変異ネトリン4、そのフラグメント及び薬剤としてのその使用
本発明は、以下の配列の1つ:
配列番号2若しくは配列番号4の配列、又は
配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つにより表される、前記配列のフラグメント、又は
配列番号185〜配列番号209の配列
を含むか、又はそれからなるタンパク質に関する。本発明は、また、該タンパク質をコードするヌクレオチド配列にも関する。
配列番号2若しくは配列番号4の配列、又は
配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つにより表される、前記配列のフラグメント、又は
配列番号185〜配列番号209の配列
を含むか、又はそれからなるタンパク質に関する。本発明は、また、該タンパク質をコードするヌクレオチド配列にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変異ネトリン(netrin) 4、及びそのフラグメントに関する。本発明は、また、該変異ネトリン4及びそのフラグメントの薬剤、特に血管新生抑制薬としての使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
ネトリン4は、軸索誘導分子であるネトリンファミリーに属する。今日までに、このファミリーの4つのメンバーが知られている(ネトリン1、ネトリンG、ネトリン3及びネトリン4)。ネトリン4は、ヘパリン、3 EGF-ドメイン及びラミニンドメインと相互作用する塩基性C-末端ドメインからなるタンパク質である(Yurchenco PD, Wadsworth WG (2004) 初期胚性ラミニン及びネトリンの組み立て及び組織機能(Assembly and tissue functions of early embryonic laminins and netrins.) Curr Opin Cell Biol. 16(5):572〜9)。
【0003】
2003年11月6日に公開された米国特許出願第2003/0207347A1号は、天然のネトリン4及びその使用について記載している。より具体的には、この出願は、血管新生を調節するための特性を示すネトリン4由来ポリペプチド、及び血管の発達、特に血管新生の調節プロセスにおける、より具体的には、特に腫瘍における血管新生の阻害におけるネトリン4の使用について記載している。
【0004】
国際特許出願第WO 2006/054000号は、腫瘍性又は非腫瘍性の病変の予防又は治療のための薬剤の製造のための変異ネトリン4の使用について記載し、該変異ネトリン4は、血管新生抑制活性を有する。
しかし、この文献に開示される配列のうち、いくつかの不適切な変異ネトリン4配列は、配列決定のエラーを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、新しい血管新生抑制薬を提供することである。
本発明の別の目的は、血管新生に関わる治療、特に通常の抗腫瘍治療の効率、又は腫瘍以外の病変において用いられる血管新生抑制治療の効率を増大することを可能にする組み合わせ治療を提供することである。
今日まで、加齢に関する黄斑変性又は新血管新生を伴うその他の目の疾患の治療に用いられるような通常の薬剤と相互作用し得る治療剤は知られていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の配列の1つを含むか、またはそれからなるタンパク質に関する:
配列番号2若しくは配列番号4の配列;又は
配列番号2q (qは、3〜36まで変動する)の配列の1つにより表される上記の配列のフラグメント;又は
配列番号185〜配列番号209からなる群より選択される配列の1つ。
【0007】
上記の配列番号2のタンパク質は、変異ネトリン4に相当する新しいタンパク質であり、上記の配列番号4のタンパク質は、シグナルペプチドを有さない配列番号2のタンパク質に関する。
配列番号2の配列は、628アミノ酸残基を含み、配列番号4の配列は、609アミノ酸を含み、残基20から残基628までの配列番号2のフラグメントである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1Aは、大動脈からの平滑筋細胞の増殖試験に対応する。図1Bは、大動脈からの平滑筋細胞の遊走試験に対応する。
【図2】PC3細胞の上清の影響を決定するためのHUAEC細胞の増殖試験に対応する。
【図3】図3Aは、腫瘍の進行の分析に対応する。図3Bは、CD 31陽性細胞(内皮細胞)に対するKi67陽性細胞(増殖性細胞)の比率を示す。図3Cは、CD 31陽性細胞(内皮細胞)に対するデスミン陽性細胞(周細胞)の比率を示す。
【図4】変異NET-4mの完全配列を有するベクターでトランスフェクションされていない(nt)(図4A)か又はトランスフェクションされた(トランスフェクションされたクローンFS3)(図4B)結腸癌LS 174細胞の、AVASTIN (登録商標)の存在下での腫瘍の進行の分析を示す。
【図5】中央の灰色のレーザ衝撃の周囲の脈絡膜新血管を可視化するための蛍光デキストランの潅流に対応する。
【図6】変異ネトリン4の欠失変異体の存在下での大動脈からの平滑筋細胞の遊走試験を示す。
【図7】本発明の変異ネトリン4 (N4m)についてのマトリゲルアッセイの結果を示す。
【図8】インビトロ血管新生アッセイの結果を示す。
【図9】図9Aは、癌腫症スコアの1日平均増加を示す。図9Bは、FS 3及びLS 174腫瘍についてのmlでの腹水の用量を表す。図9Cは、FS3及びLS174を注射されたマウスにおける腹膜の腔内表面を表す。
【図10】トランスフェクションされたか又はされていないPC3細胞の腫瘍進行の分析を示す。
【図11】レーザ衝撃の周囲の脈絡膜新血管を可視化するための蛍光デキストランの潅流に対応する。
【図12】腫瘍の進行の分析に対応する。
【図13】SMCの増殖に対するネトリン4変異体の影響の分析に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
配列番号2の配列で表される変異ネトリン4は、以下の15個の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 13位のシステインのアルギニンへの置換、
- 68位のリジンのスレオニンへの置換、
- 183位のセリンのプロリンへの置換、
- 205位のヒスチジンのチロシンへの置換、
- 234位のシステインのチロシンへの置換、
- 331位のアラニンのスレオニンへの置換、
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、
- 472位のシステインのチロシンへの置換、
- 515位のアスパラギンのリジンへの置換、
- 589位のバリンのアラニンへの置換、
- 625位のアルギニンのグルタミン酸への置換、
- 626位のグルタミン酸のセリンへの置換、
- 627位のシステインのアラニンへの置換、
- 628位のリジンのセリンへの置換。
【0010】
配列番号6〜配列番号72のタンパク質配列に相当する上記のフラグメントは、上記の変異ネトリン4の新しいフラグメントである。
上記の配列番号2qの配列は、配列番号6〜72のタンパク質配列に相当し、つまり、以下のタンパク質配列である:配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70及び配列番号72。
【0011】
配列番号6の配列は、ヒト変異ネトリン4のEGF-フラグメントであり、該フラグメントは、配列番号5のヌクレオチド配列によりコードされる。このフラグメントは、255アミノ酸を含み、配列番号2の配列の残基261〜残基515までの変異ネトリン4のフラグメントに相当する。
配列番号8の配列は、配列番号7のヌクレオチド配列によりコードされる変異ネトリン4のフラグメントである。このフラグメントは、515アミノ酸を含み、配列番号2の配列の残基1〜残基515までの変異ネトリン4のフラグメントに相当する。
【0012】
配列番号10〜配列番号72のタンパク質配列に相当する変異ネトリン4のフラグメント、及び対応する配列番号9〜配列番号71のヌクレオチド配列を、以下の表に示す。
【表1】
【0013】
上記の配列番号185〜配列番号209のタンパク質は、変異ネトリン4に相当する新しいタンパク質である。
配列番号185の配列で表される変異ネトリン4は、以下の14個の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 68位のリジンのスレオニンへの置換、
- 183位のセリンのプロリンへの置換、
- 205位のヒスチジンのチロシンへの置換、
- 234位のシステインのチロシンへの置換、
- 331位のアラニンのスレオニンへの置換、
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、
- 472位のシステインのチロシンへの置換、
- 515位のアスパラギンのリジンへの置換、
- 589位のバリンのアラニンへの置換、
- 625位のアルギニンのグルタミン酸への置換、
- 626位のグルタミン酸のセリンへの置換、
- 627位のシステインのアラニンへの置換、及び
- 628位のリジンのセリンへの置換。
【0014】
配列番号186の配列で表される変異ネトリン4は、以下の13個の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 68位のリジンのスレオニンへの置換、
- 183位のセリンのプロリンへの置換、
- 205位のヒスチジンのチロシンへの置換、
- 234位のシステインのチロシンへの置換、
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、
- 472位のシステインのチロシンへの置換、
- 515位のアスパラギンのリジンへの置換、
- 589位のバリンのアラニンへの置換、
- 625位のアルギニンのグルタミン酸への置換、
- 626位のグルタミン酸のセリンへの置換、
- 627位のシステインのアラニンへの置換、及び
- 628位のリジンのセリンへの置換。
【0015】
配列番号187の配列で表される変異ネトリン4は、以下の13個の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 68位のリジンのスレオニンへの置換、
- 183位のセリンのプロリンへの置換、
- 205位のヒスチジンのチロシンへの置換、
- 234位のシステインのチロシンへの置換、
- 331位のアラニンのスレオニンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、
- 472位のシステインのチロシンへの置換、
- 515位のアスパラギンのリジンへの置換、
- 589位のバリンのアラニンへの置換、
- 625位のアルギニンのグルタミン酸への置換、
- 626位のグルタミン酸のセリンへの置換、
- 627位のシステインのアラニンへの置換、及び
- 628位のリジンのセリンへの置換。
【0016】
配列番号188の配列で表される変異ネトリン4は、以下の12個の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 68位のリジンのスレオニンへの置換、
- 183位のセリンのプロリンへの置換、
- 205位のヒスチジンのチロシンへの置換、
- 234位のシステインのチロシンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、
- 472位のシステインのチロシンへの置換、
- 515位のアスパラギンのリジンへの置換、
- 589位のバリンのアラニンへの置換、
- 625位のアルギニンのグルタミン酸への置換、
- 626位のグルタミン酸のセリンへの置換、
- 627位のシステインのアラニンへの置換、及び
- 628位のリジンのセリンへの置換。
【0017】
配列番号189の配列で表される変異ネトリン4は、以下の14個の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 68位のリジンのスレオニンへの置換、
- 183位のセリンのプロリンへの置換、
- 205位のヒスチジンのチロシンへの置換、
- 234位のシステインのチロシンへの置換、
- 331位のアラニンのスレオニンへの置換、
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、
- 515位のアスパラギンのリジンへの置換、
- 589位のバリンのアラニンへの置換、
- 625位のアルギニンのグルタミン酸への置換、
- 626位のグルタミン酸のセリンへの置換、
- 627位のシステインのアラニンへの置換、及び
- 628位のリジンのセリンへの置換。
【0018】
配列番号190の配列で表される変異ネトリン4は、以下の14個の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 68位のリジンのスレオニンへの置換、
- 183位のセリンのプロリンへの置換、
- 205位のヒスチジンのチロシンへの置換、
- 234位のシステインのチロシンへの置換、
- 331位のアラニンのスレオニンへの置換、
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、
- 472位のシステインのチロシンへの置換、
- 515位のアスパラギンのリジンへの置換、
- 625位のアルギニンのグルタミン酸への置換、
- 626位のグルタミン酸のセリンへの置換、
- 627位のシステインのアラニンへの置換、及び
- 628位のリジンのセリンへの置換。
【0019】
配列番号191の配列で表される変異ネトリン4は、以下の14個の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 68位のリジンのスレオニンへの置換、
- 183位のセリンのプロリンへの置換、
- 205位のヒスチジンのチロシンへの置換、
- 234位のシステインのチロシンへの置換、
- 331位のアラニンのスレオニンへの置換、
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、
- 472位のシステインのチロシンへの置換、及び
- 515位のアスパラギンのリジンへの置換。
【0020】
配列番号2及び配列番号185〜配列番号191のタンパク質配列に相当する変異ネトリン4、並びに配列番号178のタンパク質配列に相当する天然ネトリン4、並びに対応する変異を、以下の表に示す。
【0021】
【表2】
【0022】
配列番号185〜配列番号191のタンパク質配列に相当する上記のタンパク質は、ネトリン4の置換変異体(sNET-4m) 1〜7に相当する(実施例の項を参照)。
【0023】
配列番号192の配列で表される変異ネトリン4は、以下の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 472位のシステインのチロシンへの置換。
配列番号193の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸516〜618が欠失された配列番号192で表される変異ネトリン4に相当し、配列番号204の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸478〜618が欠失された配列番号192で表される変異ネトリン4に相当する。
【0024】
配列番号194の配列で表される変異ネトリン4は、以下の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換。
配列番号195の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸516〜618が欠失された配列番号194で表される変異ネトリン4に相当し、配列番号205の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸478〜618が欠失された配列番号194で表される変異ネトリン4に相当する。
【0025】
配列番号196の配列で表される変異ネトリン4は、以下の2つの変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、及び
- 472位のシステインのチロシンへの置換。
配列番号197の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸516〜618が欠失された配列番号196で表される変異ネトリン4に相当し、配列番号206の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸478〜618が欠失された配列番号196で表される変異ネトリン4に相当する。
【0026】
配列番号198の配列で表される変異ネトリン4は、以下の2つの変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、及び
- 472位のシステインのチロシンへの置換。
配列番号199の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸516〜618が欠失された配列番号198で表される変異ネトリン4に相当し、配列番号207の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸478〜618が欠失された配列番号198で表される変異ネトリン4に相当する。
【0027】
配列番号200の配列で表される変異ネトリン4は、以下の3つの変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、及び
- 472位のシステインのチロシンへの置換。
配列番号201の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸516〜618が欠失された配列番号200で表される変異ネトリン4に相当し、配列番号208の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸478〜618が欠失された配列番号200で表される変異ネトリン4に相当する。
【0028】
配列番号202の配列で表される変異ネトリン4は、以下の2つの変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、及び
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換。
配列番号203の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸516〜618が欠失された配列番号198で表される変異ネトリン4に相当し、配列番号209の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸478〜618が欠失された配列番号202で表される変異ネトリン4に相当する。
【0029】
配列番号192〜配列番号203のタンパク質配列に相当する変異ネトリン4、並びに対応する変異を、以下の表に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
本発明の変異ネトリン4及び本発明のフラグメントは、血管新生の阻害活性を有する。
血管新生の阻害活性は、血管新生抑制活性ともよばれる。この活性は、例えば、内皮細胞の増殖、遊走及び分化の、上記の本発明の変異タンパク質又はフラグメントによる阻害を示すことにより、インビトロで検出できる。内皮細胞増殖の阻害の測定は、内皮細胞を、その活性が試験されるタンパク質又はフラグメントの存在下で培養することによっても行うことができる。内皮細胞の遊走の阻害の測定は、内皮細胞のカーペット上の「創傷(wound)」を行い、試験されるフラグメントの存在下で細胞をインキュベートすることによっても試験できる。創傷上に遊走した細胞数を、次いで、測定する。内皮細胞の発芽(管形成)の阻害の測定は、試験されるフラグメントの存在下で、ゲル上で培養された内皮細胞により形成される管の長さを測定することにより行うことができる。
【0032】
血管新生の測定のための伝統的なモデルのうち、以下のものを挙げることができる(局所投与によるモデル):
- 本発明の化合物を含浸させたMatrigel (Becton Dickinson)の皮下注射(Inoki I, Shiomi T, Hashimoto G, Enomoto H, Nakamura H, Makino K, Ikeda E, Takata S, Kobayashi K, Okada Y (2002) Connective tissue growth factor binds vascular endothelial growth factor (VEGF) and inhibits VEGF-induced angiogenesis. FASEB J. 16(2):219〜21)、又は
- 本発明の化合物を含有するインプラントの、鶏漿尿膜への適用(Plouet J., Schilling J., Gospodarowicz D., EMBO J. 1989 Dec 1;8(12):3801〜6)。
【0033】
或いは、本発明のフラグメントは、実験的な血管新生に関する疾患が創出された動物に、全身経路(静脈内、腹膜内及び皮下経路)により注入できる。本発明のフラグメントは、腫瘍に直接注入することもできる。或いは、本発明のフラグメント又は抗イディオタイプ抗体(以下に記載する)は、本発明のフラグメント又は抗イディオタイプ抗体の発現を可能にする任意の方法により、局所的又は全身経路による遺伝子治療法によって投与できる。或いは、本発明のフラグメント又は抗イディオタイプ抗体は、癌細胞にトランスフェクションされるプラスミドに挿入できる。これらの全ての測定方法は、特に、Jain RK, Schlenger K, Hockel M, Yuan F (1997) Quantitative angiogenesis assays: progress and problems. Nat Med. 3(11):1203〜8の文献に記載されている。
【0034】
抗腫瘍活性とは、腫瘍の成長阻害及び/又は退縮の誘導、並びに腫瘍の消滅さえも可能にする活性のことをいう。例えば、この活性は、腫瘍細胞の注入によりマウスでその出現が誘導された腫瘍量を、本発明のペプチド配列及び/又は本発明のペプチド配列を発現する核酸の投与の存在下及び不在下で測定することによりインビボで検出できる。
【0035】
本発明の変異タンパク質及び本発明のフラグメントは、周細胞活性化活性を有することも特徴とする。
周細胞を活性化するこの活性は、特に、本明細書において以下に、そして特に実験部分に記載される増殖及び遊走試験により確認される。
本発明は、特に、ネトリンが、周細胞及び平滑筋細胞(SMC)のUNC5H4受容体に結合するという事実に基づく。
【0036】
本発明は、上記のタンパク質をコードするヌクレオチド配列、すなわち、変異ネトリン4をコードするヌクレオチド配列にも関する。
本発明の好ましいヌクレオチド配列は:
- 配列番号2をコードする配列番号1のヌクレオチド配列、若しくは配列番号4をコードする配列番号3のヌクレオチド配列、又は
- 配列番号2q-1 (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表されるこれらのヌクレオチド配列の1つのフラグメント
を含むか、又はこれからなることを特徴とするヌクレオチド配列である。
【0037】
上記の配列番号2q-1の配列は、配列番号2qで表される変異ネトリン4の上記のフラグメントをコードし、これらは、以下のヌクレオチド配列:配列番号6をコードする配列番号5、配列番号8をコードする配列番号7、配列番号10をコードする配列番号9、配列番号12をコードする配列番号11、配列番号14をコードする配列番号13、配列番号16をコードする配列番号15、配列番号18をコードする配列番号17、配列番号20をコードする配列番号19、配列番号22をコードする配列番号21、配列番号24をコードする配列番号23、配列番号26をコードする配列番号25、配列番号28をコードする配列番号27、配列番号30をコードする配列番号29、配列番号32をコードする配列番号31、配列番号34をコードする配列番号33、配列番号36をコードする配列番号35、配列番号38をコードする配列番号37、配列番号40をコードする配列番号39、配列番号42をコードする配列番号41、配列番号44をコードする配列番号43、配列番号46をコードする配列番号45、配列番号48をコードする配列番号47、配列番号50をコードする配列番号49、配列番号52をコードする配列番号51、配列番号54をコードする配列番号53、配列番号56をコードする配列番号55、配列番号58をコードする配列番号57、配列番号60をコードする配列番号59、配列番号62をコードする配列番号61、配列番号64をコードする配列番号63、配列番号66をコードする配列番号65、配列番号68をコードする配列番号67、配列番号70をコードする配列番号69、及び配列番号72をコードする配列番号71に相当する。
【0038】
本発明は、上記で定義されるヌクレオチド配列を含むプラスミド、コスミド、ファージ又はウイルスDNAのような組換えベクターであって、特に、該ベクターに挿入された上記のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドの宿主細胞での発現に必要な要素を含有することを特徴とするベクターに関する。
本発明は、特に細菌、ウイルス、酵母、真菌細胞、植物細胞又は哺乳動物細胞から選択される宿主細胞であって、特に上記で定義される組換えベクターを用いて形質転換された宿主細胞に関する。
【0039】
本発明は、上記のような本発明のタンパク質に特異的に指向されたことを特徴とする抗体にも関する。
本発明は、上記のような抗体の抗イディオタイプ抗体にも関する。
本発明は、上記の抗イディオタイプ抗体のFabフラグメントにも関する。
【0040】
本発明は、活性成分として:
- 上記で定義されるタンパク質、又は
- 上記で定義されるヌクレオチド配列、又は
- 上記で定義される抗体、又は
- 上記で定義される抗イディオタイプ抗体、又は
- 上記で定義される抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
を含む医薬組成物にも関する。
【0041】
本発明は、配列番号2又は配列番号4の配列で表される上記で定義される変異ネトリン4の、約0.1〜約2,000μg/kgの量で、特に静脈内、皮下、全身若しくは硝子体内の経路により、又は浸潤若しくは洗眼剤を用いる、及びおそらく電気透過(electropermeation)を伴う局所経路により送達される薬剤の製造のための使用にも関する。
変異ネトリン4は、変異ネトリン4をコードするプラスミドの注入を用いても送達できる。
或いは、本発明のタンパク質又はフラグメントのいずれの1つは、タンパク質又はフラグメントをデバイス上に固定した後の任意の血管内デバイス(ステント)により送達できる。
【0042】
本発明は:
- 上記で定義されるタンパク質、又は
- 上記で定義されるヌクレオチド配列、又は
- 上記で定義される抗体、又は
- 上記で定義される抗イディオタイプ抗体、又は
- 上記で定義される抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関わる病変の予防又は治療用、特に癌及び白血病、近視併発脈絡膜新血管新生、角膜新血管新生、特に移植片拒絶、緑内障、糖尿病性網膜症又は未熟児網膜症、リウマチ性関節炎、関節症性乾癬、血管腫、血管肉腫、カストルマン病及びカポジ肉腫からなる群より選択される病変の予防又は治療用、或いは肥満又は網膜新血管新生の治療用の薬剤の製造のための使用にも関する。
【0043】
「内皮細胞増殖の阻害」との表現は、以下に記載される増殖試験に従って、内皮細胞の増殖を遅くできる任意の物質のことをいう。
【0044】
ある好ましい実施形態において、本発明は:
- 配列番号2の配列で表される変異ネトリン4、配列番号4の配列で表される変異ネトリン4、又は配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、 配列番号72、配列番号185、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号192、配列番号194、配列番号196、配列番号198、配列番号200及び配列番号202のタンパク質配列に相当する変異ネトリン4のフラグメントからなる群より選択されるタンパク質、或いは
【0045】
- 配列番号2をコードする配列番号1、又は配列番号4をコードする配列番号3の配列をコードするヌクレオチド、又は配列番号12をコードする配列番号11、配列番号14をコードする配列番号13、配列番号16をコードする配列番号15、配列番号18をコードする配列番号17、配列番号20をコードする配列番号19、配列番号22をコードする配列番号21、配列番号24をコードする配列番号23、配列番号26をコードする配列番号25、配列番号28をコードする配列番号27、配列番号30をコードする配列番号29、配列番号32をコードする配列番号31、配列番号34をコードする配列番号33、配列番号36をコードする配列番号35、配列番号38をコードする配列番号37、配列番号40をコードする配列番号39、配列番号42をコードする配列番号41、配列番号44をコードする配列番号43、配列番号46をコードする配列番号45、配列番号48をコードする配列番号47、配列番号50をコードする配列番号49、配列番号52をコードする配列番号51、配列番号54をコードする配列番号53、配列番号58をコードする配列番号57、配列番号60をコードする配列番号59、配列番号62をコードする配列番号61、配列番号64をコードする配列番号63、配列番号66をコードする配列番号65、配列番号68をコードする配列番号67、配列番号70をコードする配列番号69、及び配列番号72をコードする配列番号71からなる群より選択される変異ネトリン4のフラグメントをコードする核酸配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列、或いは
【0046】
- 上記のタンパク質に特異的に指向されたことを特徴とする抗体、或いは
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体、或いは
