説明

多光軸光電センサシステム

【課題】極め簡単な操作で機能設定を行うことができ、しかも筐体を大型化したり、別途
PCや機能設定ツールを用意することも必要ないようにした多光軸光電センサ、並びに、
多光軸光電センサシステムを提供すること。
【解決手段】長手方向の一端部からは電気コードが引き出されると共に、長手方向の他端
部にはプラグイン型のソケットが設けられた柱状筐体と、柱状筐体のソケットに着脱自在
に装着可能なプラグ片とを有し、プラグ片内には柱状筐体側の機能決定要素となる固有情
報が、ソケットを介して柱状筐体側の処理回路から参照可能な形態で組み込まれており、
さらに柱状筐体側の処理回路は、ソケットを介して参照されたプラグ片内の固有情報に基
づいて機能決定を行うように仕組まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1台のマスタ用多光軸光電センサに対して、1台又は2台以上の連結用多光
軸光電センサを接続可能としてシステムの拡張性を向上させた多光軸光電センサシステム
に係り、特に、既存の機構的構成をそのまま流用しつつも、マスタ用多光軸光電センサに
おける機能設定操作を容易とした多光軸光電センサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
多光軸光電センサにおいては、ブランキング機能やミューティング機能をはじめ多くの
機能を有するものがある。これらの機能を使用するときには、一般に、パーソナルコンピ
ュータ(PC)や専用の機能設定ツールを通信線に接続し、設定画面より機能選択するこ
とで所望の機能を有効化するのが通例である(特許文献1参照)。なお、その他の方法と
しては、センサ筐体に切り替え用のスイッチを内蔵するものも知られている。
【特許文献1】特開2002-289073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したPCや機能設定ツールを使用する方法にあっては、比較的に操
作が煩雑で多くの工数を要するため、設定完了までに時間がかかると共に設定ミスも生じ
がちであった。一方、センサ筐体に切り替え用のスイッチを内蔵するものがあるが、安全
用途で使用する場合には、簡単に設定変更できないような構造、例えば特殊ネジで開口部
を開けてスイッチ部が操作できるようにしたり、スイッチを2重化したりするなどの対策
が必要であり、自ずと筐体が大型化してしまう。
【0004】
この発明は、この種の多光軸光電センサにおける上述の問題点に着目してなされたもの
であり、その目的とするところは、極め簡単な操作で機能設定を行うことができ、しかも
筐体を大型化したり、別途PCや機能設定ツールを用意することも必要ないようにした多
光軸光電センサ、並びに、多光軸光電センサシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る多光軸センサ及びプラグ片は、多光軸センサ及びこれと組み合わせて用いられるプラグ片であって、多光軸センサは、対となる柱状筐体を有し、少なくとも一方の柱状筐体は、長手方向の一端部からは電気コードが引き出されると共に、長手方向の他端部にはプラグイン型のソケットが設けられ、かつ柱状筐体のソケットには、他の多光軸光電センサの柱状筐体から引き出された電気コードの先端プラグが着脱自在に装着可能とされている。
【0006】
柱状筐体内には、一連の光軸要素である投光素子列を用いた投光動作を行うための投光回路、又は一連の光軸要素である受光素子列を用いた受光動作を行うための受光回路と、外部との間で入力動作または出力動作を行うための入出力回路(インターフェース回路)と、それらの回路を統括制御して多光軸光電センサとしての機能を実現するための処理回路とが少なくとも含まれている。
【0007】
プラグ片は、柱状筐体のソケットに着脱自在に装着可能とされ、プラグ片内には、柱状筐体側の機能決定要素となる固有情報が、ソケットを介して柱状筐体側の処理回路から参照可能な形態で組み込まれている。
【0008】
さらに、多光軸センサの柱状筐体側の処理回路は、ソケットを介して参照されたプラグ片内の固有情報に基づいて機能決定を行うように仕組まれている。
【0009】
このような構成によれば、プラグ片を柱状筐体側の様々な機能に合わせて複数種類用意
しておくとともに、各プラグ片内にはそれぞれに要求される機能に対応する固有情報を組
