子の生理食塩水への懸濁剤は、所望の期間にわたって安定であるように調製され得る(例えば、溶液に懸濁された状態のままであり、沈殿及び浮遊の少なくとも一方が起こることはない)。粒子の懸濁剤は例えば、約1分乃至約20分(例えば、約1分乃至約10分、約2分乃至約7分、約3分乃至約6分)の間安定であり得る。
【0069】
幾らかの実施形態において、溶液の密度と粒子の密度とを一致させることにより、粒子が生理学的な溶液中に懸濁され得る。ある実施形態において、粒子及び生理学的な溶液のうちの少なくとも一方は、約1g/cm3乃至約1.5g/cm3(例えば、約1.2g/cm3乃至約1.4g/cm3、約1.2g/cm3乃至約1.3g/cm3)の密度を有し得る。
【0070】
図7A及び7Bは塞栓粒子400及び担体流体を含む塞栓組成物がカテーテル410のような器具により管腔内に注入されている塞栓処置を示す。カテーテル410はプランジャ430を備えたシリンジバレル420に連結される。塞栓組成物はシリンジバレル420に装填され、カテーテル410は、例えば患者の大腿動脈440に挿入される。次に、シリンジバレル420のプランジャ430が押圧され、カテーテル410を介して塞栓組成物が、患者の子宮に位置する子宮筋腫470に通ずる子宮動脈460の管腔450に送達される。塞栓組成物は例えば、子宮動脈460を閉塞する。
【0071】
図7Bに示されるように、子宮動脈460は子宮筋腫470に通ずるより小さな子宮血管480に分けられている(例えば、約2mm以下の直径を有する)。塞栓組成物中の粒子400は、子宮動脈460の内腔を部分的に又は全体的に満たし、子宮筋腫470に通ずる同子宮動脈460の内腔を部分的又は完全に閉塞する。
【0072】
幾らかの実施形態において、塞栓組成物中における患者へ送達されるべき粒子のうちで、同粒子の大部分(例えば、約50パーセント以上、約60パーセント以上、約70パーセント以上、約80パーセント以上、約90パーセント以上)は約3000μm(ミクロン)以下の直径(例えば、約2500μm(ミクロン)以下、約2000μm(ミクロン)以下、約1500μm(ミクロン)以下、約1200μm(ミクロン)以下、約900μm(ミクロン)以下、約700μm(ミクロン)以下、約500μm(ミクロン)以下、約400μm(ミクロン)以下、約300μm(ミクロン)以下、約100μm(ミクロン)以下)及び約10μm(ミクロン)以上の直径(例えば、約100μm(ミクロン)以上、約300μm(ミクロン)以上、約400μm(ミクロン)以上、約500μm(ミクロン)以上、約700μm(ミクロン)以上、約900μm(ミクロン)以上、約1200μm(ミクロン)以上、約1500μm(ミクロン)以上、約2000μm(ミクロン)以上、約2500μm(ミクロン)以上)のうちの少なくとも一方を有し得る。
【0073】
ある実施形態において、塞栓組成物中の患者に送達される粒子は、約10μm(ミクロン)乃至約3000μm(ミクロン)の算術平均径を有する。幾らかの実施形態において、粒子は、約3000μm(ミクロン)以下の算術平均径(例えば、約2500μm(ミクロン)以下、約2000μm(ミクロン)以下、約1500μm(ミクロン)以下、約1200μm(ミクロン)以下、約900μm(ミクロン)以下、約700μm(ミクロン)以下、約500μm(ミクロン)以下、約400μm(ミクロン)以下、約300μm(ミクロン)以下、約100μm(ミクロン)以下)及び約10μm(ミクロン)以上の算術平均径(例えば、約100μm(ミクロン)以上、約300μm(ミクロン)以上、約400μm(ミクロン)以上、約500μm(ミクロン)以上、約700μm(ミクロン)以上、約900μm(ミクロン)以上、約1200μm(ミクロン)以上、約1500μm(ミクロン)以上、約2000μm(ミクロン)以上、約2500μm(ミクロン)以上)の算術平均径のうちの少なくとも一方を有し得る。患者に送達される粒子の算術平均径の例示的な範囲は、約100μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約500μm(ミクロン)、約500μm(ミクロン)乃至約700μm(ミクロン)、及び約900μm(ミクロン)乃至約1200μm(ミクロン)を含む。一般的に、塞栓組成物中の患者に送達される粒子は、個々の粒子の直径の範囲のほぼ真ん中の算術平均径を有し、かつ約20パーセント以下の分散(例えば、約15パーセント以下、約10パーセント以下)を有する。
【0074】
幾らかの実施形態において、塞栓組成物中の患者に送達されるべき粒子の算術平均径は治療されるべき特定の症状に基づいて変更される。一例として、塞栓組成物の粒子が肝臓の腫瘍を治療するために使用される実施形態において、患者に送達されるべき粒子は、約500μm(ミクロン)以下(例えば、約100μm(ミクロン)乃至約300μm(ミクロン)、約300μm(ミクロン)乃至約500μm(ミクロン))の算術平均径を有し得る。別の例として、塞栓組成物中の粒子が子宮筋腫を治療するために使用される場合、塞栓組成物中における患者に送達されるべき粒子は約1200μm(ミクロン)以下(例えば、約500μm(ミクロン)乃至約700μm(ミクロン)、約700μm(ミクロン)乃至約900μm(ミクロン)、約900μm(ミクロン)乃至約1200μm(ミクロン))の算術平均径を有し得る。
【0075】
粒子群の算術平均径は、既に述べたように、ベックマンコールター急速VUE画像アナライザー・バージョン2.06(フロリダ州マイアミに所在のベックマンコールター)を用いて決定され得る。粒子群(例えば、組成物における)の算術平均径は、その群における全ての粒子の直径の合計を同群における粒子の数で割ることにより決定される。
【0076】
ある実施形態において、カテーテル内での圧縮後の粒子の球形度(例えば、粒子の断面積の約50パーセント以上まで圧縮された後)は、約0.8以上(例えば、約0.85以上、約0.9以上、約0.95以上、約0.97以上)であり得る。例えば、粒子は、湿潤されながら、最初の直径の約50パーセント以下まで手動にて圧縮され、ほぼ平板状とされ、次に流体にさらすことにより、約0.8以上(例えば、約0.85以上、約0.9以上、約0.95以上、約0.97以上)の球形度に回復する。