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関わる病変の予防又は治療用、特に癌及び白血病、特に血管腫、血管肉腫、カストルマン病、カポジ肉腫及びリウマチ性関節炎からなる群より選択される病変の予防又は治療用の薬剤の製造のための使用に関する。
【0047】
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明は、
- 配列番号2の配列で表される変異ネトリン4、配列番号4の配列で表される変異ネトリン4、又は配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号185、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号192 配列番号192、配列番号194、配列番号196、配列番号198、配列番号200及び配列番号202のタンパク質配列に相当する変異ネトリン4のフラグメントからなる群より選択されるタンパク質、或いは
【0048】
- 配列番号2をコードする配列番号1、又は配列番号4をコードする配列番号3の配列をコードするヌクレオチド、又は配列番号12をコードする配列番号11、配列番号14をコードする配列番号13、配列番号16をコードする配列番号15、配列番号18をコードする配列番号17、配列番号20をコードする配列番号19、配列番号22をコードする配列番号21、配列番号24をコードする配列番号23、配列番号26をコードする配列番号25、配列番号28をコードする配列番号27、配列番号30をコードする配列番号29、配列番号32をコードする配列番号31、配列番号34をコードする配列番号33、配列番号36をコードする配列番号35、配列番号38をコードする配列番号37、配列番号40をコードする配列番号39、配列番号42をコードする配列番号41、配列番号44をコードする配列番号43、配列番号46をコードする配列番号45、配列番号48をコードする配列番号47、配列番号50をコードする配列番号49、配列番号52をコードする配列番号51、配列番号54をコードする配列番号53、配列番号58をコードする配列番号57、配列番号60をコードする配列番号59、配列番号62をコードする配列番号61、配列番号64をコードする配列番号63、配列番号66をコードする配列番号65、配列番号68をコードする配列番号67、配列番号70をコードする配列番号69、及び配列番号72をコードする配列番号71からなる群より選択される変異ネトリン4のフラグメントをコードする核酸配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列、或いは
【0049】
- 上記のタンパク質に特異的に指向されたことを特徴とする抗体、或いは
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体、或いは
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関わる病変の予防又は治療用、特に近視併発脈絡膜新血管新生、角膜新血管新生、特に移植片拒絶、緑内障、糖尿病性網膜症若しくは未熟児網膜症、関節症性乾癬からなる群より選択される病変の予防又は治療用、又は肥満若しくは網膜新血管新生の治療用の薬剤の製造のための使用に関する。
【0050】
別の好ましい実施形態において、本発明は:
- 配列番号2の配列で表される変異ネトリン4、配列番号4の配列で表される変異ネトリン4、又は配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号56、配列番号193、配列番号195、配列番号197、配列番号199、配列番号201、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、配列番号207、配列番号208及び配列番号209のタンパク質配列に相当する変異ネトリン4のフラグメントからなる群より選択されるタンパク質、或いは
【0051】
- 配列番号2をコードする配列番号1、又は配列番号4をコードする配列番号3の配列をコードするヌクレオチド、又は配列番号6をコードする配列番号5、配列番号8をコードする配列番号7、配列番号10をコードする配列番号9、及び配列番号56をコードする配列番号55からなる群より選択される変異ネトリン4のフラグメントをコードする核酸配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列、或いは
【0052】
- 上記のタンパク質に特異的に指向されたことを特徴とする抗体、或いは
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体、或いは
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関わる病変の予防又は治療用、特に近視併発脈絡膜新血管新生、角膜新血管新生、特に移植片拒絶、緑内障、糖尿病性網膜症若しくは未熟児網膜症、関節症性乾癬からなる群より選択される病変の予防又は治療用、又は肥満若しくは網膜新血管新生の治療用の薬剤の製造のための使用に関する。
【0053】
本発明は、
- 上記で定義される抗体、又は
- 上記で定義される抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の刺激に関わる病変の予防又は治療用、特に下肢の動脈炎、心筋梗塞、脳血管発作、強皮症及びレイノー病のような虚血性病変からなる群より選択される病変の予防又は治療用の薬剤の製造のための使用に関する。
【0054】
内皮細胞の増殖の活性化の測定は、内皮細胞を適切な培地中に置き、次いで細胞の総数を測定することにより行うことができる。
内皮細胞の遊走の活性化の測定は、内皮細胞のカーペット上で「創傷」を創出し、次いで、試験されるタンパク質、ヌクレオチド配列又は抗イディオタイプ抗体の存在下で細胞をインキュベートすることにより行うことができる。創傷上に遊走した細胞数を、次いで、測定する。
【0055】
本発明は、
- 上記で定義されるタンパク質、又は
- 上記で定義されるヌクレオチド配列、又は
- 上記で定義される抗体、又は
- 上記で定義される抗イディオタイプ抗体、又は
- 上記で定義される抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、周細胞又は平滑筋細胞の希薄化に関連するか又はそれにより引き起こされ、周細胞又は平滑筋細胞の増殖若しくは遊走の活性化を必要とする非腫瘍性病変の予防又は治療用の薬剤の製造のための使用に関し、該非腫瘍性病変は、特に:
- 加齢に伴う黄斑変性、
- 血管新生緑内障、
- 乾癬、
- アテローム性動脈硬化症、
- 腸の奇形、
- クローン病、
- 血管性認知症又は皮質下血管性認知症、
- アルツハイマー病、
- 骨の変性性病変及び骨折、並びに
- 動脈瘤及び血管解離
からなる群より選択される。
【0056】
本発明は、周細胞若しくは平滑筋細胞の増殖又は遊走の活性化の活性が、増殖又は遊走試験に従って測定され、該活性化の活性が、上記で定義されるタンパク質、ヌクレオチド配列、抗体、抗イディオタイプ抗体又は抗イディオタイプ抗体のFabフラグメントの不在下で得られる細胞の少なくとも120%に相当することを特徴とする、上記で定義される使用にも関する。
周細胞又は平滑筋細胞の遊走の活性化の測定は、細胞のカーペット上に「創傷」を作製し、次いで、試験されるタンパク質、ヌクレオチド配列、抗体、抗イディオタイプ抗体又はFabフラグメントの存在下で細胞をインキュベートすることにより行うことができる。創傷上に遊走した細胞数を、次いで、測定する。
周細胞又は平滑筋細胞の増殖の活性化の測定は、周細胞又は平滑筋細胞を、適切な培養培地、特にいずれの血清も含まないDMEM培地中に入れ、細胞の総数を測定することにより行うことができる。
【0057】
本発明は:
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2又は配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号185又は配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、化学療法剤との、癌の治療用の薬剤の製造のための使用にも関する。
【0058】
本発明は、化学療法剤と、配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメントとを含む医薬組成物にも関し、
上記の化学療法剤は、特に、ドキソルビシン、メトトレキセート、ビンブラスチン、ビンクリスチン、クラドリビン、フルオロウラシル、シタラビン、アントラサイクリン、シスプラチン、シクロホスファミド、フルダラビン、ゲムシタビン、アロマターゼ阻害剤、イリノテカン、ナベルビン、オキサリプラチン、タキソール及びドセタキセルからなる群より選択される。
血管新生抑制薬と、化学療法剤との組み合わせは、相乗効果、及び通常の抗腫瘍療法に対する耐性の低減の誘導を可能にする。
【0059】
本発明は;
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2又は配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号185又は配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、特に、Genentech及びRocheにより製造されるAVASTIN (ベバシズマブ)、Eyetech及びPfizerにより製造されるMACUGEN (ペガプタニブ)、並びにGenentech及びNovartisにより製造されるLUCENTIS (ラニビズマブ)、又は任意のその他の抗VEGF薬、例えばSutent (Pfizer)若しくはソラフェニブ、ニューロピリン-1に対するヒト化抗体、又は任意のその他の抗VEGF薬又は任意のその他の抗VEGF薬、例えばSUTENT (スニチニブ)若しくはNEXAVAR (ソラフェニブ)、並びにDLL4に対するヒト化抗体、又はアンジオポエチン経路に干渉する薬、例えばAM 386からなる群より選択される血管新生抑制薬との、上記で定義される腫瘍性又は非腫瘍性の病変の予防又は治療用の薬剤の製造のための使用にも関する。
【0060】
本発明において、変異ネトリン4の用量は、6週間ごとで、約10〜約10,000 ng/注射、特に約100〜約5,000 ng/注射で変動する。
本発明において、血管新生抑制薬(例えばAVASTIN、MACUGEN又はLUCENTIS)の用量は、6週間ごとで、約0.3〜約1 mgまで変動する。
【0061】
本発明は、上記で定義される腫瘍性又は非腫瘍性の病変の治療又は予防のための同時、別々の又は逐次的な使用のための:
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号185若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、AVASTIN (ベバシズマブ)、MACUGEN (ペガプタニブ)及びLUCENTIS (ラニビズマブ)、又はその他の任意の抗VEGF薬、ニューロピリン-1に対するヒト化抗体、又はその他の任意の抗VEGF薬、又はその他の任意の抗VEGF薬、例えばSUTENT (スニチニブ)若しくはNEXAVAR (ソラフェニブ)、並びにDLL4に対するヒト化抗体又はアンジオポエチン経路に干渉する薬、例えばAM 386からなる群より選択される血管新生抑制薬との組み合わせ製剤にも関する。
【0062】
本発明は、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174及び配列番号176を含むか又はこれからなるタンパク質にも関する。
【0063】
配列番号74は、天然ネトリン4配列番号178の最初の19アミノ酸に相当する天然ネトリン4のシグナルペプチドと、配列番号56のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号76は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号58のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号78は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号60のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0064】
配列番号80は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号62のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号82は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号64のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号84は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号66のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号86は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号68のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0065】
配列番号88は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号70のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号90は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号72のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号92は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基515の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0066】
配列番号94は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基260及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号96は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基320及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号98は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基260、残基332〜残基387及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0067】
配列番号100は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基260、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号102は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基320、残基332〜残基387及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号104は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基260、残基332〜残基387、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0068】
配列番号106は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基320、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号108は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基320、残基332〜残基387、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0069】
配列番号110は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号4のタンパク質配列とを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号112は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号184のタンパク質配列とを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号114は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号6のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号116は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号10のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0070】
配列番号118は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号12のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号120は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号16のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号122は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号18のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号124は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号20のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号126は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号22のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0071】
配列番号128は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号24のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号130は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号26のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号132は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号34のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号134は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号36のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号136は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号38のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号138は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号46のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0072】
配列番号140は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号48のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号142は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号50のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号144は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号54のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号146は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基261〜残基515の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号148は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基515の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号150は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号152は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基261〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号154は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基332〜残基387及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0073】
配列番号156は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基260及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号158は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基320及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号160は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基260、残基332〜残基387、及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号162は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基260、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0074】
配列番号164は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基261〜残基320、残基332〜残基387及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号166は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基332〜残基387、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号168は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基261〜残基320、残基332〜残基387、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号170は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基320、残基332〜残基387及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0075】
配列番号172は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基260、残基332〜残基387、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号174は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基320、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号176は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基320、残基332〜残基387、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0076】
本発明は、
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号192若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
の、遺伝子治療のための前駆細胞又は幹細胞の任意のサンプリングから周細胞若しくは平滑筋細胞を選択、分化及び/又は増殖させるための使用にも関する。
【0077】
本発明は、
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号192若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、上記のように分化させた周細胞又は血管平滑筋細胞との組み合わせの、腫瘍血管新生を成熟させ、それにより癌の進行を阻害するための使用にも関する。
【0078】
本発明は、
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号192若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、周細胞又は血管平滑筋細胞との組み合わせの、癌の治療のための薬剤の製造のための使用にも関する。
【0079】
本発明は、周細胞又は血管平滑筋細胞と、配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は配列番号185〜配列番号209の配列の1つとの組み合わせを含む医薬組成物にも関する。
【0080】
本発明は、
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2又は配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号192若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、周細胞又は血管平滑筋細胞とを含む、癌の治療のための同時、別々又は逐次的な使用のための組み合わせ製剤にも関する。
【0081】
本発明は、
- 配列番号2q (qは、37から88まで変動する)を含むか若しくはそれからなるタンパク質、又は
- 配列番号2q-1 (qは、37から88まで変動する)の配列の1つで表されるヌクレオチド配列、又は
- 上記のタンパク質に特異的に指向されたことを特徴とする抗体、又は
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体、又は
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関する病変の予防又は治療用、特に癌及び白血病、近視併発脈絡膜新血管新生、角膜新血管新生、特に移植片拒絶、緑内障、糖尿病性網膜症又は未熟児網膜症、リウマチ性関節炎、関節症性乾癬、血管腫、血管肉腫、カストルマン病及びカポジ肉腫からなる群より選択される病変の予防又は治療用、或いは肥満又は網膜新血管新生の治療用の薬剤の製造のための使用にも関する。
【0082】
上記の配列番号2qの配列は、配列番号74〜88のタンパク質配列に相当し、すなわち、以下の:配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174及び配列番号176のタンパク質配列である。
【0083】
上記の配列番号2q-1の配列は、配列番号2qで表される上記の変異ネトリン4をコードし、これらは、以下の配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173及び配列番号175のヌクレオチド配列に相当する。
【0084】
ある好ましい実施形態において、本発明は:
- 配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174、 配列番号176を含むか又は該配列からなるタンパク質、或いは
- 配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175を含むか又は該配列からなるヌクレオチド配列、或いは
-上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体、或いは
-上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関する病変の予防又は治療用、特に癌及び白血病、特に血管腫、血管肉腫、カストルマン病、カポジ肉腫及びリウマチ性関節炎からなる群より選択される病変の予防又は治療用の薬剤の製造のための使用に関する。
【0085】
別の好ましい実施形態において、本発明は:
- 配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174、配列番号176を含むか若しくは該配列からなるタンパク質、又は
- 配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175を含むか若しくは該配列からなるヌクレオチド配列、又は
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体、又は
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関する病変の予防又は治療用、特に近視併発脈絡膜新血管新生、角膜新血管新生、特に移植片拒絶、緑内障、糖尿病性網膜症若しくは未熟児網膜症、関節症性乾癬からなる群より選択される病変の予防又は治療用、又は肥満若しくは網膜新血管新生の治療用の薬剤の製造のための使用に関する。
【0086】
別の好ましい実施形態において、本発明は:
- 配列番号74、配列番号92、配列番号114、配列番号116、配列番号146、配列番号148を含むか若しくは該配列からなるタンパク質、又は
- 配列番号73、配列番号91、配列番号113、配列番号115、配列番号145、配列番号147を含むか若しくは該配列からなるヌクレオチド配列、又は
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体、又は
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関する病変の予防又は治療用、特に近視併発脈絡膜新血管新生、角膜新血管新生、特に移植片拒絶、緑内障、糖尿病性網膜症若しくは未熟児網膜症、関節症性乾癬からなる群より選択される病変の予防又は治療用、又は肥満若しくは網膜新血管新生の治療用の薬剤の製造のための使用に関する。
【0087】
【表4−1】
【0088】
【表4−2】
【0089】
【表5−1】
【0090】
【表5−2】
【0091】
図面
図1Aは、大動脈からの平滑筋細胞の増殖試験に対応する。x軸は、ng/mlの濃度でのタンパク質ネトリン4、又は本発明の変異ネトリン4を示し、y軸は、増殖パーセンテージを表す。左側の黒丸の曲線は、変異ネトリン4に対応し、右側の黒三角の曲線は、天然ネトリン4に対応する。
図1Bは、大動脈からの平滑筋細胞の遊走試験に対応する。細胞は、8つの強拡大視野(hpf)で計数し、平均及び標準偏差をy軸上に示す。x軸は、ng/mlの濃度でのタンパク質ネトリン4又は本発明の変異ネトリン4を示す。四角の曲線は変異ネトリン4に対応し、菱形の曲線は、ネトリン4に対応する。
【0092】
図2は、PC3細胞の上清の影響を決定するためのHUAEC細胞の増殖試験に対応し、該細胞は、本発明の変異ネトリン4 (クローン1及び5)又は天然ネトリン4 (クローン8、10及び15)でトランスフェクションされている。y軸は、増殖パーセンテージを示す。カラム1は対照(DMEM単独)であり;カラム2は、トランスフェクションされていないPC3細胞に対応し;カラム3はクローン1に対応し;カラム4はクローン5に対応し;カラム5はクローン8に対応し;カラム6はクローン10に対応し;カラム7はクローン15に対応する。
【0093】
図3Aは、腫瘍の進行の分析に対応する。x軸は日数に対応し、j = 0は、腫瘍を移植した日である。y軸は、腫瘍の体積(mm3)に対応する。菱形の曲線は、トランスフェクションされていないPC3細胞に対応し;四角の曲線は、クローン1でトランスフェクションされたPC3細胞に対応し;三角の曲線は、クローン5でトランスフェクションされたPC3細胞に対応する。図3Bは、CD 31陽性細胞(内皮細胞)に対するKi67陽性細胞(増殖性細胞)の比率を示す。左のカラムは、トランスフェクションされていないPC3細胞に対応し;中央のカラムは、クローン1でトランスフェクションされたPC3細胞に対応し;右のカラムは、クローン5でトランスフェクションされたPC3細胞に対応する。図3Cは、CD 31陽性細胞(内皮細胞)に対するデスミン陽性細胞(周細胞)の比率を示す。左のカラムは、トランスフェクションされていないPC3細胞に対応し;中央のカラムは、クローン1でトランスフェクションされたPC3細胞に対応し;右のカラムは、クローン5でトランスフェクションされたPC3細胞に対応する。
【0094】
図4A及び4Bは、変異NET-4mの完全配列を有するベクターでトランスフェクションされていない(nt)(図4A)か又はトランスフェクションされた(トランスフェクションされたクローンFS3)(図4B)結腸癌LS 174細胞の、AVASTIN (登録商標)の存在下での腫瘍の進行の分析を示す。y軸は、腫瘍の体積(mm3)を示し、x軸は、癌細胞異種移植片の接種後の時間(日)を示す。第12日において、平均腫瘍体積が400 mm3に到達したときに、Avastinを50μg/注射の用量で腹腔内注射した。四角の曲線は、未処置の腫瘍細胞に対応し、菱形の曲線は、AVASTIN処置腫瘍細胞に対応する。
【0095】
図5A、5B及び5Cは、中央の灰色のレーザ衝撃の周囲の脈絡膜新血管を可視化するための蛍光デキストランの潅流に対応する。ラットは、D (日)=0に2又は3回のレーザ衝撃を受け、次いでD=7、D=10に、ビヒクル単独(PBS) (5A)又は2μgのネトリン4 (5B)若しくは100 pgの変異ネトリン4 (5C)の網膜下注射を受けた。D=14に、ラットを犠牲にし、蛍光レクチンの潅流により、脈絡膜の新血管を可視化し、これらは図において白色で灰色のレーザ衝撃を取り囲むように見ることができる。
【0096】
図6は、変異ネトリン4の欠失変異体の存在下での大動脈からの平滑筋細胞の遊走試験を示す。細胞は、8つのhpfで計数し、平均及び標準偏差をy軸に示す。x軸は、馴化培地(conditioned medium)のμg/mlでの濃度に相当する。菱形の曲線は、変異ネトリン4の全長配列(NET-4m)でトランスフェクションされた細胞で馴化した培地に対応し;四角の曲線は、NET-4m ΔEGFでトランスフェクションされた細胞で馴化した培地に対応し;三角の曲線は、NET-4m ΔCter (aa1〜477)でトランスフェクションされた細胞で馴化した培地に対応する。
【0097】
図7は、本発明の変異ネトリン4 (N4m)についてのマトリゲルアッセイの結果を示す。ネトリン4及びNET-4mは、VEGF及びFGF-2により誘導される皮膚の血管新生を阻害する。300μlのマトリゲルペレットを、100 ngのVEGF及びFGF-2と、2μgのネトリン4 (N4)若しくは1 ngのN4mの存在下、又はN4若しくはN4mの不在下(カラム「C」)で混合し、次いで、C57/Bl6マウスの側腹部に皮下注射した。7日後に、マウスを屠殺し、ペレットを回収して、ヘモグロビン含量を測定した(y軸:mg/mg-マトリゲルのヘモグロビン)。
【0098】
図8A及び8Bは、インビトロ血管新生アッセイの結果を示す。
図8A-1、8A-2及び8A-3は、マトリゲル上に播種したHUAEC細胞のミクロキャピラリーネットワークを示す。図8A-1は、対照に相当し、図8A-2は、野生型ネトリン4の使用に相当し、図8A-3は、変異ネトリン4の使用に相当する。
図8Bは、変異ネトリン4の用量応答活性の定量を示す。y軸は、分岐(対照の%)を示し、x軸は、変異ネトリン4の濃度(カラムCは対照である)を示す。
【0099】
図9Aは、癌腫症スコアの1日平均増加を示す。y軸は、LS 174及びFS 3腫瘍についてのSugerbakerの1日スコアである。
図9Bは、FS 3及びLS 174腫瘍についてのmlでの腹水の用量を表す。
図9Cは、FS3及びLS174を注射されたマウスにおける腹膜の腔内表面(endocavital face)を表す。
【0100】
図10は、トランスフェクションされたか又はされていないPC3細胞の腫瘍進行の分析を示す。y軸は、腫瘍体積(mm3)を表し、x軸は時間(日)を表す。菱形の曲線は、PC3細胞に対応し;四角の曲線は、PC3細胞に由来する腫瘍を有するヌードマウスへの周細胞の注射に対応し;三角の曲線は、変異ネトリン4をトランスフェクションさせたPC3細胞に対応し、十字の曲線は、周細胞の注射に対応する。
【0101】
図11は、レーザ衝撃の周囲の脈絡膜新血管を可視化するための蛍光デキストランの潅流に対応する。マウスは、D(日)=0の日に2回のレーザ衝撃を受け、次いでD=7、D=10に、ビヒクルのみ(PBS)又は100 pgのNET-4m Delta C若しくは20 pgのNET-4mの網膜下注射を受けた。第14日に、マウスを犠牲にし、蛍光レクチンを潅流させて、脈絡膜の新血管を可視化した。蛍光デキストランの染色は、次いで、アドビフォトショップで分析し、8〜12箇所のレーザ衝撃領域の平均として定量した。
白色のカラムは緩衝液に対応し;黒色のカラムは、トランスフェクションされたCHO細胞から精製したDeltaC NET-4mに対応し;灰色のカラムは、CHOトランスフェクション細胞から精製したNET-4mに対応する。
【0102】
図12は、腫瘍の進行の分析に対応する。y軸は、対照の腫瘍パーセンテージに相当する。カラム1は、トランスフェクションされていないLS174細胞に対応し;カラム2は、クローンFS2でトランスフェクションされたLS174細胞に対応し;カラム3は、クローンFS3でトランスフェクションされたLS174細胞に対応し;カラム4は、クローンDeltaC1でトランスフェクションされたLS174細胞に対応し;カラム5は、クローンDeltaC2でトランスフェクションされたLS174細胞に対応する。
【0103】
図13は、SMCの増殖に対するネトリン4変異体の影響の分析に対応する。Pgs A-745 CHO細胞に、置換ネトリン変異体2〜6 (sNET-4m)を含有するpcDNA-3発現ベクターをトランスフェクションさせた。16時間後に、細胞を新鮮な培地で洗浄し、馴化培地を48時間後に回収した。SMCに対する増殖活性を、以前に記載されたようにして測定した。
y軸は、590 nmでの光学密度(OD)を表す。x軸は、pgs A-745 CHO細胞を含有するウェルに加えられた馴化培地の容量(マイクロリットル:μL)を表す。
菱形の曲線は、sNET-4m no: 2に対応し、四角の曲線は、sNET-4m no: 3に対応し、三角の曲線は、sNET-4m no: 4に対応し、十字の曲線は、sNET-4m no: 5に対応し、星印の曲線は、sNET-4m no: 6に対応する。
【実施例】
【0104】
実験
材料
ネトリン4 (配列番号178)及び変異ネトリン4 (配列番号2)の分子は、組換えタンパク質である。ネトリン4の分子は、R&Dから入手可能である。
VEGFの165アミノ酸のアイソフォームは、昆虫細胞SF9を、対応するcDNAを含有する組換えバキュロウイルスに感染させることにより作製した(Plouet J, Moro F, Coldeboeuf N, Bertagnolli S, Clamens S, Bayard F (1997) Extracellular cleavage of the vascular endothelial growth factor 189 aa form by urokinae is required for its mitogenic activity. J. Biol. Chem., 272, 13390〜13396)。
【0105】
ヒト臍動脈内皮細胞(HUAEC)は、コラゲナーゼ(Sigma)を潅流させて基底膜を消化した臍動脈から単離した。HUAEC細胞は、15%の熱不活化胎児ウシ血清(FCS)、100μg/mlのペニシリン、及び100μg/mlのストレプトマイシンを加えたEBM培地(Clonetics)中で、37℃にて10% CO2中で維持した。幹培養(stem cultures)には、2 ng/mlのVEGFを、毎日与えた。
大動脈からの平滑筋細胞は、15%の熱不活化胎児ウシ血清(FCS)、100μg/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシンを加えたDMEM培地中で、37℃にて10% CO2中で維持した。幹培養には、2 ng/mlのFGF-2を1日おきに与えた。
【0106】
変異ネトリン4の同定
変異ネトリン4のクローニング
ヒト臍帯の動脈の細胞(HUAEC)のトータルRNAを、TriPure (Roche)を用いて抽出した。次いで、RNAを、RocheのRT-PCRキット(AMV)を製造者の指示に従って用いて転写した。
プライマー(5')-TT CTA GAC ATG GGG AGC TGC GCG CGG-(3') (センス)及び(5')-C ATT AAC GTC GAA CTG ACA GGT ATC-(3') (アンチセンス)を、ネトリン4の配列1〜1039の増幅に用い、プライマー(5')-AG CAC TGT GCC CCG TTA TAC AAT GA-(3') (センス)及び(5')-CGG GAT CCA CTT GCA CTC TCT TTT TAA AAT ATC C-(3') (アンチセンス)を、ネトリン4の配列914〜1884の増幅に用いた。
【0107】
増幅の条件は、94℃にて1分間の変性、55℃にて1分間のハイブリダイゼーション、及び72℃にて1分間の伸長の35サイクルであった。
得られた生成物を混合し、プライマー(5')-TT CTA GAC ATG GGG AGC TGC GCG CGG-(3') (センス)、及び(5')-CGG GAT CCA CTT GCA CTC TCT TTT TAA AAT ATC C-(3') (アンチセンス)を上記と同様の条件であるが、35サイクルの代わりに25サイクルを用いる新しいPCRのために用いた。ネトリン4の全配列を含むこのPCR生成物を、媒介ベクターpCR2.1 (Invitrogen)にクローニングした。Xba I及びBam HIによる消化の後に、ネトリン4の配列をこのベクターから抽出し、pcDNA3.1 (-)/His myc Cベクターに挿入し、このベクターを同じ制限酵素で消化した。変異ネトリン4の全配列を含むこの最後のベクターを用いて、細胞をトランスフェクションした。同じ操作により、野生型ネトリン4の配列を用いることにより、野生型ネトリン4の発現ベクターを得た。
【0108】
変異ネトリン4は、Plouet J, Moro F, Coldeboeuf N, Bertagnolli S, Clamens S, Bayard F (1997) Extracellular cleavage of the vascular endothelial growth factor 189-amino acid form by urokinase is required for its mitogenic activity. J. Biol. Chem., 272, 13390〜13396に記載されるプロトコルに従って、野生型ネトリン4の配列を含むベクターでのpgsA 745 CHO細胞のトランスフェクションにより作製した。タンパク質は、ヘパリン-セファロースアフィニティクロマトグラフィーにより精製し、NaClの断続的な勾配で溶出した(0.3、1.0及び2.0 M NaCl)。本発明の変異ネトリン4 (NET 4m)は、NaCl 2Mで溶出され、90%より高い程度の純度である。
【0109】
変異ネトリン4 (NET 4m)の生物学的活性を、平滑筋細胞の増殖試験による野生型ネトリン4 (NET 4)の活性と比較した。図1Aは、NET 4mが、NET 4のものより1,000倍小さい(1/1000)濃度にて分裂促進活性を惹起することを示す。同様に、遊走試験において、NET-4 mは、NET-4よりも1,000倍より活性である(図1Bを参照)。
【0110】
変異ネトリン4についての欠失変異体の構築
変異ネトリン4の全配列(628アミノ酸)を含むベクターpcDNA3.1 (-)/His myc Cを、制限酵素BamH1で消化し、ポリメラーゼ1のクレノウフラグメントで処理し、次いで、制限酵素PshA1で消化した。Cterドメイン(478〜628)を欠失させた変異ネトリン4の配列を含むベクターpcDNA3.1 (-)/His myc Cに相当する線状にされたフラグメントを、次いで、アガロースゲル上の泳動及びQiagenカラムでの精製の後に単離した。ライゲーションの後に、Cterドメインを欠失させた(1-477)変異ネトリン4の配列を含有する発現ベクターpcDNA3.1 (-)/His myc Cを得た。変異ネトリン4の全配列(628 aa)を含むベクターpcDNA3.1 (-)/His myc Cを、制限酵素Xcm1により消化した。ネトリン4の内部配列を2つの部位(aa288/aa488)で切断するこの酵素により、タンパク質の中央ドメイン(EGFモチーフを有するドメインV)の欠失を可能にする。フラグメントの精製及びライゲーションの後に、中央ドメイン(288/488)を欠失させた変異ネトリン4の配列を含む発現ベクターpcDNA3.1 (-)/His myc Cを得た。しかし、両方のXcm1部位のライゲーションにより停止コドン(aa 313)が生じるので、このベクターは、312アミノ酸の切断物であり、ラミニンドメイン(1-288)と24アミノ酸のタンパク質配列とを含む変異ネトリン4をコードする。
【0111】
抗イディオタイプ抗体の作製
まず、本発明の変異ネトリン4の中和抗体、又は変異ネトリン4のフラグメント(配列番号2〜72)の中和抗体を、動物、特にマウスに、フロイントの完全アジュバント(ネトリン又はネトリンフラグメントについて1容量)と混合した上記の変異ネトリン又は上記のフラグメントを注射することにより作製した。10〜500μg/kg体重で変動する量の変異ネトリン又はネトリンフラグメントを用いて、動物を免疫した。完全アジュバントを不完全アジュバントに置き換えた以外は同じ手順を、15日及び30日後に行った。第40日に、動物から採血し、血清を分離し、免疫グロブリンを任意の通常の分画法、特に硫酸アンモニウム沈殿、プロテインA-又はプロテインG-アフィニティクロマトグラフィーにより精製した。免疫グロブリンの中和活性を、任意の記載された試験により測定した(例えば、本発明の変異ネトリン4またはそのフラグメントの1つについて:標識ネトリン4の、その受容体のいずれか1つの細胞外ドメインへの結合、増殖、遊走、細胞接着)。つまり、免疫グロブリンの群は、dcc、ネオゲニン、UNC5A、UNC5B、UNC5C又はUNC5Dの細胞外ドメインのいずれかとの変異ネトリン4の相互作用を阻害できる場合に、中和活性があるとみなした。
【0112】
次いで、変異ネトリン4又はそのフラグメントの1つの抗イディオタイプ抗体を、マウスに、上記の変異ネトリン又はフラグメントの活性を中和する免疫グロブリンの調製物1〜100μgを、アジュバント、特にフロイントの完全アジュバント(Sigma) 100μlとともに皮下経路で注射することにより作製した。この注射は、15、30及び45日後に繰り返した。最初の注射の55日後に、同じ抗体10μgをマウスに腹腔内経路により注射した。最初の注射の58日後に、マウスから採血し、その脾臓を採取し、脾細胞を遊離させるためにISCOVE培地中で切裂した。脾細胞を、マウス骨髄腫細胞、特にAG8X 63細胞と融合させ(Kearney JF, Radbruch A, Liesegang B, Rajewsky K (1979) A new mouse myeloma cell line that has lost immunoglobulin expression but permits the construction of antibody-secreting hybrid cell lines. J. Immunol. 123, 1548〜50)、100,000細胞/ウェルの比率でインキュベートした。融合を、50μlの容量のポリエチレングリコール(PEG)を、30秒以内の間隔で20回加えることにより行った。4 mlの37℃に予備加熱したISCOVE培地を、次いで、細胞懸濁物に滴下し、37℃にて4分間のインキュベーション時間の後に、4 mlを加えた。遠心分離を行い、細胞遠心沈殿物を、20%の胎児ウシ血清及びHAT 1×(50×:ヒポキサンチン5 mM、アミノプテリン20μM及びチミジン0.8 mM)を補った100 mlのISCOVE培地に再懸濁し、マクロファージに対して、ウェル当たり100μlの容量で分配した。5日後に、100μlのHAT培地を加え、8〜14日後に、各ハイブリドーマの馴化培地をサンプリングして、免疫原性因子として用いた抗体に指向された抗体、すなわち抗ネトリン抗体をELISAにより測定した。抗イディオタイプ抗体の活性を、次いで、ELISA試験により測定した。
【0113】
任意の通常の方法、特にパパイン消化により調製された抗変異ネトリン4のFabフラグメントを、マイクロタイタープレート上に固定した(カーボネートバッファー50 mM pH 9.6中に0.1〜20μg/ml)。同じバッファーで5 mg/mlに希釈した血清アルブミンの溶液による非特異的部位の飽和の後に、ハイブリドーマ培養物の上清を、0.05% Tween 20を含有するPBSバッファー(ホスフェートバッファー)中で半分希釈(half-diluted)として加えた。リンスの後に、抗イディオタイプ抗体を、適切な濃度のマウスペルオキシダーゼ結合抗Fc抗体の添加により明示した。固定された抗イディオタイプ抗体の量を、次いで、ペルオキシダーゼの可視化により測定し、これは、比色反応の強度に比例していた。
【0114】
ハイブリドーマを、抗変異ネトリン4抗体に対する抗体を分泌するそれらの能力に従って選択し、選択されたハイブリドーマを、次いで、クローニングした。より精密には、細胞を、限界希釈条件(5細胞/ml)において、ウェル当たり0.1 mlの容量中で成長させた。培地を、10日後に交換した。15日後に、いくつかのウェルは、出発細胞から成長した細胞の群を含有し、これらの細胞は、よって、同一であり、同じクローンに由来するものであった。細胞で覆われた表面がウェルの全表面の少なくとも半分になったときに、培地をサンプリングして分析した。
【0115】
次いで、2回目のELISA試験を行った。ヒトIgGのFcドメインに指向されたヤギ免疫グロブリンを、マイクロタイタープレート上でインキュベートした(カーボネートバッファー50 mM pH 9.6中に0.1〜20μg/ml)。同じバッファーで5 mg/mlに希釈した血清アルブミンの溶液による非特異的部位の飽和の後に、ヒトIgGのFc配列と融合させたネトリン受容体の細胞外ドメインを含むタンパク質を、マイクロタイタープレートに固定した(1〜100μg/mlの濃度でのインキュベーション)。ハイブリドーマ培養物の上清を、0.05% Tween 20を含有するPBSバッファー中で半分希釈として加えた。リンスの後に、抗イディオタイプ抗体を、適切な濃度のマウスペルオキシダーゼ結合抗Fc抗体の添加により明示した。固定された抗イディオタイプ抗体の量を、次いで、ペルオキシダーゼの可視化により測定し、これは、比色反応の強度に比例していた。
【0116】
クローンを同定してすぐに、それらのモノクローナル状態を、96ウェルプレートに、同じクローンに由来し、上記のように限界状態に希釈した細胞を播種することである通常の手順により確認した。分泌するクローンは、よって、モノクローナル抗体とみなされるためには、同じ特異性を有する抗体を分泌するはずである。3回目のクローニングを、次いで、全く同じ条件下で行って、クローンがモノクローナルであることを確認した。
モノクローナル抗イディオタイプ抗体は、一連の試験、特に既知のネトリン受容体(dcc、ネオゲニン、UNC5-A、UNC5-B、UNC5-C、UNC5-D)の細胞外ドメインに対するELISA試験、又はHUAEC細胞の増殖若しくは遊走の阻害の測定、又は血管新生抑制活性のインビボでの測定試験によりスクリーニングした。
【0117】
つまり、抗イディオタイプ抗体は、ネトリンドメインの模倣物(mimes)であった。ネトリンドメインの「内部イメージ」を設計することと、ネトリン受容体に結合するが、全ての受容体には結合しない抗体を得ることとが目的であった。特異性を確認してすぐに、この抗体のアゴニスト機能を、細胞に対するその活性の測定により、すなわち、SMCに対するネトリン機能を阻害又は刺激することなくHUAEC機能を阻害することにより、及び/又はHUAECに影響することなくSMCを刺激することにより、確かめた。
【0118】
これらの抗体の興味は、他の標的に影響することなく、細胞標的に対するネトリンの機能を模倣できることであった。よって、内皮細胞のアポトーシスを誘導することなく周細胞の機能を刺激するか、又は以下のある病変におけるそれらの遊走、それらの活性、それらの分化を阻害することは、興味深いだろう:
- 加齢に関する黄斑変性、
- 周細胞の希薄化が新血管新生に先立つ成熟前の状態での糖尿病性網膜症、
- 血管新生緑内障(角膜、網膜など)、
- リウマチ性関節炎、
- 乾癬、特に関節症性乾癬、
- 血管腫、
- アテローム性動脈硬化症、
- 肥満、
- 癌。
逆に、上記の病変について周細胞に影響せずに内皮細胞の増殖を阻害することは、興味深いだろう。
【0119】
血管新生の阻害
ネトリン4の特異的活性を増大するために、点突然変異をその配列に挿入し、CHO細胞において種々の変異体を作製した。NET-4m (本発明の変異ネトリン4)とよばれるそれらのうちの1つは、マトリゲルアッセイにおいて、機能の2000倍の増加を示した(図7)。ネトリン4 (NET-4)もNET-4mも、VEGF及びFGF-2の不在下では、いずれの血管新生促進効果を有さなかった。これらの結果は、角膜の血管新生アッセイにおいてネトリン1が血管新生促進性であると記載するParkによる報告に反する(K. W. Parkら, Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 101, 16210〜16215 (2004))。この不一致は、ネトリンが、ヘパラン硫酸に対して強い親和性を有し、よって、内因性FGF-2を、角膜ストロマにおけるその貯蔵部位から追い出し得るという事実により説明されるだろう。VEGF 189についての同様の現象は、以前に見出された(F. Jonca, N. Ortega, P. E. Gleizes, N. Bertrand, J. Plouet, J.Biol.Chem. 272, 24203〜24209 (1997))。最近の証拠により、角膜の血管新生は、ネトリンによるであろう可溶性VEGFR-1発現に依存することが証明されている(B.K. Ambatiら, Nature 443, 993-997 (2006))。ネオゲニン又はUnc5Bは、成体の網膜で検出できなかったが、その発現の増加は、レーザにより誘導された損傷の後に見られた(データ示さず)。実際に、血管新生の開始後のNET-4m (1 ng)の網膜下注射は、デキストラン潅流により可視化されるように、70%を超えて、脈絡膜の新血管新生を低減させた(図5C)。PC3前立腺癌由来細胞株を用いて、腫瘍血管新生におけるネトリン4の潜在的な効果を解明した。PC3前立腺癌細胞増殖は、外因性ネトリン4の添加により影響されなかった。これらの細胞を、次いで、NET-4mをコードする発現ベクターにトランスフェクションさせ、それらの馴化培地がHUAEC増殖を阻害する能力についてスクリーニングした。これらの細胞による増殖(図7)及びVEGFの分泌(4.5±0.2 ng/106細胞/48h)は、親の細胞のものと同様であり、よって、腫瘍の成長の分析は有益であった。2つのクローン及び空のベクターにトランスフェクションさせた親の細胞を、ヌードマウスに移植し、腫瘍の体積を記録した。腫瘍の定着(tumor take)及び成長曲線の傾きはともに、ネトリン4の構成的発現により低減された。免疫組織化学分析により、2つの主な特徴が示された。まず、全体的な増殖指数は、空のベクターでトランスフェクションされた細胞に対して、クローン1に由来する腫瘍において50%低減され、クローン5に由来する腫瘍において70%低減された。次に、CD 31陽性細胞の数は、ネトリンの過剰発現により著しく低減されたようであった。さらに、デスミン陽性細胞の数は、並行する様式で腫瘍を増加させ、よって、CD 31/デスミンの比率が、それぞれ2及び3倍減少した。α平滑筋アクチン又はNG2とは異なって、デスミンは、成熟周細胞のマーカーである(S. Song, A. J. Ewald, W. Stallcup, Z. Werb, G. Bergers, Nat.Cell Biol. 7, 870〜879 (2005))。よって、ネトリン4は、潜伏性のTGFの活性化によりEC増殖を制御することに貢献する、血管新生EC (内皮細胞)の根絶と、ECを覆う成熟周細胞の刺激とを含む二重の機構により腫瘍の進行を阻害するだろう(A. Antonella-Orlidge, K.B. Saunders, S.R. Smith, P. d'Amore Proc Natl Acad Sci U S A. 86, 4544〜4588 (1989))。両方の活性は、新血管の安定化を誘導するはずである。実際に、この魅力的な仮説は(R.K. Jain, Nat Med. 9, 685〜693 (2003))、血管新生促進の中止によってしか文書化されていない。これらの結果は、血管新生促進調整剤と血管新生抑制調整剤との間のバランスを、内因性の血管新生抑制因子のレベルを増加させることにより変更することが、腫瘍血管新生に対向する、可能性が高いアプローチであることを、初めて示している。
【0120】
インビトロ血管新生
インビトロ血管新生アッセイは、成長因子を低減した(growth factor-reduced)マトリゲル(Matrigel) (BD Biosciences)上に播種し、37℃にて1時間インキュベーションしたHUAEC (105細胞/cm2)を用いて行った。次いで、50 ng/mlのVEGFを加え、サンプルを2時間インキュベートし、400 ng/mlのネトリン-1又はネトリン-4を加え、さらに5時間インキュベーションを継続した。プレートを、次いで、PBSでリンスし、室温にて1%グルタルアルデヒドを用いて固定した。平均ミクロキャピラリーネットワークを、自動化コンピュータ支援画像分析システムを用いて測定し、各ウェル中のキャピラリーの全長を、各実験条件について決定した(μm)。実験は3重で行い、少なくとも3回行った。
【0121】
図8Aに示すように、マトリゲル上に播種されたHUAEC細胞は、細管様の構造を形成するが、400 ng/mlの野生型ネトリン4 (NET-4)又は400 pg/mlの変異ネトリン4 (NET-4m)のいずれかを添加すると、この発芽は完全になくなった。変異ネトリン4の用量応答活性は、下のパネル(図8B)で定量したところ、約500 pg/mlの濃度で、最大値の半分の阻害が得られたようである。
