多孔質層上に試薬を含む複層化された電気化学系微小流体センサー
本発明は、微小流体の電気化学系センサー装置及び複数試薬のアッセイに関する該装置を用いた伝導性分析試験用の方法に関するものである。本発明の装置は、3層以上からなる複層体であり、該第1の層は、外部電気化学系ユニットに接続するための伝導性トラック(13)及び1つ以上の組込み電極(4)を備えるミクロ構造(5)を含むポリマー層であり、該第2の層は、微小流体の操作を可能にするように該ミクロ構造を被覆するためにはたらく非多孔性材料であり、そして該第3の層は、膜又はガラスフリット等の多孔質層(2)であり、該多孔質層は、該検体の電気化学系検出を可能とするように、試験溶液(7)との接触の際に溶解される1種以上の試薬(3)を含み、該ミクロ構造に沿って輸送される生成物を形成するために、該溶液中に存在する検体(6)と反応する。本発明は、各段階を減らし、複数試薬のアッセイの実施を特に可能にする。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
定性的又は半定量的な、化学系又は生化学系のアッセイ群の多くは、固体担体(多孔質層であることが多い)を用いて実施される。試薬は乾燥貯蔵され、そして試験すべき溶液が該固体担体を濡らすか、又は該固体担持を該試験溶液に又は接触させて置かれるか若しくは浸漬される場合に反応する。そのようなアッセイ装置類の周知例は、溶液のpHを測定するために用いるストリップか、又は免疫系アッセイ若しくは酵素系アッセイによって所与の検体の存在を診断するために用いるストリップである(それぞれ、妊娠試験又は、グルコースモニタリング等)。
【0002】
第一の場合では、当該pHを、ストリップを水溶液に浸漬して測定する。一部のpH指示薬が溶解し、そして当該溶液のpHに従ってそれらの色を変化させる。該溶液の実際のpHの当初評価を、迅速に取得することができる点で、この系は非常に便利である。やはり、実験者又は日光によって、色認知がわずかに変化することがあるので、該測定を、pH電極を備えるpHメーターの1種ほどには定量的に用いることはできない。したがって、上記ストリップは、溶液pHの半定量的評価のために用いられる。
【0003】
他の場合では、多孔質層上の乾燥試薬が、健康上のマーカー又は妊娠若しくは排卵の特別状態の測定用に、大いに普及している。そのようなストリップ類の様々の設計が、すでに開示されており(米国特許第6399398号明細書、欧州特許第025863号明細書、欧州特許第0456308号明細書、米国特許第5786220号明細書、欧州特許第1003037号明細書)、そしてそれらはすべて、一般に免疫クロマトグラフィーと称される次のアッセイの本質に基づいている:
多孔質膜は、該ストリップの種々の区分内で乾燥又は固定化された試薬と共に多孔質層として用いられ、該試薬は、抗原(試験すべき化合物又は検体)を含む試験溶液によって溶解させることができる、金コロイド又はラテックス粒子でマークされた抗体であり、該抗原は該マーク化抗体と結合し、それによって複合体を形成する;次いで、該複合体を、毛細管流動によって第2の抗体区分に移動させ、これらの第2の抗体は固定化されており、複合体を捕捉する。結果として、該抗原が該溶液中に存在する場合のみ、着色縞が、第2の抗体区分において多孔質層上に見える。この方法は、主に定性的アッセイ用に用いられる。というのは、該縞強度そのもの及び該縞強度と該抗原濃度との相関の解釈が、非常に難しいからである。大部分の分析システムにおいて、該検出は、該検出前の洗浄段階を難しくするか又は不可能とする該多孔質層内で直接得られる。
【0004】
我々は、組込んだ電気化学系検出器又は蛍光検出を用いた微小システム類(主に流体マイクロチャネル類)の定量的アッセイを実施するいくつかの方法を、早くから提示しており(J.S.Rossier and H.H.Girault,Lab Chip,1,2001,153−157;J.S.Rossier,F.Reymond and P.E.Michel,Electrophoresis,2002,23,858−867;J.S.Rossier,C.Vollet,M.Martinelli,A.Carnal,G.Lagger,V.Gobry,P.Michel,F.Reymond and H.H.Girault,Lab Chip,2002,2,145−150)、多段階反応を、種々の試薬類の一連の添加によって実施している。例えば、免疫系アッセイ類を、カバーされたマイクロチャネル表面上に抗体を固定することにで実施し、そして、ウシ血清アルブミン(BSA)でブロックした後に、当該チップは試験の準備が整うこととなる。ここで、試験すべき該抗原を含む該試験溶液は、最初に該カバーされたマイクロチャネル内に導入され、そして該ターゲット抗原類は、抗原−抗体複合体群を形成するための固定化抗体類によって特に捕捉されることとなる。洗浄段階の後、酵素で標識付けした第2の抗体を、該カバーされたマイクロチャネル内部に導入し、そして最初の抗体−検体複合体上で捕捉させる。他のブロック段階の後、基質の溶液が導入され、そして該カバーされたマイクロチャネルの壁面の1つ上に存在する電極を用いて、該基質を電気化学的手段等によって検出できる生成物に変形させるように、酵素反応が開始する。
【0005】
本システムの性能は、満足できるものであるが、種々の試薬類の継続的な搬送、並びに時間がかかりかつアッセイの再現性を低くすることとなる煩わしい操作は、ミクロシステムの周りの非常に大きな基礎構造を意味することとなる。大きなオートメーション化システムを用い、これら多段階を実施し、そして種々の試薬類の分注を制御することができる。用いる分野及び用途に従って、移動可能なシステム上で、未熟な作業者が、複数試薬類のアッセイを少ない段階で実施することができる装置に対する要求が多い。本発明は、上記要件を満たす装置類、並びに本装置を用いる上記複数試薬試験の実施方法を開示するものである。
【0006】
上述の様に、該試薬を含む多孔質層と、次いで、溶液及び乾燥試薬間に生じる反応の定量的な結果を与える等のための測定セルから構成されるストリップに対する要求がある。そのようなストリップは、酵素アッセイ(グルコース試験等)中の適用と共に存在し(米国特許第6241862号明細書、国際公開第0173124号明細書)、該電気化学系分析が、電気活性表面を保護することによって、該試験ストリップ上で直接に該試薬を提供するだけでなく、ヘマトクリット濃度の妨害をも避ける等のためのスクリーン印刷された電極のトップ内で、試薬類を含む膜を用いてなされる。
【0007】
センサーの近くに置かれている膜類が、Scheller(ドイツ国特許第4216980号明細書)によって提案されている他のタイプのデバイス内でも用いられている。この例では、試薬を伴う半透膜が、電気化学系トランスデューサと接して直接置かれている。この例では、同一デバイス上で、反応及び検出させることが可能である。本発明では、試薬を含む該多孔質層は、該装置のセンサー部と接触して置かれていないが、これら2つの部分(多孔質層及びセンサー部)は、流体接続部(一般的に、マイクロチャネル等のミクロ構造)によって分離されており、試薬及び検体を該装置の検出部に移動させることが可能である。本発明の実施形態の一部では、該検出部は、第2の試薬を含ませることが可能である該流体接続部内に組込まれており、(好ましくは、該流体接続部の上で固定化及び/又は乾燥されている)。該流体接続部を、反応の後、洗浄段階を導入するために用いることもできる。例えば、結合していない結合体を取り除くため、電気化学系トランスデューサ上に直接存在する該膜は、該膜中に存在する望ましくない材料を、検出される該ターゲット検体から分離することができないことを意味している。
【0008】
他の公表(国際公開第9414066号明細書)では、当該著者達が、小検体が膜を通過することによって電極表面に達することができるように、電極上に該膜を置くことを提案しており、一方、当該抗体−検体複合体群は、それを超えやすくないので、該電極と直接接しやすくない。我々の発明では、該接続流体を経由して該装置の該検出部へ移動させる前に、該膜に浸透させかつ該膜を越えさせる試薬を担持(host)させるために、該膜が用いられる。
【0009】
電極トップ上の膜を提示する他のデバイス(フランス国特許第2692357号明細書)では、その目的は、マイナスに帯電した層内にプラスに帯電した検出可能種を集めることである。
【0010】
国際公開第02090573号明細書では、透過性層が、該電極上の規定距離において存在し、一部の親和性分子群が存在でき、そして電気化学系分析を実施することができる。この配置は、該透過性層内にあらかじめ存在する試薬を搬送させず、さらに、該流体接続部を備える我々のシステムの場合のようには、該検出領域に向かって制御された流体輸送を可能にはさせないものである。この公知システムは、該検体の事前濃縮用に用いられるが、複数段階の反応用には用いられない。
【0011】
種々の公知のデバイス類は、目視又は読取り機のどちらかによって半定量的な様式で、検体の検出のため、ポリマー担持と膜とを結合する。英国特許第2345133A号明細書では、当該著者達は、試薬を含む膜と接触させて固体担持を置き、そして当該デバイスが検体の存在を検出することができる。この場合では、さらなる分離又は増幅のため、試料のさらなる操作を可能とする微小流体手段(マイクロチャネル等)が無い。米国特許第5338513号明細書では、装置が、結合体層及びプレ反応層をもって説明されており、そして液体輸送層が該2つの層に接続している。該接続層は、一方から他方の層へ運ぶために用いられる吸収性材料から作られるが、反応種、外部手段を経由した流体のポンピング、又は洗浄段階若しくは多段階アッセイ類の達成のこの種の微小流体操作を可能にするマイクロチャネルと同様には、容易にそれを空にするか又は洗浄することができない。米国特許第5451350号明細書は、対照的にマイクロチャネルの事例であり、デバイスが提示され、多項性材料で満たされた種々のチャンバーが吸収性材料を介して接続されている。当該溶液を、微小流体操作を介して、あるチャンバーから他のチャンバーへ通過させることを防止し;当該溶液は、吸収性コネクタ(再度、水洗、洗浄又は空にすることはできない)を介してのみ運ぶことができる。欧州特許第0239174号明細書では、ろ過された生物学系試料を当該デバイスのアッセイ部の方に移動させるように、基質が、ろ過器と直接接して微小溝と構造化されている。該システムはまた、微小流体操作(該試料の収集又は洗浄等)に対応することができない輸送システムである。欧州特許第0974840A2号明細書では、膀胱が加工され、試料(検出領域の方にさらに運ばれる)が回収されている。繰り返すこととなるが、微小流体工学を実施する手段は、記述されておらず、そして生じる当該反応は凝固反応なので、いかなる洗浄又はさらに反応試料を移動させることが妨げられてしまう。国際公開第00/62060号明細書には、当該分子が、いわゆるリテラルハイブリッドデバイスと接して置かれており、かつさらなる微小流体操作を可能にする微小流体の特徴を含まない多孔質層を介して側面に沿って運ばれるシステムが開示されている。英国特許第2322192A号明細書では、当該デバイスは、種々の材料からつくられており、材料の一つは、ラベル化試薬を有する領域の方に当該溶液を移動させることを可能とする多孔性の液体伝導性材料であり、例えば、縞を改良する(具体的には、当該抗原の捕捉を露呈する)ように、当該多孔性材料中で固定化される抗体を敷いた上に当該溶液を導入する。この開示には、反応した試料分子の微小流体操作を可能にする任意のミクロ構造は含まれない。他の出願(国際公開第0042430A1号明細書)では、種々のウィッキング部のそれぞれの中で種々の検体を試験するために、キャピラリ構造が用いられ、当該試料を種々のウィッキング部へ運んでいる。このシステムは、多孔質膜に担持されている種々の反応体の中に該試料を分配するように、微小流体操作を有利に用いることができる。
【0012】
一方、本明細書の下記に記述されるように、数多くのセンサー類が、固体担体中に作成されているが、該固体担体類は、試料の取り込みのための多孔性材料を含んでいない。例えば、国際公開第93/22053号明細書には、固定化試薬を含む種々の反応体類を用いて試料の検出を可能とする中規模デバイスが記述されている。該出願では、試薬を当該試料溶液内部に放出することができる多孔質層との結合は示されていない。国際公開第99/35497号明細書では、キャピラリ内部の溶液の凝集を進行させる試薬で満たされたキャピラリデバイスが記載されている。次いで、キャピラリ内部の流体工学作用が欠如することによって、当該検出が実施されている。もちろん、反応後、当該試料の任意の微小流体操作を防止している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
分析試験類、特に微小流体のアッセイシステム類では、該検出シグナルは、一般的に反応体の幾何学的特性と流体力学とに強く依存する。電気化学系センサー類では、該シグナルは、電極のサイズ及び形状と、該電極における拡散とにさらに依存する。良好に規定されたミクロ構造形状と、制御された電極のサイズ及び位置とのため、本発明は、定量的かつ高感度のアッセイ用に特に適合させた微小流体の電気化学系センサーを提供する。検体と反応しやすい化合物を組込んだ多孔質層を備える本発明に記載の単一の装置内で、組込まれた試薬と、電気化学系手段と、微小流体工学との組み合わせは、使用者から全アッセイの段階数を減らし、そして操作類と外部干渉と複雑化手段の使用とを減少させる。一方、簡単でかつ有効な洗浄と、基質の定温放置又は制御された微小流体工学及び検出とを維持する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、請求項1又は2に記載の微小流体のアッセイ装置と、請求項13に記載の微小流体アッセイを実施する方法とを提供する。本発明の好ましい又は随意選択的な特徴類を、従属請求項に記載する。
【0015】
