説明

多方弁および貯湯式給湯機

【課題】流体の圧力が印加されたときに弁体を回転させるために必要なトルクが増大することを抑制することができる多方弁およびこれを備えた貯湯式給湯機を提供すること。
【解決手段】本発明の多方弁は、複数のポート(202,204)が設けられた本体210と、本体210内で回転可能に設置され、内部に流路231が形成された弁体230と、弁体230とポートとの間をシールするシール部材(215,217,225,227)と、本体210と弁体230とシール部材とに囲まれた閉空間260と弁体230内部の流路231または複数のポートのうちの何れか1つのポートとを連通させる連通路(230b)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多方弁および貯湯式給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
流体が流れる循環経路を複数有する例えば給湯機等の機器において、循環経路を切り替える目的で、多方弁が用いられている。従来、この多方弁において、外部から印加される流体の圧力により、シートパッキン(シール部材)がボール等の弁体に押圧され、シートパッキンと弁体との間のシール効果を向上させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−71977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した構成を用いても、多方弁の構造によっては、以下のような課題を生じる。例えば、多方弁の各ポートに大気開放状態から流体の圧力が印加された場合に、流体の圧力によりシートパッキンが弁体に押し当てられ、シートパッキンと弁体との間はシールされる。このとき、多方弁の本体内部において、シートパッキンと弁体とに囲まれた空間は、閉空間となるため、大気圧の状態を保つ。このため、各ポートと前述した閉空間との間に差圧が生じ、この差圧により、シートパッキンが弁体を締め付けて拘束する力を発生する。その結果、弁体を回転させるために必要なトルクが増大し、弁体の円滑な回転が妨げられ、動作不良が発生する場合がある。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、流体の圧力が印加されたときに弁体を回転させるために必要なトルクが増大することを抑制することができる多方弁およびこれを備えた貯湯式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る多方弁は、複数のポートが設けられた本体と、本体内で回転可能に設置され、内部に流路が形成された弁体と、弁体とポートとの間をシールするシール部材と、本体と弁体とシール部材とに囲まれた閉空間と弁体内部の流路または複数のポートのうちの何れか1つのポートとを連通させる連通路と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、流体の圧力が印加されたときに弁体を回転させるために必要なトルクが増大することを抑制することができ、初回使用時や使用再開時の多方弁の動作不良を確実に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1の多方弁を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1の多方弁を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1の多方弁を示す平面図である。
【図4】図2中のA−A線断面図である。
【図5】図3中のB−B線断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1の多方弁が備える弁体を拡大して示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2の多方弁が備える弁体を拡大して示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態3の多方弁が備えるシートパッキンを拡大して示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態4の多方弁が備えるシートパッキンを拡大して示す断面図である。
【図10】本発明の多方弁を備えた貯湯式給湯機の実施の形態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1、図2および図3は、それぞれ、本発明の実施の形態1の多方弁を示す斜視図、側面図および平面図である。図4は、図2中のA−A線断面図であり、図5は、図3中のB−B線断面図である。図1乃至図3に示すように、本実施形態の多方弁である四方弁200は、本体210と、流路切替の動力となるステッピングモータ201とを備え、この両者がモータ取付板250を介して連結固定された構成となっている。本体210には、第1ポート202、第2ポート203、第3ポート204および第4ポート205が設けられている。第1〜第4ポート202〜205は、それらの中心線が90°間隔となり、全体として十字状となるように配置されている。
【0011】
