説明

変位検出装置及び磁石装置

【課題】磁力の異なる複数の磁石の互換を可能として磁気変位を正確に検出する。
【解決手段】変位検出装置は、窓などの監視対象物に配置した磁石装置の磁力を磁気感知素子で検出して窓の開閉などの変位を検出する。マグネット14Bは、板形状をもつ第1磁石と同様の磁力を発生するが第1磁石と寸法の異なる第2磁石200と、第2磁石200が第1磁石と同様の磁力パターンとなるように第2磁石に配置されるヨーク202とで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓などの監視対象物の位置状態の変位を磁気検知素子を使用して検出する変位検出装置及び磁石装置に関する。

【背景技術】
【0002】
従来、窓などの状態変化を磁気変化により検出する変位検出装置としては、窓ガラスに配置したマグネットの磁力を磁気感知素子で検出し、検出磁力が低下したときに窓開閉と判断して警報させる窓開閉検出装置がある。
【0003】
また窓に設けたクレセント錠の開閉レバーに配置したマグネットの磁力を別の磁気感知素子で検出し、検出磁力が低下したときにクレセント錠の開放と判断して警報させるものもある。
【0004】
窓開閉検出装置に使用される磁気感知素子は主に磁力の強弱に応じて接点を機械的にオン、オフするリードスイッチを使用するタイプと、近年にあっては、ホール効果を利用して磁力を検出するホールセンサが使用するタイプがある。
【0005】
磁気感知素子を通過する磁力はマグネットからの距離の2乗に比例して減衰する関係にあることから、窓の開閉に対し充分な磁力レベルの変化が得られるように、小形でありながら強力な磁力を発生するマグネットを窓ガラスに配置している。
【0006】
このような窓開閉の検出に使用される小形で強力な磁力を発生するマグネットとして、例えばネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石が使用されている。ネオジム磁石はネオジム、鉄、ホウ素を主成分とする希土類磁石の1つであり、磁束密度が現存する磁石の中では最も高いが、機械的強度が低く、温度による磁力の変化も大きい。
【0007】
またサマリウムコバルト磁石は、ネオジム磁石に次ぐ磁力をもつサマリウムとコバルトで構成された希土類磁石であり、耐腐食性に優れ、温度による磁力変化も少ないが、機械的強度が低く、価格が高い。
【0008】
窓開閉検出装置に使用されるマグネットとしては主にサマリウムコバルト磁石を使用してきたが、希少資源であるサマリウムの高騰の影響を受け、価格の安価なネオジム磁石の使用も検討されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−281636号公報
【特許文献2】特開2001−14990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来の変位検出装置のマグネットとしてサマリウムコバルト磁石を使用していた場合に、これを同じ磁力を発生するネオジム磁石に置き換えて使用する場合、たとえ発生する磁力は同じであっても、板形状となるサマリウムコバルト磁石とネオジム磁石では縦横寸法が異なり、寸法の相違によりマグネットから発生する磁力パターンが異なったものとなり、磁気感知素子で対象物の変位に伴って検出するマグネットの距離に対する磁力レベルの変化が異なったものになる。
【0011】
このため単純にサマリウムコバルト磁石を同じ磁力を発生するネオジム磁石に置き換える場合には、変位検出装置を設計レベルに戻って再構築する必要があり、サマリウムコバルト磁石とネオジム磁石の互換が単純にできないという問題がある。
【0012】
本発明は、変位検出装置側の変更を必要とすることなく、磁力パターンの異なる複数の磁石の互換を可能とする変位検出装置及び磁石装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、監視対象物に配置した磁石装置の磁力を磁気感知素子で検出して監視対象物の変位を検出する変位検出装置に於いて、
