説明

大環状化合物の製造方法

本発明は、下記式(I)の大環状化合物:
【化1】


の製造方法であって、下記式(II)の中間体:
【化2】


(式中、W、R1〜R4、D、A及びR12は、本出願で定義されるとおりである)
を用いて実施する方法を開示する。式(I)の化合物は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の治療に効力のある活性薬である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の背景)
1.技術分野
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の治療薬として有用な大環状化合物の改良された製造方法に関する。
【0002】
2.背景情報
下記式(I)の大環状化合物は、国際特許出願WO 00/59929、2001年1月16日提出の米国特許出願第09/760,946号、及び2003年1月27日提出の米国仮出願第60/442,768号(引用によってすべて本明細書に取り込まれる)から知られている。
【化1】

(式中、
WはCH又はNであり;
1は、H、ハロ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C3-6シクロアルコキシ、ヒドロキシ、又はN(R5)2(各R5は独立的にH、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルである)であり;
2は、H、ハロ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6チオアルキル、C1-6アルコキシ、C3-6シクロアルコキシ、C2-7アルコキシ-C1-6アルキル、C6若しくはC10アリール又はHet(Hetは、窒素、酸素及びイオウから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5-、6-、若しくは7-員飽和又は不飽和ヘテロ環である)であり;
前記シクロアルキル、アリール又はHetはR6で置換されており、
ここで、R6はH、ハロ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C3-6シクロアルコキシ、NO2、N(R7)2、NH-C(O)-R7、又はNH-C(O)-NH-R7(各R7は独立的にH、C1-6アルキル若しくはC3-6シクロアルキルである)であり;
又はR6はNH-C(O)-OR8(R8はC1-6アルキル若しくはC3-6シクロアルキルである)であり;
3は、ヒドロキシ、NH2、又は式-NH-R9(式中、R9はC6若しくはC10アリール、ヘテロアリール、-C(O)-R10、-C(O)-NHR10又は-C(O)-OR10(R10はC1-6アルキル若しくはC3-6シクロアルキルである)である)であり;
Dは3〜7原子の飽和アルキレン鎖であり;
4はH、又は前記鎖Dのいずれかの炭素原子にある1〜3個の置換基であり、前記置換基は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、オキソ、チオ、又はC1-6チオアルキルから成る群より独立的に選択され;
かつ
Aは、式-C(O)-NH-R11(式中、R11は、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C6若しくはC10アリール、C7-16アラルキル及びSO211A(R11AはC1-8アルキル、C3-7シクロアルキル又はC1-6アルキル-C3-7シクロアルキルである)から成る群より選択される)のアミドであり;或いは
Aは、カルボン酸又は薬学的に許容しうるその塩若しくはエステルである。)
【0003】
式(I)の化合物がC型肝炎ウイルス(HCV)感染症治療の活性薬として開示されている。開示されているこれら化合物の製造方法は、特定の反応基の保護と脱保護を含む多くの合成工程を含み、不十分な全体的収率につながる。さらに、開示されている方法を工業規模で実施することは困難である。本発明の基礎になる課題は、工業規模で、十分な全体的収率でこれら化合物を製造できる方法を提供することである。
【0004】
(発明の簡単な概要)
驚くべきことに、下記式(II)の中間化合物を用いて合成を実施すると、工業規模で上記式(I)の化合物を製造できることが分かった。
【化2】

(式中、R12は、本明細書でさらに完全に述べるような種々の異なった基から選択される。)
従って、本発明は、中間体として式(II)の化合物を用いて式(I)の化合物を製造する多工程合成法;特にこの多工程法の個々の工程;及びこの多工程法で使用する特定の個々の中間体に関する。
【0005】
(発明の詳細な説明)
使用する用語の定義及び慣例
本明細書で特に定義しない用語は、本開示及び文脈に照らして本技術の当業者がそれら用語に与えるであろう意味が与えるものとする。しかし、本明細書で使用する場合、反対の意味に指定しない限り、以下の用語は指示した意味を有し、かつ以下の慣例を守る。
以下に定義する基、遊離基(radical)、又は部分では、炭素原子の数はその基に先行して指定されることが多く、例えば、C1-6アルキルは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又はアルキル遊離基を意味する。一般に、2又は3個のサブ基を含む基では、最後に命名される基はその遊離基の結合点であり、例えば、“チオアルキル”は、式HS-Alk-の一価遊離基を意味する。以下、特に指定しない限り、用語の通常の定義が支配し、かつすべての式及び基では、通常の安定した原子価が仮定かつ達成される。
単独又は別の置換基と組み合わせて本明細書で使用される用語“C1-6アルキル”は、1〜6個の炭素原子を含有する非環式の直鎖若しくは分岐鎖アルキル置換基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、1-メチルエチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、及び1,1-ジメチルエチルが挙げられる。
単独又は別の置換基と組み合わせて本明細書で使用される用語“C3-6シクロアルキル”は、3〜6個の炭素原子を含有するシクロアルキル置換基を意味し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられる。
本明細書で使用される用語“飽和アルキレン鎖”は、飽和した直鎖若しくは分岐鎖脂肪族炭化水素の各末端から1個の水素原子が除去されて誘導される二価アルキル置換基を意味し、例えば、CH2CH2C(CH3)2CH2CH2-が挙げられる。
【0006】
単独又は別の置換基と組み合わせて本明細書で使用される用語“C1-6アルコキシ”は、置換基C1-6アルキル-O-を意味し、ここで、アルキルは6個までの炭素原子を含有する上記定義どおりの基である。アルコキシとして、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1-メトキシエトキシ、ブトキシ及び1,1-ジメチルエトキシが挙げられる。最後の置換基は一般的にtert-ブトキシとして知られている。
単独又は別の置換基と組み合わせて本明細書で使用される用語“C3-6シクロアルコキシ”は、3〜6個の炭素原子を含有する置換基C3-6シクロアルキル-O-を意味する。
本明細書で使用される用語“C2-7アルコキシ-C1-6アルキル”は、置換基C2-7アルキル-O-C1-6アルキルを意味し、ここで、アルキルは6個までの炭素原子を含有する上記定義どおりの基である。
本明細書で使用される用語“ハロ”は、ブロモ、クロロ、フルオロ又はヨードから選択されるハロゲン置換基を意味する。
単独又は別の置換基と組み合わせて本明細書で使用される用語“ハロアルキル”は、1個以上の水素原子がブロモ、クロロ、フルオロ又はヨードから選択されるハロゲンで置換されている非環式の直鎖若しくは分岐鎖アルキル置換基を意味する。
単独又は別の置換基と組み合わせて本明細書で使用される用語“チオアルキル”は、置換基としてチオール(HS)基を含有する非環式の直鎖若しくは分岐鎖アルキル置換基を意味する。チオアルキル基の例はチオプロピルであり、例えば、HS-CH2CH2CH2-はチオプロピルの一例である。
単独又は別の置換基と組み合わせて本明細書で使用される用語“C6又はC10アリール”は、6個の炭素原子を含有する芳香族単環系又は10個の炭素原子を含有する芳香族二環系を意味する。例えば、アリールには、フェニル又はナフチル環系が含まれる。
単独又は別の置換基と組み合わせて本明細書で使用される用語“C7-16アラルキル”は、アルキル基を介して結合されている上記定義どおりのアリールを意味し、ここで、アルキルは1〜6個の炭素原子を含有する上記定義どおりの基である。アラルキルとして、例えば、ベンジル、及びブチルフェニルが挙げられる。
単独又は別の置換基と組み合わせて本明細書で使用される用語“Het”は、炭素原子と、窒素、酸素及びイオウから選択される1〜4個の環ヘテロ原子とを含有する5-、6-、若しくは7-員の飽和又は不飽和(芳香族を含む)ヘテロ環から1個の水素原子が除去されて誘導される一価置換基を意味する。好適なヘテロ環の例として、テトラヒドロフラン、チオフェン、ジアゼピン、イソオキサゾール、ピペリジン、ジオキサン、モルフォリン、ピリミジン又は下記式のヘテロ環が挙げられる。
【化3】

