説明

変速装置

【課題】遊星歯車機構のリングギヤをケースに対して固定しているブレーキを良好に潤滑・冷却する。
【解決手段】変速装置30では、第1リングギヤ31rを固定可能なブレーキB1の第1ブレーキハブ43が第2リングギヤ32rの外周側に配置されると共に第2リングギヤ32rを固定可能なブレーキB2の第2ブレーキハブ53が第1リングギヤ31rの外周側に配置され、ブレーキB1の第1摩擦板42には、第2リングギヤ32rに形成された複数の第2潤滑油供給孔323rと第1ブレーキハブ43に形成された第1潤滑油流通孔43oとを介して潤滑・冷却油としての作動油が供給されると共に、ブレーキB2の第2摩擦板52には、第1リングギヤ31rに形成された複数の第1潤滑油供給孔313rと第2ブレーキハブ53に形成された第2潤滑油流通孔53oとを介して潤滑・冷却油としての作動油が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速比を複数段に変更しながら入力軸に付与された動力を出力軸に伝達可能な変速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の変速装置として、第1、第2および第3プラネタリギヤと、何れも多板式油圧ブレーキとして構成された第1、第2および第3ブレーキとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この変速装置において、第1ブレーキは、第3プラネタリギアのリングギアと第2プラネタリギアのキャリアとをケースに固定可能であり、第3プラネタリギアの外周側に配置される。また、第2ブレーキは、第2プラネタリギアのリングギアと第1プラネタリギアのキャリアとをケースに固定可能であり、第2プラネタリギアの外周側に配置される。更に、第3ブレーキは、第1プラネタリギアのリングギアをケースに固定可能なものであり、第1プラネタリギアの外周側に配置される。そして、第1および第2ブレーキの摩擦板には、それぞれに対応したリングギヤに形成された油孔を介して変速装置の軸心側からの作動油が潤滑・冷却油として供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−19273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の変速装置では、第1ブレーキや第2ブレーキによって対応するリングギヤがケースに固定されると、ケースに対するリングギヤの油孔の位置も固定されてしまい、作動油は、下方に位置する油孔から重力によりリングギヤ外に流出する。このため、第1ブレーキや第2ブレーキによって対応するリングギヤをケースに固定した際には、第1ブレーキや第2ブレーキの摩擦板の特に上部に対する作動油の供給量が不足してしまい、当該摩擦板を良好に潤滑・冷却し得なくなってしまう。
【0005】
そこで、本発明の変速装置は、遊星歯車機構のリングギヤをケースに固定しているブレーキを良好に潤滑・冷却可能とすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による変速装置は、上記主目的を達成するために以下の手段を採っている。
【0007】
本発明による変速装置は、変速比を複数段に変更しながら入力軸に付与された動力を出力軸に伝達可能な変速装置において、第1サンギヤ、該第1サンギヤと噛合する第1ピニオンギヤを回転自在に支持する第1キャリア、および前記第1ピニオンギヤと噛合すると共に潤滑油を通過させる第1潤滑油供給孔が形成された第1リングギヤを有する第1遊星歯車機構と、第2サンギヤ、該第2サンギヤと噛合する第2ピニオンギヤを回転自在に支持する第2キャリア、および前記第2ピニオンギヤと噛合する潤滑油を通過させる第2潤滑油供給孔が形成された第2リングギヤを有する第2遊星歯車機構と、前記第1および第2遊星歯車機構を収容するケースと、前記第2リングギヤの外周側に配置されると共に前記第2潤滑油供給孔からの前記潤滑油を流通させる第1潤滑油流通孔が形成された第1ブレーキハブと、該第1ブレーキハブの外周に嵌合される第1摩擦板とを有し、前記第1リングギヤを前記ケースに固定可能な第1ブレーキと、前記第1リングギヤの外周側に配置されると共に前記第1潤滑油供給孔からの前記潤滑油を流通させる第2潤滑油流通孔が形成された第2ブレーキハブと、該第2ブレーキハブの外周に嵌合される第2摩擦板とを有し、前記第2リングギヤを前記ケースに固定可能な第2ブレーキとを備え、前記第1および第2ブレーキの一方が前記第1または第2リングギヤを前記ケースに固定する際に、該第1および第2ブレーキの他方が該第2または第1リングギヤを回転可能に解放されることを特徴とする。
【0008】
この変速装置では、第1遊星歯車機構の第1リングギヤを固定可能な第1ブレーキの第1ブレーキハブが第2リングギヤの外周側に配置されると共に、第2遊星歯車機構の第2リングギヤを固定可能な第2ブレーキの第2ブレーキハブが第1リングギヤの外周側に配置される。そして、第1および第2ブレーキの一方により第1または第2リングギヤがケースに固定される際には、第1および第2ブレーキの他方により第2または第1リングギヤが回転可能に解放される。これにより、第1ブレーキにより第1リングギヤがケースに固定された際には、第1ブレーキの第1ブレーキハブの内周側で第2リングギヤを回転させることができるので、回転する第2リングギヤの第2潤滑油供給孔から遠心力により噴出される潤滑油を第1ブレーキハブに形成された第1潤滑油流通孔を介して摩擦係合に供されている第1摩擦板の全体に供給することができる。また、第2ブレーキにより第2リングギヤがケースに固定された際には、第2ブレーキの第2ブレーキハブの内周側で第1リングギヤを回転させることができるので、回転する第1リングギヤの第1潤滑油供給孔から遠心力により噴出される潤滑油を第2ブレーキハブに形成された第2潤滑油流通孔を介して摩擦係合に供されている第2摩擦板の全体に供給することができる。従って、この変速装置では、第1遊星歯車機構の第1リングギヤをケースに固定している第1ブレーキや、第2遊星歯車機構の第2リングギヤをケースに固定している第2ブレーキを良好に潤滑・冷却することが可能となる。
【0009】
また、前記第1リングギヤの各ギヤ歯には、周方向に隣り合うように第1凹部が形成されると共に、前記第1潤滑油供給孔は、前記第1凹部と前記第1リングギヤの外側とを連通するように周方向に間隔をおいて複数形成されてもよく、前記第2リングギヤの各ギヤ歯には、周方向に隣り合うように第2凹部が形成されると共に、前記第2潤滑油供給孔は、前記第2凹部と前記第2リングギヤの外側とを連通するように周方向に間隔をおいて複数形成されてもよい。これにより、第1ブレーキにより第1リングギヤがケースに固定された際に、第1ブレーキハブの内周側に位置する第2リングギヤ内の潤滑油を各ギヤ歯に形成された第2凹部に溜めることができるので、各第2凹部から複数の第2潤滑油供給孔および第1ブレーキハブの第1潤滑油流通孔を介して摩擦係合に供されている第1摩擦板に充分な量の潤滑油を供給することができる。また、第2ブレーキにより第2リングギヤがケースに固定された際には、第2ブレーキハブの内周側に位置する第1リングギヤ内の潤滑油を各ギヤ歯に形成された第1凹部に溜めることができるので、各第1凹部から複数の第1潤滑油供給孔および第2ブレーキハブの第2潤滑油流通孔を介して摩擦係合に供されている第2摩擦板に充分な量の潤滑油を供給することができる。
