説明

多層光学フィルム、その作製方法及びそれを有するトランザクションカード

多層光学フィルムは、第1及び第2の光学層の交互層を含み、前記第1の光学層は、第1のポリエステルを含み、前記第1のポリエステルは、第1のジカルボキシレートモノマー及び第1のジオールモノマーを含み、前記第1のジカルボキシレートモノマーの約0.25〜10モル%未満は、ペンダントイオン基を有し、前記第2の光学層は、第2のポリエステルを含み、前記第1及び第2の光学層は、少なくとも1つの軸線に沿って、少なくとも0.04異なる屈折率を有する。前記多層光学フィルムは、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度増強フィルム、回転フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせであってもよい。前記多層光学フィルムは、金融取引用トランザクションカード、身分証明書、カードキー、又はチケットカード等のトランザクションカードであってもよい。前記多層フィルムを作製する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2006年6月23日に出願された米国仮出願番号第60/816236号(リュー(Liu)ら)、及び2007年6月15日に出願された米国出願番号第11/763,622号、(リュー(Liu)ら)の利益を主張し、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
交互光学層を備える多層光学フィルム及びそれを作製する方法を開示する。多層光学フィルムは、例えば、反射フィルム及び個人的使用が意図されるようなトランザクションカードに使用され得る。
【背景技術】
【0003】
多層光学フィルムは、様々な用途に幅広く使用される。多層光学フィルムの特定の使用の1つは、任意の偏光及び波長帯の光を反射する、反射鏡及び偏光子における使用である。前記反射フィルムは、例えば、液晶ディスプレイにおいては、バックライトと連動して輝度を向上し、かつグレアを低減するために使用され、サングラスなどの物品においては、光の強度及びグレアを低減するために使用される。又、多層光学フィルムは、ATM等のカード読み取り機で読み易くするために、トランザクションカードのIRフィルタとして使用することもできる。
【0004】
多層光学フィルムの作製に有用なポリマーの一種類は、ポリエステルである。ポリエステル系多層光学フィルムの一例には、異なる組成物のポリエステル層の積み重ね体が挙げられる。この積み重ね体の1つの外形は、複屈折層の第1のセット及び等方性の屈折率を有する層の第2のセットを含む。第2の層のセットは、光を反射するための一連の界面を形成するための複屈折層と交互に配置される。又、多層光学フィルムは、例えば処理中又は処理後に積み重ね体が損傷することを防止するために、積み重ね体の少なくとも1つの表面を被覆する、非光学層を1つ以上含んでもよい。又、層の他の構成も既知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トランザクションカード等の用途に好適であり、かつ機械的特性が向上されたポリエステル系多層光学フィルムを開発する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、多層光学フィルムが開示され、前記多層光学フィルムは、第1及び第2の光学層の交互層であって、前記第1の光学層は、第1のポリエステルを含み、前記第1のポリエステルは、第1のジカルボキシレートモノマー及び第1のジオールモノマーを含み、前記第1のジカルボキシレートモノマーの約0.25〜10モル%未満は、ペンダントイオン基を含み、前記第2の光学層は、第2のポリエステルを含み、前記第1及び第2の光学層は、少なくとも1つの軸線に沿って、少なくとも0.04異なる屈折率を有する。幾つかの実施形態では、多層フィルムは、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度増強フィルム、回転フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせを備える。
【0007】
別の態様では、トランザクションカードが開示され、前記カードは、それぞれが少なくとも約125μmの厚さを有する第1及び第2のポリマー層を含み、前記第1のポリマー層と第2のポリマー層との間に配置される多層光学フィルムであって、前記多層光学フィルムは、第1及び第2の光学層の交互層を含み、前記第1の光学層は、第1のポリエステルを含み、前記第1のポリエステルは、第1のジカルボキシレートモノマー及び第1のジオールモノマーを含み、前記第1のジカルボキシレートモノマーの約0.25〜10モル%未満は、ペンダントイオン基を有し、前記第2の光学層は、第2のポリエステルを含み、前記第1及び第2の光学層は、少なくとも1つの軸線に沿って、少なくとも0.04異なる屈折率を有する、多層光学フィルムと、を含むトランザクションカードであって、前記トランザクションカードの少なくともある部分は、400〜700nmで少なくとも50%の平均透過率を有する。幾つかの実施形態では、トランザクションカードには、金融取引用トランザクションカード、身分証明書、カードキー、又はチケットカードが含まれる。
【0008】
別の態様では、多層光学フィルムを作製する方法が開示され、前記方法は、第1及び第2の光学層の交互層を共押出する工程であって、前記第1の光学層は、第1のポリエステルを含み、前記第1のポリエステルは、第1のジカルボキシレートモノマー及び第1のジオールモノマーを含み、前記第1のジカルボキシレートモノマーの約0.25〜10モル%未満は、ペンダントイオン基を有し、及び第2光学層は第2のポリエステルを含み、前記共押出交互層を前記第1及び第2の光学層のTgを上回る予熱温度まで予熱する工程と、前記第1及び第2の光学層が少なくとも1つの軸線に沿って、少なくとも0.04異なる屈折率を有するように、予熱後に前記共押出交互層を延伸する工程と、を含む。
【0009】
本発明のこれら及びその他の態様は、以下に提示される図面と関連して、発明を実施するための最良の形態に記載される。上記概要はいずれも、主張される対象の制限として解釈されるべきではなく、前記対象は、本明細書に記載される特許請求の範囲によってのみ定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、図に示されるような代表的な多層光学フィルムに関する。多層光学フィルム16は、第1及び第2の光学層(それぞれ12及び14)の交互層を含む。一般に、第1及び第2の光学層は、隣接層間の境界面で光の一部が反射されるように、異なる屈折率特性を有する。前記層は、前記フィルムに所望の反射又は透過特性をもたらす目的で、複数の前記境界面で反射した光に建設的又は相殺的干渉をもたらすほど十分に薄い。紫外線、可視、又は近赤外線波長で光を反射するように構成された多層光学フィルムでは、一般にそれぞれの層は、約1μm未満の光学的厚さ(すなわち、物理的厚さに屈折率を乗じたもの)を有する。したがって一実施形態では、第1及び第2の光学層は、それぞれ約1μm未満の厚さを有する。しかしながら、フィルムの外側表面上の表面薄層、又はフィルム内に配置され、光学層のパケットを分離する保護境界層等、より厚い層も含むことができる。又、図は、多層光学フィルム16の外側表面上に層18を含む、例示的な多層光学フィルム10も描写する。本明細書に開示される多層光学フィルムは、2〜約5000の光学層、好ましくは3〜1000の光学層、及びより好ましくは3〜700の光学層を含む。一実施形態では、本明細書に開示される多層光学フィルムは、50〜700の光学層を含む。
【0011】
本明細書に開示される多層光学フィルムは、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度増強フィルム、回転フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。多層光学フィルムは、例えば、参照によりそのすべての全内容が本明細書に組み込まれる米国特許番号第6,352,761 B1号(ヘブリンク(Hebrink)ら)、米国特許番号第7,052,762 B2号(へブリンク(Hebrink)ら)、米国特許番号第6,641,900 B2号(へブリンク(Hebrink)ら)、米国特許番号第6,569,515 B2号(へブリンク(Hebrink)ら)、及び米国特許公報番号第2006/0226561 A1号(メリル(Merrill)ら)に記載される。
【0012】
本明細書に開示される多層光学フィルムは、多数の利点を提供する。その1つは、多層光学フィルムは、当該技術分野において既知の多層光学フィルムと比較し、向上した光学層間の層間接着を呈する。層間接着は、剥離強度及び層間剥離抵抗性として記載される場合がある。層間接着の向上により、層の層間剥離が低減する、又は最小の望ましい剥離強度未満まで削減され得ることがあるが、これは通常多層光学フィルムが使用される用途による。したがって、本明細書に開示される多層光学フィルムは、トランザクションカードにおける情報記憶等、高剥離強度を必要とする用途に使用することができる。本明細書に開示される多層光学フィルムは、トランザクションカードの合格基準に加えて、特性の試験方法を定義する国際標準ISO/IEC 10373−1:1998(E)に記載されたように測定される場合、少なくとも約0.34N/mm(約2ポンド/インチ)の平均剥離強度を呈する。本明細書に開示される多層光学フィルムは、少なくとも約39g/cmの平均垂直剥離強度を呈する。
【0013】
