説明

外部触媒不含のエポキシ官能性シラン縮合物をベースとする、自触媒により熱硬化可能な材料およびその使用および製造方法

外部触媒不含であって、かつシラン縮合物を含有する、自触媒により熱硬化可能な組成物に関し、この場合、これらのシランは、加水分解可能な原子および/または加水分解可能な基および(i)エポキシド基を含有し、かつイソシアネートアダクト基を含有しない非加水分解性の基ならびに(a)二価の結合−NH−C(X)−Xおよび/または−X−(X)C−NH−ウレタン基、(b)二価の結合−HN−C(X)−NH−尿素基、および/または(c)一価の、末端Y−C(X)−NH−基[式中、可変の基Xが酸素原子または硫黄原子を示し、その一方でYはイソシアネート基のためのブロッキング剤の基を示す]を有するエポキシド基不含の非加水分解性の基であるか、(ii)エポキシド基および基(a)、(b)および/または(c)を有する非加水分解性の基であるか、あるいは、(iii)イソシアネートアダクト基を含有することなく、エポキシド基を含有する非加水分解性の基、基(a)、(b)および/または(c)を有する、エポキシド基不含の非加水分解性の基、およびエポキシド基および基(a)、(b)および/または(c)を有する非加水分解性の基を含有する。さらに、本発明による、自触媒により熱硬化可能な組成物を製造するための方法および熱硬化材料を製造するためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部触媒不含の、自触媒により熱硬化可能な新規組成物に関し、この場合、これは、エポキシ官能性シラン縮合物をベースとするものである。さらに本発明は、熱硬化材料、特に被覆およびラッカー皮膜ならびに成形部品、特に光学成形部品および自己支持性フィルムを製造するための、外部触媒不含のエポキシ官能性シラン縮合物をベースとする自触媒により熱硬化可能な組成物に関する。
【0002】
ウレタン基を有しないエポキシ官能性シラン縮合物をベースとする熱硬化可能な組成物は、EP1179575A2、WO00/35599A、WO99/52964A、WO99/54412A、DE19726829A1またはDE19540623A1から公知である。これらは特に、高い耐引掻性を有する被覆を製造するのに役立つ。これらの公知の熱硬化可能な組成物は、本質的に、エポキシド基の反応のための外部触媒または開始剤を(たとえばWO99/52964A、第8頁、第29行〜第9頁、第20行)添加しなければならず、その際、組成物は100〜160℃のかなり低い温度で、適切な速度で硬化させる。
【0003】
しかしながら外部触媒の使用は、多くの欠点を伴うものである。
【0004】
たとえば、これは、公知の熱硬化可能な組成物の加工時間またはポットライフを厳しく制限するものである。
【0005】
これに関連して、たとえば自動車塗装系(OEM)のクリアラッカーとして、20μmを上廻る層厚を有する被覆を製造するために使用される場合には、得られる被覆が応力割れを示すことのないように改善しなければならない。これは知られているように、応力を順応させる可とう性の構成要素を、3次元の無機−有機混合網状構造に導入することによって行われる。公知の熱硬化可能な組成物を製造するために、典型的には、水性アルコール媒体中に存在し、媒体中で安定なバインダーを導入する。これらのバインダーは、好ましくは水性分散液の形である。しかしながら、これらの分散液は、しばしば使用された触媒との高い干渉を示すため一緒に使用することができない。したがって、公知の熱硬化可能な組成物を有利に改善させることが要求された。
【0006】
DE19910876A1では、一般式i
SiR1−m (i)
[式中、Xは水素、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルまたは−NR’(R’は水素および/またはアルキルである)を示す]のシラン縮合物をベースとする。
【0007】
式中、Rは同一かまたは異なって、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールアルケニル、アルケニルアリール、アリールアルキニルまたはアルキニルアリールを示し、この場合、これらは、酸素原子または硫黄原子または基−NR’−または−N(H)C(O)O−(ウレタン)によって遮断されていてもよく、かつ、ハロゲンおよび場合により置換されていてもよいアミノ、アミド、アルデヒド、ケト、アルキルカルボニル、カルボキシル、メルカプト、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、スルホン酸、リン酸、メタクリルオキシ、エポキシドおよびビニル基を有していてもよい。
【0008】
Yは、ブロックドイソシアネート基を示す。
【0009】
mおよびnは1〜3の整数を示す。
【0010】
これら必須のシランは、一般式ii
SiR1−m (ii)
[式中、nは1〜4の整数であり、XおよびRは前記意味を有し、かつZはヒドロキシル、アミノ、NH(CHNHまたはエポキシド基を示す]の任意のシランと一緒に共縮合されていてもよい。
【0011】
したがってこれらは、一般式iの任意の化合物を包含し、この場合、これらさらに、一般式iiの任意の化合物と組合せてもよい。
【0012】
DE19910876A1の図6によれば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランとグリシドールとの反応生成物において、シランの例としてiiが挙げられているけれども、しかしながら、これら熱硬化性組成物についての詳細は示されておらず、かつ、化合物については特に有利な形として言及されていないばかりでなく、実施例ですら使用されていない。
【0013】
さらに公知の熱硬化可能な組成物に関しては、本質的にこれらは、最初にブロックドイソシアネート基を介して架橋される。しかしながら、そのためには、特に高い温度および長い硬化時間が必要とされる(たとえば、DE19910876A1:例1、第3頁第43行:180℃/45分、例2、第4頁第32行:180℃/30分)。これらの条件は、経済性が重要な分野、たとえば自動車塗装系のクリアコートに関しては、全く不適切である。
【0014】
本発明の対象は、従来技術における欠点を有することなく、そればかりか極めて低い温度で、外部触媒または開始剤を使用することなく、急速に硬化させることが可能な、エポキシ官能性シラン縮合物をベースとする、新規の熱硬化可能な組成物を提供することである。さらにこれら新規の熱硬化可能な組成物は、問題なく、熱硬化材料、特に被覆およびラッカー皮膜ならびに成形部品、特に光学成形部品、および自己支持性フィルムを提供するために改質化することができ、この場合、これらは耐薬品性、高い耐引掻性、高い光沢および可とう性、透明性および清澄性を有し、その際、熱硬化材料、特に被覆およびラッカー皮膜は、乾燥塗膜の厚さ>30μmであり、もはや応力割れまたは支持体からの剥離を示すことなく、したがって、エポキシ官能性シラン縮合物をベースとする従来の熱硬化性組成物よりも広範囲に適用可能である。新規の熱硬化可能な組成物から製造された新規熱硬化材料は、高い耐引掻性と一緒に高い耐薬品性を有し、かつ、自動車塗装のためのクリアコートを製造するのに適している。
【0015】