み込んでおけば、所望の機能に対応するプラグ片を選択してソケットに装着するだけで、
柱状筐体側の機能選択乃至機能有効化を実現することができ、従前のPCや機能設定ツー
ルを使用する場合に比べて、機能設定操作が著しく簡単なものとなり、設定時間が大幅に
短縮化されると共に、設定ミスによる誤動作も防止することができる。加えて、プラグ片
の接続相手となるソケットは、元々、連結用多光軸光電センサからの電気コード先端プラ
グが装着するものをそのまま流用しているため、柱状筐体の側では機構的な設計変更が殆
ど不要となり、また単にプラグ片を付加するだけであるから、柱状筐体を大型化すること
もない等の利点を有するものである。
【0010】
ソケットを介して柱状筐体側の処理回路から参照可能な形態としては、プラグ片内のソ
ケットに接続される特定の接続端子同士を固有情報の種別に応じた態様で短絡したもので
あってもよい。このような構成によれば、プラグ片内の接続端子同士を適宜に短絡させる
だけであるから、極めて低コストに実現することができる。
【0011】
ソケットを介して柱状筐体側の処理回路から参照可能な形態としては、プラグ片内に固
有情報に相当するデータを記憶させたメモリを組み込むと共に、そのデータ読出ポートへ
繋がるパスをソケットに接続される特定の接続端子へと導出させるようにしてもよい。こ
のような構成によれば、プラグ片内の接続端子数に制約を受けることなく、機能を指定す
るデータの種別を豊富化することができる。
【0012】
ソケットを介して柱状筐体側の処理回路から参照可能な形態としては、プラグ片内に固
有情報に相当するデータを記憶させたメモリ、CPU、通信回路を組み込むと共に、その
通信回路へ繋がるパスをソケットに接続される特定の接続端子へと導出させるようにして
もよい。このような構成によれば、シリアル通信用の信号線だけでメモリからのデータ取
得が可能であるから、プラグ片内の接続端子数による制約を殆ど受けない利点がある。
【0013】
柱状筐体内の処理回路には、ソケットにプラグ片が装着されていないことが電源投入時
に検出されたときには、処理回路の動作を制限又は停止する機能が組み込まれていてもよ
い。このような構成によれば、柱状筐体側の機能設定用のプラグ片がそのままセンサ起動
時のアンロックキーとしても機能することとなり、プラグ片をソケットに装着しない限り
センサが起動されないため、高い安全性を要求される多光軸光電センサに、特に、好適な
ものとなる。
【0014】
柱状筐体内の処理回路には、ソケットにプラグ片が装着されているか否かを定期的に監
視し、ソケットの装着なしが検出されたときには、その後、処理回路の動作を制限又は停
止させる機能が組み込まれていてもよい。このような構成によれば、センサが起動された
後、なんらかの理由でプラグ片がソケットから離脱されたような場合には、直ちに、処理
回路の動作は制限又は停止されるため、機能設定が不明なままでセンサが動作し続けるこ
とにより、利用者に不安を与えることがない。
【0015】
プラグ片は、固有情報により決定されるべき機能別に色分けされていてもよい。このよ
うな構成によれば、プラグ片とそれにより決定されるセンサ機能との関係を直感的に理解
しやすくなり、プラグ片の選択誤りによる誤設定を確実に防止することができる。
固有情報は、ブランキング機能又はミューティング機能を決定する要素となる固有情報とされてもよい。このような構成によれば、誤って設定されると危険につながるこれらの機能を確実に設定することができる。
【0016】
別の一面から見た本発明は、マスタ用多光軸光電センサと1もしくは2以上の連結用多
光軸光電センサとを含む多光軸光電センサシステムとして把握することもできる。
【0017】
この多光軸光電センサシステムは、対となる柱状筐体を有し、少なくとも一方の柱状筐体には、長手方向の一端部からは外部入出力線を心線として含む電気コードが引き出されると共に、長手方向の他端部にはプラグイン型のソケットが設けられたマスタ用多光軸光電センサと、対となる柱状筐体を有し、少なくとも一方の柱状筐体には、長手方向の一端部からはセンサ間信号線を心線として含む電気コードが引き出されると共に、長手方向の他端部にはプラグイン型のソケットが設けられ、さらにセンサ間信号心線を含む電気コードの先端には、マスタ用多光軸光電センサのソケット又は他の多光軸光電センサのソケットに着脱自在に接続可能なプラグが取り付けられた1もしくは2以上の連結用多光軸光電センサと、マスタ用多光軸光電センサのソケット又は連結用多光軸光電センサのソケットに着脱自在に接続可能なプラグ片とを有している。
