説明

変速機のダストカバー構造

【課題】ブリーザ孔を有するダストカバーに対し、このダストカバーによって保護すべき空間へのダストの侵入を確実に阻止することが可能なダストカバー構造を提供する。
【解決手段】ダストカバー107内部においてブリーザ孔172の内側に、略円弧断面のダストガイド部材171を一体的に形成し、ダストカバー107の内面との間で渦流室173を形成し、ダストカバー内部を、ダストの侵入を阻止すべき保護空間108と上記渦流室173とに区画する。ダストカバー内空間の拡大時、ブリーザ孔172から流れ込んだ空気をダストガイド部材171によって案内して渦流室173で渦流を発生させる。空気と共に流れ込んだダストは、この渦流に沿って流れることで保護空間108には流れ込まず、渦流室173内に捕捉される。ダストカバー内空間の縮小時、ブリーザ孔172から排出される空気によって渦流室173内に捕捉されていたダストは外部に排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の手動変速機等に適用されるダストカバーの構造に係る。特に、本発明は、ダストカバーにより保護されている空間へのダスト(塵埃等)の侵入を防止するための対策に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用の手動変速機では、ドライバ(運転者)によるシフトレバーの操作によって変速段の選択が行われる。例えば車室内のフロアにシフトレバーが配設されたフロアシフト式のものでは、左右方向(車幅方向)および前後(車体前後方向)に延びる溝が形成されたシフトゲート内にシフトレバーが移動操作可能に配設されている。そして、このシフトゲートに沿ってシフトレバーを左右方向の一方向に操作するセレクト操作の後、前後方向の一方向に操作するシフト操作を行うことによって所望の変速段が成立するようになっている。つまり、これらセレクト操作の操作力やシフト操作の操作力をケーブルやリンクによって変速機構に伝達し、同期装置やギヤを移動させて所定の変速段が達成される構成となっている。
【0003】
具体的には、例えば下記の特許文献1や特許文献2に開示されているように、変速機構には、シフトセレクトシャフト、シフトインナーレバー、シフトフォークヘッド(以下、単にヘッドと呼ぶ)、フォークシャフト、シフトフォーク等が備えられている。シフトセレクトシャフトは、シフトレバーからのセレクト操作力やシフト操作力がケーブル等を介して伝達され、スライド移動及び回動する。シフトインナーレバーは、シフトセレクトシャフトに固定されていると共に軸線に対して直交する方向へ延在するレバー部を備えている。シフトレバーのセレクト操作に連動するシフトセレクトシャフトのセレクト方向の移動(例えば上記スライド移動)によってレバー部が所定のヘッドに係合可能な位置(ヘッドに対向する位置)に移動する。そして、シフトレバーのシフト操作に連動するシフトセレクトシャフトのシフト方向の移動(例えば上記回動)によってレバー部がヘッドに対してシフト操作力を伝達する。ヘッド、フォークシャフト、シフトフォークは一体的に連結されており、上記レバー部からヘッドに伝達されたシフト操作力がフォークシャフトを介してシフトフォークに伝達される。これにより、シフトフォークがそれに対応した同期装置を作動させて所定の変速段が達成される構成となっている。
【0004】
図10は、上記シフトセレクトシャフトaの支持構造を示している。この図10に示すものは、鉛直方向に配設されたシフトセレクトシャフトaの上端部の支持構造である。
【0005】
この図10に示すように、シフトセレクトシャフトaは、トランスミッションケースbに形成されたシャフト支持孔b1に挿通されている。つまり、シフトセレクトシャフトaは、このシャフト支持孔b1に支持された状態で上記スライド移動や回動が可能となっている。そして、シフトセレクトシャフトaとトランスミッションケースbのシャフト支持孔b1との間には、ボールベアリングcが介在されていると共に潤滑オイルが供給されており、シフトセレクトシャフトaのスライド移動や回動が円滑に行えるようになっている。また、上記トランスミッションケースbのシャフト支持孔b1の開放側端部(図10における上側の端部)にはオイルシールdが装着されている。このオイルシールdにより、上記シャフト支持孔b1の内面とシフトセレクトシャフトaの外面との間からのオイル漏れを防止している。このため、シフトセレクトシャフトaがスライド移動する際には、このシフトセレクトシャフトaの外周面がオイルシールdに摺動することになる。
【0006】
また、上記オイルシールdやシフトセレクトシャフトaにダスト(塵埃等)が付着すると、そのダストがオイルシールdとシフトセレクトシャフトaとの間に噛み込んで、オイルシールdのシール性の悪化を招く可能性がある。このため、このオイルシールdの装着部分にはダストカバーeが適用されている。このダストカバーeは、蛇腹状のゴム製部材で成っている。このダストカバーeは、その上端部がシフトセレクトシャフトaに、下端部がトランスミッションケースbにそれぞれ外嵌固定されている。これにより、上記オイルシールdと、シフトセレクトシャフトaの外面のうちオイルシールdに対して摺動する領域とを、ダストカバーeによって外部から遮断し、上記ダストによる悪影響を防止している。
【0007】
また、ダストカバーeにはブリーザ孔e1が形成されている。このブリーザ孔e1は、シフトセレクトシャフトaのスライド移動に伴ってダストカバーeの内部容積が拡大/縮小する際に、ダストカバーeの内部の空気を吸排する。これによって、ダストカバーeの内圧変化を抑制してシフトセレクトシャフトaがスライド移動する際の抵抗を軽減し、セレクト操作力の適正化を図っている。
【0008】
また、図10の如くシフトセレクトシャフトaが鉛直方向に延びるように配設された変速機構にあっては、上記ブリーザ孔e1がダストカバーeの下部に形成されている。その理由は、仮にブリーザ孔をダストカバーの上部に設けた場合、上側からのダストがブリーザ孔を経てダストカバーの内部に入り込みやすくなってしまうからである。
【0009】
尚、このようにダスト侵入を抑えるためのカバー部材にブリーザ孔を設けた構成として、下記の特許文献3や特許文献4に開示されるものがある。これら特許文献には、シフトレバーのブーツにブリーザ孔を形成した構成が開示されている。
【特許文献1】特開平11−101269号公報
【特許文献2】特開2001−280431号公報
【特許文献3】実開昭61−23562号公報
【特許文献4】実公昭63−42200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のブリーザ孔は、単に小径の開口を形成したものに過ぎなかった。このため、変速機を長期使用した場合に、ブリーザ孔から徐々にダストが侵入していき、このダストがオイルシールとシフトセレクトシャフトとの間に噛み込んで、シール性の悪化を招く可能性があった。
【0011】
特に、上述した如くシフトセレクトシャフトが鉛直方向に延びるように配設された変速機構にあっては、ブリーザ孔の位置がオイルシールに比較的近い位置にあるため、上記不具合を招きやすい構成となっていた。
【0012】
また、上記不具合は、シフトセレクトシャフトが鉛直方向に延びるように配設された変速機構に限らず、シフトセレクトシャフトが水平方向に延びるように配設された変速機構にあっても同様に生じる可能性がある。
【0013】
また、上記特許文献3や特許文献4に開示されているブリーザ孔も、単に小径の開口であって、ダストの侵入を確実に防止できる機能は有していない。
