説明

外気冷房空調システム

【課題】空調対象室内の温度・湿度を最適に制御し、外気導入回路の雪によるフィルターの目詰まりや凍結、空調機内での霧の発生などを防止する。
【解決手段】給気流路及び還気流路と、外気導入回路と、排気流路及び再循環流路とを備える。再循環流路内に気化式加湿器とその下流側の冷水コイルとが配置され、気化式加湿器の上流側と下流側とを接続する第1のバイパス回路と第1の電動ダンパーが配置され、気化式加湿器の下流側と外気導入回路とを接続する第2のバイパス回路と第2の電動ダンパーが配置され、気化式加湿器の上流側と外気導入回路とを接続する第3のバイパス回路と第3の電動ダンパーが配置されている。外気導入回路の外気取入口付近にスノーセンサーが設けられ、第1の電動ダンパーで空調対象室内に供給される加湿量を制御し、スノーセンサーが雪の侵入を検出した場合は第2の電動ダンパーで外気導入回路を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和システムに関し、特に外気を導入して冷房を行うと共に、寒冷地での雪によるフィルターの目詰まりや凍結・霧の発生を防止するための空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
外気を導入して空調を行うシステムは広く利用されているが、外気の温度・湿度は広範囲にわたって変動するため、空調対象室内の温度・湿度を最適に制御することは困難である。特に寒冷地においては、外気導入回路で雪(パウダースノー)によるフィルターの目詰まりや凍結、空調機内での霧の発生など、解決すべき課題が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−349276「空気調和機および外気冷房運転方法」には、給気系と還気系と外気系の通路を備え、還気系からの戻り流路に水スプレー式・気化式・超音波式などの水加湿器を設け、その上流側に還気冷却コイルを設けた空調システムが記載されている。ただし、寒冷地における低温対策、霧の発生対策、雪対策などについての言及はない。
【0004】
【特許文献2】特開2003−148782「外気冷房システム」には、給気系と還気系と外気系の通路を備え、還気系からの戻り流路に水スプレー式の加湿器を設け、空気線図上で負荷ラインを設定して加湿量を制御し、還流空気と外気の混合量を制御するシステムが記載されている。ただし、寒冷地における低温対策、霧の発生対策、雪対策などについての言及はない。
【0005】
図12は従来の一般的な外気導入式空調システムを表している。その基本的構成として、空調対象室10に接続された給気流路12及び還気流路14と、給気流路12上の合流点13で給気流路12に接続された外気導入回路16と、還気流路14上の分流点15で還気流路14に接続された排気流路18及び再循環流路20とを備え、再循環流路20が合流点13で給気流路12及び外気導入回路16に接続されている外気冷房空調システムである。
図13は図12の空調システムの空気線図上での操作方法を表している。横軸は乾球温度、縦軸は絶対湿度を表している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、空調対象室内の温度・湿度を最適に制御するとともに、外気導入回路の雪によるフィルターの目詰まりや凍結、空調機内での霧の発生などを防止することが可能な空調システムを提供することにある。
【0007】
特に、本発明は気化式加湿器を使用した外気冷房空調システム(寒冷地での高顕熱負荷対応)に向けられており、その広範な目的とするところは、
1.外気冷房の利用範囲拡大による省エネルギ
2.外気冷房時の加湿不足の回避
3.加湿スペースの削減によるコンパクト化
4.電動ダンパーの動作による風量変動を風量センサーを用いた風量制御システムで抑える
5.空調機機内抵抗の削減
6.寒冷地でのフィルターの目詰まりや凍結、霧発生防止
7.寒冷地のデータセンターなど、である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、その基本的構成として、空調対象室に接続された給気流路及び還気流路と、前記給気流路上の合流点で前記給気流路に接続された外気導入回路と、前記還気流路上の分流点で前記還気流路に接続された排気流路及び再循環流路とを備え、前記再循環流路が前記合流点で前記給気流路及び前記外気導入回路に接続されている外気冷房空調システムである。
【0009】
本発明の特徴点として、前記再循環流路内に気化式加湿器とその下流側の冷水コイルとが配置され、前記気化式加湿器の上流側と下流側とを接続する第1のバイパス回路が設けられて当該バイパス回路内に第1の電動ダンパーが配置され、前記気化式加湿器の下流側と前記外気導入回路とを接続する第2のバイパス回路が設けられて当該バイパス回路内に第2の電動ダンパーが配置され、前記気化式加湿器の上流側と前記外気導入回路とを接続する第3のバイパス回路が設けられて当該バイパス回路内に第3の電動ダンパーが配置されている。
