多関節アームおよび搬送装置
【課題】並進する多関節アームを提供する。
【解決手段】多関節アーム100は、ベース10と第1のリンク110で連結した第1のアーム101と、第1のアーム101と中間リンク130で連結した第2のアーム102と、第2のアーム102と第2のリンク120で連結したエンドエフェクタ200とを含む。第1のリンク110は、第1のアーム101に対して同期して動く第1の駆動歯車111と、ベース10に対して同期して動く第1の伝達歯車112とを含む。中間リンク130は、第2のアーム102に対して同期して動き、第1の伝達歯車112とタイミングベルト139により接続された中間の駆動歯車131と、第1のアーム101に対して同期して動く中間の伝達歯車132とを含む。第2のリンク120は、エンドエフェクタ200に対して同期して動き、中間の伝達歯車132とタイミングベルト129により接続された第2の駆動歯車121を含む。
【解決手段】多関節アーム100は、ベース10と第1のリンク110で連結した第1のアーム101と、第1のアーム101と中間リンク130で連結した第2のアーム102と、第2のアーム102と第2のリンク120で連結したエンドエフェクタ200とを含む。第1のリンク110は、第1のアーム101に対して同期して動く第1の駆動歯車111と、ベース10に対して同期して動く第1の伝達歯車112とを含む。中間リンク130は、第2のアーム102に対して同期して動き、第1の伝達歯車112とタイミングベルト139により接続された中間の駆動歯車131と、第1のアーム101に対して同期して動く中間の伝達歯車132とを含む。第2のリンク120は、エンドエフェクタ200に対して同期して動き、中間の伝達歯車132とタイミングベルト129により接続された第2の駆動歯車121を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアーム、ワーク搬送などに適した多関節アームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トランスファプレスのワーク搬送装置が開示されている。この文献1の搬送装置は、プレスラインを挟む左右位置に、LMガイドを備えたコモンベースを設置し、LMガイドにスライド自在に取り付けたキャリッジを、昇降用モータに連結したスクリューにて昇降駆動できるようにしたものである。キャリッジに、旋回アームの基端部を回動可能に取り付けて、旋回用モータによりプレスライン方向へ旋回作動できるようにし、さらに、左右の旋回アームの先端部にそれぞれ回転自在に取り付けた軸部材に、ワーク保持具付きのクロスバーの両端部を連結し、旋回アームの旋回軸と同軸上に配置したチルト用モータの出力軸上のプーリと軸部材上のプーリにタイミングベルトを掛け回し、軸部材と一体のクロスバーが出力軸と同位相に保持されるようにすることが記載されている。
【0003】
特許文献2には、多関節アームを駆動するとき負荷を低減し、モータ容量の縮小化を図り、省エネルギの産業用ロボットを提供することが記載されている。この文献2にはロボットに、ロボットの各制御軸を駆動するモータが集中配置されるベース部を最上位の位置に配置し、ベース部から水平多関節アームを垂設し、上下方向に移動自在な上下アームを水平多関節アームの先端部に設け、上下アームの下端部にエンドエフェクタを有する手首部を設けることが記載されている。
【0004】
特許文献3には、ワークピースを不等間隔に搬送することができる搬送装置を提供することが記載されている。そのため、ワークピースを搬送するための複数のキャリッジと、これらキャリッジの上下方向の動きをガイドする第1のシャフトおよび第2のシャフトと、第1のシャフトを上下に動かす第1のシリンダと、第1のシャフトに対して第2のシャフトを上下に動かす第2のシリンダとを有する搬送装置を提供することが記載されている。
【0005】
この搬送装置によりワークを搬送させるプレス成形装置の典型的なものとしては、特許文献4に記載されたものが知られている。このプレス成形装置は、上型と下型とで対をなす成形型が、それぞれの型締め・型開き方向に直列に連なって配置されている。このプレス成形装置は、さらに、複数の成形型の間で、板状のワーク(ワークピース)を搬送するための搬送手段を有している。搬送手段は、成形型の連なる方向に移動可能であり、ワークを上下一方の成形型から保持し、他方の成形型で解除する。そのため、この搬送手段は、それぞれの成形型の型締め・型開き方向に延びる1本のガイドと、ワークを支持することが可能な複数のアームとを備えている。そして、複数のアームは、ガイドに案内されて、一定の間隔を保ったまま一斉に昇降駆動される。
【0006】
この成形装置では、ワークピースを保持する下型を前方に出して、それぞれのワークピースをそれに対応する高さのアームで保持し、下型を後方に戻し、次に、アームを一斉に上昇させる。その後、再び、下型を前方に出し、ワークピースをアームから離す。これにより、ワークピースは一段上の成形型にセットされるので、ワークピースは、下から上の成形型に順番に移動しながら所望の形状に成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−81423号公報
【特許文献2】特開2007−44838号公報
【特許文献3】特開2007−7720号公報
【特許文献4】特開2002−178194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ワークピースを同位相、すなわち平行(並行)に持ち運ぶ機構の1つとして、特許文献1に記載されているように、旋回アームの旋回軸と同軸上に配置したチルト用モータの出力軸上のプーリと軸部材上のプーリにタイミングベルトを掛け回し、軸部材と一体のクロスバーが出力軸と同位相に保持されるようにすることが公知である。しかしながら、多関節アームへの適用は開示されていない。
【0009】
多関節アームについては、特許文献2に記載されているように、ロボットの各制御軸を駆動するモータが要求され、関節毎に配置されたり、集中配置される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、第1のアームと、第1のアームの一方の端とベースとを連結し、ベースに対して第1のアームが旋回する第1のリンクと、第1のアームの他方の端と第2のアームの一方の端とを連結し、第1のアームに対して第2のアームが旋回する中間リンクと、第2のアームの他方の端とエンドエフェクタとを連結し、第2のアームに対してエンドエフェクタが旋回する第2のリンクとを有する多関節アームである。この多関節アームにおいて、第1のリンクは、第1のアームに対して同期して動く第1の駆動歯車と、第1の駆動歯車と同軸状に配置され、ベースに対して同期して動く第1の伝達歯車とを含み、中間リンクは、第2のアームに対して同期して動き、第1の伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された中間の駆動歯車と、第1のアームに対して同期して動く中間の伝達歯車とを含み、第2のリンクは、エンドエフェクタに対して同期して動き、中間の伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された第2の駆動歯車を含む。
【0011】
この多関節アームにおいては、中間リンクにより第2のアームを駆動できる。さらに、中間の伝達歯車は、第1のアームに対して同期して動き、タイミングベルトまたはタイミングチェーンにより第2の駆動歯車を駆動でき、エンドエフェクタの向きを制御できる。したがって、多関節アームにおいて、各軸を各モータで制御しなくても、第1のアームが旋回することにより、第2のアームおよびエンドエフェクタの向きを制御できる。
【0012】
エンドエフェクタの向きは、第1のアームの旋回角度、すなわち、第1の伝達歯車と中間の駆動歯車とのギア比Aと、第2の駆動歯車の旋回角度、すなわち、第2の駆動歯車と中間の伝達歯車とのギア比Bとにより制御でき、以下の条件(1)を満たすことにより、エンドエフェクタを並進(パラレル移動)させることができる。
A・B=A+B ・・・(1)
【0013】
典型的なギア比Aおよびギア比Bは2である。さらに、第1のリンクと中間リンクの距離と、中間リンクと第2のリンクとの距離を等しくすることにより、エンドエフェクタを直進させることも可能となる。
【0014】
3節のアームに限らず、4節以上であってもよい。本発明の他の態様の1つは、第1のアームと、第1のアームの一方の端とベースとを連結し、ベースに対して第1のアームが旋回する第1のリンクと、第1のアームの他方の端と第1の中間アームの一方の端とを連結し、第1のアームに対して第1の中間アームが旋回する第1の中間リンクと、第1の中間アーム、または第1の中間アームに他の中間アームを介して連結された第2の中間アーム、の他方の端と第2のアームの一方の端とを連結し、第1の中間アームまたは第2の中間アームに対して第2のアームが旋回する第2の中間リンクと、第2のアームの他方の端とエンドエフェクタとを連結し、第2のアームに対してエンドエフェクタが旋回する第2のリンクとを有する多関節アームである。
【0015】
この多関節アームの第1のリンクは、第1のアームに対して同期して動く第1の駆動歯車と、第1の駆動歯車と同軸状に配置され、ベースに対して同期して動く第1の伝達歯車とを含む。また、第1の中間リンクは、第1の中間アームに対して同期して動き、第1の伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された第1の中間の駆動歯車と、第1のアームに対して同期して動く第1の中間の伝達歯車とを含む。第2の中間リンクは、第2のアームに対して同期して動き、第1の中間アームまたは第2の中間アームの一方の端に設けられた伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された第2の中間の駆動歯車と、第1の中間アームまたは第2の中間アームに対して同期して動く第2の中間の伝達歯車とを含む。さらに、第2のリンクは、エンドエフェクタに対して同期して動き、第2の中間の伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された第2の駆動歯車を含む。
【0016】
中間アームは、一方の端の第1の中間の駆動歯車により旋回駆動され、上流のアームに同期して動く第1の中間の伝達歯車により他方の端の第2の中間の駆動歯車に位相が伝達される。たとえば、第1の中間の伝達歯車と第2の中間の駆動歯車とのギア比が1であれば、中間アームは蛇腹状に動き、第1の伝達歯車と第1の中間の駆動歯車とのギア比Aと、第2の駆動歯車と第2の中間の伝達歯車とのギア比Bとが上記の条件(1)を満たすことによりエンドエフェクタを並進させることができる。
【0017】
典型的なギア比Aおよびギア比Bは2であり、第1のリンクと第1の中間リンクの距離と、第2の中間リンクと第2のリンクの距離と、中間アームの一方の端と他方の端との距離を等しくすることにより、エンドエフェクタを直進させることができる。
【0018】
本発明の他の態様の1つは、上記の多関節アームを含むキャリッジであって、エンドエフェクタによりワークピースを着脱可能なキャリッジである。
【0019】
本発明の他の態様の1つは、さらに、複数のキャリッジと、複数のキャリッジの第1の方向の動きをガイドするガイド構造と、ガイド構造に沿って延びた駆動軸であって、複数のキャリッジの多関節アームの第1の駆動歯車を同期して駆動し、多関節アームを第1の方向に対して異なる方向に伸び縮みさせる駆動軸とを有する、搬送装置である。ガイド構造の一例は、ガイド軸と、そのガイド軸を第1の方向に動かす駆動装置とを含むものである。
【0020】
この搬送装置によれば、それぞれのキャリッジによりワークピースを吸着などの方法により把持し、第1の方向に移動するとともに、第1の方向に対して異なる方向、たとえば、直交する方向に多関節アームを伸縮させることによりワークピースを金型などの加工装置に対して出し入れできる。
【0021】
駆動軸の典型的なものはスプライン軸である。搬送装置は、さらに、スプライン軸をスライドし、複数のキャリッジのそれぞれの第1の駆動歯車に動力を伝達するための複数のボールスプラインと、複数のボールスプラインからの駆動力をオンオフするための複数のクラッチとをさらに有することが望ましい。クラッチをオンオフすることにより、キャリッジの多関節アームの伸縮を制御できる。
【0022】
本発明の他の態様の1つは、上記の搬送装置と、第1の方向に配置された複数の成形型を備えたプレス装置とを有する加工装置である。複数のキャリッジのそれぞれは、ガイド構造に沿って第1の停止位置と第2の停止位置との間を動き、第1の停止位置は、第1の成形型にワークピースをロードまたはアンロードするための位置であり、第2の停止位置は、第1の成形型よりも上流または下流に位置する第2の成形型にワークピースをロードまたはアンロードするための位置である。この加工装置において、複数の成形型は上下に配置できる。さらに、キャリッジが多関節アームにより伸縮するので、それぞれの成形型の下型が前後または左右にスライドする必要がない。したがって、この加工装置に含まれる複数の成形型は、それぞれの成形型の下型が前後または左右にスライドしない非スライドタイプであってもよい。
