多層基板の放射線透過画像撮像装置および放射線透過画像撮像方法ならびにそれに用いる基板固定用治具
【課題】層数が多くかつ層間のピッチが狭い多層基板であっても、その精細な三次元再構成画像を生成可能な放射線透過画像撮像装置および放射線透過画像撮像方法ならびにそれに用いる基板固定用治具を提供する。
【解決手段】本装置1は、放射線を基板Pに照射する放射線発生器10と、基板を透過した放射線を検出する放射線検出器20と、回転軸Aを中心として放射線の光軸Rと基板Pとを相対回転させる回転機構(ターンテーブル40)と、基板を回転軸と直交する平面上を移動させるステージ(X−Yステージ30)と、基板の撮像部位の倍率を調整する拡大倍率可変機構(昇降機構50)と、基板を保持しかつステージに対して固定するための基板固定用治具60と、を備え、光軸が回転軸に対して90度未満の角度で交差するように設定されており、基板固定用治具が、回転軸と平行になるように(または90度未満の角度で交差するように)基板をステージに固定する。
【解決手段】本装置1は、放射線を基板Pに照射する放射線発生器10と、基板を透過した放射線を検出する放射線検出器20と、回転軸Aを中心として放射線の光軸Rと基板Pとを相対回転させる回転機構(ターンテーブル40)と、基板を回転軸と直交する平面上を移動させるステージ(X−Yステージ30)と、基板の撮像部位の倍率を調整する拡大倍率可変機構(昇降機構50)と、基板を保持しかつステージに対して固定するための基板固定用治具60と、を備え、光軸が回転軸に対して90度未満の角度で交差するように設定されており、基板固定用治具が、回転軸と平行になるように(または90度未満の角度で交差するように)基板をステージに固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層基板、殊に11層以上の超高多層基板の層間の接合状態を検査するための三次元再構成画像を生成するのに適した放射線透過画像(以下、「透過画像」と呼ぶ。)を撮像し得る放射線透過画像撮像装置および放射線透過画像撮像方法ならびにそれに用いる基板固定用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷回路基板(以下、基板と呼ぶ。)などの平らな測定物を高倍率で撮影する従来技術として傾斜型X線CT装置に関する特許文献がある。例えば、特許文献1および2には、X線発生器と平らな基板と検出器とを横一列に配置した場合に基板とX線発生器との干渉を防止する方法として、上記光軸に対して基板を回転するテーブルを傾斜して配置する提案が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−344316号公報
【特許文献2】特開2004−132931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したテーブルの上に基板を配置する従来の傾斜型X線CT装置においては、平たい基板をステージ上に置いて測定部位を中心として回転して透過画像を拡大撮影するには合理的な手法であるが、層数が多く層間のピッチが狭い多層基板の接合状態(接合部の欠損やクラックなど)の検査を行うことができなかった。
具体的には、層間ピッチが狭い、例えば、数十ミクロンの多層基板においては、上述のように、基板面に垂直な回転軸を中心として基板を回転させ、斜めにX線を照射した場合には、透過した二次元X線画像の層間の情報(データ)が重なるとともに、検査部位を中心として360度の方向から撮影しても層間に平行な方向からの透過画像が得られないため、層間の画像を含む三次元画像を再構成することができないといった問題があった。
【0005】
また、上述した従来の傾斜型X線CT装置においては、基板面に垂直な回転軸を中心として回転させ、斜めに照射したX線画像による逆フーリエ変換画像の再構成により三次元再構成画像が生成されるため、周波数空間の空域となる基板の層方向(高さ方向)のデータが欠落し、層間のバンプとランドやスルーホールの内部メッキとランドとの接合部分の画像にアーチファクトが発生し易いといった問題があった。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、層数が多くかつ層間のピッチが狭い多層基板であっても、その精細な三次元再構成画像を生成可能な放射線透過画像撮像装置および放射線透過画像撮像方法ならびにそれに用いる基板固定用治具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.多層基板の三次元再構成画像を生成するための放射線透過画像撮像装置であって、
放射線を上記多層基板に照射する放射線発生器と、
上記多層基板を透過した放射線を検出する放射線検出器と、
所定の回転軸を中心として、上記放射線発生器と上記放射線検出器とを結ぶ放射線の光軸と上記多層基板とを相対回転させる回転機構と、
上記多層基板を上記回転軸に対して直交する平面上を平面移動させるステージと、
上記放射線発生器、上記放射線検出器および上記多層基板を相対的に近接、離反させて該多層基板の撮像部位の拡大倍率を調整する拡大倍率可変機構と、
上記多層基板を保持しかつ上記ステージに対して固定するための基板固定用治具と、を備え、
上記光軸は、上記回転軸に対して90度未満の角度で交差するように設定されており、
上記基板固定用治具は、上記多層基板の各層に平行な平面と上記回転軸とが平行になるように、または、90度未満の角度で交差するように該多層基板を上記ステージに固定することを特徴とする多層基板の放射線透過画像撮像装置。
2.上記1.において、上記回転機構は、上記多層基板を上記回転軸を中心として回転させるターンテーブルであることを特徴とする。
3.上記1.において、上記放射線発生器は、立体角2πの範囲で放射線を照射し、
上記回転機構は、上記放射線検出器を上記回転軸を中心として回転させ、かつ、上記多層基板の撮像部位が該放射線検出器の回転により移動する上記光軸に追従するように、上記ステージを駆動させる回転機構であることを特徴とする。
4.上記1.〜3.において、上記基板固定用治具は、上記多層基板を保持する基板保持部材と、上記ステージに固定されかつ該基板保持部材を該ステージに対して固定する固定用支持具と、を具備することを特徴とする。
5.上記1.〜4.のいずれか一項に記載の多層基板の放射線透過画像撮像装置による透過画像の撮像方法であって、
上記基板固定用治具に保持された上記多層基板を上記ステージに対して固定し、
上記放射線発生器、上記放射線検出器および上記多層基板を相対的に近接、離反させて該多層基板の撮像部位の拡大倍率を調整し、
上記多層基板に放射線を照射し、その状態で、該放射線の光軸と該多層基板とを上記回転機構により0度から360度まで相対回転させ、該多層基板の撮像部位の透過画像を撮像することを特徴とする多層基板の放射線透過画像撮像方法。
6.上記1.〜3.のいずれか一項に記載の多層基板の放射線透過画像撮像装置に用いる基板固定用治具であって、
上記多層基板を保持する基板保持部材と、上記ステージに固定されかつ該基板保持部材を該ステージに対して固定する固定用支持具と、を具備することを特徴とする基板固定用治具。
7.上記6.において、上記基板保持部材は、互いに突き合わされて上記多層基板の一部または全体を挟持する板状の第1挟持板および第2挟持板を備え、
上記固定用支持具は、上記第1挟持板および/または上記第2挟持板の外周部の少なくとも一部が挿入される凹部を有することを特徴とする。
8.上記7.において、上記基板保持部材は、上記第1挟持板が上記第2挟持板より厚肉でかつ上記多層基板の挟持面の面積が大きく設けられており、該第1挟持板の外周部の少なくとも一部が上記凹部に挿入されて支持されることを特徴とする。
9.上記7.において、上記第1挟持板および上記第2挟持板は、一端側に設けられた回転軸を中心として相対的に回動可能に一体に設けられ、上記多層基板を挟持する各挟持面が開閉可能であり、該第1挟持部材および該第2挟持板を閉じた状態で外周部の少なくとも一部が上記凹部に挿入されて支持されることを特徴とする。
10.上記7.〜9.において、上記第1挟持板および上記第2挟持板の少なくとも一方は、上記多層基板を挟持する挟持面に該多層基板の一面が貼り付けられて保持される粘着部を備えることを特徴とする。
11.上記6.において、上記基板保持部材は、上記多層基板の外周部が挿入されて保持されるガイド溝を備える枠状部材であることを特徴とする。
12.上記6.において、上記基板保持部材は、上記多層基板の保持面に該多層基板の一面が貼り付けられて保持される粘着部を備える板状部材であることを特徴とする。
13.上記6.において、上記基板保持部材は、上記多層基板を保持する本体部と、該本体部の外周の一部または全周に設けられ且つ該本体部をステージに対して起立させる幅広部と、を具備し、
上記幅広部が上記固定用支持具により固定されることを特徴とする。
14.上記13.において、上記基板保持部材は、上記本体部が上記幅広部に対して90度未満の角度で一体に形成されていることを特徴とする。
15.上記13.において、上記基板保持部材は、上記本体部の上記幅広部に対する角度を可変できるように上記本体部と上記幅広部とが係合支持されていることを特徴とする。
16.上記6.〜15.において、上記基板保持部材は、カーボン材により形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の多層基板の放射線透過画像撮像装置によると、基板を平面移動させるステージの移動平面に対して直交する回転軸を中心として放射線発生器および放射線検出器を結ぶ放射線の光軸と多層基板とを相対回転させるにあたり、当該多層基板を、その各層に平行な平面と前記回転軸とが平行、または、90度未満の角度で交差するように前記ステージに固定している。すなわち、本発明においては、多層基板の基板面に対して平行またはそれに近い角度で放射線を照射した際の透過画像を取得することが可能であるので、多層基板の層間の精細な情報を含む透過画像を取得することができ、これに基づいて、多層基板の層間が精細に表現された三次元再構成画像を生成することができる。
【0008】
また、基板面に直交する回転軸を中心として回転させる従来の場合、基板面と放射線の光軸とのなす角度は常に一定であるのに対し、本発明では、基板面と放射線の光軸とのなす角度は回転位置により異なる。これにより、回転軸を中心として所定の角度ごとに360度回転させて撮影した各透過画像は、基板面と放射線の光軸とのなす角度がそれぞれ異なる画像となり、それらの多角的な情報に基づいて三次元再構成画像を生成することができ、多層基板の層間が精細に表現された三次元再構成画像を生成することができる。
【0009】
上述の放射線の光軸と多層基板とを相対回転させる回転機構としては、基板を回転させるターンテーブルを用いた回転機構や、立体角2πの範囲で放射線を照射する放射線発生器の焦点を通りかつステージの移動平面に直交する回転軸を中心として放射線検出器を回転させ、さらに多層基板の撮像部位が前記放射線検出器の回転により移動する放射線の光軸に追従するようにステージを駆動させる回転機構が挙げられる。