本発明の装置(本明細書の下記にて「試験ストリップ」とも称する)は、3種以上の材料層で構成される複層体であり、すなわち次の通りである:
(a)第1に、ミクロ構造(一般的に、マイクロチャネル又はマイクロチャネル類のネットワーク)を1つ以上含む流体接続部を1つ以上有するポリマー層であって、該ミクロ構造は、インレットを1つ以上及びアウトレットを1つ有し、そして検出部を1つ以上形成するような、所与の場所及び位置において該ミクロ構造を組み込む微小電極を1つ以上含み、該微小電極の1つ以上は、該第1のポリマー層と接触する導電性トラックを介して、外部電気化学系ユニット(ポテンシオスタット、電源、インピーダンス測定装置等)と接続されているポリマー層;
(b)第2に、該ミクロ構造を経由した当該溶液の微小流体操作を可能にする密封ミクロ構造を形成するような、該ミクロ構造をカバーするためにはたらく非多孔質層(ラミネーション層等);
(c)第3に、多孔性材料(膜等)から作られるか又は多孔性材料を含む多孔質層であって、該ミクロ構造の該インレット及び/又はアウトレットにおいて該第1のポリマー層と接して置かれており、該第3の多孔質層は、乾燥試薬を1種以上含み、該組込み微小電極の1つ以上を経由して該試験溶液中に存在する検体の電気化電気化学系検出を可能にするために、該乾燥試薬が検体(該試験溶液中に存在する)と作用して、試験溶液との接触の際に溶解されかつ該微小流体のミクロ構造内部にさらに運ばれる生成物(抗原−抗体複合体等)を形成する多孔質層。
【0016】
他の実施形態では、試験溶液中に存在する検体の一部又は該試験溶液中に存在する望ましくない化合物のいずれかを捕捉するように、本発明の装置の該多孔質層中に含まれる該試薬を、該多孔質層中に付加逆的に固定化させることができ、該精製試験溶液又は過剰の該検体のぞれぞれのみが、該組込み電極を用いて精製試験溶液中に存在する検体又は過剰の検体のぞれぞれのいずれかの検出を可能とするように、該ミクロ構造内部に運ばれる。
【0017】
さらなる実施形態では、溶液中に存在する試薬と反応する前に、1又は複数の該組込み電極を用いて該検体の検出を可能にするように、該ミクロ構造内部にさらに運ばれる生成物を形成するため、検体を本発明の装置の多孔質層中に可逆的に固定化する。
本発明の装置の該第1のポリマー層は、任意のポリマー材料から作ることができ、そして該ミクロ構造を、微細加工用に用いられる一般法(プラズマエッチング、レーザーフォトアブレーション、射出成形、エンボス加工、UVLIGA、ポリマー注入成形又はシリコーン技法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない)で加工することができる。
【0018】
本発明では、第2の非多孔質層は、該ミクロ構造の防水性シーリングを可能とする任意の材料から作ることができる。例えば、ポリマー又はガラスが、本目的に用いるために有利である。本発明の装置を作成するために、該第2の非多孔質層は、該第1のポリマー層(微小流体操作類を可能とするために被覆する該ミクロ構造を含む)上に、例えば、積み重ねられ、結合され、プレス加工され、接着され又はラミネートされていてもよい。ポリマー箔(ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド等から作られる)を、該ミクロ構造を被覆するように、該第1のポリマー層上に加温及び加圧下でラミネートすることができる。
【0019】
本発明の実施態様のひとつでは、該ミクロ構造の該インレットが、該装置の該第1ポリマー層中に形成され、一方、本微小流体の構造体の該アウトレットは、該第2非多孔質層中に形成される(該第2層中のアクセスホールの加工等)。あるいは、該ミクロ構造の該アウトレットが、該装置の該第1ポリマー層中に形成され、そして本微小流体の構造体の該インレットは、該第2非多孔質層中に形成される。さらに、該ミクロ構造は、複数のインレット類及び/又はアウトレット類を含むことができる。
他の実施形態では、該第2非多孔質層はまた、ミクロ構造、電極及び/又は導電性トラック類を含むことができる。
【0020】
該第1ポリマー層中に組込まれた微小電極と、該導電性トラック類とを、金属又は伝導性インクから作ることができる。それらを、他の金属(金、銀又は白金等)で被覆された銅等、又は塩(塩化銀等)で被覆された銀等の複数の材料で作成することができる。それ以外では、該ミクロ構造中に存在する該溶液と接触させるために該第1ポリマー層中に組込まれた該微小電極が、該ポリマー層の外部面上、該ミクロ構造と反対に置かれ、かつ該ミクロ構造から導電性材料を分離するポリマー材料を排除するように開かれていてもよく、従って、例えば、プラズマエッチング又は光アブレーションを用いて実施することができる凹部を設けた電極を作成することができる。本発明の他の実施形態では、該第1ポリマー層を、共に密封及び/又は積み重ねられている2種の異なるポリマー体によって形成することができ、第1ポリマー体は、微小電極をさらすためのマイクロ孔と、インレット及びアウトレットを備えた所望のミクロ構造とのみを含み、そして第2ポリマー体は、該ミクロ構造の該インレット及び該アウトレットに接続するためのアクセスホール類と、該導電性トラック類とのみを含み、両ポリマー体は、該第2体の該伝導性トラック部分が、該ミクロ構造にさらされた凹部を設けた電極を形成するように、該第1体のマイクロ孔と接続して置かれている様な様式で共に密封及び/又は積み重ねられている。
【0021】
解釈を簡潔にするため、本明細書において、用語「検体」は、本発明の装置を用いて分析すべき任意の化合物を指す。一般的に、該検体は、試験溶液に部分的に又は完全に溶解する分子であり、そして該多孔質層内に存在する試薬と反応した後、該検出に影響を与えることができる。実施形態によっては、該検体は、該多孔質層内に置かれた該試薬との反応の後、直接検出することができる場合もある。他の実施形態では、該検体が、例えば、一般的な酵素又は免疫系等のアッセイ(媒介物及び/又は基質が、外検体の濃度及び/又は数を直接的又は間接的に評価するため、検出される生成物を生成する)内のように、間接的に検出される。該検体には、プロトン類、金属イオン類、小代謝産物類、キナーゼ類、抗体類、抗原類、オリゴヌクレオチド類、DNA、RNA、ペプチド類、たんぱく質類又は7量体(haptamer)類並びに他の化学系、生物学系又は生化学系の重要化合物が含まれる。
【0022】
本明細書では、用語「試薬」は、該試験溶液中に存在する種(好ましくは検体)とのカスケード反応又は特定反応を誘導するか又は反応させることができる種々の分子の混合物又は分子を指す。該試薬は、固定化され、乾燥され、粉体として置かれ、凍結乾燥され、又は該多孔質層によって担持される濡れた媒体中に置かれていてもよい。
【0023】
本明細書では、用語「試験溶液」(以下の本明細書中で「試料溶液」とも称する)は、試験すべき該検体又は該試薬を含む任意の溶液を指す。実施形態によっては、本発明の装置に試験溶液を適用することで、該多孔質層内に置かれている該試薬が溶解し、それによって、検体及び該試薬の間で行われる反応が可能となる場合がある。実施形態の一つでは、該多孔質層の上に置かれている該試薬及び試験すべき該検体が置き換えられ、その結果該検体は該多孔質層上に置かれており、一方、該試験溶液は、1又は複数の試薬のみを含むこととなる。
【0024】
本明細書では、「多孔質層」は、試薬を担持するためにはたらく手段であり、該多孔質層は、該多孔質層の上又は周囲を通過する該試験溶液が、流体接続部に沿うか又は横切って流れることによって、該検出部まで届くことができるような様式で置かれている。該多孔質層は、膜(PVDF又はセルロースベースの膜等)、フリットガラス、キャピラリ又はマイクロチャネル、ビーズ、ビーズベッド、モノリシックカラム等であることができる。実施形態のひとつでは、1つ以上の多孔質層が用いられ、該同一の試験溶液を用いてカスケード又は平行のどちらかで、多数の反応を実施する。実施形態によっては、反応類のカスケードを実施するために、複数の多孔質層が、一方が他方の上に置かれていても良い場合がある。他の実施形態では、1つ以上の多孔質層が、種々の試薬類を担持するために用いられ、ひとつは該検体(抗原−抗体複合体を形成する等)と直接反応するようにはたらき、そして少なくとも第2のひとつは、溶液(水又は緩衝溶液等)の適用によって、該装置の該検出部において他の試薬(酵素基質等)を導入するようにはたらく。本配置では、該試験溶液は、一般的に、1つの多孔質層のみを通過し、他の溶液は、該カスケード反応を実施するために要求される1又は複数の他の試薬を溶解するために用いられる。実施形態によっては、該多孔質層は、血液細胞からの血しょうの分離を可能にし、さらに1又は複数の該試薬と該結晶中のターゲット検体との反応を可能にする膜類のアセンブリ又は膜類である場合がある。
【0025】
本明細書では、用語「流体接続部」は、層流によって、該試験溶液を該多孔層から該装置検出部に移動できる手段を指す。実施形態のひとつでは、該流体接続部は、良好に規定された幾何学性を有し、かつポリマー材料中で生成されたキャビティー又はミクロ構造である。本発明の実施形態のひとつでは、該ミクロ構造は、流体の取込み及び/又は抜き取りのためにインレットを1つ以上及びアウトレットを1つ有するカバーされたマイクロチャネル類又はカバーされたマイクロチャネルのネットワークである。本発明の他の実施形態では、該ミクロ構造に沿って溶液の層流を維持し、微小流体操作が可能となるように、該ミクロ構造は、1mm未満の断面寸法を1つ以上有するマイクロチャネル(又は、マイクロチャネル類のネットワーク)である。該流体接続部が、カバーされたマイクロチャネル又はキャビティーで構成される場合、該試験溶液又は他の液体の移しかえ、及び/又は流体接続部の洗浄、及び/又は該装置の該検出部にさらなる試薬の供給等のため、該試験溶液又は他の液体に、圧力をかけるか又は吸引することによって流動させることが可能である。実施形態によっては、該流体接続部は、追加の分離及び/又は反応を実施するように、媒体(固体、ゲル、ゾル−ゲル等)、多孔質膜、モノリシックカラム、ビーズ又はパックビーズ(packed beads)も含むことができる場合がある。試薬を、さらなる分離又は反応を可能とするように、該媒体中又は該媒体上で固定化又は乾燥させる(物理吸着類又は共有結合等によって)ことができる。他の実施形態では、該装置は、複数試薬類を一連に又は平行して該検出部に供給するように、1つ以上の流体接続部を含む。他の実施形態では、該流体接続部は、試薬(抗体、抗原、酵素、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、ペプチド、たんぱく質、細胞、配位子、受容体等)であって、該流体壁上で乾燥されるか、又は該流体接続部の壁上若しくは該流体接続部の少なくとも一部内に置かれている担持手段(ゲル、ゾル−ゲル、ビーズ等)の中で固定化(物理吸着、共有結合等)できるものを含むことができる。他の実施形態では、該流体接続部は、外部手段(ポンプ又は分離若しくは検出装置等)に装置を接続するようにはたらく。他の実施形態では、該流体接続部は、ポンピング手段(電気浸透の生成を可能とする電極等)を、直接含む。
【0026】
本明細書中で、用語「検出部」は、分子の存在又は濃度を、理解可能なシグナルに定量的又は定性的に変換するための手段を指す。本発明において、該検出部は、一つ以上の導電性手段(すなわち1又は複数の電極)であって、正確な形状及び位置で流体接続部中に直接組込まれ、そして電気化学系の測定を実施するか又は重要化合物の検出を可能にする電気化学系反応を誘導するために適合されているものを含む。この様式において、当該使用者は、1又は複数の該電極で、電子又はイオン転移反応類(ボルタメトリー又はアンペロメトリー測定等)を実施させるか、又は電気化学的ルミネセンスにおける場合等のように光学検出システムのような他の手段によって検出可能な生成物を電気化学的に生成させるか、又はエレクトロスプレーイオン化質量分析の場合のように、質量分析計によるさらなる検出のために溶液のスプレーを形成させる。従って、本発明の実施形態のひとつにおいて、該検出部は、該導電性手段に加えて、化合物の光学検出を可能にする手段(光学的に透明な窓又は導波管等)を含むことができる。他の実施形態では、該検出部は、行われるさらなる反応を可能にする固定化分子を含むことができる。
【0027】
本発明では、該検出部は、該流体接続部内に直接組込まれている。例えば、1又は複数の電極(好ましくは1又は複数の微小電極)を、伝導性部分形状のカバーされたマイクロチャネル内に組込むことができる。一般的に、該電極類は、該流体接続部を支える該ポリマー層と接して電気伝導性トラック類を経由して、電気化学系パワーの外部源に接続されており、従って、該試験溶液中に存在する検体濃度に関する電気化学系シグナルの測定等が可能になる。一定の適用において、電極類のアレイは、該検出シグナルを増幅するための検出手段として有利にはたらく。
【0028】
他の実施形態では、該電極又は電極アレイを、望ましくない種の反応、付着物及び/又は吸着を防ぐ防護手段によって被覆することができる。例えば、膜又はガラスフリットを、この目的のために用いることができる。
【0029】
本デバイスでは、該マイクロチャネル内部で行われるさらなる微小流体の段階のため、該試料溶液は、マイクロチャネル又は他のミクロ構造(該試料が、該試薬の残部から分離され、吸着され、清掃され、又は扱われることができる)内にポンピングされる前に、多孔質層を越える。これは、公知の妊娠試験システム等の、該検出及び該反応の両方が、該多孔質層内部で実施されるシステムとは基本的に異なるものである。本発明によって、少量の豊富たんぱく質類(例えば、低濃度中のTSH等のホルモン等)の検出が可能となる。というのは、当該反応試料が該マイクロチャネル内部の該多孔質層から移された後に、未反応の検体の当該ノイズを取り除くことができるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1及び図2は、試験ストリップを示すものである。該試験トリップは、ポリマー層101内に形成され、微小流体接続部を可能にする1つのインレット5'及び1つのアウトレット5''を備えるカバーされたマイクロチャネル5、第2に、該マイクロチャンネルを密封するようにはたらく非多孔質層103、第3に、多孔質層2と、該マイクロチャネル中に組込まれ、かつ導電性トラック類13を経由して外部の電気化学系ワークステーションに接続される検出部4とから構成されている。一般に、該多孔質層2は、該第1ポリマー層上に積み重ねられた膜であって、種々の異なるアクセスホール類及び1又は複数のマイクロチャネルを含むものを含み、この例において該マイクロチャネルは、該試験ストリップの該検出部に組込む流体接続部としてはたらく。
