説明

多孔性フィルム

本発明は、多孔性または通気性フィルム組成物、ならびに、そのような組成物の製造方法に関する。前記多孔性または通気性フィルム類は、好適にはポリオレフィンを含む。前記フィルム類は、セメント包装用袋を含む、数多くの用途で有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔性または通気性フィルム、ならびに、そのようなフィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントのような製品の侵透に対して耐性が必要な用途では、多くの場合にフィルム類を用いることが望ましい。そのような用途としては、例えば、セメントおよび骨材のような乾燥充填物(dry filled material)類が上げられる。そのような用途においては、多くの場合、フィルム類が水蒸気透過性であることが望ましい。液体不透過性でありなおかつ水蒸気透過性であるフィルム類は、通気性フィルム類(breathable films)と呼ばれる。
【0003】
通気性フィルム類は一般的に、それから製造されるフィルムが水蒸気透過性となるようポリマーを改質することによって、製造される。この改質は、ポリマーと、十分な量の炭酸カルシウムのような高密度無機フィラーとを混合することによって行われる。次にポリマーとフィラーの混合物を押出してフィルムを形成する。このフィルムを加熱および延伸して、通気性フィルムを形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
望ましくないことに、このようなフィラー類を用いて通気性フィルム類を製造する場合には、押出中にダイへのビルドアップ(buildup)が生じる。ダイビルドアップは処理を遅くし、その一部は、炭酸カルシウムフィラーの表面を被覆するステアリン酸に起因する。ダイビルドアップを低減するために、製造者の一部は、フィラーに付随するステアリン酸の削減を追求してきた。望ましくないことに、これは多くの場合に加工性の低いフィルムを生じせしめ、製造者は通常、ステアリン酸カルシウムを追加せざるを得ず、処理の時間と費用が増加する。
【0005】
さらに、公知技術中の通気性フィルム類は、前記高密度無機フィラーの添加に伴う配合の費用と、凝集したフィラーの周りでフィルムに孔が生じる場合に増大する廃棄率のため高価であり、多くの場合に、この通気性フィルムの機械的な完全性は、一部の用途向けには不十分である。
【0006】
フィルム類の通気性を制御する他の試みとしては、米国特許第4,743,123号(Legters et al.)、第4,310,118号(Kisida et al.)、第4,672,684号(Barnes et al.)、および、第4,834,554号(Stetler, Jr. et al.)に記載のものが挙げられる。
【0007】
高密度フィラーを必要とせず、高価でなく、および、機械的完全性が良好な新規通気性フィルムを発見することが望ましい。ダイビルドアップが低減した、そのようなフィルム類を製造するプロセスを発見することは、さらに望ましい。好都合にも、高密度フィラーを必要とせず、高価でなく、および、機械的な完全性が良好な新規な通気性フィルムが発見された。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様においては、熱可塑性の袋が見出され、前記袋は微粉体を内容物とする能力がある。本発明の袋は、粒子径が100マイクロメートル以上、好適には10マイクロメートル以上、より好適には5マイクロメートル以上、さらにより好適には2マイクロメートル以上、および、特に1マイクロメートル以上の粉体を含むことが可能であり、かかる粉体は、2インチ以下、好適には1.5インチ以下、より好適には1インチ以下、さらにより好適には0.5インチ以下、最も好適には500マイクロメートル以下、または、さらに200マイクロメートル以下であることが可能である。最も好適には、粒子径は1マイクロメートルから100マイクロメートルの範囲である。粒子径はどんな形状でもよく、例えば球状であり、または、不揃いな形状でも、不均一でもよい。
【0009】
他の実施態様においては、本発明は最低でも2層のフィルム構造体であり、ここで、各層は他の層と異なる孔径傾斜(hole size gradient)を有し、好ましくは各層は他の層と異なる孔面積傾斜および/または他の層のそれとずれている孔径傾斜を有する。フィルム構造体はまた、ポリオレフィン(例えば、RAFFIAポリプロピレン)から製造された、織(編まれたものを含む)フィルムリボン類を含むフィルム層を最低でも1つ含むことが可能であり、このようなフィルム構造体は、EP0776762、EP1277573、US6,045,923、EP0513121、US5,578,370、EP0337662、EP0503048およびEP0391661に開示されている。
【0010】
熱可塑性ポリマーは、無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンのような官能化ポリマーでもよい。
【0011】
さらに他の実施態様においては、フィルム構造体は、連続気泡または独立気泡のどちらか、または両方の組み合わせの発泡体構造を有し、厚さが1ミルから30ミルの、少なくとも1つの発泡熱可塑性樹脂の層を少なくとも1層含む。ジアゾ化合物のような一般的な発泡剤を用いて、発泡フィルムを一般的なブロウンフィルムラインで製造可能である。
【0012】
フィルム構造体は、少なくとも1つの他の層を(例えば印刷性をもたすために)含むことができる。
【0013】
他の実施態様において本発明は、ポリオレフィン(例えばRAFFIAポリプロピレン)製の織フィルムリボン類を含む少なくとも1つのフィルム層、および、気泡性フィルム構造体を含む少なくとも1つの他のフィルム構造体を含む、フィルム構造体である。共押出フィルム構造体もまた、本発明の範囲内である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
