説明

外用組成物

【課題】保湿作用に優れ、肌の奥にまでうるおいを与えて肌に張りを賦与し、しかも肌の
経時的なテカリを抑制した外用組成物を提供すること。
【解決手段】(A)重量平均分子量が15万以上のシリコーンと、(B)水溶性保湿剤と
、(C)糖のリン酸エステルおよび/またはその塩とを含有することを特徴とする外用組
成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保湿性や使用感に優れつつ、経時的なテカリが軽減された外用組成物に関す
る。
【背景技術】
【0002】
一般に化粧料などの外用組成物には、保湿作用、うるおいの賦与およびそれによる肌の
張りの賦与といった性質が求められる。それらの達成のために、外用組成物には水や油性
成分などが配合されている。しかしながら、油性成分は肌のべたつきやテカリの原因とな
ることがある。
【0003】
これらを解消するため、特定の樹脂粉末またはシリカを使用すること(特許文献1)、
特定の多糖誘導体、低分子量ジメチルポリシロキサンなどの揮発性油剤および水を配合す
ること(特許文献2)、さらにヒドロキシプロピル変性デンプン同士がリン酸によって架
橋された架橋物、油剤、乳化剤および水を配合すること(特許文献3)などが提案されて
いる。
【0004】
しかし、このような配合により得られる外用組成物は、肌の表面を潤すだけで、うるお
いの浸透感が得られない。
一方、一定の保湿力を賦与するために、多価アルコールを高濃度で配合することが提案
されている(特許文献4)。しかし、このような配合では、外用組成物ののびが悪くなっ
たり、うるおいが肌の奥まで浸透せず、また肌の表面がべたついたり、経時的にテカリが
増すなどの不快感を与えることが多く、これが化粧崩れなどにもつながっていた。
【0005】
そこで、これらの問題を解決するため、前記のように特定の樹脂粉末やシリカを配合し
たり、あるいは、金属石鹸微粒子を配合することが提案されている(特許文献5)。
しかしながら、樹脂粉末やシリカを配合した場合には、外用組成物がざらつき、その使
用感に影響する場合もある。また一定の粒径の条件を満たす金属石鹸微粒子を配合した場
合には、金属が外用組成物の剤型に影響を与え、不安定にする場合もある。
【0006】
なお、特許文献6の実施例1では、シクロメチコン、ジメチコン、デカメチルシクロペ
ンタシロキサン、グリセリン、ストラクチャーXL(ヒドロキシプロピルデンプンリン酸
)を含有する組成物が調製されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−247808号公報
【特許文献2】特開2005−325106号公報
【特許文献3】特開2006−111549号公報
【特許文献4】特開平11−276881号公報
【特許文献5】特開2000−63232号公報
【特許文献6】特開2005−255644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、保湿作用に優れ、肌の奥にまでうるおいを与えて肌に張りを賦与し、しかも
肌の経時的なテカリを抑制した外用組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、高重合シリコーンと、水溶性
保湿剤と、糖のリン酸エステルおよび/またはその塩とを含有する組成物が、上記課題を
解決することができることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0010】
すなわち本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1](A)重量平均分子量が15万以上のシリコーンと、
(B)水溶性保湿剤と、
(C)糖のリン酸エステルおよび/またはその塩と
を含有することを特徴とする外用組成物。
【0011】
[2]前記シリコーン(A)の重量平均分子量が、20万〜40万であることを特徴と
する[1]に記載の外用組成物。
[3]前記シリコーン(A)が、ジメチコンガム含有率10〜35重量%のオイルブレンド
ジメチルシリコーンであることを特徴とする[1]または[2]に記載の外用組成物。
【0012】
[4]皮膚外用組成物として使用されることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに
記載の外用組成物。
[5]前記シリコーン(A)の含有量が、0.1〜10重量%であることを特徴とする
[1]〜[4]のいずれかに記載の外用組成物。
【0013】
[6]前記水溶性保湿剤(B)の含有量が、5〜15重量%であることを特徴とする[
1]〜[5]のいずれかに記載の外用組成物。
[7]前記水溶性保湿剤(B)10重量部に対し、前記シリコーン(A)が0.1〜15重量
部、前記糖のリン酸エステルおよび/またはその塩(C)が0.1〜10重量部含有されてい
ることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の外用組成物。
【0014】
[8]さらに界面活性剤(D)を含有することを特徴とする[1]〜[7]のいずれか
に記載の外用組成物。
[9]前記糖のリン酸エステルおよび/またはその塩(C)の含有量が、0.1〜5重
量%であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の外用組成物。
【0015】
[10]前記糖のリン酸エステルおよび/またはその塩(C)における糖が、デンプン
であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載の外用組成物。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、保湿作用に優れ、肌の奥にまでうるおいを与えて肌に張りを賦与し、
しかも肌の経時的なテカリを抑制した外用組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、試験例1の、実施例または比較例の外用組成物を測定ポイントに塗布し、塗布後0.5時間後、1時間後、2時間後の肌表面の角質水分量を、Skicon-200EXを使用して測定した結果を示す図である。
【図2】図2は、試験例2の、実施例または比較例の外用組成物を測定ポイントに塗布し、塗布後0.5時間後、1時間後、2時間後の肌内側の角質水分量を、Corneometerを使用して測定した結果を示す図である。
【図3】図3は、試験例3の、実施例または比較例の外用組成物を測定ポイントに塗布し、塗布後0.5時間後、1時間後、2時間後の肌表面の角質水分量を、Skicon-200EXを使用して測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
[外用組成物]
上述の通り、本発明の外用組成物は、上記(A)〜(C)成分を必須成分として含有し
、後述するように、必要に応じて、界面活性剤(D)およびその他の成分を含有してもよ
い。以下、これら各成分について説明する。
【0019】
<(A)重量平均分子量が15万以上のシリコーン>
本明細書において、「シリコーン」とは、オルガノポリシロキサン、すなわちシロキサ
ン結合による主骨格を持つ高分子化合物を指す。本発明で使用されるシリコーン(A)は
、重量平均分子量が15万以上である。このように重量平均分子量の高いシリコーンを配
合することによって、本発明の外用組成物を塗布された肌が経時的にテカるのを防止する