【0122】
SMCの増殖(図1A)及び遊走(図1B)に対するNET-4及びNET-4mの活性の比較
96ウェルのプレートに、ウェルあたりに、10% FCSを補ったDMEM培地中の2,000 SMC (平滑筋細胞)を播種した。6時間後に、細胞を、2% FCS含有DMEM培地に移し、次いで、種々の濃度のネトリン4 (NET-4)又は変異ネトリン4 (NET-4m)で刺激した(又はしなかった)。5日後に、ウェルをDMEMでリンスし、細胞を、1%グルタルアルデヒドを用いて固定し、バイオレットクリスタルで着色し、酢酸で可溶化した。光学密度を、595 nmにて測定した。同様の結果が、3回の独立した実験で得られた。示した値は、6ウェルの光学密度の平均±標準偏差(SD)である。
【0123】
SMCの増殖試験(図1A)
変異ネトリン4は、pgsA 745 CHO細胞に、既知の手順に従って、野生型ネトリン4の配列を含有するベクターをトランスフェクションさせることにより作製した(Plouet J, Moro F, Coldeboeuf N, Bertagnolli S, Clamens S, Bayard F (1997) Extracellular cleavage of the vascular endothelial growth factor 189 aa form by urokinae is required for its mitogenic activity. J. Biol. Chem., 272, 13390〜13396)。タンパク質は、ヘパリン-セファロース親和性クロマトグラフィーにより精製し、NaClの断続的な勾配で溶出した(0.3、1.0及び2.0 M NaCl)。NET-4mは、NaCl 2Mで溶出され、90%を超える純度であった。
NET-4mの生物学的活性を、平滑筋細胞増殖試験に従って、野生型NET 4の活性と比較した。図1Aは、最大刺激の半分が、120 ng/mlの濃度の非変異ネトリン4 (NET-4)及び0.1 ng/mlの変異ネトリン4 (NET-4m)を用いて得られたことを示す。このことは、変異ネトリン4の分裂促進活性が、非変異ネトリン4よりも1000倍活性であることを示す。
【0124】
SMCの遊走試験(図1B)
SMCのコンフルエントな単層を、DMEMの存在下で一晩インキュベートする。創傷を、単層上にラバーポリスマンを用いて作製し、ウェルをDMEMで3回洗浄し、次いで、種々の濃度のネトリン4 (NET-4)又は変異ネトリン4 (NET-4m)の存在下でインキュベートする。24時間後に、ウェルを3回洗浄し、メイ-グルンワルド-ギムザで着色し、写真を撮影し、細胞を、条件当たり8 hpf内で計数した。結果は、hpf当たりの細胞数で示す。
最大刺激の半分が、12 ng/mlの濃度の非変異ネトリン4 (NET-4)及び0.004 ng/mlの変異ネトリン4 (NET-4m)で得られるようである。このことは、変異ネトリン4の走化活性が、非変異ネトリン4よりも3,000倍活性であることを意味する。
【0125】
PC3癌細胞のトランスフェクション
前立腺癌細胞(PC3)及び結腸癌を、抗生物質及び胎児ウシ血清10%を補ったDMEM培地中で成長させる。トランスフェクションのプロトコルは、以下のように確立した。
- D1: 低密度細胞(10,000細胞/cm2)の、10 cm径のボックスへの接種。
- D2: pcDNA3-NET4又はpcDNA-3-NET-4mでのトランスフェクション
5μgのプラスミドを、5μlのリポフェクタミン及び100μlのDMEM (抗生物質なし)と、30分間、周囲温度にて、穏やかに混合した。混合物を、次いで、5 mlのDMEM中で希釈し、PC3細胞を含むボックス中に滴状に置く。37℃のインキュベータ中で6時間のインキュベーションの後に、培地をポンプで取り出し、10 mlの新鮮な培地に置き換える。
- D3: ボックスのリンスと、10%胎児ウシ血清及び抗生物質を含有するDMEM培地での24時間のインキュベーション
- D4: 細胞のトリプシン消化、500μg/mlのジェネテシン(geneticine) (Sigma)を補った完全DMEM培地中の、4つの10 cm径ボックスでのインキュベーション
- D17: マイクロピペットでの細胞クローンのサンプリング(100〜400細胞/クローン)、及び2 cm2のウェルへの移動
- D24: トリプシン消化、及び12ウェルのボックス中の細胞クローンのインキュベーション(120,000細胞/ウェル)
- D27: ウェルのリンスと、無血清DMEM培地への接種
- D30: 馴化培地の回収及び各培地中でのネトリン4の定量分析。
【0126】
ネトリン4 (NET-4)又は変異ネトリン4 (NET-4m)をトランスフェクションさせたクローンが、等しい倍加時間(26〜30時間)を有することを確認した後に、各培地のネトリン4の含量を、増殖試験に関する段落に記載したようにして測定した。4μlの馴化培地を、100μlの培養培地に加えた。結果は、対照(4μlのDMEM培地を含有するウェル)との比較での増殖パーセンテージで示す。
図2によると、非トランスフェクション細胞、並びにNET 4のクローン10及び15の培地は、対照との比較で約300%のHUAEC細胞の等しい増殖を誘導する。
一方、NET-4mのクローン1及び5、並びにNET-4のクローン8の馴化培地は、HUAEC細胞の増殖を200%しか刺激せず、これは、PC3細胞の馴化培地により誘導される増殖の約50%に相当する。
つまり、ネトリン4 (NET-4)又は変異ネトリン4 (NET-4m)は、HUAECの増殖を、PC3癌細胞の増殖を改変することなく誘導する。
【0127】
LS174のトランスフェクション
結腸癌LS 174細胞を、抗生物質及び胎児ウシ血清10%を補ったDMEM培地中で成長させる。
トランスフェクションのプロトコルは、以下のようにして確立した。
- D1: 低密度細胞(10,000細胞/cm2)の、10 cm径のボックスへの接種。
- D2: pcDNA3- DeltaC NET-4m又はpcDNA-3-NET-4mでのトランスフェクション
5μgのプラスミドを、5μlのリポフェクタミン及び100μlのDMEM (抗生物質なし)と、30分間、周囲温度にて、穏やかに混合した。混合物を、次いで、5 mlのDMEM中で希釈し、LS 174細胞を含むボックス中に滴状に置く。37℃のインキュベータ中で6時間のインキュベーションの後に、培地をポンプで取り出し、10 mlの新鮮な培地に置き換える。
- D3: ボックスのリンスと、10%胎児ウシ血清及び抗生物質を含有するDMEM培地での24時間のインキュベーション
- D4: 細胞のトリプシン消化、500μg/mlのジェネテシン(Sigma)を補った完全DMEM培地中の、4つの10 cm径ボックスでのインキュベーション
- D17: マイクロピペットでの細胞クローンのサンプリング(100〜400細胞/クローン)、及び2 cm2のウェルへの移動
- D24: トリプシン消化、及び12ウェルのボックス中の細胞クローンのインキュベーション(120,000細胞/ウェル)
- D27: ウェルのリンスと、無血清DMEM培地への接種
- D30: 馴化培地の回収及び各培地中でのネトリン4の定量分析。
【0128】
ネトリン4 (NET-4)又は変異ネトリン4 (NET-4m)をトランスフェクションさせたクローンが、等しい倍加時間(26〜30時間)を有することを確認した後に、各培地のネトリン4の含量を、増殖試験に関する段落に記載したようにして測定した。4μlの馴化培地を、100μlの培養培地に加えた。結果は、対照(4μlのDMEM培地を含有するウェル)との比較での増殖パーセンテージで示す。
いくつかのクローンを、各トランスフェクションについて選択した。FS2及びFS3は、NET-4mでトランスフェクションされたLS174細胞の2つの代表的なクローンである。DeltaC1及びDeltaC2は、NET-4m DeltaCでトランスフェクションされたLS174細胞の2つの代表的なクローンである。
【0129】
トランスフェクションされたPC3細胞のクローンの腫瘍形成能の分析
トランスフェクションされていないPC3細胞、及びNET4mでトランスフェクションされたPC3細胞(クローン1及び5)を、ヌードマウスの側腹部に注射した(1百万の細胞前注射)。各腫瘍の長さ(L)及び幅(l)を、カリパスで測定し、体積を、式0.52×L×l2で表す。図3によると、クローン1及び5により、PC3細胞を用いて得られる腫瘍よりもかなり小さい腫瘍が得られるようである。減少は、80%より大きい。
よって、本発明の変異ネトリン4 (NET-4m)は、その血管新生抑制活性により、抗腫瘍活性を示す。変異ネトリン4は、細胞の増殖の比率を、それぞれ30% (クローン1)及び60% (クローン5)減少させるようである。PC3細胞における変異ネトリン4の発現は、周細胞による内皮細胞の被覆を、それぞれ1.3倍(クローン1)及び2倍(クローン5)増大させるようである。実際に、比率CD31/デスミン(図3C)の減少は、変異ネトリン4でトランスフェクションされたPC3細胞から得られた腫瘍において、周細胞で被覆されていない内皮細胞がより少ないことを示す。
【0130】
トランスフェクションされたLS 174細胞のクローンの腫瘍形成能の分析
トランスフェクションされていないLS 174細胞、NET-4mでトランスフェクションされたLS 174細胞(FS3及びFS4)、並びにDeltaC NET-4mでトランスフェクションされたLS 174細胞(DeltaC1及びDeltaC2)を、ヌードマウスの側腹部に注射した(1百万の細胞前注射)。各腫瘍の長さ(L)及び幅(l)を、カリパスで測定し、体積を、式0.52×L×l2で表す。腫瘍の体積を、J 25で記録し、トランスフェクションされていないLS174腫瘍の体積のパーセンテージとして表す。
【0131】
図12によると、クローンFS2及びFS3により、LS 174細胞、又はDeltaC NET4mでトランスフェクションされたLS 174細胞を用いて得られるよりもかなり小さい腫瘍が得られるようである。
よって、本発明の変異ネトリン4 (FS2及びFS3)は、その血管新生抑制活性により、抗腫瘍活性を示す。DeltaC欠損ネトリン4腫瘍は、親の細胞として挙動し、よって、ネトリン4のC-末端配列が、その腫瘍血管新生抑制活性に必要であるが、その脈絡膜の血管新生を阻害する活性については必要でないようである。
【0132】
VEGFの阻害に対するNET-4mの相乗効果
今回、VEGFが病原性血管新生の主要な作用因子であり、その阻害が、主要な治療経路であることがよくわかる。抗VEGF抗体は、AVASTIN (登録商標)の名称で市販されている。ネトリン4 (NET-4)が、VEGFのものとは異なる作用機構により作用することがわかっているので、ネトリン4 (NET-4)と、AVASTIN (登録商標)の名称で市販されている抗VEGF抗体との相乗効果を測定した。
【0133】
マウスに、トランスフェクションされていない結腸癌LS 174細胞、又はNET-4をトランスフェクションさせたLS 174細胞(クローンFS3 8、10又は15)を移植した。腫瘍が400 mm3を超える体積になってすぐに、マウスに、AVASTIN (登録商標)を腹膜注射により与え(3日ごとに50μg)、この用量は、ヒト病変における治療上の推奨量(10 mg/kg/1週間おき)であり、腫瘍の体積を、上記のようにして測定した。
図4Aによると、AVASTIN (登録商標)は、トランスフェクションされていないLS 174に対して影響を有さず、処置されたか又はされていない腫瘍の倍加時間が3〜4日であったことがわかる。これとは逆に、トランスフェクションされたクローンFS3の体積倍加時間は、未処置のマウスにおいて5日、及び処置マウスにおいて9日であった(図4B)。よって、ネトリン4は、大きい腫瘍における抗VEGF処置に対する感受性の保持を可能にした。
【0134】
SMCの遊走に対するNET-4m (MC4)の影響
pgsA-745 CHO細胞に、変異ネトリン4 (MC4)の全配列を含むPCDNA-3発現ベクターをトランスフェクションさせた。16時間後に、細胞を、DMEM培地とインキュベートし、馴化培地を48時間後に回収した。SMC細胞に対する遊走活性を、上記のようにして測定した(図6を参照)。
【0135】
脈絡膜新血管新生(図5A、5B、5C及び11)
8週齢のBrown Norwayラット(Janvier, Le Genest-St Isle, France)に、0.14 mlのペントバルビタールナトリウム(Sanofi Sante Animale)の腹腔内注射により麻酔をかけた。瞳孔を、1%トロピカミド(Thea, Clermont-Ferrand, France)を用いて散大させた。光凝固損傷を、532 nmに設定され、スリットランプ上に設置され、コンタクトレンズの役割を満たすカバーガラスを有する(150mW、100ms及び100μmに固定したパラメータ)アルゴンレーザ光凝固装置(Quantel Medical Clermont-Ferrand, France)を用いて、視神経の周りに、視神経乳頭から1〜2円板径(disc diameters)離れて創出した。この研究に含めた全ての処置した目において、レーザ放射の後に、網膜表面にて反応性の気泡が観察され、これは、適切な焦点合わせの証明及びブルッフ膜の破裂を示唆する。ラットに、ネトリン4 (1 ngのNET-4m)を、5μlの容量で、網膜下空間の下に、レーザ光凝固後の第7日及び第10日に注射した。レーザ処置の14日後に、全ての動物を、50 mg/mlの蛍光標識デキストラン(FITC-デキストラン; 平均分子質量2×106; Sigma-Aldrich)を含む1 mlのPBSで潅流し、犠牲にした。目を回収し、PBS 4%パラホルムアルデヒド(PAF)溶液(LADD, Inland Europe, Conflans-sur-Lanterne, France)で固定した。網膜及び脈絡膜を解剖し、メタノール中で室温にてさらに15分間固定した。摘出した目を、赤道で切断し、水晶体及び硝子体を含む前半分を廃棄した。生物顕微鏡(Wild M3Z, Heerbrugg)の下で、特別なはさみ及びピンセットを用いることにより、網膜を、眼杯及び視神経から注意深く剥離した。複合強膜-脈絡膜及び網膜を含有する目の後方の区画を、4つに放射状に切断することにより4分の1ずつに切断した。PBSで洗浄した後に、平坦なマウントを、gelmount (登録商標) (Biomeda, Foster City, CA, USA)を用いて載せ、風乾し、蛍光顕微鏡 (BX51; Olympus, Melville, NY)下で、適切であれば488 nm又は594 nmの励起波長にて調べた。CNV複合体の発生率及びサイズを、Image J Software (v1.36, NIH, USA)を用いて、画像の形態計測分析により評点した。血管新生の開始後のNET-4m (1 ng)の網膜下注射は、デキストラン潅流により可視化されるように、70%を超えて、脈絡膜新血管新生を低減させた。
【0136】
C57BL/6マウス(Janvier, Le Genest-St Isle, France)に、0.14 mlのペントバルビタールナトリウム(Sanofi Sante Animale)の腹腔内注射により麻酔をかけた。瞳孔を、1%トロピカミド(Thea, Clermont-Ferrand, France)を用いて散大させた。光凝固損傷を、532 nmに設定され、スリットランプ上に設置され、コンタクトレンズの役割を満たすカバーガラスを有する(150mW、100ms及び100μmに固定したパラメータ)アルゴンレーザ光凝固装置(Quantel Medical Clermont-Ferrand, France)を用いて、視神経の周りに、視神経乳頭から1〜2円板径離れて創出した。この研究に含めた全ての処置した目において、レーザ放射の後に、網膜表面にて反応性の気泡が観察され、これは、適切な焦点合わせの証明及びブルッフ膜の破裂を示唆する。マウスに、ネトリン4 (20pgのNET-4m)を、1μlの容量で、硝子体内の空間の下に、レーザ光凝固後の第7日及び第10日に注射した。レーザ処置の14日後に、全ての動物を、50 mg/mlの蛍光標識デキストラン(FITC-デキストラン; 平均分子質量2×106; Sigma-Aldrich)を含む1 mlのPBSで潅流し、犠牲にした。目を回収し、PBS 4%パラホルムアルデヒド(PAF)溶液(LADD, Inland Europe, Conflans-sur-Lanterne, France)で固定した。網膜及び脈絡膜を解剖し、メタノール中で室温にてさらに15分間固定した。摘出した目を、赤道で切断し、水晶体及び硝子体を含む前半分を廃棄した。生物顕微鏡(Wild M3Z, Heerbrugg)の下で、特別なはさみ及びピンセットを用いることにより、網膜を、眼杯及び視神経から注意深く剥離した。複合強膜-脈絡膜及び網膜を含有する目の後方の区画を、4つに放射状に切断することにより4分の1ずつに切断した。PBSで洗浄した後に、平坦なマウントを、gelmount (登録商標) (Biomeda, Foster City, CA, USA)を用いて載せ、風乾し、蛍光顕微鏡 (BX51; Olympus, Melville, NY)下で、適切であれば488 nm又は594 nmの励起波長にて調べた。CNV複合体の発生率及びサイズを、Image J Software (v1.36, NIH, USA)を用いて、画像の形態計測分析により評点した。血管新生の開始後のNET-4m又はDeltaC NET-4mの硝子体内への注射は、デキストラン潅流により可視化されるように、それぞれ74 %及び62 %、脈絡膜新血管新生を低減させた。
【0137】
図5 A、B、C及び図11のデータは、NET-4mが、マウス及びラットにおける脈絡膜新血管新生を阻害し、NET-4mが、網膜下又は硝子体内の経路で供給できることを示す。
【0138】
腹膜(Peritoneous)癌腫症
106のLS 174又は変異をトランスフェクションさせたLS 174 (上記のFS3)を、Nod-Scidマウスの腹腔内に注射した。21日後に、癌腫症を、Sugerbakerのスコア(腹腔内での癌の伝播に関する所見及び規則正しい病態生理学を支持する概念。Cancer Treat Res. 1996; 82:79〜100)により記録した。腹水を回収し、その容量を測定し、腹腔の顕微鏡写真を撮影した。
図9Aに示すように、Sugerbakerの毎日のスコアは、LS 174腫瘍において0.78であり、0.75±0.2であり、FS3腫瘍において0.35±0.12に減少した(p<0.05)。腹水の容量(図9B)は、FS3腫瘍において、1.5±0.9 mlから0.1±0.1 mlに減少した。図9Cにおいて、腹膜の腔内(endovavital)面は、LS 174腫瘍中の新しい血管に沿って整列する多くの腫瘍を含んでいたが、血管は、FS3を注射したマウスにおいては薄く、腫瘍がなかったことがわかる。
【0139】
抗がん剤としての周細胞及び変異ネトリン4の組み合わせ
図10に示すように、PC3細胞に由来する腫瘍を有するヌードマウスへの周細胞の注射は、抗腫瘍活性を有さない。PC3細胞に、変異ネトリン4をトランスフェクションさせたときに、腫瘍の体積はより低く、周細胞の注射によりほぼ完全になくなった。
【0140】
NET-4mタンパク質の製造
pgsA-745 CHO細胞を、抗生物質及び胎児ウシ血清10%を補ったDMEM培地中で成長させる。トランスフェクションのプロトコルは、以下のようにして確立した。
- D1: 低密度細胞(10,000細胞/cm2)の、10 cm径のボックスへの接種
- D2: pcDNA3-NET4又はpcDNA-3-NET-4mまたは上記のその他の配列でのトランスフェクション
5μgのプラスミドを、5μlのリポフェクタミン及び100μlのDMEM (抗生物質なし)と、30分間、周囲温度にて、穏やかに混合した。混合物を、次いで、5 mlのDMEM中で希釈し、CHO細胞を含むボックス中に滴状に置く。37℃のインキュベータ中で16時間のインキュベーションの後に、培地をポンプで取り出し、10 mlの新鮮な培地に置き換える。
- D5: 馴化培地の回収。
【0141】
NET-4mタンパク質の精製
馴化培地を、10 mM Hepesバッファーを用いてpH 7.4に調製し、10 mlの混合物を、200μlのカチオン交換マトリクス(Spセファロース, Pharmacia)と、4℃にて4時間混合した。混合物を、800 gにて5分間遠心分離した。ペレットを、0.1 M NaClを含有する10 mM Hepesで洗浄した。次いで、NET-4mタンパク質を、Spセファロースから、NaClの段階的な勾配(0.2 M、0.4 M、0.8 M NaCl)により、フラクション当たり0.5 mlの最終容量で溶出した。活性なNET-4mは、0.4と0.8 Mの間のNaClで溶出された。活性物質(上記のようなELISAアッセイにより決定)を、10 mM Hepesを含有する蒸留H2O 2容量で希釈し、ヘパリンセファロース(Pharmacia)カラムクロマトグラフィー(200μl)に供した。カラムを、次いで、1 mlの0.3 M NaCl含有10 mM Hepesで洗浄した。NET-4mタンパク質を、次いで、0.5 mlの1.2 M NaCl 含有10 mM Hepesで溶出し、SMC細胞に対するその分裂促進活性についてアッセイした。
【0142】
図13は、置換変異体(sNET-4m) 2、5及び6がわずかに活性であるが、変異体3及び4は、NET-4mの完全な分裂促進活性を保持していたことを示す。よって、1〜332配列の中の変異が、機能の増加に重要でないことが想定できる。NET-4m配列中でTyr 472をCysに置き換えることにより(変異体5)、NET-4mの分裂促進活性が、野生型NET-4のものにまで減少される。よって、Cys 472のTyrによる置換が、NET-4m機能の上昇に起因することが想定できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、変異ネトリン(netrin) 4、及びそのフラグメントに関する。本発明は、また、該変異ネトリン4及びそのフラグメントの薬剤、特に血管新生抑制薬としての使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
ネトリン4は、軸索誘導分子であるネトリンファミリーに属する。今日までに、このファミリーの4つのメンバーが知られている(ネトリン1、ネトリンG、ネトリン3及びネトリン4)。ネトリン4は、ヘパリン、3 EGF-ドメイン及びラミニンドメインと相互作用する塩基性C-末端ドメインからなるタンパク質である(Yurchenco PD, Wadsworth WG (2004) 初期胚性ラミニン及びネトリンの組み立て及び組織機能(Assembly and tissue functions of early embryonic laminins and netrins.) Curr Opin Cell Biol. 16(5):572〜9)。
【0003】
2003年11月6日に公開された米国特許出願第2003/0207347A1号は、天然のネトリン4及びその使用について記載している。より具体的には、この出願は、血管新生を調節するための特性を示すネトリン4由来ポリペプチド、及び血管の発達、特に血管新生の調節プロセスにおける、より具体的には、特に腫瘍における血管新生の阻害におけるネトリン4の使用について記載している。
【0004】
国際特許出願第WO 2006/054000号は、腫瘍性又は非腫瘍性の病変の予防又は治療のための薬剤の製造のための変異ネトリン4の使用について記載し、該変異ネトリン4は、血管新生抑制活性を有する。
しかし、この文献に開示される配列のうち、いくつかの不適切な変異ネトリン4配列は、配列決定のエラーを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、新しい血管新生抑制薬を提供することである。
本発明の別の目的は、血管新生に関わる治療、特に通常の抗腫瘍治療の効率、又は腫瘍以外の病変において用いられる血管新生抑制治療の効率を増大することを可能にする組み合わせ治療を提供することである。
今日まで、加齢に関する黄斑変性又は新血管新生を伴うその他の目の疾患の治療に用いられるような通常の薬剤と相互作用し得る治療剤は知られていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の配列の1つを含むか、またはそれからなるタンパク質に関する:
配列番号2若しくは配列番号4の配列;又は
配列番号2q (qは、3〜36まで変動する)の配列の1つにより表される上記の配列のフラグメント;又は
配列番号185〜配列番号209からなる群より選択される配列の1つ。
【0007】
上記の配列番号2のタンパク質は、変異ネトリン4に相当する新しいタンパク質であり、上記の配列番号4のタンパク質は、シグナルペプチドを有さない配列番号2のタンパク質に関する。
配列番号2の配列は、628アミノ酸残基を含み、配列番号4の配列は、609アミノ酸を含み、残基20から残基628までの配列番号2のフラグメントである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1Aは、大動脈からの平滑筋細胞の増殖試験に対応する。図1Bは、大動脈からの平滑筋細胞の遊走試験に対応する。
【図2】PC3細胞の上清の影響を決定するためのHUAEC細胞の増殖試験に対応する。
【図3】図3Aは、腫瘍の進行の分析に対応する。図3Bは、CD 31陽性細胞(内皮細胞)に対するKi67陽性細胞(増殖性細胞)の比率を示す。図3Cは、CD 31陽性細胞(内皮細胞)に対するデスミン陽性細胞(周細胞)の比率を示す。
【図4】変異NET-4mの完全配列を有するベクターでトランスフェクションされていない(nt)(図4A)か又はトランスフェクションされた(トランスフェクションされたクローンFS3)(図4B)結腸癌LS 174細胞の、AVASTIN (登録商標)の存在下での腫瘍の進行の分析を示す。
【図5】中央の灰色のレーザ衝撃の周囲の脈絡膜新血管を可視化するための蛍光デキストランの潅流に対応する。
【図6】変異ネトリン4の欠失変異体の存在下での大動脈からの平滑筋細胞の遊走試験を示す。
【図7】本発明の変異ネトリン4 (N4m)についてのマトリゲルアッセイの結果を示す。
【図8】インビトロ血管新生アッセイの結果を示す。
【図9】図9Aは、癌腫症スコアの1日平均増加を示す。図9Bは、FS 3及びLS 174腫瘍についてのmlでの腹水の用量を表す。図9Cは、FS3及びLS174を注射されたマウスにおける腹膜の腔内表面を表す。
【図10】トランスフェクションされたか又はされていないPC3細胞の腫瘍進行の分析を示す。
【図11】レーザ衝撃の周囲の脈絡膜新血管を可視化するための蛍光デキストランの潅流に対応する。
【図12】腫瘍の進行の分析に対応する。
【図13】SMCの増殖に対するネトリン4変異体の影響の分析に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
配列番号2の配列で表される変異ネトリン4は、以下の15個の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 13位のシステインのアルギニンへの置換、
- 68位のリジンのスレオニンへの置換、
- 183位のセリンのプロリンへの置換、
- 205位のヒスチジンのチロシンへの置換、
- 234位のシステインのチロシンへの置換、
- 331位のアラニンのスレオニンへの置換、
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、
- 472位のシステインのチロシンへの置換、
- 515位のアスパラギンのリジンへの置換、
- 589位のバリンのアラニンへの置換、
- 625位のアルギニンのグルタミン酸への置換、
- 626位のグルタミン酸のセリンへの置換、
- 627位のシステインのアラニンへの置換、
- 628位のリジンのセリンへの置換。
【0010】
配列番号6〜配列番号72のタンパク質配列に相当する上記のフラグメントは、上記の変異ネトリン4の新しいフラグメントである。
上記の配列番号2qの配列は、配列番号6〜72のタンパク質配列に相当し、つまり、以下のタンパク質配列である:配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70及び配列番号72。
【0011】
配列番号6の配列は、ヒト変異ネトリン4のEGF-フラグメントであり、該フラグメントは、配列番号5のヌクレオチド配列によりコードされる。このフラグメントは、255アミノ酸を含み、配列番号2の配列の残基261〜残基515までの変異ネトリン4のフラグメントに相当する。
配列番号8の配列は、配列番号7のヌクレオチド配列によりコードされる変異ネトリン4のフラグメントである。このフラグメントは、515アミノ酸を含み、配列番号2の配列の残基1〜残基515までの変異ネトリン4のフラグメントに相当する。
【0012】
配列番号10〜配列番号72のタンパク質配列に相当する変異ネトリン4のフラグメント、及び対応する配列番号9〜配列番号71のヌクレオチド配列を、以下の表に示す。
【表1】
【0013】
上記の配列番号185〜配列番号209のタンパク質は、変異ネトリン4に相当する新しいタンパク質である。
配列番号185の配列で表される変異ネトリン4は、以下の14個の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 68位のリジンのスレオニンへの置換、
- 183位のセリンのプロリンへの置換、
- 205位のヒスチジンのチロシンへの置換、
- 234位のシステインのチロシンへの置換、
- 331位のアラニンのスレオニンへの置換、
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、
- 472位のシステインのチロシンへの置換、
- 515位のアスパラギンのリジンへの置換、
- 589位のバリンのアラニンへの置換、
- 625位のアルギニンのグルタミン酸への置換、
- 626位のグルタミン酸のセリンへの置換、
- 627位のシステインのアラニンへの置換、及び
- 628位のリジンのセリンへの置換。
【0014】
配列番号186の配列で表される変異ネトリン4は、以下の13個の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 68位のリジンのスレオニンへの置換、
