説明

多回転アブソリュート回転角検出装置及びアブソリュート回転角を検出する方法

【課題】主軸の回転角度検出方法で、広い多回転検出範囲を得られ、かつ、高い検出精度を達成することのできるアブソリュート回転角検出方法と、多回転アブソリュート回転角検出装置を提供する。
【解決手段】本検出装置は、主軸ギヤ10bと歯車接合した第1〜第3副軸ギヤを具備する歯車機構1からなり、主軸ギヤと第1副軸ギヤの歯数差は、2又はそれを越える整数aであり、また主軸ギヤと第2副軸ギヤの歯数差は、1であり、第1軸の歯数は主軸に対する歯数差と主軸検出器の軸倍角の積の整数倍の関係を有する。各軸の回転角を角度検出器RS0〜RS3で検出する。主軸の回転角度と、主軸と第1〜第3副軸との間の回転角度の差を表す周期信号値をそれぞれ生成し、各周期信号値から求められた第1〜第3副軸の相対回転数の組み合わせに基づいて主軸の回転数を求める。主軸の回転数に回転角度を加えて多回転アブソリュート回転角を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多回転アブソリュート回転角を検出する装置及びその回転角を検出する方法に関し、さらに詳しくは、変速比が異なる複数の回転軸の1回転以内の角度を検出して、多回転アブソリュート回転角を検出する装置及びその回転角を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転駆動源である、例えばモータの軸回転を多回転に亘って制御することは、工作機械、ロボット等の移動体の位置制御に必要である。特に、1回転内の角度を高い分解能で検出すると共に、より多くの回転に亘たる角度情報を得ることが極めて重要になる。しかしながら、分解能を高くし、かつ角度情報をより多くの回転に対応させる回転角検出装置は、従来から多くの提案が行われてきた。
【0003】
特許第3665732号公報に開示された絶対位置検出方法では、1回転内の検出分解能を高くし、かつ多回転検出範囲を広くするために、軸倍角の異なる2つの角度検出器を1つの軸の角度検出に使用する場合、角度検出器の数が増え、ギヤ機構が複雑になり、ギヤ機構が大きくなるという課題に対処するために、第1軸に4倍角のレゾルバを使用し、第2軸には1倍角のレゾルバを使用することにより、分解能を4倍に向上させながら、多回転検出範囲を縮小させず、かつレゾルバを増やさない方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3665732号公報
【特許文献2】特開2009−229396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の検出方法には、特許文献2の段落[0006]に記述されているように、最初の第1段目の絶対位置検出器(レゾルバ)RS1は1回転内の領域判別と回転回数の両方の用途に使用されるため、特に精度が要求されるという問題があつた。すなわち、特許文献1の1回転内の領域判別及び回転回数の判別は、図5に示される波形に基づいて行われ、式(3)で求められるθ10は1回転内のアブソリュート位置(機械角)の判定に利用できるが(段落[0022]参照)、θ10の計算結果は、26回転×4領域の判別に使用されるため、104(26×4)分割に耐えうる精度が要求される。これに対して、図6のθ20では27分割の精度、第7図のθ30では29分割の精度で良い。
【0006】
特許文献1の構成では、RS1,RS2,RS3の3つの1倍角レゾルバを使用しているがRS1のみに他のレゾルバより4倍近く高い精度が求められる。そこでRS1のみ高い精度を持つレゾルバを使うか、RS1,RS2,RS3を同等の精度を有するレゾルバを使用し、本来RS2,RS3の持つ検出精度から得られるはずの回転周期を使わずに、検出範囲を狭めて使用することになる。設置スペースや設計・製造面の制約上、RS1のみ精度の特別に高い角度検出器を用いるのは難しいケースが多い。また部品を共通にする観点からもRS1〜RS3に同等な精度の1倍角レゾルバを使用するのが好ましい場合が多い。
【0007】
特許文献2は、特許文献1と同じ4つの角度検出軸を有するエンコーダを開示しているが、歯車G0と歯車G1を1対1のギヤ比で接続し、歯車G1の1倍角検出器は歯車G0の4倍角検出器の領域判別のみに使用している。特許文献1が26回転周期、27回転周期、29回転周期の3つの信号から20368回転の検出範囲を得ているのに対し、特許文献2は機械的には27回転周期、29回転周期から783回転に検出範囲を得ているのに留まる。
【0008】
また、特許文献1の図5の信号波形に基づく判別は、4周期/回転と1周期/26回転の信号が混在しており、2つの信号を判別するのは面倒であるという点で、信号処理上の問題がある。さらに特許文献1では主軸の回転角に対して、異なる変速比で連結された3つの副軸回転角の差を取ることにより、3つの回転周期信号を求め多回転情報を得ている。副軸のギヤ歯数は主軸に締結されたギヤ歯数に対して歯数差を1としている。歯数差を1とした場合ひとつの主軸ギヤに対して、歯数が+1、−1の2つの軸を連結できるが3つ以上は別のギヤを主軸に設ける必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためなされたもので、主軸に取り付けられた主軸ギヤ、主軸ギヤと歯車結合する第1副軸ギヤ及び第2副軸ギヤ、及び、第1及び第2副軸ギヤの回転をそれぞれ伝達する第1及び第2副軸から構成され、
主軸の回転角度を検出する主軸の角度検出器、及び、第1及び第2副軸の回転角度を検出する第1及び第2副軸の角度検出器からなる一組の角度検出器であって、主軸の角度検出器は、主軸1回転当たりN周期のN倍角検出値P0(NX)を出力し、第1及び第2副軸の角度検出器は、副軸1回転当たり1周期の1倍角検出値P1(1X),P2(1X)をそれぞれ出力する、一組の角度検出器を備え、
第1副軸ギヤの歯数は、主軸ギヤと歯数差2又はそれを越える整数aの歯数差を有し、かつ歯数差aと主軸に設けられた角度検出器の軸倍角Nの積に対して整数倍であり、また主軸ギヤと第2副軸ギヤとの歯数差は、1である関係を有するギヤ機構であって、
主軸、第1副軸、及び、第2副軸の回転角度検出値から主軸の多回転アブソリュート回転角を求める多回転角度検出装置において、
主軸の角度検出器によって検出されたN倍角検出値P0(NX)と第1副軸の角度検出器によって検出された第1副軸の1倍角検出値P1(1X)とから、第1副軸の歯数をMとすると、主軸のM/aN回転を1周期とする信号P0((aN/M)×X)を求め、信号P0((aN/M)×X)により、主軸の角度検出器によって検出されたN倍角検出値P0(NX)がN周期の内の何番目の周期の値であるかを示す判別値を得て、判別値とN倍角検出値P0(NX)とから主軸1回転当たり1周期の主軸の1倍角検出値P0(1X)を合成する主軸回転角検出手段と、
主軸の1倍角検出値P0(1X)と第1副軸の1倍角検出値P1(1X)とから主軸と第1副軸との回転数の差を示す第1副軸周期信号を生成し、さらに主軸の1倍角検出値P0(1X)と第2副軸の角度検出器によって検出された第2副軸の1倍角検出値P2(1X)とから主軸と第2副軸との回転数の差を示す第2副軸周期信号を生成し、第1副軸周期信号と第2副軸周期信号とから主軸の回転数を求める主軸回転数検出手段と、
