説明

多色画像形成装置

【課題】余白無し印刷を行う時の生産性を損なうことのない多色画像形成装置を提供する。
【解決手段】転写材搬送手段1の転写材Pの搬送方向において、上流側の転写手段3で転写材Pの上に転写したトナーP1が、下流側の転写手段3で像担持体11に逆転写されるトナーP2となる逆転写率TR1と、上流側の転写手段3で転写材Pからはみ出し転写材搬送手段1の上に転写されたトナーE1が、下流側の転写手段3で像担持体11に逆転写されるトナーE2となる逆転写率TR2とが、TR1<TR2の関係を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つ以上の像担持体を有し、各像担持体上に形成されたトナー像を、転写材搬送手段に担持した転写材上に転写手段によって順次重ねていくことでカラー画像を得る電子写真プロセスを用いたカラー(多色)画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式によるカラー画像形成装置の普及に伴い、カラー画像の記録品質に対する要求に加え、カラー出力の高速化に対する要求が高まってきている。この要求に応えるために、画像形成方式にいくつかの提案がなされているが、その中でタンデム型と呼ばれるカラー画像形成装置がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このタンデム型のカラー画像形成装置は、複数個の画像形成ユニットによって形成された複数のトナー像を、転写材搬送手段である転写材搬送ベルト上に担持した転写材上に、転写手段によって順次重ねることにより一つの画像を形成する。この方式のカラー画像形成装置は、高速にカラー画像を形成することが可能である。
【0004】
また、近年のプリンタ需要の多様化やデジタルスチルカメラ等のデジタル画像記録装置の普及等により、銀塩写真のような余白無し印刷に対する要望が高まってきている。余白無し印刷は、近年のインクジェット方式の画像形成装置などでは既に実用化されており(例えば特許文献2参照)、電子写真式の画像形成装置にも望まれるようになってきている。
【特許文献1】特開2001−109325号公報
【特許文献2】特開平10−337886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような電子写真方式の画像形成装置では、転写材の大きさのバラツキ、転写材搬送ベルトによって転写材を転写手段に搬送する際の位置の誤差等が生じても、転写材上に余白が発生しないような印刷が要求される。そのために、転写材のサイズよりも大きな画像を像担持体上に形成しており、従って、転写材搬送ベルトのような転写材搬送体上には、転写材の外側までトナーが印刷される。
【0006】
このような余剰トナーは、例えばA4サイズの転写材を使用した場合には、転写材の先端側と後端側については長手方向の210mm幅に渡って、例えば余剰長さ分の2mmの長さで余剰トナーが2箇所に発生する。
【0007】
一方、A4サイズの紙の左右端側については、余剰幅分の2mmの幅で、長さが297mmの余剰トナーが転写材搬送ベルト上の2箇所に発生することになる。
【0008】
このような余剰トナーは、転写材搬送ベルト周方向の転写部よりも下流側に設けられた、ブレードや、ブラシ、ローラといったクリーニング手段で回収される。また、クリーニング手段にトナーの回収容器を持たずに、像担持体に転写材搬送ベルト上のトナーを逆転写し、像担持体のクリーニング手段でトナーを回収する手段も考案されている。
【0009】
一般に、このようなクリーニング手段は、微量のトナーについては確実に全量を回収できる一方で、一度に大量のトナーが来た場合には完全にクリーニングし切れない場合が有った。そこで、例えば、ジャム処理後や、搬送体上に画像濃度や印字位置調整用のパッチ画像を印刷した後等、大量のトナーが付着したと考えられる場合には、搬送体が2回以上クリーニングされるよう、搬送体の回転数を増やして対応していた。
【0010】
このように、一時的に大量のトナーをクリーニングする非常時の対応としては、搬送体の回転数を増やして対応することも許容されてきた。一方、余白無し印刷の場合では、特に濃度の高い画像が左右端部に有った場合、長さ297mmに渡って大量の余剰トナーが搬送体上に印刷され、下流側のクリーニング部材の一箇所にトナーが集中することが通常の動作として想定される。しかしながら連続して印刷を実行している間に、クリーニングのために搬送体の回転数を増やすことは、画像形成装置の生産性を大きく損なうことになるため容認できない。
【0011】