多孔性または通気性フィルムは、熱可塑性ポリマー、好適には少なくとも1つのポリオレフィンを含む。前記フィルムは、好適には透気度(air permeability)が最低でも20m3/時であり、好適にはガーレイ(Gurley)透気度数(「Paper and Board - Determination of Air Permeance (medium range) -Part 5: Gurley Method」と題されたISO試験法5636/5)が35秒未満である。フィルムの穿孔(perforation)密度は、最低でも350,000ミクロン2/インチ2であり、好適には最低でも500,000ミクロン2/インチ2であることが可能である。フィルムの孔の平均数密度は6から50孔/インチ2であり、好適には、個別の平均孔面積は10,000ミクロン2から70,000ミクロン2であることが可能である。
【0015】
一般的には、フィルムの最小孔径は100ミクロンである。本発明はまた、少なくとも1つの熱可塑性樹脂を含むフィルムまたはシート製の粉体または粒状物質の包装袋を含み、ここで、前記フィルムまたはシートの透気度は最低でも20m3/時である。
【0016】
好適には前記熱可塑性樹脂はポリエチレンを含む。さらに好適には、前記ポリエチレンのメルトインデックスは0.2から5グラム/10分であり、密度は0.9から0.97グラム/立方センチメートルであり、そして、分子量分布、Mw/Mnは1.5から5である。前記熱可塑性ポリマーは、好適には、ポリプロピレンのホモポリマー類およびインターポリマー類、ポリエチレンのホモポリマー類およびインターポリマー類、ならびに、それらのブレンドからなる群より選択される。
【0017】
本発明のフィルム類を含む袋の厚みは1ミルから20ミル、好適には1ミルから10ミル、より好適には2ミルから6ミルである。
【0018】
本発明の袋は、一般的には10kgから100kg、好適には25kgから50kgの重量を内容物とする。
【0019】
都合のよいことに、通気性フィルムを製造する新規プロセスもまた見出された。例えば熱可塑性ポリマーから直接フィルムを製造した後に、念入りに上質な穿孔を行うことは、炭酸カルシウムと比較して廃棄率を削減しながら容易に達成可能であることから、このプロセスは有利である。このプロセスは、(a)フィルム製造に適する熱可塑性ポリマーを選択し、(b)ブロウンまたはキャストフィルムを形成し、および、(c)前記フイルムを、前記通気性フィルムを形成するために十分な状態で穿孔することを含む。
【0020】
特に明記しない限り以下の試験方法を用いる。
【0021】
密度はASTM D−792に従って測定する。試料は、測定を行う前に24時間周囲条件でアニーリングする。
【0022】
伸張度(パーセント)はASTM−D882に従って測定する。
【0023】
メルトインデックス(I2)(ポリオレフィン、例えば均一で直鎖状または実質的に直鎖状のエチレンポリマー類または低密度エチレンポリマーの場合に測定する)は、ASTM D−1238、条件190℃/2.16kg(以前は「条件(E)」とよばれていた)に基づき測定する。メルトインデックス(I10)(ポリオレフィン、例えば均一で直鎖状または実質的に直鎖状のエチレンポリマー類または低密度エチレンポリマーの場合に測定する)は、ASTM D−1238、条件190℃/10kgに基づき測定する。
【0024】
メルトフローレート(ポリプロピレンで示されるような)は、ASTM D−1238、条件230℃/2.16kg(以前は「条件(L)」とよばれていた)に従って測定する。
【0025】
分子量の測定は、混合多孔度カラム(Polymer Laboratories103、104、105および106)を3本備えるWaters 150℃高温クロマトグラフィー装置を140℃の装置温度で操作して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて行う。溶媒は1,2,4−トリクロロベンゼンであり、それを用いて試料の0.3重量%溶液を調製して注入する。流速は1.0mL/分であり、1回の注入量は100マイクロリットルである。分子量分布は狭分子量分布ポリスチレン標準(Polymer Laboratories製)を用い、その溶出容積との相関によって推定する。相当するポリエチレンの分子量は、ポリエチレンおよびポリスチレンに妥当するMark−Houwink係数(Williams and Word in Journal of Polymer Science, Polymer Letters, Vol. 6, (621) 1968に記載)を用いて、次の式:
Mホ゜リエチレン=a*(Mホ゜リスチレン)b
から求める。上記式においては、a=0.4316およびb=1.0である。重量平均分子量Mwは、通常の方式で、次の式:Mw=Σwi*Mi(式中、wi及びMiは、GPCカラムから溶出するi番目の画分の、それぞれ重量分率および分子量である)に従って算出する。
【0026】
本明細書で用いる「組成物」の語は、組成物を含む物質の混合物だけではなく、組成物を含む物質の反応または分解によって生じる生成物を含む。「〜から誘導される」の語は、特定の物質から製造または混合されたものを意味するが、必ずしもそれらの物質の単純混合物から構成されるものではない。特定の物質「から誘導される」組成物は、出発物質の単純混合物でもよく、また、当該物質の反応生成物を含んでもよく、または、専らその出発材料の反応または分解生成物から構成されていてもよい。
【0027】
「インターポリマー」の語は、2つ以上のコモノマーのポリマーを意味し、例えばコポリマー、ターポリマーその他である。
【0028】
フィルム組成物中の熱可塑性ポリマーの量は、目的とする特性、例えばフィルム強度特性、他の構成成分、および、用いるポリマーの種類によって異なる。一般的には、フィルム中のポリオレフィンの量は、最低でも総組成物の40重量パーセント、好適には最低でも50重量パーセント、より好適には最低でも50重量パーセントから、最高で100重量パーセントまでである。
