説明

変速機

【課題】変速機の外形寸法の小型化・軽量化を図ると共に、後進段設定用の同期装置のスプライン歯に発生するバリを効果的に除去できるようにする。
【解決手段】後進段歯車列15用の同期装置30を備えた変速機1において、当該同期装置30は、従来のシンクロナイザリングに相当する部品を省略したことで、径方向寸法の小型化及び軽量化を実現している。また、ニュートラル状態でのスリーブ23のスプライン歯24におけるギヤドグ25側の先端部28が、ハブ21のスプライン歯22におけるギヤドグ25側の先端部26に対してオフセットするように設定したことで、インギヤ状態からニュートラル状態への移行時に、スリーブ23のスプライン歯24の先端部28をハブ21のスプライン歯22に摺接させて、スプライン歯24に発生するバリを切り落として除去できるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される変速機に関し、詳細には、後進段設定用の同期装置を備えたマニュアルトランスミッションなどの変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマニュアルトランスミッションなどの変速機では、後進段を設定するには、後進段設定用のリバースギヤ及び該リバースギヤを支持するリバース軸を用いて、入力軸から入力した前進回転を逆転させることで、出力軸に対して逆向きの回転を出力するように構成している。このような後進段を設定する機構の従来技術として、特許文献1に示すいわゆる選択摺動式の後進段設定機構と、特許文献2に示すいわゆる常時噛合式の後進段設定機構とがある。
【0003】
特許文献1に示す選択摺動式の後進段設定機構は、入力軸上に設けた後進用入力ギヤと、出力軸上に設けた後進用出力ギヤと、リバース軸上に設けた後進用中間ギヤ(アイドルギヤ)とで構成された後進ギヤ列を備えている。そして、後進用中間ギヤをリバース軸の軸方向に移動させることで、後進用中間ギヤを後進用入力ギヤ及び後進用出力ギヤと噛合させるようになっている。これにより、入力軸の動力が後進ギヤ列を介して出力軸に伝達され、後進段設定状態となる。
【0004】
このような選択摺動式の後進段設定機構では、入力軸上に設けた1−2速同期装置が備えるスリーブの外周面に後進用出力ギヤを形成している。すなわち、1−2速同期装置のスリーブと後進用出力ギヤとを共用している。しかしながら、この構成では、後進用出力ギヤを設けていることで、1−2速同期装置のスリーブの軸方向寸法が長くなる。これにより、変速機の軸方向の全長が大きくなるという課題がある。また、1−2速同期装置のスリーブに一体形成した後進用出力ギヤには、ねじれ角を付けることができない。そのため、ギヤの噛合音が大きくなる。また、後進段へのインギヤ時の騒音も大きくなることが懸念される。
【0005】
一方、特許文献2に示す常時噛合式の後進段設定機構は、入力軸に固設された後進用入力歯車に噛合する第1アイドル歯車と、出力軸に固設された後進用出力歯車に噛合する第2アイドル歯車と、これら第1アイドル歯車と第2アイドル歯車とを回転可能に支持するリバース軸とを備えると共に、第1アイドル歯車と第2アイドル歯車との間をリバース軸に沿って軸方向に摺動するスリーブを有する同期装置を備えている。
【0006】
上記構成の常時噛合式の後進段設定機構では、後進段を設定するための後進用出力歯車が、出力軸(カウンタシャフト)上に設置されている。これにより、特許文献1に示す選択摺動式の後進段設定機構と比較して、入力軸上の1−2速同期装置が有するスリーブの軸方向の長さ寸法を短く抑えることができる。したがって、変速機の全長の短縮化が可能である。また、1−2速同期装置のスリーブと後進用出力歯車を別部品として設けたことで、後進用出力ギヤの歯面に捩れ角を付けることができる。したがって、ギヤの噛合音を低減でき、後進段へのインギヤ時の騒音も抑制することができる。
【0007】
ところで、特許文献2に示す常時噛合式の後進段設定機構が備える同期装置には、スリーブによって第1アイドル歯車と第2アイドル歯車を同期させる際にそれらの差回転を吸収するためのシンクロナイザリング(シンクロメッシュ機構)が設けられている。このシンクロナイザリングは、第1アイドル歯車側と第2アイドル歯車側の差回転を効果的に吸収するために、その径寸法を所定以上の寸法に設定する必要がある。ところが、このことによって、入力軸に対するリバース軸の設置間隔が大きくなり、変速機の外形寸法の大型化や重量増につながるという問題がある。また、入力軸とリバース軸の軸間隔が大きくなることで、入力軸上の慣性力(イナーシャ)が増大する。これにより、入力軸上に配設した前進変速段設定用の同期装置などの径寸法増加にもつながる。
【0008】
