説明

多面鏡組立体とそれを用いた光走査装置及び画像形成装置

【課題】プラスチック材質の多面鏡を利用しつつ、組立時に発生する性能低下を最小化することができる多面鏡組立体とそれを用いた光走査装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の多面鏡組立体は、プラスチック材質から形成され、複数の反射面を有する多面鏡と、多面鏡を支持して回転させるモータユニットと、を備え、多面鏡は、モータユニットと接着剤によって接着されて組み立てられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多面鏡組立体とそれを用いた光走査装置及び画像形成装置に係り、より詳細には、プラスチック多面鏡を具備した多面鏡組立体とそれを用いた光走査装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光走査装置は、レーザプリンタ、デジタル複写機、ファクシミリのような電子写真方式の画像形成装置に適用されるものであり、画像信号が印加された光源から照射された光ビームを偏向させて像担持体の主走査方向に走査する。光走査装置による主走査及び像担持体の移動による副走査によって、像担持体には、静電潜像が形成される。
【0003】
光走査装置は、光源から照射された光ビームを適切な方向に偏向させる多面鏡組立体を有する。従来の多面鏡は、一般的に85%以上の反射率を有するために、純度99%以上の高純度アルミニウムを使用して、超精密加工で生産される。このようなアルミニウムからなる多面鏡組立体は、製造コストが高く、生産量の調節も困難であるという問題点がある。なお、当該関連先行文献としては、特許文献1及び2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−297311号公報
【特許文献2】特開平10−031183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、プラスチック材質の多面鏡を利用しつつ、組立時に発生する性能低下を最小化することができる多面鏡組立体とそれを用いた光走査装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の一特徴による多面鏡組立体は、プラスチック材質から形成され、複数の反射面を有する多面鏡と、前記多面鏡を支持して回転させるモータユニットと、を備え、前記多面鏡は、前記モータユニットと接着剤によって接着されて組み立てられる。
前記モータユニットの回転軸には、ホルダフレームが結合され、前記多面鏡は、前記ホルダフレームと接着剤によって接着される。この場合、前記多面鏡は、ホールを含み、前記ホルダフレームの一部が前記多面鏡のホールに嵌め込まれ、前記ホールを定義する多面鏡の内径面と該内径面に当接した前記ホルダフレームの外面とのうちの少なくともいずれか一つは、接着剤が均一に塗布される。
一方、前記ホルダフレームには、接着剤収容空間を有するチルト防止溝が設けられる。前記チルト防止溝は、前記多面鏡の内径面と当接する前記ホルダフレームの外面下方周囲に形成された溝でありうる。
また、前記多面鏡の内径面には、接着剤収容空間を有するチルト防止爪が設けられる。前記チルト防止爪は、前記多面鏡の内径面の下側周囲に形成された溝である。
前記多面鏡は、ホールを含み、前記モータユニットの回転軸は、前記多面鏡のホールに嵌め込まれ、前記ホールを定義する前記多面鏡の内径面と前記モータユニットの回転軸とのうちの少なくともいずれか一つは、接着剤が均一に塗布される。
前記接着剤は、紫外線硬化接着剤、熱硬化接着剤、又は瞬間接着剤である。
前記複数の反射面には、反射層が設けられる。
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の一特徴による光走査装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された光ビームを主走査方向に偏向させる多面鏡組立体と、前記多面鏡組立体によって偏向された光ビームを被走査面に結像させる結像光学系と、を備える。このとき、前記多面鏡組立体は、プラスチック材質から形成され、複数の反射面を有する多面鏡と、前記多面鏡を支持して回転させるモータユニットと、を備え、前記多面鏡は、前記モータユニットと接着剤によって接着されて組み立てられる。