【0023】
本発明の他の態様の1つは、上記に記載の多関節アームを有するロボットである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態にかかる加工装置および搬送装置を示す側面図。
【図2】多関節アームの概要を示す斜視図。
【図3】多関節アームが縮んだ状態を示す斜視図。
【図4】多関節アームが伸びた状態を示す斜視図。
【図5】多関節アームのリンク機構を模式的に示す図。
【図6】多関節アームが伸縮した状態を模式的に示す図。
【図7】異なる多関節アームを模式的に示す図。
【図8】多関節アームの実構造の一例を示す図。
【図9】図1の加工装置および搬送装置の制御を説明するためのフローチャート。
【図10】搬送装置によりワークを把持する状態を示す側面図。
【図11】搬送装置によりワークを保持した状態を示す側面図。
【図12】搬送装置によりワークを上方の成形型にセットした状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に、本発明の搬送装置およびこの搬送装置を有する加工装置の一例を示してある。この加工装置4は、複数の成形型41、42、および43を備えたプレス装置2と、ワークピースWをプレス装置2に供給するための台車3と、複数の成形型41〜43および台車3との間でワークピースWを搬送するための搬送装置1とを有している。
【0026】
搬送装置1は、ワークピースWを搬送するための複数のキャリッジ10a、10bおよび10cと、これらキャリッジ10a、10bおよび10cの上下方向の動きをガイドする第1のガイド14および第2のガイド15とを有している。この搬送装置1は、第1および第2のガイド14、15としては、シャフトを用いており、これらのシャフト(ガイド構造、ガイド軸)14および15は、垂直方向に、並列に延びている。
【0027】
これらキャリッジ10a〜10cは、独立した状態で、個別に、シャフト14および15に沿って上下にスライドする。さらに、各々のキャリッジ10a〜10cは、先端にワークピースWを保持する機構13を備えた多関節アーム(ロボットアーム)100を搭載している。本例の保持機構13は、バキュームによりワークピースWを吸引支持する機能を備えている。ワークピースWが磁性体であれば、保持機構13として電磁石などを用いることも可能である。
【0028】
第1のシャフト14には、キャリッジ10a、10bおよび10cの下側に当たって下側の停止位置(第1の停止位置)をそれぞれ決める第1のストッパ(カラー)16a、16bおよび16cが取り付けられている。また、第2のシャフト15には、キャリッジ10a、10bおよび10cの下側に当たって、下側の停止位置に対して上側の停止位置(第2の停止位置)をそれぞれ決める第2のストッパ(カラー)17a、17bおよび17cが取り付けられている。これらのストッパ16a〜16cおよび17a〜17cは、それぞれのシャフトに沿ってユーザーがマニュアルあるいは適当な治具で移動して、ユーザーが希望する適当な位置に固定することができる。
【0029】
この搬送装置1は、第1のシャフト14を上下に動かす第1の駆動装置18と、第1のシャフト14に対して第2のシャフト15を上下に動かす第2の駆動装置19と、第1のシャフト14および第2のシャフト15を同期して上下に動かす第3の駆動装置20と、キャリッジ10a、10bおよび10cの多関節アーム100を駆動するための第4の駆動装置90を有している。駆動装置18、19および20は、それぞれ、アクチュエータとしてエアー駆動のシリンダを備えたシリンダタイプの駆動装置である。
【0030】
第4の駆動装置90は、キャリッジ10a、10bおよび10cを上下に第1のシャフト14および第2のシャフト15に沿って延びたスプライン軸(駆動軸)92と、スプライン軸92を回転させる駆動モータ91と、さらに、スプライン軸92から各キャリッジ10a、10bおよび10cの多関節アーム100に動力を伝達するためのボールスプライン93とを含む。各ボールスプライン93は、スプライン軸92に沿って上下にスライドし、スプライン軸92が回転すると、その回転を多関節アーム100に伝達する。
【0031】
第2のシリンダ19は、ピストンロッド19aの先端部が第2のシャフト15の基端部と連結され、基端部が、第1の支持部材21を介して第1のシリンダ18によって支持されている。したがって、第2のシリンダ19を駆動させると、第2のシャフト15を第1のシャフト14に対して上下方向に移動できる。
【0032】
第1のシリンダ18は、ピストンロッド18aの先端部が第1のシャフト14の基端部および第1の支持部材21と連結されている。第1のシリンダ18の基端部は、第2の支持部材22を介して第3のシリンダ20によって支持されている。したがって、第1のシリンダ18を駆動させると、第1のシャフト14が上下に移動するとともに、第2のシャフト15および第2のシリンダ19も上下に移動する。
【0033】
第3のシリンダ20は、ピストンロッド20aの先端部が第2の支持部材22と連結されている。したがって、第3のシリンダ20を駆動させると、第1のシャフト14、第2のシャフト15、第1のシリンダ18および第2のシリンダ19を共に、上下に移動できる。
【0034】
この搬送装置1によりワークピースWが搬送されるプレス装置2は、下側から、第1の成形型41、第2の成形型42、および、第3の成形型43を備えており、これらの成形型41〜43は、キャリッジ10a〜10cの移動方向、すなわち、本例においては上下に配置されている。さらに、プレス装置2は、成形型41〜43の下型41a〜43aに対して上型41b〜43bをそれぞれ上下方向に移動して下型41a〜43aに受け入れられたワークピースWをプレスする加圧機構45を備えている。加圧機構45は、さらに、ワークピースWを各下型41a〜43aに出し入れ(ロード・アンロード)するために、下型41a〜43aに対して上型41b〜43bを上げて成形型41〜43を開いた状態に保持する機能を備えている。
【0035】
台車3は、ワークピースWを搭載する積載部3aを備えている。この台車3は、キャリッジ10aの移動範囲の第1の成形型41よりも下側において、ワークピースWを払い出す位置と、キャリッジ10aの移動範囲から外れて、新しいワークピースWを受け入れる位置との間を往復動する。加工装置4は、さらに、制御ユニット50を備えており、この制御ユニット50を介して、第1、第2および第3のシリンダ18、19および20と、第4の駆動装置90と、台車3と、プレス装置2の加圧機構45とが制御される。
【0036】
図2に、多関節アーム100の概略構成を示している。この多関節アーム100は、第1のアーム101と、第1のアーム101の一方の端101aとキャリッジ10a〜10cのベース(スライダ)10とを連結し、ベース10に対して第1のアーム101が旋回する第1のリンク110と、第1のアーム101の他方の端101bと第2のアーム102の一方の端102aとを連結し、第1のアーム101に対して第2のアーム102が旋回する中間リンク130と、第2のアーム102の他方の端102bとエンドエフェクタ200とを連結し、第2のアーム102に対してエンドエフェクタ200が旋回する第2のリンク120とを有する。キャリッジ10a〜10cにおいては、エンドエフェクタ200の先端には保持機構13が取り付けられており、多関節アーム100の先端でワークピースWを着脱および保持可能になっている。
【0037】
第1のリンク110は、第1のアーム101に対して同期して動く第1の駆動歯車111と、第1の駆動歯車111と同軸状に配置され、ベース10に対して同期して動く第1の伝達歯車112とを含む。第1の伝達歯車112と、第1の駆動歯車111とは、第1の軸115に沿って上下に配置されており、第1の駆動歯車111に第1のアーム101の一方の端101aが固定されている。一方、第1の伝達歯車112は、ベース10に固定されている。また、第1の駆動歯車111は、ベースの駆動歯車96とタイミングベルト(タイミングチェーンでもよい(以下においても同様))97により接続され、ベースの駆動歯車96は、ボールスプライン93とクラッチ95を介して接続されている。
【0038】
したがって、スプライン軸92が回転し、クラッチ95がオンであれば、ベースの駆動歯車96が回転し、タイミングベルト97を介して第1の駆動歯車111が回転する。第1の駆動歯車111が、たとえば、時計方向に回転すると、それに連動(同期)して第1のアーム101が一方の端101aを中心として時計方向に旋回する。一方、第1の伝達歯車112はベース10に固定(同期)されているので回転しない。第1のアーム101を基準に考えると、第1の伝達歯車112は、反時計方向に回転する。
【0039】
中間リンク130は、第2のアーム102に対して同期して動き、第1の伝達歯車112とタイミングベルト(タイミングチェーン)139により接続された中間の駆動歯車131と、第1のアーム101に対して同期して動く中間の伝達歯車132とを含む。中間の伝達歯車132と、中間の駆動歯車131とは、中間軸135に沿って上下に配置されており、中間の駆動歯車131に第2のアーム102の一方の端102aが固定されている。一方、中間の伝達歯車132は、プレートなどの固定部材136により第1のアーム101の他方の端101bに固定されている。
【0040】
したがって、第1の駆動歯車111が時計方向に回転し、第1のアーム101が時計方向に旋回すると、中間の駆動歯車131がタイミングベルト139を介して第1の伝達歯車112により反時計方向に回転される。このため、中間の駆動歯車131に連動(同期)して第2のアーム102は一方の端102aを中心に反時計方向に旋回する。一方、中間の伝達歯車132は第1のアーム101に固定(同期)されているので、相対的に時計方向に回転する。
【0041】
第2のリンク120は、エンドエフェクタ200に対して同期して動き、中間の伝達歯車132とタイミングベルト(タイミングチェーン)129により接続された第2の駆動歯車121を含む。第2の駆動歯車121は、第2のアーム102の他方の端102bの第2の軸125に回転可能に設けられており、エンドエフェクタ200は第2の駆動歯車121に固定されている。
【0042】
したがって、中間の駆動歯車131が反時計方向に回転し、第2のアーム102が反時計方向に旋回すると、第2の駆動歯車121がタイミングベルト129を介して中間の伝達歯車132により時計方向に回転される。このため、第2の駆動歯車121に連動(同期)してエンドエフェクタ200は、第2のアーム102に対して、第2のアーム102の他方の端102bを中心に時計方向に旋回する。このため、ベース10に対するエンドエフェクタ200の向きを変えずに、ベース10に対して多関節アーム100を伸縮させることができる。すなわち、多関節アーム100を伸縮させることで、エンドエフェクタ200を並進させることができる。
【0043】
図3に、多関節アーム100を縮めてエンドエフェクタ200がホームポジションに位置した状態を示している。また、図4に、多関節アーム100を図2の状態よりもさらに延ばした状態を示している。この多関節アーム100は、第1の伝達歯車112と中間の駆動歯車131とのギア比(減速比)Aと、第2の駆動歯車121と中間の伝達歯車132とのギア比(減速比)Bとを「2」に設定している。さらに、第1のリンク110と中間リンク130の距離L1と、中間リンク130と第2のリンク120との距離L2とを等しくしている。すなわち、第1のアーム101の一方の端101aと他方の端101bとの距離L1と、第2のアーム102の一方の端102aと他方の端102bとの距離L2とを等しくしている。このため、図3および図4に示すように、第2のリンク120の第2の駆動歯車121は、第1のリンク110の第1の伝達歯車112に対して直線Xに沿って移動し、第1の伝達歯車112に対して第2の駆動歯車121は回転しない。
【0044】
すなわち、この多関節アーム100においては、アーム100が伸縮したときに、第2の駆動歯車121は、第1の伝達歯車112およびベース10に対して回転せずに並行に直進する。このため、スプライン軸92を回転することにより、エンドエフェクタ200および保持機構13を、姿勢を変えずに直進させることができ、ワークピースWをそれぞれの成形型41〜43にロードおよびアンロードできる。
【0045】
図5に、多関節アーム100の連結機構を模式的に示している。第1のリンク110の第1の駆動歯車111が時計方向に角度θ1だけ回転した場合を考える。第1のアーム101は一方の端101aを中心に角度θ1だけ回転する。第1のリンク110の第1の伝達歯車112は、第1のアーム101に対して角度θ1だけ反時計方向に回転する。
【0046】
中間リンク130において、中間の駆動歯車131は、第1の伝達歯車112とタイミングベルト139により連結しているので、以下の式(2)で表わされる角度θ2だけ反時計方向に回転する。