【0007】
用語“Het”は、1個以上の他の環(ヘテロ環でもいずれの他の環でもよい)に縮合した上記定義どおりのヘテロ環をも包含する。用語“Het”で一般的にカバーされるが、本明細書で使用される用語“ヘテロアリール”は、二重結合が芳香族系を形成する不飽和ヘテロ環を正確に定義する。ヘテロ芳香族系の好適な例として、キノリン、インドール、ピリジン、又は下記式で示されるものが挙げられる。
【化4】

【0008】
用語“オキソ”は、置換基として結合されている二重結合基(=O)を意味する。
用語“チオ”は、置換基として結合されている二重結合基(=S)を意味する。
一般的に、化合物の名称又は構造で特定の立体化学又は異性形態が具体的に示されていない限り、個々の幾何異性体若しくは光学異性体又は異性体のラセミ若しくは非ラセミ混合物のいずれにしても、化学構造又は化合物のすべての互変異性形態並びに異性形態及び混合物を意図している。
単独又は別の置換基と組み合わせて本明細書で使用される用語“薬学的に許容しうるエステル”は、該分子のいずれかのカルボキシル官能、好ましくはカルボキシ末端が、下記式のアルコキシカルボニル官能:
【化5】

(式中、該エステルのR部分は、アルキル(例えばメチル、エチル、n-プロピル、t-ブチル、n-ブチル);アルコキシアルキル(例えばメトキシメチル);アルコキシアシル(例えばアセトキシメチル);アラルキル(例えばベンジル);アリールオキシアルキル(例えばフェノキシメチル);任意にハロゲン、C1-4アルキル又はC1-4アルコキシで置換されていてもよいアリール(例えばフェニル)から選択される)
で置換されている、式Iの化合物のエステルを意味する。他の好適なプロドラッグエステルは文献(Design of prodrugs, Bundgaard, H. Ed. Elsevier (1985):引用によって本明細書に取り込まれる)に記載されている。このような薬学的に許容しうるエステルは、哺乳類に注入されて式Iの化合物の酸形態に変換されると、通常、生体内で加水分解される。上記エステルについては、特に指定しない限り、存在するいずれのアルキル部分も有利には1〜16個の炭素原子、特に1〜6個の炭素原子を含む。このようなエステル中に存在するいずれのアリール部分も有利にはフェニル基を含む。特に、エステルは、C1-16アルキルエステル、無置換ベンジルエステル、又は少なくとも1個のハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ニトロ若しくはトリフルオロメチルで置換されているベンジルエステルでよい。
本明細書で使用される用語“薬学的に許容しうる塩”は、薬学的に許容しうる塩基から誘導される当該塩を包含する。好適な塩基の例として、コリン、エタノールアミン及びエチレンジアミンが挙げられる。Na+、K+、及びCa++塩も本発明の範囲内であると考えられる(Pharmaceutical salts, Birge, S.M. et al., J. Pharm. Sci., (1977), 66, 1-19(引用によって本明細書に取り込まれる)も参照せよ)。
【0009】
以下の化学薬品は、以下の略語で表しうる。
【表1】

【0010】
(発明の実施形態)
以下の合成スキームでは、特に指定しない限り、化学式中のすべての置換基は、式(I)におけるのと同一の意味を有するものとする。以下で述べる合成スキームで使用する反応物質は、本明細書で述べるとおりに得ることができ、或いは本明細書で述べていない場合は、それ自体市販され、又は市販材料から技術的に既知の方法で調製することができる。特定の出発材料は、例えば、国際特許出願WO 00/59929、WO 00/09543及びWO 00/09558及び米国特許6,323,180 B1に記載されている方法で得ることができる。
最適な反応条件及び反応時間は、使用する特定の反応物質によって変化しうる。特に指定しない限り、本技術の当業者は、溶媒、温度、圧力、及び他の反応条件を容易に選択することができる。合成例セクションで特有の手順を提供する。典型的に、所望により、反応の進行を高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)でモニターすることができ、かつシリカゲル上クロマトグラフィー及び/又は再結晶で中間体と生成物を精製することができる。
【0011】
I.一般的な多工程合成法
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物の一般的な多工程合成法に関する。詳細には、この実施形態は、下記式(I)の化合物の製造方法に関する。
【化6】

(式中、
WはCH又はNであり;
1は、H、ハロ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C3-6シクロアルコキシ、ヒドロキシ、又はN(R5)2(各R5は独立的にH、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルである)であり;
2は、H、ハロ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6チオアルキル、C1-6アルコキシ、C3-6シクロアルコキシ、C2-7アルコキシ-C1-6アルキル、C6若しくはC10アリール又はHet(Hetは、窒素、酸素及びイオウから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5-、6-、若しくは7-員飽和又は不飽和ヘテロ環である)であり;
前記シクロアルキル、アリール又はHetはR6で置換されており、
ここで、R6はH、ハロ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C3-6シクロアルコキシ、NO2、N(R7)2、NH-C(O)-R7、又はNH-C(O)-NH-R7(各R7は独立的にH、C1-6アルキル若しくはC3-6シクロアルキルである)であり;
又はR6はNH-C(O)-OR8(R8はC1-6アルキル若しくはC3-6シクロアルキルである)であり;
3は、ヒドロキシ、NH2、又は式-NH-R9(式中、R9はC6若しくはC10アリール、ヘテロアリール、-C(O)-R10、-C(O)-NHR10又は-C(O)-OR10(R10はC1-6アルキル若しくはC3-6シクロアルキルである)である)の基であり;
Dは3〜7原子の飽和アルキレン鎖であり;
4はH、又は前記鎖Dのいずれかの炭素原子にある1〜3個の置換基であり、前記置換基は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、オキソ、チオ、又はC1-6チオアルキルから成る群より独立的に選択され;
かつ
Aは、式-C(O)-NH-R11(式中、R11は、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C6若しくはC10アリール、C7-16アラルキル及びSO211A(R11AはC1-8アルキル、C3-7シクロアルキル又はC1-6アルキル-C3-7シクロアルキルである)から成る群より選択される)のアミドであり;或いは
Aは、カルボン酸又は薬学的に許容しうるその塩若しくはエステルである。)
前記方法は、以下の工程:
(i)下記式IIの化合物:
【化7】

