説明

多方切換弁

【課題】弁体が一周するまでの間に回転角度に応じて全開閉組合せを実現させ、操作性の良い多方切換弁を提供する。
【解決手段】駆動モータ21が駆動されるとその出力によって四つの連通孔が形成されている共通回転弁体15が回動し、流体流入口11から弁室10に流入した流体が共通回転弁体15の連通孔25,26を通じて、その連通孔に位置が合っている流体流出口12,13へと流れる。共通回転弁体15の一周又は半周する間に、その回動位置に応じて、連通孔25,26と弁室10に開口する流体流出口12,13との位置が一致して開状態となるすべての組合せが一度出現するので、選択された一つの組合せで、開状態となった連通孔と流体流出口を通じて、液体の流れを切り換えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路の切り換えを行う切換弁に係り、特に、冷蔵庫、空調機等の冷媒循環系に組み込んで使用するのに好適な、ステッピングモータを用いた電動切換弁に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、1本の流路Aを流れる流体を2本の流路B及び流路Cのいずれかに任意に切り換えて流すようにする場合、通常、流路Aと流路B、Cとの間に三方切換弁を介装する。
【0003】
具体的には、例えば、冷蔵庫においては、圧縮機からの冷媒が導入される流路Aと、冷媒を冷凍室側の蒸発器に導く流路Bと、冷媒を冷蔵室側の蒸発器に導く流路Cとの間に三方切換弁を介装し、当該三方切換弁の切換え動作により、流路Aに導入された冷媒を流路Bと流路Cのいずれか一方のみに択一的に流すように構成されている。この場合、前記三方切換弁においては、流路A(流入口)は常時開かれ、流路B(第1の流出口)が開けられているときは、流路C(第2の流出口)が閉じ、逆に、流路Bが閉じられているときは、流路Cが開くように構成されている。
【0004】
近年、例えば、冷蔵庫においては、冷凍室、冷蔵室、及び、野菜室にそれぞれ蒸発器を設けてそれぞれの室の冷却を確実に行わせるようにする傾向にあり、このような冷蔵庫では上記のような従来の三方弁では対応できない。そこで、上記問題を解消できる切換弁として、本出願人は、冷凍室、冷蔵室、及び、野菜室にそれぞれ蒸発器を設けてそれぞれの室の冷却を確実に行わせる冷蔵庫等に対応可能な四方弁等の電動切換弁を提案している(特許文献1参照)。
【0005】
上記提案に係る電動切換弁はとして、一つの流入口から、複数の流出口へ選択的に流体を流す切換弁であって、キャンと、このキャンの外周に取り付けられたステータ及び前記キャンの内周に配在されたロータ等からなるステッピングモータと、前記ロータの内周側に該ロータと弁駆動体を介して一体的に回動可能に配在された弁体と、該弁体の一端側に対向配置された弁シート部材とを備えており、前記弁シート部材は、そのシート面に複数の流出口が開口しているとともに、前記弁シート部材の側面に流入口が開口しており、前記弁体にはシート面に対向する面に閉成用弁部が設けられていて、該閉成用弁部は、その回転停止位置に応じて前記複数の流出口を選択的に開とする構成となっている。したがって、この提案によれば、簡単な構成で、弁体を三次元的に移動させ、全開、一部開、全閉等の作用を行わせることを可能にし、また、従来の三方弁に止まらず、例えば、四方弁とすることを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−357275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、多方切換弁において、弁体が一周又は半周のような所定の回動動作範囲を回動動作されるうちに、複数の流出口について全開閉組合せを得るようにする点で改善が求められている。
そこで、多方切換弁において、弁体が一周するまでの間に回転角度に応じて全開閉組合せを実現する点で解決すべき課題がある。
