説明

多光軸光電センサ及び多光軸光電センサのコントローラ

【課題】実行中の無効化エリアを維持したまま新たな無効化エリアに切り替えることができる多光軸光電センサ及び多光軸光電センサのコントローラを提供する。
【解決手段】コントローラ30は、オン信号mu1に応答して、第1記憶領域をアクティブにして第1ミューティングエリアの内容に基づいてミューティングを行うようにした。次に、コントローラ30は、検出信号mu2に応答して、第2記憶領域をアクティブにして第2ミューティングエリアの内容に基づいてミューティングを行うようにした。この時、コントローラ30は、先に書き込まれた第1ミューティングの内容と、後に書き込まれた第2ミューティングの内容の論理和をとって第2ミューティングの内容とした。その結果、第1ミューティングエリアのミューティングが行われた状態から、直ちに、第2ミューティングエリアのミューティングが行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多光軸光電センサ及び多光軸光電センサのコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プレス機械等の危険源が存在する装置から作業者の安全を守るために、作業者の手、腕等が危険エリア内に侵入することを防止すべく、作業者の手、腕等を検出する多光軸光電センサが知られている。
【0003】
この多光軸光電センサは、一列状に複数の投光素子を配置した投光器と、投光素子と同数の受光素子を投光素子に対応して一列に配置した受光器とを備え、これら投光器と受光器間で複数の光軸(ライトカーテン)を形成して、この保護領域である検出エリアに作業者の手、腕等の遮光物が侵入すると、プレス機械等の危険源の動作を強制的に停止させるようになっている。
【0004】
ところで、プレス機械等にあっては、生産ラインの設備の1つであり、加工前のワークの搬入及び加工後のワークの搬出を行うため、搬入・搬出してくるワークをその都度、ライトカーテンを通過させる必要がある。そこで、ワークがライトカーテンを通過するのを許容するために、多光軸センサは、一部の光軸の検出を無効化するミューティング機能を備えている。
【0005】
そして、ミューティング機能として、例えばワークが搬送方向に高さの異なる形状を有している場合について、その異なる高さに合わせて複数の異なるミューティング(無効化)エリアを設定し、該ワークの形状(高さ)に合わせて侵入して来るワークに対してミューティングエリアを切り替えてものがある(例えば、特許文献1)。
【0006】
また、ミューティング機能として、搬送装置によりワークを事前に搬送させて、多光軸光電スイッチ(センサ)を通過させる際のワークの形状(高さ情報)をティーチングする。そして、このティーチングで得たティーチング情報から複数のミューティングエリアを設定し、使用時には、その設定した複数のミューティングエリアを変更するようにしたものがある(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−218679号公報
【特許文献2】特開2007−235408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1において、実行中のミューティングエリアから新たなミューティングエリアに切り替える際、その新たなミューティングエリア情報の読み出し、転送及び書き込みが行われ、その間は、一時的に全ての光軸をミューティング状態にしていた。そして、新たなミューティングエリア情報の読み出し、転送及び書き込みが終了すると、直ちに、新たなミューティングエリアのミューティングが実行される。
【0008】
従って、実行中のミューティングエリアから新たなミューティングエリアに切り替える際、一時的ではあるが、全ての光軸をミューティング状態にすることから、非常に好ましくない状態が生じる。
【0009】
また、特許文献2においては、ワークの形状を認識するためのティーチング作業及びティーチング情報の設定等が必要になり、構成及び処理が煩雑になる。また、予めコンベア等で搬送されるものかどうか判断するのであれば、時間的に所定時間ごとにミューティングエリアを変更していけばよいが、作業者が任意にそのタイミングを変更したい場合、例えば印刷機において印刷した印刷紙をフォークリフトを運転して搬出する場合には対応できことから幅広いアプリケーションには対応できない問題があった。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、実行中の無効化エリアから新たな無効化エリアに切り替える際、実行中の無効化エリアを維持したまま新たな無効化エリアに切り替えることができる多光軸光電センサ及び多光軸光電センサのコントローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、複数の投光手段を有する投光器と、前記各投光手段と対をなしそれぞれ光軸を形成する複数の受光手段を有する受光器と、前記受光手段からの受光信号に基づいて光軸毎に遮光の有無を順次検出動作を行う検出手段と、前記各光軸にて形成される検出エリアの中から、予め設定される光軸で構成される第1無効化エリアと、前記第1無効化エリアと異なる第2無効化エリアとのデータを記憶した記憶手段と、外部からの第1開始信号に基づいて前記記憶手段に記憶した第1無効化エリアのデータに基づく前記第1無効化エリアでの前記検出手段による検出動作を無効化するとともに、前記第1無効化エリアを無効化中に、外部からの第2開始信号が出力された時、前記記憶手段に記憶した第2無効化エリアのデータに基づく前記第2無効化エリアでの前記検出手段による検出動作を無効化する無効化手段と、を備えた多光軸光電センサであって、前記無効化手段は、前記第2開始信号に応答して前記第1無効化エリアから前記第2無効化エリアに、第1及び第2無効化エリアのデータに使用して切り替える際、前記第2無効化エリアの一部が前記第1無効化エリアと重複している重複エリアが存在する場合には、重複している重複エリアを構成する光軸を除いて、各光軸の無効化状態に更新して、第2無効化エリアに切り替えて、前記検出手段による検出動作を無効化する。
