説明

多機能逆止弁装置

【課題】止水操作と水抜操作とを同じ1個所で行うことができ、しかも所要部品点数、組付けの工数が少なくて済み、コンパクトで且つ安価な流量調節機能及び止水機能と逆止弁機能,水抜機能を備えた多機能逆止弁装置を提供する。
【解決手段】弁ケーシング12に逆止弁28と、水抜操作部としての押棒54とを組み付けて逆止弁装置10を構成する。押棒54は回転可能に組み付けておき、そして押棒54に、弁ケーシング12に回転可能に内嵌する流量調節機能を備えたシリンダ式の止水弁62を一体回転状態に構成しておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は逆止弁装置に関し、詳しくは水抜操作部の押込操作により逆止弁を強制開弁させて水抜きを行うことのできる、水抜機能を備えた多機能の逆止弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、水栓には水栓本体側への給水を確保しつつ、水栓本体から給水側への逆向きの流れを阻止する逆止弁装置が組み込まれる。
また寒冷地用の水栓にあっては、逆止弁装置として水抜きの機能を備えたものが用いられる。詳しくは、逆止弁に対して軸方向に対向する状態で弁ケーシングに水抜操作部が組み付けられ、この水抜操作部を軸方向に押込操作することで逆止弁を強制開弁させ、水抜きを行う機能を備えた逆止弁装置が用いられる。
【0003】
図7はこの種水抜機能を備えた逆止弁装置の具体例を示している。
同図において200は逆止弁装置で、202は径方向に貫通の流入開口(ケーシング開口)204を周壁に有する円筒状の弁ケーシングで、208はこの弁ケーシング202に組み付けられた逆止弁である。
逆止弁208は、その主要素を成す逆止弁体210と、これを閉弁方向に付勢するスプリング212、及び逆止弁体210の移動案内をなす弁ガイド214を有している。
【0004】
また逆止弁体210は、弁座220に着座し又はこれから図中下向きに離間することによって弁ケーシング202の軸端の流出口206を開閉する、即ち流路を開閉する弁部216と、弁部216から図中上向きに延び出した軸部218とを有しており、その軸部218が弁ガイド214内を摺動可能に挿通している。
【0005】
この逆止弁208は、弁ケーシング202の流入開口204,弁ケーシング202内部及び軸端の流出開口206を通る流路を給水が図中矢印で示す順方向に流れるとき、逆止弁体210をスプリング212の付勢力に抗して図中下向きに開弁させ、給水の順方向の流れを許容する一方、逆方向の流れに対しては逆止弁体210が閉弁することで、その逆向きの流れを阻止する働きをなす。
【0006】
222は逆止弁208に対し軸方向に対向する状態で軸方向に移動可能に弁ケーシング202に組み付けられた水抜操作部としての押棒で、図7(B)に示しているようにこの押棒222を図中下向きに押し込むことで逆止弁208、詳しくは逆止弁体210が下向きに強制開弁させられ、これにより流路が開かれて逆止弁208よりも上流側の水抜きが行われる。
尚、224は流入開口204から弁ケーシング202内に流入する給水から濾過作用にて異物除去するストレーナで、弁ケーシング202に組み付けられている。
【0007】
ところで、寒冷地であると否とを問わず、一般に水栓への給水の配管途中には止水栓が設けてある。寒冷地での水抜きの操作は、先ずこの止水栓を操作して配管を止水状態とした上で、即ち水栓への給水を止めた上で、上記押棒222を押込操作して水抜きを行う。
【0008】
しかしながら一般にこの止水栓は、水栓に組み込まれる逆止弁装置200とは離れた別の個所、例えば浴室にあっては逆止弁装置200が浴槽内部の水栓に、また止水栓が床下配管にそれぞれ組み込まれており、従って水抜きを行うに当っては先ず床下配管に設けられている止水栓を操作し、止水を行った上で、浴室内の水栓の逆止弁装置200において水抜操作をしなければならず、別々の個所で別々の装置である止水装置と逆止弁装置200とを操作しなければならず、水抜きの作業が面倒である問題があった。
【0009】
また場合によって、施工時に配管途中に設けておくべき止水栓が設けられていない場合もあり、この場合、水抜きを行うためには最も上流側に設けてある元栓を閉めた上で、水栓に組み込んである逆止弁装置200を操作して水抜きを行わなければならず、しかもこの水抜の作業は通常寒冷地では毎日行わなければならず、極めて面倒である。
【0010】
尚、下記特許文献1,特許文献2には流量調節機能,止水機能,水抜機能を備えた多機能の逆止弁装置が開示されている。
これら特許文献1,特許文献2に開示の多機能逆止弁装置を用いれば、止水操作と水抜操作とを同じ1個所で行うことが可能であり、利便性に優れたものである。