【0031】
図3に示すように、試薬3は、該多孔質層2に固定化されている。図4に示すように、次いで、検体6を含む試験溶液7が、該多孔質層2を経由して導入される。該検体は、該試薬3と反応し、図5に示すように試薬−検体生成物6'を形成する。図6に示すように、該検体−試薬及び過剰の試薬は、該流体接続部を経由して、該検出部まで運ばれる。当該推進力は、遠心分離、加圧、吸入、圧電性ポンピング等によって誘導されるポンピング、電気輸送流動又は毛細管流動であることができる。
【0032】
本発明の目的のひとつは、複数試薬の親和性アッセイ類のために特別に設計された試験ストリップをさらに提供することである(図7及び図8)。該試験ストリップ類は、好ましくは乾燥状態で、結合体8等(酵素+DNA又は酵素+抗体等)の試薬を含む多孔質層2(セルロース又はPVDF膜)から構成される。該多孔質層は、検出部4の近部及び/又は検出部4上で、捕捉親和性分子9(DNA又は抗体等)で被覆されたミクロ構造5(一般的に、カバーされたマイクロチャネル類の1つ又はネットワーク)の入口の1つ5'上に設置されている。該捕捉抗体類は、この例において、該流体接続部の壁上及び該装置の該検出部上に固定化されている第2の試薬を構成する。
【0033】
該検出部4は、例えば、電極、イオン選択性膜、光学的窓(optical window)、導波管(waveguide)又はナノスプレー先端を含み、そして試験溶液中の検体の定性的及び/又は定量的検出を可能にする。
【0034】
図8に示される好ましい実施形態では、該試験ストリップは乾燥され、そして検体10(抗原等)を含む該試験溶液が、該多孔質層(PVDF膜で被覆されたBSA等)であって、該試験溶液の添加で溶解され、かつ捕捉抗原9で被覆されているミクロ構造5(カバーされたマイクロチャネル等)内に設置される該装置の該検出部にさらに運ばれる生成物10'を形成するように、該検体10とさらに相互作用する結合体を含むものと接触して置かれている。該結合体(ここで酵素で標識付けられた)は、該多孔質中で反応し、ここで抗原−結合複合体である生成物10'を形成する。
【0035】
該抗原−結合複合体は、カバーされたマイクロチャネル内部で、捕捉抗体類によって捕捉されることとなる。図9に示すように、該検出部の近くに存在する該溶液は、結合分子及び非結合分子、すなわち該抗体と結合したか又は結合していない抗原−結合複合体10'と、該抗体と結合していない過剰の結合体11とを含む。該非結合種11を取り除くために、洗浄溶液をミクロ構造内に注入する。図10は、該試験溶液の通過と、可能な洗浄段階との後、該試験溶液に添加できるか又は該ミクロ構造中に導入できる基質分子12を示している。次いで、該基質分子を、酵素反応等によって、該検出部のところで検出可能な生成物に変える(電極上での還元若しくは酸化、又はルミネセンス等によって)。
【0036】
他の実施形態では、該マイクロチャネルは、乾燥基質12を含む第2多孔質層とともに補助的なアクセスホールを含む(図11)。次いで、該担持されている基質の溶解と、該マイクロチャネル内への導入とのため、緩衝溶液を該第2多孔質層に適用し(図12及び図13)、該基質を該ミクロ構造の該検出部のところで、測定可能な生成物に変化させる。随意選択的ではあるが、該第2多孔質層を経由して該緩衝剤の輸送及び免疫系反応の間の洗浄段階は必要ではない。
【0037】
場合によっては、本発明の装置は、多孔質層を経由するか又は直接外部ポンピングシステム手段によって、種々の試薬類の添加を可能にするような、該検出部等に入れるため2個以上のアクセスホール(インレット及びアウトレット)を含むことができる場合もある。図14では、2個のアクセスホール類が、多孔質層で被覆され、そして第3のアクセスホールは、外部流体装置に接続されるか又は通気手段としてはたらくように自由である。
【0038】
図15は、Y字形状を有するカバーされたマイクロチャネルネットワークを含んでおり、この例では、組込み電極4の検出部に接続される多孔質層2を示している流体接続部を備える試験ストリップの上面図であり、該電極類は、伝導性トラック類又は導波管類(13)を備える外部電気化学系ユニットに接続されている。
【0039】
図16及び図17に示されるように、読取装置15内で該試験ストリップの抜き取りを可能にする機構14又はレジストレーションホール類、並びに該検出部に組込まれた電極類に接続するために導電性トラック13等の該微細流体の試験ストリップ内に、種々の他の特徴が存在する。該試験ストリップの該検出部は、金属接点18及び伝導性トラック類13を経由して接続されている。該流体接続部は、流体の導入/抜き取り、及び/又は制御のために、流体界面17と接続されている。該読取装置は、該試験ストリップ内で流体制御の実施を可能にし、溶液リザーバ16を用いた試薬の搬送及び吸入と、検出及び随意選択的に検出シグナルをスクリーン19上に送られる総合的な解釈への転換とを含む。該情報は、該装置内に保存されるか、又は電子メール、SMS、ファックス、電話機等を含む種々の電気通信手段等によって中央情報センターに送られるかのどちらかとすることができる。該アセンブリは、該装置を用いた診断への薬物療法の適合等の療法診断(theranostic)のシステム内に入れる手段として、系統的なモニタリング装置としてはたらくことができる。
【0040】
図17に示すように、該装置に該試験ストリップを簡単に接続するために、該試験ストリップ中のレジストレーションホール類14及び該読取装置中の対応する機構類が存在できる。
【0041】
他の実施形態では、試料を抜き取り、そして任意の時間及び場所で分析を実施するために、該試験ストリップを、本体の流動体と接して任意のデバイスに組込むことができる。実施形態(図18及び図19)によっては、該試験ストリップは、改良シリンジ20の外部壁と接触しており、そしてシリンジ中のホールは、試料の抜取りの間、該試験ストリップと該多孔質層とを接触させるため、他の本体の流動体又はブラッド21を可能とする場合がある。該シリンジは、既述した最終読み取りを実施するように、読み取りデバイスと接して設置されていてもよい。該ストリップを含む該デバイスは、本体の流体類と接したカテーテル、チュービング若しくは他のピペット先端類又は保存用バッグであることができる。
【0042】
図20は、複数試薬試験(例えば、免疫系又は酵素アッセイ)の実施と、総合的なシグナルの作成とをするように、読み取りデバイス15に接続されている改良シリンジの図である。随意選択的に、該試験ストリップのみを取り上げ、そして図17の当該スキームと同様に、読取装置と接して設置することができる。ある場合には、該装置を、該シリンジそのものの中に組込むことができる。
【実施例】
【0043】
例1:pH測定
第1の実施形態では、種々の試験溶液の中で試験すべき該検体は、当該プロトン濃度、すなわち該溶液のpHである。図1〜図6に示される装置において、アミノフェノール(1mM)が、セルロース膜の該多孔質層中で、乾燥試薬として用いられる。該膜を、流体接続部としてはたらくミクロ構造の入口のところに設置する。該ミクロ構造は、〜40μm厚のポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート層によって被覆される75μmのポリイミド層から作られた60μmの深さのマイクロチャネルである。該検出部は、直径約50μmを有し、かつ電気めっきによって金被覆された銅で作られている2つの微小電極のアレイにある。該微小電極類は、マイクロチャネル壁の一部であり、そして約15μmの凹部を示す。該微小電極類は、電気化学系測定を可能にする可動式ポテンシオスタット(Palm Instruments,NL)と接続されている金/銅電気トラック類を経由して、外部ポテンシオスタットと接続されている。
【0044】
該試験溶液が該膜に達すると、該試薬が溶解され、該検出部に運ばれる。該マイクロチャネル内に存在する該電極と、該膜と接する銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極とのため、該溶液のサイクリックボルタンメトリーが実施され、該装置の該検出部内でアミノフェノールが酸化される。アミノフェノールの酸化電位は、溶液中に存在するプロトン濃度によって決まり、したがって、当該酸化波形が、図21に提示するように、該試験溶液の種々のpH値に対応して種々の電位のところにあらわれる。
【0045】
該溶液のpHが変化すると、該酸化電位は、Ag/AgClに対して、約300から−50mVへの転移を観察することができる。該試験溶液のpHの較正を、図22に提示するように行うことができる。該膜の役割は、該試薬を提供することと、粒子類、細胞類又は巨大たんぱく質等の望ましくない種を保持することとである。
【0046】
例2:酵素反応(ケースI:多孔質中の媒介物又は基質)
さらなる実施形態では、該多孔質中に置かれている該試薬は、H2O2の存在下で酵素ホースラディシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)の酵素検出内で、媒介物としてはたらくヒドロキノン(HQ)であり、当該メカニズムは、既に他の場所で記述されている(Rossieretal.Lab−on−a−Chip,2001,1,153−157)。
【0047】
次の状態が、図23に示されている:
A)pH7.2のりん酸緩衝生理食塩水溶液(PBS)中の、10mMのヒドロキノン及び10mMのH2O2の混合物のサイクリック・ボルタンモグラム;
B)溶液に添加されるHRPを用いた、pH7.2のりん酸緩衝生理食塩水溶液(PBS)中の、10mMのヒドロキノン及び10mMのH2O2の混合物のサイクリック・ボルタンモグラム;
C)ヒドロキノンを試薬として該膜中に固定化し、そしてH2O2及びホースラディシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)が、pH7.2のりん酸緩衝生理食塩水溶液(PBS)中で、試験溶液として用いられている、図1〜6に示される該装置とともに得られるサイクリック・ボルタンモグラム;
D)ヒドロキノンを該膜中に固定化せず(すなわち試薬のない条件)、そしてH2O2及びホースラディシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)が、pH7.2のりん酸緩衝生理食塩水溶液(PBS)中で、試験溶液として用いられている、図1〜6の該装置とともに得られるサイクリック・ボルタンモグラムのブランク;
E)HRPが試薬として該膜中に固定化され、該膜は5%のBSAでブロックされており、そしてH2O2及びヒドロキノンが、pH7.2のりん酸緩衝生理食塩水溶液(PBS)中で、試験溶液として用いられている、図1〜6の該装置とともに得られるサイクリック・ボルタンモグラム。
【0048】
HRP、HQ及びH2O2を共に混合し、そしてマイクロチャネル内に置くと、図23のラインBに示すように、還元電流を検出することができる。HQ及びH2O2の存在のみを伴って、当該カソード電流がラインAに示されるように充分に小さくなるように、還元電流を制御することができる。HRP及びペルオキシダーゼを含む試験溶液が、HQを含む該膜(多孔質層)に到達すると、該試薬(HQ)は溶解し、そして検出ラインCで例証されるように、電気化学系の検出を実施する該検出部に導かれる。
【0049】
酵素の存在下で、該膜中に該HQが存在しない場合のベンゾキノンの還元波形を観察し、これは対照実験として実施するものであり、図23のラインDとして示す。
【0050】
例3:酵素反応(ケースII:多孔質層内の酵素)
他の実施形態では、該試験溶液によって溶解するように、該酵素を該膜中に固定化する(ここでは、HQ/H2O2)。HRPが、該膜中で最初に乾燥されたところで該反応が生じ、そして図23のラインEに示すように、該酵素を伴う該溶液が、該検出部の方に運ばれる。該検出部の方への該酵素の転置及び溶解を有利にし、該膜中で該酵素の重大な非特定吸着を避けるため、ウシ血清アルブミン(BSA)でプレコートすることができる。
【0051】
例4:親和性アッセイ
この例では、該検出部は、親和性分子(たんぱく質又はDNA鎖等)で被覆されている。アビジンを、該マイクロチャネルの表面上に被覆することができ、そしてビオチン化DNA捕捉プローブが、アビジン上に吸着される。該多孔質層中の該試薬は、DNA−HRP結合体であり、他の場所で記述される(Rossier JS et al.,CHEManager,2002,3,28−32)。該試験ストリップ全体は、乾燥し、そして該試験溶液が該多孔質層の上に置かれている。該試験溶液中に存在する該検体は、該多孔質層中に存在するDNA−HRP結合体に対して相補的なDNA鎖である。両検体及び試薬を、複合体化することができ、そして該マイクロチャネル内部で該検出部の方に運ぶことができる。そこで、該捕捉プローブが、該検体と反応し、該複合体を捕捉することができる。未固定化DNAプローブを取り除くために、未接続インレット上で該ミクロ構造に接続されたポンプを用いて、洗浄溶液を、該ミクロ構造を経由し、該装置の該検出部の上にフラッシュすることができる。最後に、10mMのHRP及び10mMのH2O2の溶液が、該検出部(酵素反応が生じ、そしてBQ媒介物の還元によって検出可能な)に導かれる。他の実施形態では、緩衝剤を、該多孔質層を通過させることと、当該流れを該検出部の方に向けることとによって、該基質媒介物の溶液を他の多孔質層から持ち込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本発明を、添付の図面に関して、例のみの目的で、本明細書の下記に記述する。
