説明

変速機

メイン変速機ユニット(12)はギヤボックスおよびグループ・ギヤボックスを有している。前記メイン変速機ユニット(12)にオプション変速機モジュール(14)が適合されている。それにより1つのシリーズの車両(72)の変速機の多様性が提供可能であり且つそれにより駆動エンジン(74)とメイン変速機ユニット(12)との間の構造空間がより良好に利用可能な変速機(10)が提供され且つ改良されるべきである。前記メイン変速機ユニット(12)および前記オプション変速機モジュール(14)は、前記オプション変速機モジュール(14)が前記メイン変速機ユニット(12)に適合されているときにおいても、変速機(10)のために設けられている構造空間が本質的に不変であるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の少なくとも1つの駆動車軸に駆動エンジンから発生されたトルクを伝達するための変速機に関するものである。車両は特に農業用または工業用実用車好ましくはトラクタである。変速機は、それ自身機能性を有する少なくとも1つのメイン変速機ユニットを含む。メイン変速機ユニットはギヤボックスおよび/またはグループ・ギヤボックスを有している。メイン変速機ユニットにオプション変速機モジュールが適合可能である。オプション変速機モジュールにより変速機の機能性が拡張可能である。さらに、本発明は、メイン変速機ユニット、オプション変速機モジュール、変速機製造モデル、農業用または工業用実用車並びに変速機の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の意味における機能性を有する変速機ユニットとは、特に、入力インタフェースを介して変速機ユニットに供給されたトルクないしは回転速度が変速機ユニットの出力インタフェースに再び供給されるものと理解される。この場合、変速機ユニットは少なくとも1つの切換箇所を有しいてもよいので、変速機ユニットは、回転速度、トルクおよび/または回転方向を少なくとも2つの比の値/段内において変化可能である。
【0003】
冒頭記載のタイプの変速機は従来技術から既知である。即ち、例えば6000シリーズのトラクタの量産品内に、メイン変速機ユニットにオプション変速機モジュールが適合された本出願人の変速機が使用されている。このオプション変速機モジュールはモジュラ型に組み立てられ且つ客先の要望に応じて多様に構成可能である。オプション変速機モジュールは駆動エンジンとメイン変速機ユニットとの間に配置され且つオプション変速機モジュールのそれぞれの構成に応じて異なる多くの構造空間を要求する。変速機の全構成段において、駆動エンジンとメイン変速機ユニットとの間の全構造空間のほとんどがオプション変速機モジュールで占有されている。オプション変速機モジュールがただ1つの機能性を有する場合、駆動エンジンとメイン変速機ユニットとの間の構造空間はほとんど利用されることがなく、その理由は、このシリーズの全てのトラクタに対して同じフレーム構造が使用され、且つ駆動エンジンのみならずメイン変速機ユニットもまたフレーム構造に対して常にほぼ同じ場所に配置されているからである。したがって、フレーム構造の使用は、特に、1つのシリーズないしは1つの出力クラスのトラクタがそれぞれの客先の要望に対して可変に適合ないしは構成されることを可能にし、これにより、このシリーズのトラクタに対して、経済的な観点からも変速機の大きな多様性が提供可能である。
【0004】
しかしながら、この場合、ある変速機構成において、特に構成段が少ない場合には、構造空間が理想的に利用可能ではないにもかかわらず、このトラクタ・シリーズにおいては駆動エンジンとメイン変速機ユニットとの間に本質的に同じ空間が全ての変速機変更態様に対して常に設けられるべきであることが欠点である。しかしながら、これにより、トラクタのシャシの構成に関して他の制限が与えられることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、過去の問題点がそれにより解決される冒頭記載のタイプの変速機を提供し且つ改良することである。特に、1つのシリーズの車両の変速機の多様性が特に経済的観点からそれにより提供可能であり且つ車両内にそれを使用することにより駆動エンジンと変速機との間の構造空間がより良好に利用可能な変速機が提供され且つ改良されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明により、請求項1の教示により解決される。本発明の他の有利な形態および変更態様が従属請求項から明らかである。
本発明により、冒頭記載のタイプの変速機は、メイン変速機ユニットおよびオプション変速機モジュールは、オプション変速機モジュールがメイン変速機ユニットに適合されているときにおいても、変速機のために設けられている構造空間が本質的に不変であるように形成されていることを特徴とする。
【0007】
はじめに、本発明の意味における用語「構造空間」とは、メイン変速機ユニットにより、ないしはメイン変速機ユニットのハウジングにより占有された空間ないしは容積であると理解されるべきであることを注記しておく。
【0008】
本発明により、メイン変速機ユニットは、メイン変速機ユニットにオプション変速機モジュールが適合可能なように形成され、この場合、オプション変速機モジュールの形態または構成段とは無関係に、オプション変速機モジュールおよびメイン変速機ユニットから形成された変速機の設定可能な最大構造空間が超過されることはない。これは、例えば、オプション変速機モジュールが、常に空間的に変速機の同じ所定の部分領域に、ないしは同じ所定の部分領域内に配置されていることにより達成可能である。これにより、変速機ないしはメイン変速機ユニットは、それにより常にオプション変速機モジュールのための空間が利用可能であるように形成されている。メイン変速機ユニットのギヤボックス構成要素は、例えばメイン変速機ユニットからオプション変速機モジュールへのトルク流れおよび再びメイン変速機ユニットへ戻るトルク流れが行われるように形成ないしは配置可能である。この場合、それを介してメイン変速機ユニットおよびオプション変速機モジュールが相互に結合され且つそれを介してトルクが伝達可能な所定のインタフェースが確実に定義されていてもよい。特に、変速機の構造部分または構造グループは、合成トルク流れがそれ自身内において戻されるように、即ち変速機内において合成トルク流れが一方向におよび少なくとも他の1回は反対方向に行われるように形成されていてもよい。これに対して、従来技術から既知の変速機においては、トルク流れは本質的に一方向に行われ、その理由は、他の各オプションに対しては、この方向に沿って変速機に他のオプション・モジュールが組み込まれるからである。
【0009】
このかぎりにおいて、本発明による変速機はモジュラ概念を特徴とし且つ本発明による変速機を使用するときに1つの車両シリーズの変速機の全ての変更態様に対して常に同じ構造空間を設けることが可能であることが特に有利であり、これにより、そのシリーズの車両の残りの構造空間は、例えば駆動エンジンおよび本発明による変速機の間に燃料タンクを配置することにより有効に利用可能である。したがって、この例に関して、そのシリーズの全ての車両に対して常に同じ燃料タンクが使用可能であり、このことは、全車両のコスト的に有利な製造を可能にし、その理由は、少なくとも本発明による変速機の周りに配置されている車両の構造グループまたは構成要素が常に同じに形成され、したがって量産においてよりコスト的に有利となるからである。
【0010】
好ましい実施形態においては、オプション変速機モジュールは少なくとも1つのオプション・ユニットを有している。オプション・ユニットは、例えば少なくとも1つのクラッチ・ユニットの形に形成されていてもよい。このクラッチ・ユニットは摩擦結合による(非同期型)クラッチを含んでいてもよく、それにより、駆動エンジンと、変速機、具体的にはオプション変速機モジュールとの間のトルク流れは遮断可能である。
【0011】
さらに、オプション変速機モジュールは、後退ギヤ・ユニットの形に形成されているオプション・ユニットを有していてもよい。これにより、回転方向の逆転が達成可能であり、このことは、特に農業用および工業用実用車ないしはトラクタに対して行われ、その理由は、このような車両は運転中にしばしば走行方向を切り換えるからである。
【0012】
特にトラクタは通常クローリング・ギヤ・ユニットを有し、これにより、トラクタは、低い前進速度において、例えば農場のような車両の地面に高いトルク出力を伝達可能である。このようなクローリング・ギヤ・ユニットは、オプション変速機モジュール内に組込み可能なオプション・ユニットの形で形成可能である。
さらに、オプション・ユニットとして二段変速機ユニット(ハイ/ロー)を設けることが考えられる。このようなオプション・ユニットは、特に、例えばトラクタにおいて道路上を高速で走行するときに必要とされるような高い回転速度から、例えばトラクタの農作業において必要とされるような低い回転速度への直接切換を可能にする。二段変速機ユニット(ハイ/ロー)は、特に負荷がかかっているときに、はめあい結合または摩擦結合によって切換可能なように形成されていてもよい。
【0013】
特に有利な実施形態においては、オプション変速機モジュールはベース・ハウジング部分を有している。このようなベース・ハウジング部分は、ベース・ハウジング部分に、少なくとも1つのオプション・ユニット特にクラッチ・ユニットが適合可能であるように形成されていてもよい。クラッチ・ユニットはオプション変速機モジュールのベース・ハウジング部分に適合されることが好ましく、その理由は、クラッチ・ユニットにより、駆動エンジンから出力されたトルクを変速機に伝達することが可能であり、このことは、本発明による変速機の特に有利な実施形態において、オプション変速機モジュールを含む異なる形態に構成可能な全てのメイン変速機ユニットに対して行われているからである。
【0014】
オプション変速機モジュールをメイン変速機ユニットに簡単且つ短い時間で装着するために、オプション変速機モジュールのベース・ハウジング部分が少なくとも1つの位置決め手段を有している。メイン変速機ユニットおよび/またはギヤボックス・ハウジングに、位置決め手段に対して本質的に相補に形成された他の位置決め手段が設けられていてもよい。位置決め手段および他の位置決め手段は、位置決め手段が相互に当接しているとき、オプション変速機モジュールが、その空間的位置に関して、および/またはメイン変速機ユニットに対する相対的方向に関して位置決め可能ないしは調整可能なように配置されるべきである。即ち、例えば、位置決め手段として、メイン変速機ユニットのハウジングに、例えばハウジング開口に少なくとも1つの基準面が設けられていてもよく、基準面に関しては、一方で、変速機の製造中にメイン変速機ユニットの軸受箇所または案内内孔が調整ないしは相対位置決めされてもよく、および基準面に関しては、他方で、オプション変速機モジュールの適合において位置決めが行われてもよい。それに対応して、位置決め手段は、少なくとも1つの植込みボルト、少なくとも1つの当接面および/または少なくとも1つの縁を有していてもよい。この手段により、構成要素の時間のかかる調節が一般に回避可能であることが有利である。
【0015】
オプション変速機モジュールの1つのオプション・ユニットがハウジング部分を有していてもよい。ハウジング部分により少なくとも1つの軸が回転可能に支持されてもよい。ハウジング部分は軸受ブラケットを有していてもよく、即ち、軸受ブラケットはオプション変速機モジュールの少なくとも1つのハウジング壁にまたはメイン変速機ユニットの少なくとも1つのハウジング壁に設けられてもよい。ハウジング部分は、メイン変速機ユニットのハウジング壁および/またはハウジング・カバーにギヤ油接続口を形成してもよい。このようなギヤ油接続口を介して、対応オプション・ユニットの潤滑が実行可能であり、および/またはギヤ油接続口は場合により設けられているオプション・ユニットの切換要素の油圧操作のために利用可能である。同様に、ハウジング部分は、それを介して油圧により操作可能な切換要素にギヤ油または油圧流体を供給可能な通路を有していてもよい。
【0016】
オプション変速機モジュールの異なるオプションが、ハウジング部分ないしは軸受ブラケットと共に複数のオプション・ユニットがモジュラ型に付加されて適合されることにより提供可能なように、オプション変速機モジュールが形成されていることが特に有利である。これは、それぞれのオプション・ユニットのそれぞれのハウジング部分が相互に装着されることにより達成されてもよく、これにより、特にオプション変速機モジュールの機能性が拡張可能である。したがって、オプション・モジュールを形成するオプション・ユニットを含むオプション変速機モジュールもまた、有効に提供可能なオプション変速機モジュールの全てのオプションが全体でも最大に設定可能な構造空間を超過しないように形成されているので、メイン変速機ユニットにオプションが適合可能である。具体的には、ベース・ハウジング部分にオプション変速機モジュールの第1のオプション・ユニットが適合される。さらに、ベース・ハウジング部分に他のオプション・ユニットの他のハウジング部分が適合され、以下同様である。
【0017】