【0018】
マスタ用多光軸光電センサの柱状筐体内には、一連の光軸要素である投光素子列を用いた投光動作を行うための投光回路、又は一連の光軸要素である受光素子列を用いた受光動作を行うための受光回路と、外部との間で入力動作または出力動作を行うための入出力回路(インターフェース回路)と、それらの回路を統括制御して多光軸光電センサとしての機能を実現するための処理回路とが少なくとも含まれている。
【0019】
連結用多光軸光電センサの柱状筐体内には、一連の光軸要素である投光素子列を用いた投光動作を行うための投光回路、又は一連の光軸要素である受光素子列を用いた受光動作を行うための受光回路と、外部との間で入力動作または出力動作を行うための入出力回路(インターフェース回路)と、それらの回路を統括制御して多光軸光電センサとしての機能を実現するための処理回路とが少なくとも含まれている。
【0020】
プラグ片内には、マスタ用又は連結用の多光軸光電センサの柱状筐体側の機能決定要素
となる固有情報が、ソケットを介して柱状筐体側の処理回路から参照可能な形態で組み込
まれている。
【0021】
さらに、連結用多光軸光電センサの柱状筐体内の処理回路には、そのソケットに装着さ
れたプラグ片又は隣接する他の連結用多光軸光電センサから取得された固有情報を、マス
タ側に隣接する他の連結用多光軸光電センサ又はマスタ用多光軸光電センサへの転送する
機能が組み込まれており、マスタ用多光軸光電センサの柱状筐体内の処理回路は、ソケッ
トを介して参照されたプラグ片内の固有情報又は隣接する連結用多光軸光電センサから取
得された固有情報に基づいて機能決定を行うように仕組まれており、それにより、相互に
連結された一連の柱状筐体のうちの最端部に位置する柱状筐体のソケットにプラグ片を装
着することにより、マスタ用多光軸光電センサの機能を設定できるようにされている。
【0022】
このような多光軸光電センサシステムによれば、マスタ用多光軸光電センサに対して、
1もしくは2以上の連結用光軸光電センサを連結して、システムを拡張したような場合に
も、連結された最端部のセンサの柱状筐体のソケットにプラグ片を装着するだけで、確証
システム全体の動作仕様を決定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、プラグ片を柱状筐体側の様々な機能に合わせて複数種類用意しておく
とともに、各プラグ片内にはそれぞれに要求される機能に対応する固有情報を組み込んで
おけば、所望の機能に対応するプラグ片を選択してソケットに装着するだけで、柱状筐体
側の機能選択乃至機能有効化を実現することができ、従前のPCや機能設定ツールを使用
する場合に比べて、機能設定操作が著しく簡単なものとなり、設定時間が大幅に短縮化さ
れると共に、設定ミスによる誤動作も防止することができる。加えて、プラグ片の接続相
手となるソケットは、元々、連結用多光軸光電センサからの電気コード先端プラグが装着
するものをそのまま流用しているため、柱状筐体の側では機構的な設計変更が殆ど不要と
なり、また単にプラグ片を付加するだけであるから、柱状筐体を大型化することもない等
の利点を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、この発明の好適な実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。本
発明が適用された多光軸光電センサの対向配置状態を示す図が図1に示されている。
【0025】
同図に示されるように、この例にあっては、投光側のマスタ用多光軸光電センサ1Aと
受光側のマスタ用多光軸光電センサ1Bとが直立状態で対向配置されている。それらの光
電センサ1A,1Bは、両端が閉塞された柱状筐体2を有する。この柱状筐体2の第1の
端部3からは電気コード5が引き出されている。電気コード5内には、n本の入出力信号
線L1,L2,L3・・・Lnと、両光電センサ1A,1B間を結ぶ通信線8とが含まれ
ている。一方、柱状筐体2の第2の端部4にはソケット6が設けられている。後に詳細に
説明するように、このソケット6は、本来、連結用の多光軸光電センサと接続するための
