説明

外装材間の止水構造

【課題】雨水等に対して十分な止水性を発揮することが可能な外装材間の止水構造を提供することを目的とする。
【解決手段】上下に隣り合う外装材2,2同士は、これら上下の外装材2,2の裏面側に取り付けられた接合部材3,4によって接合され、左右に隣り合う外装材2,2間に縦目地部5が形成されるとともに、この縦目地部5に目地部材6が装着されており、接合部材3,4は、上下の外装材2,2の幅方向に沿って長尺に形成されるとともに、この接合部材3,4の側端面に、縦目地部5に沿って形成された縦溝部7を備えており、目地部材6は、この縦溝部7に係合する係合片6bを備えている。これにより、上下に隣り合う外装材間および左右に隣り合う外装材間の止水性を向上させることができ、雨水等に対して十分な止水性を発揮することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁表面に上下左右に並設された複数の外装材間の止水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅の構築についてはその工業化が進み、例えば壁や床、屋根といった構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てることにより住宅を構築するパネル工法が一部に採用されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のようなパネル工法では、隣接する外装材の側端部が、下サネと上サネとを係合させるサネ構造をなしているので、専用の取付金具を用いることによって、これら隣接する外装材を、外壁となる壁パネルに対して確実に取り付けできるようになっている。
【特許文献1】特開2001−098736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、上述のような外装材として、例えば軽量気泡コンクリートや、その他のコンクリート成形品等の建築用資材を用いたいという要望があった。このような建築用資材からなる外装材は、例えばポルトランドセメントと、石英及び溶融シリカを含む珪砂と、水とを混練してスラリーを製造し、このスラリーを格子状に組まれた鉄筋が配置された型枠に流し込み、さらに高温、高圧下のオートクレーブ内で蒸気養生させることにより製造されており、断熱性や防水性、防腐性、耐候性、デザイン性等に優れる。
【0004】
ところが、このような軽量気泡コンクリートや、その他のコンクリート成形品等からなる外装材は砂状のものを固めたものであるため、その側端部に、特許文献1の外装材のようなサネ構造を形成すると、細長く形成した部分や角部などが崩れ易くなってしまい、元の形状を維持できない場合があった。そして、このように外装材の側端部が崩れた場合は、外装材自体を交換しなければならなず手間であった。
【0005】
そこで、このような手間を省くため、複数の外装材を隣り合うようにして外壁表面に取り付ける際は、例えばフラット面等のような単純化された端部同士を単に突き合わせるなどして、隣り合う外装材同士を並設していた。しかしながら、このように外装材の端部同士を突き合わせるだけでは、雨水等に対して十分な止水性を発揮することができない場合があった。
【0006】
本発明の課題は、雨水等に対して十分な止水性を発揮することが可能な外装材間の止水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、外壁1(10)表面に上下左右に並設された複数の外装材間2,2(20,20)の止水構造において、
上下に隣り合う外装材2,2(20,20)同士は、これら上下の外装材2,2(20,20)の裏面側に取り付けられた接合部材3,4(30,40)によって接合され、左右に隣り合う外装材2,2(20,20)間に縦目地部5(50)が形成されるとともに、この縦目地部5(50)に目地部材6(60)が装着されており、
前記接合部材3,4(30,40)は、前記上下の外装材2,2(20,20)の幅方向に沿って長尺に形成されるとともに、この接合部材3,4(30,40)の側端面に、前記縦目地部5(50)に沿って形成された縦溝部7(70)を備えており、前記目地部材6(60)は、この縦溝部7(70)に係合する係合片6b(60a)を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、上下に隣り合う外装材2,2(20,20)同士は、これら上下の外装材2,2(20,20)の幅方向に沿って長尺な接合部材3,4(30,40)を上下の外装材2,2(20,20)の裏面側に取り付けることによって接合されていることから、この接合部材3,4(30,40)によって上下の外装材2,2(20,20)間の隙間を裏面側から幅方向に沿って塞ぐことができるので、上下に隣り合う外装材2,2(20,20)間の止水性を向上させることができる。
