多発性骨髄腫の治療
化合物PM00104を使用することによって癌を治療するため、特に、多発性骨髄腫を治療するための方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌の治療、特に、化合物PM00104を使用することによる多発性骨髄腫の効果的な治療に関する。
【背景技術】
【0002】
多発性骨髄腫は、単独のクローンに由来する形質細胞の悪性増殖である。多発性骨髄腫と骨髄腫という用語は互換的に使用される。
【0003】
形質細胞は、有害な物質を身体が取り除く助けをするために血流中を移動するタンパク質である抗体を生産する。各種の形質細胞は、大量の一種類の抗体を作製することによって1つの特定の物質のみに反応する。これらの抗体は、その1つの物質を発見し、それに対して作用する。身体は多数の種類の形質細胞を有するため、多数の物質に反応することができる。形質細胞が癌化すると、身体はますます多くのこれらの細胞を生産し続ける。全て異常であり、かつ、類似している不要な形質細胞は骨髄腫細胞と称される。骨髄腫細胞は骨髄及び骨の硬い外側の部分に集まる傾向がある。それらは1つの骨にのみ集まり、1つの塊又は腫瘍(形質細胞腫と称される)を形成する場合がある。しかしながら、大半の場合には、骨髄腫細胞は多数の骨に集まり、多数の腫瘍を形成し、他の問題を引き起こすことが多い。これが生じると、疾患は多発性骨髄腫(MM)と称される。
【0004】
MMを有するヒトは異常に大量の同一の形質細胞を有するため、多すぎる1つの種類の抗体も有する。腫瘍、その産物、及び腫瘍に対する宿主の反応は、多数の器官の機能不全、並びに骨痛又は骨折の症状、腎不全、感染に対する感受性、貧血、高カルシウム血症、並びに時折の凝固異常、神経症状、及び過粘稠の血管の兆候をもたらす。
【0005】
MMは、西欧諸国において、2番目に最も一般的に診断される血液悪性腫瘍であり、米国のみで一年に〜15,000人が新たに発症し、全ての癌を考慮に入れると癌による死の14番目の原因である。残念なことに、MMは、不治の病であると現在では解されており、当該疾患の細胞毒性化学療法に基づく治療方法の活性を改善するための過去〜30年にもわたる多大な努力にもかかわらず、MM患者の全生存は、3から4年の中央値のまま、本質的には変化していない。重要なことに、MMと診断される年齢の中央値は65歳未満であり、MM患者の1/3超が診断時に55歳未満である。比較的若いMM患者のかなり大きな割合に関しては、MMの診断が、他の併存疾患の非存在下であっても、年齢が同じの非MM患者の平均寿命予測よりも彼らの全生存が顕著に短いという高い確率を示す。
【0006】
最近、MMの治療管理における一連の重要な進展、すなわち、二種の新しい種類の抗癌剤であるサリドマイド(及びその免疫調節性誘導体、例えば、レナリドマイド(Dimopoulos M et al. N. Engl. J. Med. 2007, 357, 2123-2132; Weber DM et al. N. Engl. J. Med. 2007, 357, 2133-2142))及びプロテアソームインヒビター、例えば、ボルテゾミブ(Richardson PG et al. N. Engl. J. Med. 2005, 352, 2487-2498)の抗MM活性の報告があった。これらの種類の薬剤は、再発したMM患者/従来の又は高用量の細胞毒性化学療法に基づく治療計画に反応しないMM患者において活性を示したが、顕著な割合のMM患者は、これらの新規薬剤に対する抵抗性を初めから持っており、最初応答した者(永続的な完全な回復を達成したものですら)は最終的に再発する。したがって、MM患者の予後をさらに改善し、かつ、願わくは現在不治である新生組織形成の高い治癒率を達成するために、新しい種類の抗MM剤の開発は緊急に必要とされている。
【0007】
MMについてのさらなる情報は、“Handbook Cancer. Principles & Practice of Oncology”, 7th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2005などの医学文献において見ることができる。
【0008】
PM00104は、ジョルマイシン及びレニエラマイシンに関連するアルカロイドであり、サフラシン及びサフラマイシン化合物にも関連している。ジョルマイシンは、太平洋産ウミウシ類であるブチウミウシ(Jurunna funebris)の皮膚及び粘液から単離された天然化合物である(Fontana A., et al., Tetrahedron (2000), 56, 7305-8)。加えて、レニエラマイシンのファミリーは海綿動物及び被嚢類から単離されると開示されている(James M.F. et al. J. Am. Chem. Soc. (1982), 104, 265-269; Oku N., et al. Journal Natural Products (2003), 66, 1136-9)。サフラシン及びサフラマイシン化合物は、Manzanares I., et al. Curr. Med. Chem. Anti-Cancer Agents (2001), 1, 257-276並びにWO 00/18233及びWO 01/87894に開示されている。
【0009】
PM00104は、固形及び非固形腫瘍細胞株に対する顕著なインビトロ活性、並びに幾つかの異種移植したヒト細胞株、例えば、乳癌細胞株及び前立腺癌細胞株にマウス中でインビボ活性を示した。PM00104の作用のメカニズムの仮の予測は、細胞周期の変化、DNA結合特性、及び転写阻害が示されている。PM00104のさらなる詳細については、WO 01/87894を参照のこと。当該化合物は、以下の化学構造を示す。
【0010】
【化1】
【0011】
加えて、PM00104の医薬組成物並びに投与用量及び計画について、具体的な参照によって本明細書に組み込まれるWO 2007/052076及びWO 2008/135792を参照する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO 00/18233
【特許文献2】WO 01/87894
【特許文献3】WO 2007/052076
【特許文献4】WO 2008/135792
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Dimopoulos M et al. N. Engl. J. Med. 2007, 357, 2123-2132
【非特許文献2】Weber DM et al. N. Engl. J. Med. 2007, 357, 2133-2142
【非特許文献3】Richardson PG et al. N. Engl. J. Med. 2005, 352, 2487-2498
【非特許文献4】“Handbook Cancer. Principles & Practice of Oncology”, 7th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2005
【非特許文献5】Fontana A., et al., Tetrahedron (2000), 56, 7305-8
【非特許文献6】James M.F. et al. J. Am. Chem. Soc. (1982), 104, 265-269
【非特許文献7】Oku N., et al. Journal Natural Products (2003), 66, 1136-9
【非特許文献8】Manzanares I., et al. Curr. Med. Chem. Anti-Cancer Agents (2001), 1, 257-276
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、PM00104を使用することによるMM治療の新規かつ改善された態様を提供することである。
【0015】
本発明の他の課題は、PM00104の癌治療における新たな用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、PM00104が、多発性骨髄腫(MM)に対して抗癌活性を有し、そのため、当該疾患の治療において成功裡に使用できることを初めて確立した。
【0017】
かくして、本発明は、医薬組成物、キット、PM00104を使用するMMの治療方法、及びMMの治療のための医薬の製造におけるPM00104の使用に関する。
【0018】
本発明の1つの態様にしたがって、本出願人は、MMの治療のためのPM00104又はその製薬学的に許容される塩の治療上有効量を必要な患者の治療のために提供する。
【0019】
関連する実施態様では、本発明は、MMの治療のための医薬の製造における、PM00104又はその製薬学的に許容される塩の使用も提供する。
【0020】
さらなる態様では、本発明は、MMの治療において使用するための、PM00104又はその製薬学的に許容される塩を提供する。
【0021】
他の態様では、本発明は、製薬学的に許容される担体又は賦形剤とともに、PM00104又はその製薬学的に許容される塩を含む、MMの治療において使用するための医薬組成物にも関する。
【0022】
本発明は、PM00104又はその製薬学的に許容される塩の治療上有効量を罹患した対象に投与する工程を含む、MMに罹患している任意の哺乳動物、特にヒトの治療方法も提供する。
【0023】
本発明のさらなる態様では、本明細書に開示する治療用途及び方法にしたがってPM00104を投与するための印刷された説明書、並びにPM00104又はその製薬学的に許容される塩及び製薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物を含む、PM00104の投与用医療キットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】PM00104は、多発性骨髄腫細胞の生存能力を阻害しながら、正常な造血系前駆細胞を保存する。9種のMM細胞株を各種の異なる濃度のPM00104と24時間(図1A)、48時間(図1B)、及び72時間(図1C)にわたってインキュベートして、細胞生存率をMTTアッセイによって分析した。対照の未処理のサンプルの平均増殖値を100%とした。データは、少なくとも2回繰返して実施した1つの実験の4回重複の平均±SDである。
【図1B】PM00104は、多発性骨髄腫細胞の生存能力を阻害しながら、正常な造血系前駆細胞を保存する。9種のMM細胞株を各種の異なる濃度のPM00104と24時間(図1A)、48時間(図1B)、及び72時間(図1C)にわたってインキュベートして、細胞生存率をMTTアッセイによって分析した。対照の未処理のサンプルの平均増殖値を100%とした。データは、少なくとも2回繰返して実施した1つの実験の4回重複の平均±SDである。