【0014】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ブリーザ孔を有するダストカバーに対し、このダストカバーによって保護すべき(ダストの侵入を回避すべき)空間へのダストの侵入を確実に阻止することが可能な変速機のダストカバー構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、ダストカバーに形成されているブリーザ孔から流れ込んだ空気に渦流を発生させ、この空気と共に流れ込んできたダストを渦流に沿って流すことで、ダストカバーにより保護すべき空間へのダストの侵入が阻止できるようにしている。つまり、ダストカバーの内部に、保護すべき(ダストの侵入を回避すべき)空間とダストの侵入を許容する空間とを設けておく。そして、このダストの侵入を許容する空間において渦流を発生させて、ダストをこの空間に留めておくことで、上記保護すべき空間にダストが流れ込まないようにしている。
【0016】
−解決手段−
具体的に、本発明は、ケーシングに形成されたシャフト支持孔内に、変速動作に伴い軸心に沿ってスライド移動するシャフト部材が挿通されていると共に、これらシャフト部材とシャフト支持孔との間にオイルシールが介在され且つこのオイルシールを覆うように上記ケーシングとシャフト部材とに亘ってダストカバーが装着されて成る変速機のダストカバー構造を前提とする。この変速機のダストカバー構造に対し、上記ダストカバーには、このダストカバーの内部空間と外部とを連通するブリーザ孔が形成されている。また、このブリーザ孔から流れ込んだ空気をガイドして渦流を発生させ、この空気と共に流れ込んできたダストを、上記渦流に沿って流すことで、ダストの侵入を阻止すべきダストカバー内保護空間から外れた所定箇所に集積させるダストガイド手段を設けている。
【0017】
この特定事項により、ダストカバーの内部空間を拡大する方向にシャフト部材がスライド移動する際には、このダストカバーの内部空間の圧力が外部よりも低くなることから、ブリーザ孔を経て外部の空気が流れ込むことになる。この場合、ブリーザ孔から流れ込んだ空気は、上記保護空間から外れた領域においてダストガイド手段にガイドされて渦流となる。このため、この空気と共にブリーザ孔から流れ込んできたダストは、この渦流に沿って流れることで、上記保護空間には流れ込まず、この保護空間から外れた所定箇所に集積されていく。これにより、上記保護空間には、ダストが侵入することなく空気のみが流れ込んで、ダストカバーの内部空間(上記保護空間)の圧力が適正に保たれる。このように、渦流を利用することで、ダストがシャフト部材やオイルシールに付着することが回避されるため、オイルシールのシール性の悪化を長期間に亘って回避することが可能になる。
【0018】
上記ダストカバーの具体的な構成としては以下のものが挙げられる。先ず、ダストカバーに、シャフト部材のスライド移動方向の一端側がシャフト部材に他端側がケーシングにそれぞれ連結されたダストカバー本体を備えさせる。そして、上記ダストガイド手段を断面略円弧状のダストガイド部材により構成している。このダストガイド部材は、上記ダストカバー本体の上記他端側の内側に位置し、上記ブリーザ孔から流れ込んだ空気をダストカバー本体の内面に向けて案内することで上記渦流を発生させ且つダストを集積する渦流室を上記ダストカバー本体の内面との間で形成している。
【0019】
この構成により、ブリーザ孔から流れ込んだ空気は、ダストガイド部材によってダストカバー本体の内面に向けて案内され、このダストカバー本体の内面とダストガイド部材とに沿う渦流となる。この渦流により、ダストは上記保護空間には流れ込むことがない。このように上記渦流を発生させるためのダストカバーの形状が具体化されるため、本発明の実用性を高めることができる。
【0020】
上記集積されたダストは以下の構成によってダストカバーから排出することが可能である。つまり、上記シャフト部材のスライド移動に伴って上記保護空間の空気がブリーザ孔を経て外部に排出される際、その気流が上記渦流室を通過することにより、この渦流室に集積されていたダストが外部に排出される構成とするものである。
【0021】
この構成によれば、シャフト部材のスライド移動に伴って上記保護空間に空気が流れ込む動作と、保護空間から空気を排出する動作とが繰り返されることによって、上記保護空間から外れた上記渦流室へのダストの集積と、このダストの外部への排出とが繰り返されることになる。このため、ダストカバー内部にダストが継続的に滞在するといった状況が解消され、ダストカバー内部のダスト量を長期間に亘って少なくすることができる。その結果、ダストカバー内部に継続的にダストが滞在することでオイルシールやシャフト部材にダストが付着する可能性が高くなるといった状況を効果的に回避でき、オイルシールのシール性の悪化を確実に防止することが可能になる。
【0022】
上記渦流室を形成する他の構成としては以下のものが挙げられる。つまり、上記ブリーザ孔に、上記シャフト部材のスライド移動に伴ってダストカバーの内圧が外部圧よりも低くなった際に開放する吸入弁と、ダストカバーの内圧が外部圧よりも高くなった際に開放する吐出弁とを設け、上記渦流室を、上記ダストカバー本体の内面、ダストガイド部材、吸入弁、吐出弁によって形成する。そして、上記吐出弁を、上記吸入弁の開放時に、ダストガイド部材により形成された渦流の流線に沿って流れるダストを捕捉可能な位置に配置させた構成としている。
【0023】
この構成では、シャフト部材のスライド移動に伴ってダストカバーの内圧が外部圧よりも低くなった際に吸入弁が開放し、外部からダストカバー内に空気が流れ込む。そして、この空気は渦流室内で渦流となり、この渦流に沿って流れるダストは上記保護空間に流れ込まず渦流室に集積されていく。上記吐出弁は、この渦流の流線に沿って流れるダストを捕捉する位置に配置されているため、この吐出弁上及びその周辺にダストは集積されていくことになる。そして、シャフト部材のスライド移動に伴ってダストカバーの内圧が外部圧よりも高くなった際には、吐出弁が開放し、ダストカバー内に空気は渦流室を通過して外部に排出される。この際、上述した如く吐出弁上及びその周辺にダストが集積されているため、渦流室を通過する気流は、このダストを、吐出弁を経てブリーザ孔から外部に排出することになる。この場合にも、ダストカバー内部にダストが継続的に滞在するといった状況が解消され、ダストカバー内部のダスト量を長期間に亘って少なくすることができて、オイルシールのシール性の悪化を確実に防止することが可能になる。また、ダストの集積箇所を上記排出される気流の流線上に略一致させることができるので、ダストの排出効果を十分に発揮させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、ダストカバーに形成されているブリーザ孔から流れ込んだ空気に渦流を発生させ、この空気と共に流れ込んできたダストを渦流に沿って流すことで、ダストカバーにより保護すべき空間へのダストの侵入が阻止できるようにしている。このため、ダストがシャフト部材やオイルシールに付着することが回避され、オイルシールのシール性を長期間に亘って維持することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両に搭載された、前進5速段、後進1速段の同期噛み合い式手動変速機(マニュアルトランスミッション)を例に挙げて説明する。また、本実施形態では、シフトセレクトシャフトが鉛直方向に配設された手動変速機を例に挙げて説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る手動変速機(以下、単に変速機と呼ぶ)100の操作力伝達系を示す断面図である。トランスミッションケース(ケーシング)101に形成されているシャフト支持孔103の内部にはシフトセレクトシャフト(シャフト部材)102が挿通されている。このシフトセレクトシャフト102は、その軸線が鉛直方向に延びるように配設されており、運転者が操作する操作部材としてのシフトレバーのシフト操作に連動して軸線回り(図1中の矢印Mで示す方向)に回動し、シフトレバーのセレクト操作に連動して軸線方向(図1中の矢印Nで示す方向:上下方向)にスライド移動するようにトランスミッションケース101内に支持されている。また、上記シフトセレクトシャフト102とトランスミッションケース101のシャフト支持孔103との間には、ボールベアリング104が介在されていると共に潤滑オイルが供給されており、シフトセレクトシャフト102のスライド移動や回動が円滑に行えるようになっている。