【0077】
実質的に球形の粒子が示されているが、幾らかの実施形態において、同心円ノズルは一つ以上の非球形粒子を形成するために使用され得る。例えば、同心円ノズルは、図8及び9に示されるように、三日月型の粒子を形成するために使用され得る。図8は、同心円ノズルにより形成された前駆体粒子800を示す。前駆体粒子800はポリマーを含む三日月型の内側領域810と、ゲル前駆体を含む外側領域830とを有する。外側領域830は、(例えば、前駆体粒子800をゲル溶解チャンバにさらすことにより)除去され、図9に示されるように三日月型の粒子900が形成され、同粒子900はポリマーから実質的には形成されている。内側に三日月型の領域を備えた前駆体粒子が示されているが、幾らかの実施形態において、外側に三日月型の領域を備えた前駆体粒子を形成することもできる。ある実施形態において、三日月型の領域を備えた前駆体粒子は、第一の材料と、同第一の材料よりはるかに大きな粘度(例えば、0.05Pa・s(50センチポアズ))を有する第二の材料とを用いることにより形成され得る。幾らかの実施形態において、三日月型の前駆体粒子は同心円ノズルの一つのノズル(例えば、外側ノズル)を介して流れるストリームに対してより速い流速(例えば、約15ml/分)を使用し、かつ同心円ノズルの別のノズル(例えば、内側ノズル)を介して流れるストリームに対してより低い流速(例えば、7ml/分)を使用することにより形成され得る。
【0078】
その他の実施形態
幾らかの実施形態を記載してきたが、本発明はそれらに制限されるものではない。
一例として、ポリマー溶液が内側ノズルから流れ、かつゲル前駆体溶液が外側ノズルから流れる実施形態を記載してきたが、幾らかの実施形態では、ポリマー溶液は外側ノズルから流れ、ゲル前駆体溶液は内側ノズルから流れる。ゲル前駆体が溶解しない場合、例えば、得られる粒子はゲル前駆体(ゲル状態である)から形成される内側領域と、ポリマーから形成される外側領域を有する。図10は、ゲル前駆体(ゲル状態である)から形成された内側領域510とポリマーから形成された外側領域530を有するそのような粒子500を示す。仮にゲル前駆体が溶解される場合、得られた粒子は、例えば、中空の内側領域とポリマーから形成される外側領域とを有する。図11は中空の内側領域610と(ポリマーから形成される)外側領域530とを有するそのような粒子600を示す。ある実施形態において、粒子600は一つ以上の作用物質(例えば、治療剤)を体内に送達するために使用され得る(以下の記載を参照されたい)。例えば、作用物質は、送達前に粒子600の中空の内側領域610に注入される。
【0079】
別の例として、2個のノズルからなる同心円ノズルの実施形態を記載してきたが、その他の実施形態も可能である。一般的に、同心円ノズルは二個以上のノズル(例えば、三個、四個、五個、六個、七個、八個、九個、十個)のノズルを有し得る。典型的に、同心円ノズルの各ノズルは、同ノズルを貫通する特定の材料のストリームを有する。しかしながら、幾らかの実施形態において、特定の材料のストリームは1個以上のノズルから流れることもできる。
【0080】
更なる例として、幾らかの実施形態において、液滴は同心円ノズルを振動させることなく形成され得る。ある実施形態において、同心円ノズル1300とゲル容器1400との間に静電電位を確立することにより液滴が形成され、それにより、同心円ノズル1300を排出するストリームがゲル容器1400に吸引され、液滴が形成される。静電電位は例えば同心円ノズル1300に電荷を与え、ゲル容器1400に反対の電荷を与えることにより確立される。例えば、同心円ノズル1300は負に帯電され、ゲル容器1400は正に帯電される。静電電位の使用により液滴を形成する市販の液滴発生器の例としては、NISCOエンカプスレーションユニットVARV1(スイス国、チューリッヒに所在の、NISCOエンジニアリング社)がある。幾らかの実施形態において、液滴は静電電位と周期的な変化(例えば、同心円ノズルの振動)との両方を使用する液滴発生器を使用することにより形成され得る。ある実施形態において、液滴は同心円ノズル1300から排出されるストリームを機械的に(例えば、ジェットカッタにより)液滴1370に分断することにより形成される。選択的に、液滴は振動技術及び/又は機械的分断技術及び/又は静電技術の組み合わせを使用することにより形成され得る。
【0081】
付随的な例として、幾らかの実施形態において、液滴発生器1200は、液滴形成後でありかつゲル化剤と接触する前に液滴1370に電荷を与え、それにより、液滴が液滴発生器1200からゲル容器1400に移動する際に、液滴1370の間の相互の反発が液滴の凝集を回避する。例えば、同心円ノズル1300の下流側に配置された電荷を帯びたリングのような静電帯電装置により帯電が達成される。
【0082】
付随的な例として、三日月形の粒子の形成について記載してきたが、幾らかの実施形態において、液滴発生工程は、三日月形粒子及び三日月形領域を備えた粒子のうちの少なくとも一方の形成の可能性を制限するように実施され得る。例えば、同心円ノズルの内側ノズルにより画定される容積を貫通して流れるポリマー溶液は比較的低濃度(例えば、約1パーセントまで)のゲル化剤(例えば、カルシウムイオン)を含み得る。ポリマー溶液中のゲル化剤の存在は、三日月形領域を備えた粒子(図8の前駆体粒子800のような)の形成の可能性を低減する。理論により結び付けられるものではないが、ポリマー溶液中のゲル化剤は、ポリマーを含む液滴を形成する前に、ポリマーをゲルにすると考えられる。例えば、仮にゲル前駆体溶液が同心円ノズルの外側ノズルを流れる場合、形成された液滴がゲル化剤と接触すると同液滴の内側領域及び外側領域の両方がゲル化し得る。従って、液滴は全てゲルとなる。そのようなゲル化は、内側領域と外側領域の両方が実質的に球形である粒子を生ずる。
【0083】