そこで本発明の目的は、前記問題点を解決するものであり、余白無し印刷を行う時の生産性を損なうことのない多色画像形成装置を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、転写材の裏面や端部に汚れトナーが付着することのない高品位な画像形成を最小限のスペースで低コスト且つ簡易に達成することができる多色画像形成装置を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、転写材搬送手段のクリーニングのために追加のクリーニング部材を設けるような装置の複雑化や、追加のクリーニングシーケンスによる印刷の生産性低下を招くことのない多色画像形成装置を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、転写材搬送手段のクリーニング不良による転写材の汚れの発生がない安定した画像形成を可能とし、また、クリーニング手段にかかる負荷を低減し、クリーニング手段の長寿命化も達成することのできる多色画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は本発明に係る多色画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、少なくとも2つ以上の像担持体と、前記像担持体を所定の極性に帯電する帯電手段と、画像形成を行う転写材に対して余白を作ることのないサイズの静電潜像を前記像担持体上に形成する露光手段と、前記静電潜像にトナーを付着させてトナー像として顕像化させる現像手段と、前記転写材を搬送する転写材搬送手段と、前記トナー像を転写材に転写する転写手段と、を備えた多色画像形成装置において、
前記転写材搬送手段の前記転写材の搬送方向において、上流側の前記転写手段で前記転写材の上に転写したトナーの単位面積当たりの質量P1(g/cm2)のうち下流側の前記転写手段で前記像担持体に逆転写されるトナーP2(g/cm2)の率である逆転写率TR1=(P2/P1)×100(%)と、上流側の前記転写手段で前記転写材からはみ出し前記転写材搬送手段の上に転写されたトナーの単位面積当たりの質量E1(g/cm2)のうち、下流側の前記転写手段で前記像担持体に逆転写されるトナーE2(g/cm2)の率である逆転写率TR2=(E2/E1)×100(%)とが
TR1<TR2
の関係を満たすことを特徴とする多色画像形成装置である。一実施態様によれば、前記現像手段により像担持体上に顕像化した単位面積当たりのトナーの質量P0(g/cm2)のトナーのうちの、前記P1の割合である転写効率TRP1=(P1/P0)×100(%)と、前記像担持体上に顕像化した単位面積当たりのトナーの質量P0(g/cm2)トナーのうちの、前記E1の割合である転写効率TRE1=(E1/P0)×100(%)とが
TRP1>TRE1
の関係を満たす。
【発明の効果】
【0016】
本発明の多色画像形成装置によれば、
(1)余白無し印刷を行う時の生産性を損なうことがない。
(2)転写材の裏面や端部に汚れトナーが付着することのない高品位な画像形成を最小限のスペースで低コスト且つ簡易に達成することができる。
(3)転写材搬送手段のクリーニングのために追加のクリーニング部材を設けるような装置の複雑化や、追加のクリーニングシーケンスによる印刷の生産性低下を招くことがない。
(4)転写材搬送手段のクリーニング不良による転写材の汚れの発生がない安定した画像形成を可能とし、また、クリーニング手段にかかる負荷を低減し、クリーニング手段の長寿命化を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0018】
実施例1
図1に、本発明に係る多色画像形成装置の一実施例であるタンデム型のカラー画像形成装置の全体構成を示す。
【0019】
カラー画像形成装置は、装置が複雑であり、小型化が求められている。カラー画像形成装置は、さまざまな方式に分かれており、例えば複数の像担持体に形成したトナー像を中間転写体に多重転写してカラートナー像とする多重転写方式が従来良く知られている。その他に、一つの像担持体表面にてカラー像を重ねた後一括転写して像形成を行う多重現像方式がある。更に、複数の異なる色の画像形成手段(プロセスステーション)を直列に配置し、転写材搬送手段により搬送された転写材にトナー像を転写するインライン方式等がある。
【0020】
この中、インライン方式は、高速化が可能で、像転写の回数が少なく画質に有利といった理由で優れた方式である。
【0021】
本実施例のカラー画像形成装置は、上記インライン方式のカラー画像形成装置であり、4つの画像形成部、即ち、画像形成ステーションS(Sa、Sb、Sc、Sd)が、本実施例では垂直方向に配置された、所謂、タンデム型のカラー画像形成装置である。4つの画像形成ステーションSa、Sb、Sc、Sdは、転写材搬送手段としての転写材搬送ベルト、即ち、転写ベルト1の転写材搬送方向に沿って上流側から順に、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の画像形成ステーションとされる。4つの画像形成ステーションSa、Sb、Sc、Sdは、同じ構成とされる。
【0022】
図2に、イエロー画像形成ステーションSaと、マゼンタ画像形成ステーションSbと拡大して示す。
【0023】
図1及び図2を参照すると、各画像形成ステーションSは、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」という。)11(11a、11b、11c、11d)を備えており、感光ドラム11は、矢印R1方向に回転可能とされる。
【0024】