【0012】
請求項1の発明によれば、無効化手段は、第1無効化エリアから第2無効化エリアに切り替える際、第2無効化エリアの一部が前記第1無効化エリアと重複している重複エリアが存在する場合には、その重複している重複エリアを構成する光軸を除いて、各光軸の無効化状態に切り替える。
【0013】
従って、第1無効化ミューティングエリアはそのまま維持され、第2無効化エリアにおける重複していないエリアのみが無効化エリアとして加算されることから、実行中の第1無効化エリアを維持したまま、即ち安全性を保持したまま新たな第2無効化エリアに切り替えることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多光軸光電センサにおいて、前記無効化手段は、外部からの延長信号に応答して、前記第1無効化エリアにおける前記検出手段による検出動作を無効化する予め定めた時間を、延長する。
【0015】
請求項2の発明によれば、無効化手段は、第1無効化エリアにおける検出手段による検出動作を無効化する予め定めた時間を延長することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の多光軸光電センサにおいて、前記第1開始信号、第2開始信号及び延長信号は、人の操作又は作業状態によってそれぞれ出力される信号出力手段である。
【0016】
請求項3の発明によれば、無効化手段は、どのタイミングでも実行中の第1無効化エリアを維持したまま、即ち安全性を保持したまま新たな第2無効化エリアに切り替えることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、前記無効化手段は、第1及び第2無効化エリアについて前記検出手段による検出動作を無効化しているとき、無効化エリアの光軸を表示する表示制御信号を表示装置にする。
【0018】
請求項4の発明によれば、表示装置に、実行しているミューティング状況が作業者に視認できる。従って、作業者は、確実にミューティングエリアを把握しながら作業を行うことができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、投光器に設けた複数の投光手段と受光器に設けた複数の受光手段とでそれぞれ形成される光軸毎に遮光の有無を順次検出動作を行う検出手段と、前記各光軸にて形成される検出エリアの中から、予め設定される光軸で構成される第1無効化エリアと、前記第1無効化エリアと異なる第2無効化エリアとのデータを記憶した記憶手段と、外部からの第1開始信号に基づいて前記記憶手段に記憶した第1無効化エリアのデータに基づく前記第1無効化エリアでの前記検出手段による検出動作を無効化するとともに、前記第1無効化エリアを無効化中に、外部からの第2開始信号が出力された時、前記記憶手段に記憶した第2無効化エリアのデータに基づく前記第2無効化エリアでの前記検出手段による検出動作を無効化する無効化手段とを備えた多光軸光電センサのコントローラであって、前記無効化手段は、前記第2開始信号に応答して前記第1無効化エリアから前記第2無効化エリアに、第1及び第2無効化エリアのデータに使用して切り替える際、前記第2無効化エリアの一部が前記第1無効化エリアと重複している重複エリアが存在する場合には、重複している重複エリアを構成する光軸を除いて、各光軸の無効化状態に更新して、第2無効化エリアに切り替えて、前記検出手段による検出動作を無効化する。
【0020】
請求項5の発明によれば、無効化手段は、第1無効化エリアから第2無効化エリアに切り替える際、第2無効化エリアの一部が前記第1無効化エリアと重複している重複エリアが存在する場合には、その重複している重複エリアを構成する光軸を除いて、各光軸の無効化状態に切り替える。
【0021】
従って、第1無効化ミューティングエリアはそのまま維持され、第2無効化エリアにおける重複していないエリアのみが無効化エリアとして加算されることから、実行中の第1無効化エリアを維持したまま、即ち安全性を保持したまま新たな第2無効化エリアに切り替えることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の多光軸光電センサのコントローラにおいて、前記無効化手段は、外部からの延長信号に応答して、前記第1無効化エリアにおける前記検出手段による検出動作を無効化する予め定めた時間を、延長する。
【0023】
請求項6の発明によれば、無効化手段は、第1無効化エリアにおける検出手段による検出動作を無効化する予め定めた時間を延長することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の多光軸光電センサのコントローラにおいて、前記第1開始信号、第2開始信号及び延長信号は、人の操作又は作業状態によってそれぞれ出力される信号出力手段である。
【0024】
請求項7の発明によれば、無効化手段は、どのタイミングでも実行中の第1無効化エリアを維持したまま、即ち安全性を保持したまま新たな第2無効化エリアに切り替えることができる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の多光軸光電センサのコントローラにおいて、前記無効化手段は、第1及び第2無効化エリアについて前記検出手段による検出動作を無効化しているとき、無効化エリアの光軸を表示する表示制御信号を表示装置にする。
【0026】
