説明

塩の回収方法及び該塩の回収装置

【課題】被処理水、例えば、有機物、種々の金属塩等を含む水、より具体的には、廃棄物の最終処分場から流出する浸出水等の排水等から、簡易かつコンパクトな設備で、効率よく塩の回収を行なうことができ、かつ再利用に適した塩を回収することができる、塩の回収方法及び塩の回収装置を提供することを課題とする。
【解決手段】塩を含有した被処理水を、逆浸透膜装置に供して、濃縮水を得、ついで、該濃縮水と活性炭とを接触させることを特徴とする、塩の回収方法;並びに、逆浸透膜により塩を含有した被処理水中の塩を濃縮して、濃縮水を得る逆浸透膜装置と、該逆浸透膜装置で得られた濃縮水を活性炭に接触させる活性炭接触装置とを有することを特徴とする、塩を含有した被処理水からの塩の回収装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩の回収方法及び塩の回収装置に関する。より詳しくは、本発明は、有機物、種々の金属塩等を含む水、例えば、廃棄物の最終処分場から流出する浸出水等の排水中に含まれる塩の回収方法及び該塩の回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、廃棄物は、焼却され、焼却後の産物を最終処分場に埋め立てすることにより処理されている。
【0003】
さらに、かかる最終処分場においては、埋め立てられた廃棄物から浸出してくる種々の塩を含む浸出水が、電気透析、逆浸透膜等により、脱塩され、処理されている(特許文献1)。なかでも、前記逆浸透膜を用いた脱塩によれば、浸出水を効率よく処理することができる。すなわち、前記逆浸透膜を用いることにより、水質が極めて良好な処理水(膜透過水)を得ることができる。
【0004】
一方、前記脱塩により生じる副生塩は、道路の凍結防止剤、革なめし工程の保存塩等として、再利用される場合がある。また、前記副生塩が再利用される場合には、その用途により、要求される性質が異なっている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−262738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、浸出水を逆浸透膜により処理した場合、水質が極めて良好な透過水が得られるものの、有機物、種々の金属類等が濃縮水中に濃縮されるため、濃縮水中の水分を除去して得られる副生塩が、着色していること等に起因して、当該副生塩の再利用の用途が制限される場合がある。よって、濃縮水中の有機物、種々の金属類等を減らすために、逆浸透膜処理の前段で生物等による有機物除去処理や吸着剤、薬品等による金属類の除去処理等の前処理が行われているが、設備全体が複雑になるとともに、各前処理における被処理水量も減量されないので、被処理水量に応じた規模の装置が必要となり、ポンプ動力使用量や吸着剤、薬品等の使用量が多くなり、さらに設備全体の設置面積も広くなってしまうという欠点もある。
【0007】
本発明は、上記従来の欠点に鑑みてなされたものであり、被処理水、例えば、有機物、種々の金属塩等を含む水、より具体的には、廃棄物の最終処分場から流出する浸出水等の排水等から、簡易かつコンパクトな設備で、効率よく塩の回収を行なうことができ、かつ再利用に適した塩を回収することができる、塩の回収方法を提供することを1つの課題とする。また、本発明は、前記被処理水から、効率よく塩の回収を行なうことができ、再利用に適した塩を回収することができる、塩の回収装置を提供することを1つの課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、1つの側面では、塩を含有した被処理水を、逆浸透膜装置に供して、濃縮水を得、ついで、該濃縮水と活性炭とを接触させることを特徴とする、塩の回収方法に関する。また、本発明は、他の側面では、逆浸透膜により塩を含有した被処理水中の塩を濃縮して、濃縮水を得る逆浸透膜装置と、
該逆浸透膜装置で得られた濃縮水を活性炭に接触させる活性炭接触装置と