また、特許文献2に示すような同期装置を備えた後進段設定機構では、後進段の切替時には、スリーブに設けたスプライン歯の軸方向の先端部がシンクロナイザリング(ブロッキングリング)の隙間及び第2アイドル歯車のドグ歯の隙間に対して軸方向に進退移動するようになっているが、この場合、スリーブのスプライン歯にバリが発生することがある。しかしながら、従来の同期装置では、このようなバリが発生した場合、当該バリを効果的に除去する手段が無かった。そのため、当該バリの発生によって、後進段設定時のスムーズな変速動作が阻害されたり、後進段へのインギヤ時に騒音が発生したりする要因になるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−294138号公報
【特許文献2】実公平6−6318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、外形寸法の小型化・軽量化を図ることができると共に、後進段設定用の同期装置のスプライン歯に発生するバリを効果的に除去できる変速機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明は、入力軸(10)と、該入力軸(10)と平行に配置した出力軸(12)及びリバース軸(14)と、入力軸(10)に固設された後進用入力歯車(16)と、出力軸(12)に固設された後進用出力歯車(17)と、リバース軸(14)上に設置されて後進用入力歯車(16)に噛合する第1アイドル歯車(18)と、リバース軸(14)上に設置されて後進用出力歯車(17)に噛合すると共に第1アイドル歯車(18)に結合可能な第2アイドル歯車(19)とを備える後進段歯車列(15)と、第2アイドル歯車(19)を第1アイドル歯車に(18)同期結合させるための同期装置(30)と、を備えた変速機(1)において、同期装置(30)は、第1アイドル歯車(18)と第2アイドル歯車(19)のいずれか一方に設けたハブ(21)と、第1アイドル歯車(18)と第2アイドル歯車(19)の他方に設けたギヤドグ(25)と、ハブ(21)とギヤドグ(25)との間でリバース軸(14)の軸方向に摺動可能に設置したスリーブ(23)と、ハブ(21)に形成された第1スプライン(22)と、スリーブ(23)に形成されて第1スプライン(22)に噛合する第2スプライン(24)と、を備え、スリーブ(23)の第2スプライン(24)がハブ(21)の第1スプライン(22)にのみ噛合し、第1アイドル歯車(18)と第2アイドル歯車(19)が相対回転可能となる第1ポジションと、スリーブ(23)の第2スプライン(24)がハブ(21)の第1スプライン(22)とギヤドグ(25)との双方に噛合し、第1アイドル歯車(18)と第2アイドル歯車(19)が相対回転不能となる第2ポジションとを切替可能であって、第1ポジションにおいて、第2スプライン(24)におけるギヤドグ(25)側の先端部(28)に設けたチャンファ面(24a)と第1スプライン(22)に摺動する側面(24b)とが交差する交差部(24c)が、第1スプライン(22)のギヤドグ(25)側の先端部(26)よりも軸方向で後退した位置にあることを特徴とする。
【0012】
本発明にかかる変速機の同期装置は、第1アイドル歯車もしくは第2アイドル歯車のいずれか一方に設けたハブと、第1アイドル歯車もしくは第2アイドル歯車の他方に設けたギヤドグと、ハブとギヤドグとの間でリバース軸の軸方向に摺動可能に設置したスリーブと、ハブに形成された第1スプライン(ハブスプライン)と、スリーブに形成されて第1スプラインに噛合する第2スプライン(スリーブスプライン)と、を備え、スリーブの第2スプラインがハブの第1スプラインにのみ噛合し、第1アイドル歯車と第2アイドル歯車が相対回転可能となる第1ポジション(ニュートラル状態)と、スリーブの第2スプラインがハブの第1スプラインとギヤドグとの双方に噛合し、第1アイドル歯車と第2アイドル歯車が相対回転不能となる第2ポジション(インギヤ状態)とを切替可能である。すなわち、この変速機の同期装置は、従来の変速機が備える常時噛合式の後進段設定機構の同期装置(特許文献2)と比較して、リバース軸上に設置したシンクロナイザリングを有するシンクロメッシュ機構を省略している。したがって、ハブに形成した第1スプラインは、スリーブに形成した第2スプラインにのみ噛合する第1ポジションから、シンクロナイザリングに相当する中間の部品との噛合を経ることなく、スリーブに形成した第2スプラインとギヤドグとの双方に噛合する第2ポジションへ直接的に移行する。このようにシンクロメッシュ機構を省いた構成によって、後進段設定機構及びその同期装置の径寸法を小さく抑えることができるので、入力軸に対するリバース軸の軸間寸法の短縮化を図ることができる。したがって、変速機の外形寸法の小型化・軽量化が可能となる。また、後進段設定機構及びその同期装置の径寸法を小さく抑えることで、入力軸上のイナーシャを軽減できるので、入力軸上に設置した他の変速機構が有する同期装置などの小型化、軽量化が可能となる。
【0013】
また、本発明にかかる変速機では、第1ポジションでの第2スプライン(スリーブスプライン)のギヤドグ側の先端部に設けたチャンファ面と第1スプラインに摺動する側面とが交差する交差部が、第1スプライン(ハブスプライン)のギヤドグ側の先端部よりも軸方向で後退した位置にある。したがって、第2ポジションから第1ポジションに移行する際に、スリーブの第1スプラインにおける上記の交差部をハブの第2スプラインに摺接させることで、当該摺接によって、スリーブの第1スプラインに発生するバリや傷などを除去することが可能となる。したがって、バリや傷の発生に起因して、後進段設定時のスムーズな変速動作が阻害されたり、後進段へのインギヤ時に騒音が発生したりすることを効果的に回避できる。