本発明の目的は、弁体が一周するまでの間に回転角度に応じて全開閉組合せを実現させ、操作性の良い多方切換弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明による多方切換弁は、流体流入口と三つの流体流出口とが開口する弁室が内部に形成されている弁本体と、前記弁室内に配設されており、回転動作に従って前記弁室と前記三つの流体流出口とを選択的に連通させる四つの連通孔が形成されている回転弁体と、前記回転弁体を回動する駆動モータとを備え、前記四つの連通孔は、前記回転弁体が一回転するまでの間に、前記弁室と前記三つの流体流出口との連通と遮断とを定める全開閉組合せを選択するように配置されていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明による多方切換弁は、流体流入口と二つの流体流出口とが開口する弁室が内部に形成されている弁本体と、前記弁室内に配設されており、回転動作に従って前記弁室と前記二つの流体流出口とを選択的に連通させる四つの連通孔が形成されている回転弁体と、前記回転弁体を回動する駆動モータとを備え、前記四つの連通孔は、前記回転弁体が半回転するまでの間に、前記弁室と前記二つの流体流出口との連通と遮断とを定める全開閉組合せを選択するように配置されていることを特徴としている。
【0010】
本多方切換弁によれば、駆動モータが駆動されるとその出力によって四つの連通孔が形成されている回転弁体が回動し、流体流入口から弁室に流入した流体が回転弁体の連通孔を通じて、その連通孔に位置が合っている流体流出口へと流れる。回転弁体の一周又は半周する間に、その回動位置に応じて、連通孔と弁室に開口する流体流出口との位置が一致して開状態となるすべての組合せが一度出現するので、選択された一つの組合せで、開状態となった連通孔と流体流出口を通じて、液体の流れを切り換えることができる。したがって、流体流入口から弁室に流入した流体は、回転弁体の回動位置に応じて選択された組合せで開状態に切換えられた連通孔及び流体流出口を通して、流れが切り換えられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による多方切換弁は、上記のように構成されているので、回転弁体の一周又は半周する間にその回動位置に応じて、いずれかの連通孔或いは二つまたはそれ以上の組み合わされた連通孔の位置が流体流出口に一致することで、当該連通孔は位置が一致した流体流出口に対して開状態になるように切り換えられる。流体流入口から弁室に流入した流体は、当該選択された組合せで開状態に切換えられた連通孔及び流体流出口を通して、流れることができる。このように、一つの切換弁において、回転弁体を回転させるという簡単な切換操作によってその位置を選択するだけで、多くの組合せの中から一つの組合せで開弁状態となる連通孔及び流体流出口を通じての流体の流れを切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明による多方切換弁の一実施例を示す縦断面図である。
【図2】図2は図1に示す多方切換弁の要部を示す斜視図である。
【図3】図3は図2に示す多方切換弁の要部を構成する回転弁体を示す斜視図である。
【図4】図4は図2に示す多方切換弁の要部を構成する切換シートの一例を示す斜視図である。
【図5】図5は図2に示す多方切換弁の要部を構成する切換シートの別例を示す斜視図である。
【図6】図6は回転弁体に対して四方切換シート又は三方切換シートをそれぞれ用いたときの、回転弁体の回転に伴う切換の態様を示す図である。
【図7】図7は45°の角度に設けられる連通孔の位置を変更した回転弁体を用いた第2実施例を示す図である。
【図8】図8は45°の角度に設けられる連通孔の位置を別の位置に変更した回転弁体を用いた第3実施例を示す図である。
【図9】図9は45°の角度に設けられる連通孔の位置を更に別の位置に変更した回転弁体を用いた第4実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面に基づいて、本発明による多方切換弁の実施例を説明する。図1は本発明による多方切換弁の一実施例を示す縦断面図、図2は図1に示す多方切換弁の要部を示す斜視図、図3は図2に示す多方切換弁の要部を構成する回転弁体を示す斜視図、図4は図2に示す多方切換弁の要部を構成する切換シートの一例を示す斜視図、図5は図2に示す多方切換弁の要部を構成する切換シートの別例を示す斜視図である。