さらに、前記外気導入回路の外気取入口付近に雪(パウダースノー)の有無を検出するスノーセンサー(光学的検出装置,煤煙濃度計など)が設けられており、前記第1の電動ダンパーで空調対象室内に供給される加湿量を制御し、前記スノーセンサーが雪の侵入を検出した場合は前記第2の電動ダンパーで外気導入回路を制御することを特徴としている。
【0010】
本発明はその好適な態様として、空調対象室内に対して変風量方式を適用し、インバータファン又はいくつかの電動ダンパーを制御して送風量を変動させ、室内負荷に見合った風量まで減少させることにより搬送動力の低減を図ることができる。
【0011】
さらに本発明はその好適な態様として、前記給気流路内に露点センサーが設けられ、前記露点センサーの検出した露点温度に基づき前記第1の電動ダンパーで空調対象室内に供給される加湿量を制御することができる。
【0012】
さらに本発明はその好適な態様として、屋外に降雪センサーを設けることにより、降雪を検知し、外気導入量を最小に制御することができる。
【発明の効果】
【0013】
かかる構成に基づき本発明による空調システムでは、外気冷房可能条件で次のような運転が可能となる。
1.外気冷房対応空調機で還気流路に設置した気化式加湿器の能力をバイパス空気と混合することにより所定の露点温度を確保し、その加湿能力に見合った外気を導入する。低温時の外気は冷水コイル下流に供給し、コイルの圧力損失を低減する。
2.還気と外気の混合後の温度が給気温度設定値より低くなる場合は送風量を低減する。
3.外気温度が上昇し、送風温度が上昇した場合は外気をコイル上流に供給し、冷水コイルで不足分を冷却する。
【0014】
4.極端に気温が低い外気と加湿空気を混合すると空気線図上で飽和線と交わり霧が発生する。これを防止するため、加湿空気との混合前に霧の発生しない条件まで外気と還気を混合し温度を上げる。
5.寒冷時の降雪(パウダースノー)が外気とともに侵入するとフィルターが目詰まりする。好適にはこれを検出し、防止する。屋外に設けた降雪センサーで降雪を感知した場合、最小外気量に制限するとともに、ダクトに取り付けた光学的検出装置(例えば煤煙濃度計)が雪の侵入を検出する。その場合フィルターをバイパスさせ還気と混合することで雪を融解し排出する。
6.電動ダンパーで外気、還気、排気を制御するので、空調機送風量が変動する。これを防止するため、風速(風量)センサーによるINV(インバータ)制御やVAV(変風量装置)を使用したINV制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による空調システムの冷房パターンAの回路図。
【図2】本発明による空調システムの冷房パターンBの回路図。
【図3】本発明による空調システムの冷房パターンCの回路図。
【図4】本発明による空調システムの冷房パターンDの回路図。
【図5】本発明による空調システムの冷房パターンEの回路図。
【図6】本発明による空調システムの冷房パターンFの回路図。
【図7】本発明による空調システムの上部の構成を表す平面図。
【図8】図7の線A−Aに沿う水平断面図。
【図9】本発明による空調システムの下部の構成を表す平面図。
【図10】図7の線B−Bに沿う水平断面図。
【図11】本発明の空調システムの制御方法を表す空気線図。
【図12】従来の外気導入式空調システムの概要を表す回路図。
【図13】従来の空調システムの制御方法を表す空気線図。
【図14】図13を簡略化した空気線図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
最初に、本発明による気化式加湿を利用した外気冷房空調システムの特徴について説明する。
(1)加湿器の能力を最大限利用し、その能力に見合った外気量を導入する。シンプルな制御で外気の冷却熱量を最大限利用できるため、データセンターのような高顕熱負荷の建物に適している。
(2)加湿量を広範囲に比例制御することが可能。
(3)過加湿を回避することができる。
(4)加湿不足を回避することができる。
【0017】
(5)気化式加湿器は例えば2流体加湿、高圧水噴霧加湿、蒸気加湿などで必要な蒸発吸収距離が不要であり、空調機をコンパクトにすることができる。
(6)加湿器および冷却コイルが不要な期間はそれらをバイパスさせることで、その抵抗を削減でき送風機動力の低減が可能。
(7)冬期は冷却コイルをバイパスさせることで冷水コイルの凍結を防止できる。
(8)バイパスダンパーの開閉は機内抵抗を変化させる。その機内抵抗の変化による風量の変動を、風量センサーによる送風機のインバータ制御で防止することができる。