個々のオプション・ユニットのそれぞれの軸は、組み込まれた状態において、相互にほぼ同軸に配置されていることが特に好ましい。即ち、例えば中空軸およびその中に配置されている内部軸または回転軸線の方向に相互に配置された2つの軸が設けられていてもよい。個々のオプション・ユニットの軸は相互に平行に配置されていることが特に好ましい。
【0018】
特に有利な実施形態においては、メイン変速機ユニットを受け入れるギヤボックス・ハウジングが設けられている。ギヤボックス・ハウジングは、オプション変速機モジュールが少なくともそのままギヤボックス・ハウジング内に装着可能であるように形成されていてもよい。ギヤボックス・ハウジングは、このために、オプション変速機モジュールがその中に挿入可能な開口を有していてもよいことが目的に適っている。この開口は、変速機を密封するためにオプション変速機モジュールに設けられてもよいカバーまたはハウジング・カバーで閉鎖ないしは密封されてもよい。オプション変速機モジュールがメイン変速機ユニットに適合されているかどうかとは無関係に、および/またはオプション変速機モジュールがいかなる構成段を有しているかとは無関係に、カバーを含むギヤボックス・ハウジング、ないしは適合されたオプション変速機モジュールを含むギヤボックス・ハウジングは、このためのハウジング・カバーと共に、常にほぼ同じ構造空間を有している。
【0019】
ギヤボックス・ハウジングは1つの部分または複数の部分から形成されていてもよい。1つの部分から形成されているギヤボックス・ハウジングとは、特に、メイン変速機ユニットおよびオプション変速機モジュールを包囲するハウジング・セクションが1つの部分から製作され、例えば1つの鋳造品から製作されてもよいことと理解されるべきである。この場合、ギヤボックス・ハウジングは開口を有し、開口は1つのカバーで閉鎖されている。ここで、ギヤボックス・ハウジング全体がこのときメイン変速機ユニットおよびオプション変速機モジュールを包囲するハウジング・セクションおよびカバーにより形成されている場合でも、これは1つの部分から形成されたギヤボックス・ハウジングと理解されるべきである。変速機の構造部分をその中に受け入れていなくても、カバーはギヤボックス・ハウジングを外側から閉鎖する。ギヤボックス・ハウジングは変速機の構造部分をその中に受け入れる。ギヤボックス・ハウジングの開口を通して、メイン変速機ユニットおよびオプション変速機モジュールの構成要素が装着および/または保守ないしは修理可能である。1つの部分から形成されるギヤボックス・ハウジングの代わりに、これが2つの部分または複数の部分から形成されていてもよい。即ち、ギヤボックス・ハウジングは例えばほぼ同じ大きさの2つの部分から構成されていてもよく、この場合、このように構成されたギヤボックス・ハウジングは、メイン変速機ユニットのみならずオプション変速機モジュールもまた受け入れ、ないしは少なくとも大部分を包囲し、且つ場合によりカバーによって閉鎖可能である。ギヤボックス・ハウジングは2つの部分から構成されていてもよく、この場合、一方のハウジング部分はメイン変速機ユニットを、および他方のハウジング部分はオプション変速機モジュールを受け入れ、ないしは少なくとも大部分を包囲する。これにより、変速機の簡単な製造ないしは装着が可能とされる。両方のハウジング部分が相互に装着されたとき、変速機は少なくとも大部分が装着され且つ基本的に機能可能である。両方のハウジング部分から構成されたギヤボックス・ハウジングもまた1つのカバーにより閉鎖されてもよい。
【0020】
場合により、メイン変速機ユニットに、ないしはギヤボックス・ハウジング内に適合されたオプション変速機モジュールは、一部ギヤボックス・ハウジングから飛び出していてもよい。1つの部分から形成されているギヤボックス・ハウジングにより、例えばメイン変速機ユニットがギヤボックス・ハウジング内に完全に装着され且つ場合によりその機能が検査されてもよい。オプション変速機モジュールの適合はあとから行われてもよく、このときはメイン変速機ユニットが改めてその機能性が検査されることはない。オプション変速機モジュールを適合させるために、メイン変速機ユニットまたはハウジングは分解される必要はなく、特に上部領域に配置されているカバーを取り外し且つオプション変速機モジュールを挿入するだけでよい。即ち、場合により前に行われた機能検査によりなおギヤボックス・ハウジング内に残っている変速機油を不必要に失われることもないことが特に有利である。オプション変速機モジュールとメイン変速機ユニットとの間に、例えば軸/ハブ結合を介して、またはオプション変速機モジュールのクラッチ・ユニットを介して、トルク流れが間接的または直接的に形成可能であってもよい。それに続いて、本発明による変速機の機能性検査が行われてもよい。
【0021】
ギヤボックス・ハウジング内またはギヤボックス・ハウジングに、ギヤ油用ポンプ駆動装置、後車軸差動歯車装置、機械式個別車軸駆動装置用インタフェースおよび/または中間軸差動歯車装置が適合可能であることが好ましい。それに対応して、ギヤボックス・ハウジングは、対応する固定箇所、フランジ等を有している。後車軸差動歯車装置は、変速機が車両に組み込まれた状態において、その横に配置され且つ少なくとも一部がギヤボックス・ハウジング内に伸長していてもよく、この場合、メイン変速機ユニットの出力軸は機械的出力を直接後車軸差動歯車装置に伝達可能である。
【0022】
本発明による変速機の好ましい実施形態においては、オプション変速機モジュールがそれ自身で独立のギヤボックスまたはそれ自身で機能性を有するギヤボックスの形で形成されている。即ち、例えば、オプション変速機モジュールは、例えば固有のオイル・ポンプと、および/または例えば油圧式切換要素によりオプション変速機モジュールの少なくとも1つのクラッチを操作するための少なくとも1つの固有の操作装置とを有していてもよい。特にこのような場合、オプション変速機モジュールは大部分を閉鎖するオプション変速機モジュール・ハウジングを有していることが目的に適っている。
【0023】
メイン変速機ユニットとオプション変速機モジュールとの間にトルク流れが形成可能なように、オプション変速機モジュールは軸/ハブ結合によりメイン変速機ユニットに適合可能であることが好ましい。この軸/ハブ結合は着脱可能に形成されていることが好ましく、即ち、例えば保守のためにオプション変速機モジュールをメイン変速機ユニットから取り外すために、またはあとで他のオプション変速機モジュールをメイン変速機ユニットに適合させるためにあとから再び分解可能である。具体的には、軸/ハブ結合ははめあい結合または摩擦結合によってトルク伝達可能に形成されていてもよい。
【0024】
軸/ハブ結合に関連して既に記載のように、オプション変速機モジュールは着脱可能にメイン変速機ユニット内またはメイン変速機ユニットに適合可能であってもよく、これにより、例えばオプション変速機モジュールはあとでメイン変速機ユニットから切離し可能である。
【0025】
基本的に、メイン変速機ユニットは、無段切換段または離散切換段を有する変速機の形で形成されていてもよい。メイン変速機ユニットは離散切換段を有する変速機であることが好ましい。したがって、異なる形態に形成されたメイン変速機ユニットもまた存在可能である。即ち、例えば、9つの前進ギヤおよび3つの後退ギヤ(3つの速度ギヤの3つのグループとして)、8つの前進ギヤおよび4つの後退ギヤ(4つの速度ギヤの2つのグループとして)、12の前進ギヤおよび4つの後退ギヤ(3つの速度ギヤの4つのグループとして)、12の前進ギヤおよび4つの後退ギヤ(4つの速度ギヤの3つのグループとして)または16の前進ギヤ(4つの速度ギヤの4つのグループとして)を有するメイン変速機ユニットの存在が考えられる。
【0026】
具体的には、メイン変速機ユニットは三軸ギヤボックスとして形成されている。3つのギヤボックス軸は相互にほぼ平行にメイン変速機ユニット内に配置されている。メイン変速機ユニットは、入力軸、中間軸、および出力軸を有していてもよい。入力軸は中空軸の形に形成されていることが好ましい。この場合、変速機は、入力軸から中間軸を介して出力軸へのトルク流れ(2つの歯車係合)または入力軸から直接出力軸へのトルク流れ(1つの歯車係合)が行われるように構成されていてもよい。
【0027】
たいていの場合、変速機内部の力伝達は歯車対を介して行われ、歯車対はそれぞれ2つのギヤボックス軸上に配置され且つ相互に固定設定された間隔を有している。特定の出力クラスに対して変速機ができるだけ細長に形成されるように、特にトラクタにおいては、これまで入力軸および出力軸の軸線は相互に垂直方向に配置されてきた。これは、特に、トラクタにおいては種々の規格に基づいて動力取出し軸の端部の位置が設定され、これにより動力取出し軸の駆動系の好ましい形態が可能であるからである。この構成においては、ただ1つの歯車係合により、駆動エンジンから動力取出し軸の端部への変速が行われる。
【0028】
本発明による変速機の特に有利な実施形態においては、メイン変速機ユニットは、メイン変速機ユニットが車両内に組み込まれている状態において、出力軸の位置が入力軸の位置に対して水平方向におよび場合により垂直方向にもオフセットされて配置されているように形成されている。これにより、メイン変速機ユニットは、場合によっては、もはや従来技術から既知のような上記の二軸変速機の場合のようにそれほど細長に形成される必要はない。しかしながら、これにより、変速機は車両内においてより平面的に組込み可能であるので、例えば車両の駆動エンジンないしはその駆動軸がシャシに対して相対的により低く配置可能である。これにより、車両のエンジン・ボンネットもまた同様により低く配置可能であるので、このためにより良好な視界が可能となることが有利である。さらに、これにより、トラクタの運転室内または運転台に従来設けられ且つドライバの脚部領域内の運動の自由度を著しく制約してきたいわゆるギヤボックス・トンネルをなくすことができる。
【0029】
追加態様または代替態様として、メイン変速機ユニットは、メイン変速機ユニットが車両内に組み込まれている状態において、中間軸の位置が出力軸の位置および/または入力軸の位置に対して垂直方向にオフセットされて配置されているように形成されている。メイン変速機ユニットは、メイン変速機ユニットが車両内に組み込まれている状態において、中間軸の位置が入力軸の位置および/または出力軸の位置に対して水平方向にオフセットされて配置されているように形成されていることもまた考えられる。言い換えると、メイン変速機ユニットの3つの軸は三角形状に配置され、この場合、入力軸は出力軸の垂直方向上方に配置されているが、従来行われているよりも出力軸に対して僅かな高さの差で配置可能である。
【0030】
入力軸のみならず出力軸もまたそれぞれ、歯車および他のギヤボックス要素を装備している。運転中にメイン変速機ユニットの異なる変速比が設定可能なように、入力軸および/または出力軸がそれぞれ少なくとも1つの切換装置を有している。ここで、切換装置は、油圧式クラッチを操作するための切換要素であってもよい。この場合、切換要素は、例えば油圧配管、切換フォーク、少なくとも1つの案内棒および切換スリーブを有していてもよい。加圧された液体により、少なくとも1つの案内棒上で案内された切換フォークは、切換スリーブが切換フォークによってそれぞれの軸上に配置されている歯車と軸との間の回転不能結合を形成したり、切り換えたり、および/または解放したりすることが可能なように移動可能である。液体は油圧配管により切換フォークないしは対応の操作要素(例えばピストン)に供給可能である。上記の切換装置は、通常、はめあい結合により同期化される切換箇所を提供するであろう。しかしながら、切換装置は、摩擦結合により即ち非同期化されて切換可能であることもまた考えられる。
【0031】
ここで、メイン変速機ユニットは、設けられている切換装置の切換状態に応じて、入力軸から中間軸を介して出力軸へのトルク流れまたは入力軸から直接出力軸へのトルク流れが形成可能であるように形成されている。それに対応して、トルクはメイン変速機ユニットにより、2つまたは3つの歯車列ないしは歯車係合を用いて伝達可能である。
【0032】
メイン変速機ユニットの特に好ましい実施形態においては、異なる特性の変速機に対するメイン変速機ユニットの個々のギヤボックス軸の異なる装備において、対応切換装置はそれぞれ同じ箇所ないしは同じ位置に配置されている。ギヤボックス軸の少なくとも1つの軸受箇所は、異なる特性の変速機に対するメイン変速機ユニットの異なる装備においても、それぞれ同じ箇所ないしは同じ位置に配置されていてもよい。即ち、メイン変速機ユニットが9つの前進ギヤおよび3つの後退ギヤを有している場合、このために必要な切換箇所並びにメイン変速機ユニットの3つの軸に対する軸受箇所はメイン変速機ユニット内の特定の箇所に設けられている。ここでメイン変速機ユニットが16の前進ギヤおよび4つの後退ギヤを有している場合、このために必要な切換箇所並びにメイン変速機ユニットの3つの軸の軸受箇所は、9つの前進ギヤおよび3つの後退ギヤを備えたメイン変速機ユニットの場合と同様にほぼ同じ箇所に配置されている。これにより、その他はほとんど変わっていない構成要素を使用して、例えばメイン変速機ユニットのハウジングまたは切換箇所それ自身を使用して、異なる構成が可能な多数のメイン変速機ユニットが提供可能である。即ち、この手段により、経済的な観点からも有利に変速機の多様性が提供可能である。
【0033】