から構成される多回転角度検出装置である。
【0010】
また本発明は、第1及び第2副軸に加えて、第3副軸を備え、主軸ギヤと第3副軸の歯数差は1であり、さらに主軸の1倍角検出値P0(1X)と第3副軸の角度検出器によって検出された第2副軸の1倍角検出値P3(1X)とから主軸と第3副軸との回転数の差を示す第3副軸周期信号を生成し、主軸回転数検出手段は、第1副軸周期信号、第2副軸周期信号、及び、第3副軸周期信号から主軸の回転数を求めることを特徴とする多回転角度検出装置である。
【0011】
さらに、本発明は、 回転駆動源の回転を伝達する主軸に取り付けられた主軸ギヤ、主軸ギヤと歯車結合する第1副軸ギヤ及び第2副軸ギヤ、及び、第1及び第2副軸ギヤの回転をそれぞれ伝達する第1及び第2副軸から構成され
主軸の回転角度を検出する主軸の角度検出器、及び、第1及び第2副軸の回転角度を検出する第1及び第2副軸の角度検出器からなる一組の角度検出器であって、主軸の角度検出器は、主軸1回転当たりN周期のN倍角検出値P0(NX)を出力し、第1及び第2副軸の角度検出器は、副軸1回転当たり1周期の1倍角検出値P1(1X),P2(1X)をそれぞれ出力する、一組の角度検出器を備え、
第1副軸ギヤの歯数は、主軸ギヤと歯数差2またはそれを越える整数aの歯数差を有し、かつ歯数差aと主軸に設けられた角度検出器の軸倍角Nの積に対して整数倍であり、また主軸ギヤと第2副軸ギヤの歯数差は、1である関係を有するギヤ機構であって、
主軸、第1副軸、及び、第2副軸の回転角度検出値から主軸の多回転アブソリュート回転角を求める多回転角度検出装置において、
主軸の回転角度である、主軸1回転当たりN周期のN倍角検出値P0(NX)を検出し、かつ第1及び第2副軸の回転角度である、副軸1回転当たり1周期の1倍角検出値P1(1X),P2(1X)をそれぞれ検出する段階と、
主軸の角度検出器によって検出されたN倍角検出値P0(NX)と第1副軸の角度検出器によって検出された第1副軸の1倍角検出値P1(1X)とから、第1副軸の歯数をMとすると、主軸のM/aN回転を1周期とする信号P0((aN/M)×X)を求め、信号P0((aN/M)×X)により、主軸の角度検出器によって検出されたN倍角検出値P0(NX)がN周期の内の何番目の周期の値であるかを特定するための判別値を得ることにより、主軸の1回転内の回転角度を求める段階と、
判別値とN倍角検出値P0(NX)とから主軸1回転当たり1周期の主軸の1倍角検出値P0(1X)を合成し、また主軸の1倍角検出値P0(1X)と第1副軸の1倍角検出値P1(1X)とから主軸と第1副軸との回転数の差を示す第1副軸周期信号を生成し、さらに主軸の1倍角検出値P0(1X)と第2副軸の角度検出器によって検出された第2副軸の1倍角検出値P2(1X)とから主軸と第2副軸との回転数の差を示す第2副軸周期信号を生成し、第1副軸周期信号と第2副軸周期信号とから主軸の回転数を求める段階と、
から構成される多回転角度検出方法である。
【0012】
またさらに、本発明は、第1及び第2副軸に加えて、さらに第3副軸を備え、主軸ギヤと第3副軸の歯数差は1であり、主軸の1倍角検出値P0(1X)と第3副軸の角度検出器によって検出された第2副軸の1倍角検出値P3(1X)とから主軸と第3副軸との回転数の差を示す第3副軸周期信号を生成し、主軸の回転数を求める段階は、第1副軸周期信号、第2副軸周期信号、及び、第3副軸周期信号から主軸の回転数を求める段階をさらに含むことを特徴とする多回転角度検出方法である。
【発明の効果】
【0013】
1回転以内の検出分解能を得るために、主軸には1回転でN周期の検出信号を出力するN倍角検出器を用い、副軸には1倍角検出器を使用して、第1副軸の1倍角検出器には第2副軸以降の副軸と較べて特別に高い精度を要求することなく、さらに同等の精度を有する角度検出器を用いた場合でも、それぞれの角度検出器が有する精度を最大限に活かした多回転検出範囲を得ることができる。また、主軸の検出値に対する領域判別と回転回数を簡単に導出することが可能となる。さらに、主軸に使用するギヤの個数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本願発明の一実施例に係る多回転アブソリュート回転角を検出する回転角検出装置のギヤ機構を示すブロック図である。
【図2】主軸の多回転アブソリュート回転角を算出するための回転角演算部のブロック図を示す。
【図3】本願発明の一実施例に従って、主軸回転数に対する主軸及び各副軸の各角度検出器から出力される信号波形を示す図である。
【図4】本願発明の一実施例に従って、主軸の判別領域を判別するための信号波形を示す。
【図5】本願発明の一実施例に従って、主軸の1回転内の回転角度を求めるための信号波形を示す。
【図6】本願発明の一実施例に従って、主軸回転数に対する各副軸の回転角度検出器から出力される周期信号の波形を示す。
【図7】本願発明の一実施例に従って、主軸回転数と各副軸の相対回転数との関係を示す表である。
【図8】主軸及び副軸の回転角度から主軸の多回転アブソリュート回転角を求める手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願発明に係る回転角検出装置は、多回転アブソリュート回転角の検出分解能を向上させると共に、多回転検出範囲を広くすることを目的とする。以下の実施例では、特定の歯数を具備するギヤで構成された回転角検出装置に基づいて説明するが、本願発明の趣旨に従って、それらの数値は変更することが可能である。
【0016】
図1は、本願発明の一実施例に係る多回転アブソリュート回転角を検出する回転角検出装置のギヤ機構1を示すブロック図である。図1において、モータ10の回転軸に結合された主軸10aは、歯数Rが28である主軸ギヤ10bに結合され、その主軸10aには、主軸10aの1回転内の回転角度θを検出するための角度検出器であるレゾルバRS0が取り付けられる。例えば、レゾルバRS0は、0から360度の回転角度に対応する角度検出信号を出力する。レゾルバRS0は、主軸10aが1回転する毎にN周期の信号を出力するN倍角(NX)の角度検出器であるが、本実施例では4倍角の角度検出器を用いる。またレゾルバ以外の角度検出器を用いてもよい。なお、以下の記述において、回転角度という場合は、1回転内の角度(0から360度)を意味し、多回転の角度を意味する場合は、多回転角という。
【0017】
主軸ギヤ10bは、第1〜第3副軸ギヤ11b,12b,13bと歯車結合され、各副軸ギヤの回転は、第1〜第3副軸11a,12a,13aにそれぞれ伝達される。第1〜第3副軸ギヤ11b,12b,13bの歯数M,Q,Sは、それぞれ32,27,29である。第1〜第3副軸11a,12a,13aの回転角度θ〜θは、第1〜第3副軸11a,12a,13aに取り付けられたレゾルバRS1〜RS3によって検出される。レゾルバRS1〜RS3は、レゾルバRS0と同様に、0から360度の回転角度に対応する角度検出(値)信号を出力する。レゾルバRS1〜RS3は、それぞれの副軸が1回転する毎に1周期の信号を出力する1倍角(1X)の角度検出器であるが、レゾルバ以外の角度検出器を用いてもよい。
【0018】
主軸ギヤ10bの歯数R、及び、第1〜第3副軸ギヤ11b,12b,13bの歯数M,Q,Sは、aが2以上の整数であるとすると、
【数1】