別の例として、ある実施形態において、同心円ノズルの一つ以上のオリフィスを通過する一つ以上の材料は、治療剤(例えば、薬物)であり得、それにより同心円ノズルにより形成される粒子は治療剤を含む。代替的又は付随的に、一つ以上の治療剤は粒子が形成された後に同粒子に加えられ得る。幾らかの実施形態において、治療剤は、例えば、治療剤の粒子への注入及び粒子を治療剤に浸漬することのうちの少なくとも一方により、同粒子に加えられ得る。治療剤は、負に帯電した、正に帯電した、両性の、又は中性の作用物質を含む。例えば治療剤は、生理学的な症状を治療するために生物学的に活性を有する材料、製薬的に活性である化合物、遺伝子治療剤、担体ベクタを備えた、及び備えていない核酸、オリゴヌクレオチド、遺伝子/ベクタ・システム、DNAキメラ、圧縮剤(compacting agents)(例えば、DNA圧縮剤)、ウィルス、ポリマー、ヒアルロン酸、タンパク質(例えば、リボザイムのような酵素)、細胞(ヒト由来のもの、動物由来のもの、又は遺伝子操作されたもの)、幹細胞、免疫種、非ステロイド抗炎症薬、経口避妊薬、プロゲスチン、ゴナドトロピン放出ホルモン作動薬、化学療法剤及び放射性活性種(例えば、放射性同位体、放射活性分子)であり得る。治療剤の非限定的な例としては、抗凝血剤、抗酸化剤、血管形成及び抗血管形成剤並びに因子、抗増殖剤(例えば、平滑筋細胞増殖を阻止することが可能な薬剤)、抗炎症剤、カルシウム流入阻害剤、抗新生物薬/抗増殖薬/細胞分裂抑制剤(例えば、パクリタキセル、ドキソルビシン、シスプラチン)、抗菌剤、麻酔剤、抗凝血剤、血管細胞成長促進剤、血管細胞成長阻害剤、コレステロール低下薬、血管拡張剤、内因性の血管作用機構を妨害する薬剤、細胞の壊死を保護する存続遺伝子を含む。幾らかの実施形態において、粒子からの治療剤の放出は一つ以上の因子により誘起され得る。例えば、治療剤の放出は、pH、イオン及び温度のうちの少なくとも一つにより誘起され得る。治療剤は、例えば、2004年4月22日に公開された同時に係属する米国特許出願公開第2004/0076582A1号に記載されており、当該文献は参照により本明細書において援用される。
【0084】
付随的な例として、幾らかの実施形態において、同心円ノズルの一つ以上のオリフィスを貫通して流れる一つ以上の材料は、診断薬(例えば、放射線不透過性材料、磁気共鳴映像法により視認できる材料(MRI可視材料)、超音波造影剤)であり得る。幾らかの実施形態において、同心円ノズルに使用される一つ以上の材料は強磁性体材料であり得る。代替的又は付随的に、一つ以上の診断薬及び強磁性体材料のうちの少なくとも一方が、粒子が形成された後に同粒子に加えられ得る。幾らかの実施形態において、診断薬及び強磁性体材料のうちの少なくとも一方は、例えば、同診断薬及び強磁性体材料のうちの少なくとも一方を粒子に注入する方法及び粒子を同診断薬及び強磁性体材料のうちの少なくとも一方に浸漬させる方法、のうちの少なくとも一方により、同粒子に加えられ得る。診断薬及び強磁性体材料は、2004年5月27日に公開されるとともに発明の名称が「塞栓術(Embolization)」である米国特許出願公開第2004/0101564A1号に記載されており、同文献は参照により本明細書において援用される。
【0085】
別の例として、ある実施形態において、同心円ノズルの一つ以上のオリフィスを介して流れる一つ以上の材料は形状記憶材料であり得、所定の形態又は形状を記憶する(例えば、そのような形態又は形状に変化する)ように構成されることができる。幾らかの実施形態において、形状記憶材料を含む粒子は、第一の状態から第二の状態に選択的に遷移され得る。例えば、送達カテーテルの内側に設けられた加熱装置は形状記憶材料を含む粒子を第一の状態から第二の状態に遷移するために使用され得る。形状記憶材料及び形状記憶材料を含む粒子は、例えば、2004年5月13日に公開された米国特許出願公開第2004/0091543A1号公報及び2004年3月2日に出願され、かつ発明の名称が「塞栓組成物」である米国特許出願第10/791103号に記載されており、両文献は参照により本明細書中にて援用される。
【0086】
付随的な例として、幾らかの実施形態において、同心円ノズルの一つ以上のオリフィスを介して流れる一つ以上の材料は表面選択性材料であり得る。表面選択性材料は、2004年3月2日に出願され、かつ発明の名称が「塞栓術」である米国特許出願第10/791552号に記載されており、同文献は参照により本明細書中にて援用される。
【0087】
更なる例として、ある実施形態において、粒子は(例えば生体吸収性材料で)コーティングされ得る。例えば、粒子は放射線不透過性材料を含む内側領域と、ポリマーを含む外側領域と、外側領域を覆うハイドロゲルコーティングとを有する。例えば、コーティングは一つ以上の治療剤を含み得る。ある実施形態において、粒子は、一つ以上の治療剤を高濃度にて含むようにコーティングされ得ること及び一つ以上の治療剤が粒子の内側に装填され得ることのうちの少なくとも一方である。粒子の表面は、粒子本体が治療剤の破裂放出を提供した後に治療剤の初期量が放出され得る。粒子表面上にある治療剤は、粒子本体内の治療剤と同一であるか、又は異なっている。表面上の治療剤は高濃度の治療剤溶液を粒子にさらすことにより適用され得る。治療剤でコーティングされた粒子は、同治療剤の表面を覆う別のコーティングを含み得る(例えば、粒子が投与された際に浸食される分解性ポリマー及び生体吸収性ポリマーのうちの少なくとも一方)。コーティングは治療剤が粒子から放出される速度の制御を助ける。例えば、コーティングは多孔性の膜の形態であり得る。コーティングは、治療剤放出の初期の破裂を遅延する。コーティングは、粒子を浸漬する、又は噴霧することにより適用され得る。浸食され得るポリマーは(アルギン酸塩のような)ポリサッカライドであり得る。幾らかの実施形態において、コーティングは、無機塩、イオン性塩であり得る。