説明

多価アルコールの分岐脂肪酸エステル

【課題】 強固な化粧膜を形成し、化粧持ちに優れるメークアップ化粧料を、除去する作用に優れる化粧料素材を提供する。
【解決手段】 一般式(1)に表される構造の多価アルコールの分岐脂肪酸エステルを提供する。多価アルコールの分岐脂肪酸エステルは、プロピレングリコールジ2−エチルヘキサン酸エステル、プロピレングリコールモノ2−エチルヘキサン酸エステル、1,3−ブチレングリコールジ2−エチルヘキサン酸エステル又は1,3−ブチレングリコールモノ2−エチルヘキサン酸エステルであることが好ましい。
【化1】


一般式(1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料原料として有用な新規多価アルコールの分岐脂肪酸エステルに関する。
【背景技術】
【0002】
メークアップ化粧料は、含有する粉体による光学効果を利用して、シミなどの好ましくない皮膚状況をカバーして美しく装うための化粧料であり、光学効果を担っている粉体成分を如何に安定に皮膚上に存在させるかを課題としてきた化粧料である。近年コア・シェル型ポリマーのように皮膚上に強固な被膜を形成し、化粧膜を安定に固定させる素材などが開発され、メークアップ化粧料の永年の課題である、化粧持ちの向上は大きな発展をみてきた(例えば、特許文献1を参照)が、その反面、皮膚上に形成された化粧膜を、如何に、皮膚に負担無く除去するかが大きな課題となってきている。この意味でクレンジング化粧料が大きな意味を持つようになってきている。
【0003】
クレンジング化粧料は、油剤の溶媒効果により油性汚れを除去する化粧料として生まれた化粧料であり、炭化水素のような非極性油剤を多量に含有する、高内相の水中油乳化剤形の化粧料が代表的な剤形であったが、メークアップ化粧料の化粧持ちの向上に伴い、2−エチルヘキサン酸トリグリセライド、ネオペンチルグリコールジ2−エチルヘキサン酸エステル或いはプロピレングリコールジカプリル酸エステルなどの溶剤効果の高い油剤を含有させて、クレンジング能を向上させて対応してきた(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6を参照)が、現在のメークアップ化粧料には充分に対応し切れていないのが現状であった。この点に於いて、この様なメークアップ化粧料を除去する作用に優れる化粧料素材の開発が望まれていたと言える。
【0004】
一方、後記一般式(1)乃至は(2)に表される化合物は文献未記載の新規化合物であり、かかる化合物が、前記メークアップ化粧料を除去する作用に優れることも全く知られていない。構造が比較的近似している化粧料原料である、2−エチルヘキサン酸トリグリセライド、ネオペンチルグリコールジ2−エチルヘキサン酸エステル、プロピレングリコールジカプリル酸エステルなどにおいても、この様な効果は確認されていない。近似の化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(2−エチルヘキサネート)、ジプロピレングリコールジ(2−エチルヘキサネート)、ネオペンチルグリコールジ(2−エチルヘキサネート)等が存する(例えば、特許文献7を参照)が、これらにおけるメークアップ化粧料の除去特性も充分とは言えないのが現状であった。
【0005】
【特許文献1】特開2003−327632号公報
【特許文献2】特開平08−127512号公報
【特許文献3】特開平10−87431号公報
【特許文献4】特開2001−270815号公報
【特許文献5】特開2005−343844号公報
【特許文献6】特願2005−338019号公報
【特許文献7】特開2006−28153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、強固な化粧膜を形成し、化粧持ちに優れるメークアップ化粧料を、除去する作用に優れる化粧料素材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、強固な化粧膜を形成し、化粧持ちに優れるメークアップ化粧料を除去する作用に優れる化粧料素材を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、下記に示す一般式(1)に表される構造の多価アルコールの分岐脂肪酸エステルがその様な性質を備えていることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示す通りである。
【0008】
【化1】