【0027】
上記シフトセレクトシャフト102の両端部は、上記トランスミッションケース101のシャフト支持孔103から外部へ突出しており、その突出部分の一部はゴム製のダストカバー106,107によってそれぞれ覆われている。これらダストカバー106,107は、シフトセレクトシャフト102とトランスミッションケース101との間に亘って配設されており、その内部に位置しているオイルシール105及びシフトセレクトシャフト102を保護し、外部からのダスト(塵埃)や水分などの侵入を防止している。また、シフトセレクトシャフト102は後述するセレクト操作に伴って軸線方向に移動するため、その移動量を吸収すべく、上記ダストカバー106,107はシフトセレクトシャフト102の軸線方向に伸縮自在となる蛇腹形状に形成されている。本実施形態の特徴は、シフトセレクトシャフト102の上端部に配設されたダストカバー107の構成にあるが、その詳細な構成については後述する。
【0028】
尚、シフトセレクトシャフト102の下側においては、トランスミッションケース101の内部を開放させない構成とすることにより、下側のダストカバー106を無くすことも可能である。
【0029】
符号110はシフトアウターレバーである。このシフトアウターレバー110は、基部がシフトセレクトシャフト102の下端部に連結されており、シフトセレクトシャフト102とともに一体に回動する。シフトアウターレバー110は、シフトレバー(図1において不図示)のシフト操作力が図示しないケーブル等を介して伝達されるシフト操作力伝達部111に連結されている。シフトレバーが運転者によりシフト操作されると、その操作力がシフト操作力伝達部111により伝達され、シフトアウターレバー110およびシフトセレクトシャフト102が、シフトセレクトシャフト102の軸線回りに一体に回動される。なお、シフトセレクトシャフト102の上端部には、このシフトセレクトシャフト102から水平方向に延在したアームを介してシフトマス113が設けられており、このシフトマス113がシフトセレクトシャフト102の回動トルク、つまり、運転者によるシフト操作力をアシストするように作用する。
【0030】
また、シフトセレクトシャフト102には、図示しないセレクト操作力伝達部が連結されており、シフトレバーが運転者によりセレクト操作されると、その操作力が上記セレクト操作力伝達部により伝達され、シフトセレクトシャフト102が軸線方向に移動するようになっている。
【0031】
シフトセレクトシャフト102には、第1インナーレバー121が固定されている。この第1インナーレバー121は、シフトセレクトシャフト102の外周に外嵌固定された基部121aと、この基部121aからシフトセレクトシャフト102の径方向へ延在したレバー部121bとを備えている。第1インナーレバー121は、シフトセレクトシャフト102と一体にシフトセレクトシャフト102の軸線方向へ移動し、且つ、同軸線回りに一体に回動する。第1インナーレバー121のレバー部121bは、シフトセレクトシャフト102とともに、シフトセレクトシャフト102の軸線方向に移動することで、1速段および2速段用シフトヘッド122,3速段および4速段用シフトヘッド123,並びに5速段および後進段用シフトヘッド124のいずれかに選択的に係合可能な位置に配される。また、第1インナーレバー121のレバー部121bは、シフトセレクトシャフト102とともに回動することで、係合可能な位置に配置されたシフトヘッドに係合し、そのシフトヘッドをスライド移動させる。図1においては、第1インナーレバー121のレバー部121bが中央の3速段および4速段用シフトヘッド123に係合している。
【0032】
第1インナーレバー121の基部121aには、シフトセレクトシャフト102の軸線方向に対して平行に延在した2つの凸条が形成されている。また、この第1インナーレバー121の基部121aには、トランスミッションケース101に固設されたロックボールアッシ126のロックボール127がスプリング力によって押し付けられている。シフトレバーのシフト操作に連動して第1インナーレバー121の基部121aが回動することで、上記ロックボール127が上記2つの凸条を横切ることが可能であり、このロックボール127が2つの凸条の間又は2つの凸条の外側に嵌落することにより、シフトレバー、第1インナーレバー121等のシフト方向の位置決めがなされる。
【0033】
符号130はインターロックプレートである。このインターロックプレート130は、シフトセレクトシャフト102に対して軸線方向に相対移動不能に且つ軸線回りに相対回動可能に外嵌されている。但し、トランスミッションケース101に固定されたロックボールアッシ126の一部が、インターロックプレート130に形成された、軸線方向に延在した長孔130aに係合していることから、インターロックプレート130はトランスミッションケース101との関係では回動しない。インターロックプレート130は、回動する第1インナーレバー121のレバー部121bの両側に摺接し、レバー部121bに係合された1つのシフトヘッドのみを通過させることができるスリット状のシフトヘッド通路130bを有する。このシフトヘッド通路130bによって同時に2つ以上のシフトヘッド122〜124の通過が規制され、同時に複数の変速段のギヤ列の噛み合い(いわゆる二重噛み合い)が防止される。図1では、両側に配置されているシフトヘッド122,124は、インターロックプレート130に係止されており、これらのシフトヘッド122,124は移動することができない。なお、インターロックプレート130の上記長孔130aの長手方向寸法は、インターロックプレート130の軸線方向への移動範囲に対応しており、ロックボールアッシ126がインターロックプレート130の軸線方向へ移動の妨げとはならないようになっている。
【0034】
符号131は、回動してプレボーグピン132を押圧し、同期装置を作動させるために設けられたプレボーグ部材押圧レバーである。このプレボーグ部材押圧レバー131は、シフトセレクトシャフト102に固定され、このシフトセレクトシャフト102の径方向へ延在している。したがって、プレボーグ部材押圧レバー131は、シフトセレクトシャフト102と一体に移動および回動する。図1に示すように、プレボーグ部材押圧レバー131は、その先端部のセレクト方向(図1中の矢印Nで示す方向)の片側(プレボーグ部材押圧レバー131が矢印N方向の中立位置にあるときにおけるプレボーグピン132の先端部に対向する側)に先端側ほどセレクト方向の肉厚が減少するような傾斜部131aが形成されている。