各感光ドラム11の周囲には、回転方向に沿って、順に、帯電ローラ(帯電手段)12(12a、12b、12c、12d)及び露光装置(露光手段)13(13a、13b、13c、13d)が配置される。更に、感光ドラム11の周囲には、感光ドラム回転方向下流側に現像装置(現像手段)15(15a、15b、15c、15d)が配置されている。また、感光ドラム11の周囲には、感光ドラム回転方向に沿って下流側に、転写ローラ(転写手段)3(3a、3b、3c、3d)、及び、クリーニング装置(クリーニング手段)17(17a、17b、17c、17d)が配設されている。
【0025】
像担持体である感光ドラム11には、例えば、アルミニウム製の円筒状のドラムの表面に、感光層としてOPC(有機光半導体)を設けたものを使用することができる。
【0026】
帯電手段としての帯電ローラ12は、感光ドラム11の表面に接触配置され、不図示の帯電バイアス印加電源によって帯電バイアスが印加される。これにより、感光ドラム11の表面を所定の極性、所定の電位に均一に帯電する。
【0027】
露光手段としての露光装置13は、画像情報に応じて発振されるレーザ光を多面鏡によって走査させるスキャナユニット又はLEDアレイによって構成されている。露光装置13は、帯電後の感光ドラム11の表面を、8ビットの画像信号(00h〜FFh、hは16進を表す)に基づいて変調された走査ビーム14(14a、14b、14c、14d)により露光走査し、露光部分の電荷を除去して静電潜像を形成する。本実施例では画像信号が00hの時はべた白を、FFhの時はべた黒画像となる。
【0028】
現像手段としての各現像装置15は、現像剤担持体である現像スリーブ19(19a、19b、19c、19d)上のトナーを感光ドラム11表面の静電潜像に付着させて現像し、静電潜像を各色のトナー像として可視化する。
【0029】
転写手段を構成する各転写ローラ(転写部材)3は、感光ドラム11上に形成されたトナー像を、転写ベルト1上の転写材Pに静電的に転写するためのものである。転写ローラ3の素材としては、EPDM、ウレタン、NBR、エピクロルヒドリン、シリコン等のゴム材が用いられる。本実施例では、直径6mmの芯金の上に、肉厚が3mmの弾性層を設けた転写ローラ3を用いた。弾性層は、アスカーC硬度が30度で、NBRとエピクロルヒドリンをブレンドして体積抵抗(ρT)を105.5、106、106.5、107、107.5、108、108.5、Ω・cmの計6種類に設定した。
【0030】
転写ローラ3は、転写ベルト1の内側に配設されて、転写ベルト1を感光ドラム11表面に圧着し、これにより感光ドラム11と転写ベルト1との間に、転写ニップ部N(Na、Nb、Nc、Nd)を形成する。本実施例では、転写ローラ3の感光ドラム11に対する当接圧を2.0g/mmとした。各転写ローラ3には本実施例では、定電圧電源である転写バイアス印加電源4(4a、4b、4c、4d)が接続されている。これは定電流電源でも構わない。
【0031】
クリーニング手段としての感光ドラムクリーニング装置17(17a、17b、17c、17d)は、転写材Pに転写されずに感光ドラム11の表面に残留したトナーを除去するためのクリーニングブレード18(18a、18b、18c、18d)を有している。
【0032】
以上の各画像形成ステーションSにおいて、現像装置15は、現像ユニットに構成され、また、クリーニング装置17は、感光ドラム11及び帯電ローラ12と共にドラムユニットに構成されている。そして、これら現像ユニット及びドラムユニットは、それぞれが画像形成装置本体に対して着脱自在なカートリッジを構成することができる。また、現像ユニットとドラムユニットを合わせて一つのプロセスカートリッジを構成することもできる。
【0033】
転写材搬送手段としての転写ベルト1は、4本のローラ6、7、8、9に掛け渡されており、矢印R2方向に所定のスピード(プロセススピード、本実施例では100mm/s)で回転駆動される。これにより、転写ベルト1は、表面に担持した転写材Pを画像形成ステーションS(Sa、Sb、Sc、Sd)に順次搬送する。
【0034】
転写ベルト1には、その表面の不要なトナーを除去する手段としての転写ベルトクリーニング装置20が配置されている。
【0035】
本実施例にて、転写ベルトクリーニング装置20は、転写ベルト1上のトナーをクリーニング装置20に回収する手段としては、図1に示すブレード21と、ブレード21にて回収したトナーを保存する貯留容器22とを備えている。
【0036】
転写ベルトクリーニング装置20は、本実施例のように、転写ベルト1上のトナー回収手段としてブレード21を使用したスクレーピング方式に限定されるものではない。例えば、ブレード21の代わりに、ファーブラシやスポンジ等のローラを使用し、転写ベルト1との間に周速差を設けて掻き取る方式とすることもできる。勿論、これらトナー回収手段にバイアスを印加し、電位差を利用することもできる。
【0037】
転写ベルト1としては、厚さ50〜300μm程度のPVdF、ETFE、ポリイミド、PET、ポリカーボネート等の樹脂フィルムがある。又は、厚さ0.5〜2mm程度の、例えばEPDM等ゴムの基層の上に、例えばウレタンゴムにPTFEなどフッ素樹脂を分散したものを表層として設けたものを用いることもできる。また、これらの材料にカーボン、ZnO、SnO2、TiO2等の導電性充填材を分散させて、体積抵抗率(体積抵抗)を調整することができる。特に、本実施例においては、体積抵抗(ρH)を106、108、1010、1012、1014、1016Ω・cmの計6種類に設定した100μmの厚みを有するPVdFを用いた。
