説明

外壁パネル

【課題】 施工現場の環境を悪化させることなく、かつ、施工の簡素化を図りながら、所望の耐火性能が確保される外壁となし得る外壁パネルを提供する。
【解決手段】 本発明の外壁パネルPは、面材10の裏面外縁部に耐火バンド40を備えてなることを特徴とする。ここで、耐火バンド40は、例えば、ロックウールフェルト、繊維セメント系板材、珪酸カルシウム系板材、またはゴム板材からなるものとされる。また、耐火バンド40の面材裏面への配設は、接着材による接着またはビス留めによりなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外壁パネルに関する。さらに詳しくは、所望の耐火性能が確保されてなる外壁パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院や老人ホームなどの建物においては、外壁を耐火構造とすることが求められている。そのため、外壁は、図5に示すように、外壁パネルP‘の面材100を耐火性を有するGRC(ガラス繊維補強コンクリート)とするとともに、その裏面(室内側の面)101全面に耐火・断熱性を有するロックウール層110を形成してなる構成とされている。
【0003】
しかしながら、このロックウール層110は、外壁パネルP‘を据付けた後にロックウールを吹き付けることにより形成されているため、施工現場の環境を悪化させるおそれがあるという問題がある。また、吹き付け作業によりロックウール層110を形成しているため、作業工数の増加および施工の長期化を招来しているという問題もある。さらに、ロックウール層110を面材100の裏面101全面に形成していため、過剰品質となっているという問題もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、施工現場の環境を悪化させることなく、かつ、施工の簡素化を図りながら、所望の耐火性能が確保される外壁となし得る外壁パネルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、かかる従来技術の課題に対し鋭意研究した結果、目地部周囲の耐火性を確保することにより、所望の耐火性が外壁パネルに得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなちわ、本発明の外壁パネルは、面材の裏面外縁部に耐火バンドを備えてなることを特徴とする。
【0007】
本発明の外壁パネルにおいては、耐火バンドが、例えば、ロックウールフェルト、繊維セメント系板材、珪酸カルシウム系板材、またはゴム板材からなるものとされる。
【0008】
しかして、本発明の外壁パネルは、外壁構造に備えられ、またその外壁構造は、建築物に備えられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、施工現場において外壁パネルに耐火処理をすることなく、従来と同様の施工手順により、所望の耐火性能を有する外壁構造を実現できるという優れた効果が得られる。また、施工現場で外壁パネルに耐火処理をする必要がないので、耐火処理による施工現場の環境が悪化するおそれもないという優れた効果も得られる。さらに、耐火層を面材の裏面外縁部のみに設けているので、外壁パネルのコスト上昇を必要最小限に抑えることができるという優れた効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0011】
本発明の一実施形態に係る外壁パネルを図1および図2に示す。
【0012】
外壁パネルPは、図1および図2に示すように、GRCからなる面材10と、面材10表面に配設されたタイル20と、面材10裏面に配設されたパネルフレーム30と、パネルフレーム30外周に枠状に配設された耐火バンド40とを主要構成要素として備えてなるものとされる。なお、図中、符号50は環状ガスケットを示す。
【0013】
面材10、タイル20およびパネルフレーム30は、従来の外壁パネルと同様とされているので、それらの詳細な説明は省略する。
【0014】
耐火バンド40は、例えばロックウールフェルトを帯状または枠状に形成してなるものとされる。耐火バンド40の幅は、パネルフレーム30の外方に位置する面材裏面および環状ガスケット50を覆うことができるように調整されている。また、耐火バンド40の厚みは、所望の耐火性能が発揮できるように調整されている。例えば、耐火バンド40としてロックウールフェルトを用いた場合には、25mm程度の厚みとされる。
【0015】
ここで、耐火バンド40としては、ロックウールフェルトの他に、繊維セメント系板材、珪酸カルシウム系板材、ゴム板材などを用いることができる。
【0016】
また、この耐火バンド40の面材10への配設は、例えば耐熱性を有する接着剤、シリコーン樹脂系接着剤により接着することによりなされる。なお、耐火バンド40の面材10への配設は、ビス留めによりなしてもよく、また接着剤とビス留めとを併用することによりなしてもよい。
【0017】
しかして、かかる構成とされた外壁パネルPは、従来の外壁パネルと同様の施工手順により、据付けることができる。
【0018】
図3および図4に、かかる構成とされた外壁パネルPを用いた外壁構造の目地部60を断面で示す。
【0019】
図3および図4から、目地部60の背後に耐火バンド40による耐火領域が形成され、所望の耐火性能が発揮されているのがわかる。
【0020】
このように、この実施形態によれば、現場における工数を増加させることなく、所望の耐火性能を有する外壁構造を得ることができる。また、現場において耐火処理をする必要がないので、それによる施工現場における環境が悪化するおそれもない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、耐火性を要求される外壁構造に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る外壁パネルの中間部を省略した縦方向断面図である。
【図2】同横方向の部分断面図である。
【図3】同実施形態の外壁パネルを用いた外壁構造の横目地部の断面図である。
【図4】同縦目地部の断面図である。
【図5】従来の耐火性を有する外壁パネルの要部断面図である。
【符号の説明】
【0023】
10 面材
20 タイル
30 パネルフレーム
40 耐火バンド
50 環状ガスケット
P 外壁パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面材の裏面外縁部に耐火バンドを備えてなることを特徴とする外壁パネル。
【請求項2】
耐火バンドが、ロックウールフェルト、繊維セメント系板材、珪酸カルシウム系板材、またはゴム板材からなることを特徴とする請求項1記載の外壁パネル。
【請求項3】
請求項1または2記載の外壁パネルを備えてなることを特徴とする外壁構造。
【請求項4】
請求項3記載の外壁構造を備えてなることを特徴とする建築物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−274649(P2006−274649A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−94408(P2005−94408)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】