【0010】
更に、前記第1凹部は、前記第1リングギヤの各ギヤ歯の前記第1ピニオンギヤと噛合しない部分に形成されてもよく、前記第2凹部は、前記第2リングギヤの各ギヤ歯の前記第2ピニオンギヤと噛合しない部分に形成されてもよい。これにより、第1および第2リングギヤの強度や、第1リングギヤと第1ピニオンギヤとの良好な噛合、第2リングギヤと第2ピニオンギヤとの良好な噛合を確保しつつ、第1凹部を第1リングギヤに形成すると共に、第2凹部を第2リングギヤに形成することが可能となる。
【0011】
また、前記第2リングギヤは、該第2リングギヤから内周側に延びる連結部材と該連結部材に連結される前記第1キャリアとを介して前記第2ブレーキハブに連結されてもよく、前記第1リングギヤは、複数の軸受を介して前記第1キャリアと前記連結部材とにより支持されるリングギヤフランジに取り付けられてもよく、前記第1ブレーキハブは、前記リングギヤフランジと前記連結部材との間に配置される軸受を覆うように該リングギヤフランジに固定されてもよい。これにより、リングギヤフランジと連結部材との間に配置される軸受に供給されて当該軸受を通過した潤滑油を第1ブレーキハブにより受け止め、当該第1ブレーキハブに形成された第1潤滑油流通孔へと導くことができるので、第1ブレーキの第1摩擦板により多くの潤滑油を供給することが可能となる。
【0012】
更に、本発明の変速装置は、前記入力軸と前記第2サンギヤとを連結すると共に両者の連結を解除することができる第1クラッチと、前記入力軸と前記第2キャリアとを連結すると共に両者の連結を解除することができる第2クラッチと、前記第2サンギヤに連結される第3サンギヤ、該第3サンギヤと噛合する第3ピニオンギヤを回転自在に支持すると共に前記出力軸に連結される第3キャリア、および前記第2キャリアに連結されると共に前記第3ピニオンギヤと噛合する第3リングギヤを有する第3遊星歯車機構と、前記第3リングギヤを前記ケースに固定可能な第3ブレーキとを更に備えてもよく、前記第1遊星歯車機構は、前記第2遊星歯車機構よりも前記入力軸側に配置されると共に前記第1サンギヤが前記入力軸に連結され、前記第2遊星歯車機構は、前記第3遊星歯車機構よりも前記入力軸側に配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例に係る変速装置30を含む動力伝達装置20を搭載した車両である自動車10の概略構成図である。
【図2】動力伝達装置20を示す断面図である。
【図3】動力伝達装置20の概略構成図である。
【図4】変速装置30の各変速段とクラッチおよびブレーキの作動状態との関係を表す作動表である。
【図5】変速装置30を構成する回転要素間における回転数の関係を例示する共線図である。
【図6】変速装置30の要部拡大図である。
【図7】第1遊星歯車機構31の第1リングギヤ31rを示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の実施例に係る変速装置30を含む動力伝達装置20を搭載した車両である自動車10の概略構成図である。同図に示す自動車10は、後輪駆動車両として構成されている。自動車10は、ガソリンや軽油といった炭化水素系の燃料と空気との混合気の爆発燃焼により動力を出力する内燃機関である原動機としてのエンジン12と、エンジン12を制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)14と、図示しない電子制御式油圧ブレーキユニットを制御するブレーキ用電子制御ユニット(以下、「ブレーキECU」という)15と、流体伝動装置(発進装置)23や有段の変速装置(自動変速機)30、これらに作動油(作動流体)を給排する油圧制御装置70、これらを制御する変速用電子制御ユニット(以下、「変速ECU」という)21等を有し、エンジン12のクランクシャフト16に接続されると共にエンジン12からの動力をデファレンシャルギヤ80を介して左右の駆動輪(後輪)DWに伝達する動力伝達装置20とを含む。
【0016】
図2および図3に示すように、動力伝達装置20は、流体伝動装置23や、油圧発生源としてのオイルポンプ29、変速装置30等を収容するトランスミッションケース22を有する。流体伝動装置23は、流体式トルクコンバータとして構成されており、フロントカバー18を介してエンジン12のクランクシャフト16に接続されるポンプインペラ24や、タービンハブを介して変速装置30のインプットシャフト(入力軸)34に固定されるタービンランナ25、ポンプインペラ24およびタービンランナ25の内側に配置されてタービンランナ25からポンプインペラ24への作動油(ATF)の流れを整流するステータ26、ステータ26の回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ26a、ダンパ機構27、ロックアップクラッチ28等を含む。油圧発生源としてのオイルポンプ29は、ポンプボディとポンプカバーとからなるポンプアッセンブリと、ハブを介して流体伝動装置23のポンプインペラ24に接続された外歯ギヤとを備えるギヤポンプとして構成されており、油圧制御装置70に接続される。オイルポンプ29は、外歯ギヤおよび内歯ギヤの回転により例えばポンプカバーに形成された吸入油路(図示省略)、ストレーナ72等を介してオイルパン75(作動油貯留部)に貯留された作動油を吸引すると共に、昇圧した作動油を図示しない吐出口から吐出し、例えばポンプカバーに形成された吐出油路を介して油圧制御装置70に供給する。
【0017】
変速装置30は、6段変速式の変速機として構成されており、図2および図3に示すように、何れもシングルピニオン式遊星歯車である第1遊星歯車機構31、第2遊星歯車機構32、および第3遊星歯車機構33と、インプットシャフト34と、アウトプットシャフト(出力軸)35と、インプットシャフト34からアウトプットシャフト35までの動力伝達経路を変更するための2つのクラッチC1およびC2と3つのブレーキB1,B2およびB3とワンウェイクラッチF1とを含む。第1〜第3遊星歯車機構31〜33とクラッチC1,C2とブレーキB1〜B3とワンウェイクラッチF1とは、図示するように、トランスミッションケース22の内部に収容される。また、変速装置30のインプットシャフト34は、流体伝動装置23を介してエンジン12のクランクシャフトに連結され、アウトプットシャフト35は、デファレンシャルギヤ80(図1参照)を介して駆動輪DWに連結される。
【0018】
第1、第2および第3遊星歯車機構31〜33の中で最もエンジン12側(車両前方)すなわち最もインプットシャフト34に近接して配置されて後段の第2遊星歯車機構32と共に変速ギヤ機構を構成する第1遊星歯車機構31は、外歯歯車である第1サンギヤ31sと、第1サンギヤ31sと同心円上に配置される内歯歯車である固定可能要素としての第1リングギヤ31rと、第1サンギヤ31sと噛合すると共に第1リングギヤ31rと噛合する複数の第1ピニオンギヤ31pと、第1ピニオンギヤ31pに回転自在に挿通された第1ピニオンシャフト311pを回転自在に支持して第1ピニオンギヤ31pを自転かつ公転自在に保持する第1キャリア31cとを有する。第1遊星歯車機構31の第1サンギヤ31sは、インプットシャフト34と一体に回転可能なクラッチC1のクラッチドラムに連結(スプライン嵌合)される環状の連結ドラム36に固定される。