θ2=θ1・A2/M1・・・(2)
ただし、「A2」は第1の伝達歯車112の歯数であり、「M1」は中間の駆動歯車131の歯数である。
【0047】
第2のアーム102は、中間の駆動歯車131に同期して、第2のアーム102の一方の端102aを中心に角度θ2だけ旋回し、第2のアーム102は、ホームポジションの姿勢に対して以下の式(3)で表わされる角度θ3だけ傾く。
θ3=θ2−θ1=θ1・(A2/M1−1)・・・(3)
【0048】
第2のリンク120の駆動歯車121は、中間リンク130の伝達歯車132とタイミングベルト129により連結している。中間リンク130の伝達歯車132は、第1のアーム101に同期しているので、第2のアーム102に対して角度θ2だけ時計方向に回転する。したがって、駆動歯車121は、以下の式(4)で表わされる角度θ4だけ時計方向に回転する。
θ4=θ2・M2/B1=θ1・A2/M1・M2/B1・・・(4)
ただし、「B1」は第2の駆動歯車121の歯数であり、「M2」は中間の伝達歯車132の歯数である。
【0049】
第2の駆動歯車121が並進する条件は、以下の通りである。
θ3=θ4
θ1・(A2/M1−1)=θ1・A2/M1・M2/B1・・・(5)
【0050】
第1の伝達歯車112の歯数A2と中間の駆動歯車131の歯数M1との比(ギア比、減速比)を「A」とし、第2の駆動歯車121の歯数B1と中間の伝達歯車132の歯数M2との比(ギア比、減速比)を「B」とすると、この多関節アーム100においてエンドエフェクタ200が並進する条件は以下のようになる。
A・B=A+B・・・(1)
【0051】
この条件(1)を満足するギア比AおよびBの典型的な数字は「2」である。その他に、この条件(1)を満足するギア比AおよびBの組み合わせは(3、3/2)、(4、4/3)などがある。
【0052】
さらに、ギア比AおよびBが「2」の場合、式(2)からわかるように、角度θ2は角度θ1の2倍となる。このため、第1のアーム101の長さL1と、第2のアーム102の長さL2とを等しくすることにより、第1のリンク110、中間リンク130および第2のリンク120が二等辺三角形の各頂点の位置を保った状態で、この多関節アーム100は伸縮する。
【0053】
したがって、図6に示すように、多関節アーム100は、アームが最も縮んだホームポジションP1からアームが最も伸びたポジションP2の間で、第2のリンク120は直線Xの上を動き、さらに、第2のリンク120の駆動歯車121は、第1のリンク110の伝達歯車112に対して同位相となり相対的に回転しない。このため、第2のリンク120の駆動歯車121に固定されたエンドエフェクタ200は、多関節アーム100を伸縮させることにより、直線Xまたはそれに平行な直線上を並進する。
【0054】
この多関節アーム100は、中間リンクが2以上であってもよい。図7に、中間リンクが2以上の例のリンク機構を模式的に示している。この多関節アーム100は、第1のアーム101と、第1のアーム101の一方の端101aとベース10とを連結し、ベース10に対して第1のアーム101が旋回する第1のリンク110と、第1のアーム101の他方の端101bと第1の中間アーム103の一方の端103aとを連結し、第1のアーム101に対して第1の中間アーム103が旋回する第1の中間リンク130と、第1の中間アーム103、または第1の中間アーム103に他の中間アーム104を介して連結された第2の中間アーム105、の他方の端103bまたは105bと第2のアーム102の一方の端102aとを連結し、第1の中間アーム103または第2の中間アーム105に対して第2のアーム102が旋回する第2の中間リンク140と、第2のアーム102の他方の端102bとエンドエフェクタ200とを連結し、第2のアーム102に対してエンドエフェクタ200が旋回する第2のリンク120とを有する。
【0055】
この多関節アーム100の第1のリンク110は、第1のアーム101に対して同期(連動)して動く第1の駆動歯車111と、第1の駆動歯車111と同軸状に配置され、ベース10に対して同期して動く(固定された)第1の伝達歯車112とを含む。第1の中間リンク130は、第1の中間アーム103に対して同期(連動)して動き、第1の伝達歯車112とタイミングベルト(タイミングチェーン)139により接続された第1の中間の駆動歯車131と、第1のアーム101に対して同期して動く(固定された)第1の中間の伝達歯車132とを含む。第2の中間リンク140は、第2のアーム102に対して同期(連動)して動き、第1の中間アーム103または第2の中間アーム104の一方の端103aまたは105aに設けられた伝達歯車132または152とタイミングベルト(タイミングチェーン)149により接続された第2の中間の駆動歯車141と、第1の中間アーム103または第2の中間アーム105に対して同期して動く(固定された)第2の中間の伝達歯車142とを含む。第2のリンク120は、エンドエフェクタ200に対して同期(連動)して動き、第2の中間の伝達歯車142とタイミングベルト(タイミングチェーン)129により接続された第2の駆動歯車121を含む。
【0056】
この多関節アーム100において、中間アーム103は1つであっても、複数、たとえば中間アーム105または、1または複数の中間アーム104を含んでいてもよい。中間アーム105または104を連結する中間リンク150は、中間アーム104同士を連結する中間リンク150を例にすると、下流(自己)の中間アーム104に対して同期(連動)して動き、その中間アーム104の上流の中間アーム104の一方の端104aに設けられた伝達歯車152とタイミングベルト(タイミングチェーン)159により接続された駆動歯車151と、上流の中間アーム104に対して同期して動く(固定された)伝達歯車152とを含む。
【0057】
この中間リンク150の駆動歯車151と伝達歯車152とのギア比が「1」であれば、位相関係を第1のリンク110の伝達歯車112から、第2のリンク120の駆動歯車121に伝達することが可能である。したがって、第1の伝達歯車112と第1の中間の駆動歯車131とのギア比Aと、第2の駆動歯車121と第2の中間の伝達歯車132または152とのギア比Bとが上記の(1)式の条件を満たすことによりエンドエフェクタ200を並進させることができる。
【0058】
さらに、中間アーム103、104および105の長さを第1のアーム101および第2のアーム102と同じにし、中間リンク130、140、150の総数を奇数にすることにより第1のリンク110に対して第2のリンク120を直進させることができる。
【0059】
図8は、多関節アーム100の具体的な構成例を示している。第1のリンク110の第1の駆動歯車111は、ベース10に対して自由に回転する第1の軸115に固定されており、第1の軸115が第1のアーム101に固定されている。第1の伝達歯車112は、第1の軸115に対して自由に回転し、ベース10にねじにより固定されている。したがって、第1の駆動歯車111は第1のアーム101を旋回させ、第1の伝達歯車112はベース10に対する第1のアーム101の位相変化(角度変位)をタイミングベルト139により中間リンク130へ伝達する。
【0060】
中間リンク130の中間の駆動歯車131は、第1のアーム101に対して自由に回転する下側の中間軸135aに固定されており、この下側の中間軸135aに第2のアーム102が固定されている。中間の伝達歯車132は、下側の中間軸135aと同軸状に配置された上側の中間軸135bであって、第2のアーム102に対して自由に回転する中間軸135bに固定されている。この上側の中間軸135bは、プレート136により第1のアーム101に固定されている。したがって、中間の駆動歯車131は第2のアーム102を旋回させ、中間の伝達歯車132は第1のアーム101に対する第2のアーム102の位相変化(角度変位)をタイミングベルト129により第2のリンク120へ伝達する。
【0061】
第2のリンク120の第2の駆動歯車121は、第2のアーム102に対して自由に回転する第2の軸125に固定され、第2の軸125にエンドエフェクタ200が固定されている。したがって、第2の駆動歯車121は、第2のアーム102に対してエンドエフェクタ200の向きを制御し、エンドエフェクタ200を第1の伝達歯車112に対して位相を変えずに平行に進めることができる。
【0062】
図1に戻って、加工装置4においては、台車3に積載されたワークピースWの上面と第1の成形型41の下型41aに支持されたワークピースWの上面とが間隔L1、第1の成形型41の下型41aに支持されたワークピースWの上面と第2の成形型42の下型42aに支持されたワークピースWの上面とが間隔L2、第2の成形型42の下型42aに支持されたワークピースWの上面と第3の成形型43の下型43aに支持されたワークピースWの上面とが間隔L3となるように、台車3とプレス装置2とが水平面Fに対して調整されている。したがって、台車3から第1の成形型41の下型41aまでのワークピースWの移動距離は間隔L1となり、第1の成形型41の下型41aから第2の成形型42の下型42aまでのワークピースWの移動距離は間隔L2となり、第2の成形型42の下型42aから第3の成形型43の下型43aまでのワークピースWの移動距離が間隔L3となる。そして、これらの間隔L1、間隔L2、間隔L3は、L1<L2<L3となっている。本例の加工装置4においては、これらの間隔L1、間隔L2、間隔L3の関係を、成形型の形状、大きさなどによって任意に決めることが可能であり、ワークピースを移動する距離を一律に揃える必要はない。
【0063】
搬送装置1の各々のシャフト14および15に取り付けられたストッパ16a〜16cおよびストッパ17a〜17cの位置は、プレス装置2の成形型41〜43にワークピースWをロード(配給)し、アンロード(取得)する位置との関係により決まる。下から上に向かってワークピースWを搬送する場合、第1のシャフト14の一番下の第1のストッパ16aにより決まるキャリッジ10aの第1の停止位置は、台車3からワークピースWをアンロードするための位置である。第2のシャフト15の一番下の第2のストッパ17aにより決まるキャリッジ10aの第2の停止位置は、第1の成形型41にワークピースWをロードするための位置である。第1のシャフト14の真中の第1のストッパ16bにより決まるキャリッジ10bの第1の停止位置は、第1の成形型41からワークピースWをアンロードするための位置である。第2のシャフト15の真中の第2のストッパ17bにより決まるキャリッジ10bの第2の停止位置は、第1の成形型41よりも上側に位置する第2の成形型42にワークピースWをロードするための位置である。
【0064】
第1のシャフト14の一番上の第1のストッパ16cにより決まるキャリッジ10cの第1の停止位置は、第2の成形型42からワークピースWをアンロードするための位置である。第2のシャフト15の一番上の第2のストッパ17cにより決まるキャリッジ10cの第2の停止位置は、第2の成形型42よりも上側に位置する第3の成形型43にワークピースWをロードするための位置である。ワークピースWを上から下に搬送する場合は、ロードとアンロードが逆転する。
【0065】
このため、第1のシャフト14においては、第1のストッパ16aと第1のストッパ16bは間隔L1となるように、第1のストッパ16bと第1のストッパ16cは間隔L2となるようにセットされている。また、第2のシャフト15においては、第2のストッパ17aと第2のストッパ17bは間隔L2となるように、第2のストッパ17bと第2のストッパ17cは間隔L3となるように設定されている。それぞれのキャリッジ10a〜10cの停止位置における間隔は、これらのストッパ16a〜16cおよび17a〜17cにより決まるが、それぞれのキャリッジ10a〜10cのプレス装置2に対する第1および第2の停止位置は、これらのストッパ16a〜16cおよび17a〜17cの位置だけでは決まらず、第1のシリンダ18および第2のシリンダ19のストロークも加味される。すなわち、それぞれのキャリッジ10a〜10cの下方の第1の停止位置は、第1のシリンダ18がストロークの設定範囲で最も下側に動いた位置により決まる。また、それぞれのキャリッジ10a〜10cの上側の第2の停止位置は、第1のシリンダ18がストロークの設定範囲で最も上側に動き、さらに、第2のシリンダ19がストロークの設定範囲で最も上側に動いた位置により決まる。
【0066】
さらに、第3のシリンダ20は、第1のシャフト14および第2のシャフト15を共に動かして第1および第2の停止位置における共通の動きを制御する。それは、下型に対してワークピースをロードおよびアンロードする際にワークピースWを僅かに上下に動かす動作であり、成形型41〜43が前後に動く際にワークピースWと干渉しないようにするための動作である。このため、第3のシリンダ20のストロークL4は、各成形型の下型41a〜43aの上面に対して干渉しない程度に十分な距離が確保できるように設定されている。
【0067】