磁石装置は、
所定寸法の板形状をもつ第1磁石と、第1磁石と磁性材料及び寸法が異なる第2磁石と、
第2磁石に、第1磁石と同様の磁力パターンとなるように配置される磁性材料で作られたヨーク部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
ここで、磁石装置の第1磁石はサマリウムコバルト磁石であり、第2磁石はネオジム磁石であり、更にヨーク部材はフェライトである。
【0015】
また、第2磁石にヨーク部材を配置した状態で外側を被覆して板形状に固定する樹脂コート層を備える。
【0016】
また、本発明は、対象物の変位による磁力の変化を磁気感知素子で検出する検出装置に使用される磁石装置に於いて、
所定の寸法となる板形状をもつ第1磁石と異なる磁性材料と寸法で作られた第2磁石と、
第2磁石に、第1磁石と同様の磁力パターンを発生するように配置される磁性材料で作られたヨーク部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
この磁石装置に於いて、第1磁石はサマリウムコバルト磁石であり、第2磁石はネオジム磁石であり、更にヨーク部材はフェライトである。
【0018】
また第2磁石にヨーク部材を配置した状態で外側を被覆して板形状に固定する樹脂コート層を備える。

【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第1磁石に対し、磁力の強い第2磁石は同じ磁力を発生する場合に寸法が小型の寸法になるが、その第2磁石にフェライトなどで作られたヨーク部材を配置することで、サイズの異なる第2磁石を使用しても第1磁石と略同等の磁力パターンを発生することができ、第1磁石の使用を前提とした窓開閉検出装置であっても、第2磁石を内蔵した磁石装置との互換を実現し、磁石装置としてのコストの低減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による窓開閉検出装置の設置状態を示した説明図
【図2】本発明による窓開閉検出装置の実施形態を示した組立分解図
【図3】図1の設置状態における磁気感知素子とマグネットの関係を示した説明図
【図4】本実施形態で使用するサマリウムコバルト磁石を備えた窓開閉検出マグネットを示した説明図
【図5】図4と互換使用可能な本実施形態で使用するネオジム磁石を備えた窓開閉検出マグネットを示した説明図
【図6】本実施形態による窓開閉検出装置の回路構成を示したブロック図
【図7】図6のプロセッサによる本実施形態の窓開閉検出処理を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明による変位検出装置として、窓の開閉を磁気レベルの変化で検出する窓開閉検出装置の設置状態を示した説明図である。図1において、本発明の窓開閉検出装置10は監視対象とする引き違い窓の窓サッシ12a,12bの縦枠に両面テープ又はビスなどにより固定される。
【0022】
窓開閉検出装置10の上側には、窓サッシ12a,12bを閉じた状態で、相対する位置に窓開閉検出マグネット14を両面テープで貼り付けており、窓開閉検出マグネット14からの磁力を内蔵した磁気検知素子としてホールセンサにより検出している。
【0023】
窓サッシ12a,12bを開くと、窓開閉検出マグネット14が窓開閉検出装置10から離れることで磁力が低下し、この磁力の低下をホールセンサで検出して窓開を示す検出信号を別途設置された監視盤に無線で送信して警報させる。
【0024】
また窓開閉検出装置10はその下端を窓サッシ12a,12bに設けているクレセント錠16に近接するように配置し、クレセント錠16の開閉レバー18に貼り付けたクレセント錠検出マグネット20の磁力を下端側に内蔵した別のホールセンサで検出している。
【0025】
クレセント錠16は開閉レバー18を図示の垂直方向に回した操作位置で窓サッシ12a,12bを施錠しており、このときクレセント錠検出マグネット20は窓開閉検出装置10に最も近接してホールセンサで検出する磁力が最大となり、施錠状態を検出している。