- 183位のセリンのプロリンへの置換、
- 205位のヒスチジンのチロシンへの置換、
- 234位のシステインのチロシンへの置換、
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、
- 472位のシステインのチロシンへの置換、
- 515位のアスパラギンのリジンへの置換、
- 589位のバリンのアラニンへの置換、
- 625位のアルギニンのグルタミン酸への置換、
- 626位のグルタミン酸のセリンへの置換、
- 627位のシステインのアラニンへの置換、及び
- 628位のリジンのセリンへの置換。
【0015】
配列番号187の配列で表される変異ネトリン4は、以下の13個の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 68位のリジンのスレオニンへの置換、
- 183位のセリンのプロリンへの置換、
- 205位のヒスチジンのチロシンへの置換、
- 234位のシステインのチロシンへの置換、
- 331位のアラニンのスレオニンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、
- 472位のシステインのチロシンへの置換、
- 515位のアスパラギンのリジンへの置換、
- 589位のバリンのアラニンへの置換、
- 625位のアルギニンのグルタミン酸への置換、
- 626位のグルタミン酸のセリンへの置換、
- 627位のシステインのアラニンへの置換、及び
- 628位のリジンのセリンへの置換。
【0016】
配列番号188の配列で表される変異ネトリン4は、以下の12個の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 68位のリジンのスレオニンへの置換、
- 183位のセリンのプロリンへの置換、
- 205位のヒスチジンのチロシンへの置換、
- 234位のシステインのチロシンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、
- 472位のシステインのチロシンへの置換、
- 515位のアスパラギンのリジンへの置換、
- 589位のバリンのアラニンへの置換、
- 625位のアルギニンのグルタミン酸への置換、
- 626位のグルタミン酸のセリンへの置換、
- 627位のシステインのアラニンへの置換、及び
- 628位のリジンのセリンへの置換。
【0017】
配列番号189の配列で表される変異ネトリン4は、以下の14個の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 68位のリジンのスレオニンへの置換、
- 183位のセリンのプロリンへの置換、
- 205位のヒスチジンのチロシンへの置換、
- 234位のシステインのチロシンへの置換、
- 331位のアラニンのスレオニンへの置換、
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、
- 515位のアスパラギンのリジンへの置換、
- 589位のバリンのアラニンへの置換、
- 625位のアルギニンのグルタミン酸への置換、
- 626位のグルタミン酸のセリンへの置換、
- 627位のシステインのアラニンへの置換、及び
- 628位のリジンのセリンへの置換。
【0018】
配列番号190の配列で表される変異ネトリン4は、以下の14個の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 68位のリジンのスレオニンへの置換、
- 183位のセリンのプロリンへの置換、
- 205位のヒスチジンのチロシンへの置換、
- 234位のシステインのチロシンへの置換、
- 331位のアラニンのスレオニンへの置換、
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、
- 472位のシステインのチロシンへの置換、
- 515位のアスパラギンのリジンへの置換、
- 625位のアルギニンのグルタミン酸への置換、
- 626位のグルタミン酸のセリンへの置換、
- 627位のシステインのアラニンへの置換、及び
- 628位のリジンのセリンへの置換。
【0019】
配列番号191の配列で表される変異ネトリン4は、以下の14個の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 68位のリジンのスレオニンへの置換、
- 183位のセリンのプロリンへの置換、
- 205位のヒスチジンのチロシンへの置換、
- 234位のシステインのチロシンへの置換、
- 331位のアラニンのスレオニンへの置換、
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、
- 472位のシステインのチロシンへの置換、及び
- 515位のアスパラギンのリジンへの置換。
【0020】
配列番号2及び配列番号185〜配列番号191のタンパク質配列に相当する変異ネトリン4、並びに配列番号178のタンパク質配列に相当する天然ネトリン4、並びに対応する変異を、以下の表に示す。
【0021】
【表2】
【0022】
配列番号185〜配列番号191のタンパク質配列に相当する上記のタンパク質は、ネトリン4の置換変異体(sNET-4m) 1〜7に相当する(実施例の項を参照)。
【0023】
配列番号192の配列で表される変異ネトリン4は、以下の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 472位のシステインのチロシンへの置換。
配列番号193の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸516〜618が欠失された配列番号192で表される変異ネトリン4に相当し、配列番号204の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸478〜618が欠失された配列番号192で表される変異ネトリン4に相当する。
【0024】
配列番号194の配列で表される変異ネトリン4は、以下の変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換。
配列番号195の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸516〜618が欠失された配列番号194で表される変異ネトリン4に相当し、配列番号205の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸478〜618が欠失された配列番号194で表される変異ネトリン4に相当する。
【0025】
配列番号196の配列で表される変異ネトリン4は、以下の2つの変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、及び
- 472位のシステインのチロシンへの置換。
配列番号197の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸516〜618が欠失された配列番号196で表される変異ネトリン4に相当し、配列番号206の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸478〜618が欠失された配列番号196で表される変異ネトリン4に相当する。
【0026】
配列番号198の配列で表される変異ネトリン4は、以下の2つの変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、及び
- 472位のシステインのチロシンへの置換。
配列番号199の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸516〜618が欠失された配列番号198で表される変異ネトリン4に相当し、配列番号207の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸478〜618が欠失された配列番号198で表される変異ネトリン4に相当する。
【0027】
配列番号200の配列で表される変異ネトリン4は、以下の3つの変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換、及び
- 472位のシステインのチロシンへの置換。
配列番号201の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸516〜618が欠失された配列番号200で表される変異ネトリン4に相当し、配列番号208の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸478〜618が欠失された配列番号200で表される変異ネトリン4に相当する。
【0028】
配列番号202の配列で表される変異ネトリン4は、以下の2つの変異を有する配列番号178で表されるネトリン4タンパク質に相当する:
- 332位のシステインのアルギニンへの置換、及び
- 353位のアスパラギンのセリンへの置換。
配列番号203の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸516〜618が欠失された配列番号198で表される変異ネトリン4に相当し、配列番号209の配列で表される変異ネトリン4は、アミノ酸478〜618が欠失された配列番号202で表される変異ネトリン4に相当する。
【0029】
配列番号192〜配列番号203のタンパク質配列に相当する変異ネトリン4、並びに対応する変異を、以下の表に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
本発明の変異ネトリン4及び本発明のフラグメントは、血管新生の阻害活性を有する。
血管新生の阻害活性は、血管新生抑制活性ともよばれる。この活性は、例えば、内皮細胞の増殖、遊走及び分化の、上記の本発明の変異タンパク質又はフラグメントによる阻害を示すことにより、インビトロで検出できる。内皮細胞増殖の阻害の測定は、内皮細胞を、その活性が試験されるタンパク質又はフラグメントの存在下で培養することによっても行うことができる。内皮細胞の遊走の阻害の測定は、内皮細胞のカーペット上の「創傷(wound)」を行い、試験されるフラグメントの存在下で細胞をインキュベートすることによっても試験できる。創傷上に遊走した細胞数を、次いで、測定する。内皮細胞の発芽(管形成)の阻害の測定は、試験されるフラグメントの存在下で、ゲル上で培養された内皮細胞により形成される管の長さを測定することにより行うことができる。
【0032】
血管新生の測定のための伝統的なモデルのうち、以下のものを挙げることができる(局所投与によるモデル):
- 本発明の化合物を含浸させたMatrigel (Becton Dickinson)の皮下注射(Inoki I, Shiomi T, Hashimoto G, Enomoto H, Nakamura H, Makino K, Ikeda E, Takata S, Kobayashi K, Okada Y (2002) Connective tissue growth factor binds vascular endothelial growth factor (VEGF) and inhibits VEGF-induced angiogenesis. FASEB J. 16(2):219〜21)、又は
- 本発明の化合物を含有するインプラントの、鶏漿尿膜への適用(Plouet J., Schilling J., Gospodarowicz D., EMBO J. 1989 Dec 1;8(12):3801〜6)。
【0033】
或いは、本発明のフラグメントは、実験的な血管新生に関する疾患が創出された動物に、全身経路(静脈内、腹膜内及び皮下経路)により注入できる。本発明のフラグメントは、腫瘍に直接注入することもできる。或いは、本発明のフラグメント又は抗イディオタイプ抗体(以下に記載する)は、本発明のフラグメント又は抗イディオタイプ抗体の発現を可能にする任意の方法により、局所的又は全身経路による遺伝子治療法によって投与できる。或いは、本発明のフラグメント又は抗イディオタイプ抗体は、癌細胞にトランスフェクションされるプラスミドに挿入できる。これらの全ての測定方法は、特に、Jain RK, Schlenger K, Hockel M, Yuan F (1997) Quantitative angiogenesis assays: progress and problems. Nat Med. 3(11):1203〜8の文献に記載されている。
【0034】
抗腫瘍活性とは、腫瘍の成長阻害及び/又は退縮の誘導、並びに腫瘍の消滅さえも可能にする活性のことをいう。例えば、この活性は、腫瘍細胞の注入によりマウスでその出現が誘導された腫瘍量を、本発明のペプチド配列及び/又は本発明のペプチド配列を発現する核酸の投与の存在下及び不在下で測定することによりインビボで検出できる。
【0035】
本発明の変異タンパク質及び本発明のフラグメントは、周細胞活性化活性を有することも特徴とする。
周細胞を活性化するこの活性は、特に、本明細書において以下に、そして特に実験部分に記載される増殖及び遊走試験により確認される。
本発明は、特に、ネトリンが、周細胞及び平滑筋細胞(SMC)のUNC5H4受容体に結合するという事実に基づく。
【0036】
本発明は、上記のタンパク質をコードするヌクレオチド配列、すなわち、変異ネトリン4をコードするヌクレオチド配列にも関する。
本発明の好ましいヌクレオチド配列は:
- 配列番号2をコードする配列番号1のヌクレオチド配列、若しくは配列番号4をコードする配列番号3のヌクレオチド配列、又は
- 配列番号2q-1 (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表されるこれらのヌクレオチド配列の1つのフラグメント
を含むか、又はこれからなることを特徴とするヌクレオチド配列である。
【0037】
上記の配列番号2q-1の配列は、配列番号2qで表される変異ネトリン4の上記のフラグメントをコードし、これらは、以下のヌクレオチド配列:配列番号6をコードする配列番号5、配列番号8をコードする配列番号7、配列番号10をコードする配列番号9、配列番号12をコードする配列番号11、配列番号14をコードする配列番号13、配列番号16をコードする配列番号15、配列番号18をコードする配列番号17、配列番号20をコードする配列番号19、配列番号22をコードする配列番号21、配列番号24をコードする配列番号23、配列番号26をコードする配列番号25、配列番号28をコードする配列番号27、配列番号30をコードする配列番号29、配列番号32をコードする配列番号31、配列番号34をコードする配列番号33、配列番号36をコードする配列番号35、配列番号38をコードする配列番号37、配列番号40をコードする配列番号39、配列番号42をコードする配列番号41、配列番号44をコードする配列番号43、配列番号46をコードする配列番号45、配列番号48をコードする配列番号47、配列番号50をコードする配列番号49、配列番号52をコードする配列番号51、配列番号54をコードする配列番号53、配列番号56をコードする配列番号55、配列番号58をコードする配列番号57、配列番号60をコードする配列番号59、配列番号62をコードする配列番号61、配列番号64をコードする配列番号63、配列番号66をコードする配列番号65、配列番号68をコードする配列番号67、配列番号70をコードする配列番号69、及び配列番号72をコードする配列番号71に相当する。
【0038】
本発明は、上記で定義されるヌクレオチド配列を含むプラスミド、コスミド、ファージ又はウイルスDNAのような組換えベクターであって、特に、該ベクターに挿入された上記のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドの宿主細胞での発現に必要な要素を含有することを特徴とするベクターに関する。
本発明は、特に細菌、ウイルス、酵母、真菌細胞、植物細胞又は哺乳動物細胞から選択される宿主細胞であって、特に上記で定義される組換えベクターを用いて形質転換された宿主細胞に関する。
【0039】
本発明は、上記のような本発明のタンパク質に特異的に指向されたことを特徴とする抗体にも関する。
本発明は、上記のような抗体の抗イディオタイプ抗体にも関する。
本発明は、上記の抗イディオタイプ抗体のFabフラグメントにも関する。
【0040】
本発明は、活性成分として:
- 上記で定義されるタンパク質、又は
- 上記で定義されるヌクレオチド配列、又は
- 上記で定義される抗体、又は
- 上記で定義される抗イディオタイプ抗体、又は
- 上記で定義される抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
を含む医薬組成物にも関する。
【0041】
本発明は、配列番号2又は配列番号4の配列で表される上記で定義される変異ネトリン4の、約0.1〜約2,000μg/kgの量で、特に静脈内、皮下、全身若しくは硝子体内の経路により、又は浸潤若しくは洗眼剤を用いる、及びおそらく電気透過(electropermeation)を伴う局所経路により送達される薬剤の製造のための使用にも関する。
変異ネトリン4は、変異ネトリン4をコードするプラスミドの注入を用いても送達できる。
或いは、本発明のタンパク質又はフラグメントのいずれの1つは、タンパク質又はフラグメントをデバイス上に固定した後の任意の血管内デバイス(ステント)により送達できる。
【0042】
本発明は:
- 上記で定義されるタンパク質、又は
- 上記で定義されるヌクレオチド配列、又は
- 上記で定義される抗体、又は
- 上記で定義される抗イディオタイプ抗体、又は
- 上記で定義される抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関わる病変の予防又は治療用、特に癌及び白血病、近視併発脈絡膜新血管新生、角膜新血管新生、特に移植片拒絶、緑内障、糖尿病性網膜症又は未熟児網膜症、リウマチ性関節炎、関節症性乾癬、血管腫、血管肉腫、カストルマン病及びカポジ肉腫からなる群より選択される病変の予防又は治療用、或いは肥満又は網膜新血管新生の治療用の薬剤の製造のための使用にも関する。
【0043】
「内皮細胞増殖の阻害」との表現は、以下に記載される増殖試験に従って、内皮細胞の増殖を遅くできる任意の物質のことをいう。
【0044】
ある好ましい実施形態において、本発明は:
- 配列番号2の配列で表される変異ネトリン4、配列番号4の配列で表される変異ネトリン4、又は配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、 配列番号72、配列番号185、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号192、配列番号194、配列番号196、配列番号198、配列番号200及び配列番号202のタンパク質配列に相当する変異ネトリン4のフラグメントからなる群より選択されるタンパク質、或いは
【0045】
- 配列番号2をコードする配列番号1、又は配列番号4をコードする配列番号3の配列をコードするヌクレオチド、又は配列番号12をコードする配列番号11、配列番号14をコードする配列番号13、配列番号16をコードする配列番号15、配列番号18をコードする配列番号17、配列番号20をコードする配列番号19、配列番号22をコードする配列番号21、配列番号24をコードする配列番号23、配列番号26をコードする配列番号25、配列番号28をコードする配列番号27、配列番号30をコードする配列番号29、配列番号32をコードする配列番号31、配列番号34をコードする配列番号33、配列番号36をコードする配列番号35、配列番号38をコードする配列番号37、配列番号40をコードする配列番号39、配列番号42をコードする配列番号41、配列番号44をコードする配列番号43、配列番号46をコードする配列番号45、配列番号48をコードする配列番号47、配列番号50をコードする配列番号49、配列番号52をコードする配列番号51、配列番号54をコードする配列番号53、配列番号58をコードする配列番号57、配列番号60をコードする配列番号59、配列番号62をコードする配列番号61、配列番号64をコードする配列番号63、配列番号66をコードする配列番号65、配列番号68をコードする配列番号67、配列番号70をコードする配列番号69、及び配列番号72をコードする配列番号71からなる群より選択される変異ネトリン4のフラグメントをコードする核酸配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列、或いは
【0046】
- 上記のタンパク質に特異的に指向されたことを特徴とする抗体、或いは
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体、或いは
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関わる病変の予防又は治療用、特に癌及び白血病、特に血管腫、血管肉腫、カストルマン病、カポジ肉腫及びリウマチ性関節炎からなる群より選択される病変の予防又は治療用の薬剤の製造のための使用に関する。
【0047】
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明は、
- 配列番号2の配列で表される変異ネトリン4、配列番号4の配列で表される変異ネトリン4、又は配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号185、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号192 配列番号192、配列番号194、配列番号196、配列番号198、配列番号200及び配列番号202のタンパク質配列に相当する変異ネトリン4のフラグメントからなる群より選択されるタンパク質、或いは
【0048】
- 配列番号2をコードする配列番号1、又は配列番号4をコードする配列番号3の配列をコードするヌクレオチド、又は配列番号12をコードする配列番号11、配列番号14をコードする配列番号13、配列番号16をコードする配列番号15、配列番号18をコードする配列番号17、配列番号20をコードする配列番号19、配列番号22をコードする配列番号21、配列番号24をコードする配列番号23、配列番号26をコードする配列番号25、配列番号28をコードする配列番号27、配列番号30をコードする配列番号29、配列番号32をコードする配列番号31、配列番号34をコードする配列番号33、配列番号36をコードする配列番号35、配列番号38をコードする配列番号37、配列番号40をコードする配列番号39、配列番号42をコードする配列番号41、配列番号44をコードする配列番号43、配列番号46をコードする配列番号45、配列番号48をコードする配列番号47、配列番号50をコードする配列番号49、配列番号52をコードする配列番号51、配列番号54をコードする配列番号53、配列番号58をコードする配列番号57、配列番号60をコードする配列番号59、配列番号62をコードする配列番号61、配列番号64をコードする配列番号63、配列番号66をコードする配列番号65、配列番号68をコードする配列番号67、配列番号70をコードする配列番号69、及び配列番号72をコードする配列番号71からなる群より選択される変異ネトリン4のフラグメントをコードする核酸配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列、或いは
【0049】
- 上記のタンパク質に特異的に指向されたことを特徴とする抗体、或いは
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体、或いは
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関わる病変の予防又は治療用、特に近視併発脈絡膜新血管新生、角膜新血管新生、特に移植片拒絶、緑内障、糖尿病性網膜症若しくは未熟児網膜症、関節症性乾癬からなる群より選択される病変の予防又は治療用、又は肥満若しくは網膜新血管新生の治療用の薬剤の製造のための使用に関する。
【0050】
別の好ましい実施形態において、本発明は:
- 配列番号2の配列で表される変異ネトリン4、配列番号4の配列で表される変異ネトリン4、又は配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号56、配列番号193、配列番号195、配列番号197、配列番号199、配列番号201、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、配列番号207、配列番号208及び配列番号209のタンパク質配列に相当する変異ネトリン4のフラグメントからなる群より選択されるタンパク質、或いは
【0051】
- 配列番号2をコードする配列番号1、又は配列番号4をコードする配列番号3の配列をコードするヌクレオチド、又は配列番号6をコードする配列番号5、配列番号8をコードする配列番号7、配列番号10をコードする配列番号9、及び配列番号56をコードする配列番号55からなる群より選択される変異ネトリン4のフラグメントをコードする核酸配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列、或いは
【0052】
- 上記のタンパク質に特異的に指向されたことを特徴とする抗体、或いは
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体、或いは
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関わる病変の予防又は治療用、特に近視併発脈絡膜新血管新生、角膜新血管新生、特に移植片拒絶、緑内障、糖尿病性網膜症若しくは未熟児網膜症、関節症性乾癬からなる群より選択される病変の予防又は治療用、又は肥満若しくは網膜新血管新生の治療用の薬剤の製造のための使用に関する。
【0053】
本発明は、
- 上記で定義される抗体、又は
- 上記で定義される抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の刺激に関わる病変の予防又は治療用、特に下肢の動脈炎、心筋梗塞、脳血管発作、強皮症及びレイノー病のような虚血性病変からなる群より選択される病変の予防又は治療用の薬剤の製造のための使用に関する。
【0054】
内皮細胞の増殖の活性化の測定は、内皮細胞を適切な培地中に置き、次いで細胞の総数を測定することにより行うことができる。
内皮細胞の遊走の活性化の測定は、内皮細胞のカーペット上で「創傷」を創出し、次いで、試験されるタンパク質、ヌクレオチド配列又は抗イディオタイプ抗体の存在下で細胞をインキュベートすることにより行うことができる。創傷上に遊走した細胞数を、次いで、測定する。
【0055】
本発明は、
- 上記で定義されるタンパク質、又は
- 上記で定義されるヌクレオチド配列、又は
- 上記で定義される抗体、又は
- 上記で定義される抗イディオタイプ抗体、又は
- 上記で定義される抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、周細胞又は平滑筋細胞の希薄化に関連するか又はそれにより引き起こされ、周細胞又は平滑筋細胞の増殖若しくは遊走の活性化を必要とする非腫瘍性病変の予防又は治療用の薬剤の製造のための使用に関し、該非腫瘍性病変は、特に:
- 加齢に伴う黄斑変性、
- 血管新生緑内障、
- 乾癬、
- アテローム性動脈硬化症、
- 腸の奇形、
- クローン病、
- 血管性認知症又は皮質下血管性認知症、
- アルツハイマー病、
- 骨の変性性病変及び骨折、並びに
- 動脈瘤及び血管解離
からなる群より選択される。
【0056】
本発明は、周細胞若しくは平滑筋細胞の増殖又は遊走の活性化の活性が、増殖又は遊走試験に従って測定され、該活性化の活性が、上記で定義されるタンパク質、ヌクレオチド配列、抗体、抗イディオタイプ抗体又は抗イディオタイプ抗体のFabフラグメントの不在下で得られる細胞の少なくとも120%に相当することを特徴とする、上記で定義される使用にも関する。
周細胞又は平滑筋細胞の遊走の活性化の測定は、細胞のカーペット上に「創傷」を作製し、次いで、試験されるタンパク質、ヌクレオチド配列、抗体、抗イディオタイプ抗体又はFabフラグメントの存在下で細胞をインキュベートすることにより行うことができる。創傷上に遊走した細胞数を、次いで、測定する。
周細胞又は平滑筋細胞の増殖の活性化の測定は、周細胞又は平滑筋細胞を、適切な培養培地、特にいずれの血清も含まないDMEM培地中に入れ、細胞の総数を測定することにより行うことができる。
【0057】
本発明は:
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2又は配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号185又は配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、化学療法剤との、癌の治療用の薬剤の製造のための使用にも関する。
【0058】
本発明は、化学療法剤と、配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメントとを含む医薬組成物にも関し、
上記の化学療法剤は、特に、ドキソルビシン、メトトレキセート、ビンブラスチン、ビンクリスチン、クラドリビン、フルオロウラシル、シタラビン、アントラサイクリン、シスプラチン、シクロホスファミド、フルダラビン、ゲムシタビン、アロマターゼ阻害剤、イリノテカン、ナベルビン、オキサリプラチン、タキソール及びドセタキセルからなる群より選択される。
血管新生抑制薬と、化学療法剤との組み合わせは、相乗効果、及び通常の抗腫瘍療法に対する耐性の低減の誘導を可能にする。
【0059】
本発明は;