【0019】
また、第1遊星歯車機構31のアウトプットシャフト35側(車両後方側)に並設される第2遊星歯車機構32は、外歯歯車である第2サンギヤ32sと、第2サンギヤ32sと同心円上に配置される内歯歯車である固定可能要素としての第2リングギヤ32rと、第2サンギヤ32sと噛合すると共に第2リングギヤ32rと噛合する複数の第2ピニオンギヤ32pと、第2ピニオンギヤ32pに回転自在に挿通された第2ピニオンシャフト321pの一端を回転自在に支持して第2ピニオンギヤ32pを自転かつ公転自在に保持する第2キャリア32cとを有する。第2遊星歯車機構32の第2サンギヤ32sは、インプットシャフト34とアウトプットシャフト35との間に両者に対して回転自在に配置される中空の中間シャフト37に固定される。第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rは、第1遊星歯車機構31の第1キャリア31cに連結される。第2遊星歯車機構32の第2キャリア32cは、中間シャフト37により同軸かつ回転自在に支持されるスリーブ38に固定される。
【0020】
更に、第1〜第3遊星歯車機構31〜33の中で最もアウトプットシャフト35に近接して(車両後方に)配置される減速ギヤ機構としての第3遊星歯車機構33は、外歯歯車である第3サンギヤ33sと、第3サンギヤ33sと同心円上に配置される内歯歯車である固定可能要素としての第3リングギヤ33rと、第3サンギヤ33sと噛合すると共に第3リングギヤ33rと噛合する複数の第3ピニオンギヤ33pを自転かつ公転自在に保持する第3キャリア33cとを有する。第3遊星歯車機構33の第3サンギヤ33sは、中間シャフト37に固定されて第2遊星歯車機構32の第2サンギヤ32sと連結され、第3遊星歯車機構33の第3リングギヤ33rは、第2遊星歯車機構32の第2キャリア32cに連結され、第3遊星歯車機構33の第3キャリア33cは、アウトプットシャフト35に連結される。
【0021】
クラッチC1は、インプットシャフト34と中間シャフト37すなわち第2遊星歯車機構32の第2サンギヤ32sおよび第3遊星歯車機構33の第3サンギヤ33sとを連結すると共に両者の連結を解除することができる多板式油圧クラッチである。クラッチC2は、インプットシャフト34とスリーブ38すなわち第2遊星歯車機構32の第2キャリア32cとを連結すると共に両者の連結を解除することができる多板式油圧クラッチである。ワンウェイクラッチF1は、第2遊星歯車機構32の第2キャリア32cおよび第3遊星歯車機構33の第3リングギヤ33rの正転のみを許容して逆転を規制するものである。
【0022】
ブレーキB1は、第1遊星歯車機構31の第1リングギヤ31rをトランスミッションケース22に対して固定すると共に第1リングギヤ31rのトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる多板式油圧ブレーキである。ブレーキB2は、第1遊星歯車機構31の第1キャリア31cをトランスミッションケース22に対して固定することで第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rをトランスミッションケース22に対して固定すると共に、第1キャリア31cおよび第2リングギヤ32rのトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる多板式油圧ブレーキである。ブレーキB3は、第2遊星歯車機構32の第2キャリア32cと第3遊星歯車機構33の第3リングギヤ33rとをトランスミッションケース22に対して固定すると共に第2キャリア32cおよび第3リングギヤ33rのトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる多板式油圧ブレーキである。
【0023】
上述のクラッチC1およびC2並びにブレーキB1〜B3は、油圧制御装置70による作動油の給排を受けて動作する。図4に変速装置30の各変速段とクラッチC1およびC2並びにブレーキB1〜B3の作動状態との関係を表す作動表を示し、図5に変速装置30を構成する回転要素間における回転数の関係を例示する共線図を示す。変速装置30は、クラッチC1およびC2並びにブレーキB1〜B3を図4の作動表に示す状態とすることで図5に示すように前進第1速〜第6速の変速段と後進1段の変速段とを提供する。
【0024】
図6は、変速装置30の要部拡大図である。同図に示すように、変速装置30の第3速や第5速、リバース段を形成する際に第1遊星歯車機構31の第1リングギヤ31rをトランスミッションケース22に対して固定するのに用いられるブレーキB1は、トランスミッションケース22の内周部に嵌合(スプライン嵌合)されて当該トランスミッションケース22により摺動自在に支持される複数の第1摩擦相手板41と、それぞれ互いに隣り合う第1摩擦相手板41の間に配置される複数の第1摩擦板(両面に摩擦材を有する部材)42と、締結(固定)対象である第1遊星歯車機構31の第1リングギヤ31rにリングギヤフランジ(フランジ部材)40を介して連結されると共に複数の第1摩擦板42が嵌合(スプライン嵌合)される円筒状の外周部43aを有する第1ブレーキハブ43と、トランスミッションケース22に対して軸方向に移動して第1摩擦相手板41と第1摩擦板42とを押圧可能な第1ピストン44と、第1ピストン44を第1摩擦相手板41および第1摩擦板42から離間するように軸方向に付勢する複数の第1リターンスプリング45と、トランスミッションケース22に固定されて第1ピストン44の背後(第1リターンスプリング45とは反対側)に係合油室を画成する第1油室画成部材46とを含む。
【0025】
また、変速装置30の第2速や第6速を形成する際に第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rをトランスミッションケース22に対して固定するのに用いられるブレーキB2は、トランスミッションケース22の内周部に嵌合(スプライン嵌合)されて当該トランスミッションケース22により摺動自在に支持される複数の第2摩擦相手板51と、それぞれ互いに隣り合う第2摩擦相手板51の間に配置される複数の第2摩擦板(両面に摩擦材を有する部材)52と、締結(固定)対象である第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rに連結部材60と第1遊星歯車機構31の第1キャリア31cとを介して連結されると共に複数の第2摩擦板52が嵌合(スプライン嵌合)される円筒状の外周部53aを有する第2ブレーキハブ53と、トランスミッションケース22に対して軸方向に移動して第2摩擦相手板51と第2摩擦板52とを押圧可能な第2ピストン54と、第2ピストン54を第2摩擦相手板51および第2摩擦板52から離間するように軸方向に付勢する複数の第2リターンスプリング55と、トランスミッションケース22に固定されて第2ピストン54の背後(第2リターンスプリング55とは反対側)に係合油室を画成する第2油室画成部材56とを含む。
【0026】
