説明

外壁材固定具

【課題】様々な断面寸法の胴縁に対応し外壁材を胴縁に強固に固定でき施工性に優れた外壁材固定具を提供する。
【解決手段】外壁材固定具を、上方に雄ねじ1aaが突設された載置部1aの一端から下方に屈曲され胴縁固定用のタッピンねじ挿通用穴1baを有する胴縁固定部1bが形成されたベース部材1と、雄ねじ1aaをスライド自在に挿通させる長穴2aa有するスライド部2aの一端から上方に屈曲され挿入穴2baを有する係止部材固定部2bが形成されたスライド部材2と、雄ねじ1aaに螺合するスライド部材固定用ナット3と、雄ねじ4aaが突設された当接部4aと外壁材に係合する係合部4bと係止部材固定部2bの挿入穴2baに挿入された当接部4aの雄ねじ4aaに螺合する固定用ナット4cとから成る係止部材4と、ベース部材1及び/又はスライド部材2にスライド部材2をベース部材1の載置部1aの幅方向と直角な方向にのみスライドさせる回転規制手段5とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁材にその外壁材を固定するためのビスやボルト等の固定具を挿通せしめるための穴を穿設することなく外壁材を屋内側より胴縁に固定するための外壁材固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、外壁材を胴縁に固定するには、屋外側より外壁材に穿設した穴を挿通せしめた固定具により胴縁に固定する方法が多用されており、具体的には例えば外壁材に穿設した穴に屋外側よりビスやボルト等を挿通せしめてそのビスやボルト等を直接胴縁に固定する方法や、その両側縁部に隣合う外壁材の側縁部に係合する係合部がそれぞれ形成され且つその一方の側縁部の係合部の端部に胴縁に固定される固定部が形成されている外壁材を用いこの外壁材の固定部をビス等で直接胴縁に固定した後に、隣接する外壁材の係合部を固定された外壁材の係合部に係合させる方法等が存在する。
【0003】
しかしながら、このような外壁材を胴縁に固定する方法は外壁材の屋外側で作業を行うものであるから、屋外側に足場を組まなければならないので、工数が増してしまい施工効率が悪いばかりか、隣接する建築物との間に足場を組むためのスペースが存在しない場合には、外壁材を固定することができないという問題があり、特に前者の屋外側よりビスやボルト等を外壁材を貫通させて直接胴縁に固定する方法では、外壁材にビスやボルト等を貫通する穴を穿設することになるので、その穴の箇所で雨水の浸入や錆の発生等の不具合が頻繁に生じてしまうという問題があり、また後者の外壁材の固定部をビス等で直接胴縁に固定した後に、隣接する外壁材の係合部を固定された外壁材の係合部に係合させる方法では、強風が外壁材の表面に直接吹き付けることにより発生する圧力や強風が外壁材の表面に沿って通過することにより発生する負圧によって外壁材自体に裏面側に押圧する力や表面側に吸引する力が作用した際に、隣接する外壁材の係合部と固定された外壁材の係合部との係合が外れてしまうことがあるという問題があった。
【0004】
そこで、屋外側よりビスやボルト等を外壁材を貫通させることなく外壁材を屋内側より胴縁に固定する方法として、例えば外側取付け金具とこの外側取り付け金具に対置する内側取り付け金具とからなり、内側取り付け金具は建築物の断面四角形の胴縁と少なくとも3面に接触する胴縁固定部を有し、その内側取り付け金具及び外側取り付け金具でもって、1つの外壁材の係合部位の両側を押さえて両取り付け金具を連結固定し、1つの外壁材の係合部位と他の外壁材の係合部位を係止する方法(例えば、特許文献1参照。)等が提案された。
【0005】
しかしながら、このような外壁材固定具を用いた方法では外壁材に屋外側よりビス等を挿通させる穴を穿設することなく外壁材を屋内側より胴縁に固定することができるものの、その外壁材固定具の内側取り付け金具が胴縁と少なくとも3面に接触する胴縁固定部を有する構成でなければならず、一般に胴縁としては様々な断面寸法のものが存在するから、この外壁材固定具が固定される胴縁の断面寸法に合わせて胴縁固定部の寸法形状を変えなければならないので、様々な断面寸法の胴縁に対応した複数種類の外壁材固定具を用意しなければならないという欠点があるばかりか、この外壁材固定具の胴縁固定部は単に断面四角形の胴縁の3面に接触することによってのみ胴縁に保持されるものであるから、この胴縁固定部と胴縁との寸法や形状の関係が僅かに狂ってしまうだけで胴縁にこの取り付け金具を正確に保持させることができないので、この外壁材固定具の寸法形状精度が非常にシビアであり製作が困難であると共に、前記の如く強風が外壁材の表面に直接吹き付けることにより発生する圧力や強風が外壁材の表面に沿って通過することにより発生する負圧によって外壁材自体に裏面側に押圧する力や表面側に吸引する力が作用するので、このような力によってこの外壁材固定具の胴縁固定部が胴縁より離脱してしまったりズレてしまったりすることがあるという欠点もあった。
【0006】
そこで、様々な断面寸法の胴縁に対応することができる外壁材固定具として、例えばフックボルトと挟持体とナットとから成り、フックボルトの上端部にはU字状の乗り越え部を折り曲げると共に引き続いて係止体をフックボルトとは略直交させて略水平に形成し、このフックボルトの基端部にはねじ部を形成し、挟持体は板材を側面視において略J字状に折り曲げて保持片を形成している外壁材固定具(例えば、特許文献2参照。)や、当接側部の下端には係止部を形成し、上端には連結部を形成した固定本体と、コ字状の支持部の上方側先端に被連結部を設けた締付部よりなり、螺子杆部を前記連結部または被連結部の何れか一方に設け、他方にはその螺子杆部貫通孔を形成し、この螺子杆部貫通孔に螺子杆部先端を挿入し締付ナットにて締付可能とした外壁材固定具(例えば、特許文献3参照。)等が提案された。
【0007】
しかしながらこれらの外壁材固定具では、その胴縁の幅方向(外壁材の面と垂直な方向)の寸法が相違する様々な胴縁に対応することができるものの、前者の外壁材固定具はその挟持体が略J字状に折り曲げた保持片を形成している構成であり、また後者の外壁材固定具は固定本体の当接側部の下端に係止部が形成されていると共に締付部がコ字状の支持部を有する構成であることから、これらの外壁材固定具はそれぞれ胴縁の縦方向(外壁材の面と平行な方向)の寸法が相違する胴縁には対応することができないという欠点があった。
【0008】
またこれらの外壁材固定具は、それぞれ単にナット等を締込むことにより胴縁を狭持することによって固定されるものであるから、前記の如く強風により外壁材に作用する押圧力や吸引力によってこの外壁材固定具自体が胴縁より離脱してしまったりズレてしまったりすることがあるという欠点もあり、特に前者の外壁材固定具では、フックボルトの先端部の係止体と胴縁の外壁材側の面とで外壁材の係合部位を係止する構成であるから、前記の外壁材に作用する押圧力や吸引力によって外壁材自体が外れてしまうことがあるという欠点があった。
【0009】
更に、後者の外壁材固定具では、外壁材の裏面側と胴縁の外壁材側の面との間で胴縁の外壁材側に、下端に係止部を形成し上端に連結部を形成した当接側部を設置しなければならないので、その施工性が非常に悪いという欠点があった。
【0010】
【特許文献1】実用新案登録第2594827号公報
【特許文献2】特開2000−45492号公報(段落番号0012,図3)
【特許文献3】特開平4−64655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記従来技術の欠点を解消し、外壁材の外面にビス等を挿通させる穴を穿設することなく外壁材を屋内側より胴縁に固定するための外壁材固定具であって、特に様々な断面寸法の胴縁に対応することできると共に強固に外壁材を胴縁に固定することができる施工性に優れた外壁材固定具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、載置部の一端から下方へ向けて略直角に屈曲されている胴縁固定部を胴縁の側面にタッピンねじにより固定することによって、胴縁の外壁材側と反対側の角部(胴縁の外壁材側と反対側の側面と、胴縁の上面とで形成される角部)に載置部と胴縁固定部との境界部が位置するように固定されるベース部材の載置部上を、スライド部とこのスライド部の一端から上方へ向けて略直角に屈曲されている係止部材固定部とから成るスライド部材のスライド部が、ベース部材の幅方向と直角な方向即ちスライド部材の係止部材固定部のスライド部と反対側の面が外壁材の裏面側と対向した状態で外壁材の裏面側と接近又は離反する方向にのみスライドすることができ、且つベース部材に対してスライドさせた所定位置で簡単に固定することができる機構を設け、更に固定される外壁材の裏面に形成された係合部位に係合する係合部を有する係止部材の当接部をスライド部材の係止部材固定部のスライド部と反対側の面に当接させて固定できるようにすれば、様々な断面寸法の胴縁に対応することできると共に強固に外壁材を胴縁に固定することができる施工性に優れた外壁材固定具を得ることができることを究明して本発明を完成したのである。