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2又は配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号185又は配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、特に、Genentech及びRocheにより製造されるAVASTIN (ベバシズマブ)、Eyetech及びPfizerにより製造されるMACUGEN (ペガプタニブ)、並びにGenentech及びNovartisにより製造されるLUCENTIS (ラニビズマブ)、又は任意のその他の抗VEGF薬、例えばSutent (Pfizer)若しくはソラフェニブ、ニューロピリン-1に対するヒト化抗体、又は任意のその他の抗VEGF薬又は任意のその他の抗VEGF薬、例えばSUTENT (スニチニブ)若しくはNEXAVAR (ソラフェニブ)、並びにDLL4に対するヒト化抗体、又はアンジオポエチン経路に干渉する薬、例えばAM 386からなる群より選択される血管新生抑制薬との、上記で定義される腫瘍性又は非腫瘍性の病変の予防又は治療用の薬剤の製造のための使用にも関する。
【0060】
本発明において、変異ネトリン4の用量は、6週間ごとで、約10〜約10,000 ng/注射、特に約100〜約5,000 ng/注射で変動する。
本発明において、血管新生抑制薬(例えばAVASTIN、MACUGEN又はLUCENTIS)の用量は、6週間ごとで、約0.3〜約1 mgまで変動する。
【0061】
本発明は、上記で定義される腫瘍性又は非腫瘍性の病変の治療又は予防のための同時、別々の又は逐次的な使用のための:
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号185若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、AVASTIN (ベバシズマブ)、MACUGEN (ペガプタニブ)及びLUCENTIS (ラニビズマブ)、又はその他の任意の抗VEGF薬、ニューロピリン-1に対するヒト化抗体、又はその他の任意の抗VEGF薬、又はその他の任意の抗VEGF薬、例えばSUTENT (スニチニブ)若しくはNEXAVAR (ソラフェニブ)、並びにDLL4に対するヒト化抗体又はアンジオポエチン経路に干渉する薬、例えばAM 386からなる群より選択される血管新生抑制薬との組み合わせ製剤にも関する。
【0062】
本発明は、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174及び配列番号176を含むか又はこれからなるタンパク質にも関する。
【0063】
配列番号74は、天然ネトリン4配列番号178の最初の19アミノ酸に相当する天然ネトリン4のシグナルペプチドと、配列番号56のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号76は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号58のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号78は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号60のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0064】
配列番号80は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号62のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号82は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号64のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号84は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号66のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号86は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号68のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0065】
配列番号88は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号70のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号90は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号72のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号92は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基515の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0066】
配列番号94は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基260及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号96は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基320及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号98は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基260、残基332〜残基387及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0067】
配列番号100は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基260、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号102は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基320、残基332〜残基387及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号104は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基260、残基332〜残基387、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0068】
配列番号106は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基320、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号108は、天然ネトリン4配列番号178のシグナルペプチドと、残基20〜残基320、残基332〜残基387、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0069】
配列番号110は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号4のタンパク質配列とを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号112は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号184のタンパク質配列とを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号114は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号6のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号116は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号10のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0070】
配列番号118は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号12のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号120は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号16のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号122は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号18のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号124は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号20のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号126は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号22のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0071】
配列番号128は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号24のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号130は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号26のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号132は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号34のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号134は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号36のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号136は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号38のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号138は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号46のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0072】
配列番号140は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号48のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号142は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号50のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号144は、配列番号178のシグナルペプチドと、配列番号54のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号146は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基261〜残基515の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号148は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基515の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号150は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号152は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基261〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号154は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基332〜残基387及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0073】
配列番号156は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基260及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号158は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基320及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号160は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基260、残基332〜残基387、及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号162は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基260、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0074】
配列番号164は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基261〜残基320、残基332〜残基387及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号166は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基332〜残基387、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号168は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基261〜残基320、残基332〜残基387、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号170は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基320、残基332〜残基387及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0075】
配列番号172は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基260、残基332〜残基387、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号174は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基320、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
配列番号176は、配列番号178のシグナルペプチドと、残基32〜残基320、残基332〜残基387、残基394〜残基445及び残基516〜残基628の配列番号182のタンパク質のフラグメントとを含むペプチド構築物に相当する。
【0076】
本発明は、
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号192若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
の、遺伝子治療のための前駆細胞又は幹細胞の任意のサンプリングから周細胞若しくは平滑筋細胞を選択、分化及び/又は増殖させるための使用にも関する。
【0077】
本発明は、
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号192若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、上記のように分化させた周細胞又は血管平滑筋細胞との組み合わせの、腫瘍血管新生を成熟させ、それにより癌の進行を阻害するための使用にも関する。
【0078】
本発明は、
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号192若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、周細胞又は血管平滑筋細胞との組み合わせの、癌の治療のための薬剤の製造のための使用にも関する。
【0079】
本発明は、周細胞又は血管平滑筋細胞と、配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は配列番号185〜配列番号209の配列の1つとの組み合わせを含む医薬組成物にも関する。
【0080】
本発明は、
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2又は配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号192若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、周細胞又は血管平滑筋細胞とを含む、癌の治療のための同時、別々又は逐次的な使用のための組み合わせ製剤にも関する。
【0081】
本発明は、
- 配列番号2q (qは、37から88まで変動する)を含むか若しくはそれからなるタンパク質、又は
- 配列番号2q-1 (qは、37から88まで変動する)の配列の1つで表されるヌクレオチド配列、又は
- 上記のタンパク質に特異的に指向されたことを特徴とする抗体、又は
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体、又は
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関する病変の予防又は治療用、特に癌及び白血病、近視併発脈絡膜新血管新生、角膜新血管新生、特に移植片拒絶、緑内障、糖尿病性網膜症又は未熟児網膜症、リウマチ性関節炎、関節症性乾癬、血管腫、血管肉腫、カストルマン病及びカポジ肉腫からなる群より選択される病変の予防又は治療用、或いは肥満又は網膜新血管新生の治療用の薬剤の製造のための使用にも関する。
【0082】
上記の配列番号2qの配列は、配列番号74〜88のタンパク質配列に相当し、すなわち、以下の:配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174及び配列番号176のタンパク質配列である。
【0083】
上記の配列番号2q-1の配列は、配列番号2qで表される上記の変異ネトリン4をコードし、これらは、以下の配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173及び配列番号175のヌクレオチド配列に相当する。
【0084】
ある好ましい実施形態において、本発明は:
- 配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174、 配列番号176を含むか又は該配列からなるタンパク質、或いは
- 配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175を含むか又は該配列からなるヌクレオチド配列、或いは
-上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体、或いは
-上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関する病変の予防又は治療用、特に癌及び白血病、特に血管腫、血管肉腫、カストルマン病、カポジ肉腫及びリウマチ性関節炎からなる群より選択される病変の予防又は治療用の薬剤の製造のための使用に関する。
【0085】
別の好ましい実施形態において、本発明は:
- 配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174、配列番号176を含むか若しくは該配列からなるタンパク質、又は
- 配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175を含むか若しくは該配列からなるヌクレオチド配列、又は
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体、又は
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関する病変の予防又は治療用、特に近視併発脈絡膜新血管新生、角膜新血管新生、特に移植片拒絶、緑内障、糖尿病性網膜症若しくは未熟児網膜症、関節症性乾癬からなる群より選択される病変の予防又は治療用、又は肥満若しくは網膜新血管新生の治療用の薬剤の製造のための使用に関する。
【0086】
別の好ましい実施形態において、本発明は:
- 配列番号74、配列番号92、配列番号114、配列番号116、配列番号146、配列番号148を含むか若しくは該配列からなるタンパク質、又は
- 配列番号73、配列番号91、配列番号113、配列番号115、配列番号145、配列番号147を含むか若しくは該配列からなるヌクレオチド配列、又は
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体、又は
- 上記の抗体に特異的に指向されたことを特徴とする抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関する病変の予防又は治療用、特に近視併発脈絡膜新血管新生、角膜新血管新生、特に移植片拒絶、緑内障、糖尿病性網膜症若しくは未熟児網膜症、関節症性乾癬からなる群より選択される病変の予防又は治療用、又は肥満若しくは網膜新血管新生の治療用の薬剤の製造のための使用に関する。
【0087】
【表4−1】
【0088】
【表4−2】
【0089】
【表5−1】
【0090】
【表5−2】
【0091】
図面
図1Aは、大動脈からの平滑筋細胞の増殖試験に対応する。x軸は、ng/mlの濃度でのタンパク質ネトリン4、又は本発明の変異ネトリン4を示し、y軸は、増殖パーセンテージを表す。左側の黒丸の曲線は、変異ネトリン4に対応し、右側の黒三角の曲線は、天然ネトリン4に対応する。
図1Bは、大動脈からの平滑筋細胞の遊走試験に対応する。細胞は、8つの強拡大視野(hpf)で計数し、平均及び標準偏差をy軸上に示す。x軸は、ng/mlの濃度でのタンパク質ネトリン4又は本発明の変異ネトリン4を示す。四角の曲線は変異ネトリン4に対応し、菱形の曲線は、ネトリン4に対応する。
【0092】
図2は、PC3細胞の上清の影響を決定するためのHUAEC細胞の増殖試験に対応し、該細胞は、本発明の変異ネトリン4 (クローン1及び5)又は天然ネトリン4 (クローン8、10及び15)でトランスフェクションされている。y軸は、増殖パーセンテージを示す。カラム1は対照(DMEM単独)であり;カラム2は、トランスフェクションされていないPC3細胞に対応し;カラム3はクローン1に対応し;カラム4はクローン5に対応し;カラム5はクローン8に対応し;カラム6はクローン10に対応し;カラム7はクローン15に対応する。
【0093】
図3Aは、腫瘍の進行の分析に対応する。x軸は日数に対応し、j = 0は、腫瘍を移植した日である。y軸は、腫瘍の体積(mm3)に対応する。菱形の曲線は、トランスフェクションされていないPC3細胞に対応し;四角の曲線は、クローン1でトランスフェクションされたPC3細胞に対応し;三角の曲線は、クローン5でトランスフェクションされたPC3細胞に対応する。図3Bは、CD 31陽性細胞(内皮細胞)に対するKi67陽性細胞(増殖性細胞)の比率を示す。左のカラムは、トランスフェクションされていないPC3細胞に対応し;中央のカラムは、クローン1でトランスフェクションされたPC3細胞に対応し;右のカラムは、クローン5でトランスフェクションされたPC3細胞に対応する。図3Cは、CD 31陽性細胞(内皮細胞)に対するデスミン陽性細胞(周細胞)の比率を示す。左のカラムは、トランスフェクションされていないPC3細胞に対応し;中央のカラムは、クローン1でトランスフェクションされたPC3細胞に対応し;右のカラムは、クローン5でトランスフェクションされたPC3細胞に対応する。
【0094】
図4A及び4Bは、変異NET-4mの完全配列を有するベクターでトランスフェクションされていない(nt)(図4A)か又はトランスフェクションされた(トランスフェクションされたクローンFS3)(図4B)結腸癌LS 174細胞の、AVASTIN (登録商標)の存在下での腫瘍の進行の分析を示す。y軸は、腫瘍の体積(mm3)を示し、x軸は、癌細胞異種移植片の接種後の時間(日)を示す。第12日において、平均腫瘍体積が400 mm3に到達したときに、Avastinを50μg/注射の用量で腹腔内注射した。四角の曲線は、未処置の腫瘍細胞に対応し、菱形の曲線は、AVASTIN処置腫瘍細胞に対応する。
【0095】
図5A、5B及び5Cは、中央の灰色のレーザ衝撃の周囲の脈絡膜新血管を可視化するための蛍光デキストランの潅流に対応する。ラットは、D (日)=0に2又は3回のレーザ衝撃を受け、次いでD=7、D=10に、ビヒクル単独(PBS) (5A)又は2μgのネトリン4 (5B)若しくは100 pgの変異ネトリン4 (5C)の網膜下注射を受けた。D=14に、ラットを犠牲にし、蛍光レクチンの潅流により、脈絡膜の新血管を可視化し、これらは図において白色で灰色のレーザ衝撃を取り囲むように見ることができる。
【0096】
図6は、変異ネトリン4の欠失変異体の存在下での大動脈からの平滑筋細胞の遊走試験を示す。細胞は、8つのhpfで計数し、平均及び標準偏差をy軸に示す。x軸は、馴化培地(conditioned medium)のμg/mlでの濃度に相当する。菱形の曲線は、変異ネトリン4の全長配列(NET-4m)でトランスフェクションされた細胞で馴化した培地に対応し;四角の曲線は、NET-4m ΔEGFでトランスフェクションされた細胞で馴化した培地に対応し;三角の曲線は、NET-4m ΔCter (aa1〜477)でトランスフェクションされた細胞で馴化した培地に対応する。
【0097】
図7は、本発明の変異ネトリン4 (N4m)についてのマトリゲルアッセイの結果を示す。ネトリン4及びNET-4mは、VEGF及びFGF-2により誘導される皮膚の血管新生を阻害する。300μlのマトリゲルペレットを、100 ngのVEGF及びFGF-2と、2μgのネトリン4 (N4)若しくは1 ngのN4mの存在下、又はN4若しくはN4mの不在下(カラム「C」)で混合し、次いで、C57/Bl6マウスの側腹部に皮下注射した。7日後に、マウスを屠殺し、ペレットを回収して、ヘモグロビン含量を測定した(y軸:mg/mg-マトリゲルのヘモグロビン)。
【0098】
図8A及び8Bは、インビトロ血管新生アッセイの結果を示す。
図8A-1、8A-2及び8A-3は、マトリゲル上に播種したHUAEC細胞のミクロキャピラリーネットワークを示す。図8A-1は、対照に相当し、図8A-2は、野生型ネトリン4の使用に相当し、図8A-3は、変異ネトリン4の使用に相当する。
図8Bは、変異ネトリン4の用量応答活性の定量を示す。y軸は、分岐(対照の%)を示し、x軸は、変異ネトリン4の濃度(カラムCは対照である)を示す。
【0099】
図9Aは、癌腫症スコアの1日平均増加を示す。y軸は、LS 174及びFS 3腫瘍についてのSugerbakerの1日スコアである。
図9Bは、FS 3及びLS 174腫瘍についてのmlでの腹水の用量を表す。
図9Cは、FS3及びLS174を注射されたマウスにおける腹膜の腔内表面(endocavital face)を表す。
【0100】
図10は、トランスフェクションされたか又はされていないPC3細胞の腫瘍進行の分析を示す。y軸は、腫瘍体積(mm3)を表し、x軸は時間(日)を表す。菱形の曲線は、PC3細胞に対応し;四角の曲線は、PC3細胞に由来する腫瘍を有するヌードマウスへの周細胞の注射に対応し;三角の曲線は、変異ネトリン4をトランスフェクションさせたPC3細胞に対応し、十字の曲線は、周細胞の注射に対応する。
【0101】
図11は、レーザ衝撃の周囲の脈絡膜新血管を可視化するための蛍光デキストランの潅流に対応する。マウスは、D(日)=0の日に2回のレーザ衝撃を受け、次いでD=7、D=10に、ビヒクルのみ(PBS)又は100 pgのNET-4m Delta C若しくは20 pgのNET-4mの網膜下注射を受けた。第14日に、マウスを犠牲にし、蛍光レクチンを潅流させて、脈絡膜の新血管を可視化した。蛍光デキストランの染色は、次いで、アドビフォトショップで分析し、8〜12箇所のレーザ衝撃領域の平均として定量した。
白色のカラムは緩衝液に対応し;黒色のカラムは、トランスフェクションされたCHO細胞から精製したDeltaC NET-4mに対応し;灰色のカラムは、CHOトランスフェクション細胞から精製したNET-4mに対応する。
【0102】
図12は、腫瘍の進行の分析に対応する。y軸は、対照の腫瘍パーセンテージに相当する。カラム1は、トランスフェクションされていないLS174細胞に対応し;カラム2は、クローンFS2でトランスフェクションされたLS174細胞に対応し;カラム3は、クローンFS3でトランスフェクションされたLS174細胞に対応し;カラム4は、クローンDeltaC1でトランスフェクションされたLS174細胞に対応し;カラム5は、クローンDeltaC2でトランスフェクションされたLS174細胞に対応する。
【0103】
図13は、SMCの増殖に対するネトリン4変異体の影響の分析に対応する。Pgs A-745 CHO細胞に、置換ネトリン変異体2〜6 (sNET-4m)を含有するpcDNA-3発現ベクターをトランスフェクションさせた。16時間後に、細胞を新鮮な培地で洗浄し、馴化培地を48時間後に回収した。SMCに対する増殖活性を、以前に記載されたようにして測定した。
