説明

多孔質体、沸騰冷却装置、沸騰冷却システム、発電システム及び沸騰冷却方法

【課題】1000W/cm2を超えるような高熱流束にも対応可能で、エレクトロニクスデバイスの更なる高集積化・小型化等にも寄与し得る沸騰冷却装置を提供する。
【解決手段】沸騰冷却装置に用いられる多孔質体10は、金属粒子を焼結して形成され、発熱体に対する受熱面12の近傍には、受熱面12に沿って延びる複数本の蒸気排出路14が設けられている。蒸気排出路14は蒸気相の中央部から多孔質体10の外面に連通する形状を有している。蒸気相の蒸気はドライアウトが生じる前に大気圧との圧力差によって蒸気排出路14から自動的に多孔質体10の外に迅速に排出され、これと同時に受熱面12の反対側からは冷却液が強制的に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沸騰冷却装置に用いられる多孔質体、該多孔質体内の冷却材を蒸発させてその蒸発潜熱により冷却する沸騰冷却装置、該沸騰冷却装置を備えた沸騰冷却システム、発電システム及び沸騰冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質体を用いた冷却では、伝熱面積を飛躍的に増大させることができ(フィン効果による顕熱輸送)、更にポンピングや毛細管力による蒸気相への積極的な液体供給(潜熱輸送)によって非常に高い熱伝達性能を達成することができることが知られている。
電子機器の冷却を対象とした多孔質冷却デバイスの殆どは、毛細管力を液の供給駆動力とするものである。毛細管力駆動の熱輸送デバイスの典型例としてヒートパイプが挙げられるが、ベイパーチャンバーのように受熱部と放熱部とが一体型となった自立循環型の冷却デバイスも多く提案されている(例えば、特許文献1、2、3)。
【0003】
冷媒(フロン、フルオロカーボンなど)の高い濡れ性による低過熱度域での沸騰伝熱阻害を改善するため、多孔質薄膜層を伝熱面に施工する研究論文も多いが(例えば非特許文献1、2)、その殆どは浸漬試験である。但し多孔質構造のスケールによっては毛細管力が作用する。
凹凸構造を有する伝熱面に多孔質薄膜層を形成して沸騰伝熱を促進し、自立循環型の冷却デバイスを構築したものもあるが、その除去熱流束は100W/cm2以下である(例えば、特許文献4、非特許文献3)。
一方、毛細管作用だけでなく「強制対流熱伝達(沸騰含む)」を併用して高い熱流束を除去する多孔質冷却デバイスも多く存在する。その殆どは直向型の熱交換デバイスであり、最近ではChen Liらによって約300W/cm2の冷却性能が確認されている(非特許文献4)。これを超える熱流束環境では熱伝達率が急激に減少し壁面温度が急激に上昇することが確認されている。
【0004】
強制対流を併用した対向流型の多孔質冷却デバイスについては、長年研究が進められているが、その最大除熱性能は約300〜400W/cm2(壁面過熱度約50度)であり、これよりも高い熱流束環境では熱伝達率が急激に低下し壁面温度が上昇することが知られている(例えば、非特許文献5)。
近年、高い熱流束の除去を目的として、二重の気孔構造を有するBi-Porous体や一方向性の強い気孔構造を有するLotus多孔質体も提案されており、両者とも直向型である。
蒸気排出が効果的に機能する可能性を有するBi-Porous体では、SiCや耐高温シリコンベースの半導体デバイスの冷却で適用条件と考えられる壁面過熱度50度以下(壁面温度150℃以下)での除熱性能は300〜500W/cm2であり、壁面過熱度100度で最大約600W/cm2となっている(例えば、非特許文献6)。
【0005】
特許文献3には、受熱部と放熱部とが一体となった多孔質沸騰冷却装置が開示されている。この装置では、受熱部の真上に多孔質体を装荷した小型容器を設置しており、受熱部の反対側の面に放熱部となるフィンが設置され、基本的にはベイパーチャンバーと同じ作動原理を採用しているとともに、対向型の熱交換を採用している。
多孔質体の外側面には、「液相の十分な流量を得られる一方、蒸気の効率的な排気を促せるように」という観点から、液相の流れに沿って、すなわち液相の流れを阻害しないように、蒸気排出のための排気口が液相に沿って細長く形成されている(特許文献3の図5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−116180号公報
【特許文献2】特開2000−121264号公報
【特許文献3】WO2009/063703号公報
【特許文献4】特開平11−330329号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】K. Navas et al., Heat Trans. Eng., 29, 4, pp.366-374, 2008.
【非特許文献2】Trautman Mark A. et al., ASME HTD, 376, 1, pp.749-754, 2005.
【非特許文献3】機論B, 67, 659, pp.1809-1815, 2001.