ものである。ソケット6には多数の接続端子が設けられている。ソケット6には、この例
にあっては、第1のプラグ片7Aと第2のプラグ片7Bとからなる2種類のプラグ片の何
れかが択一的に装着される。尚、図において符号9が付されているのは各種の動作状態を
表示するための表示灯である。
【0026】
多光軸光電センサの連結状態を示す図が図2に示されている。図に示されるように、こ
の多光軸光電センサシステムにあっては、1台のマスタ用多光軸光電センサ(1A,1B
)に対して、1台または2台以上の連結用多光軸光電センサ(8A,8B)を直列に連結
可能となされている。尚、図において8Aは投光側の連結用多光軸光電センサ、8Bは受
光側の連結用多光軸光電センサである。
【0027】
それら連結用の多光軸光電センサ(8A,8B)にも両端が閉塞された柱状筐体9が備
え付けられている。柱状筐体9の第1の端部10からは電気コード14が引き出され、そ
の先端にはプラグ15が取り付けられている。このプラグ15はマスタ用多光軸光電セン
サ(1A,1B)側のソケット6に着脱自在に装着可能とされている。柱状筐体9の第2
の端部11にはソケット12が設けられている。このソケット12の構造はソケット6の
構造と同一である。
【0028】
すなわち、この多光軸光電センサシステムにあっては、連結用多光軸光電センサ(8A
,8B)の第1の端部10から引き出された電気コード14の先端プラグ15を、マスタ
用多光軸光電センサ(1A,1B)の第2の端部4に設けられたソケット6に装着するこ
とによって、マスタ用多光軸光電センサ(1A,1B)と連結用多光軸光電センサ(8A
,8B)との電気的接続をなすようになっている。
【0029】
加えて、連結用多光軸光電センサ(8A,8B)の第2の端部11に設けられたソケッ
ト12には、同様な構造を有する他の連結用多光軸光電センサ(8A,8B)の第1の端
部10から引き出された電気コード14先端のプラグ15が着脱自在に装着可能となされ
ている。そのため、連結用多光軸光電センサ(8A,8B)の第2の端部11に設けられ
たソケット12に対して、同様な構成を有する他の連結用多光軸光電センサ(8A,8B
)を複数台直列に接続することによって、多光軸光電センサシステムの拡張が可能となさ
れている。
【0030】
マスタ用多光軸光電センサ(1A,1B)の筐体2の内部にはセンサ回路が内蔵されて
いる。プラグ片7とセンサ回路100との関係を示す回路図(その1)が図3に示されて
いる。同図に示されるように、センサ回路100には、一連の光軸要素である投光素子列
または受光素子列(図示を省略)に対する投光動作または受光動作を行うための投光回路又は受光回路108と、外部PLC等との間で入力動作または出力動作を行うための入出力回路(インターフェース回路)107と、外部表示動作を行うための表示回路106と、それらの回路を統括制御して多光軸光電センサとしての機能を実現するための処理回路(CPU)105と、電源回路104とが含まれている。
【0031】
ソケット6は例えば20〜30個の接続端子(PN)を有する構成のものであって、図
示例では、それまで使用していなかった4個の接続端子PN1〜PN4のみが示されてい
る。接続端子PN1には電源回路104からの直流電圧が供給され、接続端子PN2,P
N3,PN4はそれぞれ波形整形ゲート101,102,103を介して処理回路105
へと接続される。
【0032】
一方、プラグ片7も、ソケット6に対応した例えば20〜30個の接続端子(RC)を
有するものであって、図示例ではそれまで使用していなかった4個の接続端子RC1〜R
C4のみが示されている。ここで重要なことは、プラグ片7内には、柱状筐体側の機能決
定要素となる固有情報が、ソケット6を介して柱状筐体側の処理回路105から参照可能
な形態で組み込まれている点である。
【0033】
図3の例にあっては、ソケット6を介して柱状筐体側の処理回路105から参照可能な
形態としては、プラグ片7内のソケットに接続される特定の接続端子同士を固有情報の種
別に応じた態様で短絡したものが採用される。すなわち、図3の例であっては、プラグ片
7の4個の接続端子RC1〜RC4の中で、隣接する2個の接続端子RC1,RC2のみ
が短絡され、他の接続端子RC3,RC4はそれぞれ他の接続端子と導通しない開放状態