【0013】
即ち本発明は、胴縁の上面に載置される略矩形状を成す載置部と、該載置部の一端から下方へ向けて略直角に屈曲されている胴縁固定部とから成り、該載置部の両側縁間の略中央線上には上方へ向けて雄ねじが突設されていると共に、該胴縁固定部には該胴縁固定部を胴縁の側面にタッピンねじにより固定するためのタッピンねじ挿通用穴が貫通穿設されているベース部材と、
その両側縁間の略中央線上に前記ベース部材の雄ねじをスライド自在に挿通させる所定長さの長穴が貫通穿設されている略矩形状を成すスライド部と、該スライド部の一端から上方へ向けて略直角に屈曲されていると共にその幅方向の略中央に挿入穴が貫通穿設されており固定される外壁材の裏面と対向せしめられる係止部材固定部とから成るスライド部材と、
前記スライド部材を前記ベース部材に対してスライドさせた所定位置で固定するため前記ベース部材の雄ねじに螺合されるスライド部材固定用ナットと、
前記スライド部材の係止部材固定部のスライド部と反対側の面に当接されると共に該係止部材固定部の挿入穴に挿入される雄ねじが突設されている当接部と、固定される外壁材の裏面に形成された係合部位に係合する係合部と、該係止部材固定部の挿入穴に挿入された該当接部の雄ねじに螺合されて該係合部が外壁材の係合部位に係合した該係合部を該係止部材固定部に固定する固定用ナットとから成る係止部材とから成り、
前記ベース部材及び/又は前記スライド部材には前記スライド部材のスライド部が前記ベース部材の載置部上を前記ベース部材の幅方向と直角な方向にのみスライドするように規制せしめる回転規制手段が設けられていることを特徴とする外壁材固定具である。
【0014】
そして、ベース部材の載置部の雄ねじが、載置部の上面にスタッド溶接されたスタッドボルトであったり、少なくともその頭部の雄ねじ側と反対側の部位が略平坦な面を成し且つその頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトであって、その頭部の略平坦な面と載置部の下面とが略面一と成るようにベース部材の載置部に穿設されたボルト固定穴に圧入固定されたボルトであったり、ベース部材の載置部の両側縁間の中央に両側縁と平行に上方に凸を成す凸条部が形成されており、その頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトであって、その頭部の雄ねじ側と反対側の部位が載置部の下面よりも上方に位置するように凸条部に穿設されているボルト固定穴に圧入固定されたボルトであったりすれば、様々なボルトを本発明に係る外壁材固定具のベース部材の載置部の雄ねじとして用いることができて好ましく、また前記凸条部が存在する態様において、凸条部がベース部材の胴縁固定部にまで連続して形成された凸条部であれば、ベース部材の曲げ剛性を向上させることができて好ましいことも究明したのである。
【0015】
また、本発明に係る外壁材固定具の回転規制手段としては、スライド部材のスライド部の両側縁に下方に向けて形成されておりベース部材の載置部の両側縁と略当接する高さを有するリップより成る態様や、スライド部材のスライド部の両側縁に下方に向けて形成されておりベース部材の載置部の両側縁と略当接する高さを有するリップと、ベース部材の載置部の両側縁に上方に向けて更に形成されておりスライド部材のスライド部のリップの内面側に略当接するリップとから成る態様や、ベース部材の載置部の両側縁に上方に向けて形成されておりスライド部材のスライド部の両側縁に略当接する高さを有するリップより成る態様や、ベース部材の載置部の両側縁に上方に向けて形成されておりスライド部材のスライド部の両側縁に略当接する高さを有するリップと、スライド部材のスライド部の両側縁に上方に向けて更に形成されておりベース部材の載置部のリップの内面側に略当接するリップとから成る態様や、ベース部材の載置部の少なくとも雄ねじの両側に設けられたその一端側から他端側に亘ってその両側縁と略平行に設けられた上方に凸を成す凸条摺動受け部と、スライド部材のスライド部の下面に設けられ凸条受け部に摺動自在に係合する凹条摺動部とから成る態様等の様々な態様が採用できるから、現場の状況や材質等に応じて適宜選択することができて好ましいことも究明したのである。
【0016】
更に、係止部材の当接部の雄ねじが、少なくともその頭部の雄ねじ側と反対側の部位が略平坦な面を成し且つその頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトであって、その頭部の略平坦な面と当接部の外壁材側の面とが略面一と成るように当接部に穿設されたボルト固定穴に圧入固定されたボルトであったり、その頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトであって、その頭部の雄ねじ側と反対側の部位が係止部材の係合部の最も外壁材側に位置する部位よりも当接部側に位置するように当接部に穿設されたボルト固定穴に圧入固定されたボルトであったりすれば、様々なボルトを本発明に係る外壁材固定具の係止部材の当接部の雄ねじとして用いることができて好ましいことも究明したのである。
【0017】
更に、スライド部材の係止部材固定部からスライド部に亘って係止部材固定部のスライド部側及びスライド部の上面側に凸のリブが形成されていれば、スライド部材の曲げ剛性を向上させることができて好ましく、またスライド部材のスライド部の上面の長穴の近傍にベース部材の胴縁固定部の裏面からスライド部材の係止部材固定部の裏面までの距離を表示する目盛が刻印されていれば、固定される胴縁の幅方向(外壁材の面と垂直な方向)の寸法にスライド部材を簡単に合わせることができるからその施工性が向上するので好ましく、更にスライド部材のスライド部に、このスライド部を胴縁の上面にタッピンねじにより固定するためのタッピンねじ挿通用穴が貫通穿設されていれば、例えば本発明に係る外壁材固定具を固定する部位の状況によってベース部材を用いることなくスライド部材を直接胴縁に固定したい場合に、スライド部材のタッピンねじ挿通用穴を利用して簡単にスライド部材を胴縁に固定することができるので好ましく、更にスライド部材の係止部材固定部の挿入穴が係止部材固定部の上端が開口した長溝状の挿入穴であれば、施工の際に、係止部材の当接部の雄ねじに固定用ナットを軽く螺合した状態で、係止部材の係合部を外壁材の係合部位に係合させながら挿入穴の長溝の開口へ係止部材固定部の上端方向より係止部材の当接部の雄ねじを挿入して更に固定用ナットを螺合固定するだけで外壁材の係合部位を係止固定することができるので、その施工性が向上して好ましいことも究明したのである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る外壁材固定具は、ベース部材が胴縁の上面に載置される載置部と、載置部の一端から下方へ向けて略直角に屈曲されている胴縁固定部とから成り、この胴縁固定部には胴縁固定部を胴縁の側面にタッピンねじにより固定するためのタッピンねじ挿通用穴が貫通穿設されている構成となっているから、胴縁の外壁材側と反対側の角部(胴縁の外壁材側と反対側の側面と、胴縁の上面とで形成される角部)に載置部と胴縁固定部との境界部が位置するように胴縁固定部を胴縁の側面にタッピンねじにより固定されるものであるので、ベース部材を胴縁に強固に固定できるばかりでなく、その胴縁の縦方向(外壁材の面と平行な方向)の寸法が相違する様々な胴縁に対応することができ、更にこのベース部材を胴縁に固定する際には、ベース部材の載置部を胴縁の上面に載置した後に、ベース部材の胴縁固定部が胴縁の側面に当接するようにベース部材を外壁材側へ移行させ、ベース部材の載置部を胴縁の上面にそしてベース部材の胴縁固定部を胴縁の側面にそれぞれ当接させた状態で、タッピンねじをベース部材の胴縁固定部のタッピンねじ挿通用穴へ挿入して胴縁の側面に螺入するだけで固定できるから、固定の際にベース部材が胴縁の長手方向や幅方向にズレたりすることなく、簡単且つ確実に所望の位置に固定することができるので、その施工性を格段に向上させることができる。