本明細書に開示される多層光学フィルムは、向上した層間接着と組み合わせて、フィルムの十分な光学性能が維持されるという点でも有利である。前述の参照に記載されるように、典型的に多層光学フィルムは共押出され、続いて1方向又は2方向への延伸(drawing)又は延伸(stretching)によって配向される。層間接着を改善する1つの方法は、延伸率、すなわち、フィルムが延伸される程度を減少することである。このアプローチは、界面相の厚さがフィルム全体の厚さと比例するという概念を利用する。したがって、フィルムの厚さの減少が少ないと、界面相の厚さが増加し、界面相により多くのもつれが生じるという結果になり得る。しかしながら、延伸率が小さすぎる場合、光学性能に関連する問題が生じる可能性がある。例えば、フィルムの配向中に発現される複屈折が小さすぎる場合、光学上の利得の減少が観測される場合がある。別の例では、過度に厚い界面相は、多くの場合、屈折率を鋭いものではなく、ぼやけた、段階的な勾配を有するものにするため、干渉の欠如等の光学的アーチファクトが観測される場合がある。本明細書に開示される多層光学フィルムは、層間接着に悪影響を与えることなく、フィルムに所望の光学的特性を付与するのに十分な率で延伸することができる。
【0014】
多層光学フィルムの層間接着を改善する他の方法は、フィルムを延伸後にヒートセットすることである。熱は、延伸中にフィルム内に蓄積された内部応力の解放を助長し得るため、又は層間でのエステル交換反応及び/又は相互拡散を生じ得るため、層間接着が向上すると考えられる。しかしながらヒートセッティングは、多くの場合、多層光学フィルムの光学性能及び機械的完全性に影響を与える。当該技術分野において既知の多層フィルムと比較し、本明細書に開示される多層光学フィルムは、光学性能に悪影響を与えることなく、より低温でヒートセットすることができる。
【0015】
又、本明細書に開示される多層光学フィルムは、向上した層間接着と組み合わせて、フィルムの高収縮が維持されるという点でも有利である。高収縮は、しわのないフィルムの積層を促進することができ、多層光学フィルムがポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、及び同様のポリマー類等の他のより低収縮性ポリマー類で積層される用途において、特に有利である。積層体の熱処理は、光学フィルムの収縮が異種のポリマーより大幅に少ない場合、座屈を生じる可能性がある。フィルムの収縮が内部応力に関連し、一般に内部応力が多層フィルムにおける弱い層間接着の1つの原因であることから、通常、層間接着と収縮との間には矛盾がある。
【0016】
又、本明細書に開示される多層光学フィルムは、当該技術分野において既知の多層光学フィルムと比較して耐水性であるという利点も提供する。本明細書に開示される多層光学フィルムは、当該技術分野において既知のフィルムを作製するために使用されるポリマー類と比較して、より水を吸収するポリマー類を含むため、これは予想外である。例えば、本明細書に開示される多層光学フィルムは、長期間水に浸すことができ、それにもかかわらず透明度及び優れた一体性を維持することができる。概して、本明細書に開示される多層光学フィルムは、用途別の透明度、ヘイズ、及び透過率特性を満たすように設計することができるため、有利である。一例としては、多層光学フィルムは、約50%未満のヘイズ値を有する。
【0017】
本明細書に開示される多層光学フィルムは、第1及び第2のポリエステルから作製される第1及び第2の光学層の交互層を備える。本明細書で使用される際、ポリエステルという用語は、単一ジカルボキシレートモノマー及び単一ジオールモノマーから生成されるポリエステル類、及び2つ以上のジカルボキシレートモノマー及び/又は2つ以上のジオールモノマーから生成されるコポリエステル類も指す。一般に、ポリエステル類は、ジカルボキシレートモノマーのカルボキシレート基をジオールモノマーのヒドロキシル基で縮合することによって調製される。
【0018】
第1のポリエステルは、ペンダントイオン基を有する第1のジカルボキシレートモノマーを含む。ペンダントイオン基は、ポリエステルの主鎖を形成する重合反応に関与しない基である。理論に束縛されるものではないが、ある層内のペンダントイオン基が隣接層内のカルボニル酸素等の極性基と相互作用する結果、層間接着が向上すると考えられ、ある層内のペンダントイオン基が隣接層内に存在する対イオンと相互作用することも可能である。
【0019】
任意の界面相におけるイオン基の体積密度は、リュー(Liu)らの巨大分子(Macromolecules)、2005、38、4819〜4827に従って計算することができる。界面相の厚さが10nm、及びもつれの半径が2nmであると仮定すると、2つのポリマー層の界面相もつれの体積密度は、約3.0×1013/cmである。0.5モル%のペンダントイオン基を有するジカルボキシレートモノマーでは、約1.4×1013/cmのイオン基が界面相に存在し、界面相もつれ数のおよそ半分である。5モル%のペンダントイオン基を有するジカルボキシレートモノマーでは、約1.4×1014/cmのイオン基が界面相に存在し、界面相もつれ数の約4〜5倍である。したがって、少量のペンダントイオン基を有する第1のジカルボキシレートモノマーを使用してもよい。
【0020】
第1のジカルボキシレートモノマーは、少なくとも2つの異なるモノマーを含み、モノマーの約0.25〜10モル%未満は、ペンダントイオン基を有する。一実施形態では、第1のジカルボキシレートモノマーは、少なくとも2つの異なるモノマーを含み、約0.25〜約4モル%のモノマーは、ペンダントイオン基を有する。特定のモル%のペンダントイオン基を有するモノマーは、前述の範囲に特に制限されず、フィルムの所望の特性に応じて選択することができる。これは、言い換えると、第1のポリエステル、並びに第2のポリエステルを形成するために使用される他のモノマーによる。通常、用途に応じた最小剥離強度、並びに最小量の耐水性が望ましい。ペンダントイオン基を有するモノマーの特定のモル%は、共押出される前又は後のいずれにも溶解物に不相溶性問題がないよう選択されるべきであり、溶解物のレオロジーは層を形成するために使用される特定の共押出方法の影響を受け易くならねばならない。
【0021】
ぺンダント基のモル%を10モル%未満に維持することによって、幾つかの問題を緩和することができ、例えば、ポリエステルが溶解処理中に除去することが困難であり得る水分の吸収に対してより低い性向を有する。ポリエステル内の水の存在は、押出成形を困難にする、望ましくないレオロジー的挙動の原因となり得る。更に、水分は、押出層における厚さのばらつきの原因となる可能性があり、これらのばらつきは、光学性能に悪影響を及ぼす。更に別の利点は、フィルムの感湿度が減少するということである。又、ペンダントイオン基の量を低く維持することで、優れたフィルムの形成に必要不可欠であり得る長ポリマー鎖の形成が促進される。そうでなければ、鎖が短すぎる場合、結果として生じるフィルムは、脆性である可能性がある。
【0022】
第1のジカルボキシレートモノマーは、光学用途に使用されるポリエステル類を調製するために既知のいずれのジカルボキシレートモノマーを含んでもよい。本明細書で使用される際、「カルボキシレート」及び「酸」という用語は、同じ意味で使用され、1〜10の炭素原子を有する低級アルキルエステル類を含む。第1のジカルボキシレートモノマーの例には、ナフタレンジカルボン酸、ジカルボン酸テレフタル酸、ジカルボン酸フタル酸、ジカルボン酸イソフタル酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビ−シクロオクタンジカルボン酸、1,6−シクロヘキサンジカルボン酸、t−ブチルイソフタル酸、トリ−メリト酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、又はこれらの組み合わせが挙げられ、これらは、それらのジメチルエステル形態で置換されてもよい。
【0023】
ペンダントイオン基を提供するために、前述のジカルボン酸基のいずれかをイオン基で置換してもよい。ペンダントイオン基は、ポリエステルの側鎖上にこれらをグラフトするか、ポリエステルの末端基としてキャッピングするか、又は第1のポリエステルを形成する重合中にペンダントイオン基を有するモノマーを含むことによって導入されてよい。ペンダントイオン基は、アニオン性であってもカチオン性であってもよい。アニオン基の例には、スルホン酸基、ホスホネート基、又はカルボキシレート基、又はこれらの組み合わせが挙げられる。カチオン基の例には、アンモニウム基及びスルホニウム基が挙げられる。ペンダントイオン基を有する第1のジカルボキシレートモノマーは、同一又は異なるペンダントイオン基を有するジカルボキシレートモノマーを1つ以上含んでもよい。それぞれのペンダントイオン基は、無機又は有機対イオンである対イオンと関連する。無機対イオンの例には、ナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、コバルト、鉄、アルミニウム、若しくはアンチモンの対イオン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。有機対イオンの例には、C2〜C20化合物、特にカルボキシレート類が挙げられる。好ましい有機対イオンには、シトレート類、リンゴ酸塩類、マロネート類、マレアート類、アジパート類、コハク酸塩類、アセテート類、プロピオネート類、乳酸類、タータラート類、グリコレート類、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ペンダントイオン基を有する有用な第1のジカルボキシレートモノマーは、ナトリウム5−スルホイソフタレート等の5−スルホイソフタレートの塩を含む。
【0024】
第1のジオールモノマーは、ジオールモノマーを1つ以上含んでもよく、それらは、光学用途のポリエステル類を作製するために使用されるもののいずれであってもよい。有用なジオールモノマーには、2つ以上のヒドロキシル基を有するもの、例えば、トリオール類、テトラオール類、及びペンタオール類も挙げられ、これらも又有用であり得る。一般に、脂肪族ジオール類及びグリコール類が有用であり、これらの例には、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリシクロデカンジオール、ノルボルナンジオール、ビシクロ−オクタンジオール、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、及び1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンが挙げられる。
【0025】