特に農業用車両に使用される変速機に対しては、ギヤボックスのための歯車および少なくとも1つの切換装置をメイン変速機ユニットの入力軸に付属させることが目的に適っている。それに対応して、グループ・ギヤボックスのための歯車および少なくとも1つの切換装置がメイン変速機ユニットの出力軸に配置されている。
【0034】
本発明による変速機の一実施形態においては、メイン変速機ユニットは、3つのギヤボックス軸の間の全ての軸間隔がそれぞれほぼ同じ値を有するように形成されている。しかしながら、本発明による変速機のメイン変速機ユニットにおいては、3つのギヤボックス軸の間の少なくとも2つの軸間隔、好ましくは3つ全ての軸間隔がそれぞれ異なる値を有するように設計されていることが好ましい。これにより、一方で好ましい変速比が、他方でメイン変速機ユニットの高い効率が達成可能である。
【0035】
特に好ましい実施形態においては、メイン変速機ユニットのハウジングないしはメイン変速機ユニットがオプション変速機モジュールを装着するために利用されるハウジング開口を有している。装着のためにオプション変速機モジュールがハウジング開口内に挿入される。オプション変速機モジュールの装着に協働するハウジング開口は、好ましくは、オプション変速機モジュールがハウジング開口内に挿入された状態ののちに、メイン変速機ユニットとオプション変速機モジュールとの間に軸/ハブ結合を形成するために、オプション変速機モジュールがメイン変速機ユニットに対して相対的に少なくとも一方向に移動可能なように形成されている。これにより、オプション変速機モジュールのメイン変速機ユニットへの急速な複雑でない装着が実行可能であることが有利である。同様に、例えば保守のために、または変速機特性のあとからの変更のために、オプション変速機モジュールの取外しが実行可能である。
【0036】
以下に、特にトラクタに対して適切な、本発明による変速機の形態ないしは車両内における本発明による変速機の配置が説明される。それによれば、メイン変速機ユニットは空間的に車両の駆動車軸、トラクタの場合には通常後車軸の周囲/近辺に配置されている。用語「空間的な付近」とは、例えば、軸距の半分と理解されてもよい。場合により適合されているオプション変速機モジュールと共にメイン変速機ユニットから被駆動装置側に供給されたトルクの少なくとも一部により、駆動車軸は駆動可能である。
【0037】
車両の駆動車軸の縦軸線に関して、メイン変速機ユニットおよび/またはオプション変速機モジュールは空間的に車軸差動歯車装置の後方に配置されていることが特に好ましい。言い換えると、メイン変速機ユニットおよび/またはオプション変速機モジュールは車軸差動歯車装置に隣接して配置され、この場合、車軸差動歯車装置は、この形態においては通常のように車両車軸の中央に配置されているのではなく、車軸車輪の1つに隣接して横に配置されている。したがって、メイン変速機ユニットおよび/またはオプション変速機モジュールはそれぞれの車両車軸の中央領域内に配置されているか、または少なくともこの領域内において伸長している。しかしながら、この場合、これらの車両車軸の駆動軸がメイン変速機ユニット内を伸長するか、ないしはそのハウジング内を伸長するように設計されていてもよい。メイン変速機ユニットは場合により差動歯車装置に直接隣接して配置されていてもよいが、必ずしも差動歯車装置と直接のトルク流れ内に存在する必要はない。オプション変速機モジュールの駆動軸が車軸差動歯車装置と直接のトルク流れ内に存在することもまた当然考えられる。好ましい実施形態においては、メイン変速機ユニットの駆動軸が車軸差動歯車装置と駆動結合されている。メイン変速機ユニットおよび/またはオプション変速機モジュールと車軸差動歯車装置とが隣接配置されていることにより、車両のギヤボックス構成要素は車両の駆動車軸の空間領域内に集中されているので、この実施形態においては、駆動車軸と他の車両車軸および/または駆動エンジンとの間の領域内には、他の車両構成要素のために利用可能な構造空間が提供されることが特に有利である。
【0038】
同様に好ましい実施形態においては、メイン変速機ユニットは、場合によりそれに適合されているオプション変速機モジュールと共に、メイン変速機ユニットが車両内に組み込まれた状態において、オプション変速機モジュールが空間的に車軸差動歯車装置に隣接して配置されているように形成されている。このような構成は、具体的には、駆動車軸の高さにおいて、車軸差動歯車装置およびオプション変速機モジュールが駆動車軸の縦軸線方向に隣接して配置されているか、ないしは相前後して配置されているように形成されていてもよい。車両の縦方向に関して駆動車軸の直前または駆動車軸の直後の領域内に、このときメイン変速機ユニットが配置されている。本発明による変速機が具体的にどのように形成されているかに応じてそれぞれ、メイン変速機ユニットまたはオプション変速機モジュールのいずれかが駆動車軸の差動歯車装置と直接のトルク流れ内に存在している。
【0039】
基本的には、駆動エンジンからメイン変速機ユニットを介して車両の駆動車軸へのトルク流れが形成可能なように設計されている。具体的には、駆動エンジンからオプション変速機モジュールおよびメイン変速機ユニットを介して車両の駆動車軸へのトルク流れがこの順序で形成可能であってもよい。このために、メイン変速機ユニットおよびオプション変速機モジュールはそれに対応して形成されるべきである。
【0040】
特に好ましい実施形態においては、メイン変速機ユニットの後方に車軸差動歯車装置が配置されている。この後方配置は、特に、メイン変速機ユニットの車軸差動歯車装置に対する空間的な配置並びにメイン変速機ユニットと車軸差動歯車装置との間のトルク流れに関するものである。車軸差動歯車装置は、それにより、メイン変速機ユニットから供給された出力即ちトルクまたは回転速度の少なくとも一部が対応駆動車軸の駆動車輪に伝達可能であるように形成されている。通常は、メイン変速機ユニットから供給された全ての出力のほとんどが駆動車軸の駆動車輪に伝達される。しかしながら、メイン変速機ユニットから供給された出力の一部が車両の他の駆動車軸に伝達される場合、車軸差動歯車装置の後方に配置されている駆動車軸の駆動車輪には残りの部分のみが伝達されるにすぎない。
【0041】
車両が2つ以上の駆動車軸を有している場合、一実施形態においてはギヤボックス・インタフェースが設けられ、ギヤボックス・インタフェースを介して、メイン変速機ユニットから供給された出力の少なくとも一部が他の駆動軸により車両の他の駆動車軸に伝達可能である。他の駆動車軸も同様に車軸差動歯車装置を有していてもよい。車両がトラクタである場合、主要な駆動車軸は後車軸である。したがって、他の駆動車軸はトラクタの前車軸である。他の駆動車軸には、トラクタの運転状態に応じて、トラクタの駆動エンジンから供給されたトルクの設定可能な一部が後車軸に、および設定可能な他の一部がトラクタの前車軸に伝達される。両方の車両車軸に伝達されるトルク部分の比は常にほぼ一定であってもよい。
【0042】
ギヤボックス・インタフェースは他の駆動車軸へのトルク流れが投入/遮断可能に運転可能なように形成されていてもよいこととは別に、特に好ましい実施形態においては、ギヤボックス・インタフェースは、駆動車軸および他の駆動車軸に供給可能なトルクの比が可変であるように運転可能であり、ないしはそのように形成されている。それに対応して、ギヤボックス・インタフェースは中間軸差動歯車装置のように運転されてもよい。両方の駆動車軸に伝達されるトルクがほぼ60:40の比を有すること、即ちトルクの60%が車両の後車軸に、および40%が車両の前車軸に伝達可能であることが特に有利であり、このことはトラクタの場合にその目的に適っている。
【0043】
本発明による変速機を備えた車両が多方面で使用可能なように、好ましい実施形態においては、メイン変速機ユニットは、機械トルクを、メイン変速機ユニットおよび/またはオプション変速機モジュールおよび/または駆動エンジンから、車両に適合可能な作業装置に伝達するために使用される他の機械式インタフェースを含む。このようなインタフェースは、動力取出し軸の形に形成されていてもよく、したがって農業分野において使用される作業装置に適合可能である。トルク流れが駆動エンジンから直接動力取出し軸に行われるように設計されていることが好ましく、この場合、動力取出し軸ギヤボックスが設けられていてもよく、これにより、通常使用される動力取出し軸の回転速度が提供可能である。トルク流れが駆動エンジンから直接動力取出し軸に行われるにもかかわらず、対応軸がメイン変速機ユニットおよび/またはオプション変速機モジュール内を伸長していてもよい。
【0044】
好ましい実施形態においては、メイン変速機ユニットまたはオプション変速機モジュールがねじり軸を介して駆動エンジンと結合可能である。それに対応して、駆動エンジンおよび本発明による変速機のハウジングは相互に別々に形成されていてもよく、即ち1つのハウジング・ブロック内にまとめられる必要はない。このねじり軸は、その寸法に関して、ないしはその特性に関して、変速機全体の少なくとも1つの固有振動数特に一次または最低次の固有振動数が、利用可能な回転速度域の固有振動数範囲内に存在しないように形成されている。このようなねじり軸が使用される場合、駆動エンジンと変速機との間に配置されているねじり振動ダンパないしはねじり振動制振器が省略可能であるので、このための多数の構成要素並びにコストが低減可能であることが有利である。
【0045】
この代わりに、メイン変速機ユニットまたはオプション変速機モジュールは駆動エンジンと駆動軸を介して結合可能であり、この場合、メイン変速機ユニットと駆動エンジンとの間にねじり要素が設けられていることが好ましい。この場合、駆動軸は、駆動エンジンと変速機との間のトルク・ピークをダンピングするようには設計されてなく、その理由は、このためにねじり要素が設けられ、ねじり要素はねじり振動ダンパないしはねじり振動制振器の形に形成可能であるからである。
【0046】
特に有利な実施形態においては、ねじり軸または駆動軸を介しての、駆動エンジンとメイン変速機ユニットとの間のトルク流れが、オプション変速機モジュールのクラッチ・ユニットにより形成可能である。したがって、駆動エンジンと本発明による変速機ないしはオプション変速機モジュールとの間のトルク流れはクラッチ・ユニットにより遮断可能である。クラッチ・ユニットが投入されているとき、駆動エンジンとオプション変速機モジュールとの間にトルク流れが形成される。オプション変速機モジュールからメイン変速機ユニットに供給されたトルクは、次に、車軸差動歯車装置を介して車両車輪に伝達される。
【0047】
本発明による変速機はトラクタに使用されることが特に有利である。このとき、特に、メイン変速機ユニットのギヤボックスまたはグループ・ギヤボックスは負荷時切換ギヤボックスとして形成されているので、一方でトラクタに対して必要なギヤボックスの高い耐久性が可能であり、他方で負荷がかかっているときの切換が可能である。
【0048】
メイン変速機ユニットに関しては、冒頭記載の課題は請求項36の特徴により解決される。これによれば、農業用または工業用実用車のためのメイン変速機ユニットは、請求項1ないし35のいずれかに記載のオプション変速機モジュールがメイン変速機ユニットに適合可能であるような形態を特徴とする。このかぎりにおいて、メイン変速機ユニットは、その中でまたはそれにおいてオプション変速機モジュールがメイン変速機ユニットに適合可能な構造空間を有しているので、メイン変速機ユニットのために設けられている構造空間は、オプション変速機モジュールがメイン変速機ユニットに適合されているときにおいても本質的に不変のままである。同様に、オプション変速機モジュールに関しては、冒頭記載の課題は請求項37の特徴により解決される。これによれば、農業用または工業用実用車のための変速機に対するオプション変速機モジュールは、オプション変速機モジュールが、請求項1ないし35のいずれかに記載のメイン変速機ユニットに適合可能であるような形態を特徴とする。メイン変速機ユニットまたはオプション変速機モジュールのいずれかはそれぞれ、それぞれ他の要素に適合可能なように形成されているので、反復使用のためには、明細書の上記の部分が参照される。
【0049】
変速機製造モデルに関しては、冒頭記載の課題は請求項38の特徴により解決される。これによれば、変速機製造モデルは請求項1ないし35のいずれかに記載の異なる形態に形成された変速機から形成されている。異なる変速機は、メイン変速機ユニットに異なるオプション変速機モジュールが適合されることにより、および/またはメイン変速機ユニットが異なる形態に形成可能であることにより形成可能である。変速機製造モデルは、農業用または工業用実用車特にトラクタに対して構成されていることが好ましい。本発明により、異なる形態に形成されたオプション変速機モジュールが1つのタイプのメイン変速機ユニットに適合されることにより変速機の多様性が提供可能である。上記のように、異なるオプション変速機モジュールは例えば複数のオプション・ユニットが付加されて適合されることにより形成されてもよい。代替態様または追加態様として、変速機の多様性は異なる形態に形成されたメイン変速機ユニットにより提供されてもよく、これに関しては以下に説明される。
【0050】