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一特徴による画像形成装置は、光走査装置と、前記光走査装置から出射された光ビームの結像地点に設けられ、静電潜像が形成される感光体及び該感光体に形成された静電潜像を現像する現像ローラを含む現像装置と、前記現像装置によって現像されたイメージが転写される転写装置と、を備え、前記光走査装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された光ビームを主走査方向に偏向させる多面鏡組立体と、前記多面鏡組立体によって偏向された光ビームを被走査面に結像させる結像光学系と、を備える。このとき、多面鏡組立体は、プラスチック材質から形成され、複数の反射面を有する多面鏡と、前記多面鏡を支持して回転させるモータユニットと、を備え、前記多面鏡は、前記モータユニットと接着剤によって接着されて組み立てられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明による多面鏡組立体とそれを用いた光走査装置及び画像形成装置によれば、プラスチック材質から形成された多面鏡の組立時に発生しうる変形を最小化し、光学的性能劣化を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態による多面鏡組立体を用いた光走査装置の概略的な構成図である。
【図2】図1の光走査装置に用いられる多面鏡組立体の概略的な断面図である。
【図3】図2の多面鏡組立体の一変形例を示す断面図である。
【図4】図2の多面鏡組立体の他の変形例を示す断面図である。
【図5】図2の多面鏡組立体から押し出された接着剤による多面鏡の傾斜を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による電子写真方式画像形成装置の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。図面で同じ参照符号は、同じ構成要素を指し、図面上で各構成要素の大きさは、説明の明瞭性及び便宜性のために誇張することがある。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態による多面鏡組立体10を用いた光走査装置の一例を概略的に示す構成図であり、図2は、図1の光走査装置に用いられる多面鏡組立体10を概略的に示す断面図である。
【0013】
図1を参照すると、光走査装置は、光源1、回転する多面鏡11を有する多面鏡組立体10、及び走査レンズ7を具備する。
【0014】
光源1は、光ビームを放出するものであり、例えば、レーザビームを放出する半導体レーザダイオードである。光源1から放出される光ビームは、一つ又は複数個である。図1は、光源1から1つの光ビームが放出される場合を図示する。もし光源1から複数個の光ビームが放出される場合であるならば、複数個の光ビームは、多面鏡11の一反射面11aに、それぞれ異なる入射角で入射したり、或いはそれぞれ異なる反射面11aに入射させたりすることができる。
【0015】
光源1と多面鏡11との間の光路上には、コリメーティングレンズ2が備わる。コリメーティングレンズ2は、光源1からの光を平行光にする集光レンズである。コリメーティングレンズ2と多面鏡11との間の光路上には、シリンドリカルレンズ4が更に備わる。シリンドリカルレンズ4は、副走査方向にのみ所定のパワーを有する光学素子であり、コリメーティングレンズ2を通過した光を、多面鏡11の反射面11aに、副走査方向に集束させる。また、コリメーティングレンズ2とシリンドリカルレンズ4との間には、ビームの直径を調節するための開口ストップ3が更に備わる。コリメーティングレンズ2、開口ストップ3、及びシリンドリカルレンズ4は、光走査装置の入射光学系をなす。
【0016】
走査レンズ7は、收斂機能とfθ特性とを有する結像光学系の一例であり、多面鏡11によって偏向走査される光ビームが、感光体9の外周面に等速に結像される。図1は、1つの走査レンズ7で結像光学系を構成した例を図示するが、2個以上のレンズで結像光学系が構成されることもある。ミラー8は、走査される光ビームの経路を適切に変える光路変換手段の一例である。
【0017】
図2を参照すると、多面鏡組立体10は、多面鏡11と、ホルダフレーム12と、モータユニット14と、を含む。
【0018】
多面鏡11は、外側に設けられた4個の反射面11aと、中央部のホールを定義する内径面11bと、を有する。多面鏡11の内径面11bと、これに当接するホルダフレーム12の外面は、接着剤13によって結合される。多面鏡11は、エポキシのようなプラスチックで、射出成形を介して形成される。多面鏡11が、プラスチック材質から形成されることによって、多面鏡11の材料コストを下げることができ、また射出成形を介した大量生産が非常に容易である。接着剤13としては、紫外線硬化接着剤、熱硬化接着剤、瞬間接着剤などが使われる。一例として、接着剤13として、紫外線硬化接着剤を使用する場合、多面鏡11の内径面11bや、内径面11bと当接するホルダフレーム12の外面に塗布した後、多面鏡11とホルダフレーム12とを結合し、紫外線ランプを利用して紫外線光を照射することによって、短時間に接着剤13を固形化させ、多面鏡11とホルダフレーム12とを固定させる。