一実施形態では、第1のポリエステルは、ナフタレンジカルボキシレート及びエチレングリコールを含むポリエチレンナフタレート(PEN)の誘導体を含んでもよい。誘導体は、第1のジカルボキシレートモノマーの総数が同じになるようにナフタレンジカルボキシレートを5−スルホイソフタレートの塩で置換することによって取得される。特定の一実施例では、第1のポリエステルは、ナフタレンジカルボキシレート及び5−スルホイソフタレートの塩を含んでもよく、第1のジオールモノマーは、エチレングリコールを含む。例えば、第1のポリエステルは、2モル%のナトリウム5−スルホイソフタレート及び98モル%のナフタレンジカルボキシレートから100モル%のエチレングリコールまで含んでもよい。別の実施例では、第1のポリエステルは、5モル%のナトリウム5−スルホイソフタレート及び95モル%のナフタレンジカルボキシレートから100モル%のエチレングリコールまで含んでもよい。
【0026】
別の実施形態では、第1のポリエステルは、ナフタレンジカルボキシレート、テレフタレート、及びジオールモノマーを1つ以上含むCoPENの誘導体を含んでもよい。誘導体は、第1のジカルボキシレートモノマーの総数が同じになるようにナフタレンジカルボキシレート及び/又はテレフタレートをジメチル5−スルホイソフタレートの塩で置換することによって取得される。一実施例では、第1のジカルボキシレートモノマーは、ナフタレンジカルボキシレート、テレフタレート、及び5−スルホイソフタレートの塩を含んでもよく、第1のジオールモノマーは、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、及びトリメチロールプロパンからなる群から選択されるモノマーを1つ以上含んでもよい。例えば、第1のジカルボキシレートモノマーは、ナトリウム5−スルホイソフタレート、ナフタレンジカルボキシレート、及びテレフタレートを含んでもよく、第1のジオールモノマーは、エチレングリコール及び1,6−ヘキサンジオールを含んでもよい。別の実施例では、第1のジカルボキシレートモノマーは、ナトリウム5−スルホイソフタレートを3〜5モル%、ナフタレンジカルボキシレートを75モル%、及びテレフタレートを20〜22モル%含んでもよく、第1のジオールモノマーは、エチレングリコールを80〜92モル%及び1,6−ヘキサンジオールを8〜20モル%含んでもよい。
【0027】
別の実施形態では、第1のポリエステルは、テレフタレート及びエチレングリコールを含む、ポリエチレンテレフタレート(PET)の誘導体を含んでもよい。誘導体は、第1のジカルボキシレートモノマーの総数が同じになるようにテレフタレートを5−スルホイソフタレートの塩で置換することによって取得される。例えば、第1のジカルボキシレートモノマーは、5−スルホイソフタレート及びテレフタレートの塩を含んでもよく、第1のジオールモノマーは、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールからなる群から選択されるモノマーを1つ以上含んでもよい。別の実施例では、第1のポリエステルは、ナトリウム5−スルホイソフタレートの塩を10モル%未満、及びテレフタレートを少なくとも90モル%含んでもよく、第1のジオールモノマーは、エチレングリコールを70〜75モル%、及びネオペンチルグリコールを25〜30モル%含んでもよい。
【0028】
第1の光学層は、ペンダントイオン基を含む第1のポリエステルに加えて、その他のポリマー類を含んでもよい。通常、その他のポリマー類は、ペンダントイオン基を有さない。例えば、第1の光学層は、第1のポリエステルと別のポリエステルの混合物を含んでもよい。特に、第1のポリエステルは、5−スルホイソフタレート、テレフタレート、エチレングリコール、及びネオペンチルグリコールの塩を含んでもよく、第2のポリエステルは、テレフタレート、エチレングリコール、及びネオペンチルグリコールを含んでもよい。この場合、第1及び第2のポリエステルは、それぞれ5〜95、又は80〜20の比率で混合されてもよい。
【0029】
第1の光学層は、1つ以上の触媒及び/又は安定剤等の追加の構成成分を含んでもよい。例えば、第1の光学層は、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、マンガン、コバルト、亜鉛、及びアンチモンからなる群から選択される金属のアセテート類又は酸化物類を含んでもよい。別の実施例では、第1の光学層は、リン酸又はトリメチルホスフェート等のリン化合物を1つ以上含んでもよい。第1の光学層は、0.5質量%未満又は0.1質量%未満の触媒及び/又は安定剤を1つ以上含んでもよい。具体的には、第1のポリエステルは、一価の有機塩を約0.5質量%未満含んでもよい。
【0030】
多層光学フィルムは、第2のポリエステルを含む第2の光学層を備える。第2のポリエステルは、ペンダントイオン基を有していなくてもよい。例えば、第2のジカルボキシレートモノマーは、ナフタレンジカルボキシレートを含んでもよく、第2のジオールモノマーは、エチレングリコールを含んでもよい。別の実施例では、第2のジカルボキシレートモノマーは、テフタレートを含んでもよく、第2のジオールモノマーは、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを含んでもよい。別の実施例では、第2のジカルボキシレートモノマーは、ナフタレンジカルボキシレート及びテレフタレートを含んでもよく、第2のジオールモノマーは、エチレングリコールを含んでもよい。第2のポリエステルは、ペンダントイオン基を有してもよく、すなわち、第2のポリエステルは、第2のジカルボキシレートモノマー及び第2のジオールモノマーを含んでもよく、前記第2のジカルボキシレートモノマーの約0.25〜10モル%未満は、ペンダントイオン基を有してもよい。第1の光学層で記載されるように、第2の光学層は、第2のポリエステルに加えて、その他のポリマー類を含んでもよい。又、第2の光学層は、第1の光学層で記載されるように、追加の構成成分を含んでもよい。
【0031】
第1及び第2の光学層の特定の組み合わせは、有用である。例えば、第1の光学層は、5−スルホイソフタレート、テレフタレート、及びエチレングリコールの塩を含む第1のポリエステルとテレフタレート及びエチレングリコールを含む別のポリエステルの混合物を含んでもよく、第2の光学層は、ナフタレンジカルボキシレート、テレフタレート、及びエチレングリコールを含む第2のポリエステルを含んでもよい。別の実施例では、第1の光学層は、5−スルホイソフタレート、テレフタレート、及びエチレングリコールの塩を含む第1のポリエステルを含んでもよく、第2の光学層は、ナフタレンジカルボキシレート、テレフタレート、及びエチレングリコールを含む第2のポリエステルを含んでもよい。別の実施例では、第1の光学層は、5−スルホイソフタレート、ナフタレンジカルボキシレート、及びエチレングリコールの塩を含む第1のポリエステルを含んでもよく、第2の光学層は、テレフタレート、エチレングリコール、及びネオペンチルグリコールを含む第2のポリエステルを含んでもよい。
【0032】
幾つかの実施形態では、層間接着を向上させるために、光学層の一方又は両方にナトリウムイオンを組み込むことが有益であり得る。ナトリウムイオン源は、モノマー、例えば、ナトリウム5−イソフタレート、及び/又はナトリウムアセテート等、無機塩であっても有機塩であってもよい。多層光学フィルムは、第1の光学層が少なくとも約1000ppmのナトリウムを含む場合がある一方、第2の光学層がナトリウムイオンを含まないように設計することができる。第1及び第2の光学層のそれぞれが少なくとも約1000ppmのナトリウムイオンを含む多層光学フィルムの相乗効果を達成することができる。
【0033】
本明細書に開示される多層光学フィルムは、光の取り扱い、増強、操作、制御、透過、反射、屈折、吸収が行われる光学用途での使用に適している。例えば、光学物品は、バックライトサイン、掲示板等のグラフィックアート用途で使用することができる。光学物品は、少なくとも光源及びディスプレイパネルを備えるディスプレイデバイスに使用することができる。この場合、通常光学物品は、ディスプレイパネルと同程度の領域を有し、ディスプレイパネルと光源との間に置かれる。光学物品がディスプレイデバイス内に存在する場合、ディスプレイパネルの輝度が向上する。光学物品は、光学物品が使用されていないディスプレイデバイスと比較して、見る人にとって個々の光源の形状、寸法、数等が識別しにくくするように光源によって放出された光を拡散するため等、その他の目的でディスプレイデバイス内に使用されてもよい。ディスプレイパネルは、画像、図形、文章等を生成することができるいずれの種類のものであってもよく、単色であっても多色であってもよい。例として、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、又はタッチスクリーンが挙げられる。光源は、1つの光源又は幾つかの個々の光源を含んでもよく、例として、蛍光ランプ、蛍光灯、発光ダイオード、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ディスプレイデバイスの例として、テレビ、モニタ、ラップトップコンピュータ、及び携帯電話、PDA、計算機等の手持ち式デバイスが挙げられる。
【0034】
多層光学フィルムが使用され得る特定の光学用途は、すべて参照により全内容が本明細書に組み込まれる米国特許番号第6,290,137 B1号(キーハーフェル(Kiekhaefer))、米国特許公報番号第2005/0040242 A1号(ビーナウ(Beenau)ら)、米国特許公報番号第2005/259326 A1号(ウィーバー(Weber)ら)、及び米国特許公報番号第2006/0196948 A1号(ウィーバー(Weber)ら)に記載されるようなトランザクションカードである。トランザクションカードは、実質的に平らで薄く、堅い物品であり、個人的使用のために十分に小さく、例には、金融取引用トランザクションカード(クレジットカード、デビットカード、及びスマートカードを含む)、身分証明書、カードキー、及びチケットカードが挙げられる。一実施形態では、トランザクションカードは、それぞれが少なくとも約125μmの厚さを有する第1及び第2のポリマー層を含み、本明細書に開示される多層光学フィルムは、前記2つの層間に配置される。前記第1及び第2のポリマー層は独立して、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、グリコール修飾ポリエチレンテレフタレート、コポリエステル、又はこれらの組み合わせを含む。