しかしながらこれら特許文献1,特許文献2に開示のものは所要部品点数が多く、従って組付けの工数も多くなるとともに構造も大型化し、更にコストも高くなるといった問題を内包している。
【0011】
【特許文献1】特開2000−145983号公報
【特許文献2】特開2002−98257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は以上のような事情を背景とし、止水操作と水抜操作とを同じ1個所で行うことができ、しかも所要部品点数、組付けの工数が少なくて済み、従ってコンパクトで且つ安価な流量調節機能及び止水機能と逆止弁機能,水抜機能とを備えた多機能逆止弁装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
而して請求項1のものは、(イ)径方向に貫通のケーシング開口を周壁に有する筒状の弁ケーシングと、(ロ)該弁ケーシングに組み付けられ、該ケーシング開口及び該弁ケーシングの内部を通る流路の順方向の流れを許容し、逆方向の流れを阻止する逆止弁と、(ハ)該逆止弁に対して軸方向に対向する状態に該弁ケーシングに組み付けられ、軸方向の押込操作により該逆止弁を強制開弁させて水抜きを行う水抜操作部と、を有し、前記水抜操作部は前記弁ケーシングに対して回転可能に組み付けられているとともに、該水抜操作部には、筒状をなして該弁ケーシングの内周面に回転可能に嵌合され、周壁に形成された径方向に貫通の弁開口を回転により前記ケーシング開口に対して位置変化させ、該弁開口を該ケーシング開口に対して完全不一致とすることで前記流路を閉じて止水を行い、該弁開口を該ケーシング開口に対して径方向に重複させて該流路を開き、且つ重複面積を変化させることで流量調節を行うシリンダ式の止水弁が一体回転状態に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項2のものは、請求項1において、前記止水弁の外周面には、該止水弁と前記弁ケーシングとの間でシールを行う、前記弁開口に対応した位置に対応した形状の開口を有する筒状の弾性シール材が固着されていることを特徴とする。
【0015】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記止水弁を、止水状態である全閉位置と流量を最大流量とする全開位置とにそれぞれ回転方向位置を規定するストッパが設けてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0016】
以上のように請求項1のものは、水抜操作部を弁ケーシングに対して回転可能に組み付けるとともに、その水抜操作部にシリンダ式の止水弁、詳しくは、筒状をなして弁ケーシングの内周面に回転可能に嵌合され、周壁に形成された径方向に貫通の弁開口を回転によりケーシング開口に対して位置変化させ、弁開口をケーシング開口に対し完全不一致とすることで流路を閉じて止水を行い、弁開口をケーシング開口に対して径方向に重複させて流路を開き、且つ重複面積を変化させることで流量調節を行うシリンダ式の止水弁を一体回転状態に設けたものである。
【0017】
この請求項1の逆止弁装置では、水抜操作部を回転操作することで流量調節操作と止水操作とを行うことができ、そしてその止水状態の下で水抜操作部を軸方向に押し込むことで、逆止弁を強制開弁させて水抜操作を行うことができる。
【0018】
即ち、水抜操作部を回転操作した上で押込操作するだけで、止水及びその止水に続く水抜きを行うことができ、止水と水抜きとを同じ逆止弁装置で、しかも同じ操作部を操作して行うことができるため、極めて簡単に水抜きのための作業を行うことができる。
【0019】
加えてこの請求項1の逆止弁装置では、水抜操作部がシリンダ式の止水弁の操作部も兼ねているため、止水弁に別途操作部を設けておく必要が無く、これにより装置構成を簡単化し得、また装置をコンパクト化することが可能となる。
【0020】
この請求項1では、シリンダ式の止水弁を水抜操作部に対して回転方向には一体回転状態に、軸方向には相対移動可能に、即ち水抜操作部のみが軸方向に移動する状態に設けておくことも可能であるが、止水弁を水抜操作部に対して回転方向にも、また軸方向にも共に移動する状態に一体に構成しておくことが可能であり、特にこのようになした場合、装置の所要部品点数及び組付工数を少なくし得、また装置をよりコンパクト且つ安価に構成することが可能となる。
【0021】
本発明では、請求項2に従って止水弁の外周面に、止水弁と弁ケーシングとの間でシールを行う、弁開口に対応した位置に対応した形状の開口を有する筒状の弾性シール材を固着しておくことができる。
止水弁と弁ケーシングとの間でシールを行う弾性シール材をこのような筒状シール材とすることで、シール材付止水弁を安価となすことができ且つこれをコンパクトに構成することができる。
【0022】