さらに本発明の対象は、エポキシ官能性シラン縮合物をベースとする熱硬化可能な組成物から熱硬化材料を製造するための新規方法を提供することであり、この場合、これらは、公知の熱硬化材料を製造するための方法と比較して、より簡単に実施されるものであって、特に外部触媒および開始剤を使用することなく実施することができる。
【0016】
したがって本発明は、外部触媒不含の自触媒による新規の熱硬化可能な組成物を見出し、この場合、これらは、少なくとも1個のエポキシ官能性シラン縮合物を含有するものであって、その際、シランは、少なくとも1個の加水分解可能な原子および/または1個の加水分解可能な基、ならびに
(i)少なくとも1個のエポキシド基を含有する、イソシアネートアダクト基不含の少なくとも1個の非加水分解性の基、および
(a)二価の結合するウレタン基−NH−C(X)−X−および−X−(X)C−NH−、
(b)二価の結合する尿素基−HN−C(X)−NH−および
(c)一価の末端基Y−C(X)−NH−
[式中、Xは酸素原子または硫黄原子を示し、かつYはイソシアネート基のためのブロッキング剤の基を示す]からなる群から選択された少なくとも1個の基を含有する、少なくとも1個のエポキシド基不含の非加水分解性の基、
(ii)少なくとも1個のエポキシド基および少なくとも1個の基(a)、(b)および(c)からなる群から選択された基を含有する、少なくとも1個の非加水分解性の基、または
(iii)少なくとも1個のエポキシド基を含有する、イソシアネートアダクト基不含の、少なくとも1個の非加水分解性の基、少なくとも1個の基(a)、(b)および(c)からなる群から選択された基を含有する、エポキシド基不含の少なくとも1個の非加水分解性の基および少なくとも1個のエポキシド基および少なくとも1個の基(a)、(b)および(c)からなる群から選択された基を含有する、少なくとも1個、好ましくは1個の、非加水分解性基、
を含有する。
【0017】
外部触媒を含まない、エポキシ官能性シラン縮合物をベースとする、自触媒により熱硬化可能な新規組成物は、本発明の組成物である。
【0018】
さらに本発明は、エポキシ官能性シラン縮合物をベースとする熱硬化可能な組成物から、熱硬化材料を製造するための新規方法が見出したものであって、この場合、この方法は、少なくとも1個の本発明による組成物が、外部触媒の不在下に熱的に硬化されることを特徴とする。
【0019】
本発明の目的が、本発明による組成物および本発明による方法によって達成することができることは、驚くべきことであって、いわゆる当業者であっても予測できなかったものである。
【0020】
さらに驚くべきことに、本発明の組成物はかなり低い温度で、外部触媒または開始剤を使用しない場合であっても迅速に硬化させることができる。その際、本発明による組成物は、公知の熱硬化性組成物と比較して顕著に長いポットライフまたは加工時間を有し、この場合、これらは、工業的実施での使用において顕著な簡略化を達成するものである
【0021】
さらに本発明による組成物は、問題なく、熱硬化材料、特に被覆およびラッカー皮膜、成形部品、特に光学成形部品、および自己支持性フィルムを提供できる程度に、耐薬品性、高い耐引掻性、高い光沢、可とう性、透明性および清澄性を改質化することができ、この場合、熱硬化材料、特に被覆およびラッカー皮膜は>30μmの乾燥塗膜の形で、応力割れまたは支持体からの剥離を示すことなく、したがって、従来のエポキシ官能性シラン縮合物をベースとする熱硬化性組成物よりもより広範囲に適用可能である。特に本発明による組成物は、自動車塗装系のためのクリアコートを製造するのに適している。
【0022】
さらに驚くべきことに、本発明による方法は、公知の熱硬化材料を製造するための方法よりも簡単に実施することが可能であり、かつ特には、外部触媒および開始剤を使用することなく実施することができる。
【0023】
本発明の目的の範囲内において「自触媒」とは、本発明による組成物の熱硬化が、出発材料および/または熱硬化の過程において形成される中間体によって触媒されることを意味する(たとえば、Roempp Online, Georg Thieme Verlag Stuttgart, 2002, “Autocatalysis”)。
【0024】
本発明の目的の範囲内において、外部触媒または開始剤とは、熱硬化可能な組成物の熱硬化を、エポキシド基を介して典型的に触媒する物質であるとされる。従来技術では、このような触媒は、実用的な結果を達成するために本質的に要求されるものであった(たとえば、Johan Bieleman, “Lackadditive”[Additives for coating], Wiley-VCH, Weinheim, New York, 1998, “7.2.4 Epoxy resin systems”第263頁〜第269頁)。さらに、エポキシ官能性シラン縮合物をベースとする熱硬化可能な組成物において使用されるこの種の触媒の例は、たとえば、WO99/52964A、第8頁、第29行〜第9頁第20行またはDE19726829A1、第3段落第65行〜第4段落第64行から公知である。
【0025】
本発明の目的の範囲内で、“外部触媒不含”とは、本発明による組成物が、全く外部触媒を含有しないか、あるいは、含有していたとしても、本発明の組成物の性状プロフィールを特徴付けることなく、また顕著な影響を及ぼすことのない量であることを意味する。
【0026】
本発明の目的の範囲内において「イソシアネート−アダクト−基不含の基」とは、イソシアネート基とイソシアネート反応性官能基または化合物との反応により生じるアダクト基、たとえばウレタン基、尿素基またはブロックドイソシアネート基を含有しない基であることを意味する。
【0027】
本発明による組成物は、少なくとも1個のエポキシ官能性シランの少なくとも1個の縮合物を含有する。知られているように、縮合物は、加水分解可能な基を含有するシランを、当業者に公知の方法、たとえばゾル−ゲル法によって加水分解および縮合することによって形成される(たとえば、Roempp Online, Georg Thieme Verlag Stuttgart, 2002 “Sol-Gel process”)。
【0028】
本発明によれば、シランは、本質的に少なくとも1個の加水分解可能な原子および/または少なくとも1個の加水分解可能な基を含有する。好ましくは、少なくとも2個の、特に少なくとも3個の、加水分解可能な原子および/または少なくとも2個の、特に少なくとも3個の加水分解可能な基を含有する。
【0029】
本発明の第1の実施態様(i)において、シランはさらに必須成分として、
−少なくとも1個のエポキシド基を有する、少なくとも1個、特に1個の、非加水分解性の、イソシアネート−アダクト−基不含の基、および、
−少なくとも1個、特に1個の、
(a)二価の結合するウレタン基−NH−C(X)−Xおよび−X−(X)C−NH−、
(b)二価の結合する尿素基−HN−C(X)−NH−、および
(c)一価の末端基Y−C(X)−NH−
[式中、Xは酸素原子または硫黄原子、特に酸素原子を示し、かつ、Yはイソシアネート基のためのブロッキング剤の基を示す]からなる群から選択される基を含有する、少なくとも1個、特に1個の、エポキシ基不含の非加水分解性の基を含有する。
【0030】
本発明による第2の実施態様(ii)において、シランはさらに必須成分として、
−少なくとも1個、特に1個のエポキシド基および少なくとも1個、特に1個の基(a)、(b)および(c)からなる群から選択された基を有する、少なくとも1個、特に1個の、非加水分解性基を含有する。
【0031】