【図1C】PM00104は、多発性骨髄腫細胞の生存能力を阻害しながら、正常な造血系前駆細胞を保存する。9種のMM細胞株を各種の異なる濃度のPM00104と24時間(図1A)、48時間(図1B)、及び72時間(図1C)にわたってインキュベートして、細胞生存率をMTTアッセイによって分析した。対照の未処理のサンプルの平均増殖値を100%とした。データは、少なくとも2回繰返して実施した1つの実験の4回重複の平均±SDである。
【図2】6人のMM患者から得られた、新しく単離した骨髄細胞を、PM00104(1から50nM)を用いてエクスビボで18時間にわたって処理した。インキュベート期間の後に、アネキシンV−FITCと、骨髄腫集団におけるアポトーシスの誘導の分析を可能にする、形質細胞表面抗原(CD38、CD56、及びCD45)に対する3種のモノクローナル抗体との組み合わせで細胞を染色した。未処理のサンプル中の生存細胞の割合に関連させて、アネキシンV陽性細胞の割合を結果として示している。
【図3A】PM00104は、IL−6、IGF−I、及び患者のBMSCに対する接着の保護効果を克服する。48時間にわたって所定の濃度のPM00104とIL−6(図3A)、IGF−I(図3B)、又はMM患者由来のBMSC(図3C)の存在下又は不在下で、MM1S細胞を処理した。48時間培養の最後の8時間の間にBrdU取り込みを測定することによって、DNA合成を測定した。加えて、各種の異なる用量のPM00104とともに48時間にわたってBMSCを培養し、MTTアッセイによって細胞毒性を分析した(図3D)。データは、四回重複の平均±SDとして表わしている。
【図3B】PM00104は、IL−6、IGF−I、及び患者のBMSCに対する接着の保護効果を克服する。48時間にわたって所定の濃度のPM00104とIL−6(図3A)、IGF−I(図3B)、又はMM患者由来のBMSC(図3C)の存在下又は不在下で、MM1S細胞を処理した。48時間培養の最後の8時間の間にBrdU取り込みを測定することによって、DNA合成を測定した。加えて、各種の異なる用量のPM00104とともに48時間にわたってBMSCを培養し、MTTアッセイによって細胞毒性を分析した(図3D)。データは、四回重複の平均±SDとして表わしている。
【図3C】PM00104は、IL−6、IGF−I、及び患者のBMSCに対する接着の保護効果を克服する。48時間にわたって所定の濃度のPM00104とIL−6(図3A)、IGF−I(図3B)、又はMM患者由来のBMSC(図3C)の存在下又は不在下で、MM1S細胞を処理した。48時間培養の最後の8時間の間にBrdU取り込みを測定することによって、DNA合成を測定した。加えて、各種の異なる用量のPM00104とともに48時間にわたってBMSCを培養し、MTTアッセイによって細胞毒性を分析した(図3D)。データは、四回重複の平均±SDとして表わしている。
【図3D】PM00104は、IL−6、IGF−I、及び患者のBMSCに対する接着の保護効果を克服する。48時間にわたって所定の濃度のPM00104とIL−6(図3A)、IGF−I(図3B)、又はMM患者由来のBMSC(図3C)の存在下又は不在下で、MM1S細胞を処理した。48時間培養の最後の8時間の間にBrdU取り込みを測定することによって、DNA合成を測定した。加えて、各種の異なる用量のPM00104とともに48時間にわたってBMSCを培養し、MTTアッセイによって細胞毒性を分析した(図3D)。データは、四回重複の平均±SDとして表わしている。
【図4A】インビボ抗骨髄腫効果。MM1S(図4A)及びOPM−1形質細胞腫(図4C)の所定の日にちに間の容量の漸進的変化、並びに処理したMM1S(図4B)及びOPM−1(図4D)マウスの生存。
【図4B】インビボ抗骨髄腫効果。MM1S(図4A)及びOPM−1形質細胞腫(図4C)の所定の日にちに間の容量の漸進的変化、並びに処理したMM1S(図4B)及びOPM−1(図4D)マウスの生存。
【図4C】インビボ抗骨髄腫効果。MM1S(図4A)及びOPM−1形質細胞腫(図4C)の所定の日にちに間の容量の漸進的変化、並びに処理したMM1S(図4B)及びOPM−1(図4D)マウスの生存。
【図4D】インビボ抗骨髄腫効果。MM1S(図4A)及びOPM−1形質細胞腫(図4C)の所定の日にちに間の容量の漸進的変化、並びに処理したMM1S(図4B)及びOPM−1(図4D)マウスの生存。
【図5A】PM00104は、従来及び新規の抗骨髄腫剤の抗骨髄腫作用を増強する。MM1Sを、PM00104(Zalypsis,Z)並びに他の抗骨髄腫剤、例えば、デキサメタゾン(Dex)、メルファラン(Mel)、ドキソルビシン(Dox)、ボルテゾミブ(Bort)、及びレナリドマイド(Len)の次善の濃度の2つ(図5A)又は3つ(図5B)の組み合わせで処理した。MTTアッセイによって細胞生存率を分析した。
【図5B】PM00104は、従来及び新規の抗骨髄腫剤の抗骨髄腫作用を増強する。MM1Sを、PM00104(Zalypsis,Z)並びに他の抗骨髄腫剤、例えば、デキサメタゾン(Dex)、メルファラン(Mel)、ドキソルビシン(Dox)、ボルテゾミブ(Bort)、及びレナリドマイド(Len)の次善の濃度の2つ(図5A)又は3つ(図5B)の組み合わせで処理した。MTTアッセイによって細胞生存率を分析した。
【発明を実施するための形態】
【0025】
MMの治療管理の近年の進展にもかかわらず、特に再発患者又は従来及び/若しくは新規治療法に対して好ましく反応しない患者において、抗MM活性を有する新規治療剤の同定が依然として必要とされている。
【0026】
本発明者は、PM00104が、インビトロ及びインビボアッセイの双方において、強力な抗MM活性を示すことを発見した。インビトロ試験では、PM00104は、MM細胞株及び患者細胞に強力に作用し、大半の細胞株に対するIC50値は、低いナノモル濃度又はピコモル濃度の範囲にあり、これは、MM治療に使用される全ての他の薬剤よりも優位であることを示す。さらに、PM00104は、これらの現在のMM治療の幾つかと相乗作用を与え、このことは、他のよく確立された薬剤と組み合わせてPM00104を使用できる可能性を支持する。興味深いことに、PM00104は、従来の抗MM治療に耐性があるため選ばれた、MM1R及びRPMI−LR5などの細胞株にも同様に有効であり、このことは、PM00104が、治療されたMM患者において認められる共通の状況である薬剤耐性を克服するために使用できることを示す。インビトロの結果に加えて、インビボの動物試験によってPM00104の抗MM活性を確認した。PM00104は良好な耐久性があり、かつ、マウス中の異種移植された形質細胞腫であるMM1S及びOPM−1の増殖に顕著に作用した。
【0027】
本明細書で使用する用語「治療する」は、他に示していない限り、その様な用語を適用する疾患若しくは状態又はその様な疾患若しくは状態の1つ若しくは複数の症状の回復、緩和、進行の阻害、疾患の症状及び病原の緩和、又は予防をすることを意味する。本明細書で使用する用語「治療」は、他に示していない限り、直ぐ上に定義した「治療する」ことの行為を意味する。
【0028】
上述のように、PM00104は、海洋生物由来の化合物ジョルマイシン及びレニエラマイシンに関連するアルカロイドであり、サフラシン及びサフラマイシン化合物にも関連し、以下の構造を有する。
【0029】
【化2】
【0030】
用語「PM00104」は、任意の製薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、又は患者に投与されて本明細書に記載の化合物を(直接的又は間接的に)提供することができる任意の他の化合物を含むことを本明細書では意図する。塩、溶媒和物、水和物、及びプロドラッグの調製は当該技術分野において既知の方法で実施することができる。
【0031】
製薬学的に許容される塩は、従来の化学的な方法によって、塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般的には、その様な塩は、例えば、これらの化合物の遊離酸又は塩基の形態を化学両論量の適当な塩又は酸と水中若しくは有機溶媒中又はそれらの混合物中で反応させることによって調製される。一般的には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルなどの非水性媒体が好ましい。酸付加塩の例は、無機酸付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、及び有機酸付加塩、例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、及びp−トルエンスルホン酸塩を含む。アルカリ付加塩の例は、無機塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、及びアンモニウム塩、並びに有機アルカリ塩、例えば、エチレンジアミン塩、エタノールアミン塩、N,N−ジアルキレンエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、及び塩規性アミノ酸塩を含む。
【0032】
PM00104のプロドラッグである任意の化合物が、本発明の範囲及び精神の範囲内である。用語「プロドラッグ」は、その最も広範な意味で使用され、インビボでPM00104に変換する誘導体を包含する。前記プロドラッグは、加水分解、酸化、又は他の生体条件下における反応をしてPM00104を提供することができる。プロドラッグの例は、生態加水分解可能なアミド、生体加水分解可能なエステル、生体加水分解可能なカルバメート、生体加水分解可能なカーボネート、生体加水分解可能なウレイド、及び生体加水分解可能なホスフェート類似体などの、生体加水分解可能な部分を含むPM00104の誘導体及び代謝産物を含むが、それらに限らない。プロドラッグは、典型的には、Burger “Medicinal Chemistry and Drug Discovery 6th ed. (Donald J. Abraham ed., 2001, Wiley) 及び“Design and Applications of Prodrugs” (H. Bundgaard ed., 1985, Harwood Academic Publishers)に開示されているものなどの、よく知られた方法を使用して調製することができる。
【0033】
加えて、本明細書に記載の任意の薬剤は、遊離化合物又は溶媒和物(例えば、水和物)のいずれかとしての結晶形にあってよく、双方の形態が本発明の範囲内にあることを意図する。溶媒和の方法は当該技術分野において一般的に知られている。
【0034】
本発明に係る用途のためのPM00104は、参照によって本明細書に組み込むWO 01/87894に開示されている合成方法に従って調製されてよい。
【0035】