を有することを特徴とする、塩を含有した被処理水からの塩の回収装置に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の塩の回収方法によれば、逆浸透膜を用いて、被処理水、例えば、有機物、種々の金属塩等を含む水、より具体的には、廃棄物の最終処分場から流出する浸出水等の排水に適用した場合であっても、簡易かつコンパクトな設備で、効率よく、再利用に適した塩、例えば、実質的に着色していない塩(白色塩)を得ることができるという優れた効果を奏する。また、本発明の塩の回収装置によれば、被処理水、例えば、有機物、種々の金属塩等を含む水、より具体的には、廃棄物の最終処分場から流出する浸出水等の排水からでも、効率よく、再利用に適した塩、例えば、実質的に着色していない塩(白色塩)を得ることができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、1つの側面では、塩を含有した被処理水を、逆浸透膜装置に供して、濃縮水を得、ついで、該濃縮水と活性炭とを接触させることを特徴とする、塩の回収方法に関する。
【0011】
本発明の塩の回収方法によれば、塩を含有した被処理水を逆浸透膜装置に供して得られた濃縮水と活性炭とを接触させているため、再利用に適した塩、例えば、実質的に着色していない塩、すなわち、白色塩を得ることができる。また、本発明の塩の回収方法によれば、塩の回収に際して、逆浸透膜装置と活性炭とが用いられているため、再利用に適した塩、例えば、実質的に着色していない塩〔実質的に白色の塩(本明細書において、「白色塩」という)〕を、簡便に高い収率で得ることをもできる。
【0012】
前記塩を含有した被処理水としては、例えば、種々の有機物、金属塩等を含む水、より具体的には、廃棄物の最終埋立処分場から流出する浸出水等の排水、不適正処分場などから掘り起こされた廃棄物を洗浄処理したときに発生する排水、焼却炉を解体処理したときに発生する排水、化学工場排水、海水等が挙げられる。
【0013】
本発明の塩の回収方法としては、具体的には、
(A)塩を含有した被処理水を、逆浸透膜装置に供して、濃縮水を得るステップ(「逆浸透膜処理ステップ1」ともいう)、及び
(B)前記ステップ(A)で得られた濃縮水を、活性炭接触装置に供して、該濃縮水と活性炭とを接触させ、活性炭処理水として塩を得るステップ(「活性炭接触ステップ2」ともいう)、
を含む方法が挙げられる。
【0014】
本発明の塩の回収方法においては、前記ステップ(A)が行なわれるため、塩を含有した被処理水から、塩の着色に関与する成分の一部、例えば、低分子量の有機炭素が除去され、かつ濃縮された濃縮水が得られる。そのため、本発明の塩の回収方法によれば、後述の活性炭処理ステップにおける処理対象となる被処理水(すなわち、濃縮水)の量および除去すべき有機体炭素の量を低減させることができ、濃縮せずに活性炭処理を行なう場合と比較して、活性炭処理を行なうための設備をコンパクト化することができ、さらに、使用済の活性炭の廃棄量を低減できるという優れた効果を発揮する。また、本発明の塩の回収方法によれば、前記ステップ(A)が行なわれるため、かかるステップ(A)を行なった後、得られた濃縮水を、ステップ(B)において、活性炭と接触させることとあいまって、塩の着色に関与する成分の除去を効率よく行なうことができるという優れた効果を発揮する。
【0015】
前記逆浸透膜装置としては、好ましくは、複数のスペーサーが配され、それぞれのスペーサー間に平膜状の逆浸透膜が介装された逆浸透膜モジュールを用いたものが挙げられ、図2に例示されるような、複数のスペーサー7が配され、それぞれのスペーサー7間に逆浸透膜(平膜6)が介装された逆浸透膜モジュール4等が挙げられる。
【0016】