【0029】
熱可塑性ポリマーは一般的に、1つ以上のエチレンインターポリマー類を主成分として含む。フィルムはポリプロピレン類のような副成分を含んでもよく、前記ポリプロピレン類としては、ホモポリマー類、ランダムおよびインパクトポリプロピレンコポリマー類が挙げられる。他の副成分としては直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、および、高密度ポリエチレンが挙げられる。
【0030】
熱可塑性ポリマーの主成分として本発明で有用なインターポリマー類としては、直鎖状エチレンポリマー類および実質的に直鎖状のエチレンポリマー類が挙げられる。そのようなポリマー類を用いる場合は、その組成物中の量は目的とする特性、例えば他の成分、および、直鎖状または実質的に長鎖状のポリエチレンの種類によって異なる。
【0031】
本発明で用いることができる直鎖状または実質的に直鎖状のエチレンポリマー類は、密度が最低でも0.87g/cm3、好適には最低でも0.89g/cm3であることによって特徴づけられる。これに応じて密度は一般的には0.97g/cm3より低く、好適には0.94g/cm3より低い。
【0032】
本発明で用いることができる直鎖状または実質的に直鎖状のエチレンポリマー類の他の特徴は、例えば、分子量分布、Mw/Mnが5以下、好適には4以下、および、より好適には1.5から4であることである。
【0033】
本発明で用いることができる直鎖状または実質的に直鎖状のエチレンポリマー類のさらに他の特徴は、ASTM D−1238、条件190℃/2.16kgに基づき測定したメルトインデックス、I2が、0.1から30.0dg/分であることである。本発明で用いることができる直鎖状または実質的に直鎖状のエチレンポリマー類は、エチレンのホモポリマー、または、エチレンと1つ以上のモノマー類とのコポリマーであってもよい。モノマー類または1つ以上のモノマー類とエチレンのコポリマーが好適である。好適なモノマー類としては、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、および、1−オクテンのような、C3〜C8α−オレフィン類が挙げられる。
【0034】
直鎖状エチレンポリマーは、遷移金属触媒、例えばシングルサイト触媒またはチーグラー−ナッタ触媒を用いて製造されるエチレンポリマーであってもよい。「直鎖状ポリマー」の語は、均一直鎖状ポリマー類および不均一直鎖状ポリマー類の両方を含む。「均一」の語は、特定のインターポリマーの内部ではどのコモノマーも不規則に(randomly)分布しており、そして実質的に全てのインターポリマー分子が、当該インターポリマー内部で同一のエチレン/コモノマー比を有することを意味する。しかし、不均一ポリマー類とは異なり、均一ポリマーは、溶融ピークが115℃より高い場合(密度が0.940g/cm3より大きいポリマーの場合のような)に、そのポリマーはより低温の明確な溶融ピークをさらに有さない。
【0035】
さらに、均一で直鎖状または実質的に直鎖状のエチレンポリマー類は、測定可能な高密度フラクション(すなわち、本明細書に全体が組み込まれ本明細書の一部となる米国特許第5,089,321号に記載のような昇温溶出分別によって測定される本質的に直鎖状またはホモポリマーフラクション)を欠き、例えば、これらは分枝度が2メチル/1000炭素以下であるポリマーフラクションを全く含まない。
【0036】
均一で直鎖状または実質的に直鎖状のエチレンポリマー類は、分子量分布(Mw/Mn)が狭いことで特徴づけられる。直鎖状または実質的に直鎖状のエチレンポリマー類は、分子量分布、Mw/Mnが例えば5以下、好適には4以下、および、より好適には1.5から4である。
【0037】
均一で直鎖状または実質的に直鎖状のエチレンポリマー類のコモノマー分枝の分布は、そのSCBDI(短鎖分枝分布指数)またはCDBI(組成分布指数)によって特徴づけられ、コモノマー含有量が総モルコモノマー含有量の中央値の50パーセント以内であるポリマー分子の重量パーセントとして規定される。CDBIは、例えばWild et al, Journal of Polymer Science, Poly. Phys. Ed., Vol. 20, p. 441 (1982)、または、米国特許第4,798,081号および第5,008,204号に記載のような昇温溶出分別(本明細書では「TREF」と略称する)のような、公知の技術で得られるデータから容易に算出される。本発明の組成物に有用な実質的に直鎖状のポリマー類のSCDBIまたはCDBIは、好適には50パーセントより大きく、特に70パーセントより大きく、より好適には90パーセントより大きい。
【0038】
均一直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマー類は、均一短鎖分枝分布を提供する重合プロセス(例えば、米国特許第3,645,992号にElstonによって記載のもの)を用いて製造可能である。Elstonの重合プロセスでは、このようなポリマー類の製造に溶解性バナジウム触媒系を用いる。しかし、三井石油化学およびExxon Chemical Companyのような他者は、均一直鎖状構造を有するポリマーの製造に、シングルサイト触媒系と称される他の触媒系を用いてきた。均一直鎖状エチレン/α−オレフィンインターポリマー類は、三井石油化学から「タフマー」の商標で現在市販されている。
【0039】
均一直鎖状エチレンポリマー類(1000炭素あたりの長鎖分枝が0.01より少ない)と比較して、実質的に直鎖状のエチレンポリマー類は、長鎖分枝を有する均一ポリマー類である。特に本明細書で用いる「実質的に直鎖状」とは、ポリマー主鎖が0.01長鎖分枝/1000炭素から3長鎖分枝/1000炭素、好適には0.01長鎖分枝/1000炭素から1長鎖分枝/1000炭素、および、より好適には0.05長鎖分枝/1000炭素から1長鎖分枝/1000炭素で置換されていることを意味する。長鎖分枝は、米国特許第5,272,236号および米国特許第5,278,272号に規定されている。