【0010】
また、上記基板固定用治具が、上記多層基板を保持する基板保持部材と、上記ステージに固定されかつ上記基板保持部材をステージに対して固定する固定用支持具と、を具備する場合は、基板保持部材により多層基板を保持し、その状態で固定用支持具により基板保持部材を固定する。これにより、多層基板を基板保持部材に簡単に保持させることができる。
【0011】
本発明の基板固定用治具によると、上述のように、上記多層基板を保持する基板保持部材と、上記ステージに固定されかつ上記基板保持部材をステージに対して固定する固定用支持具と、を具備しているので、多層基板を基板保持部材に簡単に保持させることができる。
【0012】
また、上記基板保持部材が、互いに突き合わされて上記多層基板の一部または全体を挟持する板状の第1挟持板および第2挟持板を備え、上記固定用支持具が、上記第1挟持板および/または上記第2挟持板の外周部の少なくとも一部が挿入される凹部を有する場合は、固定用支持具の凹部に基板保持部材を挿入することで、多層基板の基板面が回転軸に対して平行となるように、または、回転軸に対して90度未満の角度で交差するように、多層基板をステージに対して容易に固定することができ、かつフレキシブル基板等の可撓性を有する多層基板を保持する場合でも起立させた状態で安定して固定することができる。その結果、鮮明な透過画像を取得することができ、それらに基づいた精細な三次元再構成画像を生成することができる。また、第1および第2挟持板によって基板を挟む構造のため、放射線の基板内透過距離が短くなるところのビームハードニングによる画像ぼけが生じにくい位置に多層基板を保持して撮像することができる。
【0013】
さらに、上記基板保持部材が、上記第1挟持板が上記第2挟持板より厚肉でかつ上記多層基板の挟持面の面積が大きく設けられており、該第1挟持板の外周部の少なくとも一部が上記凹部に挿入されて支持される場合は、厚みの大きな第1挟持板により多層基板を安定して保持することができると共に、ステージに対する基板の固定を容易に行うことができる。
【0014】
また、上記第1挟持板および第2挟持板が、一端側に設けられた回転軸を中心として相対的に回動可能に一体に設けられ、上記多層基板を挟持する各挟持面が開閉可能であり、該第1挟持部材および該第2挟持板を閉じた状態で外周部の少なくとも一部が上記凹部に挿入されて支持される場合は、ケース状の構造を備えたことによって、固定用支持具に対して基板保持部材の剛性が増し、振動等による多層基板の位置ずれ等が生じにくくなると共に、ステージに対する基板の固定を容易に行うことができる。
【0015】
さらに、上記第1挟持板および第2挟持板の少なくとも一方が、上記多層基板を挟持する挟持面に該多層基板の一面が貼り付けられて保持される粘着部を備える場合は、多層基板が、挟持による保持に加えて、粘着部による粘着力により基板保持部材に対して保持されるので、さらに安定して保持されることができる。
【0016】
また、上記基板保持部材が、上記多層基板の外周部が挿入されて保持されるガイド溝を備える枠状部材である場合は、枠状部材によって基板の外周部を保持するので、表面の凹凸が大きい多層基板であっても安定して保持することができると共に、基板保持部材の剛性が増し、振動等による多層基板の位置ずれ等が生じにくくなると共に、ステージに対する基板の固定を容易に行うことができる。
【0017】
さらに、上記基板保持部材が、上記多層基板の保持面に該多層基板の一面が貼り付けられて保持される粘着部を備える板状部材である場合は、基板保持部材に対して多層基板の一面を貼り付けるだけで保持されるので、さらに容易に多層基板を保持させることができる。
また、上記基板保持部材が、多層基板を保持する本体部と該本体部の外周の一部または全周に設けられ且つ該本体部をステージに対して起立させる幅広部とから構成される場合には、基板保持部材をステージに対してより安定して固定することができる。
また、上記基板保持部材の本体部が幅広部に対して90度未満の角度で一体に形成されている場合には、画像を再構成に有効な角度の異なる方向からの濃淡変化のある多くの透過画像が得られるため、接合部の微細なクラックなどに対する鮮明な再構成画像を得ることができる効果がある。
また、上記基板保持部材が本体部の幅広部に対する角度を可変できるように本体部と幅広部が係合支持されている場合には、多層基板のピッチや接合部の配置に応じた最適な傾斜角に多層基板が保持できるように上記本体部を調整することができる。
さらに、上記基板保持部材が、カーボン材により形成されている場合は、カーボン材の高放射線透過性により、アーチファクトの発生を抑制でき、鮮明な透過画像を撮像することができる。
【0018】
以上は、本発明が装置として実現される場合について説明したが、かかる装置を用いて実現する方法としても発明は実現可能である。すなわち、前記に示す「多層基板の放射線透過画像撮像装置」に係わる本発明において説明した事項は、全て、本「多層基板の放射線透過画像撮像方法」にも適用できるものである。また、以上のような放射線透過画像撮像装置は単独で実現される場合もあるし、ある方法に適用され、あるいは同方法が他の機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、上記に示す放射線透過画像撮像装置および放射線透過画像撮像方法に限らず、各種の態様を含むものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明において如何様にも適用できる。
(1)本実施形態の構成:
(2)基板固定用治具の構成:
(3)放射線透過画像撮像装置を用いた撮像方法:
(4)他の実施形態:
【0020】
(1)本実施形態の構成
図1は、本発明の実施形態である多層基板の放射線透過画像撮像装置1(以下、撮像装置と略記する。)の一例を示す説明図である。同図1に示すように、撮像装置1は、放射線発生器10と放射線検出器20と、X−Yステージ30と、ターンテーブル40と、昇降機構50と、基板固定用治具60とを備えている。これらが図示しない制御手段により制御されることにより、透過画像が撮像される。
【0021】
放射線発生器10は、コーンビームX線を多層基板P(以下、基板と略記する。)に対して照射する密閉管型X線発生器である。なお、本実施形態では、放射線発生器10より出力される放射線としてX線を採用しているが、利用できる放射線としてはX線に限られず、γ線等、撮像対象である基板を透過する種々の放射線を採用可能である。
【0022】
放射線検出器20は、上記放射線発生器10から照射されて上記基板Pを透過したX線を検出するX線検出器で、X線を光に変換するシンチレータの背面に多数のCCDをマトリックス状に配置した間接変換方式のフラットパネルセンサである。なお、放射線検出器20としては、TFT(Thin Film Transistor)を用いてX線を電気信号に直接変換する直接変換方式のフラットパネルセンサ、あるいはI.I.(Image Intensifier)管でもよく、基板Pからの透過放射線の強度を検出できるところの種々の構成を採用することができる。
【0023】
X−Yステージ30は、後述する基板固定用治具60を介して固定された基板PをX−Y平面上の任意の位置に移動させる。
ターンテーブル40(本発明にかかる回転機構として例示する。)は、その上に上記X−Yステージ30を固定的に載置しており、基板Pの撮像部位aをX−Yステージ30によりその回転軸A上に配置させ、当該回転軸Aを中心として360度回転させる。
【0024】
昇降機構50(本発明にかかる拡大倍率可変機構として例示する。)は、X−Yステージ30およびターンテーブル40を上下方向に昇降させる。これにより、基板Pを放射線発生器10および放射線検出器20に対して近接させたり、離反させたりして撮像部位aの拡大倍率を調整する。すなわち、この拡大倍率は、放射線発生位置から撮像部位までの距離と、放射線発生位置から検出面までの距離との比率により決定されるので、昇降機構50がX−Yステージ30およびターンテーブル40を昇降させることにより、これらの距離がそれぞれ調整されて所望の拡大倍率を得ることができる。
また、放射線発生器10と放射線検出器20とを結ぶ放射線の光軸Rは、ターンテーブル40の回転軸Aに対して斜めに交差するように設定されている。この交差する角度としては、0度超〜90度未満であり、好ましくは、45度以上75度未満である。ただし、前述した従来の傾斜型X線CT装置として兼用する場合には、放射線発生器10と放射線検出器20とを0度超〜90度未満の範囲で回転軸Aを中心に一体に回転するようにしてもよい。
【0025】
(2)基板固定用治具の構成
本実施形態にかかる基板固定用治具60は、例えば、図2に示すように、基板Pを保持する基板保持部材61と、基板保持部材61を固定する固定用支持具62と、を備えている。
基板保持部材61は、図3に示すように、2枚のカーボン板61a、61b(本発明にかかる第1および第2挟持板としてそれぞれ例示する。)と、それらを重ね合わせた状態に固定する4つのピン61cとからなる。カーボン板61a、61bは、それぞれカーボンファイバーを樹脂によって積層した高放射線透過性を備えるカーボンプレートからなる。カーボン板61aは、後述する固定用支持具62の保持部材挿入部に安定に係止されるように、その厚さが比較的厚いものとなっている。カーボン板61bは、カーボン板61aの厚さと比較して薄く、また、一回り小さく設けられている。なお、これらカーボン板61a、61bは、撮像対象である基板Pの大きさに基づいて、その大きさが設定されている。
【0026】
また、これらカーボン板61a、61bには、それぞれピン61cが挿入される穴Hおよび小孔hが設けられている。そして、カーボン板61a、61bの間に基板Pを挟持し、ピン61cが小孔hを貫通して穴Hに挿入されることにより、基板Pが保持される。
なお、本実施形態では、図2および3に示すように、基板Pの四隅に設けられたテストクーポンを撮像部位aとしているため、基板Pは、撮像部位の倍率を高めるとともに撮像部位以外のバンプによるビームハードニングの影響が少ないように、基板保持部材61に対して斜めに保持されている。
【0027】
固定用支持具62は、図2に示すように、X−Yステージ30に2つ設けられている。固定用支持具62は、図4に示すように、基板保持部材61のカーボン板61aの外周部のうちの角部周辺が挿入される保持部材挿入部62aが設けられている。また、固定用支持具62には、基板保持部材61を固定するストッパーとして、基板保持部材61を押圧して固定する押当部62bと、押当部62bが基板保持部材61を押圧するための押圧力を付勢するばね62cと、ばね62cによる押圧力に抗して基板保持部材61の固定を開放するためのつまみ62dとが設けられている。さらに、この固定用支持具62は板状の2つの基部62eを備えており、図示しないビス等の固定手段により、各基部62eの両端がX−Yステージ30に取付けられている。