図6に示すように、ブレーキB1を構成する第1摩擦相手板41および第1摩擦板42、第1ブレーキハブ43の外周部43a、第1ピストン44や第1リターンスプリング45、第1油室画成部材46の一部は、径方向(図6における白抜矢印参照)からみて第2遊星歯車機構32と重なるように当該第2遊星歯車機構32の外周側に配置される。すなわち、ブレーキB1の第1ブレーキハブ43は、外周部43aが第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rの外周のほぼ全体を囲むように配置され、複数の第1摩擦板42は、径方向からみて第2リングギヤ32rと重なるように第1ブレーキハブ43の外周部43aに嵌合される。また、ブレーキB1の第1ブレーキハブ43は、外周部43aの一端から径方向内側に延出されると共に第1遊星歯車機構31と第2遊星歯車機構32との間に配置される内周部43bを有し、内周部43bは、上述のリングギヤフランジ40に固定される。
【0027】
リングギヤフランジ40は、環状に形成されており、第1遊星歯車機構31の第1リングギヤ31rの内周部に嵌合されると共にスナップリングにより第1リングギヤ31rに対して軸方向に固定される外周部40aと、当該外周部40aから第2遊星歯車機構32(連結部材60)に向けて軸方向にオフセットされた内周部40bとを有する。実施例において、リングギヤフランジ40の外周部40aには、第1リングギヤ31rのギヤ歯310rと噛合して当該ギヤ歯310rと共に調心機能をもった嵌合部を構成する図示しないギヤ歯が形成されている。更に、第1遊星歯車機構31の第1キャリア31cは、複数の第1ピニオンギヤ31pを回転自在に支持する環状の径方向延在部311cと、当該径方向延在部311cの内周部から第2遊星歯車機構32(連結部材60)に向けて軸方向に延出された軸方向延在部312cとを有しており、リングギヤフランジ40は、径方向延在部311cと連結部材60との間で第1キャリア31cの軸方向延在部312cによりラジアル軸受(ブッシュ)64を介して回転自在に支持される。そして、ブレーキB1の第1ブレーキハブ43は、径方向からみて第1キャリア31cの軸方向延在部312cと重なる位置でリングギヤフランジ40の内周部40bに例えば溶接等により固定される。
【0028】
一方、ブレーキB2を構成する第2摩擦相手板51および第2摩擦板52の一部、第2ブレーキハブ53の外周部53a、第2ピストン54の一部、第2リターンスプリング55、第2油室画成部材56の一部は、図6に示すように、径方向からみて第1遊星歯車機構31と重なるように当該第1遊星歯車機構31の外周側に配置される。すなわち、ブレーキB2の第2ブレーキハブ53は、外周部53aが第1遊星歯車機構31の第1リングギヤ31rの外周のほぼ全体を囲むように配置され、複数の第2摩擦板52の大半は、径方向からみて第1リングギヤ31rと重なるように第2ブレーキハブ53の外周部53aに嵌合される。また、ブレーキB2の第2ブレーキハブ53は、外周部53aの一端から径方向内側に延出される内周部53bを有する。第2ブレーキハブ53の内周部53bは、第1遊星歯車機構31の第1キャリア31cに対して軸方向に嵌合されると共に例えば溶接等により固定され、それにより第2ブレーキハブ53は、第1キャリア31cにより径方向に位置決めされる。実施例において、第2ブレーキハブ53の内周部53bは、第1キャリア31cにより回転自在に一端が支持された第1ピニオンギヤ31pの第1ピニオンシャフト311pの他端を回転自在に支持する。ただし、第1ピニオンギヤ31pの第1ピニオンシャフト311pの他端は、第2ブレーキハブ53の内周部53bではなく、第1キャリア31cにより回転自在に支持されてもよい。
【0029】
更に、第1キャリア31cの軸方向延在部312cの遊端部(図中右端すなわち第2遊星歯車機構32側の端部)には、図示しない複数の係合爪が形成されており、軸方向延在部312cは、当該複数の係合爪を介して第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rから内周側(径方向内側)に延びる連結部材60に連結される。連結部材60は、環状に形成されており、第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rの内周部に嵌合されると共にスナップリングにより第2リングギヤ32rに対して軸方向に固定される外周部60aと、当該外周部60aから第1遊星歯車機構31(リングギヤフランジ40)に向けて軸方向にオフセットされた内周部60bとを有する。実施例において、連結部材60の外周部60aには、第2リングギヤ32rのギヤ歯320rと噛合して当該ギヤ歯320rと共に調心機能をもった嵌合部を構成する図示しないギヤ歯が形成されている。
【0030】
また、連結部材60の内周部60bは、図6に示すように、第1リングギヤ31rに固定されたリングギヤフランジ40の内周部40bと比較的小さい間隔をおいて対向し、連結部材60の内周部60bとリングギヤフランジ40の内周部40bとの間には、スラスト軸受65が配置される。更に、連結部材60の内周部60bは、第2遊星歯車機構32の第2キャリア32cと比較的小さい間隔をおいて対向し、連結部材60の内周部60bと第2キャリア32cとの間には、スラスト軸受66が配置される。また、リングギヤフランジ40の内周部40bと第1キャリア31cの径方向延在部311cとの間には、スラスト軸受67が配置され、第2キャリア32cと第2サンギヤ32sとの間には、スラスト軸受68が配置される。
【0031】
更に、連結部材60の内周部60bは、第1遊星歯車機構31の第1リングギヤ31rとブレーキB1の第1ブレーキハブ43の連結部すなわちリングギヤフランジ40(内周部40b)と第1ブレーキハブ43の内周部43bとの固定部や、複数のスラスト軸受65〜67よりも内周側で第1キャリア31cの軸方向延在部312cに嵌合され、それにより第2リングギヤ32rが連結部材60および第1キャリア31cを介してブレーキB2の第2ブレーキハブ53に連結されることになる。また、実施例において、第1ブレーキハブ43の内周部43bは、連結部材60の内周部60bとリングギヤフランジ40の内周部40bとの間のスラスト軸受65よりも外周側で当該内周部40bに固定され、それにより、スラスト軸受65は第1ブレーキハブ43により覆われる。
【0032】
一方、変速装置30の中間シャフト37には、その内部に供給される油圧制御装置70からの作動油を第1および第2遊星歯車機構31,32の各ギヤやラジアル軸受64,スラスト軸受65〜68等に潤滑・冷却油として供給するための複数の油路371,372および373が形成されている。また、第1遊星歯車機構31の第1キャリア31cは、スリーブ38に形成された油孔を介して中間シャフト37の油路371と連通するように径方向延在部311cに形成された径方向油路313cを有する。更に、第1遊星歯車機構31の第1ピニオンシャフト311pは、軸方向に延びると共に第1キャリア31cの径方向油路313cと連通するシャフト内油路312pと、第1ピニオンシャフト311pの軸方向における略中央部でシャフト内油路312pと第1ピニオンギヤ31pの歯溝とを連通する径方向油路313pとを有する。これにより、中間シャフト37の油路371から、第1キャリア34cの径方向油路313c、第1ピニオンシャフト311pのシャフト内油路312pおよび径方向油路313p等を介して第1ピニオンギヤ31pと第1リングギヤ31rとの噛合部や第1ピニオンギヤ31pと第1サンギヤ31sとの噛合部に潤滑・冷却油としての作動油を供給することができる。