とされている。このような構成を有するプラグ片7がソケット6に装着されれば、電源回
路104から出力される直流電圧はソケット6側の接続端子PN1から、プラグ片7側の
接続端子RC1,RC2を経由して、ソケット6側の接続端子PN2へと現れる。すると
、処理回路105の側では、波形整形ゲート101,102,103の各出力がHLLと
なることによって、ソケット6の接続端子PN1,PN2がプラグ片7によって短絡され
たことを検知することができる。
【0034】
短絡する接続端子番号と機能の状態との関係を表にして示す図が図4に示されている。
この例にあっては、PN1とPN2とを接続することによって機能A(ミューティング機
能)が選択され、PN1とPN3とを短絡することによって機能B(ブランキング機能)
が選択され、PN1とPN4とを短絡することによって機能C(標準機能)が選択され、
PN1とPN2及びPN3とを短絡することによって機能D(連結機能)が選択され、P
N2〜PN4の全てを開放することによって動作停止が選択される。
【0035】
尚、図示は省略するが、連結用の多光軸光電センサ(8A,8B)の側においても、筐
体9内にはセンサ回路が内蔵されている。このセンサ回路には、一連の光軸要素である投
光素子列または受光素子列に対する投光動作または受光動作を行うための投光回路又は受光回路と、外部との間で入力動作または出力動作を行うための入出力回路(インターフェース回路)と、外部表示動作を行うための表示回路と、それらの回路を統括制御して多光軸光電センサとしての機能を実現するための処理回路とが少なくとも含まれている。
【0036】
さらに、後に詳細に説明するように、連結用多光軸光電センサの柱状筐体内の処理回路
には、そのソケットに装着されたプラグ片または隣接する他の連結用多光軸光電センサか
ら取得された固有情報を、マスタ側に隣接する他の連結用多光軸光電センサまたはマスタ
用多光軸光電センサへと転送する機能が組み込まれている。
【0037】
次に、センサ回路側CPU105の処理を示すフローチャートが図7に示されている。
同図において、電源投入により処理が開始されると、初期設定処理(ステップ301)が
実行されることによって、各種フラグやレジスタ類の初期設定が行われる。しかる後、プ
ラグ片接続ポートの確認処理(ステップ302)が実行されて、プラグ片7の接続片RC
1〜RC4の短絡態様が確認される。しかる後、確認されたプラグ片接続ポートの状態(
短絡態様)に基づいて、判定処理が開始される。
【0038】
この判定処理の最初においては、まずプラグ片7の有無が判定される(ステップ703
)。ここで、プラグ片7がソケット6に装着されていないと判定されると(ステップ70
3無し)、ロックアウト処理(ステップ704)が実行されて、以後光電センサの動作は
停止される。すなわち、筐体2のソケット6にプラグ片7を装着しないままで、電源が投
入された場合には、光電センサを起動することができない。
【0039】
これに対して、プラグ片7がソケット6に装着されていると判定されると(ステップ7
03有り)、続いてプラグ片7により選択された機能の判定処理(ステップ705)が実
行される。この機能判定処理(ステップ705)において、『標準機能』に相当する短絡
状態と判定されれば、直ちに標準機能設定処理(ステップ708)が実行されて、光電セ
ンサの動作モードは予め決められた『標準機能』に対応する動作モードに設定される。ま
た、『ミューティング機能』に相当する短絡状態と判定されれば、直ちにミューティング
機能設定処理(ステップ707)が実行されて、光電センサの動作モードは『ミューティ
ング機能』に対応する動作モードに設定される。さらに、『直列連結機能』に相当する状
態と判定されれば、直ちに連結機能設定処理が実行される(ステップ706)。尚、ステ
ップ705における直列連結機能の判定は、図3に示される接続端子RC1〜RC4以外
の図示しないデータ伝送用の接続端子の状態に基づいて判定される。
【0040】
一方、標準機能設定処理(ステップ708)及びミューティング機能設定処理(ステッ
プ707)の実行終了後において、直列連結センサの有無を判定した結果(ステップ70
9)、直列連結センサが接続されていると判定されれば(ステップ709有り)、設定モ
ードの伝達・設定処理(ステップ710)が実行される。この設定モードの伝達・設定処
