説明

塩酸ベナゼプリルの結晶多形形態および非晶質形態

本発明は、塩酸ベナゼプリルの多形形態Bおよび非晶質形態に関する。本発明は、塩酸ベナゼプリルの多形形態Bおよび非晶質形態の製造方法、ならびに形態Aの新規な製造方法にも関する。更に本発明は、これらの結晶形態を含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩酸ベナゼプリルの新規な結晶形態、塩酸ベナゼプリルの非晶質形態、その製造方法、およびこれらの形態を含む医薬組成物に関する。
【0002】
本発明は、塩酸ベナゼプリルの新規な結晶形態に関する。塩酸ベナゼプリルは、化学名:3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩として知られている。ベナゼプリルは、以下の式:
【0003】
【化1】

【0004】
を有している。
【0005】
ベナゼプリルは、降圧剤として販売される経口活性ACE阻害薬である。鏡像的に純粋な塩酸ベナゼプリルの製造方法が、EP-A-072352およびUS-A-4575503、ならびにJ. Med. Chem. (1985), vol. 28, p1511-1516におけるJ. W. H. Watthey et al.による発表およびHelvetica Chimica Acta (1988), vol. 71, p337-342におけるS. K. Boyer et al.による発表に記載されている。
【0006】
上述の発表に記載された方法によって、本明細書で形態Aと呼ぶ1種の定義された結晶形態の塩酸ベナゼプリルの分離が行われる。しかし、医薬物質は、多形を示し得ることが知られている。多形は、一般に、2種以上の異なる結晶構造を有する物質の能力として定義されている。結晶化される場合、薬物が、溶媒分子を封入していてもよい。これらの溶媒和物または水和物は、擬似多形と呼ばれる。非晶質形態を対向させる(encountered)ことも可能である。異なる多形、擬似多形または非晶質形態は、融点、溶解度などの物理的性質が異なっている。これらは、溶解速度および生物学的利用度などの薬学的性質にかなりの影響を与えることができる。その生成物が、特定の保存条件なしに、長期間安定していることも、経済的に望まれる。それゆえ、薬物の多形を評価することが重要である。我々は意外にも、改善された安定性を備えた、本明細書で形態Bと呼ぶ、塩酸ベナゼプリルの新規な結晶形態を、その他に塩酸ベナゼプリルの非晶質形態をここに見出した。
【0007】
したがって本発明は、塩酸ベナゼプリルの多形の形態B、塩酸ベナゼプリルの非晶質形態、塩酸ベナゼプリルの形態Bおよび非晶質形態の製造方法、その外に形態Aの新規な製造方法に関する。
【0008】
本発明の一つの目的は、本明細書で形態Bと呼ばれる、13.2(vs)、10.7(s)、8.8(m)、6.4(m)、5.87(s)、5.75(m)、5.35(m)、5.26(m)、4.87(m)、4.66(s)、4.40(m)、3.86(m)、3.79(m)、3.66(m)、3.60(m)、3.57(m)、3.52(m)、3.45(m)、3.40(m)、3.36(m)、3.27(m)、3.18(m)、2.95(m)、2.72(m)、2.65(m)でのd値(Å)で表された特徴的ピークを伴う特徴的X線粉末回折パターンを示す、3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩の結晶多形である。これ以降、カッコ内の略語は、(vs)=非常に強い強度;(s)=強い強度;(m)=中等度の強度;(w)=弱い強度;および(vw)=非常に弱い強度、を意味する。
【0009】
実験の細部の小さな変化によって、X線粉末回折パターンの特徴的ピークのd値に小さな偏差が生じる可能性がある(形態BのX線粉末回折パターンである図2および3を参照)。
【0010】
X線粉末回折パターンの理論の考察は、H. P. Klug and L. E. Alexander, J. Wiley, New York (1974)による「X線回折手順」に見出すことができる。
【0011】
更に本発明は、塩酸ベナゼプリルの形態Bの製造方法に関する。
【0012】