ここで弾性シール材は、その成形時に同時に止水弁の外周面に固着(焼付固着)しておくができる。
特に弾性シール材をゴムシール材となし、かかるゴムシール材の加硫成形時に止水弁の外周面に同時に加硫接着しておくことができる。
【0023】
本発明ではまた請求項3に従い、止水弁を止水状態である全閉位置と、流量を最大流量とする全開位置とにそれぞれ回転方向位置を規定するストッパを設けておくことができる。
このようにすれば、水抜操作部を回転して止水及び流量調節を行う際の操作性が良好となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1〜図3において、10は本実施形態の多機能逆止弁装置(以下単に逆止弁装置とする)で、12は全体として円筒形状をなす弁ケーシングである。
弁ケーシング12は図中下部の第1部材12-1と、上部の第2部材12-2とから成っている。
図中上部の第2部材12-2には、径方向内向きの内フランジ部14,径方向外向きの外フランジ部16が設けられており、また図2に示しているように円筒部の外周面には雄ねじ部18が、内周面には雌ねじ部20が設けられている。
【0025】
一方第1部材12-1には、図3にも示しているように図中上端部の外周面に雄ねじ部22が設けられており、これら雄ねじ部22と雌ねじ部20とにおいて第1部材12-1と第2部材12-2とが軸方向にねじ結合されている。
この弁ケーシング12には、軸方向の中間部において周壁を径方向に貫通する複数(ここでは180°隔たった2つ)の流入開口(ケーシング開口)24が設けられており、また図中下端の軸端には流出開口26が設けられている。
【0026】
28は弁ケーシング12に組み付けられた逆止弁で、この逆止弁28は、その主要素をなす逆止弁体30と、これを閉弁方向に付勢するスプリング32と、逆止弁体30の移動案内をなす弁ガイド34とを有している。
【0027】
逆止弁体30は、弁座36に着座し又はこれから図中下方に離間して流出開口26を開閉する、即ち給水の流路を開閉する弁部38と、これから図中上向きに延び出す軸部40とを有しており、その軸部40が、弁ガイド34の内部を軸方向に移動可能に挿通して、図中上端側が弁ガイド34から上向きに突き出している。そしてその突き出した端部にばね受42が固定されている。
【0028】
弁ガイド34は内筒44と、外輪46と、それらを径方向に連結するアームとを有しており、内筒44と外輪46及びアーム間に、給水を軸方向に通過させる開口が形成されている。
ここで弁ガイド34は外輪46において、弁ケーシング12の段付部48と、弁ケーシング12に装着された止め輪50とによって軸方向に移動不能に固定されている。
【0029】
上記スプリング32は、この弁ガイド34に図中下端を当接させ、またばね受42に図中上端を当接させる状態に設けられており、かかるばね受42,軸部40を介して逆止弁体30に対し図中上向き、即ち閉弁方向の付勢力を及ぼしている。
尚図1において、52は弁ケーシング12の外周面に装着されたストレーナである。
ストレーナ52は、流入開口24を通じて弁ケーシング12内部に流入する給水から濾過作用により異物を除去する働きをなす。
【0030】
図1〜図3において、54は水抜操作部としての押棒で、逆止弁28に対し軸方向に対向する状態で、弁ケーシング12に軸方向に移動可能に組み付けられている。
この押棒54は、弁ケーシング12における内フランジ部14の内側の開口58を挿通する状態で設けられている。
この押棒54には、弁ケーシング12の内部において大径のフランジ部60が一体に形成されており、このフランジ部60によって押棒54が、弁ケーシング12から軸方向に抜止めされている。
【0031】
また図3及び図4に示しているように弁ケーシング12から外部に突き出した部分の図中上部には環状溝56が設けられていて、この環状溝56の更に図中上側に摘み57が形成されている。
押棒54は、この摘み57を摘んで図中上向きに引上操作可能である。
この押棒54の上端部にはまた、直径方向に直線状をなす係合溝61が設けられている。押棒54は、この係合溝61に工具を挿入し係合させることによって回転操作可能である。
【0032】
押棒54には、フランジ部60の下側位置において流量調節弁を兼ねたシリンダ式の止水弁62が一体に構成されている。
そしてこの止水弁62とフランジ部60との間に形成された環状溝64に、断面U字状をなす弾性シール材66が装着され、この弾性シール材66によって、押棒54と弁ケーシング12との間が水密にシールされている。
【0033】
シリンダ式の止水弁62は円筒形状をなしていて、その外周面が弁ケーシング12の内周面に回転可能に嵌合されている。
この止水弁62は、軸方向の図中下端が開口形状をなしており、またその周壁には、弁ケーシング12における流入開口24に対応した数の(即ちここでは180°隔たった2つの)弁開口68が径方向に貫通する形態で設けられている。