図9に、制御ユニット50により、搬送装置1の制御を含めた加工装置4の制御の概要をフローチャートにより示している。ステップS1において、プレス装置2のプレスが終了すると、成形型41〜43の上型と下型とが開いて、ワークピースWを交換できる状態になる。ステップS2において、図1に示すように、搬送装置1は、第3のシリンダ20を伸ばし、第1のシリンダ18および第2のシリンダ19を縮めた状態になる。したがって、キャリッジ10a〜10cは、それぞれのキャリッジの第1の停止位置(下側の停止位置)で停止している。この状態で、新しいワークピースWを積載させた台車3をキャリッジ10aの下側に向けて前方に移動させる。それとともに、搬送装置1においては、モータ91によりスプライン軸92を回転し、キャリッジ10bおよび10cの多関節アーム100を伸ばす。最下のキャリッジ10aにおいては、クラッチ95をオフし、多関節アーム100を縮めた状態にする。
【0068】
ステップS3において、図10に示すように、第3のシリンダ20をL4だけ下方に駆動させ、第1のキャリッジ10aに搭載された保持機構13により、台車3に積載された新しいワークピースWを吸着する。それとともに、第2および第3のキャリッジ10bおよび10cに搭載された保持機構13により、第1および第2の成形型41、42の下型41a、42aからワークピースWをそれぞれ吸着保持する。
【0069】
ステップS4において、第3のシリンダ20をストロークL4だけ上昇させる。その後、ステップS5において、図11に示すように、台車3を退去させるとともに、搬送装置1のスプライン軸92を逆転させて、キャリッジ10bおよび10cの多関節アーム100を縮める。最下のキャリッジ10aにおいては、クラッチ95をオフし、多関節アーム100を縮めた状態で維持する。
【0070】
この段階で、各キャリッジ10a〜10cは、第1のシャフト14のストッパ16a〜16cによって支持された下側の第1の停止位置においてワークピースWを吸着保持した状態となる。したがって、ステップS6において、第1および第2のシリンダ18および19を駆動させてピストンロッド18aおよび19aを上方へ伸ばすと、ワークピースWが上方へ搬送される。その途中で、キャリッジ10a、10bおよび10cは、第1のストッパ16a、16bおよび16cから、第2のストッパ17a、17bおよび17cに乗り移る。第2のシャフト15が停止したときにキャリッジ10a〜10cは第2のストッパ17a、17bおよび17cの位置でストップする。したがって、キャリッジ10a〜10cの間隔は、下側の停止位置では、第1のシャフト14により決まり、上側の停止位置では第2のシャフト15により決まる。
【0071】
ステップS7において、図12に示すように、搬送装置1のスプライン軸92を回転させて、キャリッジ10a〜10cの多関節アーム100を伸ばす。このときは、最下のキャリッジ10aにおいてもクラッチ95をオンし、多関節アーム100を伸ばす。そして、ステップS8において、第3のシリンダ20をストロークL4だけ下方へ駆動させ、キャリッジ10a、10bおよび10cがアーム100の先端の保持機構13により吸着保持していたワークピースWを下型41a、42aおよび43aにそれぞれリリース(アンロード)する。これにより、ワークピースWは下側の成形型から上側の成形型に順番に移動される。
【0072】
ステップS9において、第3のシリンダ20をL4だけ上昇させてクリアランスを確保する。その後、ステップS10において、搬送装置1のスプライン軸92を逆転させて、キャリッジ10a〜10cの多関節アーム100を縮める。プレス装置2は、各々の成形型41〜43によりプレスを開始できる。ステップS11において、第1および第2のシリンダ18および19を下方へ駆動させ、キャリッジ10a、10bおよび10cを、上方の第2の停止位置から、元の下方の第1の停止位置に戻す。この下降工程S11における、各キャリッジ10a〜10cの動きは、上述した上昇工程S6と反対であり、第1のシャフト14および第2のシャフト15をそれぞれ下側に駆動することで、キャリッジ10a〜10cは、まず、第2のシャフト15の第2のストッパ17a〜17cによりそれぞれ支持された状態で第1のシャフト14をスライドする。随時、キャリッジ10a〜10cは、第1のシャフト14の第1のストッパ16a〜16cに乗り移り、第2のシャフト15に対してはスライドする。そしてキャリッジ10a〜10cは、第1のシャフト14により停止した状態に移行する。
【0073】
搬送装置1は第1のシャフト14と第2のシャフト15とを備えており、それぞれに第1のストッパ16a〜16cと、第2のストッパ17a〜17cとを所望の位置に設定でき、それぞれのストッパにより3つのキャリッジ10a、10bおよび10cの下側の停止位置および上側の停止位置を独立して決定できる。したがって、成形型の高さ方向の間隔が均等ではないプレス装置2に対しても、ワークピースWを下側と上側とでは異なる間隔で保持し、上下に搬送できる。
【0074】
さらに、それぞれのキャリッジ10a〜10cは、多関節アーム100を備えており、この多関節アーム100は、伸び縮みさせることにより保持機構13を直線的に動かし、並進させることができる。したがって、各成形型41〜43にワークピースWをロードおよびアンロードするために、それぞれの成形型41〜43の下型41a〜43aを前後または左右にスライドさせる必要がない。このため、下型41a〜43aを前後または左右にスライドさせる機構は不要である。さらに、重量物である下型41a〜43aを前後または左右にスライドさせる時間に対して、軽量のワークピースWを多関節アーム100により前後に動かす時間の方が通常は短いので、加工装置4を用いてワークピースWを成形する時間を短縮できる。
【0075】
また、搬送装置1における多関節アーム100の伸縮は、クラッチ95のオンオフにより、キャリッジ10a〜10cの単位で制御できる。したがって、搬送装置1により、成形型41〜43にワークピースWをセットしたり、台車3からワークピースWを取り出したり、さらに、異なる加工装置あるいは排出装置にワークピースWを払い出したりすることが可能であり、搬送装置1は、多関節アーム100を備えたロボットとして多種多様な目的に使用できる。
【0076】
なお、本実施形態では、3つのキャリッジ10a、10bおよび10cを備えた搬送装置を示しているが、キャリッジの数はこれに限定されるものでない。また、1つのワークピースを搬送するために複数のキャリッジを消費するような構成も可能である。さらに、キャリッジのガイドとしてシャフトを採用した例を示しているが、レールなどの他のキャリッジをスライド支持できるガイド構造を採用することも可能である。また、上記では、上下方向に成形型が並んだプレス装置に対して、本発明の搬送装置によりワークを搬送する加工装置を示しているが、搬送装置あるいは多関節アームを備えたロボットは他の種々の加工機能を備えた装置に対してもワークピースを搬送できる。また、エンドエフェクタはワークピースを保持する機構に限られず、この多関節アームを備えたロボットは、エンドエフェクタを変えることにより多種多様な産業用あるいは民生用のロボットとして使用できる。
【符号の説明】
【0077】
1 搬送装置、 2 プレス装置、 4 加工装置
10a,10b,10c キャリッジ
41,42,43 成形型
100 多関節アーム
W ワークピース
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアーム、ワーク搬送などに適した多関節アームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トランスファプレスのワーク搬送装置が開示されている。この文献1の搬送装置は、プレスラインを挟む左右位置に、LMガイドを備えたコモンベースを設置し、LMガイドにスライド自在に取り付けたキャリッジを、昇降用モータに連結したスクリューにて昇降駆動できるようにしたものである。キャリッジに、旋回アームの基端部を回動可能に取り付けて、旋回用モータによりプレスライン方向へ旋回作動できるようにし、さらに、左右の旋回アームの先端部にそれぞれ回転自在に取り付けた軸部材に、ワーク保持具付きのクロスバーの両端部を連結し、旋回アームの旋回軸と同軸上に配置したチルト用モータの出力軸上のプーリと軸部材上のプーリにタイミングベルトを掛け回し、軸部材と一体のクロスバーが出力軸と同位相に保持されるようにすることが記載されている。
【0003】
特許文献2には、多関節アームを駆動するとき負荷を低減し、モータ容量の縮小化を図り、省エネルギの産業用ロボットを提供することが記載されている。この文献2にはロボットに、ロボットの各制御軸を駆動するモータが集中配置されるベース部を最上位の位置に配置し、ベース部から水平多関節アームを垂設し、上下方向に移動自在な上下アームを水平多関節アームの先端部に設け、上下アームの下端部にエンドエフェクタを有する手首部を設けることが記載されている。
【0004】
特許文献3には、ワークピースを不等間隔に搬送することができる搬送装置を提供することが記載されている。そのため、ワークピースを搬送するための複数のキャリッジと、これらキャリッジの上下方向の動きをガイドする第1のシャフトおよび第2のシャフトと、第1のシャフトを上下に動かす第1のシリンダと、第1のシャフトに対して第2のシャフトを上下に動かす第2のシリンダとを有する搬送装置を提供することが記載されている。
【0005】
この搬送装置によりワークを搬送させるプレス成形装置の典型的なものとしては、特許文献4に記載されたものが知られている。このプレス成形装置は、上型と下型とで対をなす成形型が、それぞれの型締め・型開き方向に直列に連なって配置されている。このプレス成形装置は、さらに、複数の成形型の間で、板状のワーク(ワークピース)を搬送するための搬送手段を有している。搬送手段は、成形型の連なる方向に移動可能であり、ワークを上下一方の成形型から保持し、他方の成形型で解除する。そのため、この搬送手段は、それぞれの成形型の型締め・型開き方向に延びる1本のガイドと、ワークを支持することが可能な複数のアームとを備えている。そして、複数のアームは、ガイドに案内されて、一定の間隔を保ったまま一斉に昇降駆動される。
【0006】
この成形装置では、ワークピースを保持する下型を前方に出して、それぞれのワークピースをそれに対応する高さのアームで保持し、下型を後方に戻し、次に、アームを一斉に上昇させる。その後、再び、下型を前方に出し、ワークピースをアームから離す。これにより、ワークピースは一段上の成形型にセットされるので、ワークピースは、下から上の成形型に順番に移動しながら所望の形状に成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−81423号公報
【特許文献2】特開2007−44838号公報
【特許文献3】特開2007−7720号公報
【特許文献4】特開2002−178194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ワークピースを同位相、すなわち平行(並行)に持ち運ぶ機構の1つとして、特許文献1に記載されているように、旋回アームの旋回軸と同軸上に配置したチルト用モータの出力軸上のプーリと軸部材上のプーリにタイミングベルトを掛け回し、軸部材と一体のクロスバーが出力軸と同位相に保持されるようにすることが公知である。しかしながら、多関節アームへの適用は開示されていない。
【0009】
多関節アームについては、特許文献2に記載されているように、ロボットの各制御軸を駆動するモータが要求され、関節毎に配置されたり、集中配置される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、第1のアームと、第1のアームの一方の端とベースとを連結し、ベースに対して第1のアームが旋回する第1のリンクと、第1のアームの他方の端と第2のアームの一方の端とを連結し、第1のアームに対して第2のアームが旋回する中間リンクと、第2のアームの他方の端とエンドエフェクタとを連結し、第2のアームに対してエンドエフェクタが旋回する第2のリンクとを有する多関節アームである。この多関節アームにおいて、第1のリンクは、第1のアームに対して同期して動く第1の駆動歯車と、第1の駆動歯車と同軸状に配置され、ベースに対して同期して動く第1の伝達歯車とを含み、中間リンクは、第2のアームに対して同期して動き、第1の伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された中間の駆動歯車と、第1のアームに対して同期して動く中間の伝達歯車とを含み、第2のリンクは、エンドエフェクタに対して同期して動き、中間の伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された第2の駆動歯車を含む。
【0011】
この多関節アームにおいては、中間リンクにより第2のアームを駆動できる。さらに、中間の伝達歯車は、第1のアームに対して同期して動き、タイミングベルトまたはタイミングチェーンにより第2の駆動歯車を駆動でき、エンドエフェクタの向きを制御できる。したがって、多関節アームにおいて、各軸を各モータで制御しなくても、第1のアームが旋回することにより、第2のアームおよびエンドエフェクタの向きを制御できる。