【0038】
転写材Pは、給搬送装置30によって、転写ベルト1へと搬送される。吸着ローラ5は、給搬送装置30から搬送されてきた転写材Pを転写ベルト1表面に静電吸着させるためのものである。吸着ローラ5は、例えば金属の芯金を、体積抵抗105〜108Ω・cm程度に調整したEPDM、ウレタンゴム、NBR等の導電弾性体で覆う。更に、その上に中層として厚さ200〜600μm程度のウレタン等の層を設け、更にその上に250μm程度の表層を設けて構成されている。表層にはスチレン等を用いる。
【0039】
吸着ローラ5の両端の芯金部を0.04〜0.5N程度の線圧でバネ加圧することにより、吸着ローラ5を転写ベルト1を介してローラ7に圧着させ、転写ベルト1の移動に対して従動回転させる。これにより、吸着ローラ5とローラ7との間には吸着ニップ部が構成されている。
【0040】
本実施例では、吸着ローラ5には定電圧電源である吸着バイアス印加電源13が接続されている。
【0041】
また、転写ベルト1の最下流側に配設されたローラ6の更に転写材搬送方向下流側には、転写材Pの表面に転写されたトナー像を定着する定着装置14が配設されている。
【0042】
上述の構成の画像形成装置において、画像形成動作がスタートすると、感光ドラム11(11a、11b、11c、11d)、及び、転写ベルト1等が所定のプロセススピードで、それぞれ矢印R1方向、矢印R2方向等に回転を始める。同時に、露光装置13(13a、13b、13c、13d)が起動する。感光ドラム11は、帯電ローラ12によって所定の極性、所定の電位に均一に帯電される。
【0043】
一方、給搬送装置とされる給紙カセット30に収納されている転写材Pは、給紙カセットによって吸着ローラ5に搬送される。そして転写材Pは、吸着ローラ5とローラ7との間の電圧印加によって転写ベルト1表面に静電吸着される。
【0044】
このとき、イエロー画像形成ステーションSaにおいては、感光ドラム11aの表面には、転写材Pの搬送に同期して露光装置13aからの走査ビーム14aによって画像情報に従った静電潜像が形成される。感光ドラム11aがさらに回転すると、この静電潜像は、現像スリーブ19aによってトナーを付着して現像され、イエローのトナー像として可視化される。感光ドラム11a上のトナー像は、転写ベルト1に吸着して搬送されてきた転写材Pに、転写バイアス印加電源4aによって転写ローラ3aに印加された画像形成用の転写バイアスにより転写される。
【0045】
マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成ステーションSb、Sc、Sdにおいても、イエローの画像形成ステーションSaと同様に、それぞれの感光ドラム11b、11c、11d上にそれぞれの色のトナー像が形成される。そして転写材Pが転写ベルト1によって搬送されていくのに同期して、感光ドラム11b、11c、11d上のトナー像が転写材P上に重ねて転写され、転写材P上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色を重ねたトナー像が形成される。トナー像を転写後の転写材Pは、転写ベルト1から分離された後、定着装置14によって加熱及び加圧され、表面にトナー像が溶融固着される。
【0046】
一方、トナー像転写後の感光ドラム11(11a、11b、11c、11d)は、転写材Pに転写されずに表面に残留したトナーがそれぞれの感光ドラムクリーニング装置17によって除去される。その後、感光ドラム11は、次の画像形成に供される。
【0047】
また、転写ベルト1は、表面に残った不要なトナーが転写ベルトクリーニング装置20のクリーニングブレード21によって除去され、つぎの転写材Pの搬送に供される。
【0048】
本実施例の画像形成装置を用い、余白無し印刷を行う場合、図3に示すように、印字領域Mを転写材Pの大きさよりも大きく設定することにより、転写材Pの4辺の端部に余白部が全くない画像を印字することができる。
【0049】
すなわち、トナー像が転写材Pからはみ出すようにすることで、転写材Pの位置が少々ずれても転写材Pの端までトナー像を載せることができる。本実施例においては、余白無しモード時の印字領域Mを、転写材Pの4辺の端部から2mm外側に設定している。
【0050】
余白無しモード時は、印字領域を通常よりも広げるために画像データを広げる必要がある。これはユーザがアプリケーション上で予め転写材の大きさよりも大きな画像を作っておいたり、コントローラが画像データを所定の倍率で拡大したり、コントローラが画像データの最外周のデータを繰り返して拡大部を作ることで実現できる。
【0051】
このように、印字領域Mを広げることで、転写材Pの端部まで余白のない画像を形成することが可能になる。
【0052】
一方で、転写材Pに載らずに転写ベルト1に載ったトナーは、転写ベルトクリーニング装置20で確実に除去しなければ、次に印字する転写材の裏面やコバ部にトナー汚れとして顕在化し、非常に見苦しい印刷物となってしまう。
【0053】
クリーニングを確実に行うためには、クリーニング装置20の材料選定や設定の最適化は、勿論、効果的である。しかし、本実施例では、転写ローラ3と転写ベルト1の抵抗設定により、クリーニング装置20に達する前に転写ベルト1に載ったトナーの一部を感光ドラム11で回収し、クリーニング装置20の負荷を軽減することを特徴とする。