が成立し、第1副軸ギヤの歯数Mは、kが1以上の整数、Nが2以上の整数であるとすると、M=k×a×Nが成立する関係で選択することができ、本実施例では、R=28、Q=27、S=29、a=4、N=4、k=2、M=32が選択される。
【0019】
図1に示される回転角検出装置1において、主軸ギヤ10b及び第1副軸ギヤ11bの歯数R,Mがそれぞれ28,32であるので、主軸10aが8回転すると第1副軸ギヤ11bは7回転し、主軸ギヤ10bと第1副軸ギヤ11bのギヤ位置の関係は元に戻る。すなわち、主軸ギヤ10bと第1副軸ギヤ11bの間では、主軸8回転の周期で相互のギヤ位置は元の位置に達する。また、第2副軸ギヤ12bの歯数Qが27であるので、主軸10aが27回転する毎に主軸ギヤ10bと第2副軸ギヤ12bのギヤ位置の関係は元の位置に達する。さらに、第3副軸ギヤ13bの歯数Sが29であるので、主軸10aが29回転すると主軸ギヤ10bと第3副軸ギヤ13bのギヤ位置の関係は元の位置に達する。
【0020】
以上のような関係から、主軸10a及び第1副軸11aの回転角度をそれぞれ検出するレゾルバRS0,RS1の検出信号から主軸10aが8回転する毎に1周期の周期信号を計算することができ、またレゾルバRS0の検出信号と第2副軸12aの回転角度を検出するレゾルバRS2の検出信号とから主軸10aが27回転する毎に1周期の周期信号を計算することができ、さらにレゾルバRS0の検出信号と第3副軸12aの回転角度を検出するレゾルバRS3の検出信号とから主軸10aが29回転する毎に1周期の周期信号を計算することができる。最終的に、これら3つの周期信号の値から主軸10aの多回転アブソリュート回転角が求められる。この多回転アブソリュート回転角を求めることのできる回転角の範囲は、これら3つの周期の最小公倍数である6264(8×27×29)回転であり、その結果主軸10aが6264する範囲に亘る、主軸10aの多回転アブソリュート回転角を求めることができる。以下、レゾルバRS0〜RS3の検出信号値から、主軸10aの多回転アブソリュート回転角θcを求める計算方法について、説明する。
【0021】
図2は、主軸10aの多回転アブソリュート回転角θcを算出するための回転角演算部20のブロック図を示す。主軸10a、及び第1〜第3副軸11a,12a,13aの回転角度は、レゾルバRS0〜RS3によってそれぞれ検出され、90°位相のずれた2つの正弦波状の検出電圧(sin成分,cosin成分)が信号線21a,21b,21c,21dを経由してAD変換器23にそれぞれ送られる。2つの検出電圧は、AD変換器23でアナログ値から、例えば12ビットのデジタル値へ変換され、それぞれRD変換演算回路24へ送られる。RD変換演算回路24は、受信した2つのデジタル値(sin成分,cosin成分)から角度検出値P0(4X),P1(1X),P2(1X),P3(1X)がそれぞれ計算される。なお、検出値の記号に付された(4X)及び(1X)は、4倍角及び1倍角の角度検出器から出力された信号の値であることをそれぞれ示す。また、レゾルバRS0〜RS3の検出電圧は、レゾルバRS0〜RS3自体のばらつきや、磁気・回路・機械精度などの様々な要因で誤差を含むため、検出電圧をそのまま角度に変換するのではなく、電圧信号のオフセット補正、振幅補正を施し、実際の回転角に対する誤差補正や、各回転軸の検出値に関連する補正など様々な精度補正が施される。
【0022】
上述のような処理が施された検出値P0(4X),P1(1X),P2(1X),P3(1X)は、多回転演算回路25に送られる。図3に、上述のようにして求められた検出値P0(4X),P1(1X),P2(1X),P3(1X)の主軸10aの回転数に対する変化を示す。図3の横軸は、主軸10aの回転数を、また縦軸は、各検出値で検出された値に対応する各軸の電気角を示し、理解を容易にするために図3の縦軸は、0°から360°の度数法で表すが、0から1の値で表してもよい。図3(a)に示される検出値P0(4X)は、角度検出器RS0が4倍角の角度検出器であるので、主軸10aが1回転する毎に4周期の検出値が出力される。また、図3(b)〜(d)は、主軸ギヤの歯数と副軸ギヤの歯数で定まる変速比に従って変速された副軸の回転角度の変化をそれぞれ示す。なお、検出値P0(4X)が、主軸10aの回転に対して正方向に単調増加する波形で示されているが、検出値P1(1X),P2(1X),P3(1X)が負の方向に単調減少するは、第1〜第3副軸11a,12a,13aの回転方向が主軸10aに対して逆であることを示す。
【0023】
図2の多回転演算部25は、図3に示される検出値P0(4X),P1(1X),P2(1X),P3(1X)を受け取ると、以下説明する演算を実行して、それらの検出値から最終的に主軸10aの多回転アブソリュート回転角θを算出する。まず、角度検出器RS0がN倍角の出力を生成するので、主軸の検出値P0(NX)は、主軸10aの多回転角θをN倍した角度を1回転当たりの基本単位量uで除した剰余であるから、次式(1)として表すことができる。
【数2】