ことができ、しかも組成物のすべり・なじみ感などの良好な使用感を維持することができ
る。さらに、前記シリコーン(A)を配合することによって、組成物の塗布時の重みを出
すことができ、高級感をもたらすことができる。重量平均分子量が15万未満のシリコー
ンでは、このような効果が十分には得られない。
【0020】
本明細書において重量平均分子量は、GPCにより測定した標準ポリスチレン換算の重
量平均分子量をあらわす。本発明で使用されるシリコーン(A)の重量平均分子量は、肌
が経時的にテカるのを防止する観点から、好ましくは20万〜40万である。
【0021】
このような本発明に使用されるシリコーン(A)の例としては、高重合メチルポリシロ
キサン、高重合ジメチコノール、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチル
(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合
体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチル
シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ポリオキシエチレン
・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチル
ポリシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体
、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アクリル酸アルキル共
重合体メチルポリシロキサンエステル、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型メチルフェ
ニルポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル
変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン等の重合型シリコーンが挙げられる。
【0022】
これらの中でも、本発明の外用組成物を構成する他成分との混合のしやすさの観点から
、高重合メチルポリシロキサン、高重合ジメチコノールが好ましい。
これらの具体的な市販品として、希釈オイルとして、シクロペンタシロキサン、ジメチ
コン、水添ポリイソブテン等を使用したジメチコンガムベースのオイルブレンド品である
、KF-9008、KF-9011、KF-9013、KF-9014、KF-9028、KF-9030、MK-15H、X-21-5
495等(以上 商品名:信越化学工業(株))、さらにBY11-003、BY11-007、BY11-
014、BY11-026、BY11-040、BY22-019、BY22-020、BY22-034、BY22-055、B
Y22-060、SH200 Fluid、BY25-320等(以上 商品名:東レ・ダウコーニング(株))

その他、希釈オイルとして、シクロペンタシロキサン、ジメチコン、フェニルオイル等
を使用したジメチコノールガムベースのオイルブレンド品である、1501 Fluid、1503 Flu
id、CB-1556 Fluid等(以上 商品名:東レ・ダウコーニング(株))、さらにX-21-5613
、X-21-5666、X-21-5849等(以上 商品名:商品名:信越化学工業(株))が挙げられる

【0023】
シリコーン(A)としては、本発明の外用組成物を構成する他成分との混合のしやすさ
の観点から、特にオイルブレンドジメチルシリコーンが好ましい。前記オイルブレンドジ
メチルシリコーンがジメチコンガムベースのものである場合、前記と同様の観点から、ジ
メチコンガム成分の含有率が10〜35重量%であることが好ましく、10〜20重量%
であることがより好ましい。このような条件を満たすシリコーン(A)としては、上記KF
-9008、KF-9011、KF-9013、KF-9014、KF-9028、KF-9030、MK-15H、X-21-5495
、BY11-003、BY11-007、BY11-014、BY11-040、BY25-320等が挙げられる。
【0024】
また、前記オイルブレンドジメチルシリコーンがジメチコノールガムベースのものであ
る場合、前記と同様の観点から、ジメチコノールガム成分を20重量%以上含有すること
が好ましい。このような条件を満たすシリコーン(A)としては、上記X-21-5613、X-21-
5666、X-21-5849等が挙げられる。
【0025】
以上説明したシリコーン(A)は、例示したように市販もされており、容易に合成する
ことができる。また、その重量平均分子量の調整も、重合度を調整することなどにより、
容易に行うことができる。
【0026】
本発明においては、シリコーン(A)は1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて
用いてもよい。
また本発明の外用組成物100重量%中のシリコーン(A)の含有量は、配合のしやす
さ、組成物の使用感の観点から、好ましくは0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.5〜
5重量%である。
【0027】
<(B)水溶性保湿剤>
本発明に使用される水溶性保湿剤(B)は、水溶性であり、皮膚の水分量を保持し、保
湿に寄与する物質であれば、特に限定されない。前記水溶性について、水溶性保湿剤(B
)が固形の場合には、当該保湿剤(B)は25℃の水100gに0.01g以上溶解し、また液体
の場合には、水との相溶性に問題がなければ、任意の量で、均一に混合される。
【0028】
水溶性保湿剤(B)はその名の通り肌の水分を保ち、かつ本発明の外用組成物における
特定の組成により、肌の奥にまでうるおいを与え、それにより肌に張りを与えることがで
きる。
【0029】
本発明に使用される水溶性保湿剤(B)の例としては、植物抽出物、水溶性高分子、多
価アルコールおよびヒドロキシアルキル化ウレアが挙げられる。
水溶性保湿剤(B)のより具体的な例としては、チガヤ根エキス、オトギリソウエキス
、ニンジンエキス、カロットエキス、ダイズエキス、酵母エキス、イザヨイバラエキス、
加水分解シルク、加水分解ケラチン、加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン、
アテロコラーゲン、サクシニルアテロコラーゲン、加水分解エラスチン、ヒアルロン酸、
ヒアルロン酸ナトリウム、アセチルヒアルロン酸、アセチルヒアルロン酸ナトリウム、
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、
1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、
ジグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等、ヒドロキシエチルウレア、
ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、トリメチルグリシン(ベタイン)および
ソルビトールが挙げられる。これらは公知の方法で容易に合成することができ、
また市販もされている。
【0030】
これらの中でも、配合のしやすさから、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリ
コール、ポリオキシプロピレンメチルグルコシドおよびヒドロキシエチルウレアが好ましい。
本発明において水溶性保湿剤(B)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて
用いてもよい。
【0031】
本発明の外用組成物100重量%中における水溶性保湿剤(B)の含有量は、配合のし
やすさ、組成物の使用感の観点から、0.001〜20重量%であることが好ましく、1〜20重量%
であることがより好ましく、5〜15重量%であることが特に好ましい。
【0032】
<(C)糖のリン酸エステルおよび/またはその塩>
本発明の外用組成物には、肌の奥にまでうるおいを与え、肌にはりを与えるため、糖の
リン酸エステルおよび/またはその塩(C)を配合する。
【0033】
前記糖としては、単糖類、二糖類、三糖類、四糖類、オリゴ糖類および多糖類のいずれ
もが挙げられるが、これらの中では、はり感を与える観点から、多糖類が好ましい。
多糖類の例としては、デンプン、キチン、キトサンが挙げられる。これらの中でも、本
発明の外用組成物の塗布時ののびのよさの観点から、デンプンが好ましい。
【0034】
また、(C)成分は糖のリン酸エステルまたはその塩であるが、糖がリン酸ジエステル
結合により架橋された構造をとっていることが、肌の奥にまでうるおいを与える観点から
好ましい。糖としてデンプンが好ましいことと合わせると、本発明に使用される(C)成
分は、リン酸架橋デンプン誘導体であることが好ましい。
【0035】
また、糖は複数のヒドロキシ基を有しており、本発明に使用される(C)成分において
は、このヒドロキシ基がR−OHなどと反応することなどによって得られるエーテルであ
ってもよい。糖のどのヒドロキシ基がエーテル化されるかについては、特に制限はない。
このようなエーテル化された糖であって、本発明の外用組成物の経時的な安定性、組成物
中の他の成分との相溶性の観点から好ましい糖としては、ヒドロキシアルキルセルロース
およびアルキルヒドロキシアルキルセルロースが挙げられる。
【0036】
本発明に使用される(C)成分として好ましいのは、グリセロリン酸ナトリウム、グリ
セロリン酸カルシウム、ジスターチリン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプンリン
酸、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸ナトリウム、マンノースリン酸ナトリウム、ヤシ
油アルキルグルコシドヒドロキシプロピルリン酸ナトリウムである。特に好ましいのは、
National Starch, LLCより「Structure (R) XL」の商品名で販売されている、ヒドロキシ
プロピル二デンプンリン酸である。
【0037】
本発明においては、このような糖のリン酸エステルおよび/またはその塩(C)を1種
単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、後述するように、本発明の外用組成物は種々の製剤形態をとり得るが、その製剤
化の容易性の観点から、本発明の外用組成物100重量%中における糖のリン酸エステル
および/またはその塩(C)の含有量は、0.1〜5重量%であることが好ましく、0.5〜2重
量%であることがより好ましい。
【0038】
本発明の外用組成物は、以上説明した(A)〜(C)成分を含有しているので、保湿作
用に優れ、肌の奥にまでうるおいを与えて肌に張りを賦与し、しかも肌に塗布した際の、
経時的なテカリが軽減されている。
【0039】
外用組成物のユーザーの嗜好として、特に加齢に伴い、表皮脂質分泌や皮脂量が減少し
たり、表皮角質層の保水能力が低下することで、しっとり感、うるおい感、はり・コク感
(高い保湿性と軽い使用感)、またこれらを肌に閉じ込めた感じ、持続する感じの「パッ
ク感」を外用組成物に求める傾向にある。一方べたつきは好まれず、また、過剰なテカリ
は年齢に対して不自然な印象を与えることから、経時的なべたつき、テカリが少ないこと
も、外用組成物に求める傾向にある。このことから、本発明の外用組成物は、高齢のユー
ザーに特に好適である。また高齢ユーザーのみならず、季節変化、環境変化等による肌の
乾燥感を改善したいものの、経時的なテカリの発生は抑制したいユーザーにも好適に使用
できる。
【0040】
このような経時的なテカリの発生を有効に抑制する観点からは、本発明の外用組成物に
おいて、水溶性保湿剤(B)10重量部に対し、シリコーン(A)が0.1〜15重量部、糖の
リン酸エステルおよび/またはその塩(C)が0.1〜10重量部配合されていることが好ま
しい。
【0041】
また、水溶性保湿剤(B)10重量部に対し、シリコーン(A)が0.2〜10重量部、糖の
リン酸エステルおよび/またはその塩(C)が0.2〜5重量部配合されていることがさらに
好ましく、水溶性保湿剤(B)10重量部に対し、シリコーン(A)が0.3〜10重量部、糖
のリン酸エステルおよび/またはその塩(C)が0.2〜3重量部配合されていることが特に
好ましい。
以上説明した本発明の外用組成物は、さらに界面活性剤(D)、その他の成分等を含有
してもよい。
【0042】
<(D)界面活性剤>
後述するが、本発明の外用組成物の好ましい製剤形態は乳化外用組成物である。このよ
うな乳化した組成物とするためには、本発明の外用組成物に界面活性剤(D)を含有させ
ることが特に好ましい。
【0043】
前記界面活性剤(D)の例としては、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキ
シエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどのポリオキシエ
チレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル等の
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン硬化ヒ
マシ油;セスキオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪
酸エステル;ステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビ
タン脂肪酸エステル;ステアリン酸ポリオキシル等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル
;ステアリン酸マクロゴール;ラノリンアルコール;レシチン;モノステアリン酸グリセ
リル、モノステアリン酸ポリグリセリル等のグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる

【0044】
これらの中で好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエ
チレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、レシチン、グリ
セリン脂肪酸エステルである。
【0045】
本発明において界面活性剤(D)は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて
使用してもよい。
また本発明の外用組成物100重量%中における界面活性剤(D)の含有量は、通常0.
