説明

外壁パネル取付工法及び外壁パネル取付治具

【課題】効率的に外壁パネルを縦張りすることができる外壁パネル取付工法及び外壁パネル取付治具を提供する。
【解決手段】建物に外壁パネルPを低層階から順に縦張りする外壁パネル取付工法であって、複数の外壁パネルPを整列して吊り治具10に配置する工程、第1連結部14c及び第2連結部14dを有するCT鋼14を外壁パネルPの上端部に固設することでユニット化する工程及び第1連結部14c及び吊り治具10を連結する工程を含む地組工程と、建物の外側から取付位置へユニット化された外壁パネルPを配置する配置工程と、第2連結部14dと躯体スラブ21とを連結することで、外壁パネルPの上端部側を建物に固定するとともに、外壁パネルPの下端部側に取り付けられたZクリップ15を低層階側のCT鋼14に係止させて外壁パネルPの下端部側を建物に固定する外壁パネル固定工程とを備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁パネルを躯体に縦張りする外壁パネル取付工法及び外壁パネル取付治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁として、耐久性・美的外観に優れた押出成形セメント板や、ALC、金属パネル等の外壁パネルが用いられている。外壁パネルを建物の躯体に取り付ける際には、躯体の周囲に並設された外部足場を利用することが一般的である。例えば、外部足場に取り付けられたベビーホイスト(楊重機)を用いて押出成形セメント板を吊り上げ、先行して躯体に溶接された下地金物に外壁パネルを取り付ける工法が知られている。
【0003】
上記の工法は、外部足場が必要となるため、高層建物の工法として採用することは困難である。このため、外部足場を不要とする外壁パネルの取付工法が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1記載の工法は、複数の外壁パネルを地組みしてユニット化し、ユニット化された外壁パネルを楊重して一括して躯体に取り付ける縦張り工法であり、以下の手順で作業する。まず、平置きした複数の外壁パネルの上部側に上部下地金物を取り付けるとともに、下部側に係止具を取り付けて定規材を係止具により仮止めしておく。建物の躯体には下部下地金物を溶接して固定しておく。次に、ユニット化された外壁パネルに吊具を取り付けて、躯体の取り付け位置まで楊重する。そして、ユニット化された外壁パネルの上部下地金物を躯体に溶接するとともに、ユニット化された外壁パネルの下部の定規材を取り外し、係止具を躯体の下部下地金物に取り付けて溶接する。
【0004】
ユニット化された外壁パネルの下部側を仮止めとする理由、及び、上部下地金物と同様に下部下地金物も外壁パネル側に取り付けることをしない理由は、ユニット化された外壁パネルの上下を一括して躯体に取り付けることを回避し、微妙な施工誤差を吸収できる工法とすることで作業性の低下防止を図るためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−346601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の外壁パネル取付工法にあっては、下部下地金物を建物側に先行して溶接する必要があるため、外部足場を完全に無くすことができない場合がある。例えば、図10に示すように、下部下地金物102は作業階のスラブ21の外側端部に溶接されるので、現場溶接の際に発生する火花99の落下養生101のために外部足場100が必要となる。
【0007】
一方、上部下地金物と同様に下部下地金物も外壁パネル側に取り付けることも考えられるが、上述の通り微妙な施工誤差を吸収できないおそれや、吊り上げ重量が増加するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、効率的に外壁パネルを縦張りすることができる外壁パネル取付工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る外壁パネル取付工法は、建物の外壁パネルを低層階から順に縦張りする外壁パネル取付工法であって、複数の前記外壁パネルを該外壁パネルの長手方向と交差する方向に整列して吊り治具上に配置する工程、第1連結部及び第2連結部を有する下地部材を前記外壁パネルの長手方向上端部に全ての前記外壁パネルを跨るように配置して固設することで複数の前記外壁パネルをユニット化する工程、及び、前記第1連結部及び前記吊り治具を着脱可能に連結する工程を含む地組工程と、前記吊り治具を楊重し、前記建物の外側から前記建物の躯体の取付位置へユニット化された前記外壁パネルを配置する配置工程と、前記取付位置において、前記第2連結部と前記建物の躯体とを連結することで、前記外壁パネルの長手方向上端部側を前記躯体に固定するとともに、前記外壁パネルの長手方向下端部側に取り付けられた前記下部係止部材を事前に取り付けた低層階側の前記下地部材に係止させて前記外壁パネルの長手方向下端部側を前記躯体に固定する外壁パネル固定工程と、を備えて構成される。
