説明

大有効面積無Geコアファイバ

光導波路ファイバは、(i)波長1550nmにおいて100μmから160μmの有効面積及び12≦α≦200のα値を有する無Geコア(12)、コアは−(a)中心線から径方向に外側に半径rまで拡がり、純シリカに対して測定される、%単位の相対屈折率%プロファイル,Δ(r)を有する中心コア領域(14)、ここで、−0.1%≦Δ(r)≦0.1%であり、中央コア領域は最大相対屈折率%,Δ0最大を有する、(b)中央コア領域を囲んで中央コア領域に直接に接し、外半径rまで拡がり、4.8μm≦r≦10μmであって、純シリカに対して測定される、%単位の相対屈折率%プロファイル,Δ(r)及び最小相対屈折率を有しており、半径r=2.5μmで測定される相対屈折率が−0.15≦Δ(r=2.5μm)<0及びΔ0最大>Δ(r=2.5μm)である、第1の環状コア領域(16)、及び(c)第1の環状コア領域を囲んで第1の環状コア領域に直接に接し、半径12μm<r<30μmまで拡がり、純シリカに対して測定される、%単位の負の相対屈折率%プロファイル,Δ(r)を有し、Δ2最小<Δ(r=2.5μm)及び−0.5%<Δ2最小<−0.27%である最小相対屈折率%,Δ2最小を有する、フッ素がドープされた第2の環状コア領域(18)−を有する、及び(ii)コアを囲み、純シリカに対して測定される、%単位の相対屈折率%プロファイル,Δ(r)を有し、Δ(r)=Δ2最小±0.3%である、クラッド層を有する。光ファイバの相対屈折率プロファイルは波長1550nmにおいて0.175dB/kmをこえない減衰を与えるように選ばれる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2010年1月29日に出願された米国特許出願第12/696189号の優先権の恩典を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は全般的に光ファイバに関し、特に、純シリカコアを有する低減衰大有効面積光ファイバに関する。
【背景技術】
【0003】
長距離間大パワー伝送を提供する遠距離通信システムには一般に、光ファイバ技術及び波長分割多重化手法が必要とされる。大パワー及び長距離の定義は、ビットレート、ビットエラーレート、多重化方式及び、おそらくは、光増幅器が指定される、特定の遠距離通信システムに対してしか意味をなさない。当業者には、大パワー及び長距離の定義に強く影響する、さらに他の要因が知られている。しかし、ほとんどの目的に対して、大パワーは約10mWより大きい光パワーである。大パワーシステムでは、それぞれが全て大パワーシステムにおいて信号の劣化をおこさせ得る、自己位相変調、4光波混合、相互位相変調及び非線形散乱過程を含む、非線形光学効果が問題になる。いくつかの応用においては、1mW以下にすぎないパワーレベルであっても非線形効果に敏感であるから、そのような低パワーシステムにおいてさえも非線形効果は重要な要件になり得る。さらに、減衰のような、その他の光ファイバ属性が信号の劣化に対する主要な要因である。
【0004】
一般に、大有効面積(A有効)を有する光導波路ファイバでは、それぞれが全て大パワーシステムにおいて信号の劣化をおこさせ得る、自己位相変調、4光波混合、相互位相変調及び非線形散乱過程を含む、非線形光学効果が低減される。
【0005】
他方で、光導波路ファイバの有効面積が大きくなると一般に、ファイバを通過する信号を減衰させるマクロベンド誘起損失が大きくなる。マクロベンド損失は、距離(または、中継器、増幅器、送信器及び/または受信器の間の間隔)が長くなる(例えば100km以上になる)ほど益々重大になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
残念なことに、従来の光ファイバでは有効面積が大きくなるほど、マクロベンド損失が大きくなる傾向にある。さらに、減衰が大有効面積ファイバにおける信号の劣化への主要な寄与要因になり得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、
(i)波長1550nmにおいて約90μmから約160μmの有効面積を有し、α値が12≦α≦200である、無Geコアであって、
(a)中心線から半径rまで径方向に外向きに拡がり、純シリカに対して測定される、%単位の相対屈折率%プロファイルΔ(r)を有する中心コア領域であり、最大相対屈折率%,Δ0最大を有する中心コア領域と、
(b)中心コア領域を囲んで中心コア領域に直接に接し、外半径rまで拡がり、4.8μm≦r≦10μmであって、純シリカに対して測定される、%単位の相対屈折率%プロファイル,Δ(r)及び最小相対屈折率,Δ1最小を有しており、半径r=2.5μmにおいて測定される相対屈折率が、
−0.15≦Δ(r=2.5μm)≦0及びΔ0最大≧Δ(r=2.5μm),
である、第1の環状コア領域と、
(c)第1の環状コア領域を囲んで第1の環状コア領域に直接に接し、半径13μm≦r≦30μmまで拡がり、純シリカに対して測定される、%単位の相対屈折率%プロファイル,Δ(r)を有しており、最小相対屈折率%,Δ2最小が、
Δ2最小<Δ(r=2.5μm)及び−0.7%≦Δ2最小≦−0.28%,
である、フッ素がドープされた第2の環状コア領域と、
を有する無Geコア、及び
(ii)コアを囲み、純シリカに対して測定される、%単位の、相対屈折率%プロファイル,Δ(r)を有する、クラッド層、
を有する光ファイバであり、
光ファイバの相対屈折率プロファイルは波長1550nmにおいて0.175dB/kmより小さい減衰を与えるように選ばれる。
【0008】
本明細書に説明される実施形態にしたがえば、Δ(r)≧Δ2最小であることが好ましい。いくつかの実施形態において、Δ(r)=Δ2最小±3%である。また、少なくともいくつかの実施形態にしたがえば、0μm≦r≦2μmである。
【0009】
いくつかの実施形態例にしたがえば、中心コア領域の少なくとも一部は純シリカでつくられる。
【0010】
本発明のさらなる特徴及び利点は以下の詳細な説明に述べられ、ある程度は、当業者にはその説明から容易に明らかであろうし、あるいは以下の詳細な説明及び添付される特許請求の範囲を含み、添付図面も含む、本明細書に説明されるように本発明を実施することによって認められるであろう。
【0011】
上記の全般的説明及び以下の詳細な説明のいずれもが本発明の実施形態を提示し、特許請求されるような本発明の本質及び特質の理解のための概要または枠組みの提供が目的とされていることは当然である。添付図面は本発明のさらに深い理解を提供するために含められ、本明細書に組み入れられて本明細書の一部をなす。図面は本発明の様々な実施形態を示し、記述とともに本発明の原理及び動作の説明に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】図1Aは本発明の一実施形態の断面図である。
【図1B】図1Bは図1Aのファイバの屈折率プロファイルの一例を簡略に示す。
【図2】図2は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図3】図3は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図4】図4は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図5】図5は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図6】図6は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図7】図7は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図8】図8は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図9】図9は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図10】図10は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図11】図11は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図12】図12は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図13】図13は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図14】図14は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図15】図15は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図16】図16は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図17】図17は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図18】図18は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図19】図19は本発明の光ファイバの実施形態の一例の屈折率プロファイルを示す。
【図20】図20はファイバ実施形態の一例の測定した屈折率プロファイルを示す。
【図21】図21はファイバ実施形態の別の2例の屈折率プロファイルを示す。
【図22】図22は、表4に与えられる実施例の範囲内のファイバに対する、モデル化LLWN対マイクロベンドFOMを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
「屈折率プロファイル」は屈折率または相対屈折率と導波路ファイバ半径の間の関係である。
【0014】
「相対屈折率%」は、
【数1】