【0018】
本発明における空調システムの温湿度制御は、図14に示すように、空気線図上で外気条件を以下のように4つのゾーンに分けて考えることができる。外気冷房はゾーン1で利用可能であり、ゾーン2,3,3’では外気冷房は不可だが外気を換気に利用するため最小外気量を導入する。
【0019】
図1は本発明による外気冷房空調システムの回路図(システムフロー図)であり、その基本的回路構成として、空調対象室10に接続された給気流路12及び還気流路14と、給気流路12上の合流点13で給気流路12に接続された外気導入回路16と、還気流路14上の分流点15で還気流路14に接続された排気流路18及び還気の一部が流れる再循環流路20とを備える。
【0020】
再循環流路20は合流点13で給気流路12及び外気導入回路16に接続されている。再循環流路20内に気化式加湿器22とその下流側の冷水コイル24とが配置され、気化式加湿器22の上流側と下流側とを接続する第1のバイパス回路31が設けられて当該バイパス回路内に第1の電動ダンパー32が配置されている。また、気化式加湿器22の下流側と外気導入回路16とを接続する第2のバイパス回路33が設けられて当該バイパス回路内に第2の電動ダンパー34が配置されている。また、気化式加湿器22の上流側と外気導入回路16とを接続する第3のバイパス回路35が設けられて当該バイパス回路内に第3の電動ダンパー36が配置されている。気化式加湿器22には加湿給水用電動弁55が取り付けられ、冷水コイル24には制御用電動弁56が取り付けられている。
【0021】
また、冷水コイル24の上流側と外気導入回路16とを接続する第4のバイパス回路37が設けられて当該バイパス回路内に第4の電動ダンパー38が配置されている。外気導入回路16が合流点13に接続される直前の位置に第5の電動ダンパー40が配置されている。
【0022】
給気流路12内には、図示のように、上流側から、流路を流れる風量を測定する風量センサー54,インバータファン52,温度センサー59,露点センサー58が取り付けられている。還気流路14内には、上流側から、風量センサー54とインバータファン53が取り付けられている。排気流路18には、排気用電動ダンパー26が配置されている。空調対象室10内には、温度を検出するための温度センサー57が取り付けられ送風温度のカスケード制御に用いられる。さらに、再循環流路20内にはエアフィルター50が配置され、外気導入回路16内には、エアフィルター51が配置されている。
【0023】
外気導入流路16の外気取入口は41,42の2個所が設けられており、第1の外気取入口41には定風量装置(CAV)46が配置され、その下流側に雪の有無を検出するスノーセンサー48,温度センサー59,露点センサー58が設けられている。第2の外気取入口42には外気取入用電動ダンパー44が配置されている。
【0024】
第1の電動ダンパー32は露点センサー58が検出した露点温度に基づき空調対象室10へと供給される加湿量を制御し、第2の電動ダンパー34はスノーセンサー48が雪の侵入を検出し、外気を加湿器22の下流へ導入する。外気ダクトに設置した温度センサー59と露点センサー58により、加湿前必要還気風量を導入し、霧の発生を防止する。
【0025】
図1はパターンAとして冷水コイルが不要な場合の外気冷房システムの回路を表している。図2はパターンBとして冷水コイルが必要な場合の外気冷房システムの回路を表している。図14のゾーン1での操作に対応する。
(1)露点温度を一定に制御する場合
気化式加湿器22の最大能力に見合った外気を導入するため、外気露点温度で外気取入用電動ダンパー44を制御する。
外気露点温度が高い場合は、露点センサー58で検出される送風空気露点温度(DP)が一定になるように、第1のバイパス回路31内のバイパスMD(第1の電動ダンパー)32を調整して気化式加湿器22の通過風量を制御し、かつ気化式加湿器22に取り付けられた加湿給水電動弁55を操作して加湿量の制御を行う。
【0026】
最大加湿能力が必要な場合は、バイパスMD32を全閉とし、全還気風量が加湿器22を通過するように制御する。
外気露点温度が高い場合は、加湿給水電動弁55を段階制御しかつバイパスMD32を比例制御する。
加湿不要な場合は、加湿給水電動弁55を全閉とし、バイパスMD32を全開とする。
【0027】
(2)室温を一定に制御する場合
室温が設定値より低い場合、送風量を減らす。
送風量が下限値に到達後、空調対象室10内の室温センサー57で検出した室内温度により送風温度設定値を制御(カスケード制御)し、送風温度設定値になるように外気量と還気量の混合比を変化させる。その方法は外気取入用電動ダンパー44,排気用電動ダンパー26及び還気用電動ダンパー30を逆動作で制御する。