なお、以下の計算式では、mod(x,a)はxをaで割ったときの剰余を求める剰余演算を表し、数値Nは角度検出器RS0の倍角数(本実施例では4)を表し、uは回転軸1回転当たりの基本単位量(本実施例では360°)を表す。
【0024】
次に、第1〜第3副軸11a,12a,13aは、それぞれ主軸ギヤ10bと歯車結合しているから、第1〜第3副軸11a,12a,13aの多回転角θ,θ,θは、次式(2)〜(4)で表される。なお、各式の先頭に付されたマイナス記号は、各副軸が主軸に対して反対方向の回転であることを示す。
【数3】

【数4】

【数5】

【0025】
第1〜第3副軸11a,12a,13aの多回転角θ,θ,θが式(2)〜(4)のように表されるので、1倍角の角度検出器によって検出される第1〜第3副軸の回転角度の検出値P1(1X),P2(1X),P3(1X)は、各副軸の多回転角を基本単位量uで除した剰余であるから、次式(5)〜(7)で表される。
【数6】

【数7】

【数8】

なお、上述のとおり、本実施例における、第1〜第3副軸11a,12a,13aの歯数は、それぞれM=32,Q=27,S=29である。
【0026】
主軸に取り付けられた角度検出器RS0は、主軸1回転毎にN周期の信号を出力するN倍角の角度検出器であるので、この角度検出器から出力される検出値は、図3(a)の4倍角の波形が示すように、角度検出器の出力値は、主軸の回転角度を一意的に示す値ではない。したがって、N倍角の角度検出器では、主軸の回転角度を決定するために、出力された検出値が主軸におけるどの判別領域の値であるか、換言すれば何番目ののこぎり波に属する検出値であるかを判別する必要がある。
【0027】
主軸と第1副軸の回転量の差を利用して以下のように判別値を生成する。主軸の検出値はN倍角であり、第1副軸の検出値は1倍角であるため、そのままでは回転量の差の検出値を計算できない、そこで、まず次式(8)に示すように、第1副軸検出値P1(1X)をN倍した結果を基本単位量uで除した剰余を求めることにより、1倍角の角度検出器の検出値からN倍角の検出値P1(NX)を生成する。
【数9】