これら基板保持部材61と固定用支持具62とを有する基板固定用治具60により、基板Pは、X−Yステージ30に対して起立するように、すなわち、回転軸Aに対して、その基板面が平行となるように固定される。
【0028】
(3)放射線透過画像撮像装置を用いた撮像方法
次に、上述の構成の撮像装置1による透過画像の撮像方法について説明する。
はじめに、基板保持部材61に基板Pを保持させる(図3参照)。具体的には、カーボン板61aに対して、基板Pの撮像部位が放射線発生器10に近く、かつ透過放射線のビームハードニング現象が起き難い位置に基板Pを配置し、ピン61cを用いてカーボン板61bにより基板Pを挟んだ状態で保持させる。
なお、ビームハードニングが生じ易いか否かは、予め基板Pの光軸Rの透過する位置の近くにバンプなどが多く存在するかを確認すればよく、CADデータや層間に対する透過画像によって調べることができる。
【0029】
次に、基板Pを挟持した基板保持部材61を、固定用支持具62の保持部材挿入部62aに挿入すると共に、固定用支持具62の押当部62bにより、基板保持部材61の外周部に対して押圧力を付与し、基板保持部材61を安定に固定用支持具62に固定する(図4、5参照)。これにより、基板Pは、X−Yステージ30に対して起立した状態で固定される。
さらに、X−Yステージ30を駆動して、撮像部位aに対して必要とする拡大率が得られるように、昇降機構50によりX−Yステージ30およびターンテーブル40を昇降させると共に、基板Pの撮像部位aがターンテーブル40の回転中心となる回転軸Aを通るように、基板Pを平面移動させ、基板Pの撮像部位aと、放射線発生器10および放射線検出器20との位置関係を調整する(図1および図2参照)。
【0030】
その後、基板Pの撮像部位aに向けて放射線を照射する。その状態で、ターンテーブル40を回転させ、基板Pを撮像部位aの回転軸A周りに0度から360度まで回転させ、所定の角度ごとに撮像部位aの透過画像を撮影する。これによって、撮像部位aの基板表裏面からの角度の異なる透過画像に加えて、バンプなどで接合された層間に平行な画像と層間に平行になる前後の透過画像を撮像することができる。
最後に、上述のようにして撮影した各透過画像に基づいて、再構成を行うことにより撮像部位aの三次元再構成画像を生成する。
なお、二次元透過画像から三次元再構成画像を生成する手法には、フーリエ変換法、フィルタ補正逆投影法やコンボリューション逆投影法などがあるが、再構成の手法は何れも公知の技術であるため詳細な説明は省略する。
【0031】
以上のようにして、本実施形態では、基板Pを起立させた状態でX−Yステージ30に対して固定して、撮像部位aの360度方向からの透過画像を取得する。すなわち、本実施形態では基板Pの各層と平行な平面を、回転軸Aに対して平行に配置するようにしたので、基板Pの各層に対して、回転軸Aと交差する放射線の光軸Rを層間に対して平行に配置させることができ、その際の透過画像を取得することができる。これにより、超高多層基板のような、層間ピッチが従来の多層基板と比較して極めて小さいような基板であっても、精細な三次元再構成画像を生成することができる。
【0032】
また、2枚のカーボン板61a、61bを有する基板保持部材61により基板Pを挟持するようにしたので、いわゆるフレキシブル基板等の可撓性を有する基板であっても安定して起立させることができる。その結果、そのような基板の鮮明な透過画像を取得することができ、それらに基づいた精細な三次元再構成画像を生成することができる。
さらに、放射線透過性の高いカーボン材からなる板により基板Pを挟持するようにしたので、アーチファクトの発生を抑制でき、鮮明な透過画像を撮像することができる。
【0033】
また、本実施形態では、2枚のカーボン板61a、61bを有する基板保持部材61により基板Pを挟持するようにし、かつ固定用支持具62の保持部材挿入部62aに基板保持部材61を挿入し、さらにばね62cにより付勢される押当部62bによって基板保持部材61に押圧力が付与された状態で基板Pが固定される。これにより、基板Pを、極めて容易にかつ堅固に固定することができる。また、これにより基板Pが堅固に支持されるので、X−Yステージ30による平面移動やターンテーブル40による回転に対しても、位置ずれや揺れ等が発生し難く、鮮明な透過画像を撮像することができる。
【0034】
(4)他の実施形態:
なお、本発明においては、上述の実施形態に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施形態とすることができる。すなわち、上述の実施形態においては、基板Pの各層に平行な平面と回転軸Aとが平行になるように基板Pを配置するようにしたが、これに限定されず、例えば、回転軸Aに対して、基板Pを傾斜させて、すなわち、基板Pの各層に平行な平面と回転軸Aとが90度未満の角度で交差するように、基板Pを配置するようにしてもよい。これにより、基板Pを回転軸Aに対して平行に配置した場合と比較して、異なる角度方向からの画像の再構成に有効な変化の大きな濃淡情報を含む透過画像を撮像することができる。
【0035】
基板Pを傾斜させて配置する方法としては、例えば、図5に示すように、基板固定用治具60において、固定用支持具62に設けられた保持部材挿入部62aを角度θ傾斜させて設けるようにする例を挙げることができる。これにより、基板保持部材61が傾斜した状態で固定されるので、この基板保持部材61に保持されている基板Pも傾斜した状態となる。なお、基板Pを回転軸Aに対して傾斜させる角度としては、基板Pの層間ピッチやバンプなどの配置に応じて、層間の十分な情報が取得できかつ平行に配置した場合よりも多様な情報が得られる程度の角度となるように適宜設定すればよい。
【0036】
また、上述の実施形態においては、放射線発生器10と放射線検出器20とを結ぶ放射線の光軸Rと、基板Pとを相対回転させる回転機構として、ターンテーブル40を用いる例を説明したが、これに限定されず、例えば、図6に示すように、放射線検出器20を、放射線発生器10の焦点を通る回転軸Aを中心として回転させ、かつ、基板Pの撮像部位aが、放射線検出器20の回転により移動する光軸Rに追従させるようにX−Yステージ30を駆動させる回転機構としてもよい。また、この場合、放射線発生器10としては、立体角2πの範囲で放射線を照射可能な放射線発生器とすることができる。
なお、放射線検出器20は、X−Yステージ30に対して傾斜して配置する場合を例示したが、放射線検出器20はX−Yステージ30に対して平行に配置してもよい。この場合においても、放射線発生器10の焦点と放射線検出器20の検出面の各受光素子との位置関係は予め分かっているので、フィルタ補正逆投影法等により再構成演算を行えばよい。
【0037】
さらに、上述の実施形態においては、拡大倍率可変機構として、X−Yステージ30およびターンテーブル40を昇降させる昇降機構50を備えるようにしたが、これに限定されず、例えば、固定的に配置された基板Pに対して、放射線発生器10および放射線検出器20を近接、離反させる拡大倍率可変機構としてもよい。
また、上述の実施形態においては、放射線発生器10を基板Pの下側に、放射線検出器20を基板Pの上側にそれぞれ配置するようにしたが、これに限定されず、例えば、放射線発生器10を基板Pの上側に、放射線検出器20を基板Pの下側にそれぞれ配置するようにしてもよい。
【0038】
さらに、上述の実施形態では、基板固定用治具として、2枚のカーボン板61a、61bと、それらを重ね合わせた状態に固定する4つのピン61cとからなる基板保持部材61を備える基板固定用治具60を用いたが、これに限定されず、例えば、図7に示すように、同じ厚さ、同じサイズの2枚の挟持板71a、71bが開閉可能に一体に設けられたケース状の構造である基板保持部材71を備える基板固定用治具70としてもよい。また、上述の実施形態では、2枚のうちの1枚のカーボン板61aのみを保持部材挿入部62aに挿入するようにしたが、これに限定されず、例えば、重ね合わされた2枚の挟持板をそのまま保持部材挿入部62aに挿入するようにしてもよい。
【0039】
また、上述の実施形態においては、挟持板として、厚みの異なる2枚のカーボン板61a、61bを用いるようにしたが、これに限定されず、例えば、同じ厚みの2枚の挟持板としてもよいし、固定用支持具62の保持部材挿入部62aに挿入される部分のみが厚肉であり、それ以外の部分の厚みはカーボン板61bと同じ厚みであるカーボン板61aをそれぞれ挟持部材として用いてもよい。
【0040】
さらに、上述の実施形態では、2枚のカーボン板61a、61bにより基板Pを挟持して保持するようにしたが、これに限定されず、例えば、図8に示すように、1枚の板状部材からなる基板保持部材81の基板Pの保持面に粘着部81aを備え、この粘着部81aに基板Pの一面を貼り付けて保持するようにしてもよい。さらに、2枚の挟持板の間に基板Pを挟持する形態の場合、それら基板Pの挟持面の少なくとも一方側の挟持面に粘着部を備えるようにしてもよい。
【0041】
なお、上記粘着部としては、シリコン系樹脂または非シリコン系樹脂等(アクリル系樹脂、天然ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、イソプレン系ゴムなど)、からなる粘着部を例示することができる。また、粘着部は、上記溶剤系粘着剤に限らず、非溶剤系粘着剤を用いても良い。この粘着部は、所定の粘着剤を基板保持部材の表面に所定形状になるように塗布(例えば、スクリーン印刷)され、必要に応じて乾燥等されて形成されることができる。また、粘着部は、極めて薄い樹脂とすることにより、弾性による振動が小さく、また、基板Pの平坦性を損なうことなく基板保持部材に固定することができる。粘着部の具体的な厚さとしては、50〜300μm、好ましくは、100〜150μmである。この粘着部は、基板保持部材の片面の全面に設けられていてもよいし、所定形状(点、線等の配列パターン等)であってもよい。
【0042】
また、上述の実施形態では、2枚のカーボン板61a、61bにより基板Pを挟持して保持するようにしたが、これに限定されず、例えば、図9に示すように、基板Pの外周部が挿入されるガイド溝Gが設けられた基板保持部材91としてもよい。
【0043】
また、上述の実施形態では、基板Pを基板保持部材61に対して斜めに挟持されて保持されるようにしたが、これに限定されず、例えば、基板Pにおける撮像部位aの位置、撮像倍率、ビームハードニングによる画像への影響等をそれぞれ勘案し、それに応じて基板Pが保持される方向を適宜決定すればよい。
【0044】
また、上述の種々の基板保持部材において、基板Pを所定位置に正しく配置して保持させるための基準点、基準線等のマークを基板保持部材の基板保持面に設けるようにしてもよい。
【0045】
さらに、上述の実施形態では、基板固定用治具として、2つの固定用支持具62の保持部材挿入部62aに基板保持部材61の外周部の角部周辺が挿入されて固定される基板固定用治具60を用いたが、これに限定されず、例えば、基板保持部材の外周部の一辺の周辺が挿入される保持部材挿入部を有するひとつの固定用支持具により基板保持部材が固定される基板固定用治具としてもよい。