【0019】
そして、本発明に係る外壁材固定具は、このようなベース部材の略矩形状を成す載置部に、その両側縁間の略中央線上に上方へ向けて雄ねじが突設されていると共に、このベース部材の載置部上にスライド及び固定されるスライド部材は、その両側縁間の略中央線上にベース部材の雄ねじをスライド自在に挿通させる所定長さの長穴が貫通穿設されている略矩形状を成すスライド部と、スライド部の一端から上方へ向けて略直角に屈曲されていると共にその幅方向の略中央に挿入穴が貫通穿設されており固定される外壁材の裏面と対向せしめられる係止部材固定部とから成り、そしてスライド部材をベース部材に対してスライドさせた所定位置で固定するためベース部材の雄ねじに螺合されるスライド部材固定用ナットを有し、更にはベース部材及び/又はスライド部材にはスライド部材のスライド部がベース部材の載置部上をベース部材の幅方向と直角な方向にのみスライドするように規制せしめる回転規制手段が設けられている構成と成っているから、前記の如くベース部材の載置部を胴縁の上面にそしてベース部材の胴縁固定部を胴縁の側面に当接させた状態でタッピンねじによりベース部材を胴縁に固定した際に、スライド部材のスライド部をベース部材の幅方向と直角な方向、即ちスライド部材の係止部材固定部のスライド部と反対側の面が外壁材の裏面側と対向した状態で外壁材の裏面側と接近又は離反する方向にのみスライドさせることができ、且つベース部材に対してスライドさせた所定位置で簡単にスライド部材を固定することができるので、その胴縁の縦方向(外壁材の面と平行な方向)の寸法が相違する様々な胴縁に対応することができるばかりでなく、このスライド部材のスライド部をベース部材の載置部上に固定する際には、スライド部材の係止部材固定部が胴縁に対して所定の位置(通常は、スライド部材の係止部材固定部のスライド部と反対側の面と、ベース部材の胴縁固定部が固定される胴縁の側面と反対側の胴縁の側面とが略面一となるような位置)となるように、スライド部材のスライド部をベース部材の幅方向と直角な方向にスライドさせた後に、ベース部材の雄ねじに螺合されるスライド部材固定用ナットを螺入するだけで、簡単にスライド部材のスライド部をベース部材の載置部上の所望の位置に固定することができるので、その施工性を格段に向上させることができ、更にはベース部材及び/又はスライド部材にはスライド部材のスライド部がベース部材の載置部上をベース部材の幅方向と直角な方向にのみスライドするように規制せしめる回転規制手段が設けられているから、スライド部材とベース部材との固定は、単にスライド部材の長穴より突出したベース部材の雄ねじにスライド部材固定用ナットを螺合すること、即ちナット1つのみによって行われるにも拘わらず、ベース部材に対してスライド部材が回転したりガタついたりすることなく、スライド部材とベース部材とをスライド部材固定用ナットで強固に固定することができると共に、施工性及び固定性能を両立させることができる。
【0020】
また、本発明に係る外壁材固定具は、前記の如くベース部材に固定されるスライド部材には、その幅方向の略中央に挿入穴が貫通穿設されており固定される外壁材の裏面と対向せしめられる係止部材固定部を形成されており、この係止部材固定部と共に外壁材を係止する係止部材は、スライド部材の係止部材固定部のスライド部と反対側の面に当接されると共に係止部材固定部の挿入穴に挿入される雄ねじが突設されている当接部と、固定される外壁材の裏面に形成された係合部位に係合する係合部と、係止部材固定部の挿入穴に挿入された当接部の雄ねじに螺合されて係合部が外壁材の係合部位に係合した係合部を係止部材固定部に固定する固定用ナットとから成る構成と成っているから、ベース部材に強固に固定されたスライド部材に係止部材により外壁材を固定する際には、外壁材の裏面と対向せしめられたスライド部材の係止部材固定部のスライド部と反対側の面と固定される外壁材の裏面に形成された係止部材の係合部とで外壁材を狭持するように、係止部材の当接部の雄ねじをスライド部材の係止部材固定部の挿入穴に挿入し固定用ナットにより固定されるものであるので、外壁材をスライド部材の係止部材固定部のスライド部と反対側の面と係止部材の係合部とで強固に係止することができるばかりでなく、このようにスライド部と係止部材とで外壁材が強固に係止され、前記の如くタッピンねじにより胴縁に固定されたベース部材に対してスライド部材が回転したりガタついたりすることがなく、更にスライド部材とベース部材とがスライド部材固定用ナットにより強固に固定されているから、強風が外壁材の表面に直接吹き付けることにより発生する圧力や強風が外壁材の表面に沿って通過することにより発生する負圧によって外壁材自体に裏面側に押圧する力や表面側に吸引する力が作用したとしても、外壁材自体が外れてしまったり本発明に係る外壁材固定具が胴縁より離脱してしまったりズレてしまったりすることが全くないのである。
【0021】
そして、ベース部材の載置部の雄ねじが、載置部の上面にスタッド溶接されたスタッドボルトであれば、簡単にベース部材の載置部に上方へ向けて雄ねじを突設することができると共に、載置部に雄ねじを突設するための穴等の加工を施こす必要がないので、製作する際の工数が減るので好ましく、またベース部材の載置部の雄ねじが、少なくともその頭部の雄ねじ側と反対側の部位が略平坦な面を成し且つその頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトであって、その頭部の略平坦な面と載置部の下面とが略面一と成るようにベース部材の載置部に穿設されたボルト固定穴に圧入固定されたボルトであれば、少ない工数で載置部を平面状のものにすることができるので、例えばスライド部材のスライド部が直接載置部の上面を摺動するような態様の場合には、載置部に対してスライド部を円滑にスライドさせることができるので好ましい。
【0022】
また、ベース部材の載置部の両側縁間の中央に両側縁と平行に上方に凸を成す凸条部が形成されており、ベース部材の載置部の雄ねじが、その頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトであって、その頭部の雄ねじ側と反対側の部位が載置部の下面よりも上方に位置するように凸条部に穿設されているボルト固定穴に圧入固定されたボルトであれば、ベース部材が薄板状のものであっても曲げ剛性を確保することができて好ましいばかりでなく、例えばスライド部材の長穴より突出したベース部材の雄ねじにスライド部材固定用ナットを螺合してベース部材にスライド部材を固定した際に、載置部の凸条部の上面がスライド部の長穴近傍の下面に当接するように凸条部の高さが設定されていれば、スライド部が下方に撓むことなくスライド部材を更に強固にベース部材に固定することができて好ましく、更に前記凸条部が存在する態様において、凸条部がベース部材の胴縁固定部にまで連続して形成された凸条部であれば、ベース部材全体の曲げ剛性を向上させることができて好ましい。
【0023】
更に、本発明に係る外壁材固定具の回転規制手段としては、スライド部材のスライド部の両側縁に下方に向けて形成されておりベース部材の載置部の両側縁と略当接する高さを有するリップより成る態様や、スライド部材のスライド部の両側縁に下方に向けて形成されておりベース部材の載置部の両側縁と略当接する高さを有するリップと、ベース部材の載置部の両側縁に上方に向けて更に形成されておりスライド部材のスライド部のリップの内面側に略当接するリップとから成る態様や、ベース部材の載置部の両側縁に上方に向けて形成されておりスライド部材のスライド部の両側縁に略当接する高さを有するリップより成る態様や、ベース部材の載置部の両側縁に上方に向けて形成されておりスライド部材のスライド部の両側縁に略当接する高さを有するリップと、スライド部材のスライド部の両側縁に上方に向けて更に形成されておりベース部材の載置部のリップの内面側に略当接するリップとから成る態様や、ベース部材の載置部の少なくとも雄ねじの両側に設けられたその一端側から他端側に亘ってその両側縁と略平行に設けられた上方に凸を成す凸条摺動受け部と、スライド部材のスライド部の下面に設けられ凸条受け部に摺動自在に係合する凹条摺動部とから成る態様等の様々な態様が存在するから、現場の状況や材質等に応じて適宜選択することができて好ましく、特にベース部材の載置部とスライド部材のスライド部との当接面積の大きなものがその回転規制能が優れているので好ましい。