又はその塩を、下記式IIIの化合物:
【化8】

と反応させる工程;
(ii)工程(i)の結果得られる下記式IVの化合物:
【化9】

を、下記式Vのアミノシクロプロパン化合物:
【化10】

と反応させる工程;
(iii)工程(ii)の結果得られる下記式VIの化合物:
【化11】

を、下記式VIIの化合物:
X-SO2-R12 (VII)
(式中、Xは適切な脱離基を表し、かつR12はp-トリル、p-ブロモフェニル、p-ニトロフェニル、メチル、トリフルオロメチル、ペルフルオロブチル及び2,2,2-トリフルオロエチルから選択される)
と反応させる工程;
(iv)工程(iii)の結果得られる下記式VIIIのジエン化合物:
【化12】

を、ルテニウム触媒の存在下で環化する工程;及び
(v)工程(iv)の結果得られる下記式IXの大環状化合物:
【化13】

を、下記式Xの化合物:
【化14】

と反応させて下記式(I):
【化15】

の化合物を得る工程;及び、
その結果の式(I)の化合物においてAがカルボン酸エステル基の場合、式(I)の化合物を還元条件に供してAがカルボン酸基である式(I)の化合物を得る任意の工程;
また、前記結果の式(I)の化合物においてAがカルボン酸基の場合、TBTU又はHATUのような適切なカップリング剤の存在下、この化合物を式R11ASO2NH2のスルホンアミドとカップリングさせて、Aが-C(O)-NH-SO211Aである式(I)の化合物を得る任意の工程;
を含む。
【0012】
II.合成法の個々の工程
本発明のさらなる実施形態は、上述した一般的な多工程合成法の個々の工程と、これら工程で使用する個々の中間体に関する。以下、本発明のこれら個々の工程と中間体について詳述する。すべての置換基は式(I)について定義したとおりである。
工程(i)
この工程は、下記式(IV)の化合物:
【化16】

の製造プロセスであって、下記式(II)の化合物、又はその塩を、下記式(III)の化合物と反応させる工程を含む方法に関する。
【化17】

【0013】
式(II)及び(III)の化合物間のペプチドカップリングは、技術的に既知の種々の適切なペプチドカップリング条件下、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、DMF、NMP、DMSOのような非プロトン性溶媒中、DCC、EDC、TBTU、HBTU、HATU、DMTMM、HOBT、又はHOATのような通常のペプチドカップリング試薬を用いて得ることができる。
特有の実施形態では、式(II)の化合物をそのメシラート塩の形態で使用する。
出発材料として使用する式(II)の環状ラクトンは、以下の一般的スキームで概要を示すような標準的技術で式(XI)の商業的に入手可能な4-ヒドロキシプロリン化合物から得ることができる。
【化18】

【0014】
第1工程では、通常の手順で式(XI)の4-ヒドロキシプロリン化合物の環窒素原子上に適切なアミノ-保護基を導入する。例えば、式(XI)の化合物を適切な溶媒に溶かし、適切な アミノ-保護基導入試薬と反応させることができる。例えば、その範囲に限定するものではないが、Boc(tert-ブチルオキシカルボニル)が望ましい保護基の場合、NaOH、KOH、LiOH、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、又はN-メチル-ピロリジンのような塩基を加えたアセトン/水、MIBK/水、THF/水のような溶媒混合物中、化合物(XI)をBoc2O(又はBoc-ON)と反応させる。この反応は20〜60℃の温度で行う。
第2工程では、適切な溶媒中で適切な環化試薬による反応によって、式(XII)の保護された4-ヒドロキシプロリン化合物を式(XIII)の環状ラクトン化合物に変換する。一実施形態では、まず、非プロトン性溶媒(THF、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトン、又はメチルイソブチルケトンのような)中、三級アミン塩基(N-メチル-ピロリジン、ジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミンのような)の存在下で式(XII)の化合物のOH官能性を酸塩化物(メタンスルホニルクロライド、p-トルエンスルホニルクロライド、又はトリフルオロメタンスルホニルクロライドのような)と反応させて適切な脱離基を有する化合物を得た後、この得られた化合物の、非プロトン性溶媒(ジオキサンのような)中、三級アミン塩基の存在下での環化によって式(XIII)の所望環状ラクトンを得る。
第3工程では、通常の脱保護法を用いて、例えば、適切な溶媒中、p-トルエンスルホン酸、HCl、HBr、HI、HF、H2SO4、H3PO4、メタンスルホン酸又はトリフルオロ酢酸のような酸の存在下で式(XIII)の化合物を加熱して式(II)の化合物を得ることによって式(XIII)の環状ラクトン化合物を脱保護する。
任意に、式(II)の化合物を適切な酸と反応させて塩形態に変換してもよい。下記合成例セクションでは、式(XI)の適切な4-ヒドロキシプロリン化合物から出発する式(II)の化合物のメシラート塩の製法の特定例を示す。
出発材料として使用する式(III)の置換酸化合物は、国際特許出願WO 00/59929で述べられている技術を用いて市販材料から得ることができる。
【0015】
工程(ii)
工程(ii)は、下記式(VI)の化合物:
【化19】

の製造方法に関する。
前記方法は下記式(IV)の化合物を下記式(V)の化合物と反応させる工程を含む。
【化20】

適切な溶媒(水、トルエン、ピリジン、適切な溶媒混合物、例えばトルエン/THF又は適切な二相溶媒系、例えば水/トルエン)中、約20℃〜約80℃の温度で、式(IV)の化合物、式(V)の化合物及び2-エチルヘキサン酸ナトリウム(SEH)のような適切な塩基の混合物を反応の完了まで撹拌する。仕上げに有機層を洗浄し、溶媒の除去後、生成物を単離する。
出発材料として用いる式(V)の化合物は、国際特許出願WO 00/59929、WO 00/09543、WO 00/09558及び米国特許6,323,180 B1に記載されている技術を用いて市販材料から得ることができる。
【0016】
工程(iii)
工程(iii)は、下記式(VIII)の化合物の製造方法に関する。
【化21】