図2に示される逆浸透膜モジュール4は、ディスクタイプの平膜と、ディンプルの付いたスペーサーとが、交互に積層された構造からなるものである。具体的には、逆浸透膜モジュール4は、円筒状の逆浸透膜モジュール本体5内に、円板状の平膜(逆浸透膜)6が同じく円板状のスペーサー7の間に設けられた逆浸透膜部8が複数組積層されて構成されている。逆浸透膜モジュール4のモジュール本体5の内周面には被処理水を導入する被処理水流路9が設けられ、被処理水流路9から逆浸透膜の表面に被処理水が導入される。また、逆浸透膜部8の上部にはエンドプレート10が設けられ、浸透圧以上の圧力に耐えられるようになっている。図2に示される逆浸透膜モジュール4において、透過水パイプ11は、逆浸透膜部8の中央部に貫通されている。透過水パイプ11により、逆浸透膜によって分離された処理水が排出される。また、濃縮水パイプ12により、各逆浸透膜によって濃縮された濃縮水がモジュール本体5外へ排出される。かかる濃縮水に回収対象となる塩が含まれうる。
【0017】
前記ステップ(B)では、例えば、前記ステップ(A)で得られた濃縮水を、前記活性炭と接触させる。かかるステップを行なうことにより、驚くべく、再利用に適した塩、例えば、実質的に着色していない塩(白色塩)を得ることができる。
【0018】
本発明の塩の回収方法に用いられる活性炭は、高い有機体炭素吸着能力を発揮するものであればよく、特に限定されないが、例えば、石炭を原料とする活性炭等が挙げられる。
【0019】
前記ステップ(A)で得られた濃縮水と接触させる活性炭の量は、被処理水の組成、活性炭の種類、濃縮水量、白色化に必要な有機体炭素除去率等に応じて適宜設定されうる。
【0020】
本発明の塩の回収方法では、被処理水の濃縮水と活性炭との接触は、例えば、図3に示される活性炭接触装置13等を用いることにより効率よく行なわれうる。
【0021】
図3に示される活性炭接触装置13は、被処理水の濃縮水が2つの活性炭充填カラム15,15に通され、処理後に得られた活性炭処理水が排出されるように構成されている。活性炭充填カラム15は、単独であってもよく、2つ以上接続されていてもよい。活性炭充填カラム15には、被処理水の濃縮水を導入する濃縮水流路が設けられる。また、活性炭充填カラム15を2つ以上接続した場合には、上流に位置する他の活性炭充填カラム15による処理後の処理水を、活性炭充填カラム15に導入する処理水流路と、活性炭充填カラム15から活性炭処理水を排出する活性炭処理水流路とが設けられる。
【0022】
活性炭充填カラム15には、前記活性炭が充填されている。
【0023】
前記ステップ(B)の後には、活性炭処理水、すなわち、塩水溶液として、塩が得られうる。そのため、本発明の塩の回収方法では、例えば、図1に例示されるように、前記ステップ(A)及び(B)を行なった後、
(C)前記ステップ(B)で得られた活性炭処理水、すなわち、塩水溶液から水分を除去するステップ(「乾燥ステップ3」ともいう)、
を行なうことにより、乾燥塩として、塩を得ることができる。
【0024】
前記ステップ(C)では、活性炭処理水から水分を除去して、塩を得る。また、活性炭処理水が少量である場合には、かかるステップ(C)では、慣用のエバポレーター等による蒸発乾固が行なわれる。
【0025】
なお、本発明の塩の回収方法で得られる塩は、例えば、3人のモニターによる観察により、着色の有無について、評価されうる。本発明の塩の回収方法により回収される塩は、実質的に白色の塩、すなわち、白色塩である。
【0026】
なお、本発明の塩の回収方法では、必要に応じて、微粒子等を凝集させ、除去する凝集・除去処理;鉛、砒素等の有害重金属をキレート化させ、除去するキレート化処理等を行なってもよい。
【0027】
前記凝集・除去処理は、ステップ(A)を実施する前の被処理水に、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄等の凝集剤を添加して、懸濁物質等を凝集させ、適宜、溶液のpHを調整し、例えば、孔径0.1〜10μmのメンブランフィルター、砂濾過等を用いて、固体(凝集物)を除去することにより行なわれる。かかる処理を行なうことにより、逆浸透膜の流路や活性炭充填塔の閉塞の原因となる懸濁物質が除去されるため、設備の安定運転が可能になる点に優れる。
【0028】