【0014】
また、本発明にかかる変速機では、第1スプライン(22)のギヤドグ(25)側の先端部(26)には、チャンファ加工が施されておらず、第2スプライン(24)のギヤドグ(25)側の先端部(28)にのみチャンファ加工が施されているとよい。このように、第1スプラインにはチャンファ加工を施さず、第2スプラインにのみチャンファ加工を施すことで、チャンファ加工の箇所を少なく抑えることができるので、各部品の加工に要する手間及び費用を削減することが可能となる。また、チャンファ加工を施さない第1スプラインの端部を第2スプラインに摺接させることで、第2スプラインに発生するバリをより効果的に除去することが可能となる。
【0015】
また、上記構成の変速機では、後進変速段を確立させるためのシフト操作に連動して入力軸(10)を一時的に制動する入力軸制動機構(70)をさらに備えるとよい。このような入力軸制動機構(70)は、シフト操作に応じた軸周りの回動を可能としたシフトシャフト(71)と、シフトシャフト(71)の軸線周りの回動を不能として装着されたインターロックプレート(85)と、インターロックプレート(85)の内側に配置されてシフトシャフト(71)に固定されたシフトアーム(81)と該シフトアーム(81)に連動する連動アーム(75)と、を備え、後進変速段を確立させるためのシフト操作に伴うシフトシャフト(71)の回動に連動して、連動アーム(75)が所定の前進変速段用シフトピース(77)を所定量駆動することで、入力軸(10)を一時的に制動するように構成するとよい。
【0016】
本発明にかかる変速機は、上記のような入力軸制動機構をさらに備えていれば、後進段へのシフトを行うタイミングに合わせて、所定の前進変速段用の同期装置を介して入力軸を制動することができる。これにより、入力軸に固設した後進用入力歯車側と出力軸に固設した後進用出力歯車側との差回転を無くし、その状態で後進段へのインギヤを行うようにすることが可能となる。したがって、後進段の設定時にギヤの噛み込みで発生するノイズを効果的に低減させることができる。
【0017】
また、この構成によれば、リバース軸上にシンクロメッシュ機構(シンクロナイザリング)を設けずに、後進段の設定時に前進変速段用のシンクロメッシュ機構を共用するように構成しているため、後進段を設定する際のシフト荷重を低減することが可能である。また、上記の入力軸制動機構で入力軸の回転を抑制することにより、後進段を設定する際、同期に要する時間を短縮することが可能となる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる変速機によれば、従来構成と比較して、シンクロメッシュ機構を省略したことで、変速機の外形寸法の小型化・軽量化を図ることができると共に、後進段設定用の同期装置の第1スプラインと第2スプラインの配置構成を改良したことで、スプライン歯に発生するバリを効果的に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態にかかる変速機の全体構成例を示す主断面図である。
【図2】変速機が備える後進段設定機構の詳細構成を示す図であり、図1のA部分の部分拡大図である。
【図3】(a)は、後進段設定機構が有する同期装置の詳細構成を示す部分拡大図、(b)は、(a)のX−X矢視断面を示す図である。
【図4】同期装置の動作を説明するための図で、スリーブがハブ側に位置し、第1アイドル歯車と第2アイドル歯車が相対回転可能となるニュートラル状態(第1ポジション)を示す図である。
【図5】同期装置の動作を説明するための図で、スリーブがギヤドグ側に位置し、第1アイドル歯車と第2アイドル歯車が相対回転不能となるインギヤ状態(第2ポジション)を示す図である。
【図6】変速機が有する入力軸制動機構に関連する部分を示す部分断面図である。
【図7】図6のZ矢視の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる変速機を示す主断面図である。同図に示す変速機1は、車両に搭載されるマニュアルトランスミッション(手動変速機)であって、エンジン(図示せず)からの駆動力を変速して駆動輪(図示せず)に伝達するように構成されている。この変速機1は、ケース(トランスミッションケース)1aに回転自在に支持された入力軸(メインシャフト)10及び出力軸(カウンタシャフト)12と、ケース1aに固定されたリバース軸(後進軸)14とを備えている。入力軸10と出力軸12及びリバース軸14は、所定間隔で互いに平行に配置されている。また、クランクシャフト11と変速機1との間には、クラッチ機構2が設けられている。クラッチ機構2のフライホイール3は、クランクシャフト11に連結されている。クラッチカバー4は、フライホイール3に固定されている。クラッチカバー4には、プレッシャプレート5が軸方向に移動可能に取り付けられている。また、クラッチカバー4には、ダイヤフラムスプリング6が取り付けられており、その外周端部がプレッシャプレート5を押圧するように付勢されている。フライホイール3とプレッシャプレート5の間には、クラッチディスク7が挟持されている。クラッチディスク7には、クランクシャフト11からの入力トルクの変動を吸収するためのコイルばね7aが設置されている。また、ダイヤフラムスプリング6には、レリーズベアリング8が軸方向に摺動可能に取り付けられている。