【0026】
開閉レバー18を下側に回してクレセント錠16を開錠すると、クレセント錠検出マグネット20が離れることで磁力が低下し、この磁力の低下をホールセンサで検出して解錠状態を示す検出信号を監視装置に無線送信して警報させる。
【0027】
図2は本発明による窓開閉検出装置の実施形態を示した組立分解図である。図2において、本実施形態の窓開閉検出装置10は装置本体22とカバー部材24で構成される。
【0028】
装置本体22は、ボディケース36内に回路基板38を組み立てている。
【0029】
回路基板38の上部側にはセンサ基板45が起立され、ここに窓開閉検出用ホールセンサ46を配置している。また回路基板38の下端にはクレセント錠検出用ホール素子48が設置されている。
【0030】
カバー部材24は装置本体22に対し着脱自在あり、正面中央に表示窓57を設け、装置本体22の表示部の表示状態が見えるようにしている。
【0031】
図3は図1の設置状態におけるホールセンサとマグネットの関係を示した説明図であり、図3(A)に平面を示し、図3(B)に横方向から見た状態を示している。
【0032】
図3(A)に示すように、本実施形態の窓開閉検出装置10は内側に位置する窓サッシ12aの縦枠に両面テープ又はビスにより取り付けられ、窓開閉検出装置10の右側面に相対して窓サッシ12bのガラス面に窓開閉検出マグネット14を両面テープで接着している。
【0033】
窓開閉検出装置10に内蔵した窓開閉検出用ホールセンサ46は、図3(B)に示すように、窓開閉検出マグネット14に有効検出面を相対するようにセンサ基板45に実装しており、窓サッシ12a,12bを閉じた図示の状態で、装置側面からの距離dは最小となり、窓開閉検出マグネット14は破線で示す磁力線の方向に応じて例えばプラス極性で最大となる磁力レベルの検出信号を出力している。
【0034】
窓閉における最小距離dは、窓サッシの構造や窓開閉検出装置10の取り付け状態により変化するが、本実施形態にあっては、規定範囲内の距離に配置されたときの磁力レベルに対し窓閉の判定結果が効率よく得られるように、アンプによる増幅率や判定閾値を設定している。
【0035】
この窓開閉を検出する窓判定閾値の設定は、製造工程の最終段階となる検査工程あるいは設置後の初期登録作業において、所定の距離に実際に組み合わせて使用する窓開閉検出マグネット14を配置した測定環境を使用した磁力レベルの登録処理を通じて行われ、この詳細は後の説明で明らかにする。
【0036】
なお、窓の構造によっては窓サッシ12bが内側となり、その縦枠に図3とは反対向きに窓開閉検出装置10が設置される場合もある。その場合は窓サッシ12aのガラス面に貼り付けた窓開閉検出マグネット14による磁力線は窓開閉検出用ホールセンサ46を左から右に通過して、図3(B)の場合とは逆方向となるため、窓開閉検出用ホールセンサ46からはマイナスとなる逆極性の磁力レベル検出信号が出力される。
【0037】
更に本実施形態にあっては、悪戯などにより窓開閉検出装置が動作しないように強力な磁石を近づける不正行為に対し、これを窓開と看做して判定する別の窓判定閾値が設定される。
【0038】
図4は本実施形態で使用するサマリウムコバルト磁石(第1磁石)を備えた窓開閉検出マグネット14Aを示した説明図であり、図4(A)に平面、図4(B)に縦断面、図4(C)に横断面を示す。
【0039】
図4において、窓開閉検出マグネット14Aは縦幅L、横幅W、厚さDの縦長の板形状であり、内部に板形状のサマリウムコバルト磁石100を備え、その外側全体を合成樹脂による樹脂コート層102で被覆し、強度の確保と防湿を行っている。
【0040】
このサマリウムコバルト磁石100を用いた窓開閉検出マグネット14Aは、図3に示したように、窓サッシのガラス面に両面テープで接着され、窓縦枠側に配置した窓開閉検出装置10に内蔵したホールセンサ46に磁力を作用させ、距離に応じて磁力レベルを検出させる。
【0041】