キレート化処理は、被処理水を、例えば、キレート樹脂等と接触させることにより、鉛、砒素等の有害金属等を除去することにより行なわれる。かかる処理を行なうことにより、有害金属等が除去されるため、例えば、融雪剤として回収塩を用いる場合に環境や人体に悪影響を及ぼさない点に優れる。なお、キレート化処理は、キレート処理装置のコンパクト化の観点から、ステップ(A)を実施した後の被処理水に対して行なうのが好ましく、キレート処理装置のコンパクト化及びキレート樹脂の性能維持の観点から、ステップ(B)を実施した後の被処理水に対して行なうのがより好ましい。
【0029】
本発明は、他の側面では、逆浸透膜を介して塩を含有した被処理水中の塩を濃縮して、濃縮水を得る逆浸透膜装置と、
該逆浸透膜装置で得られた濃縮水を活性炭に接触させる活性炭接触装置と
を有することを特徴とする、塩を含有した被処理水からの塩の回収装置に関する。
【0030】
本発明の塩の回収装置によれば、本発明の塩の回収方法を簡便に行なうことができる。
【0031】
本発明の塩の回収装置は、1つの実施態様では、逆浸透膜により塩を含有した被処理水中の塩を濃縮させて、濃縮水を得る逆浸透膜装置と、
該逆浸透膜装置で得られた濃縮水を活性炭に接触させる活性炭接触装置と
を有し、
逆浸透膜装置と活性炭接触装置とが、該被処理水が逆浸透膜装置に供給され、該被処理水中の塩が逆浸透膜を介して濃縮されることにより、濃縮水が得られ、
該濃縮水が活性炭接触装置に導入されて、活性炭と接触するように配された構成を有することを特徴とする装置に関する。したがって、かかる塩の回収装置によれば、被処理水、例えば、有機物、種々の金属塩等を含む水、より具体的には、廃棄物の最終処分場から流出する浸出水等の排水からでも、効率よく、再利用に適した塩、例えば、実質的に着色していない塩(白色塩)を得ることができるという優れた効果を発揮する。
【0032】
また、本発明の塩の回収装置によれば、逆浸透膜装置と活性炭接触装置とが、該被処理水が逆浸透膜装置に供給され、該被処理水中の塩が該逆浸透膜により濃縮されることにより、濃縮水が得られ、該濃縮水が活性炭接触装置に導入されて、活性炭と接触するように配された構成を有するため、該逆浸透膜装置において、塩を含有した被処理水から塩の着色に関与する成分の一部、例えば、低分子量の有機性炭素が除去され、かつ濃縮された濃縮水が得られる。さらに、かかる濃縮水が、該活性炭接触装置に導入されて、該活性炭接触装置において、活性炭と接触し、該濃縮水から塩の着色に関与する成分がさらに除去される。そのため、本発明の塩の回収装置によれば、活性炭接触装置において、被処理水が活性炭と接触した後、得られた被処理水が逆浸透膜装置において濃縮されるように配された構成を有する装置に比べ、活性炭接触装置に配される活性炭の量が同等又は少ない場合でも、再利用に適した塩を得ることができる。さらに、塩の回収装置によれば、かかる活性炭接触装置において活性炭と接触させる対象となる被処理水量(かかる活性炭接触装置においては、濃縮水量)が、活性炭接触装置において被処理水を活性炭に接触させた後に、得られた被処理水を逆浸透膜装置により濃縮させるように配された構成を有する装置に比べ低減するため、ポンプ等の設備を小型化することができ、かつ塩の回収に要するエネルギーを低減させることができる。
【0033】
本発明の塩の回収装置は、他の実施態様では、逆浸透膜により塩を含有した被処理水中の塩を濃縮させて、濃縮水を得る逆浸透膜装置と、
該逆浸透膜装置で得られた濃縮水を活性炭に接触させる活性炭接触装置とに加え、
該活性炭接触装置による濃縮水と活性炭との接触後に得られる活性炭処理水から水分を除去して、乾燥塩を得るための水分除去装置をさらに有する装置に関する。かかる実施態様の塩の回収装置は、前記水分除去装置を有するため、乾燥状態の塩を簡便に得ることができる。
【0034】
本発明の塩の回収装置における逆浸透膜装置としては、好ましくは、複数のスペーサーが配され、それぞれのスペーサー間に平膜状の逆浸透膜が介装され、該逆浸透膜により塩を含有した被処理水中の塩を濃縮して、濃縮水を得る逆浸透膜装置等が挙げられる。
【0035】