【0035】
プレボーグピン(プレボーグ部材)132は、後述する前進段用同期装置211の作動・非作動状態の切換動作に連動するように設けられている。例えば、プレボーグピン132は、後述するシフトフォークシャフト122Fと連動するようにその基端部がシフトフォークシャフト122Fに取り付けられており、回動するプレボーグ部材押圧レバー131に回動方向に押圧移動されることによってシフトフォークシャフト122Fを長手方向へ移動させる。これにより、シフトフォークシャフト122Fに連結されているシフトフォーク160は変速動作が成立しない程度に前進段用同期装置211を作動させる。なお、プレボーグピン132はコイルばね122aを介してシフトフォークシャフト122Fに取り付けられており、そのコイルばね122aにおいて弾性的に屈曲可能とされている。これにより、プレボーグ部材押圧レバー131が一定角以上回動すると、その先端部がプレボーグピン132を容易に乗り越えることができるようになっている。
【0036】
符号140はガイドプレートである。このガイドプレート140は、シフトセレクトシャフト102に固定されており、このシフトセレクトシャフト102と一体に移動および回動する。このガイドプレート140の表面には、図2に示すような、シフトレバーの操作パターンに対応したゲート溝140Aが形成されている。そして、このゲート溝140Aに、トランスミッションケース101が固定されそのケース101内方に突出したゲートピン150が嵌まり込むようになっている。これらゲート溝140Aおよびゲートピン150からなるゲート機構Gは、シフトレバーのシフト操作時のセレクト方向への可動範囲を画定する可動範囲画定手段となり、これによりセレクト方向へのがたつきを防止してシフトフィーリングを向上させることを目的として設けられる。
【0037】
シフトセレクトシャフト102には、ハイ側およびロー側のセレクトスプリング145,146の弾性力によって、軸線方向の中立位置に復帰させようとする力が働いている。この力はシフトセレクトシャフト102と連動するシフトレバーのセレクト方向の中立位置復帰力としても働く。ハイ側セレクトスプリング145は、トランスミッションケース101の内壁とガイドプレート140との間に取り付けられている。ロー側セレクトスプリング146は、トランスミッションケース101の内壁とプレボーグ部材押圧レバー131との間に取り付けられている。
【0038】
1速段および2速段用のシフトヘッド122は、1速段および2速段用のシフトフォークシャフト122Fに形成されている。3速段および4速段用のシフトヘッド123は、3速段および4速段用のシフトフォークシャフト123Fに形成されている。5速段および後進段用のシフトヘッド124は、5速段および後進段用のシフトフォークシャフト124Fに形成されている。それぞれのシフトフォークシャフト122F〜124Fは、水平方向で互いに平行に配設されている。
【0039】
また、1速段および2速段用のシフトフォークシャフト122Fには、1速段および2速段用のシフトフォーク160が固定されており、シフトフォークシャフト122Fが軸線方向の何れか一方に移動することで、1速段又は2速段への変速動作が実行される。3速段および4速段用のシフトフォークシャフト123Fには、3速段および4速段用のシフトフォーク161が固定されており、シフトフォークシャフト123Fが軸線方向の何れか一方に移動することで、3速段又は4速段への変速動作が実行される。5速段および後進段用のシフトフォークシャフト124Fには、5速段用のシフトフォーク162(図3の略図を参照、図1において図示せず。)および後進段用のシフトフォーク163(図3の略図を参照、図1において図示せず。)が固定されており、シフトフォークシャフト124Fが軸線方向の何れか一方に移動することで、5速段又は後進段への変速動作が実行される。
【0040】
また、図3に示すように、シフトフォークシャフト122Fには1速段−中立位置−2速段にそれぞれ対応したロックボール溝122Fa,122Fb,122Fcが形成され、これらの何れかに、シフトフォークシャフト122F側に押圧されるロックボール128が嵌入され得るようになっている。上記ロックボール128は、トランスミッションケース101に形成された孔の内部に収容され、同じく前記孔に収容されてその孔のプラグ129によって係止された圧縮状態のコイルスプリング136によりシフトフォークシャフト122F側に押圧されている。これらの構成からなる第2ロックボール機構139によって、ギヤ抜け防止と節度感が得られるようになっている。
【0041】
また、第2ロックボール機構139によれば、シフトフォークシャフト122Fが中立位置から軸線方向へ僅かに移動すると、ロックボール128がロックボール溝122Fb側に押圧されていることから、ロックボール128がロックボール溝122Fbから完全に離脱しない限り、シフトフォークシャフト122Fおよびこれに形成されているシフトヘッド122を中立位置に復帰させようとする中立位置復帰力(シフト方向の中立位置復帰力)が作用する。同様に、シフトフォークシャフト123F、124Fにもそれぞれ第2ロックボール機構139が設けられている。
【0042】
<手動変速機のギヤレイアウト>
次に、手動変速機100のギヤレイアウト200について図3に基づいて説明する。このギヤレイアウト200は、トランスミッションケース101、トランスアクスルケース101Aおよびケースカバー101B内に収容されており、互いに平行に配設されたインプットシャフト201、アウトプットシャフト202およびリバースシャフト203(図3において2点鎖線で示す。)が、トランスミッションケース101およびトランスアクスルケース101Aによって回転自在に支持されている。
【0043】
インプットシャフト201は、図示しないエンジンのクランクシャフトにクラッチ機構を介して連結されており、このクラッチ機構の係合動作によりエンジンの回転駆動力が入力されるようになっている。
【0044】
インプットシャフト201とアウトプットシャフト202との間には、前進1速段〜前進5速段および後進段の各変速段を成立させるための複数の変速ギヤ列204〜209が設けられている。具体的には、前進段用のギヤ列として、図1において右側から左側に向かって順に、1速ギヤ列204、2速ギヤ列205、3速ギヤ列206、4速ギヤ列207および5速ギヤ列208が配設されている。また、後進段用のギヤ列として、リバースギヤ列209が配設されている。
【0045】
1速ギヤ列204は、インプットシャフト201に相対回転不能に取り付けられた1速ドライブギヤ204aと、アウトプットシャフト202に対して相対回転自在に組み付けられた1速ドリブンギヤ204bとを備えており、これら1速ドライブギヤ204aと1速ドリブンギヤ204bとは互いに噛み合っている。
【0046】
2速ギヤ列205は、インプットシャフト201に相対回転不能に取り付けられた2速ドライブギヤ205aと、アウトプットシャフト202に対して相対回転自在に組み付けられた2速ドリブンギヤ205bとを備えており、これら2速ドライブギヤ205aと2速ドリブンギヤ205bとは互いに噛み合っている。
【0047】
3速ギヤ列206は、インプットシャフト201に相対回転自在に組み付けられた3速ドライブギヤ206aと、アウトプットシャフト202に相対回転不能に取り付けられた3速ドリブンギヤ206bとを備えており、これら3速ドライブギヤ206aと3速ドリブンギヤ206bとは互いに噛み合っている。