5〜10重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%である。
【0046】
<その他の成分>
本発明の外用組成物には、該組成物に所望の効果を持たせるため、さらに有効成分を配
合することができる。本発明において有効成分とは、薬理活性成分や生理活性成分など皮
膚に対して有用な効果を有する成分で、特に制限されないが、例えば、非ステロイド性抗
炎症剤、ビタミン類、美白剤、抗シワ剤、育毛剤、痩身剤、局所麻酔剤、鎮痒剤、抗菌剤
、角質軟化剤、保湿剤、収斂剤、抗酸化剤、発毛抑制剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤等
が挙げられる。
【0047】
具体的には次の成分が例示できる。
非ステロイド性抗炎症剤:カンゾウ抽出物、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カ
リウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等のグリチルリチン酸誘導体;グリチルレチ
ン酸又はその誘導体;アラントイン又はその誘導体;インドメタシン;イブプロフェン;
イブプロフェンピコノール;ブフェキサマク;フルフェナム酸ブチル;ベンダザック;ピ
ロキシカム;ケトプロフェン;フェルビナク;サリチル酸メチル又はサリチル酸グリコー
ル等のサリチル酸誘導体;メントール;カンフルなど。
【0048】
ビタミン類:レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、レチナール、レ
チノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、ビタ
ミンA脂肪酸エステル、d−δ−トコフェリルレチノエート、α−トコフェリルレチノエ
ート、β−トコフェリルレチノエート等のビタミンA類;
β−カロチン、α−カロチン、γ−カロチン、δ−カロチン、リコピン、ゼアキサンチン
、クリプトキサンチン、エキネノン等のプロビタミンA類;
α−トコフェロール、β−トコフェロール、δ−トコフェロール、酢酸トコフェロール、
コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム等の
ビタミンE類;
リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラ
ビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5'−リン酸エステ
ルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類;
ニコチン酸メチル、ニコチン酸、ニコチン酸アミドなどのニコチン酸類;
アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ジパルミチン酸L−アスコルビル、テトライソパ
ルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコ
ルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマ
グネシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム塩、アスコルビン酸リン酸ナトリウム塩
、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸エチルなどのビタミンC類;
メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなどのビタミンD
類;
フィロキノン、ファルノキノン等のビタミンK類;
γ−オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸
塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミ
ン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミン
モノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル
、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸
エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類;
塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5'−リン酸ピリドキサー
ル、塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類;
シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等のビタミン
B12類;
葉酸、プテロイルグルタミン酸等の葉酸類;
パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D
−パンテテイン、D−パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテ
ン酸類;
ビオチン、ビオシチン等のビオチン類;
カルニチン、フェルラ酸、α−リポ酸、オロット酸等のビタミン様作用因子など。
【0049】
美白剤:プラセンタ;アルブチン;システイン;エラグ酸;コウジ酸;フィチン酸;ル
シノール;ハイドロキノン;イリス(アイリス)、アーモンド、アロエ、イチョウ、ウー
ロン茶、エイジツ、オウゴン、オウレン、オトギリソウ、オドリコソウ、海藻、カッコン
、カミツレ、カンゾウ、クチナシ、クジン、コムギ、コメ、コメハイガ、オリザノール、
コメヌカ、シソ、シャクヤク、センキュウ、ソウハクヒ、ダイズ、茶、テルミナリア、ト
ウキ、トウキンセンカ、ハマメリス、ベニバナ、ボタンピ、ヨクイニン、エノキ、カキ(
Diospyros kaki)、チョウジ等の植物に由来する成分、エキス及び精油な
ど。
【0050】
抗シワ剤:コエンザイムQ6〜10等のユビキノン、カイネチン、グリコール酸、アル
ジリン、アシル化グルコサミン、コラーゲン、アロエエキス、海藻エキス、マロニエエキ
ス、ローズマリーエキス、ヤグルマソウエキスなど。
【0051】
育毛剤:プロシアニジン、グリチルリチン酸ジカリウム、塩化カプロニウム、セファラ
ンチン、メントール、ヒノキチオール、L−ヒドロキシプロリン、アセチルヒドロキシプ
ロリン、フコイダン、トウガラシチンキ、セファランチン、スエルチアニン、シンホング
ギニシン、フラボノステロイド、ミノキシジル、FGF−10、エンメイソウ抽出物(エ
キス)、センブリ抽出物(エキス)、ミツイシコンブ抽出物(エキス)、アマチャズル抽
出物(エキス)、オトギリソウ抽出物(エキス)、ゲンチアナ抽出物(エキス)、セージ
抽出物(エキス)、ペパーミント抽出物(エキス)、ホップ抽出物(エキス)、ヨクイニ
ン抽出物(エキス)、柿葉抽出物(エキス)、ジオウ抽出物(エキス)、ニンジン抽出物
(エキス)、ボダイジュ抽出物(エキス)、ボタンピ抽出物(エキス)、ジユ抽出物(エ
キス)など。
【0052】
痩身剤:カフェイン、アミノフィリン、テオフィリン、オクストリフィリン、ダイフィ
リン、ジイソブチルアミノベンゾイルオキシプロピルテオフィリン、テオブロミン、ジプ
ロフィリン、プロキシフィリン、ペントキシフィリンなどのキサンチン類;カプサイシン
など。
【0053】
局所麻酔剤:リドカイン、塩酸リドカイン、ジブカイン、塩酸ジブカイン、アミノ安息
香酸エチル、ユーカリ油、オイゲノール、カンフル、ハッカ油、テレピン油など。
鎮痒剤:クロタミトン、クロルフェニラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、ジフェ
ンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸、
ノニル酸ワニリルアミド、メキタジン、カンフル、チモール、オイゲノール、ポリオキシ
エチレンラウリルエーテル、コンフリーエキス、シソエキスなど。
【0054】
抗菌剤:イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘ
キシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化セチルトリメチルアンモニ
ウム、塩化デカリニウム、トリクロサン、トリクロロカルバニリドなど。
【0055】
角質軟化剤:エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール
、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、炭酸プロ
ピレン、ヘキシルドデカノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルホルムアミド、トリエタノールアミン、ジイソプロピルアジペート、エチルラウリレー
ト、ラノリン、脂肪酸ジアルキロールアミド、尿素、イオウ、レゾルシン、フィチン酸、
乳酸、乳酸塩、グリコール酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど。
【0056】
保湿剤:ポリエチレングリコール、ジグリセリントレハロース、ヘパリン類似物質、コ
ラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサンなどの高分子化合物;グリシン、ア
スパラギン酸、アルギニン等のアミノ酸、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸
ナトリウム等の天然保湿因子;セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド4、セラ
ミド5、セラミド6I、セラミド6II、セラミド7等のセラミド類、N−(ヘキサデシ
ロキシヒドロキシプロピル)−N−ヒドロキシエチルデカナミド、N−(ヘキサデシロキ
シヒドロキシプロピル)−N−ヒドロキシエチルヘキサデカナミドなど。
【0057】
収斂剤:クエン酸、酒石酸、乳酸、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アラントイ
ンクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、アルミニウ
ムフェノールスルホン酸、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、アルミ
ニウムクロロヒドロオキシドなど。
【0058】
抗酸化剤:ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エチレンジア
ミン四酢酸二ナトリウム・二水和物(以下、エデト酸ナトリウムとも言う)、ソルビン酸
、亜硫酸ナトリウムなど。
【0059】
発毛抑制剤:イソフラボン、ヒオウギエキス、ドクダミエキス、イリス根エキス、パパ
イン酵素など。
紫外線吸収剤:パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、2−[4−(ジエチルアミ
ノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、2,4,6−トリス[4−
(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、ジメトキ
シベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、2,4−ビス−
[[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル]−6−(4−メトキシ
フェニル)−1,3,5−トリアジンなど。
【0060】
紫外線散乱剤:酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、ケ
イ酸チタン、ケイ酸亜鉛、無水ケイ酸、ケイ酸セリウム等の無機化合物や、それらの無機
化合物をマイカやタルク等の無機粉体で被覆したり、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエ
ステル、ポリスチレン、ナイロン等の樹脂粉体に複合化したもの、さらにシリコン油や脂
肪酸アルミニウム塩等で処理したものなど。
【0061】
本発明においては、これらのその他の成分を1種単独で、または2種以上を組み合わせ
て用いることができる。
本発明の外用組成物100重量%中のこれらその他の成分の含有量は、通常0.0001〜30
重量%である。
【0062】
<本発明の外用組成物の製剤形態>
本発明の外用組成物の具体的な製剤形態としては、例えば、液状、乳液状(乳化外用組
成物)、クリーム状(乳化外用組成物)、ローション状、ペースト状、ムース状、ジェル
状、シート状(基材担持)、エアゾール状、スプレー状等の種々の形態が挙げられる。これ
らの中でも、保湿性を持続させる観点から、乳化外用組成物の製剤形態、特にクリーム状
の製剤形態が好ましい。
【0063】
<本発明の外用組成物の製造方法>
本発明の外用組成物は、その形態に応じて、公知の方法によって製造することができる

【0064】
たとえば、上記(A)〜(C)成分、任意成分である界面活性剤(D)およびその他の
成分、さらに本発明の効果を損なわない量的及び質的範囲内で、必要に応じて医薬品、医
薬部外品または化粧品分野において一般的に用いられる各種の成分あるいは水を配合し、
公知の方法で混合することにより、本発明の外用組成物を得ることができる。
【0065】
前記医薬品、医薬部外品または化粧品分野において一般的に用いられる成分としては、
例えば基剤、保存剤、pH調整剤、安定化剤、刺激軽減剤、防腐剤、着色剤、分散剤、香
料等や、低刺激性の界面活性剤を挙げることができる。
【0066】
これらの成分は1種単独で、または2種以上を任意に組み合わせて配合することができ
る。またこれらの成分の配合量は、本発明の効果を奏すれば特に制限されないが、望まし
くは薬学上許容される上限配合量を限度に適宜選択される。
【0067】
前記基剤としては、
パラフィン、オゾケライト、セレシン、ハードファット、マイクロクリスタリンワックス
、スクワラン(合成・植物性)、αーオレフィンオリゴマー、流動パラフィン、軽質イソパ
ラフィン、流動イソパラフィン、ポリエチレン末等の炭化水素;
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸
、オレイン酸、リノール酸等の脂肪酸;
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(トリオクタノイン)、中鎖脂肪酸トリグリセリド
、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル等のトリ脂
肪酸グリセリド;
エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、トリエチレング
リコールジアセタート、ヘキシレングリコールジアセタート、及び2−メチル−2−プロ
ペン−1,1−ジオールジアセタート等のグリコールアセタート;
トリエチレングリコールジバレラート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ
ールモノイソブチラート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブ
チラート等のグリコールエステル;
エチレングリコールジアクリラート、ジエチレングリコールジアクリラート、プロピレン