本発明の塩の回収装置により得られる塩は、実質的に白色の塩、すなわち、白色塩である。
【0036】
本発明の塩の回収装置の実施態様の一例としては、例えば、図4に示される塩の回収装置が挙げられる。図4に示される塩の回収装置19は、逆浸透膜モジュール4と逆浸透膜モジュール4に被処理水を供給するための高圧ポンプ16等とからなる逆浸透膜装置17と、活性炭接触装置13とを有し、
逆浸透膜装置17と活性炭接触装置13とが、塩を含有した被処理水が逆浸透膜装置17に導入されて、該被処理水中の塩が濃縮され、ついで、得られた濃縮水が活性炭接触装置13に導入されて、活性炭と接触するように配された構成を有することを特徴とする。
【0037】
逆浸透膜装置17は、例えば、逆浸透膜モジュール4と、逆浸透膜モジュール4に被処理水を供給するための高圧ポンプ16等とからなり、被処理水が高圧ポンプ16を介して逆浸透膜モジュール4に導入され、透過水と濃縮水とに分離されるように配された構成を有する。
【0038】
活性炭接触装置13としては、前述と同様のものが挙げられる。
【0039】
逆浸透膜装置17と活性炭接触装置13とは、例えば、逆浸透膜モジュール4の濃縮水パイプ12と濃縮水パイプ12から排出された濃縮水を貯留するための濃縮水貯槽18と活性炭接触装置13のポンプ14とを介して連結され、塩を含有した被処理水が逆浸透膜装置17の逆浸透膜モジュール4に導入されて濃縮され、得られた濃縮水が濃縮水貯槽18に一時的に貯留され、ついで、濃縮水貯槽18で貯留された濃縮水が活性炭接触装置13に導入されて、活性炭と接触するように配される。
【0040】
かかる図4に示される塩の回収装置19は、活性炭接触装置13で得られる活性炭処理水から水分を除去して、乾燥塩を得るための水分除去装置をさらに有していてもよい。前記水分除去装置としては、例えば、蒸発乾燥装置等が挙げられる。
【0041】
以下、本発明を実施例等により詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0042】
(試験例1)
被処理水(原水)の水質分析結果を表1に示す。なお、表中、「pH」は、JIS K 0102(1998) 12.1、「電気伝導率」は、JIS K 0102(1998) 13、「全蒸発残留物」は、JIS K 0102(1998) 14.2、「色度」は、JIS K 0101(1998) 10.1、「BOD」は、JIS K 0102(1998) 21及び32.3、「COD」は、JIS K 0102(1998) 17、「全有機炭素量」は、JIS K 0102(1998) 22.2、「全窒素含有量」は、JIS K 0102(1998) 45.5、「カルシウム」は、JIS K 0102(1998) 50.2、「マグネシウム」は、JIS K 0102(1998) 51.2、「ナトリウム」は、JIS K 0102(1998) 48.2、「カリウム」は、JIS K 0102(1998) 49.2、「塩化物イオン」は、JIS K 0102(1998) 35.3、「硫酸イオン」は、JIS K 0102(1998) 41.3、「鉛及びその化合物」は、JIS K 0102(1998) 54.3により測定した値である。
【0043】
【表1】

【0044】
前記浸出水原水A及び浸出水原水B 10Lを、それぞれ、図2に示される逆浸透膜モジュール4に供し、逆浸透膜処理により濃縮を行なった。なお、濃縮方法は、循環濃縮であり、濃縮倍率は、浸出水原水Aについて、3倍、浸出水原水Bについて、5倍である。その結果、浸出水原水Aから濃縮水 3.3L、浸出水原水Bから濃縮水 2Lが得られた。得られた濃縮水それぞれの水質分析結果を表2に示す。
【0045】
【表2】

【0046】
ついで、得られた濃縮水 0.2Lに、表3又は表4に示される量の活性炭を添加し、得られた混合物を、20℃に調整された振盪機中、200rpmで24時間振盪させることにより、活性炭処理を行なった。前記活性炭として、活性炭A〔商品名:ダイアホープ 008B(三菱化学カルゴン株式会社製)〕、活性炭B〔商品名:カルゴン WP−A0(三菱化学カルゴン株式会社製)〕、活性炭C〔商品名:クラレ KW(株式会社クラレ製)〕又は活性炭D〔商品名:カルゴン CAL(三菱化学カルゴン株式会社製)〕を用いた。その後、混合物を、No5C濾紙〔アドバンテック社製〕に供して、濾過し、濾液を得た。