【0021】
変速機1内の入力軸10には、1速ドライブギヤ40及び2速ドライブギヤ41が固設されていると共に、3速ドライブギヤ42、4速ドライブギヤ43、5速ドライブギヤ44及び6速ドライブギヤ45が相対回転自在に支持されている。一方、出力軸12には、1速ドライブギヤ40及び2速ドライブギヤ41にそれぞれ噛合する1速ドリブンギヤ46及び2速ドリブンギヤ47が相対回転自在に支持されていると共に、3速ドライブギヤ42、4速ドライブギヤ43、5速ドライブギヤ44及び6速ドライブギヤ45にそれぞれ噛合する3速ドリブンギヤ48、4速ドリブンギヤ49、5速ドリブンギヤ50及び6速ドリブンギヤ51が固設されている。
【0022】
また、各変速ギヤ段の切り替えを行うための1−2速同期装置52,3−4速同期装置53,5−6速同期装置54が設けられている。1−2速同期装置52は、出力軸12上の1速ドリブンギヤ46と2速ドリブンギヤ47との間に設けられている。3−4速同期装置53は、入力軸10上の3速ドライブギヤ42と4速ドライブギヤ43との間に設けられている。5−6速同期装置54は、入力軸10上の5速ドライブギヤ44と6速ドライブギヤ45との間に設けられている。
【0023】
シフトチェンジ時を除いて、入力軸10の動力は、各同期装置52,53,54の操作によって、選択された変速ギヤ段を介して出力軸12に伝達される。そして、ファイナルドライブギヤ60及びファイナルドリブンギヤ61で構成される終減速機構で減速された後、デファレンシャル装置62に伝達される。これにより、左右の車軸に繋がるドライブシャフト63,64が前進方向に回転する。
【0024】
次に、変速機1が備える後進段設定機構20について説明する。図2は、後進段設定機構20の詳細構成を示す図であり、図1のA部分の部分拡大図である。また、図3(a)は、後進段確立用の同期装置30の詳細構成を示す部分拡大図であり、(b)は、(a)のX−X矢視を示す概略図である。これらの図に示すように、後進段設定機構20は、入力軸10上に固設された後進用入力歯車16と、出力軸12上に固設された後進用出力歯車17と、リバース軸14上に設置されて後進用入力歯車16に常時噛合する第1アイドル歯車18と、リバース軸14上に設置されて後進用出力歯車17に常時噛合する第2アイドル歯車19とからなる後進段歯車列15を備えている。また、後進段設定機構20は、第1アイドル歯車18と第2アイドル歯車19との間に配設された後進段確立用の同期装置30を備えている。
【0025】
入力軸10上に一体に設けた後進用入力歯車16は、出力軸12上に設けた1−2速同期装置52が備えるスリーブ59の外周側に対向して配置されている。また、出力軸12上に一体に設けた後進用出力歯車17は、出力軸12上に設けた1速ドリブンギヤ46の軸方向の一方に隣接して配置されている。
【0026】
後進段確立用の同期装置30は、第1アイドル歯車18に設けたハブ21と、第2アイドル歯車19に設けたギヤドグ25と、これらハブ21とギヤドグ25との間でリバース軸14の軸方向に沿って摺動可能に設置したスリーブ23と、ハブ21の外周面に形成したスプライン歯(第1スプライン)22と、スリーブ23の内周面に形成したスプライン歯(第2スプライン)24とを備えて構成されている。すなわち、第1アイドル歯車18には、第2アイドル歯車19側に延びる筒状のハブ21が一体に設けられており、当該ハブ21の外周面には、スプライン歯22が形成されている。また、第2アイドル歯車19には、第1アイドル歯車18側に延びる筒状部の外周面にギヤドグ(ドグ歯)25が一体に形成されている。スリーブ23のスプライン歯24は、ハブ21のスプライン歯22に常時噛合しており、かつ、軸方向に摺動することでギヤドグ25に対しても噛合可能となっている。
【0027】
また、第1アイドル歯車18とリバース軸14との間には、ラジアル軸受32が介装されており、第2アイドル歯車19とリバース軸14との間には、ラジアル軸受33が介装されている。また、第1アイドル歯車18と第2アイドル歯車19との軸方向の隙間には、スラスト軸受35,36が介装されている。
【0028】
そして、図3(b)に示すように、スリーブ23のスプライン歯24におけるギヤドグ25側の先端部(軸方向歯先)28は、先鋭の三角形状に加工(チャンファ加工)されており、当該先端部28には、チャンファ面24aが設けられている。そして、本実施形態では、スリーブ23のスプライン歯24におけるギヤドグ25側の先端部28に設けたチャンファ面24aと、第1スプライン22に摺動する側面24bあるいはその延長線(面)とが交差する部分を交差部24cとする。