使用可能なPM00104の医薬組成物は、静脈投与のための適切な賦形剤と共に、溶液、懸濁物、エマルション、凍結乾燥した組成物などを含む。好ましくは、PM00104は、治療用途に適切な製剤にPM00104及び賦形剤を含む、滅菌された凍結乾燥製品として適用及び保存されてよい。特に、適当なpHに緩衝化されたスクロース及びリン酸塩を含む製剤が好ましい。PM00104製剤化のさらなるガイダンスは、参照によってその全体を本明細書に組み込むWO 2007/052076に挙げられている。
【0036】
PM00104又はその医薬組成物の投与は、好ましくは、静脈内注射によるものである。72時間まで、より好ましくは1から24時間の間、最も好ましくは約1、約3、又は約24時間のいずれかの注射時間を使用することができる。病院に一晩宿泊せずに治療を実施することを可能にする短い注射時間が特に望ましい。しかしながら、注射は、約24時間又は必要であればそれよりも長くなってよい。
【0037】
好ましくは、PM00104の投与は周期的に実施されることが好ましい。好ましい投与方法では、PM00104の静脈内注射は、典型的には、各周期の初日に患者に提供され、次いで、その周期の残りの時間に患者を回復させる。各周期の好ましい期間は、典型的には3又は4週であり、必要であれば多数の周期を与えることができる。投与の遅延並びに/又は用量低減及び投与計画の調整が、個々の患者の状態及び治療に対する抵抗に依存して、必要であれば実施される。PM00104投与及び用量のさらなるガイダンスは、例えば、具体的な参照によって本明細書に取り込むWO 2008/135792を参照のこと。PM00104投与及び用量のさらなるガイダンスは、例えば、具体的な参照によって本明細書に取り込むJournal of Clinical Oncology, 2007 ASCO Annual Meeting Proceedings Part I. Vol 25, No. 18S (June 20 Supplement), 2007: 2517 及びEur. J. Cancer, 2008, Vol 6 (supl 12), page 57 Abstract No. 179においても認められる。
【0038】
用量についてのガイダンスは上述にあるが、PM00104の正確な用量は、特定の製剤、適用態様、ならびに治療する特定の場所、患者、及び腫瘍によって変化してよい。患者の年齢、体重、性別、食事、投与時間、排泄速度、状態、薬剤併用、反応感受性、及び疾患の重度などの他の因子が考慮に入れられるであろう。投与の遅延並びに/又は用量低減及び投与計画の調整が、個々の患者の状態及び治療の耐性に依存して、必要であれば実施される。
【0039】
腫瘍のタイプ及び疾患の発達段階に依存して、本発明の治療方法の抗癌効果は、腫瘍増殖の阻害、腫瘍増殖の遅延、腫瘍の退行、腫瘍の収縮、治療停止後の腫瘍の再発までの時間の増大、疾患進行の遅延、及び転移の予防を含むが、それらに限らない。本発明の治療方法がその様な治療を必要とする患者に適用される際には、前記治療方法は、例えば、抗癌効果の程度、反応速度、疾患進行時間、又は生存率によって測定されるような効果を生じることが予期される。特に、本発明の治療方法は、ヒト患者、特に再発しているか又は過去の化学療法に反応しないヒト患者に適している。一次治療も想定される。
【0040】
1つの態様では、本発明は、PM00104又はその製薬学的に許容される塩の治療上有効量を罹患した個体に投与する工程を含む、MMに罹患している任意の哺乳動物、特にヒトを治療する方法を提供する。
【0041】
他の態様では、本発明は、MMの治療においてPM00104を投与するための印刷された説明書、並びにPM00104又はその製薬学的に許容される塩及び製薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物を含む、PM00104を投与するための医療用キットに関する。
【0042】
他の態様では、本発明は、PM00104又はその製薬学的に許容される塩及び製薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む、MMの治療において使用するための医薬組成物も提供する。
【0043】
他の態様では、本発明は、MMの治療のための医薬の製造における、PM00104又はその製薬学的に許容される塩の使用も提供する。
【0044】
さらなる態様では、本発明は、MMの治療において使用するための、PM00104又はその製薬学的に許容される塩を提供する。
【0045】
PM00104又はその製薬学的に許容される塩は、他の薬剤と使用して、MMの併用療法を提供してよい。他の薬剤は、同一の組成物の一部を形成するか、又は同時若しくは異なる時点における投与のための別々の組成物として提供されてよい。好ましくは他の薬剤は、デキサメタゾン、メルファラン、ドキソルビシン、ボルテゾミブ、レナリドマイド、プレドニソン、カルムスチン、エトポシド、シスプラチン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、及びサリドマイドを含むが、それらに限らない抗骨髄腫剤である。特に好ましいものは、PM00104又はその製薬学的に許容される塩とデキサメタゾン、メルファラン、ドキソルビシン、ボルテゾミブ、レナリドマイド、プレドニソン、カルムスチン、エトポシド、シスプラチン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、及びサリドマイドとの組み合わせであり、さらに好ましくは、デキサメタゾン、メルファラン、ドキソルビシン、ボルテゾミブ、及びレナリドマイドとの組み合わせである。PM00104又はその製薬学的に許容される塩と2種の追加の薬剤との3種の薬剤の使用に基づく効果的な併用療法も本発明に包含される。特に好ましいものは、デキサメタゾン並びにメルファラン、ドキソルビシン、及びレナリドマイドから選択される第三の薬剤との3つの組み合わせである。
【0046】
本明細書全体を通じて使用される用語「併用」は、同時又は別々の時点における、同一又は別々の医薬製剤にある参照される治療剤の、MMに罹患している患者への投与を包含することを意図する。治療剤が別々の時点で投与される場合は、増強又は相乗効果の発生を提供するために十分に近接した時間で投与するべきである。
【0047】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するものである。実施例は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0048】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書に記載した定量的な表現の幾つかは「約」なる用語で特定されていない。用語「約」が明示的に使用されていようと又はそうでなくとも、本明細書に記載した全ての量は、実際に記載した値を示し、さらに、その様な記載した値の実験及び/又は測定条件による同等値及び近似値を含む、技術常識に基づいて合理的に推定されるであろう、その様な記載した値の近似値をも意味すると解される。加えて、そうでないと記載していない限りにおいて、値が範囲として記載されている場合は、上限及び下限地は、特に好ましい値であると意図される。
【実施例】
【0049】
(実施例1)
MM細胞に対するPM00104の抗増殖/細胞毒性効果
MMにおけるPM00104の抗癌活性を、以下の9種のMM細胞株:MM1S、MM1R、MM144、RPMI8226、RPMI−LR5、U266、U266−LR7、OPM−1、及びOPM−2を含む一連の細胞株を使用して評価した。抗生物質(ペニシリン 100U/mL、ストレプトマイシン 100μg/mL)及び10%ウシ胎仔血清(FBS)を添加したL−グルタミン含有RPMI 1640培地で37℃において湿気のある雰囲気下で5% CO2−95%空気の存在下において、これらの細胞株を増殖させた。
【0050】
24、48、及び72時間にわたってPM00104(0.1から50nM)の濃度を増大させて細胞株を処理して、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)比色分析を使用して生存率を分析した。簡潔には、48ウェルプレートの1つのウェル毎に50,000細胞/200μg/mL培地の密度でMM細胞株を播種して、所定の薬剤用量及び時間で処理した。処理が終了する2時間前に、MTT溶液(PBS中5mg/mL)を添加し、テトラゾリウム塩が生細胞によって色の付いたホルマザン結晶に代謝的に還元された。10%SDS−HCl溶液を用いた一晩のインキュベートによってこれらの結晶を可溶化したあとに、630nmで補正した530nmにおける吸光を測定した。結果は、少なくとも2回反復して実施した1つの実験の四回重複の平均±SDで表わした。
【0051】
図1AからCに示しているように、幾つかの細胞株(MM1S、MM1R、及びMM144)におけるピコモル濃度から、それよりも感度が低い細胞株(RPMI8226、RPMI−LR5、U266、U266−LR7、OPM−1、及びOPM−2)における低ナノモル濃度(1から2nM)の範囲の48時間の時点におけるIC50で、全ての細胞株は薬剤に対して非常に感受性であった。PM00104に対する感受性は、デキサメタゾン(MM1S及びMM144を除く全ての細胞がデキサメタゾンに耐性を有する)又はメルファラン(RPMI−LR5及びU266−LR7はメルファランに対して耐性を有する)などの従来の抗骨髄腫剤に対する前記細胞株の耐性パターンからは独立したものであった。
【0052】
加えて、6人のMM患者から得られた骨髄(BM)サンプルから単離された細胞においてエクスビボにおいてPM00104の効果をさらに調べた。赤血球を除去するために、サンプルを塩化アンモニウムで可溶化し、抗生物質(ペニシリン 100U/ml、ストレプトマイシン100μg/ml)及び20%FBSを含有するRPMI−1640中で白血球を維持した。その後、37℃で18時間にわたって6ウェルプレートで各種の異なる濃度のPM00104(1から50nM)とともに、BM細胞をインキュベートした。骨髄腫形質細胞(PC)及び他のBM細胞の間の区別をするために、15分間にわたって室温で暗所において、骨髄腫関連抗原に対するモノクローナル抗体(抗CD59−PE、抗CD45−PE、及び抗CD38−perCP/Cy5(BD Biosciences))の組み合わせとともに5μlのアネキシン−V−FITC(Bender MedSystems,Burlingame,CA)と細胞をインキュベートする、多様性技術を使用した。全部で50,000細胞をFACScaliburフローサイトメトリー(BD Biosciences)で得て、「Paint−a−Gate」プログラムを使用して分析した。各種の異なる集団:腫瘍PC並びに正常な残部のリンパ球及び顆粒単球において、アネキシンV陽性に基づいてアポトーシスを分析した。PM00104処理後のアネキシンV陽性細胞の割合は、対照サンプル(未処理)中のアネキシンV陰性細胞(生細胞)に対して算出した。