請求項8の発明によれば、表示装置に、実行しているミューティング状況が作業者に視認できる。従って、作業者は、確実にミューティングエリアを把握しながら作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、検出動作を行いながら実行中の無効化エリアから新たな無効化エリアに切り替える際、実行中の無効化エリア等を新たな無効化エリアとの重複しているエリア(光軸)は無効化状態を更新せず重複していないエリア(光軸)を更新するようにしたので、無効化エリアが切り替わる際の無効化状態が不確定な部分がなく安全性を保持したまま新たな無効化エリアに切り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の多光軸光電センサを印刷機に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は印刷機1の正面を示し、印刷機本体1aの前側には、同本体1aにて順次印刷されてくる印刷紙2を収容する排紙部1bが設けられている。排紙部1bには、正面に搬出口3を有した印刷紙収容室4が形成され、その印刷紙収容室4に配置されたパレットPの上に印刷機本体1aにて印刷されてくる印刷紙2が順次積層されるようになっている。
【0029】
印刷紙収容室4には、パレットPを載置する昇降装置6が設けられている。昇降装置6は、フォークリフト7(図2参照)のフォーク7aに支持されたパレットPが、排紙部1bの搬出口3から侵入して載置されると、そのパレットPを上方の最初の印刷紙2を受け止め載置する初期セット位置(最上位置)まで上動させるようになっている。つまり、昇降装置6は、パレットPをフォークリフト7にて受け渡された受け渡し位置(最下位置)から初期セット位置(最上位置)の間を上下動させるようになっている。
【0030】
そして、昇降装置6は、印刷機本体1aから送られてくる印刷紙2を順次積層する。このとき、昇降装置6、パレットPを印刷紙2が積層されて行くに従って下動させ、常に印刷機本体1aから送られてくる印刷紙2を同じ高さ位置で受け止められるようにしている。
【0031】
パレットPが受け渡し位置まで下降すると、パレットPの積層された印刷紙2が満載になったとして、新たなパレットPの交換が行われる。パレットPの交換は、フォークリフト7によって行われる。まず、フォークリフト7のフォーク7aを排紙部1bの搬出口3から侵入させて印刷紙2を満載に積層したパレットPを昇降装置6から持ち上げて、印刷紙収容室4から搬出する。続いて、前記と同様に、フォークリフト7のフォーク7aに支持された新たなパレットPを、排紙部1bの搬出口3から侵入させて、受け渡し位置にある昇降装置6に載置する。そして、フォークリフト7のフォーク7aを、排紙部1bの搬出口3から退出させることで、パレットPの交換作業は終了し、昇降装置6にて、パレットPを受け渡し位置から初期セット位置に上動させることで印刷が開始される。
【0032】
また、排紙部1bの正面には、操作パネル8が設けられ、そのパネル8には、作業者により操作される信号出力手段としてのパレット交換開始スイッチSW1が設けられている。パレット交換開始スイッチSW1は、満載に印刷紙2を積層したパレットPを搬出し、新たなパレットPを昇降装置6に載置するパレット交換作業を開始する際に、作業者により操作されるスイッチである。
【0033】
また、操作パネル8の下側には、例えば液晶表示装置よりなる表示装置DSPが設けられている。表示装置DSPは、後記する搬出口3に設けた多光軸光電センサ10のミューティングエリアを表示するようになっている。
【0034】
排紙部1bの搬出口3には、多光軸光電センサ10が設けられている。多光軸光電センサ10は、搬出口3の左側に立設した筐体が四角柱状の投光器11と、搬出口3の右側に前記投光器11と相対向する位置に立設した筐体が四角柱状の受光器12を備えている。
【0035】
図3に示すように、投光器11は、6個の発光ダイオードよりなる投光手段としての第1〜第6投光素子LD1〜LD6を備えている。第1〜第6投光素子LD1〜LD6は、前記受光器12と相対向する側の投光器11の面に、上下方向に一列に配列されている。詳述すると、下から上に向かって、第1投光素子LD1、第2投光素子LD2、第3投光素子LD3、第4投光素子LD4、第5投光素子LD5、第6投光素子LD6の順で予め定められた間隔で配置されている。そして、第1〜第6投光素子LD1〜LD6は、受光器12に向かって水平方向に第1〜第6光ビームL1〜L6を出射するようになっている。
【0036】
受光器12は、各投光素子LD1〜LD6とそれぞれ対向するように上下一列に配置したフォトダイオードよりなる受光手段としての第1〜第6受光素子PD1〜PD6を備えている。第1〜第6受光素子PD1〜PD6は、前記投光器11と相対向する側の受光器12の面に、上下方向に一列に配列されている。詳述すると、下から上に向かって、第1受光素子PD1、第2受光素子PD2、第3受光素子PD3、第4受光素子PD4、第5受光素子PD5、第6受光素子PD6の順で予め定められた間隔で配置されている。
【0037】
即ち、第1受光素子PD1は第1投光素子LD1が出射する第1光ビームL1を受光する。第2受光素子PD2は第2投光素子LD2が出射する第2光ビームL2を受光する。第3受光素子PD3は第3投光素子LD3が出射する第3光ビームL3を受光する。第4受光素子PD4は第4投光素子LD4が出射する第4光ビームL4を受光する。第5受光素子PD5は第5投光素子LD5が出射する第5光ビームL5を受光する。第6受光素子PD6は第6投光素子LD6が出射する第6光ビームL6を受光する。
【0038】
これにより投光器11と受光器12との間において第1〜第6投光素子LD1〜LD6からそれぞれ出射され、対応する第1〜第6受光素子PD1〜PD6がそれぞれ受光する第1〜第6光ビームL1〜L6の各光軸によって検出エリアが形成される。つまり、この検出エリアを遮光物が通過すと、第1〜第6光ビームL1〜L6の少なくとも1つの光ビームが遮蔽物にて遮られ、その光ビームの遮光にて遮光物の検出エリアへの侵入が検出されるようになっている。