【0024】
更に、係止部材の当接部の雄ねじが、少なくともその頭部の雄ねじ側と反対側の部位が略平坦な面を成し且つその頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトであって、その頭部の略平坦な面と当接部の外壁材側の面とが略面一と成るように当接部に穿設されたボルト固定穴に圧入固定されたボルトであったり、係止部材の当接部の雄ねじが、その頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトであって、その頭部の雄ねじ側と反対側の部位が係止部材の係合部の最も外壁材側に位置する部位よりも当接部側に位置するように当接部に穿設されたボルト固定穴に圧入固定されたボルトであったりすれば、様々なボルトを本発明に係る外壁材固定具の係止部材の当接部の雄ねじとして用いることができて好ましいばかりでなく、外壁材を係止する際にはそのボルトに螺合するナットのみを回せばよいので、その施工性が向上して好ましい。
【0025】
更に、スライド部材の係止部材固定部からスライド部に亘って係止部材固定部のスライド部側及びスライド部の上面側に凸のリブが形成されていれば、スライド部材の曲げ剛性を向上させることができて好ましく、またスライド部材のスライド部の上面の長穴の近傍にベース部材の胴縁固定部の裏面からスライド部材の係止部材固定部の裏面までの距離を表示する目盛が刻印されていれば、固定される胴縁の幅方向(外壁材の面と垂直な方向)の寸法に本発明に係る外壁材固定具のベース部材の胴縁固定部の裏面からスライド部材の係止部材固定部の裏面までの距離を簡単に合わせることができるからその施工性が向上するので好ましいばかりでなく、例えば施工前においてこの目盛を利用して胴縁の幅方向の寸法に合わせてベース部材の胴縁固定部の裏面からスライド部材の係止部材固定部の裏面までの距離を調整した状態で、ベース部材にスライド部材を予め固定しておけば、施工現場における工数を減らすことができて好ましい。
【0026】
更に、スライド部材のスライド部にこのスライド部を胴縁の上面にタッピンねじにより固定するためのタッピンねじ挿通用穴が貫通穿設されていれば、例えば本発明に係る外壁材固定具を固定する部位の状況によって、ベース部材1を用いることなくスライド部材を直接胴縁に固定したい場合には、スライド部材のタッピンねじ挿通用穴を利用して簡単にスライド部材を胴縁に固定することができるので好ましく、またスライド部材の係止部材固定部の挿入穴が係止部材固定部の上端が開口した長溝状の挿入穴であれば、施工の際に係止部材の当接部の雄ねじに固定用ナットが螺合した状態で、係止部材の係合部を外壁材の係合部位に係合させながら、挿入穴の長溝の開口へ係止部材固定部の上端方向より係止部材の当接部の雄ねじを挿入して更に固定用ナットを螺合固定するだけで、外壁材の係合部位を係止固定することができるので、その施工性が向上して好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面により本発明に係る外壁材固定具について詳細に説明する。
図1は本発明に係る外壁材固定具の1実施例を示す斜視説明図、図2は図1の側面説明図、図3は図1の平面説明図、図4は図1のA−A線拡大断面説明図、図5は本発明に係る外壁材固定具の他の実施例を示す斜視説明図、図6は図5のB−B線拡大断面説明図、図7は本発明に係る外壁材固定具の更に他の実施例を示す斜視説明図、図8は図7のC−C線拡大断面説明図、図9は本発明に係る外壁材固定具の更に他の実施例を示す斜視説明図、図10は図9のD−D線拡大断面説明図、図11は本発明に係る外壁材固定具の更に他の実施例を示す斜視説明図、図12は図11のE−E線拡大断面説明図、図13は本発明に係る外壁材固定具の使用状態を示す平断面説明図、図14は図13の側断面説明図、図15は本発明に係る外壁材固定具のスライド部材を胴縁に直接固定して使用した状態を示す側断面説明図である。
【0028】
図面中、1は胴縁Dの上面に載置される略矩形状を成す載置部1aと、載置部1aの一端から下方へ向けて略直角に屈曲されている胴縁固定部1bとから成り、載置部1aの両側縁間の略中央線上には上方へ向けて雄ねじ1aaが突設されていると共に、胴縁固定部1bには胴縁固定部1bを胴縁Dの側面にタッピンねじTにより固定するためのタッピンねじ挿通用穴1baが貫通穿設されているベース部材であり、図13及び図14に示す如く胴縁Dの外壁材W側と反対側の角部(胴縁の外壁材側と反対側の側面と、胴縁の上面とで形成される角部)に載置部1aと胴縁固定部1bとの境界部が位置するようにタッピンねじTにより固定されると共に、図1〜図14に示す如く後述するスライド部材2がベース部材1の載置部1a上を載置部1aの幅方向と直角な方向にスライドされ且つスライドされた所定位置でベース部材1の載置部1a上に後述するスライド部材固定用ナット3により固定されるものである。
【0029】
このベース部材1の載置部1aは、略矩形状を成しその両側縁間の略中央線上には上方へ向けて雄ねじ1aaが突設されており、この載置部1aの雄ねじ1aaは、後述するスライド部材2のスライド部2aの長穴2aaへ挿通され、後述する回転規制手段5と協働してスライド部材2をベース部材1の幅方向と直角な方向にのみスライドさせると共に、後述するスライド部材固定用ナット3が螺合されることによりスライド部材2を固定するのである。
【0030】
このベース部材1の載置部1aの雄ねじ1aaとしては、載置部1aの両側縁間の略中央線上には上方へ向けて突設されている雄ねじ状のものであれば特に限定されないが、例えば図8及び図10に示す如く雄ねじ1aaが載置部1aの上面にスタッド溶接されたスタッドボルトであれば、簡単にベース部材1の載置部1aに上方へ向けて雄ねじを突設することができるばかりでなく、載置部1aに雄ねじを突設するための穴等の加工を施こす必要がないので製作する際の工数が減るので好ましく、また図6及び図12に示す如くベース部材1の載置部1aの雄ねじ1aaが、少なくともその頭部の雄ねじ側と反対側の部位が略平坦な面を成し且つその頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトであって、その頭部の略平坦な面と載置部1aの下面とが略面一と成るようにベース部材1の載置部1aに穿設されたボルト固定穴1abに圧入固定されたボルトであれば、図5及び図6に示す如く載置部1aを平板状のものにすることができるので製作する際の工数が減るので好ましいと共に、図6及び図12に示す如く載置部1aの上面の雄ねじの周囲を平坦にすることができるので、例えば図5,図6,図11及び図12に示す如くスライド部材2のスライド部2aが直接ベース部材1の載置部1aの上面を摺動するような態様の場合に載置部1aに対してスライド部2aを円滑にスライドさせることができるので好ましい。
【0031】
この載置部1aの雄ねじ1aaとして用いられる、少なくともその頭部の雄ねじ側と反対側の部位が略平坦な面を成し且つその頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトとしては、例えば図6に示す如くその頭部が雄ねじ側と反対側の平坦な面から雄ねじ側の部位へ亘って漸次縮径されたような形状を成すと共にその頭部の斜面に雄ねじ側から雄ねじ側と反対側へ形成された凸条の凸部が雄ねじ側から見て放射状に複数凸設されているボルトや、図12に示す如くその頭部が雄ねじ側と反対側の平坦な面から雄ねじ側の部位へ亘って高さの低い円盤状を成すと共に雄ねじ側から見てその頭部の雄ねじ側の面に雄ねじの付け根部から放射状に複数の凸条の凸部が凸設されているボルト等が存在し、前者の如きボルトが圧入固定される載置部1aのボルト固定穴1abは、下面側から上面側に亘って漸次縮径されたような形状であり、一方後者の如きボルトが圧入固定される載置部1aのボルト固定穴1abは、下面側に貫通穴と同心円状を成す円形凹部が設けられた形状であり、これらのようなボルトを載置部1aのボルト固定穴1abに固定する際には、プレス機等でボルトの頭部の雄ねじ側と反対側の平坦な面をその頭部の雄ねじ側と反対側の略平坦な面と載置部1aの下面とが略面一と成るように押圧することにより、ボルト固定穴1abの壁面にボルトの頭部の複数の凸部が喰い込んで圧入固定されるのであり、そしてこのようにこれらのボルトがそれぞれ頭部の略平坦な面と載置部1aの下面とが略面一と成るように載置部1aのボルト固定穴1abに圧入固定すれば、載置部1aを胴縁Dの上面に載置した際にボルトの頭部が胴縁Dの上面と干渉して載置部1aが不安定に胴縁Dの上面に載置されることがないのである。