【0035】
トランザクションカードの特定の種類は、本明細書ではVLTカードと称される可視光透過カードであり、可視光の少なくとも一部がそこを通って透過される領域を少なくとも1つ有し、その領域は400〜700nmで少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約70%の平均透過率を有する。通常VLTカードは、カードの領域の少なくとも1つが800〜1000nmで約16%の平均透過率を呈するように、大部分の放射を実質的に遮断するように設計される。VLTカードは、相当量のヘイズ(したがって半透明)を有してもよく、染料又は色素を混入することによって、又は適した多層光学フィルムの反射バンドを置くことによって、薄く色を付ける、或いは別の方法で着色することができる。又、VLTカードは、実質的に透明かつ無色、例えば、無色透明にすることもできる。一実施形態では、中に多層光学フィルムが組み込まれたトランザクションカードは、約12%未満のヘイズを有する。多層光学フィルムは、前述参照に記載されるような接着剤、プライマー等を使用してVLTカードに組み込まれる。
【0036】
本明細書に開示される多層光学フィルムは、前述参照のいずれかに記載されるようなポリマーの共押出によって形成されてもよい。押出成形条件は、供給流及び溶解流が連続的かつ安定した状態でポリマーを適切に供給、溶解、混合、及びポンプするように選択される。それぞれの溶解流を形成し、維持するために使用される温度は、下端での凝固、結晶化、又は過度の高圧力低下を低減し、上端での分解を低減する範囲内となるように選択される。好ましくは、様々な層のポリマーは、流れに障害なく共押出できるように同様のレオロジー的特性(例えば、溶融粘度)を有するように選択される。
【0037】
それぞれの供給流は、ポリマー流量を連続的かつ均一に調節するため使用されるギアポンプにネック管を通して搬送される。静的混合装置は、均一な溶解流温度でギアポンプからフィードブロックに溶解流を運ぶためにネック管の末端部に設置されてもよい。通常溶解流全体は、溶解流の均一流量を向上すること、及び溶解処理中の分解を低減することの両方を可能にするように均一に加熱される。
【0038】
上層及び下層が同一材料を含む場合、押出可能なポリマーを上層及び下層のそれぞれに1つずつ、2つの溶解流に分割するために、多層フィードブロックを使用してもよい。いずれの溶解流から生成される層は、主流路からフィードブロック多岐管の層スロットに続く側路管に連続的に溶解流の一部分を流出することによって生成される。層の流れは、多くの場合、個々の側路管及び層スロットの形状並びに物理寸法に加えて、機械装置を選択することによって制御される。
【0039】
フィードブロックの下流側多岐管は、多くの場合、一体化された多層積み重ね体の層を横方向に圧縮し、均一に塗布するように成形される。次いで、フィードブロック多岐管から出てくる多層積み重ね体を単一多岐管ダイ等の最終ユニットに入れてもよい。次いで結果として生じるウェブを、鋳造ホイール又は鋳造ドラムと称される冷却ロール上で鋳造してもよい。この鋳造は、多くの場合、ニップロールを使用することによって助長される。一般に、ウェブは、ウェブ全体に渡り均一の厚さに鋳造されるが、ダイの縁を制御することによって、ウェブの厚さの意図的なプロファイリングを行ってもよい。別の方法としては、鋳造前に層を塗布し、一体化するために、複多岐管押出成形ダイを使用してもよい。
【0040】
冷却後、多層光学フィルムを生成するために、多層ウェブを延伸(drawn)又は延伸(stretched)する。延伸方法及びプロセスに関する詳細は、前述の参照に記載される。偏光子を作製するための一例示的な方法では、単一延伸工程が使用される。本プロセスは、幅出し機又は長さ方向機で実行されてもよい。特定の幅出し機は、ウェブパス又は機械方向にフィルムを寸法的に延伸する又は弛緩させる(収縮させる)機構を備えるが、通常の幅出し機は、ウェブパスを横方向に延伸する。したがって、本例示的な方法では、フィルムは、一内面方向に延伸される。第2の内面寸法は、従来の幅出し機で行われるように一定に保つ、又は長さ方向機で行われるように、小さな幅にネックすることができる。前記ネッキングは、大幅に延伸率を増大する可能性がある。
【0041】
偏光子を作製するための別の例示的な方法では、連続延伸工程が使用される。本プロセスは、長さ方向機及び/又は幅出し機で実行されてもよい。幅出し機は、ウェブパスに対して横方向に延伸するが通常の長さ方向機は、ウェブパス方向に延伸する。一例示的な方法では、フィルムは、ロール・ツー・ロールプロセスで両方の内面方向に連続して延伸される。更に別の例示的な方法では、フィルムは、バッチ方向機で両内面方向に同時に延伸される。更に別の例示的な方法では、他の方向の幅は一定に保たれる一方、フィルムは、バッチ方向機で一方向にのみ延伸される。
【0042】
反射鏡を作製するための一例示的な方法では、複屈折物質を両内面方向に配向するために、2工程延伸プロセスが使用される。延伸プロセスは、上記に記載された単一工程プロセスのいずれの組み合わせであってもよく、これによって2つの内面方向に延伸することができる。更に、機械方向に沿って延伸できる幅出し機、例えば連続的又は同時に2方向に延伸することができる2軸幅出し機を使用してもよい。この点では、単一の2軸延伸プロセスを使用してもよい。
【0043】
偏光子を作製するための更に別の方法では、様々な物質の異なる挙動を各延伸段階に引き出して単一共押出多層フィルム内に互いに対して異なる程度及び種類の配向を有する異なる物質を含む異なる層を形成するために、複数の延伸プロセスが使用される。又、反射鏡もこの方法で形成することができる。
【0044】
上述の参照に記載されるように、本明細書に開示される多層光学フィルムの反射及び透過特性は、それぞれの層の屈折率の機能である。各層は、フィルムの少なくとも局所部分においては、フィルムの厚み方向軸と関連のある面内屈折率n、n、及び、屈折率nによって特徴づけることができる。これらの屈折率は、直交し合っているx軸、y軸、及びz軸のそれぞれに沿って偏光した光に関する対象材料の屈折率を表す。実際には、屈折率は、賢明な材料選択及び加工条件によって制御される。
【0045】
個々の層は、可視又は近赤外線におけるスペクトルの反射バンドを所望の部位に1つ以上提供するように調整される厚さ及び屈折率を有する。妥当な数の層を用いて高反射率を達成するために、隣接したナノ層は、x軸線に沿って偏光された光に対する屈折率の差(Δn)が少なくとも0.04を呈することが好ましい。又、2つの直交する偏光に対して高反射率が望ましい場合も、隣接したナノ層は、x軸線に沿って偏光された光に対する屈折率の差(Δn)が少なくとも0.04を呈することが好ましい。
【0046】
延伸前に、多層ウェブは、第1及び第2の光学層のTgを上回る予熱温度まで予熱される。次いで予熱されたウェブは、延伸率が2×2から6×6、より好ましくは3×3から4×4まで延伸される。延伸後、少なくとも5秒間、より好ましくは少なくとも20秒間、結果として生じる多層光学フィルムを後熱してもよい。後熱は、180〜250℃の設定温度、例えば、少なくとも204℃、又は204〜250℃、及び好ましくは220〜240℃の温度で加熱する工程を含む。一実施形態では、多層フィルムは、227℃で後熱された。別の実施形態では、多層フィルムは、240℃で後熱された。
【0047】
以下の実施例は、本発明の範囲を説明するためのものであり、決してそれを限定することを意味しない。
【実施例】
【0048】
コポリエステル類の調製
ポリエステルA
ポリエステルAは、ポリエチレンナフタレートホモポリマー(PEN)を含み、ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル類を使用することによって二塩基酸部分が生じ、エチレングリコールを使用することによってジオール部分が生じる。ポリエステルAは、以下のように生成された。バッチ反応器に136kgのジメチルナフタレンジカルボキシレート、73kgのエチレングリコール、27gのマンガン(II)アセテート、27gのコバルト(II)アセテート、及び48gのアンチモン(III)アセテートを充填した。137kPa(20psig)の圧力下でこの混合物を254℃まで加熱し、エステル化反応副生成物であるメタノールを除去した。35kgのメタノールを除去後、反応器に49gのトリエチルホスホノアセテートを充填し、次いで290℃で加熱しながら、圧力を徐々に1.33kPa未満まで減少した。60/40質量%のフェノール/o−ジクロロベンゼン内で23℃で測定した場合に、固有粘度が0.48dl/gのポリマーが生成されるまで、縮合反応副生成物であるエチレングリコールを継続的に除去した。
【0049】
ポリエステルB
ポリエステルBは、エチレンナフタレート系コポリエステルであり、ナトリウムスルホイソフタル酸又はそのエステル類を使用することによって2モル%の二塩基酸部分が生じ、ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル類を使用することによって98モル%の二塩基酸部分が生じ、エチレングリコールを使用することによってジオール部分が生じる。ポリエステルBは、以下のように生成された。バッチ反応器に138kgのジメチルナフタレンジカルボキシレート、3.4kgのジメチルナトリウムスルホイソフタレート、78kgのエチレングリコール、32gの亜鉛(II)アセテート、26gのコバルト(II)アセテート、131gのナトリウムアセテート、及び68gのアンチモン(III)アセテートを充填した。137kPa(20psig)の圧力下でこの混合物を254℃まで加熱し、エステル化反応副生成物であるメタノールを除去した。38kgのメタノールを除去後、反応器に58gのトリエチルホスホノアセテートを充填し、次いで285℃で加熱しながら、圧力を徐々に1.33kPa未満まで減少した。60/40質量%のフェノール/o−ジクロロベンゼン内で23℃で測定した場合に、固有粘度が0.37dl/gのポリマーが生成されるまで、縮合反応副生成物であるエチレングリコールを継続的に除去した。