一般に、塩酸(HCl)の水性溶液を、有機溶剤中のベナゼプリルの遊離塩基の溶液に添加することによって、形態Bを製造することができる。そのような有機溶剤の例は、ケトン、例えばアセトンもしくはメチルエチルケトン;アセテート、例えば酢酸エチルもしくは酢酸イソプロピル;ニトリル、例えばアセトニトリル;アルコール、例えばイソプロピルアルコール;またはエーテル、例えばメチル−tert−ブチルエーテルもしくはTHFである。有機溶剤として好ましいものは、C3〜C10ケトン、C3〜C10アセテート、C2〜C10ニトリル、C1〜C10アルコールまたはC2〜C10エーテル、特にC3〜C10ケトン、C3〜C10アセテートまたはC2〜C10エーテルである。非常に好ましいものは、酢酸エチルである。HClの水性溶液に対する有機溶剤の重量比は、好ましくは1:1〜500:1、特に1:1〜100:1である。非常に好ましいものは、5:1〜100:1の重量比である。例えば10〜60℃の温度で、方法が行われ得る。好ましくは、室温で、方法が行われる。所望なら、製造工程の際に、形態Bを用いてシーディングが行われ得る。形態Bを濾過によって分離し、空気乾燥または真空乾燥させることができる。
【0013】
有機溶剤中の、塩酸ベナゼプリルの形態Aまたは非晶質形態の懸濁液を撹拌することによって、形態Bが製造され得る。そのような有機溶剤の例は、ケトン、アセテート、ニトリル、アルコールまたはエーテルである。これらの有機溶剤では、上記の適用例が好ましい。非常に好ましいものは、tert−ブチルメチルエーテル、アセトン、テトラヒドロフランである。例えば10〜60℃の温度で、方法が行われ得る。形態Bを濾過によって分離し、空気乾燥または真空乾燥させることができる。有機溶剤は、少量の水を含有することが好ましい。水の量は、好ましくは懸濁液の約0.1〜15容量%、最も好ましくは約0.5〜10容量%、特に約1〜5容量%である。所望なら、製造工程の際に、形態Bを用いてシーディングが行われ得る。
【0014】
水中の、形態Aまたは非晶質形態の懸濁液を撹拌することによって、形態Bを製造することもできる。形態Bを濾過によって分離し、空気乾燥または真空乾燥させることができる。所望なら、製造工程の際に、形態Bを用いてシーディングが行われ得る。
【0015】
本発明の別の目的は、塩酸ベナゼプリルの非晶質形態、およびその製造方法である。
【0016】
塩酸ベナゼプリルの非晶質形態は、実質的に図4に示されたとおりの粉末X線回折パターンを特徴とする。
【0017】
一般に、有機溶剤中または水中の塩酸ベナゼプリルの溶液を蒸発させることによって、塩酸ベナゼプリルの非晶質形態を製造することができる。好ましくは上記有機溶剤の一つ、特にアセトンのようなC2〜C10ケトン中の塩酸ベナゼプリルの溶液を蒸発させることによる。別の好ましい実施形態によれば、水中の塩酸ベナゼプリルの溶液の蒸発が行われる。蒸発は、好ましくは室温の真空中で行われる。高温で蒸発を行うことも可能である。
【0018】
更に本発明は、塩酸ベナゼプリルの形態Aの製造方法に関する。
【0019】
1〜C10アルコール、N−メチルピロリドン(NMP)またはN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)のような有機溶剤中の塩酸ベナゼプリルの溶液(好ましくは塩酸ベナゼプリルの濃縮溶液)を、アルカンまたはアセテートのような非溶剤、特にC4〜C12アルカンまたはC1〜C4アセテート、特にヘキサンまたは酢酸エチル、と混合することによって、形態Aを製造することができる。好ましい有機溶剤は、メタノールのようなC1〜C4アルコール、好ましくはエタノールである。塩酸ベナゼプリルのアルコール性溶液を非溶剤、特にヘプタンまたは酢酸エチルに添加することが好ましい。所望なら、製造工程の際に、形態Aを用いたシーディングが行われ得る。形態Aは、好ましくは無水媒体中で製造される。
【0020】
本発明の別の目的は、結晶多形Bまたは非晶質形態の有効量、および薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物である。
【0021】
多形形態Bは、単一成分、または形態Aもしくは非晶質形態との混合物として用いられ得る。
【0022】
塩酸ベナゼプリルの新規な多形形態として、これらが、塩酸ベナゼプリルの総量に基づいて、新規形態を25〜100重量%、特に50〜100重量%含有することが好ましい。好ましくは、塩酸ベナゼプリルの新規な多形形態のそのような量は、75〜100重量%、特に90〜100重量%である。非常に好ましいものは、95〜100重量%の量である。
【0023】