また、左右に隣り合う外装材2,2(20,20)同士は、前記縦目地部5(50)に、縦溝部7(70)に係合片6b(60a)を係合させるようして目地部材が装着されているので、この目地部材6(60)によって左右に隣り合う外装材2,2(20,20)間の止水性を向上させることができる。
しかも、前記接合部材3,4(30,40)は、前記上下の外装材2,2(20,20)の裏面側に取り付けられており、前記目地部材6(60)を、これら接合部材3,4(30,40)に到達する位置まで、前記縦目地部5(50)の奥行き方向に深く挿入することができるので、この目地部材6(60)によって縦目地部5(50)を広範かつ確実に止水することができる。これによって、雨水等に対して十分な止水性を発揮することが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、例えば図1および図2に示すように、請求項1に記載の外装材2,2間の止水構造において、
前記縦溝部7は、前記接合部材3,4の側端面を縦目地部5に沿って凹溝状に切り欠くことによって形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、前記接合部材3,4の側端面を凹溝状に切り欠くだけで前記縦溝部7を形成することができるので、縦溝部7を容易かつ確実に得ることができる。これによって、この縦溝部7に前記目地部材6の係合片6bを確実に係合させることができる。
また、前記接合部材3,4の側端面を切り欠いて縦溝部7を形成することから、従来とは異なり、外装材2,2の側端部にサネ構造を形成する必要が無く、外装材の交換にかかる手間を省くことができるので、従来に比して、前記複数の外装材2,2…を効率良く並設することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、例えば図3および図4に示すように、請求項1に記載の外装材20,20間の止水構造において、
前記接合部材30,40は、この接合部材30,40の側端面に前記外装材20,20の側端面よりも縦目地部50に向かって突出するように設けられ、前記縦目地部50に沿って延在する突条部70aと、この突条部70aから屋外側に所定間隔離間して配置された突出片70bとを備えており、これら突条部70aおよび突出片70b間の隙間が、前記縦溝部70となっていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、前記接合部材30,40の側端面に、前記縦目地部50に沿って延在する突条部70aと、この突条部70aから屋外側に所定間隔離間する突出片70bとを、前記外装材20,20の側端面よりも縦目地部50に向かって突出するようにして設けるだけで、これら突条部70aおよび突出片70b間の隙間に前記縦溝部70を形成できるので、縦溝部70を容易かつ確実に得ることができる。これによって、この縦溝部70に前記目地部材60の係合片60aを確実に係合させることができる。
また、前記接合部材30,40の側端面に前記突条部70aおよび突出片70bを設けて縦溝部70を形成することから、従来とは異なり、外装材20,20の側端部にサネ構造を形成する必要が無く、外装材の交換にかかる手間を省くことができるので、従来に比して、前記複数の外装材20,20…を効率良く並設することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、例えば図2および図4に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の外装材間2,2(20,20)の止水構造において、
前記接合部材3,4(30,40)は、上方の外装材2(20)の下端部裏面および下方の外装材2(20)の上端部裏面にそれぞれ取り付けられており、これら上方および下方の接合部材3,4(30,40)は、これら接合部材3,4(30,40)同士が水密に係合し合うための係合部3e,4e(32,42)をそれぞれ備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、上方の外装材2(20)の下端部裏面および下方の外装材2(20)の上端部裏面にそれぞれ取り付けられた上方および下方の接合部材3,4(30,40)は、これら接合部材3,4(30,40)同士が水密に係合し合うための係合部3e,4e(32,42)をそれぞれ備えているので、これら係合部3e,4e(32,42)同士を水密に係合させることによって、前記上方および下方の接合部材3,4(30,40)同士を確実に係合させることができるだけでなく、これら接合部材3,4(30,40)が取り付けられた上下に隣り合う外装材2,2(20,20)同士をより確実に接合することができる。しかも、これら係合部3e,4e(32,42)同士を水密に係合させることで、継ぎ目部分の止水性・防水性を向上させることが可能となる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、例えば図2および図4に示すように、請求項4に記載の外装材2,2(20,20)間の止水構造において、