【0048】
4速ギヤ列207は、インプットシャフト201に相対回転自在に組み付けられた4速ドライブギヤ207aと、アウトプットシャフト202に相対回転不能に取り付けられた4速ドリブンギヤ207bとを備えており、これら4速ドライブギヤ207aと4速ドリブンギヤ207bとは互いに噛み合っている。
【0049】
5速ギヤ列208は、インプットシャフト201に相対回転自在に組み付けられた5速ドライブギヤ208aと、アウトプットシャフト202に相対回転不能に取り付けられた5速ドリブンギヤ208bとを備えており、これら5速ドライブギヤ208aと5速ドリブンギヤ208bとは互いに噛み合っている。
【0050】
上記各変速ギヤ列の切り換え動作(変速動作)は、3つのシンクロメッシュ機構(同期装置)211,212,213によって行われる。
【0051】
第1のシンクロメッシュ機構211は、1速ドリブンギヤ204bと2速ドリブンギヤ205bとの間におけるアウトプットシャフト202上に設けられている。この第1のシンクロメッシュ機構211が1速ドリブンギヤ204b側に作動すると、1速ドリブンギヤ204bがアウトプットシャフト202に相対回転不能に連結され、1速ドライブギヤ204aと1速ドリブンギヤ204bとの間で、インプットシャフト201からアウトプットシャフト202への動力伝達が行われるようになる(1段変速)。一方、第1のシンクロメッシュ機構211が2速ドリブンギヤ205b側に作動すると、2速ドリブンギヤ205bがアウトプットシャフト202に相対回転不能に連結され、2速ドライブギヤ205aと2速ドリブンギヤ205bとの間で、インプットシャフト201からアウトプットシャフト202への動力伝達が行われるようになる(2段変速)。
【0052】
第2のシンクロメッシュ機構212は、3速ドライブギヤ206aと4速ドライブギヤ207aとの間におけるインプットシャフト201上に設けられている。この第2のシンクロメッシュ機構212が3速ドライブギヤ206a側に作動すると、3速ドライブギヤ206aがインプットシャフト201に相対回転不能に連結され、3速ドライブギヤ206aと3速ドリブンギヤ206bとの間で、インプットシャフト201からアウトプットシャフト202への動力伝達が行われるようになる(3段変速)。一方、第2のシンクロメッシュ機構212が4速ドライブギヤ207a側に作動すると、4速ドライブギヤ207aがインプットシャフト201に相対回転不能に連結され、4速ドライブギヤ207aと4速ドリブンギヤ207bとの間で、インプットシャフト201からアウトプットシャフト202への動力伝達が行われるようになる(4段変速)。
【0053】
第3のシンクロメッシュ機構213は、5速ドライブギヤ208aの片側におけるインプットシャフト201上に設けられている。この第3のシンクロメッシュ機構213が5速ドライブギヤ208a側に作動すると、この5速ドライブギヤ208aがインプットシャフト201に相対回転不能に連結され、5速ドライブギヤ208aと5速ドリブンギヤ208bとの間で、インプットシャフト201からアウトプットシャフト202への動力伝達が行われるようになる(5段変速)。
【0054】
このようにして、前進時には、シフトチェンジ動作時を除いて、インプットシャフト201の回転駆動力が、シンクロメッシュ機構211,212,213のうちの何れか一つの作動によって選択された一つの変速ギヤ列204〜208を介してアウトプットシャフト202へ伝達される。
【0055】
一方、リバースギヤ列209は、インプットシャフト201に相対回転不能に取り付けられたリバースドライブギヤ209aと、アウトプットシャフト202に相対回転不能に取り付けられたリバースドリブンギヤ209bと、リバースシャフト203に対してスライド移動自在に組み付けられたリバースアイドラギヤ209c(図3において2点鎖線で示す。)とを備えている。これらギヤ209a,209b,209cは前進時には動力伝達を行わず、後進時に、リバースアイドラギヤ209cがリバースシャフト203の軸線方向に移動してリバースドライブギヤ209aおよびリバースドリブンギヤ209bの両方に噛み合うことで、リバースドライブギヤ209aの回転駆動力を逆方向回転にしてリバースドリブンギヤ209bに伝達する。これにより、アウトプットシャフト202が上記前進段の場合とは逆方向に回転し、駆動輪は後退方向に回転する。なお、リバースドリブンギヤ209bは第1のシンクロメッシュ機構211の外周側に相対回転不能に配設されている。
【0056】
このようにして所定の変速比で変速され又は逆回転されてアウトプットシャフト202に伝達された回転駆動力は、ファイナルドライブギヤ215aとファイナルドリブンギヤ215bとからなるファイナルリダクションギヤ列215の終減速比によって減速された後、ディファレンシャル装置216へ伝達される。これによって、図示しない駆動輪が前進方向または後進方向に回転する。
【0057】
<シフトレバー>
図4は、運転者が手動変速操作を行う際に操作する操作部材としてのシフトレバーLの可動範囲S1を示している。シフトレバーLは、図4に矢印Xで示す方向(以下「セレクト方向」ともいう。)のセレクト操作と、セレクト操作方向に直交する矢印Y(以下「シフト方向」ともいう。)で示す方向のシフト操作とを行い得る。
【0058】
セレクト方向には、1速−2速セレクト位置P1,3速−4速セレクト位置P2,および5速−リバースセレクト位置P3(「リバースセレクト位置P3」ともいう。)が略一列に並んでいる。なお、3速−4速セレクト位置P2はニュートラル位置でもある。
【0059】
1速−2速セレクト位置P1でのシフト方向の操作(「シフト操作」ともいう。)により、シフトレバーLを1速位置1stまたは2速位置2ndに動かすことができる。1速位置1stに操作された場合、その操作力がシフトヘッド122、シフトフォークシャフト122F、シフトフォーク160等を介して第1のシンクロメッシュ機構211に伝達され、第1のシンクロメッシュ機構211は1速ドリブンギヤ204b側に作動し、この1速ドリブンギヤ204bがアウトプットシャフト202に相対回転不能に連結される。また、2速位置2ndに操作された場合、その操作力がシフトヘッド122、シフトフォークシャフト122F、シフトフォーク160等を介して第1のシンクロメッシュ機構211に伝達され、第1のシンクロメッシュ機構211は2速ドリブンギヤ205b側に作動し、この2速ドリブンギヤ205bがアウトプットシャフト202に相対回転不能に連結される。
【0060】
同様に、3速−4速セレクト位置P2でのシフト操作により、シフトレバーLを3速位置3rdまたは4速位置4thに動かすことができる。3速位置3rdに操作された場合、その操作力がシフトヘッド123、シフトフォークシャフト123F、シフトフォーク161等を介して第2のシンクロメッシュ機構212に伝達され、第2のシンクロメッシュ機構212は3速ドライブギヤ206a側に作動し、この3速ドライブギヤ206aがインプットシャフト201に相対回転不能に連結される。また、4速位置4thに操作された場合、その操作力がシフトヘッド123、シフトフォークシャフト123F、シフトフォーク161等を介して第2のシンクロメッシュ機構212に伝達され、第2のシンクロメッシュ機構212は4速ドライブギヤ207a側に作動し、この4速ドライブギヤ207aがインプットシャフト201に相対回転不能に連結される。
【0061】