即ち、メイン変速機ユニットは、入力軸、中間軸および/または出力軸が異なる歯車を装備可能であることにより異なる形態に形成可能である。したがって、既に記載されたように、例えば9つの前進ギヤおよび3つの後退ギヤまたは12の前進ギヤおよび4つの後退ギヤを有することが可能である。
【0051】
したがって、それにもかかわらず、メイン変速機ユニットに対してハウジングの1つのタイプのみが常に使用され、および好ましい実施形態においては、メイン変速機ユニットの個々のギヤボックス軸の異なる装備において、対応切換装置がそれぞれ同じ箇所ないしは同じ空間的位置に配置されている。この手段により、例えば本発明による変速機を装備した車両が新たな要求または変更された要求に対応しなければならない場合、あとでメイン変速機ユニットの固有特性を変更することもまた可能であることは当然である。しかしながら、このために、メイン変速機ユニットは分解され且つ他の装備例えば他の歯車が設けられなければならない。
【0052】
異なる形態に形成されたメイン変速機ユニットにおいて、メイン変速機ユニットのギヤボックス軸の異なる装備においても、ギヤボックス軸の軸受箇所がそれぞれ同じ箇所ないしは同じ空間的位置に配置されていることが好ましい。この手段により、メイン変速機ユニットに対して同じハウジングが常に使用可能であり、このことは多数の異なる変速機の経済的な提供を可能にすることが有利である。
【0053】
特に好ましい実施形態においては、異なるメイン変速機ユニット間において、入力軸と中間軸との間の軸間隔並びに中間軸と出力軸との間の軸間隔が変化されることにより、異なる変速機出力クラスが形成可能であり、この場合、一方の入力軸と中間軸との間、他方の中間軸と出力軸との間の両方の軸間隔の比はほぼ一定のままである。このために、異なる変速機出力クラスに対して、メイン変速機ユニットのための異なるハウジングが設けられるべきであり、その理由は、入力軸と出力軸との間の軸間隔、したがってこれらの軸のための軸受箇所が変更されなければならないからである。しかしながら、場合によっては、メイン変速機ユニットの異なるハウジングにおいて、設けられているそれぞれの切換装置はそれぞれ同じ箇所ないしは同じ空間的位置に配置可能である。
【0054】
既に記載のように、請求項1ないし35のいずれかに記載の本発明による変速機は、農業用または工業用実用車特にトラクタに対して使用されることが好ましい。
方法に関しては、冒頭記載の課題は請求項43に記載の製造方法の方法ステップにより解決される。それによれば、請求項1ないし35のいずれかに記載の変速機の本発明による製造方法は、オプション変速機モジュールがメイン変速機ユニットのギヤボックス・ハウジングのハウジング開口内に挿入されることにより、オプション変速機モジュールが変速機のメイン変速機ユニットに装着されることを特徴とする。オプション変速機モジュールとメイン変速機ユニットとの間に軸/ハブ結合が形成されるように、オプション変速機モジュールが少なくとも1つの方向に沿って移動される。オプション変速機モジュールが、メイン変速機ユニットに、好ましくはメイン変速機ユニットのハウジングに固定される。本発明による製造方法を使用するための前提は、一方で、オプション変速機モジュールがメイン変速機ユニットのハウジング開口内において少なくとも1つの方向に運動ないしは移動可能であるようにメイン変速機ユニット並びにオプション変速機モジュールを対応して形成することである。他方で、メイン変速機ユニットとオプション変速機モジュールとの間に軸/ハブ結合の形のインタフェースが設けられ、このインタフェースは、メイン変速機ユニットに対するオプション変速機モジュールの相対移動により形成可能である。
【0055】
既に記載のように、メイン変速機ユニットに適合可能な異なるオプション変速機モジュールが設けられている。好ましい実施形態により、それぞれ1つのオプション・ユニットが、そのベース・ハウジング部分を用いて、他のオプション・ユニットのベース・ハウジング部分に固定されることにより、複数のオプション・ユニットがオプション変速機モジュールに組立て可能である。これにより、異なるオプション変速機モジュールが常にほぼ同じに形成された個々の構造部分ないしはベース・ハウジング部分を用いてモジュラ型に且つコスト的に有利に製造可能であり、このとき、異なる形態に形成された各オプション変速機モジュールに対してそれぞれ場合により複雑に形成されたそれぞれ1つの固有の全体ハウジングが設けられる必要はない。
【0056】
ここで、本発明の教示を有利に形成し且つ改良する種々の可能性が存在する。このために、一方で、並列請求項に後続する請求項が、他方で、図面による本発明の好ましい実施形態の以下の説明が参照される。図面による本発明の好ましい実施形態の説明に関連して、一般に、教示の好ましい形態および変更態様もまた説明される。図面においてはそれぞれが略図で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明による変速機の第1の実施例の斜視図を示す。
【図2】図2は、変速機のために設けられているギヤボックス・ハウジング内に納められた図1からの変速機の斜視図を示す。
【図3】図3は、本発明による変速機の第2の実施例の平面図を示す。
【図4】図4は、変速機のために設けられているギヤボックス・ハウジング内に納められた図3からの変速機の平面図を示す。
【図5】図5は、第1の構成段における、オプション変速機モジュールの1つのオプション・ユニットのハウジング部分の斜視図を示す。
【図6】図6は、第2の構成段における、相互に装着された、オプション変速機モジュールの複数のオプション・ユニットの複数のハウジング部分の斜視図を示す。
【図7】図7は、第3の構成段における、相互に装着された、オプション変速機モジュールの複数のオプション・ユニットの複数のハウジング部分の斜視図を示す。
【図8】図8は、それぞれ1つの構成段における、メイン変速機ユニットおよびオプション変速機モジュールを備えた本発明による変速機の棒線図を示す。
【図8a】図8aは、本発明による変速機の図8に対する変更実施例を示す。
【図9】図9は、それぞれ1つの他の構成段における、メイン変速機ユニットおよびオプション変速機モジュールを備えた本発明による変速機の棒線図を示す。
【図10A】図10Aは、車両内に組み込まれた状態における、変速機の入力軸および出力軸に関する従来技術から既知の構成の略図を示す。
【図10B】図10Bは、車両内に組み込まれた状態における、本発明による変速機の入力軸および出力軸に関する構成の略図を示す。
【図11】図11は、従来技術から既知の変速機を備えた車両構成の略平面図を示す。
【図12】図12は、図11からの車両構成の略側面図を示す。
【図13】図13は、本発明による変速機を備えた車両構成の略平面図を示す。
【図14】図14は、図13からの車両構成の略側面図を示す。
【図15】図15は、図13および図14からの車両構成の略斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
同じまたは類似の構造部分ないしは構造グループは図内において同じ符号で表わされている。
図1および2は同じ変速機を斜視図で示しているが、図1においてはギヤボックス・ハウジングがなく、図2においてはギヤボックス・ハウジング11が設けられている。変速機10はそれ自身で機能性を有する少なくとも1つのメイン変速機ユニット12およびメイン変速機ユニット12に適合されたオプション変速機モジュール14を含む。メイン変速機ユニット12はギヤボックスおよびグループ・ギヤボックスを有し、これらに関してはのちに説明される。オプション変速機モジュール14により変速機10の機能性が拡張可能であり、例えばクラッチ・ユニット16、クローリング・ギヤ・ユニット18および二段変速機ユニット(ハイ/ロー)20の機能性が拡張可能である。変速機10は、駆動エンジンから発生されたトルクを、農業用実用車特にトラクタの少なくとも1つの駆動車軸に伝達するように働き、この場合、駆動エンジン並びに駆動車軸のいずれも図1および2には示されていない。
【0059】
本発明により、メイン変速機ユニット12およびオプション変速機モジュール14は、オプション変速機モジュール14がメイン変速機ユニット12に適合されているときにおいても、変速機10のために設けられている構造空間が本質的に不変であるように形成されている。オプション変速機モジュール14の形態または構成段とは無関係に、オプション変速機モジュール14およびメイン変速機ユニット12から形成されている変速機10の設定可能な最大構造空間は超過されていない。この実施例においては、これは、オプション変速機モジュール14が空間的に常に同じに設定された変速機10の部分領域に、ないしはその中に配置されていることにより達成される。これにより、メイン変速機ユニット12は、メイン変速機ユニット12により常にオプション変速機モジュール14のための構造空間が提供されるように形成されている。オプション変速機モジュール14のための構造空間はギヤボックス・ハウジング内の常に同じ場所に設けられ、しかもオプション変速機モジュール14の構成段とは無関係である。図3に、この平面図内においてどの構造部分がメイン変速機ユニット12に属し且つどの構造部分がオプション変速機モジュール14に属しているかが破線で記入された境界により示されている。ギヤボックス・ハウジング11は1つの部分から形成可能である。しかしながら、ギヤボックス・ハウジング11は2つの部分または複数の部分から形成されていてもよい。即ち、例えば、図2、4および15に記入されている破線13によりそれぞれ、ここではギヤボックス・ハウジング11が2つのハウジング部分15および17から構成可能であることが示されている。両方のハウジング部分15および17を相互に固定するための例えばねじのような固定要素は図2、4および15には示されていない。
【0060】
図1−4において、オプション変速機モジュール14は、4つのオプション・ユニット、即ち、クラッチ・ユニット16、クローリング・ギヤ・ユニット18、二段変速機ユニット(ハイ/ロー)20および後退ギヤ・ユニット22を有している。二段変速機ユニット(ハイ/ロー)20は、負荷がかかっているときでもそれが摩擦結合により切換可能なように形成されている。図3および4にはそのほかに動力取出し軸ギヤボックスのためのクラッチ23が示されている。
【0061】
図1および2に示されているのみならず図3および4にも示されているオプション変速機モジュール14はベース・ハウジング部分24を有している。このベース・ハウジング部分24には少なくともクラッチ・ユニット16が適合可能である。図5はベース・ハウジング部分24を斜視図で示し、ベース・ハウジング部分24には、図5に示されていないクラッチ・ユニット16のみが適合可能である。即ち、このベース・ハウジング部分24は、クラッチ・ユニット16のほかにはオプション変速機モジュール14の他のいかなるオプション・ユニットも設けられていないときにのみ図5に示されているように形成されている。
【0062】
オプション変速機モジュール14がメイン変速機ユニット12に対する適切な相対位置においてギヤボックス・ハウジング11に配置ないしは位置決めされているように、オプション変速機モジュール14のベース・ハウジング部分24は複数の位置決め手段26を有している。メイン変速機ユニット12ないしはギヤボックス・ハウジング11に、位置決め手段26に対して相補に形成された複数の他の位置決め手段28が設けられ、位置決め手段28はそれぞれブラインド・ホールの形に形成されている。それに対応して、ブラインド・ホール内に挿入された位置決め手段26の部分は本質的に植込みボルトの形を有している。位置決め手段26および他の位置決め手段28は、位置決め手段26、28が相互に締め付けられたときに、オプション変速機モジュール14がメイン変速機ユニット12に対してその空間的位置およびその相対方向が位置決め可能なように配置されている。位置決め手段26、28はそれぞれ当接面30、32を有している。当接面30は、ベース・ハウジング部分24の、図1−5には隠れて見えない位置に示されている下面である。当接面32は図2および4に示されているギヤボックス・ハウジング11の面であり、その面上に、図2および4には示されていないギヤボックス・カバーが適合される。これにより、オプション変速機モジュール14は、はじめにオプション変速機モジュール14が適合のために設けられたギヤボックス・ハウジング11の開口34内に上方から挿入されることにより、簡単且つ時間を費やすことなくメイン変速機ユニット12に適合且つ調整可能であることが特に有利である。次に、メイン変速機ユニット12とオプション変速機モジュール14との間に軸/ハブ結合が形成され且つベース・ハウジング部分24およびギヤボックス・ハウジング11の当接面30、32が相互に当接する。位置決め手段26が他の位置決め手段28内に挿入される。これにより、オプション変速機モジュール14はメイン変速機ユニット12に対して相対的に位置決めされる。
【0063】
図3および4に示されているオプション変速機モジュール14のオプション・ユニットないしはクラッチ・ユニット16はベース・ハウジング部分24を有し、ベース・ハウジング部分24は、図3および4においては見えていない軸を回転可能に支持している。図5に示されているハウジング部分24においては、同様に図5には示されていない対応オプション・ユニットの軸のための軸受36Aが示されている。ハウジング部分24はギヤ油接続口38を有し、ギヤ油接続口38は、図3および4には示されていないギヤボックス・ハウジング11のギヤボックス・カバーと結合されている。それに対応して、ギヤボックス部分24は、その中を伸長するギヤ油配管を含み、ギヤ油配管を介してクラッチ・ユニット16のための油圧式切換要素が操作可能であり、および/またはギヤ油配管を介してクラッチ・ユニット16が潤滑可能である。
【0064】
ハウジング部分に隣接して複数のオプション・ユニットがモジュラ型に付加されて適合されることにより、オプション変速機モジュール14の異なるオプションが提供可能である。このために、ハウジング部分は、それらが相互に装着可能なように形成されている。これが例えば図6および7からよくわかる。この場合、図6に示すベース・ハウジング部分24にそれぞれ他のハウジング部分40が装着されている。図6は、ハウジング部分24、40のほかに、オプション変速機モジュール14の他のハウジング部分44を示し、他のハウジング部分44は、オプション・ユニット、即ち、クラッチ・ユニット16、クローリング・ギヤ・ユニット18および二段変速機ユニット(ハイ/ロー)20を有している。ハウジング部分44とハウジング部分40との間にクローリング・ギヤ・ユニット18が配置されている。これに関連する軸のために、軸受箇所37Aおよび37Bが設けられている。クラッチ・ユニット16の軸のために、軸受箇所36Aおよび36Bが設けられている。ハウジング部分40およびハウジング部分24の間にクラッチ・ユニット16および二段変速機ユニット(ハイ/ロー)20が配置されている(例えば図1−4参照)。二段変速機ユニット20の軸のために軸受箇所39Aおよび39Bが設けられ、この場合、軸受箇所39Bはハウジング部分40内に配置されているが、この斜視図内においては見えていない。ハウジング部分40は軸受箇所36Bも有している。図7は、図6に示されているハウジング部分24、40および44に追加して、他のハウジング部分42を示す。ハウジング部分42とベース・ハウジング部分24との間に後退ギヤ・ユニット22が配置されている(例えば図1−4参照)。後退ギヤ・ユニット22の軸のために、ベース・ハウジング部分24の軸受箇所39Aおよびハウジング部分42の軸受箇所39Cが設けられている。
【0065】
したがって、対応ハウジング部分24、40、44が対応オプション・ユニットと共に相互に装着され、それに続いて変速機10のギヤボックス・ハウジング11内に挿入され且つメイン変速機ユニット12と作動結合されることにより、異なる形態に形成されたオプション変速機モジュール14が提供可能である。これにより、オプション変速機モジュールの機能性が拡張可能であることが有利である。
【0066】
既に記載のように、ギヤボックス・ハウジング11はメイン変速機ユニット12をそれ自身の中に受け入れている(例えば図3および4参照)。ギヤボックス・ハウジング11は、オプション変速機モジュール14が少なくともそのままギヤボックス・ハウジング11内に装着可能なように形成されている。オプション変速機モジュール14とメイン変速機ユニット12との間に、クラッチ・ユニット16を介してトルク流れが間接的に形成可能である。
【0067】
ギヤボックス・ハウジング11に、ないしはギヤボックス・ハウジング11内に、後車軸差動歯車装置46が適合可能である。図2および4に示されている実施例においては、後車軸差動歯車装置46はほぼ完全にギヤボックス・ハウジング11内に組み込まれ、この場合、後車軸差動歯車装置46は、図1−4には示されていないトラクタの走行方向左側に、通常のように後車軸に関して中央でない位置に配置されている。図2から、トラクタの前車軸の機械式個別車輪駆動装置に対するインタフェース48が適合可能であることがわかる。
【0068】
メイン変速機ユニット12と同様に、オプション変速機モジュール14もまたそれ自身で独立の変速機またはそれ自身で機能性を有する変速機の形に設計されている。オプション変速機モジュール14に、図1−4においては見えていない油圧式切換要素により特にオプション変速機モジュール14のクラッチを操作するために固有の操作装置が設けられているが、この操作装置には、ギヤ油接続口38を介して加圧されたギヤ油が供給可能である。
【0069】
オプション変速機モジュール14は軸/ハブ結合50を介してメイン変速機ユニット12に着脱可能に適合可能である。軸/ハブ結合50は、図1、3および4においては暗示的に示されているにすぎないが、はめあい結合によりトルク伝達可能に形成され、この場合、オプション変速機モジュール14は外歯を設けた軸を有し、およびそれに適合可能なメイン変速機ユニット12の軸は内歯を設けた中空軸領域を有している。
【0070】
オプション変速機モジュール14は着脱可能にメイン変速機ユニット12内ないしはメイン変速機ユニット12に適合可能であり、この場合、例えば保守のためにギヤボックス・ハウジング11内の他の構成要素を点検したり、またはあとで他のオプション・ユニットと共にオプション変速機モジュール14を変速機10内に組み込むために、オプション変速機モジュール14はあとからでもメイン変速機ユニット12から取外し可能である。
【0071】
メイン変速機ユニット12は三軸ギヤボックスとして形成されている。3つのギヤボックス軸52、54および56はメイン変速機ユニット12内において相互に平行に配置されている。これらの軸は、入力軸52、中間軸54および出力軸56である。メイン変速機ユニット12の入力軸52は中空軸の形に形成されている。
【0072】
図10Aは、入力軸58および出力軸60を有するトラクタ変速機の通常存在する構成を、ギヤボックス軸58、60に対する横断面図で示している。これによれば、入力軸58は出力軸60の垂直方向直上に配置されている。それに対応して、このような変速機は比較的高く且つそのために比較的細長に形成されている。
【0073】
図10Bは、メイン変速機ユニット12のギヤボックス軸52、54および58の相互の空間的配置を、ギヤボックス軸52、54および58に直角な平面内の断面図で示している。それに対応して、メイン変速機ユニット12は、メイン変速機ユニット12ないしは変速機10が車両内に組み込まれている状態において、出力軸56の位置が、入力軸52の位置に対して水平方向および垂直方向にオフセットされて配置されているように形成されている。さらに、中間軸54の位置は、出力軸56の位置および入力軸52の位置に対して垂直方向にオフセットされて配置されている。中間軸54の位置は入力軸52の位置および出力軸56の位置に対して水平方向にオフセットされて配置されている。それに対応して、図10Bから、本発明による変速機10の少なくともメイン変速機ユニット12は、入力軸52と出力軸56との間に、垂直方向に見て、図10Aに示されている従来技術から既知の変速機の場合よりも小さい間隔61を有していることがわかる。それに対応して、メイン変速機ユニット12は、その入力軸58および出力軸60が直接上下に存在する(図10A参照)従来技術から既知の変速機のように、垂直方向に必ずしもそれほど高く形成される必要はない。入力軸52および出力軸56は水平方向に間隔63を有しているので、メイン変速機ユニット12は、通常トラクタに対して使用されている従来技術から既知の変速機(例えば図10A参照)よりも幅広く形成されている。3つのギヤボックス軸52、54、56の間の軸間隔62、64および66はそれぞれ異なる値を有し、この場合、入力軸52と中間軸54との間の軸間隔は符号62で示されている。中間軸54と出力軸56との間の軸間隔は符号64で示されている。出力軸56と入力軸52との間の軸間隔は符号66で示されている。
【0074】
異なるメイン変速機ユニット12間において、入力軸52と中間軸54との間の軸間隔62並びに中間軸54と出力軸56との間の軸間隔64が変化されることにより、異なる変速機出力クラスが形成可能であり、この場合、一方で入力軸52と中間軸54との間および他方で中間軸54と出力軸56との間の両方の軸間隔62、64の比はほぼ一定のままである。このような異なる変速機出力クラスから変速機製造モデルが形成可能である。
【0075】
図1および3から、入力軸52は2つの切換装置68A、68Bを有していることがわかる。同様に、出力軸56は2つの切換装置70A、70Bを有している。切換装置68A、68B、70A、70Bははめあい結合により同期化されて切換可能に形成され、即ちそれぞれ切換フォークおよび切換スリーブを有している。
【0076】
図1−4に示されている切換装置68A、68B、70A、70Bはそれぞれ、メイン変速機ユニット12の個々のギヤボックス軸52、54、56が異なる特性を有する変速機のために異なる形態に例えば異なる歯車が装備されている場合においても、ギヤボックス・ハウジング11に対して同じ相対位置に配置されている。図1−4には見えていないメイン変速機ユニット12のギヤボックス軸52、54、56の軸受箇所は、異なる特性を有する変速機10のためのメイン変速機ユニット12のギヤボックス軸52、54、56の異なる装備においてもまた、それぞれギヤボックス・ハウジング11における同じ位置に配置されている。
【0077】
設けられている切換装置68A、68B、70A、70Bの切換状態に応じて、入力軸52から中間軸54を介して出力軸56へのトルク流れ、または入力軸52から直接出力軸56へのトルク流れが形成可能である。
【0078】
変速機10が組み込まれているトラクタのギヤボックスに対して、入力軸52は複数の歯車および2つの切換装置68A、68Bを有している。出力軸56はグループ・ギヤボックスに対して複数の歯車および2つの切換装置70A、70Bを有している。
【0079】
メイン変速機ユニット12のギヤボックス・ハウジング11は、オプション変速機モジュール14を装着するために利用されるハウジング開口34を有している。オプション変速機モジュール14を装着するために、オプション変速機モジュール14はハウジング開口34内に挿入される。ハウジング開口34は、オプション変速機モジュール14と協働して、ハウジング開口34内に挿入された状態においてオプション変速機モジュール14がメイン変速機ユニット12の方向に移動可能なように形成され、これにより、メイン変速機ユニット12とオプション変速機モジュール14との間に軸/ハブ結合が形成可能である。
【0080】
図11および12は、トラクタにおいて従来技術から既知のような変速機構成の平面図ないしは側面図を略図で示している。即ち、トラクタ72は、内燃機関74、前車軸76並びに後車軸78を有している。前車軸76に2つの前車輪80A、80Bが、および後車軸78に2つの後車輪82A、82Bが付属されている。内燃機関74から発生されたトルクは駆動軸84を介してはじめにギヤボックス86に伝達される。ギヤボックス86の後方にオプション・ギヤボックス88およびグループ・ギヤボックス90が配置されている。グループ・ギヤボックス90から、後車軸差動歯車装置92およびブレーキ付最終駆動装置94を介して、後車輪82A、82Bにトルクが伝達される。しかしながら、機械式前車輪駆動装置のためのインタフェース96およびこれに関連する駆動軸98が接続されている場合には、インタフェース96および駆動軸98を介して前車輪80A、80Bにもトルクが伝達可能である。
【0081】
運転席の領域は符号100で示され、トラクタ72のドライバは符号102で示されている。図10Aに示されているように入力軸58は出力軸60の垂直方向上方に配置されているので、図11および12に示されているギヤボックス構成86、88、90は比較的高く形成され、したがって、運転席100内のドライバ102にとって、ドライバの脚ないしは足を快適に置くための場所を得るためには、最終的に、ギヤボックス86およびオプション・ギヤボックス88に隣接する左側および右側にレッグ・ルーム104Aおよび104Bが僅かに残っているにすぎない。動力取出し軸108を有する動力取出し軸ギヤボックス106が後車軸差動歯車装置92の後方に配置されている。動力取出し軸108の軸線110と地面112との間の垂直方向間隔は規格に規定されている。
【0082】
図13、14および15から、本発明による変速機10を用いて、車両縦軸に対し直角方向の全領域104にわたり、ドライバの両脚ないしは両足のためのレッグ・ルームを利用可能な車両構成が提供可能であり、これは有利であることがわかる。これは、本発明による変速機10が、少なくとも車両の縦方向に関して、図11および12に示す従来技術から既知のギヤボックス構成の場合よりもコンパクトに形成されているという理由から可能である。図13、14から、特に図13から、内燃機関74と変速機10との間を駆動軸84が伸長しているが、機械式前車軸駆動装置のための駆動軸98は別として、その他においては変速機10の他の構成要素が設けられていないことがわかる。それに対応して、この構造空間が、他の車両構成要素のために、例えば図13、14および15には示されていない燃料タンクのために利用可能であることが特に有利である。内燃機関74は横に配置されている2つのフレーム部分116A、116Bを介して変速機10と結合されている。
【0083】