第1副軸の4倍角の検出値P1(4X)は、主軸の回転数に対して図4(b)に示す波形となる。なお、図4(a)は、主軸11aの4倍角の検出値P0(4X)を示す。
【0028】
次に主軸と第1副軸の検出値の差を求める。本実施例では主軸の回転を正とした時の副軸の回転を負として扱っているので加算することにより差を求める。
剰余計算において、mod(a,c)+mod(b,c)=mod(a+b,c)が成立するから、第1副軸のN倍角の検出値P1(NX)が求められると、その検出値に主軸検出値P0(NX)を加えると、次式(9)に示されるように、M/aN回転の周期信号が得られる。よって主軸と第1副軸N倍角の加算結果から、主軸がM/aN回転する毎に1周期の周期信号P0((aN/M)×X) が得られる。
【数10】

なお、式(9)の周期信号の波形を図4(c)に示す。本実施例で選択された数値a=4,N=4,M=32,u=360を代入すると、2(=M/aN)回転周期の信号となる。
【0029】
図4(c)に示される周期信号は、主軸が2回転する毎に単調増加するのこぎり波状の波形を有する。また、図4(a)に示される主軸11aの検出値P0(4X)の信号波形ものこぎり波状の波形を有するが、図4(c)の周期信号の1周期内に8周期ののこぎり波が繰り返される。したがって、式(9)によって計算された値は、主軸の角度検出器RS0によって検出された角度検出値P0(4X)が主軸回転内における4つのこぎり波のどの位置ののこぎり波の値であるかを判別するための判別値として用いることができる。一般的には、図4(c)の周期信号の1周期内に、主軸の角度検出値P0(NX)ののこぎり波がM/a周期繰り返され、図4(c)の周期信号の値をM/a個の領域に分けることにより、角度検出値P0(NX)が主軸1回転内のどの判別領域に位置しているかを判別することができる。
【0030】
さらに、以下述べるように、図4(a)及び図4(c)の周期信号から階段状波形の信号を生成し、その階段状波形に基づいて検出値P0(NX)の領域判別を行うこともできる。すなわち、次式(10)に示す計算を行うことにより、図4(c)に示す周期信号から図5(a)に示す階段状波形Rを生成することができる。
【数11】

式(10)に本実施例で選択された数値a=4,N=4,M=32,u=360を代入すると、式(10)は、図5(a)に示されるように、((M/a)−1)段(本実施例では7段)の階段を有する階段状波形R(0−7)を示す。
【0031】
さらに、式(10)で求められた階段状波形RをNで割った剰余を求める次式(11)の処理を実行することにより、(N−1)段の階段状波形R’を生成することができる。
【数12】

式(11)にN=4を代入すると、式(11)は、図5(b)に示されるように3段(N−1段)の階段を有する階段状波形R(0−3)’を示す。このように、主軸1回転の周期に対応する階段状波形が生成されたことにより、主軸の4倍角検出器RS0から得られる検出信号の領域判別値とすることができる。
【0032】
次に、主軸に対する各副軸の周期信号の生成について説明する。この周期信号は、主軸と副軸との間の回転角度の差を表す信号である。換言すれば、主軸ギヤと副軸ギヤは、周期信号の1周期毎に、同じ位置で噛み合わされる。図6は、ある時点での主軸と副軸のギヤ位置を初期位置とし(主軸回転数が0と表記された位置)、主軸が回転するにつれて主軸のギヤ位置に対して副軸のギヤ位置が何度ずれるかを示した図である。図6(a)は、主軸のギヤ位置に対する第1副軸のギヤ位置のずれ角度の変化を表す第1副軸の周期信号を、図6(b)は、主軸のギヤ位置に対する第2副軸のギヤ位置のずれ角度の変化を表す第2副軸の周期信号を、そして図6(c)は、主軸のギヤ位置に対する第3副軸のギヤ位置のずれ角度の変化を表す第3副軸の周期信号を示す。図6において、周期信号の値が全て0である組み合わせの初期位置から主軸が回転し、再び初期位置に戻るまでの間において、周期信号の値の組み合わせは全て異なる。つまり、ある周期信号の値の組み合わせは、初期位置から次の初期位置までの周期の間に唯一存在する。したがって周期信号の値の組み合わせを求めれば、初期位置からの主軸の回転数を求めることができる。換言すれば、周期信号の値が0に対応する主軸回転数からの主軸の回転数を、各周期信号の1周期内における各副軸の相対回転数と定義すると(初期位置では、各副軸の相対回転数は、すべて0である)、相対回転数の組み合わせから、初期位置からの主軸の回転数を求めることができる。全ての周期信号が初期位置に復帰するまでの周期は、各周期信号の周期の最小公倍数で求められる。本実施例では、第1〜第3副軸の周期は、それぞれ8,27,29であるので、それらの最小公倍数は、6264(=8×27×29)となる。したがって、各副軸の周期信号から各副軸の相対回転数を求めることにより、以下説明するように、主軸の多回転アブソリュート回転角(本実施例では、6264回転までの回転角)を求めることができる。
【0033】
まず、周期信号を得るためには、同じ倍角の角度検出器から出力される検出値を用いる必要がある。本実施例では、各副軸の角度検出器は1倍角であるので、主軸の角度検出器から得られる検出値を1倍角の検出値に変換する必要がある。そこで、N倍角の主軸の検出値P0(NX)と上式(11)を用いて、次式(12)により1倍角の主軸検出値P0(1X)を合成する。
【数13】

式(12)により合成された主軸の1倍角検出値P0(1X)は、本実施例で選択された数値a=4,N=4,M=32,u=360を代入すると、図5(c)に示されるように、主軸が1回転する毎に1周期の単調に増加するのこぎり波の波形となる。
【0034】
主軸の1倍角検出値P0(1X)が合成されると、次式(13)に示されるように主軸の1倍角検出値P0(1X)と第1副軸の検出値P1(1X)を足すことにより、主軸がM/a回転する毎に1周期の第1副軸の周期信号が得られる。
【数14】