【0012】
エンドエフェクタの向きは、第1のアームの旋回角度、すなわち、第1の伝達歯車と中間の駆動歯車とのギア比Aと、第2の駆動歯車の旋回角度、すなわち、第2の駆動歯車と中間の伝達歯車とのギア比Bとにより制御でき、以下の条件(1)を満たすことにより、エンドエフェクタを並進(パラレル移動)させることができる。
A・B=A+B ・・・(1)
【0013】
典型的なギア比Aおよびギア比Bは2である。さらに、第1のリンクと中間リンクの距離と、中間リンクと第2のリンクとの距離を等しくすることにより、エンドエフェクタを直進させることも可能となる。
【0014】
3節のアームに限らず、4節以上であってもよい。本発明の他の態様の1つは、第1のアームと、第1のアームの一方の端とベースとを連結し、ベースに対して第1のアームが旋回する第1のリンクと、第1のアームの他方の端と第1の中間アームの一方の端とを連結し、第1のアームに対して第1の中間アームが旋回する第1の中間リンクと、第1の中間アーム、または第1の中間アームに他の中間アームを介して連結された第2の中間アーム、の他方の端と第2のアームの一方の端とを連結し、第1の中間アームまたは第2の中間アームに対して第2のアームが旋回する第2の中間リンクと、第2のアームの他方の端とエンドエフェクタとを連結し、第2のアームに対してエンドエフェクタが旋回する第2のリンクとを有する多関節アームである。
【0015】
この多関節アームの第1のリンクは、第1のアームに対して同期して動く第1の駆動歯車と、第1の駆動歯車と同軸状に配置され、ベースに対して同期して動く第1の伝達歯車とを含む。また、第1の中間リンクは、第1の中間アームに対して同期して動き、第1の伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された第1の中間の駆動歯車と、第1のアームに対して同期して動く第1の中間の伝達歯車とを含む。第2の中間リンクは、第2のアームに対して同期して動き、第1の中間アームまたは第2の中間アームの一方の端に設けられた伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された第2の中間の駆動歯車と、第1の中間アームまたは第2の中間アームに対して同期して動く第2の中間の伝達歯車とを含む。さらに、第2のリンクは、エンドエフェクタに対して同期して動き、第2の中間の伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された第2の駆動歯車を含む。
【0016】
中間アームは、一方の端の第1の中間の駆動歯車により旋回駆動され、上流のアームに同期して動く第1の中間の伝達歯車により他方の端の第2の中間の駆動歯車に位相が伝達される。たとえば、第1の中間の伝達歯車と第2の中間の駆動歯車とのギア比が1であれば、中間アームは蛇腹状に動き、第1の伝達歯車と第1の中間の駆動歯車とのギア比Aと、第2の駆動歯車と第2の中間の伝達歯車とのギア比Bとが上記の条件(1)を満たすことによりエンドエフェクタを並進させることができる。
【0017】
典型的なギア比Aおよびギア比Bは2であり、第1のリンクと第1の中間リンクの距離と、第2の中間リンクと第2のリンクの距離と、中間アームの一方の端と他方の端との距離を等しくすることにより、エンドエフェクタを直進させることができる。
【0018】
本発明の他の態様の1つは、上記の多関節アームを含むキャリッジであって、エンドエフェクタによりワークピースを着脱可能なキャリッジである。
【0019】
本発明の他の態様の1つは、さらに、複数のキャリッジと、複数のキャリッジの第1の方向の動きをガイドするガイド構造と、ガイド構造に沿って延びた駆動軸であって、複数のキャリッジの多関節アームの第1の駆動歯車を同期して駆動し、多関節アームを第1の方向に対して異なる方向に伸び縮みさせる駆動軸とを有する、搬送装置である。ガイド構造の一例は、ガイド軸と、そのガイド軸を第1の方向に動かす駆動装置とを含むものである。
【0020】
この搬送装置によれば、それぞれのキャリッジによりワークピースを吸着などの方法により把持し、第1の方向に移動するとともに、第1の方向に対して異なる方向、たとえば、直交する方向に多関節アームを伸縮させることによりワークピースを金型などの加工装置に対して出し入れできる。
【0021】
駆動軸の典型的なものはスプライン軸である。搬送装置は、さらに、スプライン軸をスライドし、複数のキャリッジのそれぞれの第1の駆動歯車に動力を伝達するための複数のボールスプラインと、複数のボールスプラインからの駆動力をオンオフするための複数のクラッチとをさらに有することが望ましい。クラッチをオンオフすることにより、キャリッジの多関節アームの伸縮を制御できる。
【0022】
本発明の他の態様の1つは、上記の搬送装置と、第1の方向に配置された複数の成形型を備えたプレス装置とを有する加工装置である。複数のキャリッジのそれぞれは、ガイド構造に沿って第1の停止位置と第2の停止位置との間を動き、第1の停止位置は、第1の成形型にワークピースをロードまたはアンロードするための位置であり、第2の停止位置は、第1の成形型よりも上流または下流に位置する第2の成形型にワークピースをロードまたはアンロードするための位置である。この加工装置において、複数の成形型は上下に配置できる。さらに、キャリッジが多関節アームにより伸縮するので、それぞれの成形型の下型が前後または左右にスライドする必要がない。したがって、この加工装置に含まれる複数の成形型は、それぞれの成形型の下型が前後または左右にスライドしない非スライドタイプであってもよい。
【0023】
本発明の他の態様の1つは、上記に記載の多関節アームを有するロボットである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態にかかる加工装置および搬送装置を示す側面図。
【図2】多関節アームの概要を示す斜視図。
【図3】多関節アームが縮んだ状態を示す斜視図。
【図4】多関節アームが伸びた状態を示す斜視図。
【図5】多関節アームのリンク機構を模式的に示す図。
【図6】多関節アームが伸縮した状態を模式的に示す図。
【図7】異なる多関節アームを模式的に示す図。
【図8】多関節アームの実構造の一例を示す図。
【図9】図1の加工装置および搬送装置の制御を説明するためのフローチャート。
【図10】搬送装置によりワークを把持する状態を示す側面図。
【図11】搬送装置によりワークを保持した状態を示す側面図。
【図12】搬送装置によりワークを上方の成形型にセットした状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に、本発明の搬送装置およびこの搬送装置を有する加工装置の一例を示してある。この加工装置4は、複数の成形型41、42、および43を備えたプレス装置2と、ワークピースWをプレス装置2に供給するための台車3と、複数の成形型41〜43および台車3との間でワークピースWを搬送するための搬送装置1とを有している。
【0026】
搬送装置1は、ワークピースWを搬送するための複数のキャリッジ10a、10bおよび10cと、これらキャリッジ10a、10bおよび10cの上下方向の動きをガイドする第1のガイド14および第2のガイド15とを有している。この搬送装置1は、第1および第2のガイド14、15としては、シャフトを用いており、これらのシャフト(ガイド構造、ガイド軸)14および15は、垂直方向に、並列に延びている。
【0027】
これらキャリッジ10a〜10cは、独立した状態で、個別に、シャフト14および15に沿って上下にスライドする。さらに、各々のキャリッジ10a〜10cは、先端にワークピースWを保持する機構13を備えた多関節アーム(ロボットアーム)100を搭載している。本例の保持機構13は、バキュームによりワークピースWを吸引支持する機能を備えている。ワークピースWが磁性体であれば、保持機構13として電磁石などを用いることも可能である。
【0028】
第1のシャフト14には、キャリッジ10a、10bおよび10cの下側に当たって下側の停止位置(第1の停止位置)をそれぞれ決める第1のストッパ(カラー)16a、16bおよび16cが取り付けられている。また、第2のシャフト15には、キャリッジ10a、10bおよび10cの下側に当たって、下側の停止位置に対して上側の停止位置(第2の停止位置)をそれぞれ決める第2のストッパ(カラー)17a、17bおよび17cが取り付けられている。これらのストッパ16a〜16cおよび17a〜17cは、それぞれのシャフトに沿ってユーザーがマニュアルあるいは適当な治具で移動して、ユーザーが希望する適当な位置に固定することができる。
【0029】
この搬送装置1は、第1のシャフト14を上下に動かす第1の駆動装置18と、第1のシャフト14に対して第2のシャフト15を上下に動かす第2の駆動装置19と、第1のシャフト14および第2のシャフト15を同期して上下に動かす第3の駆動装置20と、キャリッジ10a、10bおよび10cの多関節アーム100を駆動するための第4の駆動装置90を有している。駆動装置18、19および20は、それぞれ、アクチュエータとしてエアー駆動のシリンダを備えたシリンダタイプの駆動装置である。
【0030】
第4の駆動装置90は、キャリッジ10a、10bおよび10cを上下に第1のシャフト14および第2のシャフト15に沿って延びたスプライン軸(駆動軸)92と、スプライン軸92を回転させる駆動モータ91と、さらに、スプライン軸92から各キャリッジ10a、10bおよび10cの多関節アーム100に動力を伝達するためのボールスプライン93とを含む。各ボールスプライン93は、スプライン軸92に沿って上下にスライドし、スプライン軸92が回転すると、その回転を多関節アーム100に伝達する。
【0031】
第2のシリンダ19は、ピストンロッド19aの先端部が第2のシャフト15の基端部と連結され、基端部が、第1の支持部材21を介して第1のシリンダ18によって支持されている。したがって、第2のシリンダ19を駆動させると、第2のシャフト15を第1のシャフト14に対して上下方向に移動できる。
【0032】
第1のシリンダ18は、ピストンロッド18aの先端部が第1のシャフト14の基端部および第1の支持部材21と連結されている。第1のシリンダ18の基端部は、第2の支持部材22を介して第3のシリンダ20によって支持されている。したがって、第1のシリンダ18を駆動させると、第1のシャフト14が上下に移動するとともに、第2のシャフト15および第2のシリンダ19も上下に移動する。
【0033】
第3のシリンダ20は、ピストンロッド20aの先端部が第2の支持部材22と連結されている。したがって、第3のシリンダ20を駆動させると、第1のシャフト14、第2のシャフト15、第1のシリンダ18および第2のシリンダ19を共に、上下に移動できる。
【0034】
この搬送装置1によりワークピースWが搬送されるプレス装置2は、下側から、第1の成形型41、第2の成形型42、および、第3の成形型43を備えており、これらの成形型41〜43は、キャリッジ10a〜10cの移動方向、すなわち、本例においては上下に配置されている。さらに、プレス装置2は、成形型41〜43の下型41a〜43aに対して上型41b〜43bをそれぞれ上下方向に移動して下型41a〜43aに受け入れられたワークピースWをプレスする加圧機構45を備えている。加圧機構45は、さらに、ワークピースWを各下型41a〜43aに出し入れ(ロード・アンロード)するために、下型41a〜43aに対して上型41b〜43bを上げて成形型41〜43を開いた状態に保持する機能を備えている。
【0035】
台車3は、ワークピースWを搭載する積載部3aを備えている。この台車3は、キャリッジ10aの移動範囲の第1の成形型41よりも下側において、ワークピースWを払い出す位置と、キャリッジ10aの移動範囲から外れて、新しいワークピースWを受け入れる位置との間を往復動する。加工装置4は、さらに、制御ユニット50を備えており、この制御ユニット50を介して、第1、第2および第3のシリンダ18、19および20と、第4の駆動装置90と、台車3と、プレス装置2の加圧機構45とが制御される。
【0036】
図2に、多関節アーム100の概略構成を示している。この多関節アーム100は、第1のアーム101と、第1のアーム101の一方の端101aとキャリッジ10a〜10cのベース(スライダ)10とを連結し、ベース10に対して第1のアーム101が旋回する第1のリンク110と、第1のアーム101の他方の端101bと第2のアーム102の一方の端102aとを連結し、第1のアーム101に対して第2のアーム102が旋回する中間リンク130と、第2のアーム102の他方の端102bとエンドエフェクタ200とを連結し、第2のアーム102に対してエンドエフェクタ200が旋回する第2のリンク120とを有する。キャリッジ10a〜10cにおいては、エンドエフェクタ200の先端には保持機構13が取り付けられており、多関節アーム100の先端でワークピースWを着脱および保持可能になっている。