【0033】
また、第1遊星歯車機構31の第1キャリア31cは、軸方向延在部312cを斜めに貫通して中間シャフト37の油路371と当該軸方向延在部312cの外側とを連通させる油路314cを有している。これにより、中間シャフト37の油路371から、油路314cを介して、ラジアル軸受64やスラスト軸受65,67に潤滑・冷却油としての作動油を供給することができる。更に、中間シャフト37の油路372は、図示するように、スラスト軸受68の内側で開口しており、第2遊星歯車機構32の第2キャリア32cには、スラスト軸受68の外側とスラスト軸受66の内側とを連通させる油路321cが形成されている。これにより、中間シャフト37の油路372から、スラスト軸受68に潤滑・冷却油としての作動油を供給すると共に、スラスト軸受68を通過した作動油を油路321cを介してスラスト軸受66に潤滑・冷却油としての作動油を供給することができる。
【0034】
中間シャフト37の油路373は、図示するように、第3遊星歯車機構33の第3キャリア33cの内側で開口しており、第3キャリア33cには、中間シャフト37の油路373と連通する油路331cが形成されている。更に、第2遊星歯車機構32の第2キャリア32cには、第3キャリア33cの油路331cと連通する油路322cが形成されており、第2遊星歯車機構32の第2ピニオンシャフト321pは、軸方向に延びると共に第2キャリア32cの油路322cからの作動油が導入されるシャフト内油路312pと、第2ピニオンシャフト321pの軸方向における略中央部でシャフト内油路322pと第2ピニオンギヤ32pの歯溝とを連通する径方向油路323pとを有する。これにより、中間シャフト37の油路373から、第3キャリア33cの油路331c、第2キャリア32cの油路322c、第2ピニオンシャフト321pのシャフト内油路322pおよび径方向油路323p等を介して第2ピニオンギヤ32pと第2リングギヤ32rとの噛合部や第2ピニオンギヤ32pと第2サンギヤ32sとの噛合部に潤滑・冷却油としての作動油を供給することができる。
【0035】
そして、第1遊星歯車機構31の第1リングギヤ31rの各ギヤ歯310rには、周方向に隣り合うように第1凹部311rが形成されている。実施例において、各第1凹部311rは、各ギヤ歯310rの第1ピニオンギヤ31pと噛合しないリングギヤフランジ40に近接した部分に形成され、第1リングギヤ31rには、図6および図7に示すように、各第1凹部311rに沿って全周にわたって延びると共にギヤ歯310r間の歯溝の底面から僅かに凹んだ溝312rが形成されている。更に、第1リングギヤ31rには、図7に示すように、第1凹部311rと第1リングギヤ31rの外側とを連通する複数の第1潤滑油供給孔313rが周方向に間隔をおいて複数形成されている。なお、第1潤滑油供給孔313rは、第1凹部311r内に開口するものであってもよく、ギヤ歯310r間の歯溝内に開口するものであってもよい。
【0036】
同様に、第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rの各ギヤ歯320rには、周方向に隣り合うように第2凹部321rが形成されている。実施例において、各第2凹部321rは、各ギヤ歯320rの第2ピニオンギヤ32pと噛合しない連結部材60に近接した部分に形成され、第2リングギヤ32rにも、図6に示すように、各第2凹部321rに沿って全周にわたって延びると共にギヤ歯320r間の歯溝の底面から僅かに凹んだ溝322rが形成されている。更に、第2リングギヤ32rには、第2凹部321rと第2リングギヤ32rの外側とを連通する複数の第2潤滑油供給孔323rが周方向に間隔をおいて複数形成されている。なお、第2潤滑油供給孔323rは、第2凹部321r内に開口するものであってもよく、ギヤ歯320r間の歯溝内に開口するものであってもよい。
【0037】
更に、第1リングギヤ31rの外周に配置されるブレーキB2の第2ブレーキハブ53の外周部53aには、第2摩擦板52が嵌合されるスプラインの谷部に複数の第2潤滑油流通孔53oが周方向および軸方向に間隔をおいて形成されている。同様に、第2リングギヤ32rの外周に配置されるブレーキB1の第1ブレーキハブ43の外周部43aには、第1摩擦板42が嵌合されるスプラインの谷部に複数の第1潤滑油流通孔43oが周方向および軸方向に間隔をおいて形成されている。なお、遊星歯車機構のリングギヤの外周にブレーキの摩擦板が嵌合されるスプラインを形成して当該リングギヤをブレーキのブレーキハブとして共用する場合、潤滑油の供給孔を内周側のギヤ歯間の歯溝と外周側のスプライン谷部とを連通するように形成する必要があることから、潤滑油供給孔の形成に手間を要すると共に、潤滑油供給孔を多数形成することが困難となる。これに対して、第1リングギヤ31rと第2ブレーキハブ53とが別体化されると共に、第2リングギヤ32rと第1ブレーキハブ43とが別体化された変速装置30では、リングギヤをレーキハブとして兼用した場合に生じる制約を受けることなく、第1および第2リングギヤ31r,32rに充分な数の第1および第2潤滑油供給孔313r、323rを形成すると共に、第1および第2ブレーキハブ43,53に充分な数の第1および第2潤滑油流通孔43o,53oを形成することが可能となる。
【0038】
次に、第1遊星歯車機構31の第1リングギヤ31rをトランスミッションケース22に固定しているブレーキB1や第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rをトランスミッションケース22に固定しているブレーキB2の潤滑・冷却手順について説明する。
【0039】
変速装置30の第3速や第5速を形成する際には、ブレーキB1により第1遊星歯車機構31の第1リングギヤ31rがトランスミッションケース22に固定されると共に、ブレーキB2により第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rが回転可能に解放される。そして、この際には、ブレーキB1の第1ブレーキハブ43が回転停止するのに対して、第1ブレーキハブ43の内周側に位置する第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rは図5からわかるように回転することから、第1ブレーキハブ43と第2リングギヤ32rとは相対回転する。
【0040】