図5は図4のサマリウムコバルト磁石100を備えた窓開閉検出マグネット14Aと互換可能な本実施形態で使用するネオジム磁石(第2磁石)を備えた窓開閉検出マグネット14Bを示した説明図であり、図5(A)に平面、図5(B)に縦断面、図5(C)に横断面を示す。
【0042】
図5において、窓開閉検出マグネット14Bは図4のサマリウムコバルト磁石100とほぼ同じ磁力を発生するネオジム磁石200を使用しており、サマリウムコバルト磁石より強力な磁力を発生するため、縦幅寸法がL1と短くなっている。
【0043】
ネオジム磁石100の両側には磁性材料として例えばフェライトを使用したフェライトヨーク202が配置される。フェライトヨーク202は、ネオジム磁石200の不足する縦幅(L−L1)を補うもので、横幅W、厚さDは同じであり、縦幅は(L−L1)/2としている。
【0044】
このようにネオジム磁石200の両側にフェライトヨーク202を配置した状態で、外側全体を合成樹脂による樹脂コート層204で被覆して固定し、強度の確保と防湿を行っている。
【0045】
窓開閉検出マグネット14Bはネオジム磁石200の両側にフェライトヨーク202を配置して樹脂コート204で被覆して固定したことで、窓開閉検出マグネット14Aと略同じ磁力パターンを発生することができる。
【0046】
そのため、図3の設置状態において、窓開閉検出マグネット14として図4の窓開閉検出マグネット14Aを使用しても、窓開閉検出装置10側の変更を伴うことなく、図5の窓開閉検出マグネット14Bを使用した場合と同等の磁力を窓開閉検出装置10に内蔵したホールセンサ46に作用させ、距離に応じて変化する磁力レベルから窓開閉を検出することができ、互換性が確保される。
【0047】
なお、図4及び図5において、樹脂コート102,204の厚さは僅かであることから、寸法的には無視しても差し支えない。
【0048】
図6は本実施形態による窓開閉検出装置の回路構成を示したブロック図である。図6において、制御部として設けられたプロセッサ60はワンチップマイコンとして知られたコンピュータであり、1チップにCPU、ROM,RAM、AD変換ポート、各種の入出力ポートなどを備えており、本実施形態ではEEPROMなどの不揮発メモリ78を外付けしている。
【0049】
窓開閉検出用ホールセンサ46で検出した窓ガラスに設けた窓開閉検出マグネット14による磁力レベル検出信号は、増幅回路62で増幅された後にAD変換ポート80に与えられ、デジタル変換した磁力レベル(AD変換値)をプロセッサ60に取り込む。
【0050】
また、施錠検出用ホールセンサ48で検出したクレセント錠16の開閉レバー18に設けたクレセント錠検出マグネット20による磁力レベル検出信号も増幅回路64で増幅された後にAD変換ポート82に与えられ、デジタル変換した磁力レベル(AD変換値)をプロセッサ60に取り込む。
【0051】
プロセッサ60に対しては、表示部66、登録スイッチ70及び無線送信部76が設けられている。
【0052】
表示部66は窓開や解錠などの監視状態を表示する。
【0053】
登録スイッチ70は本実施形態の使用開始時に行う施錠登録モードの設定に使用される。
【0054】
無線送信部76には送信回路が設けられ、監視状態を監視盤に対して無線通信を行う。
【0055】
不揮発メモリ78には装置の窓開閉検出用ホールセンサ46から取得した磁力レベルVs1に基づいて求めた窓開閉検出の窓判定閾値TH1が記憶されている。
【0056】
また不揮発メモリ78には、窓開閉検出装置10を窓に設置した状態で行われるクレセント錠登録処理で施錠検出用ホールセンサ48から取得した磁力レベルVs2に基づいて求めた錠開閉検出の錠判定閾値TH2が記憶されている。
【0057】
プロセッサ60にはCPUによるプログラムの実行により実現される機能として、登録処理部84、窓開閉監視部86、施錠監視部88及び通信制御部90が設けられている。
【0058】
登録処理部84は、所定距離dを離して配置した窓開閉検出マグネット14による磁力レベルVs1を検出して不揮発メモリ78に初期登録し、初期登録した磁力レベルVs1に対し所定の比率だけ低いレベルを窓開閉の窓判定閾値TH1として不揮発メモリ68に登録する。