【0015】
と定義される。ここで、n(r)は、別途に指定されない限り、ファイバの中心線から半径距離rにおける屈折率であり、nは1550nmの波長におけるシリカの屈折率である。本明細書に用いられるように、相対屈折率はΔで表され、その値は、別途に指定されない限り、「%」単位で与えられる。ある領域の屈折率がシリカの屈折率より低い場合、相対屈折率は負であり、陥没屈折率を有すると称され、別途に指定されない限り、屈折率が最も負である点において計算される。ある領域の屈折率がシリカの屈折率より高い場合、相対屈折率は正であり、その領域は盛り上げられているまたは正屈折率を有すると称することができ、別途に指定されない限り、相対屈折率が最も正である点において計算される。「アップドーパント」は本明細書において、アンドープ純SiOに対して屈折率を高めるような性質を有するドーパントであると見なされる。「ダウンドーパント」は本明細書において、アンドープ純SiOに対して屈折率を低めるような性質を有するドーパントであると見なされる。アップドーパントは、アップドーパントではない1つないしさらに多くの他のドーパントがともなう場合、負の相対屈折率を有する光ファイバの領域に存在することができる。同様に、正の相対屈折率を有する光ファイバの領域に、アップドーパントではない1つないしさらに多くの他のドーパントが存在することができる。ダウンドーパントは、ダウンドーパントではない1つないしさらに多くの他のドーパントがともなう場合、正の相対屈折率を有する光ファイバの領域に存在することができる。同様に、負の相対屈折率を有する光ファイバの領域に、ダウンドーパントではない1つないしさらに多くの他のドーパントが存在することができる。
【0016】
導波路ファイバの、別途に注記されない限り本明細書では「分散」と称される、「色分散」は材料分散、導波路分散及びモード間分散の総和である。単一モード導波路ファイバの場合、モード間分散はゼロである。2モード方式における分散値は、モード間分散がゼロであると仮定している。ゼロ分散波長(λ)は分散がゼロ値を有する波長である。分散勾配は波長に対する分散の変化率である。
【0017】
「有効面積」は、
【数2】

【0018】
と定義される。ここで積分範囲は0から∞までであり、fは導波路内を伝搬する光にともなう電場の横成分である。本明細書に用いられるように、「有効面積」または「A有効」は、別途に注記されない限り、1550nmの波長における光学的有効面積を指す。
【0019】
語句「αプロファイル」は、rを半径として、式:
【数3】

【0020】
にしたがう、「%」単位で表されるΔ(r)によって表される、相対屈折率プロファイルを指す。ここで、rはΔ(r)が最大になる点であり、rはΔ(r)%がゼロである点であり、rはr≦r≦rの範囲にあり、Δは上で定義され、rはαプロファイルの始点であり、rはαプロファイルの終点であって、αは実数の指数である。
【0021】
モードフィールド径(MFD)はピーターマン(Petermann)II法を用いて測定される。ここで、2w=MFDであって、
【数4】