また、5速−リバースセレクト位置P3でのシフト操作により、シフトレバーLを5速位置5thまたはリバース位置REVに動かすことができる。5速位置5thに操作された場合、その操作力がシフトヘッド124、シフトフォークシャフト124F、シフトフォーク162等を介して第3のシンクロメッシュ機構213に伝達され、第3のシンクロメッシュ機構213は5速ドライブギヤ208a側に作動し、この5速ドライブギヤ208aがインプットシャフト201に相対回転不能に連結される。また、リバース位置REVに操作された場合、その操作力がシフトヘッド124、シフトフォークシャフト124F、シフトフォーク163等を介してリバースアイドラギヤ209cに伝達され、リバースアイドラギヤ209cは、リバースシャフト203の軸線方向に移動してリバースドライブギヤ209aおよびリバースドリブンギヤ209bに噛み合うことになる。但し、リバースアイドラギヤ209cが移動を開始した後、リバースドライブギヤ209aおよびリバースドリブンギヤ209bに噛み合う前に、上記操作力がプレボーグピン132、シフトフォークシャフト122F、シフトフォーク160等を介して第1のシンクロメッシュ機構211に伝達され、第1のシンクロメッシュ機構211は一時的に2速ドリブンギヤ205b側に2速段が成立しないようにして作動される。
【0062】
<ダストカバー107の構造>
次に、本実施形態の特徴部分である上記ダストカバー107(シフトセレクトシャフト102の上端部に設けられたダストカバー)の構造について説明する。
【0063】
図5はダストカバー107の装着部分における断面図(後述するブリーザ孔172,172の形成位置における断面図)である。また、図6は図5におけるVI−VI線に対応した位置における断面図である。
【0064】
これらの図に示すように、ダストカバー107は、ゴム製であって、全体が蛇腹状に形成されたダストカバー本体170と、このダストカバー本体170の内側に一体的に形成されたダストガイド部材(ダストガイド手段)171とを備えている。以下、具体的に説明する。
【0065】
上記ダストカバー本体170の上端部には略円形の開口170aが形成されている。また、上記シフトセレクトシャフト102の外面のうちオイルシール105に対して摺動する領域よりも僅かに上側の位置には円環溝102aが周方向に亘って形成されている。そして、ダストカバー本体170の上記開口170aの内周縁が、シフトセレクトシャフト102の上記円環溝102aに嵌め込まれている。これにより、ダストカバー107の上端部がシフトセレクトシャフト102に対してスライド移動一体に連結されている。
【0066】
一方、ダストカバー本体170の下端部にも略円形の開口170bが形成されている。また、上記トランスミッションケース101の上端縁には、僅かに外周側に突出した円環状のフランジ101Dが形成されている。そして、上記ダストカバー本体170の開口170bの内周縁が、トランスミッションケース101の上記フランジ101Dに係止されている。これにより、ダストカバー107の下端部がトランスミッションケース101に連結されている。
【0067】
このようにして、ダストカバー107は、シフトセレクトシャフト102とトランスミッションケース101とに亘って装着されている。このため、シフトセレクトシャフト102が図5の上側にスライド移動する際には、ダストカバー107の内部容積は拡大されることになる。逆に、シフトセレクトシャフト102が図5の下側にスライド移動する際には、ダストカバー107の内部容積は縮小されることになる。
【0068】
上記トランスミッションケース101のシャフト支持孔103の内面に装着されている上記オイルシール105は、その内面がシフトセレクトシャフト102の外面に摺接しており、上記シャフト支持孔103の内面とシフトセレクトシャフト102の外面との間からのオイル漏れを防止している。
【0069】
上述したように、上記ダストカバー107は、シフトセレクトシャフト102とトランスミッションケース101とに亘って装着され、その内部に、上記オイルシール105、及び、シフトセレクトシャフト102の外面のうちオイルシール105に対して摺動する領域が存在している。このため、ダストカバー107は、オイルシール105と、このオイルシール105に対して摺動するシフトセレクトシャフト102の外面とを外部から遮断し、これらオイルシール105やシフトセレクトシャフト102の外面にダストが付着することによるシール性の悪化を防止している。
【0070】
上記ダストガイド部材171は、ダストカバー本体170の内部空間において、その底面から上方に延び且つその断面が外周側に向けて湾曲する略円弧状に形成されている。また、このダストガイド部材171は、上記ダストカバー本体170の内面との間に所定間隔を存しており、その円弧状に形成された上端部分にあっては、ダストカバー本体170の内面との間で僅かな隙間Sを形成するように近接している。これにより、ダストカバー本体170の内面とダストガイド部材171の外面との間には、周方向に亘る円環形状(ドーナツ形状)の空間(本発明でいう渦流室)173が形成されている。
【0071】
また、ダストカバー本体170の下端部であって、上記ダストガイド部材171の外側位置には、比較的小形で略矩形状のブリーザ孔172が周方向の複数箇所(本実施形態では周方向に均等な3箇所)に形成されている。このブリーザ孔172の形状は矩形に限らず円形であってもよい。また、ブリーザ孔172の形成箇所も3箇所に限定されるものではない。
【0072】
このようにして、ブリーザ孔172が形成されているため、このブリーザ孔172は、上記ダストカバー本体170の内面とダストガイド部材171の外面との間に形成されている上記渦流室173に連通している。つまり、この渦流室173は、下側がブリーザ孔172によって外部に連通し、上側が上記ダストカバー本体170の内面とダストガイド部材171の上端縁との間に形成される上記隙間Sを介して、ダストカバー107により保護すべき空間(以下、保護空間と呼ぶ)108に連通している。言い換えると、ダストカバー107の内部は、上記ダストガイド部材171によって、上側の保護空間(ダストカバー内保護空間)108と下側の渦流室173との2つの空間に仕切られている。そして、保護空間108と渦流室173とは、上記隙間Sを介して連通されており、渦流室173はブリーザ孔172によって外部に連通されている。
【0073】
次に、上述の如く構成されたダストカバー107の動作について説明する。シフトレバーLのセレクト操作に伴って、ダストカバー107の内部空間を拡大する方向にシフトセレクトシャフト102がスライド移動(図5において上側へスライド移動)した際、ダストカバー107の内部空間の圧力が外部よりも低くなることから、上記ブリーザ孔172を経てダストカバー107内に外部の空気が流れ込むことになる。この場合、ブリーザ孔172から流れ込んだ空気はダストガイド部材171にガイドされて渦流となる。つまり、ブリーザ孔172から流れ込んだ空気はダストガイド部材171に沿ってダストカバー本体170の内面に向かって流れ、このダストガイド部材171の外面とダストカバー本体170の内面とに沿って空気が案内されることで、この気流(空気流)は渦流室173内で渦流となる(図5に矢印で示した気流を参照)。
【0074】