その他の浸食され得るポリマーは、水溶性ポリマー(例えば架橋されていないポリビニルアルコール等)、生体分解性ポリDL−ラクチド−ポリエチレングリコール(PELA)、ハイドロゲル(例えば、ポリアクリル酸、ヒアルロン酸、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース)、ポリエチレングリコール(PEG)、キトサン、ポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン)及びポリ(乳酸−コ−グリコール)酸、(例えば、ポリ(D−乳酸−コ−グリコール)酸が含まれる。コーティングは治療剤を含み得るか、又は治療剤を実質的に含んでいない。コーティング中の治療剤は、粒子の表面層上の治療剤及び粒子内部の治療剤のうちの少なくとも一方と同一であるか、又は異なっている。例えば、浸食され得るコーティングのようなポリマーコーティングは、高濃度の治療剤が粒子の表面に適用されていない実施形態において粒子の表面に適用され得る。コーティングは例えば、2004年4月22日に公開された米国特許出願公開第2004/0076582A1号公報に記載されており、同文献は本明細書において参照により援用される。
【0088】
付随的な例として、ある実施形態において、同心ノズルの一つ以上のオリフィスを流れる一つ以上の材料は生体内分解性であり、同材料は体内で最終的には分解されて、体内全体に分散され得るか、或いは体外に排出され得る。例えば、生体内分解性材料は、ポリサッカライド(アルギン酸塩のような)、ポリサッカライド誘導体、無機塩、イオン性塩、水溶性ポリマー(例えば架橋されていないポリビニルアルコール等)、生体分解性ポリDL−ラクチド−ポリエチレングリコール(PELA)、ハイドロゲル(例えば、ポリアクリル酸、ヒアルロン酸、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース)、ポリエチレングリコール(PEG)、キトサン、ポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン)及びポリ(乳酸−コ−グリコール)酸、(例えば、ポリ(d−乳酸−コ−グリコール)酸又はそれらの組み合わせであり得る。
【0089】
更なる例として、幾らかの実施形態において、同心円ノズルにより形成される粒子は、以下の材料の組み合わせのうちの一つを含み得る:強磁性体材料(例えば、鉄、酸化鉄(例えば、Fe3O4)、マグネタイト、フェロ流体(ferrofluid))を含む内側領域とポリマー(例えば、ポリサッカライド)を含む外側領域;あるタイプの治療剤を含む内側領域と異なるタイプの治療剤を含む外側領域;又は強磁性体材料を含む内側領域とポリマー及びゲル前駆体の組み合わせを含む外側領域。
【0090】
別の例として、幾らかの実施形態において、粒子を形成するための同心円ノズルにて使用される材料はその非混和性に基づいて選択され、それにより材料のストリームは、それらが液滴発生器1200を流れる際にも実質的に分離した状態である。そのような実施形態において、ストリームは、実質的にある材料である外側領域と実質的に別の材料である内側領域とを有する粒子を形成する。
【0091】
付随的な例として、幾らかの実施形態において、同心円ノズルの一つ以上のオリフィスを貫通して流れる一つ以上の溶液は、同心円ノズルに導入される前に冷却される(例えば、溶液の粘度及び流速の少なくとも一方に影響を与えるために)。
【0092】
更なる例として、ある実施形態において、同心円ノズルを貫通して流れる材料は、接触することにより互いに混和するべく選択され得る。例えば、一つの材料は強磁性体材料であり、別の材料はポリビニルアルコールである。
【0093】
別の例として、同心円ノズルが二つのオリフィスを有するように記載されているが、幾らかの実施形態において、同心円ノズルは二つ以上のオリフィス(例えば、三個のオリフィス、四個のオリフィス、五個のオリフィス)を含み得る。
【0094】
付随的な例として、ある実施形態において、同心円ノズルのオリフィスは互いに垂直方向に離間している。例えば、図12は外側ノズル720内に同心円状に配置された内側ノズル710を含む同心円ノズル700を示す。内側ノズル710は内側オリフィス712を有し、外側ノズル720は外側オリフィス722を有する。内側オリフィス712は垂直距離「V」だけ外側オリフィス722から離れており、その距離は約0.5mm乃至約2mm(例えば、約1mm)であり得る。幾らかの実施形態において、同心円ノズルのオリフィスを垂直方向に離間することにより、溶液がゲル前駆体と接触する地点より以前にノズルを介して流れる溶液が容易に混合される。そのような実施形態において、ノズルにより形成される液滴は溶液の混合物を含み得る。ある実施形態において、同心円ノズル内での溶液の混合は、同心円ノズルの内側ノズルを貫通して一方の溶液が流れ始める前に、同心円ノズルの外側ノズルを貫通して他方の溶液が流れ始めることにより改善される。
【0095】
別の例として、幾らかの実施形態において、粒子形成工程時、又は工程後に、非球形とされるべく(例えば、楕円形)機械的に粒子が成形され得る。ある実施形態において、一つ以上の粒子が粒子製造工程の異なる地点にて成形され得る(例えば、成形、圧縮、孔開け、又は他の粒子との凝集)。ある実施形態において(例えば、ポリマーがポリビニルアルコールであり、ゲル前駆体がアルギン酸ナトリウムである場合)、粒子とゲル前駆体とが接触した後であり、架橋される前に、粒子は特定の形状及びサイズのうちの少なくとも一つに物理的に変形され得る。成形後、ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール)は架橋され、選択的に引き続き、ゲル前駆体(例えば、アルギン酸塩)が実質的に除去される。ほぼ球形の粒子が好ましい一方で、非球形の粒子が、例えば液滴形成条件を制御することにより製造及び形成され得る。幾らかの実施形態において、非球形粒子は粒子を後処理する(例えば、他の形状に切断する又はサイコロ状に切る)ことにより形成され得る。粒子の成形は、例えば、同時に係属する2003年10月30日に公開された米国特許出願公開第2003/0203985A1号公報に記載されており、同文献は本明細書において、参照により援用される。