図4に示すように、本体210の内部の中心部には、略球形状の弁体230が配置されている。弁体230は、図4の紙面に垂直な直線を中心に回転可能になっている。弁体230の内部には、L字状の流路231が形成されている。四方弁200では、弁体230の向き(回転位置)に応じて、第1〜第4ポート202〜205のうちの隣り合う任意の二つのポートを流路231を介して連通させるとともに他の二つのポートを遮断することができる。
【0012】
本体210の内側であって、第1〜第4ポート202〜205の基端部と弁体230との間には、シール部材としての円環状のシートパッキン225,226,227,228が弁体230に接してそれぞれ設置されている。また、これらシートパッキン225〜228と、第1〜第4ポート202〜205の基端部との間には、シール部材としてのOリング215,216,217,218が圧縮した状態で設置されている。これらのシール部材により、第1〜第4ポート202〜205と弁体230との間は、液密にシールされ、第1〜第4ポート202〜205間の内部漏れが防止されている。
【0013】
なお、本実施形態では、第1〜第4ポート202〜205の先端部には、それぞれ、フランジ211,212,213,214が形成されている。また、第1〜第4ポート202〜205と本体210との間には、Oリング219,220,221,222が設置され、液密性が確保されている。
【0014】
図5に示すように、本体210の上部には、弁体230の回転中心線と同心的にシャフト挿入穴210aが貫通形成されており、このシャフト挿入穴210aにシャフト240が挿入されている。シャフト240は、モータ取付板250により押さえられ、抜け止めされている。モータ取付板250は、図示しないネジ等により本体210と固定されている。
【0015】
図6は、弁体230を拡大して示す断面図である。図6に示すように、弁体230には、シャフト係合穴230aと、導通穴230b(連通路)とが形成されている。導通穴230bは、弁体230の外面と流路231との間を貫通する貫通穴として形成されている。
【0016】
図5に示すように、シャフト240の弁体230側の端部240aは、弁体230のシャフト係合穴230aに挿入して係合(嵌合)する形状となっている。シャフト240が回転すると弁体230も一体となって回転する。シャフト240のステッピングモータ201側の端部240bは、ステッピングモータ201と嵌合する。シャフト240の外周部には、Oリング223,224が配置されて液密性が確保され、本体210内からの外部漏れが防止されている。ステッピングモータ201に回転指示を与えることにより、シャフト240はステッピングモータ201の回転に連動して回転し、弁体230がこれと一体となって回転する。これにより、第1ポート202と第2ポート203とを連通させて他のポートを遮断する状態と、第2ポート203と第3ポート204とを連通させて他のポートを遮断する状態と、第3ポート204と第4ポート205とを連通させて他のポートを遮断する状態と、第4ポート205と第1ポート202とを連通させて他のポートを遮断する状態との4つの切替状態の間で切り替えを行うことができる。このような四方弁200では、本体210の内壁と、弁体230の外面と、シール部材であるシートパッキン225〜228およびOリング215〜218とで囲まれた閉空間260が形成される。本実施形態では、弁体230に導通穴230bを設けたことにより、弁体230内部の流路231と閉空間260とが導通穴230bを介して連通する。
【0017】
ここで、本実施形態の四方弁200の作用効果を理解し易くするため、弁体230に導通穴230bが設けられていない場合を比較例として説明する。四方弁200を備えた機器の初回使用時あるいは使用再開時などにおいて、四方弁200の第1〜第4ポート202〜205に流体の圧力(水圧等)が最初に印加されたとき、第1〜第4ポート202〜205と連通していない閉空間260には流体の圧力が作用しないため、閉空間260の圧力は大気圧の状態を保つ。これにより、第1〜第4ポート202〜205内の圧力が閉空間260の圧力より高くなるため、その差圧によってシートパッキン225〜228が弁体230に強く押し付けられ、シートパッキン225〜228が弁体230を締め付けて拘束する力が発生する。その結果、弁体230とシートパッキン225〜228との間の摩擦力が増大し、弁体230の回転に必要なトルクが増大するため、ステッピングモータ201に回転指示を入力した際、弁体230の円滑な回転が妨げられ、動作不良となる場合がある。
【0018】
これに対し、本実施形態の四方弁200では、四方弁200を備えた機器の初回使用時あるいは使用再開時などにおいて、四方弁200の第1〜第4ポート202〜205に流体の圧力が最初に印加された状態では、弁体230の流路231に作用した流体の圧力が導通穴230bを介して閉空間260にも作用するので、第1〜第4ポート202〜205と閉空間260とは等圧となる。このため、シートパッキン225〜228が弁体230を締め付けて拘束する力の発生を抑制することができる。その結果、弁体230の回転に必要なトルクの増加を確実に抑制することができるので、ステッピングモータ201に回転指示を入力した際、動作不良に至ることなく、弁体230のスムーズな回転動作が可能となる。
【0019】