【0010】
本発明に係る外壁パネル取付工法では、地組工程にて、全ての外壁パネルを跨るように外壁パネルの長手方向上端部に下地部材を配置して固設する。このように、1つの下地部材のみで複数の外壁パネルが一体化されるのでユニット化された外壁パネルの軽量化を図ることができるとともに、下地部材が固設されているので楊重時においてユニット化された外壁パネルの落下を適切に防止することが可能となる。また、地組工程にて下地部材と外壁パネルとを固定する溶接等を実行することができるので、外壁パネル固定工程にて、下地部材の第2連結部と建物の躯体とを連結するだけで外壁パネルの上端部側が躯体に固定される。このため、躯体側にあらかじめ下地部材を溶接して取り付ける作業が不要となるので、結果、外部足場を不要にすることが可能となる。さらに、外壁パネル固定工程にて、外壁パネルの下端部側に取り付けられた下部係止部材が低層階側の下地部材に係止され固定される。このように、下地部材を、上端部側の連結部材および躯体取付部材として用いるとともに、高層階側のユニット化された外壁パネルの下部係止部材が係止される部材としても用いることができる。このため、少ない下地部材で外壁パネルを建物に縦張りすることが可能となる。よって、効率的に外壁パネルを縦張りすることができる。
【0011】
ここで、前記地組工程は、前記外壁パネルそれぞれの長手方向下端部側に下部係止部材を取り付ける工程を含んでもよい。このように、地組の時点で下部係止部材を取り付けておくことで、外壁パネル固定工程を迅速に行うことができる。
【0012】
また、前記外壁パネル固定工程の後に、前記第1連結部及び前記吊り治具の連結を外す取外工程を有することが好適である。このように構成することで、建物に外壁パネルを取り付けた後に吊り治具を開放することができるので、取付時における外壁パネルの落下を防止することが可能となる。
【0013】
また、前記地組工程は、前記外壁パネルそれぞれの長手方向上端部側に上部係止部材を取り付け、前記下地部材と前記上部係止部材とを係止させた状態で溶接してもよい。このように構成することで、建物側に下地部材を溶接することなく外壁パネルを建物に取り付けることができる。
【0014】
また、前記地組工程は、前記下地部材としてCT鋼を用い、前記建物の内側の前記外壁パネルの長手方向上端部の角部を前記CT鋼の内側隅部に配置して前記CT鋼の上板部の一部が前記外壁パネルの上端部の縁から当該外壁パネルの長手方向に沿って突出させた状態で溶接し、前記外壁パネル固定工程は、前記外壁パネルの前記下部係止部材を、低層階側の前記CT鋼の上板部の一部に係止させて固定することが好適である。
【0015】
このように構成することで、1つのCT鋼を、上端部側の連結部材および躯体取付部材として用いるとともに、高層階側のユニット化された外壁パネルの下部係止部材が係止される部材としても用いることができる。
【0016】
さらに、前記第1連結部及び前記第2連結部の連結は、ネジによる連結であってもよい。このように構成することで、連結に伴う作業を効率化することができる。
【0017】
また、本発明に係る外壁パネル取付治具は、建物の外壁パネルを低層階から順に縦張りするための外壁パネル取付治具であって、複数の前記外壁パネルの長手方向上端部のみに固定されて複数の前記外壁パネルをユニット化するとともに、前記外壁パネルをユニット化した状態で前記外壁パネルの長手方向上端部及び高層階側に取り付けられる前記外壁パネルの長手方向下端部を前記建物に固定する下地部材と、ユニット化された前記外壁パネルを楊重するための吊り治具と、を備え、前記下地部材は、前記吊り治具と着脱可能に連結される第1連結部及び前記建物と着脱可能に連結される第2連結部を有し、前記吊り治具は、前記下地部材の前記第1連結部を吊り支持点として前記外壁パネルを楊重可能に構成されることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る外壁パネル取付治具によれば、下地部材により、複数の外壁パネルが長手方向上端部のみを固定されることでユニット化され、下地部材と第1連結部で連結され当該連結部を吊り支持点とする吊り治具により、ユニット化された外壁パネルが吊り上げられる。このように、1つの下地部材のみで複数の外壁パネルが一体化されるのでユニット化された外壁パネルの軽量化を図ることができるとともに、外壁パネルに固設された下地部材に吊り治具を連結して吊り上げることで、外壁パネルを完全に固定した状態で楊重することが可能となる。よって、楊重時においてユニット化された外壁パネルの落下を適切に防止することができる。また、下地部材の第2連結部と建物の躯体とを連結するだけで外壁パネルの上端部側が躯体に固定されるので、躯体側にあらかじめ下地部材を溶接して取り付ける作業が不要となり、結果、外部足場を不要にすることが可能となる。さらに、下地部材を、上端部側の連結部材および躯体取付部材として用いるとともに、高層階側のユニット化された外壁パネルの下部固定部材としても用いることができる。このため、少ない下地部材で外壁パネルを建物に縦張りすることが可能となる。よって、効率的に外壁パネルを縦張りすることができる。