【0096】
更なる例として、幾らかの実施形態において、異なる形状、サイズ、物理特性及び化学特性のうちの少なくとも一つを有する粒子は、塞栓処置において同時に使用され得る。異なる粒子は、所定の順序にて、或いは同時に、患者の体内に送達され得る。ある実施形態において、異なる粒子の混合物は複数の内腔を有するカテーテル及びシリンジのうちの少なくとも一方を使用して送達され得る。幾らかの実施形態において、異なる形状及びサイズの少なくとも一方を有する粒子は相乗的に作用することが可能であり(例えば、係合又はインターロックにより)、密に詰まった閉塞部を形成し、それにより塞栓術が高められる。異なる形状、サイズ、物理特性及び化学特性のうちの少なくとも一つを備えた粒子及びそのような粒子を使用する塞栓術の方法は、例えば、2004年5月13日に公開された米国特許出願公開第2004/0091543A1号公報及び2004年3月2日に出願され、かつ発明の名称が「塞栓組成物」である米国特許出願第10/791103号に記載されており、両文献は本明細書において参照により援用される。
【0097】
付随的な例として、幾らかの実施形態において、粒子は組織の充填に使用され得る。一例として、粒子は身体の経路に隣接した組織に配置される(例えば、注入される)。粒子は通路を狭め、それにより嵩が提供され、組織が通路をより容易に収縮することを可能にする。粒子は、例えば、経皮的に、腹腔鏡的に、及び/又はカテーテルのような種々の異なる方法に従って組織に配置され得る。ある実施形態において、組織に凹部が形成され、粒子は同凹部に配置され得る。粒子の組織充填は例えば、内因性括約筋不全(ISD)、膀胱尿管逆流、胃食道逆流症(GERD)、及び声帯麻痺(例えば、麻痺性の発生困難の場合に声門の能力を回復させるため)のうちの少なくとも一つを治療するために使用され得る。幾らかの実施形態において、粒子組織充填は、尿失禁及び便失禁の少なくとも一方を治療するために使用され得る。粒子は、再構成又は美容の用途(例えば、外科処置)のような軟組織の損傷を充填すること及びしわを伸ばすことのうちの少なくとも一方のための移植材料又は充填材として使用され得る。軟組織の損傷の適用例としては、口唇裂、瘢痕(例えば、水疱瘡の陥凹性瘢痕又は座瘡瘢痕)、脂肪吸引術による圧痕、しわ(例えば、眉間を寄せた際のしわ)及び薄い唇の軟組織増強を含む。組織充填は、例えば、2003年12月18日に公開された、同時に係属する米国特許出願公開第2003/0233150A1号公報に記載されており、同文献は本明細書において、参照により援用される。
【0098】
更なる例として、幾らかの実施形態において、粒子は多孔性であるか、一つ以上の凹部を含むかの少なくとも一方である。ある実施形態において、粒子は実質的に均一な孔構造を有する。幾らかの実施形態において、粒子は不均一な孔構造を有する。例えば、粒子は孔を備えていない内側領域(ポリビニルアルコールから形成される)と、多孔性の外側領域(例えば、ポリビニルアルコールとアルギン酸塩の混合物から形成される)とを有し得る。多孔性粒子は、2004年5月20日に公開された米国特許出願公開第2004/0096662A1号公報に記載されており、同文献は本明細書において参照により援用される。
【0099】
別の例として、幾らかの実施形態において、同心円ノズルにより生成される粒子の空隙率を上げるために同心円ノズルに溶液が加えられ得る。空隙率を高める溶液の例としては、デンプン、比較的高濃度の塩化ナトリウム(例えば、約0.9パーセント以上、約1パーセント乃至約5パーセント、約1パーセント乃至約2パーセント)及び塩化カルシウム(例えば、少なくとも約50mMの濃度)が含まれる。例えば、塩化カルシウムはアルギン酸ナトリウムゲル前駆体溶液に加えられ、同溶液から生成される粒子の空隙率を増大する。
【0100】
付随的な例として、ある実施形態において、同心円ノズルから形成された粒子は粒子鎖を形成するために互いに結合され得る。例えば、粒子は、粒子として一つ以上の同一の材料から形成された結合部又は粒子とは異なる一つ以上の材料から形成された結合部により互いに結合され得る。代替的又は付随的に、同心円ノズルは粒子鎖を形成するために使用され得る。例えば、同心円ノズルの変動周波数は、同心円ノズルが粒子鎖の形成を引き起こすように選択され得る。粒子鎖及び粒子鎖を形成する方法は、例えば、2004年4月22日に出願され、かつ発明の名称が「塞栓術」である米国特許出願第10/830195号に記載されており、同文献は本明細書において参照により援用される。
【0101】
その他の実施形態は特許請求の範囲にある。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1A】塞栓組成物を製造する工程の概略図である。
【図1B】図1Aにおける1B領域の拡大概略図である。
【図2A】粒子を形成するための装置の一実施形態の断面図である。
【図2B】図2Aの装置の、線2B−2Bに沿った拡大図である。
【図2C】図2A及び図2Bの装置による粒子の形成を示す。
【図3】粒子の一実施形態の断面図である。
【図4】粒子の一実施形態の断面図である。
【図5】粒子の一実施形態の断面図である。
【図6】粒子の一実施形態の断面図である。
【図7A】塞栓粒子を含む塞栓組成物の管腔への注入を概略的に示す。
【図7B】図7Aの領域7Bの拡大図である。
【図8】粒子の一実施形態の断面図である。
【図9】粒子の一実施形態の断面図である。
【図10】粒子の一実施形態の断面図である。
【図11】粒子の一実施形態の断面図である。
【図12】粒子を形成する装置の一実施形態の断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を形成する方法であって、前記方法は、
複数の流体ストリームを合わせて液滴を形成する工程と、
前記液滴から粒子を形成する工程と、
を含み、前記粒子は約10μm乃至約3000μmの算術平均径を有する、方法。
【請求項2】