【非特許文献4】Chen Li, et al., Jour. Heat Trans., 128, 2006.
【非特許文献5】結城和久, ほか, 熱工学コンファレンス2009, D211, pp. 247-248, 2009.
【非特許文献6】T. Semenic et al., Int. Jour. Heat & Mass Trans., 52, pp.5113-5121, 2009.
【非特許文献7】結城ほか, 第40回日本伝熱シンポジウム講演論文集, I242, 581, 2003.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のいくつかの論文において、多孔質体内で生成される蒸気の排出が更なる伝熱性能向上のためキーポイントであることも指摘されているが、多孔質体内で形成される蒸気を積極的に排出するための、現象論に基づいた具体的方法は提示されていない。
特許文献1では、多孔質体に凹凸のプレス加工を与えることによって多孔質内で蒸発部と蒸気排出部を交互に形成しているが、熱流束に依存すると考えられる最適気孔構造については言及されていない。
特許文献3では、使用する多孔質体として発泡体が推奨されているが、発泡体はその高い気孔率から蒸気の排出性能がもともと高く、蒸気排気口との併用は適切とはいえない。
一般に、発泡体は高い気孔率を有するため、その有効熱伝導率は母材の1割以下となる場合が多い。この場合、蒸発が効果的に生じる領域は熱伝導率の低さから伝熱面の極近傍のみであり、蒸気排気口まで蒸気相が到達しない可能性が高い。
蒸気排気口を「液相の流れに沿って細長く」形成した場合、仮に、蒸気排気口が機能するくらいまで蒸気相が大きく成長すると、発泡体の低い熱伝導率も相俟って大きな熱抵抗領域(蒸気が全く存在しないドライアウト域)が受熱部直下に形成されることとなる。
このため、結果として特許文献3に記載の蒸気排気口が機能するような熱条件では、電子機器の基板温度は急激に上昇すると予測される。
【0009】
このように、多孔質体を用いた従来の沸騰冷却装置では、蒸気排出機能が低いため、あるいは有効に機能しないため、発熱密度が急激に変化(増加)した場合には急激な温度上昇(想定外の熱暴走)を抑制することができず、安全性の観点から問題があった。
このことは、安全性に余裕を持たせるには、冷却能力を下回る範囲でしか使用できないことを意味する。
【0010】
一方、エレクトロニクス技術分野では、より大容量の情報をより高速に伝達することが恒久的な課題である。これにより半導体素子の高集積化とチップの高密度実装が図られ、更に物量削減と大量生産・低コスト化のため小型化が促進されてきた。
これに伴い電子機器の発熱密度は増大の一途を辿っており、特に、CO2削減のために普及が進む電気自動車のインバータなど、電力変換を扱うパワーエレクトロニクスデバイス(SiCや耐高温シリコンベース)では最大500W/cm2程の冷却が必要とされている。
しかしながらその値は、デバイスの更なる高集積化と小型化によって将来的に1000W/cm2に近づくと予想されており、より効率的な冷却技術によって素子を許容温度以下に維持する必要がある。
一般に、電子機器の冷却方法は発熱密度の増大に伴い強制液冷へと遷移してきたが、1000W/cm2を超える発熱を低消費電力(低ポンピングパワー)で冷却するためには、蒸発潜熱ポテンシャルを利用する沸騰冷却技術の適用が不可欠である。
【0011】
毛細管力駆動のみによる冷却デバイスでは、液の透過性能と毛細管力による液供給力がトレードオフの関係にあるため、能動的な気液交換による除熱可能な熱流束が100W/cm2を超えることは極めて困難であり、それを可能とする提案はされてない。
特許文献3に記載の装置においても毛細管力のみを駆動力とするため、蒸発潜熱の大きい水を使用した場合でも100W/cm2を超える熱流束を達成することは不可能であると考えられる。
ここで、多孔質体の外側面に蒸気排気口を有する特許文献3に記載の装置において、高熱流束に対応すべく、強制流動(冷却液の強制対流熱伝達)の併用を考えた場合、特許文献3にて推奨している発泡体は上記のようにその有効熱伝導率が極めて低いため、冷却液の強制対流熱伝達を併用する体系では適さないといえる。
また、冷却液は流動抵抗が低い領域を選択的に流れる特性を有しているため、特許文献3に記載の蒸気排気口の形成手法では、冷却液が蒸気排気口に流入して受熱面まで到達せず、強制対流効果と蒸気相への液供給は機能しない可能性が高い。
以上、既存の多孔質冷却技術を総括すると、1000W/cm2級の高熱流束に対応可能な多孔質冷却デバイスは未だ開発されておらず、インバータを代表とする将来のパワーデバイス(将来的に500〜1000W/cm2の熱流束が予想される)の冷却に対応することは現状では非常に困難であると考えられる。
【0012】
本発明はこのような現状に鑑みてなされたもので、想定外の発熱密度の変化が生じた場合の急激な温度上昇による不具合に対する余裕度を持つことができて、持ち得る冷却能力を最大限に発揮することができる多孔質体の提供を、その主な目的とする。