理(ステップ710)においては、直列連結された連結用多光軸光電センサ(8A,8B
)との間で通信を行うことによって、連結された他の光電センサから機能設定情報を取得
し、この取得された設定情報に基づき、先と同様にして、標準機能設定、ミューティング
機能設定などを行う。すなわち、マスタ用の多光軸光電センサ(1A,1B)にプラグ片
7が装着されているときには、プラグ片7からの情報に基づいて標準機能設定、ミューテ
ィング機能設定などを行うのに対し、マスタ用の多光軸光電センサ(1A,1B)に連結
用多光軸光電センサ(8A,8B)が接続されている場合には、それらの連結用多光軸光
電センサ(8A,8B)から送られてくる情報に基づいて、標準機能設定、ミューティン
グ機能設定、ブランキング機能設定などを行うのである。
【0041】
以後、プラグ片7がソケット6に装着されているか否かを定期的に確認しつつ(ステッ
プ712)、ステップ710で設定された定義済みモードにおける動作を繰り返し実行す
る(ステップ711)。この間に、何らかの理由で、プラグ片7がソケット6から取り外
されたり、別のプラグ片7と交換されてしまったような場合には、プラグ片無し(ステッ
プ712無し又はモード変更)が検出されることによって、ステップ704と同様なロッ
クアウト処理が実行されて(ステップ713)、光電センサの動作は停止する。従って、
プラグ片7はソケット6から外れてしまったり、動作中に別のプラグ片を装着したような
場合には、外部からオペレータが動作モードを確認できなくなるため、そのような場合に
はロックアウト処理(ステップ713)を実行することによって、光電センサの動作を停
止させるのである。
【0042】
尚、プラグ片7には、その設定された機能別に異なる着色を施すことが好ましく、この
ような機能別着色によれば、柱状筐体2に装着されたプラグ片7の色によって、その光電
センサの設定モードを直感的に把握することができる。これにより、設定ミスに基づく不
用意な動作の発生を未然に防止することができる。
【0043】
プラグ片とセンサ回路との関係を示す回路図(その2)が図5に示されている。この例
にあっては、ソケット6を介して柱状筐体2の側の処理回路105から参照可能な形態が
、プラグ片7内に固有情報に相当するデータを記憶させたメモリ701を内蔵すると共に
、そのデータ読み出しポートへ繋がるパスをソケット6に接続される特定の接続端子(R
C)へと導出させたものである。尚、図において111はメモリアクセス回路である。こ
のような構成によれば、プラグ片7内の接続端子(RC)の数に制約を受けることなく、
機能を指定するデータの種別を豊富化させることができる。
【0044】
次に、プラグ片とセンサ回路との関係を示す回路図(その3)が図6に示されている。
この例にあっては、ソケット6を介して柱状筐体2の側の処理回路105から参照可能な
形態としては、プラグ片7内に固有情報に相当するデータを記憶させたメモリ701、C
PU702、通信回路703を組み込むと共に、その通信回路703へ繋がるパスをソケ
ット6に接続される特定の接続端子(RC)へと導出させるようにしている。このような
構成によれば、シリアル通信用の信号線だけでメモリ701からのデータの取得が可能で
あるから、プラグ片7内の接続端子(RC)の数による制約を殆ど受けないと言う利点が
ある。
【0045】
最後に、プラグ片7の具体的な構造について説明する。プラグ片7として必要とされる
機能はそれまで利用されていたソケット6をそのまま流用して装着できる点であり、具体
的な外観形状等については様々な形態を採用することができる。もっとも、多光軸光電セ
ンサの柱状形態の端部に取り付けられるものである以上、柱状筐体端部の構造あるいは外
観を損ねるものであってはいけない。このような観点から設計されたプラグ片7の一例が
図8及び図9に示されている。図から明らかなように、プラグ片7はソケット6に着脱自
在に装着可能であって、しかも装着状態においては、筐体2の端部の外観を必要以上に大
型化するものでもない。
【0046】
図8及び図9に示されるソケット6には、本来、連結用多光軸光電センサからの電気コ
ード14がプラグ15を介して接続される。そのような例が、図10及び図11に示され
ている。それらの図から明らかなように、筐体2の端部に設けられたソケット6には、連
結用多光軸光電センサから延びる電気コード14の先端に取り付けられたプラグ15が装