なお、剰余計算において、mod(a,c)+mod(b,c)=mod(a+b,c)が成立する。ここで、式(13)に本実施例における数値a=4,M=32,u=360を代入すると、図6(a)に示されるように、主軸が8回転する毎に1周期の周期信号が得られる。
【0035】
また、主軸の1倍角検出値P0(1X)に第2副軸の検出値P2(1X)を加えると、次式(14)に示されるように、主軸がQ回転する毎に1周期の第2副軸の周期信号が得られ、実施例では、図6(b)に示されるように、第2副軸の周期信号は、主軸が27回転する毎に1周期の周期信号が得られる。さらに、主軸の1倍角検出値P0(1X)に第3副軸の検出値P3(1X)を加えると、次式(15)に示されるように主軸がS回転する毎に1周期の第3副軸の周期信号が得られ、実施例では、図6(c)に示されるように、第3副軸の周期信号は、主軸が29回転する毎に1周期の周期信号が得られる。
【数15】

【数16】

【0036】
各副軸の周期信号が求められると、次に、各副軸ギヤの相対回転数を計算する。相対回転数は、各副軸の周期信号の周期は既知であるので、基本単位量uに対する周期信号の値の比に各周期を乗ずることにより求められる。次式(16),(17),(18)は、第1〜第3副軸ギヤに対する相対回転数m1〜m3を計算する式を示す。
【数17】

【数18】

【数19】

【0037】
主軸の多回転回転数nと各副軸の相対回転数m1〜m3の関係を予め計算し、図7に示されるように参照表として記憶装置(例えば、ROM等)に記憶させておけば、その参照表を検索することにより相対回転数の組み合わせに一致する主軸の多回転回転数を求めることができる。例えば、第1〜第3副軸ギヤの相対回転数が4,18,22であれば、図7の参照表から、主軸の回転数は、6228となる。また、別の実施例として、副軸が2つの場合でも、主軸の多回転回転数を求めることができ(本実施例と同じギヤ数であれば、216回転まで検出することができる)、例えば、第1及び第2副軸の相対回転数が5,24であれば、図7の参照表から、主軸の回転数は、213となる。
【0038】
主軸の多回転アブソリュート回転角は、主軸の多回転回転数と主軸の1回転内の回転角度を合算することにより求められる。主軸の1回転内の回転角度は、主軸の4倍角検出器RS0からの出力信号P0(4X)を領域判別して求めることができる。また、図5(c)に示される1倍角に合成された主軸検出値P0(1X)から求めてもよい。
【0039】
次に、図8に示されるフローチャート80を参照して、主軸及び副軸の回転角度から主軸の多回転アブソリュート回転角を求める手順について説明する。まず、ステップ81において、図1に示される主軸10aに取り付けられた角度検出器RS0は、4倍角の検出値P0(4X)を、また第1〜第3副軸11a,12a,13aに取り付けられた角度検出器RS1〜RS3は、1倍角の検出値P1(1X)〜P3(1X)をそれぞれ検出する。これらの検出値は、主軸の回転数に対して図3に示される波形を示す。
【0040】
主軸及び副軸の検出値が検出されると、ステップ82に進み、主軸の検出値P0(4X)が主軸1回転内のどの判別領域に属する値であるかを判別するために、式(8)に従って、第1副軸の1倍角の検出値P1(1X)から4倍角の検出値P1(4X)に変換される。次に、ステップ83において、この4倍角の検出値P1(4X)に主軸の4倍角の検出値P0(4X)を加え、判別領域を判別するための判別値が生成される。この判別値は、主軸の回転数に対して図4(c)に示される判別波形を示す。従って、主軸の角度検出器RS0によって検出された検出値は、この判別値から、図4(a)に示すのこぎり波の内の何番目ののこぎり波に属する値であるかが判別される。この判別によって、検出値から主軸の回転角度が導出される。以上の判別は、判別値によって検出値が属する判別領域を特定するが、以下説明するように、この判別値をさらに処理し、1倍角の主軸検出値を合成して、主軸の回転角度を求めることができる。
【0041】
ステップ84において、ステップ83で求められた判別値を式(10)に示す処理を行うことにより、図5(a)に示す階段状の波形値を生成する。さらに、この階段状の波形値を式(11)に代入し、図5(b)に示す主軸1回転1周期の階段状波形値を生成する。ステップ85に進んで、この階段状波形値を式(12)に代入し、1倍角の主軸検出値を合成する。この1倍角の主軸検出値は、図5(c)に示されるように、主軸の回転角度を示す。
【0042】
図5(c)に示す1倍角の主軸検出値が得られると、ステップ86で、式(13)〜(15)に従って、第1〜第3副軸の周期信号値が生成される。主軸回転数に対するこれらの周知信号値は、図6(a)〜(c)に示されるとおりである。第1〜第3副軸の周期信号値が生成されると、ステップ87において、第1〜第3副軸の主軸に対する相対回転数が式(16)〜(18)によって求められる。図7に示される参照表から第1〜第3副軸の相対回転数m1〜m3に一致する組み合わせが検索され、一致した組み合わせに対する主軸回転数nが出力される。主軸回転数nが求められると、ステップ88に進み、主軸回転数nに主軸回転角度を加えることにより、最終的に多回転アブソリュート回転角が得られる。
【0043】
最後に、本発明に用いられる歯車機構において、上述した領域判別を正しく実行するために、第1副軸の角度検出器に対して要求される精度について検討する。まず、主軸及び第1副軸検出値の1回転当たりの誤差の絶対値をそれぞれe,eと仮定する。主軸に1倍角の角度検出器を用い、主軸と第1副軸との間でM回転周期の判別を行う場合、一般的には、e+eは、次式を満たす必要がある。
【数20】