【0040】
本明細書の長鎖分枝(LCB)は、最低でもコモノマー中の炭素数より1炭素小さい鎖長として規定されるのに対して、本明細書の短鎖分枝(SCB)は、コモノマーがポリマー分子主鎖に組み込まれた後の残基の炭素数と同一の鎖長として規定される。例えば、エチレン/1−オクテンの実質的に直鎖状のポリマーは、最低でも7炭素の長さの長鎖分枝を有する主鎖を有するが、6炭素の長さしか有さない短鎖分枝もまた有する。
【0041】
長鎖分枝は13C核磁気共鳴(NMR)分光法を用いて短鎖分枝と区別可能であり、および、ある程度、例えばエチレンホモポリマーにおいては、Randall(Rev. Macromol. Chem. Phys., C29 (2&3), p. 285-297)の方法で定量可能である。しかし、実際問題として、現在の13C核磁気共鳴分光法は6炭素原子を超える長鎖分枝の長さを測定不可能であり、この分析方法では7炭素の分枝と70炭素の分枝の区別はできない。長鎖分枝は、ポリマー主鎖の長さと同じ長さまで長くてもよい。
【0042】
本発明の組成物に用いる均一で直鎖状または実質的に直鎖状のエチレンポリマー類は公知であり、かかるポリマー類およびその製造方法は、例えば、その全てが完全に本明細書中に組み込まれ本明細書の一部とされる米国特許第5,272,236号、第5,278,272号、および、第5,703,187号に詳細に記載されている。
【0043】
存在する長鎖分枝量の測定法は、定性的なものも定量的なものも、どちらも公知である。定量的測定方法に関しては、例えば、メルトフラクチャー現象の識別に見掛け剪断速度に対する見掛け剪断応力のプロットを用いることを開示する米国特許第5,272,236号および第5,278,272号を参照。
【0044】
長鎖分岐の存在を判定するための定量的な方法に関しては、例えば、米国特許第5,272,236号及び第5,278,272号、13C核磁気共鳴分光法を使用した長鎖分岐の測定を論じているRandall(Rev. Macromol. Chem. Phys. , C29 (2&3), p. 285-297)、Zimm, G. H. and Stockmayer, W. H. , J. Chem. Phys. , 17, 1301 (1949)、および、ゲル浸透クロマトグラフィーと低角レーザー光散乱検出器の組み合わせ(GPC−LALLS)、および、ゲル浸透クロマトグラフィーと示差粘度検出器の組み合わせ(GPC−DV)の使用を論じているRudin, A., Modern Methods of Polymer Characterization, John Wiley & Sons, New York (1991) pp. 103-112を参照。
【0045】
The Dow Chemical CompanyのA. Willem deGrootおよびP. Steve Chumは、分析化学及び分光学協会(FACSS)の1994年10月4日のミズリー州セントルイスでの討論会で、GPC−DVが実際に実質的に直鎖状のエチレン系ポリマー類における長鎖分枝の存在を定量化するために有用な技術であることを示すデータを発表した。特にdeGrootとChumは、実質的に直鎖状のエチレンホモポリマーサンプルにおいてZimm-Stockmayer式を用いて測定した長鎖分枝のレベルは、13C NMRを用いて測定した長鎖分枝のレベルとよく相関していることを見出した。
【0046】
さらに、deGrootとChumは、オクテンの存在は、溶液中のポリエチレン試料の流体力学的体積を変化させないこと、そして、そのような方法を用いて、試料中のオクテンのモル%を知ることによってオクテン短鎖分枝に起因する分子量増加を算出することができることを見出した。DeGrootとChumは、1−オクテン短鎖分枝に起因する分子量増加への寄与をデコンボリュート(deconvolute)することによって、実質的に直鎖状のエチレン/オクテンコポリマーにおける長鎖分枝のレベルを定量化するためにGPC−DVを使用可能なことを示した。
【0047】
DeGrootとChumはまた、GPC−DVによって測定されたlog(GPC重量平均分子量)の関数としてのlog(I2、メルトインデックス)のプロットが、実質的に直鎖状のエチレンポリマー類の長鎖分枝の態様(長鎖分枝の量ではない)が高度に分枝した高圧低密度ポリエチレンと類似し、チタニウム錯体類のようなチーグラー型触媒、および、ハフニウムおよびバナジウム錯体類を用いる一般的な均一触媒類を用いて製造されたエチレンポリマー類とは明確に区別されることを表す、ということも示した。
【0048】
「レオロジー性プロセシングインデックス」(rheological processing index、「PI」)は、気体押出レオメータ(GER)で測定したポリマーの見掛け粘度(キロポイズで表す)である。気体押出レオメーターは、どちらの刊行物も参照により本明細書に完全に組み込まれる、M. Shida、R. N. ShroffおよびL. V. CancioのPolymer Engineering Science, Vol. 17, No. 11, p. 770 (1977)、および、Van Nostrand Reinhold Co.発行の、John DealyのRheometers for Molten Plastics, pp. 97-99 (1982)に記載されている。GER実験は、190℃の温度で、250から5500psigの間の窒素圧で、180゜の入口角を有する直径7.54cm、L/D20:1のダイを用いて行う。本明細書において有用な実質的に直鎖状のエチレンポリマー類に関しては、PIは見掛け剪断応力2.15×106ダイン/cm2においてGERによって測定される物質の見掛け粘度(キロポイズで表す)である。本発明において有用な実質的に直鎖状のエチレンポリマー類のPIは、0.01キロポイズから50キロポイズの範囲内であり、好適には15キロポイズ以下である。本明細書において有用な実質的に直鎖状のエチレンポリマー類のPIは、同一のI2およびMw/Mnを有する類似の直鎖状エチレンポリマー(チーグラー重合ポリマーまたはElstonによって米国特許第3,645,992号に記載の直鎖状均一分枝ポリマーのいずれか)のPIの70パーセント以下である。