また、本発明は、1000W/cm2を超えるような高熱流束にも対応可能で、エレクトロニクスデバイスの更なる高集積化・小型化等にも寄与し得る沸騰冷却装置の提供を、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、発熱体の冷却に寄与済みの蒸気を受熱面近傍に留まらせずに迅速に排出することによって、新たな蒸発の潜熱による冷却を連続的に生じせしめ、ドライアウトによる急激な温度上昇を防止することとした。
具体的には、請求項1に記載の発明は、冷却材が蒸発することによる蒸発潜熱により発熱体を冷却する沸騰冷却装置に用いられ、発熱体に対する受熱面を有する多孔質体において、前記受熱面近傍に形成される蒸気相に連通して蒸気を前記多孔質体外へ排出する蒸気排出路を有していることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多孔質体において、前記蒸気排出路が、前記受熱面に沿って略平行に延びていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の多孔質体において、前記蒸気排出路は、前記受熱面に対して角度を有した状態に延び、且つ、冷却材が侵入しないように処理を施され、あるいは管材を挿入されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の多孔質体において、前記蒸気排出路を複数有していることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の多孔質体において、前記多孔質体が金属の焼結体からなることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、沸騰冷却装置において、請求項1〜5のいずれか1つに記載の多孔質体を有することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の沸騰冷却装置において、前記多孔質体に冷却材を強制的に供給する冷却材供給手段を有していることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の沸騰冷却装置において、前記多孔質体が前記蒸気相に連通する冷却材供給路を有し、前記冷却材供給手段は前記冷却材供給路を介して前記蒸気相に冷却材を直接供給することを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の沸騰冷却装置において、前記発熱体の温度を検知する温度検知手段と、該温度検知手段からの検知信号に基づいて冷却材の供給量を変更する制御手段とを有していることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、沸騰冷却システムにおいて、請求項7〜9のいずれか1つに記載の沸騰冷却装置が複数の発熱体に対応して複数設けられ、各沸騰冷却装置は1つの冷却材供給手段を共用することを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、沸騰冷却システムにおいて、請求項7〜9のいずれか1つに記載の沸騰冷却装置が個別に区画された状態で複数並設されてユニット化され、前記受熱面の面積が拡大されていることを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、発電システムにおいて、請求項7〜9のいずれか1つに記載の沸騰冷却装置と、該沸騰冷却装置から排出された蒸気で駆動される発電装置と、該発電装置を経た蒸気を凝縮して液化する凝縮手段とを有し、冷却材として水よりも沸点が低い低沸点液を用いることを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、発熱体に対する受熱面を有する多孔質体に保持された冷却材を前記受熱面近傍で蒸発させ、蒸発潜熱により前記発熱体を冷却する沸騰冷却方法において、前記多孔質体に前記受熱面近傍に形成される蒸気相と該多孔質体の外部とを連通する蒸気排出路を形成し、前記蒸気相から蒸気を前記多孔質体外へ排出するとともに、前記蒸気相に強制的に冷却材を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、蒸気排出路による高い蒸気排出機能によってドライアウトによる不具合を未然に防止できるとともに、不具合に対する余裕度を持つことができ、持ち得る冷却能力を最大限に発揮することができる。
これにより、想定外の熱暴走などを回避して基板温度を一定に保つことができる安全システムを構築できる。
また、1000W/cm2を超えるような高熱流束にも対応可能で、エレクトロニクスデバイスの更なる高集積化・小型化等にも寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る多孔質体の斜視図である。
【図2】多孔質体の断面を示す図で、(a)は図1のH−H線での横断面図、(b)は図1のV−V線での縦断面図である。