【0019】
ここで、前記下地部材は、上板部及び当該上板部の中央に立設された立設部を有するCT鋼であり、前記外壁パネルの長手方向上端部であって前記建物の内側に位置する角部を前記CT鋼の内側隅部に収容し、前記上板部の一部が前記外壁パネルの上端部の縁から当該外壁パネルの長手方向に沿って突出した状態で複数の外壁パネルに固定されており、前記外壁パネルの長手方向に沿って突出した前記上板部の一部は、高層階側に取り付けられる前記外壁パネルの長手方向下端部を前記建物に固定するように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、効率的に外壁パネルを縦張りすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る外壁パネル取付治具を説明する斜視図である。
【図2】図1の吊り治具にユニット化した外壁パネルを積載させた斜視図である。
【図3】図2に示す外壁パネル及び外壁パネル取付治具の一部を示す側面図である。
【図4】図2に示す外壁パネル及び外壁パネル取付治具の楊重・配置を説明する概要図である。
【図5】外壁パネルの取り付けの詳細を説明する斜視図である。
【図6】外壁パネルの垂直方向の断面図である。
【図7】外壁パネルの水平方向の断面図である。
【図8】建物の垂直方向の断面図である。
【図9】他の外壁パネルの取付例を示す垂直方向の断面図である。
【図10】従来の外部足場の必要性を説明する概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。なお、図中の寸法比率は必ずしも説明中のものとは一致していない。
【0023】
本実施形態に係る外壁パネル取付工法及び外壁パネル取付治具は、押出成形セメント板、ALC、金属パネル等の外壁パネルを建物の低層階から高層階へ向けて順に縦張りする工法及び治具であって、複数の外壁パネルを地組みしてユニット化し、ユニット化された外壁パネルを楊重して一括して建物の躯体に取り付ける工法及び治具である。なお、以下では、特に明示する場合を除き、「上」、「下」という文言は吊り上げ時(すなわち、建物取付時)を基準として用いる。また、説明理解の容易性を考慮して、以下では外壁パネルとして押出成形セメント板を採用する場合を説明する。
【0024】
最初に、本実施形態に係る外壁パネル取付治具から説明する。外壁パネル取付治具は、吊り治具及び下地部材を備えている。図1は、本実施形態に係る外壁パネル取付治具の吊り治具を説明する概要図、図2は、図1の吊り治具に下地部材によりユニット化した外壁パネルを積載させた斜視図、図3は、図2に示す外壁パネル及び外壁パネル取付治具の一部を示す側面図である。なお、図1〜3は、吊り治具を平置きした状態である。
【0025】
図1に示すように、吊り治具10は、略同一の長さの直線状の形鋼からなる格子状の枠体であって、吊り上げ時において最も上側となる上部形鋼10a、最も下側となる下部形鋼10b、上部形鋼10a及び下部形鋼10bの端部を連結する一対の側部形鋼10cを備えている。上部形鋼10a及び下部形鋼10bとの間には、形鋼10dが間隔を空けて複数並設され、側部形鋼10c間には、形鋼10eが間隔を空けて複数並設されている。上部形鋼10a、側部形鋼10c及び形鋼10eとしては、例えばH形鋼が用いられ、下部形鋼10b及び形鋼10dとしては、例えば溝形鋼が用いられる。なお、上記の形鋼の長さは、例えば6mである。また、図2に示すように、平置きした吊り治具10の形鋼10d及び下部形鋼10bに外壁パネルPが平置きされて積載される。外壁パネルPは、略長方形の押出成形セメント板であって、その内部には長手方向に延在する貫通中空部Paが複数形成されている。
【0026】
吊り治具10の上部形鋼10aの上面には、貫通孔を有する板状の吊り金具11が間隔を空けて複数立設されている。この吊り金具11の貫通孔にチェーンブロック50が挿通され、ワイヤー12を介して吊り上げられる。ここでは、上部形鋼10aの上面に2つの吊り金具11が立設され、2点吊り可能に構成される例を示している。なお、3つ以上の吊り金具11を設けてもよい。また、図3に示すように、形鋼10eの上側には、外壁パネルPの載置側とは反対となる方向に突出するように吊り金具51が立設されており、吊り金具11と同様に、吊り金具51の貫通孔にチェーンブロック50が挿通される。
【0027】
また、図1に示すように、形鋼10d及び下部形鋼10bには、外壁パネルPが載置される面に、外壁パネルの横方向の位置決めをするための当たり(コマ)13が複数設けられている。コマ13は、ここでは形鋼10d及び下部形鋼10bの延在方向と直交する方向に沿って延在する略四角柱状の突起であって、外壁パネルが突き当てられる両側部の角部が切りかかれておりテーパ状の横断面を有する。
【0028】