【0022】
であり、積分範囲は0から∞までである。
【0023】
導波路ファイバの曲がり抵抗(bend resistance)は規定された試験条件の下で誘起される減衰によって評価することができる。
【0024】
曲げ試験の一タイプは横荷重マイクロベンド試験である。このいわゆる「横荷重」試験においては、規定された長さの導波路ファイバが2枚の平プレートの間におかれる。70番ワイアメッシュが一方のプレートに取り付けられる。既知の長さの導波路ファイバがプレートの間に挟み込まれ、プレートが30Nの力で押し合わされている間に、基準減衰が測定される。次いで70Nの力がプレートにかけられて、dB/m単位で減衰の増加が測定される。この減衰の増加が導波路の横荷重ワイアメッシュ(LLWM)減衰である。
【0025】
曲がりに対する導波路ファイバの相対抵抗を比較するために、「ピンアレイ」曲げ試験が用いられる。この試験を実施するため、基本的に誘起曲がり損失がない状態にある導波路ファイバについて減衰損失が測定される。次いで、導波路ファイバがピンアレイを巡って編まれて、再び減衰が測定される。曲りによって誘起される損失は2つの減衰測定値間で異なる。ピンアレイは、一列に配置され、平表面上の垂直方向の固定位置に保持された、10本一組の円柱ピンである。ピンの中心間隔は5mmである。ピン径は0.67mmである。試験中、導波路をピン表面の一部にならわせるに十分な張力がかけられる。
【0026】
与えられたモードに対する、理論ファイバカットオフ波長または「理論ファイバカットオフ」または「理論カットオフ」は、誘導される光がそれより長い波長ではそのモードで伝搬することができない波長である。数学的定義は、ジュノム(Jeunhomme)著,「単一モード光ファイバ(Single Mode Fiber Optics)」,(米国ニューヨーク),マーセル・デッカー(Marcel Dekker),1990年,p.39〜44に見ることができ、外層クラッドにおいてモード伝搬定数が平面波伝搬定数に等しくなる波長として理論ファイバカットオフが説明されている。
【0027】
実効ファイバカットオフは、曲げ及び/または機械的圧力により誘起される損失のため、理論カットオフより短波長側にある。この文脈において、カットオフは高次のLP11モード及びLP02モードに関わる。LP11及びLP02は一般に測定では弁別されないが、いずれも(多モード基準技法を用いる場合)スペクトル測定においてステップとして明白に表れる。すなわち、測定されるカットオフより長い波長ではそのモードにおいてパワーが全く見られない。実ファイバカットオフは、「2mファイバカットオフ」または「測定カットオフ」としても知られる、「ファイバカットオフ波長」を得るための標準2mカットオフ試験、FOTP-80(FIA-TIA-455-80)によって測定することができる。FOTP-80標準試験は、制御された大きさの曲げを用いて高次モードを取り除くため、またはファイバのスペクトル応答を多モードファイバのスペクトル応答に規格化するために実施される。
【0028】
ケーブルカットオフ波長または「ケーブルカットオフ」は一般に、ケーブル環境における高レベルの曲げ及び機械的圧力のため、測定ファイバカットオフより短波長側にある。実ケーブル条件は、EIA-TIA光ファイバ規格、すなわち、より普通にはFOPTとして知られる、米国電子工業会-米国電気通信工業会光ファイバ規格の一部である、EIA-455光ファイバ試験手順に説明されるケーブルカットオフ試験によって近似することができる。ケーブルカットオフ測定は、EIA-455-170「パワー伝送による単一モードファイバのケーブルカットオフ波長」、すなわちFOTP-170に説明されている。本明細書において別途に注記されない限り、(分散、分散勾配、等のような)光学特性はLP01モードについて報告される。
【0029】
導波路ファイバ遠距離通信リンク、または単にリンクは、光信号の送信器、光信号の受信器及び、送信器と受信器の間で光信号を伝搬させるためにそれぞれの末端が送信器及び受信器に光学的に接続されている、ある長さの1本ないし複数本のファイバで構成される。この長さの導波路ファイバは、直列構成で相互に末端と末端がスプライスまたは接続される、より短いファイバで構成することができる。リンクはさらに、光増幅器、光減衰器、光アイソレータ、光スイッチ、光フィルタ、あるいは多重化デバイスまたは分派デバイスのような光コンポーネントを備えることができる。相互の結合されたリンク群を遠距離通信システムと表すことができる。
【0030】
本明細書に用いられるように、光ファイバのスパンは、光デバイス間を、例えば2つの光増幅器の間、または多重化デバイスと光増幅器の間を延びる、1本の光ファイバまたは、相互に直列に融着接続された、複数本の光ファイバを含む。スパンは、本明細書に開示されるように1つないしさらに多くの光ファイバ区間を含むことができ、あるいは、例えば所望のシステム性能またはスパンの末端における残留分散のようなパラメータを達成するために選ばれるような、1つないしさらに多くの他のファイバ区間をさらに含むことができる。
【0031】
本発明の実施形態
ここで、それぞれの例が添付図面に示される、本発明の現在の実施形態を詳細に参照する。可能であれば必ず図面を通して同じ参照数字が同じかまたは同様の要素を指して用いられる。本発明の光ファイバの一実施形態が図1Aに示され、全体として参照数字10で示される。導波路ファイバ10は、波長1550nmにおける有効面積が約90μm以上(例えば、波長1550nmにおいて、90μm〜160μmまたは100μm〜160μmまたは120μm〜140μm)であり、α値が12≦α≦200(例えば12≦α≦100または12≦α≦25)のコア12,及びコアを囲むクラッド層20を有する。本明細書に説明されるファイバ実施形態例におけるα値の代表的範囲は14から20,例えば15≦α≦17である。しかし、より大きい(例えば>25の)α値をプラズマ化学気相成長法(PCVD)によって達成することができる。このファイバの屈折率プロファイル(相対屈折率Δ対半径)が図1Bに簡略に示される。
【0032】
コア12は無Geであり、中心コア領域14,中心コア領域14を囲んで中心コア領域14に直接に接する第1の環状コア領域16及び第1の環状コア領域を囲んで第1の環状コア領域16に直接に接する第2の環状コア領域18を有する。中心コア領域14は中心線から径方向に外側に半径0μm≦r≦2μmまで拡がり、純シリカに対して%単位で測定される相対屈折率%プロファイル,Δ(r)を有し、−0.1%≦Δ(r)≦0.15%である。いくつかの実施形態においては、−0.1%≦Δ(r)≦0.1%である。いくつかの実施形態においては、−0.1%≦Δ(r)≦0%である。例えば、いくつかの実施形態において、−0.075%≦Δ(r)≦0%である。中心コア領域14は最大相対屈折率%,Δ0最大も有する。本明細書に説明される実施形態例において、Δ0最大はファイバの中心線(r=0)にある。