前記複数の流体ストリームは、第一の材料を含む第一の流体ストリームと、第二の材料を含む第二の流体ストリームと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法は、第一の流体ストリームを形成するために、ノズルにより画定される第一のオリフィスを介して前記第一の材料を流す工程を更に含む、方法。
【請求項4】
前記第一のオリフィスは約50μm乃至約1000μmの直径を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第一のオリフィスは約50μm乃至約300μmの直径を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法は、第二の流体ストリームを形成するために、ノズルにより画定される第二のオリフィスを介して前記第二の材料を流す工程を更に含む、方法。
【請求項7】
前記第二のオリフィスは約50μm乃至約1000μmの第一の直径を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第二のオリフィスは約100μm乃至約600μmの第一の直径を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第二のオリフィスは約50μm乃至約1000μmの第二の直径を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第二のオリフィスは約100μm乃至約600μmの第二の直径を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記第一のオリフィスは直径を有し、かつ前記第二のオリフィスは直径を有し、前記第二のオリフィスの直径と前記第一のオリフィスの直径との差は少なくとも約50μmである、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記第一のオリフィスは前記第二のオリフィス内に配置されている、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記第一のオリフィスと前記第二のオリフィスとは同心円上にある、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第一のオリフィスは前記第二のオリフィスから垂直方向に約1mm離間して配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第一の材料は、約2ml/分乃至約10ml/分の速度にて前記第一のオリフィスを介して流れる、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記第二の材料は、約2ml/分乃至約20ml/分の速度にて前記第二のオリフィスを介して流れる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第一の材料はポリマーからなる、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記第二の材料はゲル前駆体からなる、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記粒子を形成する工程は、前記ゲル前駆体を溶液からゲルに変換する工程を含み、かつ前記方法は、前記粒子から前記ゲルの少なくとも幾らかを除去する工程を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第一の材料及び前記第二の材料は混和しない、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
前記第一のストリーム及び前記第二のストリームは同心円上にある、請求項2に記載の方法。
【請求項22】
前記第一の材料は前記液滴の内側領域を形成し、かつ前記第二の材料は前記液滴の表面領域を形成する、請求項2に記載の方法。
【請求項23】
前記第一の材料の粘度は前記第二の材料の粘度よりも大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記第二の材料の粘度は前記第一の材料の粘度よりも大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
前記粒子は孔を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記粒子は内側領域に第一の密度の孔を有するとともに表面領域に第二の密度の孔を有し、かつ前記第一の密度は前記第二の密度とは異なる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第一の密度は前記第二の密度よりも大きい、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記粒子は内側領域に第一の平均孔径を有するとともに表面領域に第二の平均孔径を有し、かつ前記第一の平均孔径は前記第二の平均孔径とは異なる、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記第一の平均孔径は前記第二の平均孔径より大きい、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記粒子は実質的に孔を有していない、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記複数のストリームは二つのストリームである、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記複数のストリームは少なくとも三つのストリームである、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記液滴を形成する工程は、前記複数のストリームを周期的な変化にさらす工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記周期的な変化は、前記複数のストリームを振動することにより提供される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記液滴を形成する工程は、前記複数のストリームと、同液滴を受承するために構成された容器との間の静電ポテンシャルを確立する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