【0029】
一方、ハブ21のスプライン歯22におけるギヤドグ25側の先端部(軸方向歯先)26には、チャンファ加工が施されておらず、当該先端部26は、軸方向に対して直交する平面状になっている。したがって、ハブ21のスプライン歯22の先端部26は、略四角柱形状になっており、その外周辺は、略直角の角部を成している。なお、ギヤドグ25の軸方向におけるハブ21及びスリーブ23側の先端面にも、該先端部を先鋭の三角形状に加工してなるチャンファ加工が施されている。
【0030】
図4及び図5は、同期装置30の動作を説明するための図で、図4は、スリーブ23がハブ21側に位置し、第1アイドル歯車18と第2アイドル歯車19が相対回転可能となるニュートラル状態(第1ポジション)を示す図であり、図5は、スリーブ23がギヤドグ25側に位置し、第1アイドル歯車18と第2アイドル歯車19が相対回転不能となるインギヤ状態(第2ポジション)を示す図である。
【0031】
図4に示すニュートラル状態では、スリーブ23のスプライン歯24がハブ21のスプライン歯22のみに噛合している。これにより、第1アイドル歯車18と第2アイドル歯車19は、相対回転可能な状態となっている。このニュートラル状態から、後進段へシフトする際には、図示しないシフトフォークによって、スリーブ23がハブ21側(第1アイドル歯車18側)からギヤドグ25側(第2アイドル歯車19側)へ移動する。このスリーブ23の移動により、図5に示すように、スリーブ23のスプライン歯24がハブ21のスプライン歯22とギヤドグ25との両方に噛合する。これにより、第1アイドル歯車18と第2アイドル歯車19が結合されて、リバース軸14の周りで一体回転するようになり、後進段が確立される。このように、本実施形態の同期装置30では、スリーブ23がハブ21側に位置し、第1アイドル歯車18と第2アイドル歯車19が相対回転可能となるニュートラル状態(第1ポジション)と、スリーブ23がギヤドグ25側に位置し、第1アイドル歯車18と第2アイドル歯車19が相対回転不能となるインギヤ状態(第2ポジション)とを切替可能である。
【0032】
そして、本実施形態の同期装置30では、図4(b)に示すように、第1ポジションでのスリーブ23のスプライン歯24における交差部24cは、ハブ21のスプライン歯22におけるギヤドグ25側の先端部26よりも軸方向で後退した位置になるように設定されている。これにより、後述するように、インギヤ状態とニュートラル状態との移行時に、スリーブ23のスプライン歯24の先端部28に設けた交差部24cあるいはその近傍に発生するバリや傷をハブ21のスプライン歯22との摺接によって除去することができる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態にかかる変速機1は、入力軸10に固設された後進用入力歯車16と、出力軸12に固設された後進用出力歯車17と、リバース軸14上に設置されて後進用入力歯車16に噛合する第1アイドル歯車18と、リバース軸14上に設置されて後進用出力歯車17に噛合すると共に第1アイドル歯車18に結合可能な第2アイドル歯車19とを備える後進段歯車列15と、第2アイドル歯車19を第1アイドル歯車18に同期結合させるための同期装置30とを備えている。
【0034】
そして、上記の同期装置30は、第1アイドル歯車18に設けたハブ21と、第2アイドル歯車19に設けたギヤドグ25と、これらハブ21とギヤドグ25との間でリバース軸14の軸方向に摺動可能に設置したスリーブ23と、ハブ21の外周面に形成したスプライン歯(第1スプライン)22と、スリーブ23の内周面に形成されてハブ21のスプライン歯22に噛合するスプライン歯(第2スプライン)24とで構成されている。そして、スリーブ23のスプライン歯24がハブ21のスプライン歯22にのみ噛合し、第1アイドル歯車18と第2アイドル歯車19が相対回転可能となるニュートラル状態(第1ポジション)と、スリーブ23のスプライン歯24がハブ21のスプライン歯22とギヤドグ25との双方に噛合し、第1アイドル歯車18と第2アイドル歯車19が相対回転不能となるインギヤ状態(第2ポジション)とを切替可能である。
【0035】
すなわち、本実施形態の同期装置30は、特許文献2に示す従来の常時噛合式の後進段設定機構が備える同期装置と比較して、リバース軸14上に設置したシンクロナイザリングを有するシンクロメッシュ機構を省略している。したがって、スリーブ23のスプライン歯24は、ハブ21のスプライン歯22にのみ噛合する第1ポジションから、従来のシンクロナイザリングに相当する中間の部品との噛合を経ることなく、ハブ21のスプライン歯22とギヤドグ25との双方に噛合する第2ポジションへ直接的に移行するようになっている。
【0036】