【0047】
得られた濾液を、磁皿に入れ、湯煎で5時間加熱し、水分を蒸発させ、さらに、105℃の恒温槽中で24時間乾燥させて、乾燥塩を得た。
【0048】
また、比較対照として、浸出水原水A及び浸出水原水B 0.2Lに、表3又は表4に示される量の前記活性炭を添加した。得られた混合物を、20℃に調整された振盪機中、200rpmで24時間振盪させた。その後、前記と同様に、濾過し、得られた濾液から、水分を除去して乾燥させ、乾燥塩を得た。
【0049】
得られた乾燥塩について、3人のモニターによる観察により、着色の有無を評価した。浸出水原水Aの結果を表3に示し、浸出水原水Bの結果を表4に示す。
【0050】
【表3】

【0051】
【表4】

【0052】
その結果、表3に示されるように、浸出水原水Aについて、逆浸透膜処理を行ない、ついで、活性炭処理をした場合、逆浸透膜処理を行なう前の原水の量に対する活性炭添加量として換算して、1gの活性炭を用いることにより、無色の乾燥塩が得られることがわかる。
【0053】
また、表4に示されるように、浸出水原水Bについて、逆浸透膜処理を行ない、ついで、活性炭処理をした場合、逆浸透膜処理を行なう前の原水の量に対する活性炭添加量として換算して、浸出水原水Bをそのまま活性炭処理した場合よりも少ない量である0.04gの活性炭を用いることにより、無色の乾燥塩が得られることがわかる。
【0054】
(試験例2)
本試験例に用いた浸出水原水Cの水質分析結果を、表5に示す。なお、表5中、「全鉄」は、JIS K 0102(1998) 57.4、「マンガン」は、JIS K 0102(1998) 56.4、「アルミニウム」 JIS K 0102(1998) 58.4、「ヨウ素」 JIS K 0102(1998) 36により測定した値である。
【0055】
【表5】

【0056】
(1)実施例1
1)凝集・除去処理
被処理水(浸出水原水)に、ポリ塩化アルミニウム(神鋼環境メンテナンス株式会社製、商品名:SPフロック)を、終濃度150mg/Lとなるように添加した。ついで、得られた混合物に、0.01N 塩酸又は0.01N NaOHを添加して、pH7となるように調整した。得られた混合物を、125rpmで5分間又は30rpmで10分間撹拌した。その後、得られた産物を、0.45μm孔径のメンブランフィルター(アドバンテック社製)に供して濾過し、濾液を得た。
【0057】
2)逆浸透膜処理
前記1)で得られた濾液を、図2に示される逆浸透膜モジュール4に供し、循環濃縮で、5倍濃縮して、濃縮水を得た。
【0058】
3)活性炭処理
活性炭〔商品名:ダイアホープ 008B(三菱化学カルゴン株式会社製)〕を、ボールミル又は自動乳鉢で粉砕し、得られた粉砕物を200メッシュ篩(に供した。200メッシュ篩を通過した活性炭を、100℃で2時間維持して、乾燥させ、得られた産物をデシケータ中で冷却させた。冷却後の活性炭 70g(157ml相当量)を、20mm(内径)×高さ1000mmのカラムに充填し、活性炭充填カラムを得た。2塔の前記活性炭充填カラムを直列に連結し、2塔直列下向流の通水方式の活性炭接触装置13(図3)を構築した。
【0059】
前記2)で得られた濃縮水を前記活性炭接触装置13に供するに先立ち、被処理水のpHを6〜9になるように調整した。pH調整後の被処理水を、前記活性炭接触装置13に供し、通水速度(LV):3m/時間、空間速度(SV):2m3/m3・時間の通水条件で処理した。
【0060】
4)キレート化処理
キレート樹脂〔ピュロライト・インターナショナル株式会社製、商品名:PUROLITE(登録商標) S−950〕を、20mm(内径)×高さ1000mmのカラムに充填し、キレート処理装置を得た。
【0061】
前記3)で得られた産物を、前記キレート処理装置に供し、空間速度(SV):12m3/m3・時間の通水条件で処理した。