【0053】
診断時に得られた2つのサンプル(患者1及び6)、再発時の1つのサンプル(患者3)、及び再発したMMの二次的な形質細胞白血病の1つのサンプル(患者5)を含む、分析した6サンプルのうちの4つが、低濃度のPM00104に対して非常に感受性であった。二次的な形質細胞白血病に相当する他のサンプル(患者4)は、中程度の感受性を有していた(図2)。
【0054】
(実施例2)
PM00104は、BM微小環境によって誘導される延命効果及び薬剤耐性を無効化する
BM微小環境の存在は、それらの接着又はIL−6又はIGF−Iなどの幾つかのサイトカインの生産によってMMに保護を与える。PM00104がBM微小環境の当該保護効果を阻害することができるか否か試験するために、MM1S細胞を、IL−6(1nM)又はIGF−I(10nM)とともにインキュベートするか、又はBM間質細胞(BMSC)と48時間にわたって共培養し、次いで、PM00104の濃度を増加させて処理した。BMSCを96ウェル培養皿に播種し(50,000細胞/ウェル)、48時間の間でコンフルエントに達した。次いで、30,000骨髄腫細胞を、10%血清を含有するRPMI 1640中に播種した。次いで、MMの増殖をブロモデオキシウリジン(BrdU)取り込みによって評価した(Maiso P et al. Br. J. Haematol. 2008, 141, 470-482)。BrdUを最後の8時間の間に添加して、BrdUの取り込みを市販のキット(Roche Biochemicals)を使用し、製造業者の説明書にしたがって測定した。
【0055】
これらのモデルの全てによって与えられたMM細胞の増殖効果にもかかわらず、PM00104は、可溶性サイトカインであるIL−6及びIGF−Iの効果を完全に無効化し(図3A及び3B)、BMSC細胞に対する形質細胞の接着による保護効果を大きく阻害した(図3C)。対照的に、BMSCは、PM00104の細胞毒性効果に対して非常に耐性であった(図3D)。
【0056】
(実施例3)
PM00104のインビボ抗MM効果
PM00104のインビボ効果を、CB17−SCIDマウス中に異種移植されたヒト形質細胞腫のモデルにおいて試験した。これらの実験は、非常に感受性である細胞株のMM1S及びそれよりも感受性が低いOPM−1を使用して実施した。30匹のマウスの2つの集団に各細胞株を皮下注射し、ビヒクルのみ、0.8mg/kgのPM00104、又は1mg/kgのPM00104を静脈内(iv)に一週間に一度、三回投与で与える3つの群にマウスを無作為にわけた。
【0057】
CB17−SCIDマウス(The Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME,USA)に、100μLのRPMI−1640培地及び100μLのMatrigel(Becton Dickinson)中の3×106のMM1S又はOPM1細胞を右脇腹に皮下接種した。腫瘍が触診可能になった際に、PM00104又はビヒクルのみをマウスに与えた。PM00104を使用する処置を、0.8mg/kg及び1mg/kgの用量で一週間に一度、三回投与で静脈内に与えた。対照群には、ビヒクル単独(注射用滅菌水及び生理食塩水)を与えた。
【0058】
腫瘍直径のキャリパー測定を毎日実施し、以下の式:V=4/3π×(a/2)×(b/2)2(a及びbは最長径及び最短径の各々を示す)を使用して楕円の容量として腫瘍容量を推定した。腫瘍が2cmに達した際に動物を安楽死させた。処理群及び対照群の間の腫瘍容量における差異は、1-way analysis of variance及びBonferroni post hoc試験を使用して評価した。処置を開始した日から生存を推定し、統計学的な差異をLog Rank試験を用いてKaplan-Meier曲線によって評価した。SPSS-15.0ソフトウェア(SPSS Inc.Chicago,IL,USA)を用いて統計分析を実施し、統計学的な優位性をp<0.05と規定した。
【0059】
図4A及び4Cに示されているように、双方の容量のPM00104は、統計的に有意な差異をもって形質細胞腫の増殖を低減させた。MM1S形質細胞腫については、処理の15日後に、ビヒクル、0.8mg/kgのPM00104、1mg/kgのPM00104を与えた集団の各々について、腫瘍の容量が1207±645、420±242、及び176±78mm3(平均±SD)であった(全体的な比較及び処理群vs対照の比較の各々についてp<0.001)。より低い感受性かつより速く増殖するOPM−1細胞株でも同様であり、同一のマウスの群について4091±903、1879±731、及び1042±596mm3(平均±SD)の処理の14日後の腫瘍容量を有していた(全体的な比較についてp<0,001)。腫瘍増殖における当該遅延は、対照と比較した際の処理したマウスの生存が増大したことと相関している(図4B及び4D)。上記の意味で、MM1Sにおける中央値±SEの生存は、ビヒクル対照、0.8mg/kgのPM00104、1mg/kgのPM00104の各々について、29±3.9、52±4.8、及び59±5.5日であり(図4B)、OPM−1形質細胞腫における同一の群の生存は、14±0、21±0.8、及び23±1.1日であった(図4D)。Log Rank試験を使用して差異を評価し、双方の異種移植片における双方の用量でビヒクル対照と比較した際の統計的に有意な差異をもたらした。
【0060】
興味深いことに、PM00104処置に関連する顕著な全身毒性は存在しなかった。僅かな体重減少(対照と比較して体重の約10%)が最も高用量のPM00104で認められた。
【0061】
(実施例4)
PM00104は従来の抗MM剤の効果を増強する
MMを含む大半の癌の治療は異なる作用メカニズムの薬剤の併用に基づくため、本発明者は、MMの治療に通常使用されている薬剤と組み合わせてPM00104の効果を試験した。
【0062】
次善量のPM00104とデキサメタゾン、メルファラン、ドキソルビシン、ボルテゾミブ、及びレナリドマイドなどの他の抗骨髄腫剤との2種及び3種の組み合わせを使用して、MM1S細胞を、実施例1に記載したように72時間にわたって処理した。実施例1に記載のようにMTTアッセイを使用して細胞生存率を分析した。前記組み合わせの有効性を、Chou Talalay法に基づくCalcusynソフトウェア(Biosoft,Ferguson,MO)を使用して定量化し、以下の解釈:CI>1:アンタゴナイズ効果、CI=1:相加効果、及びCI<1:相乗効果で併用指数(CI)を算出した。
【0063】
PM00104は、デキサメタゾン、メルファラン、及びドキソルビシンなどの従来の抗骨髄腫剤の効果をMM1S細胞において明らかに増強した(図5A)。PM00104を、MM患者の治療道具に最近含められた2種の新規薬剤であるボルテゾミブ及びレナリドマイドとの組み合わせでも試験し、レナリドマイドとの併用で特に明らかな相加/相乗的な結果が見込まれた(図5A)。Chou and Talalay法を使用したこれらのデータの分析によって、PM00104は、デキサメタゾン(CI=0.78)、メルファラン(CI=0.48)、ドキソルビシン(CI=0.64)、及びレナリドマイド(CI=0.55)と相乗的であることが示された。
【0064】
2種の組み合わせによるこれらの有望な結果は、MM1S細胞株で最も相乗的な化合物の3種の組み合わせを調査することを促進した。図5Bで認められるように、PM00104+デキサメタゾン+以下:メルファラン、ドキソルビシン、又はレナリドマイドのいずれかの3種の組み合わせは、各々の2種の組み合わせの効果を顕著に改善した。
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌の治療、特に、化合物PM00104を使用することによる多発性骨髄腫の効果的な治療に関する。
【背景技術】
【0002】
多発性骨髄腫は、単独のクローンに由来する形質細胞の悪性増殖である。多発性骨髄腫と骨髄腫という用語は互換的に使用される。
【0003】
形質細胞は、有害な物質を身体が取り除く助けをするために血流中を移動するタンパク質である抗体を生産する。各種の形質細胞は、大量の一種類の抗体を作製することによって1つの特定の物質のみに反応する。これらの抗体は、その1つの物質を発見し、それに対して作用する。身体は多数の種類の形質細胞を有するため、多数の物質に反応することができる。形質細胞が癌化すると、身体はますます多くのこれらの細胞を生産し続ける。全て異常であり、かつ、類似している不要な形質細胞は骨髄腫細胞と称される。骨髄腫細胞は骨髄及び骨の硬い外側の部分に集まる傾向がある。それらは1つの骨にのみ集まり、1つの塊又は腫瘍(形質細胞腫と称される)を形成する場合がある。しかしながら、大半の場合には、骨髄腫細胞は多数の骨に集まり、多数の腫瘍を形成し、他の問題を引き起こすことが多い。これが生じると、疾患は多発性骨髄腫(MM)と称される。
【0004】
MMを有するヒトは異常に大量の同一の形質細胞を有するため、多すぎる1つの種類の抗体も有する。腫瘍、その産物、及び腫瘍に対する宿主の反応は、多数の器官の機能不全、並びに骨痛又は骨折の症状、腎不全、感染に対する感受性、貧血、高カルシウム血症、並びに時折の凝固異常、神経症状、及び過粘稠の血管の兆候をもたらす。
【0005】
MMは、西欧諸国において、2番目に最も一般的に診断される血液悪性腫瘍であり、米国のみで一年に〜15,000人が新たに発症し、全ての癌を考慮に入れると癌による死の14番目の原因である。残念なことに、MMは、不治の病であると現在では解されており、当該疾患の細胞毒性化学療法に基づく治療方法の活性を改善するための過去〜30年にもわたる多大な努力にもかかわらず、MM患者の全生存は、3から4年の中央値のまま、本質的には変化していない。重要なことに、MMと診断される年齢の中央値は65歳未満であり、MM患者の1/3超が診断時に55歳未満である。比較的若いMM患者のかなり大きな割合に関しては、MMの診断が、他の併存疾患の非存在下であっても、年齢が同じの非MM患者の平均寿命予測よりも彼らの全生存が顕著に短いという高い確率を示す。
【0006】
最近、MMの治療管理における一連の重要な進展、すなわち、二種の新しい種類の抗癌剤であるサリドマイド(及びその免疫調節性誘導体、例えば、レナリドマイド(Dimopoulos M et al. N. Engl. J. Med. 2007, 357, 2123-2132; Weber DM et al. N. Engl. J. Med. 2007, 357, 2133-2142))及びプロテアソームインヒビター、例えば、ボルテゾミブ(Richardson PG et al. N. Engl. J. Med. 2005, 352, 2487-2498)の抗MM活性の報告があった。これらの種類の薬剤は、再発したMM患者/従来の又は高用量の細胞毒性化学療法に基づく治療計画に反応しないMM患者において活性を示したが、顕著な割合のMM患者は、これらの新規薬剤に対する抵抗性を初めから持っており、最初応答した者(永続的な完全な回復を達成したものですら)は最終的に再発する。したがって、MM患者の予後をさらに改善し、かつ、願わくは現在不治である新生組織形成の高い治癒率を達成するために、新しい種類の抗MM剤の開発は緊急に必要とされている。