【0046】
さらに、上述の実施形態においては、基板固定用治具として、基板保持部材61を固定用支持具62に挿入して固定する基板固定用治具60を用いたが、これに限定されず、例えば、固定用支持具として、X−Yステージ30に固定された基部のみを設け、基板保持部材の外周の一部または全体を幅広にし、固定用支持具に対して自立させるようにしてもよい。
具体的には、図10(a)のように、基板固定用治具100は、基板Pを挟持して保持する挟持板101a、101b(本発明に係る本体部として例示する)と、上記X−Yステージ30に固定された基部102eに対して基板保持部材101が自立可能なように設けられた幅広部101dと、を備える基板保持部材101を具備している。幅広部101dは、挟持板101aの四辺全周に設けられており、上述の実施形態で示した図1から図5のように撮像部位であるテストクーポンなどの撮像部位aが配線パターン内や基板Pの端面にあり、撮像部位を基板Pから切断して外さない場合に基板Pを基板保持部材101に保持したままで基板保持部材101を回転し、基板Pの各々の端面にある撮像部位を撮像する場合において好都合な手法である。また、図10(b)に示すように、上述の実施形態と同様の構成の固定用支持具62により、幅広部101dが挿入されて固定されるようにしてもよい。
【0047】
さらに、検査対象である基板Pのサイズが小さい場合やテストクーポンを含む基板の一部を切断してテストクーポンを撮像する場合には、基板Pを保持した基板保持部材61を撮像の都度に回転する必要が無いため、図11(a)のように挟持板101aの外周を幅広にした幅広部101dは挟持板101aの一端面のみに設ければよい。
また、幅広部101dを挟持板101aの一部に設ける場合には、図11(b)に示すように、より濃淡情報の変化が多い透過画像を得るために、基板Pの基板面が回転軸Aに対して所定の角度θをなすように、挟持板101aと幅広部101dとを傾斜させて形成するようにしてもよい。
【0048】
さらに、図12(a)および(b)のように、幅広部101dに対して挟持板101aを回転可能に係合させる係合部101eを設けるようにして、基板Pと回転軸Aとがなす角度θを自在に設定できるようにしてもよい。この場合、図13に示すように、上述の実施形態と同様の構成の固定用支持具62を設けて挟持板101aおよび幅広部101dを保持部材挿入部62aに挿入し、挟持板101aおよび幅広部101dが押当部62bによって押圧されることにより、設定した角度θをより確実に保持できるようにしてもよい。このとき、固定用支持具62には、傾斜角度θを示す分度器62fを設けてもよい。なお、図13では、分度器62fは挟持板101aにおける基板Pの挟持面により傾斜角度θが示されるように目盛が設けられている。
【0049】
なお、上記の図13においては、図4と同じ符号による同じ構造を図示し押当部62bに押圧力を付勢するばね62cによって基板保持部材101を挟持する実施形態を提案したが、ばね力に加えて図示しないネジを備えたつまみ62dを回転することにより押当部62bの底面を基部62eの表面に押し当て、上記底面と表面に形成された図示しない粗面どうしの摩擦によって、より安定した押圧力を基板保持部材101の両側面に与えるようにしてもよい。
また、幅広部101dに対向する押当部62bの一部に幅広部101dの両端を上から押さえる構造を追加することにより、基板保持部材101を基部62eに対してより安定して保持できるようにしてもよい。
【0050】
さらに、上述の種々の基板保持部材において、その材質はカーボン材に限られず、アルミニウム材、マグネシウム材、チタン材等の原子番号が小さい金属や、アクリル材等の樹脂等、放射線に対する透過性が高い種々の材質を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施形態にかかる多層基板の放射線透過画像撮像装置の概略説明図である。
【図2】本実施形態にかかる基板固定用治具を示す説明図である。
【図3】本実施形態にかかる基板保持部材を示す説明図である。
【図4】本実施形態にかかる固定用治具の要部拡大図である。
【図5】他の実施形態にかかる基板固定用治具の例を示す説明図である。
【図6】他の実施形態にかかる多層基板の放射線透過画像撮像装置の例を示す概略説明図である。
【図7】他の実施形態にかかる基板保持部材の例を示す説明図である。
【図8】他の実施形態にかかる基板保持部材の例を示す説明図である。
【図9】他の実施形態にかかる基板保持部材の例を示す説明図である。
【図10】他の実施形態にかかる基板固定用治具の例を示す説明図であり、(a)は基板保持部材が幅広部により固定用支持具に対して起立して固定される形態、(b)は基板保持部材が幅広部を固定用支持具に挿入されて固定される形態をそれぞれ示す。
【図11】他の実施形態にかかる基板保持部材の例を示す説明図であり、(a)は幅広部が一端面のみに設けられた形態、(b)は一端面のみに設けられた幅広部と挟持板とを傾斜させて設けた形態をそれぞれ示す。
【図12】他の実施形態にかかる基板保持部材の例を示す説明図であり、(a)は幅広部に対して挟持板が回転可能に設けられた形態、(b)は(a)の基板保持部材を分解して表した図をそれぞれ示す。
【図13】他の実施形態にかかる基板保持部材および固定用支持具の例の要部を拡大した説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1;放射線透過画像撮像装置、10;放射線発生器、20;放射線検出器、30;X−Yステージ、40;ターンテーブル、50;昇降機構、60、70、100;基板固定用治具、61、71、81、91、101;基板保持部材、61a、61b;カーボン板、61c;ピン、62、102;固定用支持具、62a;保持部材挿入部、62b;押当部、62c;ばね、62d;つまみ、62e、102e;基部、62f;分度器、71a、71b、101a、101b;挟持板、81a;粘着部、101d;幅広部、101e;係合部、A;回転軸、a;撮像部位、H;穴、h;小孔、P;基板、G;ガイド溝、R;光軸、θ;基板面と回転軸とがなす角度。
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層基板、殊に11層以上の超高多層基板の層間の接合状態を検査するための三次元再構成画像を生成するのに適した放射線透過画像(以下、「透過画像」と呼ぶ。)を撮像し得る放射線透過画像撮像装置および放射線透過画像撮像方法ならびにそれに用いる基板固定用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷回路基板(以下、基板と呼ぶ。)などの平らな測定物を高倍率で撮影する従来技術として傾斜型X線CT装置に関する特許文献がある。例えば、特許文献1および2には、X線発生器と平らな基板と検出器とを横一列に配置した場合に基板とX線発生器との干渉を防止する方法として、上記光軸に対して基板を回転するテーブルを傾斜して配置する提案が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−344316号公報
【特許文献2】特開2004−132931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したテーブルの上に基板を配置する従来の傾斜型X線CT装置においては、平たい基板をステージ上に置いて測定部位を中心として回転して透過画像を拡大撮影するには合理的な手法であるが、層数が多く層間のピッチが狭い多層基板の接合状態(接合部の欠損やクラックなど)の検査を行うことができなかった。
具体的には、層間ピッチが狭い、例えば、数十ミクロンの多層基板においては、上述のように、基板面に垂直な回転軸を中心として基板を回転させ、斜めにX線を照射した場合には、透過した二次元X線画像の層間の情報(データ)が重なるとともに、検査部位を中心として360度の方向から撮影しても層間に平行な方向からの透過画像が得られないため、層間の画像を含む三次元画像を再構成することができないといった問題があった。
【0005】
また、上述した従来の傾斜型X線CT装置においては、基板面に垂直な回転軸を中心として回転させ、斜めに照射したX線画像による逆フーリエ変換画像の再構成により三次元再構成画像が生成されるため、周波数空間の空域となる基板の層方向(高さ方向)のデータが欠落し、層間のバンプとランドやスルーホールの内部メッキとランドとの接合部分の画像にアーチファクトが発生し易いといった問題があった。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、層数が多くかつ層間のピッチが狭い多層基板であっても、その精細な三次元再構成画像を生成可能な放射線透過画像撮像装置および放射線透過画像撮像方法ならびにそれに用いる基板固定用治具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.多層基板の三次元再構成画像を生成するための放射線透過画像撮像装置であって、
放射線を上記多層基板に照射する放射線発生器と、
上記多層基板を透過した放射線を検出する放射線検出器と、
所定の回転軸を中心として、上記放射線発生器と上記放射線検出器とを結ぶ放射線の光軸と上記多層基板とを相対回転させる回転機構と、
上記多層基板を上記回転軸に対して直交する平面上を平面移動させるステージと、
上記放射線発生器、上記放射線検出器および上記多層基板を相対的に近接、離反させて該多層基板の撮像部位の拡大倍率を調整する拡大倍率可変機構と、
上記多層基板を保持しかつ上記ステージに対して固定するための基板固定用治具と、を備え、
上記光軸は、上記回転軸に対して90度未満の角度で交差するように設定されており、
上記基板固定用治具は、上記多層基板の各層に平行な平面と上記回転軸とが平行になるように、または、90度未満の角度で交差するように該多層基板を上記ステージに固定することを特徴とする多層基板の放射線透過画像撮像装置。
2.上記1.において、上記回転機構は、上記多層基板を上記回転軸を中心として回転させるターンテーブルであることを特徴とする。
3.上記1.において、上記放射線発生器は、立体角2πの範囲で放射線を照射し、
上記回転機構は、上記放射線検出器を上記回転軸を中心として回転させ、かつ、上記多層基板の撮像部位が該放射線検出器の回転により移動する上記光軸に追従するように、上記ステージを駆動させる回転機構であることを特徴とする。
4.上記1.〜3.において、上記基板固定用治具は、上記多層基板を保持する基板保持部材と、上記ステージに固定されかつ該基板保持部材を該ステージに対して固定する固定用支持具と、を具備することを特徴とする。
5.上記1.〜4.のいずれか一項に記載の多層基板の放射線透過画像撮像装置による透過画像の撮像方法であって、
上記基板固定用治具に保持された上記多層基板を上記ステージに対して固定し、