また、図3に示すように、下部形鋼10bの下面には、板状部材10gが取り付けられている。板状部材10gは、その主面が下部形鋼10bの下面と対向し、かつ、その端部10hが下部形鋼10bの縁から外壁パネルPの載置面側に突出するように取り付けられる。この端部10hは、地組時において外壁パネルPの縦方向の位置決めをするための当たりとして機能するとともに、吊り上げ時において外壁パネルを支持する部材として機能する。端部10hの突出幅については、後述する。
【0029】
上部形鋼10aに隣接する形鋼10dには、下地部材14と着脱可能に連結される落下防止部材10fが形鋼10dの長手方向に間隔を空けて複数取り付けられている。落下防止部材10fは、板状部材であってL字形状の主面を有するとともに、主面の両端部が屈曲されて腕部が形成されている。それぞれの腕部には貫通孔が設けられており、一方の腕部は例えばネジ止めにより形鋼10dの底板部に固定される。他方の腕部の連結(下地部材14との連結)については後述する。
【0030】
次に、下地部材14の詳細を説明する。下地部材14は、ここでは断面形状がT字のCT鋼14が用いられる。CT鋼14は、T字の上部を構成する上板部14aと上板部14aの中央に立設された立設部14bとを備えている。CT鋼14は、その内側隅部に外壁パネルPの内装主面側の上端部における角部Pbを収容し、全ての外壁パネルPを跨るように外壁パネルPの上端部のみに配置されて固定される。例えば、平置き状態で上面側となる外壁パネルPの1枚の主面の四隅それぞれに、パネル取付用のZクリップ(上部係止部材及び下部係止部材)15がボルト及びナットによりネジ止めで取り付けられており、当該Zクリップ15とCT鋼14の上板部14aとが溶接により固定されることで、外壁パネルPとCT鋼14とが固定される。
【0031】
また、CT鋼14の上板部14aの一部は、外壁パネルの上端部の縁から当該外壁パネルの長手方向に沿って突出した状態とされている。この突出した上板部14aの一部分に、ねじ等の締結具を挿通可能な貫通孔が形成されて第1連結部14cとされる。第1連結部14cの貫通孔は、落下防止部材10fの他方の腕部に形成された貫通孔と対応するようにCT鋼14の長手方向に沿って複数形成されている。CT鋼14と吊り治具10とは、第1連結部14cの貫通孔と落下防止部材10fの貫通孔とが位置あわせされボルト及びナットによるネジ止めで着脱可能に連結される。
【0032】
また、CT鋼14の上板部14aの外側には、建物と連結可能な第2連結部14dが形成されている。第2連結部14dは、矩形帯状の金物をL形状に曲げて成形されており、曲げによって立設された立設部に貫通孔14gが設けられている。例えば、CT鋼14の上板部14aに、貫通孔14gの貫通方向がCT鋼14の長手方向に沿うように第2連結部14dを配置して溶接される。なお、第2連結部14dは、L形状に限られず、貫通孔を有する矩形帯状の金物をCT鋼14の上板部14aに立設して形成されてもよい。
【0033】
上述した吊り治具10及びCT鋼14を用いて複数の外壁パネルPが建物に縦張りされる。以下では、本実施形態に係る外壁パネル取付工法について詳細を説明する。
【0034】
(地組工程)
吊り治具10を吊り上げる前に、図1に示すように吊り治具10を予め定められた作業ヤードに平置きし、外壁パネルのユニット化及び吊り治具10への取り付けを行う。まず、図2に示すように、複数の外壁パネルPを整列させながら吊り治具10上に配置する。このとき、コマ13や板状部材10gの端部10hを用いて、外壁パネルPを整列させてもよい。複数の外壁パネルPは、該外壁パネルPの長手方向と交差する方向に整列されて平置きされる。なお、ここでは、外壁パネルPの長手方向は約4m(1階分の高さに相当)であり、幅6m程度の吊り治具10に複数枚並設される。平置き状態で上面側となる外壁パネルPの主面が建物内側に対向して配置される内装主面となり、平置き状態で下面側となる外壁パネルPの主面が建物外側に対向して配置される外装主面となる。
【0035】
外壁パネルPを吊り治具10上に配置した後、パネル1枚の内装主面の上端側及び下端側の四隅それぞれに、パネル取付用の上部係止部材及び下部係止部材をボルト及びナットによるネジ止めで取り付ける。外壁パネルPの四隅それぞれには、貫通中空部Paまで連通する貫通孔が形成されている。図2,3に示すように、係止部材としては、矩形帯状の金物をZ形状に曲げ成形されたZクリップ15が用いられる。Zクリップ15の一方の端部には、ボルトを挿通するためにZクリップ15の長手方向に沿った長孔が形成されている。Zクリップ15を、その長手方向が外壁パネルPの長手方向と沿うように内装主面に配置し、Zクリップ15の長孔と外壁パネルPの貫通孔とを位置あわせしてボルトを貫通中空部Pa内部まで挿入し、貫通中空部Pa内部に配置したナットと螺合し、締め付けることで外壁パネルPにZクリップ15を固定する。これにより、Zクリップ15の一端部は外壁パネルPに密着するとともに、Zクリップ15の他端部は外壁パネルPとの間に間隙を設けた状態で固定される。ここでは、Zクリップ15を、その他端部が外壁パネルPの上端部側に向くように取り付ける。なお、Zクリップ15は、ナットを完全に締め付けなければ、長孔の遊び分だけ長手方向に移動調整可能であり、また、ボルトを軸に回転させることもできる。なお、上記のZクリップ15の取り付け作業は、作業ヤードに配置する前の仮置き場所で実施してもよい。この場合、1つのユニットが作業ヤードを占有する時間が短縮されるため、より効率的な取付作業をすることができる。