前記上方の外装材2(20)の下端部裏面および下方の外装材2(20)の上端部裏面のうち、少なくとも一方には、前記上方および下方の接合部材3,4(30,40)の係合部3e,4e(32,42)が嵌まり合う嵌合凹部9(90)が形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、前記上方の外装材2(20)の下端部裏面および下方の外装材2(20)の上端部裏面のうち、少なくとも一方には、前記上方および下方の接合部材3,4(30,40)の係合部3e,4e(32,42)が嵌まり合う嵌合凹部9(90)が形成されているので、この嵌合凹部9(90)に前記係合部3e,4e(32,42)を嵌め合わせることによって、前記接合部材3,4(30,40)と外装材2,2(20,20)との一体化を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上下に隣り合う外装材同士は、これら上下の外装材の幅方向に沿って長尺な接合部材を上下の外装材の裏面側に取り付けることによって接合されていることから、この接合部材によって上下の外装材間の隙間を裏面側から幅方向に沿って塞ぐことができるので、上下に隣り合う外装材間の止水性を向上させることができる。
また、左右に隣り合う外装材同士は、前記縦目地部に、縦溝部に係合片を係合させるようして目地部材が装着されているので、この目地部材によって左右に隣り合う外装材間の止水性を向上させることができる。
しかも、前記接合部材は、前記上下の外装材の裏面側に取り付けられており、前記目地部材を、これら接合部材に到達する位置まで、前記縦目地部の奥行き方向に深く挿入することができるので、この目地部材によって縦目地部を広範かつ確実に止水することができる。これによって、雨水等に対して十分な止水性を発揮することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態の外装材2が取り付けられる外壁1を備えた建物は、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てて構築するパネル工法で構築されるが、従来の軸組工法や壁式工法の木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の建物にも適用することができる。
【0019】
(第1の実施の形態)
本実施の形態の外装材2,2間の止水構造は、図1および図2に示すように、外壁1表面に上下左右に並設された複数の外装材2,2…間におけるものであり、上下に隣り合う外装材2,2同士は、これら上下の外装材2,2の裏面側に取り付けられた接合部材3,4によって接合され、左右に隣り合う外装材2,2間に縦目地部5が形成されるとともに、この縦目地部5に目地部材6が装着されており、前記接合部材3,4は、前記上下の外装材2,2の幅方向に沿って長尺に形成されるとともに、この接合部材3,4の側端面に、前記縦目地部5に沿って形成された縦溝部7を備えており、前記目地部材6は、この縦溝部7に係合する係合片6bを備えている。
また、前記縦溝部7は、前記接合部材3,4の側端面を縦目地部5に沿って凹溝状に切り欠くことによって形成されている。
【0020】
ここで、本実施の形態の外壁1は壁パネルであり、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助棧材が縦横に組み付けられて枠体1aが構成され、図1に示すように、枠体1aの両面に面材1b,1bが貼設されている。
【0021】
なお、この外壁1表面の所定位置には、図1および図2に示すように、前記接合部材3,4の一部を受けて挟持し、接合部材3,4を外壁1表面の所定位置に配置するための挟持部材8が固定されている。
【0022】
また、本実施の形態の外装材2は、例えばポルトランドセメントと、石英及び溶融シリカを含む珪砂と、水とを混練してスラリーを製造し、このスラリーを上下方向および左右方向に配筋した鉄筋が配置された型枠に流し込み、さらに高温、高圧下のオートクレーブと呼ばれる耐熱耐圧密閉蒸気窯内で蒸気養生させることにより製造されたコンクリート成形品である。