【0037】
第1のリンク110は、第1のアーム101に対して同期して動く第1の駆動歯車111と、第1の駆動歯車111と同軸状に配置され、ベース10に対して同期して動く第1の伝達歯車112とを含む。第1の伝達歯車112と、第1の駆動歯車111とは、第1の軸115に沿って上下に配置されており、第1の駆動歯車111に第1のアーム101の一方の端101aが固定されている。一方、第1の伝達歯車112は、ベース10に固定されている。また、第1の駆動歯車111は、ベースの駆動歯車96とタイミングベルト(タイミングチェーンでもよい(以下においても同様))97により接続され、ベースの駆動歯車96は、ボールスプライン93とクラッチ95を介して接続されている。
【0038】
したがって、スプライン軸92が回転し、クラッチ95がオンであれば、ベースの駆動歯車96が回転し、タイミングベルト97を介して第1の駆動歯車111が回転する。第1の駆動歯車111が、たとえば、時計方向に回転すると、それに連動(同期)して第1のアーム101が一方の端101aを中心として時計方向に旋回する。一方、第1の伝達歯車112はベース10に固定(同期)されているので回転しない。第1のアーム101を基準に考えると、第1の伝達歯車112は、反時計方向に回転する。
【0039】
中間リンク130は、第2のアーム102に対して同期して動き、第1の伝達歯車112とタイミングベルト(タイミングチェーン)139により接続された中間の駆動歯車131と、第1のアーム101に対して同期して動く中間の伝達歯車132とを含む。中間の伝達歯車132と、中間の駆動歯車131とは、中間軸135に沿って上下に配置されており、中間の駆動歯車131に第2のアーム102の一方の端102aが固定されている。一方、中間の伝達歯車132は、プレートなどの固定部材136により第1のアーム101の他方の端101bに固定されている。
【0040】
したがって、第1の駆動歯車111が時計方向に回転し、第1のアーム101が時計方向に旋回すると、中間の駆動歯車131がタイミングベルト139を介して第1の伝達歯車112により反時計方向に回転される。このため、中間の駆動歯車131に連動(同期)して第2のアーム102は一方の端102aを中心に反時計方向に旋回する。一方、中間の伝達歯車132は第1のアーム101に固定(同期)されているので、相対的に時計方向に回転する。
【0041】
第2のリンク120は、エンドエフェクタ200に対して同期して動き、中間の伝達歯車132とタイミングベルト(タイミングチェーン)129により接続された第2の駆動歯車121を含む。第2の駆動歯車121は、第2のアーム102の他方の端102bの第2の軸125に回転可能に設けられており、エンドエフェクタ200は第2の駆動歯車121に固定されている。
【0042】
したがって、中間の駆動歯車131が反時計方向に回転し、第2のアーム102が反時計方向に旋回すると、第2の駆動歯車121がタイミングベルト129を介して中間の伝達歯車132により時計方向に回転される。このため、第2の駆動歯車121に連動(同期)してエンドエフェクタ200は、第2のアーム102に対して、第2のアーム102の他方の端102bを中心に時計方向に旋回する。このため、ベース10に対するエンドエフェクタ200の向きを変えずに、ベース10に対して多関節アーム100を伸縮させることができる。すなわち、多関節アーム100を伸縮させることで、エンドエフェクタ200を並進させることができる。
【0043】
図3に、多関節アーム100を縮めてエンドエフェクタ200がホームポジションに位置した状態を示している。また、図4に、多関節アーム100を図2の状態よりもさらに延ばした状態を示している。この多関節アーム100は、第1の伝達歯車112と中間の駆動歯車131とのギア比(減速比)Aと、第2の駆動歯車121と中間の伝達歯車132とのギア比(減速比)Bとを「2」に設定している。さらに、第1のリンク110と中間リンク130の距離L1と、中間リンク130と第2のリンク120との距離L2とを等しくしている。すなわち、第1のアーム101の一方の端101aと他方の端101bとの距離L1と、第2のアーム102の一方の端102aと他方の端102bとの距離L2とを等しくしている。このため、図3および図4に示すように、第2のリンク120の第2の駆動歯車121は、第1のリンク110の第1の伝達歯車112に対して直線Xに沿って移動し、第1の伝達歯車112に対して第2の駆動歯車121は回転しない。
【0044】
すなわち、この多関節アーム100においては、アーム100が伸縮したときに、第2の駆動歯車121は、第1の伝達歯車112およびベース10に対して回転せずに並行に直進する。このため、スプライン軸92を回転することにより、エンドエフェクタ200および保持機構13を、姿勢を変えずに直進させることができ、ワークピースWをそれぞれの成形型41〜43にロードおよびアンロードできる。
【0045】
図5に、多関節アーム100の連結機構を模式的に示している。第1のリンク110の第1の駆動歯車111が時計方向に角度θ1だけ回転した場合を考える。第1のアーム101は一方の端101aを中心に角度θ1だけ回転する。第1のリンク110の第1の伝達歯車112は、第1のアーム101に対して角度θ1だけ反時計方向に回転する。
【0046】
中間リンク130において、中間の駆動歯車131は、第1の伝達歯車112とタイミングベルト139により連結しているので、以下の式(2)で表わされる角度θ2だけ反時計方向に回転する。
θ2=θ1・A2/M1・・・(2)
ただし、「A2」は第1の伝達歯車112の歯数であり、「M1」は中間の駆動歯車131の歯数である。
【0047】
第2のアーム102は、中間の駆動歯車131に同期して、第2のアーム102の一方の端102aを中心に角度θ2だけ旋回し、第2のアーム102は、ホームポジションの姿勢に対して以下の式(3)で表わされる角度θ3だけ傾く。
θ3=θ2−θ1=θ1・(A2/M1−1)・・・(3)
【0048】
第2のリンク120の駆動歯車121は、中間リンク130の伝達歯車132とタイミングベルト129により連結している。中間リンク130の伝達歯車132は、第1のアーム101に同期しているので、第2のアーム102に対して角度θ2だけ時計方向に回転する。したがって、駆動歯車121は、以下の式(4)で表わされる角度θ4だけ時計方向に回転する。
θ4=θ2・M2/B1=θ1・A2/M1・M2/B1・・・(4)
ただし、「B1」は第2の駆動歯車121の歯数であり、「M2」は中間の伝達歯車132の歯数である。
【0049】
第2の駆動歯車121が並進する条件は、以下の通りである。
θ3=θ4
θ1・(A2/M1−1)=θ1・A2/M1・M2/B1・・・(5)
【0050】
第1の伝達歯車112の歯数A2と中間の駆動歯車131の歯数M1との比(ギア比、減速比)を「A」とし、第2の駆動歯車121の歯数B1と中間の伝達歯車132の歯数M2との比(ギア比、減速比)を「B」とすると、この多関節アーム100においてエンドエフェクタ200が並進する条件は以下のようになる。
A・B=A+B・・・(1)
【0051】
この条件(1)を満足するギア比AおよびBの典型的な数字は「2」である。その他に、この条件(1)を満足するギア比AおよびBの組み合わせは(3、3/2)、(4、4/3)などがある。
【0052】
さらに、ギア比AおよびBが「2」の場合、式(2)からわかるように、角度θ2は角度θ1の2倍となる。このため、第1のアーム101の長さL1と、第2のアーム102の長さL2とを等しくすることにより、第1のリンク110、中間リンク130および第2のリンク120が二等辺三角形の各頂点の位置を保った状態で、この多関節アーム100は伸縮する。
【0053】
したがって、図6に示すように、多関節アーム100は、アームが最も縮んだホームポジションP1からアームが最も伸びたポジションP2の間で、第2のリンク120は直線Xの上を動き、さらに、第2のリンク120の駆動歯車121は、第1のリンク110の伝達歯車112に対して同位相となり相対的に回転しない。このため、第2のリンク120の駆動歯車121に固定されたエンドエフェクタ200は、多関節アーム100を伸縮させることにより、直線Xまたはそれに平行な直線上を並進する。
【0054】
この多関節アーム100は、中間リンクが2以上であってもよい。図7に、中間リンクが2以上の例のリンク機構を模式的に示している。この多関節アーム100は、第1のアーム101と、第1のアーム101の一方の端101aとベース10とを連結し、ベース10に対して第1のアーム101が旋回する第1のリンク110と、第1のアーム101の他方の端101bと第1の中間アーム103の一方の端103aとを連結し、第1のアーム101に対して第1の中間アーム103が旋回する第1の中間リンク130と、第1の中間アーム103、または第1の中間アーム103に他の中間アーム104を介して連結された第2の中間アーム105、の他方の端103bまたは105bと第2のアーム102の一方の端102aとを連結し、第1の中間アーム103または第2の中間アーム105に対して第2のアーム102が旋回する第2の中間リンク140と、第2のアーム102の他方の端102bとエンドエフェクタ200とを連結し、第2のアーム102に対してエンドエフェクタ200が旋回する第2のリンク120とを有する。
【0055】
この多関節アーム100の第1のリンク110は、第1のアーム101に対して同期(連動)して動く第1の駆動歯車111と、第1の駆動歯車111と同軸状に配置され、ベース10に対して同期して動く(固定された)第1の伝達歯車112とを含む。第1の中間リンク130は、第1の中間アーム103に対して同期(連動)して動き、第1の伝達歯車112とタイミングベルト(タイミングチェーン)139により接続された第1の中間の駆動歯車131と、第1のアーム101に対して同期して動く(固定された)第1の中間の伝達歯車132とを含む。第2の中間リンク140は、第2のアーム102に対して同期(連動)して動き、第1の中間アーム103または第2の中間アーム104の一方の端103aまたは105aに設けられた伝達歯車132または152とタイミングベルト(タイミングチェーン)149により接続された第2の中間の駆動歯車141と、第1の中間アーム103または第2の中間アーム105に対して同期して動く(固定された)第2の中間の伝達歯車142とを含む。第2のリンク120は、エンドエフェクタ200に対して同期(連動)して動き、第2の中間の伝達歯車142とタイミングベルト(タイミングチェーン)129により接続された第2の駆動歯車121を含む。
【0056】
この多関節アーム100において、中間アーム103は1つであっても、複数、たとえば中間アーム105または、1または複数の中間アーム104を含んでいてもよい。中間アーム105または104を連結する中間リンク150は、中間アーム104同士を連結する中間リンク150を例にすると、下流(自己)の中間アーム104に対して同期(連動)して動き、その中間アーム104の上流の中間アーム104の一方の端104aに設けられた伝達歯車152とタイミングベルト(タイミングチェーン)159により接続された駆動歯車151と、上流の中間アーム104に対して同期して動く(固定された)伝達歯車152とを含む。
【0057】
この中間リンク150の駆動歯車151と伝達歯車152とのギア比が「1」であれば、位相関係を第1のリンク110の伝達歯車112から、第2のリンク120の駆動歯車121に伝達することが可能である。したがって、第1の伝達歯車112と第1の中間の駆動歯車131とのギア比Aと、第2の駆動歯車121と第2の中間の伝達歯車132または152とのギア比Bとが上記の(1)式の条件を満たすことによりエンドエフェクタ200を並進させることができる。
【0058】
さらに、中間アーム103、104および105の長さを第1のアーム101および第2のアーム102と同じにし、中間リンク130、140、150の総数を奇数にすることにより第1のリンク110に対して第2のリンク120を直進させることができる。
【0059】
図8は、多関節アーム100の具体的な構成例を示している。第1のリンク110の第1の駆動歯車111は、ベース10に対して自由に回転する第1の軸115に固定されており、第1の軸115が第1のアーム101に固定されている。第1の伝達歯車112は、第1の軸115に対して自由に回転し、ベース10にねじにより固定されている。したがって、第1の駆動歯車111は第1のアーム101を旋回させ、第1の伝達歯車112はベース10に対する第1のアーム101の位相変化(角度変位)をタイミングベルト139により中間リンク130へ伝達する。
【0060】