【0032】
また、図1,図2,図3,図4,図13及び図14に示す如くベース部材1の載置部1aの両側縁間の中央にその両側縁と平行に上方に凸を成す凸条部1cが形成されており、ベース部材1の載置部1aの雄ねじ1aaが、その頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトであって、その頭部の雄ねじ側と反対側の部位が載置部1aの下面よりも上方に位置するように凸条部1cに穿設されているボルト固定穴1caに圧入固定されたボルトであれば、ボルト固定穴1caの下面よりボルトの頭部が下方に位置しているにも拘らず載置部1aを胴縁Dの上面に載置した際にボルトの頭部が胴縁Dの上面と干渉して載置部1aが不安定に胴縁Dの上面に載置されることがなく、しかもベース部材1が薄板状のものであっても凸条部1cを形成したことによりベース部材1の曲げ剛性を確保することができて好ましく、この場合、後述するスライド部材2の長穴2aaより突出したベース部材1の雄ねじ1aaに後述するスライド部材固定用ナット3を螺合してベース部材1にスライド部材2を固定した際に載置部1aの凸条部1cの上面がスライド部2aの長穴2aa近傍の下面に当接するように凸条部1cの高さが設定されていれば、スライド部2aが下方に撓むことなくスライド部材2を更に強固にベース部材1に固定することができて好ましく、更に凸条部1cがベース部材1の胴縁固定部1bにまで連続して形成された凸条部1cであれば、ベース部材1全体の曲げ剛性を向上させることができて好ましい。
【0033】
このような頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトを載置部1aの凸条部1cのボルト固定穴1caに固定する際には、プレス機等でボルトの頭部の雄ねじ1aa側と反対側の部位を押圧することにより、凸条部1cの固定穴1caの壁面及び/又は凸条部1cの下面にボルトの頭部の複数の凸部を喰い込ませて圧入固定されるのであり、そしてこの圧入固定されたボルトは、その頭部の雄ねじ側と反対側の部位が載置部1aの下面よりも上方に位置するから、載置部1aを胴縁Dの上面に載置した際に、ボルトの頭部が胴縁Dの上面と干渉しないので、載置部1aを安定して胴縁Dの上面に載置することができる。
【0034】
このベース部材1の載置部1aには、図1,図2,図5,図7,図9,図11,図13及び図14に示す如く載置部1aの一端から下方へ向けて略直角に屈曲されている胴縁固定部1bが形成されており、そしてこの胴縁固定部1bにはその胴縁固定部1bを胴縁Dの側面にタッピンねじTにより固定するためのタッピンねじ挿通用穴1baが貫通穿設されているから、ベース部材1を胴縁Dに固定する際には、ベース部材1の載置部1aを胴縁Dの上面に載置した後に、ベース部材1の胴縁固定部1bが胴縁Dの側面に当接するようにベース部材1を外壁材W側へ移行させ、ベース部材1の載置部1aを胴縁Dの上面にそしてベース部材1の胴縁固定部1bを胴縁Dの側面に当接させた状態で、図13及び図14に示す如くタッピンねじTをベース部材1の胴縁固定部1bのタッピンねじ挿通用穴1baへ挿入して胴縁Dの側面に螺入するだけで固定されるものであるから、固定の際にベース部材1が胴縁Dの長手方向や幅方向にズレたりすることなく、簡単且つ確実に所望の位置に固定することができる。
【0035】
2はその両側縁間の略中央線上にベース部材1の雄ねじ1aaをスライド自在に挿通させる所定長さの長穴2aaが貫通穿設されている略矩形状を成すスライド部2aと、このスライド部2aの一端から上方へ向けて略直角に屈曲されていると共にその幅方向の略中央に挿入穴2baが貫通穿設されており固定される外壁材Wの裏面と対向せしめられる係止部材固定部2bとから成るスライド部材であり、図1〜図14に示す如くそのスライド部2aはその長穴2aaと後述する回転規制手段5とが協働することにより、ベース部材1の載置部1a上をベース部材1の載置部1aの幅方向と直角な方向にスライドせしめられ且つスライドせしめられた所定位置で後述するスライド部材固定用ナット3によりベース部材1上に確実に固定されると共に、図13〜図15に示す如くその係止部材固定部2bと後述する係止部材4とで外壁材Wを強固に固定する。
【0036】
このスライド部材2のスライド部2aには、図1及び図3〜図13に示す如くその両側縁間の略中央線上にベース部材1の雄ねじ1aaをスライド自在に挿通させる所定長さの長穴2aaが貫通穿設されており、このスライド部2aの長穴2aaは、ベース部材1の載置部1aの両側縁間の略中央線上に上方へ向けて突設された雄ねじ1aaが挿通されてこの長穴2aaより突出されると共に後述する回転規制手段5と協働することにより、スライド部材2のスライド部2aがベース部材1の載置部1a上をベース部材1の載置部1aの幅方向と直角な方向にのみスライドさせるだけでなく、このスライド部2aの長穴2aaより突出したベース部材1の雄ねじ1aaに後述するスライド部材固定用ナット3を螺合することにより、ベース部材1の載置部1a上にスライド部材2を固定させる役目を果たす。
【0037】
そして、図1,図3及び図13に示す如くこのスライド部材2のスライド部2aの近傍に、ベース部材1の胴縁固定部1bの裏面からスライド部材2の係止部材固定部2bの裏面までの距離を表示する目盛2abが刻印されていれば、固定される胴縁Dの幅方向(外壁材の面と垂直な方向)の寸法に本発明に係る外壁材固定具のベース部材1の胴縁固定部1bの裏面からスライド部材2の係止部材固定部2bの裏面までの距離を簡単に合わせることができるからその施工性が向上するので好ましいばかりでなく、例えば施工前においてこの目盛2abを利用して胴縁Dの幅方向の寸法に合わせてベース部材1の胴縁固定部1bの裏面からスライド部材2の係止部材固定部2bの裏面までの距離を調整した状態で、ベース部材1にスライド部材2を予め固定しておけば、施工現場においける工数を減らすことができて好ましい。
【0038】
このスライド部材2のスライド部2aには、スライド部2aの一端から上方へ向けて略直角に屈曲されていると共にその幅方向の略中央に挿入穴2baが貫通穿設されており固定される外壁材Wの裏面と対向せしめられる係止部材固定部2bが形成されており、この係止部材固定部2bは、図1〜図15に示す如くその挿入穴2baに後述する係止部材4の当接部4aに突設されている雄ねじ4aaが挿通され、そして挿入穴2baより突出した雄ねじ4aaに固定用ナット4cを螺合することにより、図13〜図15に示す如く外壁材Wの裏面に形成された係合部位Kを係合部4bとこの係止部材固定部2bのスライド部2aと反対側の面とで狭持固定する役目を果たす。
【0039】
そして、図1、図3及び図4に示す如くスライド部材2の係止部材固定部2bの挿入穴2baが係止部材固定部2bの上端が開口した長溝状の挿入穴であれば、施工の際に、後述する係止部材4の当接部4aの雄ねじ4aaに固定用ナット4cが螺合した状態で、係止部材4の係合部4bを外壁材Wの係合部位Kに係合させながら、挿入穴2baの長溝の開口へ係止部材固定部2bの上端方向より係止部材4の当接部4aの雄ねじ4aaを挿入して更に固定用ナット4cを螺合固定するだけで、外壁材Wの係合部位Kを係止固定することができるので、その施工性が向上して好ましい。
【0040】
また、図1〜図4に示す如くスライド部材2の係止部材固定部2bからスライド部2aに亘って係止部材固定部2bのスライド部2a側及びスライド部2aの上面側に凸のリブ2cが形成されていれば、スライド部材2の曲げ剛性を向上させることができて好ましい。
【0041】