【図3】多孔質体を構成する金属粒子の焼結状態を示す模式図で、(a)は粒子間が点接触の状態を示す図、(b)は炉内温度と加圧力を調整して平坦状の溶融接合部とした本発明の図である。
【図4】第1の実施形態に係る多孔質体を用いた沸騰冷却装置の概要構成図である。
【図5】図4で示した沸騰冷却装置の冷却部の拡大断面図である。
【図6】熱流束と冷却液の供給量についての実験結果を示す特性図である。
【図7】第2の実施形態に係る多孔質体の概要断面図である。
【図8】第3の実施形態に係る沸騰冷却装置の概要構成図である。
【図9】第4の実施形態に係る沸騰冷却システムの概要構成図である。
【図10】第5の実施形態に係る沸騰冷却システムの概要構成図である。
【図11】第6の実施形態に係る発電システムの概要構成図である。
【図12】金属多孔質体を用いた冷却デバイスを用いた冷却原理を示す模式図である。
【図13】二相混合モデルを用いた数値解析の模式図である。
【図14】蒸気排出と冷却液供給についての多孔質体の変形例を示す断面図(写真画像)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
まず、具体的な構成を説明する前に、本発明に至った経緯を説明する。本発明者はこれまで、核融合炉において1000W/cm2以上の高熱負荷が予想されているダイバータの効率的冷却技術を開発するため、複雑なマイクロチャンネルを有する金属多孔質体を用いた冷却デバイスについて研究を行ってきた(例えば、非特許文献7)。
このデバイスを用いた冷却原理は、図12に示すように、高熱負荷体100の背面に金属多孔質体102を装荷し、熱流と対向する形で冷却水を通水して蒸発させる、所謂、対向型熱交換による潜熱輸送冷却となっている。蒸気となった冷却水は多孔質体上部の側面から排出される。
【0021】
多孔質体(メッシュ、粒子焼結体、繊維焼結体、発泡体など)を用いた冷却では、伝熱面積増大に伴うフィン効果促進、およびポンピングや毛細管力による蒸気相への積極的な液体供給によって高い熱伝達性能を達成することができる。また、伝熱面上でドライアウトが発生し壁面温度が高温化した膜沸騰状態でも安定した冷却が維持できることも特徴として挙げられる。
しかしながら、これまでの本発明者の研究により、その熱伝達性能は熱流束レベルに強く依存し、沸騰曲線において発達した沸騰状態に相当する安定した気液交換状態を達成できるのは数百W/cm2が限界であり、SiCや耐高温シリコンベースの電子機器冷却で想定される50度よりも低い壁面過熱度で1000W/cm2レベルの高い熱流束を除去するためには、多孔質体内部で生成された蒸気を積極的に排出することが最も重要なブレークスルーポイントであることを明らかにしている(非特許文献5)。
【0022】
多孔質体内部で生成された蒸気を効率的に多孔質外へ排出するためには、一般的に透過性の高い多孔質体(発泡体など)の適用が望ましい。しかしながら、透過性能と熱伝達性能(伝熱面積増大および毛細管作用)はトレードオフの関係にあるため、それらを同時に達成することは非常に困難である。
蒸気パス用の大孔構造と液供給用の小孔構造を有するBi-Porous構造の適用も期待できるが、高熱流束化に伴う大量の蒸気形成によりヒートパイプで問題となるような飛散限界が生じ、気液交換が阻害されることは間違いない。
【0023】
図13は、二相混合モデルを用いた数値解析によって得られた円柱型多孔質体内の典型的な液体飽和度分布と蒸気の速度ベクトルについてのシミュレーション画像を図示化した模式図である。二次元軸対称条件により半分の領域のみ表示している。
シミュレーション画像は実際には、蒸発領域A、B、C、D、未蒸発領域Eの各領域ごとにそれぞれ色分けされ、液体飽和度はA<B<C<D<D<Eの順に高くなっている。
これにより、蒸気相は円柱型多孔質体内の受熱面中央部からドーム状に成長していることが確認できる。
この多孔質体を用いた沸騰冷却において、最も懸念されるのは、蒸気相が多孔質体出口部(矢印104、105で示す部位)に到達する前に中央部でドライアウト域が形成されて熱伝達率が劇的に低下し、壁面温度(素子基板温度)が急激に上昇(熱暴走)することである。
【0024】
本発明はこのような蒸気発生の現象に鑑み、蒸気相から蒸気を大気圧との高い圧力差を利用して自動的に且つ多孔質体の気孔よりも圧倒的に大きな流路を介して迅速に多孔質体外へ排出させ、蒸気相が過度に発達してドライアウト域が生じるのを未然に防止する、という技術思想に到達したものである。
【0025】
図1乃至図6に基づいて本発明の第1の実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る円柱状の多孔質体10は、受熱面12の近傍に4つの蒸気排出路(以下、「サブチャンネル」ともいう)14を有している。
なお、本発明に用いる多孔質体は、円柱状体に限定されるものではなく、発熱体形状とその周囲構造に応じて適宜選択使用することができる。