着される。図8〜図11を参照して明らかなように、この実施形態におけるプラグ片7は
、それまで多光軸光電センサが有していた構造をそのまま流用し、ソケット6の部分にプ
ラグ片7を装着したものであることが容易に理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、極め簡単な操作で機能設定を行うことができ、しかも筐体を大型化し
たり、別途PCや機能設定ツールを用意することも必要ないようにした多光軸光電センサ
、並びに、多光軸光電センサシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】多光軸光電センサの対向配置状態を示す図である。
【図2】多光軸光電センサの連結状態を示す図である。
【図3】プラグ片とセンサ回路との関係を示す回路図(その1)である。
【図4】短絡する接続端子と機能の状態との関係を表にして示す図である。
【図5】プラグ片とセンサ回路との関係を示す回路図(その2)である。
【図6】プラグ片とセンサ回路との関係を示す回路図(その3)である。
【図7】センサ回路側のCPUの処理を示すフローチャートである。
【図8】プラグ片の装着状態を示す外観図である。
【図9】プラグ片を取り外した状態を示す外観図である。
【図10】プラグ片の代わりに直列連結コードを装着した状態を示す外観図である。
【図11】直列連結コードを取り外した状態を示す外観図である。
【符号の説明】
【0049】
1A 投光側のマスタ用多光軸光電センサ
1B 受光側のマスタ用多光軸光電センサ
2 柱状筐体
3 第1の端部
4 第2の端部
5 電気コード
6 ソケット
7 プラグ片
7A 第1のプラグ片
7B 第2のプラグ片
8 通信線
8A 投光側の連結用多光軸光電センサ
8B 受光側の連結用多光軸光電センサ
9 柱状筐体
10 第1の端部
11 第2の端部
14 電気コード
15 プラグ
100 センサ回路
101,102,103 波形整形ゲート
104 電源回路
105 処理回路(CPU)
106 表示回路
107 入出力回路(インターフェース回路)
108 投光回路又は受光回路
701 メモリ
702 CPU
703 通信回路
L1〜Ln 外部入出力線
PN1〜PN4 ソケット側の接続端子
RC1〜RC4 プラグ側の接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多光軸センサ及びこれと組み合わせて用いられるプラグ片であって、
多光軸センサは、対となる柱状筐体を有し、少なくとも一方の柱状筐体は、長手方向の一端部からは電気コードが引き出されると共に、長手方向の他端部にはプラグイン型のソケットが設けられ、かつ柱状筐体のソケットには、他の多光軸光電センサの柱状筐体から引き出された電気コードの先端プラグが着脱自在に装着可能とされており、
柱状筐体内には、一連の光軸要素である投光素子列を用いた投光動作を行うための投光回路、又は一連の光軸要素である受光素子列を用いた受光動作を行うための受光回路と、
外部との間で入力動作または出力動作を行うための入出力回路と、それらの回路を統括制御して多光軸光電センサとしての機能を実現するための処理回路とが少なくとも含まれており、
プラグ片は、柱状筐体のソケットに着脱自在に装着可能とされ、プラグ片内には、柱状筐体側の機能決定要素となる固有情報が、ソケットを介して柱状筐体側の処理回路から参照可能な形態で組み込まれており、さらに
多光軸センサの柱状筐体側の処理回路は、ソケットを介して参照されたプラグ片内の固有情報に基づいて機能決定を行うように仕組まれている、ことを特徴とする多光軸光電センサ及びプラグ片。
【請求項2】
ソケットを介して柱状筐体側の処理回路から参照可能な形態が、プラグ片内のソケット
に接続される特定の接続端子同士を固有情報の種別に応じた態様で短絡したものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の多光軸光電センサ及びプラグ片。
【請求項3】
ソケットを介して柱状筐体側の処理回路から参照可能な形態が、プラグ片内に固有情報
に相当するデータを記憶させたメモリを組み込むと共に、そのデータ読出ポートへ繋がる
パスをソケットに接続される特定の接続端子へと導出させたものである、ことを特徴とす
る請求項1に記載の多光軸光電センサ及びプラグ片。