【0050】
ポリエステルC
ポリエステルCは、エチレンナフタレート系コポリエステルであり、ナトリウムスルホイソフタル酸又はそのエステル類を使用することによって5モル%の二塩基酸部分が生じ、ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル類を使用することによって95モル%の二塩基酸部分が生じ、エチレングリコールを使用することによってジオール部分が生じる。ポリエステルCは、以下のように生成された。バッチ反応器に20.5kgのジメチルナフタレンジカルボキシレート、1.3kgのジメチルナトリウムスルホイソフタレート、11.7kgのエチレングリコール、2.4gの亜鉛(II)アセテート、2gのコバルト(II)アセテート、19.6gのナトリウムアセテート、及び10.9gのアンチモン(III)アセテートを充填した。137kPa(20psig)の圧力下でこの混合物を254℃まで加熱し、エステル化反応副生成物であるメタノールを除去した。5kgのメタノールを除去後、反応器に4.4gのトリエチルホスホノアセテートを充填し、次いで285℃で加熱しながら、圧力を徐々に1.33kPa未満まで減少した。60/40質量%のフェノール/o−ジクロロベンゼン内で23℃で測定した場合に、固有粘度が0.31dl/gのポリマーが生成されるまで、縮合反応副生成物であるエチレングリコールを継続的に除去した。
【0051】
ポリエステルD
ポリエステルDは、エチレンナフタレート系コポリエステルであり、ナトリウムスルホイソフタル酸又はそのエステル類を使用することによって10モル%の二塩基酸部分が生じ、ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル類を使用することによって90モル%の二塩基酸部分が生じ、エチレングリコールを使用することによってジオール部分が生じる。ポリエステルDは、以下のように生成された。バッチ反応器に19.2kgのジメチルナフタレンジカルボキシレート、2.6kgのジメチルナトリウムスルホイソフタレート、11.6kgのエチレングリコール、2.4gの亜鉛(II)アセテート、2gのコバルト(II)アセテート、38.9gのナトリウムアセテート、及び10.9gのアンチモン(III)アセテートを充填した。137kPa(20psig)の圧力下でこの混合物を254℃まで加熱し、エステル化反応副生成物であるメタノールを除去した。5kgのメタノールを除去後、反応器に4.4gのトリエチルホスホノアセテートを充填し、次いで285℃で加熱しながら、圧力を徐々に1.33kPa未満まで減少した。60/40質量%のフェノール/o−ジクロロベンゼン内で23℃で測定した場合に、固有粘度が0.26dl/gのポリマーが生成されるまで、縮合反応副生成物であるエチレングリコールを継続的に除去した。
【0052】
ポリエステルE
ポリエステルEは、コポリエステルであり、ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル類を使用することによって55モル%の二塩基酸部分が生じ、テレフタル酸又はそのエステル類を使用することによって45モル%の二塩基酸部分が生じ、1,6−ヘキサンジオールを含むジオールの混合物を使用することによってジオール部分が生じる。ポリエステルEは、以下のように生成された。バッチ反応器に88.5kgのジメチル2,6−ナフタレンジカルボキシレート、57.5kgのジメチルテレフタレート、81kgのエチレングリコール、4.7kgの1,6−ヘキサンジオール、239gのトリメチロールプロパン、22gの亜鉛(II)アセテート、15gのコバルト(II)アセテート、及び51gのアンチモン(III)アセテートを充填した。137kPa(20psig)の圧力下でこの混合物を254℃まで加熱し、エステル化反応副生成物であるメタノールを除去した。39.6kgのメタノールを除去後、反応器に37gのトリエチルホスホノアセテートを充填し、次いで290℃で加熱しながら、圧力を徐々に1.33kPa未満まで減少した。60/40質量%のフェノール/o−ジクロロベンゼン内で23℃で測定した場合に、固有粘度が0.56dl/gのポリマーが生成されるまで、縮合反応副生成物であるエチレングリコールを継続的に除去した。この方法によって生成されたポリマーは、温度ランプ速度20℃/分で示差走査熱量測定したところ、94℃のガラス遷移温度(T)を有した。
【0053】
ポリエステルF
ポリエステルFは、コポリエステルであり、エチレングリコールを使用することによって全ジオール部分が生じ、ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル類を使用することによって90モル%の二塩基酸部分が生じ、テレフタル酸又はそのエステル類を使用することによって10モル%の二塩基酸部分が生じる。ポリエステルFは、以下のように生成された。バッチ反応器に126kgのジメチルナフタレンジカルボキシレート、11kgのジメチルテレフタレート、75kgのエチレングリコール、27gのマンガン(II)アセテート、27gのコバルト(II)アセテート、及び48gのアンチモン(III)アセテートを充填した。137kPa(20psig)の圧力下でこの混合物を254℃まで加熱し、エステル化反応副生成物であるメタノールを除去した。36kgのメタノールを除去後、反応器に49gのトリエチルホスホノアセテートを充填し、次いで290℃で加熱しながら、圧力を徐々に1.33kPa未満まで減少した。60/40質量%のフェノール/o−ジクロロベンゼン内で23℃で測定した場合に、固有粘度が0.50dl/gのポリマーが生成されるまで、縮合反応副生成物であるエチレングリコールを継続的に除去した。
【0054】
ポリエステルG
ポリエステルGは、ナフタレート系コポリエステルであり、ナトリウムスルホイソフタル酸又はそのエステル類を使用することによって3モル%の二塩基酸部分が生じ、テレフタル酸又はそのエステル類を使用することによって22モル%の二塩基酸部分が生じ、ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル類を使用することによって75モル%の二塩基酸部分が生じ、エチレングリコールを使用することによってジ84モル%のオール部分が生じ、1,6−ヘキサンジオールを使用することによって16モル%のジオール部分が生じる。ポリエステルGは、以下のように生成された。バッチ反応器に108.8kgのジメチル2,6−ナフタレンジカルボキシレート、25.4kgのジメチルテレフタレート、5.3kgのジメチルナトリウムスルホイソフタレート、72.6kgのエチレングリコール、11.2kgの1,6−ヘキサンジオール、15gの亜鉛(II)アセテート、13gコバルト(II)アセテート、126gのナトリウムアセテート、及び70gのアンチモン(III)アセテートを充填した。137kPa(20psig)の圧力下でこの混合物を254℃まで加熱し、エステル化反応副生成物であるメタノールを除去した。38kgのメタノールを除去後、反応器に28gのトリエチルホスホノアセテートを充填し、次いで285℃で加熱しながら、圧力を徐々に1.33kPa未満まで減少した。60/40質量%のフェノール/o−ジクロロベンゼン内で23℃で測定した場合に、固有粘度が0.41dl/gのポリマーが生成されるまで、縮合反応副生成物であるエチレングリコールを継続的に除去した。
【0055】
ポリエステルH
ポリエステルHは、ナフタレート系コポリエステルであり、ナトリウムスルホイソフタル酸又はそのエステル類を使用することによって5モル%の二塩基酸部分が生じ、テレフタル酸又はそのエステル類を使用することによって20モル%の二塩基酸部分が生じ、ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル類を使用することによって75モル%の二塩基酸部分が生じ、エチレングリコールを使用することによって92モル%のジオール部分が生じ、1,6−ヘキサンジオールを使用することによって8モル%のジオール部分が生じる。ポリエステルHは、以下のように生成された。バッチ反応器に110kgのジメチル2,6−ナフタレンジカルボキシレート、23.2kgのジメチルテレフタレート、8.9kgのジメチルナトリウムスルホイソフタレート、72.8kgのエチレングリコール、5.7kgの1,6−ヘキサンジオール、16gの亜鉛(II)アセテート、13gコバルト(II)アセテート、128gのナトリウムアセテート、及び71gのアンチモン(III)アセテートを充填した。137kPa(20psig)の圧力下でこの混合物を254℃まで加熱し、エステル化反応副生成物であるメタノールを除去した。38kgのメタノールを除去後、反応器に28gのトリエチルホスホノアセテートを充填し、次いで285℃で加熱しながら、圧力を徐々に1.33kPa未満まで減少した。反応器から排出する際の標準的な融解粘度を呈するポリマーが生成されるまで、縮合反応副生成物であるエチレングリコールを継続的に除去した。
【0056】
ポリエステルI
ポリエステルIは、ナフタレート系コポリエステルであり、ナトリウムスルホイソフタル酸又はそのエステル類を使用することによって10モル%の二塩基酸部分が生じ、テレフタル酸又はそのエステル類を使用することによって40モル%の二塩基酸部分が生じ、ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル類を使用することによって50モル%の二塩基酸部分が生じ、エチレングリコールを使用することによって80モル%のジオール部分が生じ、ネオペンチルグリコールを使用することによって20モル%のジオール部分が生じる。ポリエステルIは、以下のように生成された。バッチ反応器に75.8kgのジメチル2,6−ナフタレンジカルボキシレート、48.2kgのジメチルテレフタレート、18.4kgのジメチルナトリウムスルホイソフタレート、77kgのエチレングリコール、12.9kgのネオペンチルグリコレート、0.1kgのトリメチロールプロパン、34gの亜鉛(II)アセテート、20gのコバルト(II)アセテート、150gのナトリウムアセテート、及び60gのアンチモン(III)アセテートを充填した。137kPa(20psig)の圧力下でこの混合物を254℃まで加熱し、エステル化反応副生成物であるメタノールを除去した。38kgのメタノールを除去後、反応器に54gのトリエチルホスホノアセテートを充填し、次いで285℃で加熱しながら、圧力を徐々に1.33kPa未満まで減少した。反応器から排出する際の標準的な融解粘度を呈するポリマーが生成されるまで、縮合反応副生成物であるエチレングリコールを継続的に除去した。