本発明による第3の実施態様(iii)において、シランはさらに必須成分として、
−少なくとも1個のエポキシド基を含有する、少なくとも1個、特に1個の非加水分解性の、イソシアネート−アダクト−基不含の基、
−少なくとも1個の、特に1個の基(a)、(b)および(c)からなる群から選択された基を有する、少なくとも1個、特に1個の、エポキシド基不含の非加水分解性の基、ならびに
−少なくとも1個のエポキシド基および少なくとも1個、特に1個の基(a)、(b)および(c)からなる群から選択された基を含有する、少なくとも1個、特に1個の非加水分解性の基、
を含有する。
【0032】
ウレタン基−NH−C(X)−X−の場合には、基中のNH官能基は、ケイ素原子側に配置され、ウレタン基−X−(X)C−NH−の場合には、基中のこの官能基は、ケイ素原子とは反対側になる。配向は、出発生成物の構造および本発明による実施態様(i)〜(iii)のエポキシ官能性シランのために使用された製造方法により生じる。
【0033】
加水分解可能な原子、加水分解可能な基、少なくとも1個のエポキシド基を有する非加水分解性のイソシアネート−アダクト−基不含の基、少なくとも1個のエポキシド基および少なくとも1個の基(a)、(b)および/または(c)を含有する非加水分解性基のすべての原子および基は、シラン化学の分野において通常よく知られており、さらにたとえばEP1179575A2、WO00/35599A、WO99/52964A、WO99/54412A、DE19726829A1、DE19540623A1およびDE19910876A1に記載されているもの、さらにはイソシアネート基とブロッキング剤との反応により得られるものとして知られているすべてのブロックドイソシアネート基(c)、たとえば、DE19914896A1、第12段落、第11行〜第13段落、第2行に記載されているもの、が挙げられる。
【0034】
好ましくは、本発明の実施態様(ii)のシランを使用する。
【0035】
シランは、好ましくは一般式Ia:
SiR (Ia)
[式中、Zは加水分解可能な、非イソシアネート反応性原子および/または加水分解可能な、一価の非イソシアネート反応性基であり、
Rは少なくとも1個のエポキシド基を有する、非加水分解性の一価の有機基であり、
は、エポキシド基不含の、非加水分解性の一価の有機基であり、
mは1、2または3であり、
nは1、2または3であり、かつ
oは0、1または2であるが、
但し、m+n+o=4である]のシランならびに一般式Ib
(ZSi) (Ib)
[式中、ZおよびRならびにmおよびoは前記意味を有し、pは少なくとも2であり、かつ基Rは少なくとも1個のエポキシド基を含有する、非加水分解性の、多価の有機基である]のシランから選択されるが、
但し、一般式Iaの少なくとも1個の基Rおよび/またはRならびに一般式Ibの少なくとも1個の基Rおよび/またはRは、以下の群、
(a)二価の結合するウレタン基−NH−C(X)−X−および−X−(X)C−NH−、
(b)二価の結合する尿素基−HN−C(X)−NH−、および
(c)一価の末端基Y−C(X)−NH−
[式中、可変の基Xは酸素原子または硫黄原子、特に酸素原子を示し、かつ可変の基Yはイソシアネート基のためのブロッキング剤の基を示す]からなる群から選択された少なくとも1個の基を包含する。
【0036】
適したブロッキング剤の例は、US4444951A1から公知のブロッキング剤である:
(1)フェノール類、たとえばフェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、クロロフェノール、エチルフェノール、t−ブチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸その酸エステルまたは2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、
(2)ラクタム、たとえばε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムまたはβ−プロピオラクタム、
(3)活性メチレン性化合物、たとえばジエチルマロネート、ジメチルマロネート、アセト酢酸エチルエステルまたはメチルエステルまたはアセチルアセトンであり、
(4)アルコール、たとえばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、t−アミルアルコール、ラウリルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメタノール、グリコール酸、グリコール酸エステル、乳酸、乳酸エステル、メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、エチレンクロロヒドリン、エチレンブロムヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,4−シクロヘキシルジメタノールまたはアセトシアンヒドリン;
(5)メルカプタン、たとえばブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノールまたはエチルチオフェノール;
(6)酸アミド、たとえばアセトアニリド、アセトアニシジンアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミドまたはベンズアミド;
(7)イミド、たとえばスクシンイミド、フタルイミドまたはマレイミド;
(8)アミン、たとえばジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミンまたはブチルフェニルアミン;
(9)イミダゾール、たとえばイミダゾールまたは2−エチルイミダゾール;
(10)尿素類、たとえば尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素または1,3−ジフェニル尿素;
(11)カルバメート、たとえばフェニルN−フェニルカルバミド酸フェニルエステルまたは2−オキサゾリドン;
(12)イミン、たとえばエチレンイミン、
(13)オキシム、たとえばアセトンオキシム、ホルムアルドキシン、アセトアルドキシン、アセトキシン、メチルエチルケトキシン、ジイソブチルケトキシン、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシムまたはクロロヘキサノンオキシム;
(14)亜硫酸塩、たとえば亜硫酸水素ナトリウムまたは亜硫酸水素カリウム;
(15)ヒドロキサム酸エステル、たとえばベンジルメタクリロヒドロキサメートまたはアリルメタクリロヒドロキサメート;または
(16)置換ピラゾールまたはトリアゾール;ならびに
(17)これらのブロッキン剤の混合物、特にジメチルピラゾールおよびトリアゾール、マロン酸エステルおよびアセト酢酸エステルまたはジメチルピラゾールおよびスクシンイミド。
【0037】