【0033】
第1の環状コア領域16は外半径rまで拡がり、4.8μm≦r≦10μmであって、純シリカに対して%単位で測定される相対屈折率%プロファイル,Δ(r)を有し、最小相対屈折率,Δ1最小及び最大相対屈折率,Δ1最大を有し(ここでΔ0最大≧Δ1最大である)、半径r=2.5μmにおいて測定された相対屈折率,Δは、
(a) −0.15≦Δ(r=2.5μm)≦0,及び
(b) Δ0最大≧Δ(r=2.5μm),
である。いくつかの実施形態において、Δ1最大=Δ(r=2.5μm)である。
【0034】
第2の環状コア領域18はフッ素ドープされ、第1の環状ロア領域16を囲んで第1の環状コア領域16に直接に接する。一般に、本明細書に説明される実施形態にしたがえば、第2の環状コア領域18は0.1〜2重量%のフッ素、例えば、0.1〜1.6重量%または0.4〜2重量%のフッ素を含有する。
【0035】
第2の環状コア領域18は半径rまで拡がり、13μm≦r≦30μmであって、純シリカに対して%単位で測定される負の相対屈折率%プロファイル,Δ(r)を有し、
(a) Δ2最小<Δ(r=2.5μm),及び/または
(b) −0.7%≦Δ2最小≦−0.27%,
である最小相対屈折率%,Δ2最小を有する。Δ(r)は、Δ2最大<Δ(r=2.5μm)及びΔ2最大≧Δ2最小である、最大相対屈折率%,Δ2最大も有する。いくつかの実施形態において、−0.5%<Δ2最小<−0.27%である。例えば、Δ2最小は、−0.29%,−0.3%,−0.35%,−0.38%,−0.4%,−0.47%または−0.5%とすることができ、あるいはこれらの間のいかなる数値もとることができる。別の実施形態において、−0.4%<Δ2最小<−0.27%である。
【0036】
第2の環状コア領域18が、Δ2最大−Δ2最小<0.03%である、比較的平坦な屈折率プロファイルを有する場合、半径rは、第2の環状領域が最初に到達する、Δ(r=2.5μm)とΔ2最小の間の中点に対応する半径と定義されることに注意されたい。すなわちrは、
Δ(r)=[Δ(r=2.5μm)+Δ2最小]/2,
になる半径である。同様に、環状コア領域18の外半径rは、最初に到達する、Δ2最小とΔ=Δ3最大の間の中間値に対応する半径と定義される。すなわち、rは、
Δ(r)=[Δ2最小+Δ3最大]/2,
になる半径である。第2の環状コア領域18が比較的平坦な屈折率プロファイルをもたない、すなわちΔ2最大−Δ2最小≧0.03%であり、Δがクラッド層の近くになってΔ2最小に到達するような場合、半径rは、第2の環状領域が最初に到達する、Δ(r=2.5μm)とΔ2最大の間の中間値に対応する半径と定義される。すなわち、rは、
Δ(r)=[Δ(r=2.5μm)+Δ2最大]/2,
になる半径である。半径rは、ここでも、第2の環状領域が最初に到達する、Δ2最小とΔ3最大の間の中間値に対応する半径と定義される。すなわち、rは、
Δ(r)=[Δ2最小+Δ3最大]/2,
になる半径である。
【0037】
いくつかの実施形態において、比r/rは2と6の間である。比は2.1≦r/r≦5.75であることが好ましく、例えば2.15≦r/r≦5.7である。r≦30μmであることが好ましく、例えば14μm≦r≦29μmである。与えられたΔ及びΔに対し、(例えばrが大きいため)比r/rが小さければ、MFDが大きくなり、λが短波長になり、1550nmにおける分散Dが大きくなる、比r/rが大きすぎると、MFDが小さくなりすぎ、λが長波長側にシフトし、1550nmにおける分散Dが小さくなり得る。
【0038】
クラッド層20がコア12を囲み、純シリカに対して%単位で測定される相対屈折率%プロファイル,Δ(r)を有し、Δ(r)≧Δ2最小である。
【0039】
いくつかの実施形態例において、コア12及びクラッド層20はダウンドーパントとしてFを含む。これらの実施形態において、第1の環状領域16及び第2の環状領域18に存在するFの量は中央コア領域14に存在するフッ素の量より多い。いくつかの実施形態例において、コア12は少なくとも1つの酸化アルカリ金属ドーパント、例えば、アルカリ金属がK,Na,Li,Cs及びRbである、酸化アルカリ金属ドーパントも含む。いくつかの実施形態例において、コア12はKの重量で20ppmから1000ppmの量のKOを含む。ファイバ10は塩素を含むこともできる。塩素の量は、コアにおいては重量で500ppmより多く、クラッド層20においては重量で10000ppmより多いことが好ましい。語句「ppm」は、別途に特に注記されない限り、重量でパーツパーミリオン、すなわち重量ppmを指し、重量%単位の測定値は係数10000を乗じることでppm単位に変換できることに注意されたい。
【0040】
光ファイバ10の相対屈折率プロファイルは1550nmの波長λにおいて0.175dB/kmをこえない、例えば1550nmの波長λにおいて0.145dB/kmから0.17dB/kmの減衰を与えるように選ばれる。減衰値は1550nmの波長λにおいて、0.145dB/kmから0.17dB/kmまたは0.15dB/kmから0.165dB/km、すなわち、例えば、0.15dB/km,0.155dB/km,0.16dB/km,0.165dB/kmまたは0.17dB/kmとすることができる。
【実施例】
【0041】
本発明は以下の実施例によってさらに明解になるであろう。
【0042】
実施例1〜15
説明のための一組のファイバ実施形態の実施例1〜15の特性を表1〜2に挙げてある。図2〜16はそれぞれ、実施例1〜15に対応する屈折率を示す。実施例1〜15のこれらの光ファイバ実施形態においては、−0.5%≦Δ≦0%及びΔ0最大≦0%,−0.065%≦Δ(r=2.5μm)≦0%,−0.065%≦Δ1最大≦0.0%,−0.5%≦Δ2最小≦−0.27%,−0.4%≦Δ≦−0.2%であり、r/rは2.17≦r/r≦5.7であって、r<30である。しかし、他の実施形態においては、アップドーパントまたはダウンドーパントが中央コア領域14に存在するか否かに依存して、(シリカに対し)rを0%より若干大きくまたは小さくできることに注意されたい。光ファイバ10のいくつかの実施形態は12と25の間のα値を有するが、実施例1〜9の光ファイバ実施形態は13〜15の範囲にあるα値を有する。実施例10〜15の光ファイバ実施形態は約20のα値を有する。
【0043】
これらのファイバ実施例のモデル化プロファイルパラメータを表1Aにまとめてある。rに対する値はクラッド層の外径に対応し、これらの実施例においてrは62.5μmとした。いくつかのファイバ実施例においては、Δ(%)=Δ(%)である。したがって、これらの実施形態では環状コア領域16と18の間に明白な屈折率変化がないことからr値は指定された範囲内にあるとして与えられる。
【表1】