【0057】
ポリエステルJ
ポリエステルJは、イーストマン・ケミカル社(Eastman Chemical Company)から市販されるイースター(Eastar)(登録商標)コポリエステル(Copolyester)6763であった。イースター(Eastar)(登録商標)コポリエステル(Copolyester)6763は、グリコール修飾PETであり、ペンダントイオン基を有さないと考えられる。
【0058】
ポリエステルK
ポリエステルKは、テレフタレート系コポリエステルであり、ナトリウムスルホイソフタル酸又はそのエステル類を使用することによって5モル%の二塩基酸部分が生じ、テレフタル酸又はそのエステル類を使用することによって95モル%の二塩基酸部分が生じ、エチレングリコールを使用することによって73モル%のジオール部分が生じ、ネオペンチルグリコールを使用することによって27モル%のジオール部分が生じる。ポリエステルKは、以下のように生成された。バッチ反応器に146.6kgのジメチルテレフタレート、11.8kgのジメチルナトリウムスルホイソフタレート、91.5kgのエチレングリコール、22.7kgのネオペンチルグリコール、16gの亜鉛(II)アセテート、16gのコバルト(II)アセテート、142gのナトリウムアセテート、及び79gのアンチモン(III)アセテートを充填した。137kPa(20psig)の圧力下でこの混合物を254℃まで加熱し、エステル化反応副生成物であるメタノールを除去した。51kgのメタノールを除去後、反応器に29gのトリエチルホスホノアセテートを充填し、次いで275℃で加熱しながら、圧力を徐々に1.33kPa未満まで減少した。60/40質量%のフェノール/o−ジクロロベンゼン内で23℃で測定した場合に、固有粘度が0.39dl/gのポリマーが生成されるまで、縮合反応副生成物であるエチレングリコールを継続的に除去した。
【0059】
ポリエステルL
ポリエステルLは、テレフタレート系コポリエステルであり、ナトリウムスルホイソフタル酸又はそのエステル類を使用することによって10モル%の二塩基酸部分が生じ、テレフタル酸又はそのエステル類を使用することによって90モル%の二塩基酸部分が生じ、エチレングリコールを使用することによって73モル%のジオール部分が生じ、ネオペンチルグリコールを使用することによって27モル%のジオール部分が生じる。ポリエステルLは、以下のように生成された。バッチ反応器に138.8kgのジメチルテレフタレート、23.5kgのジメチルナトリウムスルホイソフタレート、91.5kgのエチレングリコール、22.7kgのネオペンチルグリコール、18gの亜鉛(II)アセテート、14gのコバルト(II)アセテート、146gのナトリウムアセテート、及び81gのアンチモン(III)アセテートを充填した。137kPa(20psig)の圧力下でこの混合物を254℃まで加熱し、エステル化反応副生成物であるメタノールを除去した。51kgのメタノールを除去後、反応器に28gのトリエチルホスホノアセテートを充填し、次いで275℃で加熱しながら、圧力を徐々に1.33kPa未満まで減少した。60/40質量%のフェノール/o−ジクロロベンゼン内で23℃で測定した場合に、固有粘度が0.25dl/gのポリマーが生成されるまで、縮合反応副生成物であるエチレングリコールを継続的に除去した。
【0060】
ポリエステルM
ポリエステルMは、テレフタレート系コポリエステルであり、ナトリウムスルホイソフタル酸又はそのエステル類を使用することによって15モル%の二塩基酸部分が生じ、テレフタル酸又はそのエステル類を使用することによって85モル%の二塩基酸部分が生じ、エチレングリコールを使用することによって73モル%のジオール部分が生じ、ネオペンチルグリコールを使用することによって27モル%のジオール部分が生じる。ポリエステルMは、以下のように生成された。バッチ反応器に108kgのジメチルテレフタレート、28.2kgのジメチルナトリウムスルホイソフタレート、75kgのエチレングリコール、18.6kgのネオペンチルグリコール、15gの亜鉛(II)アセテート、12gのコバルト(II)アセテート、250gのナトリウムアセテート、及び68gのアンチモン(III)アセテートを充填した。137kPa(20psig)の圧力下でこの混合物を254℃まで加熱し、エステル化反応副生成物であるメタノールを除去した。51kgのメタノールを除去後、反応器に22gのトリエチルホスホノアセテートを充填し、次いで275℃で加熱しながら、圧力を徐々に1.33kPa未満まで減少した。60/40質量%のフェノール/o−ジクロロベンゼン内で23℃で測定した場合に、固有粘度が0.21dl/gのポリマーが生成されるまで、縮合反応副生成物であるエチレングリコールを継続的に除去した。
【0061】
ポリエステルN
ポリエステルNは、イーストマン・ケミカル社(Eastman Chemical Company)から市販されるSA115コポリエステルであった。SA115は、ペンダントイオン基を有さないと考えられる。
【0062】
ポリエステルO
ポリエステルOは、テレフタレート系コポリエステルであり、ナトリウムスルホイソフタル酸又はそのエステル類を使用することによって10モル%の二塩基酸部分が生じ、テレフタル酸又はそのエステル類を使用することによって10モル%の二塩基酸部分が生じ、シクロヘキサンジカルボン酸又はそのエステル類を使用することによって80モル%の二塩基酸部分が生じ、エチレングリコールを使用することによって30モル%のジオール部分が生じ、シクロヘキサンジメタノールを使用することによって70モル%のジオール部分が生じる。ポリエステルOは、以下のように生成された。バッチ反応器に11.3kgのジメチルテレフタレート、17.3kgのジメチルナトリウムスルホイソフタレート、92.4kgのジメチルシクロヘキサンジカルボキシレート、57.19kgのシクロヘキサンジメタノール、42.73kgのエチレングリコール、18gの亜鉛(II)アセテート、14gのコバルト(II)アセテート、146gのナトリウムアセテート、及び81gのアンチモン(III)アセテートを充填した。137kPa(20psig)の圧力下でこの混合物を254℃まで加熱し、エステル化反応副生成物であるメタノールを除去した。38.3kgのメタノールを除去後、反応器に28gのトリエチルホスホノアセテートを充填し、次いで275℃で加熱しながら、圧力を徐々に1トル(131N/m)まで減少した。60/40質量%のフェノール/o−ジクロロベンゼン内で23℃で測定した場合に、固有粘度が0.55dl/gのポリマーが生成されるまで、縮合反応副生成物であるエチレングリコールを継続的に除去した。
【0063】
ポリエステルP
ポリエステルPは、シクロ脂肪族系コポリエステルであり、ナトリウムスルホイソフタル酸又はそのエステル類を使用することによって10モル%の二塩基酸部分が生じ、シクロヘキサンジカルボン酸又はそのエステル類を使用することによって90モル%の二塩基酸部分が生じ、エチレングリコールを使用することによって30モル%のジオール部分が生じ、シクロヘキサンジメタノールを使用することによって70モル%のジオール部分が生じる。ポリエステルPは、以下のように生成された。バッチ反応器に103.86kgのジメチルシクロヘキサンジカルボレート、17.26kgのジメチルナトリウムスルホイソフタレート、42.7kgのエチレングリコール、57.11kgのシクロヘキサンジメタノール、15gの亜鉛(II)アセテート、12gのコバルト(II)アセテート、250gのナトリウムアセテート、及び68gのアンチモン(III)アセテートを充填した。137kPa(20psig)の圧力下でこの混合物を254℃まで加熱し、エステル化反応副生成物であるメタノールを除去した。39kgのメタノールを除去後、反応器に22gのトリエチルホスホノアセテートを充填し、次いで275℃で加熱しながら、圧力を徐々に1トル(131N/m)まで減少した。60/40質量%のフェノール/o−ジクロロベンゼン内で23℃で測定した場合に、固有粘度が0.52dl/gのポリマーが生成されるまで、縮合反応副生成物であるエチレングリコールを継続的に除去した。
【0064】
試験方法
剥離強度試験方法A:ISO/IEC 10373−1標準
試験するフィルムの両表面にスルホン化ポリエステル(3M社(3M Co.)から入手可能なWB−54)を下塗りし、次いで約70〜80マイクロメートルの厚さのPVC接着剤(トランシルラップ社(Transilwrap Co., Inc.)からのトランシルラップ(Transilwrap)3/1ZZ)を使用して、それぞれに250マイクロメートルの厚さを有する2つ透明なPVCシート間に積層した。結果として生じた試験片は、厚さが約760マイクロメートルであった。ISO/IEC 7810標準に従って積層された試験片をトランザクションカードの寸法(54mm×80mm)に切断した。次いでISO/IEC 10373−1標準に従って、トランザクションカード寸法の試験片の剥離強度を試験した。平均剥離強度を記録した。ISO/IEC 10373−1標準によると、少なくとも0.34N/mm(約2ポンド/インチ)の剥離強度が許容可能である。
【0065】
剥離強度試験方法B:積層体曲げ
試験する多層フィルムの両表面にスルホン化ポリエステル(3M社(3M Co.)から入手可能なWB−54)を下塗りし、次いで約70〜80マイクロメートルの厚さのPVC接着剤(トランシルラップ社(Transilwrap Co., Inc.)からのトランシルラップ(Transilwrap)3/1ZZ)を使用して、それぞれ約250マイクロメートルの厚さを有する2つ透明なPVCシート間に積層した。結果として生じる積層された試験片は、厚さが約850マイクロメートルの5層の積層体シート構造であった。積層には、カーバー(Carver)圧縮成形機を使用した。積層温度は、140℃に設定した。積層力は、圧力計上で4536kg(10,000ポンド)に設定した。15分間圧力を印加した。