【0049】
実質的に直鎖状のエチレンポリマー類は、メルトフラクチャーに対する抵抗性を有することで、さらに特徴づけられる。見掛け剪断応力対見掛け剪断速度のプロットを、メルトフラクチャー現象の識別に用いる。Journal of Rheology, 30 (2), 337-357,1986におけるRamamurthyによると、ある臨界流動速度を超えると観察される押出物のでこぼこは、大きく2種類のタイプ、表面メルトフラクチャーおよびグロスメルトフラクチャーに分類される。
【0050】
表面メルトフラクチャーは見掛け上定常の流動条件下で発生し、詳細には鏡面様のフィルム光沢の消失からよりひどい「鮫肌」の形までの範囲をとる。表面メルトフラクチャー開始(OSMF)は、押出物の表面粗さが40倍に拡大しないと検出できない、押出物の光沢の喪失の開始として特徴付けられる。実質的に直鎖状のエチレンインターポリマー類およびホモポリマー類の表面メルトフラクチャー開始時の臨界剪断速度は、同一のI2およびMw/Mnを有する類似の直鎖状エチレンポリマー(チーグラー重合ポリマーまたはElstonによって米国特許第3,645,992号に記載の直鎖状均一分枝ポリマーのいずれか)の表面メルトフラクチャー開始時の臨界剪断速度より、最低でも50パーセント大きい。
【0051】
グロスメルトフラクチャーは、非定常の押出流動状態で発生し、詳細には、規則的な変形(粗面と平滑面が交互、らせん状その他)から不規則な変形までの範囲がある。市販時の許容性(例えば、ブロウンフィルムおよびその袋における)から、良好なフィルム品質および特性のため、表面欠陥がある場合でも最小であるべきである。本発明のフィルム構造体の製造に用いる実質的に直鎖状のエチレンポリマー類の、グロスメルトフラクチャー開始時の臨界剪断応力は、4×106ダイン/cm2より大きい。本明細書で用いる表面メルトフラクチャー開始時(OSMF)およびグロスメルトフラクチャー開始時(OGMF)の臨界剪断速度は、GERで押し出した押出物の表面粗さおよび形状に基づく。
【0052】
実質的に直鎖状のエチレンポリマー類は、I10/I2(ASTM D−1238)が5.63以上であり、好適には6.5から15であり、より好適には7から10であることにより特徴づけられる。ゲル侵透クロマトグラフィー(GPC)で測定された分子量分布(Mw/Mn)は、以下の式で規定され、好適には1.5から2.5の間である。
w/Mn≦(I10/I2)−4.63
実質的に直鎖状のエチレンポリマー類においては、I10/I2比は長鎖分枝の程度を示し、すなわちI10/I2比が大きくなればなるほどポリマー中の長鎖分枝が多くなる。
【0053】
実質的に直鎖状のエチレンポリマー類は、ポリマーのI10/I2値が実質的にポリマーの多分散性指数(すなわちMw/Mn)から独立しているという、非常に予想外の流れ特性を有する。これは、一般的な直鎖状均一分枝および直鎖状不均一分枝ポリエチレン樹脂類が、I10/I2値が増加すると、多分散性指数もかならず増加するというようなレオロジー特性を有していることとは対照的である。
【0054】
均一で直鎖状または実質的に直鎖状のエチレンポリマー類は、1990年7月3日に出願の米国特許出願シリアル番号第545,403号(EP−A−416,815)、1991年5月20日に出願の米国特許出願シリアル番号第702,475号(EP−A−514,828)、および、米国特許第5,470,993号、第5,374,696号、第5,231,106号、第5,055,438号、第5,057,475号、第5,096,867号、第5,064,802号、および、第5,132,380号に記載のもののような、幾何拘束金属錯体を用いて適切に製造することができる。1991年6月24日出願の米国特許出願シリアル番号第720,041号(EP−A−514,828)には、上記幾何拘束触媒の特定の水素化ホウ素誘導体が開示され、それらの製造方法が教示され、特許請求の範囲に記載されている。米国特許第5,453,410号には、カチオン性幾何拘束触媒とアルモキサンの組み合わせが、好適なオレフィン重合触媒として開示された。
【0055】
不均一直鎖状エチレンポリマー類は、エチレンのホモポリマー類であるか、または、エチレンと1つ以上のC3からC8α−オレフィン類とのコポリマー類である。オレフィン共重合から生じる分子量分布および短鎖分枝分布は両方とも、均一直鎖状エチレンポリマー類よりも比較的広い。不均一直鎖状エチレンポリマー類は、チーグラー−ナッタ触媒を用いて溶液法、スラリー法、または、気相法で製造可能であり、当業者には公知である。例えば、米国特許第4,339,507号参照。
【0056】
Kolthammer et al.(米国特許第5,844,045号、第5,869,575号、および、第6,448,341号)に開示のような、不均一および均一エチレンポリマー類の混合物(「複合ポリエチレン」)もまた、本発明のフィルムに用いることが可能である。
【0057】
通気性フィルム類の形成プロセス
本発明の通気性フィルム類は、以下の方法で形成可能である。一般的には、構成成分、ならびに、スリップ剤、アンチブロック剤、および、ポリマー加工所剤類のような任意の追加の添加剤類を押出ブレンドすることが適切である。押出ブレンドは、適度な分散が達成されるような方法で行うべきである。押出ブレンドのパラメータは、当然に成分によって異なる。しかし、一般的には、全体的なポリマーの変形、すなわち、混合の程度が重要であり、例えば、スクリュー設計および溶融温度によってコントロールされる。
【0058】