【0044】
これらの15の実施形態例において、コア12はシリカ(SiO)ベースであり、フッ素がドープされている。以下の表2は、コア領域16,18及びクラッド層20について、フッ素,Fの量を重量%で与える。
【表2−1】

【0045】
表1の実施例1〜9に対応する光ファイバ実施形態においてはΔ0最大=Δ1最大であり、中央コア領域14及び(第2の環状領域18への遷移にともなう、グラフ上のエルボー区画までの)第1の環状領域16の組成は同じであることに注意されたい。したがって、実施例1〜9においてはコア領域14と16の間に明白な遷移がないから、表1ではrが0μmであると指定されているがr=2μmと指定することもできるであろう。これらのファイバ実施例において、コア領域14(及び第1の環状領域16の少なくとも一部)は純シリカであるから、Δ0最大は0である。
【0046】
さらに詳しくは、表1の実施例2〜5に対応する光ファイバ実施形態は、屈折率,Δ=Δを有する第1の環状コア領域16で囲まれた中央セグメント14を含み、第1の環状コア領域16が、続いて、屈折率,Δ2最小を有する第2の環状コア領域18に対応するモート(環状凹地)領域で囲まれる、コア屈折率プロファイルを有する(図3〜6を見よ)。このモート(第2の環状コア領域18)は屈折率,Δ>Δ2最小を有するクラッド層20で囲まれる。実施例1〜5に対応する光ファイバ実施形態において、−0.38%≦Δ≦−0.26%,−0.412%≦Δ≦−0.290%である。
【0047】
表1の実施例6〜9に対応する光ファイバ実施形態は、相対屈折率,Δ=Δ=0を有する第1の(純シリカ)環状コア領域16で囲まれた純シリカコア領域14を含むコア屈折率プロファイルを有する。これらのファイバ実施例において、第1の環状領域16は相対屈折率,Δ<Δを有する第2の環状コア領域18で囲まれる。相対屈折率がΔの第2の環状コア領域18は屈折率,Δ=Δを有するクラッド層20で囲まれる。実施例6,7及び9に対応する光ファイバ実施形態において、第2の環状コア領域18とクラッド層20の組成が同等である。しかし、他の実施形態において第2の環状コア領域18とクラッド層20の組成は同等ではない、すなわち、Δ≠Δ2最小またはΔ>Δ2最小である(例えば実施例8の光ファイバパラメータを見よ)。実施例6〜9に対応する光ファイバ実施形態において、−0.382%≦Δ≦−0.292%及び−0.382%≦Δ≦−0.315%である。表1の実施例10〜15に対応する光ファイバ実施形態は、第1の環状コア領域16で囲まれた、相対屈折率,Δ0最大=0を有する純シリカコア領域14を含むコア屈折率プロファイルを有する(図11〜16を見よ)。第1の環状コア領域16は相対屈折率,−0.1%≦Δ≦0%を有し、屈折率,Δ2最小を有する第2の環状コア領域18に対応するモート領域で囲まれる。実施例10〜15に対応する光ファイバ実施形態において、第2の環状コア領域18は−0.5%≦Δ2最小≦−0.27%の屈折率,Δ2最小を有し、例えばΔ2最小は、−0.29,−0.3,−0.35,−0.38,−0.4または−0.47とすることができ、あるいはこれらの間のいかなる値とすることもできる。モート(第2の環状コア領域16)は、相対屈折率,Δ>Δ2最小を有する第3の環状コア領域18で囲まれる。実施例10〜15に対応する光ファイバ実施形態において、−0.38%≦Δ≦−0.26%である。
【0048】
光ファイバの実施形態のいくつかは以下のモデル値、1321nmと1580nmの間のファイバカットオフ波長λ,90μm≦A有効≦160μmの1550nmにおける有効面積、18ps/nm/kmと25ps/nm/kmの間、さらに好ましくは19ps/nm/kmと23.5ps/nm/kmの間の1550nmにおける分散,D、及び1550nmにおいて0.175dB/km未満、例えば0.165dB/kmと0.175dB/kmの間の減衰を有する。表1のファイバ実施例はモデル化され、モデル化光学属性を表2A及び2Bに挙げてある。
【表2−2】