多孔質体10は、金属粒子(ここでは銅粒子)を焼結して形成されており、直径50mm、高さ20mm、粒子径500μm、気孔径100μmの構成となっている。各蒸気排出路14は、直径3mm、厚み0.5mm、長さ20mmの銅製パイプである。勿論、これらの寸法に限定される趣旨ではない。
また、金属粒子として銅粒子に限定されず、熱環境に応じて他の金属粒子、例えば、ステンレス、ブロンズ、アルミニウムのようなものも使用することができる。
図2に示すように、各蒸気排出路14は受熱面12の中央部から受熱面12沿って略平行に延び、多孔質体10の外面に開口するように配置されている。
すなわち、各蒸気排出路14は蒸気相16と多孔質体10の外部とを連通するように配置されている。厳密には、各蒸気排出路14の入口側の配置位置は、図13で示した数値解析シミュレーションにおいて蒸気相が早期に生成する部位、すなわち受熱面12の中央部となっている。
図2において、破線の矢印は蒸気の排出方向を示している(他の図において同じ)。
【0026】
多孔質体10の製造方法について説明すると、黒鉛の型内に蒸気排出路としての銅製パイプを位置決めした状態で、粒径が均一な銅粒子を型内に稠密(細密)状態に充填し、加熱・加圧して焼結するものである。
この場合、図3(a)に示すように、銅粒子18が点接触状態であると熱抵抗が大きくなるため、図3(b)に示すように、粒子間に平坦状の溶融接合部が形成されるように炉内温度と加圧力を調整している。
このように昇温・加圧すると、ハッチングで示す気孔20の大きさは小さくなるが、多孔質体10の冷却性能には特許文献3での問題点で指摘したように熱伝導性が重要である。なお、焼結成型後において、各気孔20は毛細管力を発現可能に連なって連孔ないし連泡構造となっている。
本実施形態における気孔率は30%であるが、それぞれ数十μm〜数千μm、20〜40%の調整が可能である。その構造は細密充填構造であり、粒子間のネック構造(溶融した接合部)も炉内温度と加圧力により調整可能である。
【0027】
蒸気排出路14は銅以外の金属で形成してもよいが、全体的に良好な熱伝導性を確保する観点から、多孔質体10を構成する粒子と同じ金属で形成することが好ましく、本実施形態では銅製としている。
なお、本実施形態では、蒸気排出路14を受熱面12の極近傍で且つ受熱面12に沿うように配置しているので、特許文献3に開示された蒸気排気口とは異なり、冷却液が蒸気相に供給される前に蒸気排出路14に流れ込むという虞がない。このため、必ず管材(金属製パイプ)を配置しなかえればならないというものではない。
したがって、蒸気排出路14は空洞として成型してもよい。例えば、図14に示すような、細孔部と粗孔部から構成され、粗孔部が蒸気排出路として機能する二重構造多孔質体(例えば、細孔部が数ミクロン〜数10ミクロン、大孔部(粗孔部)が数1000ミクロン以上)を用いることができる。この粗孔部は、大きさや方向に関する形成が任意であるため、冷却用多孔質体の発展例の一つである。
細孔部と粗孔部は、例えば、断面積(円形、不定形を含む)の異なる樹脂系の線状ないしロッド状体(直線状、曲がった状態の双方を含む)を多孔質体構成粒子と共に型内に充填し、加熱時に消失させることにより形成することができる。すなわち、焼結温度で消失する部材を入れ込むインサート成形によって形成することができる。
【0028】
図4及び図5に基づいて、上記多孔質体10を用いた沸騰冷却装置を説明する。
図4に示すように、沸騰冷却装置22は、エレクトロニクスデバイス等の発熱体24(もしくは発熱体に接続されるヒートスプレッダ)が載置・接続される冷却部26と、冷却材としての水が貯留されたタンク28と、タンク28からの水を圧送するポンプ30と、流量計32と、冷却部26とタンク28間を接続するパイプ34等を備えている。ポンプ30は冷却材を強制的に供給する冷却材供給手段であり、換言すれば、多孔質体10の毛細管力をアクティブ化する手段である。
冷却部26は、図5に示すように、多孔質体10を挿入して保持する円管流路としてのケーシング36を有している。ケーシング36は、多孔質体10の下部に冷却材収容部38を有しているとともに、上部に発熱体24を接続するためのフランジ部40を有している。
フランジ部40の内部には、多孔質体10から排出される蒸気を外部に導くための導出空間42が形成され、導出空間42の下面には周方向に間隔をおいて6本の円管からなる排出口44が形成されている。各排出口44から排出された蒸気は1つの排気管に合流し、図示しない凝縮器へ送られて液化され、タンク28に戻されるようになっている。
なお、図5では多孔質体10の蒸気排出路14は省略している。
【0029】
多孔質体10の蒸気排出路14の断面積は、多孔質体10の気孔20に比べて圧倒的に大きいので(気孔径100μmに対して蒸気排出路14の内径は3mm)、受熱面12近傍で生成される蒸気相の蒸気をドライアウトが生じる前に迅速に多孔質体外に排出することができる。
受熱面12近傍に蒸気を留まらせずに迅速に排出し、且つ、次に新たな冷却材を蒸気相発生部位に強制的に送り込んで蒸発させ、その潜熱により発熱体を冷却するサイクルが繰り返される。これにより、ドライアウトによる急激な温度上昇を防止できて良好な冷却機能を得ることができる。