また、本実施形態では、四方弁200の4つの切替状態のうちの何れの状態であっても、印加された流体の圧力を導通穴230bを介して閉空間260にも作用させることができるので、上記の効果が確実に得られる。また、本実施形態の四方弁200では、第1〜第4ポート202〜205に接続された流体回路のうち弁体230の流路231を介して導通状態となる流体回路と閉空間260とを導通穴230bにより連通させるものであり、第1〜第4ポート202〜205の間が導通穴230bによって短絡することはないため、四方弁200の4つの切替状態のうちの何れの状態であっても、遮断状態(非導通状態)となる流体回路の流体が漏れることはない。
【0020】
また、本実施形態では、導通穴230bは、弁体230とシートパッキン225〜228との摺動部を避けた位置に配置されており、弁体230が回転しても導通穴230bとシートパッキン225〜228とが接触することはない。このため、導通穴230bとの接触によるシートパッキン225〜228の異常磨耗を確実に防止することができる。
【0021】
なお、本実施形態では、本発明を四方弁に適用した形態について説明したが、本発明は、四方弁以外に、三方弁等の複数のポートを有する多方弁に適用しても同様の効果が得られる。
【0022】
実施の形態2.
次に、図7を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
【0023】
図7は、本発明の実施の形態2の多方弁(四方弁200)が備える弁体230を拡大して示す断面図である。図7に示すように、本実施形態の四方弁200が備える弁体230には、実施の形態1における導通穴230bに代えて、導通穴230c(連通路)が形成されている。この導通穴230cは、シャフト係合穴230aを延長して、流路231と連通させたものである。すなわち、導通穴230cとシャフト係合穴230aとは、共通の穴で構成されている。シャフト係合穴230aとこれに挿入するシャフト240の端部240aとの間には多少の隙間がある。このため、第1〜第4ポート202〜205に流体の圧力が印加されたとき、弁体230の流路231に作用した流体の圧力が導通穴230cおよびシャフト係合穴230aを介して閉空間260にも作用し、第1〜第4ポート202〜205と閉空間260とは等圧となる。本実施形態では、このようにして、実施の形態1と同様の効果が得られる。また、導通穴230cとシャフト係合穴230aとを共通の穴で構成したことにより、弁体230の製造が容易となり、コストの低減が図れる。
【0024】
実施の形態3.
次に、図8を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、前述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
【0025】
図8は、本発明の実施の形態3の多方弁(四方弁200)が備えるシートパッキン225を拡大して示す斜視図である。本実施形態の四方弁200が備える弁体230には、前述した実施形態における導通穴230b,230cは形成されていない。一方、本実施形態の四方弁200が備えるシートパッキン225には、図8に示すように、弁体230との摺動部を横断するようにして溝225a(連通路)が形成されている。第1〜第4ポート202〜205に流体の圧力が印加されたとき、第1ポート202に作用した流体の圧力は、溝225aを介して閉空間260にも作用する。このため、第1〜第4ポート202〜205と閉空間260とは等圧となる。これにより、本実施形態では、実施の形態1と同様の効果が得られる。シートパッキン225に代えてシートパッキン226〜228の何れかに同様の溝(連通路)を設けた場合にも同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0026】
実施の形態4.
次に、図9を参照して、本発明の実施の形態4について説明するが、前述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
【0027】
図9は、本発明の実施の形態4の多方弁(四方弁200)が備えるシートパッキン225を拡大して示す断面図である。本実施形態の四方弁200が備える弁体230には、前述した実施形態における導通穴230b,230cは形成されていない。一方、本実施形態の四方弁200が備えるシートパッキン225には、図9に示すように、その内周面と弁体230側の端面との間を貫通する導通穴225b(連通路)が形成されている。第1〜第4ポート202〜205に流体の圧力が印加されたとき、第1ポート202に作用した流体の圧力は、導通穴225bを介して閉空間260にも作用する。このため、第1〜第4ポート202〜205と閉空間260とは等圧となる。これにより、本実施形態では、実施の形態1と同様の効果が得られる。また、本実施形態では、導通穴225bは、弁体230との摺動部を避けた位置に配置されており、弁体230が導通穴225bと接触することはない。このため、摺動による異常摩耗を確実に防止することができる。シートパッキン225に代えてシートパッキン226〜228の何れかに同様の導通穴(連通路)を設けた場合にも同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0028】
実施の形態5.