一般式(1)
(但し、式中R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子又は分岐脂肪族アシル基を表し、且つ、R1、R2の少なくとも一方は分岐脂肪族アシル基であり、n、mはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、且つ、mはnと等しいか小さいかである。)
【0009】
(1)次に示す、一般式(1)に表される構造の多価アルコールの分岐脂肪酸エステル。
(2)一般式(1)又は(2)に表される多価アルコールの分岐脂肪酸エステルに於いて、前記多価アルコールはプロピレングリコール乃至は1,3−ブタンジオールであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の多価アルコールの分岐脂肪酸エステル。
(3)一般式(1)又は(2)に表される多価アルコールの分岐脂肪酸エステルに於いて、前記分岐脂肪酸は、2−エチルヘキサン酸、イソパルミチン酸及びイソステアリン酸から選択されるものであることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の多価アルコールの分岐脂肪酸エステル。
(4)前記一般式(1)又は(2)に表される多価アルコールの分岐脂肪酸エステルは、プロピレングリコールジ2−エチルヘキサン酸エステル、プロピレングリコールモノ2−エチルヘキサン酸エステル、1,3−ブチレングリコールジ2−エチルヘキサン酸エステル又は1,3−ブチレングリコールモノ2−エチルヘキサン酸エステルであることを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載の多価アルコールの分岐脂肪酸エステル。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、強固な化粧膜を形成し、化粧持ちに優れるメークアップ化粧料を、除去する作用に優れる化粧料素材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の多価アルコールの分岐脂肪酸エステルは、上記一般式(1)に表される構造を有することを特徴とする。前記一般式(1)において、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子又は分岐脂肪族アシル基を表し、且つ、R1、R2の少なくとも一方は分岐脂肪族アシル基であり、n、mはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、且つ、mはnと等しいか小さいかである。前記分岐脂肪族アシル基としては、炭素数が6〜20のものが特に好ましく、具体的には、2−エチルブタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、2−ブチルヘキサノイル基、イソパルミトイル基、イソステアロイル基、オクチルドデカノイル基などが好適に例示でき、特に2−エチルヘキサノイル基が好ましい。これは、2−エチルヘキサノイル基が前記化粧膜を除去するのに好適な溶剤効果を有するのみならず、エモリエント効果にも優れる為である。
【0012】
前記一般式(1)において、多価アルコール部分の、n、mはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、且つ、mはnと等しいか小さいかであり、n及びmが0乃至1の場合が特に好ましい。具体的には、かかる多価アルコール残基としては、例えば、プロピレングリコール残基、1,3−ブタンジオール残基、1,3−ペンタンジオール残基、1,4−ヘキサンジオール残基等が好適に例示でき、プロピレングリコール残基乃至は1,3−ブタンジオール残基がより好ましく、プロピレングリコール残基が特に好ましい。
【0013】
この様な多価アルコールの分岐脂肪酸エステルの具体例としては、プロピレングリコールジ2−エチルブタン酸エステル、プロピレングリコールモノ2−エチルブタン酸エステル、プロピレングリコールジ2−エチルヘキサン酸エステル、プロピレングリコールモノ2−エチルヘキサン酸エステル、プロピレングリコールジ2−ブチルヘキサン酸エステル、プロピレングリコールモノ2−ブチルヘキサン酸エステル、プロピレングリコールジイソパルミチン酸エステル、プロピレングリコールモノイソパルミチン酸エステル、プロピレングリコールジイソステアリンン酸エステル、プロピレングリコールモノイソステアリン酸エステル、プロピレングリコールジオクチルドデカン酸エステル、プロピレングリコールモノオクチルドデカン酸エステル、1,3−ブタンジオールジ2−エチルブタン酸エステル、1,3−ブタンジオールモノ2−エチルブタン酸エステル、1,3−ブタンジオールジ2−エチルヘキサン酸エステル、1,3−ブタンジオールモノ2−エチルヘキサン酸エステル、1,3−ブタンジオールジ2−ブチルヘキサン酸エステル、1,3−ブタンジオールモノ2−ブチルヘキサン酸エステル、1,3−ブタンジオールジイソパルミチン酸エステル、1,3−ブタンジオールモノイソパルミチン酸エステル、1,3−ブタンジオールジイソステアリンン酸エステル、1,3−ブタンジオールモノイソステアリン酸エステル、1,3−ブタンジオールジオクチルドデカン酸エステル、1,3−ブタンジオールモノオクチルドデカン酸エステル、1,3−ペンタンジオールジ2−エチルブタン酸エステル、1,3−ペンタンジオールモノ2−エチルブタン酸エステル、1,3−ペンタンジオールジ2−エチルヘキサン酸エステル、1,3−ペンタンジオールモノ2−エチルヘキサン酸エステル、1,3−ペンタンジオールジ2−ブチルヘキサン酸エステル、1,3−ブタンジオールモノ2−ブチルヘキサン酸エステル、1,3−ペンタンジオールジイソパルミチン酸エステル、1,3−ペンタンジオールモノイソパルミチン酸エステル、1,3−ペンタンジオールジイソステアリンン酸エステル、1,3−ペンタンジオールモノイソステアリン酸エステル、1,3−ペンタンジオールジオクチルドデカン酸エステル、1,3−ペンタンジオールモノオクチルドデカン酸エステル、1,4−ヘキサンジオールジ2−エチルブタン酸エステル、1,4−ヘキサンジオールモノ2−エチルブタン酸エステル、1,4−ヘキサンジオールジ2−エチルヘキサン酸エステル、1,3−ペンタンジオールモノ2−エチルヘキサン酸エステル、1,4−ヘキサンジオールジ2−ブチルヘキサン酸エステル、1,4−ヘキサンジオールモノ2−ブチルヘキサン酸エステル、1,4−ヘキサンジオールジイソパルミチン酸エステル、1,4−ヘキサンジオールモノイソパルミチン酸エステル、1,4−ヘキサンジオールジイソステアリンン酸エステル、1,4−ヘキサンジオールモノイソステアリン酸エステル、1,4−ヘキサンジオールジオクチルドデカン酸エステル、1,4−ヘキサンジオールモノオクチルドデカン酸エステル等が好ましく例示でき、特に好ましくは、プロピレングリコールジ2−エチルヘキサン酸エステル、プロピレングリコールモノ2−エチルヘキサン酸エステル、1,3−ブチレングリコールジ2−エチルヘキサン酸エステル又は1,3−ブチレングリコールモノ2−エチルヘキサン酸エステルが例示でき、中でも、プロピレングリコールジ2−エチルヘキサン酸エステル、乃至は、プロピレングリコールモノ2−エチルヘキサン酸エステルが特に好ましい。
【0014】
かかる多価アルコールの分岐脂肪酸エステルは、アルカリの存在下、対応する多価アルコールと、分岐脂肪酸に塩化チオニルなどのハロゲン化剤を反応させて得られた、2倍モル当量の分岐脂肪族のアシルハライドを反応させることにより製造することが出来る。前記アルカリはアシルハライドに対して大過剰に加えることが好ましく、この様なアルカリとしては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、水素化ナトリウムなどが好適に例示でき、所望により、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶媒を基質溶解補助の目的や、塩の析出促進などの目的で加えることも出来る。かかる溶媒の添加量は、アルカリ量に対して1〜20倍が特に好ましい。この様なアシル化の反応におけるアシルハライドの添加は、氷冷下で行い、添加終了後、徐々に反応温度を上げ、室温で1〜24時間維持することが好ましい。反応終了後は、所望により、塩などを濾別した後、減圧濃縮など溶媒や過剰なアルカリを除去し、酢酸エチルと水の液液抽出にて水洗し、濃縮した後に、減圧蒸留やシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどで精製することにより得ることが出来る。又、本発明の多価アルコールの分岐脂肪酸エステルは、分岐脂肪酸と多価アルコールとをアルカリ触媒存在下加熱することにより製造することも出来る。この様な製造法の製造条件としては、例えば、多価アルコールを分岐脂肪酸の2〜3倍当量用い、ナトリウムメトキシドやナトリウムエトキシドなどのアルコキシドを分岐脂肪酸に対して、0.001〜0.1当量加え、130℃から160℃で数時間加熱する方法が好ましく例示できる。その後の精製は前述の方法に従えばよい。斯くして得られた、多価アルコールの分岐脂肪酸エステルは優れた化粧膜除去特性を有する。加えて、エモリエント効果も有し、この為、化粧料用の原料として、取り分け、クレンジング化粧料用の原料として有用である。又、溶剤特性とエモリエント油剤としての特性を兼ね備えるため、乳液やクリームなどのスキンケア化粧料においては、難溶性の有効成分、例えば、フィトステロールの配糖体や、スフィンゴ糖脂質などの優れたベヒクルとして使用することも出来る。