【0054】
図4は、感光ドラム11上のトナー載り量に対して、転写材P上に何%転写され、転写材搬送方向(転写ベルト移動方向)下流側の転写ステーション(転写ニップ部N)を通過した後に、何%残っていたかを、各ステーション毎にプロットしたグラフである。転写材Pとしては、キヤノン(株)製カラーレーザーコピア用紙(坪量81.4g/m2、A4サイズ)を用いた。
【0055】
転写ステーション名は、上流側から1番、2番、3番、4番としている。つまり、4番のステーション通過後に残っていたトナーが多いほど、最終的な転写効率が高く、良い画像が得られることを示す。
【0056】
中黒のドットと実線で示すAの構成は、転写ベルト1の体積抵抗が108Ω・cmで、転写ローラ3の体積抵抗が107Ω・cmのものを組み合わせた結果である。中抜きのドットと点線で示すBの構成は、転写ベルト1の体積抵抗が1012Ω・cmで、転写ローラ3の体積抵抗が108Ω・cmのものを組み合わせた結果である。このグラフについては、A構成もB構成も大きな差は無く、どちらの構成を用いても、得られる画像は同じレベルであるといえる。
【0057】
一方、図5では、図4と同時に採取したデータであり、転写材Pからはみ出し、転写ベルト1上に転写されたトナーの転写効率を示している。
【0058】
図5において、中黒のドットと実線で示すAの構成は、最も上流側のドットの値から、中抜きのドットと点線で示すBの構成に比べて値が低く、更にその下流側のドットの値もB構成に比べて全て低くなっている。すなわち、転写ベルト1上に転写されたトナーについては、A構成では、感光ドラム11から転写ベルト1へのトナーの転写される効率が低く、下流の転写ステーション通過後のトナーの残量も少なくなっており、トータルの転写効率が悪くなっている。
【0059】
図4と図5の結果から、Bの構成は紙上に転写する画像には問題ないものの、転写材からはみ出して転写ベルトに転写したトナーの殆どが、全ての転写ステーションを通過した後でもベルト上に残留している。そのため、転写ベルト1のクリーニング装置20で大量のトナーを回収する必要がある。そのため、クリーニング装置20の負荷が大きいことが分かる。
【0060】
一方、Aの構成は、画像に問題も無く、転写ベルト1に転写されるトナーの量も少なく、更に、転写ベルト1に転写したトナーが4番目のステーションを抜けるまでに感光ドラムで回収される量が多いため、クリーニング装置20の負荷が大幅に軽減されていることが分かる。
【0061】
このように、図4のAの構成で、転写ベルト1に対する転写効率が低く、下流の転写ステーション通過時に感光ドラム11に転写ベルト1上のトナーが逆転写しやすい。その理由を、図6を参照して説明する。
【0062】
図6は、横軸に転写バイアスの電圧設定値、縦軸に転写効率をとっている。転写効率は転写前の単位面積あたりのトナーの質量(g/cm2)に対する、転写後の単位面積あたりのトナーの質量(g/cm2)から算出された値である。上側にある2つの上凸形状の線が、転写電圧に対する、感光ドラム11から転写ベルト1へのトナーの転写される転写効率の変化を表している。
【0063】
実線で示す、転写材P、即ち、紙に対する転写効率が最も高くなる転写バイアスの設定値は、図6のXの点となる。一方、点線で示す、転写ベルト1に対する転写効率はYの点が最も高く、Xの設定値では転写効率が低下している。
【0064】
つまり、現像装置15により感光ドラム11上に顕像化したトナー像が、紙(転写材)Pの上に転写される転写効率をTRP1とする。また、感光ドラム11上に顕像化したトナー像が、転写材からはみ出し転写ベルト1の上に転写される転写効率をTRE1とする。
【0065】
すなわち、感光ドラム11上に顕像化したトナー像の単位面積当たりのトナー質量(g/cm2)をトナーP0、転写材Pの上に転写される単位面積当たりのトナー質量(g/cm2)をトナーP1、転写材Pからはみ出し転写ベルト1の上に転写される単位面積当たりのトナー質量をトナーE1(g/cm2)とすると、
転写効率TRP1=(P1/P0)×100(%)
転写効率TRE1=(E1/P0)×100(%)
である。
【0066】
本実施例にて、転写効率TRP1と転写効率TRE1とは、以下の関係、
TRP1>TRE1
とされる。
【0067】
この理由は、図4におけるAの転写ローラ3と転写ベルト1の抵抗設定では、紙が存在する部分と比較すると、紙が存在しない部分の方が相対的に抵抗が低くなる。そのため、同じ転写電圧設定値では、紙が存在せずに転写ベルト1にトナーが転写する部分の方が、転写電流が大きくなる。その結果、紙に対して最適となる転写電圧設定値では、転写ベルト1に対する転写電流が過大になって転写電流が部分的に異常放電を起こすような状態になる。そのため、トナーの移動に転写電流が寄与しないばかりか、トナーの電荷を減衰させるか、或いは、反転させる働きをして、転写バイアスに対してトナーが正常に追従する動きを抑制していると考えられる。
【0068】
一方、下流側の転写ステーションにおいては、上流側の転写ステーションで紙に転写されたトナーは、紙が有る部分では正常な転写電流が流れるため、感光ドラム11に対する逆転写は殆ど発生しない。