【0007】
MMについてのさらなる情報は、“Handbook Cancer. Principles & Practice of Oncology”, 7th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2005などの医学文献において見ることができる。
【0008】
PM00104は、ジョルマイシン及びレニエラマイシンに関連するアルカロイドであり、サフラシン及びサフラマイシン化合物にも関連している。ジョルマイシンは、太平洋産ウミウシ類であるブチウミウシ(Jurunna funebris)の皮膚及び粘液から単離された天然化合物である(Fontana A., et al., Tetrahedron (2000), 56, 7305-8)。加えて、レニエラマイシンのファミリーは海綿動物及び被嚢類から単離されると開示されている(James M.F. et al. J. Am. Chem. Soc. (1982), 104, 265-269; Oku N., et al. Journal Natural Products (2003), 66, 1136-9)。サフラシン及びサフラマイシン化合物は、Manzanares I., et al. Curr. Med. Chem. Anti-Cancer Agents (2001), 1, 257-276並びにWO 00/18233及びWO 01/87894に開示されている。
【0009】
PM00104は、固形及び非固形腫瘍細胞株に対する顕著なインビトロ活性、並びに幾つかの異種移植したヒト細胞株、例えば、乳癌細胞株及び前立腺癌細胞株にマウス中でインビボ活性を示した。PM00104の作用のメカニズムの仮の予測は、細胞周期の変化、DNA結合特性、及び転写阻害が示されている。PM00104のさらなる詳細については、WO 01/87894を参照のこと。当該化合物は、以下の化学構造を示す。
【0010】
【化1】
【0011】
加えて、PM00104の医薬組成物並びに投与用量及び計画について、具体的な参照によって本明細書に組み込まれるWO 2007/052076及びWO 2008/135792を参照する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO 00/18233
【特許文献2】WO 01/87894
【特許文献3】WO 2007/052076
【特許文献4】WO 2008/135792
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Dimopoulos M et al. N. Engl. J. Med. 2007, 357, 2123-2132
【非特許文献2】Weber DM et al. N. Engl. J. Med. 2007, 357, 2133-2142
【非特許文献3】Richardson PG et al. N. Engl. J. Med. 2005, 352, 2487-2498
【非特許文献4】“Handbook Cancer. Principles & Practice of Oncology”, 7th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2005
【非特許文献5】Fontana A., et al., Tetrahedron (2000), 56, 7305-8
【非特許文献6】James M.F. et al. J. Am. Chem. Soc. (1982), 104, 265-269
【非特許文献7】Oku N., et al. Journal Natural Products (2003), 66, 1136-9
【非特許文献8】Manzanares I., et al. Curr. Med. Chem. Anti-Cancer Agents (2001), 1, 257-276
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、PM00104を使用することによるMM治療の新規かつ改善された態様を提供することである。
【0015】
本発明の他の課題は、PM00104の癌治療における新たな用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、PM00104が、多発性骨髄腫(MM)に対して抗癌活性を有し、そのため、当該疾患の治療において成功裡に使用できることを初めて確立した。
【0017】
かくして、本発明は、医薬組成物、キット、PM00104を使用するMMの治療方法、及びMMの治療のための医薬の製造におけるPM00104の使用に関する。
【0018】
本発明の1つの態様にしたがって、本出願人は、MMの治療のためのPM00104又はその製薬学的に許容される塩の治療上有効量を必要な患者の治療のために提供する。
【0019】
関連する実施態様では、本発明は、MMの治療のための医薬の製造における、PM00104又はその製薬学的に許容される塩の使用も提供する。
【0020】
さらなる態様では、本発明は、MMの治療において使用するための、PM00104又はその製薬学的に許容される塩を提供する。
【0021】
他の態様では、本発明は、製薬学的に許容される担体又は賦形剤とともに、PM00104又はその製薬学的に許容される塩を含む、MMの治療において使用するための医薬組成物にも関する。
【0022】
本発明は、PM00104又はその製薬学的に許容される塩の治療上有効量を罹患した対象に投与する工程を含む、MMに罹患している任意の哺乳動物、特にヒトの治療方法も提供する。
【0023】
本発明のさらなる態様では、本明細書に開示する治療用途及び方法にしたがってPM00104を投与するための印刷された説明書、並びにPM00104又はその製薬学的に許容される塩及び製薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物を含む、PM00104の投与用医療キットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】PM00104は、多発性骨髄腫細胞の生存能力を阻害しながら、正常な造血系前駆細胞を保存する。9種のMM細胞株を各種の異なる濃度のPM00104と24時間(図1A)、48時間(図1B)、及び72時間(図1C)にわたってインキュベートして、細胞生存率をMTTアッセイによって分析した。対照の未処理のサンプルの平均増殖値を100%とした。データは、少なくとも2回繰返して実施した1つの実験の4回重複の平均±SDである。
【図1B】PM00104は、多発性骨髄腫細胞の生存能力を阻害しながら、正常な造血系前駆細胞を保存する。9種のMM細胞株を各種の異なる濃度のPM00104と24時間(図1A)、48時間(図1B)、及び72時間(図1C)にわたってインキュベートして、細胞生存率をMTTアッセイによって分析した。対照の未処理のサンプルの平均増殖値を100%とした。データは、少なくとも2回繰返して実施した1つの実験の4回重複の平均±SDである。
【図1C】PM00104は、多発性骨髄腫細胞の生存能力を阻害しながら、正常な造血系前駆細胞を保存する。9種のMM細胞株を各種の異なる濃度のPM00104と24時間(図1A)、48時間(図1B)、及び72時間(図1C)にわたってインキュベートして、細胞生存率をMTTアッセイによって分析した。対照の未処理のサンプルの平均増殖値を100%とした。データは、少なくとも2回繰返して実施した1つの実験の4回重複の平均±SDである。
【図2】6人のMM患者から得られた、新しく単離した骨髄細胞を、PM00104(1から50nM)を用いてエクスビボで18時間にわたって処理した。インキュベート期間の後に、アネキシンV−FITCと、骨髄腫集団におけるアポトーシスの誘導の分析を可能にする、形質細胞表面抗原(CD38、CD56、及びCD45)に対する3種のモノクローナル抗体との組み合わせで細胞を染色した。未処理のサンプル中の生存細胞の割合に関連させて、アネキシンV陽性細胞の割合を結果として示している。
【図3A】PM00104は、IL−6、IGF−I、及び患者のBMSCに対する接着の保護効果を克服する。48時間にわたって所定の濃度のPM00104とIL−6(図3A)、IGF−I(図3B)、又はMM患者由来のBMSC(図3C)の存在下又は不在下で、MM1S細胞を処理した。48時間培養の最後の8時間の間にBrdU取り込みを測定することによって、DNA合成を測定した。加えて、各種の異なる用量のPM00104とともに48時間にわたってBMSCを培養し、MTTアッセイによって細胞毒性を分析した(図3D)。データは、四回重複の平均±SDとして表わしている。
【図3B】PM00104は、IL−6、IGF−I、及び患者のBMSCに対する接着の保護効果を克服する。48時間にわたって所定の濃度のPM00104とIL−6(図3A)、IGF−I(図3B)、又はMM患者由来のBMSC(図3C)の存在下又は不在下で、MM1S細胞を処理した。48時間培養の最後の8時間の間にBrdU取り込みを測定することによって、DNA合成を測定した。加えて、各種の異なる用量のPM00104とともに48時間にわたってBMSCを培養し、MTTアッセイによって細胞毒性を分析した(図3D)。データは、四回重複の平均±SDとして表わしている。
【図3C】PM00104は、IL−6、IGF−I、及び患者のBMSCに対する接着の保護効果を克服する。48時間にわたって所定の濃度のPM00104とIL−6(図3A)、IGF−I(図3B)、又はMM患者由来のBMSC(図3C)の存在下又は不在下で、MM1S細胞を処理した。48時間培養の最後の8時間の間にBrdU取り込みを測定することによって、DNA合成を測定した。加えて、各種の異なる用量のPM00104とともに48時間にわたってBMSCを培養し、MTTアッセイによって細胞毒性を分析した(図3D)。データは、四回重複の平均±SDとして表わしている。
【図3D】PM00104は、IL−6、IGF−I、及び患者のBMSCに対する接着の保護効果を克服する。48時間にわたって所定の濃度のPM00104とIL−6(図3A)、IGF−I(図3B)、又はMM患者由来のBMSC(図3C)の存在下又は不在下で、MM1S細胞を処理した。48時間培養の最後の8時間の間にBrdU取り込みを測定することによって、DNA合成を測定した。加えて、各種の異なる用量のPM00104とともに48時間にわたってBMSCを培養し、MTTアッセイによって細胞毒性を分析した(図3D)。データは、四回重複の平均±SDとして表わしている。