グリコールモノアクリラート、2,2−ジメチル−トリメチレングリコールジアクリラー
ト、及び1,3−ブチレングリコールジアクリラート等のグリコールアクリラート;
エチレングリコールジニトラート、ジエチレングリコールジニトラート、トリエチレング
リコールジニトラート、及びプロピレングリコールジニトラート等のグリコールジニトラ
ート;
2,2′−[1,4−フェニレンジオキシ]ジエタノール、ジオキサン、ブチレングリコ
ールアジピン酸ポリエステル等のエーテル化合物;
エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;
セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール、
ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、オレイルアル
コール、デシルテトラデカノール、ミリスチルアルコール等の高級アルコール;
ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル;
マクロゴール;
ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル
、パルミチン酸セチル、トリ2−エチルヘキシル酸グリセリル、モノステアリン酸グリセ
リル、等のエステル類;
ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;
アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、コメ胚芽油、シア脂油、ツバキ油、月見草油、
ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、ホホバ油、マカデミアナ
ッツ油、メドウフォーム油、ローズヒップ油などの植物油などが挙げられる。
【0068】
前記保存剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナ
トリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキ
シ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキ
シ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノールなどが挙げられ
る。
【0069】
前記pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸などの無機酸;乳
酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、
プロピオン酸、酢酸、アスパラギン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、グルタミン酸、
アミノエチルスルホン酸などの有機酸;グルコノラクトン;酢酸アンモニウム;炭酸水素
ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、
水酸化マグネシウムなどの無機塩基及び;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン
、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、リジンなどの有機塩基など
が挙げられる。
なお、以上説明した医薬品、医薬部外品または化粧品分野において一般的に用いられる
成分は、その薬学上許容される塩類として用いてもよい。
【0070】
<本発明の外用組成物の適用>
以上説明した本発明の外用組成物は、保湿作用に優れ、肌の奥にまでうるおいを与えて
肌に張りを賦与し、しかも肌に塗布した際の、経時的なテカリが軽減されている。したが
って、本発明の外用組成物は、皮膚に適用する組成物として好適である。
【0071】
また、加齢や季節変化に伴い、肌の皮脂量が減少したり、角質保水力が低下するためな
どの理由で、しっとり感、うるおい感、はり・コク感および経時的なテカリの少ないこと
を外用組成物に求めるユーザーもあることから、本発明の外用組成物は、そのようなユー
ザーによる使用に特に好適である。さらに、本発明の外用組成物は肌に張りを賦与するこ
とができるため、整肌の用途にも好適であり、そのほか、日焼け止めなど、各種用途に使
用できる。
【実施例】
【0072】
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[外用組成物の調製(実施例1〜4および比較例1〜3)]
下記表1に記載の組成に従い、各成分を常法によって混合することにより、実施例およ
び比較例の外用組成物を得た。なお、表1中、数値は組成物100g中の配合量(g)を示す。
また、表1において、メチルポリシロキサンと高重合メチルポリシロキサン(1)の混合
液としては、東レ・ダウコーニングのBY11-014(重量平均分子量20〜30万)を使用した。
【0073】
【表1】

[角質水分量測定]
被験者の前腕内側を洗浄し、10分間馴化後、2cm×2cmの塗布ポイントを数箇所作った。
前記ポイントについて、実施例または比較例の外用組成物塗布前の角質水分量を測定した
。測定は1ポイントあたり5回ずつ行い、測定値の最大・最小値を抜いた3つの値で平均値
を求めた。この測定に使用した機器はSkicon-200EX(アイ・ビイ・エス株式会社製 皮表
角層水分測定装置)およびCorneometer(株式会社インテグラル製 水分計)であり、前
者は肌表面の角質水分量を測定するのに、後者は肌内側(測定深度30〜40μm)の角質水
分量を測定するのに使用した。
【0074】
<試験例1>
被験者3名に対し、実施例1〜3、および比較例1の外用組成物を1ポイントあたり20mgず
つ塗布し、塗布後0.5、1、2時間の時点での肌表面の角質水分量を、Skicon-200EXを使用
して測定した。結果を図1及び下記表2に示す。なお、図1および表2においては、塗布
前の水分量を100とした場合の相対値を示しており、数値は被験者3名の平均値を用い
ている。
【0075】
【表2】

<試験例2>
被験者3名に対し、実施例1〜3、および比較例1の外用組成物を1ポイントあたり20mg
ずつ塗布し、塗布後0.5、1、2時間の時点での肌内側の角質水分量を、Corneometerを使用
して測定した。結果を図2および下記表3に示す。なお、図2および表3においては、塗
布前の水分量を100とした場合の相対値を示しており、数値は被験者3名の平均値を用
いている。
【0076】
【表3】

<試験例3>
被験者3名に対し、実施例4、および比較例2、3の外用組成物を1ポイントあたり20mgず
つ塗布し、塗布後0.5、1、2時間の時点での肌表面の角質水分量を、Skicon-200EX(アイ
・ビイ・エス株式会社製 皮表角層水分測定装置)を使用して測定した。結果を図3に示
す。また、使用感試験として、各試験製剤(外用組成物)につき、塗布直後の浸透感およ
び塗布後2時間経過時点での浸透感、肌内側のふっくら感、肌のはり・コク感、肌のべた
つき、肌のテカリにつき下記基準により7名の被検者に評価を行ってもらい、7名の評価点
の平均値を算出した。結果を、角質水分量の測定結果とともに、下記表4に示す。下記表
4および図3の角質水分量は、塗布前の水分量を100とした場合の相対値を示しており
、数値は被験者3名の平均値を用いている。
【0077】
(評価基準)
・浸透感/肌内側のふっくら感/肌のはり・コク
(よい:5点、ややよい:4点、ふつう:3点、やや悪い:2点、悪い:1点)
平均点 4点以上:◎、3.5点以上4点未満:○、2.5点以上3.5点未満:、2.5点未満:×
・肌のべたつき/テカリ(ない:0点、ややある:1点、ある:2点)
平均点 0.5点以上1点未満:○、1点以上1.5点未満:△、1.5点以上2点未満:×