【0014】
図1に示す多方切換弁1は、流体流入管6と、流体流出管7,8,9(このうち二つの流体流出管7、8を図示する)とが接続された弁本体2を備えている。弁本体2には、一方側(図では上壁部3)に流体流入管6に繋がる流体流入口11が開くとともに、一方側に対向する他方側(図では下壁部4)には流体流出管7,8,9の三つの流体流出口12,13,14(このうち二つの流体流出口12,13を示す)が開口している弁室10が形成されている。なお、弁本体2において、上壁部3は、下壁部4と一体に形成された側壁部5に対して上方から嵌合・固定されている。
【0015】
弁室10内には、下壁部4上において、回転弁体としての共通回転弁体15と、共通回転弁体15が摺接する切換シート30とが配設されている。切換シート30は、弁室10内において下壁部4の底面4a上に配置されており、共通回転弁体15は、切換シート30に対して摺接するように回動中心軸16を回転中心として回動可能に設けられている。弁室10内において、切換シート30を貫通し且つ弁本体2にねじ固定された雄ねじ16の頭部17と共通回転弁体15の上面15aとの間には、座金19a,19bを介してコイルばね18が圧縮状態に巻装されており、コイルばね18は、その復元力によって、共通回転弁体15を切換シート30に向かって押し付けている。
【0016】
共通回転弁体15の上面15aには、その外周寄りの環状縁部15bにテーパ状の傘歯車20が形成されている。弁本体2の側壁部5には、ステッピングモータ21が嵌合・かしめ等の手段でOリング22を介して液密に固定されている。ステッピングモータ21の回転出力軸23の弁室10内に突出した先端には傘歯車24が取り付けられており、傘歯車24が共通回転弁体15の傘歯車20に噛み合っている。したがって、ステッピングモータ21の回転出力は、傘歯車24,20を介して共通回転弁体15に伝達され、共通回転弁体15は切換シート30上で回転駆動される。
【0017】
共通回転弁体15は、図2、図3に示すように、全体的には厚肉の円盤形状を呈しており、肉厚方向に貫通する四つの連通孔25,26,27,28が形成されている。四つの連通孔25〜28のうち三つの連通孔25〜27は互いに90度毎隔置した同心円上の位置に配置されており、残る一つの連通孔28は、同じ同心円上の位置であるが、端に位置する連通孔25に対して45°の角度だけ更に外側の位置に配置されている。
【0018】
図2、図4に示すように、多方切換弁(四方切換弁)1の切換シート(四方切換シート)30は、弁本体2の下壁部4に固定されている。切換シート30には、流体流出管7,8,9に繋がる三つの流体流出口12,13,14に位置を合わせて、三つの貫通孔A,B,Cが互いに90度の角度で隔置した位置に形成されている。
【0019】
図5には、多方切換弁(三方切換弁)の場合に用いる切換シート(三方切換シート)40が示されている。切換シート40は、切換シート30と同様に弁本体2の下壁部4に固定される切換シートであるが、流体流出管7,8に繋がる二つの流体流出口12,13に位置を合わせて、二つの貫通孔A,Bのみが互いに180度の角度で隔置した位置に形成されている。
【0020】
図6は、図3に示す共通回転弁体15に対して、貫通孔A,B,Cが形成された四方切換シート30(図4)と、貫通孔A,Bのみが形成された三方切換シート(図5)40とをそれぞれ用いたときの、共通回転弁体15の回転に伴う切換の態様を示す図である。図6の中程の列は弁−シート組図を示す図であって、共通回転弁体15の回転角度と共に、上方から見て連通孔のうち貫通孔との位置が一致している場合にその連通孔をクロスハッチングで示している。図6の右の列は、共通回転弁体15の連通孔と切換シート30の貫通孔とが一致して流れを許容するOPEN(「○」で示す開状態)と、これら両孔が一致せずに流れが遮断されるCLOSE(「×」で示す閉状態)とを示している。