【図4A】インビボ抗骨髄腫効果。MM1S(図4A)及びOPM−1形質細胞腫(図4C)の所定の日にちに間の容量の漸進的変化、並びに処理したMM1S(図4B)及びOPM−1(図4D)マウスの生存。
【図4B】インビボ抗骨髄腫効果。MM1S(図4A)及びOPM−1形質細胞腫(図4C)の所定の日にちに間の容量の漸進的変化、並びに処理したMM1S(図4B)及びOPM−1(図4D)マウスの生存。
【図4C】インビボ抗骨髄腫効果。MM1S(図4A)及びOPM−1形質細胞腫(図4C)の所定の日にちに間の容量の漸進的変化、並びに処理したMM1S(図4B)及びOPM−1(図4D)マウスの生存。
【図4D】インビボ抗骨髄腫効果。MM1S(図4A)及びOPM−1形質細胞腫(図4C)の所定の日にちに間の容量の漸進的変化、並びに処理したMM1S(図4B)及びOPM−1(図4D)マウスの生存。
【図5A】PM00104は、従来及び新規の抗骨髄腫剤の抗骨髄腫作用を増強する。MM1Sを、PM00104(Zalypsis,Z)並びに他の抗骨髄腫剤、例えば、デキサメタゾン(Dex)、メルファラン(Mel)、ドキソルビシン(Dox)、ボルテゾミブ(Bort)、及びレナリドマイド(Len)の次善の濃度の2つ(図5A)又は3つ(図5B)の組み合わせで処理した。MTTアッセイによって細胞生存率を分析した。
【図5B】PM00104は、従来及び新規の抗骨髄腫剤の抗骨髄腫作用を増強する。MM1Sを、PM00104(Zalypsis,Z)並びに他の抗骨髄腫剤、例えば、デキサメタゾン(Dex)、メルファラン(Mel)、ドキソルビシン(Dox)、ボルテゾミブ(Bort)、及びレナリドマイド(Len)の次善の濃度の2つ(図5A)又は3つ(図5B)の組み合わせで処理した。MTTアッセイによって細胞生存率を分析した。
【発明を実施するための形態】
【0025】
MMの治療管理の近年の進展にもかかわらず、特に再発患者又は従来及び/若しくは新規治療法に対して好ましく反応しない患者において、抗MM活性を有する新規治療剤の同定が依然として必要とされている。
【0026】
本発明者は、PM00104が、インビトロ及びインビボアッセイの双方において、強力な抗MM活性を示すことを発見した。インビトロ試験では、PM00104は、MM細胞株及び患者細胞に強力に作用し、大半の細胞株に対するIC50値は、低いナノモル濃度又はピコモル濃度の範囲にあり、これは、MM治療に使用される全ての他の薬剤よりも優位であることを示す。さらに、PM00104は、これらの現在のMM治療の幾つかと相乗作用を与え、このことは、他のよく確立された薬剤と組み合わせてPM00104を使用できる可能性を支持する。興味深いことに、PM00104は、従来の抗MM治療に耐性があるため選ばれた、MM1R及びRPMI−LR5などの細胞株にも同様に有効であり、このことは、PM00104が、治療されたMM患者において認められる共通の状況である薬剤耐性を克服するために使用できることを示す。インビトロの結果に加えて、インビボの動物試験によってPM00104の抗MM活性を確認した。PM00104は良好な耐久性があり、かつ、マウス中の異種移植された形質細胞腫であるMM1S及びOPM−1の増殖に顕著に作用した。
【0027】
本明細書で使用する用語「治療する」は、他に示していない限り、その様な用語を適用する疾患若しくは状態又はその様な疾患若しくは状態の1つ若しくは複数の症状の回復、緩和、進行の阻害、疾患の症状及び病原の緩和、又は予防をすることを意味する。本明細書で使用する用語「治療」は、他に示していない限り、直ぐ上に定義した「治療する」ことの行為を意味する。
【0028】
上述のように、PM00104は、海洋生物由来の化合物ジョルマイシン及びレニエラマイシンに関連するアルカロイドであり、サフラシン及びサフラマイシン化合物にも関連し、以下の構造を有する。
【0029】
【化2】
【0030】
用語「PM00104」は、任意の製薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、又は患者に投与されて本明細書に記載の化合物を(直接的又は間接的に)提供することができる任意の他の化合物を含むことを本明細書では意図する。塩、溶媒和物、水和物、及びプロドラッグの調製は当該技術分野において既知の方法で実施することができる。
【0031】
製薬学的に許容される塩は、従来の化学的な方法によって、塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般的には、その様な塩は、例えば、これらの化合物の遊離酸又は塩基の形態を化学両論量の適当な塩又は酸と水中若しくは有機溶媒中又はそれらの混合物中で反応させることによって調製される。一般的には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルなどの非水性媒体が好ましい。酸付加塩の例は、無機酸付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、及び有機酸付加塩、例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、及びp−トルエンスルホン酸塩を含む。アルカリ付加塩の例は、無機塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、及びアンモニウム塩、並びに有機アルカリ塩、例えば、エチレンジアミン塩、エタノールアミン塩、N,N−ジアルキレンエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、及び塩規性アミノ酸塩を含む。
【0032】
PM00104のプロドラッグである任意の化合物が、本発明の範囲及び精神の範囲内である。用語「プロドラッグ」は、その最も広範な意味で使用され、インビボでPM00104に変換する誘導体を包含する。前記プロドラッグは、加水分解、酸化、又は他の生体条件下における反応をしてPM00104を提供することができる。プロドラッグの例は、生態加水分解可能なアミド、生体加水分解可能なエステル、生体加水分解可能なカルバメート、生体加水分解可能なカーボネート、生体加水分解可能なウレイド、及び生体加水分解可能なホスフェート類似体などの、生体加水分解可能な部分を含むPM00104の誘導体及び代謝産物を含むが、それらに限らない。プロドラッグは、典型的には、Burger “Medicinal Chemistry and Drug Discovery 6th ed. (Donald J. Abraham ed., 2001, Wiley) 及び“Design and Applications of Prodrugs” (H. Bundgaard ed., 1985, Harwood Academic Publishers)に開示されているものなどの、よく知られた方法を使用して調製することができる。
【0033】
加えて、本明細書に記載の任意の薬剤は、遊離化合物又は溶媒和物(例えば、水和物)のいずれかとしての結晶形にあってよく、双方の形態が本発明の範囲内にあることを意図する。溶媒和の方法は当該技術分野において一般的に知られている。
【0034】
本発明に係る用途のためのPM00104は、参照によって本明細書に組み込むWO 01/87894に開示されている合成方法に従って調製されてよい。
【0035】
使用可能なPM00104の医薬組成物は、静脈投与のための適切な賦形剤と共に、溶液、懸濁物、エマルション、凍結乾燥した組成物などを含む。好ましくは、PM00104は、治療用途に適切な製剤にPM00104及び賦形剤を含む、滅菌された凍結乾燥製品として適用及び保存されてよい。特に、適当なpHに緩衝化されたスクロース及びリン酸塩を含む製剤が好ましい。PM00104製剤化のさらなるガイダンスは、参照によってその全体を本明細書に組み込むWO 2007/052076に挙げられている。
【0036】
PM00104又はその医薬組成物の投与は、好ましくは、静脈内注射によるものである。72時間まで、より好ましくは1から24時間の間、最も好ましくは約1、約3、又は約24時間のいずれかの注射時間を使用することができる。病院に一晩宿泊せずに治療を実施することを可能にする短い注射時間が特に望ましい。しかしながら、注射は、約24時間又は必要であればそれよりも長くなってよい。
【0037】
好ましくは、PM00104の投与は周期的に実施されることが好ましい。好ましい投与方法では、PM00104の静脈内注射は、典型的には、各周期の初日に患者に提供され、次いで、その周期の残りの時間に患者を回復させる。各周期の好ましい期間は、典型的には3又は4週であり、必要であれば多数の周期を与えることができる。投与の遅延並びに/又は用量低減及び投与計画の調整が、個々の患者の状態及び治療に対する抵抗に依存して、必要であれば実施される。PM00104投与及び用量のさらなるガイダンスは、例えば、具体的な参照によって本明細書に取り込むWO 2008/135792を参照のこと。PM00104投与及び用量のさらなるガイダンスは、例えば、具体的な参照によって本明細書に取り込むJournal of Clinical Oncology, 2007 ASCO Annual Meeting Proceedings Part I. Vol 25, No. 18S (June 20 Supplement), 2007: 2517 及びEur. J. Cancer, 2008, Vol 6 (supl 12), page 57 Abstract No. 179においても認められる。
【0038】
用量についてのガイダンスは上述にあるが、PM00104の正確な用量は、特定の製剤、適用態様、ならびに治療する特定の場所、患者、及び腫瘍によって変化してよい。患者の年齢、体重、性別、食事、投与時間、排泄速度、状態、薬剤併用、反応感受性、及び疾患の重度などの他の因子が考慮に入れられるであろう。投与の遅延並びに/又は用量低減及び投与計画の調整が、個々の患者の状態及び治療の耐性に依存して、必要であれば実施される。
【0039】
腫瘍のタイプ及び疾患の発達段階に依存して、本発明の治療方法の抗癌効果は、腫瘍増殖の阻害、腫瘍増殖の遅延、腫瘍の退行、腫瘍の収縮、治療停止後の腫瘍の再発までの時間の増大、疾患進行の遅延、及び転移の予防を含むが、それらに限らない。本発明の治療方法がその様な治療を必要とする患者に適用される際には、前記治療方法は、例えば、抗癌効果の程度、反応速度、疾患進行時間、又は生存率によって測定されるような効果を生じることが予期される。特に、本発明の治療方法は、ヒト患者、特に再発しているか又は過去の化学療法に反応しないヒト患者に適している。一次治療も想定される。
【0040】
1つの態様では、本発明は、PM00104又はその製薬学的に許容される塩の治療上有効量を罹患した個体に投与する工程を含む、MMに罹患している任意の哺乳動物、特にヒトを治療する方法を提供する。
【0041】