【図1】図1は、本発明に従う試験ストリップ例の上面図である。
【図2】図2は、図1の該試験ストリップの側面図である。
【図3】図3は、該多孔質層中に置かれている該試薬を示す該試験ストリップの側面図である。
【図4】図4は、測定すべき当該検体を含む該試験溶液を示す該試験ストリップの側面図である。
【0053】
【図5】図5は、生成物を形成する該多孔質層中の該試薬と反応する該検体を示す試験ストリップの側面図である。
【図6】図6は、該検出部の該流体接続部を経由して運ばれる過剰の試薬及び該検体−試薬を示す試験ストリップの側面図である。
【図7】図7は、検体の免疫系の検出のために用いられる本発明に従う試験ストリップに従う側面図である。
【図8】図8は、該試験溶液の析出後の、図7に示される試験ストリップと同様の試験ストリップの側面図である。
【0054】
【図9】図9は、該結合体及び検体を該流体接続部及び該検出部中に移動させた後の、図8の試験ストリップの側面図である。
【図10】図10は、該流体接続部の洗浄と、基質分子の分注との後の、図9の該試験ストリップの側面図である。
【図11】図11は、図10の試験ストリップと同様の試験ストリップの側面図であり、該基質分子は、第2の多孔質層中に置かれている。
【図12】図12は、該検出部内部の該基質の分注及び溶解後の、図11の試験ストリップの側面図である。
【0055】
【図13】図13は、図12の試験ストリップと同様の試験ストリップの側面図であり、該流体接続部の該アクセスホール群は、ひとつが該試験ストリップの頂部に、ひとつが該試験ストリップの底部に設置されている。
【図14】図14は、2つ以上のアクセスホール群を備える試験ストリップの側面図である。
【図15】図15は、カバーされたマイクロチャネルネットワークを含む流体接続部を備える試験ストリップの上面図である。
【図16】図16は、本発明に従う読取装置及び試験ストリップの図である。
【0056】
【図17】図17は、図16の該読取装置内に設置されている図16の該試験ストリップの図である。
【図18】図18は、シリンジのエッジ上、試験ストリップで改良した該シリンジの図である。
【図19】図19は、持ち込まれ、そして検出のため該試験ストリップと接して置かれている試料とともに、図18の該シリンジを示している。
【図20】図20は、読み取りデバイスに接続されている改良シリンジの図である。
【0057】
【図21】図21は、種々のpH値におけるアミノフェノールの検出結果を示すものである。
【図22】図22は、図21に示される実験結果に対応するpHの関数としての、アミノフェノールの検出酸化電位の関係を示すものである。
【図23】図23は、図1〜6に記述される該デバイスを用いた酵素反応の検出結果を示すものである。
【背景技術】
【0001】
定性的又は半定量的な、化学系又は生化学系のアッセイ群の多くは、固体担体(多孔質層であることが多い)を用いて実施される。試薬は乾燥貯蔵され、そして試験すべき溶液が該固体担体を濡らすか、又は該固体担持を該試験溶液に又は接触させて置かれるか若しくは浸漬される場合に反応する。そのようなアッセイ装置類の周知例は、溶液のpHを測定するために用いるストリップか、又は免疫系アッセイ若しくは酵素系アッセイによって所与の検体の存在を診断するために用いるストリップである(それぞれ、妊娠試験又は、グルコースモニタリング等)。
【0002】
第一の場合では、当該pHを、ストリップを水溶液に浸漬して測定する。一部のpH指示薬が溶解し、そして当該溶液のpHに従ってそれらの色を変化させる。該溶液の実際のpHの当初評価を、迅速に取得することができる点で、この系は非常に便利である。やはり、実験者又は日光によって、色認知がわずかに変化することがあるので、該測定を、pH電極を備えるpHメーターの1種ほどには定量的に用いることはできない。したがって、上記ストリップは、溶液pHの半定量的評価のために用いられる。
【0003】
他の場合では、多孔質層上の乾燥試薬が、健康上のマーカー又は妊娠若しくは排卵の特別状態の測定用に、大いに普及している。そのようなストリップ類の様々の設計が、すでに開示されており(米国特許第6399398号明細書、欧州特許第025863号明細書、欧州特許第0456308号明細書、米国特許第5786220号明細書、欧州特許第1003037号明細書)、そしてそれらはすべて、一般に免疫クロマトグラフィーと称される次のアッセイの本質に基づいている:
多孔質膜は、該ストリップの種々の区分内で乾燥又は固定化された試薬と共に多孔質層として用いられ、該試薬は、抗原(試験すべき化合物又は検体)を含む試験溶液によって溶解させることができる、金コロイド又はラテックス粒子でマークされた抗体であり、該抗原は該マーク化抗体と結合し、それによって複合体を形成する;次いで、該複合体を、毛細管流動によって第2の抗体区分に移動させ、これらの第2の抗体は固定化されており、複合体を捕捉する。結果として、該抗原が該溶液中に存在する場合のみ、着色縞が、第2の抗体区分において多孔質層上に見える。この方法は、主に定性的アッセイ用に用いられる。というのは、該縞強度そのもの及び該縞強度と該抗原濃度との相関の解釈が、非常に難しいからである。大部分の分析システムにおいて、該検出は、該検出前の洗浄段階を難しくするか又は不可能とする該多孔質層内で直接得られる。
【0004】
我々は、組込んだ電気化学系検出器又は蛍光検出を用いた微小システム類(主に流体マイクロチャネル類)の定量的アッセイを実施するいくつかの方法を、早くから提示しており(J.S.Rossier and H.H.Girault,Lab Chip,1,2001,153−157;J.S.Rossier,F.Reymond and P.E.Michel,Electrophoresis,2002,23,858−867;J.S.Rossier,C.Vollet,M.Martinelli,A.Carnal,G.Lagger,V.Gobry,P.Michel,F.Reymond and H.H.Girault,Lab Chip,2002,2,145−150)、多段階反応を、種々の試薬類の一連の添加によって実施している。例えば、免疫系アッセイ類を、カバーされたマイクロチャネル表面上に抗体を固定することにで実施し、そして、ウシ血清アルブミン(BSA)でブロックした後に、当該チップは試験の準備が整うこととなる。ここで、試験すべき該抗原を含む該試験溶液は、最初に該カバーされたマイクロチャネル内に導入され、そして該ターゲット抗原類は、抗原−抗体複合体群を形成するための固定化抗体類によって特に捕捉されることとなる。洗浄段階の後、酵素で標識付けした第2の抗体を、該カバーされたマイクロチャネル内部に導入し、そして最初の抗体−検体複合体上で捕捉させる。他のブロック段階の後、基質の溶液が導入され、そして該カバーされたマイクロチャネルの壁面の1つ上に存在する電極を用いて、該基質を電気化学的手段等によって検出できる生成物に変形させるように、酵素反応が開始する。
【0005】
本システムの性能は、満足できるものであるが、種々の試薬類の継続的な搬送、並びに時間がかかりかつアッセイの再現性を低くすることとなる煩わしい操作は、ミクロシステムの周りの非常に大きな基礎構造を意味することとなる。大きなオートメーション化システムを用い、これら多段階を実施し、そして種々の試薬類の分注を制御することができる。用いる分野及び用途に従って、移動可能なシステム上で、未熟な作業者が、複数試薬類のアッセイを少ない段階で実施することができる装置に対する要求が多い。本発明は、上記要件を満たす装置類、並びに本装置を用いる上記複数試薬試験の実施方法を開示するものである。
【0006】
上述の様に、該試薬を含む多孔質層と、次いで、溶液及び乾燥試薬間に生じる反応の定量的な結果を与える等のための測定セルから構成されるストリップに対する要求がある。そのようなストリップは、酵素アッセイ(グルコース試験等)中の適用と共に存在し(米国特許第6241862号明細書、国際公開第0173124号明細書)、該電気化学系分析が、電気活性表面を保護することによって、該試験ストリップ上で直接に該試薬を提供するだけでなく、ヘマトクリット濃度の妨害をも避ける等のためのスクリーン印刷された電極のトップ内で、試薬類を含む膜を用いてなされる。
【0007】
センサーの近くに置かれている膜類が、Scheller(ドイツ国特許第4216980号明細書)によって提案されている他のタイプのデバイス内でも用いられている。この例では、試薬を伴う半透膜が、電気化学系トランスデューサと接して直接置かれている。この例では、同一デバイス上で、反応及び検出させることが可能である。本発明では、試薬を含む該多孔質層は、該装置のセンサー部と接触して置かれていないが、これら2つの部分(多孔質層及びセンサー部)は、流体接続部(一般的に、マイクロチャネル等のミクロ構造)によって分離されており、試薬及び検体を該装置の検出部に移動させることが可能である。本発明の実施形態の一部では、該検出部は、第2の試薬を含ませることが可能である該流体接続部内に組込まれており、(好ましくは、該流体接続部の上で固定化及び/又は乾燥されている)。該流体接続部を、反応の後、洗浄段階を導入するために用いることもできる。例えば、結合していない結合体を取り除くため、電気化学系トランスデューサ上に直接存在する該膜は、該膜中に存在する望ましくない材料を、検出される該ターゲット検体から分離することができないことを意味している。
【0008】
他の公表(国際公開第9414066号明細書)では、当該著者達が、小検体が膜を通過することによって電極表面に達することができるように、電極上に該膜を置くことを提案しており、一方、当該抗体−検体複合体群は、それを超えやすくないので、該電極と直接接しやすくない。我々の発明では、該接続流体を経由して該装置の該検出部へ移動させる前に、該膜に浸透させかつ該膜を越えさせる試薬を担持(host)させるために、該膜が用いられる。
【0009】
電極トップ上の膜を提示する他のデバイス(フランス国特許第2692357号明細書)では、その目的は、マイナスに帯電した層内にプラスに帯電した検出可能種を集めることである。
【0010】
国際公開第02090573号明細書では、透過性層が、該電極上の規定距離において存在し、一部の親和性分子群が存在でき、そして電気化学系分析を実施することができる。この配置は、該透過性層内にあらかじめ存在する試薬を搬送させず、さらに、該流体接続部を備える我々のシステムの場合のようには、該検出領域に向かって制御された流体輸送を可能にはさせないものである。この公知システムは、該検体の事前濃縮用に用いられるが、複数段階の反応用には用いられない。
【0011】
種々の公知のデバイス類は、目視又は読取り機のどちらかによって半定量的な様式で、検体の検出のため、ポリマー担持と膜とを結合する。英国特許第2345133A号明細書では、当該著者達は、試薬を含む膜と接触させて固体担持を置き、そして当該デバイスが検体の存在を検出することができる。この場合では、さらなる分離又は増幅のため、試料のさらなる操作を可能とする微小流体手段(マイクロチャネル等)が無い。米国特許第5338513号明細書では、装置が、結合体層及びプレ反応層をもって説明されており、そして液体輸送層が該2つの層に接続している。該接続層は、一方から他方の層へ運ぶために用いられる吸収性材料から作られるが、反応種、外部手段を経由した流体のポンピング、又は洗浄段階若しくは多段階アッセイ類の達成のこの種の微小流体操作を可能にするマイクロチャネルと同様には、容易にそれを空にするか又は洗浄することができない。米国特許第5451350号明細書は、対照的にマイクロチャネルの事例であり、デバイスが提示され、多項性材料で満たされた種々のチャンバーが吸収性材料を介して接続されている。当該溶液を、微小流体操作を介して、あるチャンバーから他のチャンバーへ通過させることを防止し;当該溶液は、吸収性コネクタ(再度、水洗、洗浄又は空にすることはできない)を介してのみ運ぶことができる。欧州特許第0239174号明細書では、ろ過された生物学系試料を当該デバイスのアッセイ部の方に移動させるように、基質が、ろ過器と直接接して微小溝と構造化されている。該システムはまた、微小流体操作(該試料の収集又は洗浄等)に対応することができない輸送システムである。欧州特許第0974840A2号明細書では、膀胱が加工され、試料(検出領域の方にさらに運ばれる)が回収されている。繰り返すこととなるが、微小流体工学を実施する手段は、記述されておらず、そして生じる当該反応は凝固反応なので、いかなる洗浄又はさらに反応試料を移動させることが妨げられてしまう。国際公開第00/62060号明細書には、当該分子が、いわゆるリテラルハイブリッドデバイスと接して置かれており、かつさらなる微小流体操作を可能にする微小流体の特徴を含まない多孔質層を介して側面に沿って運ばれるシステムが開示されている。英国特許第2322192A号明細書では、当該デバイスは、種々の材料からつくられており、材料の一つは、ラベル化試薬を有する領域の方に当該溶液を移動させることを可能とする多孔性の液体伝導性材料であり、例えば、縞を改良する(具体的には、当該抗原の捕捉を露呈する)ように、当該多孔性材料中で固定化される抗体を敷いた上に当該溶液を導入する。この開示には、反応した試料分子の微小流体操作を可能にする任意のミクロ構造は含まれない。他の出願(国際公開第0042430A1号明細書)では、種々のウィッキング部のそれぞれの中で種々の検体を試験するために、キャピラリ構造が用いられ、当該試料を種々のウィッキング部へ運んでいる。このシステムは、多孔質膜に担持されている種々の反応体の中に該試料を分配するように、微小流体操作を有利に用いることができる。
【0012】