本発明の組成物は、結晶多形Bまたは非晶質形態を含む粉末、顆粒、凝集物および他の固体組成物を含む。加えて、本発明によって意図される組成物は、希釈剤、例えば粉末セルロース、微結晶セルロース、マイクロファインセルロース(microfine cellulose)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチル、セルロース塩、ならびに他の置換および非置換セルロースのようなセルロース系材料;デンプン;プレゼラチン化デンプン(pregelatinized starch);炭酸カルシウムおよび二リン酸カルシウムのような無機希釈剤、および医薬品業界で公知の他の希釈剤を更に包含し得る。更に他の適切な希釈剤は、ワックス、糖、マンニトールおよびソルビトールのような糖アルコール、アクリレートポリマーおよびコポリマー、その外にペクチン、デキストリンおよびゼラチンを含む。
【0024】
本発明の意図内の更なる賦形剤としては、結合剤、例えばアラビアゴム、プレゼラチン化デンプン、アルギン酸ナトリウム、グルコース、ならびに湿式造粒、乾式造粒および直接圧縮打錠法で用いられる他の結合剤を含む。固体組成物中に存在してもよい賦形剤は、さらに、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどのような崩壊剤を含む。加えて賦形剤は、ステアリン酸マグネシウムおよびカルシウム、フマル酸ステアリルナトリウムのような打錠用滑沢剤;調味料;甘味料;防腐剤;薬学的に許容され得る染料、および二酸化ケイ素などの流動促進剤(glidants)を包含し得る。
【0025】
用量は、経口、頬側、経直腸、非経口(皮下、筋肉内および静脈内など)、吸入および眼内投与に適した用量を含む。いずれの与えられた例での最も適した経路は、処置される状態の性質および重症度に依存するが、本発明の最も好ましい経路は、経口である。用量は、簡便に投薬単位形態で存在してもよく、薬品の技術分野で周知の方法のいずれかによって調製されてもよい。
【0026】
投与剤型は、錠剤、粉末、カプセル、坐剤、サッシェ(sachets)、トローチおよびロゼンジ、その外に液体懸濁物およびエリキシルのような固体投与剤型を含む。説明によって限定する意図はないが、本発明は、塩酸ベナゼプリルの固体形態を識別する性質が失われる、塩酸ベナゼプリルの真の溶液に関係するものを意図されない。しかし、そのような溶液を製造するための新規な形態の使用は、本発明の意図内のものと見なされる。
【0027】
もちろんカプセル投与剤型は、ゼラチンまたは他の従来の封入材料で製造され得るカプセル内に固体組成物を含有する。錠剤および粉末は、コーティングされていてもよい。錠剤および粉末は、腸溶性コーティングでコーティングされていてもよい。腸溶性コーティングされた粉末形態は、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ポリビニルアルコール、カルボキシメチルエチルセルロース、スチレンとマレイン酸とのコポリマー、メタクリル酸とメタクリル酸メチルとのコポリマーなどの材料を含むコーティングを有していてもよく、所望ならそれらは、適切な可塑化剤および/または増量剤(extending agents)と一緒に用いられてもよい。コート錠は、錠剤の表面にコーティングを有していてもよく、または腸溶性コーティングを備えた粉末または顆粒を含む錠剤であってもよい。
【0028】
本発明の医薬組成物の好ましい投薬単位は、典型的には新規な塩酸ベナゼプリル形態、またはそれを互いに混合したものもしくは塩酸ベナゼプリルの別の形態と混合したものの0.5〜100mg含有する。より通常は、投薬単位の塩酸ベナゼプリル形態の合せさられる重量が、2.5mg〜80mg、例えば5、10、20または40mgである。
【0029】
以下の実施例は、本発明をより詳細に示すものである。温度は、摂氏温度で示されている。
【0030】
実施例1:多形形態Bの製造
塩酸ベナゼプリル形態A 100mgを、tert−ブチルメチルエーテル2mlと水0.1mlとの混合物中で懸濁させた。この懸濁液を20℃で14時間撹拌した。濾過によって、塩酸ベナゼプリル形態B 78mgを得て、30℃で真空乾燥させた。得られた形態Bを、X線粉末回折によって特徴づけた(図2参照)。
【0031】
実施例2:多形形態Bの製造
塩酸ベナゼプリル形態A 161mgを、アセトン3ml中に懸濁させ、20℃で20時間撹拌した。この懸濁液を濾過して、30℃で空気乾燥させた。X線粉末回折は、生成物が多形形態Bであることを示した(図3参照)。
【0032】
実施例3:多形形態Bの製造
塩酸ベナゼプリル形態A 160mgを、THF 2ml中に懸濁させた。この懸濁液を室温(ambient temperature)で5時間撹拌した。この懸濁液を濾過して、30℃で空気乾燥させた。X線粉末回折は、生成物が多形形態Bであることを示した。
【0033】