【0039】
また、多光軸光電センサ10の投光器11の後方には、図2に示すように、印刷紙2の搬出を検知する信号出力手段としての搬出センサS1が設けられている。搬出センサS1は、フォークリフト7によって検出エリアに向かって搬出されるパレットPに積層された印刷紙2の通過を検出するようになっている。
【0040】
次に、多光軸光電センサ10の電気的構成について図4に従って説明する。
投光器11の第1〜第6投光素子LD1〜LD6及び受光器12の第1〜第6受光素子PD1〜PD6を駆動制御する検出手段及び無効化手段としてのコントローラ30を備えている。コントローラ30は、マイクロコンピュータよりなり、CPU、各種プログラム、その他各種データを記憶するメモリ等を備えている。
【0041】
コントローラ30は、投光器11の投光回路31に対して投光信号SG1を出力する。投光器11の投光回路31はこの投光信号SG1に基づいて第1〜第6投光素子LD1〜LD6を1つずつ順番に発光動作させるとともに、その発光動作を繰り返すようになっている。
【0042】
また、コントローラ30は、受光器12の受光回路32に対して同期信号CLKを出力する。受光器12の受光回路32は、同期信号CLKに基づいて、それぞれ所定のタイミングで発光動作している第1〜第6投光素子LD1〜LD6と対応する第1〜第6受光素子PD1〜PD6がそれぞれ検出する第1〜第6光ビームL1〜L6の遮光の有無を検出する第1〜第6受光信号SD1〜SD6を順次入力する。
【0043】
コントローラ30は、第1〜第6受光信号SD1〜SD6に基づいて、第1〜第6光ビームL1〜L6の遮光の有無を検出して遮光物の検出エリアへの侵入の有無を判定するようになっている。
【0044】
そして、コントローラ30は、検出エリアに遮光物が侵入した判定すると、警報装置33及び印刷機1の印刷制御装置34に侵入信号を出力する。警報装置33は、侵入信号に応答して駆動し警報を鳴らす。また、印刷機1の印刷制御装置34は侵入信号に応答して印刷機1の運転を止めるようになっている。
【0045】
コントローラ30は、記憶手段としてのメモリ内の第1及び第2記憶領域35a,35b(図5参照)に、第1〜第6光ビームL1〜L6において、これら光ビームの一部又は全部が遮光されても、前記遮光物侵入の判定の際に、遮光物の侵入と見なさない該一部又は全部の光ビーム(ミューティングエリア)を記憶している。そして、本実施形態では、第1記憶領域35aには、第1無効化エリアとしての第1ミューティングエリアが、第2記憶領域35bには、第2無効化エリアとしての第2ミューティングエリアが予め記憶されている。
【0046】
本実施形態では、第1ミューティングエリアは、第1光ビームL1と第2光ビームL2が、遮光されても遮光物の侵入と見なさないエリアであって、これら第1光ビームL1と第2光ビームL2は、新しいパレットPを支持したフォーク7aを昇降装置6に載置させる場合、該パレットPとフォーク7aに対して遮光される光ビームである。
【0047】
第2ミューティングエリアは、第1〜第6光ビームL1〜L6全てが、遮光されても遮光物の侵入と見なさないエリアであって、第1〜第6光ビームL1〜L6は印刷紙2を満載に積層したパレットPを印刷紙収容室4から搬出する場合、印刷紙2、パレットP及びフォーク7aに対して遮光される光ビームである。
【0048】
図5は、第1及び第2記憶領域35a,35bにそれぞれ記憶した第1ミューティングエリアのデータと、第2ミューティングエリアのデータを示す。因みに、第1記憶領域35aのアドレスa1〜a6及び第2記憶領域35bのアドレスb1〜b6は、第1〜第6光ビームL1〜L6に対応して割り振られている。即ち、アドレスa1,b1は第1光ビームL1が、アドレスa2,b2は第2光ビームL2が、アドレスa3,b3は第3光ビームL3が、アドレスa4,b4は第4光ビームL4が、アドレスa5,b5は第5光ビームL5が、アドレスa6,b6は第6光ビームL6がそれぞれ対応している。
【0049】
そして、各アドレスa1〜a6,b1〜b6において論理値「1」は遮光された時、遮光物の侵入と見なさない光ビームを意味し、論理値「0」は遮光された時、遮光物の侵入と見なす光ビームを示す。
【0050】
従って、第1記憶領域35aには、アドレスa1,a2が論理値「1」、アドレスa3〜a6が論理値「0」の内容であって、第1及び第2光ビームL1,L2が、遮光された時、遮光物の侵入と見なさない光ビームを意味し、第3〜第6光ビームL3〜L6の少なくとも1つが遮光された時、遮光物の侵入と見なす光ビームを示す。即ち、第1又は第2光ビームL1,L2が遮光されても遮光物の侵入と見なさないで、第3〜第6光ビームL3〜L6の少なくとも1つが遮光された時には遮光物の侵入と見なす第1ミューティングエリアを意味する。
【0051】
また、第2記憶領域35bには、アドレスb1〜b6が全て論理値「1」の内容であって、第1〜第6光ビームL1〜L6が遮光されても、遮光物の侵入と見なさない光ビームを意味する。即ち、第1〜第6光ビームL1〜L6のどの光ビームが遮光されても遮光物の侵入と見なさない第2ミューティングエリアを意味する。
【0052】
コントローラ30は、パレット交換開始スイッチSW1と搬出センサS1と電気的に接続されている。そして、コントローラ30は、パレット交換開始スイッチSW1の第1開始信号としてのオン信号mu1に応答して、第1記憶領域35aをアクティブ状態にする。そして、コントローラ30は、オン信号mu1に応答してアクティブ状態になった第1記憶領域35aの各アドレスa1〜a6の内容に基づいて第1ミューティングエリアのミューティングを行うようになっている。