図13および15から、メイン変速機ユニット12は空間的に車両の後車軸78の付近に配置されていることがわかる。メイン変速機ユニット12に適合されたオプション変速機モジュール14を用いて、被駆動側において、供給されたトルクにより後車軸78ないしは後車輪82A、82Bが駆動可能である。全車輪駆動装置が作動されている場合、変速機10から供給されたトルクにより、前車軸76ないしは前車輪80A、80Bもまた駆動可能である。
【0084】
トラクタ72の後車軸78の縦軸線114に関して、オプション変速機モジュール14は空間的に後車軸差動歯車装置46の後方に配置されているが、それとは直接のトルク流れ内に存在していない。オプション変速機モジュール14を備えたメイン変速機ユニット12は、メイン変速機ユニット12がトラクタ72内に組み込まれた状態において、オプション変速機モジュール14が空間的に後車軸差動歯車装置46に隣接して配置されているように形成されている。オプション変速機モジュール14は後車軸差動歯車装置46と直接のトルク流れ内に存在していない。メイン変速機ユニット12は後車軸差動歯車装置46とのトルク流れ内に存在している。
【0085】
したがって、駆動エンジンないしは内燃機関74からメイン変速機ユニット12を介してトラクタ72の駆動車軸78への、または両方の駆動車軸78、76へのトルク流れが形成可能である。具体的には、トルク流れは、駆動エンジン74からオプション変速機モジュール14を介して、およびメイン変速機ユニット12および後車軸差動歯車装置46を介して、トラクタ72の駆動車軸76、78へこの順序で形成可能である。
【0086】
後車軸差動歯車装置46は、空間的に且つトルク流れに関して、メイン変速機ユニット12の後方に配置されている。後車軸差動歯車装置46を用いて、メイン変速機ユニット12から供給された出力即ちトルクまたは回転速度の少なくとも一部は後車軸76の駆動車輪82A、82Bに伝達可能であり、および/または前車軸駆動装置が作動されている場合、前車軸76の駆動車輪80A、80Bにも伝達可能である。
【0087】
機械式前車軸駆動装置のためのインタフェース48を用いてギヤボックス・インタフェースが形成され、このギヤボックス・インタフェースから、メイン変速機ユニット12に供給された出力の一部が駆動軸98を介してトラクタ72の前車軸76に伝達可能である。トラクタ72の前車軸76もまた同様に、図示されていない車軸差動歯車装置を有していてもよい。
【0088】
機械式前車輪駆動装置のためのインタフェース48は、後車軸78と前車軸76とに供給可能なトルクの比が可変であるように運転可能であり、且つそのように形成されている。両方の駆動車軸78、76に伝達されるトルクはほぼ60:40の比を有していることが好ましい。
【0089】
メイン変速機ユニット12は、メイン変速機ユニット12ないしは内燃機関74から、トラクタ72に適合されている図には示されていない作業装置に機械トルクを伝達するために、動力取出し軸108のための他の機械式インタフェースを含む。動力取出し軸108のための機械式インタフェースに動力取出し軸ギヤボックス106が配置されている。
【0090】
オプション変速機モジュール14と内燃機関74との間に設けられている駆動軸84はねじり軸の形に形成されている。ねじり軸は、その寸法に関して、およびそのねじり特性に関して、変速機10ないしは駆動系全体の少なくとも一次または最低次の固有周波数がトラクタの利用可能な回転速度域の固有振動数範囲内に存在しないように形成されている。
【0091】
内燃機関74とメイン変速機ユニット12との間のトルク流れはねじり軸84を介してオプション変速機モジュール14のクラッチ・ユニット16により形成可能である。
したがって、トラクタ72のメイン変速機ユニット12は、オプション変速機モジュール14がメイン変速機ユニット12に適合可能なように形成されている。それに対応して、オプション変速機モジュール14は、それがメイン変速機ユニット12に適合可能なように形成されている。
【0092】
図8は図1および2に示されている変速機に対比可能に形成されている本発明による変速機10の一実施例を棒線図により示している。変速機10は9つの前進ギヤおよび3つの後退ギヤを有している。変速機10にオプション変速機モジュール14が適合され、オプション変速機モジュール14は、クラッチ・ユニット16、クローリング・ギヤ・ユニット18、二段変速機ユニット(ハイ/ロー)20および後退ギヤ・ユニット22を有している。
【0093】
内燃機関74から発生されたトルクは駆動軸84を介してはじめにオプション変速機モジュール14のクラッチ・ユニット16に供給される。摩擦結合クラッチ・ユニット16が投入され且つクローリング・ギヤ・ユニット18の切換箇所118が左側投入位置に存在し、したがってオプション変速機モジュール14の出力軸120とメイン変速機ユニット12の入力軸52との間の回転不能結合が形成されたとき、トルクはメイン変速機ユニット12内に供給される。オプション変速機モジュール14の出力軸120のみならずメイン変速機ユニット12の入力軸52もまた中空軸として形成されている。歯車122は駆動軸84と回転不能に結合され且つ二段変速機ユニット20の入力歯車124とのみならず後退ギヤ・ユニット22の入力歯車126とも噛み合っている。二段変速機ユニット20の摩擦結合クラッチ・ユニット125が投入されているとき、入力歯車124と出力歯車128との間に回転不能結合が形成されている。出力歯車128はオプション変速機モジュール14の出力軸120と回転不能に結合されている歯車130と噛み合っている。後退ギヤ・ユニット22の摩擦結合クラッチ・ユニット127が投入されているとき、入力歯車126と中間歯車132との間に回転不能結合が形成されている。中間歯車132は後退ギヤ・ユニット22の出力歯車134と噛み合っている。出力歯車134それ自身は歯車130と噛み合っている。したがって、クラッチ・ユニット16が投入されているとき、または二段変速機ユニット20のクラッチ・ユニット125が投入されているとき、あるいは後退ギヤ・ユニット22のクラッチ・ユニット127が投入されているときのいずれかにおいて、駆動軸84から、オプション変速機モジュール14を介してメイン変速機ユニット12の入力軸52にトルクが伝達され、この場合、クラッチ16、125または127は常に1つのみが投入可能である。
【0094】
歯車136もまた同様にオプション変速機モジュール14の出力軸120と回転不能に結合され且つクローリング・ギヤ・ユニット18の入力歯車138と噛み合っている。入力歯車138に歯車140が回転不能に結合され、歯車140はクローリング・ギヤ・ユニット18の出力歯車142と噛み合っている。クラッチ・ユニット16または二段変速機ユニット20のクラッチ・ユニット125または後退ギヤ・ユニット22のクラッチ・ユニット127が投入され且つ切換箇所118がその右側投入位置に存在している場合、同様に、出力軸120、歯車136、入力歯車138、歯車140、クローリング・ギヤ・ユニット18の出力歯車142を介して、および切換箇所118を介してメイン変速機ユニット12の入力軸52にトルクが伝達される。このとき、トラクタ72はクローリング・ギヤ・モードに存在する。
【0095】
符号144により、ギヤボックス・ハウジング11内またはハウジング部分24、40、42、44内の個々の軸の軸受箇所が示されている。
入力軸52を介してメイン変速機ユニット12内に伝達されたトルクは、切換箇所68Bが投入されている場合、歯車146に伝達される。この状態においては、ギヤボックスの第1速ギヤが投入されている。歯車146は歯車148と噛み合い、歯車148は中間軸54と回転不能に結合されている。切換箇所68Bが投入位置に存在せず且つ切換箇所68Aが右側投入位置に存在している場合、入力軸52は歯車150と回転不能に結合されている。この状態においては、ギヤボックスは第2速ギヤに投入されている。歯車150は歯車152と噛み合い、歯車152は同様にメイン変速機ユニット12の中間軸54と回転不能に結合されている。切換箇所68Bが投入位置に存在せず且つ切換箇所68Aが左側投入位置に存在している場合、入力軸52は歯車154と回転不能に結合されている。この状態においては、ギヤボックスの第3速ギヤが投入されている。歯車154は歯車156と噛み合い、歯車156は同様にメイン変速機ユニット12の中間軸54と回転不能に結合されている。即ち、両方の切換箇所68A、68Bの1つが投入位置に存在しているとき、中間軸54は歯車148または歯車152または歯車156のいずれかを介して回転される。
【0096】
歯車152とは歯車158が噛み合っている。歯車160、162は中間軸54と回転不能に結合されている。歯車160とは歯車164が噛み合っている。歯車162とは歯車166が噛み合っている。それに対応して、歯車158、164および166は、中間軸54が回転された場合に回転する。切換箇所70Bが右側投入位置に存在している場合、中間軸54と歯車162、166との間のトルク流れが出力軸56に対して形成される。この状態においては、トラクタ72の変速機10のグループAが投入されている。切換箇所70Bが左側投入位置に存在している場合、中間軸54と歯車160、164との間のトルク流れが出力軸56に対して形成されている。この状態においては、トラクタ72の変速機10のグループBが投入されている。切換箇所70Aが投入位置に存在している場合、中間軸54と歯車152、158との間のトルク流れが出力軸56に対して形成されている。この状態においては、トラクタ72の変速機10のグループCが投入されている。
【0097】
メイン変速機ユニット12の出力軸56が回転された場合、傘歯車168を介して差動歯車装置46の歯車170が回転されるので、車輪82A、82Bと結合されている駆動軸172もまた同様に回転され、これによりトラクタ72が駆動される。
【0098】
変速機10の前方領域内に機械式前輪駆動装置のためのインタフェース48が設けられている。メイン変速機ユニット12の出力軸56と歯車174が回転不能に結合され、歯車174は二重歯車176の右側歯車と噛み合っている。二重歯車176の左側歯車は歯車178と噛み合っている。機械式前輪駆動装置のためのインタフェース48の切換箇所180が投入位置に存在している場合、メイン変速機ユニット12の出力軸56から、歯車174、176、178を介して、前車軸76の車輪80A、80Bに対する駆動軸98にトルク流れが形成されている。
【0099】
したがって、図8に示されている変速機はメイン変速機ユニット12により3つの速度ギヤおよび3つのグループを有している。オプション変速機モジュール14は、クラッチ・ユニット16のほかに、クローリング・ギヤ・ユニット18、二段変速機ユニット20並びに後退ギヤ・ユニット22を含む。さらに、変速機10に、前輪駆動装置のためのインタフェース48が追加されている。
【0100】
図8aは、本発明による変速機10の図8に対する変更実施例を示し、この場合、変更はオプション変速機モジュール14に関するものである。即ち、図8aにおいてもまた、オプション変速機モジュール14は、クラッチ・ユニット16、二段変速機ユニット20および後退ギヤ・ユニット22を有している。中空軸120と回転不能に結合されている歯車130は中間歯車132と噛み合っている。二段変速機ユニット20のクラッチ・ユニット125は投入されず且つ後退ギヤ・ユニット22のクラッチ・ユニット127が投入されている場合、トルクは、駆動軸84から後退ギヤ・ユニット22を介して中空軸120に、したがってメイン変速機ユニット12に伝達される。図8aに示されている変速機10の機能方法は、その他に関しては図8に示されている変速機の機能方法とほぼ対比可能である。
【0101】
図9は、そこに設けられているメイン変速機ユニット12により3つの速度ギヤおよび4つのグループを備えた12の前進ギヤおよび4つの後退ギヤを有する本発明による変速機10の他の実施例を示す。図8からの変速機の構造部分ないしは構造グループが図9にも設けられ且つ示されているかぎりにおいて、これらの構造部分ないしは構造グループは同じ符号で示されている。図9に示されている変速機10においては、オプション変速機モジュール14はクラッチ・ユニット16(即ちこの実施例の最小構成段)のみを含み、クラッチ・ユニット16は、オプション変速機モジュール14の出力軸120を介してメイン変速機ユニット12の入力軸52への駆動軸84のトルク流れを、摩擦結合により形成可能である。さらに、オプション変速機モジュール14とメイン変速機ユニット12との間の軸/ハブ結合50が示されている。
【0102】