【0036】
次に、外壁パネルPの上端部に全ての外壁パネルPを跨るようにCT鋼14を配置する。外壁パネルPの内装主面側の上端部における角部Pbを、CT鋼14の内側隅部に配置するとともに、Zクリップ15と内装主面との間に設けられた間隙にCT鋼14の上板部14aの一端部を挟みこんで係止する。上記状態のまま、Zクリップ15とCT鋼14の上板部14aの一端部とを溶接により固設する(図3中のY)。上端部側に配置された全てのZクリップ15とCT鋼14とを溶接することにより、複数の外壁パネルPの上端部とCT鋼14とが固定されるため、吊り上げ時の落下防止を図ることができる。
【0037】
次に、CT鋼14と吊り治具10とを着脱可能に連結する。CT鋼14の上板部14aの一部分(第1連結部14c)に設けられた貫通孔と落下防止部材10fの他方の腕部に設けられた貫通孔とを位置あわせして、ボルト及びナットによるネジ止めで連結する(図3中の第1連結部14c)。この連結を複数箇所で行うことで、落下防止部材10fを介して、CT鋼14と吊り治具10とが着脱可能に連結される。
【0038】
次に、CT鋼14の上板部14aに、建物の躯体と連結するための第2連結部14dを、CT鋼14の長手方向に間隔を空けて複数取り付ける。CT鋼14の上板部14aに、第2連結部14dの貫通孔14gの貫通方向がCT鋼14の長手方向に沿うように第2連結部14dを配置して溶接する。なお、第2連結部14dは、CT鋼14を作業ヤードへ持ち込む前に予めCT鋼14に溶接しておいてもよい。
【0039】
以上で地組工程を終了する。なお、上記で説明した地組工程は、工程順序を入れ替えて実行してもよい。例えば、CT鋼14に第2連結部14dを溶接した上で吊り治具10と連結し、その後、外壁パネルPを並べ、Zクリップ15を取り付けて溶接してもよい。また、上記の地組工程の説明では省略したが、後述する外壁パネルP間のシールやガスケットの取り付け、外壁パネルPとCT鋼14との間のガスケットの取り付けも地組工程で行われる。さらに、図3の2点鎖線で示すように、吊り上げ時の安定性の向上及び落下防止を図るために、外壁パネルPの下端部をしゃこ万力16で吊り治具10に仮止めしてもよい。しゃこ万力16は落下防止ワイヤーで吊り治具10と接続してもよい。
【0040】
(配置工程)
地組工程が終了すると、吊り治具10をクレーン17で楊重して、ユニット化された外壁パネルPを取付位置へ搬送する。図4は、図2に示す外壁パネル及び吊り治具の楊重・配置を説明する概要図である。図4に示すように、クレーン17で建物20の外側から建物20の躯体の取付位置へユニット化された外壁パネルPを配置する。配置する際には、例えば建物内側から作業員が取り付け位置の調整を行ってもよい。また、しゃこ万力16を用いて仮止めしている場合には、取付位置付近でしゃこ万力16を取り外してから配置する。なお、図3に示すように、ユニット化された外壁パネルPの下端部は、低層階側のCT鋼14の内側隅部に収容されるように配置されるため、外壁パネルの配置時においてCT鋼14の立設部14bと、吊り治具10の板状部材10gの端部10hとが当たらないように、端部10hの突出幅が予め調整されている。
【0041】
(外壁パネル固定工程)
配置工程が終了すると、外壁パネルを建物20の躯体に固定する。なお、この工程の前に、ユニット化された外壁パネルPと連結するための取付用ファスナー(埋込金物)を建物20の躯体に取り付けておく。図5は、外壁パネルPの取り付けの詳細を説明する斜視図である。図5に示すように、取付用ファスナー22は、矩形板状の金物をL字状に屈曲されて形成された本体部22aと、本体部22aの内側隅部から伸びる埋め込み用の足部22bと、本体部22aの外側の主面の中央に立設され貫通孔22dを有する取付部22cとを有する。取付用ファスナー22は、本体部22aの内側隅部が躯体スラブ21の上面の角部に突き当てられるとともに、取付部22cが躯体スラブ21の上面から突出し、貫通孔22dの貫通方向が躯体スラブ21の端部に沿った方向となるように、足部22bを躯体スラブ21の内部に埋め込んで固定する。取付用ファスナー22は、躯体スラブ21の端部に沿った方向に間隔を空けて、CT鋼14の第2連結部14dと対応する位置に複数設けられる。
【0042】
最初に、取付用ファスナー22の取付部22cとCT鋼14の第2連結部14dとを突き当てて、取付部22cの貫通孔22dと第2連結部14dの貫通孔14gとを位置あわせする。そして、ボルト及びナットによるネジ止めで連結する。この連結を複数箇所で行うことで、外壁パネルPの上端部側を躯体スラブ21に固定する。そして、外壁パネルPの下端部側に設けられたZクリップ15のネジ止めを緩めて180度反転させ、事前に下層階の躯体スラブ21に取り付けたCT鋼14に係止させて外壁パネルPの下端部側を躯体スラブ21に固定する。