【0021】
共通回転弁体15の回転角度0°では、共通回転弁体15の連通孔25,26,27の位置が切換シート30の貫通孔A,B,Cの位置にそれぞれ一致しており、貫通孔A,B,Cはすべて開状態にある。
共通回転弁体15の回転角度45°では、連通孔28のみが切換シート30の貫通孔Aの位置に一致しており、貫通孔Aが開状態にあり、貫通孔B,Cが閉状態にある。
共通回転弁体15の回転角度90°では、連通孔25,27が切換シート30の貫通孔C,Bの位置に一致しており、貫通孔B,Cが開状態に、貫通孔Aが閉状態にある。
共通回転弁体15の回転角度135°では、連通孔28のみが切換シート30の貫通孔Cの位置に一致しており、貫通孔Cが開状態にあり、貫通孔A,Bが閉状態にある。
共通回転弁体15の回転角度180°では、連通孔25,26が切換シート30の貫通孔B,Aの位置に一致しており、貫通孔B,Aが開状態に、貫通孔Cが閉状態にある。
共通回転弁体15の回転角度225°では、連通孔28のみが切換シート30の貫通孔Bの位置に一致しており、貫通孔Bが開状態にあり、貫通孔A,Cが閉状態にある。
共通回転弁体15の回転角度270°では、連通孔26,27が切換シート30の貫通孔C,Aの位置に一致しており、貫通孔C,Aが開状態に、貫通孔Bが閉状態にある。
共通回転弁体15の回転角度315°では、どの連通孔25〜28も切換シート30の貫通孔A〜Cの位置に一致しておらず、すべての貫通孔A,B,Cが閉状態にある。
【0022】
図6から、共通回転弁体15の回転に従って、三つの連通孔25〜27の位置が三つの貫通孔A〜Cの位置にそれぞれ一致している場合(一通り)と、三つの貫通孔A〜Cの位置いずれにも一致していない場合(一通り)があり、更に、連通孔25〜27のうち二つの連通孔の位置が、貫通孔A,B,Cのうち二つの貫通孔の位置と一致する場合(三通り)があることが解る。一つの連通孔のみの位置が一つの貫通孔の位置に一致しているのは、45°の角度で変位して形成されている連通孔28が貫通孔A,B,Cのいずれか一つの位置に一致している場合(三通り)のみであることも見て取れる。また、共通回転弁体15の一回転に伴って、連通状態となる組合せには重複したものがなく、共通回転弁体15の45度毎の回転位置で得られる連通状態はすべて異なるものであり、可及的にコンパクトに構成され且つ操作性に無駄がない。
【0023】
三方切換シート40を用いる場合には、すべての組合せパターンは、図6の右側の列において破線で囲まれたパターンとなっている。半回転で各組合せが一度だけ出現し、一回転ではすべての組合せが二回出現する。貫通孔を90°違えて配置した三方切換シート(貫通孔B,Cだけが形成されている切換シート)を用いる場合には、すべての組合せパターンは、図6の右側の列において二点鎖線で囲まれたパターンとなっている。半回転で各組合せが一度だけ出現し、一回転ではすべての組合せが二回出現する点については、変わりが無い。
【0024】
図7は、図3及び図6に示す共通回転弁体15において45°の角度に設けられる連通孔28の位置を連通孔26から連通孔27に向かう方向とは反対側に45°の角度の位置に変更した(連通孔28aで示す)共通回転弁体50を用いた第2実施例を示す図である。図7には、図6に示されているものと同様、共通回転弁体50に対して、貫通孔A,B,Cが形成された四方切換シート40と、貫通孔A,Bが形成された三方切換シート30と、をそれぞれ用いたときの、共通回転弁体50の回転に伴う切換の態様が示されている。図7の中程の列は、弁−シート組図を示す図であって、上方から見て、共通回転弁体50の0°から始まって45°の回転毎に連通孔25,26,27,28aと貫通孔A,B,Cとの一致、不一致の状態を示しており、連通孔のうち貫通孔との位置が一致している場合にその連通孔をクロスハッチングで示している。図7の右の列には、共通回転弁体50の連通孔とシート30の貫通孔との位置が一致して流れを許容するOPEN(「○」で示す開状態)と、これら両孔の位置が一致せず流れが遮断されるCLOSE(「×」で示す閉状態)とを示している。