【0069】
しかしながら、転写ベルト1上のトナーに対しては、上流側の転写ステーションと同様に転写バイアスが異常放電を起こすため、転写ベルト1上のトナーの帯電が更に減衰するか、或いは、反転が促進され、一層逆転写が促進される。
【0070】
つまり、転写ベルト1の紙の搬送方向において、上流側の転写ローラ3で紙の上に転写したトナーP1が、下流側の転写ローラ3で感光ドラム11に逆転写されるトナーP2となる逆転写率をTR1とする。また、転写ベルト1の紙の搬送方向において、上流側の転写ローラ3で紙からはみ出し転写ベルト1の上に転写されたトナーE1が、下流側の転写ローラ3で感光ドラム11に逆転写されるトナーE2となる逆転写率をTR2とする。
【0071】
すなわち、トナーP1、P2、E1、E2は、単位面積当たりのトナーの質量(g/cm2)であり、逆転写率TR1及びTR2は、
TR1=(P2/P1)×100(%)
TR2=(E2/E1)×100(%)
である。
【0072】
本実施例によれば、逆転写率TR1と逆転写率TR2は、以下の関係、
TR1<TR2
とされる。
【0073】
図7は、転写ローラ3と転写ベルト1の抵抗を様々な設定に変えながら、図4のような測定を実施した結果を表にまとめたものである。図7において、上段はそれぞれの抵抗設定において画像を評価した結果である。下段は、転写ベルト1上に転写したトナーが下流の転写ステーションで回収され、転写ベルトクリーニング装置20の負荷が低減される場合には○を、ベルト上のトナーが下流の転写ステーションで殆ど回収されずクリーニング負荷が大きい場合には×とした。図7は、このようにして、転写ベルト1上の転写残量を測定した結果を表す。
【0074】
ここで、図7における画像不良について解説する。
【0075】
<メモリー>
図7において、転写ローラ3も転写ベルト1も抵抗が非常に低い場合は、転写材Pが有る部分とない部分の抵抗差が非常に大きくなるため、抵抗の低い転写材Pがない部分に転写電流が集中する。その結果、転写材Pがない部分の転写ベルト1に当接する感光ドラム11に過大な転写電流が流れ、感光ドラム11に転写メモリーが発生する。この転写メモリーにより、感光ドラム11上の電位が常に他の部分より低くなり、更にそれを繰り返すことで転写ベルト1上の紙のない部分に激しいトナー汚れ(地カブリ)を発生させてしまう。この地カブリにより、次に印字する紙のコバが汚れたり、トナーの消費量が無駄に多くなってしまう。
【0076】
<干渉>
図7において、転写ベルト1の抵抗が非常に低く、転写ローラ3の抵抗は比較的高い場合には、転写ローラ3の抵抗によってメモリーの発生は防げるものの、ベルト1の表面を伝って転写ステーション間で転写電流が相互に流れ込んで干渉し合ってしまう。その結果、隣り合う転写ステーションの転写バイアスがONするタイミングやOFFするタイミングで横スジ画像が発生したり、画像濃度が変化する。
【0077】
<濃度薄>
図7において、転写ベルト1や転写ローラ3の単体、又は、両方の抵抗が高くなると、転写電流が必要なだけ流れなくなってしまい、トナーを十分に転写できなくなってしまう。その結果、特に淡い画像がガサガサした印象になったり、酷い場合には濃い画像も薄くなってしまう。
【0078】
<○>
図7において、転写ローラ3と転写ベルト1の抵抗が適正になっており、上記のような画像不良が無く、許容範囲の画像が得られたことを示す。
【0079】
図7において、上記のような画像不良が発生せず、また、クリーニング装置20の負荷を低減できるような転写効率を達成できるのは、図6の黒線で囲った領域となった。つまり、転写ローラ3の体積抵抗(ρT)が106〜108Ω・cmの範囲内であり、転写ベルト1の体積抵抗(ρH)は、106〜1012Ω・cmの範囲内である。
【0080】
つまり、転写ローラ3の体積抵抗ρTは、
1×106Ω・cm≦ρH≦1×108Ω・cm
転写ベルト1の体積抵抗ρHは、
1×106Ω・cm≦ρH≦1×1012Ω・cm
である。
【0081】
すなわち、上記のような抵抗に設定した転写ベルト1と転写ローラ3を用いれば、転写材Pのエッジ部まで高品位な画像を保ちながら、転写材Pに転写されないトナーの一部を転写ステーションに回収可能となる。そのため、クリーニング部材21に対する負担が軽減される。
【0082】
その結果、従来、余白無し印刷後は、クリーニングしきれないトナーが転写ベルト1上に残るため、クリーニングのために余分に転写ベルト1を回転させていた。これに対し、本実施例では、1回のクリーニングで確実に転写ベルト1上のトナーをクリーニングできるようになった。そのため、クリーニング不良による汚れ等の発生がない高品位な画像を、速度を低下させること無く連続して出力することが可能である。
【0083】
なお、本実施例は、転写ベルト1のクリーニング装置20としてブレード21を用いたが、上述のように、従来公知のブラシやローラによって物理的にトナーを掻き取る手段とすることができる。
【0084】