粒子を形成するための方法であって、前記方法は、
ポリマーを含む第一のストリームとゲル前駆体を含む第二のストリームとを合わせて液滴を形成する工程と、
前記液滴から粒子を形成する工程と、
を含む、方法。
【請求項37】
前記粒子は、約10μm乃至約3000μmの算術平均径を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
粒子を形成する方法であって、前記方法は、
複数のオリフィスから複数の流体ストリームを形成する工程と、
前記複数の流体ストリームを合わせて液滴を形成する工程と、
前記液滴から粒子を形成する工程と、
を含み、
前記複数のオフィリスのうちの第一のオリフィスは約50μm乃至約1000μmの直径を有し、前記複数のオフィリスのうちの第二のオリフィスは約50μm乃至約1000μmの第一の直径と、約50μm乃至約1000μmの第二の直径と、を有し、前記第二のオリフィスの第二の直径は、前記第一のオリフィスの直径とは異なっている、方法。
【請求項39】
前記第一のオリフィスは約50μm乃至約300μmの直径を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第二のオリフィスは約100μm乃至約600μmの第一の直径を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記第二のオリフィスは約100μm乃至約600μmの第二の直径を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第二のオリフィスの第二の直径と前記第一のオリフィスの直径との差は少なくとも約100μmである、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記第一のオリフィス及び前記第二のオリフィスは同心円上にある、請求項38に記載の方法。
【請求項1】
粒子を形成する方法であって、前記方法は、
複数の流体ストリームを合わせて液滴を形成する工程と、
前記液滴から粒子を形成する工程と、
を含み、前記粒子は約10μm乃至約3000μmの算術平均径を有する、方法。
【請求項2】
前記複数の流体ストリームは、第一の材料を含む第一の流体ストリームと、第二の材料を含む第二の流体ストリームと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法は、第一の流体ストリームを形成するために、ノズルにより画定される第一のオリフィスを介して前記第一の材料を流す工程を更に含む、方法。
【請求項4】
前記第一のオリフィスは約50μm乃至約1000μmの直径を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第一のオリフィスは約50μm乃至約300μmの直径を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法は、第二の流体ストリームを形成するために、ノズルにより画定される第二のオリフィスを介して前記第二の材料を流す工程を更に含む、方法。
【請求項7】
前記第二のオリフィスは約50μm乃至約1000μmの第一の直径を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第二のオリフィスは約100μm乃至約600μmの第一の直径を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第二のオリフィスは約50μm乃至約1000μmの第二の直径を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第二のオリフィスは約100μm乃至約600μmの第二の直径を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記第一のオリフィスは直径を有し、かつ前記第二のオリフィスは直径を有し、前記第二のオリフィスの直径と前記第一のオリフィスの直径との差は少なくとも約50μmである、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記第一のオリフィスは前記第二のオリフィス内に配置されている、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記第一のオリフィスと前記第二のオリフィスとは同心円上にある、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第一のオリフィスは前記第二のオリフィスから垂直方向に約1mm離間して配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第一の材料は、約2ml/分乃至約10ml/分の速度にて前記第一のオリフィスを介して流れる、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記第二の材料は、約2ml/分乃至約20ml/分の速度にて前記第二のオリフィスを介して流れる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第一の材料はポリマーからなる、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記第二の材料はゲル前駆体からなる、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記粒子を形成する工程は、前記ゲル前駆体を溶液からゲルに変換する工程を含み、かつ前記方法は、前記粒子から前記ゲルの少なくとも幾らかを除去する工程を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第一の材料及び前記第二の材料は混和しない、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