更に、図1及び図3に示す如くスライド部材2のスライド部2aに、スライド部2aを胴縁Dの上面にタッピンねじTにより固定するためのタッピンねじ挿通用穴2acが貫通穿設されていれば、例えば本発明に係る外壁材固定具を固定する部位の状況によって、ベース部材1を用いることなくスライド部材2を直接胴縁Dに固定したい場合には、図15に示す如くスライド部材2のタッピンねじ挿通用穴2acを利用して簡単にスライド部材2を胴縁Dに固定することができるので好ましい。
【0042】
3はスライド部材2をに対してスライドさせた所定位置で固定するためベース部材1の雄ねじ1aaに螺合されるスライド部材固定用ナットであり、図1〜図14に示す如くスライド部材2をベース部材1に対してスライドさせた所定位置でベース部材1にスライド部材2を固定する役目を果たす。
【0043】
4はスライド部材2の係止部材固定部2bのスライド部2aと反対側の面に当接されると共に係止部材固定部2bの挿入穴2baに挿入される雄ねじ4aaが突設されている当接部4aと、固定される外壁材Wの裏面に形成された係合部位Kに係合する係合部4bと、係止部材固定部2bの挿入穴2baに挿入された当接部4aの雄ねじ4aaに螺合されて係合部4bが外壁材Wの係合部位Kに係合した当接部4aを係止部材固定部2bに固定する固定用ナット4cとから成る係止部材であり、図13〜図15に示す如くその係合部4bとスライド部材2の係止固定部2bとで外壁材Wの係合部位Kを強固に固定する。
【0044】
この係止部材4の当接部4aには雄ねじ4aaが突設されており、この雄ねじ4aaは外壁材Wの係合部位Kに係止部材4の係合部4bを係合させながら、スライド部材2の係止部材固定部2bの挿入穴2baに係止部材固定部2bのスライド部2aと反対側の面より挿入され、係止部材固定部2bのスライド部2a側の面より固定用ナット4cを螺合されることによって、外壁材Wの係合部位Kを係合部4bと係止部材固定部2bのスライド部2aと反対側の面とで狭持固定する役目を果たす。
【0045】
この当接部4aの雄ねじ4aaとしては、図示しないが係止部材4の当接部4aの雄ねじ4aaが、少なくともその頭部の雄ねじ側と反対側の部位が略平坦な面を成し且つその頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトであって、その頭部の略平坦な面と当接部4aの外壁材W側の面とが略面一と成るように当接部4aに穿設されたボルト固定穴に圧入固定されたボルトであったり、また図3及び図13〜図15に示す如く、その頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトであって、その頭部の雄ねじ側と反対側の部位が係止部材4の係合部4bの最も外壁材W側に位置する部位よりも当接部4a側に位置するように当接部4aに穿設されたボルト固定穴に圧入固定されたボルトであったりすれば、様々なボルトを本発明に係る外壁材固定具の係止部材4の当接部4aの雄ねじ4aaとして用いることができて好ましいばかりでなく、外壁材Wを係止する際に固定用ナット4cのみを回せばよいので、その施工性が向上して好ましい。
【0046】
この少なくともその頭部の雄ねじ側と反対側の部位が略平坦な面を成し且つその頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されその頭部の略平坦な面と当接部4aの外壁材W側の面とが略面一と成るボルトとしては、前述した図6及び図12に示す如きボルトを用いることができ、また頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されその頭部の雄ねじ側と反対側の部位が係止部材4の係合部4bの最も外壁材W側に位置する部位よりも当接部4a側に位置するボルトとしては、前述した図4に示す如きボルトを用いることができ、これらのようなボルトを係止部材4の当接部4aにボルト固定穴に固定する際には、プレス機等でボルトの頭部の雄ねじ4aa側と反対側の部位を押圧することにより、当接部4aのボルト固定穴の壁面及び/又は当接部4aの雄ねじ4aa側と反対側の面にボルトの頭部の複数の凸部が喰い込んで圧入固定されるのであり、そしてこの圧入固定されたボルトは、少なくとも係止部材4の係合部4bの最も外壁材W側に位置する部位よりも当接部4a側に位置するするから、図13に示す如く外壁材Wの係合部位Kに係合部4bを係合させた際に、ボルトの頭部が外壁材Wの裏面と干渉しないので、外壁材Wや係合部位Kを変形させたり疵付けたりすることがないのである。
【0047】
この係止部材4には、固定される外壁材Wの裏面に形成された係合部位Kに係合する係合部4bが形成されており、この係合部4bは外壁材Wの係合部位Kに係合するができる形状のものであれば特に限定されないが、例えば図13に示す如く外壁材Wの係合部位Kに沿った形状のものであれば、外壁材Wの係合部位Kを強固に係止することができるので好ましい。
【0048】
5はスライド部材2のスライド部2aがベース部材1の載置部1a上をベース部材1の幅方向と直角な方向にのみスライドするように規制せしめるためにベース部材1及び/又はスライド部材2に設けられている回転規制手段であり、載置部1aの雄ねじ1aaがスライド部材2のスライド部2aの長穴2aaに挿通された状態でベース部材1の載置部1a上に載置されたスライド部材2が、回転してしまったりすることなくベース部材1の載置部1aの幅方向と直角な方向にのみスライドするように規制せしめると共に、スライド部材2のスライド部2aの長穴2aaより突出したベース部材1の載置部1aの雄ねじ1aaにスライド部材固定用ナット3を螺合する際にスライド部材固定用ナット3の回転力によりスライド部材2自体が回転しないように規制し、更にスライド部材固定用ナット3を螺合してベース部材1の載置部1a上にスライド部材2を固定し、外壁材Wの係合部位Kを係止部材4とスライド部材2の係止部材固定部2bとで係止固定して施工を終えた後に、強風が外壁材Wの表面に直接吹き付けることにより発生する圧力や強風が外壁材Wの表面に沿って通過することにより発生する負圧によって外壁材W自体に裏面側に押圧する力や表面側に吸引する力が作用して、スライド部材2にベース部材1の載置部1aの雄ねじ1aaを軸心とした強い回転力が加わったとしても、スライド部材2自体が回転しないように維持規制する役目を果たす。
【0049】
この回転規制手段5としては、ベース部材1及び/又はスライド部材2に設けられておりスライド部材2のスライド部2aがベース部材1の載置部1a上をベース部材1の載置部1aの幅方向と直角な方向にのみスライドするように規制せしめるものであれば特に限定されないが、例えば図1〜図6,図13及び図14に示す如く回転規制手段5がスライド部材2のスライド部2aの両側縁に下方に向けて形成されておりベース部材1の載置部1aの両側縁と略当接する高さを有するリップ5aより成る態様や、図7及び図8に示す如くスライド部材2のスライド部2aの両側縁に下方に向けて形成されておりベース部材1の載置部1aの両側縁と略当接する高さを有するリップ5aと、ベース部材1の載置部1aの両側縁に上方に向けて更に形成されておりスライド部材2のスライド部2aのリップ5aの内面側に略当接するリップ5aとから成る態様や、図示しないがベース部材1の載置部1aの両側縁に上方に向けて形成されておりスライド部材2のスライド部2aの両側縁に略当接する高さを有するリップ5aより成る態様や、図9及び図10に示す如くベース部材1の載置部1aの両側縁に上方に向けて形成されておりスライド部材2のスライド部2aの両側縁に略当接する高さを有するリップ5aと、スライド部材2のスライド部2aの両側縁に上方に向けて更に形成されておりベース部材1の載置部1aのリップ5aの内面側に略当接するリップ5aとから成る態様や、図11及び図12に示す如くベース部材1の載置部1aの少なくとも雄ねじ1aaの両側にその両側縁と略平行に設けられた上方に凸を成す凸条摺動受け部5bと、スライド部材2のスライド部2aの下面に設けられ凸条受け部5bに摺動自在に係合する凹条摺動部5cとから成る態様等の様々な態様が存在する。
【0050】
次に、このような構成の本発明に係る外壁材固定具の施工方法について説明する。