前記方法は、下記式(VI)の化合物を下記式(VII)と反応させる工程を含む。
【化22】

(式中、Xは適切な脱離基であり、かつR12は、p-トリル、p-ブロモフェニル、p-ニトロフェニル、メチル、トリフルオロメチル、ペルフルオロブチル及び2,2,2-トリフルオロエチルから選択される。)
有機溶媒(エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム又はトルエンのような)中の式(VI)の化合物と有機塩基(DABCO、トリエチルアミン、1-メチルピロリジン又はピリジンのような)の混合物に、式(VII)の化合物の溶液を加え、結果混合物を反応の完了まで周囲温度(15〜25℃)で撹拌する。
【0017】
工程(iv)
工程(iv)は、下記式(IX)の化合物の製造方法に関する。
【化23】

前記方法は、適切な触媒の存在下で下記式VIIIのジエン化合物を環化する工程を含む。
【化24】

【0018】
この工程に好適な閉環触媒として、例えば、WO 00/59929に記載されている触媒のようなオレフィンメタセシス反応で用いられるルテニウムベース触媒が挙げられる。好適なルテニウム触媒の特有例としてグラブスの(Grubb's)触媒(第1及び第2世代)、ホベイダの(Hoveyda's)触媒(第1及び第2世代)及びノーランの(Nolan's)触媒が挙げられる。特有の実施形態では、この閉環工程で使用する触媒は下記式(XIV)の化合物である。
【化25】

(式中、
1及びX2は、それぞれ独立的に共有結合型リガンドを表し、
1は、ルテニウム原子に配位結合しており、かつフェニル基に共有結合していてもよいリガンドを表し、かつ
2は、ルテニウム原子に配位結合しているリガンドを表す。)
【0019】
この工程の特定の実施形態では、式(VIII)の化合物を有機溶媒(トルエン又はジクロロメタンのような)に溶かして約0.02M未満の濃度にしてから、約40℃〜約110℃の温度で式(XIV)の化合物のようなルテニウムベース触媒と反応完了まで処理する。THF又は重金属を捕捉することが分かっている他の薬剤のような適切な重金属スカベンジャーで処理して、反応混合物からルテニウム金属の一部又はすべてを除去することができる。反応混合物を水で洗浄後、有機溶液を部分的に濃縮する(例えば、蒸留法で)。この有機溶液を活性炭の添加に続いてろ過のように脱色してから、予め冷却したメチルシクロヘキサンのような適切な温度の適切な溶媒に加えると、式(IX)の製品化合物の沈殿が生じ、これをろ過で収集する。
【0020】
工程(v)
この工程は、下記式(I)の化合物の製造方法に関する。
【化26】

前記方法は、下記式(IX)の大環状化合物を下記式(X)の化合物と反応させる工程;
【化27】

及び結果の式(I)の化合物において、Aがカルボン酸エステル基の場合、式(I)の化合物を加水分解条件に供してAがカルボン酸基である式(I)の化合物を得る任意の工程;
また、結果の式(I)の化合物において、Aがカルボン酸基の場合、TBTU又はHATUのような適切なカップリング剤の存在下でこの化合物を式R11ASO2NH2のスルホンアミドとカップリングさせてAが-C(O)-NH-SO211Aである式(I)の化合物を得る任意の工程;
を含む。
【0021】
式(IX)及び(X)の化合物を、極性の非プロトン性有機溶媒(THF、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトン、又はメチルイソブチルケトンのような)中、無機又は有機塩基(炭酸セシウム、又はDBUのような)の存在下、40℃〜100℃で反応完了まで混合する。水性にした後、酢酸エチル-ヘプタン又は酢酸エチル/メチルシクロヘキサンのような適切な溶媒から結晶化させて式(I)の化合物を得る。
式(I)において、Aがカルボン酸エステルの場合、任意に、式(I)のエステル化化合物を加水分解条件に供して、対応する遊離カルボン酸化合物を得ることができる。加水分解は技術的に既知の通常の加水分解条件で行うことができる。特定の実施形態では、例えば、式(I)のエステル化化合物をTHFのような有機溶媒に溶かし、水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)のような適切な加水分解剤を添加後、水を加える。結果溶液を約35℃〜約50℃の温度で撹拌する。反応終了時、溶液を冷まし、有機層を収集する。この有機層にエタノールのような適切な溶媒を加え、pHを約pH5〜約pH6に調整する。次に、混合物を約40℃〜約50℃の温度に温め、この時点で水を加え、撹拌すると式(I)の化合物が沈殿し始める。沈殿が完了したら、溶液を周囲温度に冷まし、ろ過で式(I)の化合物を集め、洗浄し、乾燥させる。
任意に、式(I)の化合物をさらに精製することができる。この精製工程の特定実施形態では、式(I)の化合物を脂肪族アルコール(例えば、エタノール)に溶かし、脱色してから(例えば、結果溶液を活性炭で処理後ろ過)、該溶液を約55℃より高い温度の水に添加する。水に溶液を添加している間に沈殿が生じる。この混合物を冷却し、結晶生成物を収集し、洗浄し、乾燥させる。
出発材料として用いる式(X)の化合物は、国際特許出願WO 00/59929、WO 00/09543、WO 00/09558及び米国特許6,323,180 B1に記載されている技術で市販材料から得られる。
【0022】
III.式(I)の化合物の好ましい実施形態
好ましい実施形態として、シクロプロピル部分が、下記構造(i)及び(ii)で表されるように、シクロプロピルの1-炭素中心がR配置を有する2つの異なったジアステレオマーから選択される、上述したとおりの式(I)の化合物が挙げられる。
【化28】

【0023】
式(I)の特有の実施形態では、上記構造(ii)で表されるように、A基に対してオレフィン基がシン(syn)配置であり;
WがNであり;
1が、H、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシ、クロロ、又はN(R5)2(R5はH又はC1-6アルキルである)であり;
2が、H、C1-6チオアルキル、C1-6アルコキシ、フェニル又は下記式:
【化29】

(式中、R6はH、C1-6アルキル、NH-R7、NH-C(O)-R7、NH-C(O)-NH-R7であり、各R7が独立的にH、C1-6アルキル、若しくはC3-6シクロアルキルであり;
又はR6はNH-C(O)-OR8であり、R8がC1-6アルキルである)
から選択されるHetであり;
3がNH-C(O)-OR10(R10はC1-6アルキル、又はC3-6シクロアルキルである)であり;かつ
Dが4〜6原子の飽和アルキレン鎖であり;
4がH又はC1-6アルキルであり;
かつAがカルボン酸又は薬学的に許容しうるその塩若しくはエステルである。
【0024】
式(I)の別の特有の実施形態では、上記構造(ii)で表されるように、A基に対してオレフィン基がシン配置であり;
WがNであり;
1がC1-3アルコキシであり;
2が下記式:
【化30】