上記放射線発生器、上記放射線検出器および上記多層基板を相対的に近接、離反させて該多層基板の撮像部位の拡大倍率を調整し、
上記多層基板に放射線を照射し、その状態で、該放射線の光軸と該多層基板とを上記回転機構により0度から360度まで相対回転させ、該多層基板の撮像部位の透過画像を撮像することを特徴とする多層基板の放射線透過画像撮像方法。
6.上記1.〜3.のいずれか一項に記載の多層基板の放射線透過画像撮像装置に用いる基板固定用治具であって、
上記多層基板を保持する基板保持部材と、上記ステージに固定されかつ該基板保持部材を該ステージに対して固定する固定用支持具と、を具備することを特徴とする基板固定用治具。
7.上記6.において、上記基板保持部材は、互いに突き合わされて上記多層基板の一部または全体を挟持する板状の第1挟持板および第2挟持板を備え、
上記固定用支持具は、上記第1挟持板および/または上記第2挟持板の外周部の少なくとも一部が挿入される凹部を有することを特徴とする。
8.上記7.において、上記基板保持部材は、上記第1挟持板が上記第2挟持板より厚肉でかつ上記多層基板の挟持面の面積が大きく設けられており、該第1挟持板の外周部の少なくとも一部が上記凹部に挿入されて支持されることを特徴とする。
9.上記7.において、上記第1挟持板および上記第2挟持板は、一端側に設けられた回転軸を中心として相対的に回動可能に一体に設けられ、上記多層基板を挟持する各挟持面が開閉可能であり、該第1挟持部材および該第2挟持板を閉じた状態で外周部の少なくとも一部が上記凹部に挿入されて支持されることを特徴とする。
10.上記7.〜9.において、上記第1挟持板および上記第2挟持板の少なくとも一方は、上記多層基板を挟持する挟持面に該多層基板の一面が貼り付けられて保持される粘着部を備えることを特徴とする。
11.上記6.において、上記基板保持部材は、上記多層基板の外周部が挿入されて保持されるガイド溝を備える枠状部材であることを特徴とする。
12.上記6.において、上記基板保持部材は、上記多層基板の保持面に該多層基板の一面が貼り付けられて保持される粘着部を備える板状部材であることを特徴とする。
13.上記6.において、上記基板保持部材は、上記多層基板を保持する本体部と、該本体部の外周の一部または全周に設けられ且つ該本体部をステージに対して起立させる幅広部と、を具備し、
上記幅広部が上記固定用支持具により固定されることを特徴とする。
14.上記13.において、上記基板保持部材は、上記本体部が上記幅広部に対して90度未満の角度で一体に形成されていることを特徴とする。
15.上記13.において、上記基板保持部材は、上記本体部の上記幅広部に対する角度を可変できるように上記本体部と上記幅広部とが係合支持されていることを特徴とする。
16.上記6.〜15.において、上記基板保持部材は、カーボン材により形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の多層基板の放射線透過画像撮像装置によると、基板を平面移動させるステージの移動平面に対して直交する回転軸を中心として放射線発生器および放射線検出器を結ぶ放射線の光軸と多層基板とを相対回転させるにあたり、当該多層基板を、その各層に平行な平面と前記回転軸とが平行、または、90度未満の角度で交差するように前記ステージに固定している。すなわち、本発明においては、多層基板の基板面に対して平行またはそれに近い角度で放射線を照射した際の透過画像を取得することが可能であるので、多層基板の層間の精細な情報を含む透過画像を取得することができ、これに基づいて、多層基板の層間が精細に表現された三次元再構成画像を生成することができる。
【0008】
また、基板面に直交する回転軸を中心として回転させる従来の場合、基板面と放射線の光軸とのなす角度は常に一定であるのに対し、本発明では、基板面と放射線の光軸とのなす角度は回転位置により異なる。これにより、回転軸を中心として所定の角度ごとに360度回転させて撮影した各透過画像は、基板面と放射線の光軸とのなす角度がそれぞれ異なる画像となり、それらの多角的な情報に基づいて三次元再構成画像を生成することができ、多層基板の層間が精細に表現された三次元再構成画像を生成することができる。
【0009】
上述の放射線の光軸と多層基板とを相対回転させる回転機構としては、基板を回転させるターンテーブルを用いた回転機構や、立体角2πの範囲で放射線を照射する放射線発生器の焦点を通りかつステージの移動平面に直交する回転軸を中心として放射線検出器を回転させ、さらに多層基板の撮像部位が前記放射線検出器の回転により移動する放射線の光軸に追従するようにステージを駆動させる回転機構が挙げられる。
【0010】
また、上記基板固定用治具が、上記多層基板を保持する基板保持部材と、上記ステージに固定されかつ上記基板保持部材をステージに対して固定する固定用支持具と、を具備する場合は、基板保持部材により多層基板を保持し、その状態で固定用支持具により基板保持部材を固定する。これにより、多層基板を基板保持部材に簡単に保持させることができる。
【0011】
本発明の基板固定用治具によると、上述のように、上記多層基板を保持する基板保持部材と、上記ステージに固定されかつ上記基板保持部材をステージに対して固定する固定用支持具と、を具備しているので、多層基板を基板保持部材に簡単に保持させることができる。
【0012】
また、上記基板保持部材が、互いに突き合わされて上記多層基板の一部または全体を挟持する板状の第1挟持板および第2挟持板を備え、上記固定用支持具が、上記第1挟持板および/または上記第2挟持板の外周部の少なくとも一部が挿入される凹部を有する場合は、固定用支持具の凹部に基板保持部材を挿入することで、多層基板の基板面が回転軸に対して平行となるように、または、回転軸に対して90度未満の角度で交差するように、多層基板をステージに対して容易に固定することができ、かつフレキシブル基板等の可撓性を有する多層基板を保持する場合でも起立させた状態で安定して固定することができる。その結果、鮮明な透過画像を取得することができ、それらに基づいた精細な三次元再構成画像を生成することができる。また、第1および第2挟持板によって基板を挟む構造のため、放射線の基板内透過距離が短くなるところのビームハードニングによる画像ぼけが生じにくい位置に多層基板を保持して撮像することができる。
【0013】
さらに、上記基板保持部材が、上記第1挟持板が上記第2挟持板より厚肉でかつ上記多層基板の挟持面の面積が大きく設けられており、該第1挟持板の外周部の少なくとも一部が上記凹部に挿入されて支持される場合は、厚みの大きな第1挟持板により多層基板を安定して保持することができると共に、ステージに対する基板の固定を容易に行うことができる。
【0014】
また、上記第1挟持板および第2挟持板が、一端側に設けられた回転軸を中心として相対的に回動可能に一体に設けられ、上記多層基板を挟持する各挟持面が開閉可能であり、該第1挟持部材および該第2挟持板を閉じた状態で外周部の少なくとも一部が上記凹部に挿入されて支持される場合は、ケース状の構造を備えたことによって、固定用支持具に対して基板保持部材の剛性が増し、振動等による多層基板の位置ずれ等が生じにくくなると共に、ステージに対する基板の固定を容易に行うことができる。
【0015】
さらに、上記第1挟持板および第2挟持板の少なくとも一方が、上記多層基板を挟持する挟持面に該多層基板の一面が貼り付けられて保持される粘着部を備える場合は、多層基板が、挟持による保持に加えて、粘着部による粘着力により基板保持部材に対して保持されるので、さらに安定して保持されることができる。
【0016】
また、上記基板保持部材が、上記多層基板の外周部が挿入されて保持されるガイド溝を備える枠状部材である場合は、枠状部材によって基板の外周部を保持するので、表面の凹凸が大きい多層基板であっても安定して保持することができると共に、基板保持部材の剛性が増し、振動等による多層基板の位置ずれ等が生じにくくなると共に、ステージに対する基板の固定を容易に行うことができる。
【0017】
さらに、上記基板保持部材が、上記多層基板の保持面に該多層基板の一面が貼り付けられて保持される粘着部を備える板状部材である場合は、基板保持部材に対して多層基板の一面を貼り付けるだけで保持されるので、さらに容易に多層基板を保持させることができる。
また、上記基板保持部材が、多層基板を保持する本体部と該本体部の外周の一部または全周に設けられ且つ該本体部をステージに対して起立させる幅広部とから構成される場合には、基板保持部材をステージに対してより安定して固定することができる。
また、上記基板保持部材の本体部が幅広部に対して90度未満の角度で一体に形成されている場合には、画像を再構成に有効な角度の異なる方向からの濃淡変化のある多くの透過画像が得られるため、接合部の微細なクラックなどに対する鮮明な再構成画像を得ることができる効果がある。
また、上記基板保持部材が本体部の幅広部に対する角度を可変できるように本体部と幅広部が係合支持されている場合には、多層基板のピッチや接合部の配置に応じた最適な傾斜角に多層基板が保持できるように上記本体部を調整することができる。
さらに、上記基板保持部材が、カーボン材により形成されている場合は、カーボン材の高放射線透過性により、アーチファクトの発生を抑制でき、鮮明な透過画像を撮像することができる。
【0018】
以上は、本発明が装置として実現される場合について説明したが、かかる装置を用いて実現する方法としても発明は実現可能である。すなわち、前記に示す「多層基板の放射線透過画像撮像装置」に係わる本発明において説明した事項は、全て、本「多層基板の放射線透過画像撮像方法」にも適用できるものである。また、以上のような放射線透過画像撮像装置は単独で実現される場合もあるし、ある方法に適用され、あるいは同方法が他の機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、上記に示す放射線透過画像撮像装置および放射線透過画像撮像方法に限らず、各種の態様を含むものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明において如何様にも適用できる。
(1)本実施形態の構成:
(2)基板固定用治具の構成:
(3)放射線透過画像撮像装置を用いた撮像方法:
(4)他の実施形態:
【0020】
(1)本実施形態の構成
図1は、本発明の実施形態である多層基板の放射線透過画像撮像装置1(以下、撮像装置と略記する。)の一例を示す説明図である。同図1に示すように、撮像装置1は、放射線発生器10と放射線検出器20と、X−Yステージ30と、ターンテーブル40と、昇降機構50と、基板固定用治具60とを備えている。これらが図示しない制御手段により制御されることにより、透過画像が撮像される。
【0021】
放射線発生器10は、コーンビームX線を多層基板P(以下、基板と略記する。)に対して照射する密閉管型X線発生器である。なお、本実施形態では、放射線発生器10より出力される放射線としてX線を採用しているが、利用できる放射線としてはX線に限られず、γ線等、撮像対象である基板を透過する種々の放射線を採用可能である。