【0043】
(取外工程)
外壁パネル固定工程の後に、外壁パネルPと吊り治具10とを連結していた第1連結部14cにおけるネジ止めを緩めて連結を外す。このとき、吊り治具10全体の重心がパネル積載時(吊り上げ時)と異なるものとなるため、取り外した吊り治具10が建物側に傾斜するおそれがある。このように吊り治具10が建物側に傾斜した場合、吊り治具10の下端である板状部材10gの端部10hが、低層側の外壁パネルPを傷つけるおそれがある。このため、吊り金具51を介して吊り治具10に建物外側方向の力を加え、吊り治具10が略垂直となる状態のまま取り外す。このように、吊り治具10に鉛直方向だけでなく水平方向にも力を加えて取り外すことで、吊り治具10が建物側に傾斜することを回避できる。また、吊り治具10が建物側に多少傾斜した場合であっても、吊り治具10の下端である板状部材10gの端部10hが低層側の外壁パネルPに当たらないように、端部10hは面取りされていることが好適である。吊り治具10を開放した後、作業ヤードへ戻し、外壁パネルPの建物側への取り付けを完了する。
【0044】
以上の工程を建物の外壁面積や階数に応じて繰り返し実行することで、外壁パネルPを建物の躯体スラブに取り付けることができる。また、作業ヤードに余裕がある場合には、吊り治具10を2台配置することで、一方の吊り治具10を楊重している間に、他方の吊り治具10に地組することが可能となるので、作業待ち時間を短縮して効率化を図ることができる。
【0045】
次に、外壁パネルP間の詳細構造について説明する。最初に、階ごとの取り付け構造について詳細を説明する。図6は、外壁パネルPの垂直方向の断面図である。図6では、N階部分の外壁パネルPとN+1階部分の外壁パネルPとの連結部分の断面図を示している。図6に示すように、N階部分の外壁パネルPの上端のZクリップ15は、外壁パネルPの内装主面とCT鋼14の上板部14aとの間に硬質パッキン26を配置し、さらに、外壁パネルPの上端面とCT鋼14の立設部14bとの間には右から順にEPDM等ガスケット27及びロックウール28を配置した状態で、外壁パネルPにネジ止めされてCT鋼14に溶接される。なお、この時、錆止めの補修も合せて行ってもよい。ここまでの工程は地組工程で行われる。
【0046】
一方、N階部分の外壁パネルPの取付後、CT鋼14の上板部14aの上側先端側から隅部を通り立設部14bの先端側へ連通する水切25を形成する。そして、N+1階部分の外壁パネルPの下端のZクリップ15は、N+1階部分の外壁パネルPの内装主面とCT鋼14の上板部14aとの間に上から順に縦ガスケット31及び硬質パッキン32を配置し、さらに、外壁パネルPの下端面とCT鋼14の立設部14bとの間には硬質パッキン34を配置した状態で、CT鋼14に係止される。なお、N階部分の外壁パネルPとN+1階部分の外壁パネルPとの間に配置されたシール又はガスケット24はゴンドラ等で後から取り付けられる。また、外壁パネルPの側部のシール30については、シール30の硬化に日数を要するため外壁パネルを取付後に行う。
【0047】
次に、隣接する外壁パネルの取り付け構造について詳細を説明する。図7は、外壁パネルPの水平方向の断面図である。図7では、外壁パネルPの下端部側に近い位置での水平断面を示している。図7に示すように、隣接して並ぶ外壁パネルP同士は凹凸嵌合Cによって互いに接続されており、シール又はガスケット35が形成される。なお、図7において、CT鋼14の上板部14aと第2連結部14dとの溶接箇所をYで示している。
【0048】
以上、本実施形態に係る外壁パネル取付治具によれば、CT鋼14により、複数の外壁パネルPが長手方向上端部のみを固定されることでユニット化され、CT鋼14と第1連結部14cを吊り支持点とする吊り治具10により、ユニット化された外壁パネルPが吊り上げられる。このように、1つのCT鋼14のみで複数の外壁パネルPが一体化されるのでユニット化された外壁パネルPの軽量化を図ることができるとともに、外壁パネルPに固設されたCT鋼14に吊り治具10を連結して吊り上げることで、外壁パネルPを完全に固定した状態で楊重することが可能となる。よって、楊重時においてユニット化された外壁パネルPの落下を適切に防止することができる。また、CT鋼14の第2連結部14dと建物の躯体とを連結するだけで外壁パネルPの上端部側が躯体に固定されるので、躯体側にあらかじめ下地部材を溶接して取り付ける作業が不要となり、結果、外部足場を不要にすることが可能となる。さらに、CT鋼14を、上端部側の連結部材および躯体取付部材として用いるとともに、高層階側のユニット化された外壁パネルPの下部係止部材が係止される部材としても用いることができる。このため、少ない下地部材で外壁パネルPを建物に縦張りすることが可能となる。このように、外部足場を不要とし、確実に外壁パネルを吊り治具に固定し、さらに取り付け作業に用いる部品点数を抑えることで、効率的に外壁パネルPを縦張りすることができる。