【0053】
また、コントローラ30は、搬出センサS1からの印刷紙2の通過を検出する第2開始信号としての検出信号mu2を入力すると、第2記憶領域35bをアクティブ状態にする。そして、コントローラ30は、検出信号mu2に応答してアクティブ状態になった第2記憶領域35bの各アドレスb1〜b6の内容に基づいて第2ミューティングエリアのミューティングを行う。このとき、コントローラ30は、第1記憶領域35aがアクティブ状態になっているとき、第1記憶領域35aの対応する各アドレスa1〜a6の内容と第2記憶領域35bの各アドレスb1〜b6の内容同士を論理和加算して作成した第2ミューティングエリアのデータに基づいて第1ミューティングエリアのミューティングを行うようになっている。
【0054】
詳述すると、例えば、先にアクティブになった第1記憶領域35aの内容と、後にアクティブになった第2記憶領域35bの内容の論理和の内容となる。つまり、先の内容が論理値「1」で後の内容が論理値「0」の場合は、論理和は「1」となる。また、先の内容が論理値「0」で後の内容が論理値「1」の場合は、論理和は「1」となる。さらに、先の内容が論理値「1」で後の内容が論理値「1」の場合は、論理和は「1」となる。さらにまた、先の内容が論理値「0」で後の内容が論理値「0」の場合は、論理和は「0」となる。
【0055】
つまり、アドレスa1,a2及びアドレスb1,b2の内容は論理値「1」と重複しているので、そのまま論理値「1」が維持され第1光ビームL1及び第2光ビームL2がミューティング対象を維持する。これに対して、アドレスa3〜a6の内容は論理値「0」、アドレスb3〜b6の内容は論理値「1」と重複していてないので、論理値「1」となり第3光ビームL3〜第6光ビームL6が新たなミューティング対象となる。
【0056】
その結果、重複した第1光ビームL1及び第2光ビームL2はミューティング対象のまま維持され、重複していない第3光ビームL3〜第6光ビームL6が新たなミューティング対象に切り替えられることになる。
【0057】
尚、第1及び第2記憶領域35a,35bを非アクティブ状態になると、コントローラ30は、第1及び第2記憶領域35a,35bの内容を読み出さないようになっている。
また、コントローラ30は、表示装置DSPと接続し表示制御信号を出力する。コントローラ30は、今実行しているミューティング状況を表示装置DSPに画像にして作業者に視認できるようにしている。例えば、投光器11と受光器12を表示し、第1ミューティングエリアをミューティングしているときには、第1光ビームL1と第2光ビームL2を他の第3〜第6光ビームL3〜L6と異なる表示をし、第2ミューティングエリアをミューティングしているときには、第1〜第6光ビームL1〜L6を全てミューティングしている表示をする。例えば、ミューティングしている光ビームは点滅表示をして注意を引くようにしてもよい。また、表示装置DSPにミューティングしている光ビーム(光軸)名を表示してもよい。
【0058】
次に、上記のように構成した多光軸光電センサ10の作用について説明する。
今、印刷機1が運転され、印刷された印刷紙2が排紙部1bに送られパレットP上に積層されている状態であって、第1〜第6レジスタR1〜R6の内容が全て「0」のクリア状態あるとき、コントローラ30は、多光軸光電センサ10の投光器11と受光器12の間を通過する遮光物を第1〜第6光ビームL1〜L6にて検出する。また、この時、第1及び第2記憶領域35a,35bは共に非アクティブ状態である。
【0059】
すなわち、第1〜第6光ビームL1〜L6のすくなくとも1つの光ビームが遮光されたとき、コントローラ30は受光信号SD1〜SD6に基づいて遮光物が侵入したと判断して、警報装置33及び印刷機1の印刷制御装置34に侵入信号を出力する。そして、警報装置33を介して警報を鳴らすとともに印刷制御装置34を介して印刷機1の運転を止めるようになっている。
【0060】
やがて、印刷された印刷紙2が満載になると、満載になった印刷紙2を排紙部1bから搬出し新たなパレットPを昇降装置6に載置するパレット交換作業が行われる。
(フォークリフトのフォークの挿入)
まず、パレット交換作業を行うべく、作業者がパレット交換開始スイッチSW1を押すと、同スイッチSW1のオン信号mu1がコントローラ30に出力される。コントローラ30は、このオン信号mu1に応答して第1記憶領域35aをアクティブ状態にする。この時、コントローラ30は第1タイマ30aの計時動作を開始させる。
【0061】
コントローラ30は、アクティブ状態になった第1記憶領域35aに記憶した第1ミューティングエリアの内容に基づいて、多光軸光電センサ10の投光器11及び受光器12のミューティングを行う。
【0062】
つまり、第1光ビームL1又は第2光ビームL2が、遮光されても遮光物の侵入と見なさない状態となり、フォークリフト7のフォーク7aの侵入を許容する。この間に作業者はフォークリフト7を前進させ、フォーク7aを印刷紙収容室4まで侵入させ印刷紙2を積層したパレットPを持ち上げる。
【0063】
(印刷紙の搬出)
続いて、印刷紙2を満載に積層したパレットPを印刷紙収容室4から搬出すべく、フォークリフト7を後退させる。このとき、パレットPに載置された満載の印刷紙2が投光器11と受光器12の間を通過して搬出される前に、搬出センサS1がパレットPに載置された満載に積層した印刷紙2の通過を検出する。
【0064】
そして、搬出センサS1は、印刷紙2の通過を検出した検出信号mu2をコントローラ30に出力する。コントローラ30は、搬出センサS1からの検出信号mu2に応答して第2記憶領域35bをアクティブ状態にする。また、コントローラ30は、この検出信号mu2に応答して第1タイマ30bの計時動作を開始させる。
【0065】