実施例4:多形形態Bの製造
遊離塩基のベナゼプリル86mgを、酢酸エチル3mlに溶解させた。その後、2モルのHCl水性溶液0.1mlを添加した。酢酸エチルを更に3ml添加して3時間撹拌した後、濾過によって生成物を得て、室温で空気乾燥させた。X線粉末回折は生成物が多形形態Bであることを示した。
【0034】
実施例5:多形形態Aの製造
参照例:遊離塩基のベナゼプリル2.4グラムを、ジエチルエーテル60mlに溶解させた。HClガスの穏やかな流れの下で、この溶液を20分間撹拌した。白色懸濁液を更に15分間撹拌し、その後、濾過した。白色の固体を40℃(35ミリバール)で真空乾燥させた。生成物(2.3グラム)を、X線粉末回折で特徴づけた(図1参照)。
【0035】
実施例6:多形形態Aの製造
塩酸ベナゼプリル111mgを、無水エタノール0.8mlに溶解させた。この溶液を20℃のヘプタン10mlに迅速に添加した。懸濁液を撹拌しながら、5℃に緩徐に冷却した。その後、白色沈殿を濾過し、真空乾燥させた。X線粉末回折は、生成物が多形形態Aであることを示した。
【0036】
実施例7:非晶質形態の製造
塩酸ベナゼプリル100mgを、水2mlに溶解させた。溶液を濾過して、得られた透明な溶液を真空(300ミリバール)中、50℃で蒸発乾固させた。得られた白色粉末を、DSC(Tg=76℃)およびX線粉末回折によって特徴づけた(図4参照)。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】形態Aの特徴的X線粉末回折パターンである。
【図2】形態Bの特徴的X線粉末回折パターンである。
【図3】形態Bの別の特徴的X線粉末回折パターンである。
【図4】非晶質形態の特徴的X線粉末回折パターンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
13.2(vs)、10.7(s)、8.8(m)、6.4(m)、5.87(s)、5.75(m)、5.35(m)、5.26(m)、4.87(m)、4.66(s)、4.40(m)、3.86(m)、3.79(m)、3.66(m)、3.60(m)、3.57(m)、3.52(m)、3.45(m)、3.40(m)、3.36(m)、3.27(m)、3.18(m)、2.95(m)、2.72(m)、2.65(m)(この場合、(vs)=非常に強い強度;(s)=強い強度;(m)=中等度の強度)でのd値(Å)で表された特徴的ピークを伴う特徴的X線粉末回折パターンを示す、3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩の結晶多形B。
【請求項2】
実質的に図2に描かれたとおりのX線粉末回折パターンを有する、3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩の結晶多形B。
【請求項3】
実質的に図3に描かれたとおりのX線粉末回折パターンを有する、3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩の結晶多形B。
【請求項4】
3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩の非晶質形態。
【請求項5】
実質的に図4に描かれたとおりのX線粉末回折パターンを有する、3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩の非晶質形態。
【請求項6】
塩酸の水性溶液が、有機溶剤中の3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩の遊離塩基の溶液に添加される、請求項1記載の結晶多形の製造方法。
【請求項7】
有機溶剤が、C3〜C10ケトン、C3〜C10アセテート、C2〜C10ニトリル、C1〜C10アルコールもしくはC2〜C10エーテル、またはそれらの混合物である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩の形態Aまたは非晶質形態の懸濁液が、有機溶剤中で撹拌される、請求項1記載の結晶多形の製造方法。
【請求項9】
有機溶剤が、C3〜C10ケトン、C3〜C10アセテート、C2〜C10ニトリル、C1〜C10アルコールもしくはC2〜C10エーテル、またはそれらの混合物である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