一方、本明細書の下記に記述されるように、数多くのセンサー類が、固体担体中に作成されているが、該固体担体類は、試料の取り込みのための多孔性材料を含んでいない。例えば、国際公開第93/22053号明細書には、固定化試薬を含む種々の反応体類を用いて試料の検出を可能とする中規模デバイスが記述されている。該出願では、試薬を当該試料溶液内部に放出することができる多孔質層との結合は示されていない。国際公開第99/35497号明細書では、キャピラリ内部の溶液の凝集を進行させる試薬で満たされたキャピラリデバイスが記載されている。次いで、キャピラリ内部の流体工学作用が欠如することによって、当該検出が実施されている。もちろん、反応後、当該試料の任意の微小流体操作を防止している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
分析試験類、特に微小流体のアッセイシステム類では、該検出シグナルは、一般的に反応体の幾何学的特性と流体力学とに強く依存する。電気化学系センサー類では、該シグナルは、電極のサイズ及び形状と、該電極における拡散とにさらに依存する。良好に規定されたミクロ構造形状と、制御された電極のサイズ及び位置とのため、本発明は、定量的かつ高感度のアッセイ用に特に適合させた微小流体の電気化学系センサーを提供する。検体と反応しやすい化合物を組込んだ多孔質層を備える本発明に記載の単一の装置内で、組込まれた試薬と、電気化学系手段と、微小流体工学との組み合わせは、使用者から全アッセイの段階数を減らし、そして操作類と外部干渉と複雑化手段の使用とを減少させる。一方、簡単でかつ有効な洗浄と、基質の定温放置又は制御された微小流体工学及び検出とを維持する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、請求項1又は2に記載の微小流体のアッセイ装置と、請求項13に記載の微小流体アッセイを実施する方法とを提供する。本発明の好ましい又は随意選択的な特徴類を、従属請求項に記載する。
【0015】
本発明の装置(本明細書の下記にて「試験ストリップ」とも称する)は、3種以上の材料層で構成される複層体であり、すなわち次の通りである:
(a)第1に、ミクロ構造(一般的に、マイクロチャネル又はマイクロチャネル類のネットワーク)を1つ以上含む流体接続部を1つ以上有するポリマー層であって、該ミクロ構造は、インレットを1つ以上及びアウトレットを1つ有し、そして検出部を1つ以上形成するような、所与の場所及び位置において該ミクロ構造を組み込む微小電極を1つ以上含み、該微小電極の1つ以上は、該第1のポリマー層と接触する導電性トラックを介して、外部電気化学系ユニット(ポテンシオスタット、電源、インピーダンス測定装置等)と接続されているポリマー層;
(b)第2に、該ミクロ構造を経由した当該溶液の微小流体操作を可能にする密封ミクロ構造を形成するような、該ミクロ構造をカバーするためにはたらく非多孔質層(ラミネーション層等);
(c)第3に、多孔性材料(膜等)から作られるか又は多孔性材料を含む多孔質層であって、該ミクロ構造の該インレット及び/又はアウトレットにおいて該第1のポリマー層と接して置かれており、該第3の多孔質層は、乾燥試薬を1種以上含み、該組込み微小電極の1つ以上を経由して該試験溶液中に存在する検体の電気化電気化学系検出を可能にするために、該乾燥試薬が検体(該試験溶液中に存在する)と作用して、試験溶液との接触の際に溶解されかつ該微小流体のミクロ構造内部にさらに運ばれる生成物(抗原−抗体複合体等)を形成する多孔質層。
【0016】
他の実施形態では、試験溶液中に存在する検体の一部又は該試験溶液中に存在する望ましくない化合物のいずれかを捕捉するように、本発明の装置の該多孔質層中に含まれる該試薬を、該多孔質層中に付加逆的に固定化させることができ、該精製試験溶液又は過剰の該検体のぞれぞれのみが、該組込み電極を用いて精製試験溶液中に存在する検体又は過剰の検体のぞれぞれのいずれかの検出を可能とするように、該ミクロ構造内部に運ばれる。
【0017】
さらなる実施形態では、溶液中に存在する試薬と反応する前に、1又は複数の該組込み電極を用いて該検体の検出を可能にするように、該ミクロ構造内部にさらに運ばれる生成物を形成するため、検体を本発明の装置の多孔質層中に可逆的に固定化する。
本発明の装置の該第1のポリマー層は、任意のポリマー材料から作ることができ、そして該ミクロ構造を、微細加工用に用いられる一般法(プラズマエッチング、レーザーフォトアブレーション、射出成形、エンボス加工、UVLIGA、ポリマー注入成形又はシリコーン技法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない)で加工することができる。
【0018】
本発明では、第2の非多孔質層は、該ミクロ構造の防水性シーリングを可能とする任意の材料から作ることができる。例えば、ポリマー又はガラスが、本目的に用いるために有利である。本発明の装置を作成するために、該第2の非多孔質層は、該第1のポリマー層(微小流体操作類を可能とするために被覆する該ミクロ構造を含む)上に、例えば、積み重ねられ、結合され、プレス加工され、接着され又はラミネートされていてもよい。ポリマー箔(ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド等から作られる)を、該ミクロ構造を被覆するように、該第1のポリマー層上に加温及び加圧下でラミネートすることができる。
【0019】
本発明の実施態様のひとつでは、該ミクロ構造の該インレットが、該装置の該第1ポリマー層中に形成され、一方、本微小流体の構造体の該アウトレットは、該第2非多孔質層中に形成される(該第2層中のアクセスホールの加工等)。あるいは、該ミクロ構造の該アウトレットが、該装置の該第1ポリマー層中に形成され、そして本微小流体の構造体の該インレットは、該第2非多孔質層中に形成される。さらに、該ミクロ構造は、複数のインレット類及び/又はアウトレット類を含むことができる。
他の実施形態では、該第2非多孔質層はまた、ミクロ構造、電極及び/又は導電性トラック類を含むことができる。
【0020】
該第1ポリマー層中に組込まれた微小電極と、該導電性トラック類とを、金属又は伝導性インクから作ることができる。それらを、他の金属(金、銀又は白金等)で被覆された銅等、又は塩(塩化銀等)で被覆された銀等の複数の材料で作成することができる。それ以外では、該ミクロ構造中に存在する該溶液と接触させるために該第1ポリマー層中に組込まれた該微小電極が、該ポリマー層の外部面上、該ミクロ構造と反対に置かれ、かつ該ミクロ構造から導電性材料を分離するポリマー材料を排除するように開かれていてもよく、従って、例えば、プラズマエッチング又は光アブレーションを用いて実施することができる凹部を設けた電極を作成することができる。本発明の他の実施形態では、該第1ポリマー層を、共に密封及び/又は積み重ねられている2種の異なるポリマー体によって形成することができ、第1ポリマー体は、微小電極をさらすためのマイクロ孔と、インレット及びアウトレットを備えた所望のミクロ構造とのみを含み、そして第2ポリマー体は、該ミクロ構造の該インレット及び該アウトレットに接続するためのアクセスホール類と、該導電性トラック類とのみを含み、両ポリマー体は、該第2体の該伝導性トラック部分が、該ミクロ構造にさらされた凹部を設けた電極を形成するように、該第1体のマイクロ孔と接続して置かれている様な様式で共に密封及び/又は積み重ねられている。
【0021】
解釈を簡潔にするため、本明細書において、用語「検体」は、本発明の装置を用いて分析すべき任意の化合物を指す。一般的に、該検体は、試験溶液に部分的に又は完全に溶解する分子であり、そして該多孔質層内に存在する試薬と反応した後、該検出に影響を与えることができる。実施形態によっては、該検体は、該多孔質層内に置かれた該試薬との反応の後、直接検出することができる場合もある。他の実施形態では、該検体が、例えば、一般的な酵素又は免疫系等のアッセイ(媒介物及び/又は基質が、外検体の濃度及び/又は数を直接的又は間接的に評価するため、検出される生成物を生成する)内のように、間接的に検出される。該検体には、プロトン類、金属イオン類、小代謝産物類、キナーゼ類、抗体類、抗原類、オリゴヌクレオチド類、DNA、RNA、ペプチド類、たんぱく質類又は7量体(haptamer)類並びに他の化学系、生物学系又は生化学系の重要化合物が含まれる。
【0022】
本明細書では、用語「試薬」は、該試験溶液中に存在する種(好ましくは検体)とのカスケード反応又は特定反応を誘導するか又は反応させることができる種々の分子の混合物又は分子を指す。該試薬は、固定化され、乾燥され、粉体として置かれ、凍結乾燥され、又は該多孔質層によって担持される濡れた媒体中に置かれていてもよい。
【0023】
本明細書では、用語「試験溶液」(以下の本明細書中で「試料溶液」とも称する)は、試験すべき該検体又は該試薬を含む任意の溶液を指す。実施形態によっては、本発明の装置に試験溶液を適用することで、該多孔質層内に置かれている該試薬が溶解し、それによって、検体及び該試薬の間で行われる反応が可能となる場合がある。実施形態の一つでは、該多孔質層の上に置かれている該試薬及び試験すべき該検体が置き換えられ、その結果該検体は該多孔質層上に置かれており、一方、該試験溶液は、1又は複数の試薬のみを含むこととなる。
【0024】
本明細書では、「多孔質層」は、試薬を担持するためにはたらく手段であり、該多孔質層は、該多孔質層の上又は周囲を通過する該試験溶液が、流体接続部に沿うか又は横切って流れることによって、該検出部まで届くことができるような様式で置かれている。該多孔質層は、膜(PVDF又はセルロースベースの膜等)、フリットガラス、キャピラリ又はマイクロチャネル、ビーズ、ビーズベッド、モノリシックカラム等であることができる。実施形態のひとつでは、1つ以上の多孔質層が用いられ、該同一の試験溶液を用いてカスケード又は平行のどちらかで、多数の反応を実施する。実施形態によっては、反応類のカスケードを実施するために、複数の多孔質層が、一方が他方の上に置かれていても良い場合がある。他の実施形態では、1つ以上の多孔質層が、種々の試薬類を担持するために用いられ、ひとつは該検体(抗原−抗体複合体を形成する等)と直接反応するようにはたらき、そして少なくとも第2のひとつは、溶液(水又は緩衝溶液等)の適用によって、該装置の該検出部において他の試薬(酵素基質等)を導入するようにはたらく。本配置では、該試験溶液は、一般的に、1つの多孔質層のみを通過し、他の溶液は、該カスケード反応を実施するために要求される1又は複数の他の試薬を溶解するために用いられる。実施形態によっては、該多孔質層は、血液細胞からの血しょうの分離を可能にし、さらに1又は複数の該試薬と該結晶中のターゲット検体との反応を可能にする膜類のアセンブリ又は膜類である場合がある。
【0025】
本明細書では、用語「流体接続部」は、層流によって、該試験溶液を該多孔層から該装置検出部に移動できる手段を指す。実施形態のひとつでは、該流体接続部は、良好に規定された幾何学性を有し、かつポリマー材料中で生成されたキャビティー又はミクロ構造である。本発明の実施形態のひとつでは、該ミクロ構造は、流体の取込み及び/又は抜き取りのためにインレットを1つ以上及びアウトレットを1つ有するカバーされたマイクロチャネル類又はカバーされたマイクロチャネルのネットワークである。本発明の他の実施形態では、該ミクロ構造に沿って溶液の層流を維持し、微小流体操作が可能となるように、該ミクロ構造は、1mm未満の断面寸法を1つ以上有するマイクロチャネル(又は、マイクロチャネル類のネットワーク)である。該流体接続部が、カバーされたマイクロチャネル又はキャビティーで構成される場合、該試験溶液又は他の液体の移しかえ、及び/又は流体接続部の洗浄、及び/又は該装置の該検出部にさらなる試薬の供給等のため、該試験溶液又は他の液体に、圧力をかけるか又は吸引することによって流動させることが可能である。実施形態によっては、該流体接続部は、追加の分離及び/又は反応を実施するように、媒体(固体、ゲル、ゾル−ゲル等)、多孔質膜、モノリシックカラム、ビーズ又はパックビーズ(packed beads)も含むことができる場合がある。試薬を、さらなる分離又は反応を可能とするように、該媒体中又は該媒体上で固定化又は乾燥させる(物理吸着類又は共有結合等によって)ことができる。他の実施形態では、該装置は、複数試薬類を一連に又は平行して該検出部に供給するように、1つ以上の流体接続部を含む。他の実施形態では、該流体接続部は、試薬(抗体、抗原、酵素、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、ペプチド、たんぱく質、細胞、配位子、受容体等)であって、該流体壁上で乾燥されるか、又は該流体接続部の壁上若しくは該流体接続部の少なくとも一部内に置かれている担持手段(ゲル、ゾル−ゲル、ビーズ等)の中で固定化(物理吸着、共有結合等)できるものを含むことができる。他の実施形態では、該流体接続部は、外部手段(ポンプ又は分離若しくは検出装置等)に装置を接続するようにはたらく。他の実施形態では、該流体接続部は、ポンピング手段(電気浸透の生成を可能とする電極等)を、直接含む。
【0026】
本明細書中で、用語「検出部」は、分子の存在又は濃度を、理解可能なシグナルに定量的又は定性的に変換するための手段を指す。本発明において、該検出部は、一つ以上の導電性手段(すなわち1又は複数の電極)であって、正確な形状及び位置で流体接続部中に直接組込まれ、そして電気化学系の測定を実施するか又は重要化合物の検出を可能にする電気化学系反応を誘導するために適合されているものを含む。この様式において、当該使用者は、1又は複数の該電極で、電子又はイオン転移反応類(ボルタメトリー又はアンペロメトリー測定等)を実施させるか、又は電気化学的ルミネセンスにおける場合等のように光学検出システムのような他の手段によって検出可能な生成物を電気化学的に生成させるか、又はエレクトロスプレーイオン化質量分析の場合のように、質量分析計によるさらなる検出のために溶液のスプレーを形成させる。従って、本発明の実施形態のひとつにおいて、該検出部は、該導電性手段に加えて、化合物の光学検出を可能にする手段(光学的に透明な窓又は導波管等)を含むことができる。他の実施形態では、該検出部は、行われるさらなる反応を可能にする固定化分子を含むことができる。