更に、転写ベルト1のクリーニング装置20としては、当業者には周知の、帯電手段によって転写ベルト1上のトナーを帯電させ、感光ドラム11に回収する手段を採用することができる。また、感光ドラム11と転写ベルト1に周速差を設け、逆方向の転写バイアスを印加することで感光ドラム11にトナーを回収する手段を適用可能であることは言うまでもない。感光ドラム11に回収されたトナーは、感光ドラムクリーニング装置17にて感光ドラム11から除去される。これらの手段を適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0085】
実施例2
次に、本発明の第2実施例について説明する。本実施例においても、画像形成装置は、図1及び図2を参照して説明した実施例1と同様のカラー画像形成装置とされる。従って、画像形成装置の全体構成についての説明は実施例1の説明を援用し、以下には、本発明の特徴部分について説明する。
【0086】
実施例1においては、転写手段を構成する転写部材、即ち、転写ローラ3の抵抗をコントロールすることで、全ての転写ステーション通過後に転写ベルト1に残るトナー量をコントロールしていた。それに対し、本実施例では、転写ローラ3の硬度と転写ベルト1に対する当接圧をコントロールすることで、転写ベルト1に残るトナー量をコントロールすることを特徴とする。
【0087】
図8は、実施例1と同様の画像形成装置を用い、転写ローラ3の硬度と、転写ローラ3を加圧するバネ圧を変え、それぞれの設定における画像と、転写ベルト1に残るトナー量を測定した結果を表す。なお、転写ローラ3の抵抗は107Ω・cmに、転写ベルト1の抵抗は108Ω・cmに固定した。
【0088】
図8で示すニップNの幅(ニップ幅NW)の数値は、以下のように定義した。
【0089】
先ず、感光ドラム11にベタ黒のトナー像を形成した状態で画像形成装置を一旦止める。次に、感光ドラム11から転写ベルト1を離間させた状態で、感光ドラム11上のトナーが転写ベルト1に当接する位相に感光ドラム11を回転させる。更に、転写ベルト1を感光ドラム11に当接させ、転写ベルト1のみを動かし、転写ベルト1によってトナーが掻き取られた感光ドラム11上の幅を測定し、この値を転写ニップ幅(NW)とした。
【0090】
以下、図8のそれぞれの状態について解説する。
【0091】
<●>
図8の●の領域は、転写ローラ3の硬度が非常に高く、その一方で転写ローラ3の加圧力は低い状態である。このような設定では、転写ローラ3に加圧された転写ベルト1と感光ドラム11が形成するニップ幅(NW)が十分に取れない。
【0092】
上記の方法で●の領域の、転写ニップ幅(NW)を測定したところ、0.5mm未満であった。このようにニップ幅(NW)が非常に小さい場合には、転写ローラの長手方向で当接圧が不均一となり、画像に縦スジ状のムラが発生したり、左右で濃度差が発生し易い。そのため、●の領域では、転写材P、即ち、紙の上のトナー像の品位が低く、画像はNGと判断した。
【0093】
その一方で、紙の領域よりも外側で、感光ドラム11が直接転写ベルト1に当接する領域では、紙の厚み分転写ベルト1と感光ドラム11が離れることになる。その結果、転写ニップ幅(NW)が更に細くなるため、転写ベルト1に対する転写効率が低くなる。そのため、全ての転写ステーション通過後の転写ベルト1上のトナー残量は少なくできる。
【0094】
<○>
図8の○の領域は、転写ローラ3の硬度と転写ローラ3の加圧力が適正な設定になっており、実施例1で説明した、紙の有る部分と無い部分での電流の相対関係が保たれている。従って、画像は良好で、全転写ステーション通過後の転写ベルト上のトナー量も少なくなる。この時の転写ニップ幅(NW)は0.5mmから1.5mmの間であった。
【0095】
<△>
図8の△の領域では、紙上の画像に問題がない一方で、転写ベルト1上に残るトナーがやや多くなった。転写ベルト1上の残トナー量が多くなる理由としては、転写ニップ幅(NW)が1.5mmから2.0mmという、やや広めの幅となっているため、紙の外側で感光ドラム11と転写ベルト1が直接当接する領域でも転写圧が十分に高くなる。
【0096】
一方、紙の有る部分での転写圧も十分高いため、転写バイアスの設定はやや低い値に設定することになる。
【0097】
その結果、紙上とベルト上に対する最適な転写バイアス値の差が少なくなり、紙に対する最適な電圧に転写バイアスを設定しても、紙の無い部分で異常放電が発生せず、トナーの逆転写が発生しない。更に、元々転写圧によってベルト上に転写されるトナーが多いため、全ての転写ステーション通過後のベルト上のトナー残量が多くなってしまうのである。
【0098】
<×>
図8の×の領域では、△の領域から更に圧力による転写が強力になり、ベルト上にトナーが転写され易く、また、下流ステーションでの逆転写も発生しなくなる。そのため、紙上に転写されるトナー量とベルト上の残トナー量が殆ど等しい状態となって、下流のクリーニング手段の負荷が著しく高くなってしまう。
【0099】
以上、本実施例によれば、図8の○で示す如く、感光ドラム11と転写ベルト1の当接ニップ幅(NW)を0.5mmから1.5mmの間に設定する。つまり、
0.5mm≦NW≦1.5mm
であることによって、紙上の転写される画像を高画質に保つことができる。しかも、同時に、転写ベルト1のクリーニング手段20に対する負荷が軽減され、余白のないプリントを実行した後に特別なクリーニング動作を追加したり、特に、ベルト上のトナー残量が多い端部に追加のクリーニング手段を設ける必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明係る画像形成装置の一実施例の全体構成を説明する概略構成図である。