本実施形態では、発熱体24の下面に多孔質体10を配置し、冷却材を強制的に供給する構成としたが、発熱体24の上面に多孔質体10が対向するように構成し、冷却材の自重で強制供給するようにしてもよい。
サブチャンネルの最適設計は、主として発熱密度に依存し、発熱密度の増加にともない直径、長さ、本数を調整する必要がある。なお、本実施形態ではベースとなる多孔質体10として金属粒子の焼結体を使用しているが、繊維焼結体、金網ウィック、発泡体なども使用可能である。更に、多孔質材料として銅だけでなく炭素繊維を含む高熱伝導率銅材や、発熱密度に応じてアルミ、ブロンズ、ステンレス等も利用可能である。形状も任意であり、円柱型に限定されない。
【0030】
上記構成に基づく冷却性能の実験結果について述べる。
実験構成の具体的仕様は以下の通りである。
発熱体24を図示しない熱源により加熱される銅伝熱体とし、銅伝熱体は、その背面に取り付けられた多孔質体10内に冷却材である水を流すことによって冷却される。銅伝熱体は厚さ11.5mmの円柱ブロックであり、側面は断熱されている。銅伝熱体の中心軸上には、直径1mmのK型シース熱電対25が多孔質体と銅伝熱体の界面位置から1.5, 4.0, 6.5, 8.5mmの位置に計4本設置されている。
円管流路は内径50mm、長さ90mm、肉厚3mmのステンレス管で、上部において厚さ3mmのフランジにより伝熱体と接続される。また図に示される多孔質体側面の流体出口幅(蒸気排出路の内径)は3mmであり、フランジ部40に取り付けられた円管(排出口44)の内径は8mmである。
ポンプ30には、最大流量40L/min、最大揚程14.3mのマグネットポンプを用い、バルブにより流量が調整される。多孔質体への流量はタービン流量計(流量計32)により計測され、多孔質体直前の入口圧力はブルトン管式圧力計により計測される。
【0031】
[実験の解析手順]
まず流量調節バルブにより流量を調整した後、伝熱体を加熱し伝熱体内部の温度計測を開始する。定常状態後における温度の計測時間は約30秒間〜1分である。
データ取得後、入口流速を若干減速させ、更に定常温度データを取得する。この手順は、伝熱面温度が急激に上昇する限界熱流束状態もしくは伝熱体内の温度が700度を超えた状態まで繰り返される。
熱流束および壁面温度は、定常状態における4本の熱電対から得られる伝熱体中心軸上の温度データを最小自乗法により補間して算出する。サブクール度は約80〜85Kである。
[数値シミュレーション]
多孔質体内の二相熱流動をシミュレーションするため、二相混合モデルを用いて評価している。本手法は、エンタルピー法に基づく計算手法であり、エンタルピーの輸送方程式を解くことにより、液相、蒸気相を判別し、また液体飽和度も評価する。二相領域における気液交換は液体飽和度から構成方程式により評価される。
【0032】
図6に、上記実験結果(伝熱特性)を示す。横軸のMass fluxは冷却液の供給量を示し、縦軸のHeat fluxは熱流束を示している。
図中のHigh、Lowは熱源からの熱入力のレベルをあらわしている。入熱条件がLowの場合、同じ粒径を有するブロンズ粒子焼結体の結果と比べると、熱流束値は壁面過熱度約50度で最大1.8倍(810W/cm2)、熱伝達率は2.4倍(1.6×105 W/m2/K)となり飛躍的に熱伝達性能が促進されていることが確認できる。
さらに高い入熱条件Highでは、壁面過熱度が100度を超えるものの(約120度)、熱流束値としてターゲットとしている1000W/cm2にほぼ達する結果が得られている(最大値955W/cm2)。
したがって、蒸気排出用のサブチャンネルを最適化すれば1000W/cm2を超える熱流束を非常に低い流量かつ低い壁面過熱度で除去することが可能となる。
500〜800W/cm2レベルの冷却では、図1で示した4本のサブチャンネルで十分機能する。800〜1000W/cm2を超える熱条件で祐度の高い冷却(壁面過熱度50度以下)を当該サブチャンネル(内径3mm、長さ20mm)にて実施する場合、6〜8本程度のチャンネルの使用が推奨される。
【0033】
上記のように本実施形態では多孔質体10の毛細管力をポンプ30の圧送力によってアクティブ化した強制流動方式としているので、設置方向に依存しない沸騰冷却装置を実現することができる。
冷却材としては、熱環境に応じて種々の冷却液(例えば、水、フロン、フルオロカーボンなど)を選択することができる。
【0034】
上記実施形態では、冷却材を強制的に供給する強制流動方式としたが、本発明に係る多孔質体10は、上記のように蒸気を迅速且つ効果的に排出する構成を有しているので、毛細管力等に基づく自立循環方式(自重供給を含む)においてもドライアウトによる不具合を防止でき、持ち得る冷却能力を最大限に発揮させることができる。
【0035】
図7に第2の実施形態を示す。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