このようにシンクロメッシュ機構を省いた構成によって、後進段設定機構20及びその同期装置30の径寸法を小さく抑えることができるので、入力軸10に対するリバース軸14の軸間寸法の短縮化を図ることができる。したがって、変速機1の外形寸法の小型化・軽量化が可能となる。また、後進段設定機構20及びその同期装置30の径寸法を小さく抑えることで、入力軸10上のイナーシャを軽減できるので、入力軸10上に設置した他の変速機構が有する同期装置などの小型化、軽量化が可能となる。
【0037】
また、本発明にかかる変速機1では、第1ポジションでのスリーブ23のスプライン歯24におけるギヤドグ25側の先端部28に設けた交差部24cは、ハブ21のスプライン歯22におけるギヤドグ25側の先端部26よりも軸方向で後退(オフセット)した位置になるように設定されている。したがって、図5に示すインギヤ状態と図4に示すニュートラル状態との間を移行する際に、スリーブ23のスプライン歯24の交差部24cをハブ21のスプライン歯22に摺接させることで、当該摺接によって、スリーブ23のスプライン歯24の交差部24cあるいはその近傍に発生するバリや傷などを除去することが可能となる。したがって、バリや傷の発生に起因して、後進段設定時のスムーズな変速動作が阻害されたり、後進段へのインギヤ時に騒音が発生したりすることを効果的に回避できる。
【0038】
また、本発明にかかる変速機1では、ハブ21のスプライン歯22におけるギヤドグ25側の先端部26には、チャンファ加工が施されておらず、スリーブ23のスプライン歯24におけるギヤドグ25側の先端部28にのみチャンファ加工が施されている。このように、ハブ21のスプライン歯22にはチャンファ加工を施さず、スリーブ23のスプライン歯24にのみチャンファ加工を施すことで、チャンファ加工の箇所を少なく抑えることができ、部品の加工に要する手間及び費用を削減することが可能となる。また、チャンファ加工を施さないハブ21のスプライン歯22の先端部26は、その外周が略直角の角部になっている。したがって、当該角部をスリーブ23のスプライン歯24の交差部24cに摺接させることで、スリーブ23のスプライン歯24に発生するバリをより効果的に除去することが可能となる。
【0039】
また、上記の変速機1では、インギヤ状態からニュートラル状態に移行する際、スリーブ23のスプライン歯24の先端部28(交差部24c)が、両側に配置されたハブ21のスプライン歯22に摺接しながら当該両側のスプライン歯22の間にオフセットするようになっている。この構成によれば、スリーブ23のスプライン歯24の先端部28にバリなどが発生した場合でも、インギヤ状態からニュートラル状態へ移行する際に、ハブ21のスプライン歯22の先端部26にて、当該バリなどを効果的に切り落とすことが可能となる。
【0040】
ところで、本実施形態の同期装置30を備えた後進段設定機構20は、従来のシンクロナイザ機構を省略していることで、単独の構成では、後進段の設定時に第1アイドル歯車18側と第2アイドル歯車19側との差回転を十分に減らすことができず、インギヤに伴う噛合音などの騒音を十分に低減できない可能性がある。そこで、上記の同期装置30を備えた後進段設定機構20は、後進段へのインギヤ時に入力軸10の慣性回転を制御するための入力軸制動機構(いわゆるメインシャフトブレーキシステム)と併用することが望ましい。以下、この入力軸制動機構の構成及び動作について説明する。
【0041】
図6及び図7は、入力軸制動機構70を説明するための図で、図6は、図1に示す変速機1が有する入力軸制動機構70に関連する部分を示す部分断面図、図7は、図6のZ矢視の概略図である。これらの図に示すように、入力軸制動機構70は、変速段設定用のシフトシャフト71に取り付けた連動アーム75を備えている。この入力軸制動機構70は、後進段へのシフト時、シフトシャフト71の回動に伴い、連動アーム75が3−4シフトピース77に接触してこれを動かすことで、3−4速同期装置53(図1参照)を介して入力軸10を制動するように構成されている。
【0042】
シフトシャフト71は、車両の運転席に設置した変速段を設定するためチェンジレバー(図示せず)の操作に連動して回動するように構成されている。また、シフトシャフト71には、インターロックプレート85が装着されている。インターロックプレート85には、シフトシャフト71の軸線に直交する平面に沿うスリット部85aが形成されている。また、インターロックプレート85は、図示しない回り止め機構によって、シフトシャフト71の軸線に沿う方向の移動は許容されているが、シフトシャフト71の軸線まわりの回動は阻止されている。
【0043】
インターロックプレート85の内側には、シフトアーム81および連動アーム75が設置されている。シフトアーム81および連動アーム75には、シフトシャフト71が貫通している。また、シフトアーム81は、ボルト72によってシフトシャフト71に固定されている。シフトアーム81と連動アーム75との間には、図示しないねじりコイルバネが介在しており、連動アーム75は、シフトアーム81に連動して回動するように構成されている。
【0044】