他の態様では、本発明は、MMの治療においてPM00104を投与するための印刷された説明書、並びにPM00104又はその製薬学的に許容される塩及び製薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物を含む、PM00104を投与するための医療用キットに関する。
【0042】
他の態様では、本発明は、PM00104又はその製薬学的に許容される塩及び製薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む、MMの治療において使用するための医薬組成物も提供する。
【0043】
他の態様では、本発明は、MMの治療のための医薬の製造における、PM00104又はその製薬学的に許容される塩の使用も提供する。
【0044】
さらなる態様では、本発明は、MMの治療において使用するための、PM00104又はその製薬学的に許容される塩を提供する。
【0045】
PM00104又はその製薬学的に許容される塩は、他の薬剤と使用して、MMの併用療法を提供してよい。他の薬剤は、同一の組成物の一部を形成するか、又は同時若しくは異なる時点における投与のための別々の組成物として提供されてよい。好ましくは他の薬剤は、デキサメタゾン、メルファラン、ドキソルビシン、ボルテゾミブ、レナリドマイド、プレドニソン、カルムスチン、エトポシド、シスプラチン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、及びサリドマイドを含むが、それらに限らない抗骨髄腫剤である。特に好ましいものは、PM00104又はその製薬学的に許容される塩とデキサメタゾン、メルファラン、ドキソルビシン、ボルテゾミブ、レナリドマイド、プレドニソン、カルムスチン、エトポシド、シスプラチン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、及びサリドマイドとの組み合わせであり、さらに好ましくは、デキサメタゾン、メルファラン、ドキソルビシン、ボルテゾミブ、及びレナリドマイドとの組み合わせである。PM00104又はその製薬学的に許容される塩と2種の追加の薬剤との3種の薬剤の使用に基づく効果的な併用療法も本発明に包含される。特に好ましいものは、デキサメタゾン並びにメルファラン、ドキソルビシン、及びレナリドマイドから選択される第三の薬剤との3つの組み合わせである。
【0046】
本明細書全体を通じて使用される用語「併用」は、同時又は別々の時点における、同一又は別々の医薬製剤にある参照される治療剤の、MMに罹患している患者への投与を包含することを意図する。治療剤が別々の時点で投与される場合は、増強又は相乗効果の発生を提供するために十分に近接した時間で投与するべきである。
【0047】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するものである。実施例は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0048】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書に記載した定量的な表現の幾つかは「約」なる用語で特定されていない。用語「約」が明示的に使用されていようと又はそうでなくとも、本明細書に記載した全ての量は、実際に記載した値を示し、さらに、その様な記載した値の実験及び/又は測定条件による同等値及び近似値を含む、技術常識に基づいて合理的に推定されるであろう、その様な記載した値の近似値をも意味すると解される。加えて、そうでないと記載していない限りにおいて、値が範囲として記載されている場合は、上限及び下限地は、特に好ましい値であると意図される。
【実施例】
【0049】
(実施例1)
MM細胞に対するPM00104の抗増殖/細胞毒性効果
MMにおけるPM00104の抗癌活性を、以下の9種のMM細胞株:MM1S、MM1R、MM144、RPMI8226、RPMI−LR5、U266、U266−LR7、OPM−1、及びOPM−2を含む一連の細胞株を使用して評価した。抗生物質(ペニシリン 100U/mL、ストレプトマイシン 100μg/mL)及び10%ウシ胎仔血清(FBS)を添加したL−グルタミン含有RPMI 1640培地で37℃において湿気のある雰囲気下で5% CO2−95%空気の存在下において、これらの細胞株を増殖させた。
【0050】
24、48、及び72時間にわたってPM00104(0.1から50nM)の濃度を増大させて細胞株を処理して、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)比色分析を使用して生存率を分析した。簡潔には、48ウェルプレートの1つのウェル毎に50,000細胞/200μg/mL培地の密度でMM細胞株を播種して、所定の薬剤用量及び時間で処理した。処理が終了する2時間前に、MTT溶液(PBS中5mg/mL)を添加し、テトラゾリウム塩が生細胞によって色の付いたホルマザン結晶に代謝的に還元された。10%SDS−HCl溶液を用いた一晩のインキュベートによってこれらの結晶を可溶化したあとに、630nmで補正した530nmにおける吸光を測定した。結果は、少なくとも2回反復して実施した1つの実験の四回重複の平均±SDで表わした。
【0051】
図1AからCに示しているように、幾つかの細胞株(MM1S、MM1R、及びMM144)におけるピコモル濃度から、それよりも感度が低い細胞株(RPMI8226、RPMI−LR5、U266、U266−LR7、OPM−1、及びOPM−2)における低ナノモル濃度(1から2nM)の範囲の48時間の時点におけるIC50で、全ての細胞株は薬剤に対して非常に感受性であった。PM00104に対する感受性は、デキサメタゾン(MM1S及びMM144を除く全ての細胞がデキサメタゾンに耐性を有する)又はメルファラン(RPMI−LR5及びU266−LR7はメルファランに対して耐性を有する)などの従来の抗骨髄腫剤に対する前記細胞株の耐性パターンからは独立したものであった。
【0052】
加えて、6人のMM患者から得られた骨髄(BM)サンプルから単離された細胞においてエクスビボにおいてPM00104の効果をさらに調べた。赤血球を除去するために、サンプルを塩化アンモニウムで可溶化し、抗生物質(ペニシリン 100U/ml、ストレプトマイシン100μg/ml)及び20%FBSを含有するRPMI−1640中で白血球を維持した。その後、37℃で18時間にわたって6ウェルプレートで各種の異なる濃度のPM00104(1から50nM)とともに、BM細胞をインキュベートした。骨髄腫形質細胞(PC)及び他のBM細胞の間の区別をするために、15分間にわたって室温で暗所において、骨髄腫関連抗原に対するモノクローナル抗体(抗CD59−PE、抗CD45−PE、及び抗CD38−perCP/Cy5(BD Biosciences))の組み合わせとともに5μlのアネキシン−V−FITC(Bender MedSystems,Burlingame,CA)と細胞をインキュベートする、多様性技術を使用した。全部で50,000細胞をFACScaliburフローサイトメトリー(BD Biosciences)で得て、「Paint−a−Gate」プログラムを使用して分析した。各種の異なる集団:腫瘍PC並びに正常な残部のリンパ球及び顆粒単球において、アネキシンV陽性に基づいてアポトーシスを分析した。PM00104処理後のアネキシンV陽性細胞の割合は、対照サンプル(未処理)中のアネキシンV陰性細胞(生細胞)に対して算出した。
【0053】
診断時に得られた2つのサンプル(患者1及び6)、再発時の1つのサンプル(患者3)、及び再発したMMの二次的な形質細胞白血病の1つのサンプル(患者5)を含む、分析した6サンプルのうちの4つが、低濃度のPM00104に対して非常に感受性であった。二次的な形質細胞白血病に相当する他のサンプル(患者4)は、中程度の感受性を有していた(図2)。
【0054】
(実施例2)
PM00104は、BM微小環境によって誘導される延命効果及び薬剤耐性を無効化する
BM微小環境の存在は、それらの接着又はIL−6又はIGF−Iなどの幾つかのサイトカインの生産によってMMに保護を与える。PM00104がBM微小環境の当該保護効果を阻害することができるか否か試験するために、MM1S細胞を、IL−6(1nM)又はIGF−I(10nM)とともにインキュベートするか、又はBM間質細胞(BMSC)と48時間にわたって共培養し、次いで、PM00104の濃度を増加させて処理した。BMSCを96ウェル培養皿に播種し(50,000細胞/ウェル)、48時間の間でコンフルエントに達した。次いで、30,000骨髄腫細胞を、10%血清を含有するRPMI 1640中に播種した。次いで、MMの増殖をブロモデオキシウリジン(BrdU)取り込みによって評価した(Maiso P et al. Br. J. Haematol. 2008, 141, 470-482)。BrdUを最後の8時間の間に添加して、BrdUの取り込みを市販のキット(Roche Biochemicals)を使用し、製造業者の説明書にしたがって測定した。
【0055】
これらのモデルの全てによって与えられたMM細胞の増殖効果にもかかわらず、PM00104は、可溶性サイトカインであるIL−6及びIGF−Iの効果を完全に無効化し(図3A及び3B)、BMSC細胞に対する形質細胞の接着による保護効果を大きく阻害した(図3C)。対照的に、BMSCは、PM00104の細胞毒性効果に対して非常に耐性であった(図3D)。
【0056】
(実施例3)
PM00104のインビボ抗MM効果
PM00104のインビボ効果を、CB17−SCIDマウス中に異種移植されたヒト形質細胞腫のモデルにおいて試験した。これらの実験は、非常に感受性である細胞株のMM1S及びそれよりも感受性が低いOPM−1を使用して実施した。30匹のマウスの2つの集団に各細胞株を皮下注射し、ビヒクルのみ、0.8mg/kgのPM00104、又は1mg/kgのPM00104を静脈内(iv)に一週間に一度、三回投与で与える3つの群にマウスを無作為にわけた。
【0057】
CB17−SCIDマウス(The Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME,USA)に、100μLのRPMI−1640培地及び100μLのMatrigel(Becton Dickinson)中の3×106のMM1S又はOPM1細胞を右脇腹に皮下接種した。腫瘍が触診可能になった際に、PM00104又はビヒクルのみをマウスに与えた。PM00104を使用する処置を、0.8mg/kg及び1mg/kgの用量で一週間に一度、三回投与で静脈内に与えた。対照群には、ビヒクル単独(注射用滅菌水及び生理食塩水)を与えた。
【0058】