【0027】
本発明では、該検出部は、該流体接続部内に直接組込まれている。例えば、1又は複数の電極(好ましくは1又は複数の微小電極)を、伝導性部分形状のカバーされたマイクロチャネル内に組込むことができる。一般的に、該電極類は、該流体接続部を支える該ポリマー層と接して電気伝導性トラック類を経由して、電気化学系パワーの外部源に接続されており、従って、該試験溶液中に存在する検体濃度に関する電気化学系シグナルの測定等が可能になる。一定の適用において、電極類のアレイは、該検出シグナルを増幅するための検出手段として有利にはたらく。
【0028】
他の実施形態では、該電極又は電極アレイを、望ましくない種の反応、付着物及び/又は吸着を防ぐ防護手段によって被覆することができる。例えば、膜又はガラスフリットを、この目的のために用いることができる。
【0029】
本デバイスでは、該マイクロチャネル内部で行われるさらなる微小流体の段階のため、該試料溶液は、マイクロチャネル又は他のミクロ構造(該試料が、該試薬の残部から分離され、吸着され、清掃され、又は扱われることができる)内にポンピングされる前に、多孔質層を越える。これは、公知の妊娠試験システム等の、該検出及び該反応の両方が、該多孔質層内部で実施されるシステムとは基本的に異なるものである。本発明によって、少量の豊富たんぱく質類(例えば、低濃度中のTSH等のホルモン等)の検出が可能となる。というのは、当該反応試料が該マイクロチャネル内部の該多孔質層から移された後に、未反応の検体の当該ノイズを取り除くことができるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1及び図2は、試験ストリップを示すものである。該試験トリップは、ポリマー層101内に形成され、微小流体接続部を可能にする1つのインレット5'及び1つのアウトレット5''を備えるカバーされたマイクロチャネル5、第2に、該マイクロチャンネルを密封するようにはたらく非多孔質層103、第3に、多孔質層2と、該マイクロチャネル中に組込まれ、かつ導電性トラック類13を経由して外部の電気化学系ワークステーションに接続される検出部4とから構成されている。一般に、該多孔質層2は、該第1ポリマー層上に積み重ねられた膜であって、種々の異なるアクセスホール類及び1又は複数のマイクロチャネルを含むものを含み、この例において該マイクロチャネルは、該試験ストリップの該検出部に組込む流体接続部としてはたらく。
【0031】
図3に示すように、試薬3は、該多孔質層2に固定化されている。図4に示すように、次いで、検体6を含む試験溶液7が、該多孔質層2を経由して導入される。該検体は、該試薬3と反応し、図5に示すように試薬−検体生成物6'を形成する。図6に示すように、該検体−試薬及び過剰の試薬は、該流体接続部を経由して、該検出部まで運ばれる。当該推進力は、遠心分離、加圧、吸入、圧電性ポンピング等によって誘導されるポンピング、電気輸送流動又は毛細管流動であることができる。
【0032】
本発明の目的のひとつは、複数試薬の親和性アッセイ類のために特別に設計された試験ストリップをさらに提供することである(図7及び図8)。該試験ストリップ類は、好ましくは乾燥状態で、結合体8等(酵素+DNA又は酵素+抗体等)の試薬を含む多孔質層2(セルロース又はPVDF膜)から構成される。該多孔質層は、検出部4の近部及び/又は検出部4上で、捕捉親和性分子9(DNA又は抗体等)で被覆されたミクロ構造5(一般的に、カバーされたマイクロチャネル類の1つ又はネットワーク)の入口の1つ5'上に設置されている。該捕捉抗体類は、この例において、該流体接続部の壁上及び該装置の該検出部上に固定化されている第2の試薬を構成する。
【0033】
該検出部4は、例えば、電極、イオン選択性膜、光学的窓(optical window)、導波管(waveguide)又はナノスプレー先端を含み、そして試験溶液中の検体の定性的及び/又は定量的検出を可能にする。
【0034】
図8に示される好ましい実施形態では、該試験ストリップは乾燥され、そして検体10(抗原等)を含む該試験溶液が、該多孔質層(PVDF膜で被覆されたBSA等)であって、該試験溶液の添加で溶解され、かつ捕捉抗原9で被覆されているミクロ構造5(カバーされたマイクロチャネル等)内に設置される該装置の該検出部にさらに運ばれる生成物10'を形成するように、該検体10とさらに相互作用する結合体を含むものと接触して置かれている。該結合体(ここで酵素で標識付けられた)は、該多孔質中で反応し、ここで抗原−結合複合体である生成物10'を形成する。
【0035】
該抗原−結合複合体は、カバーされたマイクロチャネル内部で、捕捉抗体類によって捕捉されることとなる。図9に示すように、該検出部の近くに存在する該溶液は、結合分子及び非結合分子、すなわち該抗体と結合したか又は結合していない抗原−結合複合体10'と、該抗体と結合していない過剰の結合体11とを含む。該非結合種11を取り除くために、洗浄溶液をミクロ構造内に注入する。図10は、該試験溶液の通過と、可能な洗浄段階との後、該試験溶液に添加できるか又は該ミクロ構造中に導入できる基質分子12を示している。次いで、該基質分子を、酵素反応等によって、該検出部のところで検出可能な生成物に変える(電極上での還元若しくは酸化、又はルミネセンス等によって)。
【0036】
他の実施形態では、該マイクロチャネルは、乾燥基質12を含む第2多孔質層とともに補助的なアクセスホールを含む(図11)。次いで、該担持されている基質の溶解と、該マイクロチャネル内への導入とのため、緩衝溶液を該第2多孔質層に適用し(図12及び図13)、該基質を該ミクロ構造の該検出部のところで、測定可能な生成物に変化させる。随意選択的ではあるが、該第2多孔質層を経由して該緩衝剤の輸送及び免疫系反応の間の洗浄段階は必要ではない。
【0037】
場合によっては、本発明の装置は、多孔質層を経由するか又は直接外部ポンピングシステム手段によって、種々の試薬類の添加を可能にするような、該検出部等に入れるため2個以上のアクセスホール(インレット及びアウトレット)を含むことができる場合もある。図14では、2個のアクセスホール類が、多孔質層で被覆され、そして第3のアクセスホールは、外部流体装置に接続されるか又は通気手段としてはたらくように自由である。
【0038】
図15は、Y字形状を有するカバーされたマイクロチャネルネットワークを含んでおり、この例では、組込み電極4の検出部に接続される多孔質層2を示している流体接続部を備える試験ストリップの上面図であり、該電極類は、伝導性トラック類又は導波管類(13)を備える外部電気化学系ユニットに接続されている。
【0039】
図16及び図17に示されるように、読取装置15内で該試験ストリップの抜き取りを可能にする機構14又はレジストレーションホール類、並びに該検出部に組込まれた電極類に接続するために導電性トラック13等の該微細流体の試験ストリップ内に、種々の他の特徴が存在する。該試験ストリップの該検出部は、金属接点18及び伝導性トラック類13を経由して接続されている。該流体接続部は、流体の導入/抜き取り、及び/又は制御のために、流体界面17と接続されている。該読取装置は、該試験ストリップ内で流体制御の実施を可能にし、溶液リザーバ16を用いた試薬の搬送及び吸入と、検出及び随意選択的に検出シグナルをスクリーン19上に送られる総合的な解釈への転換とを含む。該情報は、該装置内に保存されるか、又は電子メール、SMS、ファックス、電話機等を含む種々の電気通信手段等によって中央情報センターに送られるかのどちらかとすることができる。該アセンブリは、該装置を用いた診断への薬物療法の適合等の療法診断(theranostic)のシステム内に入れる手段として、系統的なモニタリング装置としてはたらくことができる。
【0040】
図17に示すように、該装置に該試験ストリップを簡単に接続するために、該試験ストリップ中のレジストレーションホール類14及び該読取装置中の対応する機構類が存在できる。
【0041】
他の実施形態では、試料を抜き取り、そして任意の時間及び場所で分析を実施するために、該試験ストリップを、本体の流動体と接して任意のデバイスに組込むことができる。実施形態(図18及び図19)によっては、該試験ストリップは、改良シリンジ20の外部壁と接触しており、そしてシリンジ中のホールは、試料の抜取りの間、該試験ストリップと該多孔質層とを接触させるため、他の本体の流動体又はブラッド21を可能とする場合がある。該シリンジは、既述した最終読み取りを実施するように、読み取りデバイスと接して設置されていてもよい。該ストリップを含む該デバイスは、本体の流体類と接したカテーテル、チュービング若しくは他のピペット先端類又は保存用バッグであることができる。
【0042】
図20は、複数試薬試験(例えば、免疫系又は酵素アッセイ)の実施と、総合的なシグナルの作成とをするように、読み取りデバイス15に接続されている改良シリンジの図である。随意選択的に、該試験ストリップのみを取り上げ、そして図17の当該スキームと同様に、読取装置と接して設置することができる。ある場合には、該装置を、該シリンジそのものの中に組込むことができる。
【実施例】
【0043】
例1:pH測定
第1の実施形態では、種々の試験溶液の中で試験すべき該検体は、当該プロトン濃度、すなわち該溶液のpHである。図1〜図6に示される装置において、アミノフェノール(1mM)が、セルロース膜の該多孔質層中で、乾燥試薬として用いられる。該膜を、流体接続部としてはたらくミクロ構造の入口のところに設置する。該ミクロ構造は、〜40μm厚のポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート層によって被覆される75μmのポリイミド層から作られた60μmの深さのマイクロチャネルである。該検出部は、直径約50μmを有し、かつ電気めっきによって金被覆された銅で作られている2つの微小電極のアレイにある。該微小電極類は、マイクロチャネル壁の一部であり、そして約15μmの凹部を示す。該微小電極類は、電気化学系測定を可能にする可動式ポテンシオスタット(Palm Instruments,NL)と接続されている金/銅電気トラック類を経由して、外部ポテンシオスタットと接続されている。
【0044】
該試験溶液が該膜に達すると、該試薬が溶解され、該検出部に運ばれる。該マイクロチャネル内に存在する該電極と、該膜と接する銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極とのため、該溶液のサイクリックボルタンメトリーが実施され、該装置の該検出部内でアミノフェノールが酸化される。アミノフェノールの酸化電位は、溶液中に存在するプロトン濃度によって決まり、したがって、当該酸化波形が、図21に提示するように、該試験溶液の種々のpH値に対応して種々の電位のところにあらわれる。
【0045】
該溶液のpHが変化すると、該酸化電位は、Ag/AgClに対して、約300から−50mVへの転移を観察することができる。該試験溶液のpHの較正を、図22に提示するように行うことができる。該膜の役割は、該試薬を提供することと、粒子類、細胞類又は巨大たんぱく質等の望ましくない種を保持することとである。
【0046】
例2:酵素反応(ケースI:多孔質中の媒介物又は基質)
さらなる実施形態では、該多孔質中に置かれている該試薬は、H2O2の存在下で酵素ホースラディシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)の酵素検出内で、媒介物としてはたらくヒドロキノン(HQ)であり、当該メカニズムは、既に他の場所で記述されている(Rossieretal.Lab−on−a−Chip,2001,1,153−157)。
【0047】
次の状態が、図23に示されている:
A)pH7.2のりん酸緩衝生理食塩水溶液(PBS)中の、10mMのヒドロキノン及び10mMのH2O2の混合物のサイクリック・ボルタンモグラム;
B)溶液に添加されるHRPを用いた、pH7.2のりん酸緩衝生理食塩水溶液(PBS)中の、10mMのヒドロキノン及び10mMのH2O2の混合物のサイクリック・ボルタンモグラム;
C)ヒドロキノンを試薬として該膜中に固定化し、そしてH2O2及びホースラディシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)が、pH7.2のりん酸緩衝生理食塩水溶液(PBS)中で、試験溶液として用いられている、図1〜6に示される該装置とともに得られるサイクリック・ボルタンモグラム;
D)ヒドロキノンを該膜中に固定化せず(すなわち試薬のない条件)、そしてH2O2及びホースラディシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)が、pH7.2のりん酸緩衝生理食塩水溶液(PBS)中で、試験溶液として用いられている、図1〜6の該装置とともに得られるサイクリック・ボルタンモグラムのブランク;
E)HRPが試薬として該膜中に固定化され、該膜は5%のBSAでブロックされており、そしてH2O2及びヒドロキノンが、pH7.2のりん酸緩衝生理食塩水溶液(PBS)中で、試験溶液として用いられている、図1〜6の該装置とともに得られるサイクリック・ボルタンモグラム。
【0048】
HRP、HQ及びH2O2を共に混合し、そしてマイクロチャネル内に置くと、図23のラインBに示すように、還元電流を検出することができる。HQ及びH2O2の存在のみを伴って、当該カソード電流がラインAに示されるように充分に小さくなるように、還元電流を制御することができる。HRP及びペルオキシダーゼを含む試験溶液が、HQを含む該膜(多孔質層)に到達すると、該試薬(HQ)は溶解し、そして検出ラインCで例証されるように、電気化学系の検出を実施する該検出部に導かれる。
【0049】
酵素の存在下で、該膜中に該HQが存在しない場合のベンゾキノンの還元波形を観察し、これは対照実験として実施するものであり、図23のラインDとして示す。