【0078】
【表4】

<試験例4>
製剤のすべりやすさを評価するため、摩擦感試験として、静・動摩擦測定機(トリニテ
ィーラボ社製 トリラボ トライボマスター TL201Sa)を使用し、実施例4、比較例2
、3の製剤につき、各試験製剤のMIU(平均摩擦係数:人間が感じるすべり易さ、すべ
りにくさの指標)を測定した。試験は人工皮革上に2×5cmの枠を作成し、各試験製剤を20
mgを均一に塗布し、塗布1時間後に摩擦静荷重50gf、摩擦子の移動速度2mm/secで、枠の
中心部における移動距離3cmでMIUを測定することにより実施した。各試験製剤MIUは
、10msecごとに測定した1500ポイントの摩擦係数平均値から算出した。結果を下記表5に
示す。
【0079】
【表5】

[処方例]
以下、本発明の外用組成物の処方例を示す。以下において数値の単位は全て重量%であ
る。
【0080】
処方例1 化粧液
濃グリセリン 2.0
ポリオキシプロピレングルコシド 1.0
ジプロピレングリコール 5.0
ポリエチレングリコール1500 2.0
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.2
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 0.5
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.8
メチルポリシロキサンと高重合メチルポリシロキサン(1)の混合液(BY11-014) 0.5
大豆たん白加水分解物 0.1
防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール) 適量
pH調整剤 適量
香料 適量
精製水 残部
合計 100。
【0081】
処方例2 乳液
ジグリセリン 5.0
ヒドロキシエチルウレア 1.0
ジプロピレングリコール 5.0
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.2
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 0.8
モノステアリン酸ソルビタン 2.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 0.2
トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル 5.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5.0
白色ワセリン 1.0
メチルポリシロキサンと高重合メチルポリシロキサン(1)の混合液(BY11-014) 1.0
キレート剤 適量
防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル) 適量
pH調整剤 適量
香料 適量
精製水 残部
合計 100。
【0082】
処方例3 ジェルクリーム
ジグリセリン 5.0
ポリオキシプロピレングルコシド 2.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.1
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 2.0
モノステアリン酸グリセリン 1.2
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.8
流動パラフィン 2.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
白色ワセリン 0.5
ステアリルアルコール 1.0
メチルポリシロキサンと高重合メチルポリシロキサン(1)の混合液(BY11-014) 2.0
加水分解コラーゲン末 0.05
ビタミンA油 0.1
ヒアルロン酸ナトリウム 0.05
キレート剤 適量
防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール) 適量
pH調整剤 適量
香料 適量
精製水 残部
合計 100。
【0083】
処方例4 クリーム
濃グリセリン 4.0
ヒドロキシエチルウレア 3.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
カルボキシビニルポリマー 0.3
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 1.0
水素添加大豆リン脂質 0.2
モノステアリン酸グリセリル 1.5
モノステアリン酸ポリグリセリル 2.0
シア脂 1.0
スクワラン 5.0
トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル 5.0
トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリル 0.5
白色ワセリン 1.0
ベヘニルアルコール 2.0
ステアリルアルコール 2.0
メチルポリシロキサンと高重合メチルポリシロキサン(1)の混合液(BY11-014) 2.0
ニンジンエキス 0.1
ダイズエキス 0.1
加水分解シルク液 0.1
酵母エキス 0.1
キレート剤 適量
防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル) 適量
pH調整剤 適量
香料 適量
精製水 残部
合計 100。
【0084】
処方例5 クリーム
濃グリセリン 6.0
ポリオキシプロピレングルコシド 2.0
1,3−ブチレングリコール 6.0
カルボキシビニルポリマー 0.4
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 0.8
プルラン 0.2
モノステアリン酸ソルビタン 1.5
イソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5
シア脂 1.0
スクワラン 5.0
トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル 8.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
メドウフォーム油 1.0
トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリル 0.5
白色ワセリン 1.0
ベヘニルアルコール 1.0
ステアリルアルコール 1.0
メチルポリシロキサンと高重合メチルポリシロキサン(1)の混合液(BY11-014) 2.0
大豆たん白加水分解物 0.05
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
キレート剤 適量
防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル) 適量
pH調整剤 適量
香料 適量
精製水 残部
合計 100。
【0085】
処方例6 日焼け止めジェル
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 11.0
2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル
0.5
2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,
5−トリアジン 3.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
メチルポリシロキサンと高重合メチルポリシロキサン(1)の混合液(BY11-014) 2.0
ジグリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 3.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.5