【表2−3】

【0049】
表2A及び2Bにおいて、「勾配1310」及び「勾配1550」はそれぞれ、波長1310nm及び1550nmにおける分散勾配をps/nm/km単位で表し、「MFD1310」及び「MFD1550」はそれぞれ、波長1310nm及び1550nmにおけるモードフィールド径をμm単位で表し、「A有効1310」及び「A有効1550」はそれぞれ、波長1310nm及び1550nmにおけるファイバの有効面積をμmで表し、「D1625」は波長1625nmにおける分散をps/nm/km単位で表し、「減衰1550」は1550nmにおける減衰をdB/kmで表し、「ラムダ0」または「λ」はゼロ分散波長をnmで表す。
【0050】
ファイバ実施例16〜23
本発明の光ファイバ10の2つの実施形態(ファイバ実施例16及び17)のモデル化した屈折率プロファイルが図17に示される。光ファイバは、波長1550nmにおいて約110μmの有効面積を有するコア12及びコアを囲むクラッド層20を有する。コア12は、中心線から径方向に外側に半径0≦r≦2μmまで拡がる純シリカ中央コア領域14及び外半径rまで拡がる第1の環状コア領域16を有し、rは約5μmである。第2の環状コア領域18が第1の環状コア領域16を囲み、第1の環状コア領域に対してダウンドープされている。第2の環状コア領域は外半径rまで拡がり、rは、
ファイバ実施例16において約17μm、ファイバ実施例17において約25μmである。下の表3Aにファイバ実施例16及び17の光学パラメータを挙げてある。
【表3A】

【0051】
下の表3Bに、説明のための別の一組のファイバ実施形態の特性を挙げてある。
【表3B】

【0052】
図18は(既製)ファイバ実施例22の屈折率プロファイルを示す。本ファイバは110μmのA有効測定値を有し、その1550nmにおける減衰は0.167dB/kmであった。下の表4a及び4bはファイバ実施例22についての光学パラメータを与える。
【表4A】

【表4B】

【0053】
(既製)ファイバ実施例23の屈折率プロファイルが図19に示される。プロファイル1屈折率プロファイルを測定した。本ファイバは110μmのA有効測定値を有し、その1550nmにおける減衰は0.17dB/km未満であった。下の表5a及び5bはファイバ実施例23についての光学パラメータを与える。
【表5A】

【表5B】

【0054】
実施例24,25及び12〜34
表6Aに別の2つの実施例24及び25の測定した特性が挙げられ、図20にファイバ実施例24の測定した屈折率プロファイルが示される。表6Bに、本発明にしたがって作製された、500kmより長い、光ファイバの測定した属性の平均値、最大値及び最小値をまとめてある。表6A及び6Bに対応する光ファイバ実施形態は、アルカリ元素がドープされた第1のコア12及びフッ素がドープされた第2の環状コア領域18を有する。これらのファイバは、100μmより大きく、好ましくは110μmより大きく、さらに好ましくは115μmより大きく、さらに一層好ましくは120μmより大きい、有効面積,A有効を有する。これらのファイバ実施形態のケーブルカットオフは、1520nmより短く、さらに好ましくは1500nmより短く、さらに一層好ましくは1450nmより短い。これらのファイバ実施形態の代表的な減衰(例えば表6A及び6Bを見よ)は、0.17dB/kmより小さく、さらに好ましくは0.16dB/kmより小さく、さらに一層好ましくは0.155dB/kmより小さい。
【表6A】

【表6B】

【0055】
説明のための別の一組のファイバ実施形態の実施例26〜34のプロファイルパラメータ及びモデル特性を挙げてある。図21は、有効面積が115μmより大きい、本発明の別の2つのファイバ実施形態(表7の29及び33)の屈折率プロファイルのグラフである。有効面積が115μmより大きいファイバ実施形態において、ヤング率が1.0MPaより小さい一次被覆及びヤング率が1200MPaより大きい二次被覆を光ファイバが有することが、表7のファイバ実施形態例の共通パラメータである。実施例26〜34は、0.175dB/kmより小さく、好ましくは0.17dB/kmより小さい、1550nm減衰、<1500nm,好ましくは、1450nmのケーブルカットオフ、及び>110μm,好ましくは>120μm,さらに好ましくは>130μmの有効面積を有する。横荷重ワイアメッシュ(LLWM)マイクロベンド損失は、<5dB,好ましくは<4dB,さらに好ましくは<3dBである。LP11カットオフ波長は、好ましくは1350nmと1500nmの間に、さらに好ましくは1380nmと1420nmの間にある。
【0056】
実施形態26〜34においては、−0.2%≦Δ≦0.2%,−0.065%≦Δ(r=2.5μm)≦0%,−0.065%≦Δ1最大≦0.0%,−0.5%≦Δ2最小≦−0.27%,−0.4%≦Δ≦−0.2%(好ましくは、−0.3%≦Δ≦−0.2%),及び0.2≦r/r≦0.3であり、r<30である。第2の環状コア領域18の体積は、好ましくは−40%-μmより小さく、さらに好ましくは−50%-μmより小さく、ここで、プロファイル体積はクラッド層の屈折率に対する第2の環状コア領域18の屈折率の半径で重みを付けた差の積分、
【数5】