y軸は、590 nmでの光学密度(OD)を表す。x軸は、pgs A-745 CHO細胞を含有するウェルに加えられた馴化培地の容量(マイクロリットル:μL)を表す。
菱形の曲線は、sNET-4m no: 2に対応し、四角の曲線は、sNET-4m no: 3に対応し、三角の曲線は、sNET-4m no: 4に対応し、十字の曲線は、sNET-4m no: 5に対応し、星印の曲線は、sNET-4m no: 6に対応する。
【実施例】
【0104】
実験
材料
ネトリン4 (配列番号178)及び変異ネトリン4 (配列番号2)の分子は、組換えタンパク質である。ネトリン4の分子は、R&Dから入手可能である。
VEGFの165アミノ酸のアイソフォームは、昆虫細胞SF9を、対応するcDNAを含有する組換えバキュロウイルスに感染させることにより作製した(Plouet J, Moro F, Coldeboeuf N, Bertagnolli S, Clamens S, Bayard F (1997) Extracellular cleavage of the vascular endothelial growth factor 189 aa form by urokinae is required for its mitogenic activity. J. Biol. Chem., 272, 13390〜13396)。
【0105】
ヒト臍動脈内皮細胞(HUAEC)は、コラゲナーゼ(Sigma)を潅流させて基底膜を消化した臍動脈から単離した。HUAEC細胞は、15%の熱不活化胎児ウシ血清(FCS)、100μg/mlのペニシリン、及び100μg/mlのストレプトマイシンを加えたEBM培地(Clonetics)中で、37℃にて10% CO2中で維持した。幹培養(stem cultures)には、2 ng/mlのVEGFを、毎日与えた。
大動脈からの平滑筋細胞は、15%の熱不活化胎児ウシ血清(FCS)、100μg/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシンを加えたDMEM培地中で、37℃にて10% CO2中で維持した。幹培養には、2 ng/mlのFGF-2を1日おきに与えた。
【0106】
変異ネトリン4の同定
変異ネトリン4のクローニング
ヒト臍帯の動脈の細胞(HUAEC)のトータルRNAを、TriPure (Roche)を用いて抽出した。次いで、RNAを、RocheのRT-PCRキット(AMV)を製造者の指示に従って用いて転写した。
プライマー(5')-TT CTA GAC ATG GGG AGC TGC GCG CGG-(3') (センス)及び(5')-C ATT AAC GTC GAA CTG ACA GGT ATC-(3') (アンチセンス)を、ネトリン4の配列1〜1039の増幅に用い、プライマー(5')-AG CAC TGT GCC CCG TTA TAC AAT GA-(3') (センス)及び(5')-CGG GAT CCA CTT GCA CTC TCT TTT TAA AAT ATC C-(3') (アンチセンス)を、ネトリン4の配列914〜1884の増幅に用いた。
【0107】
増幅の条件は、94℃にて1分間の変性、55℃にて1分間のハイブリダイゼーション、及び72℃にて1分間の伸長の35サイクルであった。
得られた生成物を混合し、プライマー(5')-TT CTA GAC ATG GGG AGC TGC GCG CGG-(3') (センス)、及び(5')-CGG GAT CCA CTT GCA CTC TCT TTT TAA AAT ATC C-(3') (アンチセンス)を上記と同様の条件であるが、35サイクルの代わりに25サイクルを用いる新しいPCRのために用いた。ネトリン4の全配列を含むこのPCR生成物を、媒介ベクターpCR2.1 (Invitrogen)にクローニングした。Xba I及びBam HIによる消化の後に、ネトリン4の配列をこのベクターから抽出し、pcDNA3.1 (-)/His myc Cベクターに挿入し、このベクターを同じ制限酵素で消化した。変異ネトリン4の全配列を含むこの最後のベクターを用いて、細胞をトランスフェクションした。同じ操作により、野生型ネトリン4の配列を用いることにより、野生型ネトリン4の発現ベクターを得た。
【0108】
変異ネトリン4は、Plouet J, Moro F, Coldeboeuf N, Bertagnolli S, Clamens S, Bayard F (1997) Extracellular cleavage of the vascular endothelial growth factor 189-amino acid form by urokinase is required for its mitogenic activity. J. Biol. Chem., 272, 13390〜13396に記載されるプロトコルに従って、野生型ネトリン4の配列を含むベクターでのpgsA 745 CHO細胞のトランスフェクションにより作製した。タンパク質は、ヘパリン-セファロースアフィニティクロマトグラフィーにより精製し、NaClの断続的な勾配で溶出した(0.3、1.0及び2.0 M NaCl)。本発明の変異ネトリン4 (NET 4m)は、NaCl 2Mで溶出され、90%より高い程度の純度である。
【0109】
変異ネトリン4 (NET 4m)の生物学的活性を、平滑筋細胞の増殖試験による野生型ネトリン4 (NET 4)の活性と比較した。図1Aは、NET 4mが、NET 4のものより1,000倍小さい(1/1000)濃度にて分裂促進活性を惹起することを示す。同様に、遊走試験において、NET-4 mは、NET-4よりも1,000倍より活性である(図1Bを参照)。
【0110】
変異ネトリン4についての欠失変異体の構築
変異ネトリン4の全配列(628アミノ酸)を含むベクターpcDNA3.1 (-)/His myc Cを、制限酵素BamH1で消化し、ポリメラーゼ1のクレノウフラグメントで処理し、次いで、制限酵素PshA1で消化した。Cterドメイン(478〜628)を欠失させた変異ネトリン4の配列を含むベクターpcDNA3.1 (-)/His myc Cに相当する線状にされたフラグメントを、次いで、アガロースゲル上の泳動及びQiagenカラムでの精製の後に単離した。ライゲーションの後に、Cterドメインを欠失させた(1-477)変異ネトリン4の配列を含有する発現ベクターpcDNA3.1 (-)/His myc Cを得た。変異ネトリン4の全配列(628 aa)を含むベクターpcDNA3.1 (-)/His myc Cを、制限酵素Xcm1により消化した。ネトリン4の内部配列を2つの部位(aa288/aa488)で切断するこの酵素により、タンパク質の中央ドメイン(EGFモチーフを有するドメインV)の欠失を可能にする。フラグメントの精製及びライゲーションの後に、中央ドメイン(288/488)を欠失させた変異ネトリン4の配列を含む発現ベクターpcDNA3.1 (-)/His myc Cを得た。しかし、両方のXcm1部位のライゲーションにより停止コドン(aa 313)が生じるので、このベクターは、312アミノ酸の切断物であり、ラミニンドメイン(1-288)と24アミノ酸のタンパク質配列とを含む変異ネトリン4をコードする。
【0111】
抗イディオタイプ抗体の作製
まず、本発明の変異ネトリン4の中和抗体、又は変異ネトリン4のフラグメント(配列番号2〜72)の中和抗体を、動物、特にマウスに、フロイントの完全アジュバント(ネトリン又はネトリンフラグメントについて1容量)と混合した上記の変異ネトリン又は上記のフラグメントを注射することにより作製した。10〜500μg/kg体重で変動する量の変異ネトリン又はネトリンフラグメントを用いて、動物を免疫した。完全アジュバントを不完全アジュバントに置き換えた以外は同じ手順を、15日及び30日後に行った。第40日に、動物から採血し、血清を分離し、免疫グロブリンを任意の通常の分画法、特に硫酸アンモニウム沈殿、プロテインA-又はプロテインG-アフィニティクロマトグラフィーにより精製した。免疫グロブリンの中和活性を、任意の記載された試験により測定した(例えば、本発明の変異ネトリン4またはそのフラグメントの1つについて:標識ネトリン4の、その受容体のいずれか1つの細胞外ドメインへの結合、増殖、遊走、細胞接着)。つまり、免疫グロブリンの群は、dcc、ネオゲニン、UNC5A、UNC5B、UNC5C又はUNC5Dの細胞外ドメインのいずれかとの変異ネトリン4の相互作用を阻害できる場合に、中和活性があるとみなした。
【0112】
次いで、変異ネトリン4又はそのフラグメントの1つの抗イディオタイプ抗体を、マウスに、上記の変異ネトリン又はフラグメントの活性を中和する免疫グロブリンの調製物1〜100μgを、アジュバント、特にフロイントの完全アジュバント(Sigma) 100μlとともに皮下経路で注射することにより作製した。この注射は、15、30及び45日後に繰り返した。最初の注射の55日後に、同じ抗体10μgをマウスに腹腔内経路により注射した。最初の注射の58日後に、マウスから採血し、その脾臓を採取し、脾細胞を遊離させるためにISCOVE培地中で切裂した。脾細胞を、マウス骨髄腫細胞、特にAG8X 63細胞と融合させ(Kearney JF, Radbruch A, Liesegang B, Rajewsky K (1979) A new mouse myeloma cell line that has lost immunoglobulin expression but permits the construction of antibody-secreting hybrid cell lines. J. Immunol. 123, 1548〜50)、100,000細胞/ウェルの比率でインキュベートした。融合を、50μlの容量のポリエチレングリコール(PEG)を、30秒以内の間隔で20回加えることにより行った。4 mlの37℃に予備加熱したISCOVE培地を、次いで、細胞懸濁物に滴下し、37℃にて4分間のインキュベーション時間の後に、4 mlを加えた。遠心分離を行い、細胞遠心沈殿物を、20%の胎児ウシ血清及びHAT 1×(50×:ヒポキサンチン5 mM、アミノプテリン20μM及びチミジン0.8 mM)を補った100 mlのISCOVE培地に再懸濁し、マクロファージに対して、ウェル当たり100μlの容量で分配した。5日後に、100μlのHAT培地を加え、8〜14日後に、各ハイブリドーマの馴化培地をサンプリングして、免疫原性因子として用いた抗体に指向された抗体、すなわち抗ネトリン抗体をELISAにより測定した。抗イディオタイプ抗体の活性を、次いで、ELISA試験により測定した。
【0113】
任意の通常の方法、特にパパイン消化により調製された抗変異ネトリン4のFabフラグメントを、マイクロタイタープレート上に固定した(カーボネートバッファー50 mM pH 9.6中に0.1〜20μg/ml)。同じバッファーで5 mg/mlに希釈した血清アルブミンの溶液による非特異的部位の飽和の後に、ハイブリドーマ培養物の上清を、0.05% Tween 20を含有するPBSバッファー(ホスフェートバッファー)中で半分希釈(half-diluted)として加えた。リンスの後に、抗イディオタイプ抗体を、適切な濃度のマウスペルオキシダーゼ結合抗Fc抗体の添加により明示した。固定された抗イディオタイプ抗体の量を、次いで、ペルオキシダーゼの可視化により測定し、これは、比色反応の強度に比例していた。
【0114】
ハイブリドーマを、抗変異ネトリン4抗体に対する抗体を分泌するそれらの能力に従って選択し、選択されたハイブリドーマを、次いで、クローニングした。より精密には、細胞を、限界希釈条件(5細胞/ml)において、ウェル当たり0.1 mlの容量中で成長させた。培地を、10日後に交換した。15日後に、いくつかのウェルは、出発細胞から成長した細胞の群を含有し、これらの細胞は、よって、同一であり、同じクローンに由来するものであった。細胞で覆われた表面がウェルの全表面の少なくとも半分になったときに、培地をサンプリングして分析した。
【0115】
次いで、2回目のELISA試験を行った。ヒトIgGのFcドメインに指向されたヤギ免疫グロブリンを、マイクロタイタープレート上でインキュベートした(カーボネートバッファー50 mM pH 9.6中に0.1〜20μg/ml)。同じバッファーで5 mg/mlに希釈した血清アルブミンの溶液による非特異的部位の飽和の後に、ヒトIgGのFc配列と融合させたネトリン受容体の細胞外ドメインを含むタンパク質を、マイクロタイタープレートに固定した(1〜100μg/mlの濃度でのインキュベーション)。ハイブリドーマ培養物の上清を、0.05% Tween 20を含有するPBSバッファー中で半分希釈として加えた。リンスの後に、抗イディオタイプ抗体を、適切な濃度のマウスペルオキシダーゼ結合抗Fc抗体の添加により明示した。固定された抗イディオタイプ抗体の量を、次いで、ペルオキシダーゼの可視化により測定し、これは、比色反応の強度に比例していた。
【0116】
クローンを同定してすぐに、それらのモノクローナル状態を、96ウェルプレートに、同じクローンに由来し、上記のように限界状態に希釈した細胞を播種することである通常の手順により確認した。分泌するクローンは、よって、モノクローナル抗体とみなされるためには、同じ特異性を有する抗体を分泌するはずである。3回目のクローニングを、次いで、全く同じ条件下で行って、クローンがモノクローナルであることを確認した。
モノクローナル抗イディオタイプ抗体は、一連の試験、特に既知のネトリン受容体(dcc、ネオゲニン、UNC5-A、UNC5-B、UNC5-C、UNC5-D)の細胞外ドメインに対するELISA試験、又はHUAEC細胞の増殖若しくは遊走の阻害の測定、又は血管新生抑制活性のインビボでの測定試験によりスクリーニングした。
【0117】
つまり、抗イディオタイプ抗体は、ネトリンドメインの模倣物(mimes)であった。ネトリンドメインの「内部イメージ」を設計することと、ネトリン受容体に結合するが、全ての受容体には結合しない抗体を得ることとが目的であった。特異性を確認してすぐに、この抗体のアゴニスト機能を、細胞に対するその活性の測定により、すなわち、SMCに対するネトリン機能を阻害又は刺激することなくHUAEC機能を阻害することにより、及び/又はHUAECに影響することなくSMCを刺激することにより、確かめた。
【0118】
これらの抗体の興味は、他の標的に影響することなく、細胞標的に対するネトリンの機能を模倣できることであった。よって、内皮細胞のアポトーシスを誘導することなく周細胞の機能を刺激するか、又は以下のある病変におけるそれらの遊走、それらの活性、それらの分化を阻害することは、興味深いだろう:
- 加齢に関する黄斑変性、
- 周細胞の希薄化が新血管新生に先立つ成熟前の状態での糖尿病性網膜症、
- 血管新生緑内障(角膜、網膜など)、
- リウマチ性関節炎、
- 乾癬、特に関節症性乾癬、
- 血管腫、
- アテローム性動脈硬化症、
- 肥満、
- 癌。
逆に、上記の病変について周細胞に影響せずに内皮細胞の増殖を阻害することは、興味深いだろう。
【0119】
血管新生の阻害
ネトリン4の特異的活性を増大するために、点突然変異をその配列に挿入し、CHO細胞において種々の変異体を作製した。NET-4m (本発明の変異ネトリン4)とよばれるそれらのうちの1つは、マトリゲルアッセイにおいて、機能の2000倍の増加を示した(図7)。ネトリン4 (NET-4)もNET-4mも、VEGF及びFGF-2の不在下では、いずれの血管新生促進効果を有さなかった。これらの結果は、角膜の血管新生アッセイにおいてネトリン1が血管新生促進性であると記載するParkによる報告に反する(K. W. Parkら, Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 101, 16210〜16215 (2004))。この不一致は、ネトリンが、ヘパラン硫酸に対して強い親和性を有し、よって、内因性FGF-2を、角膜ストロマにおけるその貯蔵部位から追い出し得るという事実により説明されるだろう。VEGF 189についての同様の現象は、以前に見出された(F. Jonca, N. Ortega, P. E. Gleizes, N. Bertrand, J. Plouet, J.Biol.Chem. 272, 24203〜24209 (1997))。最近の証拠により、角膜の血管新生は、ネトリンによるであろう可溶性VEGFR-1発現に依存することが証明されている(B.K. Ambatiら, Nature 443, 993-997 (2006))。ネオゲニン又はUnc5Bは、成体の網膜で検出できなかったが、その発現の増加は、レーザにより誘導された損傷の後に見られた(データ示さず)。実際に、血管新生の開始後のNET-4m (1 ng)の網膜下注射は、デキストラン潅流により可視化されるように、70%を超えて、脈絡膜の新血管新生を低減させた(図5C)。PC3前立腺癌由来細胞株を用いて、腫瘍血管新生におけるネトリン4の潜在的な効果を解明した。PC3前立腺癌細胞増殖は、外因性ネトリン4の添加により影響されなかった。これらの細胞を、次いで、NET-4mをコードする発現ベクターにトランスフェクションさせ、それらの馴化培地がHUAEC増殖を阻害する能力についてスクリーニングした。これらの細胞による増殖(図7)及びVEGFの分泌(4.5±0.2 ng/106細胞/48h)は、親の細胞のものと同様であり、よって、腫瘍の成長の分析は有益であった。2つのクローン及び空のベクターにトランスフェクションさせた親の細胞を、ヌードマウスに移植し、腫瘍の体積を記録した。腫瘍の定着(tumor take)及び成長曲線の傾きはともに、ネトリン4の構成的発現により低減された。免疫組織化学分析により、2つの主な特徴が示された。まず、全体的な増殖指数は、空のベクターでトランスフェクションされた細胞に対して、クローン1に由来する腫瘍において50%低減され、クローン5に由来する腫瘍において70%低減された。次に、CD 31陽性細胞の数は、ネトリンの過剰発現により著しく低減されたようであった。さらに、デスミン陽性細胞の数は、並行する様式で腫瘍を増加させ、よって、CD 31/デスミンの比率が、それぞれ2及び3倍減少した。α平滑筋アクチン又はNG2とは異なって、デスミンは、成熟周細胞のマーカーである(S. Song, A. J. Ewald, W. Stallcup, Z. Werb, G. Bergers, Nat.Cell Biol. 7, 870〜879 (2005))。よって、ネトリン4は、潜伏性のTGFの活性化によりEC増殖を制御することに貢献する、血管新生EC (内皮細胞)の根絶と、ECを覆う成熟周細胞の刺激とを含む二重の機構により腫瘍の進行を阻害するだろう(A. Antonella-Orlidge, K.B. Saunders, S.R. Smith, P. d'Amore Proc Natl Acad Sci U S A. 86, 4544〜4588 (1989))。両方の活性は、新血管の安定化を誘導するはずである。実際に、この魅力的な仮説は(R.K. Jain, Nat Med. 9, 685〜693 (2003))、血管新生促進の中止によってしか文書化されていない。これらの結果は、血管新生促進調整剤と血管新生抑制調整剤との間のバランスを、内因性の血管新生抑制因子のレベルを増加させることにより変更することが、腫瘍血管新生に対向する、可能性が高いアプローチであることを、初めて示している。
【0120】
インビトロ血管新生
インビトロ血管新生アッセイは、成長因子を低減した(growth factor-reduced)マトリゲル(Matrigel) (BD Biosciences)上に播種し、37℃にて1時間インキュベーションしたHUAEC (105細胞/cm2)を用いて行った。次いで、50 ng/mlのVEGFを加え、サンプルを2時間インキュベートし、400 ng/mlのネトリン-1又はネトリン-4を加え、さらに5時間インキュベーションを継続した。プレートを、次いで、PBSでリンスし、室温にて1%グルタルアルデヒドを用いて固定した。平均ミクロキャピラリーネットワークを、自動化コンピュータ支援画像分析システムを用いて測定し、各ウェル中のキャピラリーの全長を、各実験条件について決定した(μm)。実験は3重で行い、少なくとも3回行った。
【0121】
図8Aに示すように、マトリゲル上に播種されたHUAEC細胞は、細管様の構造を形成するが、400 ng/mlの野生型ネトリン4 (NET-4)又は400 pg/mlの変異ネトリン4 (NET-4m)のいずれかを添加すると、この発芽は完全になくなった。変異ネトリン4の用量応答活性は、下のパネル(図8B)で定量したところ、約500 pg/mlの濃度で、最大値の半分の阻害が得られたようである。
【0122】
SMCの増殖(図1A)及び遊走(図1B)に対するNET-4及びNET-4mの活性の比較
96ウェルのプレートに、ウェルあたりに、10% FCSを補ったDMEM培地中の2,000 SMC (平滑筋細胞)を播種した。6時間後に、細胞を、2% FCS含有DMEM培地に移し、次いで、種々の濃度のネトリン4 (NET-4)又は変異ネトリン4 (NET-4m)で刺激した(又はしなかった)。5日後に、ウェルをDMEMでリンスし、細胞を、1%グルタルアルデヒドを用いて固定し、バイオレットクリスタルで着色し、酢酸で可溶化した。光学密度を、595 nmにて測定した。同様の結果が、3回の独立した実験で得られた。示した値は、6ウェルの光学密度の平均±標準偏差(SD)である。
【0123】
SMCの増殖試験(図1A)
変異ネトリン4は、pgsA 745 CHO細胞に、既知の手順に従って、野生型ネトリン4の配列を含有するベクターをトランスフェクションさせることにより作製した(Plouet J, Moro F, Coldeboeuf N, Bertagnolli S, Clamens S, Bayard F (1997) Extracellular cleavage of the vascular endothelial growth factor 189 aa form by urokinae is required for its mitogenic activity. J. Biol. Chem., 272, 13390〜13396)。タンパク質は、ヘパリン-セファロース親和性クロマトグラフィーにより精製し、NaClの断続的な勾配で溶出した(0.3、1.0及び2.0 M NaCl)。NET-4mは、NaCl 2Mで溶出され、90%を超える純度であった。
NET-4mの生物学的活性を、平滑筋細胞増殖試験に従って、野生型NET 4の活性と比較した。図1Aは、最大刺激の半分が、120 ng/mlの濃度の非変異ネトリン4 (NET-4)及び0.1 ng/mlの変異ネトリン4 (NET-4m)を用いて得られたことを示す。このことは、変異ネトリン4の分裂促進活性が、非変異ネトリン4よりも1000倍活性であることを示す。
【0124】
SMCの遊走試験(図1B)
SMCのコンフルエントな単層を、DMEMの存在下で一晩インキュベートする。創傷を、単層上にラバーポリスマンを用いて作製し、ウェルをDMEMで3回洗浄し、次いで、種々の濃度のネトリン4 (NET-4)又は変異ネトリン4 (NET-4m)の存在下でインキュベートする。24時間後に、ウェルを3回洗浄し、メイ-グルンワルド-ギムザで着色し、写真を撮影し、細胞を、条件当たり8 hpf内で計数した。結果は、hpf当たりの細胞数で示す。
最大刺激の半分が、12 ng/mlの濃度の非変異ネトリン4 (NET-4)及び0.004 ng/mlの変異ネトリン4 (NET-4m)で得られるようである。このことは、変異ネトリン4の走化活性が、非変異ネトリン4よりも3,000倍活性であることを意味する。
【0125】
PC3癌細胞のトランスフェクション
前立腺癌細胞(PC3)及び結腸癌を、抗生物質及び胎児ウシ血清10%を補ったDMEM培地中で成長させる。トランスフェクションのプロトコルは、以下のように確立した。
- D1: 低密度細胞(10,000細胞/cm2)の、10 cm径のボックスへの接種。
- D2: pcDNA3-NET4又はpcDNA-3-NET-4mでのトランスフェクション
5μgのプラスミドを、5μlのリポフェクタミン及び100μlのDMEM (抗生物質なし)と、30分間、周囲温度にて、穏やかに混合した。混合物を、次いで、5 mlのDMEM中で希釈し、PC3細胞を含むボックス中に滴状に置く。37℃のインキュベータ中で6時間のインキュベーションの後に、培地をポンプで取り出し、10 mlの新鮮な培地に置き換える。
- D3: ボックスのリンスと、10%胎児ウシ血清及び抗生物質を含有するDMEM培地での24時間のインキュベーション
- D4: 細胞のトリプシン消化、500μg/mlのジェネテシン(geneticine) (Sigma)を補った完全DMEM培地中の、4つの10 cm径ボックスでのインキュベーション
- D17: マイクロピペットでの細胞クローンのサンプリング(100〜400細胞/クローン)、及び2 cm2のウェルへの移動
- D24: トリプシン消化、及び12ウェルのボックス中の細胞クローンのインキュベーション(120,000細胞/ウェル)
- D27: ウェルのリンスと、無血清DMEM培地への接種
- D30: 馴化培地の回収及び各培地中でのネトリン4の定量分析。
【0126】
ネトリン4 (NET-4)又は変異ネトリン4 (NET-4m)をトランスフェクションさせたクローンが、等しい倍加時間(26〜30時間)を有することを確認した後に、各培地のネトリン4の含量を、増殖試験に関する段落に記載したようにして測定した。4μlの馴化培地を、100μlの培養培地に加えた。結果は、対照(4μlのDMEM培地を含有するウェル)との比較での増殖パーセンテージで示す。
図2によると、非トランスフェクション細胞、並びにNET 4のクローン10及び15の培地は、対照との比較で約300%のHUAEC細胞の等しい増殖を誘導する。
一方、NET-4mのクローン1及び5、並びにNET-4のクローン8の馴化培地は、HUAEC細胞の増殖を200%しか刺激せず、これは、PC3細胞の馴化培地により誘導される増殖の約50%に相当する。
つまり、ネトリン4 (NET-4)又は変異ネトリン4 (NET-4m)は、HUAECの増殖を、PC3癌細胞の増殖を改変することなく誘導する。
【0127】
LS174のトランスフェクション
結腸癌LS 174細胞を、抗生物質及び胎児ウシ血清10%を補ったDMEM培地中で成長させる。
トランスフェクションのプロトコルは、以下のようにして確立した。
- D1: 低密度細胞(10,000細胞/cm2)の、10 cm径のボックスへの接種。
- D2: pcDNA3- DeltaC NET-4m又はpcDNA-3-NET-4mでのトランスフェクション
5μgのプラスミドを、5μlのリポフェクタミン及び100μlのDMEM (抗生物質なし)と、30分間、周囲温度にて、穏やかに混合した。混合物を、次いで、5 mlのDMEM中で希釈し、LS 174細胞を含むボックス中に滴状に置く。37℃のインキュベータ中で6時間のインキュベーションの後に、培地をポンプで取り出し、10 mlの新鮮な培地に置き換える。
- D3: ボックスのリンスと、10%胎児ウシ血清及び抗生物質を含有するDMEM培地での24時間のインキュベーション
- D4: 細胞のトリプシン消化、500μg/mlのジェネテシン(Sigma)を補った完全DMEM培地中の、4つの10 cm径ボックスでのインキュベーション
- D17: マイクロピペットでの細胞クローンのサンプリング(100〜400細胞/クローン)、及び2 cm2のウェルへの移動
- D24: トリプシン消化、及び12ウェルのボックス中の細胞クローンのインキュベーション(120,000細胞/ウェル)
- D27: ウェルのリンスと、無血清DMEM培地への接種
- D30: 馴化培地の回収及び各培地中でのネトリン4の定量分析。
【0128】
ネトリン4 (NET-4)又は変異ネトリン4 (NET-4m)をトランスフェクションさせたクローンが、等しい倍加時間(26〜30時間)を有することを確認した後に、各培地のネトリン4の含量を、増殖試験に関する段落に記載したようにして測定した。4μlの馴化培地を、100μlの培養培地に加えた。結果は、対照(4μlのDMEM培地を含有するウェル)との比較での増殖パーセンテージで示す。
いくつかのクローンを、各トランスフェクションについて選択した。FS2及びFS3は、NET-4mでトランスフェクションされたLS174細胞の2つの代表的なクローンである。DeltaC1及びDeltaC2は、NET-4m DeltaCでトランスフェクションされたLS174細胞の2つの代表的なクローンである。
【0129】
トランスフェクションされたPC3細胞のクローンの腫瘍形成能の分析
トランスフェクションされていないPC3細胞、及びNET4mでトランスフェクションされたPC3細胞(クローン1及び5)を、ヌードマウスの側腹部に注射した(1百万の細胞前注射)。各腫瘍の長さ(L)及び幅(l)を、カリパスで測定し、体積を、式0.52×L×l2で表す。図3によると、クローン1及び5により、PC3細胞を用いて得られる腫瘍よりもかなり小さい腫瘍が得られるようである。減少は、80%より大きい。
よって、本発明の変異ネトリン4 (NET-4m)は、その血管新生抑制活性により、抗腫瘍活性を示す。変異ネトリン4は、細胞の増殖の比率を、それぞれ30% (クローン1)及び60% (クローン5)減少させるようである。PC3細胞における変異ネトリン4の発現は、周細胞による内皮細胞の被覆を、それぞれ1.3倍(クローン1)及び2倍(クローン5)増大させるようである。実際に、比率CD31/デスミン(図3C)の減少は、変異ネトリン4でトランスフェクションされたPC3細胞から得られた腫瘍において、周細胞で被覆されていない内皮細胞がより少ないことを示す。
【0130】
トランスフェクションされたLS 174細胞のクローンの腫瘍形成能の分析
トランスフェクションされていないLS 174細胞、NET-4mでトランスフェクションされたLS 174細胞(FS3及びFS4)、並びにDeltaC NET-4mでトランスフェクションされたLS 174細胞(DeltaC1及びDeltaC2)を、ヌードマウスの側腹部に注射した(1百万の細胞前注射)。各腫瘍の長さ(L)及び幅(l)を、カリパスで測定し、体積を、式0.52×L×l2で表す。腫瘍の体積を、J 25で記録し、トランスフェクションされていないLS174腫瘍の体積のパーセンテージとして表す。