このため、この空気と共にブリーザ孔172から流れ込んできたダストは、この渦流に沿って流れることで、上記保護空間108には流れ込まず、渦流室173内の底部に集積されていく。具体的には、シフトセレクトシャフト102のスライド移動が終了してブリーザ孔172からの空気の流れ込みが無くなると、上記渦流も無くなることになる。そして、それまで発生していた渦流によって渦流室173内を流れていたダストが渦流室173内の底部に集積される。これにより、上記保護空間108には、ダストが侵入することなく空気のみが流れ込んで、ダストカバー107の内部空間(上記保護空間108)の圧力が適正に保たれる。
【0075】
このように、渦流室173内で発生した渦流を利用することで、ダストがシフトセレクトシャフト102やオイルシール105に付着することが回避されるので、オイルシール105のシール性の悪化を長期間に亘って回避することが可能になる。
【0076】
また、その後のシフトレバーLのセレクト操作(上記セレクト操作とは逆方向の操作)に伴って、ダストカバー107の内部空間を縮小する方向にシフトセレクトシャフト102がスライド移動した際、ダストカバー107の内部空間の圧力が外部よりも高くなることから、上記保護空間108内の空気は、上記隙間S及び渦流室173を経てブリーザ孔172から外部に向けて排出されることになる。この場合、ブリーザ孔172から排出される空気により、上記渦流室173に集積されていたダストは外部に排出され、ダストカバー107内から除去されることになる。
【0077】
以上のようにして、ダストカバー107の内部空間を拡大する方向へのシフトセレクトシャフト102のスライド移動と、ダストカバー107の内部空間を縮小する方向へのシフトセレクトシャフト102のスライド移動とが繰り返されることにより、ダストの集積(渦流室173内への集積)と排出とが繰り返される。このため、ダストカバー107の内部空間に多量のダストが堆積するといったことはなくなり、上記保護空間108へのダストの侵入は確実に防止されることになる。
【0078】
(第2実施形態)
次に第2実施形態について説明する。本実施形態は、ブリーザ孔172の周辺構造が上記第1実施形態のものと異なっている。従って、ここでは、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0079】
図7は本実施形態に係るダストカバー107の装着部分における断面図である。また、図8は図7におけるVIII−VIII線に対応した位置における断面図である。これらの図において、上記第1実施形態のものと同一の部材及び同一の部位については第1実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0080】
これらの図に示すように、本実施形態では、ブリーザ孔172が、シフトセレクトシャフト102の軸心を挟んで対向する2箇所に形成されている。そして、これらブリーザ孔172の形成位置にはそれぞれ弁体180が一体的に形成されている。ブリーザ孔172の個数はこれに限定されるものではない。以下、弁体180について具体的に説明する。
【0081】
上記弁体180は、内周側に設けられた吸入弁181と、その外周側に設けられた吐出弁182とを備えている。
【0082】
上記吸入弁181は、その内周側端縁が上記ブリーザ孔172の内周側縁部の上面に当接するように配設されたフラップ状の部材で成り、ダストカバー107の内部空間の圧力が外部よりも低くなると、その差圧によって上方へ移動(弾性変形)して開弁するようになっている(弁体180を拡大して示す図9(a)を参照)。また、この吸入弁181の断面形状としては、上記ダストガイド部材171の曲率と略同一の曲率をもって湾曲した形状となっており、後述する渦流室173内での渦流の発生を助長するようになっている。
【0083】
一方、上記吐出弁182は、その外周側端縁が上記ブリーザ孔172の外周側縁部の下面に当接するように配設されたフラップ状の部材で成り、ダストカバー107の内部空間の圧力が外部よりも高くなると、その差圧によって下方へ移動(弾性変形)して開弁するようになっている(弁体180を拡大して示す図9(b)を参照)。尚、この吐出弁182の断面形状も、上記吸入弁181と同様に所定の曲率をもって湾曲した形状となっている。また、吸入弁181の曲率の中心点と吐出弁182の曲率の中心点とは互いに異なっていることから、吸入弁181と吐出弁182との境界部分は、ダストカバー本体170の内面に近接するように山形に突出した稜線部183となっている。
【0084】
以上のように、吸入弁181及び吐出弁182は、ダストカバー107の内部空間の圧力と外部の圧力との差圧に応じて開閉するため、これら弁181,182は同時に開弁することはない。尚、これら吸入弁181及び吐出弁182は、これら弁体181,182同士の間の境界部分においてダストカバー本体170に繋がっており、このダストカバー本体170と一体成形されている。
【0085】
次に、本実施形態におけるダストカバー107の動作について説明する。シフトレバーLのセレクト操作に伴って、ダストカバー107の内部空間を拡大する方向にシフトセレクトシャフト102がスライド移動(図7において上側へスライド移動)した際、ダストカバー107の内部空間の圧力が外部よりも低くなることから、図9(a)に示すように上記吸入弁181が開弁し、ブリーザ孔172を経てダストカバー107内に外部の空気が流れ込むことになる。この場合、ブリーザ孔172から流れ込んだ空気は、上述した第1実施形態の場合と同様に、ダストガイド部材171にガイドされ、渦流室173内で渦流となる(図9(a)に実線の矢印で示した気流を参照)。また、上述した如く吸入弁181は湾曲形状となっているため、上記渦流は、この吸入弁181の上面に沿って流れることになる。つまり、吸入弁181が渦流の生成の妨げになることはない。このため、この空気と共にブリーザ孔172から流れ込んできたダストは、この渦流に沿って流れることで、上記保護空間108には流れ込まず、渦流室173内の底部に集積されていく。具体的には、上記渦流の遠心分離作用によって、図9(a)に破線の矢印で示すように、上記吐出弁182の上側及びその周辺部にダストは集積されていくことになる。また、吸入弁181と吐出弁182との境界部分には、ダストカバー本体170の内面に近接する稜線部183が形成されているため、吐出弁182の上側及びその周辺部に集積されたダストは、容易には吸入弁181側へは移動せず、この吐出弁182の上側及びその周辺部において保持されることになる(図9(a)の仮想線Dは、吐出弁182の上側及びその周辺部に集積されたダストを示している)。
【0086】
このように、本実施形態にあっても、渦流室173内で発生した渦流を利用することで、ダストがシフトセレクトシャフト102やオイルシール105に付着することが回避されるので、オイルシール105のシール性の悪化を長期間に亘って回避することが可能になる。
【0087】
また、その後のシフトレバーLのセレクト操作(上記セレクト操作とは逆方向の操作)に伴って、ダストカバー107の内部空間を縮小する方向にシフトセレクトシャフト102がスライド移動した際、ダストカバー107の内部空間の圧力が外部よりも高くなることから、図9(b)に示すように上記吐出弁182が開弁し、上述した第1実施形態の場合と同様に、保護空間108内の空気は、上記隙間S及び渦流室173を経てブリーザ孔172から外部に向けて排出されることになる。この場合、ブリーザ孔172から排出される空気により、上記渦流室173に集積されていたダストは外部に排出され、ダストカバー107内から除去されることになる。特に、上述した如く吐出弁182の上側及びその周辺部にダストが集積されているため、ダストの集積箇所が上記排出される気流の流線上に略一致しており、渦流室173を通過する気流(図9(b)に実線の矢印で示した気流を参照)は、このダストを、吐出弁182を経てブリーザ孔172から効率良く排出することになる(図9(b)に破線で示した矢印を参照)。