【0022】
放射線検出器20は、上記放射線発生器10から照射されて上記基板Pを透過したX線を検出するX線検出器で、X線を光に変換するシンチレータの背面に多数のCCDをマトリックス状に配置した間接変換方式のフラットパネルセンサである。なお、放射線検出器20としては、TFT(Thin Film Transistor)を用いてX線を電気信号に直接変換する直接変換方式のフラットパネルセンサ、あるいはI.I.(Image Intensifier)管でもよく、基板Pからの透過放射線の強度を検出できるところの種々の構成を採用することができる。
【0023】
X−Yステージ30は、後述する基板固定用治具60を介して固定された基板PをX−Y平面上の任意の位置に移動させる。
ターンテーブル40(本発明にかかる回転機構として例示する。)は、その上に上記X−Yステージ30を固定的に載置しており、基板Pの撮像部位aをX−Yステージ30によりその回転軸A上に配置させ、当該回転軸Aを中心として360度回転させる。
【0024】
昇降機構50(本発明にかかる拡大倍率可変機構として例示する。)は、X−Yステージ30およびターンテーブル40を上下方向に昇降させる。これにより、基板Pを放射線発生器10および放射線検出器20に対して近接させたり、離反させたりして撮像部位aの拡大倍率を調整する。すなわち、この拡大倍率は、放射線発生位置から撮像部位までの距離と、放射線発生位置から検出面までの距離との比率により決定されるので、昇降機構50がX−Yステージ30およびターンテーブル40を昇降させることにより、これらの距離がそれぞれ調整されて所望の拡大倍率を得ることができる。
また、放射線発生器10と放射線検出器20とを結ぶ放射線の光軸Rは、ターンテーブル40の回転軸Aに対して斜めに交差するように設定されている。この交差する角度としては、0度超〜90度未満であり、好ましくは、45度以上75度未満である。ただし、前述した従来の傾斜型X線CT装置として兼用する場合には、放射線発生器10と放射線検出器20とを0度超〜90度未満の範囲で回転軸Aを中心に一体に回転するようにしてもよい。
【0025】
(2)基板固定用治具の構成
本実施形態にかかる基板固定用治具60は、例えば、図2に示すように、基板Pを保持する基板保持部材61と、基板保持部材61を固定する固定用支持具62と、を備えている。
基板保持部材61は、図3に示すように、2枚のカーボン板61a、61b(本発明にかかる第1および第2挟持板としてそれぞれ例示する。)と、それらを重ね合わせた状態に固定する4つのピン61cとからなる。カーボン板61a、61bは、それぞれカーボンファイバーを樹脂によって積層した高放射線透過性を備えるカーボンプレートからなる。カーボン板61aは、後述する固定用支持具62の保持部材挿入部に安定に係止されるように、その厚さが比較的厚いものとなっている。カーボン板61bは、カーボン板61aの厚さと比較して薄く、また、一回り小さく設けられている。なお、これらカーボン板61a、61bは、撮像対象である基板Pの大きさに基づいて、その大きさが設定されている。
【0026】
また、これらカーボン板61a、61bには、それぞれピン61cが挿入される穴Hおよび小孔hが設けられている。そして、カーボン板61a、61bの間に基板Pを挟持し、ピン61cが小孔hを貫通して穴Hに挿入されることにより、基板Pが保持される。
なお、本実施形態では、図2および3に示すように、基板Pの四隅に設けられたテストクーポンを撮像部位aとしているため、基板Pは、撮像部位の倍率を高めるとともに撮像部位以外のバンプによるビームハードニングの影響が少ないように、基板保持部材61に対して斜めに保持されている。
【0027】
固定用支持具62は、図2に示すように、X−Yステージ30に2つ設けられている。固定用支持具62は、図4に示すように、基板保持部材61のカーボン板61aの外周部のうちの角部周辺が挿入される保持部材挿入部62aが設けられている。また、固定用支持具62には、基板保持部材61を固定するストッパーとして、基板保持部材61を押圧して固定する押当部62bと、押当部62bが基板保持部材61を押圧するための押圧力を付勢するばね62cと、ばね62cによる押圧力に抗して基板保持部材61の固定を開放するためのつまみ62dとが設けられている。さらに、この固定用支持具62は板状の2つの基部62eを備えており、図示しないビス等の固定手段により、各基部62eの両端がX−Yステージ30に取付けられている。
これら基板保持部材61と固定用支持具62とを有する基板固定用治具60により、基板Pは、X−Yステージ30に対して起立するように、すなわち、回転軸Aに対して、その基板面が平行となるように固定される。
【0028】
(3)放射線透過画像撮像装置を用いた撮像方法
次に、上述の構成の撮像装置1による透過画像の撮像方法について説明する。
はじめに、基板保持部材61に基板Pを保持させる(図3参照)。具体的には、カーボン板61aに対して、基板Pの撮像部位が放射線発生器10に近く、かつ透過放射線のビームハードニング現象が起き難い位置に基板Pを配置し、ピン61cを用いてカーボン板61bにより基板Pを挟んだ状態で保持させる。
なお、ビームハードニングが生じ易いか否かは、予め基板Pの光軸Rの透過する位置の近くにバンプなどが多く存在するかを確認すればよく、CADデータや層間に対する透過画像によって調べることができる。
【0029】
次に、基板Pを挟持した基板保持部材61を、固定用支持具62の保持部材挿入部62aに挿入すると共に、固定用支持具62の押当部62bにより、基板保持部材61の外周部に対して押圧力を付与し、基板保持部材61を安定に固定用支持具62に固定する(図4、5参照)。これにより、基板Pは、X−Yステージ30に対して起立した状態で固定される。
さらに、X−Yステージ30を駆動して、撮像部位aに対して必要とする拡大率が得られるように、昇降機構50によりX−Yステージ30およびターンテーブル40を昇降させると共に、基板Pの撮像部位aがターンテーブル40の回転中心となる回転軸Aを通るように、基板Pを平面移動させ、基板Pの撮像部位aと、放射線発生器10および放射線検出器20との位置関係を調整する(図1および図2参照)。
【0030】
その後、基板Pの撮像部位aに向けて放射線を照射する。その状態で、ターンテーブル40を回転させ、基板Pを撮像部位aの回転軸A周りに0度から360度まで回転させ、所定の角度ごとに撮像部位aの透過画像を撮影する。これによって、撮像部位aの基板表裏面からの角度の異なる透過画像に加えて、バンプなどで接合された層間に平行な画像と層間に平行になる前後の透過画像を撮像することができる。
最後に、上述のようにして撮影した各透過画像に基づいて、再構成を行うことにより撮像部位aの三次元再構成画像を生成する。
なお、二次元透過画像から三次元再構成画像を生成する手法には、フーリエ変換法、フィルタ補正逆投影法やコンボリューション逆投影法などがあるが、再構成の手法は何れも公知の技術であるため詳細な説明は省略する。
【0031】
以上のようにして、本実施形態では、基板Pを起立させた状態でX−Yステージ30に対して固定して、撮像部位aの360度方向からの透過画像を取得する。すなわち、本実施形態では基板Pの各層と平行な平面を、回転軸Aに対して平行に配置するようにしたので、基板Pの各層に対して、回転軸Aと交差する放射線の光軸Rを層間に対して平行に配置させることができ、その際の透過画像を取得することができる。これにより、超高多層基板のような、層間ピッチが従来の多層基板と比較して極めて小さいような基板であっても、精細な三次元再構成画像を生成することができる。
【0032】
また、2枚のカーボン板61a、61bを有する基板保持部材61により基板Pを挟持するようにしたので、いわゆるフレキシブル基板等の可撓性を有する基板であっても安定して起立させることができる。その結果、そのような基板の鮮明な透過画像を取得することができ、それらに基づいた精細な三次元再構成画像を生成することができる。
さらに、放射線透過性の高いカーボン材からなる板により基板Pを挟持するようにしたので、アーチファクトの発生を抑制でき、鮮明な透過画像を撮像することができる。
【0033】
また、本実施形態では、2枚のカーボン板61a、61bを有する基板保持部材61により基板Pを挟持するようにし、かつ固定用支持具62の保持部材挿入部62aに基板保持部材61を挿入し、さらにばね62cにより付勢される押当部62bによって基板保持部材61に押圧力が付与された状態で基板Pが固定される。これにより、基板Pを、極めて容易にかつ堅固に固定することができる。また、これにより基板Pが堅固に支持されるので、X−Yステージ30による平面移動やターンテーブル40による回転に対しても、位置ずれや揺れ等が発生し難く、鮮明な透過画像を撮像することができる。
【0034】
(4)他の実施形態:
なお、本発明においては、上述の実施形態に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施形態とすることができる。すなわち、上述の実施形態においては、基板Pの各層に平行な平面と回転軸Aとが平行になるように基板Pを配置するようにしたが、これに限定されず、例えば、回転軸Aに対して、基板Pを傾斜させて、すなわち、基板Pの各層に平行な平面と回転軸Aとが90度未満の角度で交差するように、基板Pを配置するようにしてもよい。これにより、基板Pを回転軸Aに対して平行に配置した場合と比較して、異なる角度方向からの画像の再構成に有効な変化の大きな濃淡情報を含む透過画像を撮像することができる。
【0035】
基板Pを傾斜させて配置する方法としては、例えば、図5に示すように、基板固定用治具60において、固定用支持具62に設けられた保持部材挿入部62aを角度θ傾斜させて設けるようにする例を挙げることができる。これにより、基板保持部材61が傾斜した状態で固定されるので、この基板保持部材61に保持されている基板Pも傾斜した状態となる。なお、基板Pを回転軸Aに対して傾斜させる角度としては、基板Pの層間ピッチやバンプなどの配置に応じて、層間の十分な情報が取得できかつ平行に配置した場合よりも多様な情報が得られる程度の角度となるように適宜設定すればよい。
【0036】
また、上述の実施形態においては、放射線発生器10と放射線検出器20とを結ぶ放射線の光軸Rと、基板Pとを相対回転させる回転機構として、ターンテーブル40を用いる例を説明したが、これに限定されず、例えば、図6に示すように、放射線検出器20を、放射線発生器10の焦点を通る回転軸Aを中心として回転させ、かつ、基板Pの撮像部位aが、放射線検出器20の回転により移動する光軸Rに追従させるようにX−Yステージ30を駆動させる回転機構としてもよい。また、この場合、放射線発生器10としては、立体角2πの範囲で放射線を照射可能な放射線発生器とすることができる。
なお、放射線検出器20は、X−Yステージ30に対して傾斜して配置する場合を例示したが、放射線検出器20はX−Yステージ30に対して平行に配置してもよい。この場合においても、放射線発生器10の焦点と放射線検出器20の検出面の各受光素子との位置関係は予め分かっているので、フィルタ補正逆投影法等により再構成演算を行えばよい。