次に、図10を参照して、本発明の実施の形態5について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。図10は、本発明の多方弁を備えた貯湯式給湯機の実施の形態を示す構成図である。
【0029】
図10に示す本実施形態の貯湯式給湯機100は、貯湯タンクユニット1と、ヒートポンプサイクルを利用するように構成されたヒートポンプユニット60とを備えている。貯湯タンクユニット1と、ヒートポンプユニット60とは、ヒートポンプ入口配管41とヒートポンプ出口配管42とによって接続されている。また、貯湯タンクユニット1には、制御部70が内蔵されている。貯湯タンクユニット1およびヒートポンプユニット60が備える各種の弁類およびポンプ類等の作動は、これらと電気的に接続された制御部70により制御される。以下、貯湯式給湯機100の各構成要素について説明する。
【0030】
ヒートポンプユニット60は、貯湯タンクユニット1から導かれた低温水を加熱する(沸き上げる)ための加熱手段として機能するものである。ヒートポンプユニット60は、圧縮機61、沸き上げ用熱交換器62、膨張弁63、空気熱交換器64を冷媒循環配管65にて環状に接続し、冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)を構成している。沸き上げ用熱交換器62は、冷媒循環配管65を流れる冷媒と貯湯タンクユニット1から導かれた低温水との間で熱交換を行うためのものである。また、HP出口側サーミスタ66は、沸き上げ用熱交換器62で加熱した高温水の温度を検出するための温度センサーであり、ヒートポンプ出口配管42に設けられている。ヒートポンプユニット60で高温水を得るためには、ヒートポンプサイクルは、冷媒として二酸化炭素を用い、臨界圧を越える圧力で運転することが好ましい。
【0031】
一方、貯湯タンクユニット1には、以下の各種部品や配管などが内蔵されている。貯湯タンク10は、湯水を貯留するためのものである。貯湯タンク10の下部には、市水を供給するための給水配管2が接続されており、貯湯タンク10の上部には、貯留した湯を給湯機外部へ供給するための給湯湯側配管3がタンク上部配管43から分岐されて接続されている。なお、貯湯タンク10には、ヒートポンプユニット60を用いて加熱された高温水がタンク上部から流入されるとともに、給水配管2を介して低温水をタンク下部から流入させることにより、タンク内の上部と下部で温度差が生じるように湯水が貯留される。
【0032】
タンク上部配管43から分岐されて接続されている給湯湯側配管3は、給水配管2から分岐した給湯水側配管4とともに給湯混合弁33に接続され、給湯湯側配管3からの湯と給湯水側配管4からの水とを混合し、所定の温度に調整された湯水を給湯配管5から外部水栓へ供給する。
【0033】
また、貯湯タンクユニット1内には、循環ポンプ21および利用側熱交換器22が内蔵されている。循環ポンプ21は、貯湯タンクユニット1内の後述する各種配管に湯水を循環させるためのポンプである。利用側熱交換器22は、貯湯タンク10やヒートポンプユニット60から供給される高温水を利用して、2次側の加熱対象水(浴槽循環水や暖房用循環水など)を加熱するための熱交換器である。なお、本実施形態では、利用側熱交換器22の2次側の構成として、浴槽50内の湯水を循環させる浴槽水循環回路51を例に挙げて説明する。上記利用側熱交換器22は、浴槽水循環回路51の途中に設置されている。また、浴槽水循環回路51の途中には、浴槽水を循環させるための2次側循環ポンプ52と、浴槽50から出た浴槽水の温度を検出するための浴槽出口側サーミスタ53とが設置されている。
【0034】
次に、貯湯タンクユニット1が備える弁類について説明する。貯湯タンクユニット1は、三方弁31と、四方弁200とを有している。三方弁31は、湯水が流入する2つの入口(aポート、bポート)と、湯水が流出する1つの出口(cポート)とを有する流路切替手段であり、aポートもしくはbポートのどちらかから湯水が流入するように湯水の経路を切り替え可能に構成されている。四方弁200は、湯水が流入する2つの入口(第2ポート203、第4ポート205)と、湯水が流出する2つの出口(第1ポート202、第3ポート204)とを有する流路切替手段であり、3つの経路、すなわち、第1ポート202と第2ポート203とを連通させる経路と、第1ポート202と第4ポート205とを連通させる経路と、第3ポート204と第4ポート205とを連通させる経路との間で流路形態を切り替え可能に構成されている。