(式中、R6はNH-(C1-4アルキル)又はNH-(C3-6シクロアルキル)である)であり;
3がNH-C(O)-OR10(R10はブチル、シクロブチル又はシクロペンチルである)であり;
4がH又はC1-6アルキルであり;
Dが5原子の飽和アルキレン鎖であり;かつ
Aがカルボン酸又は薬学的に許容しうるその塩若しくはエステルである。
【0025】
以下の表は、式(I)の化合物の代表的化合物を列挙する。
下記式の化合物:
【化31】

式中、シクロプロピル基に対する14位からの結合はCOOHに対してシンであり、前記13、14二重結合はシス(cis)であり、R13、R4及びR2は下表のように定義される。
【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【0026】
上表の特に代表的化合物は化合物番号822の化合物である。
式(I)の化合物の代表的なさらなる特有の化合物は、WO 00/59929に記載されている。
この発明をさらに完全に理解してもらうため、以下に実施例を示す。これら実施例はこの発明の実施形態を説明する目的のためであり、いかなる場合にも本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0027】
(合成例)
工程1:Boc-保護基の導入;(2)の合成
【化36】

Boc-保護基でアミノ-保護を行った。(1)(trans-4-ヒドロキシ L-プロリン)(249.8g,1.905mol)を水(375ml)と45%水酸化ナトリウム溶液(203g,2.286mol)に溶かした。よい相転移を確実にするためtert-ブタノール(106g)を加えた。異なる手順では、THF/tert-ブタノールの代わりにアセトンを使用した。反応混合物を50℃に加熱し、無水Boc2O(424g,1.943mol)をTHF(425ml,又はアセトン)にゆっくり加えた。反応は発熱を伴い、Boc2Oを添加するとガス(CO2)が発生する。反応が望みどおりに進行しない場合、触媒量のDMAP(2.3g,19mmol)を添加することができる。Boc2Oの添加後、50℃で1/2〜1時間反応混合物を維持し、部分的蒸留でTHFを除去した。残存溶液のpHを濃HCl(204g,2.076mol)で約pH3に調整し、次いで生成物をMIBK(1リットル)で抽出し、再びMIBK(375ml)で抽出した。有機層を加熱し、溶媒の一部を蒸留して微量の水を除去した。MCH(1.25リットル)を添加してこの溶液から生成物を結晶させ、MCH(375ml)で2回洗浄し、40℃で一晩中乾燥させた。
収率:77〜78%、無色結晶、Fp=126〜128℃。
【0028】
工程2:ラクトンの形成;(3)の合成
【化37】

(2)(416.3g,1.8mol)をTHF(2.08リットル)に溶かし、氷で約-5〜約-10℃の温度に冷却する。メシルクロライド(392g,3.4mol)とN-メチルピロリジン(429g,5mol)を加え、混合物を約-5℃で約1.5時間撹拌する。混合物を水洗し、還流するまで加熱する。ジオキサン(2.08リットル)を注ぎ、蒸留でTHFを除去する。室温に冷ました後、DIPEA(233g,1.8mol)を加え、混合物を還流温度に加熱する。1時間後、蒸留で溶媒の一部(830ml)を除去し、周囲温度に冷まし、KHSO4-溶液(2.08リットルの水中14.4g)を注ぎ、溶液を室温に冷ます。生じた結晶をろ過で単離し、水洗し、45℃で一晩中乾燥させる。
収率:78〜82%、無色針晶、Fp=111℃。
【0029】
工程3:ラクトンの脱保護;(4)の合成
【化38】

ラクトン(3)(267g,1.25mol)をメチル-イソブチルケトン(1467ml)に溶かす。ラクトンが完全に溶けるまで懸濁液を50℃まで加熱し、溶媒の一部(130ml)を蒸留して微量の水を除去する。この反応混合物にメタンスルホン酸(240g,2.5mol)をゆっくり加える。添加中ガスが発生する(CO2、イソブテン)。反応混合物を室温に冷まし、生じた結晶をろ過で単離し、アセトンで2回(それぞれ400ml)洗浄し、40℃で一晩中乾燥させる。
収率:93〜98%、無色結晶、208〜210℃。








【0030】
工程4:(5)とのカップリング;ジペプチド(6)の合成
【化39】

化合物(5)は、任意に該化合物の塩形態から遊離させることによって得られる。例えば、DCHA塩形態を使用する場合、(5)・DCHA(61.4g,132mmol)をトルエン(160ml)に溶かし、結果溶液を希硫酸(80mlの水中5.3g)と水(80ml)で洗浄する。相分離後、溶液を木炭で処理し、ろ過し、結果溶液を室温で貯蔵する。
脱保護したラクトン(4)(24.9g,119mmmol)とEDC・HCl(26.8g,140mmol)をジクロロメタン(140ml)に懸濁させ、室温に冷ます。前に生成した(5)溶液と懸濁液を処理する。この懸濁液に、窒素雰囲気下で20℃未満の温度で反応を維持しながら、ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基,16.3g,130mmol)をゆっくり加える。懸濁液をろ過し、結果溶液を水(80ml)、希酢酸(80mlの水中1.3g)、5%炭酸水素ナトリウム溶液(80ml)及び再び水(80ml)で洗浄する。相分離後、減圧蒸留でジクロロメタンを除去する。結果溶液は直接次工程で使用できる。そうでなければ、生成物をMCHからの結晶化で単離することができる。
収率:95%(GC)、黄色がかった溶液、Fp=58〜60℃。
【0031】
工程5:(8)の合成
【化40】

水(43ml)とトルエン(12ml)中の(6)(10.0g,23.7mmol,1.0当量)、(7)(7.6g,24.2mmol,1.02当量)及び2-エチルヘキサン酸ナトリウム(SEH)(5.9g,35.6mmol,1.5当量)の混合物を80℃で2時間撹拌する。仕上げに80℃でトルエン(75ml)を加える。撹拌及び水層の分離後、有機層を1M Na2CO3(3×30ml)、0.5M HCl(30ml)及び水(2×30ml)で洗浄する。真空下溶媒を除去する。
(8)の収量:11.7g,22.5mmol,95%;純度:>95%(ピーク-エリア HPLC)わずかに黄色の油。
【0032】
工程6.(8)のブロシル化(Brosylation);(9)の合成
【化41】

(8)(10.7g,18.5mmol,1.0当量)とDABCO(3.3g,29.7mmol,1.6当量)とトルエン(23ml)の混合物に、トルエン(15ml)中の4-ブロモベンゼンスルホニルクロライド(ブロシル(brosyl)クロライド,6.6g,26.0mmol,1.4当量)の溶液を室温でゆっくり添加する。混合物を2時間撹拌する。仕上げに有機層を1M Na2CO3(2×21ml)で洗浄し、THF(21ml)で希釈し、0.5M HCl(21ml)と水(2×21ml)で洗浄する。真空下溶媒を除去する。
(9)の収量:12.3g,16.7mmol,90%;純度:>95%(ピーク-エリア HPLC)わずかに橙色の油。粗生成物の木炭処理を行うことができる。
【0033】
工程7:(9)から(10)へのメタセシス
【化42】