第2記憶領域35bをアクティブ状態すると、コントローラ30は、先にアクティブ状態になっている第1記憶領域35aに内容と各アドレス毎にそれぞれ論理和加算して第1ミューティングエリアの内容から第2ミューティングエリアの内容に切り替える。
【0066】
このとき、第1ミューティングエリアの内容から第2ミューティングエリアの内容に切り替わる時、第1〜第6レジスタR1〜R6の内容は、先(第1ミューティングエリアの内容)の論理値と後(第2ミューティングエリアの内容)の論理値を論理和で書き換えられるので、直ちに第1ミューティングエリアの内容から第2ミューティングエリアの内容に切り替わることになる。
【0067】
つまり、第1及び第2光ビームL1,L2は、そのままミューティング対象が維持される。そして、第3〜第6光ビームL3〜L6が、新たにミューティング対象となる。言い換えると、第1〜第6光ビームL1〜L6全てが一旦、非ミューティング対象になった後に、第2ミューティングエリアのミューティング対象に切り替わることはない。
【0068】
そして、コントローラ30は、第2ミューティングエリアの内容に基づいて、多光軸光電センサ10の投光器11及び受光器12のミューティングを行う。つまり、第1〜第6光ビームL1〜L6の全てが、遮光されても遮光物の侵入と見なさない状態となり、パレットPに満載に載置された印刷紙2の搬出を許容する。この間に作業者はフォーク7aにパレットPを支持した状態でフォークリフト7を後退させる。
【0069】
このとき、コントローラ30は、第1ミューティングエリアの内容から第2ミューティングエリアの内容に切り替わる際、第1〜第6光ビームL1〜L6全てが一旦、非ミューティング対象にならないで、即ち、ミューティングエリアが切り替わる際に、ミューティングが一旦途切れることなく新たなミューティングを連続して継続することができる。
【0070】
(新たなパレット搬入)
印刷紙2の搬出が完了すると、第2タイマ30bがタイムアップする。第2タイマ30bがタイムアップすると、コントローラ30は、第2記憶領域35bを非アクティブ状態する。コントローラ30は、第1記憶領域35aをアクティブ状態になっていることから、第2ミューティングエリアのミューティングから第1ミューティングエリアのミューティングに切り替わる。
【0071】
続いて、作業者はフォークリフト7のフォーク7aに新たなパレットPを支持してフォークリフト7を前進させ、フォーク7aを印刷紙収容室4まで侵入させ該パレットPを昇降装置6に載置する。
【0072】
このとき、コントローラ30は、アクティブ状態にある第1記憶領域35aに書き込まれた第1ミューティングエリアの内容に基づいて、多光軸光電センサ10の投光器11及び受光器12のミューティングを行う。
【0073】
従って、作業者は、支障なくパレットPを昇降装置6に載置しフォーク7aを退出させることができる。
(ミューティングの解除)
新たなパレットPの昇降装置6への載置が終了しフォーク7aが排紙部1bを退出した後、第1タイマ30aがタイムアップすると、コントローラ30は、第1記憶領域35aを非アクティブ状態にする。これによって、第1ミューティングエリアは解消され、第1〜第6光ビームL1〜L6が、それぞれ遮光された時には、遮光物の侵入と見なす光ビームとなり、コントローラ30は、新たなパレット交換作業を待つ。
【0074】
次に、上記のように構成した実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、コントローラ30は、オン信号mu1に応答して、第1記憶領域35aをアクティブにして各アドレスa1〜a6の第1ミューティングエリアの内容に基づいてミューティングを行うようにした。次に、コントローラ30は、検出信号mu2に応答して、第2記憶領域35bをアクティブにして各アドレスb1〜b6の第2ミューティングエリアの内容に基づいてミューティングを行うようにした。
【0075】
この時、コントローラ30は、先に書き込まれた第1ミューティングの内容と、後に書き込まれた第2ミューティングの内容の論理和をとって第2ミューティングの内容とした。その結果、第1ミューティングエリアのミューティングが行われた状態から、直ちに、第2ミューティングエリアのミューティングが行われる。
【0076】
つまり、どんなタイミングで検出信号mu2が出力されても、ミューティングのエリアが、第1ミューティングエリアから第2ミューティングエリアに切り替わる際、第1〜第6光ビームL1〜L6全てが一旦、非ミューティング状態になることなく、第2ミューティングエリアのミューティングに切り替わる。従って、ミューティングが一旦途切れることなく新たなミューティングを連続して継続することができる。
(2)上記実施形態によれば、第1ミューティングエリアから第2ミューティングエリアに切り替わる際、ミューティングが一瞬たりとも途切れることがなく新たなミューティングを連続して継続することができることから、好ましい状態でパレット交換作業を行うことができる。
(3)上記実施形態によれば、第2タイマ30bにより第2ミューティングエリアにおけるミューティング動作を20秒に限定させていることから、印刷紙2の搬出を無用に長引かせて好ましくない状態を長時間継続させることがない。
(4)上記実施形態によれば、第1タイマ30aにより第1ミューティングエリアにおけるミューティング動作を40秒に限定させていることから、印刷紙2の搬出しパレットPを交換させる作業を無用に長引かせて好ましくない状態を長時間継続させることがない。
(5)上記実施形態によれば、表示装置DSPに、実行しているミューティング状況を表示装置DSPに画像にして作業者に視認できるようにしている。従って、作業者は、確実にミューティングエリアを把握しながら作業を行うことができる。