【0131】
図12によると、クローンFS2及びFS3により、LS 174細胞、又はDeltaC NET4mでトランスフェクションされたLS 174細胞を用いて得られるよりもかなり小さい腫瘍が得られるようである。
よって、本発明の変異ネトリン4 (FS2及びFS3)は、その血管新生抑制活性により、抗腫瘍活性を示す。DeltaC欠損ネトリン4腫瘍は、親の細胞として挙動し、よって、ネトリン4のC-末端配列が、その腫瘍血管新生抑制活性に必要であるが、その脈絡膜の血管新生を阻害する活性については必要でないようである。
【0132】
VEGFの阻害に対するNET-4mの相乗効果
今回、VEGFが病原性血管新生の主要な作用因子であり、その阻害が、主要な治療経路であることがよくわかる。抗VEGF抗体は、AVASTIN (登録商標)の名称で市販されている。ネトリン4 (NET-4)が、VEGFのものとは異なる作用機構により作用することがわかっているので、ネトリン4 (NET-4)と、AVASTIN (登録商標)の名称で市販されている抗VEGF抗体との相乗効果を測定した。
【0133】
マウスに、トランスフェクションされていない結腸癌LS 174細胞、又はNET-4をトランスフェクションさせたLS 174細胞(クローンFS3 8、10又は15)を移植した。腫瘍が400 mm3を超える体積になってすぐに、マウスに、AVASTIN (登録商標)を腹膜注射により与え(3日ごとに50μg)、この用量は、ヒト病変における治療上の推奨量(10 mg/kg/1週間おき)であり、腫瘍の体積を、上記のようにして測定した。
図4Aによると、AVASTIN (登録商標)は、トランスフェクションされていないLS 174に対して影響を有さず、処置されたか又はされていない腫瘍の倍加時間が3〜4日であったことがわかる。これとは逆に、トランスフェクションされたクローンFS3の体積倍加時間は、未処置のマウスにおいて5日、及び処置マウスにおいて9日であった(図4B)。よって、ネトリン4は、大きい腫瘍における抗VEGF処置に対する感受性の保持を可能にした。
【0134】
SMCの遊走に対するNET-4m (MC4)の影響
pgsA-745 CHO細胞に、変異ネトリン4 (MC4)の全配列を含むPCDNA-3発現ベクターをトランスフェクションさせた。16時間後に、細胞を、DMEM培地とインキュベートし、馴化培地を48時間後に回収した。SMC細胞に対する遊走活性を、上記のようにして測定した(図6を参照)。
【0135】
脈絡膜新血管新生(図5A、5B、5C及び11)
8週齢のBrown Norwayラット(Janvier, Le Genest-St Isle, France)に、0.14 mlのペントバルビタールナトリウム(Sanofi Sante Animale)の腹腔内注射により麻酔をかけた。瞳孔を、1%トロピカミド(Thea, Clermont-Ferrand, France)を用いて散大させた。光凝固損傷を、532 nmに設定され、スリットランプ上に設置され、コンタクトレンズの役割を満たすカバーガラスを有する(150mW、100ms及び100μmに固定したパラメータ)アルゴンレーザ光凝固装置(Quantel Medical Clermont-Ferrand, France)を用いて、視神経の周りに、視神経乳頭から1〜2円板径(disc diameters)離れて創出した。この研究に含めた全ての処置した目において、レーザ放射の後に、網膜表面にて反応性の気泡が観察され、これは、適切な焦点合わせの証明及びブルッフ膜の破裂を示唆する。ラットに、ネトリン4 (1 ngのNET-4m)を、5μlの容量で、網膜下空間の下に、レーザ光凝固後の第7日及び第10日に注射した。レーザ処置の14日後に、全ての動物を、50 mg/mlの蛍光標識デキストラン(FITC-デキストラン; 平均分子質量2×106; Sigma-Aldrich)を含む1 mlのPBSで潅流し、犠牲にした。目を回収し、PBS 4%パラホルムアルデヒド(PAF)溶液(LADD, Inland Europe, Conflans-sur-Lanterne, France)で固定した。網膜及び脈絡膜を解剖し、メタノール中で室温にてさらに15分間固定した。摘出した目を、赤道で切断し、水晶体及び硝子体を含む前半分を廃棄した。生物顕微鏡(Wild M3Z, Heerbrugg)の下で、特別なはさみ及びピンセットを用いることにより、網膜を、眼杯及び視神経から注意深く剥離した。複合強膜-脈絡膜及び網膜を含有する目の後方の区画を、4つに放射状に切断することにより4分の1ずつに切断した。PBSで洗浄した後に、平坦なマウントを、gelmount (登録商標) (Biomeda, Foster City, CA, USA)を用いて載せ、風乾し、蛍光顕微鏡 (BX51; Olympus, Melville, NY)下で、適切であれば488 nm又は594 nmの励起波長にて調べた。CNV複合体の発生率及びサイズを、Image J Software (v1.36, NIH, USA)を用いて、画像の形態計測分析により評点した。血管新生の開始後のNET-4m (1 ng)の網膜下注射は、デキストラン潅流により可視化されるように、70%を超えて、脈絡膜新血管新生を低減させた。
【0136】
C57BL/6マウス(Janvier, Le Genest-St Isle, France)に、0.14 mlのペントバルビタールナトリウム(Sanofi Sante Animale)の腹腔内注射により麻酔をかけた。瞳孔を、1%トロピカミド(Thea, Clermont-Ferrand, France)を用いて散大させた。光凝固損傷を、532 nmに設定され、スリットランプ上に設置され、コンタクトレンズの役割を満たすカバーガラスを有する(150mW、100ms及び100μmに固定したパラメータ)アルゴンレーザ光凝固装置(Quantel Medical Clermont-Ferrand, France)を用いて、視神経の周りに、視神経乳頭から1〜2円板径離れて創出した。この研究に含めた全ての処置した目において、レーザ放射の後に、網膜表面にて反応性の気泡が観察され、これは、適切な焦点合わせの証明及びブルッフ膜の破裂を示唆する。マウスに、ネトリン4 (20pgのNET-4m)を、1μlの容量で、硝子体内の空間の下に、レーザ光凝固後の第7日及び第10日に注射した。レーザ処置の14日後に、全ての動物を、50 mg/mlの蛍光標識デキストラン(FITC-デキストラン; 平均分子質量2×106; Sigma-Aldrich)を含む1 mlのPBSで潅流し、犠牲にした。目を回収し、PBS 4%パラホルムアルデヒド(PAF)溶液(LADD, Inland Europe, Conflans-sur-Lanterne, France)で固定した。網膜及び脈絡膜を解剖し、メタノール中で室温にてさらに15分間固定した。摘出した目を、赤道で切断し、水晶体及び硝子体を含む前半分を廃棄した。生物顕微鏡(Wild M3Z, Heerbrugg)の下で、特別なはさみ及びピンセットを用いることにより、網膜を、眼杯及び視神経から注意深く剥離した。複合強膜-脈絡膜及び網膜を含有する目の後方の区画を、4つに放射状に切断することにより4分の1ずつに切断した。PBSで洗浄した後に、平坦なマウントを、gelmount (登録商標) (Biomeda, Foster City, CA, USA)を用いて載せ、風乾し、蛍光顕微鏡 (BX51; Olympus, Melville, NY)下で、適切であれば488 nm又は594 nmの励起波長にて調べた。CNV複合体の発生率及びサイズを、Image J Software (v1.36, NIH, USA)を用いて、画像の形態計測分析により評点した。血管新生の開始後のNET-4m又はDeltaC NET-4mの硝子体内への注射は、デキストラン潅流により可視化されるように、それぞれ74 %及び62 %、脈絡膜新血管新生を低減させた。
【0137】
図5 A、B、C及び図11のデータは、NET-4mが、マウス及びラットにおける脈絡膜新血管新生を阻害し、NET-4mが、網膜下又は硝子体内の経路で供給できることを示す。
【0138】
腹膜(Peritoneous)癌腫症
106のLS 174又は変異をトランスフェクションさせたLS 174 (上記のFS3)を、Nod-Scidマウスの腹腔内に注射した。21日後に、癌腫症を、Sugerbakerのスコア(腹腔内での癌の伝播に関する所見及び規則正しい病態生理学を支持する概念。Cancer Treat Res. 1996; 82:79〜100)により記録した。腹水を回収し、その容量を測定し、腹腔の顕微鏡写真を撮影した。
図9Aに示すように、Sugerbakerの毎日のスコアは、LS 174腫瘍において0.78であり、0.75±0.2であり、FS3腫瘍において0.35±0.12に減少した(p<0.05)。腹水の容量(図9B)は、FS3腫瘍において、1.5±0.9 mlから0.1±0.1 mlに減少した。図9Cにおいて、腹膜の腔内(endovavital)面は、LS 174腫瘍中の新しい血管に沿って整列する多くの腫瘍を含んでいたが、血管は、FS3を注射したマウスにおいては薄く、腫瘍がなかったことがわかる。
【0139】
抗がん剤としての周細胞及び変異ネトリン4の組み合わせ
図10に示すように、PC3細胞に由来する腫瘍を有するヌードマウスへの周細胞の注射は、抗腫瘍活性を有さない。PC3細胞に、変異ネトリン4をトランスフェクションさせたときに、腫瘍の体積はより低く、周細胞の注射によりほぼ完全になくなった。
【0140】
NET-4mタンパク質の製造
pgsA-745 CHO細胞を、抗生物質及び胎児ウシ血清10%を補ったDMEM培地中で成長させる。トランスフェクションのプロトコルは、以下のようにして確立した。
- D1: 低密度細胞(10,000細胞/cm2)の、10 cm径のボックスへの接種
- D2: pcDNA3-NET4又はpcDNA-3-NET-4mまたは上記のその他の配列でのトランスフェクション
5μgのプラスミドを、5μlのリポフェクタミン及び100μlのDMEM (抗生物質なし)と、30分間、周囲温度にて、穏やかに混合した。混合物を、次いで、5 mlのDMEM中で希釈し、CHO細胞を含むボックス中に滴状に置く。37℃のインキュベータ中で16時間のインキュベーションの後に、培地をポンプで取り出し、10 mlの新鮮な培地に置き換える。
- D5: 馴化培地の回収。
【0141】
NET-4mタンパク質の精製
馴化培地を、10 mM Hepesバッファーを用いてpH 7.4に調製し、10 mlの混合物を、200μlのカチオン交換マトリクス(Spセファロース, Pharmacia)と、4℃にて4時間混合した。混合物を、800 gにて5分間遠心分離した。ペレットを、0.1 M NaClを含有する10 mM Hepesで洗浄した。次いで、NET-4mタンパク質を、Spセファロースから、NaClの段階的な勾配(0.2 M、0.4 M、0.8 M NaCl)により、フラクション当たり0.5 mlの最終容量で溶出した。活性なNET-4mは、0.4と0.8 Mの間のNaClで溶出された。活性物質(上記のようなELISAアッセイにより決定)を、10 mM Hepesを含有する蒸留H2O 2容量で希釈し、ヘパリンセファロース(Pharmacia)カラムクロマトグラフィー(200μl)に供した。カラムを、次いで、1 mlの0.3 M NaCl含有10 mM Hepesで洗浄した。NET-4mタンパク質を、次いで、0.5 mlの1.2 M NaCl 含有10 mM Hepesで溶出し、SMC細胞に対するその分裂促進活性についてアッセイした。
【0142】
図13は、置換変異体(sNET-4m) 2、5及び6がわずかに活性であるが、変異体3及び4は、NET-4mの完全な分裂促進活性を保持していたことを示す。よって、1〜332配列の中の変異が、機能の増加に重要でないことが想定できる。NET-4m配列中でTyr 472をCysに置き換えることにより(変異体5)、NET-4mの分裂促進活性が、野生型NET-4のものにまで減少される。よって、Cys 472のTyrによる置換が、NET-4m機能の上昇に起因することが想定できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の配列:
配列番号2若しくは配列番号4の配列、又は
配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つにより表される、前記配列のフラグメント、又は
配列番号185〜配列番号209からなる群より選択される配列の1つ
の1つを含むか、又はそれからなるタンパク質。
【請求項2】
請求項1のタンパク質をコードするヌクレオチド配列。
【請求項3】
配列番号2をコードする配列番号1のヌクレオチド配列、若しくは配列番号4をコードする配列番号3のヌクレオチド配列、又は
配列番号2q-1 (qは、3から36まで変動する)の配列の1つにより表される、前記ヌクレオチド配列の1つのフラグメント
を含むか、又はそれからなることを特徴とする請求項2に記載のヌクレオチド配列。
【請求項4】
請求項2又は3で定義されるヌクレオチド配列を含み、特に、ベクターに挿入された請求項2又は3に記載のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドの宿主細胞における発現に必要な要素を含むことを特徴とする、プラスミド、コスミド、ファージ又はウイルスDNAのような組換えベクター。
【請求項5】
特に、請求項4に記載の組換えベクターを用いて形質転換された、特に細菌、ウイルス、酵母、真菌細胞、植物細胞又は哺乳動物細胞から選択される宿主細胞。
【請求項6】
請求項1のタンパク質に特異的に指向されたことを特徴とする抗体。
【請求項7】
請求項6の抗体の抗イディオタイプ抗体。
【請求項8】
請求項7の抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント。
【請求項9】
有効成分として、
請求項1で定義されるタンパク質、又は
請求項2若しくは3で定義されるヌクレオチド配列、又は
請求項6で定義される抗体、又は
請求項7で定義される抗イディオタイプ抗体、又は
請求項8で定義される抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
を含む医薬組成物。
【請求項10】
請求項1で定義されるタンパク質、又は
請求項2若しくは3で定義されるヌクレオチド配列、又は
請求項6で定義される抗体、又は
請求項7で定義される抗イディオタイプ抗体、又は
請求項8で定義される抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関与する病変の予防又は治療用、特に、癌及び白血病、近視併発脈絡膜新血管新生、角膜新血管新生、特に移植片拒絶、緑内障、糖尿病性網膜症若しくは未熟児網膜症、リウマチ性関節炎、関節症性乾癬、血管腫、血管肉腫、カストルマン病及びカポジ肉腫からなる群より選択される病変の予防又は治療用、或いは肥満又は網膜新血管新生の治療用の薬剤の製造のための使用。
【請求項11】
請求項6で定義される抗体、又は
請求項8で定義される抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の刺激に関与する病変の予防又は治療用、特に、虚血性病変、例えば下肢の動脈炎、心筋梗塞、脳血管発作、強皮症及びレイノー病からなる群より選択される病変の予防又は治療用の薬剤の製造のための使用。
【請求項12】
請求項1で定義されるタンパク質、又は
請求項2若しくは3で定義されるヌクレオチド配列、又は
請求項6で定義される抗体、又は
請求項7で定義される抗イディオタイプ抗体、又は
請求項8で定義される抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、周細胞又は平滑筋細胞の希薄化に関連するか又はそれにより引き起こされ、周細胞又は平滑筋細胞の増殖若しくは遊走の活性化を必要とする非腫瘍性病変、特に:
- 加齢に伴う黄斑変性、
- 血管新生緑内障、
- 乾癬、
- アテローム性動脈硬化症、
- 腸の奇形、
- クローン病、
- 血管性認知症又は皮質下血管性認知症、
- アルツハイマー病、
- 骨の変性性病変及び骨折、並びに
- 動脈瘤及び血管解離
からなる群より選択される非腫瘍性病変の予防又は治療のための薬剤の製造のための使用。
【請求項13】
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号185若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、化学療法剤との組み合わせの、癌の治療用の薬剤の製造のための使用。
【請求項14】
化学療法剤と、配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は配列番号185若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質との組み合わせを含み、前記化学療法剤が、特に、ドキソルビシン、メトトレキセート、ビンブラスチン、ビンクリスチン、クラドリビン、フルオロウラシル、シタラビン、アントラサイクリン、シスプラチン、シクロホスファミド、フルダラビン、ゲムシタビン、アロマターゼ阻害剤、イリノテカン、ナベルビン、オキサリプラチン、タキソール及びドセタキセルからなる群より選択される医薬組成物。
【請求項15】
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号185若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、特に、AVASTIN (ベバシズマブ)、MACUGEN (ペガプタニブ)、及びLUCENTIS (ラニビズマブ)、又は任意のその他の抗VEGF薬、ニューロピリン-1に対するヒト化抗体、又は任意のその他の抗VEGF薬又は任意のその他の抗VEGF薬、例えばSUTENT (スニチニブ)若しくはNEXAVAR (ソラフェニブ)、並びにDLL4に対するヒト化抗体、又はアンジオポエチン経路に干渉する薬、例えばAM 386からなる群より選択される血管新生抑制薬との組み合わせの、請求項10で定義される腫瘍性又は非腫瘍性の病変の予防又は治療用の薬剤の製造のための使用。
【請求項16】
請求項10で定義される腫瘍性又は非腫瘍性の病変の治療又は予防のための同時、別々の又は逐次的な使用のための:
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号185若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、特に、AVASTIN (ベバシズマブ)、MACUGEN (ペガプタニブ)及びLUCENTIS (ラニビズマブ)、又はステント若しくはソラフェニブのようなその他の任意の抗VEGF薬、ニューロピリン-1に対するヒト化抗体、又はその他の任意の抗VEGF薬、又はその他の任意の抗VEGF薬、例えばSUTENT (スニチニブ)若しくはNEXAVAR (ソラフェニブ)、並びにDLL4に対するヒト化抗体又はアンジオポエチン経路に干渉する薬、例えばAM 386からなる群より選択される血管新生抑制薬との組み合わせ製剤。
【請求項17】
配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174を含むか又はこれからなるタンパク質。
【請求項18】
配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は配列番号185〜配列番号209の配列の1つとともに、周細胞又は血管平滑筋細胞を含む医薬組成物。
【請求項1】
以下の配列:
配列番号2若しくは配列番号4の配列、又は
配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つにより表される、前記配列のフラグメント、又は
配列番号185〜配列番号209からなる群より選択される配列の1つ
の1つを含むか、又はそれからなるタンパク質。
【請求項2】
請求項1のタンパク質をコードするヌクレオチド配列。
【請求項3】
配列番号2をコードする配列番号1のヌクレオチド配列、若しくは配列番号4をコードする配列番号3のヌクレオチド配列、又は
配列番号2q-1 (qは、3から36まで変動する)の配列の1つにより表される、前記ヌクレオチド配列の1つのフラグメント
を含むか、又はそれからなることを特徴とする請求項2に記載のヌクレオチド配列。
【請求項4】
請求項2又は3で定義されるヌクレオチド配列を含み、特に、ベクターに挿入された請求項2又は3に記載のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドの宿主細胞における発現に必要な要素を含むことを特徴とする、プラスミド、コスミド、ファージ又はウイルスDNAのような組換えベクター。
【請求項5】
特に、請求項4に記載の組換えベクターを用いて形質転換された、特に細菌、ウイルス、酵母、真菌細胞、植物細胞又は哺乳動物細胞から選択される宿主細胞。
【請求項6】
請求項1のタンパク質に特異的に指向されたことを特徴とする抗体。
【請求項7】
請求項6の抗体の抗イディオタイプ抗体。
【請求項8】
請求項7の抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント。
【請求項9】
有効成分として、
請求項1で定義されるタンパク質、又は
請求項2若しくは3で定義されるヌクレオチド配列、又は
請求項6で定義される抗体、又は
請求項7で定義される抗イディオタイプ抗体、又は
請求項8で定義される抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
を含む医薬組成物。
【請求項10】
請求項1で定義されるタンパク質、又は
請求項2若しくは3で定義されるヌクレオチド配列、又は
請求項6で定義される抗体、又は
請求項7で定義される抗イディオタイプ抗体、又は
請求項8で定義される抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の阻害に関与する病変の予防又は治療用、特に、癌及び白血病、近視併発脈絡膜新血管新生、角膜新血管新生、特に移植片拒絶、緑内障、糖尿病性網膜症若しくは未熟児網膜症、リウマチ性関節炎、関節症性乾癬、血管腫、血管肉腫、カストルマン病及びカポジ肉腫からなる群より選択される病変の予防又は治療用、或いは肥満又は網膜新血管新生の治療用の薬剤の製造のための使用。
【請求項11】
請求項6で定義される抗体、又は
請求項8で定義される抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、内皮細胞の増殖及び/又は遊走の刺激に関与する病変の予防又は治療用、特に、虚血性病変、例えば下肢の動脈炎、心筋梗塞、脳血管発作、強皮症及びレイノー病からなる群より選択される病変の予防又は治療用の薬剤の製造のための使用。
【請求項12】
請求項1で定義されるタンパク質、又は
請求項2若しくは3で定義されるヌクレオチド配列、又は
請求項6で定義される抗体、又は
請求項7で定義される抗イディオタイプ抗体、又は
請求項8で定義される抗イディオタイプ抗体のFabフラグメント
の、周細胞又は平滑筋細胞の希薄化に関連するか又はそれにより引き起こされ、周細胞又は平滑筋細胞の増殖若しくは遊走の活性化を必要とする非腫瘍性病変、特に:
- 加齢に伴う黄斑変性、
- 血管新生緑内障、
- 乾癬、
- アテローム性動脈硬化症、
- 腸の奇形、
- クローン病、
- 血管性認知症又は皮質下血管性認知症、
- アルツハイマー病、
- 骨の変性性病変及び骨折、並びに
- 動脈瘤及び血管解離
からなる群より選択される非腫瘍性病変の予防又は治療のための薬剤の製造のための使用。
【請求項13】
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号185若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、化学療法剤との組み合わせの、癌の治療用の薬剤の製造のための使用。
【請求項14】
化学療法剤と、配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は配列番号185若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質との組み合わせを含み、前記化学療法剤が、特に、ドキソルビシン、メトトレキセート、ビンブラスチン、ビンクリスチン、クラドリビン、フルオロウラシル、シタラビン、アントラサイクリン、シスプラチン、シクロホスファミド、フルダラビン、ゲムシタビン、アロマターゼ阻害剤、イリノテカン、ナベルビン、オキサリプラチン、タキソール及びドセタキセルからなる群より選択される医薬組成物。
【請求項15】
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号185若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、特に、AVASTIN (ベバシズマブ)、MACUGEN (ペガプタニブ)、及びLUCENTIS (ラニビズマブ)、又は任意のその他の抗VEGF薬、ニューロピリン-1に対するヒト化抗体、又は任意のその他の抗VEGF薬又は任意のその他の抗VEGF薬、例えばSUTENT (スニチニブ)若しくはNEXAVAR (ソラフェニブ)、並びにDLL4に対するヒト化抗体、又はアンジオポエチン経路に干渉する薬、例えばAM 386からなる群より選択される血管新生抑制薬との組み合わせの、請求項10で定義される腫瘍性又は非腫瘍性の病変の予防又は治療用の薬剤の製造のための使用。
【請求項16】
請求項10で定義される腫瘍性又は非腫瘍性の病変の治療又は予防のための同時、別々の又は逐次的な使用のための:
- 配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は
- 配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は
- 配列番号185若しくは配列番号209から選択される配列の1つで表されるタンパク質
と、特に、AVASTIN (ベバシズマブ)、MACUGEN (ペガプタニブ)及びLUCENTIS (ラニビズマブ)、又はステント若しくはソラフェニブのようなその他の任意の抗VEGF薬、ニューロピリン-1に対するヒト化抗体、又はその他の任意の抗VEGF薬、又はその他の任意の抗VEGF薬、例えばSUTENT (スニチニブ)若しくはNEXAVAR (ソラフェニブ)、並びにDLL4に対するヒト化抗体又はアンジオポエチン経路に干渉する薬、例えばAM 386からなる群より選択される血管新生抑制薬との組み合わせ製剤。
【請求項17】
配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174を含むか又はこれからなるタンパク質。
【請求項18】
配列番号2若しくは配列番号4で表されるタンパク質、又は配列番号2q (qは、3から36まで変動する)の配列の1つで表される配列番号2若しくは配列番号4の配列のフラグメント、又は配列番号185〜配列番号209の配列の1つとともに、周細胞又は血管平滑筋細胞を含む医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−516237(P2010−516237A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545947(P2009−545947)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050662
【国際公開番号】WO2008/087224
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(500488225)アンスティテュ ナシオナル ド ラ サント エ ド ラ ルシュルシェ メディカル(アンセルム) (26)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT NATIONAL DE LA SANTE ET DE LA RECHERCHE MEDICALE(INSERM)
【住所又は居所原語表記】101,rue de Tolbiac,F−75654 Paris Cedex 13 France
【出願人】(502205846)サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィク (154)
【出願人】(509203186)
【氏名又は名称原語表記】IVS INSTITUT DES VAISSEAUX ET DU SANG
【住所又は居所原語表記】Hopital Lariboisiere, 8 rue Guy Patin, F−75475 Paris Cedex 10, FRANCE
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050662
【国際公開番号】WO2008/087224
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(500488225)アンスティテュ ナシオナル ド ラ サント エ ド ラ ルシュルシェ メディカル(アンセルム) (26)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT NATIONAL DE LA SANTE ET DE LA RECHERCHE MEDICALE(INSERM)
【住所又は居所原語表記】101,rue de Tolbiac,F−75654 Paris Cedex 13 France
【出願人】(502205846)サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィク (154)
【出願人】(509203186)
【氏名又は名称原語表記】IVS INSTITUT DES VAISSEAUX ET DU SANG
【住所又は居所原語表記】Hopital Lariboisiere, 8 rue Guy Patin, F−75475 Paris Cedex 10, FRANCE
【Fターム(参考)】
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