第1の実施形態では空洞としての蒸気排出路14を受熱面12に沿って略平行に設けているため、蒸気排出路14が存在する部分はその分伝熱面積が少なく、蒸発の潜熱ポテンシャルの低下を来たすことになる。
これを抑制すべく、本実施形態では蒸気排出路14は蒸気相の中央部位16から多孔質体10の下方に向けて蒸気を排出するように配置されている。すなわち、受熱面12に対して角度を有するように斜めに配置されている。
このようにすれば、蒸気排出路14の存在によって伝熱面積が少なくなることによる冷却性能への影響は殆ど無く、1000W/cm2を超える熱流束に対応するために蒸気排出路14の本数を増やしても問題はない。蒸気排出路14は真下に延びるように配置してもよい。
なお、このように蒸気排出路14を配置した場合には、冷却液が蒸気相の生成部位へ到達する前に蒸気排出路14が存在するので、特許文献3の蒸気排気口で指摘したように、単なる空洞とせずに、冷却液が流れ込まないように金属パイプ等の管材を挿入するか、あるいは耐熱材でシールする必要がある。
【0036】
図8に第3の実施形態を示す。
本実施形態における多孔質体10には、金属製パイプによる第2のサブチャンネル46が設けられており、第2のサブチャンネル46の上端部は蒸気相の中央部位16に入り込んでいる。
すなわち、第2のサブチャンネル46は蒸気排出路14と同様に、蒸気相と多孔質体10の外部との間に連通している。
第2のサブチャンネル46の下端部はパイプ34から分岐した注入パイプ48に接続されている。
多孔質体10はケーシング50に挿入・保持され、ケーシング50は外枠52で覆われている。ケーシング50と外枠52との間には蒸気の導出空間54が形成されている。
注入パイプ48の途中には電磁バルブ56が設けられており、受熱面12の中央部には温度検知手段58が設けられている。温度検知手段58としては、シース熱電対を用いてもよい。
電磁バルブ56と温度検知手段58はマイクロコンピュータである制御手段60に接続されている。
パイプ34からの送液をせずに、第2のサブチャンネル46のみによって蒸気相へ冷却液を供給するようにしてもよい。
【0037】
制御手段60は温度検知手段58からの検知信号に基づいて発熱体24の温度を監視し、蒸気相が過度に発達してドライアウトが生じ、壁面温度が上昇する可能性がある場合には、電磁バルブ56を開いて注入パイプ48から冷却液を直接蒸気相内へ注入する。
検知温度には実験やシミュレーション等により予め求められた閾値が設定されており、検知温度がその閾値を超えたら上記注入制御(アクティブ制御)が実行される。
このような構成とすれば、1000W/cm2を超える熱流束条件下においても熱暴走を確実に回避してデバイスの基板温度を一定に保つことができる。
更に高い熱流束にも対応できるため、エレクトロニクスデバイスの更なる高集積化・小型化等にも寄与することができる。
【0038】
図9に第4の実施形態(沸騰冷却システム)を示す。
沸騰冷却システム62は、複数の発熱体24を支持するケーシング64と、該ケーシング64内に設置された複数の沸騰冷却装置65とを備えており、同時に複数の発熱体24を冷却可能となっている。沸騰冷却装置65は、ケーシング67と、多孔質体10とを有している。各沸騰冷却装置65はその多孔質体10の受熱面12が発熱体24の下面に接触するように配置されている。
ケーシング64には、各沸騰冷却装置65に対応して冷却液供給口66が設けられている。各冷却液供給口66は図示しない1つの冷却材供給手段に接続された冷却材供給管68に接続されている。
【0039】
図10に第5の実施形態(沸騰冷却システムの他例)を示す。
沸騰冷却システム70は、複数の区画部を有するケーシング72と、各区画部に挿入・保持された多孔質体74と、蒸気相とケーシング72の外部とを連通する蒸気排出路76等を有し、モジュール化されている。
多孔質体74は多孔質体10と同様の気孔構造を有し、蒸気排出路76は第1の実施形態と同様に銅製のパイプで形成されている。
このような構成とすれば、多孔質体74の受熱面の面積を拡大することができ、大面積高熱流束源78に容易に対応可能となる。
なお、本システムを実際に電子機器の冷却デバイスとして採用する場合には、ポンプを含む系統内に、別途、放熱・凝縮部、気液分離器(必要であれば)が必要となるが、車両等のインバータ冷却の場合では、現行のラジエータ技術が適用可能である。
【0040】
図11に第6の実施形態(発電システム)を示す。
本実施形態では、R141b(沸点32.1度)やフロリナートFC-72(沸点56度)など、沸点が数十度程度の低沸点液の完全蒸発による高速蒸気のエネルギーを利用して、現在最も利用が困難とされる中・低温度域の廃熱を熱源とした発電システムを構築することを目的としている。
発電システム80において、沸騰冷却装置81から排出された蒸気は小型タービン82を駆動して電気を発生させた後、凝縮器84へ送られて液化され、冷却液供給口66を介して沸騰冷却装置81へ戻される。