THP-溶液(実験では35.4gの(9)を有する)の調製
23.5gのテトラキスヒドロキシメチルホスホニウムクロライド(80%,98.7mmol)を窒素雰囲気下でイソプロパノール(35ml)に溶かす。次に、溶液を冷却しながら(温度20〜25℃)12.1g(98.7mmol)の45%KOH溶液を5分以内で加える。この懸濁液を窒素下でさらに30分撹拌後、混合物をろ過し、無機残留物を20mlの脱気したイソプロパノールで洗浄する。混ぜ合わせたイソプロパノール溶液は、使用するまで窒素雰囲気下で貯蔵する。
【0034】
メタセシス反応:
反応フラスコ内で窒素を泡立ててトルエンに通すことによって3500mlのトルエンを脱気する。35.2g(47.7mmol)の(9)を70mlの脱気トルエンに溶かし、反応フラスコに加える。この溶液を80℃まで加熱し、窒素下、3モル%のホベイダの触媒を4回に分けて3時間にわたって添加する。同温度でさらに60分撹拌後、HPLCで転化率をチェックする。転化率が95%未満の場合、さらにホベイダの触媒を加え、転化率が95%を超えるまで混合物を撹拌する(反応中、微量の窒素流を反応混合物に通して泡立てる)。
50℃に冷却後、THP溶液を反応混合物に加える。50℃で8.5時間撹拌後、混合物を室温に冷まし、188mlの脱気した水で2回、188mlの0.5M HCl、188mlの0.5M NaHCO3溶液及び188mlの水で抽出する。
分圧下50℃で約2800mlのトルエンを蒸留し、残存溶液を50℃にて6.8gの木炭(活性炭L2S)で処理する。次いでろ過で木炭を除去する。
残存ろ液(約130ml)を1時間にわたって1.5リットルの予め冷却したMCH(5℃)上に添加する。5℃でさらに30分撹拌後、沈殿をろ過し、100mlのMCH(数回分)で洗浄する。白色固体を真空中25℃で乾燥させる。
収量(重量で):38gのほとんど白色の粉末
【0035】
工程8:(12)の合成:
【化43】

NMP中の(10)(1当量)、Cs2CO3(1当量)、及び(11)(1当量)の混合物を55〜65℃で8時間撹拌する。反応完了後、混合物を酢酸エチルで希釈し、2.5% NaHCO3溶液で洗浄する。NaHCO3の2.5%溶液とNMPの混合物で有機層を3回抽出する。有機層を木炭で処理し、ろ過し、n-ヘプタン(又はメチルシクロヘキサン)を添加して生成物を結晶化する。懸濁液を5℃に冷却し、沈殿をろ過し、酢酸エチル/n-ヘプタン(又は酢酸エチル/メチルシクロヘキサン)で洗浄し、真空中乾燥させる。
収率:60〜70%、白色結晶。
必要ならば、生成物を酢酸エチル/メチルシクロヘキサンから再結晶させうる。



【0036】
工程9:化合物#822粗生成物の合成:
【化44】

20g(0.025mol)の(12)を160mlのTHFに溶かし、この溶液に2.45g(0.0583mmol)のLiOH・H2Oを加える。54mlの水の添加後、反応混合物を40〜45℃の温度で少なくとも8時間撹拌する。完全な転化後(HPLC)、二相系を20〜25℃に冷却する。層の分離後(小量の水相を分離する)、54mlのエタノールを有機層に加え、かつ1M HCl溶液を添加してpHをpH5.5〜5.7に調整する。混合物を40〜45℃に温め、少なくとも30分(40〜45℃)にわたって80mlの水を加える。この手順の間に溶液は曇ってくる。この混合物を40〜45℃の温度でさらに60分撹拌する(15分後、生成物が沈殿するだろう)。さらに80mlの水を40〜45℃で少なくとも30分にわたって加え、混合物を同温度でさらに60分撹拌する。この懸濁液を20〜25℃に冷まし、この温度で1時間撹拌する。ろ過後、沈殿を20mlの水で3回洗浄し、真空中35℃で乾燥させる(わずかなN2流)。
収量:17.7〜18.7gの(#822)粗生成物(90〜95%)
生成物は3〜5%の水を含有する。
【0037】
工程10:精製化合物#822の合成:
10g(0.0129mol)の(#822)粗生成物を100mlのエタノールに20〜25℃で溶かす。次いで、溶液を木炭(5〜20%)で処理し、ろ過し、1時間にわたって70〜75℃の240mlの水に加える。少なくとも1時間かけて混合物を25〜30℃に冷ます。ろ過後、エタノール/水の1.7/1混合物40mlで沈殿を洗浄し、真空中45℃で乾燥させる(わずかな窒素流)。
収量:9.2〜9.7gの(#822)純粋生成物(92〜97%)
生成物は3〜5%の水を含有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物:
【化1】

(式中、
WはCH又はNであり;
1は、H、ハロ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C3-6シクロアルコキシ、ヒドロキシ、又はN(R5)2(各R5は独立的にH、C1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルである)であり;
2は、H、ハロ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6チオアルキル、C1-6アルコキシ、C3-6シクロアルコキシ、C2-7アルコキシ-C1-6アルキル、C6若しくはC10アリール又はHet(Hetは、窒素、酸素及びイオウから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5-、6-、若しくは7-員飽和又は不飽和ヘテロ環である)であり;
前記シクロアルキル、アリール又はHetはR6で置換されており、
ここで、R6はH、ハロ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C3-6シクロアルコキシ、NO2、N(R7)2、NH-C(O)-R7、又はNH-C(O)-NH-R7(各R7は独立的にH、C1-6アルキル若しくはC3-6シクロアルキルである)であり;
又はR6はNH-C(O)-OR8(R8はC1-6アルキル若しくはC3-6シクロアルキルである)であり;
3は、ヒドロキシ、NH2、又は式-NH-R9(式中、R9はC6若しくはC10アリール、ヘテロアリール、-C(O)-R10、-C(O)-NHR10又は-C(O)-OR10(R10はC1-6アルキル若しくはC3-6シクロアルキルである)である)の基であり;
Dは3〜7原子の飽和アルキレン鎖であり;
4はH、又は前記鎖Dのいずれかの炭素原子にある1〜3個の置換基であり、前記置換基は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、オキソ、チオ、又はC1-6チオアルキルから成る群より独立的に選択され;
かつ
Aは、式-C(O)-NH-R11(式中、R11は、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C6若しくはC10アリール、C7-16アラルキル及びSO211A(R11AはC1-8アルキル、C3-7シクロアルキル又はC1-6アルキル-C3-7シクロアルキルである)から成る群より選択される)のアミドであり;
或いはAは、カルボン酸又は薬学的に許容しうるその塩若しくはエステルである)
の製造方法であって、
以下の工程:
極性の非プロトン性有機溶媒中、有機又は無機塩基の存在下で下記式(IX)の大環状化合物を下記式(X)の化合物と反応させる工程:
【化2】