ここで、e≒0であるとすると、第1副軸の角度検出器に要求される誤差は、次式(19)に収まる必要がある。
【数21】

となる。
【0044】
次に、本発明のように、主軸にN倍角検出器を用いた場合、第1副軸検出値をN倍しているので、
【数22】

を満たす必要がある。
ここで、e≒0であるとすると、
【数23】

が成立し、a=Nとする場合、
【数24】

となる。結局、式(20)は式(19)と同じであるので、本発明の第1副軸の角度検出器に要求される精度は、主軸に取り付けられた1倍角の角度検出器と同じ精度でよいことになる。
【0045】
これに対して、特許文献1に開示された歯車構成の下で、主軸にN倍角の角度検出器を用い、同文献で示された処理を行う場合に、第1の従動歯車に要求される精度は、次式を満たす必要がある。
【数25】

ここで、e≒0であるとすると、
【数26】

となり、1倍角の角度検出器を使った場合のN倍の精度が必要になることが分かる。
【符号の説明】
【0046】
1 ギヤ機構
10 モータ
11a,12a,13a 第1〜第3副軸
11b,12b,13b 第1〜第3副軸ギヤ
20 回転角演算部
21a,21b,21c,21d 信号線
23 AD変換器
24 RD変換演算回路
25 多回転演算回路
RS0〜RS3 レゾルバ
θ 主軸の回転角度
θ〜θ 第1〜第3副軸の回転角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸に取り付けられた主軸ギヤ、前記主軸ギヤと歯車結合する第1副軸ギヤ及び第2副軸ギヤ、及び、前記第1及び第2副軸ギヤの回転をそれぞれ伝達する第1及び第2副軸から構成され、
前記主軸の回転角度を検出する主軸の角度検出器、及び、前記第1及び第2副軸の回転角度を検出する第1及び第2副軸の角度検出器からなる一組の角度検出器であって、前記主軸の角度検出器は、主軸1回転当たりN周期のN倍角検出値P0(NX)を出力し、前記第1及び第2副軸の角度検出器は、副軸1回転当たり1周期の1倍角検出値P1(1X),P2(1X)をそれぞれ出力する、一組の角度検出器を備え、
前記第1副軸ギヤの歯数は、前記主軸ギヤと歯数差2又はそれを越える整数aの歯数差を有し、かつ歯数差aと前記主軸に設けられた角度検出器の軸倍角Nの積に対して整数倍であり、また前記主軸ギヤと前記第2副軸ギヤとの歯数差は、1である関係を有するギヤ機構であって、
前記主軸、前記第1副軸、及び、前記第2副軸の回転角度検出値から主軸の多回転アブソリュート回転角を求める多回転角度検出装置において、
前記主軸の角度検出器によって検出された前記N倍角検出値P0(NX)と前記第1副軸の角度検出器によって検出された前記第1副軸の1倍角検出値P1(1X)とから、前記第1副軸の歯数をMとすると、主軸のM/aN回転を1周期とする信号P0((aN/M)×X)を求め、前記信号P0((aN/M)×X)により、前記主軸の角度検出器によって検出されたN倍角検出値P0(NX)が前記N周期の内の何番目の周期の値であるかを示す判別値を得て、前記判別値と前記N倍角検出値P0(NX)とから主軸1回転当たり1周期の主軸の1倍角検出値P0(1X)を合成する主軸回転角検出手段と、
前記主軸の1倍角検出値P0(1X)と前記第1副軸の1倍角検出値P1(1X)とから前記主軸と前記第1副軸との回転数の差を示す第1副軸周期信号を生成し、さらに前記主軸の1倍角検出値P0(1X)と前記第2副軸の角度検出器によって検出された第2副軸の1倍角検出値P2(1X)とから前記主軸と前記第2副軸との回転数の差を示す第2副軸周期信号を生成し、前記第1副軸周期信号と前記第2副軸周期信号とから主軸の回転数を求める主軸回転数検出手段と、
から構成されることを特徴とする多回転角度検出装置。
【請求項2】
前記ギヤ機構は、前記主軸ギヤと歯車結合する第3副軸ギヤ、及び、前記第3副軸ギヤの回転を伝達する第3副軸をさらに具備し、
前記角度検出器は、前記第3副軸1回転当たり1周期の前記第3副軸の1倍角検出値P3(1X)を出力し、
主軸回転数検出手段は、前記主軸の1倍角検出値P0(1X)と前記第3副軸の1倍角検出値P3(1X)とから前記主軸と前記第3副軸との回転数の差を示す第3副軸の周期信号をさらに生成し、前記第1副軸の周期信号、前記第2副軸の周期信号、及び、前記第3副軸の周期信号から主軸の回転数を求める、
ことを特徴とする請求項1記載の多回転角度検出装置。
【請求項3】
前記第1及び第2副軸に加えて、さらに第3副軸を備え、前記主軸ギヤと前記第3副軸の歯数差は1であり、前記主軸の1倍角検出値P0(1X)と前記第3副軸の角度検出器によって検出された第2副軸の1倍角検出値P3(1X)とから前記主軸と前記第3副軸との回転数の差を示す第3副軸周期信号を生成し、前記主軸回転数検出手段は、前記第1副軸周期信号、前記第2副軸周期信号、及び、前記第3副軸周期信号から主軸の回転数を求めることを特徴とする請求項1記載の多回転角度検出装置。
【請求項4】
第3副軸ギヤの歯数をSとすると、第2副軸ギヤの歯数がQ=R−1のとき、第3副軸ギヤの歯数はS=R+1であり、第2副軸ギヤの歯数がQ=R+1のとき、第3副軸ギヤの歯数はS=R−1である、
ことを特徴とする請求項2記載の多回転角度検出装置。
【請求項5】