初めに準備として、ベース部材1の載置部1a上にスライド部材2が予めスライド自在に載置されていない場合には、ベース部材1の載置部1aの雄ねじ1aaがスライド部材2のスライド部2aの長穴2aaに挿通されベース部材1の載置部1a上にスライド部材2のスライド部2aが位置せしめられ、且つ図1〜図12に示す如くベース部材1の胴縁固定部1bの胴縁Dが接する面とスライド部材2の係止部材固定部2bの外壁材W側の面とが同一方向に向く状態で、ベース部材1の載置部1a上をスライド部材2がスライド自在であって且つ回転規制手段5の作用によりスライド部材2自体が回転しない状態と成るまでスライド部材2のスライド部2aの長穴2aaより突出したベース部材1の載置部1aの雄ねじ1aaにスライド部材固定用ナット3を螺合する操作を行う。
【0051】
この際、本発明に係る外壁材固定具が、図1及び図3に示す如くスライド部材2のスライド部2aの上面の長穴2aaの近傍にベース部材1の胴縁固定部1bの裏面からスライド部材2の係止部材固定部2bの裏面までの距離を表示する目盛2abが刻印されている態様であって、予め固定される胴縁Dの幅方向(外壁材Wの面と垂直な方向)の寸法を認識している場合には、この目盛2abを利用して胴縁Dの幅方向の寸法に合わせてベース部材1の胴縁固定部1bの裏面からスライド部材2の係止部材固定部2bの裏面までの距離を調整した状態でスライド部材固定用ナット3を締め付けてベース部材1の載置部1a上にスライド部材2を予め完全に固定しておけば、施工現場において後述するベース部材1の胴縁固定部1bの裏面からスライド部材2の係止部材固定部2bの裏面までの距離を調整してベース部材1の載置部1a上にスライド部材2を固定する操作を省略することができて好ましい。
【0052】
このような準備が完了した後に、先ず胴縁Dにベース部材1を固定する操作を行う。
この操作は、先ずベース部材1の載置部1aを胴縁Dの上面の所定位置、即ち載置部1aにスライド自在且つ回転規制された状態で載置されたスライド部材2の係止部材固定部2bの外壁材W側の面と外壁材Wの裏面とが対向し且つ係止部材固定部2bに固定される係止部材4が外壁材Wの係合部位Kと係合できる位置に載置した後に、ベース部材1の胴縁固定部1bが胴縁Dの側面に当接するようにベース部材1を外壁材W側へ移行させ、しかる後にベース部材1の載置部1aを胴縁Dの上面にそしてベース部材1の胴縁固定部1bを胴縁Dの側面に当接させた状態で、タッピンねじTをベース部材1の胴縁固定部1bのタッピンねじ挿通用穴1baへ挿入して胴縁Dの側面に螺入し固定する。
【0053】
次に、胴縁Dの幅方向の寸法に合わせてベース部材1の胴縁固定部1bの裏面からスライド部材2の係止部材固定部2bの裏面までの距離を調整してベース部材1の載置部1a上にスライド部材2を固定する操作を行う。
この操作は、スライド部材2のスライド部2aをベース部材1の載置部1aの幅方向と直角な方向、即ちスライド部材2の係止部材固定部2bの外壁材W側の面が外壁材Wの裏面側と対向した状態で外壁材Wの裏面側と接近又は離反する方向にスライドさせて、スライド部材2の係止部材固定部2bが胴縁Dに対して所定の位置(通常は、図13及び図14に示す如くスライド部材2の係止部材固定部2bの外壁材W側の面と、ベース部材1の胴縁固定部1bが固定される胴縁Dの側面と反対側の胴縁Dの側面とが略面一となるような位置)となるように、ベース部材1の胴縁固定部1bの裏面からスライド部材2の係止部材固定部2bの裏面までの距離を調整し、しかる後にスライド部材2をベース部材1に対してスライドさせた所定位置で、スライド部材2のスライド部2aの長穴2aaより突出したベース部材1の載置部1aの雄ねじ1aaに螺合さているスライド部材固定用ナット3を締め付けることによって、ベース部材1の載置部1a上にスライド部材2を完全に固定する。
【0054】
この際、スライド部材2は、ベース部材1の載置部1a上に載置部1aの雄ねじ1aaがスライド部材2のスライド部2aの長穴2aaに挿通されると共に長穴2aaより突出した雄ねじ1aaにスライド部材固定用ナット3が完全に固定されずに螺合された状態で、且つ回転規制手段5によりスライド部材2が載置部1a上をベース部材1の幅方向と直角な方向にのみスライドするように規制せしめられているから、スライド部材2のスライド部2aをベース部材1の幅方向と直角な方向スライドさせて、スライド部材2の係止部材固定部2bが胴縁Dに対して所定の位置となるように調整する際や、スライド部材2のスライド部2aの長穴2aaより突出したベース部材1の載置部1aの雄ねじ1aaに螺合さているスライド部材固定用ナット3を締め付けることによってベース部材1の載置部1a上にスライド部材2を完全に固定する際において、スライド部材2がベース部材1に対してズレてしまったり回転してしまったりすることが全くないのである。
【0055】
最後に、外壁材Wの係合部位Kに係合部4bを係合させた係止部材4をスライド部材2に固定する操作を行う。
この操作は、例えば図13及び図14に示す如く外壁材Wの係合部位Kに係止部材4の係合部4bを係合させると共に、スライド部材2の係止部材固定部2bの挿入穴2baに係止部材固定部2bのスライド部2aと反対側の面より係止部材4の当接部4aに突設された雄ねじ4aaを挿入した後に、外壁材Wの係合部位Kが係止部材4の係合部4bとスライド部材2の係止部材固定部2bとで強固に狭持されるまで、スライド部材2の係止部材固定部2bの挿入穴2baより突出した当接部4aの雄ねじ4aaに係止部材4の固定用ナット4cを螺合することによって、外壁材Wの係合部位Kを係止固定する
【0056】
この際、本発明に係る外壁材固定具が、図1,図3及び図4に示す如くスライド部材2の係止部材固定部2bの挿入穴2baが係止部材固定部2bの上端が開口した長溝状の挿入穴である態様の場合には、係止部材4の当接部4aの雄ねじ4aaに予め固定用ナット4cを螺合させた状態で、係止部材4の係合部4bを外壁材Wの係合部位Kに係合させながら挿入穴2baの長溝の開口へ係止部材固定部2bの上端方向より係止部材4の当接部4aの雄ねじ4aaを挿入し、しかる後に更に固定用ナット4cを締め付けるだけで、外壁材Wの係合部位Kを係止固定することができるので、その施工性が向上して好ましい。
【0057】
かくして、本発明に係る外壁材固定具を用いて外壁材Wに屋外側よりビスやボルト等を挿通させることなく外壁材Wを屋内側より胴縁Dに固定する施工が終了した後に、例えば固定された外壁材Wが全体的に少し歪んでしまった状態となっている場合には、外壁材Wの係合部位Kを係止部材4とスライド部材2とで係止固定した状態で、スライド部材2をベース部材1を介して胴縁Dに固定しているスライド部材固定用ナット3を緩めて、スライド部材2をベース部材1の載置部1aの幅方向と直角な方向にスライドさせた後に、外壁材Wの全体的な歪みの調整を行い、しかる後に再びスライド部材固定用ナット3を締め付けてスライド部材2を完全に固定すれば、或る程度の外壁材Wの歪みの調整を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る外壁材固定具の1実施例を示す斜視説明図である。
【図2】図1の側面説明図である。
【図3】図1の平面説明図である。
【図4】図1のA−A線拡大断面説明図である。
【図5】本発明に係る外壁材固定具の他の実施例を示す斜視説明図である。
【図6】図5のB−B線拡大断面説明図である。
【図7】本発明に係る外壁材固定具の更に他の実施例を示す斜視説明図である。
【図8】図7のC−C線拡大断面説明図である。
【図9】本発明に係る外壁材固定具の更に他の実施例を示す斜視説明図である。
【図10】図9のD−D線拡大断面説明図である。
【図11】本発明に係る外壁材固定具の更に他の実施例を示す斜視説明図である。
【図12】図11のE−E線拡大断面説明図である。
【図13】本発明に係る外壁材固定具の使用状態を示す平断面説明図である。
【図14】図13の側断面説明図である。
【図15】本発明に係る外壁材固定具のスライド部材を胴縁に直接固定して使用した状態を示す側面説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ベース部材
1a 載置部
1aa 雄ねじ
1ab ボルト固定穴
1b 胴縁固定部
1ba タッピンねじ挿通用穴
1c 凸条部
1ca ボルト固定穴
2 スライド部材
2a スライド部
2aa 長穴
2ab 目盛
2ac タッピンねじ挿通用穴
2b 係止部材固定部
2ba 挿入穴
2c リブ
3 スライド部材固定用ナット
4 係止部材