一般式IaおよびIbにおいて、Zは加水分解可能な、非イソシアネート反応性原子および/または加水分解可能な、一価の非イソシアネート反応性基である。好ましくは、加水分解可能な原子Zは、フッ素、塩素および臭素原子からなる群から選択される。加水分解可能な一価の基Zは、好ましくは、一価の有機基からなる群から選択される。一価の有機性基Zは、好ましくは、少なくとも1個の、特に1個の、分枝および非分枝の、環式および非環式のアルキル、アルケニルおよびアルキニルさらにはアリール基からなる群から選択される一価の有機基、ならびに、酸素原子または硫黄原子またはカルボニル基またはカルボキシル基、特に酸素原子であり、この場合、これらの一価の有機基は、ケイ素原子と結合している。特に好ましくは、アルキル基中に1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基であり、加水分解可能な一価の有機基Zとしては特に、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびブトキシ基を使用する。
【0038】
少なくとも2個の異なる基が一緒になった有機基Z(たとえばアリールアルキニル)に関しては、それぞれの基に対して最初に示された基(=アリール)は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基またはカルボキシル基、特に酸素原子を介してケイ素と結合することによって特徴付けられる。
【0039】
一般式Iaにおいて、基Rは非加水分解性の一価の有機基であり、この場合、これらは、少なくとも1個、特に1個の末端エポキシド基を有するものである。好ましくは、少なくとも1個のエポキシド基を有する、非加水分解性の一価の有機基Rとして、分枝または非分枝の、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールアルケニル、アルケニルアリール、アリールアルキニルまたはアルキニルアリール基が選択され、その際、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基はさらに環式であってもよい。特に好ましくはアルキル基およびアルキルシクロリアルキル基を使用する。
【0040】
少なくとも2個の異なる基が一緒になった有機基R(たとえば、アリールアルキニル)は、それぞれの基に対して最初に示された基(=アリール)が、ケイ素原子と直接的に結合することを特徴とする。
【0041】
一般式Ibにおいて可変の基Rは、非加水分解性の、多価、特に二価の有機基を示し、この場合、これらは、少なくとも1個、特に1個の末端エポキシド基を含有する。好ましくは、少なくとも1個のエポキシド基を有する、非加水分解性の価の有機基Rとしては、分枝および非分枝のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールアルケニル、アルケニルアリール、アリールアルキニルまたはアルキニルアリール基から選択され、その際、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、さらに環式であってもよい。特に好ましくはアルキル基およびアルキルシクロアルキル基を使用する。命名法に関しては基Rに示すとおりである。
【0042】
一般式IaおよびIbにおいて、可変の基Rは、エポキシド基を含有しない、非加水分解性の一価の有機基を示す。
【0043】
好ましくは、基Rは、分枝および非分枝のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールアルケニル、アルケニルアリール、アリールアルキニルまたはアルキニルアリール基から成る群から選択され、その際、アルキル、アルケニル、アルキニル基はさらに環状になっていてもよい。命名法に関しては基Rに示すとおりである。
【0044】
一般式において、mは1、2または3であり、特に3であり、nは1、2または3であり、特に1であり、かつoは0、1または2であり、特に0であるが、但し、m+n+o=4である。
【0045】
一般式Iaの少なくとも1個の基Rおよび/またはR、特に少なくとも1個の基Rおよび一般式Ibの少なくとも1個の基Rおよび/またはR、特に少なくとも1個の基Rは、少なくとも1個、特に1個の、少なくとも前記の基(a)、(b)および/または(c)を含有する。
【0046】
非加水分解性の有機基R、RおよびRは、さらに置換されていてもよい。これに関して重要であるのは、置換基がシランIaおよびIbの製造において、ゾルゲル法を阻害しないばかりか、エポキシド基を介する架橋をも阻害しないものである点で不活性であることであり、特に重要であるのは、これらの反応を阻害することなく、これらの反応を早期に生じさせることもないか、あるいは、望ましくない副生成物を導くこともないことである。適した置換基の例としてはハロゲン原子、好ましくはフッ素原子、ニトリル基、アルコキシ基またはアルコキシカルボニル基である。好ましくは基R、RおよびRは非置換である。
【0047】
非加水分解性の、有機基R、RおよびRは、さらに前記の基(a)、(b)および/または(c)とは異なる二価の官能基を有していてもよい。またこれに関しても、本質的には、これらの官能基は、シランIaおよびIbの製造において、ゾルゲル法を阻害しないばかりか、エポキシド基を介する架橋をも阻害しない点で不活性であり、特にこれらの反応を阻害することなく、これらの反応を早期に生じさせることもないか、あるいは、望ましくない副生成物を導くこともないものであることが重要である。たとえば、適した官能基は、エーテル、チオエーテル、カルボン酸エステル、チオカルボン酸エステル、カルボネート、チオカルボネート、リン酸エステル、チオリン酸エステル、ホスホン酸エステル、チオホスホン酸エステル、ホスフィット、チオホスフィット、スルホン酸エステル、アミド、アミン、チオアミド、リン酸アミド、チオリン酸アミド、ホスホン酸アミド、チオホスホン酸アミド、スルホン酸アミド、イミド、ヒドラジド、カルボニル、チオカルボニル、スルホンまたはスルホキシド基である。
【0048】
一般式IaまたはIbのシランは、有機化学の種々の方法によって製造することができる。これに関しては、前記基(a)、(b)および/または(c)を、一般式Iaの基Rおよび/またはRであるか、あるいは、一般式Ibの基Rおよび/またはRに導入することによる製造方法を使用することが重要である。これは、好ましくは、少なくとも1個、特に1個の、遊離イソシアネート基を含有する、適した出発材料(A)、ならびに、少なくとも1個、特に1個の、イソシアネート反応性官能基、特に1個のヒドロキシル基を含有する、適した出発材料(B)の反応によって製造する。特に好ましくは出発材料(B)は、さらに少なくとも1個のエポキシド基を含有する。エポキシド基は、すでに出発材料(A)中には存在しない場合であっても、必須成分として、出発材料(B)中に存在する。
【0049】
特に好ましくは、一般式IaおよびIbのシランは、
(A)一般式II:
(ZSi) (II)
[式中、mは1、2または3であり、特に3であり、oは0、1または2であり、特に0であり、pは1、2または>2の全ての数であり、特に1または2であり、Zは前記意味を有し、かつ可変の基Rは非加水分解性の、少なくとも1個の、好ましくは1個の、特に1個の末端遊離イソシアネート基を有する有機基であり、この場合、これらは、分枝または非分枝のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールアルケニル、アルケニルアリール、アリールアルキニルまたはアルキニルアリール基であり、その際、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基はさらに環式であってもよいが、特にはアルキル基である]のイソシアネート含有シランおよび
(B)一般式III:
(HO) (III)
[式中、qは1または2であり、特に1であり、かつ可変の基Rは、好ましくは1個の末端エポキシド基を有する、好ましくは少なくとも1個、特に1個の有機基であり、この場合、これらは、分枝および非分枝のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールアルケニル、アルケニルアリール、アリールアルキニルまたはアルキニルアリール基から選択され、その際、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は環式であってもよいが、特にアルキル基である]の化合物の反応によって製造される。
【0050】
基RおよびRは、非加水分解性の有機基R、RおよびRに関しての前記官能基および/または置換基を含有していてもよい。基RおよびRの命名法については、基Rで示したとおりである。
【0051】
特に適した出発材料(A)の例は、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランならびにイソホロンジイソシアネートとビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン(Dynasilan(R) 1122 Degussa)との1:1のモル比の反応生成物である。
【0052】
特に適した出発材料(B)の例はグリシドールである。
【0053】
したがって、シランとして特に好ましくは、グリシドールと3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランとの反応生成物、ならびに、グリシドールと、イソホロンジイソシアネートとビス(3−トリエトキシ−シリルプロピル)アミン(Dynasilan(R) 1122 Degussa)との1:1のモル比での反応生成物との反応生成物である。
【0054】
本発明による組成物の製造のために、前記シランIaまたはIbの少なくとも1個の、特に1個を、常用かつ公知の方法で加水分解および縮合する。好ましくは、縮合は、水相中で実施する。シランIaまたはIbを水相中に計量供給するか、あるいは、シランIaまたはIbを含有するかあるいはこれから構成される液体有機相中に、水相を計量供給することができる。好ましくは、シランIaまたはIbを水相中に計量供給する。特に縮合は、有機酸または無機酸の存在下で、特に有機酸の存在下に実施する。特に好ましくは酢酸を使用する。縮合における反応温度は、広範囲で可変であってもよく、好ましくは−10〜+50℃、より好ましくは0〜+40℃、および特に好ましくは+10〜+30℃の温度で実施する。1時間から3日間、特に8〜16時間に亘って、生じる反応混合物を後反応させることが可能である。
【0055】
本発明による組成物中でのシランIaまたはIbまたはこれらの縮合物の量は、極めて広範囲に可変であってもよく、かつ、使用目的および適用に応じて有利な粘度を達成するために調整することができる。好ましくは、それぞれ、本発明による組成物に対して10〜80%、より好ましくは15〜75%、特に好ましくは20〜70%およびさらに好ましくは25〜65質量%である。
【0056】
本発明による組成物は、少なくとも1個の改質化剤を含有していてもよい。適した改質化剤の例としては添加剤、たとえば、被覆材料の分野において通常使用されるものであって、たとえばバインダー、架橋剤、顔料、化学線硬化性材料、反応性希釈剤およびアジュバンド(たとえば、DE19930665A1、第4頁、第17行〜第13頁、第20行)である。改質化剤の選択の際には、本発明の組成物の架橋に関して、エポキシド基による触媒作用が生じないか、あるいは、このような構成成分を含有しないことを考慮する。
【0057】
特に適した改質化剤の例としては、バインダー、特に水性分散液の形のものである。特に適したバインダーおよび水性分散液、ならびにその製造方法は、たとえばDE19930665A1、第3頁、第15行〜47行および第4頁、第17行〜第9頁、第2行に記載されている。
【0058】
本発明の組成物におけるバインダーの量は、極めて広範囲で可変であってもよく、使用目的に応じて、さらにその目的に必要とされる硬度および耐引掻性に応じて定められる。好ましくは、それぞれ本発明の組成物に基づいて0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜15%、さらに好ましくは0.3〜12.5質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%の量で含有する。
【0059】
改質化剤は、シランの縮合前、縮合中または縮合後に添加することができる。これらは好ましくはシランの縮合後に本発明による組成物に添加する。その際、通常および公知の混合技術および装置、たとえば撹拌槽、ディソルバー、ウルトラターラックス、インラインディソルバー、撹拌ミルまたは押出機を使用することができる。
【0060】
本発明による組成物は、熱硬化材料、特に被覆、ラッカー皮膜、成形部品、特に光学的成形部品および自己支持性フィルムを製造するのに使用される。その際、被覆、ラッカー皮膜および自己支持性フィルムは、特に任意の種類の支持体表面を機械的作用による損傷から保護するため、特に引掻からの保護のため、および/またはこれらの装飾のために使用される。支持体は、特にすべての種類の輸送機、特に筋力により操作される輸送機関、たとえば自転車または足けり式自転車、エアクラフト、たとえば航空機または飛行船、船舶、たとえば船またはブイ、列車、および自動車両、たとえばモーターバイク、バス、トラックおよび自動車またはその一部、建物、家具、窓およびドア、小型工業部品、コイル、貨物コンテナ、パッケージング、大型家庭用品、フィルム、光学部品、電子部品、機械部品および中空ガラス製品である。使用目的および支持体の他の例としては、DE19816136A1、第7段落、第54行〜第8段落第58行から公知である。
【0061】
特に好ましくは、本発明の組成物は、有色顔料および/または効果顔料を含むマルチコート系での自動車塗装の分野において、高い耐引掻性を有するクリアコートを製造するために使用する。このようなグレードの高いマルチコート系は、ウエットオンウエット法によって製造されることが知られており、たとえば、DE19930665A1、第15頁、第15行〜第16頁、第24行に記載されている。
【0062】
本発明による被覆およびラッカー皮膜を製造するために、本発明による組成物は、それぞれ使用目的に関して常用かつ公知の適した方法を用いて適用し、この場合、これらは、たとえば噴霧、ナイフ塗布、はけ塗り、鋳込み、浸漬、含浸、散水またはロール塗布によって適用される。その際、被覆すべき支持体自体を動かすことなく、適用装置またはユニットを移動させる。あるいは、被覆すべき支持体、特にコイルを移動させてもよく、その際、適用装置は支持体に対して動かすことはないか、あるいは、適した方法で移動させてもよい。
【0063】
本発明による成形部品を製造するために、本発明による組成物を適した中空の金型中に注ぎ入れ、かつその中で硬化させ、その後に、これらは金型を取りはずす。
【0064】
本発明によるフィルムを製造するために、常用かつ公知の方法、たとえば鋳造またはインフレート法を使用する。
【0065】