【0062】
5)乾燥処理
前記4)で得られた産物を、磁皿に入れ、湯煎で5時間加熱し、水分を蒸発させ、さらに、105℃の恒温槽中で24時間乾燥させて、乾燥塩を得た。
【0063】
(2)比較例1
前記実施例1において、活性炭処理を行なわなかったことを除き、同様に操作を行ない、乾燥塩を得た。
【0064】
(3)乾燥塩の組成分析
前記実施例1で得られた乾燥塩 30gを、水 300mLに溶解させた。同様に、前記比較例1で得られた乾燥塩 30gを、水 300mLに溶解させた。得られた各溶液の水質を、前記と同様に調べた。その結果を表6に示す。
【0065】
【表6】

【0066】
(4)塩の評価
前記実施例1で得られた乾燥塩及び前記比較例1で得られた乾燥塩それぞれについて、3人のモニターによる観察により、着色の有無を評価した。その結果を表7に示す。
【0067】
【表7】

【0068】
その結果、活性炭処理を行なった場合、塩は実質的に着色しないことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明によれば、塩を含有した被処理水から、再利用に適した塩、例えば、実質的に着色していない塩(白色塩)の簡便かつかつコンパクトな設備で、効率のよい回収が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、塩の回収方法のフローの一例の概略説明図である。
【図2】図2は、逆浸透膜装置に用いられる逆浸透膜モジュールの一例の概略説明図である。
【図3】図3は、活性炭接触装置の一例の概略説明図である。
【図4】図4は、塩の回収装置の一例の概略説明図である。
【符号の説明】
【0071】
1 逆浸透膜処理ステップ
2 活性炭接触ステップ
3 乾燥ステップ
4 逆浸透膜モジュール
5 逆浸透膜モジュール本体
6 平膜
7 スペーサー
8 逆浸透膜部
9 被処理水流路
10 エンドプレート
11 透過水パイプ
12 濃縮水パイプ
13 活性炭接触装置
14 ポンプ
15 活性炭充填カラム
16 高圧ポンプ
17 逆浸透膜装置
18 濃縮水貯槽
19 回収装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩を含有した被処理水を、逆浸透膜装置に供して、濃縮水を得、ついで、該濃縮水と活性炭とを接触させることを特徴とする、塩の回収方法。
【請求項2】
逆浸透膜装置が、複数のスペーサーが配され、それぞれのスペーサー間に平膜状の逆浸透膜が介装された逆浸透膜装置である、請求項1記載の塩の回収方法。
【請求項3】
濃縮水と活性炭とを接触させて得られる活性炭処理物から水分を除去して、乾燥塩を得る、請求項1又は2記載の塩の回収方法。
【請求項4】
回収される塩が、実質的に白色の塩である、請求項1〜3いずれか1項に記載の塩の回収方法。
【請求項5】
逆浸透膜により塩を含有した被処理水中の塩を濃縮して、濃縮水を得る逆浸透膜装置と、
該逆浸透膜装置で得られた濃縮水を活性炭に接触させる活性炭接触装置と
を有することを特徴とする、塩を含有した被処理水からの塩の回収装置。
【請求項6】
逆浸透膜装置が、複数のスペーサーが配され、それぞれのスペーサー間に平膜状の逆浸透膜が介装された逆浸透膜装置である、請求項5記載の塩の回収装置。
【請求項7】
活性炭接触装置で得られる活性炭処理物から水分を除去して、乾燥塩を得るための水分除去装置をさらに有する、請求項5又は6記載の塩の回収装置。
【請求項8】
得られる塩が、実質的に白色の塩である、請求項5〜7いずれか1項に記載の塩の回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−209919(P2007−209919A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33641(P2006−33641)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】