【0037】
さらに、上述の実施形態においては、拡大倍率可変機構として、X−Yステージ30およびターンテーブル40を昇降させる昇降機構50を備えるようにしたが、これに限定されず、例えば、固定的に配置された基板Pに対して、放射線発生器10および放射線検出器20を近接、離反させる拡大倍率可変機構としてもよい。
また、上述の実施形態においては、放射線発生器10を基板Pの下側に、放射線検出器20を基板Pの上側にそれぞれ配置するようにしたが、これに限定されず、例えば、放射線発生器10を基板Pの上側に、放射線検出器20を基板Pの下側にそれぞれ配置するようにしてもよい。
【0038】
さらに、上述の実施形態では、基板固定用治具として、2枚のカーボン板61a、61bと、それらを重ね合わせた状態に固定する4つのピン61cとからなる基板保持部材61を備える基板固定用治具60を用いたが、これに限定されず、例えば、図7に示すように、同じ厚さ、同じサイズの2枚の挟持板71a、71bが開閉可能に一体に設けられたケース状の構造である基板保持部材71を備える基板固定用治具70としてもよい。また、上述の実施形態では、2枚のうちの1枚のカーボン板61aのみを保持部材挿入部62aに挿入するようにしたが、これに限定されず、例えば、重ね合わされた2枚の挟持板をそのまま保持部材挿入部62aに挿入するようにしてもよい。
【0039】
また、上述の実施形態においては、挟持板として、厚みの異なる2枚のカーボン板61a、61bを用いるようにしたが、これに限定されず、例えば、同じ厚みの2枚の挟持板としてもよいし、固定用支持具62の保持部材挿入部62aに挿入される部分のみが厚肉であり、それ以外の部分の厚みはカーボン板61bと同じ厚みであるカーボン板61aをそれぞれ挟持部材として用いてもよい。
【0040】
さらに、上述の実施形態では、2枚のカーボン板61a、61bにより基板Pを挟持して保持するようにしたが、これに限定されず、例えば、図8に示すように、1枚の板状部材からなる基板保持部材81の基板Pの保持面に粘着部81aを備え、この粘着部81aに基板Pの一面を貼り付けて保持するようにしてもよい。さらに、2枚の挟持板の間に基板Pを挟持する形態の場合、それら基板Pの挟持面の少なくとも一方側の挟持面に粘着部を備えるようにしてもよい。
【0041】
なお、上記粘着部としては、シリコン系樹脂または非シリコン系樹脂等(アクリル系樹脂、天然ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、イソプレン系ゴムなど)、からなる粘着部を例示することができる。また、粘着部は、上記溶剤系粘着剤に限らず、非溶剤系粘着剤を用いても良い。この粘着部は、所定の粘着剤を基板保持部材の表面に所定形状になるように塗布(例えば、スクリーン印刷)され、必要に応じて乾燥等されて形成されることができる。また、粘着部は、極めて薄い樹脂とすることにより、弾性による振動が小さく、また、基板Pの平坦性を損なうことなく基板保持部材に固定することができる。粘着部の具体的な厚さとしては、50〜300μm、好ましくは、100〜150μmである。この粘着部は、基板保持部材の片面の全面に設けられていてもよいし、所定形状(点、線等の配列パターン等)であってもよい。
【0042】
また、上述の実施形態では、2枚のカーボン板61a、61bにより基板Pを挟持して保持するようにしたが、これに限定されず、例えば、図9に示すように、基板Pの外周部が挿入されるガイド溝Gが設けられた基板保持部材91としてもよい。
【0043】
また、上述の実施形態では、基板Pを基板保持部材61に対して斜めに挟持されて保持されるようにしたが、これに限定されず、例えば、基板Pにおける撮像部位aの位置、撮像倍率、ビームハードニングによる画像への影響等をそれぞれ勘案し、それに応じて基板Pが保持される方向を適宜決定すればよい。
【0044】
また、上述の種々の基板保持部材において、基板Pを所定位置に正しく配置して保持させるための基準点、基準線等のマークを基板保持部材の基板保持面に設けるようにしてもよい。
【0045】
さらに、上述の実施形態では、基板固定用治具として、2つの固定用支持具62の保持部材挿入部62aに基板保持部材61の外周部の角部周辺が挿入されて固定される基板固定用治具60を用いたが、これに限定されず、例えば、基板保持部材の外周部の一辺の周辺が挿入される保持部材挿入部を有するひとつの固定用支持具により基板保持部材が固定される基板固定用治具としてもよい。
【0046】
さらに、上述の実施形態においては、基板固定用治具として、基板保持部材61を固定用支持具62に挿入して固定する基板固定用治具60を用いたが、これに限定されず、例えば、固定用支持具として、X−Yステージ30に固定された基部のみを設け、基板保持部材の外周の一部または全体を幅広にし、固定用支持具に対して自立させるようにしてもよい。
具体的には、図10(a)のように、基板固定用治具100は、基板Pを挟持して保持する挟持板101a、101b(本発明に係る本体部として例示する)と、上記X−Yステージ30に固定された基部102eに対して基板保持部材101が自立可能なように設けられた幅広部101dと、を備える基板保持部材101を具備している。幅広部101dは、挟持板101aの四辺全周に設けられており、上述の実施形態で示した図1から図5のように撮像部位であるテストクーポンなどの撮像部位aが配線パターン内や基板Pの端面にあり、撮像部位を基板Pから切断して外さない場合に基板Pを基板保持部材101に保持したままで基板保持部材101を回転し、基板Pの各々の端面にある撮像部位を撮像する場合において好都合な手法である。また、図10(b)に示すように、上述の実施形態と同様の構成の固定用支持具62により、幅広部101dが挿入されて固定されるようにしてもよい。
【0047】
さらに、検査対象である基板Pのサイズが小さい場合やテストクーポンを含む基板の一部を切断してテストクーポンを撮像する場合には、基板Pを保持した基板保持部材61を撮像の都度に回転する必要が無いため、図11(a)のように挟持板101aの外周を幅広にした幅広部101dは挟持板101aの一端面のみに設ければよい。
また、幅広部101dを挟持板101aの一部に設ける場合には、図11(b)に示すように、より濃淡情報の変化が多い透過画像を得るために、基板Pの基板面が回転軸Aに対して所定の角度θをなすように、挟持板101aと幅広部101dとを傾斜させて形成するようにしてもよい。
【0048】
さらに、図12(a)および(b)のように、幅広部101dに対して挟持板101aを回転可能に係合させる係合部101eを設けるようにして、基板Pと回転軸Aとがなす角度θを自在に設定できるようにしてもよい。この場合、図13に示すように、上述の実施形態と同様の構成の固定用支持具62を設けて挟持板101aおよび幅広部101dを保持部材挿入部62aに挿入し、挟持板101aおよび幅広部101dが押当部62bによって押圧されることにより、設定した角度θをより確実に保持できるようにしてもよい。このとき、固定用支持具62には、傾斜角度θを示す分度器62fを設けてもよい。なお、図13では、分度器62fは挟持板101aにおける基板Pの挟持面により傾斜角度θが示されるように目盛が設けられている。
【0049】
なお、上記の図13においては、図4と同じ符号による同じ構造を図示し押当部62bに押圧力を付勢するばね62cによって基板保持部材101を挟持する実施形態を提案したが、ばね力に加えて図示しないネジを備えたつまみ62dを回転することにより押当部62bの底面を基部62eの表面に押し当て、上記底面と表面に形成された図示しない粗面どうしの摩擦によって、より安定した押圧力を基板保持部材101の両側面に与えるようにしてもよい。
また、幅広部101dに対向する押当部62bの一部に幅広部101dの両端を上から押さえる構造を追加することにより、基板保持部材101を基部62eに対してより安定して保持できるようにしてもよい。
【0050】
さらに、上述の種々の基板保持部材において、その材質はカーボン材に限られず、アルミニウム材、マグネシウム材、チタン材等の原子番号が小さい金属や、アクリル材等の樹脂等、放射線に対する透過性が高い種々の材質を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施形態にかかる多層基板の放射線透過画像撮像装置の概略説明図である。
【図2】本実施形態にかかる基板固定用治具を示す説明図である。
【図3】本実施形態にかかる基板保持部材を示す説明図である。
【図4】本実施形態にかかる固定用治具の要部拡大図である。
【図5】他の実施形態にかかる基板固定用治具の例を示す説明図である。
【図6】他の実施形態にかかる多層基板の放射線透過画像撮像装置の例を示す概略説明図である。
【図7】他の実施形態にかかる基板保持部材の例を示す説明図である。
【図8】他の実施形態にかかる基板保持部材の例を示す説明図である。
【図9】他の実施形態にかかる基板保持部材の例を示す説明図である。
【図10】他の実施形態にかかる基板固定用治具の例を示す説明図であり、(a)は基板保持部材が幅広部により固定用支持具に対して起立して固定される形態、(b)は基板保持部材が幅広部を固定用支持具に挿入されて固定される形態をそれぞれ示す。
【図11】他の実施形態にかかる基板保持部材の例を示す説明図であり、(a)は幅広部が一端面のみに設けられた形態、(b)は一端面のみに設けられた幅広部と挟持板とを傾斜させて設けた形態をそれぞれ示す。
【図12】他の実施形態にかかる基板保持部材の例を示す説明図であり、(a)は幅広部に対して挟持板が回転可能に設けられた形態、(b)は(a)の基板保持部材を分解して表した図をそれぞれ示す。
【図13】他の実施形態にかかる基板保持部材および固定用支持具の例の要部を拡大した説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1;放射線透過画像撮像装置、10;放射線発生器、20;放射線検出器、30;X−Yステージ、40;ターンテーブル、50;昇降機構、60、70、100;基板固定用治具、61、71、81、91、101;基板保持部材、61a、61b;カーボン板、61c;ピン、62、102;固定用支持具、62a;保持部材挿入部、62b;押当部、62c;ばね、62d;つまみ、62e、102e;基部、62f;分度器、71a、71b、101a、101b;挟持板、81a;粘着部、101d;幅広部、101e;係合部、A;回転軸、a;撮像部位、H;穴、h;小孔、P;基板、G;ガイド溝、R;光軸、θ;基板面と回転軸とがなす角度。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層基板の三次元再構成画像を生成するための放射線透過画像撮像装置であって、
放射線を上記多層基板に照射する放射線発生器と、
上記多層基板を透過した放射線を検出する放射線検出器と、