本発明による組成物の硬化は、一定の静止時間後に生じうる。これは30秒〜2時間、好ましくは1分間〜1時間、特に好ましくは1〜45分間であってもよい。たとえば、静止時間は、塗膜の調整および脱気のためであるか、あるいは、揮発性成分の蒸発のために役立つ。静止時間はさらに90℃までの高められた温度を適用することによって、および/または<10gの水/kg(空気)、特に<5gの水/kg(空気)の減少した大気湿度によって促進されおよび/または短縮されるが、これに関しては、本発明による組成物に損傷または変更、たとえば早期の完全な架橋を伴うことはない。
【0066】
熱硬化は特別な方法で実施する必要はなく、それどころか常用かつ公知の方法、たとえば強制空気炉中での加熱またはIRランプを用いての放射によって実施されてもよい。これに関して、熱硬化は段階的に生じてもよい。硬化の他の好ましい方法は、近赤外線(NIR)照射での硬化である。特に好ましくは、水の含分を迅速に湿性の層から取り除く方法を使用する。この種類の適した方法においては、たとえば、Rodger Talbert in Industrial Paint & Powder, 04/01, 第30頁〜第33頁、“Curing in Seconds with NIR”またはgalvanotechnik, Volume 90 (11)、第3098頁〜第3100頁、“Lackiertechnik, NIR-Trocknung im Sekundentakt von Flussig-und Pulverlackern”[Coating technology: NIR dryomg within seconds of liquid and powder coating]に記載されている。
【0067】
熱硬化は、好ましくは50〜170℃、より好ましくは60〜165℃、かつ特に好ましくは80〜150℃で、1分〜2時間に亘って、より好ましくは2分〜1時間に亘って、かつ特に好ましくは3〜30分に亘って実施する。
【0068】
驚くべきことに、本発明による組成物の熱硬化は外部触媒を使用することなく、迅速かつ問題なく進行する。外部触媒を使用しないことについては、得られた本発明による熱硬化材料が、触媒残分を含有することがないことから有利であり、それというのもこの残分は、変色、においの問題、および/または、支持体および/または着色顔料および/またはマルチコート系からの1個または複数個の層の損傷を招きうるためである。
【0069】
実施例
製造例1
ウレタン基を含有する一般式Iaのエポキシ−官能性シランの製造
還流冷却器および撹拌機を備えたフラスコ中で、3−イソシアネート−プロピルトリエトキシシラン 24.737g(0.1モル)およびグリシドール 7.41g(0.1モル)を窒素の存在下に一緒に導入し、かつ混合物を60℃で撹拌しながら加熱した。16時間後に、反応を完了し、これについては、反応混合物のIRスペクトル中のイソシアネートバンドの消失によって検出された。
【0070】
製造例2
ウレタン基を含有する一般式Ibのエポキシ−官能性シランの製造
還流冷却器および撹拌機を備えたフラスコ中で、窒素下にイソホロンジイソシアネート 15.34g(0.069モル)をメチルエチルケトン11.56g中で溶解し、かつ溶液を10℃に冷却した。引き続いて、ゆっくりと撹拌しながら、ビス(3−トリエトキシシリルピロピル)アミン29.38g(0.069モル)(Dynasilan(R) 1122 Degussa)を添加した。添加の完了時に、反応混合物をゆっくりと室温に加熱した。その後に、得られた混合物にゆっくりと、グリシドール5.27g(0.07モル)を計量供給した。得られた反応混合物を窒素下で、室温で14時間に亘って、かつ60℃で10時間に亘って撹拌し、その後に反応が完了した(反応混合物のIRスペクトル中で、イソシアネートバンドの消失により検出した)。
【0071】
製造例3
バインダー分散液の製造
撹拌機、還流冷却器および2個の供給容器を備えた反応容器中に、脱イオン水609.2質量部を導入し、かつ90℃に加熱した。引き続いて、90℃で、2個の別個の供給流を平行に導入した。供給流1は、溶液の形での、900質量部の脱イオン水中の46質量部のカリウムペルオキソジスフフェートから構成されていた。供給流2は、163.6質量部の第3ブチルメチルアクリレート、16.1質量部のメチルメタクリレート、270.0質量部のヒドロキシプロピルメタクリレートおよび36.5質量部のジフェニルエチレンから構成されていた。供給速度は、供給流2が3時間の後にすべて供給され、その一方で供給流1が3.5時間の後にすべて供給されるように調整した。供給の終了時に、反応混合物を、90℃で30分に亘っての後重合させた。得られた分散液は、26.1質量%の固体含量を有していた。
【0072】
例1
一般式Iaのシランに基づく被覆材料の製造およびこれによるクリアコートの製造
滴加漏斗および撹拌機を備えた反応容器中に、1.08質量部の脱イオン水、3.0質量部の氷酢酸および25質量部の0.1N酢酸を導入した。混合物をゆっくりと撹拌しながら、製造例1からのシラン32.1質量部と一緒に混合した。得られた混合物を、室温で12時間に亘って撹拌した。得られた被覆材料を、ガラスパネル上にナイフ塗布し、かつ得られた層を140℃で22分間に亘って硬化させた。
【0073】
この方法で得られたクリアコートは、15μmの乾燥塗膜厚を有していた。これは応力割れおよび表面の欠陥等のないものであった。さらに顕著な耐引掻性については、スチールウール引掻試験(評価1〜2)に基づいて示された。
【0074】
スチールウール引掻試験は、DIN1041にしたがってハンマーを用いて実施した(シャフトなしの質量800g;シャフトの長さ35cm)。試験パネルを、試験前に24時間に亘って室温に置いた。
【0075】
ハンマーのフラット面を、スチールウール層でラッピングし、かつ上向き部分側をテーザクレープ(Tesakrepp)で固定した。ハンマーをクリアコートに対して直角に置いた。ハンマーのおもりは、正確に、かつ付加的な物理的応力なしに、弧を描いてクリアコート上に導かれた。
【0076】
それぞれの試験に関して、手による10回の往復のストロークで実施した。これらそれぞれの試験の後に、スチールウールを置き換えた。
【0077】
負荷後に試験面をやわらかい布で清浄化し、スチールウールの残分を取り除いた。試験面を人工光下で視覚的に評価し、以下に示した:
損傷評価
1 なし
2 わずか
3 並み
4 並〜中程度
5 激しい
6 かなり激しい
評価は、試験終了後すぐにおこなった。
【0078】
例2
一般式Ibのシランに基づく被覆材料の製造およびこれによるクリアコートの製造
滴加漏斗および撹拌機を備えた反応容器に、0.5質量部の脱イオン水、6.3質量部の0.1N酢酸および0.75質量部の氷酢酸を導入した。混合物をゆっくりと撹拌しながら、製造例2のシランIb14.5質量部と一緒に混合した。このようにして得られた混濁した混合物を、室温で5時間に亘って撹拌した。たった4時間の後に、混合物がゆっくりと透明になり、5時間後には完全に透明になった。
【0079】
得られた被覆材料をガラスパネル上にナイフ塗布し、かつ得られた層を140℃で22時間に亘って硬化させた。
【0080】
クリアコートは20μmの乾燥塗膜厚を有していた。これは、応力割れおよび他の表面の欠陥のないものであった。スチールウール引掻試験によれば、耐引掻性は極めて良好であって、評価2とされた。
【0081】
いわゆる耐酸性について、BARTを用いて試験した。
【0082】