4a 当接部
4aa 雄ねじ
4b 係合部
4c 固定用ナット
5 回転規制手段
5a リップ
5b 凸条摺動受け部
5c 凹条摺動部
D 胴縁
T タッピンねじ
W 外壁材
K 係合部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴縁(D)の上面に載置される略矩形状を成す載置部(1a)と、該載置部(1a)の一端から下方へ向けて略直角に屈曲されている胴縁固定部(1b)とから成り、該載置部(1a)の両側縁間の略中央線上には上方へ向けて雄ねじ(1aa)が突設されていると共に、該胴縁固定部(1b)には該胴縁固定部(1b)を胴縁(D)の側面にタッピンねじ(T)により固定するためのタッピンねじ挿通用穴(1ba)が貫通穿設されているベース部材(1)と、
その両側縁間の略中央線上に前記ベース部材(1)の雄ねじ(1aa)をスライド自在に挿通させる所定長さの長穴(2aa)が貫通穿設されている略矩形状を成すスライド部(2a)と、該スライド部(2a)の一端から上方へ向けて略直角に屈曲されていると共にその幅方向の略中央に挿入穴(2ba)が貫通穿設されており固定される外壁材(W)の裏面と対向せしめられる係止部材固定部(2b)とから成るスライド部材(2)と、
前記スライド部材(2)を前記ベース部材(1)に対してスライドさせた所定位置で固定するため前記ベース部材(1)の雄ねじ(1aa)に螺合されるスライド部材固定用ナット(3)と、
前記スライド部材(2)の係止部材固定部(2b)のスライド部(2a)と反対側の面に当接されると共に該係止部材固定部(2b)の挿入穴(2ba)に挿入される雄ねじ(4aa)が突設されている当接部(4a)と、固定される外壁材(W)の裏面に形成された係合部位(K)に係合する係合部(4b)と、該係止部材固定部(2b)の挿入穴(2ba)に挿入された該当接部(4a)の雄ねじ(4aa)に螺合されて該係合部(4b)が外壁材(W)の係合部位(K)に係合した該係合部(4b)を該係止部材固定部(2b)に固定する固定用ナット(4c)とから成る係止部材(4)とから成り、
前記ベース部材(1)及び/又は前記スライド部材(2)には前記スライド部材(2)のスライド部(2a)が前記ベース部材(1)の載置部(1a)上を前記ベース部材(1)の幅方向と直角な方向にのみスライドするように規制せしめる回転規制手段(5)が設けられていることを特徴とする外壁材固定具。
【請求項2】
ベース部材(1)の載置部(1a)の雄ねじ(1aa)が、該載置部(1a)の上面にスタッド溶接されたスタッドボルトである請求項1に記載の外壁材固定具。
【請求項3】
ベース部材(1)の載置部(1a)の雄ねじ(1aa)が、少なくともその頭部の雄ねじ側と反対側の部位が略平坦な面を成し且つその頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトであって、その頭部の略平坦な面と該載置部(1a)の下面とが略面一と成るように該ベース部材(1)の載置部(1a)に穿設されたボルト固定穴(1ab)に圧入固定されたボルトである請求項1に記載の外壁材固定具。
【請求項4】
ベース部材(1)の載置部(1a)の両側縁間の中央に該両側縁と平行に上方に凸を成す凸条部(1c)が形成されており、該ベース部材(1)の載置部(1a)の雄ねじ(1aa)が、その頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトであって、その頭部の雄ねじ側と反対側の部位が該載置部(1a)の下面よりも上方に位置するように該凸条部(1c)に穿設されているボルト固定穴(1ca)に圧入固定されたボルトである請求項1に記載の外壁材固定具。
【請求項5】
凸条部(1c)が、ベース部材(1)の胴縁固定部(1b)にまで連続して形成された凸条部である請求項4に記載の記載の外壁材固定具。
【請求項6】
回転規制手段(5)が、スライド部材(2)のスライド部(2a)の両側縁に下方に向けて形成されておりベース部材(1)の載置部(1a)の両側縁と略当接する高さを有するリップ(5a)より成る請求項1から5までの何れか1項に記載の外壁材固定具。
【請求項7】
回転規制手段(5)が、スライド部材(2)のスライド部(2a)の両側縁に下方に向けて形成されておりベース部材(1)の載置部(1a)の両側縁と略当接する高さを有するリップ(5a)と、該ベース部材(1)の載置部(1a)の両側縁に上方に向けて更に形成されており該スライド部材(2)のスライド部(2a)のリップ(5a)の内面側に略当接するリップ(5a)とから成る請求項1から5までの何れか1項に記載の外壁材固定具。
【請求項8】
回転規制手段(5)が、ベース部材(1)の載置部(1a)の両側縁に上方に向けて形成されておりスライド部材(2)のスライド部(2a)の両側縁に略当接する高さを有するリップ(5a)より成る請求項1から5までの何れか1項に記載の外壁材固定具。
【請求項9】
回転規制手段(5)が、ベース部材(1)の載置部(1a)の両側縁に上方に向けて形成されておりスライド部材(2)のスライド部(2a)の両側縁に略当接する高さを有するリップ(5a)と、該スライド部材(2)のスライド部(2a)の両側縁に上方に向けて更に形成されており該ベース部材(1)の載置部(1a)のリップ(5a)の内面側に略当接するリップ(5a)とから成る請求項1から5までの何れか1項に記載の外壁材固定具。
【請求項10】
回転規制手段(5)が、ベース部材(1)の載置部(1a)の少なくとも雄ねじ(1aa)の両側にその両側縁と略平行に設けられた上方に凸を成す凸条摺動受け部(5b)と、スライド部材(2)のスライド部(2a)の下面に設けられ該凸条受け部(5b)に摺動自在に係合する凹条摺動部(5c)とから成る請求項1から5までの何れか1項に記載の外壁材固定具。
【請求項11】
係止部材(4)の当接部(4a)の雄ねじ(4aa)が、少なくともその頭部の雄ねじ側と反対側の部位が略平坦な面を成し且つその頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトであって、その頭部の略平坦な面と該当接部(4a)の外壁材(W)側の面とが略面一と成るように該当接部(4a)に穿設されたボルト固定穴に圧入固定されたボルトである請求項1から10までの何れか1項に記載の外壁材固定具。
【請求項12】
係止部材(4)の当接部(4a)の雄ねじ(4aa)が、その頭部の雄ねじ側の部位に複数の凸部が形成されたボルトであって、その頭部の雄ねじ側と反対側の部位が該係止部材(4)の係合部(4b)の最も外壁材(W)側に位置する部位よりも当接部(4a)側に位置するように該当接部(4a)に穿設されたボルト固定穴に圧入固定されたボルトである請求項1から10までの何れか1項に記載の外壁材固定具。
【請求項13】
スライド部材(2)の係止部材固定部(2b)からスライド部(2a)に亘って該係止部材固定部(2b)のスライド部(2a)側及び該スライド部(2a)の上面側に凸のリブ(2c)が形成されている請求項1から12までの何れか1項に記載の外壁材固定具。
【請求項14】
スライド部材(2)のスライド部(2a)の上面の長穴(2aa)の近傍にベース部材(1)の胴縁固定部(1b)の裏面からスライド部材(2)の係止部材固定部(2b)の裏面までの距離を表示する目盛(2ab)が刻印されている請求項1から13までの何れか1項に記載の外壁材固定具。
【請求項15】
スライド部材(2)のスライド部(2a)に、該スライド部(2a)を胴縁(D)の上面にタッピンねじ(T)により固定するためのタッピンねじ挿通用穴(2ac)が貫通穿設されている請求項1から14までの何れか1項に記載の外壁材固定具。
【請求項16】
スライド部材(2)の係止部材固定部(2b)の挿入穴(2ba)が、該係止部材固定部(2b)の上端が開口した長溝状の挿入穴である請求項1から15までの何れか1項に記載の外壁材固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−211511(P2007−211511A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33670(P2006−33670)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(500000588)株式会社協和 (2)
【Fターム(参考)】