【0019】
一方、反射面11aには、アルミニウム(Al)や銀(Ag)のように、反射特性にすぐれた金属膜が付着される。金属膜を外部環境から保護したり、酸化を防止したりするために、金属膜の外部には、SiOのような保護層が更に設けられる。反射面11aの個数は、一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。また、多面鏡11の内径面11bと、これに当接するホルダフレーム12の外面は、組み立ての便宜上、円筒形であることが望ましいが、これに限定されるものではない。例えば、多面鏡11の内径面11bと、これに当接するホルダフレーム12の外面は、その断面が四角形のような多角形であってもよい。
【0020】
一方、モータユニット14は、印刷回路基板21に固定されたベアリング・ホルダ18、ベアリング・ホルダ18の周囲に設けられた電磁石19、ベアリング・ホルダ18に回転自在に設けられたシャフト(即ち、回転軸)17、ベアリング・ホルダ18とシャフト17との間に設けられたブッシング(bushing)20、シャフト17と結合されたロータ・ハウジング(rotor housing)15、ロータ・ハウジング16の内側に設けられ、電磁石19と対向する永久磁石16を含む。
【0021】
ところで、従来の多面鏡組立体は、多面鏡がホルダフレーム(又はモータユニット)に、板スプリングで固定されていた。ここで、たとえ板スプリングが多面鏡に対して弾性力による変形を誘発したとしても、従来の多面鏡は、アルミニウムのような金属製で形成されるのが一般的であったため、このような板スプリングによる変形は、無視してもよかった。しかし、本発明者は、多面鏡11をプラスチックで形成すると、このような板スプリングによる組み立ては、多面鏡11に無視することができない変形を招くということを発見した。即ち、金属材質の多面鏡は、スプリングの押し入れによって組み立てられても、ヤング率(Young’s modulus)が十分に大きいので、変形量が大きくないが、プラスチック材質の多面鏡は、ヤング率が小さく、スプリングの押し入れによる変形量が大きくなる。
【0022】
表1は、スプリングの押し入れによるプラスチック材質の多面鏡の反射面の変形量を示している。
【0023】
【表1】

【0024】
ここで、反射面PV(process variable)は、反射面全域に対する変形量の最大値と最小値との偏差、即ち、平坦度を意味する。上記表1を参照すると、スプリングの押し入れによるプラスチック材質の多面鏡の反射面の変形量は、平均1.840μm程であるということが分かる。ところで、多面鏡の変形量に対する許容量は、一般的に0.2μm〜0.3μm程に管理されているが、上記のようなスプリングの押し入れによる変形量は、許容量を大きく超えており、従来の金属材質の多面鏡を組み立てる方式をプラスチック材質の多面鏡にそのまま適用することは難しい。
【0025】
このため、本実施形態のように、多面鏡11とホルダフレーム12とを接着剤13で結合することによって、組み立て時に多面鏡11に加えられるストレスを最小化するようにした。このように、組み立て時のストレスを最小化することによって、組み立て時に、多面鏡11の反射面11aの変形を最小化し、光走査装置の性能低下を防止することができる。
【0026】
表2は、接着剤13を利用した、組み立て時におけるプラスチック材質の多面鏡11の反射面の変形量を示している。
【0027】
【表2】

【0028】
ここで、反射面PVは、反射面全域に関わる変形量の最大値と最小値との偏差を意味する。上記表2を参照すると、多面鏡11が、ホルダフレーム12に接着剤13で結合される場合、プラスチック材質の多面鏡11の反射面11aの組み立て時に発生する変形量は、平均0.095μm程に過ぎないので、多面鏡11の変形量に対して一般的に許容される許容量、即ち0.2μm〜0.3μm内で管理されるということが分かる。
【0029】
接着剤13を使用することによって、反射面11aの変形量が顕著に改善されたとはいうものの、接着剤13の収縮による反射面の変形量は、相変わらず存在しうる。従って、接着剤13を、多面鏡11の内径面11bの上側や下側に偏って塗布すると、多面鏡11も一方に変形するので、変形分布を等しくするために、接着剤13を多面鏡11の内径面11bの全体に亘って均一に塗布するか、或いは内径面11bと当接するホルダフレーム12の外面の全体に亘って均一に塗布する。