【図2】本発明係る画像形成装置の画像形成部の一実施例を説明する概略構成図である。
【図3】本発明の画像形成装置にて、余白無し印刷を説明する図である。
【図4】転写後の紙上におけるトナー残量を説明する図である。
【図5】転写後の転写ベルト上におけるトナー残量を説明する図である。
【図6】本発明における転写電圧設定の一実施例を説明する図である。
【図7】本発明における転写ローラ及び転写ベルトの抵抗設定の一実施例を説明する図である。
【図8】本発明におけるニップ部幅の設定の一実施例を説明する図である。
【符号の説明】
【0101】
1 転写材搬送手段(転写ベルト)
3(3a、3b、3c、3d) 転写ローラ(転写手段)
4(4a、4b、4c、4d) 転写バイアス電源
11(11a、11b、11c、11d) 感光ドラム(像担持体)
12(12a、12b、12c、1d) 帯電ローラ(帯電手段)
13(13a、13b、13c、13d) 露光装置(露光手段)
15(15a、15b、15c、15d) 現像装置(現像手段)
20 転写ベルトクリーニング装置(クリーニング手段)
21 クリーニングブレード
22 回収トナー貯留容器
S(Sa、Sb、Sc、Sd) 画像形成ステーション(画像形成部)
N(Na、Nb、Nc、Nd) ニップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つ以上の像担持体と、前記像担持体を所定の極性に帯電する帯電手段と、画像形成を行う転写材に対して余白を作ることのないサイズの静電潜像を前記像担持体上に形成する露光手段と、前記静電潜像にトナーを付着させてトナー像として顕像化させる現像手段と、前記転写材を搬送する転写材搬送手段と、前記トナー像を転写材に転写する転写手段と、を備えた多色画像形成装置において、
前記転写材搬送手段の前記転写材の搬送方向において、上流側の前記転写手段で前記転写材の上に転写したトナーの単位面積当たりの質量P1(g/cm2)のうち下流側の前記転写手段で前記像担持体に逆転写されるトナーP2(g/cm2)の率である逆転写率TR1=(P2/P1)×100(%)と、上流側の前記転写手段で前記転写材からはみ出し前記転写材搬送手段の上に転写されたトナーの単位面積当たりの質量E1(g/cm2)のうち、下流側の前記転写手段で前記像担持体に逆転写されるトナーE2(g/cm2)の率である逆転写率TR2=(E2/E1)×100(%)とが
TR1<TR2
の関係を満たすことを特徴とする多色画像形成装置。
【請求項2】
前記現像手段により像担持体上に顕像化した単位面積当たりのトナーの質量P0(g/cm2)のトナーのうちの、前記P1の割合である転写効率TRP1=(P1/P0)×100(%)と、前記像担持体上に顕像化した単位面積当たりのトナーの質量P0(g/cm2)トナーのうちの、前記E1の割合である転写効率TRE1=(E1/P0)×100(%)とが
TRP1>TRE1
の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の多色画像形成装置。
【請求項3】
前記転写材搬送手段の体積抵抗ρHが以下の範囲、
1×106Ω・cm≦ρH≦1×1012Ω・cm
であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多色画像形成装置。
【請求項4】
前記転写手段の体積抵抗ρTが以下の範囲、
1×106Ω・cm≦ρT≦1×108Ω・cm
であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の多色画像形成装置。
【請求項5】
前記転写材搬送手段と前記像担持体が接触するニップ幅NWが以下の範囲、
0.5mm≦NW≦1.5mm
であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の多色画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持体は感光ドラムであり、前記転写材搬送手段は転写ベルトであり、前記転写手段は転写ローラであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の多色画像形成装置。
【請求項7】
更に、前記転写材搬送手段の上に転写されたトナーを除去する手段を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の多色画像形成装置。
【請求項8】
前記転写材搬送手段の上に転写されたトナーを除去する手段は、前記転写材搬送手段の上に転写されたトナーを前記像担持体に回収することを特徴とする請求項7に記載の多色画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−186939(P2009−186939A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29744(P2008−29744)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】