ここで弁ケーシング12における流入開口24及び止水弁62の弁開口68は、図3に示しているようにそれぞれ正面形状が四角形状をなしている。
【0034】
この止水弁62の外周面には、弁開口68の位置において対応する形状の開口72を有する円筒形状の弾性シール材(ここではゴム製)70が固着されている。
ここで弾性シール材70は、その加硫成形時に同時に止水弁62の外周面に加硫接着(焼付固着)されている。
この弾性シール材70には、外周面上に突出するリブ74が一体に成形されている。ここでリブ74は全体として四角形状をなすように形成されている。
【0035】
シリンダ式の止水弁62は、厳密にはこの弾性シール材70を介して、その外周面が弁ケーシング12の内周面に回転可能に嵌合しており、止水弁62の外周面と弁ケーシング12の内周面との間が、かかる弾性シール材70にて水密にシールされている。
ここで弾性シール材70はリブ74を径方向に圧縮弾性変形させる状態に弁ケーシング12の内周面に密着し、シール作用をなしている。
【0036】
本実施形態の逆止弁装置10では、水抜操作部としての押棒54が回転操作されることによって、これと一体に構成されたシリンダ式の止水弁62が弁ケーシング12に対して回転せしめられる。
そして図1に示しているように止水弁62の弁開口68が弁ケーシング12の流入開口24に完全一致した状態の下で、給水が弁ケーシング12の流入開口24から弁ケーシング12内部に流入し、そしてその流れにより逆止弁28を開弁させて、弁ケーシング12の図中下端の流出口26から流出する。
このとき流入開口24,弁ケーシング12の内部及び流出口26を通る流路の流量は最大流量となる。
【0037】
この状態で止水弁62を回転させると、止水弁62の弁開口68は弁ケーシング12の流入開口24に対し径方向の重複(重なり)を維持しつつ重複面積を漸次減少させ、これに伴って流路を流れる給水の流量を漸次減少させる。
そして弁開口68が弁ケーシング12の流入開口24に対し完全不一致となった状態(図5に示す状態)で、流入開口24が止水弁62にて完全閉鎖され、ここにおいて流路が遮断されて止水が行われる。
【0038】
図3及び図4に示しているように、押棒54のフランジ部60と弁ケーシング12とには、止水弁62を止水状態である全閉位置と、流量を最大流量とする全開位置とで回転方向位置を規定するストッパが設けてある。
具体的には、弁ケーシング12には切欠き78が所定周方向長に亘って設けられており、その切欠き78の一対の周方向端が弁ケーシング12側のストッパ78-1,78-2とされ、また一方押棒54側のフランジ部60には径方向外方に突出するストッパ76が設けられ、このフランジ部60側のストッパ76が、弁ケーシング12側のストッパ78-1に又は78-2に当接することで止水弁62の回転位置が規定される。
具体的には、ストッパ76とストッパ78-1とが当接することにより止水弁62が全開状態に位置規定され、またストッパ76がストッパ78-2に当接することにより止水弁62が全閉状態に位置規定される。
【0039】
尚、ストッパ76はここでは押棒54側に設けられているが、場合によってこれを止水弁62自体の外周面に突出状態に設け、これに対応して弁ケーシング12の内周面に、対応するストッパを設けるといったことも可能である。
要するに止水弁62と一体回転する側と、弁ケーシング12側とのそれぞれにストッパを設けることによって、止水弁62を全開位置と全閉位置とにそれぞれ位置規定するようになすことが可能である。
【0040】
この実施形態の逆止弁装置10では、図5に示しているように水抜操作部としての押棒54を回転操作することによって、止水弁62を閉弁状態、即ち止水状態とすることができる。
そして図6に示しているようにその状態で押棒54を軸方向且つ図中下方に押込操作することで逆止弁28を強制開弁させ、水抜きを行うことができる。
【0041】
以上のように本実施形態によれば、押棒54を回転操作することで流量調節操作と止水操作とを行うことができ、そしてその止水状態の下で押棒54を軸方向に押し込むことで、逆止弁28を強制開弁させて水抜操作を行うことができる。
【0042】
かかる本実施形態では、止水と水抜きとを同じ逆止弁装置10において且つ同じ操作部(押棒54)を操作することで行うことができ、極めて簡単に水抜きのための作業を行うことができる。
【0043】
また押棒54がシリンダ式の止水弁62の操作部も兼ねているため、止水弁62に別途操作部を設けておく必要が無く、これにより装置構成を簡単化し得、また装置をコンパクト化することができる。
【0044】
更にこの実施形態では、止水弁62が押棒54に一体に構成してあるため、装置の所要部品点数及び組付工数を少なくし得、また装置をよりコンパクト且つ安価に構成することができる。