BART(BASF ACID RESISTANCE TEST)を、クリアコートの酸、アルカリおよび水滴に対する耐性を測定するために使用した。この試験において、クリアコートを勾配炉で、40℃で30分に亘ってベーキングした後に、さらに温度負荷にさらした。予め定められた試験物質(硫酸10%濃度、36%濃度、亜硫酸6%濃度、塩酸10%濃度、水酸化ナトリウム溶液5%濃度、完全に脱塩化し、かつ脱イオン化した水(VE水)−1,2,3または4滴)を、計量ピペットを用いて適用した。支持体をこれらにさらした後に、流水下で取り除き、かつ損傷については24時間後に相当する定められたスケールにより視覚的に評価した:
外観評価
0 欠陥なし
1 わずかに傷あり
2 傷/曇りがあり、軟化はない
3 傷/曇り/色の変化/軟化あり
4 クラック/腐食の開始
5 クリアラッカーがはがれた。
それぞれしるし(スポット)毎に評価し、かつ、結果についてはそれぞれの試験物質に対して評価として記録した:
試験物質 評価
硫酸10%濃度 0
硫酸36%濃度 0
塩酸10%濃度 1
亜硫酸6%濃度 0
水酸化ナトリウム溶液5%濃度 0
VE水 0
以上により、クリアコートは極めて良好な耐酸性を示す。
【0083】
クリアコートの耐薬品性は勾配炉試験により測定した。この目的のために、被覆材料を、試験のための金属板上のベースコートに塗布し、かつ140℃で22分間に亘って硬化させた。得られたクリアコートを試験物質にさらし、何度で試験物質がクリアコートにダメージを与えるかについて測定した。得られた結果は以下のとおりである。
樹脂 >75℃
NaOH 50℃
パンクレアチン 72℃
硫酸 43℃
脱イオン水 >75℃
以上により、クリアコートは極めて良好な耐薬品性を有することを示す。
【0084】
例V1〜V3(比較例)
エポキシ官能性シランをベースとする被覆材料の製造およびこれによるクリアコートの製造
滴加漏斗および撹拌機を備えた3個の反応容器中に、それぞれ1.08質量部の脱イオン水、3.0質量部の氷酢酸および25質量部の0.1N酢酸を導入した。混合物を、
−例V1の場合には、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン23.6質量部と一緒に、
−例V2の場合には、グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン27.8質量部と一緒に、
−例V3の場合には、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン28.8質量部と一緒に、
ゆっくりと混合し、かつ室温でさらに12時間に亘って撹拌した。得られた被覆材料を、ガラスパネル上にナイフ塗布し、かつ得られた層を140℃で22分間に亘って硬化させた。
【0085】
得られたクリアコートは、15μmの乾燥塗膜厚を有していた。しかしながら、これらの表面は柔らかく、かつ架橋されていないかまたはわずかにのみ架橋されたフィルムの性質を示した。指の爪による簡単な加圧によってでさえも、クリアコートに大きい傷を生じさせることができた。クリアラッカーの耐引掻性は劣悪であった(スチールウール引掻試験の評価:6)。
【0086】
例V4(比較例)
エポキシ官能性シランをベースとする被覆材料の製造およびこれによるクリアコートの製造
滴加漏斗および撹拌機を備えた反応容器に、氷酢酸10質量部および0.1N酢酸15質量部を導入した。この混合物を、52.48質量部の5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシランと一緒に混合し、かつ室温でさらに12時間に亘って撹拌した。得られた被覆材料をガラスパネル上でナイフ塗布し、かつ得られた層を140℃で22分に亘って硬化させた。
【0087】
得られたクリアコートは、15μmの乾燥塗膜厚を有していた。しかしながらその表面は柔らかく、架橋されていないか、あるいはわずかにのみ架橋されたフィルムの性質を示した。指の爪による簡単な加圧によってでさえも、クリアコートに大きな傷を生じさせることができた。クリアコートの耐引掻性は劣悪であった(スチールウール引掻試験の評価:6)。
【0088】
例3
一般式Iaのシランの縮合物およびバインダーをベースとする被覆材料の製造ならびにこれによるクリアラッカーの製造
製造例1からの被覆材料133質量部を、製造例3からのバインダー分散液35質量部に添加した。得られた被覆材料を、室温で2時間に亘って撹拌した。これは6日間に亘って完全な貯蔵安定性を有し、この期間内においては粘度の増加はみられなかった。
【0089】
被覆材料をガラスパネル上にナイフ塗布した。得られた層を140℃で22分に亘って硬化させた。
【0090】
得られたクリアコートは高い光沢性(>80単位、20℃)を有し、清澄かつ透明であった。乾燥塗膜厚は40μmであった。応力割れおよび表面の傷はなかった。耐引掻性は顕著であった(スチールウール試験の評価1〜2)。
【0091】
例V5およびV6(比較例)
エポキシ官能性シラン縮合物およびバインダーをベースとする被覆材料の製造ならびにこれによるクリアコートの製造
例3を反復したが、しかしながら例1の被覆材料の代わりに以下のものを使用した。
−例V5の場合には、例V1による被覆材料
−例V6の場合には、例V2による被覆材料
得られる被覆材料を、ガラスパネル上にナイフ塗布し、かつ得られた層を140℃で22時間に亘って硬化させた。
【0092】
得られたクリアコートは、40μmの乾燥塗膜厚であった。この表面は柔らかく、かつ架橋されていないかまたはわずかにのみ架橋されたフィルムの性質を示した。指の爪による簡単な加圧によってさえも、クリアコートに大きな傷を生じさせることが可能であった。クリアラッカーの耐引掻性は劣悪なものであった(スチールウール引掻試験 評価6)。
【0093】
例V7(比較例)
エポキシ官能性シラン縮合物、バインダーおよび外部触媒をベースとする被覆材料の製造
2.78質量部のベーマイト(Dispersal (R) P3 Sasol Germany GmbH)に、25質量部の0.1N酢酸を添加した。得られた混合物を室温で、ベーマイトが完全に溶解するまで撹拌した。その後にコロイド様溶液を5分に亘って超音波処理した。
【0094】
得られた均一なベーマイト−ゾルに、27.8質量部のグリシジルオキシプロピルトリエトキシシランを混合した。得られた混合物を、室温で12時間に亘って撹拌した。
【0095】
この混合物133質量部を、製造例3からのバインダー分散液35質量部と一緒に混合した。得られた被覆材料を、室温で10分間に亘って撹拌した。これは短い時間であってさえも、粘度の顕著な増加を招いた。2〜4時間後に被覆材料は完全にゲル化した。ガラスパネル上でのこれらの製造の10分後の新鮮な被覆材料の適用、および140℃で22分に亘っての得られた層の硬化によって、耐引掻性の透明なクリアラッカーを生じるが、しかしながら、これらは表面の傷および斑点を有するものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の加水分解可能な原子および/または加水分解可能な基ならびに
(i)少なくとも1個のエポキシド基を含有する、イソシアネートアダクト基不含の少なくとも1個の非加水分解性の基、および
(a)二価の結合するウレタン基−NH−C(X)−X−および−X−(X)C−NH−、
(b)二価の結合する尿素基−HN−C(X)−NH−および
(c)一価の末端基Y−C(X)−NH−