腫瘍直径のキャリパー測定を毎日実施し、以下の式:V=4/3π×(a/2)×(b/2)2(a及びbは最長径及び最短径の各々を示す)を使用して楕円の容量として腫瘍容量を推定した。腫瘍が2cmに達した際に動物を安楽死させた。処理群及び対照群の間の腫瘍容量における差異は、1-way analysis of variance及びBonferroni post hoc試験を使用して評価した。処置を開始した日から生存を推定し、統計学的な差異をLog Rank試験を用いてKaplan-Meier曲線によって評価した。SPSS-15.0ソフトウェア(SPSS Inc.Chicago,IL,USA)を用いて統計分析を実施し、統計学的な優位性をp<0.05と規定した。
【0059】
図4A及び4Cに示されているように、双方の容量のPM00104は、統計的に有意な差異をもって形質細胞腫の増殖を低減させた。MM1S形質細胞腫については、処理の15日後に、ビヒクル、0.8mg/kgのPM00104、1mg/kgのPM00104を与えた集団の各々について、腫瘍の容量が1207±645、420±242、及び176±78mm3(平均±SD)であった(全体的な比較及び処理群vs対照の比較の各々についてp<0.001)。より低い感受性かつより速く増殖するOPM−1細胞株でも同様であり、同一のマウスの群について4091±903、1879±731、及び1042±596mm3(平均±SD)の処理の14日後の腫瘍容量を有していた(全体的な比較についてp<0,001)。腫瘍増殖における当該遅延は、対照と比較した際の処理したマウスの生存が増大したことと相関している(図4B及び4D)。上記の意味で、MM1Sにおける中央値±SEの生存は、ビヒクル対照、0.8mg/kgのPM00104、1mg/kgのPM00104の各々について、29±3.9、52±4.8、及び59±5.5日であり(図4B)、OPM−1形質細胞腫における同一の群の生存は、14±0、21±0.8、及び23±1.1日であった(図4D)。Log Rank試験を使用して差異を評価し、双方の異種移植片における双方の用量でビヒクル対照と比較した際の統計的に有意な差異をもたらした。
【0060】
興味深いことに、PM00104処置に関連する顕著な全身毒性は存在しなかった。僅かな体重減少(対照と比較して体重の約10%)が最も高用量のPM00104で認められた。
【0061】
(実施例4)
PM00104は従来の抗MM剤の効果を増強する
MMを含む大半の癌の治療は異なる作用メカニズムの薬剤の併用に基づくため、本発明者は、MMの治療に通常使用されている薬剤と組み合わせてPM00104の効果を試験した。
【0062】
次善量のPM00104とデキサメタゾン、メルファラン、ドキソルビシン、ボルテゾミブ、及びレナリドマイドなどの他の抗骨髄腫剤との2種及び3種の組み合わせを使用して、MM1S細胞を、実施例1に記載したように72時間にわたって処理した。実施例1に記載のようにMTTアッセイを使用して細胞生存率を分析した。前記組み合わせの有効性を、Chou Talalay法に基づくCalcusynソフトウェア(Biosoft,Ferguson,MO)を使用して定量化し、以下の解釈:CI>1:アンタゴナイズ効果、CI=1:相加効果、及びCI<1:相乗効果で併用指数(CI)を算出した。
【0063】
PM00104は、デキサメタゾン、メルファラン、及びドキソルビシンなどの従来の抗骨髄腫剤の効果をMM1S細胞において明らかに増強した(図5A)。PM00104を、MM患者の治療道具に最近含められた2種の新規薬剤であるボルテゾミブ及びレナリドマイドとの組み合わせでも試験し、レナリドマイドとの併用で特に明らかな相加/相乗的な結果が見込まれた(図5A)。Chou and Talalay法を使用したこれらのデータの分析によって、PM00104は、デキサメタゾン(CI=0.78)、メルファラン(CI=0.48)、ドキソルビシン(CI=0.64)、及びレナリドマイド(CI=0.55)と相乗的であることが示された。
【0064】
2種の組み合わせによるこれらの有望な結果は、MM1S細胞株で最も相乗的な化合物の3種の組み合わせを調査することを促進した。図5Bで認められるように、PM00104+デキサメタゾン+以下:メルファラン、ドキソルビシン、又はレナリドマイドのいずれかの3種の組み合わせは、各々の2種の組み合わせの効果を顕著に改善した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PM00104又はその製薬学的に許容される塩の治療上有効量を罹患した個体に投与する工程を含む、多発性骨髄腫に罹患した任意の哺乳動物、特にヒトの治療方法。
【請求項2】
前記患者がヒト患者である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者が再発しているか又は過去の化学療法に反応しない、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
PM00104又はその製薬学的に許容される塩を、1つ又は複数の他の薬剤と併用して、併用療法を提供する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ又は複数の他の薬剤が抗骨髄腫剤である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記抗骨髄腫剤が、デキサメタゾン、メルファラン、ドキソルビシン、ボルテゾミブ、レナリドマイド、プレドニソン、カルムスチン、エトポシド、シスプラチン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、及びサリドマイドから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記抗骨髄腫剤が、デキサメタゾン、メルファラン、ドキソルビシン、ボルテゾミブ、及びレナリドマイドから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法のための医薬の製造における、PM00104又はその製薬学的に許容される塩の使用。
【請求項9】
PM00104又はその製薬学的に許容される塩及び製薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法で使用するための医薬組成物。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法で使用するための、PM00104又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項11】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法でPM00104を投与するための印刷された説明書、並びにPM00104又はその製薬学的に許容される塩及び製薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物を含む、PM00104を投与するための医療キット。
【請求項1】
PM00104又はその製薬学的に許容される塩の治療上有効量を罹患した個体に投与する工程を含む、多発性骨髄腫に罹患した任意の哺乳動物、特にヒトの治療方法。
【請求項2】
前記患者がヒト患者である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者が再発しているか又は過去の化学療法に反応しない、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
PM00104又はその製薬学的に許容される塩を、1つ又は複数の他の薬剤と併用して、併用療法を提供する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ又は複数の他の薬剤が抗骨髄腫剤である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記抗骨髄腫剤が、デキサメタゾン、メルファラン、ドキソルビシン、ボルテゾミブ、レナリドマイド、プレドニソン、カルムスチン、エトポシド、シスプラチン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、及びサリドマイドから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記抗骨髄腫剤が、デキサメタゾン、メルファラン、ドキソルビシン、ボルテゾミブ、及びレナリドマイドから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法のための医薬の製造における、PM00104又はその製薬学的に許容される塩の使用。
【請求項9】
PM00104又はその製薬学的に許容される塩及び製薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法で使用するための医薬組成物。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法で使用するための、PM00104又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項11】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法でPM00104を投与するための印刷された説明書、並びにPM00104又はその製薬学的に許容される塩及び製薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物を含む、PM00104を投与するための医療キット。
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図5A】
【図5B】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図5A】
【図5B】
【公表番号】特表2011−520846(P2011−520846A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508943(P2011−508943)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055978
【国際公開番号】WO2009/138509
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(501440835)ファルマ・マール・ソシエダード・アノニマ (30)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055978
【国際公開番号】WO2009/138509
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(501440835)ファルマ・マール・ソシエダード・アノニマ (30)
【Fターム(参考)】
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