【0023】
前記外装材2には、図示はしないが、外装材2の内部全体に補強金網が埋設されており、このような補強金網によって、外装材2自体の強度を向上させることができるようになっている。また、外装材2の上端部近傍および下端部近傍には、図1に示すように、ボルト端部2aが外装材2の裏面に突出する埋込金具が埋設されている。
【0024】
一方、前記接合部材3,4は、図2に示すように、上方の外装材2の下端部裏面および下方の外装材2の上端部裏面にそれぞれ取り付けられており、上下に隣り合う外装材2,2同士を接合するためのものであり、これら接合部材3,4を前記上方および下方の外装材2,2に取り付けるための取付部3a,4aと、この取付部3a,4aから外壁1表面まで突出する本体部3b,4bと、この本体部3b,4bの上方または下方に向かって突出し、前記挟持部材8によって挟持可能な形状に形成された被挟持部3c,4cとを備えている。また、前記被挟持部3c,4cの近傍には、図2(a)に示すように、前記挟持部材8の一部が所在するスペースを確保するための隙間部3d,4dが設けられている。
【0025】
前記取付部3a,4aは、前記外装材2の幅方向に沿って長尺に形成されており、図1に示すように、前記外装材2に埋設された埋込金具のボルト端部2aが突出している。そして、ボルト端部2aにはナット2bが螺合されており、取付部3a,4aと埋込金具とが連結されている。
【0026】
また、前記本体部3b,4bは、前記接合部材3,4と外壁1の表面との距離を一定に保つ役割を有しており、これによって、前記複数の外装材2,2…の取付状態をより安定的なものとすることができるようになっている。
【0027】
この他にも、前記上方および下方の接合部材3,4は、これら接合部材3,4同士が水密に係合し合うための係合部3e,4eをそれぞれ備えている。これら係合部3e,4eは、図2(a)に示すように、略凹凸状に形成されているので、互いに嵌合するようになっており、これによって、これら係合部3e,4e同士を水密に係合させることができるようになっている。
【0028】
すなわち、このように上方および下方の接合部材3,4同士が水密に係合し合うための係合部3e,4eをそれぞれ備えているので、これら係合部3e,4e同士を水密に係合させることによって、前記上方および下方の接合部材3,4同士を確実に係合させることができるだけでなく、これら接合部材3,4が取り付けられた上下に隣り合う外装材2,2同士をより確実に接合することができる。しかも、これら係合部3e,4e同士を水密に係合させることで、上下の外装材2,2の継ぎ目部分の止水性・防水性を向上させることが可能となる。
【0029】
また、前記上方の外装材2の下端部裏面および下方の外装材2の上端部裏面のうち、少なくとも一方には、前記上方および下方の接合部材3,4の係合部3e,4eが嵌まり合う嵌合凹部9が形成されている。
このような嵌合凹部9によれば、この嵌合凹部9に前記係合部3e,4eを嵌め合わせることによって、前記接合部材3,4と外装材2との一体化を図ることができるようになっている。
【0030】
なお、前記係合部3e,4eのように、例えばフラット面を突き合わせるだけでなく、より形状が複雑化された係合部3e,4eを嵌合凹部9に嵌め合わせると、前記上方および下方の外装材2,2同士の継ぎ目部分の周囲を複雑化することができるので、上方および下方の外装材2,2同士の継ぎ目部分から浸入しようとする雨水の浸入経路をより複雑化することができるようになっている。したがって、例えば上方および下方の外装材2,2同士の継ぎ目部分から雨水が染み込むように浸入した際であっても、これら上方および下方の外装材2,2の裏面まで雨水が到達することを防ぐことができる。
【0031】
また、前記上方および下方の外装材2,2同士の継ぎ目部分に対して、前記係合部3e,4e同士の継ぎ目部分の位置が若干ずれた状態となっている。このように上下の外装材2,2同士の継ぎ目部分と係合部3e,4e同士の継ぎ目部分とをずらして配置することによって、雨水の浸入経路をより複雑化することができるので、より防水性の向上を図ることが可能となる。
【0032】
次いで、前記目地部材6は、前記縦目地部5の長さ方向に沿って長尺に形成されるとともに、例えばEPDM(エチレンプロピレンゴム)等の弾性を有する硬質の材料により形成されており、図1および図2(b)に示すように、縦目地部5内に挿入される本体挿入部6aと、この本体挿入部6aの先端部に設けられた前記係合片6bと、本体挿入部6aから左右の外装材2の各側端面に向かって突出した封止片6cと、本体挿入部6aの屋外側端部にスペーサー6dを介して取り付けられた化粧目地部6eとを有して構成されている。