【0049】
同様に、本実施形態に係る外壁パネル取付工法では、地組工程にて、全ての外壁パネルPを跨るように外壁パネルPの長手方向上端部にCT鋼14を配置して固設する。このように、1つのCT鋼14のみで複数の外壁パネルPが一体化されるのでユニット化された外壁パネルPの軽量化を図ることができるとともに、CT鋼14が固設されているので楊重時においてユニット化された外壁パネルPの落下を適切に防止することが可能となる。特に、押出成形セメント板は、一般的に軽量気泡コンクリート板に比べて滑り易く、しゃこ万等による緊結のみでは落下の危険を排除できないが、本実施形態の外壁パネル取付工法を採用することで落下を確実に防止することができる。また、外壁パネル固定工程にて、CT鋼14の第2連結部14dと建物の躯体スラブ21の取付用ファスナー22とを連結するだけで外壁パネルPの上端部側が躯体スラブ21に固定されるので、躯体側で下地部材の溶接作業が不要となり、結果、外部足場を不要にすることが可能となる。このため、低中層の建築物だけでなく、高層ビル等の建築に採用することができる。さらに、外壁パネル固定工程にて、外壁パネルPの下端部側に取り付けられたZクリップ15が低層階側のCT鋼14に係止され固定される。このように、CT鋼14を、上端部側の連結部材および躯体スラブ21への取付部材として用いるとともに、高層階側のユニット化された外壁パネルPのZクリップ15が係止される部材としても用いることができる。このため、例えば図8に示すように、一階あたり複数の形鋼を用いることなく、一階あたり1本のCT鋼14で外壁パネルPを建物に縦張りすることが可能となる。よって、作業効率の向上、材料コストの低減、建築物の軽量化を実現することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る外壁パネル取付工法では、地組工程で外壁パネルPそれぞれの長手方向の下端部側にZクリップ15を取り付ける工程を含むため、外壁パネル固定工程を円滑かつ迅速に行うことができる。
【0051】
また、本実施形態に係る外壁パネル取付工法では、外壁パネル固定工程の後に、第1連結部14c及び吊り治具10の連結を外す取外工程を有するため、建物に外壁パネルPを取り付けた後に吊り治具10を開放することができるので、取付時における外壁パネルの落下を防止することが可能となる。
【0052】
本発明は、上記の実施形態に限定されず、例えば、外壁パネルPは押出成形セメント板に限定されず、他の素材からなるパネルであってもよい。また、吊り治具10の形状は矩形に限定されず、例えば、前部と後部とが湾曲していてもよい。
【0053】
また、上述した実施形態では、貫通孔14gの貫通方向がCT鋼14の長手方向に沿うように第2連結部14dをCT鋼14に配置して溶接する例を説明したが、図9に示すように、貫通孔14gの貫通方向がCT鋼14の長手方向に直交する方向に沿うように第2連結部14dをCT鋼14に配置して溶接してもよい。この場合、外壁パネル固定工程の前に取り付けられる取付用ファスナー22の代わりに、ボルト接合部分が躯体スラブ21の主面垂直方向へ延びるように、躯体スラブ21内部に埋め込まれた埋込ボルト40を有し、埋込ボルト40を貫通孔14gに挿通させてナットで締め付けることで外壁パネルPを躯体スラブ21に取り付けることができる。なお、躯体スラブ21は、シールを打ち易くするためにテーパ部21aを有していてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態では、図6を用いて、外壁パネルP間、外壁パネルPとCT鋼14との間に設けられるガスケット・シールについて詳細を説明したが、図6に示される部品の形状及び構成に限られるものではなく、例えば、図9に示すように、一部ガスケットやシールについては適宜設けなくてもよい。
【0055】
さらに、上述した実施形態では、下地部材14として、断面形状がT字のCT鋼14が用いられる例を説明したが、例えば断面形状がL字のアングルを2つ組み合わせる場合であってもよい。この場合、地組工程において、外壁パネルPの上下端部側に、全ての外壁パネルを跨がるように上部アングル及び下部アングルをそれぞれ配置し、2つのアングルのうち上部アングルのみZクリップ15と溶接して固着し、上部アングルの第1連結部と吊り治具10とをボルトにより固定する。そして、吊り治具10を吊り上げて、取付位置において、上部アングルの第2連結部と取付用ファスナー22とをボルトにより連結するとともに、下部アングルの連結部と低階層側に位置する取付用ファスナー22とをボルトにより連結する。その後、吊り治具10を解放する。このように、下部アングルと、低層階側の外壁パネルPの上端部側に設けた上部アングルとの2つを組み合わせて断面形状がT字となるように取り付けてもよい。2つのL字のアングルの組み合わせた場合であっても、地組工程で外壁パネル取付治具と上部アングルとを溶接により固定することができるので、建物側での溶接を不要としつつ、吊り上げ時のパネル落下を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0056】