外気量が多く露点温度が設定値より低い場合は外気量を制限する(最大外気量)。
送風温度が設定値より高い場合は第4の電動ダンパー38を開、第5の電動ダンパー40を閉とし、冷水コイル24の制御用電動弁56を制御して冷却する。
【0028】
ただし、室内からの排気が多い場合、室圧制御などで加圧空気が多い場合のように、必要最小外気量が大風量になる場合、外気条件により加湿能力が不足する可能性がある。その場合は、室内条件にあわせて外気処理設備を設置するか、室内に直接加湿を行うか、絶対湿度の低下は許容し温度制御だけを行う、といった対応が必要となる。
【0029】
図3はパターンCとして外気冷房が不可の場合の外気冷房システムの回路を表している。図14のゾーン2,3,3’での操作に対応する。
1.ゾーン2では、加湿+冷却(外気冷房不可)の操作を行う。
(1)露点温度を一定に制御する場合
送風空気露点温度(DP)が一定になるようにバイパスMD32と加湿給水電動弁55を制御する。外気は定風量装置(CAV)46により必要最小外気量とする(電動ダンパー44全閉、電動ダンパー38開、電動ダンパー40閉)。
(2)室温を一定に制御する場合
室内温度により送風温度設定値を制御(カスケード制御)し、送風温度が設定値になるように制御用電動弁56を制御する。
【0030】
2.ゾーン3,3’では冷却(外気冷房不可)の操作を行う。
(1)露点温度を一定に制御する場合
通常は除湿制御には行わないが、必要な場合は、外気導入系統に除湿コイルを付加する(外気処理ユニットなど )。
(2)室温を一定に制御する場合
室内温度により送風温度設定値を制御(カスケード制御)し、送風温度が設定値になるように制御用電動弁56を制御する。
【0031】
ここで風量変動の防止について説明する。外気取り入れ量の変化やコイルや加湿器を通過する風量の変化により機内抵抗が変動し、給気風量の変動が起きる。その対策として、次の方法が考えられる。
1.空気加熱ユニット(AHU)に風量センサーを取り付け、インバーターで送風機風量を制御する。プラグファンを使用する場合、ファンベルマウスの差圧で風量を換算し制御する。
2.ダクトにVAVや風速センサーを取り付け、ファンをインバーター制御する。
【0032】
図4はパターンDとして降雪センサーで降雪を感知した場合の外気冷房システムの回路を表している。図5はパターンEとして降雪センサーで降雪を感知しかつスノーセンサーで雪の侵入を感知した場合の外気冷房システムの回路を表している。
雪の吹込み対策として、屋外に設置した降雪センサー(図示無し)で降雪を検出したら最小外気量とする(電動ダンパー44閉、電動ダンパー38閉)。
光学的スノーセンサー(煤煙濃度計)48で雪の侵入を感知した場合、雪対策MD(電動ダンパー34)を開とし、エアフィルター51を通さずに還気と混合して雪を溶かす(電動ダンパー38閉、電動ダンパー40閉)。
【0033】
図6はパターンFとして外気とレターン空気との混合点で霧発生の可能性がある場合の外気冷房システムの回路を表している。
霧の発生について考察すると、空気線図において還気加湿空気と厳寒時の外気の混合線が飽和線と交わると霧が発生する。その対策として、次の方法が考えられる。
1.加湿前還気を低温外気と混合し、乾球温度を上げて飽和線と交わらないようにする。すなわち、取入れ外気の絶対湿度と乾球温度を計測し、外気とレターン空気との混合点の乾球温度が計画した目標点となるよう霧対策MD(電動ダンパー36)を制御する。
2.ブラインコイルを使用しランアラウンド方式で外気と還気を熱交換する(ただし機内抵抗が増加する)。
【0034】
図7〜図10は、本発明による外気冷房空調システムの構成要素のレイアウトを表している。図7は本発明による空調システムの上部の構成を表す平面図、図8は図7の線A−Aに沿う水平断面図、図9は本発明による空調システムの下部の構成を表す平面図、図10は図7の線B−Bに沿う水平断面図である。各構成要素には図1〜図6に示した符号が付してある。
【0035】
図11は本発明の空調システムの制御方法を表す空気線図である。横軸は乾球温度、縦軸は絶対湿度を表している。動作を説明すると、室内空気条件1(例えば25℃、湿度50%)に気化式加湿器による加湿を加えることにより、1から3へと移行し、気化式加湿器を通過した空気3と外気2のミキシングポイント4を室内温湿度条件の露点温度になるように風量比を制御する。本発明では気化式加湿器の飽和効率を有効に利用できるため、加湿量が増加する。図13の従来システムと比べて送風ポイントの位置が飽和ラインに近づいていることを理解されたい。
【0036】
ここで、本発明による空調システムの特徴点を整理する。
1.気化式加湿器を使用し、その最大加湿能力に見合った外気量を導入する。還気流路でバイパスダンパーと電動弁の段階制御を合わせた比例制御を行う。