【0033】
なお、前記係合片6bは、前記本体軸部の先端部に左右方向に突出するようにして設けられており、その突出方向先端部が左右の接合部材3,3(4,4)の縦溝部7に係合するようになっている。
また、前記封止片6cは、目地部材6を縦目地部5に装着させたときに弾性変形して、その突出方向先端部が左右の外装材2の各側端面に圧接され、これにより、縦目地部5に係止されるようになっている。
【0034】
続いて、前記縦溝部7は、上述のように、前記接合部材3,4の側端面を縦目地部5に沿って凹溝状に切り欠くことによって形成されている。
特に、本実施の形態の縦溝部7は、図1および図2(a)に示すように、前記接合部材3,4の取付部3a,4aと本体部3b,4bとの境目の近傍において本体部3b,4bの側端を、縦目地部5に沿って切り欠くことによって形成されている。もしくは、予め側端を切り欠いて縦溝部7を備えた状態の本体部3b,4bと前記取付部3a,4aとを接合して接合部材3,4を構成するようにしても良い。
【0035】
このような本実施の形態の縦溝部7によれば、前記接合部材3,4の側端面を凹溝状に切り欠くだけで縦溝部7を形成することができるので、縦溝部7を容易かつ確実に得ることができる。これによって、この縦溝部7に前記目地部材6の係合片6bを確実に係合させることができるようになっている。
また、前記接合部材3,4の側端面を切り欠いて縦溝部7を形成することから、従来とは異なり、外装材2,2の側端部にサネ構造を形成する必要が無く、外装材の交換にかかる手間を省くことができるので、従来に比して、前記複数の外装材2,2…を効率良く並設することができる。
【0036】
一方、前記挟持部材8は、図1および図2(a),(c)に示すように、前記外壁1表面に固定される固定部8aと、前記上方および下方の接合部材3,4に形成された被挟持部3c,4cを受けて挟持する挟持手段とからなる。
【0037】
前記固定部8aは、図2(a),(c)に示すように、長寸部8a1と短寸部8a2からなり、断面略L字状に形成されており、長寸部8a1は前記外壁1表面に当接しているとともに、短寸部8a2は、その先端が前記挟持手段を構成する挟持板部8cと一体化されている。
そして、この短寸部8a2は、前記長寸部8a1と挟持板部8cとの間に介在することによって、接合部材3,4と外壁1表面との距離を一定に保つ役割を有しており、これによって、図1に示すように、外装材2と外壁1表面との間に通気層8bを形成することが可能となる。
【0038】
また、前記挟持手段は、対向する挟持板部8c,8cと、これら挟持板部8c,8cを互いに接近する方向に締め付ける締付部材8dと、前記対向する挟持板部8c,8c間に設けられ、前記上方および下方の被挟持部3c,4cをそれぞれ受ける受け部8e,8eとを備えている。
【0039】
前記対向する挟持板部8c,8cは、一方が、前記固定部8aの短寸部8a2と一体化されており、他方が、前記被挟持部3c,4cの近傍に設けられた隙間部3d,4dに所在するようになっている。
そして、前記締付部材8dは、ボルトおよびナットであり、前記対向する挟持板部8c,8cの中央部分に形成された挿通孔(図示せず)に挿通されている。すなわち、前記ナットを締めていくことによって、前記対向する挟持板部8c,8cが、互いに接近する方向に締め付けられていくようになっている。
【0040】
また、前記受け部8e,8eは、前記被挟持部3c,4cを受けるためのものであり、この受け部8e,8eの内周寸法は被挟持部3c,4cの外周寸法に併せて形成されている。
そして、前記受け部8e,8eによって上方および下方の被挟持部3c,4cをそれぞれ受けた状態で、前記締付部材8dによって対向する挟持板部8c,8cを互いに接近する方向に締め付けるようにすることで、前記上方および下方の被挟持部3c,4cを前記挟持部材8によって強固に挟持することができるようになっている。
【0041】
次に、複数の外装材2,2…同士を並設する際の手順について説明する。
【0042】
まず、複数の外装材2,2…の上端部裏面および下端部裏面に取り付けられる接合部材3,4の側端面を凹溝状に切り欠いて、予め縦溝部7を形成しておく。
そして、前記外壁1表面に下方の外装材2を、左右に隣り合うように並設して取り付けておく。この際、下方の外装材2の上端部裏面には接合部材4が取り付けられており、この接合部材4の被挟持部4cを、外壁1表面に固定された挟持部材8によって受けた状態としておく。
なお、下方の外装材2を左右に隣り合うようにして並設する際は、これら左右に隣り合う外装材2,2間に、目地部材6の装着を可能とする所定寸法の隙間を開けて縦目地部5を形成するようにする。
【0043】