押出ブレンド後に、フィルム構造体を形成する。フィルム構造体は一般的な加工手法、例えば、単純なバブル押出、2軸延伸プロセス(例えばテンターフレームまたは2重バブルプロセス)、単純なキャスト/シート押出、共押出、ラミネーションその他によって製造可能である。一般的な単純なバブル押出プロセス(ホットブロウンフィルムプロセスともよばれる)は、例えば、The Encyclopedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer, Third Edition, Jolm Wiley & Sons, New York, 1981, Vol. 16, pp. 416-417 and Vol. 18, pp. 191-192に記載されている。米国特許第3,456,044号(Pahlke)に記載の「2重バブルプロセス」、ならびに、米国特許第4,352,849号(Mueller)、米国特許第4,820,557号(Warren)、米国特許第4,837,084号(Warren)、米国特許第4,865,902号(Golike et al.)、米国特許第4,927,708号(Herran et al.)、米国特許第4,952,451号(Mueller)、米国特許第4,963,419(Lustig et al.)、および、米国特許第5,059,481号(Lustig et al.)に記載のプロセスのような2軸延伸プロセスもまた、本明細書の新規フィルム構造体の製造に使用可能である。
【0059】
フィルム形成中の溶融温度は、フィルムの構成成分に応じて異なる。一般的に、溶融温度は175℃から300℃、好適には185℃から240℃、より好適には195℃から220℃の間である。
【0060】
全てのバブル押出においては、バブルは安定に維持されるべきである。バブル安定性を維持するためには、ブロワーの能力を調節して、空気の速度およびフロストライン高(FLH)を調整することがある。ブローアップ比(BUR)およびドローダウン比(DDR)もまた、構成成分および溶融温度に応じて、フィルム形成中に調整されることがある。一般的にBURは1.5から4.5で、好適には2から3.7、より好適には2から3.5であるべきであある。これに対して、DDRは5から25、好適には15から20であるべきである。よって、フィルム形成中にモルホロジーを適切にコントロール可能なように、ダイ直径およびダイギャップのような押出機のパラメータを調整することが必要である。
【0061】
本発明の構造体を製造する製造技術としては、Packaging Machinery Operation, Chapter 8: Form-Fill-Sealing by C. Glenn Davis (Packaging Machinery Manufacturers Institute, 2000 K Street, N. W., Washington, D. C. 20006)、The Wiley Encyclopedia of Packaging Technology, Marilyn Bakker, Editor-in-chief, pp. 364-369 (John Wiley & Sons)、米国特許第5,288,531号(Falla et al.)、米国特許第5,721,025号(Falla et al.)、米国特許第5,360,648号(Falla et al.)、および、米国特許第6,117,465号(Falla et al.)に記載のような垂直フォーム・フィル・シール技術、Plastic Films, Technology and Packaging Applications (Technomic Publishing Co. , Inc. (1992) ) by Kenton R. Osborn and Wilmer A Jenlcens, pp. 39-105で検討されているような他のフィルム製造技術が挙げられる。
【0062】
他のフィルム製造技術は、米国特許第6,723,398号(Chum et al.)に開示されている。特に印刷用途向けの、放射線処理およびコロナ処理のような後処理技術もまた、本発明の材料で達成可能である。本発明において製造されるフィルムはまたシラン硬化可能であり、または、本発明の物品を製造するために用いるポリマー類は後工程でグラフト可能である(米国特許第4,927,888号(Strait et al.)、米国特許第4,950,541号(Tabor et al.)、米国特許第4,762,890号(Strait et al.)、米国特許第5,346,963号(Hughes et al.)、米国特許第4,684,576号(Tabor et al.)に開示されている技術を含む無水マレイン酸グラフト化ポリマー類のように)。
【0063】
フィルム形成後は延伸可能である。延伸は任意の方法で達成可能である。
【0064】
前記プロセスの通気性フィルム類は、用途に応じて任意の厚みで製造可能である。一般的に、フィルムの総厚みは1から20、好適には1から10、より好適には2から6ミルである。用途に応じて透気度を調整してもよい。通気性フィルム類は、粉体および乾物の包装に用いることができる。
【0065】
本発明のフィルム類およびプロセス、ならびにその使用方法は、以下の実施例によってより詳細に記載される。特に反する記載のない限り、全ての部およびパーセンテージは重量による。
【実施例】
【0066】
「ポリマー類」と題された表のポリマー類を、実施例1の組成物およびフィルムの製造に用いた。
【0067】

ポリマー類

ポリマーの種類 ポリマーの特定 密 度 メルトインデックス又はメルト
(g/cm3 フローレート(g/10分)
複合PE* ポリエチレン 0.92 1
PP ポリプロピレン 0.017 0.4
【0068】
複合PE=メルトインデックスが0.19g/10分、密度が0.902g/ccの均一PE(エチレン/1−オクテンコポリマー)を36.4パーセント、および、メルトインデックスが1.6g/10分、密度が0.931g/ccの不均一PE(エチレン/1−オクテンコポリマー)を63.6パーセント。前記複合PEは、ステアリン酸カルシウム(1250ppm)、1000ppmのIrgafos*168のような亜リン酸エステル系安定剤、200ppmのIrganox*1010および/または250ppmのIrganox*1076のようなヒンダードフェノール系安定剤で安定化され、および、米国特許第5,844,045号、第5,869,575号、および/または第6,448,341号に記載のような直列反応器で反応器内ブレンドとして(in-situ)製造された。(Irgafos*およびIrganox*は両方ともCiba-Geigy Corp.の商標)。