前記第一のストリーム及び前記第二のストリームは同心円上にある、請求項2に記載の方法。
【請求項22】
前記第一の材料は前記液滴の内側領域を形成し、かつ前記第二の材料は前記液滴の表面領域を形成する、請求項2に記載の方法。
【請求項23】
前記第一の材料の粘度は前記第二の材料の粘度よりも大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記第二の材料の粘度は前記第一の材料の粘度よりも大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
前記粒子は孔を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記粒子は内側領域に第一の密度の孔を有するとともに表面領域に第二の密度の孔を有し、かつ前記第一の密度は前記第二の密度とは異なる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第一の密度は前記第二の密度よりも大きい、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記粒子は内側領域に第一の平均孔径を有するとともに表面領域に第二の平均孔径を有し、かつ前記第一の平均孔径は前記第二の平均孔径とは異なる、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記第一の平均孔径は前記第二の平均孔径より大きい、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記粒子は実質的に孔を有していない、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記複数のストリームは二つのストリームである、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記複数のストリームは少なくとも三つのストリームである、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記液滴を形成する工程は、前記複数のストリームを周期的な変化にさらす工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記周期的な変化は、前記複数のストリームを振動することにより提供される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記液滴を形成する工程は、前記複数のストリームと、同液滴を受承するために構成された容器との間の静電ポテンシャルを確立する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
粒子を形成するための方法であって、前記方法は、
ポリマーを含む第一のストリームとゲル前駆体を含む第二のストリームとを合わせて液滴を形成する工程と、
前記液滴から粒子を形成する工程と、
を含む、方法。
【請求項37】
前記粒子は、約10μm乃至約3000μmの算術平均径を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
粒子を形成する方法であって、前記方法は、
複数のオリフィスから複数の流体ストリームを形成する工程と、
前記複数の流体ストリームを合わせて液滴を形成する工程と、
前記液滴から粒子を形成する工程と、
を含み、
前記複数のオフィリスのうちの第一のオリフィスは約50μm乃至約1000μmの直径を有し、前記複数のオフィリスのうちの第二のオリフィスは約50μm乃至約1000μmの第一の直径と、約50μm乃至約1000μmの第二の直径と、を有し、前記第二のオリフィスの第二の直径は、前記第一のオリフィスの直径とは異なっている、方法。
【請求項39】
前記第一のオリフィスは約50μm乃至約300μmの直径を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第二のオリフィスは約100μm乃至約600μmの第一の直径を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記第二のオリフィスは約100μm乃至約600μmの第二の直径を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第二のオリフィスの第二の直径と前記第一のオリフィスの直径との差は少なくとも約100μmである、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記第一のオリフィス及び前記第二のオリフィスは同心円上にある、請求項38に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−502463(P2008−502463A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515275(P2007−515275)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/018271
【国際公開番号】WO2005/118128
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/018271
【国際公開番号】WO2005/118128
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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