中間リンク130の中間の駆動歯車131は、第1のアーム101に対して自由に回転する下側の中間軸135aに固定されており、この下側の中間軸135aに第2のアーム102が固定されている。中間の伝達歯車132は、下側の中間軸135aと同軸状に配置された上側の中間軸135bであって、第2のアーム102に対して自由に回転する中間軸135bに固定されている。この上側の中間軸135bは、プレート136により第1のアーム101に固定されている。したがって、中間の駆動歯車131は第2のアーム102を旋回させ、中間の伝達歯車132は第1のアーム101に対する第2のアーム102の位相変化(角度変位)をタイミングベルト129により第2のリンク120へ伝達する。
【0061】
第2のリンク120の第2の駆動歯車121は、第2のアーム102に対して自由に回転する第2の軸125に固定され、第2の軸125にエンドエフェクタ200が固定されている。したがって、第2の駆動歯車121は、第2のアーム102に対してエンドエフェクタ200の向きを制御し、エンドエフェクタ200を第1の伝達歯車112に対して位相を変えずに平行に進めることができる。
【0062】
図1に戻って、加工装置4においては、台車3に積載されたワークピースWの上面と第1の成形型41の下型41aに支持されたワークピースWの上面とが間隔L1、第1の成形型41の下型41aに支持されたワークピースWの上面と第2の成形型42の下型42aに支持されたワークピースWの上面とが間隔L2、第2の成形型42の下型42aに支持されたワークピースWの上面と第3の成形型43の下型43aに支持されたワークピースWの上面とが間隔L3となるように、台車3とプレス装置2とが水平面Fに対して調整されている。したがって、台車3から第1の成形型41の下型41aまでのワークピースWの移動距離は間隔L1となり、第1の成形型41の下型41aから第2の成形型42の下型42aまでのワークピースWの移動距離は間隔L2となり、第2の成形型42の下型42aから第3の成形型43の下型43aまでのワークピースWの移動距離が間隔L3となる。そして、これらの間隔L1、間隔L2、間隔L3は、L1<L2<L3となっている。本例の加工装置4においては、これらの間隔L1、間隔L2、間隔L3の関係を、成形型の形状、大きさなどによって任意に決めることが可能であり、ワークピースを移動する距離を一律に揃える必要はない。
【0063】
搬送装置1の各々のシャフト14および15に取り付けられたストッパ16a〜16cおよびストッパ17a〜17cの位置は、プレス装置2の成形型41〜43にワークピースWをロード(配給)し、アンロード(取得)する位置との関係により決まる。下から上に向かってワークピースWを搬送する場合、第1のシャフト14の一番下の第1のストッパ16aにより決まるキャリッジ10aの第1の停止位置は、台車3からワークピースWをアンロードするための位置である。第2のシャフト15の一番下の第2のストッパ17aにより決まるキャリッジ10aの第2の停止位置は、第1の成形型41にワークピースWをロードするための位置である。第1のシャフト14の真中の第1のストッパ16bにより決まるキャリッジ10bの第1の停止位置は、第1の成形型41からワークピースWをアンロードするための位置である。第2のシャフト15の真中の第2のストッパ17bにより決まるキャリッジ10bの第2の停止位置は、第1の成形型41よりも上側に位置する第2の成形型42にワークピースWをロードするための位置である。
【0064】
第1のシャフト14の一番上の第1のストッパ16cにより決まるキャリッジ10cの第1の停止位置は、第2の成形型42からワークピースWをアンロードするための位置である。第2のシャフト15の一番上の第2のストッパ17cにより決まるキャリッジ10cの第2の停止位置は、第2の成形型42よりも上側に位置する第3の成形型43にワークピースWをロードするための位置である。ワークピースWを上から下に搬送する場合は、ロードとアンロードが逆転する。
【0065】
このため、第1のシャフト14においては、第1のストッパ16aと第1のストッパ16bは間隔L1となるように、第1のストッパ16bと第1のストッパ16cは間隔L2となるようにセットされている。また、第2のシャフト15においては、第2のストッパ17aと第2のストッパ17bは間隔L2となるように、第2のストッパ17bと第2のストッパ17cは間隔L3となるように設定されている。それぞれのキャリッジ10a〜10cの停止位置における間隔は、これらのストッパ16a〜16cおよび17a〜17cにより決まるが、それぞれのキャリッジ10a〜10cのプレス装置2に対する第1および第2の停止位置は、これらのストッパ16a〜16cおよび17a〜17cの位置だけでは決まらず、第1のシリンダ18および第2のシリンダ19のストロークも加味される。すなわち、それぞれのキャリッジ10a〜10cの下方の第1の停止位置は、第1のシリンダ18がストロークの設定範囲で最も下側に動いた位置により決まる。また、それぞれのキャリッジ10a〜10cの上側の第2の停止位置は、第1のシリンダ18がストロークの設定範囲で最も上側に動き、さらに、第2のシリンダ19がストロークの設定範囲で最も上側に動いた位置により決まる。
【0066】
さらに、第3のシリンダ20は、第1のシャフト14および第2のシャフト15を共に動かして第1および第2の停止位置における共通の動きを制御する。それは、下型に対してワークピースをロードおよびアンロードする際にワークピースWを僅かに上下に動かす動作であり、成形型41〜43が前後に動く際にワークピースWと干渉しないようにするための動作である。このため、第3のシリンダ20のストロークL4は、各成形型の下型41a〜43aの上面に対して干渉しない程度に十分な距離が確保できるように設定されている。
【0067】
図9に、制御ユニット50により、搬送装置1の制御を含めた加工装置4の制御の概要をフローチャートにより示している。ステップS1において、プレス装置2のプレスが終了すると、成形型41〜43の上型と下型とが開いて、ワークピースWを交換できる状態になる。ステップS2において、図1に示すように、搬送装置1は、第3のシリンダ20を伸ばし、第1のシリンダ18および第2のシリンダ19を縮めた状態になる。したがって、キャリッジ10a〜10cは、それぞれのキャリッジの第1の停止位置(下側の停止位置)で停止している。この状態で、新しいワークピースWを積載させた台車3をキャリッジ10aの下側に向けて前方に移動させる。それとともに、搬送装置1においては、モータ91によりスプライン軸92を回転し、キャリッジ10bおよび10cの多関節アーム100を伸ばす。最下のキャリッジ10aにおいては、クラッチ95をオフし、多関節アーム100を縮めた状態にする。
【0068】
ステップS3において、図10に示すように、第3のシリンダ20をL4だけ下方に駆動させ、第1のキャリッジ10aに搭載された保持機構13により、台車3に積載された新しいワークピースWを吸着する。それとともに、第2および第3のキャリッジ10bおよび10cに搭載された保持機構13により、第1および第2の成形型41、42の下型41a、42aからワークピースWをそれぞれ吸着保持する。
【0069】
ステップS4において、第3のシリンダ20をストロークL4だけ上昇させる。その後、ステップS5において、図11に示すように、台車3を退去させるとともに、搬送装置1のスプライン軸92を逆転させて、キャリッジ10bおよび10cの多関節アーム100を縮める。最下のキャリッジ10aにおいては、クラッチ95をオフし、多関節アーム100を縮めた状態で維持する。
【0070】
この段階で、各キャリッジ10a〜10cは、第1のシャフト14のストッパ16a〜16cによって支持された下側の第1の停止位置においてワークピースWを吸着保持した状態となる。したがって、ステップS6において、第1および第2のシリンダ18および19を駆動させてピストンロッド18aおよび19aを上方へ伸ばすと、ワークピースWが上方へ搬送される。その途中で、キャリッジ10a、10bおよび10cは、第1のストッパ16a、16bおよび16cから、第2のストッパ17a、17bおよび17cに乗り移る。第2のシャフト15が停止したときにキャリッジ10a〜10cは第2のストッパ17a、17bおよび17cの位置でストップする。したがって、キャリッジ10a〜10cの間隔は、下側の停止位置では、第1のシャフト14により決まり、上側の停止位置では第2のシャフト15により決まる。
【0071】
ステップS7において、図12に示すように、搬送装置1のスプライン軸92を回転させて、キャリッジ10a〜10cの多関節アーム100を伸ばす。このときは、最下のキャリッジ10aにおいてもクラッチ95をオンし、多関節アーム100を伸ばす。そして、ステップS8において、第3のシリンダ20をストロークL4だけ下方へ駆動させ、キャリッジ10a、10bおよび10cがアーム100の先端の保持機構13により吸着保持していたワークピースWを下型41a、42aおよび43aにそれぞれリリース(アンロード)する。これにより、ワークピースWは下側の成形型から上側の成形型に順番に移動される。
【0072】
ステップS9において、第3のシリンダ20をL4だけ上昇させてクリアランスを確保する。その後、ステップS10において、搬送装置1のスプライン軸92を逆転させて、キャリッジ10a〜10cの多関節アーム100を縮める。プレス装置2は、各々の成形型41〜43によりプレスを開始できる。ステップS11において、第1および第2のシリンダ18および19を下方へ駆動させ、キャリッジ10a、10bおよび10cを、上方の第2の停止位置から、元の下方の第1の停止位置に戻す。この下降工程S11における、各キャリッジ10a〜10cの動きは、上述した上昇工程S6と反対であり、第1のシャフト14および第2のシャフト15をそれぞれ下側に駆動することで、キャリッジ10a〜10cは、まず、第2のシャフト15の第2のストッパ17a〜17cによりそれぞれ支持された状態で第1のシャフト14をスライドする。随時、キャリッジ10a〜10cは、第1のシャフト14の第1のストッパ16a〜16cに乗り移り、第2のシャフト15に対してはスライドする。そしてキャリッジ10a〜10cは、第1のシャフト14により停止した状態に移行する。
【0073】
搬送装置1は第1のシャフト14と第2のシャフト15とを備えており、それぞれに第1のストッパ16a〜16cと、第2のストッパ17a〜17cとを所望の位置に設定でき、それぞれのストッパにより3つのキャリッジ10a、10bおよび10cの下側の停止位置および上側の停止位置を独立して決定できる。したがって、成形型の高さ方向の間隔が均等ではないプレス装置2に対しても、ワークピースWを下側と上側とでは異なる間隔で保持し、上下に搬送できる。
【0074】
さらに、それぞれのキャリッジ10a〜10cは、多関節アーム100を備えており、この多関節アーム100は、伸び縮みさせることにより保持機構13を直線的に動かし、並進させることができる。したがって、各成形型41〜43にワークピースWをロードおよびアンロードするために、それぞれの成形型41〜43の下型41a〜43aを前後または左右にスライドさせる必要がない。このため、下型41a〜43aを前後または左右にスライドさせる機構は不要である。さらに、重量物である下型41a〜43aを前後または左右にスライドさせる時間に対して、軽量のワークピースWを多関節アーム100により前後に動かす時間の方が通常は短いので、加工装置4を用いてワークピースWを成形する時間を短縮できる。
【0075】
また、搬送装置1における多関節アーム100の伸縮は、クラッチ95のオンオフにより、キャリッジ10a〜10cの単位で制御できる。したがって、搬送装置1により、成形型41〜43にワークピースWをセットしたり、台車3からワークピースWを取り出したり、さらに、異なる加工装置あるいは排出装置にワークピースWを払い出したりすることが可能であり、搬送装置1は、多関節アーム100を備えたロボットとして多種多様な目的に使用できる。
【0076】
なお、本実施形態では、3つのキャリッジ10a、10bおよび10cを備えた搬送装置を示しているが、キャリッジの数はこれに限定されるものでない。また、1つのワークピースを搬送するために複数のキャリッジを消費するような構成も可能である。さらに、キャリッジのガイドとしてシャフトを採用した例を示しているが、レールなどの他のキャリッジをスライド支持できるガイド構造を採用することも可能である。また、上記では、上下方向に成形型が並んだプレス装置に対して、本発明の搬送装置によりワークを搬送する加工装置を示しているが、搬送装置あるいは多関節アームを備えたロボットは他の種々の加工機能を備えた装置に対してもワークピースを搬送できる。また、エンドエフェクタはワークピースを保持する機構に限られず、この多関節アームを備えたロボットは、エンドエフェクタを変えることにより多種多様な産業用あるいは民生用のロボットとして使用できる。
【符号の説明】
【0077】
1 搬送装置、 2 プレス装置、 4 加工装置
10a,10b,10c キャリッジ
41,42,43 成形型
100 多関節アーム
W ワークピース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のアームと、