【0059】
また、登録処理部84は、図1のように、窓開閉検出装置10、窓開閉検出マグネット14及びクレセント錠検出マグネット20の取り付け配置が完了した後、クレセント錠16の開閉レバー18を解錠位置に操作した状態とし、この状態で図2に示したように装置本体22の登録スイッチ70を操作すると、所定期間の登録モードが設定され、登録処理が実行される。
【0060】
登録モードが開始されるとクレセント錠16の開閉レバー18を施錠位置に操作してクレセント錠検出マグネット20を近づけた状態とする。
【0061】
登録処理部84は登録モードの動作中は、所定周期で施錠検出用ホールセンサ48で検出した磁力レベルを取得し、予め設定した所定の有効レベルと比較し、有効レベルである場合には、不揮発メモリ78に磁力レベルVs2として記憶する。
【0062】
不揮発メモリ78に磁力レベルVs2が有効に初期登録されると、登録処理部84は、初期登録した磁力レベルに対し所定比率低い値を算出し、クレセント錠の施錠解錠を判断する錠判定閾値TH2として不揮発メモリ78に登録し、施錠監視部78によるクレセント錠の施錠監視を開始させる。
【0063】
窓開閉監視部86は窓開閉検出用ホールセンサ46から得られた磁力レベルを不揮発メモリ68から読み出した窓判定閾値TH1と比較し、窓の開又は閉を判定し、判定結果を示す電文を無線送信部66から監視盤に送信して警報又は警報解除を行わせる。
【0064】
施錠監視部88は施錠検出用ホールセンサ48から得られた磁力レベルを不揮発メモリ78から読み出した錠判定閾値TH2と比較し、錠判定閾値TH2以下となった場合にクレセント錠の開と判断して錠開を示す電文を無線送信部76から監視装置に送信して警報させる。また、施錠監視部88は、錠開を検出した後に、錠閉に戻った場合にも、その旨の電文を監視装置に無線送信する。
【0065】
通信制御部90は窓開閉監視部86及び施錠監視部88の判断に基づく電文の送信に加え、一定時間間隔ごとに定期通報の電文を送信させる。
【0066】
図7は図6のプロセッサ60による本実施形態の監視処理を示したフローチャートである。
【0067】
図7において、図1に示したような現場設置が済んだ状態で電源が投入されると、ステップS1で初期化処理と自己診断処理が実行され、異常が無ければステップS2に進み、不揮発メモリ78に記憶されている窓開閉監視の窓判定閾値TH1を含むデータを読み込む。
【0068】
続いてステップS3に進み、施錠監視登録モードか否か判定し、登録スイッチ70をオン操作することによって施錠監視登録モードの設定が判別されると、ステップS4に進んで施錠検出用ホールセンサ48による磁力レベルVs2の初期登録と、クレセント錠16の施錠と解錠を検出するための錠判定閾値TH2の登録を含む施錠監視登録処理を実行する。
【0069】
続いてステップS5で所定の監視周期への到達の有無を判定しており、監視周期への到達を判定するとステップS6に進んで電池44に対するローバッテリ監視処理を実行する。このとき電池電圧が規定電圧以下に低下していると、ローバッテリを示す電文を監視装置に無線送信して障害表示を行わせる。
【0070】
次にステップS7で窓開閉監視処理を実行し、窓開又は窓閉を判定すると、その内容を示す電文を監視装置に送信する。更にステップS18で施錠監視処理を実行し、錠開又はその後の錠閉を判定すると、その内容を示す電文を監視装置に送信する。続いてステップS9で定期通報時間経過かを判別し、経過を判別した場合にはステップS10に進み、定期通報電文を監視装置に送信する定期通報処理を行う。
【0071】
なお、上記の実施形態は第1磁石をサマリウムコバルト磁石とし、これと互換する第2磁石としてネオジム磁石を例にとるものであったが、第1磁石に比べ磁力の強い形状が小さくできる第2磁石に互換性を持たせる場合であれば、適宜の磁性材料を使用した2種の磁石につき、本発明をそのまま適用することができる。