連動アーム75は、シフトアーム81とインターロックプレート85との間に挟まれた状態で設置されている。この連動アーム75には、シフトシャフト71を貫通させる円筒部75cがシフトアーム81にその先端部を摺接させるようにして一体に設けられている。
【0045】
図7に示すように、シフトアーム81とインターロックプレート85との間には、ディテント機構73が設けられている。このディテント機構73により、シフトアーム81およびシフトシャフト71は、回動方向における所定の変速段に対応する位置に節度をもって停止可能である。また、シフトアーム81は、突起状の駆動部81aを一体に有しており、該駆動部81aは、図6に示すように、インターロックプレート85のスリット部85a内に配置されていると共に、図7に示すように、後述する3−4速用シフトピース77の凹部77cに係合している。
【0046】
また、図6に示すように、シフトシャフト71の軸線に沿う方向には、1−2速用シフトピース76、3−4速用シフトピース77、5−6速用シフトピース78、およびリバース用シフトピース79が並列で設置されている。各シフトピース76〜79は、その先端部に図示しない切欠きを有しており、シフトアーム81の駆動部81aを各切欠きに択一的に係合することを可能として、インターロックプレート85のスリット部85aの両側に設けたロック爪85b,85bを挟むように配置されている。
【0047】
1−2速用シフトピース76は、1−2速シフトフォーク86を備える1−2速シフトロッド96に固定されており、3−4速用シフトピース77は、3−4速シフトフォーク87を備える3−4速シフトロッド97に固定されており、5−6速用シフトピース78とリバース用シフトピース79は、5−6速シフトフォーク88を備える5−6速シフトロッド98に固定されている。一方、リバースシフトフォーク(図示せず)は、リバース用シフトピース79の動作に応じて後進段確立用の同期装置30のスリーブ23をリバース軸14の軸方向に沿って移動させるように設けられている。
【0048】
また、図7に示すように、連動アーム75には、所定間隔でシフトシャフト71の外方に張り出す第1駆動アーム部75aと第2駆動アーム部75bとが設けられている。その一方で、3−4速用シフトピース77には、第1駆動アーム部75aに係合可能な第1係合アーム部77aと、第2駆動アーム部75bに係合可能な第2係合アーム部77bとが設けられていると共に、シフトアーム81の駆動部81aを係合させるための凹部77cが設けられている。
【0049】
すなわち、第1駆動アーム部75aは、後進段へのシフト時のシフトアーム81および連動アーム75の回動に伴い、第1係合アーム部77aに係合し得るように形成されており、第2駆動アーム部75bは、第2係合アーム部77bに係合し得るように形成されている。
【0050】
連動アーム75は、リバース位置へのシフト操作に伴うシフトアーム81の回動に伴い、3−4速用シフトピース77を所定量駆動することで、入力軸10を一時的に制動する。具体的には、後進段へのシフト時、そのシフト初期には、連動アーム75の回動に伴って第1駆動アーム部75aで第1係合アーム部77aが押されることにより、3−4速用シフトピース77が第4速位置側(図の下側)に所定量押される。これにより、3−4速シフトフォーク87が動き、3速用同期装置53のスリーブが動かされることで、入力軸10の回転が停止する。これにより、第1アイドル歯車18側と第2アイドル歯車19側との差回転を無くした状態で後進段へのインギヤを行うことができる。
【0051】
後進段へのシフトがさらに進行すると、第1駆動アーム部75aの第1係合アーム部77aへの係合が解除され、第1駆動アーム部75aから3−4速用シフトピース77への押圧力は解除される。その一方で、第2駆動アーム部75bが第2係合アーム部77bに係合し、連動アーム75のリバース位置側へのシフト回動に伴い、第2駆動アーム部75bで第2係合アーム部77bが押される。これにより、3−4速用シフトピース77が第4速位置側からニュートラル位置側(図の上側)に戻される。
【0052】
なお、ここでは、連動アーム75で駆動するシフトピースが3−4速用シフトピース77である場合の構成を例に説明したが、連動アーム75で駆動するシフトピースは、前進変速段用シフトピースであれば、他の変速段用のシフトピースであってもよい。
【0053】
以上説明したように、上記の入力軸制動機構70は、後進段設定用の同期装置30で後進段へのシフトを行うタイミングに合わせて、3速段設定用のシフトフォーク87を動かすことで、入力軸10を制動するように構成した機構である。このような入力軸制動機構70によって、入力軸10に固設した後進用入力歯車16及びそれに噛合する第1アイドル歯車18と、出力軸12に固設した後進用出力歯車17及びそれに噛合する第2アイドル歯車19との差回転を無くし、その状態で、上記構成の同期装置30による後進段へのインギヤを行うようにすることが可能となる。
【0054】