前記第1のアームの一方の端とベースとを連結し、前記ベースに対して前記第1のアームが旋回する第1のリンクと、
前記第1のアームの他方の端と第2のアームの一方の端とを連結し、前記第1のアームに対して前記第2のアームが旋回する中間リンクと、
前記第2のアームの他方の端とエンドエフェクタとを連結し、前記第2のアームに対して前記エンドエフェクタが旋回する第2のリンクとを有し、
前記第1のリンクは、
前記第1のアームに対して同期して動く第1の駆動歯車と、
前記第1の駆動歯車と同軸状に配置され、前記ベースに対して同期して動く第1の伝達歯車とを含み、
前記中間リンクは、
前記第2のアームに対して同期して動き、前記第1の伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された中間の駆動歯車と、
前記第1のアームに対して同期して動く中間の伝達歯車とを含み、
前記第2のリンクは、
前記エンドエフェクタに対して同期して動き、前記中間の伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された第2の駆動歯車を含む、多関節アーム。
【請求項2】
請求項1において、前記第1の伝達歯車と前記中間の駆動歯車とのギア比Aと、前記第2の駆動歯車と前記中間の伝達歯車とのギア比Bとが以下を満たす、多関節アーム。
A・B=A+B
【請求項3】
請求項2において、前記ギア比Aおよび前記ギア比Bが2である、多関節アーム。
【請求項4】
請求項3において、前記第1のリンクと前記中間リンクの距離と、前記中間リンクと前記第2のリンクとの距離が等しい、多関節アーム。
【請求項5】
第1のアームと、
前記第1のアームの一方の端とベースとを連結し、前記ベースに対して前記第1のアームが旋回する第1のリンクと、
前記第1のアームの他方の端と第1の中間アームの一方の端とを連結し、前記第1のアームに対して前記第1の中間アームが旋回する第1の中間リンクと、
前記第1の中間アーム、または前記第1の中間アームに他の中間アームを介して連結された第2の中間アーム、の他方の端と第2のアームの一方の端とを連結し、前記第1の中間アームまたは前記第2の中間アームに対して前記第2のアームが旋回する第2の中間リンクと、
前記第2のアームの他方の端とエンドエフェクタとを連結し、前記第2のアームに対して前記エンドエフェクタが旋回する第2のリンクとを有し、
前記第1のリンクは、
前記第1のアームに対して同期して動く第1の駆動歯車と、
前記第1の駆動歯車と同軸状に配置され、前記ベースに対して同期して動く第1の伝達歯車とを含み、
前記第1の中間リンクは、
前記第1の中間アームに対して同期して動き、前記第1の伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された第1の中間の駆動歯車と、
前記第1のアームに対して同期して動く第1の中間の伝達歯車とを含み、
前記第2の中間リンクは、
前記第2のアームに対して同期して動き、前記第1の中間アームまたは前記第2の中間アームの一方の端に設けられた伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された第2の中間の駆動歯車と、
前記第1の中間アームまたは前記第2の中間アームに対して同期して動く第2の中間の伝達歯車とを含み、
前記第2のリンクは、
前記エンドエフェクタに対して同期して動き、前記第2の中間の伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された第2の駆動歯車を含む、多関節アーム。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1の中間の伝達歯車と前記第2の中間の駆動歯車とのギア比が1であり、
前記第1の伝達歯車と前記第1の中間の駆動歯車とのギア比Aと、前記第2の駆動歯車と前記第2の中間の伝達歯車とのギア比Bとが以下を満たす、多関節アーム。
A・B=A+B
【請求項7】
請求項6において、前記ギア比Aおよび前記ギア比Bが2である、多関節アーム。
【請求項8】
請求項7において、前記第1のリンクと前記第1の中間リンクの距離と、前記第2の中間リンクと前記第2のリンクの距離と、前記第1の中間アームの一方の端と他方の端との距離が等しい、多関節アーム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の多関節アームを含み、前記エンドエフェクタによりワークピースを着脱可能なキャリッジ。
【請求項10】
請求項9に記載の複数のキャリッジと、
前記複数のキャリッジの第1の方向の動きをガイドするガイド構造と、
前記ガイド構造に沿って延びた駆動軸であって、前記複数のキャリッジの前記多関節アームの前記第1の駆動歯車を駆動し、前記多関節アームを前記第1の方向に対して異なる方向に伸び縮みさせる駆動軸とを有する、搬送装置。
【請求項11】
請求項10において、前記駆動軸はスプライン軸であり、
前記スプライン軸をスライドし、前記複数のキャリッジのそれぞれの前記第1の駆動歯車に動力を伝達するための複数のボールスプラインと、前記複数のボールスプラインからの駆動力をオンオフするための複数のクラッチとをさらに有する、搬送装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の搬送装置と、
前記第1の方向に配置された複数の成形型を備えたプレス装置とを有し、
前記複数のキャリッジのそれぞれは、前記ガイド構造に沿って第1の停止位置と第2の停止位置との間を動き、前記第1の停止位置は、第1の成形型にワークピースをロードまたはアンロードするための位置であり、前記第2の停止位置は、前記第1の成形型よりも上流または下流に位置する第2の成形型にワークピースをロードまたはアンロードするための位置である、加工装置。
【請求項13】
請求項12において、前記複数の成形型は上下に配置されている、加工装置。
【請求項14】
請求項12または13において、前記複数の成形型は、それぞれの成形型の下型が前後または左右にスライドしない非スライドタイプである、加工装置。
【請求項15】
請求項1ないし8のいずれかに記載の多関節アームを有するロボット。
【請求項1】
第1のアームと、
前記第1のアームの一方の端とベースとを連結し、前記ベースに対して前記第1のアームが旋回する第1のリンクと、
前記第1のアームの他方の端と第2のアームの一方の端とを連結し、前記第1のアームに対して前記第2のアームが旋回する中間リンクと、
前記第2のアームの他方の端とエンドエフェクタとを連結し、前記第2のアームに対して前記エンドエフェクタが旋回する第2のリンクとを有し、
前記第1のリンクは、
前記第1のアームに対して同期して動く第1の駆動歯車と、
前記第1の駆動歯車と同軸状に配置され、前記ベースに対して同期して動く第1の伝達歯車とを含み、
前記中間リンクは、
前記第2のアームに対して同期して動き、前記第1の伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された中間の駆動歯車と、
前記第1のアームに対して同期して動く中間の伝達歯車とを含み、
前記第2のリンクは、
前記エンドエフェクタに対して同期して動き、前記中間の伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された第2の駆動歯車を含む、多関節アーム。
【請求項2】
請求項1において、前記第1の伝達歯車と前記中間の駆動歯車とのギア比Aと、前記第2の駆動歯車と前記中間の伝達歯車とのギア比Bとが以下を満たす、多関節アーム。
A・B=A+B
【請求項3】
請求項2において、前記ギア比Aおよび前記ギア比Bが2である、多関節アーム。
【請求項4】
請求項3において、前記第1のリンクと前記中間リンクの距離と、前記中間リンクと前記第2のリンクとの距離が等しい、多関節アーム。
【請求項5】
第1のアームと、
前記第1のアームの一方の端とベースとを連結し、前記ベースに対して前記第1のアームが旋回する第1のリンクと、
前記第1のアームの他方の端と第1の中間アームの一方の端とを連結し、前記第1のアームに対して前記第1の中間アームが旋回する第1の中間リンクと、
前記第1の中間アーム、または前記第1の中間アームに他の中間アームを介して連結された第2の中間アーム、の他方の端と第2のアームの一方の端とを連結し、前記第1の中間アームまたは前記第2の中間アームに対して前記第2のアームが旋回する第2の中間リンクと、
前記第2のアームの他方の端とエンドエフェクタとを連結し、前記第2のアームに対して前記エンドエフェクタが旋回する第2のリンクとを有し、
前記第1のリンクは、
前記第1のアームに対して同期して動く第1の駆動歯車と、
前記第1の駆動歯車と同軸状に配置され、前記ベースに対して同期して動く第1の伝達歯車とを含み、
前記第1の中間リンクは、
前記第1の中間アームに対して同期して動き、前記第1の伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された第1の中間の駆動歯車と、
前記第1のアームに対して同期して動く第1の中間の伝達歯車とを含み、
前記第2の中間リンクは、
前記第2のアームに対して同期して動き、前記第1の中間アームまたは前記第2の中間アームの一方の端に設けられた伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された第2の中間の駆動歯車と、
前記第1の中間アームまたは前記第2の中間アームに対して同期して動く第2の中間の伝達歯車とを含み、
前記第2のリンクは、
前記エンドエフェクタに対して同期して動き、前記第2の中間の伝達歯車とタイミングベルトまたはタイミングチェーンにより接続された第2の駆動歯車を含む、多関節アーム。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1の中間の伝達歯車と前記第2の中間の駆動歯車とのギア比が1であり、
前記第1の伝達歯車と前記第1の中間の駆動歯車とのギア比Aと、前記第2の駆動歯車と前記第2の中間の伝達歯車とのギア比Bとが以下を満たす、多関節アーム。
A・B=A+B
【請求項7】
請求項6において、前記ギア比Aおよび前記ギア比Bが2である、多関節アーム。
【請求項8】
請求項7において、前記第1のリンクと前記第1の中間リンクの距離と、前記第2の中間リンクと前記第2のリンクの距離と、前記第1の中間アームの一方の端と他方の端との距離が等しい、多関節アーム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の多関節アームを含み、前記エンドエフェクタによりワークピースを着脱可能なキャリッジ。
【請求項10】
請求項9に記載の複数のキャリッジと、
前記複数のキャリッジの第1の方向の動きをガイドするガイド構造と、
前記ガイド構造に沿って延びた駆動軸であって、前記複数のキャリッジの前記多関節アームの前記第1の駆動歯車を駆動し、前記多関節アームを前記第1の方向に対して異なる方向に伸び縮みさせる駆動軸とを有する、搬送装置。
【請求項11】
請求項10において、前記駆動軸はスプライン軸であり、
前記スプライン軸をスライドし、前記複数のキャリッジのそれぞれの前記第1の駆動歯車に動力を伝達するための複数のボールスプラインと、前記複数のボールスプラインからの駆動力をオンオフするための複数のクラッチとをさらに有する、搬送装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の搬送装置と、
前記第1の方向に配置された複数の成形型を備えたプレス装置とを有し、
前記複数のキャリッジのそれぞれは、前記ガイド構造に沿って第1の停止位置と第2の停止位置との間を動き、前記第1の停止位置は、第1の成形型にワークピースをロードまたはアンロードするための位置であり、前記第2の停止位置は、前記第1の成形型よりも上流または下流に位置する第2の成形型にワークピースをロードまたはアンロードするための位置である、加工装置。
【請求項13】
請求項12において、前記複数の成形型は上下に配置されている、加工装置。
【請求項14】
請求項12または13において、前記複数の成形型は、それぞれの成形型の下型が前後または左右にスライドしない非スライドタイプである、加工装置。
【請求項15】
請求項1ないし8のいずれかに記載の多関節アームを有するロボット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−240801(P2010−240801A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94501(P2009−94501)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(597081525)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(597081525)
【Fターム(参考)】
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