【0057】
によって計算される。光パワーをコアに閉じ込め、よってマイクロベンド損失を最小限に抑え、大有効面積と低減衰の組合せを可能にするに役立たせるためにはさらに負のプロファイル面積が望ましい。実施形態26〜34において、第2の環状コア領域18の外半径に対する第1の環状コア領域16の外半径の比,r/rは、0.4より小さく、好ましくは0.3より小さく、さらに好ましくは0.2と0.3の間にある。表7に与えられるマイクロベンド性能指数(MFOM)、
【数6】

【0058】
はマイクロベンドと分散の間の関係を表すパラメータである。ここで、Dは1550nmにおけるファイバ分散であり、Cは被覆によるマイクロベンド低減の尺度であって、LP11はLP11モードの理論カットオフ波長である。マイクロベンド性能指数(MFOM)は、<0.6であることが好ましく、<0.55であることがさらに好ましく、0.45と0.5の間であることがさらに一層好ましい。
【表7】

【0059】
表8は、表7の実施例29にしたがって作製された2つの光ファイバの測定した特性を与える。表7に対応する光ファイバ実施形態は、アルカリ元素がドープされた第1のコア12及びフッ素がドープされた第2の環状領域18を有する。これらのファイバは、115μmより大きく、好ましくは120μmより大きく、さらに好ましくは125μmより大きい有効面積,A有効を有する。これらのファイバ実施形態のケーブルカットオフは、1520nmより短く、さらに好ましくは1500nmより短く、さらに一層好ましくは1450nmより短い。これらのファイバ実施形態の代表的な減衰は、0.175dB/kmより小さく、さらに好ましくは0.17dB/kmより小さい。
【表8】