また、第2遊星歯車機構32の第2ピニオンギヤ32pと第2リングギヤ32rとの噛合部には、上述のように、中間シャフト37の油路373から、第3キャリア33cの油路331c、第2キャリア32cの油路322c、第2ピニオンシャフト321pのシャフト内油路322pおよび径方向油路323p等を介して潤滑・冷却油としての作動油が供給される。こうして第2ピニオンギヤ32pと第2リングギヤ32rとの噛合部に供給された作動油の一部は、第2リングギヤ32rの各ギヤ歯320rに形成された第2凹部321rや溝322rに流れ込む。更に、実施例の変速装置30では、中間シャフト37の油路372から油路321cやスラスト軸受68を介してスラスト軸受66に供給された作動油の一部が連結部材60を伝って第2リングギヤ32rの各ギヤ歯320rに形成された第2凹部321rや溝322rに流れ込む。そして、各第2凹部321rや溝322rに溜まった作動油は、第2リングギヤ32rの回転に伴って第2潤滑油供給孔323rから遠心力により外方に噴出され、第1ブレーキハブ43に形成された複数の第1潤滑油流通孔43oを介して摩擦係合しているブレーキB1の第1摩擦相手板41および第1摩擦板42に供給される。加えて、実施例の変速装置30では、中間シャフト37の油路371から油路314cやラジアル軸受64を介してスラスト軸受65に供給された作動油の一部が第1ブレーキハブ43の内面を伝って当該第1ブレーキハブ43に形成された複数の第1潤滑油流通孔43oに流れ込み、スラスト軸受65からの作動油も摩擦係合しているブレーキB1の第1摩擦相手板41および第1摩擦板42に供給されることになる。これにより、変速装置30では、第1遊星歯車機構31の第1リングギヤ31rを固定しているブレーキB1の第1摩擦相手板41および第1摩擦板42の全体に充分な量の作動油を供給することができるので、ブレーキB1に比較的大きいトルク容量が要求される第3速(低速段)の形成時においても、ブレーキB1すなわち第1摩擦相手板41および第1摩擦板42を良好に潤滑・冷却することが可能となる。
【0041】
一方、変速装置30の第2速や第6速を形成する際には、ブレーキB2により第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rがトランスミッションケース22に固定されると共に、ブレーキB1により第1遊星歯車機構31の第1リングギヤ31rが回転可能に解放される。そして、この際には、ブレーキB2の第2ブレーキハブ53が回転停止するのに対して、第2ブレーキハブ53の内周側に位置する第1遊星歯車機構31の第1リングギヤ31rは図5からわかるように回転することから、第2ブレーキハブ53と第1リングギヤ31rとは相対回転する。
【0042】
また、第1遊星歯車機構31の第1ピニオンギヤ31pと第1リングギヤ31rとの噛合部には、上述のように、中間シャフト37の油路371から、第1キャリア34cの径方向油路313c、第1ピニオンシャフト311pのシャフト内油路312pおよび径方向油路313p等を介して潤滑・冷却油としての作動油が供給される。こうして第1ピニオンギヤ31pと第1リングギヤ31rとの噛合部に供給された作動油の一部は、第1リングギヤ31rの各ギヤ歯310rに形成された第1凹部311rや溝312rに流れ込む。更に、実施例の変速装置30では、中間シャフト37の油路371から油路314cやラジアル軸受64を介してスラスト軸受67に供給された作動油の一部が連結部材60を伝って第1リングギヤ31rの各ギヤ歯310rに形成された第1凹部311rや溝312rに流れ込む。そして、各第1凹部311rや溝312rに溜まった作動油は、第1リングギヤ31rの回転に伴って第1潤滑油供給孔313rから遠心力により外方に噴出され、第2ブレーキハブ53に形成された複数の第2潤滑油流通孔53oを介して摩擦係合しているブレーキB2の第2摩擦相手板51および第2摩擦板52に供給される。これにより、変速装置30では、第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rを固定しているブレーキB2の第2摩擦相手板51および第2摩擦板52の全体に充分な量の作動油を供給することができるので、ブレーキB2に比較的大きいトルク容量が要求される第2速(低速段)の形成時においても、ブレーキB2すなわち第2摩擦相手板51および第2摩擦板52を良好に潤滑・冷却することが可能となる。
【0043】
以上説明したように、実施例の変速装置30では、第1遊星歯車機構31の第1リングギヤ31rを固定可能なブレーキB1の第1ブレーキハブ43が第2リングギヤ32rの外周側に配置されると共に、第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rを固定可能なブレーキB2の第2ブレーキハブ53が第1リングギヤ31rの外周側に配置される。そして、ブレーキB1およびB2の一方により第1または第2リングギヤ31r,32rがトランスミッションケース22に固定される際には、ブレーキB1およびB2の他方により第2または第1リングギヤ32r,31rが回転可能に解放される。これにより、ブレーキB1により第1リングギヤ31rがトランスミッションケース22に固定された際には、ブレーキB1の第1ブレーキハブ43の内周側で第2リングギヤ32rを回転させることができるので、回転する第2リングギヤ32rの第2潤滑油供給孔323rから遠心力により噴出される作動油を第1ブレーキハブ43に形成された第1潤滑油流通孔43oを介して摩擦係合している第1摩擦相手板41および第1摩擦板42の全体に潤滑油を供給することができる。また、ブレーキB2により第2リングギヤ32rがトランスミッションケース22に固定された際には、ブレーキB2の第2ブレーキハブ53の内周側で第1リングギヤ31rを回転させることができるので、回転する第1リングギヤ31rの第1潤滑油供給孔313rから遠心力により噴出される作動油を第2ブレーキハブ53に形成された第2潤滑油流通孔53oを介して摩擦係合している第2摩擦相手板51および第2摩擦板52の全体に潤滑油を供給することができる。従って、変速装置30では、第1遊星歯車機構31の第1リングギヤ31rをトランスミッションケース22に固定しているブレーキB1や、第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rをトランスミッションケース22に固定しているブレーキB2を良好に潤滑・冷却することが可能となる。
【0044】
また、変速装置30では、第1リングギヤ31rの各ギヤ歯310rには、周方向に隣り合うように第1凹部311rが形成されると共に、第1潤滑油供給孔313rは、第1凹部311rと第1リングギヤ31rの外側とを連通するように周方向に間隔をおいて複数形成される。同様に、第2リングギヤ32rの各ギヤ歯320rには、周方向に隣り合うように第2凹部321rが形成されると共に、第2潤滑油供給孔323rは、第2凹部321rと第2リングギヤ32rの外側とを連通するように周方向に間隔をおいて複数形成される。これにより、ブレーキB1により第1リングギヤ31rがトランスミッションケース22に固定された際に、第1ブレーキハブ43の内周側に位置する第2リングギヤ32r内の作動油を各ギヤ歯320rに形成された第2凹部321rに溜めることができるので、各第2凹部321rから複数の第2潤滑油供給孔323rおよび第1ブレーキハブ43の第1潤滑油流通孔43oを介して摩擦係合している第1摩擦相手板41および第1摩擦板42に充分な量の作動油を供給することができる。また、ブレーキB2により第2リングギヤ32rがトランスミッションケース22に固定された際には、第2ブレーキハブ53の内周側に位置する第1リングギヤ31r内の作動油を各ギヤ歯310rに形成された第1凹部311rに溜めることができるので、各第1凹部311rから複数の第1潤滑油供給孔313rおよび第2ブレーキハブ53の第2潤滑油流通孔53oを介して摩擦係合している第2摩擦相手板51および第2摩擦板52に充分な量の作動油を供給することができる。