所定の回転軸を中心として、上記放射線発生器と上記放射線検出器とを結ぶ放射線の光軸と上記多層基板とを相対回転させる回転機構と、
上記多層基板を上記回転軸に対して直交する平面上を平面移動させるステージと、
上記放射線発生器、上記放射線検出器および上記多層基板を相対的に近接、離反させて該多層基板の撮像部位の拡大倍率を調整する拡大倍率可変機構と、
上記多層基板を保持しかつ上記ステージに対して固定するための基板固定用治具と、を備え、
上記光軸は、上記回転軸に対して90度未満の角度で交差するように設定されており、
上記基板固定用治具は、上記多層基板の各層に平行な平面と上記回転軸とが平行になるように、または、90度未満の角度で交差するように該多層基板を上記ステージに固定することを特徴とする多層基板の放射線透過画像撮像装置。
【請求項2】
上記回転機構は、上記多層基板を上記回転軸を中心として回転させるターンテーブルである請求項1記載の多層基板の放射線透過画像撮像装置。
【請求項3】
上記放射線発生器は、立体角2πの範囲で放射線を照射し、
上記回転機構は、上記放射線検出器を上記回転軸を中心として回転させ、かつ、上記多層基板の撮像部位が該放射線検出器の回転により移動する上記光軸に追従するように、上記ステージを駆動させる回転機構である請求項1記載の多層基板の放射線透過画像撮像装置。
【請求項4】
上記基板固定用治具は、上記多層基板を保持する基板保持部材と、上記ステージに固定されかつ該基板保持部材を該ステージに対して固定する固定用支持具と、を具備する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多層基板の放射線透過画像撮像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の多層基板の放射線透過画像撮像装置による放射線透過画像の撮像方法であって、
上記基板固定用治具に保持された上記多層基板を上記ステージに対して固定し、
上記放射線発生器、上記放射線検出器および上記多層基板を相対的に近接、離反させて該多層基板の撮像部位の拡大倍率を調整し、
上記多層基板に放射線を照射し、その状態で、該放射線の光軸と該多層基板とを上記回転機構により0度から360度まで相対回転させ、該多層基板の撮像部位の放射線透過画像を撮像することを特徴とする多層基板の放射線透過画像撮像方法。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多層基板の放射線透過画像撮像装置に用いる基板固定用治具であって、
上記多層基板を保持する基板保持部材と、上記ステージに固定されかつ該基板保持部材を該ステージに対して固定する固定用支持具と、を具備することを特徴とする基板固定用治具。
【請求項7】
上記基板保持部材は、互いに突き合わされて上記多層基板の一部または全体を挟持する板状の第1挟持板および第2挟持板を備え、
上記固定用支持具は、上記第1挟持板および/または上記第2挟持板の外周部の少なくとも一部が挿入される凹部を有する請求項6記載の基板固定用治具。
【請求項8】
上記基板保持部材は、上記第1挟持板が上記第2挟持板より厚肉でかつ上記多層基板の挟持面の面積が大きく設けられており、該第1挟持板の外周部の少なくとも一部が上記凹部に挿入されて支持される請求項7記載の基板固定用治具。
【請求項9】
上記第1挟持板および上記第2挟持板は、一端側に設けられた回転軸を中心として相対的に回動可能に一体に設けられ、上記多層基板を挟持する各挟持面が開閉可能であり、該第1挟持部材および該第2挟持板を閉じた状態で外周部の少なくとも一部が上記凹部に挿入されて支持される請求項7記載の基板固定用治具。
【請求項10】
上記第1挟持板および上記第2挟持板の少なくとも一方は、上記多層基板を挟持する挟持面に該多層基板の一面が貼り付けられて保持される粘着部を備える請求項7乃至9のいずれか一項に記載の基板固定用治具。
【請求項11】
上記基板保持部材は、上記多層基板の外周部が挿入されて保持されるガイド溝を備える枠状部材である請求項6記載の基板固定用治具。
【請求項12】
上記基板保持部材は、上記多層基板の保持面に該多層基板の一面が貼り付けられて保持される粘着部を備える板状部材である請求項6記載の基板固定用治具。
【請求項13】
上記基板保持部材は、上記多層基板を保持する本体部と、該本体部の外周の一部または全周に設けられ且つ該本体部をステージに対して起立させる幅広部と、を具備し、
上記幅広部が上記固定用支持具により固定される請求項6記載の基板固定用治具。
【請求項14】
上記基板保持部材は、上記本体部が上記幅広部に対して90度未満の角度で一体に形成されている請求項13記載の基板固定用治具。
【請求項15】
上記基板保持部材は、上記本体部の上記幅広部に対する角度を可変できるように上記本体部と上記幅広部とが係合支持されている請求項13記載の基板固定用治具。
【請求項16】
上記基板保持部材は、カーボン材により形成されている請求項6乃至15のいずれか一項に記載の基板固定用治具。
【請求項1】
多層基板の三次元再構成画像を生成するための放射線透過画像撮像装置であって、
放射線を上記多層基板に照射する放射線発生器と、
上記多層基板を透過した放射線を検出する放射線検出器と、
所定の回転軸を中心として、上記放射線発生器と上記放射線検出器とを結ぶ放射線の光軸と上記多層基板とを相対回転させる回転機構と、
上記多層基板を上記回転軸に対して直交する平面上を平面移動させるステージと、
上記放射線発生器、上記放射線検出器および上記多層基板を相対的に近接、離反させて該多層基板の撮像部位の拡大倍率を調整する拡大倍率可変機構と、
上記多層基板を保持しかつ上記ステージに対して固定するための基板固定用治具と、を備え、
上記光軸は、上記回転軸に対して90度未満の角度で交差するように設定されており、
上記基板固定用治具は、上記多層基板の各層に平行な平面と上記回転軸とが平行になるように、または、90度未満の角度で交差するように該多層基板を上記ステージに固定することを特徴とする多層基板の放射線透過画像撮像装置。
【請求項2】
上記回転機構は、上記多層基板を上記回転軸を中心として回転させるターンテーブルである請求項1記載の多層基板の放射線透過画像撮像装置。
【請求項3】
上記放射線発生器は、立体角2πの範囲で放射線を照射し、
上記回転機構は、上記放射線検出器を上記回転軸を中心として回転させ、かつ、上記多層基板の撮像部位が該放射線検出器の回転により移動する上記光軸に追従するように、上記ステージを駆動させる回転機構である請求項1記載の多層基板の放射線透過画像撮像装置。
【請求項4】
上記基板固定用治具は、上記多層基板を保持する基板保持部材と、上記ステージに固定されかつ該基板保持部材を該ステージに対して固定する固定用支持具と、を具備する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多層基板の放射線透過画像撮像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の多層基板の放射線透過画像撮像装置による放射線透過画像の撮像方法であって、
上記基板固定用治具に保持された上記多層基板を上記ステージに対して固定し、
上記放射線発生器、上記放射線検出器および上記多層基板を相対的に近接、離反させて該多層基板の撮像部位の拡大倍率を調整し、
上記多層基板に放射線を照射し、その状態で、該放射線の光軸と該多層基板とを上記回転機構により0度から360度まで相対回転させ、該多層基板の撮像部位の放射線透過画像を撮像することを特徴とする多層基板の放射線透過画像撮像方法。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多層基板の放射線透過画像撮像装置に用いる基板固定用治具であって、
上記多層基板を保持する基板保持部材と、上記ステージに固定されかつ該基板保持部材を該ステージに対して固定する固定用支持具と、を具備することを特徴とする基板固定用治具。
【請求項7】
上記基板保持部材は、互いに突き合わされて上記多層基板の一部または全体を挟持する板状の第1挟持板および第2挟持板を備え、
上記固定用支持具は、上記第1挟持板および/または上記第2挟持板の外周部の少なくとも一部が挿入される凹部を有する請求項6記載の基板固定用治具。
【請求項8】
上記基板保持部材は、上記第1挟持板が上記第2挟持板より厚肉でかつ上記多層基板の挟持面の面積が大きく設けられており、該第1挟持板の外周部の少なくとも一部が上記凹部に挿入されて支持される請求項7記載の基板固定用治具。
【請求項9】
上記第1挟持板および上記第2挟持板は、一端側に設けられた回転軸を中心として相対的に回動可能に一体に設けられ、上記多層基板を挟持する各挟持面が開閉可能であり、該第1挟持部材および該第2挟持板を閉じた状態で外周部の少なくとも一部が上記凹部に挿入されて支持される請求項7記載の基板固定用治具。
【請求項10】
上記第1挟持板および上記第2挟持板の少なくとも一方は、上記多層基板を挟持する挟持面に該多層基板の一面が貼り付けられて保持される粘着部を備える請求項7乃至9のいずれか一項に記載の基板固定用治具。
【請求項11】
上記基板保持部材は、上記多層基板の外周部が挿入されて保持されるガイド溝を備える枠状部材である請求項6記載の基板固定用治具。
【請求項12】
上記基板保持部材は、上記多層基板の保持面に該多層基板の一面が貼り付けられて保持される粘着部を備える板状部材である請求項6記載の基板固定用治具。
【請求項13】
上記基板保持部材は、上記多層基板を保持する本体部と、該本体部の外周の一部または全周に設けられ且つ該本体部をステージに対して起立させる幅広部と、を具備し、
上記幅広部が上記固定用支持具により固定される請求項6記載の基板固定用治具。
【請求項14】
上記基板保持部材は、上記本体部が上記幅広部に対して90度未満の角度で一体に形成されている請求項13記載の基板固定用治具。
【請求項15】
上記基板保持部材は、上記本体部の上記幅広部に対する角度を可変できるように上記本体部と上記幅広部とが係合支持されている請求項13記載の基板固定用治具。
【請求項16】
上記基板保持部材は、カーボン材により形成されている請求項6乃至15のいずれか一項に記載の基板固定用治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−91534(P2010−91534A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264559(P2008−264559)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000243881)名古屋電機工業株式会社 (107)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000243881)名古屋電機工業株式会社 (107)
【Fターム(参考)】
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