【0088】
以上のようにして、ダストカバー107の内部空間を拡大する方向へのシフトセレクトシャフト102のスライド移動と、ダストカバー107の内部空間を縮小する方向へのシフトセレクトシャフト102のスライド移動とが繰り返されることにより、ダストの集積(渦流室173内への集積)と排出とが繰り返される。このため、ダストカバー107の内部空間に多量のダストが堆積するといったことはなくなり、上記保護空間108へのダストの侵入は確実に防止されることになる。
【0089】
−他の実施形態−
以上説明した各実施形態は、鉛直方向に延びるように配設されたシフトセレクトシャフト102の上端部に設けられたダストカバー107に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、シフトセレクトシャフト102の下端部に設けられたダストカバー106に対して適用してもよい。この場合、オイルシールはダストカバー106の上端部側に配設されることになる一方、ブリーザ孔はダストカバー106の下端部に形成されることになる。
【0090】
また、本発明は、水平方向に延びるように配設されるシフトセレクトシャフトの端部に設けられるダストカバーに対しても適用可能である。この場合、ブリーザ孔の形成位置としては特に制約を受けないため、オイルシールの配設箇所から離れた箇所にブリーザ孔を形成しておくことが好ましい。
【0091】
また、上記各実施形態では、FF車両に搭載された前進5速段の手動変速機に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)車両に搭載された手動変速機に対しても適用可能である。また、前進5速段に限らず、前進6速段など、5速段以外の変速段数を備えた手動変速機に対しても本発明は適用可能である。更に、マニュアルトランスミッションの構成に電動モータや油圧シリンダ等のアクチュエータをアドオンしたSMT(シーケンシャル・マニュアル・トランスミッション)に対しても本発明は適用可能である。
【0092】
更に、上記各実施形態では、ダストガイド部材171をダストカバー本体170に一体成形したものとしたが、ダストガイド部材171をダストカバー本体170と別体で形成するものとしてもよい。また、上記第2実施形態においては、弁体180をダストカバー本体170と別体で形成してもよい。
【0093】
また、上記各実施形態では、インプットシャフト201及びアウトプットシャフト202をそれぞれ1本ずつ備えた変速機100に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は、これに限るものではない。例えば、アウトプットシャフトを2本備えた変速機に対しても本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】第1実施形態に係る手動変速機の操作力伝達系を示す断面図である。
【図2】図1の矢印IIで示す方向から視たゲート機構の側面図である。
【図3】第1実施形態に係る手動変速機のギヤレイアウトを示す断面図である。
【図4】シフトレバーの可動範囲を示す図である。
【図5】第1実施形態におけるダストカバーの装着部分における断面図である。
【図6】図5におけるVI−VI線に対応した位置における断面図である。
【図7】第2実施形態におけるダストカバーの装着部分における断面図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII線に対応した位置における断面図である。
【図9】第2実施形態におけるダストカバーの動作を説明するための弁体周辺部の断面図であり、図9(a)は吸入弁の開弁状態を、図9(b)は吐出弁の開弁状態をそれぞれ示す図である。
【図10】従来のシフトセレクトシャフトの支持構造を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
100 変速機
101 トランスミッションケース(ケーシング)
103 シャフト支持孔
102 シフトセレクトシャフト(シャフト部材)
105 オイルシール
107 ダストカバー
108 保護空間
170 ダストカバー本体
171 ダストガイド部材(ダストガイド手段)
172 ブリーザ孔
173 渦流室
180 弁体
181 吸入弁
182 吐出弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングに形成されたシャフト支持孔内に、変速動作に伴い軸心に沿ってスライド移動するシャフト部材が挿通されていると共に、これらシャフト部材とシャフト支持孔との間にオイルシールが介在され且つこのオイルシールを覆うように上記ケーシングとシャフト部材とに亘ってダストカバーが装着されて成る変速機のダストカバー構造において、
上記ダストカバーには、このダストカバーの内部空間と外部とを連通するブリーザ孔が形成されていると共に、このブリーザ孔から流れ込んだ空気をガイドして渦流を発生させ、この空気と共に流れ込んできたダストを、上記渦流に沿って流すことで、ダストの侵入を阻止すべきダストカバー内保護空間から外れた所定箇所に集積させるダストガイド手段が設けられていることを特徴とする変速機のダストカバー構造。
【請求項2】
上記請求項1記載の変速機のダストカバー構造において、
上記ダストカバーは、シャフト部材のスライド移動方向の一端側がシャフト部材に、他端側がケーシングにそれぞれ連結されたダストカバー本体を備えており、
上記ダストガイド手段は、上記ダストカバー本体の上記他端側の内側に位置し、上記ブリーザ孔から流れ込んだ空気をダストカバー本体の内面に向けて案内することで上記渦流を発生させ且つダストを集積する渦流室を上記ダストカバー本体の内面との間で形成する断面略円弧状のダストガイド部材により構成されていることを特徴とする変速機のダストカバー構造。
【請求項3】
上記請求項2記載の変速機のダストカバー構造において、
上記シャフト部材のスライド移動に伴って上記保護空間の空気がブリーザ孔を経て外部に排出される際、その気流が上記渦流室を通過することにより、この渦流室に集積されていたダストが外部に排出される構成となっていることを特徴とする変速機のダストカバー構造。
【請求項4】
上記請求項2記載の変速機のダストカバー構造において、
上記ブリーザ孔には、上記シャフト部材のスライド移動に伴ってダストカバーの内圧が外部圧よりも低くなった際に開放する吸入弁と、ダストカバーの内圧が外部圧よりも高くなった際に開放する吐出弁とが設けられており、
上記渦流室は、上記ダストカバー本体の内面、ダストガイド部材、吸入弁、吐出弁によって形成されており、
上記吐出弁は、上記吸入弁の開放時に、ダストガイド部材により形成された渦流の流線に沿って流れるダストを捕捉可能な位置に配置されていることを特徴とする変速機のダストカバー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−144746(P2010−144746A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319619(P2008−319619)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】