有機溶剤が、アセトン、1−ブタノール、2−ブタノール、酢酸ブチル、tert−ブチルメチルエーテル、クメン、ジメチルスルホキシド、エタノール、エチルエーテル、ギ酸エチル、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3−メチル−1−ブタノール、メチルエチルケトンから選択される、請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
有機溶剤が、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、イソプロピルアルコール、メチル−tert−ブチルエーテルおよびTHFから選択される、請求項8または9記載の方法。
【請求項12】
有機溶剤が、少量の水を含有する、請求項8〜11のいずれか記載の方法。
【請求項13】
水の量が、3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩の懸濁液の0.1〜15容量%である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
水の量が、3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩の懸濁液の0.5〜10容量%である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩の形態Aまたは非晶質形態の懸濁液が、水中で撹拌される、請求項1記載の結晶多形の製造方法。
【請求項16】
3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩が、濾過によって分離され、空気乾燥または真空乾燥される、請求項6〜15のいずれか記載の方法。
【請求項17】
シーディングが、請求項1記載の結晶多形の結晶を用いて行なわれる、請求項6〜16のいずれか記載の方法。
【請求項18】
有機溶剤中または水中の3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩の溶液が、蒸発乾固される、請求項4または5記載の非晶質形態の製造方法。
【請求項19】
有機溶剤が、C3〜C10ケトンである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
有機溶剤が、アセトンである、請求項18または19記載の方法。
【請求項21】
3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩の結晶多形形態Aの製造方法であって、有機溶媒中の3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩の濃縮溶液が、非溶剤と混合される製造方法。
【請求項22】
有機溶剤が、C1〜C10アルコール、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドンまたはN,N−ジメチルホルムアミドであり、非溶剤が、C4〜C12アルカンまたはC1〜C10アセテートである、請求項21記載の方法。
【請求項23】
1〜C4アルコール中の3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩の溶液が、ヘプタンと混合される、請求項21または22記載の方法。
【請求項24】
3−〔〔(1S)−1−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロピル〕アミノ〕−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンゾアゼピン−1−酢酸・一塩酸塩の形態Aの結晶を用いてシーディングが行なわれれる、請求項21〜23のいずれか記載の方法。
【請求項25】
請求項1〜3の1項記載の結晶多形形態、または請求項4もしくは5記載の非晶質形態、の有効量、および薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−500337(P2006−500337A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−525233(P2004−525233)
【出願日】平成15年7月17日(2003.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2003/007771
【国際公開番号】WO2004/013105
【国際公開日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】