[式中、可変の基Xは酸素原子または硫黄原子を示し、かつ可変の基Yはイソシアネート基のためのブロッキング剤の基を示す]からなる群から選択された少なくとも1個の基を含有する、エポキシド基不含の、少なくとも1個の非加水分解性の基、
(ii)少なくとも1個のエポキシド基および少なくとも1個の基(a)、(b)および(c)からなる群から選択された基を含有する、少なくとも1個の非加水分解性の基、
または
(iii)少なくとも1個のエポキシド基を含有する、イソシアネートアダクト基不含の、少なくとも1個の非加水分解性の基、
少なくとも1個の基(a)、(b)および(c)からなる群から選択された基を含有する、エポキシド基不含の、少なくとも1個の非加水分解性の基、ならびに
少なくとも1個のエポキシド基および少なくとも1個の基(a)、(b)および(c)からなる群から選択された基を含有する、少なくとも1個の非加水分解性の基、
を含有するシランの群から選択された、少なくとも1個のシランの少なくとも1個の縮合物を含有する、外部触媒不含の自触媒により熱硬化可能な組成物。
【請求項2】
ブロッキング剤が、フェノール、ラクタム、活性メチレン性化合物、アルコール、メルカプタン、酸アミド、イミド、アミン、イミダゾール、尿素、カルバメート、イミン、オキシム、亜硫酸塩、ヒドロキサム酸エステル、置換ピラゾールおよびトリアゾールならびにこれらのブロッキン剤の混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の熱硬化可能な組成物。
【請求項3】
シランが、一般式Ia:
SiR (Ia)
[式Iaの符号および可変の基は以下の意味を有する:
Zは、加水分解可能な非イソシアネート反応性原子および/または加水分解可能な一価の非イソシアネート反応性基であり、
Rは、少なくとも1個のエポキシド基を含有する非加水分解性の一価の有機基であり、
は、エポキシド基不含の非加水分解性の一価の有機基であり、
mは1、2または3であり、
nは1、2または3であり、かつ
oは0、1または2であるが、
但し、m+n+o=4である]のシランおよび
一般式Ib:
(ZSi) (Ib)
[式中、可変の基ZおよびRならびに符号mおよびoは前記の意味を有し、符号pは少なくとも2であり、かつ、可変の基Rは、少なくとも1個のエポキシド基を含有する非加水分解性の多価の有機基である]のシランからなる群から選択されるが、
但し、一般式Iaの少なくとも1個の基Rおよび/またはRならびに一般式Ibの少なくとも1個の基Rおよび/またはRは、基(a)、(b)および(c)からなる群から選択される、請求項1または2に記載の熱硬化可能な組成物。
【請求項4】
式Ia中の符号m、nおよびoが以下の意味:m=3、n=1およびo=0を有し、かつ式Ib中の符号m、oおよびpが以下の意味:m=3、o=0およびp=2を有する、請求項3に記載の熱硬化可能な組成物。
【請求項5】
加水分解可能な非イソシアネート反応性原子Zが、フッ素原子、塩素原子および臭素原子からなる群から選択され、かつ加水分解可能な一価の非イソシアネート反応性基Zが、一価の有機基からなる群から選択される、請求項3または4に記載の熱硬化可能な組成物。
【請求項6】
加水分解可能な一価の非イソシアネート反応性有機基Zが、アルキル基中に1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基である、請求項5に記載の熱硬化可能な組成物。
【請求項7】
非加水分解可能な一価の有機基Rが、少なくとも1個のエポキシド基を有し、かつ、非加水分解性の多価の有機基Rが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールアルケニル、アルケニルアリール、アリールアルキニルまたはアルキニルアリール基からなる群から選択され、その際、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基はさらに環式であってもよい、請求項3から6までのいずれか1項に記載の熱硬化可能な組成物。
【請求項8】
基RおよびRが、アルキル基およびアルキルシクロアルキル基から成る群から選択される、請求項6に記載の熱硬化可能な組成物。
【請求項9】
基RおよびRが、少なくとも1個の末端エポキシド基を含有する、請求項3から8までのいずれか1項に記載の熱硬化可能な組成物。
【請求項10】
基RおよびRが、1個のエポキシド基を含有する、請求項3から9までのいずれか1項に記載の熱硬化可能な組成物。
【請求項11】
エポキシド基を含有しない、非加水分解性の一価の有機基Rが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールアルケニル、アルケニルアリール、アリールアルキニルまたはアルキニルアリール基からなる群から選択され、その際、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基はさらに環式であってもよい、請求項3から10までのいずれか1項に記載の熱硬化可能な組成物。
【請求項12】
基RおよびRが、基(a)、(b)および(c)から成る群から選択された、少なくとも1個の基を含有する、請求項3から11までのいずれか1項に記載の熱硬化可能な組成物。
【請求項13】
Xが酸素原子である、請求項1から12までのいずれか1項に記載の熱硬化可能な組成物。
【請求項14】
少なくとも1個の改質化剤を含有する、請求項1から13までのいずれか1項に記載の熱硬化可能な組成物。
【請求項15】
改質化剤が、バインダーの群から選択される、請求項14に記載の熱硬化可能な組成物。
【請求項16】
熱硬化材料を製造するための、請求項1から15までのいずれか1項に記載の熱硬化可能な組成物の使用。
【請求項17】
熱硬化材料が被覆、ラッカー皮膜、成形部品、特に光学成形部品および自己支持性フィルムである、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
被覆、ラッカー皮膜および自己支持性フィルムを、機械的作用による損傷から支持体表面を保護するために、および/または、これらの装飾のために使用する、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
支持体が輸送機またはその一部、建物、家具、窓およびドア、小型工業部品、コイル、貨物コンテナ、パッケージング、大型家庭用品、フィルム、光学部品、電子部品、機械部品および中空ガラス製品である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
請求項1から15までのいずれか1項に記載の少なくとも1個の熱硬化可能な組成物を、外部触媒の不含下で熱的に硬化させることを特徴とする、エポキシ官能性シラン縮合物をベースとする熱硬化可能な組成物からの熱硬化材料の製造方法。

【公表番号】特表2006−525388(P2006−525388A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505238(P2006−505238)
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004318
【国際公開番号】WO2004/099322
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】