【0015】
以下に、実施例を挙げて、本発明について、更に詳細に説明を加えるが、本願発明が、かかる実施例にのみに限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0016】
プロピレングリコール7.6g(0.1モル)、ピリジン50gをテトラヒドロフラン500mlに溶解した。氷冷、攪拌を行いながら、この溶液に、イソオクタン酸クロライド(2−エチルヘキサン酸クロライド)35.3g(0.2モル)をテトラヒドロフラン100mlに溶解した溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後生成した白色沈澱を濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて濾液からテトラヒドロフラン及びピリジンを除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶出溶剤ジエチルエーテル:n−ヘキサン=3:7)、分画について、ジエチルエーテル:n−ヘキサン=1:1を展開溶媒とする薄層クロマトグラフィーで展開し、50%硫酸水溶液を噴霧して500℃で10分加温し、呈色させた時に、同一スポットのものを集めたところ、Rf=0.78とRf=0.33の2つの分画が得られた。上部(Rf=0.78)の分画は18.2g得られ、NMR測定により得られた化合物がプロピレングリコールジイソオクタネートであることが確認された。図1に1H−NMRのスペクトルを、図2に13C−NMRのスペクトルを示す。下部(Rf=0.33)は5.9g得られ、質量分析(M+1:203)より、プロピレングリコールモノイソオクタネートであることが示唆された。
【実施例2】
【0017】
実施例1と同様に、イソオクタン酸クロライドをイソステアリン酸クロライドに置換氏し、同様の操作を行い、プロピレングリコールジイソステアレート20.1gとプロピレングリコールモノイソステアレート9.8gを得た。構造は、薄層クロマトグラフィーのスポットと質量分析(FabMass;M+1=343及び547)にて確認された。
【実施例3】
【0018】
実施例1と同様に、イソオクタン酸クロライドを、2−プロピルペンタン酸より誘導した2−プロピルペンタン酸クロライドに置換して、同様の操作を行い、プロピレングリコールビス(2−プロピルペンタンネート)13.5gとプロピレングリコールモノ(2−プロピルペンタネート)5.4gとを得た。構造は、薄層クロマトグラフィーのスポットと質量分析(FabMass;M+1=203及び329)にて確認された。
【実施例4】
【0019】
プロピレングリコール7.6g(0.1モル)と、2−エチルヘキサン酸5.8g(0.04モル)と、200mgのナトリウムメトキシドを混合し、150℃で2時間加熱し、室温まで冷却後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶出溶剤ジエチルエーテル:n−ヘキサン=3:7)、分画について、ジエチルエーテル:n−ヘキサン=1:1を展開溶媒とする薄層クロマトグラフィーで展開し、50%硫酸水溶液を噴霧して500℃で10分加温し、呈色させた時に、同一スポットのものを集めたところ、Rf=0.78(プロピレングリコール2−エチルヘキサンジエステル;21.3g)とRf=0.33(プロピレングリコール2−エチルヘキサン酸モノエステル;3.2g)の2つの分画が得られた。
【実施例5】
【0020】
<皮膜除去試験>
強固な化粧皮膜を形成するポリマーエマルションとして知られている、アルキル共重合体エマルション(岐阜セラック製造所「エマポリーCE−119N)を含有する組成物(表1)を作成し、ドクターブレード(40ミル)を用いて、硝子板に塗布、乾燥した状態にし、各検体の50%希釈溶液(溶媒:流動パラフィン)に20分浸漬した。希釈液より引き上げて、硝子板を「キムワイプ」で軽くぬぐい、色差計(コニカミノルタ社製「色彩色差計CR400」)で色差を計測した。基準には組成物を塗工した硝子板を流動パラフィンに20分間浸漬し、ぬぐったものを用いた。検体としては、本発明の多価アルコールの分岐脂肪酸エステル以外に、比較のため、2−エチルヘキサン酸トリグリセライド、ネオペンチルグリコールジイソオクタネート、ジグリセリンジイソオクタネートを用いた。結果を表2に示す。これより、本発明の多価アルコールの分岐脂肪酸エステルは優れた溶剤効果を有することが分かる。
【0021】
【表1】