続いて、図2(a)に示すように、下方の外装材2と上方の外装材2とを接合する。この際、下方の外装材2の前記外壁1表面に固定された挟持部材8の受け部8eで、上方の外装材2の下端部裏面に取り付けられた接合部材3の被挟持部3cを受けるようにする。
なお、上方の外装材2を左右に隣り合うようにして並設する際においても、これら左右に隣り合う外装材2,2間に、目地部材6の装着を可能とする所定寸法の隙間を開けて縦目地部5を形成する。
そして、前記挟持部材8によって、下方の外装材2および上方の外装材2に取り付けられた接合部材3,4の被挟持部3c,4cを挟持して、下方の外装材2と上方の外装材2とを強固に接合する。
【0044】
その後、図2(b),(c)に示すように、左右に隣り合う外装材2,2間に形成された縦目地部5に目地部材6を装着させる。この目地部材6を縦目地部5に装着させる際は、図1に示すように、目地部材6の係合片6bを、前記接合部材3,4の側端面に形成された縦溝部7に係合させるようにして装着させる。
【0045】
以上のようにして複数の外装材2,2…を、外壁1表面に上下左右に並設することができる。以降、上下方向および左右方向に複数の外装材2,2…を並設する際は、このような作業を繰り返し行うようにする。
【0046】
本実施の形態によれば、上下に隣り合う外装材2,2同士は、これら上下の外装材2,2の幅方向に沿って長尺な接合部材3,4を上下の外装材2,2の裏面側に取り付けることによって接合されていることから、この接合部材3,4によって上下の外装材2,2間の隙間を裏面側から幅方向に沿って塞ぐことができるので、上下に隣り合う外装材2,2間の止水性を向上させることができる。
また、左右に隣り合う外装材2,2同士は、前記縦目地部5に、縦溝部7に係合片6bを係合させるようして目地部材が装着されているので、この目地部材6によって左右に隣り合う外装材2,2間の止水性を向上させることができる。
しかも、前記接合部材3,4は、前記上下の外装材2,2の裏面側に取り付けられており、前記目地部材6を、これら接合部材3,4に到達する位置まで、前記縦目地部5の奥行き方向に深く挿入することができるので、この目地部材6によって縦目地部5を広範かつ確実に止水することができる。これによって、雨水等に対して十分な止水性を発揮することが可能となる。
【0047】
(第2の実施の形態)
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0048】
本実施の形態の外装材20,20間の止水構造は、外壁10表面に上下左右に並設された複数の外装材20,20…間におけるものであり、図3および図4に示すように、上下に隣り合う外装材20,20同士を接合するための接合部材30,40は、この接合部材30,40の側端面に前記外装材20,20の側端面よりも縦目地部50に向かって突出するように設けられ、前記縦目地部50に沿って延在する突条部70aと、この突条部70aから屋外側に所定間隔離間して配置された突出片70bとを備えており、これら突条部70aおよび突出片70b間の隙間が、目地部材60の係合片60aを係合させるための縦溝部70となっている。
なお、前記接合部材30,40は、前記外壁10表面に固定され、上方および下方の接合部材30,40の一部を受けて挟持するための挟持部材80によって、前記外壁10表面の所定位置に配置されている。
【0049】
前記接合部材30,40は、この接合部材30,40の取付部31,41の側端面の屋外側が切り欠かれた状態となるとともに、この切り欠いた部分の側端面と、外装材20の側端面とが面一となるように設定されており、取付部31,41の側端面の屋内側の切り欠かかれた状態になっていない部分を、前記突条部70aとしている。
なお、前記突条部70aは、接合部材30,40の取付部31,41の側端面の屋内側に、この取付部31,41の側端面よりも縦目地部50に向かって突出するとともに縦目地部50に沿って延在する形状の長尺部材を取り付けることによって設けられるものでも良い。
【0050】
また、このような突条部70aから屋外側に所定間隔離間した位置に、前記突出片70bが設けられている。この突出片70bは、図4(a)に示すように、前記接合部材30,40の係合部32,42に設けられた状態となっている。
なお、前記突出片70bは、前記接合部材30,40の係合部32,42に強固に取り付けて設けるようにしても良く、係合部32,42の側端部を縦目地部50側に突出するように形成して設けるようにしても良い。なお、これら係合部32,42は、上方の外装材20の下端部裏面および下方の外装材20の上端部裏面にのうちの一方に形成された嵌合凹部90に嵌まり合っている。
【0051】