【0045】
更に、変速装置30では、第1凹部311rは、第1リングギヤ31rの各ギヤ歯310rの第1ピニオンギヤ31pと噛合しない部分に形成され、第2凹部321rは、第2リングギヤ32rの各ギヤ歯320rの第2ピニオンギヤ32pと噛合しない部分に形成される。これにより、第1および第2リングギヤ31r,32rの強度や、第1リングギヤ31rと第1ピニオンギヤ31pとの良好な噛合、第2リングギヤ32rと第2ピニオンギヤ32pとの良好な噛合を確保しつつ、第1凹部311rを第1リングギヤ31rに形成すると共に、第2凹部321rを第2リングギヤ32rに形成することが可能となる。なお、第1および第2リングギヤ31r,32rの強度や、第1リングギヤ31rと第1ピニオンギヤ31pとの良好な噛合、第2リングギヤ32rと第2ピニオンギヤ32pとの良好な噛合を確保し得れば、第1および第2凹部311r,321rを第1および第2リングギヤ31r,32rの各ギヤ歯310r、320rの第1または第2ピニオンギヤ31p,32pと噛合する部分に形成してもよい。また、上記実施例のように、第1および第2リングギヤ31r,32rに各第1凹部311r,312rに沿って全周にわたって延びると共にギヤ歯310r,320r間の歯溝の底面から僅かに凹んだ溝312r、322rを形成すれば、より多くの作動油を溜めることができるが、第1および第2リングギヤ31r,32rから溝312r、322rを省略してもよい。
【0046】
加えて、変速装置30では、第2リングギヤ32rが、第2リングギヤ32rから内周側に延びる連結部材60と、当該連結部材60に連結される第1キャリア31cとを介して第2ブレーキハブ53に連結され、第1リングギヤ31rがラジアル軸受64やスラスト軸受65,67を介して第1キャリア31cと連結部材60とにより支持されるリングギヤフランジ40に取り付けられる。また、第1ブレーキハブ43は、リングギヤフランジ40と連結部材60との間に配置される軸受65を覆うようにリングギヤフランジ40に固定される。これにより、リングギヤフランジ40と連結部材60との間に配置されるスラスト軸受65に供給されて当該スラスト軸受65を通過した作動油を第1ブレーキハブ43により受け止め、当該第1ブレーキハブ43に形成された第1潤滑油流通孔43oへと導くことができるので、ブレーキB1の第1摩擦相手板41および第1摩擦板42により多くの作動油を供給することが可能となる。
【0047】
そして、実施例の変速装置30は、インプットシャフト34と第2サンギヤ32sとを連結すると共に両者の連結を解除することができるクラッチC1と、インプットシャフト34と第2キャリア32cとを連結すると共に両者の連結を解除することができるクラッチC2と、第2サンギヤ32sに連結される第3サンギヤ33s、第3サンギヤ33sと噛合する第3ピニオンギヤ33pを回転自在に支持すると共にアウトプットシャフト35に連結される第3キャリア33c、および第2キャリア32cに連結されると共に第3ピニオンギヤ33pと噛合する第3リングギヤ33rを有する第3遊星歯車機構33と、第3リングギヤ33rをトランスミッションケース22に固定可能なブレーキB3とを含む。更に、第1遊星歯車機構31は、第2遊星歯車機構32よりもインプットシャフト34側に配置されると共に第1サンギヤ31sがインプットシャフト34に連結され、第2遊星歯車機構32は、第3遊星歯車機構33よりもインプットシャフト34側に配置される。
【0048】
このように、第1遊星歯車機構31を第2遊星歯車機構32よりもインプットシャフト34側に配置すれば、第1遊星歯車機構31の第1リングギヤ31rの外周に配置されるブレーキB2もインプットシャフト34側に配置されることになり、一般にトランスミッションケース22のサイズはインプットシャフト34側で大きくなることから、低速段(第2速)の形成に際して係合されることによりブレーキB1に比べてより大きなトルク容量が要求されるブレーキB2のトルク容量を確保しつつ第1遊星歯車機構31の外周側におけるトランスミッションケース22のサイズアップを抑制することができる。また、第2遊星歯車機構32を第3遊星歯車機構33よりもインプットシャフト34側に配置すれば、第2遊星歯車機構32の第2リングギヤ32rの外周に配置されるブレーキB1のトルク容量を確保しつつ、第2遊星歯車機構32の外周側におけるトランスミッションケース22のサイズアップを抑制することができる。従って、実施例の変速装置30は、よりコンパクトに構成可能となる。
【0049】
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。すなわち、上記実施例では、変速比を複数段に変更しながらインプットシャフト34に付与された動力をアウトプットシャフト35に伝達可能な変速装置30が「変速装置」に相当し、第1サンギヤ31s、第1サンギヤ31sと噛合する第1ピニオンギヤ31pを回転自在に支持する第1キャリア31c、および第1ピニオンギヤ31pと噛合する第1リングギヤ31rを有する第1遊星歯車機構31が「第1遊星歯車機構」に相当し、第2サンギヤ32s、第2サンギヤ32sと噛合する第2ピニオンギヤ32pを回転自在に支持する第2キャリア32c、および第2ピニオンギヤ32pと噛合する第2リングギヤ32rを有する第2遊星歯車機構32が「第2遊星歯車機構」に相当し、第1および第2遊星歯車機構31,32を収容するトランスミッションケース22が「ケース」に相当し、第2リングギヤ32rの外周側に配置される第1ブレーキハブ43と、第1ブレーキハブ43の外周に嵌合される第1摩擦板42とを有し、第1リングギヤ31rをトランスミッションケース22に固定可能なブレーキB1が「第1ブレーキ」に相当し、第1リングギヤ31rの外周側に配置される第2ブレーキハブ53と、第2ブレーキハブ53の外周に嵌合される第2摩擦板52とを有し、第2リングギヤ32rをトランスミッションケース22に固定可能なブレーキB2が「第2ブレーキ」に相当し、第2リングギヤ32rに形成された少なくとも1個の第2潤滑油供給孔323rが「第2潤滑油供給孔」に相当し、第1ブレーキハブ43に形成された第1潤滑油流通孔43oが「第1潤滑油流通孔」に相当し、第1リングギヤ31rに形成された少なくとも1個の第1潤滑油供給孔313rが「第1潤滑油供給孔」に相当し、第2ブレーキハブに形成された第2潤滑油流通孔53oが「第2潤滑油流通孔」に相当する。
【0050】
ただし、上記実施例や変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例等が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であって、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。すなわち、実施例はあくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一例に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の解釈は、その欄の記載に基づいて行なわれるべきものである。
【0051】