【0060】
モデル化LLWMのMFOM依存性が図2にプロットされている。これらの2つのパラメータの間には極めて良い相関があり、したがってこの新規の測定基準は与えられたファイバ構成のマイクロベンド感受性を評価するための優れた手段である。これにより、分散が低いファイバほど高いマイクロベンド感受性を有する利用も説明される。図22において、上側の曲線は標準の被覆を有して作製された低減衰ファイバが約0.45までのマイクロベンド性能指数に対して許容できるマイクロベンド損失(<2dB)を有することを示す。このことはファイバ有効面積をほぼ115μmに制限する。図22における下側の曲線は、さらに高いマイクロベンド耐性を与える被覆により、さらに大きいMFOMが可能になり、これによって最大LLWM値のほぼ4dBまでの拡大が可能になり、続いて、かなり大きな有効面積が可能になることを示す。表7のプロファイル設計とマイクロベンド耐性が優れた被覆の組合せにより、有効面積が140μmもの大きさの低減衰光ファイバが可能である。
【0061】
発明者等は一次被覆と二次被覆のある組合せがマイクロベンド性能、したがって総減衰を顕著に改善し、≧115μmまで,好ましくは≧120μmまで,さらに一層好ましくは≧130μmまでの、ファイバの有効面積の増大を可能にすることを見いだした。有効面積が少なくとも115μmの光ファイバは、クラッド層20を囲んでクラッド層20に直接に接する一次被覆Pを有することが好ましい。一次被覆Pは、1.0MPaより小さく、好ましくは0.9MPaより小さく、好ましい実施形態において0.8MPaをこえない、ヤング率を有する。この光ファイバはさらに、一次被覆Pに接して一次被覆Pを囲む二次被覆Sを有する。二次被覆Sは1200MPaより大きいヤング率を有することが好ましく、1400MPaより大きいヤング率を有することがさらに好ましい。
【0062】
本明細書に用いられるような、一次被覆の硬化高分子材のヤング率、破断点伸び及び引張強さは、厚さが約0.003インチ(76μm)と0.004インチ(102μm)の間で、幅が約1.3cmのフィルムとして整形した材料の試料について、張力試験装置(例えば、Sintech MTST張力テスタまたはインストロンユニバーサル材料試験システム)を用い、5.1cmのゲージ長及び2.5cm/分の試験速度で測定した。
【0063】
この実施形態例において、一次被覆Pは、被覆光ファイバの最低予想使用温度より低いガラス転移温度を有することが望ましい。いくつかの実施形態において、一次被覆Pは、好ましくは−25℃より低く、さらに好ましくは−30℃より低い、ガラス転移温度を有する。一次被覆は、光ファイバのコアからの迷光信号の除去を可能にするため、光ファイバのクラッド層より高い屈折率を有することが望ましい。例えば、伝送光ファイバは、波長1550nmにおいて、コア及びクラッド層についてそれぞれ1.447及び1.436の屈折率を有し、したがって一次被覆Pの屈折率は1550nmにおいて1.44より高いことが望ましい。一次被覆Pは、熱エージング及び加水分解エージング中、ガラスファイバへの十分な密着を維持すべきであるが、永久接続目的のためには光ファイバから剥ぎ取られなければならない。一次被覆Pは一般に25〜50μmの範囲内(例えば約32.5μm)の厚さを有し、液体として光ファイバに塗布して硬化させることができる。
【0064】
一次被覆Pは、オリゴマー及び少なくとも1つのモノマーを含む、一次硬化性組成物の硬化品であることが好ましい。一次被覆の形成に用いられる一次硬化性組成物は光重合開始剤を含むことができる。
【0065】
本発明の精神及び範囲を逸脱することなく本発明に様々な改変及び変形がなされ得ることが当業者には明らかであろう。したがって、本発明の改変及び変形が添付される特許請求項及びそれらの等価形態の範囲内に入れば、本発明はそのような改変及び変形を包含するとされる。
【符号の説明】
【0066】
10 光(導波路)ファイバ
12 コア
14 中心コア領域
16 第1の環状コア領域
18 第2の環状コア領域
20 クラッド層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路ファイバにおいて、前記光ファイバが、
(i)波長1550nmにおいて100μmから160μmの有効面積を有し、α値が12≦α≦200である、無Geコアであって、
(a)中心線から径方向に外向きに半径rまで拡がり、純シリカに対して測定される、%単位の相対屈折率%プロファイル,Δ(r)を有し、−0.1%<Δ(r)<0.1%である中心コア領域であり、最大相対屈折率%,Δ0最大を有する中心コア領域と、
(b)前記中心コア領域を囲んで前記中心コア領域に直接に接し、外半径rまで拡がり、4.8μm<r<10μmであって、純シリカに対して測定される、%単位の相対屈折率%プロファイル,Δ(r)及び最小相対屈折率,Δ1最小を有しており、半径r=2.5μmにおいて測定される相対屈折率が、
−0.15<Δ(r=2.5μm)<0及びΔ0最大≧Δ(r=2.5μm),
である、第1の環状コア領域と、
(c)前記第1の環状コア領域を囲んで前記第1の環状コア領域に直接に接し、半径13μm<r<30μmまで拡がり、純シリカに対して測定される、%単位の相対屈折率%プロファイル,Δ(r)を有しており、最小相対屈折率%,Δ2最小が、
Δ2最小<Δ(r=2.5μm)及び−0.5%<Δ2最小<−0.27%,
である、フッ素がドープされた第2の環状コア領域と、
を有する無Geコア、及び
(ii)前記コアを囲み、純シリカに対して測定される、%単位の相対屈折率%プロファイル,Δ(r)を有し、Δ(r)=Δ2最小±0.3%である、クラッド層、
を有し、
前記光ファイバの相対屈折率プロファイルは波長1550nmにおいて0.175dB/kmをこえない減衰を与えるように選ばれ、
前記光ファイバが、
(a)1.0MPaより小さいヤング率を有する一次被覆、及び
(b)1200MPaより大きいヤング率を有する二次被覆、
をさらに有し、
前記光ファイバが115μmより大きい有効面積を有する、
ことを特徴とする光導波路ファイバ。
【請求項2】
(i)前記中央コア領域の少なくとも一部が純シリカで作製される、または
(ii)前記無Geコアが100μmと160μmの間の有効面積を有し、前記フッ素がドープされた第2の環状コア領域が0.07重量%から1.6重量%のフッ素を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路ファイバ。
【請求項3】

(i)−0.5%<Δ2最小<−0.25%,及び/または
(ii)−0.1%<Δ(r=2.5μm)<0%,
であることを特徴とする請求項1に記載の光導波路ファイバ。
【請求項4】
前記光ファイバが、20mm径マンドレル上20ターンに対して、10dB/m未満の1550nmにおけるマイクロベンド損失を有することを特徴とする請求項1に記載の光導波路ファイバ。
【請求項5】
(i)前記フッ素がドープされた第2の環状コア領域が0.01重量%から1.6重量%のフッ素を有する、及び/または
(ii)前記光ファイバが、前記コアに500ppmより多くの塩素を有し、前記クラッド層に10000ppmより多くの塩素を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路ファイバ。
【請求項6】
前記コアが、
中心線から径方向に外側に半径0<r<2μmまで拡がる前記中央コア領域、
を有し、
前記光ファイバの前記相対屈折率プロファイルが、波長1550nmにおいて0.15dB/kmと0.175dB/kmの間の減衰を与えるように選ばれ、
Δ=0,−0.07%<Δ(r=2.5μm)<0%,r/rが2.7<r/r<5.7,及びr<30であり、
前記光導波路ファイバが、18ps/nm/km<D<25ps/nm/kmの波長1550nmにおける分散,D、1245nm<λ<1290nmのλ及び、20mm径マンドレル上20ターンに対して、10dB/m未満の1550nmにおけるマイクロベンド損失を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路ファイバ。
【請求項7】
前記コアの少なくとも一部がアルカリ元素を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の光導波路ファイバ。
【請求項8】
前記アルカリ元素がNa,KまたはRbを含むことを特徴とする請求項7に記載の光導波路ファイバ。
【請求項9】
前記光ファイバが、
(i)18<D<25ps/nm/kmの波長1550nmにおける分散,D、好ましくは19<D<23ps/nm/kmの波長1550nmにおける分散,D、及び
(ii)1245nm<λ<1290nmの、ゼロ分散波長,λ
の内の少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1または7に記載の光導波路ファイバ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2013−518312(P2013−518312A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551245(P2012−551245)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2011/022503
【国際公開番号】WO2011/094256
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】