【請求項4】
ソケットを介して柱状筐体側の処理回路から参照可能な形態が、プラグ片内に固有情報
に相当するデータを記憶させたメモリ、CPU、通信回路を組み込むと共に、その通信回
路へ繋がるパスをソケットに接続される特定の接続端子へと導出させたものである、こと
を特徴とする請求項1に記載の多光軸光電センサ及びプラグ片。
【請求項5】
柱状筐体内の処理回路には、ソケットにプラグ片が装着されていないことが電源投入時
に検出されたときには、処理回路の動作を制限又は停止する機能が組み込まれている、こ
とを特徴とする請求項1に記載の多光軸光電センサ及びプラグ片。
【請求項6】
柱状筐体内の処理回路には、ソケットにプラグ片が装着されているか否かを定期的に監
視し、ソケットの装着なしが検出されたときには、その後、処理回路の動作を制限又は停
止させる機能が組み込まれている、ことを特徴とする請求項1に記載の多光軸光電センサ
及びプラグ片。
【請求項7】
プラグ片は、固有情報により決定されるべき機能別に色分けされている、ことを特徴と
する請求項1に記載の多光軸光電センサ及びプラグ片。
【請求項8】
固有情報が、ブランキング機能又はミューティング機能を決定する要素となる固有情報である請求項1に記載の多光軸光電センサ及びプラグ片。
【請求項9】
対となる柱状筐体を有し、少なくとも一方の柱状筐体には、長手方向の一端部からは外部入出力線を心線として含む電気コードが引き出されると共に、長手方向の他端部にはプラグイン型のソケットが設けられたマスタ用多光軸光電センサと、
対となる柱状筐体を有し、少なくとも一方の柱状筐体には、 長手方向の一端部からはセンサ間信号線を心線として含む電気コードが引き出されると共に、長手方向の他端部にはプラグイン型のソケットが設けられ、さらにセンサ間信号心線を含む電気コードの先端には、マスタ用多光軸光電センサのソケット又は他の多光軸光電センサのソケットに着脱自在に接続可能なプラグが取り付けられた1もしくは2以上の連結用多光軸光電センサと、
マスタ用多光軸光電センサのソケット又は連結用多光軸光電センサのソケットに着脱自
在に接続可能なプラグ片とを有し、
マスタ用多光軸光電センサの柱状筐体内には、一連の光軸要素である投光素子列を用いた投光動作を行うための投光回路、又は一連の光軸要素である受光素子列を用いた受光動作を行うための受光回路と、外部との間で入力動作または出力動作を行うための入出力回路と、それらの回路を統括制御して多光軸光電センサとしての機能を実現するための処理回路とが少なくとも含まれており、
連結用多光軸光電センサの柱状筐体内には、一連の光軸要素である投光素子列を用いた投光動作を行うための投光回路、又は一連の光軸要素である受光素子列を用いた受光動作を行うための受光回路と、外部との間で入力動作または出力動作を行うための入出力回路と、それらの回路を統括制御して多光軸光電センサとしての機能を実現するための処理回路とが少なくとも含まれており、
プラグ片内には、マスタ用又は連結用の多光軸光電センサの柱状筐体側の機能決定要素
となる固有情報が、ソケットを介して柱状筐体側の処理回路から参照可能な形態で組み込
まれており、さらに
連結用多光軸光電センサの柱状筐体内の処理回路には、そのソケットに装着されたプラ
グ片又は隣接する他の連結用多光軸光電センサから取得された固有情報を、マスタ側に隣
接する他の連結用多光軸光電センサ又はマスタ用多光軸光電センサへの転送する機能が組
み込まれており、
マスタ用多光軸光電センサの柱状筐体内の処理回路は、ソケットを介して参照されたプ
ラグ片内の固有情報又は隣接する連結用多光軸光電センサから取得された固有情報に基づ
いて機能決定を行うように仕組まれており、
それにより、相互に連結された一連の柱状筐体のうちの最端部に位置する柱状筐体のソ
ケットにプラグ片を装着することにより、マスタ用多光軸光電センサの機能を設定できる
ようにした、ことを特徴とする多光軸光電センサシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−129462(P2006−129462A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−276227(P2005−276227)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】