【0022】
【表2】

【実施例6】
【0023】
評価方法2)専門評価パネル10名により、皮膚に塗布した際の使用感(のびの軽さ、べたつきのなさ)、使用後のエモリエント効果 を下記基準にて5段階評価し、さらにその平均点から判定した。結果を表3に示す。本発明の多価アルコールの分岐脂肪酸エステルは、比較例と比べて同等以上のエモリエント性があることがわかる。
[評価]
5点:非常に良好である4点:良好である3点:普通2点:不良である1点:非常に不良である
[判定]
◎:平均点4.5点以上○:平均点3.5点以上4.5点未満△:平均点2.5点以上3.5点未満×:平均点2.5点未満
<エモリエント試験>
【0024】
【表3】

【実施例7】
【0025】
<製剤系での試験>
以下に示す処方に従って、乳化化粧料を作成した。即ち、イ、ロの成分を秤量し、80℃で加熱、溶解させ、攪拌下徐々にイにロを加えた。添加終了後均一になるまで攪拌し、しかる後に攪拌・冷却し、乳化化粧料1を得た。同様に操作して、プロピレングリコールジイソオクタネートをジプロピレングリコールジイソオクタネートに置換した比較例1、ネオペンチルグリコールジ2−エチルヘキサン酸エステルに置換した比較例2、プロピレングリコールジカプリル酸エステルに置換した比較例3も作成した。対照例としてはプロピレングリコールジイソオクタネートをスクワランに置換したものを同様に作成して用いた。
【0026】
【表4】

【0027】
上記乳化化粧料1と、比較例1〜3及び対照例をー10℃で6ヶ月の保存試験を行い、20℃に温度を戻した後、顕微鏡観察を行ったところ、乳化化粧料1には結晶の析出は認められなかったが、比較例1〜3及び対照例には結晶の析出が観察された。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、化粧料原料に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】プロピレングリコールジイソオクタネートの1H−NMRのスペクトルを表す図である。
【図2】プロピレングリコールジイソオクタネートの13H−NMRのスペクトルを表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次に示す、一般式(1)に表される構造の多価アルコールの分岐脂肪酸エステル。
【化1】

一般式(1)
(但し、式中R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子又は分岐脂肪族アシル基を表し、且つ、R1、R2の少なくとも一方は分岐脂肪族アシル基であり、n、mはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、且つ、mはnと等しいか小さいかである。)
【請求項2】
一般式(1)又は(2)に表される多価アルコールの分岐脂肪酸エステルに於いて、前記多価アルコールはプロピレングリコール乃至は1,3−ブタンジオールであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の多価アルコールの分岐脂肪酸エステル。
【請求項3】
一般式(1)又は(2)に表される多価アルコールの分岐脂肪酸エステルに於いて、前記分岐脂肪酸は、2−エチルヘキサン酸、イソパルミチン酸及びイソステアリン酸から選択されるものであることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の多価アルコールの分岐脂肪酸エステル。
【請求項4】
前記一般式(1)又は(2)に表される多価アルコールの分岐脂肪酸エステルは、プロピレングリコールジ2−エチルヘキサン酸エステル、プロピレングリコールモノ2−エチルヘキサン酸エステル、1,3−ブチレングリコールジ2−エチルヘキサン酸エステル又は1,3−ブチレングリコールモノ2−エチルヘキサン酸エステルであることを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載の多価アルコールの分岐脂肪酸エステル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−266227(P2008−266227A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112641(P2007−112641)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【出願人】(000226437)日光ケミカルズ株式会社 (60)
【Fターム(参考)】