【0050】
例3:酵素反応(ケースII:多孔質層内の酵素)
他の実施形態では、該試験溶液によって溶解するように、該酵素を該膜中に固定化する(ここでは、HQ/H2O2)。HRPが、該膜中で最初に乾燥されたところで該反応が生じ、そして図23のラインEに示すように、該酵素を伴う該溶液が、該検出部の方に運ばれる。該検出部の方への該酵素の転置及び溶解を有利にし、該膜中で該酵素の重大な非特定吸着を避けるため、ウシ血清アルブミン(BSA)でプレコートすることができる。
【0051】
例4:親和性アッセイ
この例では、該検出部は、親和性分子(たんぱく質又はDNA鎖等)で被覆されている。アビジンを、該マイクロチャネルの表面上に被覆することができ、そしてビオチン化DNA捕捉プローブが、アビジン上に吸着される。該多孔質層中の該試薬は、DNA−HRP結合体であり、他の場所で記述される(Rossier JS et al.,CHEManager,2002,3,28−32)。該試験ストリップ全体は、乾燥し、そして該試験溶液が該多孔質層の上に置かれている。該試験溶液中に存在する該検体は、該多孔質層中に存在するDNA−HRP結合体に対して相補的なDNA鎖である。両検体及び試薬を、複合体化することができ、そして該マイクロチャネル内部で該検出部の方に運ぶことができる。そこで、該捕捉プローブが、該検体と反応し、該複合体を捕捉することができる。未固定化DNAプローブを取り除くために、未接続インレット上で該ミクロ構造に接続されたポンプを用いて、洗浄溶液を、該ミクロ構造を経由し、該装置の該検出部の上にフラッシュすることができる。最後に、10mMのHRP及び10mMのH2O2の溶液が、該検出部(酵素反応が生じ、そしてBQ媒介物の還元によって検出可能な)に導かれる。他の実施形態では、緩衝剤を、該多孔質層を通過させることと、当該流れを該検出部の方に向けることとによって、該基質媒介物の溶液を他の多孔質層から持ち込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本発明を、添付の図面に関して、例のみの目的で、本明細書の下記に記述する。
【図1】図1は、本発明に従う試験ストリップ例の上面図である。
【図2】図2は、図1の該試験ストリップの側面図である。
【図3】図3は、該多孔質層中に置かれている該試薬を示す該試験ストリップの側面図である。
【図4】図4は、測定すべき当該検体を含む該試験溶液を示す該試験ストリップの側面図である。
【0053】
【図5】図5は、生成物を形成する該多孔質層中の該試薬と反応する該検体を示す試験ストリップの側面図である。
【図6】図6は、該検出部の該流体接続部を経由して運ばれる過剰の試薬及び該検体−試薬を示す試験ストリップの側面図である。
【図7】図7は、検体の免疫系の検出のために用いられる本発明に従う試験ストリップに従う側面図である。
【図8】図8は、該試験溶液の析出後の、図7に示される試験ストリップと同様の試験ストリップの側面図である。
【0054】
【図9】図9は、該結合体及び検体を該流体接続部及び該検出部中に移動させた後の、図8の試験ストリップの側面図である。
【図10】図10は、該流体接続部の洗浄と、基質分子の分注との後の、図9の該試験ストリップの側面図である。
【図11】図11は、図10の試験ストリップと同様の試験ストリップの側面図であり、該基質分子は、第2の多孔質層中に置かれている。
【図12】図12は、該検出部内部の該基質の分注及び溶解後の、図11の試験ストリップの側面図である。
【0055】
【図13】図13は、図12の試験ストリップと同様の試験ストリップの側面図であり、該流体接続部の該アクセスホール群は、ひとつが該試験ストリップの頂部に、ひとつが該試験ストリップの底部に設置されている。
【図14】図14は、2つ以上のアクセスホール群を備える試験ストリップの側面図である。
【図15】図15は、カバーされたマイクロチャネルネットワークを含む流体接続部を備える試験ストリップの上面図である。
【図16】図16は、本発明に従う読取装置及び試験ストリップの図である。
【0056】
【図17】図17は、図16の該読取装置内に設置されている図16の該試験ストリップの図である。
【図18】図18は、シリンジのエッジ上、試験ストリップで改良した該シリンジの図である。
【図19】図19は、持ち込まれ、そして検出のため該試験ストリップと接して置かれている試料とともに、図18の該シリンジを示している。
【図20】図20は、読み取りデバイスに接続されている改良シリンジの図である。
【0057】
【図21】図21は、種々のpH値におけるアミノフェノールの検出結果を示すものである。
【図22】図22は、図21に示される実験結果に対応するpHの関数としての、アミノフェノールの検出酸化電位の関係を示すものである。
【図23】図23は、図1〜6に記述される該デバイスを用いた酵素反応の検出結果を示すものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験溶液中の検体の検出のための微小流体アッセイ装置であって、該微小流体アッセイ装置が:
a)第1に、ポリマー層であって、該ポリマー層が、ミクロ構造に沿って所与の位置に組込まれ、そして検出部を形成する電極を1つ以上備えるミクロ構造を含む流体接続部を1つ以上有し、該ミクロ構造は、インレットを1つ以上及びアウトレットを1つさらに含み、そして該組込み電極の1つ以上が、外部の電気化学系ユニットと接続されているポリマー層;
b)第2に、該ミクロ構造を経由して溶液の微小流体操作を可能にする密封されたミクロ構造を提供するような、該ミクロ構造を被覆する非多孔質層;
c)第3に、該ミクロ構造のインレット及び/又はアウトレットのところに該第1ポリマー層と接して置かれている多孔質層であって、該第3の多孔質層は、固定化試薬を含み、該組込み電極の1つ以上を経由して該検体の検出を可能とするために、該試薬が該試験溶液と相互作用して、該ミクロ構造内部にさらに運ばれる生成物を形成する多孔質層、
を含む複層体である微小流体アッセイ装置。
【請求項2】
該試薬が、該第3の多孔質層中に可逆的に固定化されており、該試薬は、該試験溶液との接触の際に溶解され、そして該試験溶液中に存在する該検体と反応して、該生成物を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
該試薬が、該第3の多孔質層中に不可逆的に固定化されており、該試薬は、該試験溶液中に存在する望ましくない化合物若しくは化合物の類、又は該試験溶液中に存在する所与量の検体を捕捉することを可能にし、該組み込み電極の1つ以上を経由して該検体の該検出を可能とするために、該検体又は過剰量の該検体のそれぞれが、該ミクロ構造内部でさらに運ばれる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
検体の検出のための微小流体アッセイ装置であって、該微小流体アッセイ装置が:
a)第1に、ポリマー層であって、該ポリマー層は、ミクロ構造に沿って所与の位置に組込まれ、そして検出部を形成する電極を1つ以上備えるミクロ構造を含む流体接続部を1つ以上有し、該ミクロ構造は、インレットを1つ以上及びアウトレットを1つさらに含み、そして該組込み電極の1つ以上は、外部の電気化学系ユニットと接続されているポリマー層;
b)第2に、該ミクロ構造を経由して溶液の微小流体操作を可能にする密封されたミクロ構造を提供するような、該ミクロ構造を被覆する非多孔質層;
c)第3に、該ミクロ構造のインレット及び/又はアウトレットのところに該第1ポリマー層と接して置かれている多孔質層であって、該第3の多孔質層は、該多孔質層上に可逆的に固定化された、試験すべき検体を含み、該組込み電極の1つ以上を経由して該検体の検出を可能とにするために、該検体が試験溶液中に存在する試薬と反応して、該ミクロ構造内部にさらに運ばれる生成物を形成する多孔質層、
を含む複層体である微小流体アッセイ装置。
【請求項5】
該検体を、該組み込み電極の1つ以上を用いた電気化学作用によって検出する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
該検体を、組込み電極の1つ以上のところで起きる電子移動反応を経由して検出する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
該検体を、光学的手段又は質量分析によって検出する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
該組込み電極の1つ以上が、光学的手段又は質量分析によって検出される生成物を、電気化学的に生成させるように適合されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
該検出部が、選択的なイオン透過性膜、光学的窓、導波管、エレクトロスプレー先端及び/又は圧電手段をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
該第3の多孔質層が、膜、ガラスフリット、ゾル−ゲル、ビーズ、パックビーズ、モノリシックカラム又はそれらの組み合わせから選択される多孔質材料の1つ以上から構成されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
該第3の多孔質層内に固定化されている該試薬が、抗体、抗原、酵素、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、受容体、細胞、ペプチド、たんぱく質、配位子等である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
該第3の多孔質層が、沈殿物、血液細胞等の粒子を保持するのに充分に高密度である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
該ミクロ構造が、マイクロ孔若しくはマイクロ孔アレイ、ミリメートル孔、カバーされたマイクロチャネル若しくはカバーされたマイクロチャネルアレイ、相互接続されカバーされたマイクロチャネルのネットワーク、2枚のプレート間のギャップ等である請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
該ミクロ構造が、光アブレーション、プラズマエッチング、射出成形、エンボス加工、注入成形、シリコーン技法等を用いて加工されている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
該第1のポリマー層及び該第2の非多孔質層が、該流体接続部及び該検出部を提供するように、共にカットされ、接着され、積み重ねられ、結合され、プレス加工又はラミネートされている、請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
該第2の非多孔質層が、ミクロ構造、電極及び/又は導電性トラックを含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
該外部電気化学系ユニットが、ポテンシオスタット、電源又はインピーダンス測定システムである、請求項1〜16に記載の装置。
【請求項18】
該外部電気化学系ユニットが、電位及び/又は電流を、測定及び/又は読取るように適合されている、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
ポンピング手段、加圧手段及び/又は吸入手段が、溶液を取込み、搬送若しくは抜き取り、そして/又は該流体接続部中で概溶液の流れを制御するように、該流体接続部と接続されている、請求項1〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
該検出部が、導電性トラック又は光伝導性導波管を経由して、該外部電気化学系ユニットと接続されている請求項1〜19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
該ミクロ構造の少なくとも一部が、媒体で満たされており、該媒体が、固体、ゲル又はゾル−ゲル、多孔質膜、モノリシックカラム、ビーズ又はパックビーズである、請求項1〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
該媒体が試薬を含む、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
該ミクロ構造の少なくとも一部が試薬を含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
該試薬が、抗体、抗原、酵素、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、受容体、細胞、ペプチド、たんぱく質、配位子等である、請求項22又は23に記載の装置。
【請求項25】
該試薬が、該媒体の中若しくは該媒体の上に、及び/又は該ミクロ構造の少なくとも一つの壁上に、乾燥又は固定化されている、請求項22〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
該試薬が、物理吸着又は共有結合によって固定化されている、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
該第1のポリマー層が、該組込み電極の1つ以上の上に凹部を形成する、請求項1〜26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
該装置が、該試験溶液を供給する、改良されたシリンジ又はチューブ又は容器又はパッチに接触している、請求項1〜27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか一項に記載の装置を提供する各段階を含む微小流体アッセイを実施する方法であって、該多孔質層に該試験溶液を供給し、そして該組込み電極の1つ以上を経由して、該検出部内の該検体を検出する微小流体アッセイを実施する方法。