【0045】
また止水弁62の外周面に、止水弁62と弁ケーシング12との間でシールを行う筒状の弾性シール材70が固着してあるため、弾性シール材付止水弁62を安価に構成することができ且つこれを効果的にコンパクト化することができる。
【0046】
また本実施形態では、止水弁62を止水状態である全閉位置と、流量を最大流量とする全開位置とのそれぞれに回転方向位置を規定するストッパ76及びストッパ部78-1,78-2が設けてあるため、押棒54を回転して止水及び流量調節を行う際の操作性が良好となる。
【0047】
本実施形態の逆止弁装置10は、弁ケーシング12の内部において、流量調節弁としての働きを兼ねた止水弁62が弁ケーシング12に内嵌する状態に且つ水抜操作部としての押棒54と一体回転状態に設けられているものであって、外形形状は図7に示す従来の逆止弁装置と何等変わりは無く、従って例えば今まで装着されている図7に示す逆止弁装置を抜き出して、図1に示す逆止弁装置10を水栓側に何等形状変更を加えることなく新たに水栓に組み込むことが可能で、これにより止水及び流量調節機能を付加することができる。
【0048】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上例では水抜操作部としての押棒54と止水弁62が回転方向のみならず軸方向にも一体移動する状態に一体構成されているが、場合によってそれらを分離構造とし、止水弁62を押棒54に対し回転方向にだけ一体移動するようにし、軸方向には相対移動可能に止水弁62を押棒54に組み付けておくといったことも可能である(例えば押棒54の外周面に雄セレーション部を、止水弁62の側に雌セレーション部を設けてそれらをセレーション結合する等して)。その他本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態である逆止弁装置の断面図である。
【図2】同実施形態の逆止弁装置を各部品に分解して示した図である。
【図3】図2の要部の一部切欠斜視図である。
【図4】図3の要部の構成及び作用説明図である。
【図5】同実施形態の作用説明図である。
【図6】同実施形態の図5とは異なる作用説明図である。
【図7】従来の逆止弁装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
10 多機能逆止弁装置
12 弁ケーシング
24 流入開口(ケーシング開口)
26 流出開口
28 逆止弁
54 押棒(水抜操作部)
62 止水弁
68 弁開口
70 弾性シール材
72 開口
76 ストッパ
78-1,78-2 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)径方向に貫通のケーシング開口を周壁に有する筒状の弁ケーシングと、(ロ)該弁ケーシングに組み付けられ、該ケーシング開口及び該弁ケーシングの内部を通る流路の順方向の流れを許容し、逆方向の流れを阻止する逆止弁と、(ハ)該逆止弁に対して軸方向に対向する状態に該弁ケーシングに組み付けられ、軸方向の押込操作により該逆止弁を強制開弁させて水抜きを行う水抜操作部と、を有し、
前記水抜操作部は前記弁ケーシングに対して回転可能に組み付けられているとともに、該水抜操作部には、筒状をなして該弁ケーシングの内周面に回転可能に嵌合され、周壁に形成された径方向に貫通の弁開口を回転により前記ケーシング開口に対して位置変化させ、該弁開口を該ケーシング開口に対して完全不一致とすることで前記流路を閉じて止水を行い、該弁開口を該ケーシング開口に対して径方向に重複させて該流路を開き、且つ重複面積を変化させることで流量調節を行うシリンダ式の止水弁が一体回転状態に設けられていることを特徴とする多機能逆止弁装置。
【請求項2】
請求項1において、前記止水弁の外周面には、該止水弁と前記弁ケーシングとの間でシールを行う、前記弁開口に対応した位置に対応した形状の開口を有する筒状の弾性シール材が固着されていることを特徴とする多機能逆止弁装置。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記止水弁を、止水状態である全閉位置と流量を最大流量とする全開位置とにそれぞれ回転方向位置を規定するストッパが設けてあることを特徴とする多機能逆止弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−267440(P2008−267440A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108643(P2007−108643)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】