【0066】
積層された試験片を幅25.4mm、長さ150mmのストリップに切断した。PVCシートを通り抜けて試験片の片側のPVC接着剤の層に到達するが、多層フィルムに切り込まないように、鋭利なカミソリ刃を使用して、フィルム平面に対して垂直にゆっくりと積層体ストリップを切り込んだ。続いて、切れ目が拡大し、PVC接着剤を通して多層フィルムが露出されるように試験片を切れ目に沿って折り曲げた。フィルムの幾つかの層を確実に貫通するように同一の鋭利なカミソリ刃を使用し、埋め込まれた多層フィルムの表面に沿ってゆっくりと滑らせた。切り目がフィルムを完全に通り抜けて反対側のPVC接着剤に到達する点が1つもないように、注意深く行われた。次いで、多層フィルム内のフィルム平面に沿って亀裂が各方向へ促されるよう、試験片が90°を超える角度まで折り曲げられるまで、ストリップを切り目に沿って折り曲げた。うまく剥離された試験片には、拡大した各亀裂の両側上に多層フィルムの一部分が残留するという結果になる。表面上の屈折率を測定することによって、すべての亀裂表面上にフィルムが存在することが確認できる。各フィルムについて、10個のストリップ試験片を試験した。
【0067】
剥離強度のレベルを4つのカテゴリ:A、B、C、及びDに定性的に分類した。レベルDの剥離強度は、10回の再現試験すべてにおいて不合格になった試験片の多層フィルムと定義した。レベルCの剥離強度は、10回の再現試験のうち3〜9回不合格になった試験片の多層フィルムと定義した。レベルBの剥離強度は、再現試験のうち1回又は2回のみ不合格になった試験片の多層フィルムと定義した。レベルAの剥離強度は、10回の再現試験のうち1回も不合格にならなかった試験片の多層フィルムと定義した。
【0068】
剥離強度試験方法C:垂直剥離
試験する多層フィルムを25.4mm幅のストリップ試験片に切断した。同一幅の両面接着テープ(3M社(3M Co.)からのスコッチ(Scotch)(登録商標)テープ#396)を使用して、フィルムストリップ試験片をガラス基材(約50mm×150mm)に付着した。前記接着テープを多層フィルムストリップ試験片全体の頂上に直接供し、更にガラス基材の中央部分に付着させた。又、テープストリップの長さは、手で掴むことができるよう、基材より更に長く付着したテープストリップの端で、ぶらさげ、未接着のままにした。フィルムの剥離(層間剥離)では、最初にフィルムストリップ試験片を過度に剥離することを避けるために、フィルムストリップ試験片の先端から0.635cm(1/4インチ)の場所を親指でしっかりと抑え、テープストリップの遊離端を鋭く素早く引っ張った。次いで、剥離を始めたプラークをスリップ/ピール試験機(Slip/Peel Tester)(インストラメンターズ社(Instrumentors, Inc.)(オハイオ州ストロングスビル(Strongsville))に取り付けた。テープストリップに付着しているフィルムストリップ試験片部分を90°の剥離角、2.54cm/秒、25℃及び50%相対湿度にて基材から剥離した。測定された剥離強度における誤差は、通常20%以下であると推定した。
【0069】
幾つかの試験片は、剥離できなかった。フィルム表面と接着テープとの間の接着は、約590g/cm(1500g/インチ)であると測定された。したがって、剥離できない試験片は、590g/cm(1500g/インチ)を超過する剥離強度を有すると判断した。
【0070】
水処理試験
多層フィルムを23℃の水に215時間浸した。ヘイズ及びフィルム一体性を定性的に評価した。一般に、優れた一体性を有するフィルムは、光学用途での使用に適している。
【0071】
透過性、ヘイズ、及び透明度
米国BYK−ガーナー(BYK-Garner USA)からのヘイズガード(Hazeguard)(登録商標)計器を使用して、多層フィルムの透過性(T、%)、ヘイズ(H、%)、及び透明度(C、%)を試験した。透過性及びヘイズは、ASTM D−1003に従って測定した。透明度は、前記計器の取扱説明書に記載される試験方法に従って測定した。
【0072】
(実施例1〜4)
実施例2〜4では、3つの層を含む共押出フィルムは、3層ABA(スキン/コア/スキン)フィードブロックを使用して、試験的押出成形ラインで作製された。層Aのポリマーは、ポリエステルFであり、単一スクリュー押出成形機によってフィードブロックのスキン通路に供給された。層Bのポリマーは、ポリエステルJ及びポリエステルKのペレット混合物であり、2軸スクリュー押出成形機によってフィードブロックのコア通路に供給された。実施例2〜4のそれぞれにおいて、ポリエステルJ:ポリエステルKの比率は、75:25、50:50、及び25:75であった。ポリエステル類は、押出成形中にトランスエステル化するため、層B内のナトリウムスルホイソフタル酸又はそのエステル類のモル百分率は、実施例2〜4のそれぞれにおいて、概略で1.25、2.5、及び3.75と同等であった。スキン/コア/スキンへの供給率は、容量で1:1:1であった。総押出成形速度は、13.6kg/時(30ポンド/時)であった。押出品をフィルムダイを使用して冷却ロール上で鋳造し、鋳造ウェブを作製した。次いで、カロ(KARO)IVバッチ延伸機(独国ジークスドルフ(Siegsdorff)にあるブリュックナー・マシネンゲバウ(Bruckner Maschinengebau))で、140℃、100%/秒の速度で、延伸率3.6×3.6に鋳造ウェブの試験片を2軸的に延伸した。フィルムは、カロ(KARO)IVでもそれ以降でもヒートセットしなかった。実施例1は、上記に記載されるように調製されたフィルムであるが、層B内のナトリウムスルホイソフタル酸又はそのエステル類のモル百分率は、概略で0.25と同等である。このフィルムの剥離強度は、モル百分率対剥離強度のプロットから補間された。フィルムを表1に記載し、結果を表2に示す。
【0073】
実施例5〜11及び比較実施例1〜4(C1〜C4)
実施例5〜11及びC1〜C4では、3つの層を含む共押出フィルムは、実施例2〜4で記載されるように作製されたが、ポリマーは、表1に示されるように異なっていた。フィルムを表1に記載し、結果を表2に示す。
【0074】
実施例12及び13、並びに比較実施例5(C5)
実施例12、13及びC5では、3つの層を含む共押出フィルムは、実施例2〜4で記載されるように作製されたが、ポリマーは、表1に示されるように異なっており、2軸的に延伸する代わりに、側面を拘束することなく、155℃、100%/秒の速度で、延伸率5.5に鋳造ウェブの試験片を1軸的に延伸された。フィルムを表1に記載し、結果を表2に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
1)モル%対剥離強度のプロットからの補間
2)未測定
比較実施例6及び7(C6及びC7)
C6及びC7では、多層フィルムは、ポリエステルF及びJの交互層を450層含むように共押出され、次いで長さ方向機及び幅出し機を有する逐次的な従来のフィルム作製ラインで延伸された。ポリエステルFは、2つの別個の押出成形機によって総速度90.7kg/時(200ポンド/時)でフィードブロックに供給され、ポリエステルJは、第3の押出成形機によって速度86.2kg/時(190ポンド/時)で同一のフィードブロックに供給された。鋳造フィルムを、長さ方向機で機械方向に延伸率約3.5まで延伸し、続いて幅出し機で横方向に延伸率約3.5まで延伸した。幅出し機の最初の2つの領域での予熱及び延伸した後、幅出し機の第3及び第4の領域で表4に示される温度でフィルムをヒートセットした。フィルムの説明及び結果を表3並びに4に示す。
【0078】
実施例14〜16及び比較実施例8(C8)
比較実施例6及び7に記載されるように、多層フィルムを共押出して延伸したが、ポリマー及びヒートセット温度は、表3及び4に示されるように異なっていた。フィルムの説明及び結果を表3並びに4に示す。
【0079】
対照例
対照例は、約120マイクロメートルの厚さを有する、単一層の2軸的に延伸されたPETフィルム(3M社(3M Co.)からのスコッチパー(SCOTCHPAR)であった。単層PETフィルムが内側層の境界面を有さないことから、本試験の結果は、本試験方法で検出可能なポリエステルフィルムの剥離強度の上限を示す。PET単層フィルムと同一の剥離強度を有する多層フィルムは、本試験が検出できる範囲において、剥離傾向がまったくないと言える。結果を表4に要約する。
【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
1)試験方法A
2)65℃、1000時間相対湿度95%
3)未測定
実施例12a〜e及び比較実施例C6a〜e
実施例12に記載される多層フィルム(幅出し機の第3及び第4の領域でヒートセット後のフィルム)の試験片を、それぞれの試験片を弛みのないフレームに取り付け、表5に示される異なる長さの時間240℃のオーブン内で保持することによって、ライン外で追加でヒートセットを行った。C6で記載される多層フィルム(幅出し機の第3及び第4の領域でヒートセット後のフィルム)の試験片に対しても同一の試験を行った。結果として生じる試験片を試験し、その結果を表5に要約する。
【0083】
【表5】

【0084】
1)試験方法B
表6に示されるように、拘束されない1軸配向後、ポリエステルBは、高複屈折であり、ポリエステルFの複屈折と同程度であった。
【0085】
【表6】

【0086】
1)RI(機械方向)−RI(横方向)
表1に示される実施例において、それぞれの層に存在するナトリウムイオンの量を計算し、その結果を表7に示す。両方の層がナトリウムイオンを有する場合、例えば、実施例2、6及び7と比較して、相乗効果が観測された。
【0087】
【表7】

【0088】
(実施例17)