【請求項30】
該組込み電極の1つ以上を、電気化学作用によって該検体を検出するように適合させる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
該組込み電極の1つ以上を、光学手段又は質量分析によって検出される生成物を電気化学的に生成するように適合させる、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
該アッセイが、pH測定、物理化学系試験、生物学系アッセイ、イオン、金属、酵素、親和性、免疫系、細胞、DNA、RNAの7量体、受容体、キナーゼ又は配位子アッセイから選択される、請求項29〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
該検出前に、妨害分子又は存在物を取り除く段階を含む、請求項29〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
該流体接続部を、該検体の検出前に洗浄する、請求項29〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
該装置が、該試験溶液を供給する、改良されたシリンジ又はチューブ又は容器又はパッチに接しており、分析後、該装置を随意選択的に取り除き、そして/又はさらなる装置によって置き換える、請求項29〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
溶液の取込み、搬送、抜き取り又は置き換え又は該流体接続部中の該溶液の流れの制御を、圧力ポンピング、吸入又は電気浸透によって行う、請求項29〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
試験溶液中の検体の検出のための微小流体アッセイ装置であって、該微小流体アッセイ装置が:
a)第1に、ポリマー層であって、該ポリマー層が、ミクロ構造に沿って所与の位置に組込まれ、そして検出部を形成する電極を1つ以上備えるミクロ構造を含む流体接続部を1つ以上有し、該ミクロ構造は、インレットを1つ以上及びアウトレットを1つさらに含み、そして該組込み電極の1つ以上が、外部の電気化学系ユニットと接続されているポリマー層;
b)第2に、該ミクロ構造を経由して溶液の微小流体操作を可能にする密封されたミクロ構造を提供するような、該ミクロ構造を被覆する非多孔質層;
c)第3に、該ミクロ構造のインレット及び/又はアウトレットのところに該第1ポリマー層と接して置かれている多孔質層であって、該第3の多孔質層は、固定化試薬を含み、該組込み電極の1つ以上を経由して該検体の検出を可能とするために、該試薬が該試験溶液と相互作用して、該ミクロ構造内部にさらに運ばれる生成物を形成する多孔質層、
を含む複層体である微小流体アッセイ装置。
【請求項2】
該試薬が、該第3の多孔質層中に可逆的に固定化されており、該試薬は、該試験溶液との接触の際に溶解され、そして該試験溶液中に存在する該検体と反応して、該生成物を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
該試薬が、該第3の多孔質層中に不可逆的に固定化されており、該試薬は、該試験溶液中に存在する望ましくない化合物若しくは化合物の類、又は該試験溶液中に存在する所与量の検体を捕捉することを可能にし、該組み込み電極の1つ以上を経由して該検体の該検出を可能とするために、該検体又は過剰量の該検体のそれぞれが、該ミクロ構造内部でさらに運ばれる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
検体の検出のための微小流体アッセイ装置であって、該微小流体アッセイ装置が:
a)第1に、ポリマー層であって、該ポリマー層は、ミクロ構造に沿って所与の位置に組込まれ、そして検出部を形成する電極を1つ以上備えるミクロ構造を含む流体接続部を1つ以上有し、該ミクロ構造は、インレットを1つ以上及びアウトレットを1つさらに含み、そして該組込み電極の1つ以上は、外部の電気化学系ユニットと接続されているポリマー層;
b)第2に、該ミクロ構造を経由して溶液の微小流体操作を可能にする密封されたミクロ構造を提供するような、該ミクロ構造を被覆する非多孔質層;
c)第3に、該ミクロ構造のインレット及び/又はアウトレットのところに該第1ポリマー層と接して置かれている多孔質層であって、該第3の多孔質層は、該多孔質層上に可逆的に固定化された、試験すべき検体を含み、該組込み電極の1つ以上を経由して該検体の検出を可能とにするために、該検体が試験溶液中に存在する試薬と反応して、該ミクロ構造内部にさらに運ばれる生成物を形成する多孔質層、
を含む複層体である微小流体アッセイ装置。
【請求項5】
該検体を、該組み込み電極の1つ以上を用いた電気化学作用によって検出する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
該検体を、組込み電極の1つ以上のところで起きる電子移動反応を経由して検出する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
該検体を、光学的手段又は質量分析によって検出する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
該組込み電極の1つ以上が、光学的手段又は質量分析によって検出される生成物を、電気化学的に生成させるように適合されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
該検出部が、選択的なイオン透過性膜、光学的窓、導波管、エレクトロスプレー先端及び/又は圧電手段をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
該第3の多孔質層が、膜、ガラスフリット、ゾル−ゲル、ビーズ、パックビーズ、モノリシックカラム又はそれらの組み合わせから選択される多孔質材料の1つ以上から構成されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
該第3の多孔質層内に固定化されている該試薬が、抗体、抗原、酵素、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、受容体、細胞、ペプチド、たんぱく質、配位子等である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
該第3の多孔質層が、沈殿物、血液細胞等の粒子を保持するのに充分に高密度である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
該ミクロ構造が、マイクロ孔若しくはマイクロ孔アレイ、ミリメートル孔、カバーされたマイクロチャネル若しくはカバーされたマイクロチャネルアレイ、相互接続されカバーされたマイクロチャネルのネットワーク、2枚のプレート間のギャップ等である請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
該ミクロ構造が、光アブレーション、プラズマエッチング、射出成形、エンボス加工、注入成形、シリコーン技法等を用いて加工されている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
該第1のポリマー層及び該第2の非多孔質層が、該流体接続部及び該検出部を提供するように、共にカットされ、接着され、積み重ねられ、結合され、プレス加工又はラミネートされている、請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
該第2の非多孔質層が、ミクロ構造、電極及び/又は導電性トラックを含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
該外部電気化学系ユニットが、ポテンシオスタット、電源又はインピーダンス測定システムである、請求項1〜16に記載の装置。
【請求項18】
該外部電気化学系ユニットが、電位及び/又は電流を、測定及び/又は読取るように適合されている、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
ポンピング手段、加圧手段及び/又は吸入手段が、溶液を取込み、搬送若しくは抜き取り、そして/又は該流体接続部中で概溶液の流れを制御するように、該流体接続部と接続されている、請求項1〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
該検出部が、導電性トラック又は光伝導性導波管を経由して、該外部電気化学系ユニットと接続されている請求項1〜19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
該ミクロ構造の少なくとも一部が、媒体で満たされており、該媒体が、固体、ゲル又はゾル−ゲル、多孔質膜、モノリシックカラム、ビーズ又はパックビーズである、請求項1〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
該媒体が試薬を含む、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
該ミクロ構造の少なくとも一部が試薬を含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
該試薬が、抗体、抗原、酵素、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、受容体、細胞、ペプチド、たんぱく質、配位子等である、請求項22又は23に記載の装置。
【請求項25】
該試薬が、該媒体の中若しくは該媒体の上に、及び/又は該ミクロ構造の少なくとも一つの壁上に、乾燥又は固定化されている、請求項22〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
該試薬が、物理吸着又は共有結合によって固定化されている、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
該第1のポリマー層が、該組込み電極の1つ以上の上に凹部を形成する、請求項1〜26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
該装置が、該試験溶液を供給する、改良されたシリンジ又はチューブ又は容器又はパッチに接触している、請求項1〜27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか一項に記載の装置を提供する各段階を含む微小流体アッセイを実施する方法であって、該多孔質層に該試験溶液を供給し、そして該組込み電極の1つ以上を経由して、該検出部内の該検体を検出する微小流体アッセイを実施する方法。
【請求項30】
該組込み電極の1つ以上を、電気化学作用によって該検体を検出するように適合させる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
該組込み電極の1つ以上を、光学手段又は質量分析によって検出される生成物を電気化学的に生成するように適合させる、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
該アッセイが、pH測定、物理化学系試験、生物学系アッセイ、イオン、金属、酵素、親和性、免疫系、細胞、DNA、RNAの7量体、受容体、キナーゼ又は配位子アッセイから選択される、請求項29〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
該検出前に、妨害分子又は存在物を取り除く段階を含む、請求項29〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
該流体接続部を、該検体の検出前に洗浄する、請求項29〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
該装置が、該試験溶液を供給する、改良されたシリンジ又はチューブ又は容器又はパッチに接しており、分析後、該装置を随意選択的に取り除き、そして/又はさらなる装置によって置き換える、請求項29〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
溶液の取込み、搬送、抜き取り又は置き換え又は該流体接続部中の該溶液の流れの制御を、圧力ポンピング、吸入又は電気浸透によって行う、請求項29〜35のいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公表番号】特表2006−516721(P2006−516721A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500022(P2006−500022)
【出願日】平成16年1月14日(2004.1.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001013
【国際公開番号】WO2004/062801
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(503412539)ディアグノスイス ソシエテ アノニム (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年1月14日(2004.1.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001013
【国際公開番号】WO2004/062801
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(503412539)ディアグノスイス ソシエテ アノニム (3)
【Fターム(参考)】
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