10…吊り治具、14…CT鋼(下地部材)、14a…上板部、14b…立設部、14c…第1連結部、14d…第2連結部、14g…貫通孔、15…Zクリップ(係止部材)、21…躯体スラブ、22…取付用ファスナー、22a…本体部、22b…足部、22c…取付部、22d…貫通孔、P…外壁パネル、Pa…貫通中空部、Pb…角部、Pc…凸部、Pd…凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁パネルを低層階から順に縦張りする外壁パネル取付工法であって、
複数の前記外壁パネルを該外壁パネルの長手方向と交差する方向に整列して吊り治具上に配置する工程、第1連結部及び第2連結部を有する下地部材を前記外壁パネルの長手方向上端部に全ての前記外壁パネルを跨るように配置して固設することで複数の前記外壁パネルをユニット化する工程、及び、前記第1連結部及び前記吊り治具を着脱可能に連結する工程を含む地組工程と、
前記吊り治具を楊重し、前記建物の外側から前記建物の躯体の取付位置へユニット化された前記外壁パネルを配置する配置工程と、
前記取付位置において、前記第2連結部と前記建物の躯体とを連結することで、前記外壁パネルの長手方向上端部側を前記躯体に固定するとともに、前記外壁パネルの長手方向下端部側に取り付けられた前記下部係止部材を事前に取り付けた低層階側の前記下地部材に係止させて前記外壁パネルの長手方向下端部側を前記躯体に固定する外壁パネル固定工程と、
を備えることを特徴とする外壁パネル取付工法。
【請求項2】
前記地組工程は、前記外壁パネルそれぞれの長手方向下端部側に下部係止部材を取り付ける工程を含む請求項1に記載の外壁パネル取付工法。
【請求項3】
前記外壁パネル固定工程の後に、前記第1連結部及び前記吊り治具の連結を外す取外工程を有する請求項1又は2に記載の外壁パネル取付工法。
【請求項4】
前記地組工程は、前記外壁パネルそれぞれの長手方向上端部側に上部係止部材を取り付け、前記下地部材と前記上部係止部材とを係止させた状態で溶接する請求項1〜3の何れか一項に記載の外壁パネル取付工法。
【請求項5】
前記地組工程は、前記下地部材としてCT鋼を用い、前記建物の内側の前記外壁パネルの長手方向上端部の角部を前記CT鋼の内側隅部に配置して前記CT鋼の上板部の一部が前記外壁パネルの上端部の縁から当該外壁パネルの長手方向に沿って突出させた状態で溶接し、
前記外壁パネル固定工程は、前記外壁パネルの前記下部係止部材を、低層階側の前記CT鋼の上板部の一部に係止させて固定する請求項4に記載の外壁パネル取付工法。
【請求項6】
前記第1連結部及び前記第2連結部の連結は、ネジによる連結である請求項1〜5の何れか一項に記載の外壁パネル取付工法。
【請求項7】
建物の外壁パネルを低層階から順に縦張りするための外壁パネル取付治具であって、
複数の前記外壁パネルの長手方向上端部のみに固定されて複数の前記外壁パネルをユニット化するとともに、前記外壁パネルをユニット化した状態で前記外壁パネルの長手方向上端部及び高層階側に取り付けられる前記外壁パネルの長手方向下端部を前記建物に固定する下地部材と、
ユニット化された前記外壁パネルを楊重するための吊り治具と、
を備え、
前記下地部材は、前記吊り治具と着脱可能に連結される第1連結部及び前記建物と着脱可能に連結される第2連結部を有し、
前記吊り治具は、前記下地部材の前記第1連結部を吊り支持点として前記外壁パネルを楊重可能に構成されること、
を特徴とする外壁パネル取付治具。
【請求項8】
前記下地部材は、
上板部及び当該上板部の中央に立設された立設部を有するCT鋼であり、
前記外壁パネルの長手方向上端部であって前記建物の内側に位置する角部を前記CT鋼の内側隅部に収容し、前記上板部の一部が前記外壁パネルの上端部の縁から当該外壁パネルの長手方向に沿って突出した状態で複数の外壁パネルに固定されており、
前記外壁パネルの長手方向に沿って突出した前記上板部の一部は、高層階側に取り付けられる前記外壁パネルの長手方向下端部を前記建物に固定する請求項7に記載の外壁パネル取付治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−57370(P2012−57370A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202158(P2010−202158)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【特許番号】特許第4709321号(P4709321)
【特許公報発行日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(510243724)ISエンジニアリング株式会社 (1)
【Fターム(参考)】