前記判別値P0((aN/M)×X)は、前記第1副軸の角度検出器によって検出された前記第1副軸の1倍角検出値P1(1X)をN倍した値を1周期当たりの基本単位量uで割った剰余である第1副軸のN倍角検出値P1(NX)を算出し、前記主軸のN倍角検出値P0(NX)及び前記第1副軸のN倍角検出値P1(NX)の和又は差を基本単位量uで割った剰余であることを特徴とする請求項1記載の多回転角度検出装置。
【請求項6】
回転駆動源の回転を伝達する主軸に取り付けられた主軸ギヤ、前記主軸ギヤと歯車結合する第1副軸ギヤ及び第2副軸ギヤ、及び、前記第1及び第2副軸ギヤの回転をそれぞれ伝達する第1及び第2副軸から構成され
前記主軸の回転角度を検出する主軸の角度検出器、及び、前記第1及び第2副軸の回転角度を検出する第1及び第2副軸の角度検出器からなる一組の角度検出器であって、前記主軸の角度検出器は、主軸1回転当たりN周期のN倍角検出値P0(NX)を出力し、前記第1及び第2副軸の角度検出器は、副軸1回転当たり1周期の1倍角検出値P1(1X),P2(1X)をそれぞれ出力する、一組の角度検出器を備え、
前記第1副軸ギヤの歯数は、前記主軸ギヤと歯数差2またはそれを越える整数aの歯数差を有し、かつ歯数差aと前記主軸に設けられた角度検出器の軸倍角Nの積に対して整数倍であり、また前記主軸ギヤと前記第2副軸ギヤの歯数差は、1である関係を有するギヤ機構であって、
前記主軸、前記第1副軸、及び、前記第2副軸の回転角度検出値から主軸の多回転アブソリュート回転角を求める多回転角度検出装置において、
前記主軸の回転角度である、主軸1回転当たりN周期のN倍角検出値P0(NX)を検出し、かつ第1及び第2副軸の回転角度である、副軸1回転当たり1周期の1倍角検出値P1(1X),P2(1X)をそれぞれ検出する段階と、
前記主軸の角度検出器によって検出されたN倍角検出値P0(NX)と前記第1副軸の角度検出器によって検出された第1副軸の1倍角検出値P1(1X)とから、前記第1副軸の歯数をMとすると、主軸のM/aN回転を1周期とする信号P0((aN/M)×X)を求め、前記信号P0((aN/M)×X)により、前記主軸の角度検出器によって検出されたN倍角検出値P0(NX)が前記N周期の内の何番目の周期の値であるかを特定するための判別値を得ることにより、主軸の1回転内の回転角度を求める段階と、
前記判別値とN倍角検出値P0(NX)とから主軸1回転当たり1周期の主軸の1倍角検出値P0(1X)を合成し、また主軸の1倍角検出値P0(1X)と第1副軸の1倍角検出値P1(1X)とから主軸と第1副軸との回転数の差を示す第1副軸周期信号を生成し、さらに主軸の1倍角検出値P0(1X)と前記第2副軸の角度検出器によって検出された第2副軸の1倍角検出値P2(1X)とから前記主軸と前記第2副軸との回転数の差を示す第2副軸周期信号を生成し、前記第1副軸周期信号と前記第2副軸周期信号とから主軸の回転数を求める段階と、
から構成されることを特徴とする多回転角度検出方法。
【請求項7】
前記ギヤ機構は、前記主軸ギヤと歯車結合する第3副軸ギヤ、及び、前記第3副軸ギヤの回転を伝達する第3副軸をさらに具備し、
前記角度検出器は、前記第3副軸1回転当たり1周期の前記第3副軸の1倍角検出値P3(1X)を出力し、
主軸回転数検出手段は、前記主軸の1倍角検出値P0(1X)と前記第3副軸の1倍角検出値P3(1X)とから前記主軸と前記第3副軸との回転数の差を示す第3副軸の周期信号をさらに生成し、前記第1副軸の周期信号、前記第2副軸の周期信号、及び、前記第3副軸の周期信号から主軸の回転数を求める、
ことを特徴とする請求項6記載の多回転角度検出方法。
【請求項8】
前記第1及び第2副軸に加えて、さらに第3副軸を備え、前記主軸ギヤと前記第3副軸の歯数差は1であり、前記主軸の1倍角検出値P0(1X)と前記第3副軸の角度検出器によって検出された第2副軸の1倍角検出値P3(1X)とから前記主軸と前記第3副軸との回転数の差を示す第3副軸周期信号を生成し、前記主軸の回転数を求める段階は、前記第1副軸周期信号、前記第2副軸周期信号、及び、前記第3副軸周期信号から主軸の回転数を求める段階をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の多回転角度検出装置。
ことを特徴とする請求項6記載の多回転角度検出方法。
【請求項9】
前記第3副軸ギヤの歯数をSとすると、前記第2副軸ギヤの歯数がQ=R−1のとき、前記第3副軸ギヤの歯数はS=R+1であり、前記第2副軸ギヤの歯数がQ=R+1のとき、前記第3副軸ギヤの歯数はS=R−1である、
ことを特徴とする請求項7記載の多回転角度検出方法。
【請求項10】
前記判別値P0((aN/M)×X)は、前記第1副軸の角度検出器によって検出された前記第1副軸の1倍角検出値P1(1X)をN倍した値を1周期当たりの基本単位量uで割った剰余である第1副軸のN倍角検出値P1(NX)を算出し、前記主軸のN倍角検出値P0(NX)及び前記第1副軸のN倍角検出値P1(NX)の和又は差を基本単位量uで割った剰余であることを特徴とする請求項6記載の多回転角度検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−104778(P2013−104778A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248663(P2011−248663)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000103792)オリエンタルモーター株式会社 (150)
【Fターム(参考)】