【0025】
図7に示す実施例の場合、図6に示す場合と比べて、連通状態の順番が異なるが、共通回転弁体50の回転に従って、三つの連通孔25〜27の位置が三つの貫通孔A〜Cの位置にそれぞれ一致している場合(一通り)と、三つの貫通孔A〜Cの位置のいずれにも一致していない場合(一通り)と、連通孔25〜27のうち二つの連通孔の位置が、貫通孔A,B,Cのうち二つの貫通孔の位置と一致する場合(三通り)と、更に一つの連通孔のみが一つの貫通孔の位置に一致している場合と(三通り;連通孔28aが貫通孔A,B,Cのいずれか一つの位置に一致している)を取ることは、図6の場合と同様である。
【0026】
三方切換シート40を用いる場合には、すべての組合せパターンは、図7の右側の列において破線で囲まれたパターンとなっている。半回転で各組合せが一度だけ出現し、一回転ではすべての組合せが二回出現する。貫通孔を90°違えて配置した三方切換シート(貫通孔B,Cのみが形成された三方切換シート)を用いる場合には、すべての組合せパターンは、図7の右側の列において二点鎖線で囲まれたパターンとなっており、半回転で各組合せが一度だけ出現し、一回転ではすべての組合せが二回出現する点を含めて、第1実施例の場合と同様である。
【0027】
図8は、図3及び図6に示す共通回転弁体15において45°の角度に設けられる連通孔の位置を連通孔26,27間の位置に変更した(連通孔28bで示す)共通回転弁体51を用いた第3実施例を示す図である。図8には、図6に示されているものと同様、共通回転弁体51に対して、貫通孔A,B,Cが形成された四方切換シート40と、貫通孔A,Bが形成された三方切換シート30とをそれぞれ用いたときの、共通回転弁体51の回転に伴って行われる切換の態様が示されている。図8に示す弁−シート組図等の記載内容は、図6や図7に示す第1、第2実施例の場合と比べて、連通孔28bに起因して異なる以外、同等であるので、再度の説明を省略する。連通孔28bによる切換作用についても、共通回転弁体51の回転に伴って現れる切換順序が異なるのみで、すべての切換の組合せが出現することに変わりはないので、これについても改めての説明を省略する。
【0028】
三方切換シート40を用いる場合には、すべての組合せパターンは、図8の右側の列において破線で囲まれたパターンとなっている。半回転で各組合せが一度だけ出現し、一回転ではすべての組合せが二回出現する。
【0029】
図9は、図3及び図6に示す共通回転弁体15において45°の角度に設けられる連通孔(連通孔28cで示す)の位置を連通孔25,27間の位置に変更した共通回転弁体52を用いた第4実施例を示す図である。図9には、図6に示されているものと同様、共通回転弁体52に対して、貫通孔A,B,Cが形成された四方切換シート40と、貫通孔A,Bが形成された三方切換シート30と、をそれぞれ用いたときの、共通回転弁体52の回転に伴って行われる切換の態様が示されている。図9に示す弁−シート組図等の記載内容は、図8に示す第3実施例の場合と比べて、連通孔28cに起因して異なる以外、同等であるので、再度の説明を省略する。連通孔28cによる切換作用についても、共通回転弁体52の回転に伴って現れる切換順序が異なるのみで、三方切換シート40を用いる場合を含めてすべての切換の組合せが出現することに変わりはないので、これについても改めての説明を省略する。
【0030】
本発明による多方切換弁を各実施例に則して説明したが、各構造において特許請求の範囲に定める範囲内において各種の変更、置換を行うことが可能である。例えば、回転弁体の駆動は弁本体の側壁部に取り付けたステッピングモータと傘歯車による伝動機構を用いたものを説明したが、これに限らず、モータの配設を上下方向の縦軸として、回転弁体の駆動をモータの駆動軸で直接行ったり、あるいは内歯歯車とピニオンのような伝動機構によって行ってもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 多方切換弁 2 弁本体
3 上壁部 4 下壁部 4a 底面
5 側壁部 6 流体流入管