図9に示されているメイン変速機ユニット12は、図8に示すメイン変速機ユニット12とは、左側に配置されている3つの歯車列182−194により本質的に異なり、歯車列182−194については以下に詳細に説明される。切換箇所68Bはここでは2つの異なる位置を有し、即ち図8においても本質的に既に存在する右側投入位置もまた有している。この位置はメイン変速機ユニット12の第2速ギヤに対応する。それに追加して左側投入位置が存在し、この投入位置においては、メイン変速機ユニット12の入力軸52と歯車182との間のトルク流れが形成可能である。切換箇所68Bの左側投入位置はメイン変速機ユニット12の第3速ギヤに対応する。歯車182は歯車184と噛み合い、歯車184は中間軸54と回転不能に結合されている。歯車184は二重歯車186と噛み合い、二重歯車186はメイン変速機ユニット12の出力軸56の周りに回転可能に支持されている。切換箇所68Aが左側投入位置に存在している場合、メイン変速機ユニット12の入力軸52と歯車188との間にトルク流れが形成されている。切換箇所68Aの左側投入位置はメイン変速機ユニット12の第1速ギヤに対応する。歯車188は歯車190と噛み合い、歯車190は中間軸54と回転不能に結合されている。歯車190は歯車192と噛み合い、歯車192はメイン変速機ユニット12の出力軸56の周りに回転可能に支持されている。切換箇所68Aが右側投入位置に存在している場合、メイン変速機ユニット12の入力軸52と歯車194との間にトルク流れが形成される。切換箇所68Aの右側投入位置はメイン変速機ユニット12の後退ギヤに対応する。歯車194は二重歯車186の左側部分と噛み合い(破線により示されている)、二重歯車186はメイン変速機ユニット12の出力軸56の周りに回転可能に支持されている。したがって、入力軸52上において3つの前進ギヤおよび1つの後退ギヤが切換可能である。
【0103】
切換箇所70Aが左側投入位置に存在している場合、切換箇所70A、70Bは、図8に示されている3つのグループA、BおよびCのみならず、さらに第4のグループDをも切り換える。その他に関しては、両方の切換箇所70A、70Bの作動方法並びに後車軸差動歯車装置46ないしは機械式前輪駆動装置のためのインタフェース48への伝達は図8からのそれと対比可能である。
【0104】
図8および9に示されている、異なる形態に構成された変速機10により、特に農業用または工業用実用車のための、具体的にはトラクタ72のための変速機製造モデルは、それぞれ1つのメイン変速機ユニット12に異なるオプション変速機モジュール14が適合されることにより形成され且つ経済的に提供可能であることが有利であることは明らかとなろう。即ち、例えば、図8からのメイン変速機ユニット12は、図8からのオプション変速機モジュール14と組み合わされても、または図9からのオプション変速機モジュール14と組み合わされてもよい。代替態様または追加態様として、メイン変速機ユニット12がそれぞれ異なる形態に形成されていてもよく、この場合、変速機10は同じオプション変速機モジュール14を有していても、または異なるオプション変速機モジュール14を有していてもよい。即ち、例えば、図8からのメイン変速機ユニット12または図9からのメイン変速機ユニット12が図8からのオプション変速機モジュール14と組み合わされてもよい。
【0105】
メイン変速機ユニット12は、図8と図9との比較が示すように、入力軸52、中間軸54、および/または出力軸56が異なる歯車を装備可能であることにより異なる形態に形成可能である。この実施例においては、メイン変速機ユニット12の個々のギヤボックス軸52、54、56の異なる装備において、対応切換装置68A、68B、70A、70Bがそれぞれ同じ箇所ないしは同じ位置に配置されている。この実施例においては、ギヤボックス軸52、54、56の軸受箇所144もまた、異なる形態に形成されているメイン変速機ユニット12において、メイン変速機ユニット12のギヤボックス軸52、54、56の異なる装備においてもまたそれぞれ、同じ箇所/位置に配置されている。したがって、異なるメイン変速機ユニット12において、常に同じギヤボックス・ハウジング11および同じ切換装置68A、68B、70A、70Bが使用可能である。
【0106】
最後に、これまで考察された実施例は請求された教示を説明するためにのみ使用されるものであり、これが実施例を制約するものではないことに注意されたい。
【符号の説明】
【0107】
10 変速機
11 ギヤボックス・ハウジング
12 メイン変速機ユニット
13 破線
14 オプション変速機モジュール
15、17 ハウジング部分
16、125、127 クラッチ・ユニット
18 クローリング・ギヤ・ユニット
20 二段変速機ユニット
22 後退ギヤ・ユニット
23 クラッチ
24 ベース・ハウジング部分
26、28 位置決め手段
30、32 当接面
34 ハウジング開口
36A、36B、37A、37B、39A、39B、39C 軸受箇所
38 ギヤ油接続口
40、42、44 ハウジング部分
46 後車軸差動歯車装置(本発明)
48 ギヤボックス・インタフェース(本発明)
50 軸/ハブ結合
52、54、56 ギヤボックス軸(本発明)
58、60 ギヤボックス軸(従来技術)
61、63 間隔
62、64、66 軸間隔
68A、68B、70A、70B、118、180 切換装置(切換箇所)
72 トラクタ(車両)
74 駆動エンジン(内燃機関)
76 前車軸
78 後車軸
80A、80B 前車輪
82A、82B 後車輪
84 駆動軸(ねじり軸)
86 ギヤボックス
88 オプション・ギヤボックス
90 グループ・ギヤボックス
92 後車軸差動歯車装置(従来技術)
94 ブレーキ付最終駆動装置(従来技術)
96 ギヤボックス・インタフェース(従来技術)
98 駆動軸
100 運転席
102 ドライバ
104、104A、104B レッグ・ルーム
106 動力取出し軸ギヤボックス
108 動力取出し軸
110 軸線
112 地面
114 縦軸線(後車軸)
116A、116B フレーム部分
120 出力軸(中空軸)
122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、174、176、178、182、184、186、188、190、192、194 歯車
144 軸受箇所
172 駆動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機が、それ自身で機能性を有する少なくとも1つのメイン変速機ユニット(12)を備え、この場合、
前記メイン変速機ユニット(12)はギヤボックスおよび/またはグループ・ギヤボックスを有し、
前記メイン変速機ユニット(12)にオプション変速機モジュール(14)が適合可能であり、および
前記オプション変速機モジュール(14)により変速機(10)の機能性が拡張可能である、車両(72)特に農業用または工業用実用車の少なくとも1つの駆動車軸(78、76)に駆動エンジン(74)から発生されたトルクを伝達するための変速機において、
前記メイン変速機ユニット(12)および前記オプション変速機モジュール(14)は、前記オプション変速機モジュール(14)が前記メイン変速機ユニット(12)に適合されているときにおいても、変速機(10)のために設けられている構造空間が本質的に不変であるように形成されていることを特徴とする変速機。
【請求項2】
前記オプション変速機モジュール(14)は少なくとも1つのオプション・ユニットを有し、この場合、オプション・ユニットは、少なくとも1つのクラッチ・ユニット(16)および/または1つの後退ギヤ・ユニット(22)および/または1つのクローリング・ギヤ・ユニット(18)および/または1つの二段変速機ユニット(ハイ/ロー)(20)の形に形成されていてもよいことを特徴とする請求項1に記載の変速機。
【請求項3】
前記二段変速機ユニット(ハイ/ロー)(20)は、特に負荷がかかっているときに、はめあい結合または摩擦結合によって切換可能なように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の変速機。
【請求項4】
前記オプション変速機モジュール(14)はベース・ハウジング部分(24)を有し、前記ベース・ハウジング部分(24)に、少なくとも1つのオプション・ユニット特にクラッチ・ユニット(16)が適合可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の変速機。
【請求項5】
前記オプション変速機モジュール(14)のベース・ハウジング部分(24)が少なくとも1つの位置決め手段(26、30)を有すること、
前記メイン変速機ユニット(12)および/またはギヤボックス・ハウジング(11)に、前記位置決め手段(26、30)に対して本質的に相補に形成された他の位置決め手段(28、32)が設けられていること、
前記位置決め手段(26、30)および前記他の位置決め手段(28、32)は、前記位置決め手段(26、28、30、32)が相互に当接しているとき、前記オプション変速機モジュール(14)が、その空間的位置に関して、および/またはメイン変速機ユニット(12)に対する相対的方向に関して位置決め可能なように配置されていること、および
前記位置決め手段(26)が、好ましくは少なくとも1つの植込みボルト、少なくとも1つの当接面(30、32)および/または少なくとも1つの縁を有すること、を特徴とする請求項4に記載の変速機。
【請求項6】
前記オプション変速機モジュール(14)の1つのオプション・ユニットがハウジング部分(24、40、42、44)を有すること、
前記ハウジング部分(24、40、42、44)が少なくとも1つの軸を回転可能に支持すること、
前記ハウジング部分(24、40、42、44)が軸受ブラケットを有していてもよいこと、
前記ハウジング部分(24、40、42、44)が、前記メイン変速機ユニット(12)のハウジング壁および/またはハウジング・カバーにギヤ油接続口(38)を形成してもよいこと、および
前記ハウジング部分(24、40、42、44)が、それを介して油圧式切換要素を操作可能な通路を有してもよいこと、を特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の変速機。
【請求項7】
前記オプション変速機モジュール(14)の異なるオプションが、前記ハウジング部分(24、40、42、44)ないしは軸受ブラケットと共に複数のオプション・ユニットがモジュラ型に付加されて適合されることにより、好ましくは、前記ハウジング部分(24、40、42、44)が相互に装着されることにより提供可能であり、これにより、特に前記オプション変速機モジュール(14)の機能性が拡張可能であり、および/または個々のオプション・ユニットのギヤボックス軸が相互にほぼ同軸または平行に配置されていることにより提供可能であることを特徴とする請求項6に記載の変速機。
【請求項8】
前記メイン変速機ユニット(12)を受け入れる、1つの部分または複数の部分からなるギヤボックス・ハウジング(11)であり、この場合、
前記ギヤボックス・ハウジング(11)は、前記オプション変速機モジュール(14)が少なくともそのまま前記ギヤボックス・ハウジング(11)内に装着可能であり、および
前記オプション変速機モジュール(14)と前記メイン変速機ユニット(12)との間にトルク流れが間接的または直接的に形成可能である、前記ギヤボックス・ハウジング(11)を特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の変速機。
【請求項9】
前記ギヤボックス・ハウジング(11)内または前記ギヤボックス・ハウジング(11)に、ギヤ油用ポンプ駆動装置、後車軸差動歯車装置(46)、機械式個別車軸駆動装置用インタフェース(48)および/または中間軸差動歯車装置が適合可能であることを特徴とする請求項8に記載の変速機。
【請求項10】
前記オプション変速機モジュール(14)がそれ自身で独立のギヤボックスまたはそれ自身で機能性を有するギヤボックスの形で形成され、前記オプション変速機モジュール(14)は、例えば固有のオイル・ポンプと、および/または例えば油圧式切換要素により前記オプション変速機モジュール(14)のクラッチを操作するための少なくとも1つの固有の操作装置とを有すること、および
前記オプション変速機モジュール(14)は大部分を閉鎖するオプション変速機モジュール・ハウジングを有していてもよいこと、を特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の変速機。
【請求項11】
前記オプション変速機モジュール(14)は軸/ハブ結合(50)により前記メイン変速機ユニット(12)に好ましくは着脱可能に適合可能であり、この場合、前記軸/ハブ結合(50)ははめあい結合または摩擦結合によってトルク伝達可能に形成されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の変速機。
【請求項12】
前記オプション変速機モジュール(14)は着脱可能に前記メイン変速機ユニット(12)内または前記メイン変速機ユニット(12)に適合可能であること、および
前記オプション変速機モジュール(14)はあとで前記メイン変速機ユニット(12)から切離し可能であること、を特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の変速機。
【請求項13】
前記メイン変速機ユニット(12)が三軸ギヤボックスとして形成されていること、および
3つのギヤボックス軸(52、54、56)は相互にほぼ平行に前記メイン変速機ユニット(12)内に配置されていること、を特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の変速機。
【請求項14】
前記メイン変速機ユニット(12)が、好ましくは中空軸の形に形成された入力軸(52)と、中間軸(54)と、および出力軸(56)とを有することを特徴とする請求項13に記載の変速機。
【請求項15】
前記メイン変速機ユニット(12)が車両(72)内に組み込まれている状態において、前記出力軸(56)の位置が前記入力軸(52)の位置に対して水平方向におよび場合により垂直方向にもオフセットされて配置されているような形態を特徴とする請求項13または14に記載の変速機。