【0035】
四方弁200は、実施の形態1で説明したように、弁体230の回転トルク増加を抑制する構成を備えている。また、図示を省略するが、三方弁31も、四方弁200と同様、弁体の回転トルク増加を抑制する構成を備えている。
【0036】
また、貯湯タンクユニット1は、タンク下部配管40、タンク戻し配管44、利用側熱交換器1次側(熱源側)入口配管45、利用側熱交換器1次側出口配管46およびバイパス配管47を更に備えている。
【0037】
タンク下部配管40は、貯湯タンク10の下部と、三方弁31のaポートとを接続する流路である。ヒートポンプ入口配管41は、三方弁31のcポートと、ヒートポンプユニット60の入口側とを接続する流路である。ヒートポンプ出口配管42は、ヒートポンプユニット60の出口側と、四方弁200の第4ポート205とを接続する流路である。タンク上部配管43は、四方弁200の第3ポート204と貯湯タンク10上部とを接続する流路である。タンク戻し配管44は、四方弁200の第1ポート202と、貯湯タンク10の中央部と下部との間に設けられた戻し口とを接続する流路である。利用側熱交換器1次側入口配管45は、タンク上部配管43における貯湯タンク上部10と四方弁200との間から分岐し、利用側熱交換器22の1次側入口に接続される流路である。利用側熱交換器1次側出口配管46は、利用側熱交換器22の1次側出口と三方弁31のbポートとを接続する流路である。バイパス配管47は、ヒートポンプ出口配管42における三方弁31とヒートポンプユニット60の入口側との間から分岐し、四方弁200の第2ポート203に接続される流路である。
【0038】
貯湯タンク10内の低温水を加熱する沸き上げ運転時には、三方弁31はaポートとcポートとを連通させるように切り替えられ、四方弁200は第3ポート204と第4ポート205とを連通させるように切り替えられて、循環ポンプ21およびヒートポンプユニット60が運転される。これにより、貯湯タンク10の下部の低温水がタンク下部配管40、三方弁31、ヒートポンプ入口配管41を通って沸き上げ用熱交換器62に流入し、沸き上げ用熱交換器62で沸き上げられた高温水がヒートポンプ出口配管42、四方弁200、タンク上部配管43を通って貯湯タンク10の上部に戻る。
【0039】
沸き上げ運転の開始前等に実施されるバイパス運転時には、三方弁31はaポートとcポートとを連通させるように切り替えられ、四方弁200は第1ポート202と第4ポート205とを連通させるように切り替えられて、循環ポンプ21が運転される。これにより、貯湯タンク10の下部から導出された水が、タンク下部配管40、三方弁31、ヒートポンプ入口配管41、沸き上げ用熱交換器62、四方弁200、タンク戻し配管44を通って、戻し口から貯湯タンク10内に戻る。
【0040】
貯湯タンク10に蓄えられた熱を利用して浴槽50を追い焚きする第1の追焚運転時には、三方弁31はbポートとcポートとを連通させるように切り替えられ、四方弁200は第1ポート202と第2ポート203とを連通させるように切り替えられて、循環ポンプ21および2次側循環ポンプ52が運転される。これにより、貯湯タンク10上部の高温水がタンク上部配管43、利用側熱交換器1次側入口配管45を通って利用側熱交換器22に流入し、浴槽循環水と熱交換する。この熱交換後の温度低下した水は、利用側熱交換器1次側出口配管46、三方弁31、ヒートポンプ入口配管41、バイパス配管47、四方弁200、タンク戻し配管44を通って、戻し口から貯湯タンク10内に戻る。
【0041】