【0077】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、第1ミューティングエリアから第2ミューティングエリアのミューティングの切替実行を、コントロール30内で行った。これを、図6に示すように、外部に、第1ミューティングエリアのデータを記憶した第1記憶領域35aと第2ミューティングエリアのデータを記憶した第2記憶領域35bを備えた外部メモリ35を設ける。そして、コントローラ30は、オン信号mu1に応答して第1制御信号CT1を外部メモリ35に出力して第1記憶領域35aをアクティブ状態にするとともに、検出信号mu2に第2制御信号CT2を外部メモリ35に出力して第2記憶領域35bをアクティブ状態にする。また、コントローラ30は、第1タイマ30aのタイムアップで第1制御信号CT1を消失させて第1記憶領域35aを非アクティブ状態にするとともに、第2タイマ30bのタイムアップで第2制御信号CT2を消失させて第2記憶領域35bを非アクティブ状態にする。
【0078】
そして、第1記憶領域35aの各アドレスa1〜a6の第1ミューティングエリアの内容と、第2記憶領域35bの各アドレスb1〜b6の第2ミューティングエリアの内容とを、それぞれのオア回路36a〜36fを介して対応する第1〜第6レジスタR1〜R6にそれぞれ出力するようにする。そして、オン信号mu1(第1制御信号CT1)及び検出信号mu2(第2制御信号CT2)に応答して各第1〜第6レジスタR1〜R6に第1及び第2ミューティングエリアの内容が書き込まれ、その内容に基づいて、コントローラ30はミューティングを行うようにさせてもよい。また、第1タイマ30aがタイムアップした時、コントローラ30は、クリア信号CLを各第1〜第6レジスタR1〜R6に出力して内容をクリアする。
【0079】
この場合にも、第1〜第6レジスタR1〜R6には、先に書き込まれた第1ミューティングの内容と、後に書き込まれた第2ミューティングの内容の論理和をとった内容が書き込まれるため、上記実施形態と同様に、ミューティングが一旦途切れることなく新たなミューティングを連続して継続することができる。
【0080】
なお、コントローラ30は、オア回路36a〜36fに対してオン信号mu1に応答して、第1記憶領域35a及び第2記憶領域35bからのデータの入力を許可し、第1タイマ30aのタイムアップで第1記憶領域35a及び第2記憶領域35bからのデータの入力を不許可にしてもよい。
【0081】
・上記実施形態において、図1に2点鎖線で示すようにパネル8に交換作業延長スイッチSW2を設けて、図4に2点鎖線で示すように、作業者の操作で交換作業延長スイッチSW2から延長信号CXをコントローラ30に出力させるようにする。そして、コントローラ30は、延長信号CXに応答して第1タイマ30aのタイムアップを20秒延長させるようにしてもよい。従って、作業が何らかの要因で時間を要しても、交換作業延長スイッチSW2を操作すれば、第1ミューティングエリアにおけるミューティングを延長することができ、交換作業中にミューティングが解除されることがなく確実に交換作業を遂行できる。
【0082】
また、第1タイマ30aのタイムアップが近づいた時、コントローラ30は、作業者にその旨を、音、音声、又は光で知らせ、作業を急ぐか、交換作業延長スイッチSW2を操作するかの選択を事前に報知するようにしてもよい。
【0083】
・上記実施形態では、第1及び第2タイマ30a,30bのタイムアップ時間を、さらに長くしたり、逆に短くしたり適宜変更して実施してもよい。
・上記実施形態では、第1ミューティングエリア及び第2ミューティングエリアの内容を発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施してもよい。
【0084】
・上記実施形態では、6個の第1〜第6光ビームL1〜L6(光軸)を使用した多光軸光電センサ10であったが、その数を適宜変更して実施してもよい。
・上記実施形態では、印刷機1に多光軸光電センサ10を用いたが、それ以外、例えばプレス機械等の加工機、生産機械が併設された生産ラインに備えた多光軸光電センサに応用してもよい。
【0085】
・上記実施形態では、ミューティングエリアは、第1ミューティングエリアと第2ミューティングエリアの2つであったが、それ以上設けて実施してもよい。例えば、図7に示すように、記憶手段に新たな第3記憶領域35cを設け、各アドレスc1〜c6の論理値が「0、0、0、0、1、1」となる第3ミューティングを設定してもよい。また、複数のミューティングエリアは、互いに重複しないミューティングエリアのデータで構成してもよい。つまり、上記実施形態において、論理値が「0、0、0、0、1、1」、「0、0、0、0、1、0」、「0、0、0、1、0、0」、「0、0、1、0、0、0」、「0、1、0、0、0、0」、「1、0、0、0、0、0」のミューティングエリアのデータ等を用いて実施してもよい。
【0086】
・上記実施形態では、搬出口3に1つ検出エリアを設けた。これを例えば、複数の出入口を有し、その複数の出入口に対して検出エリアを設定し、各出入口毎にセンサを設け、該センサに応答して各出入口毎にミューティングを行うようにして実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態における印刷機の正面図。
【図2】印刷機の要部平断面図。
【図3】多光軸光電センサの投光器と受光器を説明するための斜視図。
【図4】多光軸光電センサの電気的構成を説明するためのブロック回路図。
【図5】第1及び第2ミューティングエリアのデータを説明するための説明図。
【図6】別例を多光軸光電センサの電気的構成を説明するためのブロック回路図。
【図7】列例のミューティングエリアのデータを説明するための説明図。
【符号の説明】
【0088】