【請求項16】
前記メイン変速機ユニット(12)が車両(72)内に組み込まれている状態において、前記中間軸(54)の位置が前記出力軸(56)の位置および/または前記入力軸(52)の位置に対して垂直方向にオフセットされて配置されているような形態を特徴とする請求項13ないし15のいずれかに記載の変速機。
【請求項17】
前記メイン変速機ユニット(12)が車両(72)内に組み込まれている状態において、前記中間軸(54)の位置が前記入力軸(52)の位置および/または前記出力軸(56)の位置に対して水平方向にオフセットされて配置されているような形態を特徴とする請求項13ないし16のいずれかに記載の変速機。
【請求項18】
前記入力軸(52)および/または前記出力軸(56)がそれぞれ少なくとも1つの切換装置(68A、68B、70A、70B)を有すること、および
切換装置(68A、68B、70A、70B)は、好ましくははめあい結合により同期化されるか、または非同期化されて切換可能であること、を特徴とする請求項13ないし17のいずれかに記載の変速機。
【請求項19】
設けられている切換装置(68A、68B、70A、70B)の切換状態に応じて、入力軸(52)から中間軸(54)を介して出力軸(56)へのトルク流れまたは入力軸(52)から直接出力軸(56)へのトルク流れが形成可能であること、を特徴とする請求項13ないし18のいずれかに記載の変速機。
【請求項20】
異なる特性の変速機(10)に対するメイン変速機ユニット(12)の個々のギヤボックス軸(52、54、56)の異なる装備において、対応切換装置(68A、68B、70A、70B)はそれぞれ同じ位置に配置されていること、および/または
ギヤボックス軸(52、54、56)の少なくとも1つの軸受箇所(144)は、異なる特性の変速機(10)に対するメイン変速機ユニット(12)の異なる装備においても、それぞれ同じ位置に配置されていること、を特徴とする請求項1ないし19のいずれかに記載の変速機。
【請求項21】
前記入力軸(52)が、ギヤボックスのための歯車および少なくとも1つの切換装置(68A、68B)を有すること、および
前記出力軸(56)が、グループ・ギヤボックスのための歯車および少なくとも1つの切換装置(70A、70B)を有すること、を特徴とする請求項19または20に記載の変速機。
【請求項22】
3つのギヤボックス軸(52、54、56)の間の全ての軸間隔がそれぞれほぼ同じ値を有すること、または
前記3つのギヤボックス軸(52、54、56)の間の少なくとも2つの軸間隔、好ましくは3つ全ての軸間隔がそれぞれ異なる値を有すること、を特徴とする請求項13ないし21のいずれかに記載の変速機。
【請求項23】
前記メイン変速機ユニット(12)が前記オプション変速機モジュール(14)を装着するために利用されるハウジング開口(34)を有すること、
前記装着のために前記オプション変速機モジュール(14)が前記ハウジング開口(34)内に挿入可能であること、および
前記オプション変速機モジュール(14)の装着に協働する前記ハウジング開口(34)は、好ましくは、前記オプション変速機モジュール(14)が前記ハウジング開口(34)内に挿入された状態ののちに、前記メイン変速機ユニット(12)と前記オプション変速機モジュール(14)との間に軸/ハブ結合(50)を形成するために、前記オプション変速機モジュール(14)が前記メイン変速機ユニット(12)に対して相対的に少なくとも一方向に移動可能なように形成されていること、を特徴とする請求項1ないし22のいずれかに記載の変速機。
【請求項24】
前記メイン変速機ユニット(12)が空間的に車両(72)の駆動車軸(78)の周囲/近辺に配置されていること、および
場合により適合されているオプション変速機モジュール(14)と共に前記メイン変速機ユニット(12)から被駆動装置側に供給されたトルクの少なくとも一部により、前記駆動車軸(78)が駆動可能であること、を特徴とする請求項1ないし23のいずれかに記載の変速機。
【請求項25】
車両(72)の前記駆動車軸(78)の縦軸線(114)に関して、前記メイン変速機ユニット(12)および/または前記オプション変速機モジュール(14)は空間的に車軸差動歯車装置(46)の後方に配置されているが、必ずしも前記車軸差動歯車装置(46)と直接のトルク流れ内に存在する必要はないことを特徴とする請求項24に記載の変速機。
【請求項26】
前記メイン変速機ユニット(12)は、場合により設けられているオプション変速機モジュール(14)と共に、前記メイン変速機ユニット(12)が車両(72)内に組み込まれた状態において、前記オプション変速機モジュール(14)が空間的に前記車軸差動歯車装置(46)に隣接して配置されているように形成されていること、および
好ましくは、前記オプション変速機モジュール(14)が前記車軸差動歯車装置(46)と直接のトルク流れ内に存在していないこと、を特徴とする請求項1ないし25のいずれかに記載の変速機。
【請求項27】
駆動エンジン(74)から前記メイン変速機ユニット(12)を介して車両(72)の駆動車軸(78、76)へのトルク流れが形成可能であること、および
好ましくは、前記駆動エンジン(74)から前記オプション変速機モジュール(14)および前記メイン変速機ユニット(12)を介して車両(72)の駆動車軸(78、76)へのトルク流れがこの順序で形成可能であること、を特徴とする請求項1ないし26のいずれかに記載の変速機。
【請求項28】
前記メイン変速機ユニット(12)の後方に車軸差動歯車装置(46)が配置され、前記車軸差動歯車装置(46)により、前記メイン変速機ユニット(12)から供給された出力即ちトルクまたは回転速度の少なくとも一部が対応駆動車軸(78)の駆動車輪(82A、82B)に伝達可能であることを特徴とする請求項1ないし27のいずれかに記載の変速機。
【請求項29】
ギヤボックス・インタフェース(96)が設けられ、前記ギヤボックス・インタフェース(96)を介して、前記メイン変速機ユニット(12)から供給された出力の少なくとも一部が他の駆動軸(98)により車両(72)の他の駆動車軸(76)に伝達可能であり、この場合、前記他の駆動車軸(76)も同様に車軸差動歯車装置を有していてもよいことを特徴とする請求項1ないし28のいずれかに記載の変速機。
【請求項30】
前記ギヤボックス・インタフェース(48、96)は、前記駆動車軸(78)および前記他の駆動車軸(76)に供給可能なトルクの比が可変であるように運転可能であり、および/またはそのように形成されていること、および
好ましくは両方の駆動車軸(78、76)に伝達されるトルクがほぼ60:40の比を有すること、を特徴とする請求項29に記載の変速機。
【請求項31】
前記メイン変速機ユニット(12)が、機械トルクを、前記メイン変速機ユニット(12)および/またはオプション変速機モジュール(14)および/または駆動エンジン(74)から、車両(72)に適合可能な作業装置に伝達するために、他の機械式インタフェース特に動力取出し軸(108)を有することを特徴とする請求項1ないし30のいずれかに記載の変速機。
【請求項32】
前記メイン変速機ユニット(12)または前記オプション変速機モジュール(14)がねじり軸(84)を介して駆動エンジン(74)と結合可能であり、前記ねじり軸(84)は、その寸法に関して、ないしはその特性に関して、好ましくは、変速機(10)全体の少なくとも1つの固有振動数特に一次または最低次の固有振動数が、利用可能な回転速度域の固有振動数範囲内に存在しないように形成されていることを特徴とする請求項1ないし31のいずれかに記載の変速機。
【請求項33】
前記メイン変速機ユニット(12)または前記オプション変速機モジュール(14)は前記駆動エンジン(74)と駆動軸を介して結合可能であり、この場合、前記メイン変速機ユニット(12)と前記駆動エンジン(74)との間に好ましくはねじり要素が設けられていることを特徴とする請求項1ないし32のいずれかに記載の変速機。
【請求項34】
前記ねじり軸(84)または駆動軸を介しての、前記駆動エンジン(74)と前記メイン変速機ユニット(12)との間のトルク流れが、前記オプション変速機モジュール(14)のクラッチ・ユニット(16)により形成可能であることを特徴とする請求項32または33に記載の変速機。
【請求項35】
前記メイン変速機ユニット(12)のギヤボックスまたはグループ・ギヤボックスが負荷時切換ギヤボックスとして形成されていることを特徴とする請求項1ないし34のいずれかに記載の変速機。
【請求項36】
請求項1ないし35のいずれかに記載のオプション変速機モジュール(14)が前記メイン変速機ユニット(12)に適合可能であるような形態を特徴とする農業用または工業用実用車のためのメイン変速機ユニット。
【請求項37】
前記オプション変速機モジュール(14)が、請求項1ないし35のいずれかに記載のメイン変速機ユニット(12)に適合可能であるような形態を特徴とするオプション変速機モジュール。
【請求項38】
変速機製造モデルが請求項1ないし35のいずれかに記載の異なる形態に形成された変速機から形成されている、農業用または工業用実用車特にトラクタ(72)のための変速機製造モデルにおいて、
異なる変速機(10)は、メイン変速機ユニット(12)に異なるオプション変速機モジュール(14)が適合されることにより形成可能であること、および/または
異なる変速機(10)は、前記メイン変速機ユニット(12)が異なる形態に形成可能であることにより形成可能であること、を特徴とする変速機製造モデル。
【請求項39】
前記メイン変速機ユニット(12)は、前記入力軸(52)、前記中間軸(54)および/または前記出力軸(56)が異なる歯車を装備可能であることにより異なる形態に形成可能であること、および
前記メイン変速機ユニット(12)の個々のギヤボックス軸(52、54、56)の異なる装備において、対応切換装置(68A、68B、70A、70B)がそれぞれ好ましくは同じ位置に配置されていること、を特徴とする請求項38に記載の変速機製造モデル。
【請求項40】
異なる形態に形成されたメイン変速機ユニット(12)において、前記メイン変速機ユニット(12)のギヤボックス軸(52、54、56)の異なる装備においても、ギヤボックス軸(52、54、56)の軸受箇所がそれぞれ同じ位置に配置されていることを特徴とする請求項38または39に記載の変速機製造モデル。
【請求項41】
異なるメイン変速機ユニット(12)間において、入力軸(52)と中間軸(54)との間の軸間隔(62)並びに中間軸(54)と出力軸(56)との間の軸間隔(64)が変化されることにより、異なる変速機出力クラスが形成可能であり、この場合、一方の入力軸(52)と中間軸(54)との間、他方の中間軸(54)と出力軸(56)との間の両方の軸間隔(62、64)の比がほぼ一定のままであることを特徴とする請求項38ないし40のいずれかに記載の変速機製造モデル。
【請求項42】
請求項1ないし35のいずれかに記載の変速機(10)を特徴とする農業用または工業用実用車特にトラクタ(72)。
【請求項43】
前記オプション変速機モジュール(14)が前記メイン変速機ユニット(12)のギヤボックス・ハウジング(11)のハウジング開口(34)内に挿入されることにより、前記オプション変速機モジュール(14)が変速機(10)の前記メイン変速機ユニット(12)に装着されること、
前記オプション変速機モジュール(14)と前記メイン変速機ユニット(12)との間に軸/ハブ結合(50)が形成されるように、前記オプション変速機モジュール(14)が少なくとも1つの方向に沿って移動されること、および
前記オプション変速機モジュール(14)が、前記メイン変速機ユニット(12)に、好ましくは前記メイン変速機ユニット(12)のハウジング(11)に固定されること、を特徴とする請求項1ないし35のいずれかに記載の変速機の製造方法。
【請求項44】
それぞれ1つのオプション・ユニット(18、20、22)が、そのベース・ハウジング部分(40、42、44)を用いて、他のオプション・ユニット(16、18、20、22)のベース・ハウジング部分(24)に固定されることにより、複数のオプション・ユニット(16、18、20、22)がオプション変速機モジュール(14)に組み立てられることを特徴とする請求項43に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図8a】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−516956(P2010−516956A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545923(P2009−545923)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050485
【国際公開番号】WO2008/087176
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(591005165)ディーア・アンド・カンパニー (109)
【氏名又は名称原語表記】DEERE AND COMPANY
【Fターム(参考)】