ヒートポンプユニット60で沸き上げられた高温水を直接利用して浴槽50を追い焚きする第2の追焚運転時には、三方弁31はbポートとcポートとを連通させるように切り替えられ、四方弁200は第3ポート204と第4ポート205とを連通させるように切り替えられて、循環ポンプ21、2次側循環ポンプ52およびヒートポンプユニット60が運転される。これにより、沸き上げ用熱交換器62で沸き上げられた高温水がヒートポンプ出口配管42、四方弁200、タンク上部配管43、利用側熱交換器1次側入口配管45を通って利用側熱交換器22に流入し、浴槽循環水と熱交換する。この熱交換後の温度低下した水は、利用側熱交換器1次側出口配管46、三方弁31、ヒートポンプ入口配管41を通って沸き上げ用熱交換器62に戻り、沸き上げられて再循環する。
【0042】
以上説明した貯湯式給湯機100では、貯湯タンクユニット1を住宅等の屋外やマンション等の屋内に設置した後の初回給水後、あるいは使用再開時の給水後において、システム全体に水圧が印加されたときに、三方弁31や四方弁200の弁体の回転トルクの増大を確実に抑制し、弁体のスムーズな回転が可能となるので、三方弁31や四方弁200の動作不良を確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 貯湯タンクユニット
2 給水配管
3 給湯湯側配管
4 給湯水側配管
5 給湯配管
10 貯湯タンク
21 循環ポンプ
22 利用側熱交換器
31 三方弁
33 給湯混合弁
40 タンク下部配管
41 ヒートポンプ入口配管
42 ヒートポンプ出口配管
43 タンク上部配管
44 タンク戻し配管
45 利用側熱交換器1次側入口配管
46 利用側熱交換器1次側出口配管
47 バイパス配管
50 浴槽
51 浴槽水循環回路
52 2次側循環ポンプ
53 浴槽出口側サーミスタ
60 ヒートポンプユニット
61 圧縮機
62 沸き上げ用熱交換器
63 膨張弁
64 空気熱交換器
65 冷媒循環配管
66 HP出口側サーミスタ
70 制御部
100 貯湯式給湯機
200 四方弁
201 ステッピングモータ
202 第1ポート
203 第2ポート
204 第3ポート
205 第4ポート
210 本体
210a シャフト挿入穴
211,212,213,214 フランジ
215,216,217,218,219,220,221,222,223,224 Oリング
225,226,227,228 シートパッキン
225a 溝
225b 導通穴
230 弁体
230a シャフト係合穴
230b,230c 導通穴
231 流路
240 シャフト
240a,240b 端部
250 モータ取付板
260 閉空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポートが設けられた本体と、
前記本体内で回転可能に設置され、内部に流路が形成された弁体と、
前記弁体と前記ポートとの間をシールするシール部材と、
前記本体と前記弁体と前記シール部材とに囲まれた閉空間と、前記弁体内部の前記流路または前記複数のポートのうちの何れか1つのポートとを連通させる連通路と、
を備える多方弁。
【請求項2】
前記連通路は、前記弁体に形成され、前記閉空間と前記弁体内部の前記流路とを連通させる請求項1記載の多方弁。
【請求項3】
前記弁体に形成された係合穴に係合し、前記弁体を回転駆動させるシャフトを備え、
前記連通路と前記係合穴とが共通の穴で構成されている請求項2記載の多方弁。
【請求項4】
前記連通路は、前記シール部材に形成されている請求項1記載の多方弁。
【請求項5】
前記連通路は、前記弁体と前記シール部材との摺動部を避けた位置に形成されている請求項2乃至4の何れか1項記載の多方弁。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項記載の多方弁を有し、
前記多方弁の前記複数のポートに水圧が印加される状態で使用するように構成され、前記多方弁により湯水の流路を切り替える貯湯式給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−79705(P2013−79705A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221116(P2011−221116)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】