【0030】
再び、図1及び図2を参照し、本実施形態の光走査装置の動作について説明する。
【0031】
光源1から出射した光は、コリメーティングレンズ2、開口ストップ3、及びシリンドリカルレンズ4を順に通過した後、多面鏡11の反射面11aに照射され、多面鏡11の反射面11aで反射された光は、走査レンズ7とミラー8とを経由して、感光体9の表面に照射される。モータユニット14の電磁石19に電源が印加されると、電磁石19と永久磁石16との電磁気的相互作用によって、ロータ・ハウジング15は、シャフト17を中心に回転する。ホルダフレーム12は、ロータ・ハウジング15及びシャフト17に結合されて共に回転し、ホルダフレーム12に接合された多面鏡11も、共に回転する。このように、多面鏡11がモータユニット14の駆動によって回転すると、多面鏡11の反射面11aで反射された光は、多面鏡11の回転軸に垂直な方向(即ち、主走査方向)に走査される。一方、感光体9は、多面鏡11によって走査される方向と垂直な方向に被走査面を移動させる。従って、光源1をオン−オフ制御しながら、感光体9の被走査面には、露光部位と非露光部位との組み合わせからなる静電潜像が形成される。
【0032】
次に、本実施形態の多面鏡組立体10の変形例について説明する。
【0033】
図3は、図2の多面鏡組立体の一変形例を示す断面図である。図3を参照すると、本変形例の多面鏡組立体は、ホルダフレーム12’にチルト防止溝12aを設ける。チルト防止溝12aは、ホルダフレーム12’が多面鏡11の内径面11bに挿入される突出部の周囲の少なくとも一部分に、所定の深さに設けられる。このようなホルダフレーム12’のチルト防止溝12aは、多面鏡11とホルダフレーム12’との当接面から押し出された接着剤13を収容することができる。
【0034】
図4は、図2の多面鏡組立体の他の変形例を示す断面図である。図4を参照すると、本変形例の多面鏡組立体は、多面鏡11’の内径面11bに、チルト防止爪11cを設ける。チルト防止爪11cは、多面鏡11’の内径面11bの下側周囲の少なくとも一部分に所定の深さに設けられる。このような多面鏡11’のチルト防止爪11cは、多面鏡11’とホルダフレーム12との当接面から押し出されてきた接着剤13を収容することができる。
【0035】
図5を参照すると、多面鏡11を接着剤13でホルダフレーム12に組み付けるときは、一部の接着剤13aが、多面鏡11とホルダフレーム12との当接面から下方に押し出されたまま硬化しうる。このように、多面鏡11とホルダフレーム12との当接面から押し出されてきた接着剤13aは、多面鏡11をいずれか一方に傾斜(tilt)させる。多面鏡11の傾斜によって、画像が印刷される用紙で、ドット(dot)の垂直方向のエラー量は、下記の表3のように与えられる。
【0036】
【表3】

【0037】
上記表3で、DPA(dynamic pyramidal angle)は、モータユニット14の回転時における、回転軸、即ちシャフト17と反射面11aとの傾き量を示し、単位は、秒(″)である。上記表3から分かるように、押し出された接着剤13aによる多面鏡11の傾斜は、用紙に印刷されるドットを揺り動かし、画質を低下させる。このため、図3や図4に示した変形例のように、ホルダフレーム12’にチルト防止溝12aや、多面鏡11’のチルト防止爪11cを設けて、押し出された接着剤13aによる傾斜を防止する。
【0038】
上述の実施形態及び変形例で、多面鏡11、11’は、ホルダフレーム12、12’を介してモータユニット14と結合された場合を例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではない。ホルダフレーム12、12’は省略され、モータユニット14のシャフト17自体が直ちに多面鏡11、11’と、接着剤13によって結合されうる。
【0039】
図6は、本発明の一実施形態による電子写真方式画像形成装置の一例を示す構成図であり、上述した本実施形態の光走査装置を採用した画像形成装置の一例を図示している。
【0040】
図6に示した画像形成装置は、乾式現像剤(以下、トナーという)を使用し、カラー画像を印刷する乾式電子写真方式画像形成装置である。
【0041】
画像形成装置は、光走査装置100、現像装置200、転写装置300、及び定着装置400を具備する。
【0042】