【0069】
PP=ジフェニルオキシド4,4’−ビススルホニルアジド(150ppm)改質インパクトコポリマーエチレン(8〜10重量パーセント)/500ppmのステアリン酸カルシウム、600ppmのIrgafos168、1000ppmのIrganox1010を含有し、改質前のメルトフローレートが0.8g/10分(条件230℃/2.16kg)であり、最終(改質後)MFRが0.4g/10分(条件230℃/2.16kg)であるポリプロピレンであり、以下のいずれかのプロセスを用いて製造される。米国特許第6,528,136号、第6,143,829号、第6,359,073号、および、WO99/10424。NM=未測定
【0070】
実施例1
62重量パーセントのポリエチレン、34重量パーセントのポリプロピレン、および、4重量パーセントの白色マスターバッチ(TiO2)をドライブレンドした。ドライブレンドを押出機に直接供給し、ブロウンフィルムを製造した。
【0071】
押出機の温度設定は、溶融温度が490°Fとなるよう設定した。次にペレットを、ダイ直径が6インチ、単一フライト(single flight)、ダブル混合スクリュー、押出機直径が2.5インチ、および、L/Dが30:1である、Gloucesterブロウンフィルムラインで押出した。フロストライン高(FLH)、ブローアップ比(BUR)および溶融温度を、ダイギャップ40ミルにおいて30インチ、BURを2.1、溶融温度を490°Fに、比較的一定に保った。厚みが9ミルの単一層フィルムが作成された。押出速度は163ポンド/時であった。
【0072】
得られたフィルムはPerforating Industriesによって穿孔された。1つがピンを備え、1つが対応する孔を備える、2つのプレートを用いる半連続プロセスが用いられた。フィルムをインクリメント(increment)し、プレートを閉じて孔を作成した。次にプレートを開き、フィルムをインクリメントした(すなわち前に進めた)。ロールツーロール(roll-to-roll)連続プロセスを用いる圧力ローラーを備えるピン付きローラーのような他のプロセスもまた、穿孔向けに検討された。レーザー穿孔もまた使用できる。Perforating Industriesは42孔/インチ2を有するパターンを用いた。個々の孔形状はほとんどばらばらだった(円形が望ましかったが)。孔の面積の概算には、「短軸」および「長軸」を測定して、楕円形状を用いた。孔あたりの平均面積は、40,000〜41,000マイクロメートル2であった。よって、孔面積対フィルム面積は1,687,000〜1,756,1000マイクロメートル2/インチ2であった。
【0073】

サンプルの説明 実施例1の穿孔フィルム

厚み(ミル) 9
エルメンドルフ引裂(B) CD(g) 1400
エルメンドルフ引裂(B) MD(g) 1011
ダート B(g) 214
ダート改質後(g) 274
2パーセントセカントモジュラス CD(psi) 42416.54
2パーセントセカントモジュラス MD(psi) 45763.3
引張破断 CD(psi) 1695.7
引張破断 MD(psi) 1673.98
降伏点負荷 CD(lb) 16.02
降伏点負荷 MD(lb) 12.76
降伏点強度 CD(psi) 1606.54
降伏点強度 MD(psi) 1446.02
【0074】
フィルムのダート衝撃(タイプB)をASTM D−1709−85に従い測定した。フィルムの引張強度、降伏点、靭性および2パーセントセカントモジュラスをASTM D−882に従い測定した。エルメンドルフ引裂(タイプB)をASTM D−1922に従い測定した。
【0075】
穿孔フィルムを次に袋作成のため加工業者に送った。袋の寸法は、およそ幅が49.5cm、深さが11cm、および、長さが59cmであった。
【0076】
このフィルムのガーレイデータは、1.5〜2.5秒であった。紙に関しては、透気度は14〜16秒であった。少量のフィルムのサンプルを、所定の圧力のチャンバーに設置した。これは「Paper and Board-Determination of Air Permeance (medium range) -Part 5: Gurley Method」と題されたISO試験法5636/5の記載によって、一定の体積の空気がサンプルを透過するのに要する時間を測定した。従って、値が低くなるほどフィルムの透気度が高くなる(所定の体積をより速く漏出することができる)。よって、新規フィルムは、紙よりも数倍透気度に優れていた。
【0077】
袋もまた透気度を試験した。袋にノズルを配置し、空気を袋の中に送り込み、所定の圧力(50ミリバール)を達成した。いったん平衡に達すると、袋を通過する流れを、m3/時の空気として測定した。本発明の新規フィルムから製造した袋の透気度は>100m3/時であったのに対して、紙袋は39〜42m3/時であった。この場合、数値が高いほど、袋の透気度が高くなる。再び、本発明の新規フィルムから製造した袋は、紙よりも透気度が高いことを示した。
【0078】
別のコンセプトは、上記と同一の袋を用いるが、袋が汚くなりすぎた場合に、セメント(一般的な乾燥フィラー材料)が孔から空気と共に放出されることを助けるスリーブを含む。スリーブは空気が放出されることを可能とし、しかしセメントを内部(または、最低でも層間)に保持する、いくつかの大きな孔を有する。
【0079】