2.低温外気のとき、外気を冷水コイル下流で混合する。これにより、コイルを通過する風量が外気風量分少なくなり、コイルの圧力損失が小さくなり、ファン動力が削減できる。
3.電動ダンパーで外気量、還気量、排気量を変えた際に生じる空調機の送風量や室圧の変動を防止するための制御を加える。
【0037】
4.外気冷房可能な外気温湿度条件を広範囲とするため、霧の発生する条件では、外気に加湿前の還気を少量混合し、加湿還気と外気の混合線が空気線図の飽和線と交わらないようにする。これにより、外気冷房可能な外気温湿度条件が広範囲となり、寒冷時でも外気冷房が可能となる。
5.屋外に降雪センサーを設けることにより、降雪を検知し、最小外気量に制御する。同時に雪の侵入を外気ダクトに取付けた光学式の粉塵検出装置(煤煙濃度計・スノーセンサー)で判断し、外気フィルターをバイパスし加湿器下流の還気と混合して融解し、ドレンとして排出する。これにより、寒冷時の降雪時でも最小外気量による外冷運転が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上詳細に説明した如く、本発明による外気冷房空調システムによれば、空調対象室内の温度・湿度を最適に制御するとともに、外気導入回路の雪によるフィルターの目詰まりや凍結、空調対象室内での霧の発生などを防止することが可能な空調システムが提供されることになり、その技術的効果には極めて顕著なものがある。
【符号の説明】
【0039】
10 空調対象室 12 給気流路
13 合流点 14 還気流路
15 分流点 16 外気導入回路
18 還気流路 20 再循環流路
22 気化式加湿器 24 冷水コイル
31,33,35,37 バイパス回路
26,32,34,36,38,40,44 電動ダンパー
41,42 外気取入口 46 定風量装置
48 スノーセンサー 50,51 エアフィルター
52,53 インバータファン 54 風量センサー
55,56 電動弁 57,59 温度センサー
58 露点センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調対象室(10)に接続された給気流路(12)及び還気流路(14)と、
前記給気流路上の合流点(13)で前記給気流路に接続された外気導入回路(16)と、
前記還気流路上の分流点(15)で前記還気流路に接続された排気流路(18)及び再循環流路(20)とを備え、
前記再循環流路は前記合流点で前記給気流路及び前記外気導入回路に接続されている外気冷房空調システムであって、
前記再循環流路内に気化式加湿器(22)とその下流側の冷水コイル(24)とが配置され、
前記気化式加湿器の上流側と下流側とを接続する第1のバイパス回路(31)が設けられて当該バイパス回路内に第1の電動ダンパー(32)が配置され、
前記気化式加湿器の下流側と前記外気導入回路とを接続する第2のバイパス回路(33)が設けられて当該バイパス回路内に第2の電動ダンパー(34)が配置され、
前記気化式加湿器の上流側と前記外気導入回路とを接続する第3のバイパス回路(35)が設けられて当該バイパス回路内に第3の電動ダンパー(36)が配置され、
前記外気導入回路の外気取入口付近に雪の有無を検出するスノーセンサー(48)が設けられており、
前記第1の電動ダンパーで空調対象室内に供給される加湿量を制御し、
前記スノーセンサーで雪の侵入を検出し前記第2の電動ダンパーで外気導入回路を制御することを特徴とする外気冷房空調システム。
【請求項2】
空調対象室内に対して変風量方式を適用し、インバータファン(52,53)又はいくつかの電動ダンパーを制御して送風量を変動させ、室内負荷に見合った風量まで減少させることにより搬送動力を低減させる請求項1記載の外気冷房空調システム。
【請求項3】
前記給気流路内に露点センサー(58)が設けられ、前記露点センサーの検出した露点温度に基づき前記第1の電動ダンパーで空調対象室内に供給される加湿量を制御する請求項1又は2記載の外気冷房空調システム。
【請求項4】
屋外に降雪センサーを設けることにより、降雪を検知し、外気導入量を最小に制御する請求項1乃至3のいずれかに記載の外気冷房空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−172877(P2012−172877A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34106(P2011−34106)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000191319)新菱冷熱工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】