1…印刷機、1a…印刷機本体、1b…排出部、2…印刷紙、3…搬出口、4…印刷紙収容室、6…昇降装置、7…フォークリフト、7a…フォーク、10…多光軸光電センサ、11…投光器、12…受光器、30…コントローラ、30a…第1タイマ、30b…第2タイマ、31…投光回路、32…受光回路、35…外部メモリ、35a…第1記憶領域、35b…第2記憶領域、36a〜36f…第1〜第6オア回路、CX…延長信号、DSP…表示装置、L1〜L6…第1〜第6光ビーム、LD1〜LD6…第1〜第6発光素子、PD1〜PD6…第1〜第6受光素子、P…パレット、R1〜R6…第1〜第6レジスタ、S1…搬出センサ、mu1…オン信号、mu2…検出信号、SW1…パレット交換開始スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の投光手段を有する投光器と、
前記各投光手段と対をなしそれぞれ光軸を形成する複数の受光手段を有する受光器と、
前記受光手段からの受光信号に基づいて光軸毎に遮光の有無を順次検出動作を行う検出手段と、
前記各光軸にて形成される検出エリアの中から、予め設定される光軸で構成される第1無効化エリアと、前記第1無効化エリアと異なる第2無効化エリアとのデータを記憶した記憶手段と、
外部からの第1開始信号に基づいて前記記憶手段に記憶した第1無効化エリアのデータに基づく前記第1無効化エリアでの前記検出手段による検出動作を無効化するとともに、前記第1無効化エリアを無効化中に、外部からの第2開始信号が出力された時、前記記憶手段に記憶した第2無効化エリアのデータに基づく前記第2無効化エリアでの前記検出手段による検出動作を無効化する無効化手段と、
を備えた多光軸光電センサであって、
前記無効化手段は、前記第2開始信号に応答して前記第1無効化エリアから前記第2無効化エリアに、第1及び第2無効化エリアのデータに使用して切り替える際、前記第2無効化エリアの一部が前記第1無効化エリアと重複している重複エリアが存在する場合には、重複している重複エリアを構成する光軸を除いて、各光軸の無効化状態に更新して、第2無効化エリアに切り替えて、前記検出手段による検出動作を無効化することを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記無効化手段は、外部からの延長信号に応答して、前記第1無効化エリアにおける前記検出手段による検出動作を無効化する予め定めた時間を、延長することを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記第1開始信号、第2開始信号及び延長信号は、人の操作又は作業状態によってそれぞれ出力される信号出力手段であることを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多光軸光電センサにおいて、
前記無効化手段は、第1及び第2無効化エリアについて前記検出手段による検出動作を無効化しているとき、無効化エリアの光軸を表示する表示制御信号を表示装置にすることを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項5】
投光器に設けた複数の投光手段と受光器に設けた複数の受光手段とでそれぞれ形成される光軸毎に遮光の有無を順次検出動作を行う検出手段と、
前記各光軸にて形成される検出エリアの中から、予め設定される光軸で構成される第1無効化エリアと、前記第1無効化エリアと異なる第2無効化エリアとのデータを記憶した記憶手段と、
外部からの第1開始信号に基づいて前記記憶手段に記憶した第1無効化エリアのデータに基づく前記第1無効化エリアでの前記検出手段による検出動作を無効化するとともに、前記第1無効化エリアを無効化中に、外部からの第2開始信号が出力された時、前記記憶手段に記憶した第2無効化エリアのデータに基づく前記第2無効化エリアでの前記検出手段による検出動作を無効化する無効化手段と、
を備えた多光軸光電センサのコントローラであって、
前記無効化手段は、前記第2開始信号に応答して前記第1無効化エリアから前記第2無効化エリアに、第1及び第2無効化エリアのデータに使用して切り替える際、前記第2無効化エリアの一部が前記第1無効化エリアと重複している重複エリアが存在する場合には、重複している重複エリアを構成する光軸を除いて、各光軸の無効化状態に更新して、第2無効化エリアに切り替えて、前記検出手段による検出動作を無効化することを特徴とする多光軸光電センサのコントローラ。
【請求項6】
請求項5に記載の多光軸光電センサのコントローラにおいて、
前記無効化手段は、外部からの延長信号に応答して、前記第1無効化エリアにおける前記検出手段による検出動作を無効化する予め定めた時間を、延長することを特徴とする多光軸光電センサのコントローラ。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の多光軸光電センサのコントローラにおいて、
前記第1開始信号、第2開始信号及び延長信号は、人の操作又は作業状態によってそれぞれ出力される信号出力手段であることを特徴とする多光軸光電センサのコントローラ。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか1項に記載の多光軸光電センサのコントローラにおいて、
前記無効化手段は、第1及び第2無効化エリアについて前記検出手段による検出動作を無効化しているとき、無効化エリアの光軸を表示する表示制御信号を表示装置にすることを特徴とする多光軸光電センサのコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−38588(P2010−38588A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198918(P2008−198918)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】