第3の態様は、不織パッチ(non-woven patch)を含む。上記と同一のフィルムの袋を用いた。この袋を上記と同様に穿孔したが、孔が小さくまた少ないため、総透気度が低かった。6孔/インチ2であり、10,650マイクロメートル2/孔であった。得られた総孔面積は、63,000〜64,000マイクロメートル2/インチ2であった。このサンプルのガーレイデータは50〜60秒であり、これは紙よりも約3倍透気度が低い。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、様々なフィルムのガーレイ透気度に対する孔の全面積(マイクロメートル2/インチ2)のプロットである。フィルムは、本発明の新規フィルムと多孔性紙袋を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含み、および、少なくとも以下の特性、a)空気透過度が最低でも約20m3/時、または、b)ガーレイ透過度数(ASTM試験)が約35秒よりも低い、を有することにより特徴づけられるフィルム。
【請求項2】
前記フィルムが前記特性を両方とも有する、請求項1のフィルム。
【請求項3】
穿孔密度が最低でも約350,000ミクロン2/インチ2である、請求項1のフィルム。
【請求項4】
穿孔密度が最低でも約500,000ミクロン2/インチ2である、請求項1のフィルム。
【請求項5】
孔の平均数密度が、約6から約50孔/インチ2である、請求項1のフィルム。
【請求項6】
個々の孔面積の平均が、約10,000ミクロン2から約70,000ミクロン2である、請求項1のフィルム。
【請求項7】
最小孔径が約100ミクロンである、請求項1のフィルム。
【請求項8】
少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含むフィルムまたはシートから製造される、粉体または粒状物質の包装袋であり、ここで前記フィルムまたはシートの透気度が最低でも約20m3/時である、包装袋。
【請求項9】
前記熱可塑性ポリマーがポリエチレンである、請求項1のフィルム。
【請求項10】
前記ポリエチレンのメルトインデックスが約0.2から約5グラム/10分であり、密度が約0.9から約0.97グラム/立方センチメートルであり、および、分子量分布、Mw/Mnが約1.5から約5である、請求項9のフィルム。
【請求項11】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリプロピレンのホモポリマー類およびインターポリマー類、ポリエチレンのホモポリマー類およびインターポリマー類、ならびにそれらのブレンド類からなる群より選択される、請求項1のフィルム。
【請求項12】
厚みが約1ミルから約20ミルである、請求項8の袋。
【請求項13】
厚みが約2ミルから約6ミルである、請求項8の袋。
【請求項14】
約10kgから約100kgの重量を含む、請求項8の袋。
【請求項15】
前記フィルムが、ワックス相溶化剤を含まないことで特徴づけられる、請求項1のフィルム。
【請求項16】
前記フィルムが、無機フィラーを含まないことで特徴づけられる、請求項1のフィルム。
【請求項17】
前記熱可塑性ポリマーが、
(1)密度が約0.87から約0.96g/cm3であり、
(2)分子量分布、Mw/Mnが約5以下であり、および、
(3)ASTM D−1238、条件190℃/2.16kgに基づき測定したメルトインデックス、I2が約0.5から約20.0dg/分である直鎖状エチレンポリマーまたは実質的に直鎖状のエチレンポリマー、および、
ポリプロピレン、または、それらのブレンド類からなる群より選択される、請求項1のフィルム。
【請求項18】
前記直鎖状または実質的に直鎖状のエチレンポリマーが、エチレンおよび1−オクテン、エチレンおよび1−ブテン、エチレンおよび1−ヘキセン、エチレンおよび1−ペンテン、エチレンおよび1−ヘプテン、エチレンおよび4−メチルペンテン−1、および、それらの混合物からなる群より選択されたコポリマーを含む、請求項17のフィルム。
【請求項19】
GPPS、HIPS、ABS、SAN、ナイロン、スチレンブロック共重合体類、またはそれらの混合物をさらに含む、請求項1のフィルム。
【請求項20】
(a)フィルムの製造に適する熱可塑性ポリマーを選択し、
(b)前記熱可塑性ポリマーからブロウンまたはキャストフィルムを形成し、ここで前記フィルムを約175から約260℃の溶融温度、および、約2.5から約3.7のBURを用いて形成し、
(c)前記フィルムを、前記フィルムのガーレイ透気度数(ASTM試験)を約35秒より低くするのに十分な条件下で穿孔することを含む、通気性フィルムの形成方法。
【請求項21】
最低でも2層を有するフィルム構造体であり、ここで、各層の孔径傾斜(hole size gradient)が他の層と異なる、フィルム構造体。
【請求項22】
各層の孔間隔傾斜(hole spacing gradient)が他の層と異なる、請求項21のフィルム構造体。
【請求項23】
各層の孔径傾斜が他の層とずれている、請求項23のフィルム構造体。
【請求項24】
前記熱可塑性ポリマーが官能化ポリマーである、請求項1のフィルム構造体。
【請求項25】
前記官能化熱可塑性ポリマーが、無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンを含む、請求
【請求項26】
ポリオレフィン(例えばRAFFIAポリプロピレン)製の織フィルムリボン類を含む少なくとも1つのフィルム層、および、気泡性フィルム構造体を含む少なくとも1つの他のフィルム構造体を含む、フィルム構造体。


【図1】
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【公表番号】特表2007−516313(P2007−516313A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533235(P2006−533235)
【出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/015792
【国際公開番号】WO2004/106392
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】