PEN(ポリエチレンナフタレート)を含む第1の光学層及びポリエステルOを含む第2の光学層から多層反射鏡を構成した。多層溶解多岐管及び倍率機を通してPEN及びポリエステルOを共押出し、第1及び第2の光学層の825層の交互層を形成した。又、この多層フィルムに、第1の光学層と同一のPENの保護境界層を内側に2つ、外側に2つ含ませ、合計829層にした。更に、PENの2つの外側表面薄層を光学層の積み重ね体の両側上に共押出した。次いで、上記構成物の押出鋳造ウェブを空気温度150℃で45秒間、幅出しオーブンで加熱し、延伸率3.8×3.7に2軸的に配向した。次いで、結果として生じる50ミクロンのフィルムを245℃で10秒間ヒートセットした。前記フィルムは、許容可能な層間接着を有していた。
【0089】
(実施例18)
PET(ポリエチレンテフタレート)を含む第1の光学層及びポリエステルPを含む第2の光学層から多層反射鏡を構成した。多層溶解多岐管及び倍率機を通してPET及びポリエステルPを共押出し、第1及び第2の光学層の825層の交互層を形成した。又、この多層フィルムに、第1の光学層と同一のPETの保護境界層を内側に2つ、外側に2つ含ませ、合計829層にした。更に、PETの2つの外側表面薄層を光学層の積み重ね体の両側上に共押出した。次いで、上記構成物の押出鋳造ウェブを空気温度95℃で45秒間、幅出しオーブンで加熱し、延伸率3.8×3.7に2軸的に配向した。次いで、結果として生じる50ミクロンのフィルムを240℃で10秒間ヒートセットした。前記フィルムは、許容可能な層間接着を有していた。
【0090】
(実施例19)
約70〜80マイクロメートルの厚さのPVC接着剤(トランシルラップ社(Transilwrap Co., Inc.)からのトランシルラップ(Transilwrap)3/1ZZ))を使用して、それぞれに250マイクロメートルの厚さを有する2つの透明なPETシート(3M社(3M Co)スコッチパー(SCOTCHPAR)間に実施例15からのフィルムを積層した。結果として生じた試験片は、厚さが約760マイクロメートルであった。ISO/IEC 7810標準に従って積層された試験片をトランザクションカードの寸法(54mm×80mm)に切断した。次いでISO/IEC 10373−1標準に従って、トランザクションカード寸法の試験片の剥離強度を試験した。優れた剥離強度が得られた。
【0091】
本発明の範囲及び精神から乖離することのない、本発明の各種の改変及び変更は当業者であれば自明のことであろうし、本発明は本明細書に記載される実施例及び実施形態に限定されるものではないと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】例示的な多層光学フィルムの断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の光学層の交互層を含む多層光学フィルムであって、
前記第1の光学層は、第1のポリエステルを含み、前記第1のポリエステルは、第1のジカルボキシレートモノマー及び第1のジオールモノマーを含み、前記第1のジカルボキシレートモノマーの約0.25〜10モル%未満は、ペンダントイオン基を有し、
前記第2の光学層は、第2のポリエステルを含み、
前記第1及び第2の光学層は、少なくとも1つの軸線に沿って、少なくとも0.04異なる屈折率を有する、多層光学フィルム。
【請求項2】
前記ペンダントイオン基は、スルホネート基、ホスホネート基、若しくはカルボキシレート基、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の多層光学フィルム。
【請求項3】
前記第1のジカルボキシレートモノマーは、ナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、コバルト、鉄、若しくはアンチモンの対イオン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の多層光学フィルム。
【請求項4】
前記第1のジカルボキシレートモノマーは、5−スルホイソフタレートの塩を含む、請求項1に記載の多層光学フィルム。
【請求項5】
前記第1のジカルボキシレートモノマーは、ナトリウム5−スルホイソフタレートを含む、請求項1に記載の多層光学フィルム。
【請求項6】
前記第1のジカルボキシレートモノマーは、ナフタレンジカルボキシレート、及び5−スルホイソフタレートの塩を含み、前記第1のジオールモノマーは、エチレングリコールを含む、請求項1に記載の多層光学フィルム。
【請求項7】
前記第1のジカルボキシレートモノマーは、ナフタレートジカルボキシレート、テレフタレート、及び5−スルホイソフタレートの塩を含み、前記第1のジオールモノマーは、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、及びトリメチロールプロパンからなる群から選択されるモノマーを1つ以上含む、請求項1に記載の多層光学フィルム。
【請求項8】
前記第1のジカルボキシレートモノマーは、テレフタレート、及び5−スルホイソフタレートの塩を含み、前記第1のジオールモノマーは、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを含む、請求項1に記載の多層光学フィルム。
【請求項9】
前記第1のジカルボキシレートモノマーは、テレフタレート、シクロヘキサンジカルボキシレート、及び5−スルホイソフタレートの塩を含み、前記第1のジオールモノマーは、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールを含む、請求項1に記載の多層光学フィルム。
【請求項10】
前記第1のジカルボキシレートモノマーは、シクロヘキサンジカルボキシレート、及び5−スルホイソフタレートの塩を含み、前記第1のジオールモノマーは、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールを含む、請求項1に記載の多層光学フィルム。
【請求項11】
前記第2のポリエステルは、第2のジカルボキシレートモノマー及び第2のジオールモノマーを含み、前記第2のジカルボキシレートモノマーの約0.25〜10モル%未満は、ペンダントイオン基を有する、請求項1に記載の多層光学フィルム。
【請求項12】
前記第1の光学層は、一価の有機塩を約0.5質量%未満含む、請求項1に記載の多層光学フィルム。
【請求項13】
前記第1及び第2の光学層のそれぞれは、少なくとも約1000ppmの濃度のナトリウムイオンを有する、請求項11に記載の多層光学フィルム。
【請求項14】
前記多層光学フィルムは、ISO/IEC10373−1:1998(E)に従って測定する場合、少なくとも約0.34N/mmの平均剥離強度を有する、請求項1に記載の多層光学フィルム。
【請求項15】
前記多層光学フィルムは、約50%未満のヘイズ値を有する、請求項1に記載の多層光学フィルム。
【請求項16】
偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度増強フィルム、回転フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の多層光学フィルム。
【請求項17】
それぞれが少なくとも約125μmの厚さを有する第1及び第2のポリマー層と、
前記第1のポリマー層と第2のポリマー層との間に配置される多層光学フィルムであって、
第1及び第2の光学層の交互層を含み、
前記第1の光学層は、第1のポリエステルを含み、前記第1のポリエステルは、第1のジカルボキシレートモノマー及び第1のジオールモノマーを含み、前記第1のジカルボキシレートモノマーの約0.25〜10モル%未満は、ペンダントイオン基を有し、
前記第2の光学層は、第2のポリエステルを含み、
前記第1及び第2の光学層は、少なくとも1つの軸線に沿って、少なくとも0.04異なる屈折率を有する、多層光学フィルムと、を含むトランザクションカードであって、
400〜700nmで少なくとも50%の平均透過率を有する、トランザクションカード。
【請求項18】
800〜1000nmで約16%未満の平均透過率を有する、請求項17に記載のトランザクションカード。
【請求項19】
約12%未満のヘイズ値を有する、請求項17に記載のトランザクションカード。
【請求項20】
前記第1及び第2のポリマー層は、独立してポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、グリコール修飾ポリエチレンテレフタレート、コポリエステル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項17に記載のトランザクションカード。
【請求項21】
金融取引用カード、身分証明書、カードキー、又はチケットカードを含む、請求項17に記載のトランザクションカード。
【請求項22】
第1及び第2の光学層の交互層を共押出する工程であって、
前記第1の光学層は、第1のポリエステルを含み、前記第1のポリエステルは、第1のジカルボキシレートモノマー及び第1のジオールモノマーを含み、前記第1のジカルボキシレートモノマーの約0.25〜10モル%未満は、ペンダントイオン基を有し、及び
前記第2の光学層は、第2のポリエステルを含む、工程と、
前記共押出交互層を前記第1及び第2の光学層のTgを上回る予熱温度まで予熱する工程と、
前記第1及び第2の光学層が少なくとも1つの軸線に沿って、少なくとも0.04異なる屈折率を有するように、予熱後に前記共押出交互層を延伸する工程と、を含む多層光学フィルムを作製する方法。
【請求項23】
前記共押出交互層を延伸後に少なくとも5秒間後熱する工程を更に含み、後熱する工程は少なくとも204℃の後熱温度まで加熱することを含む、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−541799(P2009−541799A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516712(P2009−516712)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/071728
【国際公開番号】WO2007/149955
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】