本実施形態の同期装置30及び後進段設定機構20と上記の入力軸制動機構70を併用すれば、後進段の設定時にギヤの噛み込みで発生するノイズを効果的に低減することができる。また、この構成によれば、リバース軸14上にシンクロメッシュ機構(シンクロナイザリング)を設けずに、前進変速段用のシンクロメッシュ機構を共用するように構成しているため、後進段を設定する際のシフト荷重を低減することが可能である。また、上記の入力軸制動機構で入力軸10の回転を抑制することにより、後進段を設定する際、同期に要する時間を短縮することが可能となる。
【0055】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、後進用入力歯車16に噛合する第1アイドル歯車18にハブ21を設け、後進用出力歯車17に噛合する第2アイドル歯車19にギヤドグ25を設けた場合を説明したが、これらハブ21とギヤドグ25の配置は、逆にすることも可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 変速機
2 クラッチ機構
10 入力軸
11 クランクシャフト
12 出力軸
14 リバース軸
15 後進段歯車列
16 後進用入力歯車
17 後進用出力歯車
18 第1アイドル歯車
19 第2アイドル歯車
20 後進段設定機構
21 ハブ
22 スプライン歯(ハブスプライン:第1スプライン)
26 先端部(軸方向歯先)
23 スリーブ
24 スプライン歯(スリーブスプライン:第2スプライン)
28 先端部(軸方向歯先)
25 ギヤドグ
30 同期装置
40〜45 1速〜6速ドライブギヤ
46〜51 1速〜6速ドリブンギヤ
52 1−2速同期装置
53 3−4速同期装置
54 5−6速同期装置
60 ファイナルドライブギヤ
61 ファイナルドリブンギヤ
62 デファレンシャル装置
63,64 ドライブシャフト
70 入力軸制動機構
71 シフトシャフト
75 連動アーム
77 3−4速用シフトピース
85 インターロックプレート
87 3−4速シフトフォーク
97 3−4速シフトロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸と、
該入力軸と平行に配置した出力軸及びリバース軸と、
前記入力軸に固設された後進用入力歯車と、前記出力軸に固設された後進用出力歯車と、前記リバース軸上に設置されて前記後進用入力歯車に噛合する第1アイドル歯車と、前記リバース軸上に設置されて前記後進用出力歯車に噛合すると共に前記第1アイドル歯車に結合可能な第2アイドル歯車とを備える後進段歯車列と、
前記第2アイドル歯車を前記第1アイドル歯車に同期結合させるための同期装置と、を備えた変速機において、
前記同期装置は、
前記第1アイドル歯車と前記第2アイドル歯車のいずれか一方に設けたハブと、前記第1アイドル歯車と前記第2アイドル歯車の他方に設けたギヤドグと、
前記ハブと前記ギヤドグとの間で前記リバース軸の軸方向に摺動可能に設置したスリーブと、
前記ハブに形成された第1スプラインと、
前記スリーブに形成されて前記第1スプラインに噛合する第2スプラインと、
を備え、
前記スリーブの前記第2スプラインが前記ハブの前記第1スプラインにのみ噛合し、前記第1アイドル歯車と前記第2アイドル歯車が相対回転可能となる第1ポジションと、
前記スリーブの前記第2スプラインが前記ハブの前記第1スプラインと前記ギヤドグとの双方に噛合し、前記第1アイドル歯車と前記第2アイドル歯車が相対回転不能となる第2ポジションとを切替可能であって、
前記第1ポジションにおいて、前記第2スプラインにおける前記ギヤドグ側の先端部に設けたチャンファ面と前記第1スプラインに摺動する側面とが交差する交差部が、前記第1スプラインにおける前記ギヤドグ側の先端部よりも軸方向で後退した位置にある
ことを特徴とする変速機。
【請求項2】
前記第1スプラインの前記ギヤドグ側の先端部には、チャンファ加工が施されておらず、前記第2スプラインの前記ギヤドグ側の先端部にのみチャンファ加工が施されている
ことを特徴とする請求項1に記載の変速機。
【請求項3】
変速段を設定するためのシフト操作に応じた軸周りの回動を可能としたシフトシャフトと、
前記シフトシャフトに対して軸線周りの回動を不能として装着されたインターロックプレートと、
前記インターロックプレートの内側に配置されて前記シフトシャフトに固定されたシフトアームと該シフトアームに連動する連動アームと、を備え、
後進変速段を確立させるためのシフト操作に伴う前記シフトシャフトの回動に連動して、前記連動アームが所定の前進変速段用シフトピースを所定量駆動することで、前記入力軸を一時的に制動するように構成した入力軸制動機構をさらに備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の変速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−241842(P2011−241842A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111567(P2010−111567)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】