(式中、W、R1、R2、R3、R4、D及びAは式(I)について定義したとおりであり、かつR12はp-トリル、p-ブロモフェニル、p-ニトロフェニル、メチル、トリフルオロメチル、ペルフルオロブチル及び2,2,2-トリフルオロエチルから選択される);及び
その結果の式(I)の化合物においてAがカルボン酸エステル基の場合、前記式(I)の化合物を加水分解条件に供してAがカルボン酸基である式(I)の化合物を得る任意の工程;
また、前記結果の式(I)の化合物においてAがカルボン酸基の場合、適切なカップリング剤の存在下、この化合物を式R11ASO2NH2のスルホンアミドとカップリングさせて、Aが-C(O)-NH-SO211Aである式(I)の化合物を得る任意の工程;
を含む方法。
【請求項2】
前記式(I)の化合物において、
下記構造によって表されるように、オレフィン基がA基に対してシン配置であり;
【化3】

WがNであり;
1が、H、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシ、クロロ、又はN(R5)2(R5はH又はC1-6アルキルである)であり;
2が、H、C1-6チオアルキル、C1-6アルコキシ、フェニル又は下記式:
【化4】

(式中、R6はH、C1-6アルキル、NH-R7、NH-C(O)-R7、NH-C(O)-NH-R7であり、各R7が独立的にH、C1-6アルキル、若しくはC3-6シクロアルキルであり;
又はR6はNH-C(O)-OR8であり、R8がC1-6アルキルである)
から選択されるHetであり;
3が、NH-C(O)-OR10(R10はC1-6アルキル、又はC3-6シクロアルキルである)であり;かつ
Dが4〜6原子の飽和アルキレン鎖であり;
4がH又はC1-6アルキルであり;
かつAがカルボン酸又は薬学的に許容しうるその塩若しくはエステルである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(I)の化合物において、
下記構造によって表されるように、オレフィン基がA基に対してシン配置であり;
【化5】

WがNであり;
1がC1-3アルコキシであり;
2が下記式:
【化6】

(式中、R6はNH-(C1-4アルキル)又はNH-(C3-6シクロアルキル)である)であり;
3がNH-C(O)-OR10(R10はブチル、シクロブチル又はシクロペンチルである)であり;
4がH又はC1-6アルキルであり;
Dが5原子の飽和アルキレン鎖であり;かつ
Aがカルボン酸又は薬学的に許容しうるその塩若しくはエステルである、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記式(I)の化合物が、下表中の化合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【化7】

(式中、シクロプロピル基に対する14位からの結合はCOOHに対してシンであり、前記13、14二重結合はシスであり、R13、R4及びR2は以下のように定義される。)
【化8】

【化9】

【化10】

【請求項5】
前記式(I)の化合物が、化合物番号822の化合物である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記式(IX)を以下の工程:
(i)下記式IIの化合物:
【化11】

又はその塩を、下記式IIIの化合物:
【化12】

と、適切なペプチドカップリング条件下で反応させて、下記式IV:
【化13】

を得る工程;
(ii)工程(i)の結果得られる式IVの化合物を下記式Vのアミノシクロプロパン化合物:
【化14】

と、適切な溶媒中、適切な塩基の存在下で反応させて下記式VI:
【化15】

の化合物を得る工程;
(iii)工程(ii)の結果得られる式VIの化合物を、下記式VIIの化合物:
X-SO2-R12 (VII)
(式中、Xは適切な脱離基を表し、かつR12は、p-トリル、p-ブロモフェニル、p-ニトロフェニル、メチル、トリフルオロメチル、ペルフルオロブチル及び2,2,2-トリフルオロエチルから選択される)と、
有機溶媒中、有機塩基の存在下で反応させて、下記式VIIIの化合物:
【化16】

を得る工程;及び
(iv)工程(iii)の結果得られる式VIIIの化合物を適切な触媒の存在下で環化して、下記式IXの化合物:
【化17】

(式中、R3、R4、D及びAは請求項1で定義したとおりである)を得る工程;
を含む方法で製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
下記式(IV)の化合物。
【化18】

(式中、R3は、ヒドロキシ、NH2、又は式-NH-R9(R9はC6若しくはC10アリール、
ヘテロアリール、-C(O)-R10、-C(O)-NHR10又は-C(O)-OR10であり、
ここで、R10はC1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルである)の基であり;
Dは、3〜7原子の飽和アルキレン鎖であり;
4は、H、又は前記鎖Dのいずれかの炭素原子にある1〜3個の置換基であり、前記置換基は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、オキソ、チオ、及びC1-6チオアルキルから成る群より独立的に選択される。)
【請求項8】
請求項7に記載の式(IV)の化合物の製造方法であって、
適切なペプチドカップリング条件下で下記式(II)の化合物を下記式(III)の化合物と反応させて式(IV)の化合物を得る工程を含む方法。
【化19】

(式中、R3、R4及びDは、請求項7で定義したとおりである。)
【請求項9】
下記式(VI)の化合物。
【化20】

(式中:
3は、ヒドロキシ、NH2、又は式-NH-R9(R9はC6若しくはC10アリール、ヘテロアリール、-C(O)-R10、-C(O)-NHR10又は-C(O)-O-C3-6シクロアルキルであり、
ここで、R10はC1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルである)の基であり;
Dは、3〜7原子の飽和アルキレン鎖であり;
4は、H、又は前記鎖Dのいずれかの炭素原子にある1〜3個の置換基であり、前記置換基は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、オキソ、チオ、及びC1-6チオアルキルから成る群より独立的に選択され;
かつ
Aは、式-C(O)-NH-R11(R11は、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C6若しくはC10アリール、C7-16アラルキル及びSO211A(R11AはC1-8アルキル、C3-7シクロアルキル又はC1-6アルキル-C3-7シクロアルキルである)から成る群より選択される)のアミドであり;
或いはAは、カルボン酸又は薬学的に許容しうるその塩若しくはエステルである。)
【請求項10】
前記式(VI)中:
3が、NH-C(O)-O-C3-6シクロアルキルであり;
Dが、4〜6原子の飽和アルキレン鎖であり;
4が、H又はC1-6アルキルであり;
かつAが、カルボン酸又は薬学的に許容しうるその塩若しくはエステルである、
請求項9に記載の式(VI)の化合物。
【請求項11】
前記式(VI)中:
3が、NH-C(O)-OR10(R10はシクロブチル又はシクロペンチルである)であり;
Dが、5原子の飽和アルキレン鎖であり;
4が、H又はC1-6アルキルであり;
Aが、カルボン酸又は薬学的に許容しうるその塩若しくはエステルである、
請求項9に記載の式(VI)の化合物。
【請求項12】
請求項9に記載の式(VI)の化合物の製造方法であって、
適切な溶媒中、適切な塩基の存在下で下記式(IV)の化合物を下記式(V)の化合物と反応させて式(VI)の化合物を得る工程を含む方法。
【化21】