セタノール 0.5
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.3
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 1.0
トコフェロール酢酸エステル 0.1
キレート剤 適量
防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル) 適量
pH調整剤 適量
香料 適量
精製水 残部
合計 100。
【0086】
処方例7 日焼け止め乳液
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 7.0
2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル
0.8
ポリシリコン−15(紫外線B波吸収剤) 1.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 2.0
濃グリセリン 2.0
ジプロピレングリコール 5.0
ヒドロキシエチルウレア 2.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 3.0
モノステアリン酸グリセリン 1.0
モノステアリン酸ソルビタン 0.8
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 0.2
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.15
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 0.5
リン酸アスコルビルマグネシウム 0.05
キレート剤 適量
防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル) 適量
pH調整剤 適量
香料 適量
精製水 残部
合計 100。
【0087】
処方例8 乳液
グリセリン 4.0
ジプロピレングリコール 8.0
ポリオキシプロピレンメチルグルコシド 3.0
カルボキシビニルポリマー 0.2
キサンタンガム 0.05
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 0.5
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 2.0
モノステアリン酸グリセリン 1.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5.0
スクワラン 3.0
メチルポリシロキサンと高重合メチルポリシロキサン(1)の混合液(BY11-014) 1.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
リン酸アスコルビルマグネシウム 0.05
水溶性コラーゲン 0.1
カロットエキス 0.1
キレート剤 適量
防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル) 適量
pH調整剤 適量
香料 適量
精製水 残部
合計 100。
【0088】
処方例9 ジェル乳液
ジグリセリン 3.0
ジプロピレングリコール 5.0
ヒドロキシエチルウレア 2.0
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.3
(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー 0.2
カンテン 0.2
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 1.0
ポリエチレングリコール4000 0.5
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 2.0
メチルポリシロキサン 2.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5.0
メチルポリシロキサンと高重合メチルポリシロキサン(1)の混合液(BY11-014) 1.0
架橋型メチルポリシロキサンとメチルポリシロキサンの混合液 2.0
アテロコラーゲン 0.05
サクシニルアテロコラーゲン 0.05
加水分解コラーゲン 0.01
キレート剤 適量
防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル) 適量
pH調整剤 適量
香料 適量
精製水 残部
合計 100。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の外用組成物は、保湿作用に優れ、肌の奥にまでうるおいを与えて肌に張りを賦
与し、しかも肌に塗布した際の、経時的なテカリが軽減されている。このため、しっとり
感、うるおい感、はり・コク感を求め、かつ経時的なテカリの少ないことを外用組成物に
求める傾向にあるユーザーによる使用に、本発明の外用組成物は特に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)重量平均分子量が15万以上のシリコーンと、
(B)水溶性保湿剤と、
(C)糖のリン酸エステルおよび/またはその塩と
を含有することを特徴とする外用組成物。
【請求項2】
前記シリコーン(A)の重量平均分子量が、20万〜40万であることを特徴とする請
求項1に記載の外用組成物。
【請求項3】
前記シリコーン(A)が、ジメチコンガム含有率10〜35重量%のオイルブレンドジメチ
ルシリコーンであることを特徴とする請求項1または2に記載の外用組成物。
【請求項4】
皮膚外用組成物として使用されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の外
用組成物。
【請求項5】
前記シリコーン(A)の含有量が、0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項
1〜4のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項6】
前記水溶性保湿剤(B)の含有量が、5〜15重量%であることを特徴とする請求項1
〜5のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項7】
前記水溶性保湿剤(B)10重量部に対し、前記シリコーン(A)が0.1〜15重量部、前
記糖のリン酸エステルおよび/またはその塩(C)が0.1〜10重量部含有されていること
を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項8】
さらに界面活性剤(D)を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の
外用組成物。
【請求項9】
前記糖のリン酸エステルおよび/またはその塩(C)の含有量が、0.1〜5重量%で
あることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項10】
前記糖のリン酸エステルおよび/またはその塩(C)における糖が、デンプンであるこ
とを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の外用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−12389(P2012−12389A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125230(P2011−125230)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】