以上、実施例を用いて本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、変速装置の製造産業において利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 自動車、12 エンジン、14 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、15 ブレーキ用電子制御ユニット(ブレーキECU)、16 クランクシャフト、18 フロントカバー、20 動力伝達装置、21 変速用電子制御ユニット(変速ECU)、22 トランスミッションケース、23 流体伝動装置、24 ポンプインペラ、25 タービンランナ、26 ステータ、26a ワンウェイクラッチ、27 ダンパ機構、28 ロックアップクラッチ、29 オイルポンプ、30 変速装置、31 第1遊星歯車機構、31c 第1キャリア、31p 第1ピニオンギヤ、31r 第1リングギヤ、31s 第1サンギヤ、32 第2遊星歯車機構、32c 第2キャリア、32p 第2ピニオンギヤ、32r 第2リングギヤ、32s 第2サンギヤ、33 第3遊星歯車機構、33c 第3キャリア、33p 第3ピニオンギヤ、33r 第3リングギヤ、33s 第3サンギヤ、34 インプットシャフト、35 アウトプットシャフト、36 連結ドラム、37 中間シャフト、38 スリーブ、40 リングギヤフランジ、40a 外周部、40b 内周部、41 第1摩擦相手板、42 第1摩擦板、43 第1ブレーキハブ、43a 外周部、43b 内周部、43o 第1潤滑油流通孔、44 第1ピストン、45 第1リターンスプリング、46 第1油室画成部材、51 第1摩擦相手板、52 第2摩擦板、53 第2ブレーキハブ、53a 外周部、53b 内周部、53o 第2潤滑油流通孔、54 第2ピストン、55 第2リターンスプリング、56 第2油室画成部材、60 連結部材、60a 外周部、60b 内周部、64 ラジアル軸受、65,66,67,68 スラスト軸受、70 油圧制御装置、72 ストレーナ、75 オイルパン、80 デファレンシャルギヤ、91 アクセルペダル、92 アクセルペダルポジションセンサ、93 ブレーキペダル、94 マスタシリンダ圧センサ、95 シフトレバー、96 シフトレンジセンサ、99 車速センサ、310r,320r ギヤ歯、311c 径方向延在部、312c 軸方向延在部、313c 径方向油路、314c 油路、311p 第1ピニオンシャフト、312p シャフト内油路、313p 径方向油路、311r 第1凹部、312r 溝、313r 第1潤滑油供給孔、321p 第2ピニオンシャフト、322p シャフト内油路、323p 径方向油路、321r 第2凹部、322r 溝、323r 第2潤滑油供給孔、371,372,373 油路、B1,B2,B3 ブレーキ、C1,C2 クラッチ、DW 駆動輪、F1 ワンウェイクラッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速比を複数段に変更しながら入力軸に付与された動力を出力軸に伝達可能な変速装置において、
第1サンギヤ、該第1サンギヤと噛合する第1ピニオンギヤを回転自在に支持する第1キャリア、および前記第1ピニオンギヤと噛合すると共に潤滑油を通過させる第1潤滑油供給孔が形成された第1リングギヤを有する第1遊星歯車機構と、
第2サンギヤ、該第2サンギヤと噛合する第2ピニオンギヤを回転自在に支持する第2キャリア、および前記第2ピニオンギヤと噛合する潤滑油を通過させる第2潤滑油供給孔が形成された第2リングギヤを有する第2遊星歯車機構と、
前記第1および第2遊星歯車機構を収容するケースと、
前記第2リングギヤの外周側に配置されると共に前記第2潤滑油供給孔からの前記潤滑油を流通させる第1潤滑油流通孔が形成された第1ブレーキハブと、該第1ブレーキハブの外周に嵌合される第1摩擦板とを有し、前記第1リングギヤを前記ケースに固定可能な第1ブレーキと、
前記第1リングギヤの外周側に配置されると共に前記第1潤滑油供給孔からの前記潤滑油を流通させる第2潤滑油流通孔が形成された第2ブレーキハブと、該第2ブレーキハブの外周に嵌合される第2摩擦板とを有し、前記第2リングギヤを前記ケースに固定可能な第2ブレーキとを備え、
前記第1および第2ブレーキの一方が前記第1または第2リングギヤを前記ケースに固定する際に、該第1および第2ブレーキの他方が該第2または第1リングギヤを回転可能に解放されることを特徴とする変速装置。
【請求項2】
請求項1に記載の変速装置において、
前記第1リングギヤの各ギヤ歯には、周方向に隣り合うように第1凹部が形成されると共に、前記第1潤滑油供給孔は、前記第1凹部と前記第1リングギヤの外側とを連通するように周方向に間隔をおいて複数形成され、
前記第2リングギヤの各ギヤ歯には、周方向に隣り合うように第2凹部が形成されると共に、前記第2潤滑油供給孔は、前記第2凹部と前記第2リングギヤの外側とを連通するように周方向に間隔をおいて複数形成されることを特徴とする変速装置。
【請求項3】
請求項2に記載の変速装置において、
前記第1凹部は、前記第1リングギヤの各ギヤ歯の前記第1ピニオンギヤと噛合しない部分に形成され、前記第2凹部は、前記第2リングギヤの各ギヤ歯の前記第2ピニオンギヤと噛合しない部分に形成されることを特徴とする変速装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の変速装置において、
前記第2リングギヤは、該第2リングギヤから内周側に延びる連結部材と、該連結部材に連結される前記第1キャリアとを介して前記第2ブレーキハブに連結され、
前記第1リングギヤは、複数の軸受を介して前記第1キャリアと前記連結部材とにより支持されるリングギヤフランジに取り付けられ、
前記第1ブレーキハブは、前記リングギヤフランジと前記連結部材との間に配置される軸受を覆うように該リングギヤフランジに固定されることを特徴とする変速装置。
【請求項5】
請求項4に記載の変速装置において、
前記入力軸と前記第2サンギヤとを連結すると共に両者の連結を解除することができる第1クラッチと、
前記入力軸と前記第2キャリアとを連結すると共に両者の連結を解除することができる第2クラッチと、
前記第2サンギヤに連結される第3サンギヤ、該第3サンギヤと噛合する第3ピニオンギヤを回転自在に支持すると共に前記出力軸に連結される第3キャリア、および前記第2キャリアに連結されると共に前記第3ピニオンギヤと噛合する第3リングギヤを有する第3遊星歯車機構と、
前記第3リングギヤを前記ケースに固定可能な第3ブレーキとを更に備え、
前記第1遊星歯車機構は、前記第2遊星歯車機構よりも前記入力軸側に配置されると共に前記第1サンギヤが前記入力軸に連結され、前記第2遊星歯車機構は、前記第3遊星歯車機構よりも前記入力軸側に配置されることを特徴とする変速装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−96559(P2013−96559A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242899(P2011−242899)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】