沸騰冷却装置81は、多孔質体10を保持したケーシング83と、ケーシング83との間に蒸気の導出空間を形成する外枠ケーシング85を有している。符号86は低温廃熱源を示している。
各種プラントにおける廃熱利用や太陽光パネルなどにおける熱電併用システムとしても応用可能である。この場合、自立運転が可能であるためランニングコストはゼロである。
【0041】
上記のように本発明によれば、サブチャンネルの採用によって冷却水の大部分を気化させることができるため蒸発潜熱ポテンシャルを最大限に活用でき、低い流量で非常に高い熱流束を輸送することができる。低流量であるため、多孔質冷却で問題となる圧力損失は問題とならない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、電気自動車のインバータ等に代表されるパワーエレクトロニクスデバイス用の二相冷却機器や、分散型小型発電機に応用できる。
【符号の説明】
【0043】
10 多孔質体
12 受熱面
14 蒸気排出路
16 蒸気相
22 沸騰冷却装置
24 発熱体
30 冷却材供給手段としてのポンプ
46 冷却材供給路としての第2のサブチャンネル
58 温度検知手段
60 制御手段
80 発電システム
82 発電装置としての小型タービン
84 凝縮手段としての凝縮器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却材が蒸発することによる蒸発潜熱により発熱体を冷却する沸騰冷却装置に用いられ、発熱体に対する受熱面を有する多孔質体において、
前記受熱面近傍に形成される蒸気相に連通して蒸気を前記多孔質体外へ排出する蒸気排出路を有していることを特徴とする多孔質体。
【請求項2】
請求項1に記載の多孔質体において、
前記蒸気排出路が、前記受熱面に沿って略平行に延びていることを特徴とする多孔質体。
【請求項3】
請求項1に記載の多孔質体において、
前記蒸気排出路は、前記受熱面に対して角度を有した状態に延び、且つ、冷却材が侵入しないように処理を施され、あるいは管材を挿入されていることを特徴とする多孔質体。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の多孔質体において、
前記蒸気排出路を複数有していることを特徴とする多孔質体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の多孔質体において、
前記多孔質体が金属粒子の焼結体からなることを特徴とする多孔質体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の多孔質体を有する沸騰冷却装置。
【請求項7】
請求項6に記載の沸騰冷却装置において、
前記多孔質体に冷却材を強制的に供給する冷却材供給手段を有していることを特徴とする沸騰冷却装置。
【請求項8】
請求項7に記載の沸騰冷却装置において、
前記多孔質体が前記蒸気相に連通する冷却材供給路を有し、前記冷却材供給手段は前記冷却材供給路を介して前記蒸気相に冷却材を直接供給することを特徴とする沸騰冷却装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の沸騰冷却装置において、
前記発熱体の温度を検知する温度検知手段と、該温度検知手段からの検知信号に基づいて冷却材の供給量を変更する制御手段とを有していることを特徴とする沸騰冷却装置。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1つに記載の沸騰冷却装置が複数の発熱体に対応して複数設けられ、各沸騰冷却装置は1つの冷却材供給手段を共用することを特徴とする沸騰冷却システム。
【請求項11】
請求項7〜9のいずれか1つに記載の沸騰冷却装置が個別に区画された状態で複数並設されてユニット化され、前記受熱面の面積が拡大されていることを特徴とする沸騰冷却システム。
【請求項12】
請求項7〜9のいずれか1つに記載の沸騰冷却装置と、該沸騰冷却装置から排出された蒸気で駆動される発電装置と、該発電装置を経た蒸気を凝縮して液化する凝縮手段とを有し、冷却材として水よりも沸点が低い低沸点液を用いることを特徴とする発電システム。
【請求項13】
発熱体に対する受熱面を有する多孔質体に保持された冷却材を前記受熱面近傍で蒸発させ、蒸発潜熱により前記発熱体を冷却する沸騰冷却方法において、
前記多孔質体に前記受熱面近傍に形成される蒸気相と該多孔質体の外部とを連通する蒸気排出路を形成し、前記蒸気相から蒸気を前記多孔質体外へ排出するとともに、前記蒸気相に強制的に冷却材を供給することを特徴とする沸騰冷却方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−196659(P2011−196659A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66638(P2010−66638)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【Fターム(参考)】