光走査装置100は、上述の実施形態の光走査装置が採用される。カラー画像を印刷するために、光走査装置100は、複数の光ビームを走査し、現像装置200は、複数の光ビームに対応してカラー別に設けられる。この場合、光走査装置100は、図1を参照して説明したように、光走査装置が複数個設けられたり、1つの多面鏡組立体10(図1参照)を介して、複数の光ビームを同時に走査したりすることもできる。例えば、光走査装置100は、黒色(K)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の色相に対応する4個の光ビームを走査し、現像装置200は、黒色(K)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の色相別に一つずつ設けられる。
【0043】
現像装置200は、静電潜像が形成される画像受容体である感光ドラム210と、静電潜像を現像させるための現像ローラ220をそれぞれ具備する。
【0044】
感光ドラム210は、感光体の一例であり、円筒形金属パイプの外周面に、所定の厚みの感光層が形成されたものである。図面として示していないが、感光体として、ベルト状の感光ベルトが採用されることもある。感光ドラム210の外周面は、被露光面になる。感光ドラム210の外周面で、光走査装置100によって露光される位置の上流側には、帯電ローラ230が設けられる。帯電ローラ230は、感光ドラム210に接触して回転しながら、その表面を均一な電位で帯電させる帯電器の一例である。帯電ローラ230には、帯電バイアスが印加される。帯電ローラ230の代わりに、コロナ帯電器(図示せず)が使われることもある。
【0045】
現像ローラ220は、その外周にトナーを付着させ、感光ドラム210に供給する。現像ローラ220には、トナーを感光ドラム210に供給するための現像バイアスが印加される。図示していないが、現像装置200には、その内部に収容されたトナーを、現像ローラ220に付着させる供給ローラ、現像ローラ220に付着されたトナーの量を規制する規制手段、その内部に収容されたトナーを、供給ローラ及び/又は現像ローラ220の方に移送させる撹拌器などを更に設けることができる。
【0046】
転写装置300は、用紙搬送ベルト310と、4個の転写ローラ320とを含む。用紙搬送ベルト310は、現像装置200の外部に露出された感光ドラム210の外周面と対面する。用紙搬送ベルト310は、多数の支持ローラ330、340、350、360によって支持されて循環走行する。4個の転写ローラ320は、用紙搬送ベルト310を挟んで、各現像装置200の感光ドラム210と対面する位置に配される。転写ローラ320には、転写バイアスが印加される。
【0047】
上述のような構成によるカラー画像形成手順について説明する。
【0048】
現像装置200の感光ドラム210のそれぞれは、帯電ローラ230に印加された帯電バイアスによって、均一な電位に帯電される。光走査装置100は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの色相の画像情報に対応する4個の光を、現像装置200の各感光ドラム210に走査し、静電潜像を形成させる。現像ローラ220には、現像バイアスが印加される。それにより、現像ローラ220の外周に付着されたトナーが静電潜像に付着し、現像装置200の各感光ドラム210に、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの色相のトナー画像が形成される。
【0049】
トナーを最終的に受容する媒体、例えば、用紙Pは、ピックアップ・ローラ510によってカセット500から引き出される。用紙Pは、移送ローラ520によって、用紙搬送ベルト310に引き入れられる。用紙Pは、静電気的な力によって、用紙搬送ベルト310の表面に付着し、用紙搬送ベルト310の走行線速度と同じ速度で移送される。
【0050】
例えば、現像装置200の1つの感光ドラム210の外周面に形成されたシアン(C)色相のトナー画像の先端が、転写ローラ320と対面した転写ニップに達する時点に合わせ、用紙Pの先端が転写ニップに達する。転写ローラ320に転写バイアスが印加されると、感光ドラム210に形成されたトナー画像は、用紙Pに転写される。用紙Pが移送されることによって、現像装置200の感光ドラム210に形成されたマゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の色相のトナー画像は、順次に用紙Pに重畳転写され、用紙Pには、カラートナー画像が形成される。
【0051】