7,8,9 流体流出管 10 弁室
11 流体流入口 12,13,14 流体流出口
15,45,50,51,52 共通回転弁体
15a 上面 15b 環状縁部
16 回動中心軸 17 頭部
18 コイルばね 19a,19b 座金
20 傘歯車 21 ステッピングモータ
22 Oリング 23 回転出力軸
24 傘歯車
25,26,27,28;28a,28b,28c 連通孔
30 切換シート 40 切換シート
A,B,C 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流入口と三つの流体流出口とが開口する弁室が内部に形成されている弁本体と、
前記弁室内に配設されており、回転動作に従って前記弁室と前記三つの流体流出口とを選択的に連通させる四つの連通孔が形成されている回転弁体と、
前記回転弁体を回動する駆動モータとを備え、
前記四つの連通孔は、前記回転弁体が一回転するまでの間に、前記弁室と前記三つの流体流出口との連通と遮断とを定める全開閉組合せを選択するように配置されていることを特徴とする多方切換弁。
【請求項2】
請求項1記載の多方切換弁において、
前記三つの流体流出口は、前記回転弁体の回転中心を中心として前記弁本体の同心円上にほぼ90度の角度で隔置して配置されており、
前記四つの連通孔は、前記回転中心を中心として前記同心円に対応した前記回転弁体の同心円上において、ほぼ90度の角度で隔置された三つの前記連通孔と、当該三つの連通孔のいずれかの連通孔に45度の角度で隔置された一つの前記連通孔とから成ることを特徴とする多方切換弁。
【請求項3】
流体流入口と二つの流体流出口とが開口する弁室が内部に形成されている弁本体と、
前記弁室内に配設されており、回転動作に従って前記弁室と前記二つの流体流出口とを選択的に連通させる四つの連通孔が形成されている回転弁体と、
前記回転弁体を回動する駆動モータとを備え、
前記四つの連通孔は、前記回転弁体が半回転するまでの間に、前記弁室と前記二つの流体流出口との連通と遮断とを定める全開閉組合せを選択するように配置されていることを特徴とする多方切換弁。
【請求項4】
請求項3記載の多方切換弁において、
前記二つの流体流出口は、前記回転弁体の回転中心を中心として前記弁本体の同心円上にほぼ90度又は180度の角度で隔置して配置されており、
前記四つの連通孔は、前記回転中心を中心として前記同心円に対応した前記回転弁体の同心円上において、ほぼ90度の角度で隔置された三つの前記連通孔と、当該三つの連通孔のいずれかの連通孔に45度の角度で隔置された一つの前記連通孔とから成ることを特徴とする多方切換弁。
【請求項5】
請求項2又は4記載のいずれかの多方切換弁において、
前記弁室と一つの前記流体流出口のみとの連通は、前記45度の角度で隔置して配置された一つの連通孔を通じて行われ、
前記弁室と二つ以上の前記流体流出口との連通は、ほぼ90度の角度で隔置して配置された三つの前記連通孔を通じて行われることを特徴とする多方切換弁。
【請求項6】
請求項1〜5記載のいずれかの多方切換弁において、
前記駆動モータは、前記弁本体の側壁部に取り付けられており、
前記駆動モータの出力回転は、傘歯車を備えた伝動機構を介して前記回転弁体に伝達されることを特徴とする多方切換弁。
【請求項7】
請求項1〜6記載のいずれかの多方切換弁において、
前記弁室内には、前記流体流出口に対応した貫通孔が形成された前記切換シートが配設されており、
前記回転弁体は、前記切換シートに対して付勢された状態で摺動回転可能に支持されていることを特徴とする多方切換弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−67833(P2012−67833A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212606(P2010−212606)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(391002166)株式会社不二工機 (451)
【Fターム(参考)】