そして、図4(b),(c)に示すように、左右に隣り合う外装材20,20間に形成された縦目地部50に目地部材60を装着させるものとする。
すなわち、この目地部材60を縦目地部50に装着させる際は、図3に示すように、目地部材60の係合片60aを、前記接合部材30,40の側端面に形成された縦溝部70に係合させるようにして装着させる。
【0052】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同じ効果を得ることができるとともに、前記接合部材30,40の側端面に、前記縦目地部50に沿って延在する突条部70aと、この突条部70aから屋外側に所定間隔離間する突出片70bとを、前記外装材20,20の側端面よりも縦目地部50に向かって突出するようにして設けるだけで、これら突条部70aおよび突出片70b間の隙間に前記縦溝部70を形成できるので、縦溝部70を容易かつ確実に得ることができる。これによって、この縦溝部70に前記目地部材60の係合片60aを確実に係合させることができる。
また、前記接合部材30,40の側端面に前記突条部70aおよび突出片70bを設けて縦溝部70を形成することから、従来とは異なり、外装材20,20の側端部にサネ構造を形成する必要が無く、外装材の交換にかかる手間を省くことができるので、従来に比して、前記複数の外装材20,20…を効率良く並設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の外装材間の止水構造の一例を示す平断面図である。
【図2】図1に示す外装材間の止水構造の概略を示す斜視図であり、(a)は目地部材装着前、(b)は目地部材、(c)は目地部材装着後を示している。
【図3】本発明の外装材間の止水構造の一例を示す平断面図である。
【図4】図3に示す外装材間の止水構造の概略を示す斜視図であり、(a)は目地部材装着前、(b)は目地部材、(c)は目地部材装着後を示している。
【符号の説明】
【0054】
1 外壁
2 外装材
3 接合部材
4 接合部材
5 縦目地部
6 目地部材
6b 係合片
7 縦溝部
10 外壁
20 外装材
30 接合部材
40 接合部材
50 縦目地部
60 目地部材
60a 係合片
70 縦溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁表面に上下左右に並設された複数の外装材間の止水構造において、
上下に隣り合う外装材同士は、これら上下の外装材の裏面側に取り付けられた接合部材によって接合され、左右に隣り合う外装材間に縦目地部が形成されるとともに、この縦目地部に目地部材が装着されており、
前記接合部材は、前記上下の外装材の幅方向に沿って長尺に形成されるとともに、この接合部材の側端面に、前記縦目地部に沿って形成された縦溝部を備えており、前記目地部材は、この縦溝部に係合する係合片を備えていることを特徴とする外装材間の止水構造。
【請求項2】
請求項1に記載の外装材間の止水構造において、
前記縦溝部は、前記接合部材の側端面を縦目地部に沿って凹溝状に切り欠くことによって形成されていることを特徴とする外装材間の止水構造。
【請求項3】
請求項1に記載の外装材間の止水構造において、
前記接合部材は、この接合部材の側端面に前記外装材の側端面よりも縦目地部に向かって突出するように設けられ、前記縦目地部に沿って延在する突条部と、この突条部から屋外側に所定間隔離間して配置された突出片とを備えており、これら突条部および突出片間の隙間が、前記縦溝部となっていることを特徴とする外装材間の止水構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の外装材間の止水構造において、
前記接合部材は、上方の外装材の下端部裏面および下方の外装材の上端部裏面にそれぞれ取り付けられており、これら上方および下方の接合部材は、これら接合部材同士が水密に係合し合うための係合部をそれぞれ備えていることを特徴とする外装材間の止水構造。
【請求項5】
請求項4に記載の外装材間の止水構造において、
前記上方の外装材の下端部裏面および下方の外装材の上端部裏面のうち、少なくとも一方には、前記上方および下方の接合部材の係合部が嵌まり合う嵌合凹部が形成されていることを特徴とする外装材間の止水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−163647(P2008−163647A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354504(P2006−354504)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】