(式中、R3、R4、D及びAは、請求項9で定義したとおりである。)
【請求項13】
下記式(VIII)の化合物。
【化22】

(式中:
3は、ヒドロキシ、NH2、又は式-NH-R9(R9はC6若しくはC10アリール、ヘテロアリール、-C(O)-R10、-C(O)-NHR10又は-C(O)-OR10であり、
ここで、R10はC1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルである)の基であり;
Dは、3〜7原子の飽和アルキレン鎖であり;
4は、H、又は前記鎖Dのいずれかの炭素原子にある1〜3個の置換基であり、前記置換基は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、オキソ、チオ、及びC1-6チオアルキルから成る群より独立的に選択され;
かつ
Aは、式-C(O)-NH-R11(R11は、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C6若しくはC10アリール、C7-16アラルキル及びSO211A(R11AはC1-8アルキル、C3-7シクロアルキル又はC1-6アルキル-C3-7シクロアルキルである)から成る群より選択される)のアミドであり;
或いはAは、カルボン酸又は薬学的に許容しうるその塩若しくはエステルであり;かつ
12は、p-トリル、p-ブロモフェニル、p-ニトロフェニル、メチル、トリフルオロメチル、ペルフルオロブチル及び2,2,2-トリフルオロエチルから選択される。)
【請求項14】
前記式(VIII)の化合物において、
下記構造によって表されるように、オレフィン基がA基に対してシン配置であり;
【化23】

3がNH-C(O)-OR10(R10はC1-6アルキル、又はC3-6シクロアルキルである)であり;かつ
Dが4〜6原子の飽和アルキレン鎖であり;
4がH又はC1-6アルキルであり;
Aがカルボン酸又は薬学的に許容しうるその塩若しくはエステルであり;かつ
12が、p-トリル、p-ブロモフェニル及びp-ニトロフェニルから選択される、
請求項13に記載の式(VIII)の化合物。
【請求項15】
前記式(VIII)の化合物において、
下記構造によって表されるように、オレフィン基がA基に対してシン配置であり;
【化24】

3がNH-C(O)-OR10(R10はブチル、シクロブチル又はシクロペンチルである)であり;
4がH又はC1-6アルキルであり;
Dが5原子の飽和アルキレン鎖であり;
Aがカルボン酸又は薬学的に許容しうるその塩若しくはエステルであり;かつ
12がp-ブロモフェニルである、
請求項13に記載の式(VIII)の化合物。
【請求項16】
請求項13に記載の式(VIII)の化合物の製造方法であって、
有機溶媒中、有機塩基の存在下で下記式(VI)の化合物を下記式(VII)(式中、R3、R4、D、A及びR12は請求項13で定義したとおりであり、かつXは適切な脱離基を表す)の化合物と反応させて式(VIII)の化合物を得る工程を含む方法。
【化25】

【請求項17】
下記式(IX)の化合物。
【化26】

(式中、R3はヒドロキシ、NH2、又は式-NH-R9(R9はC6若しくはC10アリール、ヘテロアリール、-C(O)-R10、-C(O)-NHR10又は-C(O)-OR10であり、
ここで、R10はC1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルである)の基であり;
Dは3〜7原子の飽和アルキレン鎖であり;
4はH、又は前記鎖Dのいずれかの炭素原子にある1〜3個の置換基であり、前記置換基は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、オキソ、チオ、又はC1-6チオアルキルから成る群より独立的に選択され;
かつ
Aは、式-C(O)-NH-R11(R11は、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C6若しくはC10アリール、C7-16アラルキル及びSO211A(R11AはC1-8アルキル、C3-7シクロアルキル又はC1-6アルキル-C3-7シクロアルキルである)から成る群より選択される)のアミドであり;
或いはAは、カルボン酸又は薬学的に許容しうるその塩若しくはエステルであり;かつ
12は、p-トリル、p-ブロモフェニル、p-ニトロフェニル、メチル、トリフルオロメチル、ペルフルオロブチル及び2,2,2-トリフルオロエチルから選択される。)
【請求項18】
前記式(IX)の化合物において、
下記構造によって表されるように、オレフィン基がA基に対してシン配置であり;
【化27】

3がNH-C(O)-OR10(R10はC1-6アルキル、又はC3-6シクロアルキルである)であり;かつ
Dが4〜6原子の飽和アルキレン鎖であり;
4がH又はC1-6アルキルであり;
Aがカルボン酸又は薬学的に許容しうるその塩若しくはエステルであり;かつ
12がp-トリル、p-ブロモフェニル及びp-ニトロフェニルから選択される、
請求項17に記載の式(IX)の化合物。
【請求項19】
前記式(IX)の化合物において、
下記構造によって表されるように、オレフィン基がA基に対してシン配置であり;
【化28】

3がNH-C(O)-OR10(R10はブチル、シクロブチル又はシクロペンチルである)であり;
4がH又はC1-6アルキルであり;
Dが5原子の飽和アルキレン鎖であり;
Aがカルボン酸又は薬学的に許容しうるその塩若しくはエステルであり;かつ
12がp-ブロモフェニルである、
請求項17に記載の式(IX)の化合物。
【請求項20】
請求項17に記載の式(IX)の化合物の製造方法であって、
適切な触媒の存在下で下記式(VIII)のジエン化合物を環化して、式(IX)の化合物を得る工程を含む方法。
【化29】

(式中、R3、R4、D、A及びR12は請求項17で定義したとおりである。)
【請求項21】
前記触媒がルテニウムベース触媒である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
脱気した有機溶媒に前記式(VIII)の化合物を約0.02M未満の濃度に溶かしてから、約40℃〜約110℃の温度でルテニウムベース触媒と処理する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記有機溶媒がトルエン又はジクロロメタンである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ルテニウムベース触媒が下記式(XIV)の化合物である、請求項21、22又は23に記載の方法。
【化30】

(式中、
1及びX2は、それぞれ独立的に共有結合型リガンドを表し、
1は、ルテニウム原子に配位結合しており、かつフェニル基に共有結合していてもよいリガンドを表し、かつ
2は、ルテニウム原子に配位結合しているリガンドを表す。)

【公表番号】特表2007−524606(P2007−524606A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509716(P2006−509716)
【出願日】平成16年4月6日(2004.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/010476
【国際公開番号】WO2004/092203
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】