用紙Pに転写されたカラートナー画像は、静電気的な力によって、用紙Pの表面に維持される。定着装置400は、熱と圧力とを利用して、カラートナー画像を用紙Pに定着させる。定着が完了した用紙Pは、排出ローラ530によって、画像形成装置の外に排出される。
【0052】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 光源
2 コリメーティングレンズ
3 開口ストップ
4 シリンドリカルレンズ
7 走査レンズ
8 ミラー
9 感光体
10 多面鏡組立体
11、11’ 多面鏡
11a 反射面
11b 内径面
11c チルト防止爪
12、12’ ホルダフレーム
12a チルト防止溝
13、13a 接着剤
14 モータユニット
15 ロータ・ハウジング
16 永久磁石
17 シャフト
18 ベアリング・ホルダ
19 電磁石
20 ブッシング
21 印刷回路基板
100 光走査装置
200 現像装置
210 感光ドラム
220 現像ローラ
230 帯電ローラ
300 転写装置
310 用紙搬送ベルト
320 転写ローラ
330、340、350、360 支持ローラ
400 定着装置
500 カセット
510 ピックアップ・ローラ
520 移送ローラ
530 排出ローラ
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材質から形成され、複数の反射面を有する多面鏡と、
前記多面鏡を支持して回転させるモータユニットと、を備え、
前記多面鏡は、前記モータユニットと接着剤によって接着されて組み立てられることを特徴とする多面鏡組立体。
【請求項2】
前記モータユニットの回転軸には、ホルダフレームが結合され、
前記多面鏡は、前記ホルダフレームと接着剤によって接着されることを特徴とする請求項1に記載の多面鏡組立体。
【請求項3】
前記多面鏡は、ホールを含み、
前記ホルダフレームの一部が、前記多面鏡のホールに嵌め込まれ、
前記ホールを定義する前記多面鏡の内径面と該内径面に当接した前記ホルダフレームの外面とのうちの少なくともいずれか一つは、接着剤が均一に塗布されることを特徴とする請求項2に記載の多面鏡組立体。
【請求項4】
前記ホルダフレームには、接着剤収容空間を有するチルト防止溝が設けられることを特徴とする請求項3に記載の多面鏡組立体。
【請求項5】
前記チルト防止溝は、前記多面鏡の内径面と当接する前記ホルダフレームの外面下方周囲に形成された溝であることを特徴とする請求項4に記載の多面鏡組立体。
【請求項6】
前記多面鏡の内径面には、接着剤収容空間を有するチルト防止爪が設けられることを特徴とする請求項3に記載の多面鏡組立体。
【請求項7】
前記チルト防止爪は、前記多面鏡の内径面の下側周囲に形成された溝であることを特徴とする請求項6に記載の多面鏡組立体。
【請求項8】
前記多面鏡は、ホールを含み、
前記モータユニットの回転軸は、前記多面鏡のホールに嵌め込まれ、
前記ホールを定義する前記多面鏡の内径面と前記モータユニットの回転軸とのうちの少なくともいずれか一つは、接着剤が均一に塗布されることを特徴とする請求項1に記載の多面鏡組立体。
【請求項9】
前記接着剤は、紫外線硬化接着剤、熱硬化接着剤、又は瞬間接着剤であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の多面鏡組立体。
【請求項10】
前記複数の反射面には、反射層が設けられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の多面鏡組立体。
【請求項11】
光ビームを出射する光源と、
前記光源から出射された光ビームを主走査方向に偏向させるものであり、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の多面鏡組立体と、
前記多面鏡組立体によって偏向された光ビームを被走査面に結像させる結像光学系と、を備えることを特徴とする光走査装置。
【請求項12】
請求項11に記載の光走査装置と、
前記光走査装置から出射された光ビームの結像地点に設けられ、静電潜像が形成される感光体及び該感光体に形成された静電潜像を現像する現像ローラを含む現像装置と、
前記現像装置によって現像されたイメージが転写される転写装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−113307(P2012−113307A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255178(P2011−255178)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】