【0072】
また上記の実施形態にあっては、ネオジム磁石の両側にフェライトヨークを配置して縦幅を補っているが、フェライト以外の磁性材料で作られたヨークを配置しても良い。また2枚のフェライトを使用して第2磁石の両側に配置し樹脂コートして一枚の板状を形成しているが、これに限らず、第2磁石の表面に一枚板のヨーク部材を貼り付けて第1磁石と同様の磁力パターンを形成するようにしても良い。
【0073】
また第1磁石と磁力パターンにするためのヨーク部材に第2磁石を着脱できる係止部を備えて容易に組立てできるようにしても良い。ヨーク部材を取り付けた第2磁石の磁力パターンが第1磁石の磁力パターンが同じになればよく、必ずしも第1磁石と寸法が同じに調整する必要はない。
【0074】
磁気感知素子はホールセンサに限らず、リードスイッチであっても良い。
【0075】
また、上記の実施形態は、窓開閉検出に使用するマグネットを例にとるものであったが、対象物にマグネットを装着した状態でのマグネットの変位による磁力レベルを磁気感知素子で検出する装置であれば、適宜の装置に本発明を適用することができる。
【0076】
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。

【符号の説明】
【0077】
10:窓開閉検出装置
12a,12b:窓サッシ
14,14A,14B:窓開閉検出マグネット
16:クレセント錠
20:クレセント錠検出マグネット
22:装置本体
24:カバー部材
36:ボディケース
38:回路基板
45:センサ基板
46:窓開閉検出用ホールセンサ
48:施錠検出用ホールセンサ
100:サマリウムコバルト磁石
102,204:樹脂コート層
200:ネオジム磁石
202:フェライトヨーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象物に配置した磁石装置の磁力を磁気感知素子で検出して前記監視対象物の変位を検出する変位検出装置に於いて、
前記磁石装置は、
所定寸法の板形状をもつ第1磁石と、前記第1磁石と磁性材料及び寸法が異なる第2磁石と、
前記第2磁石に、前記第1磁石と同様の磁力パターンとなるように配置される磁性材料で作られたヨーク部材と、
を備えたことを特徴とする変位検出装置。

【請求項2】
請求項1記載の変位検出装置に於いて、前記磁石装置の前記第1磁石はサマリウムコバルト磁石であり、前記第2磁石はネオジム磁石であり、更に前記ヨーク部材はフェライトであることを特徴とする変位検出装置。

【請求項3】
請求項1記載の変位検出装置に於いて、前記第2磁石に前記ヨーク部材を配置した状態で外側を被覆して板形状に固定する樹脂コート層を備えたことを特徴とする変位検出装置。
【請求項4】
監視対象物の変位による磁力の変化を磁気感知素子で検出する検出装置に使用される磁石装置に於いて、
所定寸法の形状をもつ第1磁石と異なる磁性材料と寸法を有する第2磁石と、
前記第2磁石に、前記第1磁石と同様の磁力パターンを発生するように配置される磁性材料で作られたヨーク部材と、
を備えたことを特徴とする磁石装置。

【請求項5】
請求項4記載の磁石装置に於いて、前記第1磁石はサマリウムコバルト磁石であり、前記第2磁石はネオジム磁石であり、更に前記ヨーク部材はフェライトであることを特徴とする磁石装置。

【請求項6】
請求項4記載の磁石装置に於いて、前記第2磁石に前記ヨーク部材を配置した状態で外側を被覆して板形状に固定する樹脂コート層を備えたことを特徴とする磁石装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−250574(P2010−250574A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99636(P2009−99636)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【出願人】(591273269)株式会社サーキットデザイン (29)
【Fターム(参考)】